JP5789871B2 - 車両ボディの下部構造 - Google Patents
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Description
これら特許文献に開示されているように従来、ロードノイズについては次のような種々対策が採られている。例えば、サイドメンバ及び各クロスメンバの補強若しくは板厚を厚くする等してその剛性を高める(対策1)。サイドメンバ及び各クロスメンバの断面積を十分に確保してその剛性を高める(対策2)。床下でクロスメンバ間を繋ぐことによりそれらの振動を抑える(対策3)。床下で例えば1つのリインフォースにより複数のクロスメンバを貫通して繋ぐことによりその振動を抑制する(対策4)。サイドメンバの非ストレート化により振動伝播を遮断する(対策5)。
本発明は、上記従来の問題を回避しつつ、車両ボディの下部構造について振動の低減を一層図ることを目的とする。
第1の発明は、左右のサイドメンバ間に複数のクロスメンバを介在させてフロアパネルを支持する車両ボディの下部構造であって、複数のクロスメンバの車幅方向中央を相互に結合するリインフォースをフロアパネルの上面側に結合した下部構造である。
第1の発明によれば、フロアパネルの上面側に結合したリインフォース(フロアリインフォース)によって複数のクロスメンバがその車幅方向の中央で相互に結合されることにより、これら複数のクロスメンバ及び左右のサイドメンバの振動が抑制されて車室内の騒音が低減される。
第1の発明によれば、サイドメンバ及びクロスメンバの板厚を厚くする等してこれらの剛性を個別に高め、若しくは補強する構成に比して、より小さな重量アップ若しくはコストアップで同等程度にボディ剛性を高めることができる。また、床下スペースではなくフロアパネルの上面側であって床上の例えばデッドスペースを有効利用してフロアリインフォースを結合する構成であるので、車両ボディの低床化の妨げにならず、かつ床下の燃料タンクの容量等が犠牲になることもない。さらに、上記対策5の場合のようなボディ剛性(曲げ剛性、捩り剛性)の低下を招くこともないことから、これを高めるためのコストを掛ける必要がない。
第2の発明は、第1の発明において、サイドメンバのリヤサスペンション取り付け部に直近のクロスメンバを含めて複数のクロスメンバ間をフロアリインフォースで結合した下部構造である。
第2の発明によれば、フロアパネル上のフロアリインフォースによって、路面からの振動入力を最も効率よく抑制することができる。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、フロアパネル上に、フロア嵩上げ用のビードレスマットが敷設され、かつシートを車体前後方向にスライド可能に支持する複数のシートレールが車幅方向に沿って相互に平行に設けられており、フロアリインフォースは、複数のシートレール間に沿って結合され、かつその高さ寸法がビードレスマットと同等若しくはこれよりも低く設定された下部構造である。
第3の発明によれば、車室内床面へのフロアリインフォースの出っ張りを発生させることがなく、これにより車室内の良好な居住スペースが確保される。
左右のサイドメンバ11,12の上面側かつ各クロスメンバ13〜18の上面側にフロアパネル20が結合されている。また、左右のサイドメンバ11,12の後部側であって、5番クロス17の左右両端部付近には、リヤサスペンションの取り付け部が設けられている。このため、車両走行中において路面から入力されるロードノイズの加振点Pが左右のサイドメンバ11,12の後部側であって5番クロス17の左右両端部付近にそれぞれ存在している。
また、上記したように5番クロス17の左右両端部付近には、ロードノイズの加振点P,Pが存在している。このため、フロアリインフォース25は、ロードノイズの加振点P,Pに最も近い直近の5番クロス17の前側の4番クロス16と後ろ側の6番クロス18との3本のクロスメンバ16〜18に跨ってフロアパネル20の上面に結合されている。
図2に示すようにフロアパネル20の上面には、ビードレスマット31とカーペット32と用品マット33との3層構造の床材30がそのほぼ全面にわたって敷設されている。フロアパネル20の上面に、主として床面嵩上げ用のいわゆるビードレスマット31が敷設され、その上面にカーペット32が敷設され、その上面に用品マット33が敷設されている。
左右のシートレール21,21間において床材30が敷設されたフロアパネル20上のデッドスペースにフロアリインフォース25が結合されている。フロアリインフォース25の高さ寸法H1は、ビードレスマット31の高さ寸法H2を超えない範囲に設定されている。
図3には、各クロスメンバ16〜18の位相に対する振幅の変化が、フロアリインフォース25の有無で比較して示されている。図中破線で示すようにフロアリインフォース25を備えない場合に比して、図中実線で示すようにフロアリインフォース25によって4番クロス16と5番クロス17と6番クロス18を相互に結合した本実施形態の下部構造10の場合における振幅の大きさは各クロスメンバ16,17,18について何れも大きく低下している。
さらに、本実施形態では、基本的な下部構造としてラダー構造を採用することから、サイドメンバの非ストレート化を採用した場合(従来の対策5)のようなボディ剛性(曲げ剛性、捩り剛性)の低下を招くこともなく、従ってこれを高めるためのコストを掛ける必要がない。
また、本実施形態の下部構造10によれば、サイドメンバ11,12のリヤサスペンション取り付け部(加振点P,P)に直近の5番クロス17及びその前後の4番クロス16と6番クロス18間をフロアリインフォース25で結合した下部構造であることから、路面からの振動入力を最も効率よく抑制することができる。
さらに、本実施形態の下部構造10によれば、フロアリインフォース25が、2本のシートレール21,21間に沿って結合され、かつその高さ寸法H1がフロア嵩上げ用のビードレスマット31の高さ寸法H2と同等若しくはこれよりも低く設定された下部構造となっていることから、車室内床面へのフロアリインフォース25の出っ張りを発生させることがなく、これにより車室内の良好な居住スペース及び乗降性が確保される。
さらに、加振点P,Pに最も近いクロスメンバを除いて複数のクロスメンバをフロアリインフォースで結合する構成としてもよい。
また、フロアリインフォース25の高さ寸法H1を、ビードレスマット31の高さ寸法H2以下に設定する構成を例示したが、床材30の上面(用品マット33の上面)に出っ張りを発生しない範囲で、より高さ寸法H1を大きく設定することもできる。
また、フロアリインフォース25をクロスメンバ16〜18の車幅方向ほぼ中央に沿って結合する構成を例示したが、中央よりも左側若しくは右側へ寄った位置にフロアリインフォースを結合する構成としてもよい。さらに、1本のフロアリインフォース25を例示したが複数本のフロアリインフォースによって複数のクロスメンバをフロアパネルの上面側から結合する構成としてもよい。
10…下部構造
11…サイドメンバ(左側)
12…サイドメンバ(右側)
13…1番クロス
14…2番クロス
15…3番クロス
16…4番クロス
17…5番クロス
18…6番クロス
20…フロアパネル
21…シートレール
25…フロアリインフォース
30…床材
31…ビードレスマット
32…カーペット
33…用品マット
P…加振点(リヤサスペンション取り付け部)
Claims (2)
- 左右のサイドメンバ間に複数のクロスメンバを介在させてフロアパネルを支持する車両ボディの下部構造であって、
前記複数のクロスメンバのうち、前記サイドメンバのリヤサスペンション取り付け部に直近のクロスメンバ及びその前後2本のクロスメンバを含む3本のクロスメンバについて、その車幅方向中央を相互に結合するリインフォースを前記フロアパネルの上面側に結合した下部構造。 - 請求項1記載の下部構造であって、前記フロアパネル上に、フロア嵩上げ用のビードレスマットが敷設され、かつシートを車体前後方向にスライド可能に支持する複数のシートレールが車両前後方向に沿って相互に平行に設けられており、前記リインフォースは、前記複数のシートレール間に沿って結合され、かつその高さ寸法が前記ビードレスマットと同等若しくはこれよりも低く設定された下部構造。
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