JP6716939B2 - 接着剤、それからなる接着フィルム、それらの硬化物を含む半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

接着剤、それからなる接着フィルム、それらの硬化物を含む半導体装置およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6716939B2
JP6716939B2 JP2016026591A JP2016026591A JP6716939B2 JP 6716939 B2 JP6716939 B2 JP 6716939B2 JP 2016026591 A JP2016026591 A JP 2016026591A JP 2016026591 A JP2016026591 A JP 2016026591A JP 6716939 B2 JP6716939 B2 JP 6716939B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
adhesive
acid
same
different
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2016026591A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017145289A (ja
Inventor
大典 金森
大典 金森
悠太 小林
悠太 小林
浩一 藤丸
浩一 藤丸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2016026591A priority Critical patent/JP6716939B2/ja
Publication of JP2017145289A publication Critical patent/JP2017145289A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6716939B2 publication Critical patent/JP6716939B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Wire Bonding (AREA)
  • Die Bonding (AREA)
  • Adhesive Tapes (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Description

本発明は、LSI、LED、レーザーダイオード等の半導体チップを、フレキシブル基板、ガラスエポキシ基板、ガラス基板、セラミックス基板、シリコンインターポーザーなどの回路基板に接着もしくは直接電気的接合する際、または、半導体チップ同士を接合もしくは積層する際に用いられる接着剤等に関する。
半導体チップを回路基板に実装する方法としてフリップチップ実装が知られている。フリップチップ実装においては、接合部分の接続信頼性を確保するための方法として、半導体チップ上に形成されたハンダバンプと回路基板のパッド電極の間にエポキシ樹脂系接着剤を介在させることが一般的な方法として採られている。なかでも、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂および無機粒子を含有する接着剤は、ポリイミド樹脂の耐熱性と絶縁特性、エポキシ樹脂の接着性と耐水性、および無機粒子の低吸水性と低熱線膨張性を利用し、高い接続信頼性を得ることができ、電気、電子、建築、自動車、航空機等の各種用途に多用されつつある。(例えば特許文献1)近年では、接着剤層を半導体チップまたは回路基板上に形成した後に、接着剤越しに位置合わせなどのためのマークを認識するプロセスも提案されており、接着剤に透明性を付与する要求も高まっている。このため、ナノサイズの無機粒子を用いて光散乱を抑制し、透過率を改善した接着剤が提案されている。(例えば特許文献2)このような接着剤の中には、ハンダ接続の際に用いられるフラックス剤の一種として知られている酸変性ロジンを含有するものも提案されている。酸変性ロジンは、立体的な嵩高さからカルボン酸の反応性が抑制されており、フラックス剤としてのみならず、エポキシ樹脂系接着剤の潜在性硬化剤として使用することができる。(特許文献3)
特開2004ー319823号公報 特開2014−112699号公報 WO2014/103637号公報
近年、半導体装置の高機能化に伴い、半導体チップの大型化、半導体チップ上に形成されたハンダバンプの高密度化(多ピン化・ファインピッチ化)が急速に進んでいる。このような高機能半導体装置はボイドの排出が極めて困難であり、従来の接着剤で作製した場合、ボイドが残り十分な信頼性を得られないという課題があった。また、このような高機能半導体装置では、半導体チップが大型化する一方で、半導体装置としては小型化が進んでいる。従来の接着剤で作製した場合、フリップチップ実装時に半導体チップ外部に接着剤がはみ出すため、半導体チップサイズに対して十分に大きな半導体装置しか作製できないという課題があった。
本発明は、(a)ポリイミド、(b)エポキシ化合物、(c)酸変性ロジンおよび(d)無機粒子を含有する接着剤であって、最低溶融粘度が5,000〜50,000Pa・sであり、(c)酸変性ロジンの含有量が(b)エポキシ化合物100質量部に対して40〜60質量部である接着剤である。
本発明によれば、熱乾燥処理および実装プロセス中の加熱処理に対する安定性に優れた接着剤が得られる。
本発明の接着剤は、(a)ポリイミド、(b)エポキシ化合物、(c)酸変性ロジンおよび(d)無機粒子を含有する接着剤であって、最低溶融粘度が5,000〜50,000Pa・sであり、(c)酸変性ロジンの含有量が(b)エポキシ化合物100質量部に対して40〜60質量部である接着剤である。
本発明の接着剤は、(a)ポリイミドを含有する。そのため、耐熱性および耐薬品性に優れている。特に、ポリイミドの側鎖に、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれる高い極性を持つ官能基を少なくとも一つ有するものを用いることで、ポリイミドの有機溶剤可溶性およびエポキシ化合物との相溶性が向上する。さらに熱処理時に、エポキシ化合物の開環反応、および他の有機溶剤可溶性ポリイミドへの付加反応が促進されることによって、より一層密度の高い網目構造を有する硬化物を得ることができる。このようなポリイミドの合成方法としては、以下の例に限られるものではないが、例えば、まず、フェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基などの高い極性を持つ官能基を有するジアミンと酸二無水物を反応させてポリイミド前駆体を合成し、次に、末端封止剤として一級モノアミンを用いて、このポリイミド前駆体の末端修飾を行い、続いて、150℃以上の熱処理を行い、ポリイミド閉環を行う方法が挙げられる。これ以外には、先に酸二無水物に末端封止剤として一級モノアミンを反応させた後、官能基を有するジアミンを添加して末端修飾されたポリイミド前駆体を合成し、さらに150℃以上の高温でポリイミド閉環を行う方法が挙げられる。
なお、本発明に用いられる(a)ポリイミドは、以下より選ばれる少なくとも1種の溶剤に23℃で20質量%以上溶解する有機溶剤可溶性ポリイミドであると、得られる接着剤ワニスの塗布性が高まるので望ましい。溶剤としては、ケトン系溶剤のアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン;エーテル系溶剤の1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム;グリコールエーテル系溶剤のメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル;その他の溶剤のベンジルアルコール、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。
(a)ポリイミドの好ましい一例は、一般式(2)または一般式(3)で表される構造を有し、かつ一般式(1)で表される構造を一般式(2)または一般式(3)中のRとして、ポリマー全量に対し5〜15質量%含有するものである。下限としては7質量%以上含有することが好ましい。また上限としては13質量%以下含有することが好ましい。一般式(1)で表される構造の含有量を5質量%以上とすることで、ポリイミドに有機溶剤への可溶性および適度な柔軟性を付与することができる。該含有量を、15質量%以下とすることで、ポリイミドの剛直性を維持し、かつ耐熱性および絶縁性を担保することができる。
なお、ここでのポリイミドの合成により得られるポリマー(ポリイミド)の全量とは、ジアミンと酸二無水物および末端封止剤からなる構成成分の重合により得られたポリマーの質量のことである。該合成時に過剰に仕込まれ、重合によりポリマーにならなかったジアミン、酸二無水物および末端封止剤は、ポリイミドの質量に含まない。
Figure 0006716939
式中、Rは2価の炭化水素基を示し、1分子内で同一でも異なっていてもよく、また異なる分子において同一でも異なっていてもよい。Rは1価の炭化水素基を示し、1分子内で同一でも異なっていてもよく、また異なる分子において同一でも異なっていてもよい。nは1〜10の整数を示す。
は、好ましくはフェニレン基または炭素数1〜5のアルキレン基である。Rは、好ましくはフェニル基または炭素数1〜5のアルキル基である。またnは好ましくは1〜2である。nを1以上とすることで硬化時の接着剤の収縮を抑えることができる。nを10以下とすることでポリイミド骨格中のイミド基含有率を低減させず、接着剤の絶縁性および耐熱性を向上することができる。
Figure 0006716939
式中、Rは、4〜14価の有機基を示し、1分子内で同一でも異なっていてもよく、また異なる分子において同一でも異なっていてもよい。また、Rは、2〜12価の有機基を示し、1分子内で同一でも異なっていてもよく、また異なる分子において同一でも異なっていてもよい。また、RおよびRの少なくとも一つは1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、イソプロピル基、エーテル基、チオエーテル基およびSO基からなる群より選ばれる1以上の基を少なくとも一つ含有する芳香族基である。RおよびRは、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれる1以上の基を示し、1分子内で同一でも異なっていてもよく、また異なる分子において同一でも異なっていてもよい。Xは、1価の有機基を示す。mは8〜200の整数を示す。αおよびβは、それぞれ0〜10の整数を示し、かつ、α+βは0〜10の範囲である。ただし、式中の繰り返し単位において、繰り返し数mのうち、20〜90モル%の繰り返し単位においては、α+β=1〜10の範囲である。
なお上記1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、イソプロピル基、エーテル基、チオエーテル基およびSO基からなる群より選ばれる基を、以下「特定基」という。
一般式(2)、(3)において、Rは酸二無水物の構造成分を表しており、なかでも炭素数5〜40の4〜14価の有機基であることが好ましい。また、Rはジアミンの構造成分を表しており、なかでも炭素数5〜40の2〜12価の有機基であることが好ましい。また、R、Rの両方が前記特定基を少なくとも一つ含有することが好ましい。
は、Rの置換基であり、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれる。Rは、原料となる酸二無水物の置換基に由来する。Rは、Rの置換基であり、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれる。Rは、原料となるジアミンの置換基に由来する。
用いられる酸二無水物について説明する。前記特定基を少なくとも一つ有する酸二無水物としては、具体的には、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物あるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子が置換された化合物等が挙げられる。
前記特定基を少なくとも一つ有し、かつ、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれる基を少なくとも一つ有する酸二無水物の例としては、具体的には、下記に示した構造の芳香族酸二無水物が挙げられる。
Figure 0006716939
はC(CF、C(CH、SO、SまたはOを示す。R10、R11は水素原子、水酸基、チオール基またはスルホン酸基を示す。ただし、R10およびR11が同時に水素原子となることはない。
前記特定基は持たず、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれる基を少なくとも一つ有する酸二無水物の例としては、具体的には、下記に示した構造の芳香族酸二無水物を挙げることができる。
Figure 0006716939
、Rは水素原子、水酸基、チオール基またはスルホン酸基を示す。ただし、RおよびRが同時に水素原子となることはない。
前記特定基を持たず、フェノール性水酸基、スルホン酸基またはチオール基も持たない酸二無水物としては、具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物あるいはこれらの芳香族環がアルキル基やハロゲン原子で置換された化合物が挙げられる。
本発明では、これらの酸二無水物を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
次に、ジアミンについて説明する。前記特定基を少なくとも一つ有するジアミンとしては、具体的には、3,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、4,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、あるいはこれらの芳香族環がアルキル基やハロゲン原子で置換された化合物等が挙げられる。
前記特定基を少なくとも一つ有し、かつ、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれる基を少なくとも一つ有するジアミンとしては、具体的には、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)プロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルヒド、あるいはこれらの芳香族環がアルキル基やハロゲン原子で置換された化合物等や、下記に示した構造のジアミンなどが挙げられる。
Figure 0006716939
16はC(CF、C(CH、SO、SまたはOを示す。R17、R18は水素原子、水酸基、チオール基またはスルホン酸基を示す。ただし、R17およびR18が同時に水素原子となることはない。
前記特定基は持たず、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれる基を少なくとも一つ有するジアミンとしては、具体的には、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,4−ジアミノ−フェノール、2,5−ジアミノフェノール、1,4−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシベンゼン、ジアミノジヒドロキシピリミジン、ジアミノジヒドロキシピリジン、ヒドロキシジアミノピリミジン、9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、あるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物等や、下記に示した構造のジアミンなどが挙げられる。
Figure 0006716939
12〜R15は水素原子、水酸基、チオール基またはスルホン酸基を示す。ただし、R12およびR13が同時に水素原子となることはない。
前記特定基を持たず、フェノール性水酸基、スルホン酸基またはチオール基も持たないジアミンとしては、具体的には、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジ(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、あるいはこれらの芳香族環がアルキル基やハロゲン原子で置換された化合物、テレフタル酸ヒドラジド、イソフタル酸ヒドラジド、フタロ酸ヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジヒドラジド、4,4’−ビスフェニルジカルボノヒドラジン、4,4’−シクロヘキサンジカルボノヒドラジン、あるいはこれらの芳香族環がアルキル基やハロゲン原子で置換されたヒドラジド化合物等が挙げられる。ジアミンは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、一般式(1)で表される構造は、一般式(2)および(3)中のRとして含まれるため、ジアミンの構成成分となる。一般式(1)で表される構造を含むジアミンとしては、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p−アミノ−フェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどが挙げられる。
一般式(2)および(3)におけるRおよびRを選択することにより、接着剤を熱処理した時のポリイミドとエポキシ化合物との反応率を調整し、硬化後の接着剤の架橋密度を調整することができる。これにより必要とされる耐熱性および耐薬品性を硬化後の接着剤に付与することが可能となる。αおよびβは、それぞれ0〜10の整数を示し、かつ、α+βは0〜10の範囲である。ただし、式中の繰り返し単位において、繰り返し数mのうち、20〜90%モルの繰り返し単位においては、α+β=1〜10の範囲である。繰り返し数mのうち、α+β=1〜10の範囲となる繰り返し単位の割合を20モル%以上とすることで、硬化前の接着剤の有機溶剤可溶性、硬化後の接着剤の耐薬品性および耐熱性を向上することができ、90%モル以下とすることで、硬化後の接着剤の架橋密度を適度な範囲に抑制し、硬化後の接着剤フィルムの伸度および靱性を保持することができる。
一般式(2)および(3)において、Xは1価の有機基を示し、末端封止剤である1級モノアミンの残基である。ここで、1級モノアミンとしては、脂肪族モノアミン、脂環族モノアミン、芳香族モノアミンなどが挙げられる。これらのうちポリイミドの耐熱性が高まる点で芳香族モノアミンが好ましい。これらは単独、または2種以上の組み合わせのいずれであってもよい。1級モノアミンとしては、具体的には、5−アミノキノリン、4−アミノキノリン、3−アミノナフタレン、2−アミノナフタレン、1−アミノナフタレン、アニリン等が挙げられる。これらのうち、アニリンが好ましく使用される。
また、該1級モノアミンとしては、エポキシ化合物と反応するような置換基を他に有しないものを用いることが好ましい。これにより、分子運動性の高いポリイミドの末端部にエポキシ化合物と反応するような置換基を有していない有機溶剤可溶性ポリイミドを得ることが可能となる。これを用いることにより、有機溶剤可溶性ポリイミドとエポキシ化合物との室温下での反応が進行しにくくなり、接着剤の保存性を高めることができる。
一般式(2)および(3)のX成分の導入割合は、その元成分である末端封止剤の1級モノアミン成分で換算すると、ポリイミドに含まれる全ジアミン残基100モルに対して、0.1〜60モルの範囲が好ましく、特に好ましくは5〜50モルである。
一般式(2)および(3)のmはポリマーの繰り返し数を示しており、8〜200の整数を示す。好ましくは10〜150の整数である。分子量で言うと、ゲルろ過クロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量が、ポリスチレン換算で4000〜80000であることが好ましく、特に好ましくは、8000〜60000である。mを8以上とすることで、得られる接着剤ワニスの粘度を大きくして厚膜塗布を可能とし、mを200以下とすることで、ポリイミドの溶剤への溶解性を向上することができる。ポリイミドの重量平均分子量の測定方法を以下に例示する。ポリイミドをN−メチルピロリドン(NMP)に溶解した固形分濃度0.1質量%のポリイミド溶液を用い、GPC装置Waters2690(Waters(株)製)によりポリスチレン換算の重量平均分子量を算出する。GPC測定条件は、移動層をLiClとリン酸をそれぞれ濃度0.05mol/Lで溶解したNMPとし、展開速度を0.4ml/分とする。使用するGPC装置として、例えば、
検出器:Waters996
システムコントローラー:Waters2690
カラムオーブン:Waters HTR−B
サーモコントローラー:Waters TCM
カラム:TOSOH guard column
カラム:TOSOH TSK−GEL α−4000
カラム:TOSOH TSK−GEL α−2500などが挙げられる。
本発明に用いられる(a)ポリイミドは、一般式(2)および(3)で表される構造からなるもののみであってもよいし、一般式(2)および(3)で表される構造以外に共重合成分として他の構造も有する共重合体であっても、またそれらの混合体であってもよい。さらに、これらのポリイミドに加えて、他の構造を有するポリイミドが混合されていてもよい。その際、全ポリイミドに対して、一般式(2)および(3)で表される構造を有するポリイミドが50モル%以上含有されていることが好ましい。共重合あるいは混合に用いられる構造の種類および量は、加熱処理によって得られる耐熱性樹脂の耐熱性を損なわない範囲で選択することが好ましい。
(a)ポリイミドは、ジアミンの一部をモノアミンである末端封止剤に置き換えて、または、酸二無水物の一部をモノカルボン酸、酸無水物、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物である末端封止剤に置き換えて、公知の方法を利用して合成される。例えば、低温でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)を反応させる方法、低温でテトラカルボン酸二無水物(一部を酸無水物またはモノ酸クロリド化合物あるいはモノ活性エステル化合物である末端封止剤に置換)とジアミン化合物を反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとの反応によりジエステルを得、その後ジアミン(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)と縮合剤の存在下で反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとの反応によりジエステルを得、その後残りのジカルボン酸を酸クロリド化し、ジアミン(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)と反応させる方法などを利用して、ポリイミド前駆体を得る。続いて、ポリイミド前駆体を公知の方法によりイミド閉環することによりポリイミドを合成することができる。
また、ポリマー中に導入された一般式(1)の構造および末端封止剤由来の構造は、以下の方法で容易に検出および定量できる。例えば、一般式(1)の構造および末端封止剤が導入されたポリマーを、酸性溶液あるいは塩基性溶液に溶解し、ポリマーの構成単位であるジアミン成分と酸無水物成分に分解した後、得られた分解物をガスクロマトグラフィー(GC)や、NMRを用いて測定することにより、一般式(1)の構造および使用されている末端封止剤を容易に検出および定量することができる。これとは別に、末端封止剤が導入されたポリイミドを直接、熱分解ガスクロクロマトグラフ(PGC)や赤外スペクトルおよび13CNMRスペクトル測定することによっても、一般式(1)の構造および使用されている末端封止剤を容易に検出および定量することが可能である。
接着剤における(a)ポリイミドの含有量は、(b)エポキシ化合物100質量部に対し、15〜90質量部であることが好ましく、エポキシ化合物と反応し密度の高い網目構造を形成のために30〜70質量部であることがより好ましい。(a)ポリイミドの含有量が15質量部以上であると、耐熱性がより向上する。また(a)ポリイミドの含有量が90質量部以下であれば、接着剤の吸水がより少なくなるために、接着剤を加熱硬化させる際の発泡をより抑制することができ、例えば回路基板と半導体チップ間の接着力の低下がより少なくなり、接続信頼性がより向上する。
本発明の接着剤は、(b)エポキシ化合物を含有する。(b)エポキシ化合物は、(c)酸変性ロジンやポリイミド側鎖のフェノール性水酸基、スルホン酸基またはチオール基と反応し、密度の高い網目構造を有する硬化物を構成するため、得られる硬化物は各種薬品に耐性を発現する。これにより、各種溶剤、特にN−メチルピロリドンに対して、接着剤の耐性を高めることができる。また、エポキシ化合物は、一般に収縮を伴わない開環反応によって硬化するため、接着剤の硬化時の収縮を低減することが可能となる。(b)エポキシ化合物としては、エポキシ基を2個以上有するものや、エポキシ当量が100〜500であるものが好ましい。エポキシ当量を100以上とすることで、硬化した接着剤の靱性を大きくすることができる。エポキシ当量を500以下とすることで、硬化した接着剤を密度の高い網目構造とすることができ、硬化した接着剤を高絶縁性にすることができる。
また、(b)エポキシ化合物は、液状エポキシ化合物と固形状エポキシ化合物の両方を含有し、エポキシ化合物全量に対し、液状エポキシ化合物の含有比率が20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上あることがより好ましい。また80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。接着剤がこの範囲の量の液状エポキシ化合物を含有することで、半導体用接着剤として適度な可塑性および可撓性を具備することができる。
ここで液状エポキシ化合物とは、25℃、1.013×10N/mで150Pa・s以下の粘度を示すものであり、固形エポキシ化合物とは25℃で150Pa・sを越える粘度を示すものである。液状エポキシ化合物としては、例えばJER(登録商標)828、JER(登録商標)1750、JER(登録商標)152、JER(登録商標)630、YL980(以上商品名、三菱化学(株)製)、エピクロン(登録商標)HP−4032(以上商品名、DIC(株)製)などが挙げられるが、これらに限定されない。また、これらを2種以上組み合わせて用いてもよい。また、固形エポキシ化合物としては、JER(登録商標)1002、JER(登録商標)1001、YX4000H、JER(登録商標)4004P、JER(登録商標)5050、JER(登録商標)154、JER(登録商標)157S70、JER180S70(以上商品名、三菱化学(株)製)、テピック(登録商標)S、テピック(登録商標)G、テピック(登録商標)P(以上商品名、日産化学工業(株)製)、エポトート(登録商標)YH−434L(商品名、新日鐵化学(株)製)、EPPN502H、NC3000(以上商品名、日本化薬(株)製)、エピクロン(登録商標)N695、エピクロン(登録商標)N865、エピクロン(登録商標)HP−7200(以上商品名、DIC(株)製)などが挙げられるが、これらに限定されない。また、これらを2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の接着剤は、(c)酸変性ロジンを含有する。酸変性ロジンは、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の原料ロジン類と(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)シトラコン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和カルボン酸を、ディールス・アルダー反応(付加反応)させて得られるものである。原料ロジンは、蒸留、再結晶、抽出等により金属などの不純物除去および樹脂色調の向上のために精製したものを用いることが好ましい。また、酸変性ロジンは、水添することにより、透明な色調の酸変性ロジンにすることができる。このような酸変性ロジンとしては、パインクリスタル(登録商標)KE−604(商品名、酸価240KOHmg/g、荒川化学工業株式会社)、パインクリスタル(登録商標)KR−120(商品名、酸価320KOHmg/g、荒川化学工業株式会社)、マルキード(登録商標)No.33(商品名、酸価320KOHmg/g、荒川化学工業株式会社)が挙げられる。
これらの酸変性ロジンは、カルボキシル基を2個以上有している。このため酸変性ロジンは(a)ポリイミドおよび(b)エポキシ化合物との相溶性に優れている。また、エポキシ化合物と反応し、密度の高い網目構造を形成させることができる。なお、酸変性ロジンは、ロジン自身の嵩高い構造と酸変性により生成した嵩高いシクロヘキサン環を有しており、これがカルボキシル基へのエポキシ基の反応を立体的に阻害し、接着剤の熱乾燥処理および実装プロセスの加熱条件における安定性を高めていると考えられる。一方で接着剤の硬化温度である、例えば200℃から250℃の温度では、酸変性ロジンの分子運動性が高まり、エポキシ化合物との反応が速やかに進行し、短時間で接着剤の硬化を完了することができる。また、酸変性ロジンを用いることにより、接着剤に電極等の金属材料との接着性向上やフラックス機能を付与する効果もある。すなわち、本発明の接着剤を用いて回路部材を電気的に接続することによって、接合部を清浄にし、接合部の回路部材間に接着剤の成分である樹脂や無機粒子などが混入することを防ぎ、かつ、ハンダの濡れ性を高めることができる。(c)酸変性ロジンのフラックス機能は酸価により推定され、酸価が高いほど高い効果が期待できる。(c)酸変性ロジンの酸価の好ましい範囲は200KOHmg/g以上であり、より好ましくは300KOHmg/g以上である。(c)酸変性ロジンの酸価がこの範囲であることによりフラックス機能がより十分となり、電極部の接続不良を起こす可能性がより低減する。(c)酸変性ロジンの酸価とは、酸変性ロジン1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数と定義される数値であり、JIS K5902(1969)「5.4 酸価」にて規定された方法により測定することができる。酸変性ロジン2gを三角フラスコ300mLに正確にはかり採り,エチルアルコール・ベンゼン混合液50mLに溶かし,フェノールフタレインを指示薬として1/2規定(28.05g/L)のエチルアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定し,30秒間微紅色の消失しないときを中和の終点とし,滴定に用いたエチルアルコール性水酸化カリウム溶液の体積と濃度から中和に要した水酸化カリウムのmg数を算出する。
接着剤における(c)酸変性ロジンの含有量は、(b)エポキシ化合物100質量部に対し40〜60質量部である。酸変性ロジンの含有量をこの範囲とすることで、高機能半導体装置を作製する際、ボイドなく実装することができ、且つはんだ濡れが良好な接続を得ることができる。(c)酸変性ロジンの含有量がこの範囲より少ないと、はんだ濡れ性が不十分となり実装歩留まりが悪くなる。逆にこの範囲より多いと接着剤の硬化物中に、エポキシ化合物と反応しなかった(c)酸変性ロジンが有するカルボキシル基の量が過剰となり、金属配線の腐食を引き起こし信頼性を損なう結果となる。(c)酸変性ロジンのさらに好ましい含有量は、(b)エポキシ化合物100質量部に対し45質量部以上であり、また55質量部以下である。(c)酸変性ロジンの含有量をこの範囲とすることで、さらに信頼性の高い半導体装置を得ることができる。
このほか、酸変性ロジン以外の他の公知の潜在性硬化剤を併用しても良い。特に塩基性の潜在性硬化剤は酸変性ロジンとの相互作用力が発現することから、さらに潜在性を高めることができる。このような塩基性の潜在性硬化剤としては、イミダゾール系潜在性硬化剤が好ましく用いることができる。具体的にはキュアゾール(登録商標)2PZCNS、キュアゾール(登録商標)2PZCNS−PW、キュアゾール(登録商標)C11Z−CNS、キュアゾール(登録商標)2MZ−A、キュアゾール(登録商標)C11−A、キュアゾール(登録商標)2E4MZ−A、キュアゾール(登録商標)2MZA−PW、キュアゾール(登録商標)2MAOK−PW、キュアゾール(登録商標)2PHZ−PW(以上商品名、四国化成工業(株)製)、イミダゾール系潜在性硬化剤をイソシアネートで処理したマイクロカプセル型硬化剤であるノバキュア(登録商標)HX−3941HP、ノバキュア(登録商標)HXA3922HP、ノバキュア(登録商標)HXA3932HP、ノバキュア(登録商標)HXA3042HP(以上商品名、旭化成イーマテリアルズ(株)製)などが好ましく用いられる。
本発明の接着剤は、(d)無機粒子をさらに含有する。(d)無機粒子の材質としては、シリカ、アルミナ、チタニア、窒化ケイ素、窒化硼素、窒化アルミニウム、酸化鉄、ガラスやその他金属酸化物、金属窒化物、金属炭酸塩、硫酸バリウムなどの金属硫酸塩等を単独でまたは2種以上混合して用いることができる。これらの中でシリカおよびアルミナが低熱膨張性、熱放散性、低吸湿率および接着剤中での分散安定性の点で好ましく使用することができる。
(d)無機粒子の形状は、球状、破砕状、フレーク状等の非球状のいずれであっても良いが、球状の無機粒子が接着剤中で均一分散しやすいことから好ましく使用することができる。また、球状の無機粒子の平均粒子径は、3μm以下であることが好ましい。より好ましくは該平均粒子径が10nm以上、1μm以下である。該平均粒子径が10nm以上であることにより分散性がより向上し、接着剤中により高濃度に充填することができる。該平均粒子径が3μm以下であることにより、無機粒子の表面積が十分大きくなることから、(d)無機粒子と上記(a)〜(c)成分および必要に応じて混合した成分との相互作用力が十分大きくなり、加熱乾燥させる際に、より流動変形しにくくなる。
また、(d)無機粒子の粒径は30nm以上300nm以下であることが好ましい。また50nm以上であることがより好ましく、また200nm以下であることがより好ましい。(d)無機粒子の粒径を30nm以上300nm以下とすることで、位置合わせ等の目的で用いられる回路基板あるいは半導体チップ上にあるマークが接着剤で覆われている場合においても、カメラなどによって認識することが可能となる。
なお、無機粒子の平均粒子径とは無機粒子が単独で存在した場合の粒子径を示す。無機粒子の粒子径とは、無機粒子の形状が球状の場合はその直径を表し、楕円状および扁平状の場合は形状の最大長さを表す。さらにロッド状または繊維状の場合は長手方向の最大長さを表す。接着剤中の無機粒子の平均粒子径を測定する方法としては、SEM(走査型電子顕微鏡)により直接粒子を観察し、100個の粒子の粒子径を測定し、その粒子径の数平均を計算する。具体的には、SEM(日立ハイテクノロジーズ社製SU8020)を用いてランダムに100個の粒子を選び、これらの粒子径を求めて、その数平均を計算する。
接着剤における(d)無機粒子の含有量は、接着剤全質量に対し、30〜80質量%であることが好ましい。また50質量%以上であることがより好ましく、また70質量%以下であることがより好ましい。(d)無機粒子の含有量が30〜80質量%であることにより、接着剤を加熱乾燥させる際に流動変形による厚みムラがより生じにくくなり、これに付随してこの接着剤を用いて作製した半導体装置の接続信頼性がより向上する。特に、吸湿リフロー処理およびサーマルサイクル処理のような、より強い耐久性が必要とされる処理を行った場合において、接続信頼性をより保つことができる。また接着剤中で無機粒子の分散性がより十分となり、無機粒子同士の凝集がより少なくなる。また、接着剤を離型性プラスチックフィルム上に形成して接着フィルムとし、ロール状に巻き取る際に、接着シートの割れや離型性プラスチックフィルムからの脱落という問題がより生じにくくなる。
本発明の接着剤は、硬化後の膜の低応力化あるいは接着剤フィルムの最低溶融粘度を調整する目的で、熱可塑性樹脂をさらに含有してもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、スチレン−ブタジエン共重合体、(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体などが挙げられるが、これらに限られない。さらにイオン捕捉剤、界面活性剤、シランカップリング剤、有機染料、無機顔料などを含有しても良い。
本発明の接着剤フィルムは、上記接着剤からなる。本発明の接着剤は、各構成材料を溶媒中で混合してワニスとして用いてもよく、例えば接着剤をシート状に成形することで、本発明の接着剤フィルムが得られる。接着剤をシート状に成形する方法としては、前記接着剤ワニスを剥離性基材上に塗布した後、脱溶媒する方法を挙げることができる。
溶媒としては、ケトン系溶剤のアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン;エーテル系溶剤の1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム;グリコールエーテル系溶剤のメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル;その他プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ベンジルアルコール、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミドなどを単独あるいは2種以上混合して使用することができるが、これらに限られない。
剥離性基材としては、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム等のフッ素樹脂フィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等が挙げられるが、これらに限られない。また、剥離性基材はシリコーン系離型剤、長鎖アルキル系離型剤、フッ素系離型剤、脂肪族アミド系離型剤等により離型処理が施されていてもよい。剥離性基材の厚みは、特に限定されないが、通常5〜75μmのものが好ましい。接着剤への残留応力を少なくできる点から、剥離性基材の厚みは接着剤の厚み以上とすることが好ましい。また、接着剤フィルムの離型性基材を有する面とは反対側の面にさらに別の剥離性基材をラミネートして、剥離性基材で上下を挟まれた接着剤フィルムにすることが好ましい。別の剥離性基材の材質および厚みとしては、先に説明したものと同様のものを用いることができる。両方の剥離性基材が同一のものであっても構わない。
接着剤フィルムの両面を剥離性基材でラミネートする場合、各剥離性基材と接着剤フィルム間の接着力には差があることが好ましい。特に接着力の差が5N/m以上であることが好ましく、47N/m以下であることがより好ましい。接着力の差を5N/m以上とすることで、接着力が小さい方の剥離性基材を剥離する際に、他方の剥離性基材から接着剤フィルムが剥がれたり浮いたりしないようにすることができる。また、接着力の差を47N/m以下とすることで、剥離後の各剥離性基材の表面に接着剤が残存しにくくなる。
また、各構成材料を溶媒中で混合してワニス状にした接着剤は、半導体ウエハや回路基板などに塗布および脱溶媒して使用することもできる。
本発明の接着剤は、最低溶融粘度が5,000〜50,000Pa・sである。ここでいう最低溶融粘度は、ワニスの場合は、半導体素子や回路基板に塗布し、溶媒を除去した後の接着剤の最低溶融粘度を指し、接着剤フィルムなどのように溶媒を含んでいない場合は、接着剤自体の最低溶融粘度を指す。最低溶融粘度をこの範囲とすることで、半導体チップを回路基板にボイドなく実装することが可能となる。最低溶融粘度がこの範囲より低いと、巻き込んだボイドにかかる圧力が不十分となり、ボイドの圧縮、排出ができなくなる。逆に高いと、接着剤の流動性が低くなりすぎるため、これもボイドの圧縮、排出ができなくなる。接着剤の最低溶融粘度のより好ましい範囲は、7,000Pa・s以上であり、また30,000Pa・s以下である。
なお、接着剤の最低溶融粘度は、動的粘弾性測定装置を使用し、寸法が直径15mm、厚さ0.8mmである試料に対し、昇温速度10℃/分、測定周波数0.5Hz、測定ひずみ1%、測定温度範囲40℃から180℃で測定することができる。測定温度が40℃から上昇するに従って、接着剤の粘度は低下するが、温度がある値を超えると、接着剤に含まれるエポキシ化合物の硬化反応が開始し、90℃から160℃の範囲で接着剤の粘度は上昇に転じる。このときの粘度の極小値を最低溶融粘度とする。
本発明の接着剤は、半導体装置に用いられる半導体素子、回路基板、金属配線材料等の回路部材同士の接着または固定や半導体素子の封止のための半導体用接着剤として好適に使用することができる。
本発明の半導体装置は、上記接着剤の硬化物または上記接着剤フィルムの硬化物を含む。本発明でいう半導体装置とは、半導体素子の特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。半導体素子を基板に接続したものや、半導体素子同士または基板同士を接続したもの、電気光学装置、半導体回路基板および電子機器は全て半導体装置に含まれる。
本発明の半導体装置の製造方法は、第一の回路部材と第二の回路部材の間に上記接着剤または上記接着剤フィルムを介在させ、加熱加圧により前記第一の回路部材と前記第二の回路部材を電気的に接続することを特徴とする。
本発明の接着剤または接着剤フィルムを用いた半導体装置の製造方法の一例は以下の通りである。まず、第一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とを準備する。ここで、回路部材としては、半導体チップ、抵抗体チップ、コンデンサチップ等のチップ部品、TSV(スルーシリコンビア)電極を有する半導体チップやシリコンインターポーザー、ガラスエポキシ回路基板、フィルム回路基板、ガラス基板、貫通電極付きのガラスインターポーザー等の基板等が挙げられる。また、接続端子としては、金、銅などからなるめっきバンプ、銅ピラーの先端にハンダを半球状に形成したハンダキャップ付き銅ピラーバンプ、スタッドバンプなどのバンプ電極、ハンダボールや、パッド電極などが挙げられる。また、第一の回路部材および/または第二の回路部材に貫通電極が形成され、部材の片面および/または両面に接続端子が形成されていてもよい。
第一の回路部材と第二の回路部材とを、第一の接続端子と第二の接続端子が対向するように配置する。次に、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子の間に本発明の接着剤または接着剤フィルムを介在させる。そして、第一の回路部材と第二の回路部材とを加熱加圧して、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子を電気的に接続させる。この工程によって、第一の回路部材と第二の回路部材とが、しっかりと電気的に接続されるとともに、接着剤が硬化して、第一の回路部材と第二の回路部材とが物理的に固定される。
ここで、接着剤または接着剤フィルムは、先にいずれかの回路部材の接続端子側の面のみに付与してもよいし、第一および第二の回路部材の接続端子側の両方の面に付与してもよい。
より詳細な実施態様の例として、第一の回路部材とバンプを有する半導体チップを、第二の回路部材として配線パターンを有する回路基板または半導体チップを用い、両者を本発明の接着剤フィルムを介して接続し、第一の回路部材と第二の回路部材との間の空隙を接着剤で封止して半導体装置を作製する方法について説明する。
まず、接着剤フィルムを、第二の回路部材である、配線パターンが形成された回路基板または半導体チップに貼り付ける。このとき、接着剤フィルムは、所定の大きさに切り出した後で、配線パターンが形成された回路基板の配線パターン面または半導体チップのバンプ形成面に貼り付けてもよい。また、半導体ウエハのバンプ形成面に接着剤フィルムを貼り付けた後、半導体ウエハをダイシングして個片化することによって、接着剤フィルムが貼り付いた半導体チップを作製してもよい。
次に、第一の回路部材である半導体チップを、第一の回路部材のバンプと第二の回路部材の配線パターンとが対向するように配置し、ボンディング装置を用いて、両者を加熱加圧する。加熱加圧条件は、電気的接続が良好に得られる範囲であれば特に限定されるものではないが、接着剤の硬化を行うためには、温度100℃以上、圧力1mN/バンプ以上、時間0.1秒以上の加熱加圧は必要である。好ましくは120℃以上300℃以下、より好ましくは150℃以上250℃以下の温度、好ましくは5mN/バンプ以上50000mN/バンプ以下、より好ましくは10mN/バンプ以上10000mN/バンプ以下の圧力、好ましくは1秒以上60秒以下、より好ましくは、2秒以上30秒以下の時間でのボンディング条件で行う。また、ボンディング時に、仮圧着として、温度50℃以上、圧力1mN/バンプ以上、時間0.1秒以上の加熱加圧により、半導体チップ上のバンプと回路基板上の配線パターンとを接触させた後、上記の条件でボンディングを行ってもよい。必要に応じ、ボンディング後に、半導体チップ付き回路基板を50℃以上200℃以下の温度で10秒以上24時間以下加熱してもよい。
本発明の接着剤は、この他にも、ダイアタッチフィルム、ダイシングダイアタッチフィルム、リードフレーム固定テープ、放熱板、補強板、シールド材の接着剤、ソルダーレジスト等を作製するための接着性樹脂材料として使用することができる。
以下実施例等をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
合成例1 ポリイミドAの合成
乾燥窒素気流下、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(以下、APB−Nとする)4.82g(0.0165モル)、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン(以下、ABPSとする)3.08g(0.011モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(以下、SiDAとする)4.97g(0.02モル)、および、末端封止剤として3−アミノフェノール0.55g(0.005モル)をN−メチルピロリドン(以下、NMPとする)130gに溶解した。ここに2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}プロパン二無水物(以下、BSAAとする)26.02g(0.05モル)をNMP20gとともに加えて、25℃で1時間反応させ、次いで50℃で4時間撹拌した。その後、180℃で5時間撹拌した。撹拌終了後、溶液を水3Lに投入し、ろ過して沈殿を回収し、水で3回洗浄した後、真空乾燥機を用いて80℃20時間乾燥した。得られたポリマー固体の赤外吸収スペクトルを測定したところ、1780cm−1付近、1377cm−1付近にポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピークが検出された。このようにして末端および側鎖にフェノール性水酸基を有し、一般式(1)で表される構造が11.5質量%含まれるポリイミドAを得た。4gのポリイミドAにテトラヒドロフラン6gを加え、23℃で撹拌したところ溶解した。
合成例2 ポリイミドBの合成
乾燥窒素気流下、APB−N 4.82g(0.0165モル)、ABPS 3.08g(0.011モル)、SiDA 4.97g(0.02モル)、および、末端封止剤としてアニリン0.47g(0.005モル)をNMP130gに溶解した。ここにBSAA 26.02g(0.05モル)をNMP20gとともに加えて、25℃で1時間反応させ、次いで50℃で4時間撹拌した。その後、180℃で5時間撹拌した。撹拌終了後、溶液を水3Lに投入し、ろ過して沈殿を回収し、水で3回洗浄した後、真空乾燥機を用いて80℃20時間乾燥した。得られたポリマー固体の赤外吸収スペクトルを測定したところ、1780cm−1付近、1377cm−1付近にポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピークが検出された。このようにして側鎖にフェノール性水酸基を有し、一般式(1)で表される構造が11.6質量%含まれるポリイミドBを得た。4gのポリイミドBにテトラヒドロフラン6gを加え、23℃で撹拌したところ溶解した。
合成例3 ポリイミドCの合成
乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(以下、BAHFとする)24.54g(0.067モル)、SiDA4.97g(0.02モル)、および、末端封止剤として、アニリン1.86g(0.02モル)をNMP80gに溶解させた。ここにビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物(以下、ODPAとする)31.02g(0.1モル)をNMP20gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで50℃で4時間撹拌した。その後、キシレンを15g添加し、水をキシレンとともに共沸させながら、180℃で5時間攪拌した。攪拌終了後、溶液を水3Lに投入して白色沈殿したポリマーを得た。この沈殿をろ過して回収し、水で3回洗浄した後、真空乾燥機を用いて80℃、20時間乾燥した。得られたポリマー固体の赤外吸収スペクトルを測定したところ、1780cm−1付近、1377cm−1付近にポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピークが検出された。このようにして側鎖にフェノール性の水酸基を有し、一般式(1)で表される構造が7.5質量%含まれるポリイミドCを得た。4gのポリイミドCにテトラヒドロフラン6gを加え、23℃で撹拌したところ溶解した。
合成例4 ポリイミドDの合成
乾燥窒素気流下、APB−N 8.03g(0.0275モル)、SiDA 4.97g(0.02モル)、および、末端封止剤としてアニリン0.47g(0.005モル)をNMP130gに溶解した。ここにBSAA 26.02g(0.05モル)をNMP20gとともに加えて、25℃で1時間反応させ、次いで50℃で4時間撹拌した。その後、180℃で5時間撹拌した。撹拌終了後、溶液を水3Lに投入し、ろ過して沈殿を回収し、水で3回洗浄した後、真空乾燥機を用いて80℃20時間乾燥した。得られたポリマー固体の赤外吸収スペクトルを測定したところ、1780cm−1付近、1377cm−1付近にポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピークが検出された。このようにして一般式(1)で表される構造が11.6質量%含まれるポリイミドDを得た。4gのポリイミドDにテトラヒドロフラン6gを加え、23℃で撹拌したところ溶解した。
その他に実施例、比較例で用いた各材料は以下のとおりである。
(b)エポキシ化合物
固形エポキシ化合物
N865(商品名、エポキシ当量:200g/eq、大日本インキ化学工業(株)製)。
液状エポキシ化合物
YL980(商品名、185g/eq、三菱化学(株)製)。
ノバキュア(登録商標)HXA−3941HP(商品名、旭化成イーマテリアルズ(株)製)中に含まれる液状エポキシ化合物。
(c)酸変性ロジン
KE−604(商品名、酸価240(KOHmg/g)、軟化点130℃、色調150ハーゼン、アクリル変性ロジン、荒川化学工業(株)製)。
KR−120(商品名、酸価320(KOHmg/g)、軟化点120℃、色調150ハーゼン、荒川化学工業(株)製)。
(d)無機粒子
SO−E2(商品名、アドマテックス(株)製、球形シリカ粒子、平均粒子径0.5μm)
Sciqous(商品名、堺化学工業(株)製、平均粒子径0.1μm)
(e)その他の潜在性硬化剤
ノバキュア(登録商標)HXA−3941HPは、マイクロカプセル型硬化剤/液状エポキシ化合物が1/2であり、含まれる液状エポキシ化合物は、ビスフェノールA型エポキシ化合物/ビスフェノールF型エポキシ化合物=1/4である。表中のノバキュア(登録商標)HXA−3941HP記載の質量部において、括弧内に記載した量がマイクロカプセルとしての質量部を示す。
(f)熱可塑性樹脂
1256(商品名、三菱化学(株)製、分子量約50,000、エポキシ当量:8,000/eq)。1256は末端にエポキシ基を含有するが、(a)エポキシ化合物と比較して、エポキシ基の量が十分少ないことからエポキシ化合物として計算しないこととする。
(g)溶剤
プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAとする)
(1)接着剤フィルムの作製方法
表1、2に示される(a)〜(g)成分を表に記載の質量比で混合して、接着剤ワニスを作製した。作製した接着剤ワニスを、スリットダイコーター(塗工機)を用いて、剥離性基材である厚さ50μmのポリエステルテレフタレートフィルム(商品名、セラピール(登録商標)HP2(U))の表面処理面に塗布し、80℃で10分間乾燥を行った。これにより得られた乾燥後の厚みが50μmの接着剤フィルム上に別の剥離性基材として厚さ10μmのポリプロピレンフィルム(商品名、トレファン(登録商標)BO型番YK57、片面コロナ放電処理品)の未処理面をラミネートした後、外径9.6cmの紙管上に剥離性基材HP2(U)が外側になるようロール状に巻き取り、接着剤フィルムの両面に剥離性基材を有するシートの原反を得た。次に該シート原反をフィルムスリッターを用いて12mm幅にスリットし、外径5.0cmのリール上に剥離性基材HP2(U)が外側になるようロール状に巻き取り、両面に剥離性基材を有する接着剤フィルムの巻重体を得た。
(2)テープ貼り付け工程
テープ貼り合わせ装置(東レエンジニアリング(株)製、DA2000)を用いて、接着剤フィルムの回路基板への貼り付けを行った。まず、(1)の工程により得られた、両面に剥離性基材を有する接着剤フィルムの巻重体から、剥離性基材YK57を除去し、接着剤フィルムを露出させた。次いで、ステージ上に固定された回路基板(無垢銅パッド電極、12mm角の半導体チップが100個搭載可能な回路付きのガラスエポキシ基板)に、剥離性基材YK57を剥離した後の接着剤フィルムの、接着剤フィルム面を温度80℃、1秒間の条件で貼りあわせた後、剥離性基材HP2(U)を除去した。この貼り付け工程を繰り返し行い、12mm角の大きさの接着剤フィルムが100カ所に貼り付けられた回路基板を得た。
(3)フリップチップボンディング、アライメントマークの認識テストおよび作製した液晶パネルの表示テスト
(2)で作製した接着剤付き回路基板を80℃で1時間乾燥処理を行った。次いで、フリップチップボンディング装置(東レエンジニアリング(株)製、FC−2000)を用いて、接着剤付き回路基板上に半導体チップのフリップチップボンディングを行った。半導体チップと回路基板の位置合わせの際、接着剤層に覆われたアライメントマークを認識し実装できたものをA、認識できなかったものをCと評価した。できなかったものについては、接着剤層を形成したエリアの外側のアライメントマークを用いて位置合わせを行い実装した。
半導体チップ(銅30μm+鉛フリーハンダ15μmからなるバンプ電極付き、2048バンプ/チップ、ピッチ50μm、ペリフェラル配置、12mm角チップ)を80℃に加熱されたボンディングヘッドでピックアップし、温度80℃、圧力50N/チップ、時間5秒の条件で、ボンディングステージに固定された前記接着剤付き回路基板に仮圧着したのち、温度250℃、圧力400N/チップの条件で時間を10秒にして本圧着を行った。1カ所のボンディングが終了したら、次のボンディングへと繰り返し行うことにより、100カ所すべての場所に半導体チップのボンディングを行った。ボンディングを終了した回路基板を基板切断装置で分割することにより、半導体付き回路基板を100個作製した。作製した各半導体付き回路基板を液晶基板に組み込むことにより、液晶パネル(半導体装置)を作製し、表示テストを行った。表示されたものは合格、チップと回路基板間の接続不良の発生により表示されないものは不合格と判定した。100個の液晶パネルについて表示テストを行い、合格するものの割合が99%以上をA、95%以上〜99%未満をB、95%未満をCとした。結果を表1、2に示す(信頼性試験前)。
(4)接続信頼性試験後の液晶パネルの表示テスト
(3)の液晶表示テストで合格した半導体付き回路基板20個を85℃、60%RHの条件の恒温恒湿槽中に168時間放置して吸湿させた。その後、260℃、5秒のリフロー条件で半田リフローを行った(吸湿リフロー処理)。続いて半導体付き回路基板を−40℃で5分間維持後、125℃で5分間維持を1サイクルとして、この処理を10個のサンプルについては1000サイクル、残りの10個のサンプルについては2000サイクル、それぞれ繰り返した。これらの処理の後、半導体付き回路基板を液晶基板に組み込むことにより、液晶パネルを作製し、表示テストを行った。1000サイクル後、2000サイクル後の各々のサンプルについて、10個すべてについて表示されたものはA、接続不良の発生により1個でも表示されないものはCとした。結果を表1、2に示す(信頼性試験後/1000サイクル、2000サイクル)。
(5)接着剤の溶融粘度測定
(1)の工程において作製した接着剤フィルムについて、溶融粘度を以下の条件で測定を行い、下記の評価基準で評価した。
動的粘弾性測定装置:MCR−302(アントンパール・ジャパン(株)製)、
試料寸法:直径15mm、厚さ0.8mm
昇温速度:10℃/分、
測定周波数:0.5Hz、
測定ひずみ:1%、
測定温度範囲40℃から180℃。
<評価基準>
A:7,000Pa・s以上30,000Pa・s以下
B:5,000Pa・s以上7,000Pa・s未満、または30,000より大きく50,000Pa・s以下
C:5,000Pa・s未満
Figure 0006716939
Figure 0006716939
実施例1〜20と比較例1〜4の対比から、(c)酸変性ロジンの含有量が(b)エポキシ化合物100質量部に対して40〜60質量部である接着剤を用いた場合に信頼性の高い半導体装置を作製できると言える。中でも、酸変性ロジンとしてKR−120(酸価320KOHmg/g)を用いた場合、(d)無機粒子含有量が30〜80質量%の場合に、高い歩留まりで半導体装置を作製することができる。さらに、(d)無機粒子として平均粒子径0.1μmの球状シリカを用いた場合、接着剤に覆われたアライメントマークを認識し実装することができるため、例えば半導体ウエハに接着剤層を形成するプロセスに適用することが可能となる。半導体ウエハに接着剤層を形成するプロセスでは、ウエハ全面に接着剤層が形成された結果、全てのアライメントマークは接着剤層に覆われる。
なお実施例4では無機粒子含有量が少ないため、信頼性試験後/2000サイクルの評価がCであったが、十分実用に耐えるレベルであった。また実施例6では無機粒子含有量がやや少なく、また用いた酸変性ロジン(KE−604)の酸価が240(KOHmg/g)とやや小さいため、信頼性試験後/2000サイクルの評価がCであったが、十分実用に耐えるレベルであった。また実施例18では用いた無機粒子(SO−E2)の平均粒子径が0.5μmと大きかったため、アライメントマークの認識テストの評価はCであったが、その点を除けば十分実用に耐えるレベルであった。
本発明の接着剤は、パソコン、携帯端末に使用される電子部品もしくは放熱板とプリント基板もしくはフレキシブル基板との接着、および基板同士の接着に用いられる接着剤として利用できる。さらにLSI、LED、レーザーダイオード等の半導体チップをフレキシブル基板、ガラスエポキシ基板、ガラス基板、セラミックス基板などの回路基板に接着あるいは直接電気的接合する際に用いられる半導体用接着剤として好適に利用可能である。

Claims (6)

  1. (a)ポリイミド、(b)エポキシ化合物、(c)酸変性ロジンおよび(d)無機粒子を含有する接着剤であって、
    最低溶融粘度が5,000〜50,000Pa・sであり、
    前記(a)ポリイミドが、一般式(2)または一般式(3)で表される構造を有し、かつ一般式(1)で表される構造を一般式(2)または一般式(3)中のR として、ポリマー全質量に対し5〜15質量%含有するポリマーであり、
    前記(a)ポリイミドの含有量は、前記(b)エポキシ化合物100質量部に対し、15〜90質量部であり、
    前記(b)エポキシ化合物は、液状エポキシ化合物と固形状エポキシ化合物の両方を含有し、
    前記(c)酸変性ロジンの含有量が(b)エポキシ化合物100質量部に対して45質量部以上55質量部以下であり、
    前記(d)無機粒子の平均粒子径が、30〜300nmであり、
    前記(d)無機粒子がシリカである接着剤。
    Figure 0006716939
    (式中、R は2価の炭化水素基を示し、1分子内で同一でも異なっていてもよく、また異なる分子において同一でも異なっていてもよい。R は1価の炭化水素基を示し、1分子内で同一でも異なっていてもよく、また異なる分子において同一でも異なっていてもよい。nは1〜10の整数を示す。)
    Figure 0006716939
    (式中、R は4〜14価の有機基を示し、1分子内で同一でも異なっていてもよく、また異なる分子において同一でも異なっていてもよい。またR は2〜12価の有機基を示し、1分子内で同一でも異なっていてもよく、また異なる分子において同一でも異なっていてもよい。またR 、R の少なくとも一つは1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、イソプロピル基、エーテル基、チオエーテル基およびSO 基からなる群より選ばれる1以上の基を少なくとも一つ含有する芳香族基である。R 、R は、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれる1以上の基を示し、1分子内で同一でも異なっていてもよく、また異なる分子において同一でも異なっていてもよい。Xは1価の有機基を示す。mは8〜200の整数を示す。α、βはそれぞれ0〜10の整数を示し、α+βは0〜10の整数を示す。ただし繰り返し数mのうち、20〜90%はα+β=1〜10を示す。)
  2. (d)無機粒子の含有量が、接着剤全質量に対して30〜80質量%である請求項1に記載の接着剤。
  3. (c)酸変性ロジンの酸価が200KOHmg/g以上である請求項1または2に記載の接着剤。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の接着剤からなる接着剤フィルム。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の接着剤の硬化物または請求項4に記載の接着剤フィルムの硬化物を含む半導体装置。
  6. 第一の回路部材と第二の回路部材の間に請求項1〜3のいずれかに記載の接着剤または請求項4に記載の接着剤フィルムを介在させ、加熱加圧により前記第一の回路部材と前記第二の回路部材を電気的に接続する半導体装置の製造方法。
JP2016026591A 2016-02-16 2016-02-16 接着剤、それからなる接着フィルム、それらの硬化物を含む半導体装置およびその製造方法 Expired - Fee Related JP6716939B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016026591A JP6716939B2 (ja) 2016-02-16 2016-02-16 接着剤、それからなる接着フィルム、それらの硬化物を含む半導体装置およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016026591A JP6716939B2 (ja) 2016-02-16 2016-02-16 接着剤、それからなる接着フィルム、それらの硬化物を含む半導体装置およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017145289A JP2017145289A (ja) 2017-08-24
JP6716939B2 true JP6716939B2 (ja) 2020-07-01

Family

ID=59681978

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016026591A Expired - Fee Related JP6716939B2 (ja) 2016-02-16 2016-02-16 接着剤、それからなる接着フィルム、それらの硬化物を含む半導体装置およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6716939B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7024672B2 (ja) 2018-09-12 2022-02-24 信越化学工業株式会社 熱硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂フィルム及び半導体装置
KR102357279B1 (ko) 2019-06-10 2022-01-28 주식회사 엘지화학 반도체 회로 접속용 접착제 조성물 및 이를 포함한 접착 필름
JP2022060800A (ja) * 2020-10-05 2022-04-15 味の素株式会社 樹脂組成物

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5040247B2 (ja) * 2006-10-06 2012-10-03 東レ株式会社 半導体用接着組成物、それを用いた半導体装置および半導体装置の製造方法
SG11201505053XA (en) * 2012-12-27 2015-07-30 Toray Industries Adhesive agent, adhesive film, and semiconductor device and method for manufacturing same

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017145289A (ja) 2017-08-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6241415B2 (ja) 接着剤、接着フィルム、半導体装置およびその製造方法
JP5740979B2 (ja) 接着組成物、接着シート、それらを用いた回路基板および半導体装置ならびにそれらの製造方法
JP3948491B2 (ja) 半導体用接着組成物、それを用いた半導体装置および半導体装置の製造方法
TWI586747B (zh) 樹脂組成物、樹脂組成物薄片、半導體裝置及其製造方法
JPWO2015080098A1 (ja) 半導体用樹脂組成物および半導体用樹脂フィルムならびにこれらを用いた半導体装置
WO1998054267A1 (fr) Adhesifs thermoresistants et dispositifs semi-conducteurs comportant ces adhesifs
TWI608066B (zh) 樹脂組成物、樹脂片及其製造方法、以及半導體裝置的製造方法
JP2008094870A (ja) 半導体用接着組成物、それを用いた半導体装置および半導体装置の製造方法
JP6716939B2 (ja) 接着剤、それからなる接着フィルム、それらの硬化物を含む半導体装置およびその製造方法
JP6112013B2 (ja) バンプ電極付き半導体装置製造用接着剤シートおよび半導体装置の製造方法
JP2008094993A (ja) 半導体用接着組成物、それを用いた半導体装置および半導体装置の製造方法。
JP5103870B2 (ja) 半導体用接着組成物、それを用いた半導体装置および半導体装置の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190212

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191203

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191129

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191226

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200512

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200525

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6716939

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees