JP5783200B2 - 二段反応システム、試料液の測定システム、および試料液の測定方法 - Google Patents
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Description
この技術では、少なくとも発光基質を遊離させる工程と発光試薬の添加工程の各工程を順次行うことが求められ、少なくとも2〜3回のピペット操作が必要である。そのため、試料液に外部の微生物夾雑物の混入が起こるおそれがあり、高感度測定には不向きであると共に、操作も煩雑であった。また、発光試薬等は、時間経過と共に失活するため用時調製が必要であり、特許文献1、2のような測定方法は自動化も困難であった。
また、特許文献3の図10等の容器は、内部に試薬収容カップを設けるため、構造が複雑となる上、反応を進めるために転倒動作が必要であるため、自動化も困難であった。さらに、数100μL程度の少量の試料液を用いる場合、容器を転倒させても試料液が試薬収容カップに付着等して移動しきれない液量が無視できず、高感度検出に支障をきたすものであった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、二段階の反応が必要な検出を、高感度かつ簡便に行うことができ、必要に応じて自動化も可能な二段反応システム、試料液の測定システム、および試料液の測定方法を提供することを課題とする。
[1]上端側に開口を有し、試料液が最初に導入される第一容器と、上端側と下端側の双方に開口を有する第二容器とからなり、前記第二容器の下端側が、該下端側の開口が前記第一容器の内側の下端近傍に位置するように前記第一容器内に挿入された容器ユニット、および
前記第二容器の上端側の開口に接続され、前記第一容器から一定容積の試料液を前記第二容器内に吸引後、再度第一容器に戻す吸引吐出手段を備え、
前記第一容器の内側下端には、試料液と最初に反応させる第一試薬が固定され、
前記第二容器の内側であって、前記吸引吐出手段により前記第一容器から一定容積の試料液を吸引した際に該吸引した試料液と接する位置に、前記第一試薬と反応した後の試料液と反応させる第二試薬が固定されていることを特徴とする二段反応システム。
[2]上端側に開口を有し、試料液が最初に導入される第一容器と、上端側と下端側の双方に開口を有する第二容器とからなり、前記第二容器の下端側が、該下端側の開口が前記第一容器の内側の下端近傍に位置するように前記第一容器内に挿入された容器ユニット、および
前記第二容器の上端側の開口に接続され、前記第一容器から一定容積の試料液を前記第二容器内に吸引する吸引手段を備え、
前記第一容器の内側下端には、試料液と最初に反応させる第一試薬が固定され、
前記第二容器の内側であって、前記吸引手段により前記第一容器から一定容積の試料液を吸引した際に該吸引した試料液と接する位置に、前記第一試薬と反応した後の試料液と反応させる第二試薬が固定されていることを特徴とする二段反応システム。
[3]上端側に開口を有し、試料液が最初に導入される第一容器と、上端側と下端側の双方に開口を有する第二容器とからなり、前記第二容器の下端側が、該下端側の開口が前記第一容器の内側の下端近傍に位置するように前記第一容器内に挿入された容器ユニット、
前記第二容器の上端側の開口に接続され、前記第一容器から一定容積の試料液を前記第二容器内に吸引後、再度第一容器に戻す吸引吐出手段、および
前記第一容器内の試料液を光学的に測定する光学測定手段を備え、
前記第一容器の内側下端には、試料液と最初に反応させる第一試薬が固定され、
前記第二容器の内側であって、前記吸引吐出手段により前記第一容器から一定容積の試料液を吸引した際に該吸引した試料液と接する位置に、前記第一試薬と反応した後の試料液と反応させる第二試薬が固定され、
前記第一容器に導入された試料と前記第一試薬とを反応させる工程と、
前記吸引吐出手段により、前記第一試薬と反応後の試料液を、前記第一容器に残存する試料液の液面が前記第二容器の下端側の開口を下回らない範囲で前記第二容器内に吸引した後、前記第一容器に戻し、前記第二試薬を、前記第一試薬と反応後の試料液と反応させる工程と、
前記第一容器内に戻され、前記第二試薬と反応後の試料液を、前記光学測定手段により測定する工程とを順次行うように構成されたことを特徴とする試料液の測定システム。
[4]上端側に開口を有し、試料液が最初に導入される第一容器と、上端側と下端側の双方に開口を有する第二容器とからなり、前記第二容器の下端側が、該下端側の開口が前記第一容器の内側の下端近傍に位置するように前記第一容器内に挿入された容器ユニット、
前記第二容器の上端側の開口に接続され、前記第一容器から一定容積の試料液を前記第二容器内に吸引する吸引手段、および
前記第二容器内の試料液を光学的に測定する光学測定手段を備え、
前記第一容器の内側下端には、試料液と最初に反応させる第一試薬が固定され、
前記第二容器の内側であって、前記吸引手段により前記第一容器から一定容積の試料液を吸引した際に該吸引した試料液と接する位置に、前記第一試薬と反応した後の試料液と反応させる第二試薬が固定され、
前記第一容器に導入された試料と前記第一試薬とを反応させる工程と、
前記吸引手段により、前記第一試薬と反応後の試料液を、前記第一容器に残存する試料液の液面が前記第二容器の下端側の開口を下回らない範囲で前記第二容器内に吸引し、前記第二試薬を吸引した試料液と反応させる工程と、
前記第二容器内の前記第二試薬と反応後の試料液を、前記光学測定手段により測定する工程とを順次行うように構成されたことを特徴とする試料液の測定システム。
[5]内部に第一試薬が固定された第一容器に試料液を導入し、前記第一試薬と反応させる工程と、
前記第一試薬と反応後の試料液の一部を一定量、内部に第二試薬が固定された第二容器内に吸引した後、前記第一容器に戻し、前記試料液を前記第二試薬と反応させる工程と、
前記第一容器内に戻され、前記第二試薬と反応後の試料液を光学的に測定する工程とを備えることを特徴とする試料液の測定方法。
[6]上端側に開口を有し、試料液が最初に導入される第一容器と、上端側と下端側の双方に開口を有する第二容器とからなり、前記第二容器の下端側が、該下端側の開口が前記第一容器の内側の下端近傍に位置するように前記第一容器内に挿入され、
前記第一容器の内側下端には、第一試薬が固定され、
前記第二容器の内側であって、前記第一容器に最初に導入された時点の試料液とは接しない位置であり、かつ該最初に導入された試料液を、該第二容器の下端側の開口から吸引した際に該吸引した試料液と接する位置には、第二試薬が固定され、
前記第一試薬は、エンドトキシンとの結合により活性化されるC因子と、ペプチドに発光基質が結合してなり、前記C因子が活性化されることにより該発光基質を遊離する発光合成基質とを含有する試薬であり、
前記第二試薬は、前記発光基質の生物発光を触媒し、光を発生させる発光酵素を含有する試薬であることを特徴とする容器ユニット。
図1は、本発明の二段反応システムおよび測定システムに使用される容器ユニットの一例である。図1の容器ユニット1は、第一容器10と、第一容器10内に下端側が挿入された第二容器20とから構成されている。
第一容器10は、試料液が最初に導入される容器で、上端に開口10aを有する有底筒状の容器である。また、第一容器10の側面には、空気孔11が設けられている。
第一容器10の内側下端には、試料液と最初に反応させる第一試薬R1が乾燥状態で固定されている。第一試薬R1は、たとえば、第一試薬R1の溶液を第一容器10に入れた状態で凍結乾燥を行うことにより、乾燥状態で固定することができる。
第一容器10は、必要に応じて減菌処理を施すことが可能な材質からなることが好ましい。また、後述の第一実施形態で用いる場合、光透過性の材質からなることが好ましい。減菌処理を施すことが可能で、かつ光透過性の材質としては、石英、ホウケイ酸ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂が挙げられる。その他、減菌処理を施すことが可能な材質としは、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂が挙げられる。
また、大径部21aには上端から下側に向けて柱状孔24が設けられており、柱状孔24の上端が、第二容器20の上端側の開口20aとされている。また、小径部21bの下端側から、吸入管22を挿入するための挿入孔25が設けられ、柱状孔24と挿入孔25との間には、両者をつなぐテーパー状の中間孔26が設けられている。
第二試薬R2を中間孔26の下端側に固定する方法としては、たとえば、第二容器20の下端側の開口20bを封じて挿入管22内に空気層を形成し、第二試薬R2の溶液を中間孔26の下端側近傍に付着させた状態で凍結乾燥を行う方法が挙げられる。挿入管22の内径が充分に小さければ、挿入管22内に空気層が存在することにより、中間孔26の下端側近傍に付着させた第二試薬R2の溶液が、凍結乾燥前に挿入管22内に落下することを回避できる。
また、挿入管22を中間孔26に突き出すようにした状態で第二試薬R2の溶液を中間孔26の下端側近傍に付着させ、その状態で凍結乾燥した後に挿入管22を図1の位置に戻す方法も挙げられる。
第二試薬R2が固定される中間孔26の下端側は、第一容器10内に最初に試料液を導入した段階では、当該試料液から離間しており、後述の吸引吐出手段(吸引手段)により第一容器10内の試料液を一定量吸引した際に、吸引した試料液に接することができる位置である。
吸入管22は、細管に必要な強度を有する材質であることが好ましい。また、必要に応じて減菌処理を施すことが可能な材質からなることが好ましい。また、後述の第一実施形態で用いる場合、光透過性の材質からなることが好ましい。必要な強度を備え、減菌処理を施すことが可能で、かつ光透過性の材質としては、石英、ホウケイ酸ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂が挙げられる。その他、必要な強度を備え、減菌処理を施すことが可能な材質としは、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂が挙げられる。
第一容器10内に試料液を導入した際、吸入管22の下端側には、第一容器10の試料液の液面と同等のレベルまで、試料液が導入され得るが、後述の吸引吐出手段(吸引手段)による吸引吐出(吸引)が行われない段階で、第二試薬R2が固定される柱状孔24下端側から中間孔26の上端側の部分まで到達することはない。
なお、後述の吸引吐出手段(吸引手段)による吸引吐出(吸引)が可能な程度に、第一容器10と第二容器20との間に空気が流通する隙間を確保できるのであれば、第一容器10の空気孔11は必須ではない。その場合、試料液は、第二容器20を外した状態で、開口10aから導入すればよい。
また、第二容器20は、第二容器本体21と吸入管22とが一体成形されたものであってもよい。
図2は、本発明の試料液の二段反応システムおよび測定システムの第一実施形態を示す概略構成図である。図2のシステム100は、図1の容器ユニット1を複数用い、これと吸引吐出手段30Aとを組み合わせることにより、本発明の二段反応システムとされている。また、複数の容器ユニット1、吸引吐出手段30Aに加え、さらに光学測定手段40Aを備えることにより、本発明の測定システムとされている。
光学測定手段40Aとしては、容器ユニット1の第一容器10内から発せられる光(蛍光を含む)を検出する光(蛍光)検出装置、光源と、第一容器10を透過した光を検出する受光装置とからなる吸光度検出装置、光源と、第一容器10内で散乱された光を検出する受光装置とからなる散乱光検出装置等を適宜採用できる。
システム100は、反応の進行を促進するため、容器ユニット1を適宜加温する加温手段を備えていてもよい。
(i)第一容器10に導入された試料液と第一試薬R1とを反応させる工程(以下「第一反応工程A」という。)。
(ii)第一試薬R1と反応後の試料液の一部を一定量、第二容器20内に吸引した後、第一容器10に戻し、第二試薬R2を、第一試薬R1と反応後の試料液と反応させる工程(以下「第二反応工程A」という。)。
(iii)第一容器内に戻され、第二試薬R2と反応後の試料液を光学的に測定する工程(以下「測定工程A」という。)。
第一反応工程Aの待機時間は、第一容器10に導入された試料と第一試薬R1との反応させるため、必要な反応時間を考慮して適宜設定する。試料と第一試薬R1との反応が速い場合は、システムの動作上物理的に必要な時間のみを待機時間として、次の第二反応工程Aに移行すればよい。第一反応工程Aでは、反応を促進するため容器ユニット1を適宜加温することができる。
第一容器10への試料液の導入は、容器ユニット1の説明で述べたように、空気孔11または開口10aから行うことができる。導入作業は、人手により行うことが好ましいが、図2のシステム100にサンプリング機構を追加して自動化してもよい。第一容器10に試料液を導入すると、導入した試料液によって第一試薬R1が溶解され、試料液と第一試薬R1とが反応可能となる。
このとき、第二容器20に吸引する試料液の液量は、第一容器内に残存する試料液の液面が、第二容器20の吸入管22の下端(下端側の開口20b)を下回らない範囲の液量とすることが必要である。第二容器20に吸引する試料液の液量が過大で、開口20bが試料液上の気相に露出してしまうと、試料液の急激な移動が生じ、試料液によって、吸引吐出手段30A内を汚染してしまう恐れがある。
また、第二容器20に吸い上げる試料液の液量は、第二試薬R2が固定された位置まで、到達可能な程度に充分である必要がある。吸引した試料液が第二試薬R2の固定位置まで到達すると、吸引した試料液によって第二試薬R2が溶解され、試料液と第二試薬R2とが反応可能となる。
吸引後、吐出を行う迄の時間は、吸引した試料液によって、第二試薬R2が溶解されるのに充分であればよく、第二試薬R2の溶解性が高ければ、吸引後、直ちに吐出を行うことができる。
たとえば、蛍光測定のように、試料液と第二試薬R2の反応開始後、検出すべき光の発生が短時間で終了するような反応系の場合、吸引後、直ちに吐出を行うことが好ましい。
吐出終了段階で、試料液と第二試薬R2とが既に充分に反応していれば、光学的な測定を直ちに行うことができる。吐出終了段階で、試料液と第二試薬R2との反応が充分でなければ、適宜の反応時間経過後、測定工程Aに移行する。
光学的な測定の種類に特に限定はなく、蛍光検出、吸光度検出、散乱光検出等を適宜採用できる。
なお、測定工程A終了後は、吸盤32の容器ユニット1に対する接続を解除し、その後昇降手段によって吸盤32を上昇させて当該容器ユニット1に対する測定動作を終了する。
本実施形態によれば、総ての試料について、第二反応工程Aにおける吸引と吐出、および測定工程Aを、所定のタイムテーブルに従って行うことにより、光学的測定の条件を容易に均一化できる。そのため、測定条件の変動による検出誤差を排除しやすい。
また、試料液は、測定工程Aにおいて、ほぼ全量が第一容器内に戻されているため、少量の試料液を利用しても、高い精度で検出ができる。
図3は、本発明の試料液の二段反応システムおよび測定システムの第二実施形態を示す概略構成図である。図3において、図2と同等の構成部材については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図3のシステム200は、図1の容器ユニット1を複数用い、これと吸引手段30Bとを組み合わせることにより、本発明の二段反応システムとされている。また、複数の容器ユニット1、吸引手段30Bに加え、さらに光学測定手段40Bを備えることにより、本発明の測定システムとされている。
光学測定手段40Bは、測定すべき対象が第一容器10内の試料液ではなく、第二容器20内の試料液である点を除き、光学測定手段40Aと同等である。すなわち、光学測定手段40Bとしては、容器ユニット1の第二容器20内から発せられる蛍光を検出する蛍光検出装置、光源と、第二容器20を透過した光を検出する受光装置とからなる吸光度検出装置、光源と、第二容器20内で散乱された光を検出する受光装置とからなる散乱光検出装置等を適宜採用できる。
システム200は、反応の進行を促進するため、容器ユニット1を適宜加温する加温手段を備えていてもよい。
(i)第一容器10に導入された試料液と第一試薬R1とを反応させる工程(以下「第一反応工程B」という。)。
(ii)第一試薬R1と反応後の試料液の一部を一定量、第二容器20内に吸引し、試料液と第二試薬R2とを反応させる工程(以下「第二反応工程B」という。)。
(iii)第二試薬R2と反応後の試料液を光学的に測定する工程(以下「測定工程B」という。)。
第一反応工程Bの待機時間は、第一容器10に導入された試料と第一試薬R1との反応させるため、必要な反応時間を考慮して適宜設定する。試料と第一試薬R1との反応が速い場合は、システムの動作上物理的に必要な時間のみを待機時間として、次の第二反応工程Bに移行すればよい。第一反応工程Bでは、反応を促進するため容器ユニット1を適宜加温することができる。
第一容器10への試料液の導入は、容器ユニット1の説明で述べたように、空気孔11または開口10aから行うことができる。導入作業は、人手により行うことが好ましいが、図3のシステム200にサンプリング機構を追加して自動化してもよい。第一容器10に試料液を導入すると、導入した試料液によって第一試薬R1が溶解され、試料液と第一試薬R1とが反応可能となる。
このとき、第二容器20に吸引する試料液の液量は、第一容器内に残存する試料液の液面が、第二容器20の吸入管22の下端(下端側の開口20b)を下回らない範囲の液量とすることが必要である。第二容器20に吸引する試料液の液量が過大で、開口20bが試料液上の気相に露出してしまうと、試料液の急激な移動が生じ、試料液によって、吸引吐出手段30A内を汚染してしまう恐れがある。
また、第二容器20に吸い上げる試料液の液量は、第二試薬R2が固定された位置まで、到達可能な程度に充分である必要がある。吸引した試料液が第二試薬R2の固定位置まで到達すると、吸引した試料液によって、第二試薬R2が溶解され、試料液と第二試薬R2とが反応可能となる。
第二容器20内に試料液を保持する時間は、吸引した試料液によって、第二試薬R2が溶解され、かつ、試料液と反応するのに充分な時間とする。また、たとえば、蛍光測定のように、試料液と第二試薬R2が接触した後、検出すべき光の発生が短時間で終了するような反応系の場合、第二反応工程Bを短時間で終了し、直ちに測定工程Bに移行することが好ましい。
光学的な測定の種類に特に限定はなく、発光検出、蛍光検出、吸光度検出、散乱光検出等を適宜採用できる。
なお、測定工程B終了後は、まず、開閉弁34を開いてからシリンジポンプ31のピストンを吸引前の状態に押し戻すことにより、第二容器20内の引圧状態を解消する。次いで、吸盤32の容器ユニット1に対する接続を解除し、その後昇降手段によって吸盤32を上昇させて当該容器ユニット1に対する測定動作を終了する。
本実施形態によれば、総ての試料について、第二反応工程B、および測定工程Bを、所定のタイムテーブルに従って行うことにより、光学的測定の条件を、容易に均一化できる。そのため、測定条件の変動による検出誤差を排除しやすい。
また、試料液を第二試薬R2と接触させた直後に光学的測定を行うこともできるので、試料液と第二試薬R2が接触した後、検出すべき光の発生が短時間で終了するような反応系を利用する検出も高い精度で行うことができる。
図4は、本発明の試料液の二段反応システムの第三実施形態を示す概略構成図である。
図4のシステム300は、ピペットチップ51と、ピペットチップ51内に一定量の試料液を吸引可能なピペット本体52と、ピペットチップ51に嵌合して、少なくともその先端をカバーするキャップ53とから構成されている。ピペット本体52とピペットチップ51は、たとえば、エッペンドルフ社製エッペンドルフ(登録商標)ピペット、ギルソン社製ピペットマン(登録商標)などの市販されているピペットを利用することができる。
本実施形態では、キャップ53が本発明における第一容器に、ピペットチップ51が本発明における第二容器に、ピペット本体52が本発明における吸引吐出手段ないしは吸引手段に該当する。また、ピペットチップ51にキャップ53を嵌合させたものが本発明における容器ユニットに該当する。
第一試薬R1は、たとえば、第一試薬R1の溶液をキャップ53に入れた状態で凍結乾燥を行うことにより、乾燥状態で固定することができる。
キャップ53は、必要に応じて減菌処理を施すことが可能な材質からなることが好ましい。また、光透過性の材質からなることが好ましい。減菌処理を施すことが可能で、かつ光透過性の材質としては、石英、ホウケイ酸ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂が挙げられる。その他、減菌処理を施すことが可能な材質としは、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂が挙げられる。
第二試薬R2が固定されるピペットチップ51の内側中間近傍は、試料液を導入したキャップ53と嵌合させた段階では、当該試料液から離間しており、後述の吸引吐出手段(吸引手段)によりキャップ53内の試料液を一定量吸引した際に、吸引した試料液に接することができる位置である。
キャップ53内に試料液を導入した際、ピペットチップ51の下端側には、キャップ53の試料液の液面と同等のレベルまで、試料液が導入され得るが、後述の吸引吐出手段(吸引手段)による吸引吐出(吸引)が行われない段階で、第二試薬R2が固定される内側中間近傍の部分まで到達することはない。
各試薬が固定されたピペットチップ51とキャップ53とは、製造後の汚染を防ぐため、両者を嵌合させた状態で、たとえばシュリンクフィルム等を用いて、全体を密封してもよい。
(第一の使用方法)
(i)キャップ53内に試料液を導入し、試料液と第一試薬R1を反応させる工程(以下「第一反応工程C」という。)。
(ii)第一試薬R1と反応後の試料液の一部を一定量、ピペットチップ51内に吸引した後、キャップ53に戻し、第二試薬R2を、第一試薬R1と反応後の試料液と反応させる工程(以下「第二反応工程C」という。)。
(iii)キャップ53内に戻され、第二試薬R2と反応後の試料液を光学的に測定する工程(以下「測定工程C」という。)。
キャップ53への試料液の導入は、ピペットチップ51とキャップ53とが嵌合されている場合、ピペットチップ51を外してから行う。
次いで、ピペット本体52で吸引動作を行うことにより、設定した液量の試料液がキャップ53からピペットチップ51に吸い上げられる。
このとき、ピペットチップ51に吸引する試料液の液量は、キャップ53内に残存する試料液の液面が、ピペットチップ51の下端(下端側の開口)を下回らない範囲の液量とすることが必要である。ピペットチップ51に吸引する試料液の液量が過大で、ピペットチップ51下端の開口が試料液上の気相に露出してしまうと、試料液の急激な移動が生じ、試料液によって、ピペット本体52内を汚染してしまう恐れがある。
また、ピペットチップ51に吸い上げる試料液の液量は、第二試薬R2が固定された位置まで、到達可能な程度に充分である必要がある。吸引した試料液が第二試薬R2の固定位置まで到達すると、吸引した試料液によって第二試薬R2が溶解され、試料液と第二試薬R2とが反応可能となる。
吸引後、吐出を行う迄の時間は、吸引した試料液によって、第二試薬R2が溶解されるのに充分であればよく、第二試薬R2の溶解性が高ければ、吸引後、直ちに吐出を行うことができる。
たとえば、蛍光測定のように、試料液と第二試薬R2の反応開始後、検出すべき光の発生が短時間で終了するような反応系の場合、吸引後、直ちに吐出を行うことが好ましい。
吐出終了段階で、試料液と第二試薬R2とが既に充分に反応していれば、光学的な測定を直ちに行うことができる。吐出終了段階で、試料液と第二試薬R2との反応が充分でなければ、適宜の反応時間経過後、測定工程Cに移行する。
光学的な測定の種類に特に限定はなく、蛍光検出、吸光度検出、散乱光検出等を適宜採用できる。
(i)キャップ53内に試料液を導入し、試料液と第一試薬R1を反応させる工程(以下「第一反応工程D」という。)。
(ii)ピペット本体52に取り付けたピペットチップ51に、試料液が導入されたキャップ53を嵌合した状態でピペット本体52を動作させ、キャップ53内の試料液の一部を一定量ピペットチップ51内に吸引し、試料液と第二試薬R2とを反応させる工程(以下「第二反応工程D」という。)。
(iii)第二試薬R2と反応後の試料液を光学的に測定する工程(以下「測定工程D」という。)。
ピペットチップ51内に試料液を保持する時間は、吸引した試料液によって、第二試薬R2が溶解され、かつ、試料液と反応するのに充分な時間とする。また、たとえば、蛍光測定のように、試料液と第二試薬R2が接触した後、検出すべき光の発生が短時間で終了するような反応系の場合、第二反応工程Dを短時間で終了し、直ちに測定工程Dに移行することが好ましい。
いずれの場合も、ピペット本体52を持って、ピペットチップ51を移動させることができるので、ピペットチップ51の光学的測定手段への移動が容易である。
第一実施形態、第二実施形態では、吸引吐出手段(吸引手段)としてシリンジポンプを用いたが、吸引吐出手段(吸引手段)は、一定容積の試料液を送液できるものであれば、シリンジポンプに限られない。たとえば、圧電ポンプ、ダイヤフラムポンプ、チューブポンプ等を使用できる。これらのポンプの送液量は、稼働時間をコントロールすることにより、所定の送液量とすることができる。また、第一容器内の試料液の液面を液面センサで検知し、第一容器内の試料液の液面が所定の高さまで下がった際に、ポンプの送液を停止するようにしてもよい。
また、第一実施形態、第二実施形態では、吸引吐出手段30A(吸引手段30B)と第二容器20との接続を吸盤32に行うこととしたが、この接続の方法は、吸盤に限られない。たとえば、分岐配管33の先端に、開口20aの内側に気密に嵌合する接続プラグを設けてもよい。
本発明の二段反応システム、試料液の測定システム、および試料液の測定方法を、エンドトキシンの測定に適用する場合、容器ユニットに固定する第一試薬R1としては、エンドトキシンとの結合により活性化されるC因子と、ペプチドに発光基質が結合してなる発光合成基質を含有する試薬を用いる。また、第二試薬R2としては、発光酵素および発光反応に必要な他の化合物を含有する試薬を用いる。
ペプチドに発光基質が結合してなる発光合成基質は、前記C因子が活性化されることにより生成される活性型C因子、活性型B因子および凝固酵素のいずれか1種の作用により、前記発光基質と前記ペプチドとの結合が切断される構造を有するものである。
発光基質としては、アミノルシフェリンが好適に使用でき、発光基質と結合するペプチドとしては、該ペプチドのC末端におけるアミノルシフェリンとのアミド結合が、活性型C因子、活性型B因子および凝固酵素のいずれか1種のプロテアーゼ活性により切断されるアミノ酸配列からなるものであればよい。
なお、試料液中の塩分濃度に起因する誤差を解消するため、第一試薬R1中に、NaClを添加しておいてもよい。
発光酵素は、前記発光合成基質から遊離される発光基質の生物発光を触媒し、光を発生させる酵素である。発光基質がアミノルシフェリンである場合の発光酵素はルシフェラーゼであり、発光反応に必要な他の化合物は、ATPおよび2価金属イオンである。
エンドトキシンの測定のように、発光を利用する測定では、第二試薬R2を固定した第二容器に試料液を導入してから、発光反応を光学的に検出するまでの時間は短い方が好ましい。そのため、第二試薬R2を固定した第二容器に試料液を導入する吸引動作は、光学測定手段により発光反応の検出が可能な位置に容器ユニットを配置してから行うことが好ましい。また、第二試薬R2を固定した第二容器に試料液を導入する吸引動作は、安定した吸引が行える範囲で、できるだけ速やかに行うことが好ましい。
また、第一実施形態と第三実施形態の第一の使用方法を適用する際は、吸引動作後、速やかに吐出動作に移行し、吐出動作も、安定した吐出が行える範囲で、できるだけ速やかに行うことが好ましい。
その後、試料液を、第二試薬R2を固定した第二容器に、その下端側の開口から吸引して試料液を導入してルシフェリンとルシフェラーゼの発光反応を行わせる。発光反応の際の温度は、たとえば室温(25℃)とすることができる。また、発光反応の反応時間、すなわち、第二試薬R2を固定した第二容器に試料液を導入してから、発光反応を光学的に検出するまでの時間は、0秒から10秒とすることが好ましい。
30B…吸引手段、40A…光学測定手段、40B…光学測定手段、
51…ピペットチップ、52…ピペット本体、53…キャップ、
100…システム、200…システム、300…システム、
R1…第一試薬、R2…第二試薬
Claims (6)
- 上端側に開口を有し、試料液が最初に導入される第一容器と、上端側と下端側の双方に開口を有する第二容器とからなり、前記第二容器の下端側が、該下端側の開口が前記第一容器の内側の下端近傍に位置するように前記第一容器内に挿入された容器ユニット、および
前記第二容器の上端側の開口に接続され、前記第一容器から一定容積の試料液を前記第二容器内に吸引後、再度第一容器に戻す吸引吐出手段を備え、
前記第一容器の内側下端には、試料液と最初に反応させる第一試薬が固定され、
前記第二容器の内側であって、前記吸引吐出手段により前記第一容器から一定容積の試料液を吸引した際に該吸引した試料液と接する位置に、前記第一試薬と反応した後の試料液と反応させる第二試薬が固定されていることを特徴とする二段反応システム。 - 上端側に開口を有し、試料液が最初に導入される第一容器と、上端側と下端側の双方に開口を有する第二容器とからなり、前記第二容器の下端側が、該下端側の開口が前記第一容器の内側の下端近傍に位置するように前記第一容器内に挿入された容器ユニット、および
前記第二容器の上端側の開口に接続され、前記第一容器から一定容積の試料液を前記第二容器内に吸引する吸引手段を備え、
前記第一容器の内側下端には、試料液と最初に反応させる第一試薬が固定され、
前記第二容器の内側であって、前記吸引手段により前記第一容器から一定容積の試料液を吸引した際に該吸引した試料液と接する位置に、前記第一試薬と反応した後の試料液と反応させる第二試薬が固定されていることを特徴とする二段反応システム。 - 上端側に開口を有し、試料液が最初に導入される第一容器と、上端側と下端側の双方に開口を有する第二容器とからなり、前記第二容器の下端側が、該下端側の開口が前記第一容器の内側の下端近傍に位置するように前記第一容器内に挿入された容器ユニット、
前記第二容器の上端側の開口に接続され、前記第一容器から一定容積の試料液を前記第二容器内に吸引後、再度第一容器に戻す吸引吐出手段、および
前記第一容器内の試料液を光学的に測定する光学測定手段を備え、
前記第一容器の内側下端には、試料液と最初に反応させる第一試薬が固定され、
前記第二容器の内側であって、前記吸引吐出手段により前記第一容器から一定容積の試料液を吸引した際に該吸引した試料液と接する位置に、前記第一試薬と反応した後の試料液と反応させる第二試薬が固定され、
前記第一容器に導入された試料と前記第一試薬とを反応させる工程と、
前記吸引吐出手段により、前記第一試薬と反応後の試料液を、前記第一容器に残存する試料液の液面が前記第二容器の下端側の開口を下回らない範囲で前記第二容器内に吸引した後、前記第一容器に戻し、前記第二試薬を、前記第一試薬と反応後の試料液と反応させる工程と、
前記第一容器内に戻され、前記第二試薬と反応後の試料液を、前記光学測定手段により測定する工程とを順次行うように構成されたことを特徴とする試料液の測定システム。 - 上端側に開口を有し、試料液が最初に導入される第一容器と、上端側と下端側の双方に開口を有する第二容器とからなり、前記第二容器の下端側が、該下端側の開口が前記第一容器の内側の下端近傍に位置するように前記第一容器内に挿入された容器ユニット、
前記第二容器の上端側の開口に接続され、前記第一容器から一定容積の試料液を前記第二容器内に吸引する吸引手段、および
前記第二容器内の試料液を光学的に測定する光学測定手段を備え、
前記第一容器の内側下端には、試料液と最初に反応させる第一試薬が固定され、
前記第二容器の内側であって、前記吸引手段により前記第一容器から一定容積の試料液を吸引した際に該吸引した試料液と接する位置に、前記第一試薬と反応した後の試料液と反応させる第二試薬が固定され、
前記第一容器に導入された試料と前記第一試薬とを反応させる工程と、
前記吸引手段により、前記第一試薬と反応後の試料液を、前記第一容器に残存する試料液の液面が前記第二容器の下端側の開口を下回らない範囲で前記第二容器内に吸引し、前記第二試薬を吸引した試料液と反応させる工程と、
前記第二容器内の前記第二試薬と反応後の試料液を、前記光学測定手段により測定する工程とを順次行うように構成されたことを特徴とする試料液の測定システム。 - 内部に第一試薬が固定された第一容器に試料液を導入し、前記第一試薬と反応させる工程と、
前記第一試薬と反応後の試料液の一部を一定量、内部に第二試薬が固定された第二容器内に吸引した後、前記第一容器に戻し、前記試料液を前記第二試薬と反応させる工程と、
前記第一容器内に戻され、前記第二試薬と反応後の試料液を光学的に測定する工程とを備えることを特徴とする試料液の測定方法。 - 上端側に開口を有し、試料液が最初に導入される第一容器と、上端側と下端側の双方に開口を有する第二容器とからなり、前記第二容器の下端側が、該下端側の開口が前記第一容器の内側の下端近傍に位置するように前記第一容器内に挿入され、
前記第一容器の内側下端には、第一試薬が固定され、
前記第二容器の内側であって、前記第一容器に最初に導入された時点の試料液とは接しない位置であり、かつ該最初に導入された試料液を、該第二容器の下端側の開口から吸引した際に該吸引した試料液と接する位置には、第二試薬が固定され、
前記第一試薬は、エンドトキシンとの結合により活性化されるC因子と、ペプチドに発光基質が結合してなり、前記C因子が活性化されることにより該発光基質を遊離する発光合成基質とを含有する試薬であり、
前記第二試薬は、前記発光基質の生物発光を触媒し、光を発生させる発光酵素を含有する試薬であることを特徴とする容器ユニット。
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