一例として示す室内気圧調節システム10Aの構成図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる室内気圧調節システムおよび室内気圧調節方法の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、一例として示す中空管34の検出端部35の斜視図であり、図3は、他の一例として示す中空管34の検出端部35の斜視図である。図1は、クリーンルーム12(気密空調室)をその側方から示している。図2,3では、長さ方向(一方向)を矢印A、周り方向を矢印Bで示し、径方向を矢印Cで示す。
この実施形態では、建造物11近傍の屋外(所定の箇所)における空気の基準圧が基準圧計測器具18(中空管)によって伝達され、伝達された基準圧をモーターダンパ17(流量調節装置)の制御動作(たとえば、フィードバック制御やフィードフォワード制御)の基準値として使用し、建造物11の一角に施設されたクリーンルーム12の室内気圧を調節する。なお、この実施形態では室内気圧を基準圧よりも高い陽圧に保持する場合について説明するが、このシステムおよびこの方法は室内気圧を基準圧よりも低い負圧に保持する場合にも利用される。流量調節装置には、モーターダンパ17の他に、VAVユニットを使用することもできる。所定の箇所には、屋外のみならず建造物11の屋内も含まれる。
室内気圧調節システム10A(室内気圧調節方法)は、建造物11の屋外の空気をクリーンルーム12に供給する給気ダクト13と、クリーンルーム12から建造物11の屋外に空気を排出する排気ダクト14と、クリーンルーム12に空気を給気する給気ファン15(給気装置)と、クリーンルーム12から空気を排気する排気ファン16(排気装置)と、モーターダンパ17および基準圧伝達装置18とを備えている。
クリーンルーム12は、天井19および床20と前後壁21,22および側壁23とに囲繞された所定容積の気密な空調空間を有し、天井19、床20、それら壁21〜23によって室外と仕切られている。クリーンルーム12には、室内の空気を部分的に排気する局所排気装置24が設置され、空気を室内に部分的に給気する局所給気装置25が設置されている。天井19には、給気ダクト13から供給される空気をクリーンルーム12に取り入れるための給気口(図示せず)が施設されている。側壁23には、クリーンルーム12の空気を排気ダクト14に取り入れるための排気口26が施設されている。前壁21には、クリーンルーム12に出入りするための扉27が設置されている。このシステム10Aでは、その稼働中にクリーンルーム12の室内気圧が厳密に管理され、室内気圧が基準圧よりも高い適正範囲の陽圧に保持されている。
給気ダクト13は、クリーンルーム12の天井19に施設された給気口につながり、建造物11の屋外とクリーンルーム12とを連結している。排気ダクト14は、クリーンルーム12の側壁23に施設された排気口26につながり、建造物11の屋外とクリーンルーム12とを連結している。給気ファン15は、給気ダクト13に設置され、所定量の空気をクリーンルーム12に強制的に給気する。給気ファン15は、その稼働中における風量(風速)が設定されている。排気ファン16は、排気ダクト14に設置され、所定量の空気をクリーンルーム12から強制的に排気する。排気ファン16は、その稼働中における風量(風速)が設定されている。
局所排気装置24は、塵や微粉、ガス等の不要物をクリーンルーム12の室内空気とともに吸引し、不要物を室外に排出する。局所排気装置24は、クリーンルーム12の一部から室外に空気を排出する局所排気ダクト28と、クリーンルーム12から所定量の空気を強制的に排気する局所排気ファン29とから形成されている。局所給気装置25は、クリーンルーム12に施設された器具や機械の熱を冷却し、器具や機械の熱による損傷を防止する。局所給気装置25は、クリーンルーム12の一部に空気を供給する局所給気ダクト30と、クリーンルーム12に所定量の空気を強制的に給気する局所給気ファン31とから形成されている。
クリーンルーム12では、稼働中の給排気ファン15,16のうちの少なくとも一方の風量変化、クリーンルーム12に設置された扉27の開閉、クリーンルーム12に設置された停止中の局所排気装置24または局所給気装置25の稼動、稼動中の局所排気装置24または局所給気装置25の停止のうちの少なくとも1つの変動原因によってその室内気圧が大きく変動する。
モーターダンパ17は、クリーンルーム12と排気ファン16との間に延びる排気ダクト14に設置されている。モーターダンパ17は、モジュトロールモーター(図示せず)と、モーターの駆動力によって旋回する旋回羽根32と、旋回羽根32の旋回によって開閉される空気流路(図示せず)とから形成されている。モーターダンパ17では、旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)によってクリーンルーム12から排気される空気の流量を調節する。モーターダンパ17には、平行翼ダンパまたは対向翼ダンパを使用することができる。なお、モーターダンパ17がクリーンルーム12と給気ファン15との間に延びる給気ダクト13に設置されていてもよい。この場合は、旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)によってクリーンルーム12に給気される空気の流量を調節する。
モーターダンパ17には、コントローラ33(制御装置)が附属している。コントローラ33は、演算処理を行う中央処理装置と各種データを記憶可能な主記憶装置(メモリ)とを有するマイクロプロセッサであり、微差圧センサ(微差圧計)を内蔵している。コントローラ33には、基準圧計測器具18が接続されている。コントローラ33には、図示はしていないが、各種データを入力するための入力装置、入力確認のための表示装置がインターフェイスを介して接続されている。
コントローラ33の主記憶装置には、クリーンルーム12の室内気圧を陽圧に保持するための適正な差圧(基準圧と室内気圧との差圧)の値(適正な範囲の差圧の値または適正な1つの差圧の値)が格納されている。適正な範囲の差圧の値または適正な1つの差圧の値は、入力装置によって任意に設定することができる。コントローラ33の主記憶装置には、クリーンルーム12の室内気圧とモーターダンパ17の空気流路を通過する空気量との相関関係が格納され、室内気圧に対応する空気量とその空気量に対応するモーターダンパ17の旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)との相関関係が格納されている。
コントローラ33は、モーターダンパ17の旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)を所定の角度(所定の開度)に設定または所定の角度を変更する開度制御信号をダンパ17に出力することで、空気流路の開度を所定の開度に調節する。モーターダンパ17では、コントローラ33から出力された開度制御信号によってモジュトロールモータが回転し、それによって旋回羽根32が所定角度に旋回する。旋回羽根32が所定角度に旋回すると、ダンパ17の空気流路の開度が変わり、空気流路を通過する空気の流量が変更されてクリーンルーム12の室内気圧が変わる。
基準圧計測器具18は、建造物11の屋外における気圧(基準圧)をコントローラ33に伝達する。基準圧計測器具18は、長さ方向へ長い長尺の中空管34から形成されている。中空管34は、径方向へ切断した切断面の形状(断面形状)が円形のホースであり、ゴム、ビニール、プラスチック、布等から作られ、曲げ延ばしが自在な可撓性を有する。なお、中空管34の断面形状には、円形の他に、四角形や多角形等のあらゆる形状が含まれる。中空管34は、検出端部35(前端部)と、検出端部35の反対側に位置する接続端部37(後端部)と、検出端部35と接続端部37との間に位置する中間部36とを有する。
検出端部35は、空気の基準圧の計測箇所となる建造物11近傍の屋外(建造物11の屋内も含む)に所定の設置手段を介してずれ動きがないように設置されている。中間部36は、コイル状に巻かれている。中間部36および接続端部37は、建造物11の屋内に設置されている。ただし、中間部36が建造物11の屋外に設置される場合もある。接続端部37は、コントローラ33に接続されている。中空管34は、検出端部35と中間部36と接続端部37とにおいてそれら部12〜14の内部における気圧の伝達が遮断されないように設置されている。
コントローラ33には、中空管34の他に、クリーンルーム12の室内気圧を伝達する中空管38が設置されている。中空管38は、その一端部39がクリーンルーム12の室内に設置手段を介してずれ動きがないように設置され、その他端部40がコントローラ33に接続されている。中空管38の一端部39や他端部40には、開口が形成されている。なお、クリーンルーム12の室内気圧を計測する他の方法として、中空管38を使用せずに、クリーンルーム12の室内に室圧センサを設置し、クリーンルーム12の室内気圧を室圧センサからコントローラ33に転送することもできる。
図2に示す検出端部35は、周り方向へ延びる周側面41を有し、空気第1出入口42を備えている。図2の検出端部35の空気第1出入口42は、検出端部35の先端に形成された断面円形の開口である。図3に示す検出端部35は、閉塞先端43と、閉塞先端43から続く周側面44とを有し、偶数個(複数個)の空気第1出入口45A,45Bを備えている。図3の検出端部35の空気第1出入口45A,45Bは、周側面44に形成された周り方向へ長い矩形の開口である。図3では、周側面44において2つの空気第1出入口45A,45Bが周り方向へ互いに180°離間した位置に形成されている。
なお、図3の検出端部35における空気第1出入口45A,45Bの数に特に限定はなく、4つ以上の出入口が周側面44に形成されていてもよい。接続端部37は、空気第2出入口(図示せず)を備えている。空気第2出入口は、図2の検出端部35の空気第1出入口42と同様に、接続端部37の先端に形成された断面円形の開口である。
本発明では、図3に示す空気第1出入口45A,45Bを採用することが好ましい。図2に示すように、空気第1出入口42が検出端部35の先端に形成された円形の開口である場合、空気第1出入口42が屋外に吹く風の影響を直接受け、不規則かつ急激に変動する気圧によって大きく変化する量の空気が空気第1出入口42に出入可能であり、空気第1出入口42に接する空気の気圧が大きく変化するが、図3に示すように、空気第1出入口45A,45Bが検出端部35の周側面44に形成された矩形の開口である場合、第1出入口45A,45Bが風の影響を直接受けることはなく、第1出入口45A,45Bにおける風の影響を緩和することができ、屋外の気圧が不規則かつ急激に変動したとしても、第1出入口45A,45Bに出入する空気の量が大きく変動することはなく、第1出入口45A,45Bに接する空気の気圧が大きく変化することはないからである。
室内気圧調節システム10Aおよびシステム10Aによって実施される室内気圧調節方法では、伝達された中空管34内部(接続端部37内)の静圧(基準圧)をモーターダンパ17の制御動作の基準値として使用する。中空管34は、その検出端部35の空気第1出入口42,45A,45Bにおいて外気の気圧が作用し、それにともなって接続端部37の空気第2出入口に気圧が伝達されることで、中空管34内部における静圧が所定圧を中心としてプラス側またはマイナス側に変化し、計測される基準圧が所定圧を中心としてプラス側またはマイナス側に変化する。
なお、中空管34の検出端部35を屋外に設置した場合、屋外に吹く風の影響によって検出端部35近傍の気圧が常時変動する。たとえば、検出端部35近傍の気圧が接続端部37との間において±10〜150Paの範囲において変動すると、空気第1出入口42,45A,45Bに接する空気の気圧が大きく変化し、中空管34内部の静圧の振幅の変動が大きくなるとともに、中空管34内部の静圧の周期が短くなり、中空管34内部の静圧が不安定となって計測される基準圧が不規則かつ急激に変化する。基準圧が不規則かつ急激に変化すると、モーターダンパ17の制御動作の誤作動や過作動が起こる場合がある。
室内気圧調節システム10Aおよびこのシステム10Aによって実施される室内気圧調節方法では、中空管34の圧力抵抗(中空管34の内周面46と中空管34内部の空気との摩擦抵抗)により、中空管34内部の静圧の振幅変動が検出端部35から接続端部37に向かって次第に小さくなるとともに、中空管34内部の静圧の周期が検出端部35から接続端部37に向かって次第に長くなり、屋外に吹く風の影響による気圧変動に対して中空管34内部の静圧が安定化する。したがって、中空管34では、気圧変動に対して検出端部35や端部35近傍の中間部36における静圧が不安定となったとしても、接続端部37や端部37近傍の中間部36における静圧が安定し、安定した基準圧が中空管34からコントローラ33に伝達される。また、図3に示す空気第1出入口45A,45Bを採用することにより、接続端部37において計測される基準圧を一層安定化させることができる。
図3の検出端部35の空気第1出入口45A,45Bは、その開口面積が10〜20mm2の範囲にある。空気第1出入口45A,45Bの開口面積が10mm2未満では、出入口45A,45Bにおける空気の出入が困難となり、基準圧を計測することができない場合がある。空気第1出入口45A,45Bの開口面積が20mm2を超過すると、出入口45A,45Bが風の影響を受け易く、不規則かつ急激に変動する気圧によって大きく変化する量の空気が出入口45A,45Bに出入可能となり、空気の気圧の変化が出入口45A,45Bに大きく作用し、出入口45A,45Bにおいて風の影響を緩和することが難しい。
中空管34は、その検出端部35(端部35の先端)から接続端部37(端部37の後端)までの長さが50〜500mの範囲にある。長さが50m未満では、中空管34の圧力抵抗が十分に作用せず、検出端部35近傍の気圧の変動にともなう中空管34内部の静圧の振幅変動を検出端部35から接続端部37に向かって小さくすることができず、中空管34内部の静圧の周期を検出端部35から接続端部37に向かって長くすることができない。その結果、気圧変動に対して中空管34内部の静圧を安定化させることができない。長さが500mを超過すると、長さがそれ以上長くなったとしても、中空管34内部の静圧の振幅変動を検出端部35から接続端部37に向かって小さくする効果が向上せず、中空管34内部の静圧の周期を検出端部35から接続端部37に向かって長くする効果が向上しないばかりか、中空管35が嵩張り、設置箇所において中空管35が場所を取り、邪魔になる場合がある。
中空管34は、検出端部35と中間部36と接続端部37との内径L(径方向の直径)が4〜20mmの範囲にある。それら部35〜37の内径Lが4mm未満では、中空管34内部の圧力抵抗が大きくなり過ぎ、検出端部35近傍の気圧の変動にともなう中空管34内部の静圧の振幅変動が小さくなり過ぎるとともに、中空管34内部の静圧の周期が長くなり過ぎ、検出端部35近傍の気圧の変動にともなう適正な基準圧を計測することができない。それら部35〜37の内径Lが20mmを超過すると、中空管34内部の圧力抵抗が小さくなり、検出端部35近傍の気圧の変動にともなう中空管34内部の静圧の振幅変動を検出端部35から接続端部37に向かって小さくすることができず、中空管34内部の静圧の周期を検出端部35から接続端部37に向かって長くすることができない。その結果、気圧変動に対して中空管34内部の静圧を安定化させることができない。
図4,5は、基準圧計測器具18(中空管34)を利用して計測した圧力(Pa)の時間的な変化を表す図である。それら図では、縦軸に圧力(Pa)が表され、横軸に経過時間(秒)が表されている。なお、それら図では、中空管34を利用した圧力の時間的な変化を実線で示し、中空管34を利用しない圧力の時間的な変化を点線で示す。また、図4は、中空管34の検出端部35から接続端部37までの長さが100mの場合の圧力(静圧)の時間的な変化を表し、図5は、中空管34の検出端部35から接続端部37までの長さが200mの場合の圧力(静圧)の時間的な変化を表している。
図4,5に示す圧力変化(静圧変化)は、検出端部35を建造物11近傍の屋外に設置し、中間部36および接続端部37を屋内に設置するとともに、接続端部37に微差圧計を設置して測定した。図4,5から分かるように、中空管34を利用した場合では、中空管34を利用しない場合と比較し、中空管34内部の静圧の振幅変動が小さく、静圧の周期が長くなっている。したがって、中空管34を利用することによって、気圧の変動に対して中空管34内部の静圧を確実に安定化させることができ、計測した基準圧の不規則かつ急激な変化を確実に防ぐことができる。
図6は、室内気圧コントロールの一例を説明するためのフローチャートである。このシステム10Aにおいて、クリーンルーム12の室内気圧を変動させる変動原因の非発生時における室内気圧のコントロールを説明すると、以下のとおりである。なお、入力装置を介してコントローラ33に適切な範囲の差圧(基準圧と室内気圧との差圧)が入力されたものとする。クリーンルーム12における変動原因の非発生時とは、扉27が閉鎖され、給気ファン15や排気ファン16が初期設定の風量で正常に稼動し、局所排気装置24や局所給気装置25が停止または局所排気装置24や局所給気装置25が正常に稼動している状態である。
システム10Aが起動すると、モーターダンパ17や給気ファン15、排気ファン16が稼働する。給気ファン15から給気された空気は、給気ダクト13を通ってクリーンルーム12に流入した後、排気ダクト14を通って排気ファン16に流入し、排気ファン16から排気ダクト14を通って屋外に排気される。また、クリーンルーム12では、局所排気装置24が稼動すると、室内の空気が局所排気ダクト28を通って局所排気ファン29に流入し、局所排気ファン29から局所排気ダクト28を通って室外に排気される。クリーンルーム12では、局所給気装置25が稼動すると、室外の空気が局所給気ダクト30を通って局所給気ファン31に流入し、局所給気ファン31から局所給気ダクト30を通って室内に給気される。
このシステム10A(方法)では、屋外の基準圧(外気圧)が中空管34からコントローラ33の微差圧センサに伝達されるとともに、クリーンルーム12の室内気圧が中空管38からコントローラ33の微差圧センサに伝達される。屋外の基準圧は、中空管34から微差圧センサ(微差圧計)にリアルタイムかつ連続的に伝達され、クリーンルーム12の室内気圧は、中空管38から微差圧センサにリアルタイムかつ連続的に伝達される。微差圧センサは、室内気圧と基準圧との差圧をリアルタイムかつ連続的に計測し(たとえば、基準圧から室内気圧を減算、または、室内気圧から基準圧を減算)、計測した差圧をコントローラ33に転送する(差圧計測手段)(S−1)。コントローラ33は、微差圧センサから転送された差圧が適正な範囲内(たとえば、適正な差圧の範囲が+5〜+10Pa)にあるかを判断する(差圧判断手段)(S−2)。または、差圧が適正な値(たとえば、適正な値が+7Pa)にあるかを判断する(差圧判断手段)(S−2)。
コントローラ33は、差圧判断手段によって判断した結果、差圧が適正な差圧の範囲内にある場合(たとえば、基準圧から室内気圧を減算した差圧が+7Paであって、差圧の適正な範囲が+5〜+10Paである場合、計測した差圧が適正な差圧の範囲内にある。)、または、差圧が適正な差圧の値である場合(たとえば、準圧から室内気圧を減算した差圧が+7Paであって、差圧の適正な値が+7Paである場合、計測した差圧が適正な差圧の値である。)、モーターダンパ17の旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)を現状のまま維持する。コントローラ33は、システム10A(方法)を停止するかを判断する(S−3)。システム10Aを続行する場合、コントローラ33は、ステップ1(S−1)に戻り、クリーンルーム12の室内気圧をリアルタイムかつ連続的に計測し、基準圧をリアルタイムかつ連続的に計測し、ステップ1からの手順を繰り返す。
ステップ2(S−2)においてコントローラ33は、差圧判断手段によって判断した結果、差圧が適正な差圧の範囲内にない場合、または、差圧が適正な差圧の値でない場合、基準圧に対してクリーンルーム12の室内気圧が適正な陽圧の範囲内になるように(差圧が適正な差圧の範囲内になるように、または、差圧が適正な差圧の値になるように)、モーターダンパ17の旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)を微調節するフィードバック制御(制御動作)を実行する。
具体的には、基準圧に対して室内気圧が適正な陽圧未満である場合(たとえば、基準圧から室内気圧を減算した差圧が+3Paであって、差圧の適正な範囲が+5〜+10Paである場合、計測した差圧が適正な差圧の範囲内にない。)、コントローラ33は、計測した差圧が適正な差圧の範囲内となる室内気圧を決定し、決定した室内気圧に対応する空気流路を通過する空気量を主記憶装置から抽出するとともに、抽出した空気量に対応するモーターダンパ17の旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)を主記憶装置から抽出する。次に、コントローラ33は、モーターダンパ17の旋回羽根32の旋回角度を、抽出した角度(所定の開度)にする開度制御信号をダンパ17に出力し(S−4)、ダンパ17の空気流路の開度を所定の開度に調節しつつ、差圧を適正な差圧の範囲内にする(流量調節手段)。また、基準圧に対して室内気圧が適正な陽圧値でない場合(たとえば、基準圧から室内気圧を減算した差圧が+3Paであって、差圧の適正な値が+7Paである場合、計測した差圧が適正な差圧の値でない。)、コントローラ33は、ダンパ17の空気流路の開度を所定の開度に調節しつつ、差圧を適正な差圧の値にする(流量調節手段)。
室内気圧が負圧である場合(たとえば、基準圧から室内気圧を減算した差圧が−2Paであって、差圧の適正な範囲が+5〜+10Paである場合、計測した差圧が適正な差圧の範囲内にない。または、差圧の適正な値が+7Paである場合、計測した差圧が適正な差圧の値でない。)、コントローラ33は、ダンパ17の空気流路の開度を所定の開度に調節しつつ、差圧を適正な差圧の値にする(流量調節手段)。基準圧に対して室内気圧が適正な陽圧を超過している場合(たとえば、基準圧から室内気圧を減算した差圧が+12Paであって、差圧の適正な範囲が+5〜+10Paである場合、計測した差圧が適正な差圧の範囲内にない。または、基準圧から室内気圧を減算した差圧が+12Paであって、差圧の適正な値が+7Paである場合、計測した差圧が適正な差圧の値でない。)、コントローラ33は、ダンパ17の空気流路の開度を所定の開度に調節しつつ、差圧を適正な差圧の値にする(流量調節手段)。
モーターダンパ17では、コントローラ33から出力された開度制御信号によってモジュトロールモータが回転し、それによって旋回羽根32が所定角度に旋回する(室内気圧が適正な陽圧未満または負圧である場合は、旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)が小さくなり、室内気圧が適正な陽圧を超過している場合は、旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)が大きくなる)。旋回羽根32が所定角度に旋回すると、モーターダンパ17の空気流路の開度が変わり、空気流路を通過する空気の流量が変更され(S−6)、それによってクリーンルーム12の室内気圧が基準圧よりも高い適正な陽圧に保持される。
なお、中空管34から常時伝達される基準圧に対してコントローラ33は、クリーンルーム12の室内気圧が常時適正な陽圧になるように(差圧が適正な差圧の範囲内になるように、または、差圧が適正な差圧の値になるように)、モーターダンパ17の旋回羽根32の旋回角度を調節する。クリーンルーム12の室内気圧が適正な陽圧に保持された後、コントローラ33は、システム10A(方法)を停止するかを判断する(S−3)。システム10Aを続行する場合、コントローラ33は、ステップ1(S−1)に戻り、クリーンルーム12の室内気圧をリアルタイムかつ連続的に計測し、基準圧をリアルタイムかつ連続的に計測し、ステップ1からの手順を繰り返す。
室内気圧調節システム10Aおよび室内気圧調節方法は、中空管38から伝達されたクリーンルーム12の室内気圧と中空管34から伝達された基準圧との差圧を計測し、計測した室内気圧と基準圧との差圧に基づいて、コントローラ33(モーターダンパ17)が基準圧に対する室内気圧を適正な陽圧に保持(計測した差圧を適正な差圧の範囲内に保持、または、計測した差圧を適正な差圧の値に保持)するために空気の排気量を調節するから、クリーンルーム12の室内気圧を基準圧よりも高い適正な陽圧に常時保持することができる。
室内気圧調節システム10Aおよび室内気圧調節方法は、建造物11の屋外における空気の基準圧の計測に一方向へ長い長尺の可撓性を有する中空管23が使用され、風の影響によって空気第1出入口42,45A,45Bを有する検出端部35の近傍の気圧が変動したとしても、中空管34の内部の圧力抵抗によって気圧の変動に対する中空管34内部における静圧の振幅の変動が検出端部35から接続端部37に向かって次第に小さくなるとともに、気圧の変動に対する中空管34内部における静圧の周期が検出端部35から接続端部37に向かって次第に長くなるから、気圧の変動に対して中空管34内部の静圧を安定化させることができ、基準圧の不規則かつ急激な変化を防ぐことができるとともに、コントローラ33(モーターダンパ17)に安定した基準圧を伝達することができる。
室内気圧調節システム10Aおよび室内気圧調節方法は、空気第1出入口42,45A,45Bを有する検出端部35の近傍において気圧が変動したとしても、中空管34によって安定した基準圧が伝達されるから、不規則かつ急激に変化する基準圧を使用することによるモーターダンパ17の調節動作(制御動作)の誤作動や過作動を防止することができるとともに、基準圧に対するクリーンルーム12の室内気圧を適正な陽圧に確実に保持することができ、外部からクリーンルーム12への空気の流入を防ぐことができる。
次に、クリーンルーム12の室内気圧を変動させる変動原因の発生時における室内気圧のコントロールの一例を説明すると、以下のとおりである。なお、変動原因が発生する以前におけるクリーンルーム12の室内気圧は、コントローラ33によって適正な陽圧に保持されている。また、発生した変動原因がなくなった場合、上述した変動原因の非発生時における室内気圧のコントロールによってクリーンルーム12の室内気圧が適正な陽圧の範囲内に保持される。
給排気ファン15,16が稼働中に、給気ファン15の風量が初期設定のそれよりも増加し、または、排気ファン16の風量が初期設定のそれよりも減少し、クリーンルーム12の室内気圧が基準圧に対して必要以上に陽圧になった場合(たとえば、基準圧から室内気圧を減算した差圧が+20Paであって、差圧の適正な範囲が+5〜+10Paである場合、計測した差圧が適正な差圧の範囲内にない。または、基準圧から室内気圧を減算した差圧が+20Paであって、差圧の適正な値が+7Paである場合、計測した差圧が適正な差圧の値でない。)、コントローラ33は、計測した差圧が適正な差圧の範囲内となる室内気圧または計測した差圧が適正な差圧の値となる室内気圧を決定し、クリーンルーム12の室内気圧が決定した室内気圧になるようにモーターダンパ17の旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)を調節する(流量調節手段)。モーターダンパ17では、そのダンパ開度が大きくなり、空気流路を通過する空気の流量(排気量)が大きくなってクリーンルーム12の室内気圧が適正な陽圧の範囲内または適正な陽圧の値に保持される。
給排気ファン15,16が稼働中に、給気ファン15の風量が初期設定のそれよりも減少し、または、排気ファン16の風量が初期設定のそれよりも増加し、クリーンルーム12の室内気圧が基準圧に対して適正な陽圧未満になった場合(たとえば、基準圧から室内気圧を減算した差圧が+3Paであって、差圧の適正な範囲が+5〜+10Paである場合、計測した差圧が適正な差圧の範囲内にない。)、または、負圧になった場合(たとえば、基準圧から室内気圧を減算した差圧が−2Paであって、差圧の適正な範囲が+5〜+10Paである場合、計測した差圧が適正な差圧の範囲内にない。または、差圧の適正な値が+7Paである場合、計測した差圧が適正な差圧の値でない。)、コントローラ33は、計測した差圧が適正な差圧の範囲内となる室内気圧または計測した差圧が適正な差圧の値となる室内気圧を決定し、クリーンルーム12の室内気圧が決定した室内気圧になるようにモーターダンパ17の旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)を調節する(流量調節手段)。モーターダンパ17では、そのダンパ開度が小さくなり、空気流路を通過する空気の流量(排気量)が小さくなってクリーンルーム12の室内気圧が適正な陽圧の範囲内または適正な陽圧の値に保持される。
クリーンルーム12に設置された扉27が開扉され、前記気圧比較手段によって比較した結果、クリーンルーム12の室内気圧が適正な陽圧未満または負圧になった場合、コントローラ33は、計測した差圧が適正な差圧の範囲内となる室内気圧または計測した差圧が適正な差圧の値となる室内気圧を決定し、クリーンルーム12の室内気圧が決定した室内気圧になるようにモーターダンパ17の旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)を調節する(流量調節手段)。モーターダンパ17では、そのダンパ開度が小さくなり、空気流路を通過する空気の流量(排気量)が小さくなってクリーンルーム12の室内気圧が適正な陽圧の範囲内または適正な陽圧の値に保持される。
開扉されていた扉27が閉扉され、前記気圧比較手段によって比較した結果、クリーンルーム12の室内気圧が基準圧に対して必要以上に陽圧になった場合、コントローラ33は、計測した差圧が適正な差圧の範囲内となる室内気圧または計測した差圧が適正な差圧の値となる室内気圧を決定し、クリーンルーム12の室内気圧が決定した室内気圧になるようにモーターダンパ17の旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)を調節する(流量調節手段)。モーターダンパ17では、そのダンパ開度が大きくなり、空気流路を通過する空気の流量(排気量)が大きくなってクリーンルーム12の室内気圧が適正な陽圧の範囲内または適正な陽圧の値に保持される。
停止中の局所排気装置24が稼働し、または、稼動中の局所給気装置25が停止し、前記気圧比較手段によって比較した結果、クリーンルーム12の室内気圧が基準圧に対して必要以上に陽圧になった場合、コントローラ33は、計測した差圧が適正な差圧の範囲内となる室内気圧または計測した差圧が適正な差圧の値となる室内気圧を決定し、クリーンルーム12の室内気圧が決定した室内気圧になるようにモーターダンパ17の旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)を調節する(流量調節手段)。モーターダンパ17では、そのダンパ開度が大きくなり、空気流路を通過する空気の流量(排気量)が大きくなってクリーンルーム12の室内気圧が適正な陽圧の範囲内または適正な陽圧の値に保持される。
停止中の局所給気装置25が稼動し、または、稼動中の局所排気装置24が停止し、前記気圧比較手段によって比較した結果、クリーンルーム12の室内気圧が適正な陽圧未満または負圧になった場合、コントローラ33は、計測した差圧が適正な差圧の範囲内となる室内気圧または計測した差圧が適正な差圧の値となる室内気圧を決定し、クリーンルーム12の室内気圧が決定した室内気圧になるようにモーターダンパ17の旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)を調節する(流量調節手段)。モーターダンパ17では、そのダンパ開度が小さくなり、空気流路を通過する空気の流量(排気量)が小さくなってクリーンルーム12の室内気圧が適正な陽圧の範囲内または適正な陽圧の値に保持される。
室内気圧調節システム10Aおよび室内気圧調節方法は、各種の変動原因によってクリーンルーム12の室内気圧が変動し、室内気圧が適正な陽圧の範囲から外れたとしても、計測した室内気圧と基準圧との差圧に基づいて、基準圧に対する室内気圧を陽圧に保持するために、コントローラ33がモーターダンパ17の空気流路における空気の流量を調節するから、クリーンルーム12の室内気圧を速やかに適正な陽圧の範囲または適正な陽圧の値にすることができる。
図7は、他の一例として示す室内気圧調節システム10Bの構成図である。図7に示すシステム10Bが図1のそれと異なるところは、中空管34が2つの検出端部35A,35Bと2つの中間部36A,36Bとを有する点、一方の検出端部35Aが第1の方角における屋外に設置され、他方の検出端部35Bが第1の方角とは反対の第2の方角に設置されている点にあり、その他の構成要素は図1のシステム10Aと同一であるから、図1と同様の符号を付すとともに、図1の説明を援用し、このシステム10Bにおけるその他の構成要素の詳細な説明は省略する。なお、図7では、2つの検出端部35A,35Bおよび2つの中間部36A,36Bを図示しているが、中空管34が3つ以上の検出端部35および3つ以上の中間部36を有する場合もある。
室内気圧調節システム10B(室内気圧調節方法)は、給気ダクト13および排気ダクト14と、給気ファン15および排気ファン16と、モーターダンパ17および基準圧伝達装置18とを備えている。基準圧計測器具18は、図1のそれと同様に、長さ方向へ長い長尺の中空管34から形成され、建造物11の屋外における気圧(基準圧)をコントローラ33に伝達する。中空管34は、断面形状が円形のホースであり、曲げ延ばしが自在な可撓性を有する。中空管34は、空気第1出入口42,45A,45Bを備えた検出端部35と、中間部36と、空気第2出入口を備えた接続端部37とを有する。中空管34は、検出端部35と中間部36と接続端部37とにおいてそれら部35〜37の内部における気圧の伝達が遮断されないように設置されている。
中間部36は、接続端部37から分岐する2つの第1中間部36Aと第2中間部36Bとから形成されている。それら中間部36A,36Bは、コイル状に巻かれている。検出端部35は、それら中間部36A,36Bにつながる2つの第1検出端部35Aと第2検出端部35Bとから形成されている。一方の検出端部35Aは、第1の方角(たとえば、建造物11の北側)における建造物11近傍の屋外に設置され、他方の検出端部35Bは、第1の方角とは反対の第2の方角(たとえば、建造物11の南側)における建造物11近傍の屋外に設置されている。それら中間部36A,36Bおよび接続端部37は、建造物11の屋内に設置されている。
中空管34における空気第1出入口42,44A,44Bや空気第2出入口は、図1のシステム10Aにおいて説明したそれらと同一である(図2,3参照)。図3の空気第1出入口44A,44Bを採用した場合の出入口44A,44Bの開口面積は、図1のシステム10Aにおいて説明したそれと同一である。中空管34の検出端部(35Aまたは35B)から接続端部37までの長さや中空管34の検出端部35A,35Bと中間部36A,36Bと接続端部37との内径Lは、図1のシステム10Aにおいて説明したそれらと同一である。
このシステム10Bの基準圧計測器具18では、屋外に吹く風の影響によって空気第1出入口42,44A,44Bを備えたそれら検出端部35A,35Bの近傍の気圧が変動し、出入口42,44A,44Bに接する空気の気圧が大きく変化したとしても、中空管34の圧力抵抗により、中空管34内部の静圧の振幅の変動が検出端部35A,35Bから接続端部37に向かって次第に小さくなるとともに、中空管34内部の静圧の周期が検出端部35A,35Bから接続端部37に向かって次第に長くなり、屋外に吹く風の影響による気圧変動に対して中空管34内部の静圧が安定化するとともに、2つの検出端部35A,35Bや2つの中間部36A,36Bによって静圧が平均化される。したがって、中空管34では、気圧変動に対してそれら検出端部35A,35Bや端部35A,35B近傍のそれら中間部36A,36Bにおける静圧が不安定となったとしても、接続端部37や端部37近傍の中間部36A,36Bにおける静圧が安定し、安定かつ平均化した基準圧が計測される。
図6を援用してこのシステム10Bにおける変動原因の非発生時の室内気圧コントロールの一例を説明すると以下のとおりである。なお、このシステム10Bにおける変動原因の非発生時の室内気圧コントロールの詳細については、図6のフローチャートを参照して説明した図1のシステム10Aの具体例を援用する。また、クリーンルーム12の室内気圧を変動させる変動原因の発生時における室内気圧のコントロールは図1のシステム10Aにおいて説明したそれと同一であるから、図1のシステム10Aの説明を援用することで、その説明は省略する。
屋外の基準圧は、中空管34から微差圧センサ(微差圧計)にリアルタイムかつ連続的に伝達され、クリーンルーム12の室内気圧は、中空管38から微差圧センサにリアルタイムかつ連続的に伝達される。微差圧センサは、室内気圧と基準圧との差圧をリアルタイムかつ連続的に計測し(たとえば、基準圧から室内気圧を減算、または、室内気圧から基準圧を減算)、計測した差圧をコントローラ33に転送する(差圧計測手段)(S−1)。コントローラ33は、差圧が適正な範囲内にあるかを判断する(差圧判断手段)(S−2)。または、差圧が適正な値であるかを判断する(差圧判断手段)(S−2)。コントローラ33は、差圧判断手段によって判断した結果、差圧が適正な差圧の範囲内にある場合、または、差圧が適正な差圧の値である場合、モーターダンパ17の旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)を現状のまま維持する。
ステップ2(S−2)においてコントローラ33は、差圧判断手段によって判断した結果、差圧が適正な差圧の範囲内にない場合、または、差圧が適正な差圧の値でない場合、基準圧に対してクリーンルーム12の室内気圧が適正な陽圧の範囲内になるように(差圧が適正な差圧の範囲内になるように、または、差圧が適正な差圧の値になるように)、モーターダンパ17の旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)を微調節するフィードバック制御(制御動作)を実行し、開度制御信号をダンパ17に出力し(S−4)、ダンパ17の空気流路の開度を所定の開度に調節する(流量調節手段)。モーターダンパ17では、その空気流路を通過する空気の流量が変更され(S−5)、それによってクリーンルーム12の室内気圧が基準圧よりも高い適正な陽圧の範囲または適正な陽圧の値に保持される。
室内気圧調節システム10Bおよび室内気圧調節方法は、図1のシステム10A(方法)が有する効果に加え、以下の効果を有する。システム10Bおよび方法は、2つの中間部36A,36Bおよび2つの検出端部35A,35Bにおいて2箇所の基準圧を計測し、計測した2箇所の基準圧の平均を採ることができるから、基準圧を平均化することができ、1つ箇所において基準圧を計測することによる基準圧の偏りを防ぐことができる。
図8は、他の一例として示す室内気圧調節システム10Cの構成図である。図8に示すシステム10Cが図1のそれと異なるところは、中空管34が2つの検出端部35と2つの中間部36A,36Bとを有する点、検出端部35が中間部36A,36Bから2つに分岐している点、一方の検出端部35A,35Bが第1の方角における屋外に設置され、他方の検出端部35C,35Dが第1の方角とは反対の第2の方角に設置されている点にあり、その他の構成要素は図1のシステム10Aと同一であるから、図1と同様の符号を付すとともに、図1の説明を援用し、このシステム10Cにおけるその他の構成要素の詳細な説明は省略する。なお、図8では、中間部36から2つに分岐する検出端部35を図示しているが、検出端部35が中間部36から3つ以上に分岐する場合もある。
室内気圧調節システム10C(室内気圧調節方法)は、給気ダクト13および排気ダクト14と、給気ファン15および排気ファン16と、モーターダンパ17および基準圧伝達装置18とを備えている。基準圧計測器具18は、図1のそれと同様に、長さ方向へ長い長尺の中空管34から形成され、建造物11の屋外における気圧(基準圧)をコントローラ33に伝達する。中空管34は、断面形状が円形のホースであり、曲げ延ばしが自在な可撓性を有する。中空管34は、空気第1出入口42,45A,45Bを備えた検出端部35と、中間部36と、空気第2出入口を備えた接続端部37とを有する。中空管34は、検出端部35と中間部36と接続端部37とにおいてそれら部35〜37の内部における気圧の伝達が遮断されないように設置されている。
中間部36は、接続端部37から分岐する2つの第1中間部36Aと第2中間部36Bとから形成されている。それら中間部36A,36Bは、コイル状に巻かれている。検出端部35は、それら中間部36A,36Bにつながって中間部36A,36Bから2つに分岐する第1および第2検出端部35A,35Bと第3および第4検出端部35C,35Dとから形成されている。一方の検出端部35A,35Bは、第1の方角(たとえば、建造物の北側)における建造物近傍の屋外に設置され、他方の検出端部35C,35Dは、第1の方角とは反対の第2の方角(たとえば、建造物の南側)における建造物近傍の屋外に設置されている。それら中間部36A,36Bおよび接続端部37は、建造物11の屋内に設置されている。
中空管34における空気第1出入口42,44A,44Bや空気第2出入口は、図1のシステム10Aにおいて説明したそれらと同一である(図2,3参照)。図3の空気第1出入口44A,44Bを採用した場合の出入口44A,44Bの開口面積は、図1のシステム10Aにおいて説明したそれと同一である。中空管34の検出端部(35A〜35D)から接続端部37までの長さや中空管34の検出端部35A〜35Dと中間部36A,36Bと接続端部37との内径Lは、図1のシステム10Aにおいて説明したそれらと同一である。
この基準圧計測器具18では、屋外に吹く風の影響によって空気第1出入口42,44A,44Bを備えたそれら検出端部35A〜35Dの近傍の気圧が変動し、出入口42,44A,44Bに接する空気の気圧が大きく変化したとしても、中空管34の圧力抵抗により、中空管34内部の静圧の振幅の変動が検出端部35A〜35Dから接続端部37に向かって次第に小さくなるとともに、中空管34内部の静圧の周期が検出端部35A〜35Dから接続端部37に向かって次第に長くなり、屋外に吹く風の影響による気圧変動に対して中空管34内部の静圧が安定化するとともに、それら検出端部35A〜35Dやそれら中間部36A,36Bによって静圧が平均化される。したがって、中空管34では、気圧変動に対してそれら検出端部35A〜35Dや端部35A〜35D近傍のそれら中間部36A,36Bにおける静圧が不安定となったとしても、接続端部37や端部37近傍の中間部36A,36Bにおける静圧が安定し、安定かつ平均化した基準圧が計測される。
図6のフローチャートにおいて説明した図1のシステム10Aの具体例や図6のフローチャートを援用して説明した図7のシステム10Bの例を援用することで、このシステム10Cにおける変動原因の非発生時の室内気圧コントロールの説明は省略する。また、クリーンルーム12の室内気圧を変動させる変動原因の発生時における室内気圧のコントロールは図1のシステム10Aにおいて説明したそれと同一であるから、図1のシステム10Aの説明を援用することで、その説明は省略する。
室内気圧調節システム10Cおよび室内気圧調節方法は、図1のシステム10A(方法)が有する効果に加え、以下の効果を有する。システム10Cおよび方法は、検出端部35A,35Bのうちの一方が何らかの原因によって閉塞し、または、検出端部35C,35Dのうちの一方が何らかの原因によって閉塞したとしても、他方の検出端部35A〜35Dによって基準圧を計測することができ、検出端部35A〜35Dが閉塞することによる基準圧の計測不能を防ぐことができる。また、2つの中間部36A,36Bおよび2つの検出端部35A,35Bにおいて2箇所の基準圧を計測し、計測した2箇所の基準圧の平均を採ることができるから、基準圧を平均化することができ、1つ箇所において基準圧を計測することによる基準圧の偏りを防ぐことができる。
図9は、他の一例として示す室内気圧調節システム10Dの構成図である。図9に示すシステム10Dが図1のそれと異なるところは、検出端部35とコイル状に巻かれた中間部36とが筐体47の内部に収容されている点にあり、その他の構成要素は図1のシステム10Aと同一であるから、図1と同様の符号を付すとともに、図1の説明を援用し、このシステム10Cにおけるその他の構成要素の詳細な説明は省略する。
室内気圧調節システム10D(室内気圧調節方法)は、給気ダクト13および排気ダクト14と、給気ファン15および排気ファン16と、モーターダンパ17および基準圧伝達装置18とを備えている。基準圧計測器具18は、図1のそれと同様に、長さ方向へ長い長尺の中空管34から形成され、建造物11の屋外における気圧(基準圧)をコントローラ33に伝達する。中空管34は、断面形状が円形のホースであり、曲げ延ばしが自在な可撓性を有する。中空管34は、空気第1出入口42,45A,45Bを備えた検出端部35と、中間部36と、空気第2出入口を備えた接続端部37とを有する。中空管34は、その中間部36がコイル状に巻かれている。中空管34では、検出端部35と中間部36とが筐体47(箱)の内部に収容され、接続端部37が筐体47から外側に露出している。中空管34は、検出端部35と中間部36と接続端部37とにおいてそれら部35〜37の内部における気圧の伝達が遮断されないように設置されている。
筐体47は、建造物11近傍の屋外に設置されている。なお、筐体47が建造物の屋内に設置される場合がある。筐体47は、四角形の壁が互いに直交する六面体の箱であり、互いに対向する頂底壁48,49と、それら頂底壁48,49の間に延びる前後壁50,51と、頂底壁48,49の間に延びる両側壁52,53とから形成されている。前壁50や後壁51には、空気が通る矩形の空気流通窓54が作られている。筐体47は、空気流通窓54から進入した空気が空気流通窓64から外部に流出する。ゆえに、筐体47は、通気性を有する。空気流通窓64は、前後壁50,51のみならず、両側壁52,53に作られていてもよい。
中空管34における空気第1出入口42,44A,44Bや空気第2出入口は、図1のシステム10Aにおいて説明したそれらと同一である(図2,3参照)。図3の空気第1出入口44A,44Bを採用した場合の出入口44A,44Bの開口面積は、図1のシステム10Aにおいて説明したそれと同一である。中空管34の検出端部35から接続端部37までの長さや中空管34の検出端部35と中間部36と接続端部37との内径Lは、図1のシステム10Aにおいて説明したそれらと同一である。
図7に示すシステム10Bの各中空管34(基準圧計測器具18)が筐体47の内部に収容されていてもよい。この場合、検出端部35Aおよび中間部36Aが第1の筐体47に収容され、検出端部35Bおよび中間部36Bが第2の筐体47に収容される。図8に示すシステム10Cの各中空管34(基準圧計測器具18)が筐体47の内部に収容されていてもよい。この場合、検出端部35A,35Bおよび中間部36Aが第1の筐体47に収容され、検出端部35C,35Dおよび中間部36Bが第2の筐体47に収容される。
このシステム10Dの基準圧計測器具18では、屋外に吹く風の影響によって空気第1出入口42,44A,44Bを備えた検出端部35の近傍の気圧が変動し、出入口42,44A,44Bに接する空気の気圧が大きく変化したとしても、中空管34の圧力抵抗により、中空管34内部の静圧の振幅の変動が検出端部35から接続端部37に向かって次第に小さくなるとともに、中空管34内部の静圧の周期が検出端部35から接続端部37に向かって次第に長くなり、屋外に吹く風の影響による気圧変動に対して中空管34内部の静圧が安定化するとともに、検出端部35や中間部36によって静圧が平均化される。したがって、中空管34では、気圧変動に対してそれら検出端部35や端部35近傍のそれら中間部36における静圧が不安定となったとしても、接続端部37や端部37近傍の中間部36における静圧が安定し、安定かつ平均化した基準圧が計測される。
図6のフローチャートにおいて説明した図1のシステム10Aの具体例を援用することで、このシステム10Dにおける変動原因の非発生時の室内気圧コントロールの説明は省略する。また、クリーンルーム12の室内気圧を変動させる変動原因の発生時における室内気圧のコントロールは図1のシステム10Aにおいて説明したそれと同一であるから、図1のシステム10Aの説明を援用することで、その説明は省略する。
室内気圧調節システム10Dおよび室内気圧調節方法は、図1のシステム10A(方法)が有する効果に加え、以下の効果を有する。システム10Dおよび方法は、検出端部35と中間部36とが筐体47に収容されていない場合と比較し、空気第1出入口42,44A,44Bを備えた検出端部35が受ける風の影響を筐体47によって緩和することができるから、空気第1出入口42,44A,44Bから出入する空気量の大きな変動を防ぐことができ、中空管34内部の静圧の不規則かつ急激な変化を防ぐことができる。
図10は、他の一例として示す室内気圧調節システム10Eの構成図である。図10に示すシステム10Eが図1のそれと異なるところは、2つのクリーンルーム12A,12Bの室内気圧をコントロールする点、ヘッダーパイプ56を介して基準圧が分配される点にあり、その他の構成要素は図1のシステム10Aと同一であるから、図1と同様の符号を付すとともに、図1の説明を援用し、このシステム10Eにおけるその他の構成要素の詳細な説明は省略する。なお、図10では2室のクリーンルーム12A,12Bを図示しているが、クリーンルームを2室に限定するものではなく、3室以上のクリーンルームに対してこのシステム10Eの室内気圧コントロールを適用することもできる。
室内気圧調節システム10E(室内気圧調節方法)は、建造物11の屋外の空気を第1および第2クリーンルーム12A,12Bに供給する給気ダクト13と、それらクリーンルーム12A,12Bから建造物11の屋外に空気を排出する排気ダクト14と、それらクリーンルーム12A,12Bに空気を給気する給気ファン15(給気装置)と、それらクリーンルーム12A,12Bから空気を排気する排気ファン16(排気装置)と、第1および第2モーターダンパ17A,17Bおよび基準圧伝達装置18とを備えている。
それらクリーンルーム12A,12Bは、所定容積の気密な空調空間を有し、天井19、床20、前後壁21,22、側壁23によって室外と仕切られている。クリーンルーム12Aとクリーンルーム12Bとは、仕切り壁55によって仕切られている。それらクリーンルーム12A,12Bには、室内の空気を部分的に排気する局所排気装置24が設置され、空気を室内に部分的に給気する局所給気装置25が設置されている。前壁21には、クリーンルーム12Aに出入りするための扉27Aが設置され、後壁22には、クリーンルーム12Bに出入りするための扉27Cが設置されている。仕切り壁55には、クリーンルーム12Aからクリーンルーム12Bに出入りするための扉27Bが設置されている。このシステム10Eでは、その稼働中にクリーンルーム12A,12Bの室内気圧が厳密に管理され、室内気圧が基準圧よりも高い適正範囲の陽圧に保持されている。
給気ダクト13は、クリーンルーム12A,12Bの天井19に施設された給気口につながり、建造物11の屋外とクリーンルーム12A,12Bとを連結している。排気ダクト14は、クリーンルーム12A,12Bの側壁23に施設された排気口26につながり、建造物11の屋外とクリーンルーム12A,12Bとを連結している。給気ファン15は、給気ダクト13に設置され、所定量の空気をクリーンルーム12A,12Bに強制的に給気する。排気ファン16は、排気ダクト14に設置され、所定量の空気をクリーンルーム12A,12Bから強制的に排気する。
モーターダンパ17A,17Bは、クリーンルーム12A,12Bと排気ファン16との間に延びる排気ダクト14に設置されている。モーターダンパ17A,17Bでは、旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)によってクリーンルーム12A,12Bから排気される空気の流量を調節する。なお、モーターダンパ17A,17Bがクリーンルーム12A,12Bと給気ファン15との間に延びる給気ダクト13に設置されていてもよい。この場合は、旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)によってクリーンルーム12A,12Bに給気される空気の流量を調節する。
モーターダンパ17A,17Bには、コントローラ33A,33B(制御装置)が附属している。それらコントローラ33A,33Bには、基準圧計測器具18が接続されている。コントローラ33A,33Bの主記憶装置には、クリーンルーム12A,12Bの室内気圧に対する適正な陽圧(室内気圧よりも高い適正な気圧)の値(適正な範囲の陽圧値または適正な1つの陽圧値)が格納されている。コントローラ33の主記憶装置には、クリーンルーム12A,12Bの室内気圧とモーターダンパ17A,17Bの空気流路を通過する空気量との相関関係が格納され、室内気圧に対応する空気量とその空気量に対応するモーターダンパ17A,17Bの旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)との相関関係が格納されている。
コントローラ33A,33Bは、モーターダンパ17A,17Bの旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)を所定の角度(所定の開度)に設定または所定の角度を変更する開度制御信号をダンパ17A,17Bに出力することで、空気流路の開度を所定の開度に調節する。モーターダンパ17A,17Bでは、コントローラ33A,33Bから出力された開度制御信号によってモジュトロールモータが回転し、それによって旋回羽根32が所定角度に旋回する。旋回羽根32が所定角度に旋回すると、ダンパ17A,17Bの空気流路の開度が変わり、空気流路を通過する空気の流量が変更されてクリーンルーム12A,12Bの室内気圧が変わる。
それらクリーンルーム12A,12Bでは、稼働中の給排気ファン15,16のうちの少なくとも一方の風量変化、クリーンルーム12A,12Bに設置された扉27A〜27Cの開閉、クリーンルーム12A,12Bに設置された停止中の局所排気装置24または局所給気装置25の稼動、稼動中の局所排気装置24または局所給気装置25の停止のうちの少なくとも1つの変動原因によってその室内気圧が大きく変動する。
基準圧計測器具18は、図1のそれと同様に、長さ方向へ長い長尺の中空管34から形成され、建造物11の屋外における気圧(基準圧)をコントローラ33A,33Bに伝達する。中空管34は、断面形状が円形のホースであり、曲げ延ばしが自在な可撓性を有する。中空管34は、空気第1出入口42,45A,45Bを備えた検出端部35と、コイル状に巻かれた中間部36と、空気第2出入口を備えた接続端部37とを有する。中間部36および接続端部37は、建造物11の屋内に設置されている。
中間部36から延びる接続端部37は、ヘッダーパイプ56(分配器)に接続された後、ヘッダーパイプ56から2つに分岐している。ヘッダーパイプ56から分岐した一方の接続端部37は、コントローラ33Aに接続され、他方の接続端部37は、コントローラ33Bに接続されている。ヘッダーパイプ56は、中空管34によって伝達される基準圧をそれらコントローラ33A,33Bに分配する。中空管34は、検出端部35と中間部36と接続端部37とにおいてそれら部35〜37の内部における気圧の伝達が遮断されないように設置されている。
それらコントローラ33A,33Bには、中空管34の他に、クリーンルーム12A,12Bの室内気圧を伝達する中空管38が設置されている。中空管38は、その一端部39がクリーンルーム12A,12Bの室内に設置手段を介してずれ動きがないように設置され、その他端部40がコントローラ33A,33Bに接続されている。中空管38の一端部39や他端部40には、開口が形成されている。
中空管34における空気第1出入口42,44A,44Bや空気第2出入口は、図1のシステム10Aにおいて説明したそれらと同一である(図2,3参照)。図3の空気第1出入口44A,44Bを採用した場合の出入口44A,44Bの開口面積は、図1のシステム10Aにおいて説明したそれと同一である。中空管34の検出端部35から接続端部37までの長さや中空管34の検出端部35と中間部36と接続端部37との内径Lは、図1のシステム10Aにおいて説明したそれらと同一である。
このシステム10Eの基準圧計測器具18では、屋外に吹く風の影響によって空気第1出入口42,44A,44Bを備えた検出端部35の近傍の気圧が変動し、出入口42,44A,44Bに接する空気の気圧が大きく変化したとしても、中空管34の圧力抵抗により、中空管34内部の静圧の振幅の変動が検出端部35から接続端部37に向かって次第に小さくなるとともに、中空管34内部の静圧の周期が検出端部35から接続端部37に向かって次第に長くなり、屋外に吹く風の影響による気圧変動に対して中空管34内部の静圧が安定化する。したがって、中空管34では、気圧変動に対してそれら検出端部35や端部35近傍のそれら中間部36における静圧が不安定となったとしても、接続端部37や端部37近傍の中間部36における静圧が安定し、安定した基準圧が計測される。
図6を援用してこのシステム10Eにおける変動原因の非発生時の室内気圧コントロールの一例を説明すると以下のとおりである。なお、このシステム10Eにおける変動原因の非発生時の室内気圧コントロールの詳細については、図6のフローチャートを参照して説明した図1のシステム10Aの具体例を援用する。また、クリーンルーム12A,12Bの室内気圧を変動させる変動原因の発生時における室内気圧のコントロールは図1のシステム10Aにおいて説明したそれと同一であるから、図1のシステム10Aの説明を援用することで、その説明は省略する。
屋外の基準圧は、中空管34から微差圧センサ(微差圧計)にリアルタイムかつ連続的に伝達され、クリーンルーム12の室内気圧は、中空管38から微差圧センサにリアルタイムかつ連続的に伝達される。微差圧センサは、室内気圧と基準圧との差圧をリアルタイムかつ連続的に計測し(たとえば、基準圧から室内気圧を減算、または、室内気圧から基準圧を減算)、計測した差圧をコントローラ33A,33Bに転送する(差圧計測手段)(S−1)。コントローラ33A,33Bは、差圧が適正な範囲内(あらかじめ設定された差圧の適正な範囲内)にあるかを判断する(差圧判断手段)(S−2)。または、差圧が適正な値(あらかじめ設定された差圧の適正な値)であるかを判断する(差圧判断手段)(S−2)。コントローラ33A,33Bは、差圧判断手段によって判断した結果、差圧が適正な差圧の範囲内にある場合、または、差圧が適正な差圧の値である場合、モーターダンパ17A,17Bの旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)を現状のまま維持する。
ステップ2(S−2)においてコントローラ33A,33Bは、差圧判断手段によって判断した結果、差圧が適正な差圧の範囲内にない場合、または、差圧が適正な差圧の値でない場合、基準圧に対してクリーンルーム12A,12Bの室内気圧が適正な陽圧の範囲内になるように(差圧が適正な差圧の範囲内になるように、または、差圧が適正な差圧の値になるように)、モーターダンパ17A,17Bの旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)を微調節するフィードバック制御(制御動作)によって開度制御信号をダンパ17に出力し(S−4)、ダンパ17A,17Bの空気流路の開度を所定の開度に調節する(流量調節手段)。モーターダンパ17A,17Bでは、その空気流路を通過する空気の流量が変更され(S−5)、それによってクリーンルーム12A,12Bの室内気圧が基準圧よりも高い適正な陽圧の範囲または適正な陽圧の値に保持される。
室内気圧調節システム10Eおよび室内気圧調節方法は、中空管38から伝達されたクリーンルーム12A,12Bの室内気圧と中空管34から伝達された基準圧との差圧を計測し、計測した室内気圧と基準圧との差圧に基づいて、コントローラ33A,33B(モーターダンパ17A,17B)が基準圧に対する室内気圧を適正な陽圧に保持(計測した差圧を適正な差圧の範囲内に保持、または、計測した差圧を適正な差圧の値に保持)するために空気の排気量を調節するから、クリーンルーム12A,12Bの室内気圧を基準圧よりも高い適正な陽圧に常時保持することができる。
室内気圧調節システム10Eおよび室内気圧調節方法は、建造物11の屋外における空気の基準圧の計測に一方向へ長い長尺の可撓性を有する中空管23が使用され、風の影響によって空気第1出入口42,45A,45Bを有する検出端部35の近傍の気圧が変動したとしても、中空管34の内部の圧力抵抗によって気圧の変動に対する中空管34内部における静圧の振幅の変動が検出端部35から接続端部37に向かって次第に小さくなるとともに、気圧の変動に対する中空管34内部における静圧の周期が検出端部35から接続端部37に向かって次第に長くなるから、気圧の変動に対して中空管34内部の静圧を安定化させることができ、基準圧の不規則かつ急激な変化を防ぐことができるとともに、コントローラ33A,33B33(モーターダンパ17A,17B)に安定した基準圧を伝達することができる。
室内気圧調節システム10Eおよび室内気圧調節方法は、空気第1出入口42,45A,45Bを有する検出端部35の近傍において気圧が変動したとしても、中空管34によって安定した基準圧が伝達されるから、不規則かつ急激に変化する基準圧を使用することによるモーターダンパ17A,17Bの調節動作(制御動作)の誤作動や過作動を防止することができるとともに、基準圧に対するクリーンルーム12A,12Bの室内気圧を適正な陽圧に確実に保持することができ、外部からクリーンルーム12A,12Bへの空気の流入を防ぐことができる。
図11は、他の一例として示す室内気圧調節システム10Fの構成図である。図11に示すシステム10Fが図10のそれと異なるところは、中空管34が2つの検出端部35A,35Bと2つの中間部36A,36Bとを有する点、一方の検出端部35Aが第1の方角における屋外に設置され、他方の検出端部35Bが第1の方角とは反対の第2の方角に設置されている点にあり、その他の構成要素は図11のシステム10Eと同一であるから、図1や図11と同様の符号を付すとともに、図1や図11の説明を援用し、このシステム10Fにおけるその他の構成要素の詳細な説明は省略する。
室内気圧調節システム10F(室内気圧調節方法)は、給気ダクト13および排気ダクト14と、給気ファン15および排気ファン16と、モーターダンパ17A,17Bおよび基準圧伝達装置18とを備えている。基準圧計測器具18は、図1のそれと同様に、長さ方向へ長い長尺の中空管34から形成され、建造物11の屋外における気圧(基準圧)をコントローラ33A,33Bに伝達する。中空管34は、断面形状が円形のホースであり、曲げ延ばしが自在な可撓性を有する。中空管34は、空気第1出入口42,45A,45Bを備えた検出端部35と、中間部36と、空気第2出入口を備えた接続端部37とを有する。
中間部36は、接続端部37から分岐する2つの第1中間部36Aと第2中間部36Bとから形成されている。それら中間部36A,36Bは、コイル状に巻かれている。検出端部35は、それら中間部36A,36Bにつながる2つの第1検出端部35Aと第2検出端部35Bとから形成されている。一方の検出端部35Aは、第1の方角(たとえば、建造物11の北側)における建造物11近傍の屋外に設置され、他方の検出端部35Bは、第1の方角とは反対の第2の方角(たとえば、建造物11の南側)における建造物11近傍の屋外に設置されている。それら中間部36A,36Bおよび接続端部37は、建造物11の屋内に設置されている。
中間部36から延びる接続端部37は、ヘッダーパイプ56(分配器)に接続された後、ヘッダーパイプ56から2つに分岐している。ヘッダーパイプ56から分岐した一方の接続端部37は、コントローラ33Aに接続され、他方の接続端部37は、コントローラ33Bに接続されている。ヘッダーパイプ56は、中空管34によって伝達される基準圧をそれらコントローラ33A,33Bに分配する。中空管34は、検出端部35と中間部36と接続端部37とにおいてそれら部35〜37の内部における気圧の伝達が遮断されないように設置されている。
中空管34における空気第1出入口42,44A,44Bや空気第2出入口は、図1のシステム10Aにおいて説明したそれらと同一である(図2,3参照)。図3の空気第1出入口44A,44Bを採用した場合の出入口44A,44Bの開口面積は、図1のシステム10Aにおいて説明したそれと同一である。中空管34の検出端部(35Aまたは35B)から接続端部37までの長さや中空管34の検出端部35A,35Bと中間部36A,36Bと接続端部37との内径Lは、図1のシステム10Aにおいて説明したそれらと同一である。
このシステム10Eの基準圧計測器具18では、屋外に吹く風の影響によって空気第1出入口42,44A,44Bを備えた検出端部35の近傍の気圧が変動し、出入口42,44A,44Bに接する空気の気圧が大きく変化したとしても、中空管34の圧力抵抗により、中空管34内部の静圧の振幅の変動が検出端部35A,35Bから接続端部37に向かって次第に小さくなるとともに、中空管34内部の静圧の周期が検出端部35A,35Bから接続端部37に向かって次第に長くなり、屋外に吹く風の影響による気圧変動に対して中空管34内部の静圧が安定化するとともに、検出端部35A,35Bや中間部36A,36Bによって静圧が平均化される。したがって、中空管34では、気圧変動に対してそれら検出端部35A,35Bや端部35A,35B近傍のそれら中間部36A,36Bにおける静圧が不安定となったとしても、接続端部37や端部37近傍の中間部36A,36Bにおける静圧が安定し、安定かつ平均化した基準圧が計測される。
図6のフローチャートにおいて説明した図1のシステム10Aの具体例や図6のフローチャートを援用して説明した図11のシステム10Eの例を援用することで、このシステム10Fにおける変動原因の非発生時の室内気圧コントロールの説明は省略する。また、クリーンルーム12A,12Bの室内気圧を変動させる変動原因の発生時における室内気圧のコントロールは図1のシステム10Aにおいて説明したそれと同一であるから、図1のシステム10Aの説明を援用することで、その説明は省略する。
室内気圧調節システム10Fおよび室内気圧調節方法は、図11のシステム10E(方法)が有する効果に加え、以下の効果を有する。システム10Fおよび方法は、2つの中間部36A,36Bおよび2つの検出端部35A,35Bにおいて2箇所の基準圧を計測し、計測した2箇所の基準圧の平均を採ることができるから、基準圧を平均化することができ、1つ箇所において基準圧を計測することによる基準圧の偏りを防ぐことができる。