JP6398885B2 - リーンバーンエンジン搭載車両の制御装置 - Google Patents

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ここに開示する技術は、リーンバーンエンジン搭載車両の制御装置に関する。
特許文献1には、運転状態が低負荷域にあるときには、RawNOxが少なくなるよう、空気過剰率λを2以上、又は、気筒内のG/F(つまり、気筒内の全ガス重量と気筒内に供給される燃料重量との比)を30以上に設定するリーンバーンエンジンが記載されている。このリーンバーンエンジンはまた、幾何学的圧縮比を高くすることにより膨張比を高くしかつ、燃焼室を区画する区画壁に遮熱層を設けている。これらの構成により、このリーンバーンエンジンは、熱効率の向上を図っている。
特許文献2には、排気浄化用の触媒の未活性時に、燃料噴射量を増量すると共に、自動変速機のシフトアップを制限することが記載されている。この技術は、燃料噴射量の増量により発熱量を増やすと共に、シフトアップの制限によってエンジンの回転数を高めにすることで単位時間当たりの排気流量を増やして、触媒の活性化を促進する。
特開2013−53606号公報 特開2007−309264号公報
特許文献2に記載された技術は、燃料噴射量の増量とエンジン回転数を高めることを組み合わせることにより、未活性の触媒を早期に活性化しようとするが、触媒が活性化するまでの間は、増えた燃料量及び排気流量によって、テールパイプエミッションは悪化し得る。
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、触媒の未活性時におけるテールパイプエミッションの悪化を防止することにある。
ここに開示する技術は、RawNOxが所定以下となるように気筒内のA/F(つまり、気筒内の空気重量と気筒内に供給される燃料重量との比)又はG/Fを所定リーンにすれば、触媒が仮に未活性であっても、テールパイプエミッションを悪化させることが無い点に着目した技術である。つまり、ここに開示する技術は、触媒の未活性時に触媒の活性化を促進するのではなく、エンジンと自動変速機との協調制御により、エンジンを、RawNOxが所定以下となるように運転することによって、テールパイプエミッションの悪化を防止することを特徴とする。
具体的にここに開示する技術は、リーンバーンエンジン搭載車両の制御装置に係る。この装置は、エンジンの温度の高低に関わらず、低負荷域での運転時には、RawNOxが所定以下となるよう気筒内のA/F又はG/Fを所定リーンにすると共に、前記低負荷域よりも負荷の高い高負荷域での運転時には、前記気筒内のA/F又はG/Fを前記所定リーンよりもリッチにするよう構成されたリーンバーンエンジンと、前記リーンバーンエンジンの排気通路に介設されかつ、その活性時には、前記リーンバーンエンジンが前記高負荷域で運転していて前記気筒内のA/F又はG/Fが前記所定リーンよりもリッチであるときに、排気ガスの浄化を行うよう構成された触媒コンバータと、前記リーンバーンエンジンの出力トルクを変速しかつ、駆動輪に出力するよう構成された自動変速機と、要求トルクに応じて、前記リーンバーンエンジンの運転、及び、前記自動変速機の変速状態を制御するよう構成された制御部と、を備える。
そして、前記制御部は、触媒の未活性時には、前記リーンバーンエンジンの運転状態が前記低負荷域内となるように、前記自動変速機の変速状態を制御する。
この構成によると、リーンバーンエンジンは、エンジンの温度の高低に関わらず、低負荷域での運転時には、RawNOxが所定以下となるよう気筒内のA/F又はG/Fを所定リーンにする。所定リーンは、気筒内のA/F又はG/Fを、例えば30以上の大幅なリーンとすればよい。こうすることで、エンジンにおけるRawNOxの発生が抑制される。エンジンを低負荷域で運転すれば、触媒が未活性であっても、テールパイプエミッションの悪化が防止される。
一方、低負荷域よりも負荷が高い高負荷域でエンジンを運転する時には、気筒内のA/F又はG/Fを所定リーンよりもリッチにする。この理由の一つは、エンジンの負荷が高まることに伴い増える燃料供給量に対し、所定リーンを維持するだけのガス量(空気を含む)を気筒内に導入することが困難になるためである。エンジンを高負荷域で運転しているときは、RawNOxを所定以下にすることが困難である。従って、触媒が未活性であると、エンジンを高負荷域で運転したときに、テールパイプエミッションが悪化し得る。
ここで、エンジンの温度が所定温度よりも低い冷間時には、一般的に、気筒内のA/F又はG/Fを大幅にリーンにしてしまうと燃焼安定性が低下してしまう。これに対し、本願発明者らの知見によると、例えばエンジンの幾何学的圧縮比を高くする(例えば18以上)、及び/又は、燃焼室を遮熱化する、ことによって、冷間時において、気筒内のA/F又はG/Fを大幅なリーンにしても、燃焼安定性を確保することが可能になる。燃焼室の遮熱化は、例えば燃焼室を区画する区画壁に、遮熱層を設けることによって行ってもよいし、燃焼室内の中央部に混合気層を形成しかつ、その混合気層と燃焼室の区画壁との間に断熱ガス層を形成することによって行ってもよい。また、遮熱層を設けることと、断熱ガス層を形成することとを組み合わせてもよい。
前記の構成では、触媒の未活性時には、リーンバーンエンジンの運転状態が低負荷域内となるように、自動変速機の変速状態を制御する。リーンバーンエンジンの運転状態が高負荷域に移行しようとするときには、例えば、縦軸をエンジンの負荷とし、横軸をエンジンの回転数としたエンジンの出力特性線図において概ね右下がりとなる、等馬力線に沿って、エンジンの運転状態が相対的に高回転の低負荷側に変更されるよう、自動変速機の変速状態を制御する。
触媒の未活性時には、エンジンもまた冷間状態であることが多いが、冷間状態であっても、リーンバーンエンジンを、気筒内のA/F又はG/Fを大幅なリーンにして運転することになる。気筒内のA/F又はG/Fを大幅なリーンにすることにより、エンジンにおけるRawNOxの生成が抑制されるから、触媒が未活性であっても、テールパイプエミッションの悪化が防止される。
ここに開示する技術は、前記の構成において、前記制御部は、要求トルクに応じて前記自動変速機の変速比を小に変更することに伴い、前記リーンバーンエンジンの運転状態が前記低負荷域から前記高負荷域に移行しようとするときには、前記自動変速機の変速比を小に変更することを保留することによって、前記リーンバーンエンジンの運転状態を前記低負荷域内にして前記気筒内のA/F又はG/Fを前記所定リーンのままにする
例えば、停止又は低車速状態からアクセルペダルを踏み込んで加速を行うようなときに、自動変速機の変速比(つまり、入力回転数/出力回転数)を、要求トルクに応じて、予め設定した変速線図に従い直ちに小に変更するのではなく、変速比の変更を保留する。変速比を変更しないことで、リーンバーンエンジンの回転数が高くなりかつ、エンジンの負荷は大きく上がらない。よって、リーンバーンエンジンの運転状態が低負荷域から高負荷域に移行することが抑制され、リーンバーンエンジンの運転状態を、低負荷域内に留めることが可能になる。その結果、触媒の未活性時に、テールパイプエミッションが悪化することが防止される。尚、エンジンの回転数が高くなる分、単位時間当たりの排気流量が増えるため、触媒の活性の促進にも有利になる。
ここに開示する技術はまた、前記の構成において、前記制御部は、要求トルクに応じて前記リーンバーンエンジンの負荷が高まることに伴い、前記リーンバーンエンジンの運転状態が前記低負荷域から前記高負荷域に移行しようとするときには、前記自動変速機の変速比を大に変更することによって、前記リーンバーンエンジンの運転状態を前記低負荷域内にして前記気筒内のA/F又はG/Fを前記所定リーンのままにする
例えば高車速状態(自動変速機の変速比は最小の状態)からアクセルペダルを踏み込んで加速を行うようなときに、要求トルクに応じてリーンバーンエンジンの負荷を、そのまま高めるのではなく、自動変速機の変速比を大に変更する。これにより、リーンバーンエンジンの回転数が高くなり、エンジンの負荷は低くなる。よって、リーンバーンエンジンの運転状態が低負荷域から高負荷域に移行することが抑制され、リーンバーンエンジンの運転状態を、低負荷域内に留めることが可能になる。その結果、触媒の未活性時に、テールパイプエミッションが悪化することが防止される。尚、エンジンの回転数が高くなる分、単位時間当たりの排気流量が増えるため、触媒の活性の促進にも有利になる。
前記リーンバーンエンジン搭載車両の制御装置は、前記リーンバーンエンジンの冷却水を利用して、車室内の暖房を行うよう構成された空調装置をさらに備え、前記制御部は、触媒の未活性時及び活性時において、前記空調装置の暖房要求時でかつ、前記リーンバーンエンジンの冷却水温が所定温度以下の時には、要求トルクに応じて前記自動変速機の変速比を小に変更することに伴い、前記リーンバーンエンジンの運転状態が前記低負荷域から前記高負荷域に移行しようとするときには、前記リーンバーンエンジンの運転状態が前記低負荷域内となって前記気筒内のA/F又はG/Fを前記所定リーンにするように、前記自動変速機の変速比の変更を保留し、要求トルクに応じて前記リーンバーンエンジンの負荷が高まることに伴い、前記リーンバーンエンジンの運転状態が前記低負荷域から前記高負荷域に移行しようとするときには、前記リーンバーンエンジンの運転状態が前記低負荷域内となって前記気筒内のA/F又はG/Fを前記所定リーンにするように、前記自動変速機の変速比を大に変更する、としてもよい。
リーンバーンエンジンの運転状態が低負荷域内となるよう自動変速機の変速状態を制御することによって、エンジンの回転数が高まる。前述したように、エンジンの回転数が高まることは、触媒の活性化に有利になるが、単位時間当たりの発熱量が増えるため、リーンバーンエンジンの冷却水の温度を高める上でも有利である。そこで、空調装置の暖房要求時でかつ、リーンバーンエンジンの冷却水温が所定温度以下の低温時には、触媒が活性していても、リーンバーンエンジンの運転状態が低負荷域内となるように、自動変速機の変速状態を制御する。エンジンの回転数が高めになるため、リーンバーンエンジンの冷却水の温度上昇に有利になり、所望の暖房性能を、速やかに確保することが可能になる。
以上説明したように、前述したリーンバーンエンジン搭載車両の制御装置によると、触媒の未活性時には、リーンバーンエンジンの運転状態が、気筒内のA/F又はG/Fを所定リーンにする低負荷域内に留まるよう、自動変速機の変速状態を制御するから、エンジンにおけるRawNOxの生成が抑制され、触媒が未活性であっても、テールパイプエミッションの悪化が防止される。
図1は、エンジンの構造を示す図である。 図2は、燃焼室の構成を示す断面図である。 図3は、リーンバーンエンジン搭載車両の制御装置の構成を示すブロック図である。 図4は、リーンバーンエンジンの運転制御マップを例示する図である。 図5は、リーンバーンエンジンと自動変速機との協調制御に係るフローチャートである。 図6は、アクセルペダルの踏み込み時にシフトアップの保留が行われた制御例における、車速の変化、アクセル開度の変化、変速段の変化、エンジン回転数の変化、及びエンジン負荷の変化を示すタイムチャートである。 図7は、アクセルペダルの踏み込み時にシフトダウンが行われた制御例における、車速の変化、アクセル開度の変化、変速段の変化、エンジン回転数の変化、及びエンジン負荷の変化を示すタイムチャートである。
以下、リーンバーンエンジン搭載車両の制御装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、以下の説明は例示である。
(エンジンの全体構成)
図1は、実施形態に係るリーンバーンエンジン1(以下、単にエンジン1という)の構成を示している。このエンジン1の燃料は、本実施形態ではガソリンである。燃料は、バイオエタノール等を含むガソリンであってもよい。ここに開示するエンジン1の燃料は、少なくともガソリンを含む液体燃料であれば、どのような燃料であってもよい。
エンジン1は、シリンダブロック12と、その上に載置されるシリンダヘッド13とを備えている。シリンダブロック12の内部に複数の気筒11が形成されている(図1及び図2では、1つのみ示す)。エンジン1は、多気筒エンジンである。各気筒11内には、ピストン3が摺動自在に内挿されている。ピストン3は、コネクティングロッド14を介してクランクシャフト15に連結されている。ピストン3は、気筒11及びシリンダヘッド13と共に燃焼室17を区画する。尚、「燃焼室」は、ピストン3が圧縮上死点に至ったときに形成される空間の意味に必ずしも限定されず、広義で用いる場合がある。
本実施形態では、燃焼室17の天井部170(シリンダヘッド13の下面)は、吸気ポート18の開口部が設けられた吸気側天井面171と、排気ポート19の開口部が設けられた排気側天井面172とを備えて構成されている。吸気側天井面171は、気筒11の中央に向かって登り勾配となっている。排気側天井面172も、気筒11の中央に向かって登り勾配となっている。吸気側天井面171及び排気側天井面172は、クランクシャフト15の軸方向に延びる谷部において連結されている。燃焼室17は、ペントルーフ型の燃焼室である。尚、ペントルーフの谷部の位置は、気筒11のボア中心に一致する場合、及び、一致しない場合の両方があり得る。
ピストン3の冠面30は、吸気側天井面171及び排気側天井面172に対応するように、吸気側及び排気側のそれぞれにおいて、ピストン3の中央に向かって登り勾配となった傾斜面31、32によって、三角屋根状に隆起している(図2も参照)。このエンジン1の幾何学的圧縮比は、15以上の高い圧縮比に設定している。ピストン3の冠面30には、凹状のキャビティ34が形成されている。
図1には1つのみ示すが、気筒11毎に2つの吸気ポート18がシリンダヘッド13に形成されている。吸気ポート18は燃焼室17に連通している。吸気ポート18は、吸気通路181に接続されている。吸気通路181には吸気流量を調節するスロットル弁41(図3参照)が介設されている。
吸気ポート18と同様に、気筒11毎に2つの排気ポート19がシリンダヘッド13に形成されている。排気ポート19は燃焼室17に連通している。排気ポート19は、排気通路191に接続されている。排気通路191には、1つ以上の触媒コンバータ192を有する排気ガス浄化システムが配設されている。触媒コンバータ192は、三元触媒を含む。
シリンダヘッド13には、吸気弁21が配設されている。吸気弁21は、吸気ポート18を燃焼室17に対して開閉する。吸気弁21は吸気動弁機構23によって、所定のタイミングで往復動する。吸気動弁機構23は、この例では、吸気カムシャフトの回転位相を所定の角度範囲内で連続的に変更可能な、液圧式又は電動式の位相可変機構(Variable Valve Timing:VVT)を、少なくとも含んで構成されている。
シリンダヘッド13には、排気弁22が配設されている。排気弁22は、排気ポート19を燃焼室17に対して開閉する。排気弁22は排気動弁機構24によって、所定のタイミングで往復動する。排気動弁機構24は、この例では、液圧式又は電動式のVVTを、少なくとも含んで構成されている。
シリンダヘッド13には、燃焼室17内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁6が取り付けられている。燃料噴射弁6は、吸気側天井面171と排気側天井面172とが交差するペントルーフの谷部に配設されている。燃料噴射弁6は、その噴射軸心Sが、気筒11の軸心に沿うように配設されている。噴射軸心Sは、気筒11の軸線と一致する場合、及び、気筒11の軸線からずれる場合の両方がある。燃料噴射弁6は、ピストン3のキャビティ34内に向かって、燃料を噴射する。
燃料噴射弁6は、図2に概念的に示すように、キャビティ34内、つまり燃焼室17内に、混合気層と、その周囲の断熱ガス層とを形成することが可能に構成されている。燃料噴射弁6は、例えば外開弁式の燃料噴射弁としてもよい。外開弁式の燃料噴射弁は、外開弁のリフト量を調整することにより、噴射する燃料噴霧の粒径を変更することが可能である。本願出願人が先に出願した特願2013−242597号に開示しているように、外開弁式の燃料噴射弁によって、圧縮上死点付近のタイミングで、複数回の噴射を含む所定態様の燃料噴射を行うと、キャビティ34の中央部に混合気層を、その外周囲に断熱ガス層が形成される。
また、外開弁式の燃料噴射弁に限らず、VOC(Valve Covered Orifice)ノズルタイプのインジェクタも、ノズル口に発生するキャビテーションの度合いを調整することにより、噴口の有効断面積を変更して、噴射する燃料噴霧の粒径を変更することが可能である。従って、外開弁式の燃料噴射弁と同様に、キャビティ34内の中央部に混合気層を、その外周囲に断熱ガス層を形成することが可能である。
また、ヒータによって所定の温度まで加熱した燃料を、高圧雰囲気の燃焼室17内に噴射することにより、燃料を超臨界状態とすることによっても、キャビティ34内の中央部に混合気層を、その外周囲に断熱ガス層を形成することが可能である。この技術は、燃焼室17内に噴射した燃料を瞬時に気化させることによって燃料噴霧のペネトレーションが短くなり、キャビティ34内における燃料噴射弁の近傍に、混合気層を形成するものである。尚、燃料噴射弁は、例えば複数の噴口を有するマルチホールタイプの燃料噴射弁において、燃料を加熱するヒータを備えて構成される。また、この構成以外の燃料噴射弁であってもよい。
これらの燃料噴射弁の構成は、公知であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
エンジン1はまた、着火アシストシステム42を備えている(図3参照)。着火アシストシステム42は、混合気にエネルギを与えて自着火を促す点火プラグ、又は、気筒11内に混合気の自着火を促進する活性種を生成する装置(例えばオゾン生成装置)を有して構成される。図示は省略するが、点火プラグ又はオゾン生成装置は、ペントルーフの谷部において、燃料噴射弁6に対して近接して配設される。
図1では図示を省略するが、エンジン1のシリンダブロック12及びシリンダヘッド13の内部には、冷却水が流れるウォータージャケットが形成されている。ウォータージャケットは、冷却水を循環させる循環回路に接続されており、循環回路の途中には、冷却水の熱によって車室内の暖房を行うための車室用ヒータ71が介設されている。
図3に示すように、エンジン1はまた、既燃ガスを気筒11内に再導入するよう構成されたEGRシステム43を備えている。EGRシステム43は、エンジン1の排気通路191と吸気通路181とをつなぐEGR通路を介して既燃ガスを気筒11内に再導入する外部EGRシステム、及び、気筒11内の既燃ガスの一部を、実質的に気筒11内に留める内部EGRシステムの両方を含む。
また、詳細な図示は省略するが、エンジン1の出力は、自動変速機8によって変速された上で、駆動輪に出力される。これにより、車両が走行する。自動変速機8は、例えばプラネタリギヤセットを含んで構成された、有段(例えば6速)の自動変速機である。尚、自動変速機8は、無段の自動変速機としてもよい。また、自動変速機8は、デュアルクラッチトランスミッション(DCT)であってもよい。さらに、自動変速機8は、マニュアルトランスミッションのシフト操作を自動化したAMT(Automated Manual Transmission)であってもよい。
パワートレイン制御部100は、エンジン1の運転を制御するエンジンECU101と、自動変速機8の変速状態を制御する変速機ECU102とを備えている。
エンジンECU101は、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラであって、プログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)と、例えばRAMやROMにより構成されてプログラム及びデータを格納するメモリと、電気信号の入出力をする入出力(I/O)バスと、を備えている。
変速機ECU102もまた、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラであって、プログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)と、例えばRAMやROMにより構成されてプログラム及びデータを格納するメモリと、電気信号の入出力をする入出力(I/O)バスと、を備えている。
パワートレイン制御部100は、少なくとも、エアフローセンサ51からの吸気流量に関する信号、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセル開度センサ52からのアクセル開度信号、車速センサ53からの車速信号、クランク角センサ54からのクランク角パルス信号、水温センサ55からのエンジン1の冷却水の温度信号、油温センサ56からのエンジン1の潤滑油の温度信号、及び、触媒温度センサ57からの触媒コンバータ192の温度信号をそれぞれ受ける。そして、パワートレイン制御部100は、これらの信号に基づいて、要求トルクの演算や、エンジン1の負荷の予測等を行う。
エンジンECU101は、演算した要求トルク等に基づいて、スロットル開度信号、燃料噴射パルス、着火アシスト信号、バルブ位相角信号等といった、エンジン1の制御パラメータを計算する。そして、エンジンECU101は、それらの信号を、スロットル弁41(正確には、スロットル弁41を動かすスロットルアクチュエータ)、燃料噴射弁6、着火アシストシステム42、EGRシステム43、吸気動弁機構23及び排気動弁機構24等に出力する。
また、変速機ECU102は、基本的には、予め設定している変速線図(図示省略)に従い、車速とアクセル開度とに応じて、シフトアップ信号及びシフトダウン信号を自動変速機8に出力する。
パワートレイン制御部100はまた、空調装置7から出力された、暖房要求に係る信号を受ける。
このエンジン1は、前述したように、幾何学的圧縮比εを15以上に設定している。幾何学的圧縮比は、40以下とすればよく、特に18以上35以下が好ましい。圧縮比が高いほど膨張比も高くなるため、エンジン1は、高圧縮比と同時に、比較的高い膨張比を有するエンジンでもある。このエンジン1は、基本的には全運転領域で気筒11内に噴射した燃料を圧縮自着火により燃焼させる(以下、CAI(Controlled Auto Ignition)燃焼という)よう構成されている。高い幾何学的圧縮比は、CAI燃焼を安定化する。
図2に示すように、エンジン1は、幾何学的圧縮比を高くするために、ピストン3の冠面30におけるフラット面(つまり、傾斜面31、32とは別に、ピストン3の外周縁部に設けられている面)が、ピストン3が圧縮上死点付近にあるときに、シリンダヘッド13とシリンダブロック12との合わせ面よりも、シリンダヘッド13の側に入り込むように構成されている。よって、このエンジン1では、燃焼室17は、実質的には、ピストン3の冠面30と、シリンダヘッド13の下面(天井部170)と、吸気弁21及び排気弁22それぞれのバルブヘッドの面と、によって区画形成される。このエンジン1では、燃焼室17を区画する、これらの区画面に遮熱層173を設けている。遮熱層173は、これらの区画面の全てに設けてもよいし、これらの区画面の一部に設けてもよい。
遮熱層173は、燃焼室17を構成する金属製の母材よりも熱伝導率が低い。ここでいう母材は、例えばピストン3であればアルミニウム又はアルミニウム合金である。遮熱層173は、燃焼室17内の燃焼ガスの熱が、燃焼室17を区画する面を通じて放出されることを抑制する。また、遮熱層173は、母材よりも容積比熱が小さいことが好ましい。つまり、遮熱層173の熱容量を小さくして、燃焼室17の区画面の温度が、燃焼室17内のガス温度の変動に追従して変化することが好ましい。こうすることで、燃焼ガスの温度と区画面の温度との差が小さくなるから、熱が、区画面を通じて母材に伝わることが抑制される。
遮熱層173は、中空粒子(例えばガラスバルーン)と、バインダとしてのシリコン樹脂と、を含有する遮熱材料を、区画面上に塗布し、加熱処理によって樹脂を硬化させることにより、形成してもよい。遮熱層173はまた、区画面上に、ZrO等のセラミック材料を、プラズマ溶射によってコーティングすることにより、形成してもよい。
このエンジン1は、燃焼室17の遮熱構造に加えて、前述したように、燃焼時には、燃焼室17内にガス層による断熱層を形成する。このことで、エンジン1は、冷却損失を大幅に低減している。具体的に、このエンジン1では、圧縮行程以降において燃料噴射弁6からキャビティ34内に燃料を噴射させる。図2に示すように、燃料噴射弁6の近傍の、キャビティ34内の中心部に混合気層を形成しかつ、その周囲に新気を含むガス層を形成するという、成層化が行われる。このガス層は、新気のみであってもよく、新気に加えて、既燃ガス(つまり、EGRガス)を含んでいてもよい。尚、ガス層に少量の燃料が混じっていても問題はない。ガス層は混合気層よりも燃料リーンであればよい。
燃焼室17内にガス層と混合気層とが形成された状態で、混合気がCAI燃焼すれば、混合気層と燃焼室17の区画壁との間のガス層により、火炎が気筒11の壁面に接触することが抑制される。また、ガス層が断熱層となるため、燃焼室17の区画壁からの放熱が抑制される。この結果、冷却損失を大幅に低減することができる。
尚、冷却損失を低減させるだけでは、その冷却損失の低減分が排気損失に転換されて熱効率の向上にはあまり寄与しないところ、このエンジン1では、高膨張比化によって、冷却損失の低減分に相当する燃焼ガスのエネルギを、機械仕事に変換している。すなわち、エンジン1は、冷却損失及び排気損失を共に低減させる構成を採用することによって、熱効率を大幅に向上させているということができる。
このような混合気層とガス層とを燃焼室17内に形成するために、燃料を噴射するタイミングにおいては、燃焼室17内のガス流動は弱いことが望ましい。そのため、吸気ポートは、燃焼室17内でスワールが生じない、又は、生じ難いようなストレート形状を有していると共に、タンブル流もできるだけ弱くなるように、構成されている。
(リーンバーンエンジンと自動変速機との協調制御)
図4は、エンジン1の運転制御に係るマップを例示している。このエンジン1は、所定負荷以下の低負荷域(図4における破線及び破線よりも下側の領域に相当)では、気筒11内のG/Fを30以上でかつ、空気過剰率λを1以上のリーンにする。低負荷域では、エンジン1の負荷に応じて、EGRシステム43によって既燃ガスを気筒11に導入する場合、及び、導入しない場合がある。既燃ガスを気筒11に導入しない場合は、気筒11内のG/FとA/Fとは実質的に同じであるため、A/Fを30以上とすればよい。低負荷域では、気筒11内の混合気を大幅にリーンにすることで、熱効率が向上すると共に、RawNOxの生成が抑制され、排気エミッション性能を向上させることができる。また、低負荷域においてポンプ損失が低減するため、燃費の向上に有利になる。
これに対し、所定負荷を超える高負荷域(図4における破線を超える上側の領域)では、気筒11内のG/Fを30未満でかつ、空気過剰率λをほぼ1にする。つまり、低負荷域と比較して、気筒11内の混合気を相対的にリッチにする(尚、図4の「リッチ」は相対的にリッチの意味である)。これにより、エンジン1を高負荷で運転することが可能になる一方で、触媒コンバータ192(つまり、三元触媒)によって、テールパイプエミッションの悪化を防止することができる。高負荷域では、EGRシステム43によって既燃ガスを気筒11に導入する。気筒11内に導入する既燃ガスの量を調整することによって、気筒11内に導入する新気の量を調整すればよい。こうすることで、ポンプ損失が低減する。尚、高負荷域において、EGRシステム43による既燃ガスの導入を中止してもよい。ここで、低負荷域と高負荷域との境界としての所定負荷は、例えば全負荷に対し、50〜60%負荷としてもよい。
前述したように、このエンジン1は、幾何学的圧縮比を高く設定していると共に、燃焼室17を遮熱化している(つまり、燃焼室17を区画する区画壁に遮熱層173を設けていると共に、燃焼室17内の中央部に混合気層、その周囲に断熱ガス層を形成している)。エンジン1の温度状態が所定温度よりも低い冷間時においても、ピストン3が圧縮上死点に至ったときの気筒11内の温度及び圧力が十分に高くなる。その結果、気筒11内の混合気を大幅なリーンにしても、CAI燃焼を安定して行うことが可能になる。このエンジン1は、基本的に、冷間時でも温間時でも、図4に示す同じ運転制御マップで運転を行うよう構成されている。尚、パワートレイン制御部100は、水温センサ55からの冷却水の温度信号、及び/又は、油温センサ56からの潤滑油の温度信号に基づいて、エンジン1の温度状態の検知は行っている。例えば冷却水温が60℃以下のとき、及び/又は、潤滑油温が50℃以下のときには、エンジン1は冷間であると判断してもよい。
尚、幾何学的圧縮比を高く設定すること、燃焼室17を区画する区画壁に遮熱層173を設けること、及び、燃焼室17内の中央部に混合気層、その周囲に断熱ガス層を形成すること、のいずれか一つの方策、又は、いずれか二つの方策を採用すれば、エンジン1の冷間時に、気筒11内の混合気を大幅なリーンにしても、CAI燃焼を安定して行うことが可能である。
このエンジン1は、高負荷域では、所定リーンよりもリッチであるため、触媒コンバータ192による排気ガスの浄化が必要である。触媒の未活性時に、高負荷域でエンジン1を運転すると、テールパイプエミッションが悪化してしまう。一方で、このエンジン1は、低負荷域では、所定リーンであるため、触媒が未活性であっても、テールパイプエミッションの悪化を防止することができる。そこで、エンジン1を搭載した車両は、触媒の未活性時には、エンジン1の運転状態を、低負荷域内に留めるように自動変速機8の変速状態を制御する。こうすることで、触媒が未活性であっても、テールパイプエミッションが悪化することを防止する。
図5は、パワートレイン制御部100が実行する、エンジン1と自動変速機8との協調制御のフローを示している。このフローは、エンジン1を始動することによりスタートし、最初のステップS1では、エンジン1及び自動変速機8の通常制御を行う。つまり、パワートレイン制御部100に入力される各種信号に基づいて要求トルクの演算等を行うと共に、要求トルクに対応するように、必要な、エンジン1及び/又は自動変速機8の制御を行う。
続くステップS2では、エンジン1が運転終了か否かを判定し、運転終了であれば、ステップS11に移行をしてエンジン1を停止し、フローを終了する。一方、運転終了でなければ、ステップS3に移行をする。
ステップS3では、自動変速機8のシフトアップ要求があったか否かを判定する。シフトアップ要求があったときにはステップS4に移行し、なかったときにはステップS8に移行する。
ステップS4では、自動変速機8を、仮にシフトアップした場合、その後のエンジン1の予測負荷が所定負荷以上になるか否かを判定する。ステップS4は、言い換えると、エンジン1の運転状態が、高負荷域内になるか否かを判定(予測)する。予測負荷が所定負荷以上になるときにはステップS5に移行する。予測負荷が所定負荷以上にならないとき(つまり、エンジン1の運転状態が、低負荷域内になるとき)には、ステップS6に移行し、自動変速機8をシフトアップする。
ステップS5では、触媒温度センサ57からの触媒コンバータ192の温度信号に基づいて、触媒が活性状態であるか否かを判定し、活性状態であればステップS6に移行する。触媒が活性状態であれば、自動変速機8がシフトアップされ、それによって、エンジン1の運転状態は高負荷域内になる。触媒が活性状態であるため、テールパイプエミッションの悪化が防止される。
一方、ステップS5において、触媒が活性状態でないと判定されたときには、ステップS7に移行する。ステップS7では、自動変速機8のシフトアップを保留する。自動変速機8の変速段を変更しないことに伴い、エンジン1の運転状態を、図4に細線で例示する等馬力線に沿って、高回転の低負荷側にシフトする。このことにより、エンジン1の運転状態を低負荷域内にする。よって、触媒が活性状態でないものの、エンジン1の運転状態が低負荷域内であるから、テールパイプエミッションの悪化が防止される。
ステップS8では、エンジン1の要求負荷が所定負荷以上か否かを判定する。所定負荷以上でないときには、エンジン1の運転状態は低負荷域内になる。フローは、そのままステップS1に戻る。一方、要求負荷が所定負荷以上であるときにはステップS9に移行をする。
ステップS9では、触媒が活性状態であるか否かを判定する。活性状態であるとき(つまり、YESのとき)には、エンジン1の運転状態が高負荷域内になっても、テールパイプエミッションの悪化が防止される。そこで、要求負荷に従って、エンジン1の負荷が所定負荷以上になることを許容し、フローはステップS1に戻る。
一方、ステップS9で触媒が活性状態でないと判定したときには、ステップS10に移行する。ステップS10では、自動変速機8のシフトダウンを行い、それによって、エンジン1の回転数を高めかつ、エンジン1の負荷を低下させる。こうして、エンジン1の運転状態が高負荷域内になることを防止し、触媒が未活性のときに、テールパイプエミッションが悪化することを防止する。
次に、図6及び図7に示すタイムチャートを参照しながら、前述したエンジン1及び自動変速機8の協調制御について、具体的に説明をする。図6及び図7は共に、上から順に、車速の変化、アクセル開度の変化、変速段の変化、エンジン1の回転数の変化、及びエンジン1の負荷の変化を示している。図6に示す制御例は、停止状態の車両が、走行を開始して次第に加速するときの例である。先ず、時刻t11において車両が発進する。アクセル開度が次第に大きくなることに伴い、エンジン1の回転数及びエンジン1の負荷が、それぞれ高まる。また、車速が次第に上昇する。触媒が活性しているときは、図6に実線で示すように、自動変速機8は、予め定められた変速線図に従って、1速から2速に(時刻t12)、2速から3速に(時刻t13)、3速から4速に(時刻t15)、4速から5速に(時刻t16)にシフトアップする。これは、図5のフローにおいて、ステップS3からS4を経てS6に至るか、ステップS3からS4及びS5を経てS6に至る流れである。図6に示す制御例のように、アクセルペダルを踏み込んで加速をするシーンにおいて、触媒の活性時には、自動変速機8は、所定のリズムでシフトアップを行うようになる。
ここで、時刻t13において自動変速機8が、2速から3速へとシフトアップすることに伴い、エンジン1の回転数が一時的に低下すると共に、エンジン1の負荷が、一点鎖線で示す所定負荷を超える。これにより、エンジン1の運転状態は、高負荷域へと移行する。(つまり、ステップS3からS4及びS5を経てS6に至る流れに対応する)
これに対し、触媒の未活性時には、エンジン1の運転状態が高負荷域内になることを抑制するよう、自動変速機8の変速状態を制御する。図6に示す制御例では、破線で示すように、時刻t13において、自動変速機8が2速から3速へシフトアップすることを保留する。これは、図5のフローにおいて、S3からS4及びS5を経てS7に至る流れである。シフトアップを保留することにより、等馬力線に沿ってエンジン1の運転状態が、高回転の低負荷側にシフトし、エンジン1の負荷が、破線で示すように、一点鎖線で示す所定負荷を超えることが防止される。エンジン1の運転状態は低負荷域内に留まり、RawNOxの生成が抑制される。その結果、触媒の未活性時においても、テールパイプエミッションが悪化してしまうことが防止される。図6に示す制御例では、触媒の未活性時に自動変速機8が2速から3速へとシフトアップするタイミングは、時刻t13からt14に遅延している。これは、時刻t14のシフトアップ直後にエンジン1の負荷が高まるものの、所定負荷を超えることは防止される。これは、図5のフローのステップS3からS4を経てS6に至る流れである。このように、触媒の未活性時には、シフトアップのタイミングが、活性時と比較して遅延することにより、自動変速機8のシフトアップのリズムは、若干乱れることになる。
次に、図7の制御例は、高速での走行中に(このとき、自動変速機8の変速段は6速である)、アクセルペダルをさらに踏み込んで緩加速するときの例である。先ず、時刻t21においてアクセルペダルの踏み込みを開始すれば、それに応じてエンジン1の負荷が上昇をする。触媒の活性時には、エンジンの負荷が所定負荷を超えることが許容される。図7に実線で示すように、自動変速機8の変速段は6速のままでかつ、エンジン1の回転数もほぼ一定で、エンジン1の負荷だけが変更される。これは、図5のフローにおけるステップS8からステップS9を経てそのままステップS1に戻る流れである。
これに対し、触媒の未活性時には、エンジン1の負荷が所定負荷を超えそうになると、破線で示すように、自動変速機8が、6速から5速にシフトダウンされる(時刻t22)。シフトダウンに伴いエンジン1の回転数が高まりかつ、エンジン1の負荷が低下する。これは、図5のフローにおけるステップS8からステップS9を経てステップS10に至る流れである。尚、図7の制御例では、時刻t23で、自動変速機8の変速段が、5速から6速にシフトアップされている(つまり、元の変速段に戻されている)。
また、図7の制御例では、時刻t24で、自動変速機8が6速から5速にシフトダウンされた後、時刻t25でさらに、5速から4速にシフトダウンされている。これも、図5のフローにおけるステップS8からステップS9を経てステップS10に至る流れであり、エンジン1の負荷が所定負荷を超えそうになれば、自動変速機8を、さらにシフトダウンする。こうして、自動変速機8の変速制御によって、エンジン1の負荷が所定負荷を超えることを防止し、触媒の未活性時に、エンジン1の運転状態が高負荷域内になることを防止する。その結果、触媒が未活性であっても、テールパイプエミッションが悪化することが防止される。
(まとめ)
以上説明したように、ここに開示するリーンバーンエンジン搭載車両の制御装置は、エンジン1の温度の高低に関わらず、低負荷域での運転時には、RawNOxが所定以下となるよう気筒11内のA/F又はG/Fを所定リーンにすると共に、低負荷域よりも負荷の高い高負荷域での運転時には、気筒11内のA/F又はG/Fを所定リーンよりもリッチにするよう構成されたリーンバーンエンジン1と、自動変速機8と、要求トルクに応じて、リーンバーンエンジン1の運転、及び、自動変速機8の変速状態を制御するよう構成されたパワートレイン制御部100と、を備える。そして、パワートレイン制御部100は、触媒の未活性時には、リーンバーンエンジン1の運転状態が低負荷域内となるように、自動変速機8の変速状態を制御する。
より具体的に、パワートレイン制御部100は、要求トルクに応じて自動変速機8の変速比を小に変更する(つまり、変速段を高速段にする)ことに伴い、リーンバーンエンジン1の運転状態が低負荷域から高負荷域に移行するときには、自動変速機8の変速比の変更を保留する(図5のフローのステップS7)。
また、パワートレイン制御部100は、要求トルクに応じてリーンバーンエンジン1の負荷が高まることに伴い、リーンバーンエンジン1の運転状態が低負荷域から高負荷域に移行するときには、自動変速機8の変速比を大に変更する(つまり、自動変速機8の変速段を低速段に変更する。図5のフローのステップS10)。
リーンバーンエンジン1は、エンジンの温度の高低に関わらず、低負荷域での運転時には、気筒内のA/F又はG/Fを所定リーンにすることによって、RawNOxが所定以下となるから、触媒が未活性であっても、テールパイプエミッションの悪化が防止される。よって、触媒が未活性のときに、リーンバーンエンジン1の運転状態が低負荷域内に留まるように、自動変速機8の変速状態を制御することによって、テールパイプエミッションの悪化を防止することができる。
また、リーンバーンエンジン1の運転状態が低負荷域内に留まるように、エンジン1の回転数を高めるため、単位時間当たりの排気流量が増大し、触媒の活性化にも有利になる。
ここで,図5に示すフローでは、触媒が未活性のときに、自動変速機8のシフトアップを保留したり、自動変速機8をシフトダウンしたりしている。自動変速機8のシフトアップを保留したり、自動変速機8をシフトダウンしたりすることで、エンジン1の回転数が高まる。これは、エンジン1の冷却水温が低いときに、単位時間当たりの発熱量を増やして、冷却水の温度を上昇させる上で有効である。
前述したように、この車両では、エンジン1の冷却水の循環回路に車室用ヒータ71が介設しており、車室内の暖房は、この車室用ヒータ71を用いて行われる。暖房要求時に冷却水温が低いと、所望の暖房性能を得ることができない。そこで、パワートレイン制御部100は、空調装置7から暖房要求を受けたときでかつ、エンジン1の冷却水温が所定温度以下の時には、触媒が活性化しているときでも、前記と同様に、エンジン1の運転状態が低負荷域内に留まるように、自動変速機8の変速状態を制御するようにしてもよい。つまり、自動変速機8のシフトアップを保留したり、自動変速機8のシフトダウンを行ったりすることで、エンジン1の回転数を高めるようにする。その結果、エンジン1の冷却水の温度が速やかに高まり、所望の暖房性能を、速やかに確保することが可能になる。
尚、車室用ヒータ71へ循環する冷却水は、エンジン1の燃焼ガスによって加熱される冷却水を示しており、エンジン1の本体内に流通する冷却水に限定されず、排気通路の途中に搭載する排熱回収器(図示省略)の冷却水であってもよい。上記のように、遮熱層173を設けたエンジン1にあっては、この遮熱層173により、燃焼室17の燃焼ガスの熱が冷却水に伝わり難いため、むしろ、排気通路の途中に搭載する排熱回収器を設け、この排熱回収器の冷却水を車室用ヒータ71へ循環する方が望ましいとも言える。
また、前述したリーンバーンエンジン1の構成は例示であり、ここに開示する技術は、前述した構成のリーンバーンエンジン1に適用することに限定されない。
1 リーンバーンエンジン
11 気筒
100 パワートレイン制御部(制御部)
101 エンジンECU(制御部)
102 変速機ECU(制御部)
192 触媒コンバータ
7 空調装置
8 自動変速機

Claims (3)

  1. エンジンの温度の高低に関わらず、低負荷域での運転時には、RawNOxが所定以下となるよう気筒内のA/F(気筒内の空気重量と気筒内に供給される燃料重量との比)又はG/F(気筒内の全ガス重量と気筒内に供給される燃料重量との比)を所定リーンにすると共に、前記低負荷域よりも負荷の高い高負荷域での運転時には、前記気筒内のA/F又はG/Fを前記所定リーンよりもリッチにするよう構成されたリーンバーンエンジンと、
    前記リーンバーンエンジンの排気通路に介設されかつ、その活性時には、前記リーンバーンエンジンが前記高負荷域で運転していて前記気筒内のA/F又はG/Fが前記所定リーンよりもリッチであるときに、排気ガスの浄化を行うよう構成された触媒コンバータと、
    前記リーンバーンエンジンの出力トルクを変速しかつ、駆動輪に出力するよう構成された自動変速機と、
    要求トルクに応じて、前記リーンバーンエンジンの運転、及び、前記自動変速機の変速状態を制御するよう構成された制御部と、を備え、
    前記制御部は、触媒の未活性時に、要求トルクに応じて前記自動変速機の変速比を小に変更することに伴い、前記リーンバーンエンジンの運転状態が前記低負荷域から前記高負荷域に移行しようとするときには、前記自動変速機の変速比を小に変更することを保留することによって、前記リーンバーンエンジンの運転状態を前記低負荷域内にして前記気筒内のA/F又はG/Fを前記所定リーンのままにするリーンバーンエンジン搭載車両の制御装置。
  2. エンジンの温度の高低に関わらず、低負荷域での運転時には、RawNOxが所定以下となるよう気筒内のA/F(気筒内の空気重量と気筒内に供給される燃料重量との比)又はG/F(気筒内の全ガス重量と気筒内に供給される燃料重量との比)を所定リーンにすると共に、前記低負荷域よりも負荷の高い高負荷域での運転時には、前記気筒内のA/F又はG/Fを前記所定リーンよりもリッチにするよう構成されたリーンバーンエンジンと、
    前記リーンバーンエンジンの排気通路に介設されかつ、その活性時には、前記リーンバーンエンジンが前記高負荷域で運転していて前記気筒内のA/F又はG/Fが前記所定リーンよりもリッチであるときに、排気ガスの浄化を行うよう構成された触媒コンバータと、
    前記リーンバーンエンジンの出力トルクを変速しかつ、駆動輪に出力するよう構成された自動変速機と、
    要求トルクに応じて、前記リーンバーンエンジンの運転、及び、前記自動変速機の変速状態を制御するよう構成された制御部と、を備え、
    前記制御部は、触媒の未活性時に、要求トルクに応じて前記リーンバーンエンジンの負荷が高まることに伴い、前記リーンバーンエンジンの運転状態が前記低負荷域から前記高負荷域に移行しようとするときには、前記自動変速機の変速比を大に変更することによって、前記リーンバーンエンジンの運転状態を前記低負荷域内にして前記気筒内のA/F又はG/Fを前記所定リーンのままにするリーンバーンエンジン搭載車両の制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載のリーンバーンエンジン搭載車両の制御装置において、
    前記リーンバーンエンジンの冷却水を利用して、車室内の暖房を行うよう構成された空調装置をさらに備え、
    前記制御部は、触媒の未活性時及び活性時において、前記空調装置の暖房要求時でかつ、前記リーンバーンエンジンの冷却水温が所定温度以下の時には、
    要求トルクに応じて前記自動変速機の変速比を小に変更することに伴い、前記リーンバーンエンジンの運転状態が前記低負荷域から前記高負荷域に移行しようとするときには、前記リーンバーンエンジンの運転状態が前記低負荷域内となって前記気筒内のA/F又はG/Fを前記所定リーンにするように、前記自動変速機の変速比の変更を保留し、
    要求トルクに応じて前記リーンバーンエンジンの負荷が高まることに伴い、前記リーンバーンエンジンの運転状態が前記低負荷域から前記高負荷域に移行しようとするときには、前記リーンバーンエンジンの運転状態が前記低負荷域内となって前記気筒内のA/F又はG/Fを前記所定リーンにするように、前記自動変速機の変速比を大に変更するリーンバーンエンジン搭載車両の制御装置。
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