JP2013147638A - 熱硬化型樹脂組成物、それを含有する樹脂ワニスならびにそれを用いた接着剤シート、電子部品、車載用部品および航空機用部品 - Google Patents

熱硬化型樹脂組成物、それを含有する樹脂ワニスならびにそれを用いた接着剤シート、電子部品、車載用部品および航空機用部品 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた耐熱性を有しながら、170℃程度で硬化が可能な熱硬化型樹脂組成物を得ること。
【解決手段】(A)シアネートエステル化合物、(B)パラジウム(Pd)を含む硬化触媒、(C)特定の構造を有するホスフィン化合物および(D)溶剤可溶性ポリイミド樹脂を含有する熱硬化型樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子部品・車載部品などに使用可能な熱硬化型樹脂組成物、それを含有する樹脂ワニスならびにそれを用いた接着剤シート、電子部品、車載用部品および航空機用部品に関するものである。
電子部品・車載部品の一部の領域においては、200℃程度の環境下において高い耐熱安定性が要求される場合がある。耐熱性材料としては、ポリイミドに代表される耐熱性樹脂や、金属・セラミックスなどの無機物が一般的に知られており、上記のような分野において使用されている。
しかしながら、近年では上記のような耐熱性に加え、加工性が必要とされる材料が求められるようになってきた。
一般的にポリイミドに代表されるような耐熱性樹脂は、加工が非常に困難であるものが多い。これらの耐熱性樹脂は、化学的に安定な構造および高いガラス転移温度によりその耐熱性を得ているため、その代償として溶融/軟化などをさせることが非常に困難であり、その結果加工が困難であった。金属・セラミックスなどの無機材料も同様の特徴があり、融点以下では加工性に乏しく、融点以上では信頼性の確保ができなかった。
上記のような理由から、近年要求される耐熱性と加工性を両立させる材料には、従来にない耐熱性材料が必要となっていた。
一方、加工性と耐熱性をあるレベルで両立可能な材料としてエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂がある。しかしながら、熱硬化性樹脂は反応性の官能基を多く有しており、それが耐熱性を低下させるため、特に化学的な耐熱安定性に欠けるものが多かった。
また耐熱性を有する熱硬化性樹脂としてシアネートエステル樹脂が知られている。しかしながらシアネートエステル化合物を熱硬化するには220℃以上の高温条件とする必要があり、実用に適さないものであった。そこで熱硬化温度を下げるため、アミン類と併用することが知られているが(特許文献1)、アミン類は酸化に弱いため長期耐熱性に問題のあるものであった。またエポキシ樹脂とシアネートエステル樹脂を併用することによっても、熱硬化温度を下げてある程度の加工性は得ることができるが、エポキシ樹脂の存在により耐熱性が低下してしまうものであった(特許文献2、3)。
特表2005−506422号公報(明細書) 特開2002−280682号公報(特許請求の範囲) 特開2005−240019号公報(特許請求の範囲)
上記課題に鑑み本発明は、優れた耐熱性および加工性を両立させる熱硬化型樹脂組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の熱硬化型樹脂組成物は、(A)シアネートエステル化合物、(B)パラジウム(Pd)を含む硬化触媒、(C)下記一般式(1)〜(3)で表されるホスフィン化合物から選ばれる1以上の化合物および(D)溶剤可溶性ポリイミド樹脂を含有する。
Figure 2013147638
(一般式(1)〜(3)中、R〜Rはそれぞれ単一のものであっても異なるものが混在していても良く、炭素数12以下のアルキル基、アリール基またはこれらの基の水素原子がヘテロ原子で置換された基を示す。Xは炭素数12以下のアルキレン基、アリーレン基またはこれらの基の水素原子がヘテロ原子で置換された基を示す。Yは炭素数24以下のアルキレン基、アリーレン基またはこれらの基の水素原子がヘテロ原子で置換された基を示す。)
本発明によれば、優れた耐熱性および加工性を両立させる熱硬化型樹脂組成物を得ることができる。
我々は鋭意検討の結果、シアネートエステル化合物の硬化触媒として、パラジウム(Pd)およびホスフィン化合物の併用が非常に有用であることを見出した。この触媒の使用により、従来は250℃程度の硬化温度が必要なシアネートエステル化合物を、170℃程度で熱硬化させることが可能となり、加工性が大幅に向上する。また、溶剤可溶性ポリイミド樹脂とそれらを併用することで、加工性および耐熱性を両立させる接着剤ワニス、接着剤シートを提供することが可能であることを見出した。
本発明で用いる(A)シアネートエステル化合物は下記一般式(4)で表されるシアナト基を有する化合物である。
Figure 2013147638
(A)シアネートエステル化合物としては具体的には、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、それらが一部トリアジン化したプレポリマー等を挙げることが出来る。これらのシアネートエステル化合物は各々単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらのシアネートエステル化合物として具体的には、ロンザ社より入手可能なプライムセット(Primeset)PT−15、PT−30、PT−60S、CT−90及びBA−230Sなどが例示できる。
本発明で用いる(B)パラジウム(Pd)を含む硬化触媒としては、有機溶媒に可溶でパラジウム(Pd)元素を含んでいる化合物であれば特に限定されないが、例として酢酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトネート、塩化パラジウムなどが例示できる。(B)パラジウム(Pd)を含む硬化触媒は、(A)シアネートエステル化合物の三量化反応を進行させるために用いる。
本発明で用いる(C)前記一般式(1)〜(3)で表されるホスフィン化合物から選ばれる1以上の化合物は、一般環境下で安定なリン化合物である。
また前記のとおり、前記一般式(1)〜(3)中、R〜Rはそれぞれ炭素数12以下のアルキル基、アリール基の水素原子がヘテロ原子で置換された基であってもよいが、ヘテロ原子としては酸素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子など好ましい。
(C)前記一般式(1)〜(3)で表されるホスフィン化合物から選ばれる1以上の化合物として、一般式(1)であらわされる化合物としてはトリフェニルホスフィンおよびその誘導体などの化合物、一般式(2)であらわされる化合物としては1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(略称DPPE)や2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(略称BINAP)などの化合物、一般式(3)であらわされる化合物としては(1,1’−ビナフチル−2,2’−ジイル)イソプロピルホスファイトなどの化合物を例示できる。特にDPPEのような一つの分子内に2つのリン原子を有するホスフィン化合物が触媒活性が高く好ましい。
(B)パラジウム(Pd)を含む硬化触媒と(C)前記一般式(1)〜(3)で表されるホスフィン化合物を併用すると、(A)シアネートエステル化合物の三量化反応は非常に効率よく進行する。無触媒では250℃程度の温度が必要な三量化による硬化を、160〜200℃程度の温度で行うことが可能となる。また、(C)前記一般式(1)〜(3)で表されるホスフィン化合物は、(B)パラジウム(Pd)を含む硬化触媒と錯体を形成することにより、(B)パラジウム(Pd)を含む硬化触媒の有機溶媒、樹脂に対する溶解性を格段に向上させることができ、かつ酸化/還元に対する耐性を付与できる。この効果により、金属触媒を用いた際に問題となる金属の溶媒、樹脂からの析出や沈殿、金属触媒の酸化/還元に伴う経時的な触媒活性の低下を抑制することができる。
上記理由から、(B)パラジウム(Pd)を含む硬化触媒と(C)前記一般式(1)〜(3)で表されるホスフィン化合物は、(A)シアネートエステル化合物および(D)溶剤可溶性ポリイミドと混合する前に、あらかじめ有機溶剤を用いて混合してパラジウム−ホスフィン錯体を形成させておくことが好ましい。
本発明で使用する(D)溶剤可溶性ポリイミドはジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを反応させて、ポリアミック酸を重合し、続いて150℃以上の温度で反応させて、ポリイミド閉環を行って得ることができる。
用いることができるジアミンとしては、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロ)メチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ビス(トリフルオロ)メチルビフェニル、3,5−ジアミノ安息香酸などが挙げられる。主鎖にビス(トリフルオロメチル)メチレン基、ジメチルメチレン基、エーテル基、チオエーテル基、スルホン基を有するジアミン成分も、適度な強度と靭性を付与するために使用することができ、例えば3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、あるいはこれら芳香族環にアルキル基やハロゲン原子が置換した化合物などが挙げられる。これらの他に、シロキサン構造を含むジアミンや脂肪族構造を含むジアミンも使用することができるが、これらのジアミンはポリイミド樹脂のガラス転移温度(Tg)を低下させるため、シロキサン構造を含むジアミンや脂肪族構造を含むジアミンの使用量は全ジアミンのうち10モル%未満であることが好ましい。シロキサン構造を含むジアミンとしては、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p−アミノフェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどが挙げられる。脂肪族構造を含むジアミンとしては、1,6−ジアミノヘキサン、1,12−ジアミノドデカンなどが挙げられる。これらのジアミンは、単独または2種以上組み合わせてもよい。耐熱性および柔軟性の観点から、ジアミンとしては、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンや2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパンなどの芳香族エーテルジアミンが好ましい。
用いることができるテトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。脂肪族構造を含むテトラカルボン酸二無水物も使用することができ、2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物などが挙げられる。またこれらの他にも、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)チオエーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}プロパン二無水物、2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン二無水物などが挙げられる。テトラカルボン酸二無水物は、ポリイミドの相溶性、柔軟性の観点から、下記一般式(5)、(6)に示すような芳香族エーテル型の酸無水物が好ましい。
Figure 2013147638
Figure 2013147638
Zは炭素数3以下の炭化水素基、その水素原子がヘテロ原子で置換された基、酸素原子、硫黄原子またはスルホニル基を示す。また上記ヘテロ原子としてはフッ素原子が好ましい。具体的には2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物などが好ましい。これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独または2種以上組み合わせてもよい。
全ジアミン成分と全テトラカルボン酸二無水物成分とのモル比は、全ジアミン成分100モルに対して、全テトラカルボン酸二無水物成分が85〜99モル、または、全ジアミン成分100モルに対して、全テトラカルボン酸二無水物成分が101〜115モルであることが好ましい。全ジアミン成分100モルに対して、全テトラカルボン酸二無水物成分が85〜99モルである場合は、ジアミン成分が過剰となるため、末端がアミノ基になり、全ジアミン成分100モルに対して、全テトラカルボン酸二無水物成分が101〜115モルである場合は、テトラカルボン酸二無水物が過剰となるため、末端がカルボン酸無水物になる。
全ジアミン成分100モルに対して、全テトラカルボン酸二無水物成分が85〜99モルである場合は、ジカルボン酸無水物を全ジアミン成分100モルに対して2〜30モル使用してもよい。ジカルボン酸無水物は、末端封止剤として利用される。具体的には、3−ヒドロキシフタル酸無水物、4−ヒドロキシフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、フタル酸無水物、マレイン酸無水物などが挙げられる。
全ジアミン成分100モルに対して、全テトラカルボン酸二無水物成分が101〜115モルである場合は、モノアミン成分を全ジアミン成分100モルに対して、2〜30モル使用してもよい。モノアミン成分は、末端封止剤として利用される。具体的には、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノール、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、アニリンなどが挙げられる。
また、全ジアミン成分100モルに対して、全テトラカルボン酸二無水物成分が101〜115モルであることがより好ましい。全テトラカルボン酸二無水物成分の量の方が多い場合、(D)溶剤可溶性ポリイミドが未反応のアミンの量をより少なくすることができるため、未反応のアミンによる(A)シアネートエステル化合物のゲル化をより抑えることができる。
(D)溶剤可溶性ポリイミドは、成膜性、流動性の制御の観点から、重量平均分子量(Mw)は10000〜200000であることが好ましい。上記範囲であれば、本発明の半導体用絶縁性接着剤に適度な流動性と成膜性を付与することが出来る。重量平均分子量を10000〜200000とするためには、ポリイミド重合時の末端封止剤の比率や全ジアミンと全テトラカルボン酸二無水物とのモル比を調整することにより達成することができる。
本発明の熱硬化型樹脂組成物は、(A)シアネートエステル化合物、(D)溶剤可溶性ポリイミド樹脂の比率を調整することにより、流動性や硬化後のガラス転移温度(Tg)を調整することができる。(A)シアネートエステルの比率が多くなると、流動性が上がり硬化後のガラス転移温度(Tg)が高くなる傾向にある。(D)溶剤可溶性ポリイミド樹脂の比率が多くなると、流動性は低下し、硬化後のガラス転移温度は低くなるが柔軟性が向上する。
熱硬化型樹脂組成物を耐熱性接着剤として用いる場合、150℃以下で十分な流動性を有することが好ましい。そのため150℃における溶融粘度が5000Pa・s以下であることが好ましく、4000Pa・s以下であることがより好ましい。150℃における溶融粘度が5000Pa・s以下であれば、熱硬化型樹脂組成物は150℃以下で十分な流動性を有するため、ラミネートなどで対象物に貼り付けることが容易となる。そのため耐熱性接着剤として好適に用いることができる。流動性は(A)シアネートエステル化合物の粘度が低いほど高くなり、(D)溶剤可溶性ポリイミドの分子量が大きいほど低くなる。
(A)シアネートエステル化合物と(D)溶剤可溶性ポリイミド樹脂の比率は、上記の流動性、ガラス転移温度、柔軟性のバランスが取れるように調整する必要があり、(A)シアネートエステル化合物:(D)溶剤可溶性ポリイミド樹脂=1:4〜4:1の比率が好ましく、1:1〜2:1であることがより好ましい。この比率であれば、流動性、ガラス転移温度、柔軟性がバランスの取れた熱硬化型樹脂組成物を得ることができる。
(B)パラジウム(Pd)を含む硬化触媒は(A)シアネートエステル化合物を100重量部に対して0.0001〜0.01重量部であることが好ましく、また(C)前記一般式(1)〜(3)で表されるホスフィン化合物から選ばれる1以上の化合物は(A)シアネートエステル化合物を100重量部に対して0.0001〜0.05重量部であることが好ましい。この範囲であれば反応速度を適正に制御することができる。
また(B)パラジウム(Pd)を含む硬化触媒1モルに対して、(C)前記一般式(1)〜(3)で表されるホスフィン化合物から選ばれる1以上の化合物は1〜10モルであることが好ましい。この範囲であれば、(C)前記一般式(1)〜(3)で表されるホスフィン化合物から選ばれる1以上の化合物が、(B)パラジウム(Pd)を含む硬化触媒に過不足なく配位して反応性を向上させるとともに、パラジウム(Pd)を含む硬化触媒の劣化を防ぐことができる。
本発明の熱硬化型樹脂組成物は、上記(A)〜(D)成分の他に(E)無機粒子を含有してもよい。無機粒子は特に限定されないが、例えば溶融シリカ、結晶質シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナ、炭酸カルシウム、カーボンブラックなど公知の無機充填剤の他、粘度調整用の層状ケイ酸塩やイオン補足剤としてのゼオライト、リン酸ジルコニウム、水酸化ビスマス、ハイドロタルサイトなどが挙げられる。また無機粒子の平均粒子径は10μm以下であることが好ましい。平均粒子径は10μm以下であれば電子材料用途に使用しても断線やショートの原因となることが少ない。無機粒子は樹脂との結合を強化するためにシランカップリング処理、チタネート処理などの表面処理を行ってもよい。
また、樹脂成分として、アクリル樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などの添加は、耐熱性を落とさない範囲において特に制限されない。その他の添加剤としてアミン捕捉剤、接着助剤、レベリング剤、着色剤、消泡剤、酸化防止剤などの添加は特に制限されるものではない。
アミン捕捉剤としては酸無水物が挙げられ、例えばオキシジフタル酸二無水物を挙げることができる。また配合量は(A)〜(D)成分の合計量を100重量部に対して、0.5〜2重量部であることが好ましい。この範囲であれば硬化後の他の物性への影響をより少なくすることができる。
また接着助剤としては、例えばシランカップリング剤を挙げることができ、これを配合することにより、シリコンウェハや金属表面に対する接着性や耐湿試験後の接着力を改善することができる。また配合量は(A)〜(D)成分の合計量を100重量部に対して、1〜5重量部であることが好ましい。この範囲であれば硬化後の他の物性への影響をより少なくすることができる。
本発明の熱硬化型樹脂組成物は、(F)エポキシ樹脂を含有していてもよい。しかしながら、(F)エポキシ樹脂は耐熱性を低下させることがあるため、上記(A)〜(D)成分の合計量100重量部に対して5重量部以下であることが好ましく、まったく含有しなくともよい。
本発明の熱硬化型樹脂組成物の製造方法について説明する。本発明の熱硬化型樹脂組成物は、(A)シアネートエステル化合物、(B)パラジウム(Pd)を含む硬化触媒、(C)前記一般式(1)〜(3)で表されるホスフィン化合物から選ばれる1以上の化合物および(D)溶剤可溶性ポリイミド樹脂、および上記(A)〜(D)が可溶な溶剤を混合して樹脂ワニスを作成し、その樹脂ワニスをフィルム、ガラス、金属などの支持体上に塗布して溶剤を乾燥させることで熱硬化型樹脂組成物を形成させる。使用可能な溶剤としては、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、γブチロラクトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフランなどが例示できる。
樹脂ワニスを作成する際は、(A)シアネートエステル化合物、(D)溶剤可溶性ポリイミド樹脂を溶剤に溶解させ、別途(B)パラジウム(Pd)を含む硬化触媒、(C)前記一般式(1)〜(3)で表されるホスフィン化合物から選ばれる1以上の化合物を溶剤に溶解させたものと混合することが好ましい。
樹脂ワニスの塗布の手法は特に限定されないが、スピンコートやスクリーン印刷、スリットダイコーターなどの各種コーティング手法を使用することが可能である。乾燥温度は特に限定されないが、硬化反応が起こりにくい160℃以下が好ましい。熱硬化型樹脂組成物の厚みは特に限定されないが、溶剤乾燥の観点から50μm以下が好ましい。
本発明の熱硬化型樹脂組成物は、フィルム状の支持体上に形成させることで、絶縁性接着剤シートとして使用することができる。絶縁性接着剤シートは、本発明の熱硬化型樹脂組成物を接着剤層とし、少なくとも1層以上の剥離可能な保護フィルム層を有する構成のものであることが好ましい。たとえば、保護フィルム層/接着剤層の2層構成、あるいは保護フィルム層/接着剤層/保護フィルム層の3層構成がこれに該当する。接着剤層は例えば熱硬化型樹脂組成物を溶媒中で混合してワニス状としたものを保護フィルム層に塗布、脱溶媒させて作製することができる。保護フィルム層は剥離性基材であることが好ましい。剥離性基材としては、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム等のフッ素樹脂フィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等が挙げられる。また、剥離性基材はシリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、脂肪族アミド系等で離型処理が施されていてもよい。剥離性基材の厚みは200μm以下のものであることが好ましく、通常25〜100μmのものがより好ましい。接着剤層の厚みは特に限定されないが、溶剤の乾燥の観点から50μm以下が好ましい。
接着剤層の両面に保護フィルム層を有する場合、それぞれの保護フィルム層の接着剤層に対する剥離力をF1、F2(F1>F2)としたとき、剥離力F1、F2はいずれも1〜200Nm−1であることが好ましく、3〜100Nm−1であることがより好ましい。1Nm−1以上であれば保護フィルム層の脱落が生じることが少なく、200Nm−1以下であれば剥離作業を安定に行うことができるため、接着剤層が損傷する場合が少なくなる。
またF1−F2は5〜50Nm−1であることが好ましく、15〜30Nm−1であることがより好ましい。F1−F2が5Nm−1以上であれば、剥離の際に両面の保護フィルム層が同時に剥がれることがなくなる。また50Nm−1以下であれば、一方の保護フィルムの剥離力が極端に大きくなることがないため、剥離操作が容易となる。
また上記のとおり、本発明の熱硬化型樹脂組成物は150℃での溶融粘度が5000Pa・s以下であることが好ましいが、絶縁性接着剤シートを作成した後で40〜80℃で1〜200時間程度熱処理して硬化度を溶融粘度が5000Pa・s以下としてもよい。これによりラミネートなどで対象物に貼り付けることが容易となるため、耐熱性接着剤として好適に用いることができる。
本発明の熱硬化型樹脂組成物を用いた接着剤シートの製造方法について説明する。本発明の接着剤シートは熱硬化型樹脂組成物の製造時に使用する樹脂ワニスを保護フィルム層に塗布し、溶剤を乾燥することで得られる。溶剤乾燥後に、接着剤層に保護フィルム層を貼りあわせ、3層構成とすることもできる。塗布の手法はバーコート、コンマコートなどの各種コーティング手法を使用することができ、乾燥温度は160℃以下が好ましい。接着剤層の厚みは特に限定されないが、溶剤乾燥の観点から50μm以下が好ましい。
本発明の熱硬化型樹脂組成物は、加工性が良好であり、耐熱性が高い樹脂ワニス、絶縁性接着剤シートが得られる。上記樹脂ワニス、絶縁性接着剤シートは、プリント配線板、銅張積層版、層間絶縁材、バッファーコート剤、FRP(Fiber Reinforced Plastic = 繊維強化プラスチック)、耐熱性接着部材などに使用することが可能であり、電子部品、車載部品、航空機用部品に用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各評価方法について以下に述べる。
(1)ポリイミド樹脂の重量平均分子量の測定
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(日本ウォーターズ株式会社製 Waters 2690)を用い、ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。カラムは東ソー(株)製 TOSOH TXK−GEL α−2500、およびα−4000を用い、移動層にはN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPとする。)を用いた。
(2)DSC(示差走査熱量測定)の測定
測定サンプルを密封測定パンに封入し、標準サンプルとしてアルミナを同様に密封測定パンに封入し、セイコーインスツルメンツ製DSC測定装置(DSC6200)を用いて昇温速度5℃/分で、30〜300℃の温度領域で測定を行った。得られた測定チャートから反応開始温度を読み取った。
(3)ガラス転移温度、弾性率の測定
得られたサンプルを、セイコーインスツルメンツ製粘弾性測定装置(DMS6100)を用いて、周波数1Hz、10℃/分の昇温速度で測定を行った。得られたチャートを解析し、tanδの最大値をガラス転移温度(Tg)(℃)とした。また50℃、150℃、200℃における弾性率(Pa)を読み取った。
(4)溶融粘度の測定
得られたサンプルをφ15mmの円形に切り抜き、TAインスツルメンツ製粘弾性測定装置(AR−G2)を用いて、歪1%、周波数1Hz、5℃/分の昇温速度で溶融粘度の測定し、150℃の溶融粘度|η*|を読み取った。
(5)長期耐熱性評価
得られた両面銅貼り加熱硬化後サンプルの片面の銅箔部分を、エッチングによって2mm幅のパターンに加工し、引っ張り試験用のサンプルとした。この際、もう一つの面の銅箔はエッチングしなかった。引っ張り試験用のサンプルを引っ張り試験装置(オリエンテック製、テンシロン)を用いて180°の剥離試験を行い、サンプルと銅箔の接着力を測定した(この数値を初期接着力とする)。加熱硬化後のサンプルをさらに200℃で1週間加熱し、同様の180°剥離試験を行い、接着力を測定した(この数値を耐久試験後接着力とする)。
(6)耐湿熱性評価
上記(5)において耐久試験後接着力を評価する際に用いたサンプルと同様のサンプルを作成し、121℃/85%のプレッシャークッカーテスト試験機に72時間投入後、そのサンプルの接着力を測定した(この数値を耐湿熱試験後接着力とする)。
(7)溶液のゲル化評価
得られた熱硬化型樹脂組成物溶液を1日常温放置し、放置後のゲル化の有無を判定した。
(A)シアネートエステル化合物
プライムセット(Primeset)PT−15およびPT−30
(ロンザ・ジャパン(株)製、フェノール変性シアネートエステル)
(B)パラジウム(Pd)を含む硬化触媒
パラジウムジアセチルアセトネート(東京化成、試薬グレード)
(C)ホスフィン化合物
トリフェニルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(DPPEと略)
(ともに東京化成、試薬グレード)
(D)溶剤可溶性ポリイミド
ポリイミド樹脂A:乾燥窒素気流下、2,2−ビス(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン二無水物(以下、BPADAとする。)52g(0.099モル)、1,3‐ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(以下、APB−Nとする)29.2g(0.1モル)をNMP150gに溶解させた。次いで70℃で1時間撹拌した。その後、190℃で3時間攪拌した。攪拌終了後、溶液を水3Lに投入して白色沈殿したポリマーを得た。この沈殿をろ過して回収し、水で3回洗浄した後、真空乾燥機を用いて80℃、100時間乾燥した。得られたポリマー固体の赤外吸収スペクトルを測定したところ、1780cm−1付近、1377cm−1付近にポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピークが検出された。重量平均分子量は約50000であった。
ポリイミド樹脂B:APB−N29.2g(0.1モル)の代わりに、APB−N23.4g(0.08モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン4.97g(0.02モル)を用いた以外はポリイミド樹脂Aと同様にして、ポリイミド樹脂Bを得た。重量平均分子量は約40000であった。
ポリイミド樹脂C:BPADA52g(0.099モル)の代わりに、オキシジフタル酸二無水物31g(0.099モル)を用いた以外はポリイミド樹脂Aと同様にして、ポリイミド樹脂Cを得た。重量平均分子量は約50000であった。
ポリイミド樹脂D:APB−N29.2g(0.1モル)の代わりに、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン41.0g(0.1モル)を用いた以外はポリイミド樹脂Aと同様にして、ポリイミド樹脂Dを得た。重量平均分子量は約80000であった。
(E)無機粒子
SO−E1(アドマテックス(株)製、球状シリカ、平均粒径0.3μm、70%溶剤分散品)
(F)エポキシ樹脂
jER 828(三菱化学(株)製、BisA型液状エポキシ樹脂)
(その他)
銅ジアセチルアセトネート(東京化成、試薬グレード)
コバルトジアセチルアセトネート(東京化成、試薬グレード)
(G)酸無水物
オキシジフタル酸二無水物(東京化成、試薬グレード)
(H)シランカップリング剤
KBE402(信越化学(株)製、エポキシ基含有シランカップリング剤)
(実施例1)
(i)(A)(Primeset)PT−15 50g(50重量部)と(D)ポリイミド樹脂A 100g(100重量部)をジメチルアセトアミド225gに溶解させた(I液)。一方、(B)パラジウムアセチルアセトネート0.001g(0.001重量部)、(C)1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン0.002g(0.002重量部)をジメチルアセトアミド10g溶解させた(II液)。これらI液とII液を混合し熱硬化型樹脂組成物溶液1を得た。得られた熱硬化型樹脂組成物溶液1を使用して溶液のゲル化評価を行った。
(ii)得られた熱硬化型樹脂組成物溶液1を、バーコーターで、離型剤付きの厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レフィルム加工(株)製、セラピールHP2)に約15μmの乾燥厚さとなるように塗布し、150℃で5分間乾燥して、ポリエチレンテレフタレートフィルムの層と熱硬化型樹脂組成物の層からなるフィルム1を得た。
(iii)得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と熱硬化型樹脂組成物の層からなるフィルム1を、熱硬化型樹脂同士が向かい合うようにして120℃で貼りあわせた。貼りあわせたサンプルの一方のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、さらに貼りあわせることを繰り返して、熱硬化型樹脂組成物の層の厚みが400±20μmになるまで積層させた。その後、ポリエチレンテレフタレートフィルムの層を剥離し測定用サンプルとした(サンプル1とする)。
サンプル1を10mg程度切り取りDSC用の測定サンプルとし、DSC測定を行って反応開始温度を測定した。
また上記サンプル1を170℃で8時間加熱硬化させたのち、上記の方法でガラス転移温度、50℃、150℃、200℃の弾性率を測定した。また上記サンプル1を2枚貼りあわせて800μm程度とし、上記の方法で溶融粘度を測定した。測定結果を表1に示す。
(iv)ポリエチレンテレフタレートフィルムの層と熱硬化型樹脂組成物の層からなるフィルム1の熱硬化型樹脂組成物の層の面を銅箔(三井金属鉱業(株) 3EC−VLP 18μm厚み)のマット面に貼り付けた。次にポリエチレンテレフタレートフィルムの層を剥離し、さらに同じ銅箔を熱硬化型樹脂組成物の層のポリエチレンテレフタレートフィルムの層を剥離した面に貼り付け、これを200℃で4時間加熱硬化させた(得られたものを両面銅貼り加熱硬化後サンプル1とする)。両面銅貼り加熱硬化後サンプル1を用いて、上記の方法で初期接着力、耐久試験後接着力および耐湿熱試験後接着力を測定した。測定結果を表1に示す。
(実施例2〜10)
(A)シアネートエステル化合物、(B)パラジウム(Pd)を含む硬化触媒、(C)ホスフィン化合物、(D)溶剤可溶性ポリイミド樹脂を表1に記載のとおりとした以外は実施例1と同様にして、熱硬化型樹脂組成物溶液2〜10、フィルム2〜10、サンプル2〜10、両面銅貼り加熱硬化後サンプル2〜10を得た。各測定結果を表1に示す。
Figure 2013147638
(実施例11)
(i)(A)(Primeset)PT−15 30g(30重量部)、(Primeset)PT−30 30g(30重量部)と(D)ポリイミド樹脂D 40g(40重量部)をジメチルアセトアミド150gに溶解させ、さらに(E)SO−E1 25g(25重量部)を加えて撹拌し溶液中に分散した(I液)。一方、(B)パラジウムアセチルアセトネート0.001g(0.001重量部)、(C)1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン 0.002g(0.002重量部)をジメチルアセトアミド10g溶解させた(II液)。これらI液とII液を混合し熱硬化型樹脂組成物溶液11を得た。
(ii)熱硬化型樹脂組成物溶液1の代わりに熱硬化型樹脂組成物溶液11を用いた以外は実施例1の(ii)〜(iv)と同様にして、フィルム11、サンプル11、両面銅貼り加熱硬化後サンプル11を得た。各測定結果を表2に示す。
(実施例12)
(i)(A)(Primeset) PT−15 40g(40重量部)と(D)ポリイミド樹脂A 60g(60重量部)をジメチルアセトアミド150gに溶解させ、さらに(F)jER828を10g(10重量部)加えて撹拌した(I液)。一方、(B)パラジウムアセチルアセトネート0.001g(0.001重量部)、(C)1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン0.002g(0.002重量部)をジメチルアセトアミド10g溶解させた(II液)。これらI液とII液を混合し熱硬化型樹脂組成物溶液12を得た。
(ii)熱硬化型樹脂組成物溶液1の代わりに熱硬化型樹脂組成物溶液12を用いた以外は実施例1の(ii)〜(iv)と同様にして、フィルム12、サンプル12、両面銅貼り加熱硬化後サンプル12を得た。各測定結果を表2に示す。
(実施例13〜17)
(G)酸無水物および(H)シランカップリング剤を表2に記載のとおり添加した以外は実施例11と同様にして、熱硬化型樹脂組成物溶液13〜17、フィルム13〜17、サンプル13〜17、両面銅貼り加熱硬化後サンプル13〜17を得た。各測定結果を表2に示す。
Figure 2013147638
(比較例1〜5)
(A)シアネートエステル化合物、(B)パラジウム(Pd)を含む硬化触媒、(C)ホスフィン化合物、(D)溶剤可溶性ポリイミド樹脂を表3に記載のとおりとした以外は、実施例1と同様にした。各測定結果を表3に示す。
比較例1〜4においては、溶剤可溶性ポリイミド樹脂が存在しないため、樹脂が溶媒乾燥時に流動してしまい、フィルム状のサンプルが得られなかったため、評価が困難であった。比較例5においては、(A)シアネートエステル化合物の硬化が170℃において進行せず、硬化物が得られないため、弾性率や接着力の測定が困難であった。
(比較例6〜7)
(B)パラジウム(Pd)を含む硬化触媒の代わりに、銅ジアセチルアセトネートを0.01g(0.01重量部)(比較例6)、コバルトジアセチルアセトネート(比較例7)を0.01g(0.01重量部)用い、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンを用いなかった以外は実施例1と同様にして、熱硬化型樹脂組成物溶液6’、7’、フィルム6’、7’、サンプル6’、7’、両面銅貼り加熱硬化後サンプル6’、7’を得た。各測定結果を表3に示す。
比較例6、7においては、(A)シアネートエステル樹脂の硬化が170℃において進行した。しかしながら、銅ジアセチルアセトネート、コバルトジアセチルアセトネートのどちらも有機溶媒および樹脂への溶解性が低く、熱硬化型樹脂組成物溶液作成時に沈殿が見られ、乾燥後も欠点となってしまった。これらの金属化合物の凝集物および欠点は、絶縁不良やイオンマイグレーションの原因となるため好ましくない。
本発明の(B)パラジウム(Pd)を含む硬化触媒と(C)ホスフィン化合物を組み合わせた場合は、上記の銅やコバルト触媒の添加量の1/10程度でも硬化が進行し、かつ有機溶剤および樹脂への溶解性がよい。そのため実施例1〜12においてはそのような沈殿や欠点の発生はなかった。なお、銅やコバルト触媒を用いた場合、(C)ホスフィン化合物を同時に用いても、溶解性などの改善は見られなかった。
Figure 2013147638
本発明によれば、加工性が良好であり、耐熱性が高い樹脂ワニス、絶縁性接着剤シートが得られる。上記樹脂ワニス、絶縁性接着剤シートは、プリント配線板、銅張積層版、層間絶縁材、バッファーコート剤、FRP(Fiber Reinforced Plastic = 繊維強化プラスチック)、耐熱性接着部材などに使用することが可能であり、電子部品、車載部品、航空機用部品としての応用が期待される。

Claims (7)

  1. (A)シアネートエステル化合物、(B)パラジウム(Pd)を含む硬化触媒、(C)下記一般式(1)〜(3)で表されるホスフィン化合物から選ばれる1以上の化合物および(D)溶剤可溶性ポリイミド樹脂を含有する熱硬化型樹脂組成物。
    Figure 2013147638
    (一般式(1)〜(3)中、R〜Rはそれぞれ単一のものであっても異なるものが混在していても良く、炭素数12以下のアルキル基、アリール基またはこれらの基の水素原子がヘテロ原子で置換された基を示す。Xは炭素数12以下のアルキレン基、アリーレン基またはこれらの基の水素原子がヘテロ原子で置換された基を示す。Yは炭素数24以下のアルキレン基、アリーレン基またはこれらの基の水素原子がヘテロ原子で置換された基を示す。)
  2. 150℃での溶融粘度が5000Pa・s以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化型樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の熱硬化型樹脂組成物および有機溶剤を含有することを特徴とする樹脂ワニス。
  4. 請求項1もしくは2に記載の熱硬化型樹脂組成物または請求項3に記載の樹脂ワニスから得られた接着剤層が支持体上に形成されていることを特徴とする接着剤シート。
  5. 請求項1または2に記載の熱硬化型樹脂組成物を用いた電子部品。
  6. 請求項1または2に記載の熱硬化型樹脂組成物を用いた車載用部品。
  7. 請求項1または2に記載の熱硬化型樹脂組成物を用いた航空機用部品。
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