以下、リーンバーンエンジン(以下、単にエンジンとも言う)の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。図1、2に示すように、エンジン・システムは、エンジン1、エンジン1に付随する様々なアクチュエーター、様々なセンサ、及びセンサからの信号に基づきアクチュエーターを制御するエンジン制御器100を有する。
エンジン1は、火花点火式内燃機関であって、図例では一つのみ図示するが、複数のシリンダ11を有する。エンジン1は、自動車等の車両に搭載され、その出力軸は、図示しないが、変速機を介して駆動輪に連結されている。エンジン1の出力が駆動輪に伝達されることによって、車両が推進する。エンジン1は、シリンダブロック12と、その上に載置されるシリンダヘッド13とを備えており、シリンダブロック12の内部にシリンダ11が形成されている。シリンダブロック12及びシリンダヘッド13の内部には、冷却水が流れるウォータジャケット121、131が形成されている。ウォータジャケット121、131を含む冷却水の循環回路400の詳細については、後述する。
ピストン15は、各シリンダ11内に摺動自在に嵌挿されており、シリンダ11及びシリンダヘッド13と共に燃焼室17を区画している。この実施形態では、ピストン15の冠面に凹部が形成されている。
図1には一つのみ示すが、シリンダ11毎に2つの吸気ポート18がシリンダヘッド13に形成され、それぞれがシリンダヘッド13の下面(燃焼室17の上面を区画する天井面)に開口することで燃焼室17に連通している。同様に、シリンダ11毎に2つの排気ポート19がシリンダヘッド13に形成され、それぞれがシリンダヘッド13の天井面に開口することで燃焼室17に連通している。吸気ポート18は、シリンダ11内に導入される新気が流れる吸気通路(図示省略)に接続されている。吸気通路の上流側には、吸気流量を調整するスロットル弁20が介設しており、スロットル弁20は、エンジン制御器100からの制御信号を受けてその開度が調整される。一方、排気ポート19は、各シリンダ11からの既燃ガス(排気ガス)が流れる排気通路(図示省略)に接続されている。排気通路には、一つ以上の触媒コンバータを有する排気ガス浄化システムが配置される。
図1に示すように、吸気弁21及び排気弁22はそれぞれ、吸気ポート18及び排気ポート19を燃焼室17から遮断(閉)することができるように配設されている。吸気弁21は吸気弁駆動機構により、排気弁22は排気弁駆動機構により、それぞれ駆動される。吸気弁21及び排気弁22は所定のタイミングで往復動して、吸気ポート18及び排気ポート19を開閉し、シリンダ11内のガス交換を行う。吸気弁駆動機構及び排気弁駆動機構は、図示は省略するが、それぞれ、クランクシャフトに駆動連結された吸気カムシャフト及び排気カムシャフトを有し、これらのカムシャフトはクランクシャフトの回転と同期して回転する。また、少なくとも吸気弁駆動機構は、吸気カムシャフトの位相を所定の角度範囲内で連続的に変更可能な、液圧式又は機械式の位相可変機構(Variable Valve Timing:VVT)23を含んで構成されている。VVT23と共に、弁リフト量を連続的に
変更可能なリフト可変機構(CVVL(Continuous Variable Valve Lift))を備えるようにしてもよい。
点火プラグ31は、例えばねじ等の周知の構造によって、シリンダヘッド13に取り付けられている。点火プラグ31は、この実施形態では、シリンダ11の中心軸に対し、排気側に傾斜した状態で取り付けられており、その先端部(電極)は燃焼室17の天井部に臨んでいる。尚、点火プラグ31の配置はこれに限定されるものではない。点火システム32は、エンジン制御器100からの制御信号を受けて、点火プラグ31が所望の点火タイミングで火花を発生するよう、それに通電する。一例として、点火システム32はプラズマ発生回路を備え、点火プラグ31はプラズマ点火式のプラグとしてもよい。
燃料噴射弁33は、この実施形態ではシリンダ11の中心軸に沿って配置され、例えばブラケットを使用する等の周知の構造でシリンダヘッド13に取り付けられている。燃料噴射弁33の先端は、燃焼室17の天井部の中心に臨んでいる。燃料噴射弁33は、この例では、外開弁タイプのピエゾ式インジェクタである。こうしたインジェクタは、ペネトレーションが比較的低い一方で、燃料の微粒化に優れている。
燃料供給システム34は、燃料噴射弁33に燃料を供給する燃料供給系と、燃料噴射弁33を駆動する電気回路と、を備えている。電気回路は、エンジン制御器100からの制御信号を受けて燃料噴射弁33を作動させ、所定のタイミングで所望量の燃料を、燃焼室17内に噴射させる。ここで、このリーンバーンエンジン1の燃料は、この実施形態ではガソリンであるが、これに限定されるものではなく、例えばガソリン含有の各種の液化燃料としてもよい。
エンジン制御器100は、図2に示すように、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラであって、プログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)と、例えばRAMやROMにより構成されてプログラム及びデータを格納するメモリと、電気信号の入出力をする入出力(I/O)バスと、を備えている。
エンジン制御器100は、少なくとも、エアフローセンサ71からの吸気流量に関する信号、クランク角センサ72からのクランク角パルス信号、アクセル・ペダルの踏み込み量を検出するアクセル開度センサ73からのアクセル開度信号、車速センサ74からの車速信号をそれぞれ受ける。エンジン制御器100は、これらの入力信号に基づいて、以下のようなエンジン1の制御パラメーターを計算する。例えば、所望のスロットル開度信号、燃料噴射パルス、点火信号、バルブ位相角信号、等である。そしてエンジン制御器100は、それらの信号を、スロットル弁20(スロットル弁20を動かすスロットルアクチュエーター)、燃料供給システム34、点火システム32及びVVT23等に出力する。
このリーンバーンエンジン1の特徴的な点は、エンジンの図示熱効率を高めて、燃費性能を従来に比べて大幅に向上させる観点から、エンジン1の幾何学的圧縮比εを18以上40以下の超高圧縮比に設定すると共に、少なくとも部分負荷の運転領域においては空気過剰率λを2以上8以下に設定して、混合気をリーン化することに対し、燃焼室17の断熱構造を、さらに組み合わせる点にある。
ここで、このエンジン1は圧縮比=膨張比となる構成から、高圧縮比と同時に、比較的高い膨張比を有するエンジン1でもある。尚、圧縮比<膨張比となる構成(例えばアトキンソンサイクルや、ミラーサイクル)を採用してもよい。
また、燃焼室17は、図1に示すように、シリンダ11の壁面と、ピストン15の冠面と、シリンダヘッド13の下面(天井面)と、吸気弁21及び排気弁22それぞれのバルブヘッドの面と、によって区画形成されており、これらの各面に、後述する構成を有する断熱層61,62,63,64,65が設けられることによって、燃焼室17が断熱化されている。尚、以下において、これらの断熱層61〜65を総称する場合は、断熱層に符号「6」を付す場合がある。断熱層6は、これらの区画面の全てに設けてもよいし、これらの区画面の一部に設けてもよい。また、図例では、シリンダ壁面の断熱層61は、ピストン15が上死点に位置した状態で、そのピストンリング14よりも上側の位置に設けられており、これにより断熱層61上をピストンリング14が摺動しない構成としている。但し、シリンダ壁面の断熱層61はこの構成に限らず、断熱層61を下向きに延長することによって、ピストン15のストロークの全域、又は、その一部に断熱層61を設けてもよい。また、燃焼室17を直接区画する壁面ではないが、吸気ポート18や排気ポート19における、燃焼室17の天井面側の開口近傍のポート壁面に断熱層を設けてもよい。尚、図1に図示する各断熱層61〜65の厚みは実際の厚みを示すものではなく単なる例示であると共に、各面における断熱層の厚みの大小関係を示すものでもない。
このリーンバーンエンジン1では、前述の通り幾何学的圧縮比εを18≦ε≦40に設定している。理論サイクルであるオットーサイクルにおける理論熱効率ηthは、ηth=1−1/(εκ−1)であり、圧縮比εを高くすればするほど、理論熱効率ηthは高くなる。また、ガスの比熱比κを高めれば高めるほど、言い換えると、空気過剰率λを高めれば高めるほど、理論熱効率ηthは高くなる。
しかしながら、エンジン(正確には、燃焼室の断熱構造を有しないエンジン)の図示熱効率は、所定の幾何学的圧縮比ε(例えば15程度)でピークになり、幾何学的圧縮比εをそれ以上に高めても図示熱効率は高くならず、逆に、図示熱効率は低下することになる。これは、燃料量及び吸気量を一定のままで幾何学的圧縮比を高くした場合、圧縮比が高くなればなるほど、燃焼圧力及び燃焼温度が高くなることに起因している。つまり、燃焼室17を区画する面を通じて熱が放出することに伴う冷却損失は、冷却損失=熱伝達率×伝熱面積×(ガス温度−区画面の温度)によって決定され、燃焼ガスの圧力及び温度が高くなるほど熱伝達率は高くなるから、燃焼圧力及び燃焼温度が高くなることは、その分、冷却損失を増大させることになる。その結果、リーンバーンエンジンは、幾何学的圧縮比が高くなればなるほど、図示熱効率が低下してしまうのである。このように、混合気をリーン化しつつ、幾何学的圧縮比を高めることによってエンジンの図示熱効率を高めようとしても、冷却損失が増大することにより、理論熱効率よりも大幅に低い図示熱効率で頭打ちなってしまう。
これに対し、このリーンバーンエンジン1では、高い幾何学的圧縮比εにおいて図示熱効率が高まるように、燃焼室17の断熱構造を組み合わせている。つまり、燃焼室17の断熱化により冷却損失を低減させ、それによって図示熱効率を高める。
一方で、燃焼室17を断熱化して冷却損失を低減させるだけでは、その冷却損失の低減分が排気損失に転換されて図示熱効率の向上にはあまり寄与しないところ、このリーンバーンエンジン1では、前述したように、高圧縮比化に伴う高膨張比化によって、冷却損失の低減分に相当する燃焼ガスのエネルギを、機械仕事に効率よく変換している。すなわち、このリーンバーンエンジン1は、冷却損失及び排気損失を共に低減させる構成を採用することによって、図示熱効率を大幅に向上させているということができる。
ここで、空気過剰率λについて検討する。空気過剰率λが2よりも低くなると燃焼室17内の最高燃焼温度が高くなって、燃焼室17からRawNOxが排出され得る。前述したように、このリーンバーンエンジン1は、冷却損失と共に排気損失の低減をも図っているため、排気温度が比較的低く触媒の活性化には不利である。そのため、燃焼室17からのRawNOxの排出を回避乃至抑制することが望ましく、そのためには、空気過剰率λを2以上に設定することが好ましい。言い換えると、燃焼室17内の最高燃焼温度が所定温度(例えば、RawNOxが生成し得る温度としての1800K(ケルビン))以下となる範囲で、空気過剰率λを設定することが望ましい。エンジン制御器100は、例えばエンジン1の部分負荷における運転領域内で、負荷の上昇に伴い(言い換えると、燃料噴射量の増量により空気過剰率λが下がることに伴い)、最高燃焼温度が所定温度を超えるようなときには、空気過剰率λを上げてエンジン1を運転することが望ましい。
一方、本願発明者らの検討によると、空気過剰率λ=8で図示熱効率がピークになることから、空気過剰率λの範囲としては、2≦λ≦8が好ましい。混合気のリーン化は、スロットル弁20を開き側に設定することになるから、ガス交換損失(ポンピングロス)の低減による図示熱効率の向上にも寄与し得る。
尚、エンジン1の全負荷を含む高負荷の運転領域においては、トルク優先により、空気過剰率λをさらに下げて例えばλ=1又はλ≦1としてもよい。前記の空気過剰率λの数値範囲は、エンジン1の、中負荷及び低負荷の運転領域における好ましい範囲である。
図3は、このリーンバーンエンジン1の、温間時の運転マップの一例であり、前述したように、低負荷領域(但し、高回転の一部の領域を除く)においては、空気過剰率λを、2≦λ≦8(又はG/Fを30〜120)とするリーン運転域にする一方、高負荷領域(及び高回転の一部の低負荷領域を含む)においては、空気過剰率λをλ=1(又はλ≦1)とするλ=1運転域にする。ここで、リーン運転域においては、燃焼室17内の混合気を圧縮着火させる圧縮着火モードとし、λ=1運転域においては、点火プラグ31の駆動によって燃焼室17内の混合気に点火する火花点火モードとしてもよい。尚、運転領域の全域において、圧縮着火モードとしてもよい。
次に、燃焼室17の断熱構造について、さらに詳細に説明する。燃焼室17の断熱構造は、前述したように、燃焼室17を区画する各区画面に設けた断熱層61〜65によって構成されるが、これらの断熱層61〜65は、燃焼室17内の燃焼ガスの熱が、区画面を通じて放出されることを抑制するため、燃焼室17を構成する金属製の母材よりも熱伝導率が低く設定される。ここで、シリンダ11の壁面に設けた断熱層61については、シリンダブロック12が母材であり、ピストン15の冠面に設けた断熱層62についてはピストン15が母材であり、シリンダヘッド13の天井面に設けた断熱層63については、シリンダヘッド13が母材であり、吸気弁21及び排気弁22それぞれのバルブヘッド面に設けた断熱層64,65については、吸気弁21及び排気弁22がそれぞれ母材である。従って、母材の材質は、シリンダブロック12、シリンダヘッド13及びピストン15については、アルミニウム合金や鋳鉄となり、吸気弁21及び排気弁22については、耐熱鋼や鋳鉄等となる。但し、前述したように、このリーンバーンエンジン1は排気損失を低減していることから、排気ガス温度が大幅に低下しているため、特に排気弁22については耐熱鋼でなくても、従来は使用することができなかった、又は、使用することが困難であった材料(例えばアルミニウム合金等)を使用することも可能である。
また、断熱層6は、冷却損失を低減する上で、母材よりも容積比熱が小さいことが好ましい。つまり、燃焼室17内のガス温度は燃焼サイクルの進行によって変動するが、燃焼室の断熱構造を有しない従来のエンジンは、シリンダヘッドやシリンダブロック内に形成したウォータジャケット内を冷却水が流れることにより、燃焼室17を区画する面の温度は、燃焼サイクルの進行にかかわらず、概略一定に維持される。
一方で、冷却損失は、前述の通り、冷却損失=熱伝達率×伝熱面積×(ガス温度−区画面の温度)によって決定されることから、ガス温度と壁面の温度との差温が大きくなればなるほど冷却損失は大きくなってしまう。冷却損失を抑制するためには、ガス温度と区画面の温度との差温は小さくすることが望ましいが、前述したように、燃焼室17の区画面の温度を概略一定に維持した場合、ガス温度の変動に伴い差温が大きくなることは避けられない。
そこで、前記の断熱層6は熱容量を小さくし、燃焼室17の区画面の温度が、燃焼室17内のガス温度の変動に追従して変化することが好ましい。
また、断熱層6の熱容量を小さくすることは、排気損失の低減にも有利になる。つまり、仮に断熱層の熱容量が大きいときは、燃焼室17内の温度が低下したときでも、区画面の温度が下がらない一方で、燃焼室17が断熱構造を有しているため、燃焼室17内の温度を高温のままに維持してしまう。このことは、結果として排気損失を増大させることになり、エンジン1の熱効率の向上を阻害する。
これに対し、断熱層6の熱容量を小さくすることは、燃焼室17内の温度が低下したときに、それに追従して区画面の温度が低下する。従って、燃焼室17内の温度を高温に維持してしまうことを回避し得るから、前述した、温度追従性に伴う冷却損失の抑制のほか、排気損失の抑制にも有利になり得る。
断熱層6の例示として、この断熱層6は、シリンダ11の壁面、ピストン15の冠面、シリンダヘッド13の天井面、並びに、吸気弁21及び排気弁22それぞれのバルブヘッド面、つまり、燃焼室17を区画する区画面に、例えばプラズマ溶射により形成した、ジルコニア(ZrO2)、又は、部分安定化ジルコニア(PSZ)の皮膜によって構成してもよい。ジルコニア又は部分安定化ジルコニアは、熱伝導率が比較的低くかつ、容積比熱も比較的小さいため、母材よりも熱伝導率が低くかつ、容積比熱が母材と同じか、それよりも小さい断熱層6が構成される。
そうしてこのリーンバーンエンジン1では、リーン燃焼運転を行う低負荷領域において冷却損失をさらに低減させることを目的として、エンジン1の冷却を行わない冷却水レス運転を行うように構成されている。それと共に、このリーンバーンエンジン1は、エンジン1の運転状態が高負荷領域にあるときにはλ=1運転を行うように運転モードを切り替えているが、その運転モードの切替に対応するように、エンジン1の冷却方法も切り替える。以下、図面を参照しながら、冷却方法の切替について説明する。
先ず、このリーンバーンエンジン1における冷却水の循環回路400は、図1に示すように、エンジン1に設けたウォータジャケット121、131と、ラジエータ41とを互いに連結する送り流路42と戻し流路43とを含んで構成されている。
ウォータジャケット121、131は、前述したように、シリンダブロック12及びシリンダヘッド13のそれぞれに設けられており、シリンダブロック12側のウォータジャケット121と、シリンダヘッド13側のウォータジャケット131とは、エンジン1の内部で互いに連通している。シリンダヘッド13側のウォータジャケット131は特に、充填効率の向上に効果的な、排気弁22のバルブブリッジ近傍の冷却を有効に行い得るように設けられている。ウォータジャケット121、131に対する冷却水の流入口は、シリンダブロック12側及びシリンダヘッド13側のそれぞれに設けられているのに対し、ウォータジャケットからの冷却水の流出口は、シリンダヘッド13側にのみ設けられている。
送り流路42上には電動ウォータポンプ44が介設されており、後述するように、エンジン制御器100によって電動ウォータポンプ44が駆動されることに伴い(図2参照)、循環回路400内を冷却水が循環することになる。尚、電動ウォータポンプ44に代えて、エンジン駆動のウォータポンプとしてもよいが、後述するように、冷却水の循環を停止する冷却水レス運転を行うことから、エンジン1の駆動、停止とは独立して、ウォータポンプの駆動、停止を切り替えることが可能な構成とすることが好ましい。
電動ウォータポンプ44の下流側は2つに分岐しており、一方の分岐路は、流量調整弁45を介して、シリンダブロック12側の冷却水の流入口に接続されているのに対し、他方の分岐路は、三方弁46を介して、シリンダヘッド13側の冷却水流入口に接続されている。流量調整弁45は、後述するようにエンジン制御器100によって制御(つまり、開度調整)されることで、シリンダブロック12側に供給される冷却水の流量を調整する。尚、流量調整弁45を閉弁してシリンダブロック12側への冷却水の供給を停止することもある。
三方弁46が有するもう一つの出口ポートには、エンジン1のウォータジャケット121、131をバイパスするように、戻り流路43に接続されるエンジンバイパス路47が接続されている。三方弁46は、シリンダヘッド13側のウォータジャケット131に供給する冷却水の流量と、エンジンバイパス路47側に流す冷却水の流量との割合を調整可能に構成されており、その調整(開度調整)は、エンジン制御器100によって行われる(図2参照)。
循環回路400における戻り流路43上にはまた、リザーバタンク48が介設されており、このリザーバタンク48には、後述するように、エンジン1のウォータジャケット121、131内の冷却水を排したときの、その冷却水が貯留される。
循環回路400にはまた、ラジエータ41をバイパスするように、戻り流路43と送り流路42とを接続するラジエータバイパス路49が設けられており、ラジエータ41の下流側に配置されかつ、エンジン制御器100によって制御されるエレキサーモスタット410によって、ラジエータ41を通過する冷却水流量と、ラジエータ41をバイパスする冷却水流量との割合が調整される。このことで、循環回路400を循環する冷却水の温度調整が行われる。
尚、戻り流路43上には、エンジン1から排出された冷却水の温度を計測する水温センサ75が配設されているが、冷却水の循環を停止する冷却水レス運転時においても、エンジン1、特に燃焼室17の温度状態を監視するために、シリンダヘッド13には、壁温センサ76が取り付けられている。壁温センサ76は、燃焼室17の区画面(区画壁)の温度を検出可能なセンサである。壁温センサ76は、燃焼サイクルの進行に伴う燃焼室17内の温度変化にも対応するような高応答のセンサであることが望ましい。こうした高応答センサとして、例えば白金測温抵抗体を採用してもよい。これら水温センサ75及び壁温センサ76の計測値はそれぞれ、図2に示すように、エンジン制御器100に入力される。
シリンダブロック12側のウォータジャケット121の下部には、ウォータジャケット121、131内にエアを注入するための注入口が形成されており、この注入口には、図1では図示を省略するコンプレッサ411(図2参照)が接続されている。後述する冷却水レス運転時には、エンジン制御器100がコンプレッサ411を駆動することによって、エアがウォータジャケット121内に注入されて、シリンダブロック12及びシリンダヘッド13のウォータジャケット121、131内の冷却水が、シリンダヘッド13に設けた流出口から排出され、ウォータジャケット121、131内がエア空間になるように構成されている。
以上のように構成された循環回路400によって、このリーンバーンエンジン1では、図3に示すように、リーン燃焼運転を行う低負荷領域においては、エンジン1の冷却を行わない冷却水レス運転を行い、空気過剰率λの低い高負荷領域の内、低回転域においては、シリンダヘッド13のみを重点的に冷却するヘッド充填冷却を行い、高回転域においては、エンジン1の全体を冷却する高効率冷却を行う。
図4は、冷却水レス運転における循環回路400の状態を示している。冷却水レス運転時には先ず、電動ウォータポンプ44を停止しかつ、必要に応じて三方弁46及び流量調整弁45をそれぞれ閉弁することで、循環回路400内の冷却水の循環を停止した状態で、コンプレッサ411を駆動する。これによって、ウォータジャケット121、131内にエアを注入し、ウォータジャケット121、131内の冷却水を流出口を通じて排出する。排出された冷却水はリザーバタンク48に貯留するようになる。尚、ウォータジャケット121、131内の冷却水が排出されれば、コンプレッサ411は停止すればよい。こうして、冷却水レス運転時には、ウォータジャケット121、131内がエア空間になり、エンジン1の冷却が行われない。
図5は、ヘッド重点冷却における循環回路400の状態を示している。ヘッド重点冷却では、流量調整弁45を閉弁した状態で、電動ウォータポンプ44を駆動し、実線の矢印で示すように、シリンダヘッド13側の流入口からのみ、冷却水をウォータジャケット131内に供給する。このときは、三方弁46の制御によりエンジンバイパス路47側への冷却水の供給も停止して、できるだけ大量の冷却水をシリンダヘッド13側に供給することが好ましい。そうして、シリンダヘッド13の流出口から流出した冷却水は、戻り流路43、ラジエータ41、送り流路42を介して、再びシリンダヘッド13に供給されることになる。このとき、冷却水の温度が設定した温度となるように、エレキサーモスタット410の制御が行われる(同図の実線及び一点鎖線の矢印参照)。
図6は、高効率冷却における循環回路400の状態を示している。高効率冷却では、流量調整弁45を開弁した状態で、電動ウォータポンプ44を駆動し、実線の矢印で示すように、シリンダブロック12側の流入口とシリンダヘッド13側の流入口との双方から、冷却水をウォータジャケット121、131内に供給する。このときは、三方弁46の制御によりエンジンバイパス路47側へも適宜、冷却水が供給される。そうして、シリンダヘッド13の流出口から流出した冷却水は、ヘッド重点冷却時と同様に、戻り流路43、ラジエータ41、送り流路42を介して、再びシリンダヘッド13に供給されることになる。このときも、冷却水の温度が設定した温度となるように、エレキサーモスタット410の制御が行われる(同図の実線及び一点鎖線の矢印参照)。
次に、図7のフローを参照しながら、エンジン制御器100が実行するエンジン1の冷却方法の切替制御について説明する。先ず、スタート後のステップS71では各種信号を読み込み、続くステップS72では、読み込んだ信号に基づき、エンジン1の運転状態が、リーン燃焼運転の領域であるか否か、言い換えると図3の運転マップにおける低負荷領域にあるか否かを判定する。リーン燃焼運転域であるとき(YESのとき)には、ステップS73に移行する一方、リーン燃焼運転域でないとき(NOのとき)には、ステップS78に移行する。
ステップS73では、前述した冷却水レス運転を実施する(図4参照)。そのために、ステップS74では、電動ウォータポンプ44を停止し、続くステップS75では壁温センサ76を起動する。その上で、ステップS76においてコンプレッサ411を駆動して、エンジン1のウォータジャケット121、131内にエアを注入し、ウォータジャケット121、131内の冷却水を排出する。こうして、冷却水の循環を行わずに、エンジン1のウォータジャケット121、131内をエア空間にしてエンジン1の冷却を中止する。前述したように、リーン燃焼運転(圧縮着火モード)を行う低負荷領域では、燃焼室17の断熱構造によって冷却損失を低減しているため、エンジン1の冷却が不要である上に、ウォータジャケット121、131内の冷却水を排しているため、燃焼ガスの熱が冷却水に放出されることがなくなり、冷却損失をさらに低減することが可能になる。さらに、燃焼室17周りのウォータジャケット131がエア空間となって断熱機能を有するため、燃焼室17に形成された断熱層6と相俟って、燃焼室17の断熱度合いがさらに高まることから、冷却損失を大幅に低減して図示熱効率の向上に有利になる。
また、冷却水レス運転は、エンジン1内に冷却水が存在していないため、エンジン1の暖機を不要にし、燃費の向上に有利になるという利点もある。
そうして、この冷却水レス運転では、ステップS77において、壁温センサ76の計測値、つまり燃焼室17の壁温に基づく燃料噴射制御を行う。この制御は、従来のエンジン制御における水温センサ75の検出値に基づく制御に対応するものであり、壁温センサ76の計測値に応じて、燃料噴射タイミング、及び/又は、燃料噴射態様(例えば一括噴射と分割噴射との切替)等を行う。具体例としては、区画壁の温度が所定温度よりも高くなったときには、例えば吸気行程時と圧縮行程時(特に圧縮行程後期)とのそれぞれにおいて、燃料をシリンダ11内に噴射する分割噴射を行うことによって、シリンダ11内の温度低下を促進し、区画壁の温度を所定温度以下に維持するようにしてもよい。こうすることによって、エンジン1の冷却を行わない冷却水レス運転においても、エンジン1の温度信頼性を確保することが可能になる。
一方、リーン燃焼運転域ではなく、λ≦1運転域であるとして移行したステップS78では、エンジン1の運転状態が低回転高負荷域であるか否かを判定する。低回転高負荷域であるとき(YESのとき)には、ステップS79に移行し、低回転高負荷域でないとき(NOのとき)、つまり、高回転高負荷域であるときには、ステップS715に移行する。
ステップS79では、前述したヘッド重点冷却を実施する(図5参照)。そのために、ステップS710では三方弁46の駆動及び流量調整弁45の閉弁を行うと共に、電動ウォータポンプ44を駆動する。こうして、図5に矢印で示すように、シリンダヘッド13のウォータジャケット131にのみ、冷却水を大量に供給し、エンジン1におけるシリンダヘッド13を重点的に冷却する。このことにより、シリンダヘッド13が比較的低温になって、吸気ポート18を通過する際に吸気が受熱し難く、又は、受熱しなくなる。このことは充填効率を高めて、高負荷領域における高トルクの確保に有利になる。また、低回転高負荷領域は、ノッキングやプリイグニッションといった異常燃焼が生じやすい運転領域であるものの、シリンダ11内に導入する吸気の温度上昇を抑制することによって、シリンダ11内の温度が低下し、そうした異常燃焼を回避する上でも有利になる。
ステップS711では、電動ウォータポンプ44の流量制御、具体的には、吐出流量を所定量だけ増量し、続くステップS712で壁温センサ76の計測値を利用して吸気充填量を予測する。水温センサ75の計測値ではなく、壁温センサ76の計測値を利用することは、応答性の高い温度計測値が得られ、フィードバック制御に有利になるという利点がある。
そうして、ステップS713では、電動ウォータポンプ44の吐出流量を増量することによって吸気充填量が所定割合以上増えたか否かを判定し、吸気充填量が所定割合以上増えたとき(YESのとき)には、ステップS711に戻って、電動ウォータポンプ44の吐出流量をさらに増量する一方、吸気充填量が所定割合以上増えないとき(NOのとき)には、それ以上、電動ウォータポンプ44の吐出流量を増やしても吸気充填量が増えないことから、電動ウォータポンプ44の吐出流量をそのまま維持する。こうした電動ウォータポンプ44の流量制御によって、必要以上に電動ウォータポンプ44を駆動することが回避され、無駄な電力消費をなくして燃費の向上に有利になる。
一方、ステップS715では、前述した高効率冷却を実施する(図6参照)。そのために、ステップS716では三方弁46の駆動及び流量調整弁45の開弁と共に、電動ウォータポンプ44を駆動する。こうして、図6に矢印で示すように、シリンダヘッド13のウォータジャケット131とシリンダブロック12のウォータジャケット121との双方に冷却水を供給し、エンジン1の全体を冷却する。続くステップS717では、壁温センサ76を利用して燃焼室17の壁温を計測し、ステップS718において、計測した壁温が、エンジン1の温度信頼性を満足するか否かを判定する。これは、計測した壁温が、予め設定した信頼性限界温度以下であるか否かを判定すればよく、温度信頼性を満足するとき(YESのとき)には、ステップS719に移行して、電動ウォータポンプ44の吐出流量、三方弁46の開度、及び流量調整弁45の開度をそれぞれ現状のままで維持する。一方、温度信頼性を満足しないとき(NOのとき)にはステップS716に戻って、エンジン1への冷却水の供給量を増量すべく、電動ウォータポンプ44の吐出流量、三方弁46の開度、及び流量調整弁45の開度の少なくとも一つを調整する。こうして、エンジン1の温度が高くなる高回転高負荷領域では、エンジン1の温度信頼性を確保しつつ、電動ウォータポンプ44の吐出流量を必要最低限に設定する。
次に、図8〜図10を参照しながら、冷却水レス運転、ヘッド重点冷却及び高効率冷却のそれぞれにおいて、エンジン1に供給される冷却水の流量、冷却水温度及び燃焼室17の壁面温度について説明すると共に、冷却方法の変更時の状態について説明する。
先ず、図8の左側は、エンジン1の運転状態が低負荷領域のリーン燃焼運転域にあって、冷却水レス運転を行っているときの状態を示している。前述の通り冷却水レス運転時には、電動ウォータポンプ44を停止し冷却水の循環を行わないため、シリンダヘッド13側に供給される冷却水の流量(ヘッド側流量)、及び、シリンダブロック12側の供給される冷却水の流量(ブロック側流量)は共にゼロになる。また、冷却水の循環を行わない(水温センサ75付近に冷却水が存在しない)ため、水温センサ75の出力が、例えばハンチングを起こし、真値とはならない。従って、冷却水レス運転時には、水温センサ75の出力を制御に利用することはできない。また、冷却水レス運転時には、エンジン1の冷却を行わないものの、前述したように燃料噴射制御によって(図7のフローのステップS77)、燃焼室17の壁面温度は、同図に破線で示す信頼性限界温度以下に維持される。
エンジン1の運転状態がリーン燃焼運転域から、低回転高負荷域のλ=1運転域に変更されたときには、エンジン1の冷却方法が、冷却水レス運転からヘッド重点冷却に変更される。このときには、電動ウォータポンプ44の駆動を開始することにより、その移行期間中に、シリンダヘッド13側の流入口から冷却水がウォータジャケット131内に(また、シリンダブロック12側のウォータジャケット121内にも)供給されて、エンジン1のウォータジャケット121、131内が冷却水で満たされる。これに伴い、図8の上図に示すように、ヘッド側流量は次第に増量して、ヘッド重点冷却時には所定流量となるのに対し、ブロック側流量はゼロのままである。このようにしてシリンダヘッド13の冷却を重点的に行うことに伴い、燃焼室17の壁面温度が、冷却水レス運転からヘッド重点冷却への移行に伴い、次第に低下することになる。
尚、ヘッド重点冷却では、循環回路400内で冷却水を循環させることに伴い水温センサ75による水温の計測が可能になるものの、冷却水レス運転からヘッド重点冷却(又は後述する高効率冷却)への移行時のように、ウォータジャケット121、131内に冷却水が存在していない状態から、冷却水を流通させる状態へと移行する移行期間においては、図8の下図に丸印を付すように、水温センサ75の計測値にオーバーシュート等が発生してしまうことから、少なくとも移行期間内においては、壁温センサ76の計測値を利用してエンジン1の制御を行うことが望ましい。そうして、冷却水が循環回路400内で安定的に循環して、ヘッド重点冷却に完全に移行した後は、水温センサ75の計測値を利用して、冷却水の温度が所定温度で維持されるように、エレキサーモスタット410の開度調整を行ってもよい。
ヘッド重点冷却では、シリンダヘッド13を重点的に冷却しているため、図8下図の右側に例示するように、燃焼室17の壁面温度が比較的低下し、冷却水温度に近くなる。尚、図示は省略するが、冷却水の循環回路400には、エンジンオイルを冷却するオイルクーラも設けられており、エンジンオイルの温度が所定温度以上に高まったときには、エレキサーモスタットの設定温度を下げることによって、冷却水温度を低下させ、エンジンオイルの温度信頼性を確保するようにしてもよい。
図9は、エンジンの運転状態が低負荷域(冷却水レス運転)から、高回転高負荷域(高効率冷却)へと変更した例を示している。高効率冷却は、前述の通り、シリンダヘッド13側及びシリンダブロック12側の双方に冷却水を供給するため、高効率冷却への移行に伴い、ヘッド側流量及びブロック側流量の双方が、ゼロの状態から次第に増量することになる。ここで、高効率冷却においてもシリンダヘッド13を効率的に冷却する観点から、図例では三方弁46及び流量調整弁45の開度調整によって、ヘッド側流量をブロック側流量よりも高く設定している。尚、ヘッド側流量とブロック側流量との割合は適宜設定すればよく、例えば同じ流量に設定してもよい。こうして、エンジン1の温度が比較的高くなる高回転高負荷領域では、図9下図の右側に示すように、高効率冷却によって、燃焼室温度が信頼性限界温度以下で維持されることになる。また、冷却水温度は所定温度で維持される点は、ヘッド重点冷却と同じである。
図10は、エンジン1の運転状態が低回転高負荷域から高回転高負荷域へと変更することに伴い、エンジン1の冷却方法がヘッド重点冷却から高効率冷却へ移行した例を示している。ヘッド充填冷却では、前述の通り、シリンダヘッド13側にのみ冷却水が供給され、ブロック側流量はゼロである一方、高効率冷却ではシリンダブロック12側にも冷却水が供給されるため、冷却方向の移行に伴い、ブロック側流量が次第に増量する。また、エンジン1の過熱を回避する観点から、高効率冷却では、ヘッド側流量も増量される。尚、冷却水温度は、ヘッド重点冷却から高効率冷却へ移行しても基本的には一定に維持されるのに対し、燃焼室温度は、ヘッド重点冷却から高効率冷却への移行によって、図例に示すように上昇する場合がある。
尚、図示はしないが、エンジン1の運転状態が前記とは逆に移行することに伴い、エンジン1の冷却方法が、前記とは逆に、つまり、ヘッド重点冷却から冷却水レス運転に移行するときは、図8の右から左の方向に移行し、高効率冷却から冷却水レス運転に移行するときは、図9の右から左の方向に移行し、高効率冷却からヘッド重点冷却に移行するときは、図10の右から左の方向に移行することになる。
このように、リーンバーンエンジン1の運転状態に応じて、エンジン1の冷却方法を切り替えることにより、リーン燃焼運転域である低負荷領域では、冷却損失の大幅な低減が可能になって、図示熱効率の向上が図られる一方、λ=1運転域である高負荷領域では、エンジン1の冷却を行うことにより、温度信頼性の確保が可能になる。
また、低回転高負荷の運転領域では、シリンダヘッド13にのみ冷却水を供給するヘッド重点冷却を行うことによって、温度信頼性を確保しつつも、高トルクの確保及び異常燃焼の回避に有利になる一方、高回転高負荷の運転領域では、シリンダヘッド13及びシリンダブロック12の双方に冷却水を供給する高効率冷却を行うことによって、エンジン1の過熱を確実に回避して温度信頼性が確保可能になる。
尚、前述した構成では、シリンダヘッド13のウォータジャケット131と、シリンダブロック12のウォータジャケット121とを、エンジン1の内部で互いに連通させているが、シリンダヘッド13のウォータジャケット131と、シリンダブロック12のウォータジャケット121とを互いに独立させてもよい。その場合において、冷却水レス運転は、少なくともシリンダヘッド13のウォータジャケット131内の冷却水を排して、そのウォータジャケット131をエア空間に構成すればよい。
また、循環回路400において、流量調整弁45は省略することも可能である。
さらに、ここに開示する技術は、前述したような、燃焼室17の断熱構造を有する高圧縮比のリーンバーンエンジン1への適用に限定されるものではなく、例えば燃焼室17の断熱構造を省略してもよい。その場合においても冷却水レス運転は、前述したように、ウォータジャケット131をエア空間にして、燃焼室17の断熱化を実現することが可能であるから、冷却損失を低減して、図示熱効率の向上を図ることが可能である。