添付の図面を参照し、本発明に係る給気装置の詳細を説明すると、以下のとおりである。図1,2は、給気装置13を含む室圧制御システム10Aの一例を示す構成図であり、図3は、一例として示す給気装置13の構成図である。図4,5は、逆止弁ダンパ18aを備えた排気ユニット19aの一例を示す部分破断斜視図であり、図6,7は、排気ユニット19aの部分破断側面図である。図1は、クリーンルーム11,12(給気対象室)を上方から示し、図2は、クリーンルーム11,12を側方から示す。図4,6は、旋回羽根29によって排気ユニット19aの空気流路27が閉鎖された状態を示す。図5では、旋回羽根29が旋回して排気ユニット19aの空気流路27を開放し、空気流路27に所定面積の開口(空気排出口)が形成されている。図7は、旋回羽根29が略90度旋回した状態を示す。
室圧制御システム10Aは、所定容積を有するクリーンルーム11,12に空気(外気)を供給する給気装置13と、クリーンルーム11,12から空気を排出する排気装置14とから形成されている。クリーンルーム11,12は、その四方を天井および床と、各側壁とに囲繞されている。天井には、空気をクリーンルーム11,12内に取り入れるための給気口(図示せず)が施設されている。側壁には、クリーンルーム11,12内から空気を排出するためのガラリ排気口15が施設されている。側壁には、クリーンルーム11,12に出入りするためのドア16が設置されている。クリーンルーム11,12の室内気圧は、あらかじめ設定された目標室内気圧に保持される。システム10Aでは、図1,2に矢印A1で示すように、クリーンルーム11,12の内部へ所定量の空気が供給され、矢印A2で示すように、クリーンルーム11,12から所定量の空気が排出される。
なお、給気対象室としてクリーンルーム11,12を例示しているが、給気対象室をクリーンルーム11,12に限定するものではなく、給気対象室としてあらゆる室が含まれる。また、2つのクリーンルーム11,12(給気対象室)を図示しているが、給気対象室を2つに限定するものではなく、1つまたは3つ以上の給気対象室に室圧制御システム10Aや給気装置13を適用することができる。また、クリーンルーム11,12の目標室内気圧に特に限定はなく、クリーンルーム11,12の用途や容積等によって目標室内気圧を適宜設定することができる。
給気装置13は、クリーンルーム11,12につながる金属製の給気ダクト17と、給気ダクト17内の空気をダクト17外に逃がす逆止弁ダンパ18aを備えた金属製の排気ユニット19aと、給気ダクト17を通る空気の所定量をクリーンルーム11,12に強制的に送り込む給気用送風機20(送風機)と、クリーンルーム11,12に供給する空気を一定に保持する定風量ユニット21とを有する。排気ユニット19aは、空気取込口22と給気用送風機20との間に延びる給気ダクト17aに設置され、ダクト17aの下方へ向かって延びている。給気用送風機20は、排気ユニット19aと定風量ユニット21との間に延びる給気ダクト17に設置されている。定風量ユニット21は、送風機20とクリーンルーム11,12との間に延びる給気ダクト17に設置されている。
給気装置13では、空気取込口22からクリーンルーム11,12に向かって、排気ユニット19a、給気用送風機20、定風量ユニット21の順に並んでいる。給気用送風機20は、インターフェイスを介してコントローラ(図示せず)に接続されている。コントローラは、給気用送風機20の出力を設定されたそれに保持し、送風機20から送り出される空気の圧力および量を一定に保持する。空気取込口22から取り込まれた空気(外気)は、ダクト17aを通って給気用送風機20に流入し、送風機20からダクト17bを通って定風量ユニット21に進入した後、ユニット21からダクト17を通ってクリーンルーム11,12に流入する。なお、この実施の形態では給気装置13が定風量ユニット21を備えているが、給気装置13に定風量ユニット21が含まれていなくてもよい。
排気ユニット19aは、給気ダクト17の周面に取り付けられた中空状の金属ダクトであり、第1〜第4側壁23〜26を有する四角柱状に成形されている(図4,5参照)。排気ユニット19aは、給気ダクト17aの側に位置する基端開口とその反対側に位置する先端開口とを有し、その内部に空気流路27が形成されている。空気流路27には、逆止弁ダンパ18aが設置されている。逆止弁ダンパ18aは、給気ダクト17aを通る空気の圧力に応じてダクト17a内の空気をダクト17a外に逃がす。
逆止弁ダンパ18aは、排気ユニット19aに回転可能に取り付けられた回転軸28(軸)と、回転軸28に取り付けられて排気ユニット19aの空気流路27を開閉する旋回羽根29と、回転軸28に取り付けられて排気ユニット19aの空気流路27を閉鎖する方向へ旋回羽根29を旋回させる所定重量の錘30と、ストッパー31とを有する。回転軸28は、排気ユニット19aの第1および第3側壁23,25に回転可能に取り付けられている。回転軸28は、空気流路27に延びる内側部分32と、第1側壁23を貫通して排気ユニット19aの外側に延びる外側部分33と、外側部分33から径方向外方に延びる錘支持棒34とを有する。
旋回羽根29は、排気ユニット19aの空気流路27と略同一の面積を有する四角形の金属板であり、回転軸28の内側部分32に旋回可能に取り付けられている。旋回羽根29は、回転軸28の回転によって空気流路27を閉鎖する方向と流路27を開放する方向とへ旋回する。ストッパー31は、金属板から作られ、第4側壁26の内側に取り付けられて側壁26から空気流路27に向かって延びている。旋回羽根29の先端部分がストッパー31に当接すると、羽根29のそれ以上の旋回が停止する。
したがって、屋外からの空気が排気ユニット19aの先端開口から進入しつつ、空気流路27を通って給気ダクト17a内に進入しようとしたとしても、旋回羽根29によって排気ユニット19aの空気流路27が閉鎖されたときにその羽根29のそれ以上の旋回がストッパー31によって阻止され、羽根29がストッパー31の上方へ旋回することはないから、排気ユニット19aの空気流路27に開口(空気逆流口)が形成されることはなく、排気ユニット19aから給気ダクト17aへの外気の逆流を防ぐことができる。
錘支持棒34は、回転軸28の外側部分33の先端に着脱可能に取り付けられている。錘支持棒34の基端部には、装着リング35が取り付けられている。支持棒34を回転軸28に取り付けるには、リング35を回転軸28の外側部分33に嵌め込んだ後、ビス36によってそのリング35を外側部分33に固定する。ビス36を取り外し、装着リング35を外側部分33から抜き取ることによって支持棒34を回転軸28の外側部分33から取り外すことができる。
錘30は、金属を円盤状に成形したものであり、その中央に円形の挿入口が形成されている。錘30は、錘支持棒34に着脱可能に取り付けられている。錘30の両側には、固定リング37が配置されている。錘30を錘支持棒34に取り付けるには、支持棒34に一方の固定リング37を嵌め込んだ後、錘30の挿入口を支持棒34に挿入し、さらに、他方の固定リング37を支持棒34に嵌め込み、それらリング37で錘を挟み、ビス38によってそれらリング37を支持棒34に固定する。支持棒34におけるリング37の固定位置を変えることによって、支持棒34における錘30の取り付け位置を調節することができる。ビス38を取り外し、リング37や錘30を支持棒34から抜き取ることによってリング37や錘30を支持棒34から取り外すことができる。
図6に示す旋回羽根29が空気流路27を閉じた状態または図7に示す旋回羽根29が略90度旋回した状態において、錘30は、回転軸28の中心を通る仮想垂直線Nの左方に位置する。したがって、錘30は、その重量によって排気ユニット19aの空気流路27を閉鎖する方向へ旋回羽根29を旋回させる。旋回羽根29は、錘30によって排気ユニット19aの空気流路27を閉鎖する方向へ常時付勢されている。
定風量ユニット21は、図示はしていないが、モータダンパおよび風速センサと、制御装置と、それらを収容する筐体とから形成されている。モータダンパは、モジュトロールモータと、モータの駆動力によって旋回する旋回羽根と、旋回羽根の旋回によって開閉される空気流路とから形成されている。定風量ユニット21の制御装置は、演算処理を行う中央処理部と各種条件を記憶可能なメモリ(記憶部)とを有するマイクロプロセッサであり、モジュトロールモータの回転を制御し、空気流路に対するモータダンパの旋回羽根の開度(旋回角度)を調節して空気流路を通過する空気量を調節する。制御装置には、各種条件を入力するための入力装置、入力確認のための表示装置がインターフェイスを介して接続されている(図示せず)。モータダンパでは、制御装置からの制御信号によってモジュトロールモータが回転するとともに旋回羽根が所定角度に旋回する。モータダンパには、平行翼ダンパまたは対向翼ダンパを使用することができる。
定風量ユニット21の制御装置のメモリには、クリーンルーム11,12の目標室内気圧と、定風量ユニット21を通過する空気通過量との相関関係が格納され、目標室内気圧に対応する空気通過量と、その空気通過量に対応するモータダンパの旋回羽根の開度との相関関係が格納されている。目標室内気圧は、入力装置によって自由に設定変更することができる。定風量ユニット21の制御装置は、目標室内気圧が入力されると、メモリに格納された相関関係に基づいて目標室内気圧に対応する空気流路における空気通過量を決定し、空気流路を通過する空気通過量が決定したそれになるように、相関関係に基づいてモータダンパの旋回羽根の開度を決定した後、旋回羽根の開度を決定したそれに保持する。
定風量ユニット21は、給気ダクト17bの内部気圧の変動に対してユニット21内を通る空気通過量を目標室内気圧に対応するそれに調節し、クリーンルーム11,12へ供給する空気量を一定に保持する。具体的には以下のとおりである。定風量ユニット21の制御装置は、風速センサから出力された風速からモータダンパの空気流路を通る空気通過量を演算し、演算した空気通過量と目標室内気圧に対応する空気通過量とを比較する。演算した空気通過量が目標室内気圧に対応するそれよりも多い場合、制御装置は、モータダンパの旋回羽根の開度を小さくし、空気流路を通過する空気通過量を少なくする。制御装置は、旋回羽根の開度を小さくした後、演算した空気通過量が目標室内気圧に対応するそれの範囲に入ると、そのときの旋回羽根の開度を維持する。演算した空気通過量が目標室内気圧に対応するそれよりも少ない場合、制御装置は、モータダンパの旋回羽根の開度を大きくし、空気流路を通過する空気通過量を多くする。制御装置は、旋回羽根の開度を大きくした後、演算した空気通過量が目標室内気圧に対応するそれの範囲に入ると、そのときの旋回羽根の開度を維持する。
排気装置14は、クリーンルーム11,12につながる金属製の排気ダクト39と、クリーンルーム11,12から所定量の空気を強制的に排出する排気用送風機40と、クリーンルーム11,12から排出する空気を一定に保持する定風量ユニット41とを有する。排気用送風機40は、インターフェイスを介してコントローラ(図示せず)に接続されている。コントローラは、送風機40の出力を設定されたそれに保持し、送風機40から送り出される空気の圧力および量を一定に保持する。
排気ダクト39は、床の下方に配置され、側壁に施設されたガラリ排気口15と屋外に施設された排気口42との間に延びている。排気ダクト39は、排気口15から流出した空気を屋外に搬送する。排気用送風機40および定風量ユニット41は、排気ダクト39に取り付けられている。排気装置14では、クリーンルーム111,12から排気口42に向かって、定風量ユニット41、給気用送風機40の順に並んでいる。ガラリ排気口15から流出した空気は、定風量ユニット41に流入し、ユニット41からダクト39を通って排気用送風機40に流入した後、送風機40からダクト39を通り、排気口42から屋外に排気される。
定風量ユニット41は、給気ダクト17に設置された定風量ユニット21と同一であり、モータダンパおよび風速センサと、制御装置と、それらを収容する筐体とから形成されている。モータダンパは、定風量ユニット21のそれと同一であり、モジュトロールモータと、モータの駆動力によって旋回する旋回羽根と、旋回羽根の旋回によって開閉される空気流路とから形成されている。定風量ユニット41の制御装置のメモリには、クリーンルーム11,12の目標室内気圧と、定風量ユニット41を通過する空気通過量との相関関係が格納され、目標室内気圧に対応する空気通過量と、その空気通過量に対応するモータダンパの旋回羽根の開度との相関関係が格納されている。
定風量ユニット41は、排気ダクト39の内部気圧の変動に対してユニット41内を通る空気通過量を目標室内気圧に対応するそれに調節し、クリーンルーム11,12から排気する空気量を一定に保持する。演算した空気通過量が目標室内気圧に対応するそれよりも多い場合、定風量ユニット41の制御装置は、モータダンパの旋回羽根の開度を小さくし、空気流路を通過する空気通過量を少なくする。演算した空気通過量が目標室内気圧に対応するそれよりも少ない場合、制御装置は、モータダンパの旋回羽根の開度を大きくし、空気流路を通過する空気通過量を多くする。
屋外に位置する空気取込口22の外側近傍で強い風が吹くと、その風の影響で空気取込口22から給気ダクト17a内へ多量かつ余分な空気が一気に進入する場合がある。空気取込口22から多量の空気が進入すると、その空気が給気ダクト17aを通って給気用送風機29の内部に流入し、送風機20から供給される空気の圧力を押し上げ、送風機20に設定された空気の圧力および量を大幅に上回る圧力および量の空気が定風量ユニット21に流入する場合がある。定風量ユニット21では、モータダンパの旋回羽根の開度を調節することで、そこを通る空気の通過量を一定に保持するが、一度に多量の空気が急激に流入すると、モータダンパがそれに追い付かず、ユニット21を通って多量の空気がクリーンルーム11,12内に流入する場合があり、クリーンルーム11,12内を目標室内気圧に保持することができない場合がある。
しかし、このシステム10Aにおける給気装置13では、一度に多量の空気が給気ダクト17a内に進入したとしても、排気ユニット19aがその空気をダクト17a外に逃がすから、給気用送風機20に多量の空気が不定期かつ不規則に流入することはなく、送風機20に流入する空気の量を一定に保持することができる。具体的には以下のとおりである。空気取込口22の外側に吹く風の影響で多量の空気が空気取込口22から給気ダクト17a内へ進入すると、その空気が給気ダクト17aを通って排気ユニット19aに進入し、図4,5に矢印L1で示すように、排気ユニット19aの基端開口からユニット19a内に流入した空気が旋回羽根29の上面に向かって流動し、その空気圧によって羽根29に所定の押圧力が作用する。旋回羽根29の上面に向かって流動する空気は、錘30の重量に抗して回転軸28を図6,7に矢印L2で示す時計回り方向へ回転させるように旋回羽根29を押圧する。
排気ユニット19aの逆止弁ダンパ18aでは、給気ダクト17a内の第1設定圧力と錘30とが釣り合うように錘30の重量が調節されている。錘30の重量の調節は、重量の異なる錘30を錘支持棒34に取り付ける場合と支持棒34に対する錘30の固定位置を変更する場合との少なくとも一方によって行われる。第1設定圧力を高くする場合は、錘30の重量そのものを増加させてもよく、図6に矢印L3で示すように、錘支持棒34における錘30の固定位置を回転軸28から離間する方向へずらしてもよい。第1設定圧力を低くする場合は、錘30の重量そのものを減少させてもよく、図6に矢印L4で示すように、錘支持棒34における錘30の固定位置を回転軸28に近接する方向へずらしてもよい。第1設定圧力は、5Pa〜20Paの範囲、好ましくは、5Pa〜10Paの範囲に設定される。
空気取込口22から給気ダクト17a内へ進入した空気の影響によって給気ダクト17a内の空気の圧力が錘30の重量(錘30の重量を空気圧に変換した第1設定圧力)よりも大きくなると、旋回羽根29が錘30の重量に抗して排気ユニット19aの空気流路27を開放する方向へ旋回する(回転軸28が時計回り方向へ回転する)。旋回羽根29が空気流路27を開放する方向へ旋回すると、空気流路27に所定面積の開口43(空気排出口)が形成され、図5に矢印L1で示すように、空気がその開口43を通って先端開口から屋外に排気される。空気が先端開口から屋外に排気され、給気ダクト17a内の空気の圧力が錘30の重量(第1設定圧力)よりも小さくなると、錘30の重量によって旋回羽根29が空気流路27を閉鎖する方向へ旋回し(回転軸28が図6,7に矢印L5で示す反時計回り方向へ回転する)、旋回羽根29によって空気流路27が閉鎖される。空気流路27が閉鎖された状態では、旋回羽根29の先端部がストッパー31に当接し、羽根29のそれ以上の旋回がストッパー31によって阻止される。
給気装置13は、空気取込口22の外側に吹く風の影響で多量かつ余分な空気が給気ダクト17aに進入し、それによってダクト17a内の気圧が第1設定圧力を超えると、錘30の重量に抗して旋回羽根29が排気ユニット19aの空気流路27を開放するから、ダクト17aに進入した空気を排気ユニット19aを介してダクト17a外に逃がすことができ、ダクト17a内の気圧の急激な上昇を防ぐことができる。給気装置13は、排気ユニット19aを利用することで、多量の空気が不定期かつ不規則に給気用送風機20内に流入することはなく、一定圧かつ一定量の空気を安定して送風機20に流入させることができ、送風機20からクリーンルーム11,12(定風量ユニット21)に供給する空気を一定に保持することができる。給気装置13は、給気ダクト17a内の気圧が第1設定圧力の範囲内に戻ると、錘30の重量によって旋回羽根29が排気ユニット19aの空気流路27を閉鎖するから、必要以上の空気がダクト17a外に排気されることはなく、給気用送風機20内への空気の流入減を防ぐことができる。
一定圧かつ一定量の空気を安定して給気用送風機20に流入させるには給気ダクト17a内が負圧に保持される必要があるが、この給気装置13は、第1設定圧力が5Pa〜20Paの範囲、好ましくは、5Pa〜10Paの範囲にあるから、空気取込口22から給気ダクト17aに多量かつ余分な空気が進入したとしても、逆止弁ダンパ18aの旋回羽根29が迅速に旋回して空気を排気ユニット19aからダクト17a外に速やかに逃がすことができ、ダクト17a内の空気の圧力が陽圧になることを確実に防ぐことができる。
図8は、他の一例として示す給気装置13の構成図であり、図9は、逆止弁ダンパ18bを含む排気ユニット19bの他の一例を示す斜視図である。図10は、排気ユニット19bの部分破断斜視図である。図9は、旋回羽根48によって排気ユニット19bの空気流路45が閉鎖された状態を示す。図10では、旋回羽根48が旋回して排気ユニット19bの空気流路45を開放し、空気流路45に所定面積の開口50(空気排出口)が形成されている。
この排気ユニット19bは、空気取込口22と給気用送風機20との間に延びる給気ダクト17aに設置され、ダクト17aの上方へ向かって延びている。排気ユニット19bは、給気ダクト17aの周面に取り付けられた中空状のダクトであり、周壁44を有する円筒状に成形されている(図9,10参照)。排気ユニット19bは、給気ダクト17aの側に位置する基端開口とその反対側に位置する先端開口とを有し、その内部に空気流路45が形成されている。なお、排気ユニット19bは、空気取込口22から進入した空気の給気ダクト17aにおける流動方向に設置されている。換言すれば、空気取込口22から進入した空気が旋回羽根48に直接衝突するように設置されている。
空気流路45には、逆止弁ダンパ18bが設置されている。逆止弁ダンパ18bは、給気ダクト17aを通る空気の圧力に応じてダクト17a内の空気をダクト17a外に逃がす。逆止弁ダンパ18bは、排気ユニット19bに固定された支持板46に回転可能に取り付けられた軸47(蝶番)と、軸47に取り付けられて排気ユニット19bの空気流路45を開閉する旋回羽根48と、ストッパー49とを有する。旋回羽根48は、排気ユニット19bの空気流路45と略同一の面積を有する略円形の金属板であり、軸47に旋回可能に取り付けられている。旋回羽根48は、軸47を中心に空気流路45を閉鎖する方向と流路45を開放する方向とへ旋回する。ストッパー49は、金属板から作られ、周壁44の内側に取り付けられて周壁44から空気流路45に向かって延びている。旋回羽根48の周縁部がストッパー49に当接すると、羽根48の旋回が停止する。
したがって、屋外からの空気が排気ユニット19bの先端開口から進入しつつ、空気流路45を通って給気ダクト17aに進入しようとしたとしても、旋回羽根48によって排気ユニット19bの空気流路45が閉鎖されたときにその羽根48のそれ以上の旋回がストッパー49によって阻止され、羽根48がストッパー49の下方へ旋回することはないから、排気ユニット19bの空気流路45に開口が形成されることはなく、排気ユニット19bから給気ダクト17aへの外気の逆流を防ぐことができる。
旋回羽根48は、その自重(旋回羽根48の重量)によって排気ユニット19bの空気流路45を閉鎖する方向へ旋回する。屋外に位置する空気取込口22の外側近傍で強い風が吹くと、その風の影響で空気取込口22から給気ダクト17a内へ多量かつ余分な空気が進入する場合がある。空気取込口22から多量の空気が進入すると、その空気が給気ダクト17aを通って排気ユニット19bに進入し、図9に矢印L6で示すように、排気ユニット19bの基端開口からユニット19b内に流入した空気が旋回羽根48の下面に向かって流動し、その空気圧によって羽根48に所定の押圧力が作用する。旋回羽根48の下面に向かって流動する空気は、羽根48の重量に抗して羽根48を図10に矢印L7で示す時計回り方向へ回転させるように羽根48を押圧する。
この逆止弁ダンパ18bでは、給気ダクト17a内の第1設定圧力と旋回羽根48とが釣り合うように羽根48の重量が調節されている。第1設定圧力を高くする場合は、旋回羽根48の重量を増加させる。第1設定圧力を低くする場合は、旋回羽根48の重量を減少させる。第1設定圧力は、5Pa〜20Paの範囲、好ましくは、5Pa〜10Paの範囲に設定される。なお、この排気ユニット19bは、空気取込口22から進入した空気が旋回羽根48に直接衝突するように設置されているから、給気ダクト17a内の圧力(静圧)+空気の流れの運動エネルギー(動圧)によって逆止弁ダンパ18bが作動する。
空気取込口22から給気ダクト17a内へ進入した空気の影響によって給気ダクト17a内の空気の圧力が旋回羽根48の重量(羽根48の重量を空気圧に変換した第1設定圧力)よりも大きくなると、羽根48がその重量に抗して空気流路45を開放する方向へ旋回する(羽根48が時計回り方向へ回転する)。旋回羽根48が空気流路45を開放する方向へ旋回すると、空気流路45に所定面積の開口50(空気排出口)が形成され、図10に矢印L8で示すように、空気がその開口50を通って先端開口から屋外に排気される。空気が先端開口から屋外に排気され、給気ダクト17a内の空気の圧力が旋回羽根48の重量(第1設定圧力)よりも小さくなると、羽根48の重量によって羽根48が空気流路45を閉鎖する方向へ旋回し(羽根48が図10に矢印L9で示すように反時計回り方向へ旋回する)、羽根48によって空気流路45が閉鎖される。空気流路45が閉鎖された状態では、旋回羽根48の周縁部がストッパー49に当接し、羽根48のそれ以上の旋回がストッパー49によって阻止される。
給気装置13は、空気取込口22の外側に吹く風の影響で多量かつ余分な空気が給気ダクト17aに進入し、それによってダクト17a内の気圧が第1設定圧力を超えると、旋回羽根48の重量に抗して羽根48が排気ユニット19bの空気流路45を開放するから、ダクト17aに進入した空気を排気ユニット19bを介してダクト17a外に逃がすことができ、ダクト17a内の気圧の急激な上昇を防ぐことができる。給気装置13は、排気ユニット19bを利用することで、多量の空気が不定期かつ不規則に給気用送風機20内に流入することはなく、一定圧かつ一定量の空気を安定して送風機20に流入させることができ、送風機20からクリーンルーム11,12(定風量ユニット21)に供給する空気を一定に保持することができる。給気装置13は、給気ダクト17a内の気圧が第1設定圧力の範囲内に戻ると、旋回羽根48の重量によって羽根48が排気ユニット19bの空気流路45を閉鎖するから、必要以上の空気がダクト17a外に排気されることはなく、給気用送風機20内への空気の流入減を防ぐことができる。
給気装置13は、第1設定圧力が5Pa〜20Paの範囲、好ましくは、5Pa〜10Paの範囲にあるから、空気取込口22から給気ダクト17aに多量かつ余分な空気が進入したとしても、逆止弁ダンパ18bの旋回羽根48が迅速に旋回して空気を排気ユニット19bからダクト17a外に速やかに逃がすことができ、ダクト17a内の空気の圧力が陽圧になることを確実に防ぐことができる。
図11,12は、給気装置13を含む室圧制御システム10Bの他の一例を示す構成図であり、図13は、他の一例として示す給気装置13の構成図である。図11は、クリーンルーム11,12(給気対象室)を上方から示し、図12は、クリーンルーム11,12を側方から示す。この室圧制御システム10Bは、図1のそれと同様に、所定容積を有するクリーンルーム11,12に空気(外気)を供給する給気装置13と、クリーンルーム11,12から空気を排出する排気装置13とから形成されている。
このシステム10Bが図1のそれと異なるのは、給気用送風機に流入する空気の量を調節するモータダンパ51と給気ダクト17aを通る空気の圧力を測定する圧力センサ52とを有する点にあり、その他の構成は図1のシステム10Aのそれと同一であるから、図1と同一の符号を付すことでこのシステム10Bにおけるその他の構成の説明は省略する。給気装置13は、給気ダクト17や排気ユニット19a、給気用送風機20(送風機)、定風量ユニット21に加え、モータダンパ51と圧力センサ52とを備えている。なお、給気装置13に定風量ユニット21が含まれなくてもよいことは図1のシステム10Aと同様である。
モータダンパ51は、排気ユニット19aと給気用送風機20との間に延びる給気ダクト17aに設置されている。圧力センサ51は、モータダンパ51と給気用送風機20との間に延びる給気ダクト17aに設置されている。この給気装置13では、空気取込口22からクリーンルーム11,12に向かって、排気ユニット19a、モータダンパ51、圧力センサ52、給気用送風機20、定風量ユニット21の順に並んでいる。定風量ユニット21は、給気ダクト17bの内部気圧の変動に対してユニット17b内を通る空気量を調節し、クリーンルーム11,12へ供給する空気量を常時一定に保持する。空気取込口22から取り込まれた空気(外気)は、モータダンパ51を通って給気用送風機20に流入し、送風機20からダクト17を通って定風量ユニット21に進入した後、ユニット21からダクト17を通ってクリーンルーム11,12へ流入する。
モータダンパ51は、定風量ユニット21,41のそれと同様に、モジュトロールモータ(図示せず)と、モータの回転を制御する(モータダンパ51の旋回羽根54の開度を調節する)制御装置53と、モータの駆動力によって旋回する旋回羽根54と、羽根54の旋回によって開閉される空気流路55とから形成されている。モータダンパ51の制御装置53は、演算処理を行う中央処理部と各種条件を記憶可能なメモリ(記憶部)とを有するマイクロプロセッサである。モータダンパ51では、制御装置53からの制御信号によってモジュトロールモータが回転するとともに旋回羽根54が所定角度に旋回し、空気流路55に対する羽根54の開度を調整して流路55を通過する空気量を調節する。制御装置53には、各種条件を入力するための入力装置、入力確認のための表示装置がインターフェイスを介して接続されている。圧力センサ52は、インターフェイスを介してモータダンパ51の制御装置53に接続されている。
モータダンパ51の旋回羽根54の旋回速度は、1〜5s/Full Scaleの範囲にある。旋回速度が5s/Full Scaleを超えると、モータダンパ51のレスポンスが低下し、空気取込口22から給気ダクト17aに空気が進入して測定圧力が急激に上がったときに、旋回羽根54の旋回がそれに迅速に対応することができず、給気用送風機20に多量の空気が流入してしまう場合がある。モータダンパ51では、旋回羽根54の旋回速度が1〜5s/Full Scaleの範囲にあるから、測定圧力が急激に上がったとしても、羽根54の旋回がそれに迅速に対応する。
モータダンパ51の旋回羽根54の開度を小さくしたときの羽根54の最小開度は、3〜5%の範囲、好ましくは、5%に設定されている。したがって、旋回羽根54の開度を最小にしたとしても、羽根54が全閉(開度0%)になることはない。開度3〜5%は、旋回羽根54が全開のときを開度100%とし、その開度に対する割合である。たとえば、開度5%では、羽根全開100%に対して5%だけ開いた状態を示す。
モータダンパ51の制御装置53のメモリには、給気ダクト17aの第2設定圧力が格納されている。なお、第2設定圧力は、入力装置によって自由に設定変更することができる。第2設定圧力は、−40Pa〜40Paの範囲、好ましくは、−30Pa〜30Paの範囲、より好ましくは、−20Pa〜20Paの範囲に設定される。なお、給気ダクト17a内の第1設定圧力(錘30の重量を空気圧に変換した圧力)は、5Pa〜20Paの範囲、好ましくは、5Pa〜10Paの範囲に設定され、第2設定圧力のプラス側の設定値よりも低く設定される(第1設定圧力(+)>第2設定圧力(+))。
制御装置53のCPUは、オペレーティングシステムによる制御に基づいてメモリに格納されたアプリケーションプログラムを起動し、そのアプリケーションプログラムに従って以下の各手段を実行する。制御装置53のCPUは、圧力センサ52から出力された測定圧力とあらかじめ設定された給気ダクト17a内の第2設定圧力とを比較する圧力比較手段を実行する。制御装置53のCPUは、測定圧力と第2設定圧力とを比較した結果、測定圧力が第2設定圧力の範囲から外れている場合、モータダンパ51の旋回羽根54の開度を調節して測定圧力を第2設定圧力の範囲内に戻す圧力制御手段を実行する。
測定圧力が第2設定圧力の範囲から外れているとは、測定圧力が第2設定圧力の範囲を超過している場合と測定圧力が第2設定圧力の範囲未満の場合とがある。測定圧力が第2設定圧力の範囲を超過している場合、制御装置53は、モータダンパ51の旋回羽根54が最小開度(開度3〜5%)でなければ、羽根54の開度を小さくし、ダンパ51の空気流路55を通る空気の量を減少させる。測定圧力が第2設定圧力の範囲未満の場合、制御装置53は、モータダンパ51の旋回羽根54が全開(開度100%)でなければ、羽根54の開度を大きくし、ダンパ51の空気流路55を通る空気の量を増加させる。測定圧力が第1設定圧力の範囲内にある場合、制御装置53は、モータダンパ51の旋回羽根54が全開であれば、羽根54の全開を保持する。または、羽根54が全開でなければ、そのときの羽根54の開度を保持する。
図14は、モータダンパ51の制御装置53が実行する各手段の一例を示すフローチャートである。図14のフローチャートに基づき、制御装置53によって実行される給気装置113のプロセスの一例を説明すると、以下のとおりである。室圧制御システム10Bを起動すると、各送風機20,40やモータダンパ51、圧力センサ52、定風量ユニット21,41が稼動する。圧力センサ52は、給気ダクト17a内を流れる空気の圧力を測定し、その測定圧力を制御装置53に出力する。
室圧制御システム10Bでは、図11,12に矢印A1で示すように、給気用送風機20を介して給気ダクト17からクリーンルーム11,12の内部へ所定量の空気が供給され、矢印A2で示すように、排気用送風機40を介してクリーンルーム11,12から排気ダクト39へ所定量の空気が排出される。システム10Bの運転開始時点では、第2設定圧力に対応する量の空気がモータダンパ51の空気流路55を通過するように、給気用送風機20の出力が調節されており、圧力センサ52から出力された測定圧力が第2設定圧力の範囲内にある。したがって、モータダンパ51はその旋回羽根54を開度全開(開度100%)で運転される(S−1)。
このシステム10Bでは、給気用送風機20と定風量ユニット21との間に延びる給気ダクト17bにおいて、そこを流れる空気に圧力変動が生じたとしても、定風量ユニット21によってダクト17bの空気通過量が一定に保持され、常時一定量の空気がクリーンルーム11,12に供給される。また、排気用送風機40と定風量ユニット41との間に延びる排気ダクト39において、そこを流れる空気に圧力変動が生じたとしても、定風量ユニット41によってダクト39の空気通過量が一定に保持され、常時一定量の空気がクリーンルーム11,12から排気される。
屋外に位置する空気取込口22の外側近傍で強い風が吹くと、その風の影響で空気取込口22から給気ダクト17a内へ多量かつ余分な空気が進入する場合がある。空気取込口22から多量の空気が進入すると、その空気が給気ダクト17aを通って給気用送風機20の内部に流入し、送風機20から供給される空気の圧力を押し上げ、送風機20に設定された空気の圧力および量を大幅に上回る圧力および量の空気が定風量ユニット21に流入する場合がある。定風量ユニット21では、モータダンパの旋回羽根の開度を調節することで、そこを通る空気の通過量を一定に保持するが、一度に多量の空気が流入すると、モータダンパがそれに追い付かず、ユニット21を通って多量の空気がクリーンルーム11,12内に流入する場合があり、クリーンルーム11,12内を目標室内気圧に保持することができない場合がある。
しかし、このシステム10Bにおける給気装置13では、モータダンパ51の制御装置53がダクト17aを通過する空気量(ダンパ51の空気流路55を通過する空気量)を監視し、ダクト17aを通る空気の量を一定に保持するから、給気用送風機20に多量の空気が不定期かつ不規則に流入することはない。具体的にモータダンパ51の制御装置53は、圧力センサ52から出力された測定圧力とメモリに格納した第2設定圧力とを比較する(圧力比較手段)(S−2)。次に、制御装置53は、測定圧力と第2設定圧力とを比較した結果、測定圧力が第2設定圧力の範囲内にあるかを判断する(S−3)。
モータダンパ51の制御装置53は、測定圧力が第2設定圧力の範囲内にあると判断すると、そのときの旋回羽根54の開度を保持(羽根54が全開であれば、全開を保持し、羽根54の開度が全開でなければ、その開度を保持する)した状態でシステム10Bを運転する。次に、制御装置53は、システム10Bを停止するかを判断する(S−4)。システム10Bの停止指示があると、制御装置53は、システム10Bの運転を停止する。システム10Bを継続して運転する場合、ステップ2(S−2)に戻って測定圧力と第1設定圧力とを比較し、ステップ2(S−2)からのプロセスを繰り返す。
第1設定圧力は第2設定圧力未満であり、たとえば、第2設定圧力のプラス側が11Pa以上に設定され、第1設定圧力が5Pa〜10Paに設定されている場合、風の影響で余分な空気が給気ダクト17aに進入したときのダクト17a内の気圧が第2設定圧力以内にあっても、ダクト17a内の気圧が錘30の重量(第1設定圧力)よりも大きくなる場合がある。この場合は、旋回羽根29が錘30の重量に抗して空気流路27を開放する方向へ旋回し、空気流路27に所定面積の開口43(空気排出口)が形成され、空気がその開口43を通って排気ダクト19aの先端開口から屋外に排気される。空気が先端開口から屋外に排気され、ダクト17a内の気圧が錘30の重量(第1設定圧力)よりも小さくなると、錘30の重量によって旋回羽根29が空気流路27を閉鎖する方向へ旋回し、羽根29によって空気流路27が閉鎖される。空気流路27が閉鎖された状態において旋回羽根29の先端部はストッパー31に当接している。
ステップ3(S−3)においてモータダンパ51の制御装置53は、測定圧力が第2設定圧力の範囲内にないと判断すると、測定圧力が第2設定圧力の範囲を超過している場合、旋回羽根54の開度が最小開度(開度3〜5%)であれば、その開度を保持し、羽根54の開度が最小開度(開度3〜5%)でなければ、羽根54の開度を小さくする(S−5)。
モータダンパ51の制御装置53は、給気ダクト17aの第2設定圧力と第2設定圧力に対応する空気通過量との相関関係、圧力センサ52から出力される各測定圧力とそれら測定圧力に対応する空気通過量との相関関係、測定圧力に対応する空気通過量から第2設定圧力に対応する空気通過量を差し引いた空気通過量に対応するモータダンパ51の旋回羽根54の開度(旋回角度)に基づいて、羽根54の開度を決定することもできる。この場合、制御装置53のメモリには、それら相関関係や羽根54の開度が格納されている。
具体的には以下のとおりである。制御装置53は、測定圧力が第2設定圧力の範囲を超過している場合、第2設定圧力と第2設定圧力に対応する空気通過量との相関関係に基づいて、第2設定圧力に対応する空気通過量を決定するとともに、測定圧力とその測定圧力に対応する空気通過量との相関関係に基づいて、圧力センサ52から出力された測定圧力に対応する空気通過量を決定する。測定圧力に対応する空気通過量は、第2設定圧力に対応する空気通過量よりも多い。
さらに、制御装置53は、測定圧力に対応する空気通過量から第2設定圧力に対応する空気通過量を差し引いた空気通過量を算出する。算出した空気通過量はプラスとなる。制御装置53は、測定圧力に対応する空気通過量から第2設定圧力に対応する空気通過量を差し引いた空気通過量に対応するモータダンパ51の旋回羽根54の開度に基づいて、算出した空気通過量に対応するモータダンパ51の羽根54の開度を決定する。なお、旋回羽根54の開度はマイナスになる。したがって、制御装置51は、旋回羽根54の開度が最小開度でなければ、羽根54の開度を小さくする(S−5)。
なお、測定圧力が第2設定圧力の範囲を超過すると、ダクト17a内の気圧が錘30の重量(第1設定圧力)よりも大きくなり、旋回羽根29が錘30の重量に抗して排気ダクト19aの空気流路27を開放する方向へ旋回し、空気流路27に所定面積の開口43が形成され、空気がその開口43を通って排気ダクト19aの先端開口から屋外に排気される。空気が先端開口から屋外に排気され、ダクト17a内の気圧が錘30の重量(第1設定圧力)よりも小さくなると、錘30の重量によって旋回羽根29が空気流路27を閉鎖する方向へ旋回し、羽根29によって空気流路27が閉鎖される。
モータダンパ51の制御装置53は、旋回羽根54の開度を最小開度に保持し、または、羽根54の開度を小さくした後、システム10Bを停止するかを判断する(S−4)。システム10Bの停止指示があると、制御装置53は、システム10Bの運転を停止する。システム10Bを継続して運転する場合、最小開度または小さくした開度を保持した状態でシステム10Bを運転し、ステップ2(S−2)に戻って圧力センサ52から出力された測定圧力とメモリに格納した第2設定圧力とを比較する(圧力比較手段)(S−2)。旋回羽根54の開度が最小開度または小さくなると、モータダンパ51の空気流路55を通過する空気量が減少し、測定圧力が低下して測定圧力が第2設定圧力の範囲内に復帰する(圧力制御手段)。ゆえに、空気取込口22から多量かつ余分な空気が給気ダクト17aに流入したとしても、給気用送風機20に流入する空気量を第2設定圧力に対応するそれに保持することができる。
ステップ3(S−3)においてモータダンパ51の制御装置53は、測定圧力が第2設定圧力の範囲内にないと判断すると、測定圧力が第2設定圧力の範囲未満である場合、旋回羽根54が全開(開度100%)であれば、その開度を保持し、羽根54が全開でなければ、羽根54の開度を大きくする(S−5)。
メモリに格納された各相関関係や羽根54の開度に基づいて、開度を決定する場合は以下のとおりである。制御装置51は、測定圧力が第2設定圧力の範囲未満である場合、第2設定圧力と第2設定圧力に対応する空気通過量との相関関係に基づいて、第2設定圧力に対応する空気通過量を決定するとともに、測定圧力とその測定圧力に対応する空気通過量との相関関係に基づいて、圧力センサ52から出力された測定圧力に対応する空気通過量を決定する。測定圧力に対応する空気通過量は、第2設定圧力に対応する空気通過量よりも少ない。
さらに、制御装置53は、測定圧力に対応する空気通過量から第2設定圧力に対応する空気通過量を差し引いた空気通過量を算出する。算出した空気通過量はマイナスとなる。制御装置53は、測定圧力に対応する空気通過量から第2設定圧力に対応する空気通過量を差し引いた空気通過量に対応するモータダンパ51の旋回羽根54の開度に基づいて、算出した空気通過量に対応するモータダンパ51の旋回羽根54の開度を決定する。なお、旋回羽根54の開度はプラスになる。したがって、制御装置53は、旋回羽根54が全開でなければ、羽根54の開度を大きくする(S−5)。
モータダンパ51の制御装置53は、旋回羽根54を全開に保持し、または、羽根54の開度を大きくした後、システム10Bを停止するかを判断する(S−4)。システム10Bの停止指示があると、制御装置51は、システム10Bの運転を停止する。システム10Bを継続して運転する場合、全開または大きくした開度を保持した状態でシステム10Bを運転し、ステップ2(S−2)に戻って圧力センサ52から出力された測定圧力とメモリに格納した第2設定圧力とを比較する(圧力比較手段)(S−2)。旋回羽根54の開度が全開または大きくなると、モータダンパ51の空気流路55を通過する空気量が増加し、測定圧力が上昇して測定圧力が第2設定圧力の範囲内に復帰する(圧力制御手段)。ゆえに、給気用送風機20内への空気の流入減を防ぐことができ、送風機20に流入する空気量を第2設定圧力に対応するそれに保持することができる。
空気取込口22の外側近傍に吹いていた風が納まり、空気取込口22から給気ダクト17aへの余分な空気の進入が停止すると、モータダンパ51の空気流路55を通過する空気量が旋回羽根54の開度を小さくした直後の空気流路55を通過するそれに比較して減少し、圧力センサ52から出力される測定圧力も低下する。測定圧力と第2設定圧力との比較(S−2)においてモータダンパ51の制御装置53は、ステップ3(S−3)において測定圧力が第2設定圧力の範囲内にあると判断すると、そのときの旋回羽根54の開度を保持した状態でシステム10Bを運転し、システム10Bを継続して運転する場合、ステップ2(S−2)に戻って測定圧力と第2設定圧力とを比較し、ステップ2(S−2)からのプロセスを繰り返す。なお、旋回羽根54の開度を小さくした後、圧力センサ52から出力される測定圧力が低下し、測定圧力が第2設定圧力の範囲未満になると、羽根54の開度を大きくする(S−5)。
モータダンパ51の制御装置53は、空気取込口22の外側近傍で再び風が吹き、その影響で多量かつ余分な空気が再び給気ダクト17aに進入し、測定圧力が第2設定圧力の範囲外になり、測定圧力が第2設定圧力を超過すると、旋回羽根54が最小開度でなければ、羽根54の開度を小さくする(S−5)。制御装置53は、旋回羽根54の開度を小さくした後、小さくした開度を保持した状態でシステム10Bを運転し、ステップ2(S−2)に戻って圧力センサ52から出力された測定圧力とメモリに格納した第2設定圧力とを比較する(圧力比較手段)(S−2)。この場合も、旋回羽根29が錘30の重量に抗して空気流路27を開放する方向へ旋回し、空気流路27に所定面積の開口43が形成され、空気がその開口43を通って排気ダクト19aの先端開口から屋外に排気される。
給気装置13は、空気取込口22の外側近傍に吹く風の影響で多量かつ余分な空気が給気ダクト17aに進入し、測定圧力が第2設定圧力の範囲を超過すると、モータダンパ51の旋回羽根54の開度を小さくするから、進入した空気の給気用送風機20内への流入を制限することができ、一定圧かつ一定量の空気を安定して送風機20に流入させることができるとともに、送風機20からクリーンルーム11,12(定風量ユニット21)に一定圧かつ一定量の空気を安定して流入させることができる。給気装置13は、測定圧力が第2設定圧力の範囲未満になると、モータダンパ51の旋回羽根54の開度が大きくなって給気用送風機20内への空気の流入減を防ぐから、一定圧かつ一定量の空気を安定して送風機20に流入させることができるとともに、送風機20からクリーンルーム11,12(定風量ユニット21)に一定圧かつ一定量の空気を安定して流入させることができる。給気装置13は、測定圧力が第2設定圧力の範囲に戻ると、そのときのモータダンパ51の旋回羽根54の開度を保持して給気用送風機20内への空気の流入減を防ぐから、一定圧かつ一定量の空気を安定して送風機20に流入させることができるとともに、送風機20からクリーンルーム11,12(定風量ユニット21)に一定圧かつ一定量の空気を安定して流入させることができる。給気装置13は、それを利用することで、クリーンルーム11,12の室内気圧を目標室内気圧に維持することができる。
給気装置13は、第2設定圧力が−40Pa〜40Paの範囲、好ましくは、−30Pa〜30Paの範囲、より好ましくは、−20Pa〜20Paの範囲にあるから、空気取込口22から給気ダクト17aに多量かつ余分な空気が進入したとしても、モータダンパ51が迅速に作動して給気ダクト17a内の空気の圧力を負圧に保持することができる。給気装置13は、モータダンパ51の旋回羽根54の旋回速度が1〜5s/Full Scaleの範囲にあるから、空気取込口22から給気ダクト17aに空気が進入したとしても、モータダンパ51の旋回羽根54が瞬時に旋回し、測定圧力を第2設定圧力の範囲内に速やかに戻すことができ、ダクト17a内の空気の圧力が陽圧になることを防ぐことができる。給気装置13は、モータダンパ51の旋回羽根54の開度を小さくしたときの羽根54の最小開度が3〜5%の範囲にあるから、羽根54の開度が全閉(0%)なることはなく、給気用送風機20からクリーンルーム11,12(定風量ユニット21)への空気の未送風状態が回避され、クリーンルーム11,12の室内気圧の極端な低下を防ぐことができる。給気装置13は、給気用送風機20から供給する空気の圧力や量を厳密に管理することが要求されるクリーンルーム11,12の使用に特に有効であり、クリーンルーム11,12において室内気圧の変動がない空調環境を作ることが可能である。
給気装置13は、瞬間的に多量かつ余分な空気が空気取込口22から給気ダクト17aに進入し、モータダンパ51の旋回羽根54の旋回がそれに対応しきれない場合でも、逆止弁ダンパ18aを利用して給気ダクト17aに進入した空気を排気ユニット19aからダクト17a外に逃がすことができる。給気装置13は、給気ダクト17a内の気圧が第1設定圧力の範囲未満になると、逆止弁ダンパ18aの旋回羽根29が排気ユニット19aの空気流路27を閉じるから、給気用送風機20内への空気の流入減を防ぐことができ、一定圧かつ一定量の空気を安定して送風機20に流入させることができる。給気装置13は、第1設定圧力が5Pa〜20Paの範囲、好ましくは、5Pa〜10Paの範囲にあるから、空気取込口22から給気ダクト17aに多量かつ余分な空気が進入したとしても、逆止弁ダンパ18aの旋回羽根29が迅速に旋回して空気を排気ユニット19aからダクト17a外に速やかに逃がすことができ、ダクト17a内の空気の圧力が陽圧になることを確実に防ぐことができる。
図11に示すシステム10Bでは、図4,5に示す排気ユニット19aを使用しているが、図9、10に示す排気ユニット19bを使用することもできる。この場合、逆止弁ダンパ18bでは、給気ダクト17a内の第1設定圧力と旋回羽根48とが釣り合うように羽根48の重量が調節される。第1設定圧力は、5Pa〜20Paの範囲、好ましくは、5Pa〜10Paの範囲に設定され、第2設定圧力のプラス側の設定値よりも低く設定される(第1設定圧力(+)>第2設定圧力(+))。
測定圧力が第2設定圧力の範囲を超過すると、給気ダクト17a内の気圧が旋回羽根48の重量(羽根48の重量を空気圧に変換した第1設定圧力)よりも大きくなり、羽根48がその重量に抗して空気流路45を開放する方向へ旋回し、空気流路45に所定面積の開口50(空気排出口)が形成され、空気がその開口50を通って排気ユニット19bの先端開口から屋外に排気される。空気が先端開口から屋外に排気され、ダクト17a内の空気の圧力が旋回羽根48の重量(第1設定圧力)よりも小さくなると、羽根48の重量によって羽根48が空気流路45を閉鎖する方向へ旋回し、羽根48によって空気流路45が閉鎖される。空気流路45が閉鎖された状態において旋回羽根48の周縁部はストッパー49に当接する。