JP5786695B2 - 光導波路の製造方法 - Google Patents
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(i)樹脂フィルム等のフレキシブルな基材上に、クラッド形成用樹脂を含む硬化性組成物を塗布し、ベークを行ってアンダークラッド層を形成する。
(ii)前記アンダークラッド層上に、コア形成用樹脂を含む硬化性組成物を塗布し、プリベークを行ってコア前駆体層を形成し、露光、現像することでパターニングした後、仕上げのポストベークを行ってコアを形成する。
(iii)前記アンダークラッド層およびコア上に、再びクラッド形成用樹脂を含む硬化性組成物を塗布し、ベークを行ってオーバークラッド層を形成する。
前記工程(i)〜(iii)により、コアが、アンダークラッド層およびオーバークラッド層からなるクラッドにより囲われた光導波路が得られる。
前記コア前駆体層の乾燥固形分の質量に対する、プリベーク後のコア前駆体層に含まれる溶媒の質量の割合Xを0.14〜0.48とする方法である。
前記割合Xは、0.14〜0.37であることが好ましい。
また、露光前に、前記アンダークラッド層上にコア前駆体層を形成した積層体を一旦ロールに巻き取るステップを有することが好ましい。
前記コア前駆体層の乾燥固形分の質量に対する、プリベーク後のコア前駆体層に含まれる溶媒の質量の割合Xを0.14〜0.48とする方法である。
前記割合Xは、0.14〜0.37であることが好ましい。
また、前記第2の基材上に前記コア前駆体層を形成した積層体を一旦ロールに巻き取るステップを有することが好ましい。
図1は、本発明の光導波路の製造方法により製造される光導波路の一例を示した図であり、コアの長さ方向に対して垂直な断面図である。光導波路1は、互いに平行に、かつ間隔をあけて設けられた複数のコア10と、コア10の周囲を囲むクラッド20とを有する長尺のフィルム状のものである。
コア10の屈折率は、クラッド20の屈折率よりも高い。
コア10の断面形状は、図示例では矩形であるが、これに限定されない。たとえば、台形、円形、楕円形、五角形以上の多角形であってもよい。コア10の断面形状が多角形である場合、その角が丸みを帯びていてもよい。
コア10の断面形状および大きさは、光源または受光素子との結合効率等を考慮して適宜設計すればよい。結合効率は、コア径および開口数(NA)に依存する。
プレポリマー(A)は、複数の芳香族環が単結合または連結基を介して結合しているポリアリーレン構造を有するとともに、フッ素原子を有し、かつ架橋性官能基を有する。
ポリアリーレン構造における連結基としては、エーテル結合(−O−)、スルフィド結合(−S−)、カルボニル基(−CO−)、スルホン酸基から水酸基を除いた二価基(−SO2−)等が挙げられる。
エーテル結合を含む連結基としては、エーテル性酸素原子のみからなるエーテル結合(−O−)、炭素鎖中にエーテル性酸素原子を含むアルキレン基等が挙げられる。
含フッ素ポリアリーレンエーテルプレポリマー(A1)は、エーテル性酸素原子を有するため、分子構造が柔軟性を有し、硬化物の可撓性を良好にする。
プレポリマー(A)の架橋性官能基は、プレポリマー製造時には実質上反応を起こさず、外部エネルギを与えることにより反応し、プレポリマー分子間の架橋または鎖延長により高分子量化を引き起こす反応性官能基である。外部エネルギとしては、熱、光、電子線等が挙げられる。外部エネルギは、複数を併用してもよい。
プレポリマー(A)におけるC−F結合の数(NF)とC−H結合の数(NH)の合計に対する、C−F結合の数(NF)の割合(NF/(NF+NH))は、0.1以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、1が特に好ましい。
プレポリマー(A)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
クラッド20は、アンダークラッド層22およびオーバークラッド層24からなる。
アンダークラッド層22の材料およびオーバークラッド層24の材料は、コア10の屈折率よりも、アンダークラッド層22の屈折率およびオーバークラッド層24の屈折率が低くなる材料であれば、同じであってもよく、異なっていてもよい。
アンダークラッド層22の厚さcおよびオーバークラッド層24の厚さdは、開口数(NA)の値に応じて、光の損失が小さくなるように設計される。
オーバークラッド層24の厚さdは、コア10の保護の点から、コア10の高さbよりも厚く、かつ15〜150μmが好ましい。
クラッド20の厚さ(c+d)は、20〜200μmが好ましい。
化合物(B)の架橋性官能基は、少なくとも化合物(B)と反応して架橋または鎖延長を引き起こす。化合物(B)の架橋性官能基が、プレポリマー(A)および化合物(B)の両方と反応して架橋または鎖延長を引き起こすことが好ましい。
化合物(B)の架橋性官能基としては、炭素原子−炭素原子における二重結合または三重結合が好ましい。ただし芳香族性の二重結合、三重結合は含まない。
架橋性官能基としての二重結合、三重結合は、分子鎖の内部に存在してもよく、末端に存在してもよいが、反応性が高いことから末端に存在することが好ましい。二重結合の場合には、内部オレフィンであっても、末端オレフィンであってもよいが、末端オレフィンが好ましい。分子鎖の内部にあるとは、シクロオレフィン類のように脂肪族環の一部に存在することも含む。
具体的には、ビニル基、アリル基、エチニル基、ビニルオキシ基、アリルオキシ基、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイル基、メタクリロイルオキシ基からなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。これらのうちで、感光剤の存在下でなくても、光照射により反応が進行する点でアクリロイル基、アクリロイルオキシ基が好ましい。
上記に挙げた中でも、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレートが硬化膜の成形性が良好であるので好ましい。
上記に挙げた化合物(B)の例示の中で、化合物(B)単独で硬化させた硬化物の屈折率が、プレポリマー(A)を単独で硬化させた硬化物の屈折率より低いものは、これをプレポリマー(A)に配合することにより、プレポリマー(A)の硬化物よりも屈折率を下げることができる。
屈折率を上げる化合物(B)を用いる場合は、屈折率を下げる化合物(B)と組み合わせることによって、クラッド20の屈折率を、コア10の屈折率よりも低くできる。
クラッド20に含まれる、プレポリマー(A)と化合物(B)との合計質量に対する、プレポリマー(A)の割合は1〜97質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、8〜35質量%がさらに好ましい。プレポリマー(A)の含有割合が多いほど高耐熱性が得られやすく、化合物(B)の含有割合が多いほどクラッド20表面の平坦性が良好となりやすい。
以下、本発明の光導波路の製造方法の一例として、前記光導波路1を製造する方法について説明する。
[第1実施形態]
本実施形態の光導波路1の製造方法は、下記工程(I−A)〜(IV−A)を有する。
(I−A)図2に示すように、フレキシブルな基材30(以下、単に「基材30」という。)上に、アンダークラッド層22を形成する工程。
(II−A)プレポリマー(A)からなるコア形成用樹脂、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」という。)からなる溶媒を含むコア形成用樹脂組成物(以下、「組成物(a)」という。)を、アンダークラッド層22上に塗布し、プリベークを行って、アンダークラッド層22上にコア前駆体層12を形成した積層体33を得る工程。
(III−A)コア前駆体層12を露光、現像してパターニングし、コア10を形成する工程。
(IV−A)アンダークラッド層22およびコア10上にオーバークラッド層24を形成する工程。
例えば、図3に示すように、基材30が巻き回されたロール40を用意し、ロール40から基材30を送り出し、ダイコータ41によって基材30上にアンダークラッド層形成用樹脂組成物(以下、組成物(b)という。)を塗布し、ベーク手段42にて加熱および/または光照射によってベークを行うことで、図2に示すように、基材30上にアンダークラッド層22を形成した積層体31を得た後、さらにロール43から送り出される保護フィルム32を積層体31のアンダークラッド層22上に積層してロール44に巻き取る。
また、保護フィルム32としては、基材30で挙げたものと同じものが挙げられる。アンダークラッド層22上に保護フィルム32を積層することで、ロールに巻き取った際にチリやゴミを巻き込む等してアンダークラッド層22の表面に傷が生じること、および基材30裏面からアンダークラッド層22への転写を防ぐことができる。
組成物(b)に使用する溶媒は、プレポリマー(A)および化合物(B)を溶解または分散できるものであればよく、例えば、PGMEA、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、イソ酪酸イソブチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジブチルケトン等が挙げられる。
組成物(b)中におけるプレポリマー(A)と化合物(B)との合計質量に対する、プレポリマー(A)の割合は、1〜97質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、8〜35質量%がさらに好ましい。プレポリマー(A)の含有割合が多いほどアンダークラッド層22の高耐熱性が得られやすく、化合物(B)の含有割合が多いほどアンダークラッド層22表面の平坦性が良好となりやすい。
また、光照射によってベークを行う場合、組成物(b)は感光剤を含んでもよい。感光剤としては、IRGACURE 907(α−アミノアルキルフェノン系)、IRGACURE 369(α−アミノアルキルフェノン系)、DAROCUR TPO(アシルホスフィンオキサイド系)、IRGACURE OXE01(オキシムエステル誘導体)、IRGACURE OXE02(オキシムエステル誘導体)(いずれもチバスペシャリティーケミカルズ社製)等が挙げられる。これらのうち、DAROCUR TPO、IRGACURE OXE01、IRGACURE OXE02が特に好ましい。
また、組成物(b)は、接着性向上剤を含んでもよい。これにより、アンダークラッド層22とそれに接する層との密着性が向上する。接着性向上剤としては、シランカップリング剤等が挙げられる。
また、加熱時間は、0.1〜3時間が好ましい。
光照射によりアンダークラッド層22を形成する場合、積算照度は、10〜2000mJ/cm2が好ましく、100〜1000mJ/cm2がより好ましい。積算照度が下限値以上であれば、充分に架橋させ、硬化させることが容易になる。積算照度が上限値以下であれば、処理時間を短縮でき、生産性が向上する。
図4に示すように、保護フィルム32でアンダークラッド層22を保護した積層体31をロール44から送り出し、アンダークラッド層22上の保護フィルム32を剥離してロール45に巻き取り、積層体31のアンダークラッド層22上に、ダイコータ46によって組成物(a)を塗布し、オーブン47で加熱することでプリベークを行い、図2に示すように、アンダークラッド層22上にコア前駆体層12を形成した積層体33を得た後、ロール48から送り出した保護フィルム34をコア前駆体層12上に積層してロール49に巻き取る。
プリベークを行うと、プレポリマー(A)の架橋性官能基の一部が反応し、半硬化状態のコア前駆体層12が形成される。半硬化状態とは、硬化反応が一部しか進行しておらず、後述する工程(III−A)の露光後の現像において、現像液に溶解して除去され得る状態を意味する。
組成物(a)(100質量%)中のプレポリマー(A)の割合は、透明性、耐熱性、フレキシブル性、密着性、硬化性の点から、20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。また、前記プレポリマー(A)の割合は、組成物(a)の塗布が可能な量の溶媒を含有させられる範囲内でできるだけ多いことが好ましい。
すなわち、本実施形態では、工程(II−A)において、コア前駆体層12の乾燥固形分の質量(単位:g)に対する、プリベーク後のコア前駆体層12に含有される溶媒の質量(単位:g)の割合Xを、0.14〜0.48とすることを特徴とする。
また、コア前駆体層12は、溶媒の含有量が多いほどクラックが生じ難いが、溶媒の含有量が多すぎるとタッキングが生じる。前記割合Xを0.48以下とすることで、コア前駆体層12にタッキングが生じることを抑制できる。前記割合Xは、コア前駆体層12にタッキングが生じることをより抑制できることから、0.37以下が好ましい。
割合Xを求めようとする本発明の特定の実施態様の製造方法と同条件で、下記工程(x1)および(x2)で各試験片を作成して、その質量を測定する。
(x1)所定の寸法の基材上にアンダークラッド層を形成した試験片−Iを作成し、試験片−Iの質量W1(単位:g)を測定する。
(x2)試験片−Iのアンダークラッド層上に組成物(a−1)を塗布し、プリベークを行って試験片−IIとし、試験片−IIの質量W2(単位:g)を測定する。
その後、試験片−IIのコア前駆体層を190℃で1時間加熱して完全硬化(フルベーク)させ、溶媒を除去して試験片−IIIとし、該試験片−IIIの質量W3(単位:g)を測定する。そして、質量W2からW3を差し引いて、プリベーク後のコア前駆体層に含有される溶媒の質量Y(=W2−W3)を算出し、質量W3から質量W1を差し引いて、コア前駆体層の乾燥固形分の質量Z(=W3−W1)を算出する。その後、式X=Y/Zにより割合Xを算出する。
前記試験により、プリベークにおける加熱温度および加熱時間の条件と、割合Xの関係がわかるので、光導波路1の製造において試験した条件と同条件のプリベークを採用した際の割合Xがわかる。
プリベークの加熱温度は、64〜108℃が好ましく、80〜90℃がより好ましい。加熱温度が下限値以上であれば、コア前駆体層12にタッッキングが生じ難くなる。加熱温度が上限値以下であれば、処理時間を短縮でき、生産性が向上する。
プリベークの処理時間は、0.1〜10分が好ましく、0.5〜2分がより好ましい。処理時間が下限値以上であれば、コア前駆体層12にタッキング生じにくく、さらっとしやすい。処理時間が上限値以下であれば、処理時間を短縮でき、生産性が向上する。
保護フィルム34としては、基材30で挙げたプラスチックフィルム、シリコーンフィルム等が使用できる。
アンダークラッド層22上のコア前駆体層12を、フォトマスクを介して露光、現像してパターニングすることで、図2に示すように、アンダークラッド層22上にコア10を形成する。つまり、コア前駆体層12をフォトリソグラフ法で加工してコア10を形成する。現像後は、必要に応じて仕上げのポストベークを行ってもよい。
工程(III−A)で露光を行うまで、コア前駆体層12における前記溶媒の質量の割合Xが前記範囲内に制御されるようにする。
アンダークラッド層22およびコア10上にオーバークラッド形成用樹脂組成物(以下、「組成物(c)」という。)を塗布し、アンダークラッド層22の場合と同様に、加熱および/または光照射を行ってベークを行い、図2に示すように、オーバークラッド層24を形成する。これにより、光導波路1が得られる。基材30は、必要に応じて剥離して取り除いてもよい。
組成物(c)としては、組成物(b)で挙げたものと同じものが挙げられる。組成物(b)と組成物(c)の組成は、アンダークラッド層22とオーバークラッド層24の屈折率がコア10の屈折率よりも低くなるものであれば、同じであってもよく、異なっていてもよい。
オーバークラッド層24を形成する際の加熱条件、光照射条件は、アンダークラッド層22を形成する場合と同様の条件を採用できる。
以下、光導波路1の製造方法の他の実施形態について説明する。第2実施形態の光導波路1の製造方法は、工程(I−B)〜(IV−B)を有する。
(I−B)図5に示すように、フレキシブルな第1の基材50(以下、単に「第1の基材50」という。)上にアンダークラッド層22を形成する工程。
(II−B)組成物(a)を、フレキシブルな第2の基材51(以下、単に「第2の基材51」という。)上に塗布し、プリベークを行ってコア前駆体層12を形成する工程。
(III−B)第2の基材51からコア前駆体層12を、第1の基材50上に形成されたアンダークラッド層22上に熱ラミネート法で積層した後、コア前駆体層12を露光、現像してパターニングし、コア10を形成する工程。
(IV−B)アンダークラッド層22およびコア10上にオーバークラッド層24を形成する工程。
例えば、第1実施形態の工程(I−A)と同様にして、第1の基材50が巻き回されたロールを用意し、該ロールから第1の基材50を送り出し、ダイコータ等で第1の基材50上に組成物(b)を塗布し、加熱および/または光照射によってベークを行うことで、図5に示すように、第1の基材50上にアンダークラッド層22を形成した積層体52を得た後、さらにアンダークラッド層22上に保護フィルム53を積層してロールに巻き取る。
加熱温度、加熱時間、光照射の積算照度等のベーク条件は、第1実施形態の工程(I−A)の条件と同様である。
例えば、図6に示すように、第2の基材51が巻き回されたロール60を用意し、そのロール60から送り出した第2の基材51上に、ダイコータ61によって組成物(a)を塗布し、オーブン62で加熱することでプリベークを行い、図5に示すように、第2の基材51上にコア前駆体層12を形成した積層体54を得た後、ロール63から送り出した保護フィルム55を積層体54のコア前駆体層12上に積層してロール64に巻き取る。
オーブン62における加熱温度、処理時間等のプリベーク条件の好ましい態様は、第1実施形態におけるプリベーク条件の好ましい態様と同じである。
所定の寸法の第2の基材を試験片−IVとし、試験片−IVの質量W4を測定する。そして、割合Xを求めようとする本発明の特定の実施態様の製造方法と同条件で、試験片−IV上に組成物(a−1)を塗布し、プリベークを行って試験片−Vとし、該試験片−Vの質量W5(単位:g)を測定する。その後、試験片−Vのコア前駆体層を190℃で1時間加熱して完全硬化(フルベーク)させ、溶媒を除去して試験片−VIとし、該試験片−VIの質量W6(単位:g)を測定する。そして、質量W5からW6を差し引いて、プリベーク後のコア前駆体層に含有される溶媒の質量Y(=W5−W6)を算出し、質量W6から質量W4を差し引いて、コア前駆体層の乾燥固形分の質量Z(=W6−W4)を算出する。その後、式X=Y/Zにより割合Xを算出する。
前記試験により、プリベークにおける加熱温度および加熱時間の条件と、割合Xの関係がわかるので、光導波路1の製造において試験の条件と同条件のプリベークを採用した際の割合Xがわかる。
保護フィルム55としては、第1実施形態の基材30で挙げたプラスチックフィルム、シリコーンフィルム等が使用できる。
積層体54のコア前駆体層12を、積層体52のアンダークラッド層22側に熱ラミネート法で積層し、第1の基材50、アンダークラッド層22およびコア前駆体層12が積層された積層体56を得た後、第1実施形態の工程(III−A)と同様にして、フォトマスクを介してコア前駆体層12を露光、現像してパターニングし、コア10を形成する。
コア前駆体層12の積層の具体的な手順は、積層体52のアンダークラッド層22側にコア前駆体層12を積層した積層体56が得られれば特に限定されない。例えば、図7に示すように、保護フィルム53を剥離した積層体52と、保護フィルム55を剥離した積層体54を、コア前駆体層12とアンダークラッド層22が向かい合うように熱ラミネート法により貼り合わせる方法(B−1)、保護フィルム53を剥離した積層体52と、第2の基材51を剥離したコア前駆体層12と保護フィルム55の積層体を、コア前駆体層12とアンダークラッド層22が向かい合うように熱ラミネート法により貼り合わせる方法(B−2)等が挙げられる。方法(B−1)および方法(B−2)のいずれについても、得られた積層体における第2の基材51または保護フィルム55は、積層体56のコア前駆体層12を保護する保護フィルムとしてそのまま積層しておいてもよく、剥離してもよい。
現像後は、必要に応じて仕上げのポストベークを行ってもよい。
第1実施形態の工程(IV−A)と同様にして、アンダークラッド層22およびコア10上に、オーバークラッド層24を形成する。第1の基材50は、必要に応じて剥離して取り除いてもよい。
ロール・トゥ・ロール方式を採用し、コア前駆体層を形成した積層体を露光前に一旦ロールに巻き取るステップを有する場合、ロールに巻き取られることでコア前駆体層が湾曲してコア前駆体層にクラックが生じる可能性が高まる。しかし、本発明の光導波路の製造方法は、この場合でもクラックの発生を抑制できるため、ロール・トゥ・ロール方式を採用する光導波路の製造に特に有効である。
(プレポリマー(A1−1))
N,N−ジメチルアセトアミド(以下、「DMAc」という。)中で、ペルフルオロビフェニルと1,3,5−トリヒドロキシベンゼンとを炭酸カリウムの存在下に反応させた後、つづいて4−アセトキシスチレンを水酸化カリウムの存在下に反応させてプレポリマーを合成した。得られたプレポリマーのDMAc溶液を塩酸水溶液に投入することで再沈精製し、真空乾燥して粉末状のプレポリマー(A1−1)を得た。
プレポリマー(A1−1)の48g、安定化剤として4−tert−ブチルカテコール(TBC)の0.0144g、および溶媒としてPGMEAの52gをサンプル瓶に入れ、ミックスロータを用いて室温で72時間混合した後、濾過装置(ミリポア社製、フィルタの孔径:5μm)を用いて濾過して組成物(a−1)を得た。
プレポリマー(A1−1)の48g、化合物(B)としてポリプロピレングリコール#400(9PG)の192g、熱硬化促進剤として過酸化ベンゾイル(日油社製)の52g、安定化剤としてTBCの0.0144g、および溶媒としてPGMEAの52gをサンプル瓶に入れ、ミックスロータを用いて室温で72時間混合した後、濾過装置(ミリポア社製、フィルタの孔径:5μm)を用いて濾過して、同じ組成の組成物(b−1)を得た。
[例1]
フレキシブルな基材としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(長さ300mm×幅150mm×厚み188μm)を使用し、その表面に、ダイコータにより組成物(b−1)を塗布し、190℃で1時間加熱して、PETフィルム上に厚さ15μmのアンダークラッド層を形成して試験片−Iとした。得られた試験片−Iの質量A(W1)は1.0727gであった。
次いで、得られた試験片−Iのアンダークラッド層上に、組成物(a−1)を厚さ120μmとなるようにダイコータにより塗布し、試験片−IAとした。積層体−IAの質量Bは1.4265gであった。その後、試験片−IAに対して、100℃で5分間加熱することでプリベークを行って、アンダークラッド層上にコア前駆体層を形成した試験片−IIを得て、直径3インチのロールに巻き取った。プリベーク後の試験片−IIの質量C(W2)は1.2965gであった。
次いで、試験片−IIをロールから引き出し、190℃で1時間加熱してコア前駆体層を完全硬化(フルベーク)させ、溶媒を除去して試験片−IIIを得た。フルベーク後の試験片−IIIの質量D(W3)は1.2486gであった。
コア前駆体層を形成する際のプリベークの加熱温度を表1〜3に示すように変更し、プリベーク後のコア前駆体層に含有される溶媒の割合Xを表1〜3に示すように変更した以外は、例1と同様にして、コア前駆体層を形成した積層体を作成してロールに巻き取った後に、該ロールから引き出してコア前駆体層を完全硬化(フルベーク)させて溶媒を除去し、前記質量A〜Dを測定した。
プリベーク後のコア前駆体層に含有される溶媒の質量Y(=C−D)と、コア前駆体層の乾燥固形分の質量Z(=D−A)を算出し、式X=Y/Zにより割合Xを算出した。また、前記割合Xの他に、以下に示す割合G、H、Iを算出した。
割合G(G=1−F/E):組成物(a−1)の塗布量に対する、プリベークにより除去された溶媒の質量の割合。
割合H(H=1−Z/E):組成物(a−1)の塗布量に対する、コア前駆体層に含まれる溶媒の質量の割合。
割合I(I=Y/F):プリベーク後のコア前駆体層の質量に対する、プリベーク後のコア前駆体層に含まれる溶媒の質量の割合。
各例で得られた積層体について、フルベーク後のコア前駆体層のクラックおよびタックの有無を確認し、以下の基準で評価した
1.タッキングの評価
○:表面がさらさらしている。
△:触るとあとがつくが、製造上特に問題ない。
×:べとつく。
2.クラックの評価
○:3インチコアに巻きつけても膜表面がひび割れない。
△:6インチコアに巻きつけても膜表面がひび割れないが、3インチコアに巻きつけると、膜表面がひび割れる。
×:6インチコアに巻きつけて、膜表面がひび割れる。
各例の結果を表1〜3に示す。
10 コア
12 コア前駆体層
20 クラッド
22 アンダークラッド層
24 オーバークラッド層
30 フレキシブルな基材
50 フレキシブルな第1の基材
51 フレキシブルな第2の基材
Claims (6)
- フレキシブルな基材上にアンダークラッド層を形成する工程(I−A)と、
架橋性官能基を有する含フッ素ポリアリーレンプレポリマーからなるコア形成用樹脂、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなる溶媒を含むコア形成用樹脂組成物を、前記アンダークラッド層上に塗布し、プリベークを行って、前記アンダークラッド層上にコア前駆体層を形成した積層体を得る工程(II−A)と、
前記コア前駆体層を露光、現像してパターニングし、コアを形成する工程(III−A)と、
前記アンダークラッド層およびコア上にオーバークラッド層を形成する工程(IV−A)と、を有し、
前記コア前駆体層の乾燥固形分の質量に対する、プリベーク後のコア前駆体層に含まれる溶媒の質量の割合Xを0.14〜0.48とする光導波路の製造方法。 - 前記割合Xが0.14〜0.37である、請求項1に記載の光導波路の製造方法。
- 露光前に、前記アンダークラッド層上にコア前駆体層を形成した積層体を一旦ロールに巻き取るステップを有する、請求項1または2に記載の光導波路の製造方法。
- フレキシブルな第1の基材上にアンダークラッド層を形成する工程(I−B)と、
架橋性官能基を有する含フッ素ポリアリーレンプレポリマーからなるコア形成用樹脂、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなる溶媒を含むコア形成用樹脂組成物を、フレキシブルな第2の基材上に塗布し、プリベークを行って、前記第2の基材上にコア前駆体層を形成した積層体を得る工程(II−B)と、
前記第2の基材上にコア前駆体層を形成した積層体の前記コア前駆体層を、前記第1の基材上に形成されたアンダークラッド層上に熱ラミネート法で積層した後、前記コア前駆体層を露光、現像してパターニングし、コアを形成する工程(III−B)と、
前記アンダークラッド層およびコア上にオーバークラッド層を形成する工程(IV−B)と、を有し、
前記コア前駆体層の乾燥固形分の質量に対する、プリベーク後のコア前駆体層に含まれる溶媒の質量の割合Xを0.14〜0.48とする光導波路の製造方法。 - 前記割合Xが0.14〜0.37である、請求項4に記載の光導波路の製造方法。
- 前記第2の基材上にコア前駆体層を形成した積層体を一旦ロールに巻き取るステップを有する、請求項4または5に記載の光導波路の製造方法。
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