JP5779895B2 - 半導体用絶縁性接着剤 - Google Patents

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本発明は半導体用絶縁性接着剤に関し、特に半導体用絶縁性フィルムに適した半導体用絶縁性接着剤に関するものである。
近年、半導体装置の小型化と高密度化に伴い、半導体チップを回路基板に実装する方法としてフリップチップ実装が注目され、急速に広まってきている。フリップチップ実装においては、接合部分の接続信頼性を確保するための方法として、半導体チップ上に形成されたバンプ電極と回路基板のパッド電極を接合した後に、半導体チップと回路基板の隙間に液状封止接着剤を注入し硬化させることが一般的な方法として採られている。しかし、半導体装置の軽薄短小化のために、半導体チップに形成されるバンプ電極の増大とバンプ電極の低背化が進んできたため、液状封止接着剤を半導体チップと回路基板との隙間に注入するという従来の方法を用いることができないものが現れた。これに対し、回路基板あるいはバンプ電極付き半導体チップにアンダーフィル材とよばれる液状接着剤を、ディスペンサーやスクリーン印刷などの方法で塗布した後に半導体チップと回路基板を接合する方法が用いられるようになった。しかし、微小面積に均一に液状接着剤を塗布することは困難であるため、液状接着剤のはみ出しによる回路基板や半導体チップの汚染、実装面積の増大や未封止部分が存在するといった問題を有していた。この問題を解決するために、半導体チップのバンプ電極面に一定厚さの半導体用接着組成物をラミネートした後、ダイシングにより個別半導体チップとし、次に、半導体チップを回路基板にフリップチップ接続し、電気的接合と樹脂封止を同時に行う方法およびそれに使用する半導体用接着組成物が提案されている(特許文献1〜3参照)。
これらの文献に記載されている組成物の特徴として、マイクロカプセル型硬化剤を使用していることが挙げられる。半導体実装用の接着剤組成物には、短時間で硬化するための速硬化性と、低温での寿命を保証するための保存安定性の両立が求められる。マイクロカプセル型硬化剤は、硬化剤のコアをシェルが取り囲むような構造をしており、高温でシェルが溶けることにより、硬化剤が系内に流れ出し硬化が進行する。この特徴により、速硬化性と保存安定性の両立がなされる。このようなマイクロカプセル型硬化剤としては、マイクロカプセル化されたアミン系硬化剤(特許文献4、5)などが一般的である。
しかしながら、特許文献1〜3に記載の半導体用接着組成物は、高温・高圧の条件で加工を行った場合、絶縁性の低下が起こることがしばしばあった。
特開平3−16147号公報(特許請求の範囲) 特開2004−315688号公報(特許請求の範囲) 特開2007−211246号公報(特許請求の範囲) WO2005/095486号公報(請求の範囲) 特開2009−132931号公報(特許請求の範囲)
上記課題に鑑み本発明は、高温・高圧の条件で加工を行った場合であっても、絶縁性の低下の少ない半導体用絶縁性接着剤を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の半導体用絶縁性接着剤は、(A)マイクロカプセル型硬化剤、(B)エポキシ樹脂および(C)有機溶剤可溶性ポリイミドを含有する半導体用絶縁性接着剤であって、半導体用絶縁性接着剤のDSCにより測定した反応ピーク温度が170〜200℃であり、(A)マイクロカプセル型硬化剤のマイクロカプセル内部にアミン系硬化剤の粒子を有することを特徴とする半導体用絶縁性接着剤である。
本発明によれば、高温・高圧による実装においても絶縁性の著しい低下が起こることのない半導体接着用絶縁性剤を得ることができる。
反応ピーク温度が177℃の半導体用絶縁性接着剤(実施例1)のDSCチャートである。 反応ピーク温度が164℃の半導体用絶縁性接着剤(比較例1)のDSCチャートである。 反応ピーク温度が177℃の(A)マイクロカプセル型硬化剤のDSCチャートである。 反応ピーク温度が105℃の(A)マイクロカプセル型硬化剤のDSCチャートである。
我々は鋭意検討の結果、高温・高圧の条件で加工を行った場合、絶縁性の低下が起こるのは、マイクロカプセル型硬化剤の構造変化に起因することを見出した。すなわち(A)マイクロカプセル型硬化剤、(B)エポキシ樹脂および(C)有機溶剤可溶性ポリイミドを含有する半導体用絶縁性接着剤であって、半導体用絶縁性接着剤のDSCにより測定した反応ピーク温度が170〜200℃であり、(A)マイクロカプセル型硬化剤のマイクロカプセル内部にアミン系硬化剤の粒子を有する場合に、半導体絶縁用接着剤は高温・高圧の条件下における絶縁性の著しい低下が起こらず、かつ高温・高圧による加工性も良好であることを見出した。
本発明で使用する(A)マイクロカプセル型硬化剤は、DSCにより測定した反応ピーク温度が120〜200℃であることが好ましい。(A)マイクロカプセル型硬化剤の反応ピーク温度が120〜200℃であれば、本発明の半導体用絶縁性接着剤のDSCにより測定した反応ピーク温度を170〜200℃の範囲内に制御しやすくなる。またDSCにより測定した反応ピーク温度が120℃以上であれば、マイクロカプセルの強度が十分となり高温下でもカプセル構造を維持でき、半導体用絶縁性接着剤のDSCにより測定したピーク温度がより適切となる。(A)マイクロカプセル型硬化剤の構造が崩壊すると、半導体用絶縁性接着剤内にマイクロカプセル内部のアミン系硬化剤の粒子が放出されるため、樹脂の吸水率の上昇やイオン性不純物の増加が起こり、絶縁性の低下が起こってしまう。一方、その構造が維持されれば、吸水率の上昇やイオン性不純物の増加は起こらず、絶縁性は維持される。また(A)マイクロカプセル型硬化剤のDSCにより測定した反応ピーク温度が200℃以下であれば、実用レベルの硬化条件において硬化が適切な速度となり、絶縁信頼性、接続信頼性などを十分満たすことができる。
(A)マイクロカプセル型硬化剤のDSCにより測定した反応ピーク温度とは、(A)マイクロカプセル型硬化剤にBisA型エポキシ樹脂および/またはBisF型エポキシ樹脂を(A)マイクロカプセル型硬化剤の濃度が30〜50重量%程度になるよう混合し、DSCにより測定した反応ピーク温度である。(A)マイクロカプセル型硬化剤は、ハンドリング上の理由により、BisA型エポキシ樹脂および/またはBisF型エポキシ樹脂との混合物((A)マイクロカプセル型硬化剤の濃度が30〜50重量%程度)の状態で用いられることが多く、その状態で保存されているのであれば、そのまま測定サンプルとして用いることができる。
DSCにより測定した反応ピーク温度が120〜200℃の(A)マイクロカプセル型硬化剤と(B)エポキシ樹脂の混合物の市販品としては、例えばノバキュア HX−3088(旭化成イーマテリアルズ(株)製)を挙げることができる。
本発明で用いる(A)マイクロカプセル型硬化剤は、(B)エポキシ樹脂中に分散していることが好ましい。これにより半導体用絶縁性接着剤の硬化挙動が安定し、再現性の良い硬化性を得ることができる。またマイクロカプセル内部のアミン系硬化剤の粒子は、アミンアダクト型硬化剤の粒子、低分子アミン化合物、カルボン酸とアミンの塩などが好ましく、中でもアミンアダクト型硬化剤の粒子であることがより好ましい。アミンアダクトとは、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物などの樹脂と、アミン化合物を反応させたものである。また(A)マイクロカプセル型硬化剤のマイクロカプセルとしては、保存安定性の点でイソシアネート化合物、ウレア化合物を含有することが好ましく、中でもイソシアネート化合物を含有することがより好ましい。
本発明で使用する(A)マイクロカプセル型硬化剤は、マイクロカプセル内部にアミン系硬化剤の粒子を有しており、高温で加熱することにより(A)マイクロカプセル型硬化剤のマイクロカプセルが溶け、硬化剤が半導体用絶縁性接着剤の系内に流れ出し硬化が進行する。なおその挙動についてはDSC(示差走査熱量測定)により観察することができる。
市販されている(A)マイクロカプセル型硬化剤と(B)エポキシ樹脂の混合物は塩素を含んでいることが多いが、塩素は銅配線やアルミパッドの腐食や、イオンマイグレーションの原因となるため、好ましくない。そのため、(A)マイクロカプセル型硬化剤と(B)エポキシ樹脂の混合物の状態における塩素含有量は、200ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがより好ましい。塩素含有量が200ppm以下であれば、銅配線やアルミパッドの腐食や、イオンマイグレーションが起こりにくく絶縁性が向上する。塩素含有量が低く、かつDSCにより測定した反応ピーク温度が120〜200℃の(A)マイクロカプセル型硬化剤と(B)エポキシ樹脂の混合物の市販品としてはノバキュアLSA−H0402(旭化成イーマテリアルズ(株)製)を挙げることができる。
(A)マイクロカプセル型硬化剤は、他の成分と混合する前に熱処理を行ってもよい。熱処理の温度は特に制限されないが、40〜70℃程度が好ましい。また、他の成分と混合する前に有機溶剤と混合して粘度の調整をしてもよい。混合する溶剤は特に制限されないが、トルエンなどの非極性溶剤が好ましい。
本発明で用いる(B)エポキシ樹脂は常温で固体であっても液体であってもよく、例えばjER 828、jER1002、jER1750、jER152、jER157S70、jER YL980、jER YX4000(以上三菱化学(株)製)、エピクロンHP7200、エピクロンHP4032、エピクロンN−865、エピクロンEXA−850CRP(以上Dic(株)製)、YD−825GS、YDCN−704(以上新日鉄化学(株)製)、EOCN−1020、NC3000(以上日本化薬(株)製)、LX−01(ダイソー(株)製)などが挙げられ、これらを単独または2種以上の組み合わせで用いてもよい。また塩素含有量は低い方が好ましく、2000ppm以下であることが好ましく、1000ppm以下であることがより好ましい。
また本発明で用いる(B)エポキシ樹脂の軟化点は、100℃以下であることが好ましい。100℃以下であれば、半導体用絶縁性接着剤が十分な流動性を有することになる。また下限について特に制限はないが、軟化点が低いと硬化後においても弾性率やガラス転移温度(以下、Tgとする)が低下する傾向がある。
本発明で用いる(B)エポキシ樹脂は、BisA型エポキシ樹脂およびBisF型エポキシ樹脂を含有していることが好ましく、さらにBisA型エポキシ樹脂とBisF型エポキシ樹脂の重量比が、BisA型エポキシ樹脂:BisF型エポキシ樹脂=5:1〜1:1であることがより好ましい。BisA型エポキシ樹脂:BisF型エポキシ樹脂=5:1〜1:1の範囲においては、本発明の半導体用絶縁性接着剤は高い硬化後のTgを有するとともに、カケなどの発生が少なくなる。
本発明で用いる(C)有機溶剤可溶性ポリイミドとは、有機溶剤に可溶であればよく、構造などは特に限定されない。可溶性とは、以下より選ばれる溶剤の少なくとも一種に23℃で20重量%以上溶解することを意味する。ケトン系溶剤のアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、エーテル系溶剤の1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、グリコールエーテル系溶剤のメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、エステル系溶剤として、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、ガンマブチロラクトン、その他、ベンジルアルコール、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドである。半導体実装用材料においては、TCT(Thermal Cycle Test)に合格するレベルの高い耐クラック性が要求されるが、本発明の半導体用絶縁性接着剤においてはさらに(B)エポキシ樹脂との相溶性が要求されるため、有機溶剤可溶性であることが必要であり、これにより半導体用絶縁性接着剤に流動性を付与して製膜性等の加工性が十分となる。
本発明で用いる(C)有機溶剤可溶性ポリイミドはジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを反応させて、ポリアミック酸を重合し、続いて150℃以上の温度で反応させて、ポリイミド閉環を行って得ることができる。(B)エポキシ樹脂などの他成分との相溶性や、溶剤への溶解性の観点から、ポリイミド樹脂はシロキサン構造や脂肪族構造を有していることが好ましい。そのためには、それらの構造を有するジアミンまたはテトラカルボン酸二無水物を使用すればよい。
シロキサン構造を含むジアミンとしては、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p−アミノフェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどが挙げられる。脂肪族構造を含むジアミンとしては、1,6−ジアミノヘキサン、1,12−ジアミノドデカンなどが挙げられる。また、主鎖にビス(トリフルオロメチル)メチレン基、ジメチルメチレン基、エーテル基、チオエーテル基、スルホン基を有するジアミン成分も、適度な強度と靭性を付与するために使用することができ、例えば3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、あるいはこれら芳香族環にアルキル基やハロゲン原子が置換した化合物などが挙げられる。
他に用いることができるジアミンとしては、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロ)メチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ビス(トリフルオロ)メチルビフェニル、3,5−ジアミノ安息香酸などが挙げられる。
脂肪族構造を含むテトラカルボン酸二無水物としては、2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物などが挙げられる。またこれらの他にもエポキシ樹脂や溶剤との相溶性が高いものであれば好ましく用いることができ、例えば、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)チオエーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}プロパン二無水物、2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン二無水物などが挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独または2種以上組み合わせてもよい。
他に用いることができるテトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
全ジアミン成分と全テトラカルボン酸二無水物成分とのモル比は、全ジアミン成分100モルに対して、全テトラカルボン酸二無水物成分が85〜99モル、または、全ジアミン成分100モルに対して、全テトラカルボン酸二無水物成分が101〜115モルであることが好ましい。全ジアミン成分100モルに対して、全テトラカルボン酸二無水物成分が85〜99モルである場合は、ジアミン成分が過剰となるため、末端がエポキシと反応可能な官能基であるアミノ基になり、全ジアミン成分100モルに対して、全テトラカルボン酸二無水物成分が101〜115モルである場合は、テトラカルボン酸二無水物が過剰となるため、末端がエポキシと反応可能な官能基であるカルボン酸無水物になる。
全ジアミン成分100モルに対して、全テトラカルボン酸二無水物成分が85〜99モルである場合は、ジカルボン酸無水物を全ジアミン成分100モルに対して2〜30モル使用してもよい。ジカルボン酸無水物は、末端封止剤として利用される。具体的には、3−ヒドロキシフタル酸無水物、4−ヒドロキシフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、フタル酸無水物、マレイン酸無水物などが挙げられる。
全ジアミン成分100モルに対して、全テトラカルボン酸二無水物成分が101〜115モルである場合は、モノアミン成分を全ジアミン成分100モルに対して、2〜30モル使用してもよい。モノアミン成分は、末端封止剤として利用される。具体的には、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノール、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、アニリンなどが挙げられる。
また本発明で用いる(C)有機溶剤可溶性ポリイミドはエポキシ樹脂との架橋を行うため、構造中に反応性官能基を有していることが好ましい。例えば、主鎖にビス(トリフルオロメチル)メチレン基、ジメチルメチレン基、エーテル基、チオエーテル基、スルホン基を有し、さらにエポキシ基と反応可能な官能基を有するジアミン成分を使用することで、(C)有機溶剤可溶性ポリイミドの構造中に反応性官能基を導入することができる。中でも、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)プロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどが好ましい。これらのジアミンは、単独または2種以上の組み合わせで用いてもよい。
また本発明で用いる(C)有機溶剤可溶性ポリイミドの重量平均分子量(Mw)は10000〜200000であることが好ましい。上記範囲であれば、流動性と成膜性をより高くすることが出来る。重量平均分子量を10000〜200000とするためには、ポリイミド重合時の全ジアミンと全テトラカルボン酸二無水物とのモル比、重合温度、重合時間等を調整することにより達成することができる。また、重合温度、重合時間等の調整により(C)有機溶剤可溶性ポリイミド内部に、一部未反応のカルボン酸を残し、一部をポリアミック酸とすることも可能である。上記ポリアミック酸の残存については、特に制限されない。
本発明ではさらに(D)無機粒子を含有してもよい。(D)無機粒子は特に限定されないが、例えば溶融シリカ、結晶質シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナ、炭酸カルシウム、カーボンブラックなど公知の無機充填剤の他、粘度調整用の層状ケイ酸塩やイオン補足剤としてのゼオライト、リン酸ジルコニウム、水酸化ビスマス、ハイドロタルサイトなどが挙げられる。また実装の際の接続障害や回路間のブリッジを防ぐため、無機充填剤平均粒子径は10μm以下であることが好ましい。
その他の添加剤として、エポキシ樹脂の硬化剤としての脂肪族アミン、芳香族アミン、フェノールノボラック樹脂、硬化成分としてのレゾール型フェノール樹脂やテトラメチレンヘキサミンなどのフェノール樹脂硬化剤、レベリング剤、着色剤、消泡剤などの添加は特に制限されるものではない。
本発明において(A)マイクロカプセル型硬化剤、(B)エポキシ樹脂および(C)有機溶剤可溶性ポリイミドの構成比率は特に限定されるものではないが、(B)エポキシ樹脂100重量部に対して、(A)マイクロカプセル型硬化剤を1〜100重量部有することが好ましく、5〜50重量部有することがより好ましく、10〜30重量部有することがさらに好ましい。また(B)エポキシ樹脂100重量部に対して、(C)有機溶剤可溶性ポリイミドを10〜500重量部有することが好ましく、20〜100重量部有することがより好ましく、30〜50重量部有することがさらに好ましい。上記構成比率であれば、(1)フィルム材料としてのハンドリング性、(2)サーマルサイクル耐性、(3)絶縁信頼性、(4)樹脂流動性、(5)耐熱性がより十分な値となる。
また(D)無機粒子を含有する場合は、(B)エポキシ樹脂100重量部に対して、(D)無機粒子を50〜1500重量部有することが好ましく、80〜1000重量部有することがより好ましく、150〜750重量部有することがさらに好ましい。この範囲内であれば、樹脂の柔軟性と無機粒子の強靭性を併せ持つことができ、耐熱信頼性、耐湿信頼性が向上する。
本発明の半導体用絶縁性接着剤は半導体実装用途における絶縁信頼性の指標である121℃/85RH%における絶縁抵抗値が1×10Ω〜1×1011Ωであることが好ましく、特に2×10Ω〜1×1011Ωであることが好ましい。また同条件で100Vの電圧印加を行った際の絶縁性保持時間が100〜10000時間であることが好ましい。絶縁性保持時間とは100Vの電圧印加試験において絶縁抵抗値が1×10Ω以上を維持できる時間とする。
本発明の半導体用絶縁性接着剤は半導体用絶縁性フィルムに用いることが好ましい。半導体用絶縁性フィルムは、本発明の半導体用絶縁性接着剤を接着剤層とし、少なくとも1層以上の剥離可能な保護フィルム層を有する構成のものであることが好ましい。たとえば、保護フィルム層/接着剤層の2層構成、あるいは保護フィルム層/接着剤層/保護フィルム層の3層構成がこれに該当する。接着剤層は例えば半導体用絶縁性接着剤を溶媒中で混合してワニス状としたものを保護フィルム層に塗布、脱溶媒させて作製することができる。保護フィルム層は剥離性基材であることが好ましい。剥離性基材としては、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム等のフッ素樹脂フィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等が挙げられる。また、剥離性基材はシリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、脂肪族アミド系等で離型処理が施されていてもよい。剥離性基材の厚みは200μm以下のものであることが好ましく、通常25〜100μmのものがより好ましい。接着剤層の厚みは特に限定されないが、溶剤の乾燥の観点から100μm以下が好ましい。
接着剤層の両面に保護フィルム層を有する場合、それぞれの保護フィルム層の接着剤層に対する剥離力をF1、F2(F1>F2)としたとき、剥離力F1、F2はいずれも1〜200Nm−1であることが好ましく、3〜100Nm−1であることがより好ましい。1Nm−1以上であれば保護フィルム層の脱落が生じることが少なく、200Nm−1以下であれば剥離作業を安定に行うことができるため、接着剤層が損傷する場合が少なくなる。
またF1−F2は5〜50Nm−1であることが好ましく、15〜30Nm−1であることがより好ましい。F1−F2が5Nm−1以上であれば、剥離の際に両面の保護フィルム層が同時に剥がれることがなくなる。また50Nm−1以下であれば、一方の保護フィルムの剥離力が極端に大きくなることがないため、剥離操作が容易となる。
本発明の半導体用絶縁性接着剤の溶解に用いる溶媒としては前記成分を溶解するものを適宜選択すればよく、たとえばケトン系溶剤のアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、エーテル系溶剤の1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、グリコールエーテル系溶剤のメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、その他トルエン、ベンジルアルコール、プロパノール、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。特に大気圧下沸点が120℃以下であるものを用いると、低温、短時間で脱溶媒化できるためシート化加工が容易となる。
また本発明の半導体用絶縁性接着剤を用いた半導体用絶縁性フィルムは、作成後40〜80℃で1〜200時間程度熱処理して硬化度を調節してもよい。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各評価方法について以下に述べる。
(1)ポリイミド樹脂の赤外吸収スペクトルの測定
堀場製作所製FT−IR720を用いてKBr法により測定した。
(2)ポリイミド樹脂の重量平均分子量の測定
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(日本ウォーターズ株式会社製 Waters 2690)を用い、ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。カラムは東ソー(株)製 TOSOH TXK−GEL α−2500、およびα−4000を用い、移動層にはN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPとする。)を用いた。
(3)マイクロカプセル型硬化剤のDSC(示差走査熱量測定)の測定
測定サンプル((A)マイクロカプセル型硬化剤とBisA型エポキシ樹脂および/またはBisF型エポキシ樹脂の混合物)を密封測定パンに封入し、標準サンプルとしてアルミナを同様に密封測定パンに封入し、セイコーインスツルメンツ製DSC測定装置(DSC6200)を用いて昇温速度5℃/分で、30〜250℃の温度領域で測定を行った。得られた測定チャートで、測定値が最大となるときの温度を読み取り反応ピーク温度とした。
(3’)半導体用絶縁性接着剤のDSC(示差走査熱量測定)の測定
測定サンプルを密封測定パンに封入し、標準サンプルとしてアルミナを同様に密封測定パンに封入し、セイコーインスツルメンツ製DSC測定装置(DSC6200)を用いて昇温速度10℃/分で、30〜350℃の温度領域で測定を行った。得られた測定チャートで、測定値が最大となるときの温度を読み取り反応ピーク温度とした。
(4)マイクロカプセル型硬化剤の全塩素量の測定
試料1gを25mlのエチレングリコールモノブチルエーテルに溶解し、これに1規定KOHのプロピレングリコール溶液25mlを加えて20分間煮沸した後、硝酸銀水溶液で滴定した。
(5)ハンドリング性(半導体用絶縁性接着剤のカケの発生しやすさ)の評価
得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルムを、カッターナイフを用いて1cm×5cmの長方形にカットした。カットした際の端部にカケがあるかどうか目視にて確認した。10回同様の試験を繰り返し、6回以上カケが発生した場合を△、3〜5回であった場合を○、2回以下であった場合を◎とした。
(6)評価用パターンテープサンプル(くし型形状)の作成
TAB用接着剤付きテープ(#9300、東レ(株)製)に18μmの電解銅箔を、140℃、0.1MPaの条件でラミネートした。続いてエアオーブン中で80℃で3時間、100℃で5時間、150℃で5時間の順次加熱キュア処理を行ない、銅箔付きTAB用テープを作成した。得られた銅箔付きTAB用テープの銅箔面に感光性のドライフィルムレジストをラミネート後、露光することによりフォトレジスト膜を形成し、エッチング、レジスト剥離を行ない、評価用パターンテープサンプル(くし型形状)を作成した。評価用パターンテープサンプル(くし型形状)のライン/スペース(L/S)は40μm/40μmとした。
(7)絶縁信頼性の評価
得られた評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルムを121℃、85%RHの恒温恒湿槽内に入れ、100Vの電圧を連続的に印加した状態において100時間抵抗値を測定した。電圧印加後5時間以内での抵抗値の最大値を絶縁抵抗値とし、合否については100時間の間、一度も10Ωを下回らなかった場合を合格とし、一度でも10Ωを下回った場合、不合格とした。
(8)耐熱性の評価
得られた半導体用絶縁性フィルムを、セイコーインスツルメンツ製粘弾性測定装置(DMS6100)を用いて、周波数1Hz、10℃/分の昇温速度で耐熱性の測定を行った。得られたチャートを解析し、tanδの最大値をガラス転移温度(Tg)(℃)とした。また150℃における弾性率(Pa)を読み取った。
(A)マイクロカプセル型硬化剤と(B)エポキシ樹脂の混合物
ノバキュア HX−3088(旭化成イーマテリアルズ(株)製)、(アミンアダクト型硬化剤の粒子をマイクロカプセル内部に有するマイクロカプセル型硬化剤35重量%、BisA型エポキシ樹脂65重量%、反応ピーク温度177℃(図3)、全塩素量1200ppm)
ノバキュア LSA−H0402(旭化成イーマテリアルズ(株)製)、(アミンアダクト型硬化剤の粒子をマイクロカプセル内部に有するマイクロカプセル型硬化剤35重量%、BisA型エポキシ樹脂50重量%、BisF型エポキシ樹脂15重量%、反応ピーク温度176℃、全塩素量70ppm)
ノバキュア HX−3941HP(旭化成イーマテリアルズ(株)製)、(アミンアダクト型硬化剤の粒子をマイクロカプセル内部に有するマイクロカプセル型硬化剤35重量%、BisF型エポキシ樹脂55重量%、BisA型エポキシ樹脂10重量%、反応ピーク温度105℃、全塩素量700ppm)
ノバキュア HXA−3922HP(旭化成イーマテリアルズ(株)製)、(アミンアダクト型硬化剤の粒子をマイクロカプセル内部に有するマイクロカプセル型硬化剤35重量%、BisF型エポキシ樹脂55重量%、BisA型エポキシ樹脂10重量%、反応ピーク温度105℃(図4)、全塩素量700ppm)
(B)エポキシ樹脂
エピクロンN−865(Dic(株)製、BisAノボラック型エポキシ樹脂)
エピクロンEXA−850CRP(Dic(株)製、BisA型液状エポキシ樹脂)
エピクロンHP4710(Dic(株)製、ナフタレンノボラック型エポキシ樹脂)
jER YL983U(三菱化学(株)製、BisF型液状エポキシ樹脂)
(C)有機溶剤可溶性ポリイミド
ポリイミド樹脂:乾燥窒素気流下、2,2−ビス(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン二無水物(以下、BPADAとする。)52g(0.1モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(以下、SiDAとする。)10.93g(0.044モル)、1,3‐ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン15.91g(0.055モル)をNMP200gに溶解させた。次いで70℃で1時間撹拌した。その後、190℃で3時間攪拌した。攪拌終了後、溶液を水3Lに投入して白色沈殿したポリマーを得た。この沈殿をろ過して回収し、水で3回洗浄した後、真空乾燥機を用いて80℃、100時間乾燥した。得られたポリマー固体の赤外吸収スペクトルを測定したところ、1780cm−1付近、1377cm−1付近にポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピークが検出された。重量平均分子量は約30000であった。
(C’)アクリル樹脂
アクリル樹脂:Vamac−G(三井デュポンポリケミカル(株)製):エチレン‐アクリル共重合体 Mw=100000
(D)無機粒子
SO−E2(アドマテックス(株)製、球状シリカ、平均粒径0.5μm)
(実施例1)
(i)(A)成分と(B)成分の混合物としてノバキュアHX−3088 20g(20重量部)をメチルイソブチルケトン10gで希釈した(I液)。一方、(B)成分としてエピクロンN−865 55g(55重量部)および(C)成分として上記ポリイミド樹脂25g(25重量部)をメチルイソブチルケトン37gと混合し溶解させた(II液)。これらI液とII液を混合し接着剤組成物溶液1を得た。
(ii)得られた接着剤組成物溶液1を、バーコーターで、離型剤付きの厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レフィルム加工(株)製、セラピールHP2)に約40μmの乾燥厚さとなるように塗布し、90℃で10分間乾燥して、ポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム1を得た。得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム1からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、(3’)半導体用絶縁性接着剤のDSCの測定を行った(図1)。
(iii)得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム1を、上記(6)の評価用パターンテープサンプル(くし型形状)のパターン面に、接着剤組成物の層が接するように、70℃、0.1MPaの条件でラミネートした後、200℃、0.9MPaで1分間プレスした。ついでエアオーブン中で180℃、1時間加熱キュア処理を行い、その後ポリエチレンテレフタレートフィルムの層を剥離して、評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム1を得た。得られた評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム1を用いて上記(7)絶縁信頼性評価の評価を行った。結果を表1に示す。
(iv)また、上記のポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム1をエアオーブン中で180℃、1時間加熱キュア処理を行い、ポリエチレンテレフタレートフィルムの層を剥離して半導体用絶縁性フィルム1を得た。得られた半導体用絶縁性フィルム1を用いて(8)耐熱性の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例2〜5)
(A)〜(C)成分を表1に記載のとおり変更した以外は実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム2〜5、評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム2〜5および半導体用絶縁性フィルム2〜5を得た。
得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム2〜5からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、(3’)半導体用絶縁性接着剤のDSCの測定を行った。また得られた評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム2〜5を用いて上記(7)絶縁信頼性評価の評価を行った。また得られた半導体用絶縁性フィルム2〜5を用いて(8)耐熱性の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
(i)(A)成分と(B)成分の混合物としてノバキュアHX−3088 40g(40重量部)をメチルイソブチルケトン10gで希釈した(III液)。一方、(B)成分としてエピクロンN−865 35g(35重量部)、(C)成分として上記ポリイミド樹脂を 25g(25重量部)および(D)成分としてSO−E2 100g(100重量部)をメチルイソブチルケトン37gと混合し溶解させた(IV液)。これらIII液とIV液を混合し接着剤組成物溶液6を得た。
(ii)接着剤組成物溶液1の代わりに接着剤組成物溶液6を用いた以外は実施例1(ii)〜(iv)と同様にしてポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム6、評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム6および半導体用絶縁性フィルム6を得た。
得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム6からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、(3’)半導体用絶縁性接着剤のDSCの測定を行った。また得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム6を用いて、(5)ハンドリング性の評価を行った。
また得られた評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム6を用いて上記(7)絶縁信頼性評価の評価を行った。また得られた半導体用絶縁性フィルム6を用いて(8)耐熱性の評価を行った。結果を表1、3に示す。
(実施例7、9〜12)
(A)〜(D)成分を表2、3に記載のとおり変更した以外は実施例6と同様にして、ポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム7、9〜12、評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム7、9〜12および半導体用絶縁性フィルム7、9〜12を得た。
得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム7、9〜12からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、(3’)半導体用絶縁性接着剤のDSCの測定を行った。また得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム7、9〜12を用いて、(5)ハンドリング性の評価を行った。
また得られた評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム7、9〜12を用いて上記(7)絶縁信頼性評価の評価を行った。また得られた半導体用絶縁性フィルム7、9〜12を用いて(8)耐熱性の評価を行った。結果を表2、3に示す。
(実施例8)
(i)(A)〜(D)成分を表2に記載のとおり変更した以外は実施例6(i)と同様にして接着剤組成物溶液8を得た。
(ii)接着剤組成物溶液1の代わりに接着剤組成物溶液8を用いた以外は実施例1(ii)と同様にして、ポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム8を得た。得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム8からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、(3’)半導体用絶縁性接着剤のDSCの測定を行った。
(iii)得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム8を、上記(5)の評価用パターンテープサンプル(くし型形状)のパターン面に、接着剤組成物の層が接するように、70℃、0.1MPaの条件でラミネートした後、エアオーブン中で180℃、1時間加熱キュア処理を行なって、その後ポリエチレンテレフタレートフィルムの層を剥離して、評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム8を得た。
得られた評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム8を用いて上記(7))絶縁信頼性評価の評価を行った。結果を表2に示す。
(iv)また、ポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム1の代わりにポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム8を用いた以外は実施例1(iv)と同様にして、半導体用絶縁性フィルム8を得た。得られた半導体用絶縁性フィルム8を用いて(8)耐熱性の評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例1)
(A)〜(C)成分を表2に記載のとおり変更した以外は実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム13、評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム13および半導体用絶縁性フィルム13を得た。
得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム13からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、(3’)半導体用絶縁性接着剤のDSCの測定を行った(図2)。また評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム13を用いて上記(7)絶縁信頼性評価の評価を行った。また得られた半導体用絶縁性フィルム13を用いて(8)耐熱性の評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例2〜4)
(A)〜(D)成分を表2に記載のとおり変更した以外は実施例6と同様にしてポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム14〜16、評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム14〜16および半導体用絶縁性フィルム14〜16を得た。
得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム14〜16からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、(3’)半導体用絶縁性接着剤のDSCの測定を行った。また得られた評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム14〜16を用いて上記(7)絶縁信頼性評価の評価を行った。また得られた半導体用絶縁性フィルム14〜16を用いて(8)耐熱性の評価を行った。結果を表2に示す。
(参考例1)
(A)〜(D)成分を表2に記載のとおり変更した以外は実施例8と同様にしてポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム17、評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム17および半導体用絶縁性フィルム17を得た。
得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム17からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、(3’)半導体用絶縁性接着剤のDSCの測定を行った。また得られた評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム17を用いて上記(7)絶縁信頼性評価の評価を行った。また得られた半導体用絶縁性フィルム17を用いて(8)耐熱性の評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0005779895
Figure 0005779895
Figure 0005779895
実施例1〜8により本発明の半導体用絶縁性接着剤は高い絶縁信頼性を有するといえる。実施例5、7から全塩素量の少ないマイクロカプセル型硬化剤を使用すれば、より高い絶縁性を得ることができると言える。また比較例4との比較により、アクリル樹脂を用いた場合は、ポリイミド樹脂を用いた場合よりも弾性率が著しく低下することがわかる。実施例6、7、9〜12の比較により、BisA型エポキシ樹脂とBisF型エポキシ樹脂の比率には、最適値が存在すると言える。
また実施例7および実施例8を比較すると、反応ピーク温度の高いマイクロカプセル型硬化剤を使用した場合、プレス処理の有無によらず安定した絶縁信頼性が得られる。ところが、比較例2と参考例1を比較すると、反応ピーク温度の低いマイクロカプセル型硬化剤を使用した場合、プレス処理のない参考例1では高い絶縁性が得られるのに対し、プレス処理をした比較例2では絶縁性の著しい低下を招き、電気試験によりイオンマイグレーションが発生してしまう。
この現象は、DSCにより測定した反応ピーク温度の低いマイクロカプセル型硬化剤は、マイクロカプセルが脆弱であるため、プレス処理によりマイクロカプセルの構造が崩壊し、半導体用絶縁性接着剤内部の吸水率の上昇やイオン性不純物の増加が起こることが原因と推測される。プレス処理の前後でマイクロカプセルの構造が崩壊する様子は、SEMなどの断面観察により確認することができる。
一方、DSCにより測定した反応ピーク温度の高いマイクロカプセル型硬化剤は、マイクロカプセルが強じんであるため、プレス処理を行ってもマイクロカプセルの構造が崩壊しない。したがって、プレス処理の有無にかかわらず安定した絶縁性を有する。マイクロカプセルの構造が保持されている様子は、同様にSEMなどの断面観察により確認することができる。
上記の結果から、従来用いられているDSCにより測定した反応ピーク温度の低いマイクロカプセル型硬化剤は、熱・圧力が比較的穏やかな実装用途には使用することができるが、過酷な実装条件には適用できないと言える。一方、本発明で用いるDSCにより測定した反応ピーク温度の高いマイクロカプセル型硬化剤は、過酷な実装条件であっても、信頼性の低下が起こらないため、より広範な実装条件でも使用することが可能であり、そのため優れた半導体用絶縁性接着剤を得ることができると考えられる。
本発明によれば、半導体接続用の絶縁性接着フィルム(Non Conductive Film=NCF)、ダイアタッチフィルム(DAF)、TSV(Through Silicon Via)用絶縁性接着フィルムなどを得るのに好適な半導体用絶縁性接着剤を得ることができる。

Claims (5)

  1. (A)マイクロカプセル型硬化剤、(B)エポキシ樹脂および(C)有機溶剤可溶性ポリイミドを含有する半導体用絶縁性接着剤であって、半導体用絶縁性接着剤のDSCにより測定した反応ピーク温度が170〜200℃であり、(A)マイクロカプセル型硬化剤のマイクロカプセル内部にアミン系硬化剤の粒子を有しており、アミン系硬化剤の粒子がアミンアダクト型硬化剤の粒子であり、(B)エポキシ樹脂がBisA型エポキシ樹脂を含有することを特徴とする半導体用絶縁性接着剤。
  2. (B)エポキシ樹脂100重量部に対して、(A)マイクロカプセル型硬化剤を1〜100重量部、(C)有機溶剤可溶性ポリイミドを10〜500重量部有することを特徴とする請求項1に記載の半導体用絶縁性接着剤。
  3. (B)エポキシ樹脂がBisA型エポキシ樹脂およびBisF型エポキシ樹脂を含有し、かつBisA型エポキシ樹脂とBisF型エポキシ樹脂の重量比が、BisA型エポキシ樹脂:BisF型エポキシ樹脂=5:1〜1:1であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体用絶縁性接着剤。
  4. さらに(D)無機粒子を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半導体用絶縁性接着剤。
  5. (B)エポキシ樹脂100重量部に対して、(D)無機粒子を50〜1500重量部有することを特徴とする請求項4に記載の半導体用絶縁性接着剤。
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