〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
図1は、実施の形態による車両に搭載された充電システムの構成を説明するブロック図である。
図1を参照して、車両100は、モータジェネレータMG1,MG2と、図示省略の駆動軸および車輪(駆動輪)とを備える。
車両100は、さらに、モータジェネレータMG1,MG2を駆動するための充放電可能な蓄電装置としてのメインバッテリBを含む直流電圧発生部10と、平滑コンデンサC0と、インバータ20,30と、昇圧コンバータ40と、ECU50とを備える。
モータジェネレータMG1は、エンジンEの回転駆動力を用いて起電力を発生させる回転軸Jに連結されている。モータジェネレータMG1は、回転駆動されることにより、誘起電圧を発生させる発電機として動作し、かつ、エンジンEの始動を行なう電動機として動作するものとして電動機および発電機の機能を併せ持つように構成されている。
モータジェネレータMG2は、出力軸および減速機等の動力伝達機構を介して、車両100の駆動軸へ回転駆動力を伝達して出力する。さらに、モータジェネレータMG2は、回転方向と反対方向の出力トルクを発生することによって回生発電を行なうことができ、発電機としての機能を併せ持つように構成されている。
また、直流電圧発生部10は、蓄電装置としてのメインバッテリBと、平滑コンデンサC1とを含み、SMR60を介在させて昇圧コンバータ40と接続されている。
メインバッテリBは、SMR(システムメインリレー)60によって昇圧コンバータ40との間で接続状態または、電力遮断状態となるように制御可能に構成されている。メインバッテリBとしては、ニッケル水素電池またはリチウムイオン電池等の二次電池を適用可能である。
メインバッテリBが出力する電圧は、昇圧コンバータ40で昇圧されて、昇圧制御用電圧センサ11によって検知される。昇圧制御用電圧センサ11は、昇圧された電圧の電圧値を、ECU50へ出力する。
平滑コンデンサC1は、負極線5および正極線6の間に接続される。また、SMR60は、メインバッテリBの正極端子および正極線6の間で負極端子および負極線5の間に介装されている。
SMR60は、車両運転時および外部電源200による充電時に、オン動作されて車両運転停止時にオフ動作される。
昇圧コンバータ40は、リアクトルL1と、スイッチング制御される電力用半導体素子(以下、「スイッチング素子」と称する)Q1およびQ2とを含む。リアクトルL1は、スイッチング素子Q1およびQ2の接続ノードと正極線6の間に接続される。また、昇圧コンバータ40は平滑コンデンサC1の両端部の直流電圧VLを昇圧し、インバータ側正極線7および負極線5の間に接続された平滑コンデンサC0の両端部に直流電圧VHを印加する。
インバータ側正極線7および負極線5の間には、スイッチング素子Q1,Q2が、直列に接続される。スイッチング素子Q1およびQ2のON,OFF動作は、ECU50からのスイッチング制御信号S9およびS10によって制御される。
この発明の実施の形態において、スイッチング素子としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタあるいは、電力用バイポーラトランジスタ等を用いることができる。スイッチング素子Q1,Q2には、逆並列ダイオードD1,D2がそれぞれ接続されている。
インバータ20および30は、共通の負極線5およびインバータ側正極線7を介して、昇圧コンバータ40と接続されている。
また、インバータ20のU相アーム22と、V相アーム24と、W相アーム26とは、負極線5およびインバータ側正極線7との間に互いに並列に設けられている。
そして、各U相,V相,W相アーム22,24,26は、インバータ側正極線7および負極線5の間に直列接続されたスイッチング素子から構成される。
たとえば、U相アーム22は、スイッチング素子Q11,Q12から上アームおよび下アームが構成されていて、V相アーム24は、スイッチング素子Q13,Q14から上アームおよび下アームが構成されていて、V相アーム24は、スイッチング素子Q13,Q14から上アームおよび下アームが構成されていて、W相アーム26は、スイッチング素子Q15,Q16から上アームおよび下アームが構成されている。
また、スイッチング素子Q11〜Q16には、逆並列ダイオードD11〜D16がそれぞれ接続されている。スイッチング素子Q11〜Q16のON,OFF動作は、ECU50からのスイッチング制御信号S11〜S16によって制御される。
そして、メインバッテリBの充電時は、負極線5およびインバータ側正極線7との間の直流電圧VHが、降圧されて正極線6に出力される。これらの昇圧動作または降圧動作における電圧変換比(VH/VL比)は、スイッチング素子Q1,Q2のデューティ比によりPWM制御されている。
インバータ30の構成および作用については、インバータ20の構成と略同一であるので説明は繰返さない。
モータジェネレータMG1は、固定子に設けられたU相コイルU1、V相コイルV1およびW相コイルW1と、図示しない回転子とを含む。U相コイルU1、V相コイルV1およびW相コイルW1の一端は、中性点N1で互いに接続され、それらの他端は、インバータ20のU相アーム22、V相アーム24およびW相アーム26とそれぞれ接続されている。
インバータ20は、ECU50からのスイッチング制御信号S11〜S16に応答したスイッチング素子Q11〜Q16のオンオフ制御(スイッチング制御)により、直流電圧発生部10およびモータジェネレータMG1の間での双方向の電力変換を行なう。
具体的には、インバータ20は、ECU50によるスイッチング制御に従って、負極線5とインバータ側正極線7との間の電圧である直流電圧VHを3相交流電圧に変換し、その変換した3相交流電圧をモータジェネレータMG1へ出力することができる。これにより、モータジェネレータMG1は、指定されたトルクを発生するように駆動される。
また、充電システムの外部電力による充電は、車体の一部に設けられている車両側コネクタ101を含むインレット99が用いられて行われる。車両側コネクタ101は、受電部切離しリレー装置RX1を介して、インバータ20とモータジェネレータMG1との間に接続されている。
受電部切離しリレー装置RX1は、複数のリレーRY1,RY2,RY3を含み、個別にON,OFF制御可能に構成されている。そして、各リレーRY1,RY2,RY3は、ON制御で接続状態、若しくはOFF制御で電力遮断状態となるように切換られる。
各リレーRY1,RY2,RY3の端部は、電流センサA1,A2,A3を各々介在させて、各リレーRY1,RY2,RY3によって形成される各相の端部間の電圧を個別に検出可能な充電制御用相間電圧センサ21a,21b,21cを含む充電制御用電圧センサ21が接続されている。
また、これらの充電制御用相間電圧センサ21a,21b,21cは、各相線LU,LV,LWを介して、ノイズフィルタ103に含まれる各フィルタR1,R2,R3に接続されている。
このノイズフィルタ103は、車両側コネクタ101の各相に接続されていて、車両側コネクタ101に接続される外部電源側コネクタ201から供給される外部電源200をフィルタリングする。
受電部切離しリレー装置RX1の各リレーRY1,RY2,RY3に印加される各相線LU,LV,LW間の電圧は、ノイズフィルタ103の各フィルタR1,R2,R3を通過する際にフィルタリングされた状態となり、各充電制御用相間電圧センサ21a,21b,21cによって検出される。
更に、モータジェネレータMG1は、モータ部切離しリレー装置RX2を介して、インバータ20と接続されている。モータ部切離しリレー装置RX2は、複数のリレーRY6,RY7,RY8を含み、個別にON,OFF制御可能に構成されている。そして、各リレーRY6,RY7,RY8は、ON制御で接続状態、若しくはOFF制御で電力遮断状態となるように切換られる。
図2は、この実施の形態の充電システムの制御部であるECU50の構成を説明するブロック図である。
ECU50は、インバータ20の各相に対応する各リレーRY1,RY2,RY3、リレーRY6,RY7,RY8のON制御およびOFF制御を個別に行うリレー制御部51と、リレー制御部51の切換えに伴って、電圧が印加されるモータジェネレータMG1およびインバータ20の相を切換えるインバータ制御部52とを備える。
リレー制御部51は、第1リレー制御部54と、第2リレー制御部55とを含む。
第1リレー制御部54は、受電部切離しリレーON,OFF出力部56と接続されている。そして、受電部切離しリレーON,OFF出力部56は、受電部切離しリレー装置RX1に対して、リレー切換信号ENを出力する。
また、受電部切離しリレーON,OFF出力部56は、受電部切離しリレーU相ON,OFF出力部56U、受電部切離しリレーV相ON,OFF出力部56V、受電部切離しリレーW相ON,OFF出力部56Wを有している。
そして、各々受電部切離しリレーU相ON,OFF出力部56U、受電部切離しリレーV相ON,OFF出力部56V、受電部切離しリレーW相ON,OFF出力部56Wは、各相に接続される各リレーRY1,RY2,RY3に対して、個別にリレー切換信号EN1,EN2,EN3を出力して、ON制御またはOFF制御を独立して行えるように構成されている。
受電部切離しリレーON,OFF出力部56は、モータ側リレーON,OFF出力部57と接続されている。モータ側リレーON,OFF出力部57は、第2リレー制御部55は、モータ部切離しリレー装置RX2に対して、リレー切換信号ENを出力する。
また、モータ側リレーON,OFF出力部57は、モータ側リレーU相ON,OFF出力部57U、モータ側リレーV相ON,OFF出力部57V、モータ側リレーW相ON,OFF出力部57Wを有している。
そして、モータ側リレーU相ON,OFF出力部57U、モータ側リレーV相ON,OFF出力部57V、モータ側リレーW相ON,OFF出力部57Wは、各々各相に接続される各リレーRY6,RY7,RY8に対して、個別にリレー切換信号EN6,EN7,EN8を出力して、ON制御またはOFF制御を独立して行えるように構成されている。
ECU50は、充電制御用相間電圧センサ21a,21b,21c、昇圧制御用電圧センサ11が接続される電圧検出部53と、電圧検出部53が、リレーRY1等の溶着状態を検出することで、異常検出の出力表示を行う表示出力部58とを備えている。
電圧検出部53は、リレー制御部51が、複数のリレーRY1,RY2,RY3、リレーRY6,RY7,RY8のうち、溶着検出を行うリレーの相をOFF制御すると共に、OFF制御されたリレーの相に接続された他のリレーの相をON制御する。
ON制御されたリレーに印加された電圧は、OFF制御されたリレーにも加わり、このOFF制御されたリレーに、OFF制御されているにも拘わらず、端部の電圧が変動する場合は、リレーが溶着により通電されている状態であることが分かる。
このため、OFF制御されたリレーの端部に印加される電圧の変動によって、溶着検出が行われる。
また、インバータ制御部52は、図1に示すインバータ20への印加電圧を制御する印加電圧制御部52aとスイッチング制御部52bとを有している。
インバータ制御部52は、スイッチング制御信号S9,S10またはS11〜S16を生成するスイッチング制御部52bに、制御信号を送出する。
この制御信号は、第1リレー制御部54または第2リレー制御部55のリレー切換動作に伴って、各リレーRY1,RY2,RY3または各リレーRY6,RY7,RY8が切り換えられた状態で、昇圧コンバータ40またはインバータ20を駆動制御するスイッチング制御信号S9,S10またはS11〜S16に変換されて生成される。
スイッチング制御部52bは、この印加電圧制御部52aによって、リレーRY1,RY2,RY3の許容電圧範囲内を上限値として、また好ましくは、更に大きくリレーRY1,RY2,RY3の安全許容係数を上回る上限値を設定して、スイッチング制御信号S9,S10またはS11〜S16を生成する。
スイッチング制御部52bは、所望のデューティ比が設定されて、PWM制御を含む昇圧制御を行うスイッチング制御信号S9,S10を昇圧コンバータ40の各スイッチング素子Q1,Q2に出力する。
また、スイッチング制御部52bは、所望のデューティ比が設定されて、PWM制御を含む降圧制御を行うスイッチング制御信号S11〜S16をインバータ20,30の各相のアーム22〜27に出力する。
外部電力による充電を行う状態では、車両側コネクタ101に接続された外部電源側コネクタ201を介して、外部電源200から送られてくる外部電力の電圧が、インバータ20に印加される。
充電システムのインバータ20は、この外部電力をECU50によるスイッチング制御に従って直流電圧VHに変換し、更に、昇圧コンバータ40で、その変換した直流電圧VHを降圧させて、直流電圧発生部10のメインバッテリBへ充電可能な直流電圧VLとして出力する。
車両側コネクタ101と各リレーRY1,RY2,RY3との間のインレット99に位置する充電制御用電圧センサ21は、各充電制御用相間電圧センサ21a,21b,21cを含み、外部電力による充電が行われる際に、各相線LU,LV,LW間の電圧値を検出可能に構成されている。
ECU50の電圧検出部53は、メインバッテリBの過充電が発生しないようにPWM制御を含む降圧制御を行い、この外部電力による充電状態による印加電圧の制限を行う。
このように、本発明の実施の形態によれば、受電部切離しリレー装置RX1の各リレーRY1,RY2,RY3と、モータ部切離しリレー装置RX2の各リレーRY6,RY7,RY8との溶着検出が可能である。
すなわち、既存の充電制御用電圧センサ21または昇圧制御用電圧センサ11を用いて、新たな部品を追加することなく、リレーの接点の溶着検出が可能であるリレー接点溶着検出回路、車両およびリレー接点溶着検出方法を提供することが出来る。
以下、実施の形態2には、モータジェネレータMG1を用いて起電された電圧を用いて、昇圧制御用電圧センサ11が、モータ部切離しリレー装置RX2の各リレーRY6〜RY8の溶着検出を行う場合の一例を示し、実施の形態3には、メインバッテリBを用いて、受電部切離しリレー装置RX1の各リレーRY1〜RY3の溶着検出を行う場合の他の一例を示して各々説明する。
〔実施の形態2〕
図3は、実施の形態の一つで、充電システムの制御装置の要部を説明する簡略化されたブロック図である。
図3は、説明の簡略化のため、モータジェネレータMG1側の3つのU1相、V1相、W1相のうち、U1相に接続されるモータ部切離しリレー装置RX2のリレーRY6と、W1相に接続されるモータ部切離しリレー装置RX2のリレーRY8との間で連続して、溶着検出が行われる場合について説明する。なお、実施の形態1と同一または相当部分には、同一符号を付してその説明は原則的に繰返さない。
図4は、この実施の形態2の充電システム、車両および充電システムの制御方法の作用効果を説明するフローチャートである。
溶着検出をスタートすると、ステップS1において、外部電源200を使用した充電を行う際、車両100が走行後(走行停止)かあるいは充電前であれば、次のステップS2に処理が進む。
外部電源200を用いた充電を行う際には、モータジェネレータMG1に不必要な駆動電圧が印加されないように、モータ部切離しリレー装置RX2の各リレーRY6,RY7,RY8が、OFF制御に応じて電力遮断状態となることが求められる。
ステップS2では、モータジェネレータMG1を切り離すモータ部切離しリレー装置RX2の溶着検出が、各相ごとに開始される。
すなわち、ECU50の第1リレー制御部54からのリレー切換信号ENで、受電部切離しリレー装置RX1の各リレーRY1,RY2,RY3がOFF制御されて、電力遮断状態となることが検証される。
また、モータ部切離しリレー装置RX2の各リレーRY6,RY7,RY8が、ECU50の第2リレー制御部55からのリレー切換信号ENでOFF制御されて、電力遮断状態となるように制御可能であるか否かが検証される。
ステップS3では、アイドリング状態のエンジンEから回転軸Jへ駆動力が与えられて、モータジェネレータMG1の回転による誘起電圧を発生させる。
そして、モータジェネレータMG1のU1相が、モータ部切離しリレー装置RX2のリレーRY6に接続されている状態とするため、ECU50のモータ側リレーU相ON,OFF出力部からUW線を接続するON制御を行うリレー切換信号EN6が出力される。
また、モータジェネレータMG1のW1相が、モータ部切離しリレー装置RX2のリレーRY8に、接続されている状態とするため、ECU50のモータ側リレーW相ON,OFF出力部57Wから、ON制御を行うリレー切換信号EN8が出力される。
ステップS4では、昇圧制御用電圧センサ11による電圧検出が開始される。
次のステップS5に処理が進むと、昇圧制御用電圧センサ11で、電圧が検出されるか否かが判定される。
ステップS5では、モータジェネレータMG1のU1相を、モータ部切離しリレー装置RX2のリレーRY6から、電力遮断状態とするため、ECU50のモータ側リレーU相ON,OFF出力部57Uから、OFF制御を行うリレー切換信号EN6を出力する。
また、モータジェネレータMG1のW1相を、モータ部切離しリレー装置RX2のリレーRY8から、電力遮断状態とするため、ECU50のモータ側リレーW相ON,OFF出力部57Wから、OFF制御を行うリレー切換信号EN8が出力される。
ステップS6において、電圧が検出された場合には、モータ部切離しリレー装置RX2のリレーRY6およびRY8の両方が、溶着している状態であると判定されて、ステップS7に処理を進める。
ステップS7では、ECU50に設けられた表示出力部58から、充電禁止表示が出力される。
そして、ステップS8に処理が進むと、例えば、受電部切離しリレー装置RX1の各リレーRY1,RY2,RY3に対して、電力遮断状態とするリレー切換信号EN1,EN2,EN3が送出されて、電力遮断状態とされて充電不可能となる。
例えば、電力遮断状態とする制御として、ECU50の第1リレー制御部54が、受電部切離しリレーU相〜相ON,OFF出力部56U〜56Wから、OFF制御を行うリレー切換信号EN1,EN2,EN3を各リレーRY1,RY2,RY3に出力する。
リレー切換信号EN1,EN2,EN3を受けて、各リレーRY1,RY2,RY3は、全てOFF制御されて、車両側コネクタ101をインバータ20およびメインバッテリBから切離されて、外部電力からの電力供給が遮断されて充電不可能とされる。
また、ステップS6で昇圧制御用電圧センサ11により電圧が検出されない場合には、ステップS9に処理が進む。
ステップS9では、モータジェネレータMG1のU1相を、モータ部切離しリレー装置RX2のリレーRY6により、インバータ20と接続状態とする。このため、ECU50のモータ側リレーU相ON,OFF出力部57Uから、ON制御を行うリレー切換信号EN6を出力する。
また、モータジェネレータMG1のW1相を、モータ部切離しリレー装置RX2のリレーRY8から、電力遮断状態とする。このため、ECU50のモータ側リレーW相ON,OFF出力部57Wから、OFF制御を行うリレー切換信号EN8が出力される。
図5は、モータジェネレータMG1のU相とW相とが各々接続されているモータ部切離しリレー装置RX2の各々リレーRY6,RY8の溶着検出を行う一例が示されたタイムチャートである。
図5中、最上段に示すように、位相がずれた3相の正弦波に近いモータジェネレータMG1端子電圧が、回転軸Jの回転駆動により誘起電圧として発生する。
このモータジェネレータMG1端子電圧を用いて、各相の溶着検出が行われる。
まず、時刻t1でU相のみが、モータ側リレーU相ON,OFF出力部57UからのON制御で、接続されている状態となる。
この接続状態は、時刻t2において再びモータ側リレーU相ON,OFF出力部57UからのOFF制御が行われ、電力遮断状態となるまで、時刻t1から時刻t2に至るまで一定時間継続される。
このU相の接続状態で、モータ側リレーW相ON,OFF出力部57Wから、リレーRY8がOFF制御されているにも拘わらず、昇圧制御用電圧センサ11で検出されるモータ部切離しリレー装置RX2の端部の電圧が変動し、図5中最下段に示すように一部の正弦波として検出される場合がある。
この場合、U相だけでなくW相も電気的に接続されて通電可能状態となっている状態であるから、W相に接続されるリレーRY8が溶着していると判定される。
ステップS10で溶着判定が行われ、モータ部切離しリレー装置RX2の端部の電圧が、昇圧制御用電圧センサ11で検出されるとステップS11に処理が進む。
ステップS11では、表示出力部58によって、W相溶着表示が出力される。
また、ステップS10で、モータ部切離しリレー装置RX2の端部の電圧が、昇圧制御用電圧センサ11で検出されない場合には、W相に接続されるリレーRY8が溶着していないと判定されるため、ステップS12に処理が進む。
ステップS12では、ステップS9で検出が行われたU相とW相とが入れ替えられ、まずモータジェネレータMG1のU1相が、モータ部切離しリレー装置RX2のリレーRY6と電力遮断状態となるように制御される。
ステップS12では、このため、ECU50のモータ側リレーU相ON,OFF出力部57Uから、OFF制御を行うリレー切換信号EN6が出力される。
また、ステップS12では、ON制御を行うリレー切換信号EN8が出力される。
ON制御を行うリレー切換信号EN8は、モータジェネレータMG1のW1相を、モータ部切離しリレー装置RX2のリレーRY8に一定時間、接続状態とする。
図5中、最上段に示すように、モータジェネレータMG1の端子電圧は、回転軸Jの回転駆動に伴い誘起電圧として発生し続けている。
時刻t3でW相のリレーRY8が接続状態となると、接続状態は、時刻t4に再びモータ側リレーU相ON,OFF出力部57WからのOFF制御で、電力遮断状態となるまで継続する。
この状態で、昇圧制御用電圧センサ11で検出されるモータ部切離しリレー装置RX2の端部の電圧が、図5中最下段に示すように一部の正弦波として検出される場合がある。
モータ側リレーW相ON,OFF出力部57Uから、リレーRY6がOFF制御されているにも拘わらず、昇圧制御用電圧センサ11で、リレーの端部から電圧が検出される場合、W相だけでなくU相も電気的に通電可能状態であるから、U相に接続されるリレーRY6が溶着していると判定される。
ステップS13で、溶着判定が行われ、モータ部切離しリレー装置RX2の端部の電圧が、昇圧制御用電圧センサ11で検出されるとステップS14に処理が進む。
ステップS14では、表示出力部58によって、U相溶着表示が出力される。
ステップS13でモータ部切離しリレー装置RX2の端部の電圧が、昇圧制御用電圧センサ11で検出されない場合、ステップS15に処理を進める。
すなわち、ステップS13で、モータ部切離しリレー装置RX2の端部の電圧が、昇圧制御用電圧センサ11で検出されない場合は、U相のリレーRY6が溶着していないと判定されて、ステップS15に処理を進める。
ステップS15では、U相のリレーRY6およびW相のリレーRY8が溶着していないと判定されたこととなるので、外部電力を用いた充電可能状態となる。
例えば、外部電源200を接続可能状態とする制御として、ECU50の第1リレー制御部54が、ON制御を行うリレー切換信号EN1,EN2,EN3を各リレーRY1,RY2,RY3に出力する。
ON制御を行うリレー切換信号EN1,EN2,EN3が、受電部切離しリレーU相ON,OFF出力部56U,56V,56Wから、各リレーRY1,RY2,RY3に出力されるとON制御を行う各リレー切換信号EN1,EN2,EN3が各リレーRY1,RY2,RY3をON制御する。
このON制御により、各リレーRY1,RY2,RY3が、車両側コネクタ101を接続する各相線LV,LU,LWを、インバータ20を介してメインバッテリBに接続して、外部電源200による充電を可能とする。
この実施の形態2では、モータジェネレータMG1側の3つのU1相、V1相、W1相のうち、U1相に接続されるモータ部切離しリレー装置RX2のリレーRY6と、W1相に接続されるモータ部切離しリレー装置RX2のリレーRY8との溶着検出を行う場合を説明してきた。
また、V1相に接続されるモータ部切離しリレー装置RX2のリレーRY7と、W1相に接続されるモータ部切離しリレー装置RX2のリレーRY8との溶着検出を行う場合、または、W1相に接続されるモータ部切離しリレー装置RX2のリレーRY8と、U1相に接続されるモータ部切離しリレー装置RX2のリレーRY6との溶着検出を行う場合も同様に、連続したシーケンス制御で溶着を検出して充電可能であるか検証可能である。
昇圧制御用電圧センサ11は、インバータ20を介在させてモータジェネレータMG1の反対側に位置して、OFF制御されたリレーRY6〜RY8に印加された電圧を検出可能に接続されている。
昇圧制御用電圧センサ11は、既存の電圧センサであるが、第2リレー制御部55により、ON,OFF制御される各リレーRY6〜RY8の端部に印加された電圧を検出できる。
また、電圧誘起に用いるモータジェネレータMG1は、エンジンEの回転駆動力を用いて起電力を発生させる回転軸Jに連結されていて、回転駆動されることにより、誘起電圧を発生させる発電機として動作する。しかも、エンジンEの始動を行なう電動機として動作するため、電動機および発電機としての機能を併せ持つ。
この既存のモータジェネレータMG1は、エンジンEの回転駆動力を利用して誘起電圧を発生させている。このため、回転軸Jの回転数制御により、印加する電圧の調整が容易で、新たな発電用部品やバッテリを追加することなく、リレーRY6〜RY8の溶着を検出することが可能である。
他の構成および作用効果については、実施の形態1と同様であるので、その説明は原則的に繰返さないものとする。
〔実施の形態3〕
図6は、実施の形態の他の一つで、充電システムの制御装置の要部を説明する簡略化されたブロック図である。
図6は、説明の簡略化のため、モータジェネレータMG1側のみのインバータ20を示し、同一内容であるモータジェネレータMG2側のインバータ30およびモータジェネレータMG2の説明は原則的に繰返さない。
実施の形態3では、受電部切離しリレー装置RX1の各リレーRY1,RY2,RY3の溶着検出を、充電制御用電圧センサ21を用いて行う場合について説明する。
なお、実施の形態1および実施の形態2と同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さない。
図7は、この実施の形態3の充電システム、車両および充電システムの制御方法の作用効果を説明するフローチャートである。
溶着検出をスタートすると、ステップS21では、車両100が、外部電源200を使用した充電を行った後、或いは走行前(SMR60がONとなる前)である場合に、次のステップS22に処理が進む。
モータジェネレータMG1またはモータジェネレータMG2のうち、少なくとも何れか一方が、車両100の走行状態で、回転駆動により各相U1,V1,W1から出力される誘起電圧あるいは回転駆動力を与えるインバータ20からの電圧が出力される場合がある。
このような場合には、車両側コネクタ101を含むインレット99を、インバータ20から切り離して、車両側コネクタ101の端子に電圧が印加しないように制御する必要がある。
このため、外部電源200を用いた充電を行う際に接続されていた受電部切離しリレー装置RX1の各リレーRY1,RY2,RY3が、OFF制御に応じて、確実に電力遮断状態となることを検証する。
ステップS22では、受電部切離しリレー装置RX1の各リレーRY1,RY2,RY3の溶着検出が、開始される。
ステップS22に処理が進むと、モータ部切離しリレー装置RX2の各リレーRY6,RY7,RY8は全てOFF制御されて電力遮断状態とされた状態で、モータジェネレータMG1が、インバータ20から、切り離されて電力遮断状態となる。
この状態で、受電部切離しリレー装置RX1の各リレーRY1,RY2,RY3が、ECU50によるOFF制御で、電力遮断状態となるように制御可能であるか否かが判定される。
そして、受電部切離しリレー装置RX1のモータジェネレータMG1を切り離すモータ部切離しリレー装置RX2の溶着検出が、各相ごとに開始される。
ステップS23に処理が進むと、メインバッテリBからの出力電圧が、昇圧コンバータ40によって、平滑コンデンサC1の両端部の直流電圧VLまで昇圧される。また、インバータ側正極線7および負極線5の間に接続された平滑コンデンサC0の両端部に直流電圧VHが印加される。この直流電圧VHは、スイッチング制御部52bによるPWM制御で、インバータ20から各リレーRY1,RY2,RY3に印加される際に降圧されている。
また、ステップS23では、ECU50からは、インバータ20のUW線として、受電部側電圧を各U相,W相間で検出可能に結線された相線LU,相線LWを、同時または交互に接続するリレー切換信号ENが出力される。
ここでは、相線LUが、受電部切離しリレー装置RX1のリレーRY1に接続されている状態とするため、ECU50の第1リレー制御部54は、受電部側リレーU相ON,OFF出力部56Uから出力されるリレー切換信号EN1により、リレーRY1をON制御する。
また、相線LWが、受電部切離しリレー装置RX1のリレーRY3に接続されている状態とするため、ECU50の受電部側リレーW相ON,OFF出力部56WからリレーRY3をON制御するリレー切換信号EN3が出力される。
各リレーRY1,RY3は、リレー切換信号EN1,EN3に応じてON制御されて、各相線LU,LWをインバータ20のU相アーム22およびW相アーム26に各々接続する。
この接続により、インバータ20のU相アーム22およびW相アーム26から出力される電圧が、リレーRY1,RY3間に印加される。
そして、リレーRY1,RY3の端部に接続されている各相線LU,LW間の電圧は、受電部側に位置する車両側コネクタ101との間に介挿される充電制御用相間電圧センサ21cによって検出可能な状態となる。
この際、充電制御用相間電圧センサ21cによって検出される電圧値が、ECU50の電圧検出部53に送出される。電圧検出部53に入力された電圧値は、各相の溶着検出を行うために印加される電圧値となるように、インバータ制御部52が、PWM制御を行う。
PWM制御は、スイッチング制御部52bから印加電圧制御部52aによって出力されるスイッチング制御信号S9,S10またはS11〜S16を生成する。
この際、リレーRY1〜RY3に、インバータ20から所定の電圧が印加されても破損や溶融等の故障を生じる虞の無い電圧値となるように、印加電圧制御部52aによって印加電圧制御部52aによって出力されるスイッチング制御信号S9,S10またはスイッチング制御信号S11〜S16の調整が行われる。
そして、各リレーRY1,RY2,RY3に対して、各アーム22,24,26から所定の電圧値の電圧が、印加される。
この所定の電圧値は、リレーRY1,RY2,RY3の許容電圧範囲内の電圧値を上限値として、また好ましくは、更に大きくリレーRY1,RY2,RY3の安全許容係数を上回る上限値に予め設定されていてもよい。
ステップS24に処理が進むと、充電制御用相間電圧センサ21a,21b,21cによる電圧検出が開始される。
ステップS25では、受電部切離しリレー装置RX1のU相のリレーRY1をOFF制御とするリレー切換信号EN1が、出力されると共に、W相のリレーRY3をOFF制御として電力遮断状態とするリレー切換信号EN3が、出力される。
ECU50の第1リレー制御部54は、各リレーRY1,RY3をOFF制御することにより電力遮断状態とする。このため、第1リレー制御部54の受電部切離しリレーU相ON,OFF出力部56Uおよび受電部切離しリレーW相ON,OFF出力部56Wによって、リレーRY1,RY3をOFF制御する各リレー切換信号EN1,EN3が生成されて出力される。
各リレーRY1,RY3は、各リレー切換信号EN1,EN3により、OFF制御されて、インバータ20の各アーム22〜26と、相線LU,相線LWとの間が電力遮断状態となる。
ステップS26では、受電部切離しリレー装置RX1のリレーRY1,RY3の端部間に印加された電圧が、充電制御用電圧センサ21のうち、相線LU,相線LW間に接続される充電制御用相間電圧センサ21cによって検出される。
ステップS26で、充電制御用相間電圧センサ21cによって、検出された電圧値は、ECU50の電圧検出部53に出力される。
電圧検出部53は、電圧が検出された場合は、受電部切離しリレー装置RX1のリレーRY1およびRY3の両方が、溶着している状態であると判定してステップS27に処理が進む。
例えば、予め設定された一定の閾値を越えた電圧が検出された場合等、受電部切離しリレー装置RX1のリレーRY1およびRY3が、電力遮断状態では、検出されない電圧値の電圧が検出された場合は、受電部切離しリレー装置RX1のリレーRY1およびRY3の両方が、溶着している状態であると判定してステップS27に処理が進む。
ステップS27では、表示出力部58から、U,W両相溶着表示が出力されて、ステップS28に処理が進む。
ステップS28では、車両100を走行不可能とする。例えば、モータ部切離しリレー装置RX2の各リレーRY6,RY7,RY8を、OFF制御して電力遮断状態としたり、あるいはモータジェネレータMG2への供給電力を停止させて走行不可能とする。
前記ステップS26で、充電制御用相間電圧センサ21cによって電圧が検出されない場合には、少なくとも何れか一方のリレーRY1またはRY3が、OFF制御により、電力遮断状態とすることが可能であると判断して、ステップS29に処理が進む。
ステップS29では、受電部切離しリレーU相ON,OFF出力部56Uから、ON制御を行うリレー切換信号EN1が出力される。また、受電部切離しリレーW相ON,OFF出力部56Wから、OFF制御を行うリレー切換信号EN3が出力される。
図8は、インバータ20のU相およびW相のアーム22,26が各々接続されている各リレーRY1,RY3の溶着検出を行う一例が示されたタイムチャートである。
図8中、最上段に示すように、昇圧コンバータ40およびインバータ20によって、リレーRY1,RY2,RY3の許容電圧範囲内の電圧値を上限値とする所定電圧(例えば、ここでは、制御系電子回路の許容範囲である約42V以下)が、UW相線間に印加されている。
このUW相線間に印加された電圧が用いられて、U相の相線LU,W相の相線LW間のリレーRY1,RY3の溶着検出が、各々行われる。まず、時刻t5でU相のみが、モータ側リレーU相ON,OFF出力部56Uから出力されたON制御を行うリレー切換信号EN1によって、接続される。
そして、時刻t6に再びモータ側リレーU相ON,OFF出力部57Uから出力されたOFF制御を行うリレー切換信号EN1によって、電力遮断状態となる。
このため、時刻t5から時刻t6までの一定時間内、U相の相線LUが、リレーRY1によって、インバータ20のアーム22に接続されているON状態が継続される。
リレーRY1がON状態で、モータ側リレーW相ON,OFF出力部56Wにより、リレーRY3がOFF制御されているにも拘わらず、モータ部切離しリレー装置RX2の端部の電圧が変動し、図8中最下段に示すように、一定の電圧を出力する矩形波として、充電制御用相間電圧センサ21cにより検出される場合がある。
図8に示すタイムチャートは、時刻t5から時刻t6まで、矩形波として一定の電圧値が検出されている場合を示している。W相のリレーRY3が溶着している場合は、U相リレーON指令による印加された電圧と、相似する矩形波形状の電圧値が、時刻t5から時刻t6までの所定時間で、検出される。
この場合、印加された電圧が、インバータ20に接続されているU相だけでなく、直列に接続される他のW相でも検出されていることから、W相に接続されるリレーRY3が溶着していると判定される。
ステップS30で溶着判定が行われ、受電部切離しリレー装置RX1の端部の電圧が、充電制御用相間電圧センサ21cで検出されるとステップS31に処理が進み、ステップS31では、表示出力部58によってW相溶着表示が出力される。そして、ステップS36に処理が進み、走行可能な状態が維持される。
また、ステップS30で、受電部切離しリレー装置RX1の端部の電圧が、充電制御用相間電圧センサ21cで検出されない場合には、ステップS33に処理が進む。
ステップS33では、ステップS29で検出が行われたU相とW相とが入れ替えられ、受電部切離しリレー装置RX1のLU線にインバータ20のU相からの電圧が印加されない電力遮断状態とするON,OFF制御を行うリレー切換信号ENが出力される。
このため、ステップS33では、ECU50の受電部切離しリレーU相ON,OFF出力部56Uから、OFF制御を行うリレー切換信号EN1が出力される。リレーRY1は、このリレー切換信号EN1により、OFF状態となるように制御される。
また、ステップS33では、W相の相線LWが、受電部切離しリレー装置RX1のリレーRY3によって、一定時間、インバータ20のアーム26に対して接続状態とされる。
ECU50の受電部切離しリレーW相ON,OFF出力部56Wから、ON制御を行うリレー切換信号EN3が出力される。リレーRY3は、このリレー切換信号EN3により、ON状態となるように制御される。
図8中、時刻t7でW相のリレーRY3が接続状態となると、接続状態は、時刻t8に再びモータ側リレーU相ON,OFF出力部56WからのOFF制御で、リレーRY3が電力遮断状態となるまで継続される。
この状態で、モータ側リレーW相ON,OFF出力部56Uから、リレーRY1がOFF制御されているにも拘わらず、充電制御用電圧センサ21の充電制御用相間電圧センサ21cで検出される受電部切離しリレー装置RX1の端部から電圧が、検出される場合がある。
例えば、図8中最下段に示すように、W相リレーON制御を行うリレー切換信号EN3と、相似する矩波波の電圧値が、充電制御用相間電圧センサ21cによって検出される。
この場合、W相だけでなくU相にも、印加された電圧で通電されていることが分かり、W相に接続されるリレーRY3が溶着していると判定される。
ステップS34で、溶着判定が行われ、モータ部切離しリレー装置RX2の端部の電圧が、充電制御用相間電圧センサ21cで検出されるとステップS35に処理が進む。
ステップS35では、表示出力部58によって、U相溶着表示が出力される。
そして、ステップS36に処理が進むと、受電部切離しリレー装置RX1の端部に印加される電圧が、充電制御用電圧センサ21で検出されない場合も含めて、走行に支障の生じるような溶着が、リレーRY1またはリレーRY3の一方には発生していないと判定されて、走行可能状態となる。
例えば、充電後、走行前にECU50の第2リレー制御部55が、受電部切離しリレーU相ON,OFF出力部56U,56V,56Wから、OFF制御を行うリレー切換信号EN1,EN2,EN3を各リレーRY1,RY2,RY3に出力する。
リレー切換信号EN1,EN2,EN3は、各リレーRY1,RY2,RY3をOFF制御して、電力切断状態とする。
また、各リレーRY6,RY7,RY8によって、インバータ20と接続状態となったモータジェネレータMG1は、SMR60のON制御でインバータ20を介して、エンジンEの回転駆動により発電された誘起電圧をメインバッテリBに出力して、充電可能とする。
そして、インバータ20から駆動電力の供給を受けて、エンジンEの始動を行なうことが出来る。このため、確実に受電部切離しリレー装置RX1のOFF制御が可能な状態であることが検証された車両100は、車両側コネクタ101を含むインレット99を、インバータ20から切り離すことが、リレー切換信号ENのOFF制御で、ECU50から行うことが出来る。車両100は、車両側コネクタ101の端子に電圧が印加されていない状態で、走行可能となる。
よって、車両100に予め備えられた昇圧制御用電圧センサ11および充電制御用電圧センサ21を用いて、例えば、車両100の外部から溶着検出テストを行う計測機器を含めて、新たな部品を車両100に追加することなく、各リレーRY1〜RY6の溶着を検出することが可能となる。
図8に示す、インバータ20のU相およびW相のアーム22,26が各々接続されている各リレーRY1,RY3の溶着検出を行うシーケンス制御と共に、もしくは一連のシーケンス制御として同時に、他の相のリレーRY2の溶着検出を行う。
インバータ20のU相およびW相のアーム22,26が各々接続されている各リレーRY1,RY3の溶着検出を行った後、同様にインバータ20のW相およびV相のアーム26,24が各々接続されている各リレーRY3,RY2の溶着検出を行い、更に、インバータ20のV相およびU相のアーム24,22が各々接続されている各リレーRY2,RY1の溶着検出を順次行う。
この場合、3回のシーケンス制御による溶着検出で、各リレーRY1からRY3は、2度づつ、異なる組み合わせで溶着検出されることとなり、更に、溶着検出の信頼性を向上させることができる。
図8中、最上段に示すように、昇圧コンバータ40およびインバータ20によって、リレーRY1,RY2,RY3の許容電圧範囲内の電圧値を上限値とする所定電圧(例えば、ここでは、制御系電子回路の許容範囲である約42V以下)が、UW相線間に印加されている。
最後に、本実施の形態について、再び図を参照して総括する。
再び図1、図2を参照して、本実施の形態に示される車両のリレー接点溶着検出回路、車両およびリレー接点溶着検出方法を説明する。
車両100は、充放電可能なメインバッテリBと、メインバッテリBから供給される電圧を、モータジェネレータMG1,MG2に出力するインバータ20,30とを備えている。
モータ部切離しリレー装置RX2の各リレーRY1,RY2,RY3の接点の溶着検出は、既存の昇圧制御用電圧センサ11によって行われる。
モータジェネレータMG1の回転軸Jを回転させて誘起電圧を発生させる際、受電部切離しリレー装置RX1の各リレーRY1,RY2,RY3は、OFF制御されて電力遮断状態となる。
また、第2リレー制御部55のリレー切換信号EN6,EN7,EN8の何れかによって、リレーRY6,RY7,RY8のU相,V相,W相がOFF制御されて、これらのリレーRY6,RY7,RY8に接続された他のリレーのW相,U相,V相のリレーRY8,RY6,RY7が個別にON制御される。
これにより、OFF制御されたリレー(U相,V相,W相)RY6,RY7,RY8が溶着により通電されている状態であると、リレーRY6,RY7,RY8の端部に印加される電圧の変動が、インバータ20の反対側に設けられた昇圧制御用電圧センサ11によって検出されて、溶着状態であると判定できる。
このため、新たな部品を追加することなく、各リレーRY6,RY7,RY8の溶着を検出することが可能となる。
また、インバータ20とモータジェネレータMG1との間には、車両側コネクタ101が接続されている。この車両側コネクタ101は、外部電源側コネクタ201と接続される。
この外部電源側コネクタ201は、車両側コネクタ101、ノイズフィルタ103、各相線LU,LV,LW、各電流センサA1〜A3、受電部切離しリレー装置RX1、インバータ20を介して外部電源200からの外部電力が供給されて、メインバッテリBへ充電が行われる。
外部電源200からの充電を行う際には、モータ部切離しリレー装置RX2の各リレーRY6,RY7,RY8をOFF状態として、電力遮断状態とする。
電力遮断状態では、充電時に使用する外部電源200からの外部電力が、モータジェネレータMG1に出力されることがない。
同様に、メインバッテリBを用いたモータ部切離しリレー装置RX2の各リレーRY1,RY2,RY3の接点の溶着検出は、第2リレー制御部55により、各リレーRY6,RY7,RY8を一旦、全てOFF状態として、電力遮断状態から行われる。
ECU50は、第1リレー制御部54のリレー切換信号EN1,EN2,EN3の何れかによって、リレーRY1,RY2,RY3のU相,V相,W相をOFF制御して、接続された他のW相,U相,V相のリレーRY3,RY1,RY2をON制御しいる。
これにより、OFF制御されたリレー(U相,V相,W相)RY1,RY2,RY3が溶着により通電されている状態であると、接続された各リレーRY3,RY2,RY1の端部に印加される電圧が、変動する。
電圧の変動は、モータ部切離しリレー装置RX2に対して、インバータ20の反対側に位置の受電部側に設けられて接続された既存の昇圧制御用電圧センサ11によって、検出することが出来る。
更に、昇圧制御用電圧センサ11で、溶着により電気的に接続されている相のリレーRY6,RY7,RY8に、印加される電圧の変動を検出でき、溶着検出の精度を良好なものとすることが出来る。
また、リレーRY1,RY2,RY3の許容範囲内の電圧値となるように、印加される電圧値が、既存のインバータ20によって降圧される。よって、既存の充電制御用電圧センサ21で検出可能で、降圧のために専用のインバータや新たな電圧センサを追加して部品点数を増大させることなく、各リレーRY1〜RY3,RY6〜RY8の溶着を検出することが可能となる。
また、スイッチング制御部52bは、所望のデューティ比を設定可能で、PWM制御を含む降圧制御を行うスイッチング制御信号S11〜S16をインバータ20,30の各相のアーム22〜27に出力する。このため、溶着検出に用いる各リレーRY1〜RY3,RY6〜RY8に印加される電圧を、検出に充分でかつ、各リレーRY1〜RY3,RY6〜RY8の許容電圧範囲内に設定することが出来る。
この点においても、既存の車両100に備えられたインバータ制御部52を使用できるので、部品点数の増大を抑制できる。
また、インバータ20とモータジェネレータMG1との間には、車両側コネクタ101が接続されている。車両側コネクタ101は、外部電源200から外部電力を供給する外部電源側コネクタ201と接続される。
外部電源200からの外部電力を降圧するインバータ20を、PWM制御することにより、各リレーRY1,RY2,RY3の溶着の検出に用いることが出来るので、別途専用の降圧手段を必要としないため、更に部品効率が良好である。
よって新たな部品を追加することなく、リレーの接点の溶着を検出することが可能なリレー接点溶着検出回路、車両およびリレー接点溶着検出方法が提供される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
たとえば、上述の実施形態においては、PWM制御によって降圧制御した電圧を印加するように構成されているが、特にこれに限らず、昇圧コンバータ側の上アームをON状態のままにする昇圧コンバータ側の制御等、を含む降圧制御であれば良く、PWM制御も、正弦波PWM(パルス幅変調)制御、過変調PWM制御を行うものや、あるいは矩形波電圧制御を行う構成としてもよい。
また、本発明の実施の形態は、蓄電装置としてのメインバッテリBをニッケル水素電池またはリチウムイオン電池等の二次電池で構成するものを示して説明してきたが、メインバッテリBに代えて、電気二重層キャパシタ等の蓄電装置を適用してもよい。
更に、実施の形態1〜3では、エンジンEの回転駆動力を用いてモータジェネレータMG1の回転軸Jを回転させて、誘起電圧を発生させるものを示して説明してきたが、特にこれに限らず、モータジェネレータMG2にクラッチ等の回転要素連結切離機構を適応することにより、車両100が走行していない停車状態でモータジェネレータMG2を回転させて、誘起電圧を発生させるものであってもよい。
また、外部電源200から外部電力を供給する外部電源側コネクタ201と接続される車両側コネクタ101を含むインレット99は、モータジェネレータMG2とインバータ20の各相のアーム23,25,27との間に接続されていてもよく、車両側コネクタ101の形状、数量および備えられる場所が特に限定されるものではない。
更に、実施の形態では、制御系電子回路の許容範囲である約42V以下となるように、印加される電圧を、インバータ20によって降圧しているが、特にこれに限らず、OFF制御状態であってもリレーの接点の溶着により、印加される電圧が、リレーの端部で検出可能な電圧であればよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した範囲説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。