JP5779888B2 - 2−フルアルデヒド化合物の製造方法 - Google Patents

2−フルアルデヒド化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、糖原料から2−フルアルデヒド化合物を効率的に製造する方法に関するものである。
5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドは医薬品、農薬、香料、各種ポリマー用モノマー、液体燃料等の合成中間体として期待されている。また、2−フルアルデヒド(フルフラール)は、フラン樹脂、テトラヒドロフラン、フラン等の製造原料に用いることができる。5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒド、2−フルアルデヒドは通常は石油由来の原料ではなく、植物由来の糖より製造されるため、石油原料由来ではなく植物原料由来の化学品に分類される。
5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドを製造する方法としては、ヘキソースを非プロトン性極性溶媒中にて酸触媒を用いて加熱脱水させる方法(特許文献1、非特許文献1、2)、ヘキソース含有原料を、酸触媒の存在下に、水溶液層とこれと混合しない有機溶媒層の二層からなる反応系を用いて反応させる方法(特許文献2,非特許文献3)、ヘキソース含有原料を、イオン性液体中にて触媒の存在下に反応させる方法(特許文献3、非特許文献4)が知られている。
2−フルアルデヒドを製造する方法としては、ペントサンやペントースといった五炭糖を含む原料を酸触媒の存在下に水蒸気と共に反応させる方法(非特許文献5、6)が古くから知られている。
特開昭54−154757号公報 国際公開特許第2007/146636号公報 米国公開特許2008/0033187号公報
野口研究所時報,23(1980),P.25〜38 M.L.Mednik,J.Org.Chem,27,398(1962) Topics in Catalysis,52(2009),P.297〜303 Tetrahedron Letters,50(2009),P.5403〜5405 Journal of Scientific and Industrial Research,Vol.41(1982),P.431−438. Chemical Innovation,April(2000),P.29−32.
これまでに開示されているヘキソース含有出発原料を、酸触媒の存在下に、水溶液層とこれと混合しない有機溶媒層の二層からなる反応系を用いて反応させる5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドの製造方法は、高い5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドの生成効率を保つために、酸触媒として塩酸等を使用するため、反応系の腐食性が高いという難点があった。また、上記方法は、アルドースであるグルコース等を原料とした場合には、目的生成物が低い収率でしか得られないという難点があった。
糖原料のうち、フルクトースはケトースでありフラン骨格を形成し易い糖であり、果物等に含まれておりグルコースに比べて高価である。一方、グルコースはアルドースでありフラン骨格を形成しにくい糖であるが、非可食バイオマスであるセルロースの加水分解により製造できるためバイオエタノール原料等の工業原料としても注目されている。したがって、フルクトースだけでなくグルコースも原料として利用可能な5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドの製造方法が求められていた。
ヘキソース含有出発原料を、イオン性液体中にて触媒の存在下に反応させる5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドの製造方法は、原料としてケトースであるフルクトース、アルドースであるグルコースのいずれを用いても高い収率で目的生成物が得られるが、イオン性液体が極めて高価であり、工業的な使用には問題があった。
さらに、ペントサンやペントースといった五炭糖を含む原料を酸触媒の存在下に水蒸気と共に反応させる2−フルアルデヒドを製造方法する上記方法も、多量の水蒸気を必要とすることからエネルギー消費が大きいという難点があった。
そこで、本発明は、ヘキソース及び/又はペントースを含む糖原料を用いて、2−フルアルデヒド化合物を製造するにあたり、反応装置の腐食を抑制し、高価な反応媒体を用いることなく、また、エネルギー消費量を低減して、2−フルアルデヒド化合物を効率的に製造する方法を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、アルドースを構成成分として含む糖を水溶液層/有機溶媒層二層反応系において反応させて2−フルアルデヒド化合物を製造する方法について鋭意検討した結果、特定のアルカリ金属とリン酸との塩を含む水溶液層を用いることにより、反応装置の腐食を抑制し、高価な反応媒体を用いることなく、また、エネルギー消費量を低減して、2−フルアルデヒド化合物を効率的に製造することができることを見出し本発明に到達した。
即ち、本発明は、以下の[1]〜[7]を要旨とする。
[1] 水溶液層と有機溶媒層の二層からなる反応系で、ヘキソース及び/又はペントースを、酸触媒の存在下で反応させる2−フルアルデヒド化合物の製造方法において、該水溶液層を構成する水溶液が下記一般式(1)で表されるアルカリ金属とリン酸との塩を含むことを特徴とする2−フルアルデヒド化合物の製造方法。
(3−a)PO ・・・(1)
[式中、Mはアルカリ金属を示し、aは0.2以上0.95以下である]
[2] 前記ヘキソース及び/又はペントースが、アルドースであることを特徴とする[1]に記載の2−フルアルデヒド化合物の製造方法。
[3] 前記アルドースが、グルコース及び/又はキシロースであることを特徴とする[2]に記載の2−フルアルデヒド化合物の製造方法。
[4] 前記アルカリ金属が、カリウムであることを特徴とする[1]ないし[3]のいずれかに記載の2−フルアルデヒド化合物の製造方法。
[5] 前記反応系で、ヘキソースを、酸触媒の存在下で反応させて5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドを製造する方法であって、前記水溶液層に対する有機溶媒層の容量比が0.1以上50以下であり、且つ、水溶液層を構成する水溶液の水/リン酸イオンのモル比が30以下であることを特徴とする[1]ないし[4]のいずれかに記載の2−フルアルデヒド化合物の製造方法。
[6] 前記反応系で、ペントースを、酸触媒の存在下で反応させてフルフラールを製造することを特徴とする[1]ないし[4]のいずれかに記載の2−フルアルデヒド化合物の製造方法。
[7] 前記有機溶媒層を構成する有機溶媒が、アルコール、エーテル、ケトン、及びカルボン酸よりなる群から選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする[1]ないし[6]のいずれかに記載の2−フルアルデヒド化合物の製造方法。
本発明によれば、ヘキソース及び/又はペントースを含む糖原料から、2−フルアルデヒド化合物を製造するにあたり、反応装置の腐食を抑制し、高価な反応媒体を用いることなく、また、エネルギー消費量を低減して、2−フルアルデヒド化合物を効率的に製造する方法が提供される。
以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明の2−フルアルデヒド化合物の製造方法(以下、「本発明の製造方法」と称することがある)は、水溶液層と有機溶媒層の二層からなる反応系で、ヘキソース及び/又はペントースを、酸触媒の存在下で反応させるにあたり、該水溶液層を構成する水溶液に、特定のアルカリ金属とリン酸との塩を含有させることを特徴とするものである。
<糖原料>
本発明の製造方法で反応させるヘキソース及び/又はペントース(以下、これを「糖」と称することがある)は、それ自体を単糖として反応槽に供給してもよいが、ヘキソース及び/又はペントースを含有、又はこれらの糖が誘導されるもの(以下、これを「糖原料」と称する)を用いることもできる。ヘキソース及びペントースとしては、好ましくはアルドースが挙げられる。また、2種以上の糖を混合したものを反応させることもできる。
本発明の製造方法で用いられる糖原料は、糖がアルドースである場合には、グルコース、キシロース、スクロース、マルトース、セロビオース、澱粉、水あめ、蜂蜜等の、アルドースの単糖や二糖、オリゴ糖を含む原料が挙げられる。また、木材や紙、木綿、稲わらや麦わら、トウモロコシの芯、サトウキビの搾りかす等の、アルドースを構成成分として含む高分子であるセルロースやヘミセルロースを含む原料を糖原料として使用することもできる。また、糖がケトースの場合には、キシルロース、フルクトース等を含むものが糖原料として用いられる。
本発明の製造方法に用いられるこれらの糖原料のうち、非可食バイオマスであるセルロースやヘミセルロースの加水分解により製造できるグルコースやキシロースは食料と競合しないことから特に好ましい。また、フルクトース、スクロース、マルトース、セロビオース等も好ましく用いられる。
<アルカリ金属とリン酸との塩を含む水溶液層>
本発明の2−フルアルデヒド化合物の製造方法で使用される水溶液層は、下記一般式(1)で表される特定比率のアルカリ金属とリン酸との塩を含む水溶液で構成される。
(3−a)PO ・・・(1)
[式中、Mはアルカリ金属を示し、aは0.2以上0.95以下である]
上記一般式(1)において、アルカリ金属とリン酸イオンのモル比(以下「M/Pモル比」と記載する場合がある。)に相当するaの値は0.2以上0.95以下であり、好ましくは0.5以上0.9以下、更に好ましくは0.65以上0.85以下である。aが上記下限よりも小さいと水溶液層の酸が強すぎるために生成した2−フルアルデヒド化合物の分解反応が促進され、上記上限よりも大きいと水溶液層の酸が弱すぎるために2−フルアルデヒド化合物の生成速度が低下するばかりでなく副反応も促進される。
また、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等が挙げられるが、カリウム、セシウムが好ましく、価格や入手の容易さの点で特にカリウムが好ましい。
水溶液層を構成する水溶液としては、該水溶液中のアルカリ金属とリン酸との塩の濃度が、該水溶液中のリン酸イオンに対する水のモル比(水/リン酸イオンのモル比、以下「HO/Pモル比」と記載する場合がある。)が、通常1以上100以下、好ましくは2以上50以下、更に好ましくは4以上30以下となるように調製されたものを用いることが好ましい。水溶液層を構成する水溶液のHO/Pモル比が上記上限よりも大きいと生成した2−フルアルデヒド化合物の有機溶媒層への抽出効率が低下して分解反応が促進され、小さいと塩や糖の溶解が困難になる。
当該水溶液は、アルカリ金属とリン酸との塩以外に、糖の反応を阻害しないものであれば如何なるものを含んでいてもよい。
<有機溶媒層>
本発明の2−フルアルデヒド化合物の製造方法で使用される有機溶媒層を構成する有機溶媒としては、反応条件下にアルカリ金属とリン酸との塩を含む水溶液と二層を形成し、水溶液層で生成する2−フルアルデヒド化合物を抽出できるものであれば何れのものでもよい。この有機溶媒層の有機溶媒としては、具体的には、アルコール、エーテル、ケトン、及びカルボン酸よりなる群から選ばれた少なくとも1つの有機溶媒を用いることができる。
該有機溶媒は、溶媒の回収・再利用を考慮した場合、単一溶媒のほうがプロセスとして簡略化できるため好ましいが、2種以上を混合して用いても構わない。
アルコールとしては、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール等の炭素数3〜8の飽和脂肪族アルコールが挙げられる。
また、エーテルとしては、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ブチルエーテル等の炭素数4〜8の飽和脂肪族エーテルが挙げられる。
さらに、ケトンとしては、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン、5−メチル−2−ヘキサノン、2,4−ジメチルペンタノン、5−ノナノン等の炭素数4〜9の飽和脂肪族ケトンが挙げられ、カルボン酸としては、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸等の炭素数3〜6の飽和脂肪族カルボン酸が挙げられる。
これらのうち、有機溶媒として好ましくは、1−プロパノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、エチレングリコールジエチルエーテル、4−メチル−2−ペンタノン、吉草酸、カプロン酸であり、更に好ましくは、2−ブタノール、2−ペンタノール、エチレングリコールジエチルエーテル、4−メチル−2−ペンタノンである。
なお、ヘキソースを構成成分として含む糖原料から有機溶媒として飽和脂肪族カルボン酸を用いて5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドを製造する場合、その一部は用いたカルボン酸のエステルである5−(アシルオキシメチル)−2−フルアルデヒドとして有機溶媒層に抽出されてくる。
<反応条件>
糖を2−フルアルデヒド化合物に変換する本発明の反応は、回分方式でも連続方式でも行うことができる。回分方式の場合には、反応器に、上記糖原料、アルカリ金属とリン酸との塩を含む水溶液、有機溶媒を仕込み、攪拌下に反応させる。この場合、糖原料を一括で仕込まず、数回に分けて反応器に供給するか、あるいは連続的に反応器に供給しても良い。
糖原料、アルカリ金属とリン酸との塩を含む水溶液、有機溶媒の割合は、糖原料の種類やアルカリ金属とリン酸との塩を含む水溶液の組成、有機溶媒の種類などにより異なるが、糖原料1重量部に対し、アルカリ金属とリン酸との塩を含む水溶液が通常1〜500重量部、好ましくは2〜100重量部、糖原料1重量部に対し、有機溶媒が通常2〜1000重量部、好ましくは5〜500重量部である。
ここで、生成物が水に溶けやすい場合には、水溶液層と有機溶媒層の容量比を調整することが好ましい。さらに、このような場合には、生成物を塩析効果で析出させるため、水溶液層を構成する水溶液中のリン酸濃度を高濃度にすることが好ましい。具体的には、原料としてヘキソースからなる糖原料を用いる場合には、生成する5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドが、水に溶解しやすいため、水溶液層に対する有機溶媒層の容量比が、0.1以上50以下となり、且つ、水溶液層を構成する水溶液のHO/Pモル比が30以下となるように調製されたものを用いることが好ましい。ここで、HO/Pモル比の下限値は、水溶液中のアルカリ金属とリン酸との塩が溶解し得る限界値、つまりは、本発明の製造方法の反応条件下で、水溶液層が均一層を保つ限界値である。
反応時間は、反応方式や糖原料の種類や使用量、アルカリ金属とリン酸との塩を含む水溶液の組成や使用量、有機溶媒の種類や使用量、反応温度などにより異なるが、回分反応方式の場合、下限が、通常0.1時間以上、好ましくは0.5時間以上であり、上限が、通常50時間以下、好ましくは20時間以下である。反応器の一端から、糖原料と、アルカリ金属とリン酸との塩を含む水溶液と、有機溶媒とを連続的に供給し、反応器の他端から反応混合物を連続的に抜き出す連続方式においては、反応器内での滞留時間の下限が、通常0.1時間以上、好ましくは0.5時間以上であり、上限が、通常50時間以下、好ましくは20時間以下である。
反応の温度は、糖原料あるいは糖の種類により異なるが、反応温度の下限は、フルクトースやキシルロースといったケトース類を2−フルアルデヒド化合物に変換する場合、通常60℃以上、好ましくは80℃以上、さらに好ましくは100℃以上であり、グルコースやキシロースといったアルドース類を2−フルアルデヒド化合物に変換する場合、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、さらに好ましくは130℃以上である。反応温度の上限は、通常200℃以下、好ましくは180℃以下、さらに好ましくは160℃以下である。
糖を2−フルアルデヒド化合物に変換する本発明の反応は、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素等の、反応に悪影響を与えない物質を共存させて実施することができる。
反応圧力は、反応系が液相に保持される範囲であれば任意である。
また、反応の進行にしたがって生成する水を有機溶媒と共に共沸留出させ、留出物から層分離や脱水剤による脱水等により水を除去した後、有機溶媒を反応器に戻しながら反応させることもできる。
反応後、反応液を静置して分層させ、アルカリ金属とリン酸との塩を含む水溶液層と、生成物である2−フルアルデヒド化合物を含む有機溶媒層を分離する。分離されたアルカリ金属とリン酸との塩を含む水溶液層は、その組成を調製した後、再度回分方式の反応に供することもできる。
連続方式の場合には、反応器一端から、糖原料、アルカリ金属とリン酸との塩を含む水溶液、有機溶媒を連続的に供給し、反応器の他端から反応混合物を連続的に抜き出す方法を用いることができる。抜き出した反応液は静置して分層し、アルカリ金属とリン酸との塩を含む水溶液層と生成物である2−フルアルデヒド化合物を含む有機溶媒層を分離する。連続方式の場合、分離されたアルカリ金属とリン酸との塩を含む水溶液層の一部または全部を反応器に戻して反応に供することもできる。
生成した2−フルアルデヒド化合物の分離・回収は常法により行うことができる。
2−フルアルデヒド化合物が5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドである場合、まずアルカリ金属とリン酸との塩を含む水溶液層から5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドを含む有機溶媒層を分離した後、有機溶媒層の有機溶媒を留去して回収する方法、有機溶媒層に貧溶媒を添加して冷却して晶析分離して回収する方法、有機溶媒層を吸着剤に接触させて吸着したのち脱離溶媒で処理して回収する方法、有機溶媒層と水を接触させて水層に抽出させて回収する方法等が挙げられる。
2−フルアルデヒド化合物が2−フルアルデヒド(フルフラール)である場合、まずアルカリ金属とリン酸との塩を含む水溶液層から2−フルアルデヒドを含む有機溶媒層を分離した後、有機溶媒層の有機溶媒及び2−フルアルデヒドを蒸留して回収する方法、有機溶媒層を吸着剤に接触させて吸着したのち脱離溶媒で処理して回収する方法等が挙げられる。
分離・回収された2−フルアルデヒド化合物の精製は常法により行うことができる。5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドを精製する方法としては、精密蒸留法や再結晶法、カラムクロマト分離精製法等が挙げられる。2−フルアルデヒドを精製する方法としては、精密蒸留法、カラムクロマト分離精製法等が挙げられる。
生成した2−フルアルデヒド化合物から当該化合物の水素化物(2,5−ビス(ヒドロキシメチル)フラン、2,5−ジメチルフラン、2,5−ビス(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン、2,5−ジメチルテトラヒドロフラン、2−メチルフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等)を製造する場合、まずアルカリ金属とリン酸との塩を含む水溶液層から2−フルアルデヒド化合物を含む有機溶媒層を分離した後、必要に応じて有機溶媒層に適当な処理を加え、2−フルアルデヒド化合物を含む有機溶媒層を水素化工程に供することができる。この場合、有機溶媒としてはアルコールが好ましい。
また、生成した2−フルアルデヒド化合物から当該化合物の酸化物(5−(ヒドロキシメチル)−2−フランカルボン酸、2,5−フランジカルボン酸、2,5−ジホルミルフラン、2−フランカルボン酸等)を製造する場合、まずアルカリ金属とリン酸との塩を含む水溶液層から2−フルアルデヒド化合物を含む有機溶媒層を分離した後、必要に応じて有機溶媒層に適当な処理を加え、2−フルアルデヒド化合物を含む有機溶媒層を酸化工程に供することができる。この場合、有機溶媒としてはカルボン酸が好ましい。
反応後のアルカリ金属とリン酸との塩を含む水溶液からは、必要に応じて組成を調整し、濃縮ないしは冷却することによりリン酸塩を固体として回収することができる。
<2−フルアルデヒド化合物の用途>
本発明で得られた5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドは、医薬品、農薬、香料、各種ポリマー用モノマー、液体燃料等の合成中間体の用途に使用することが可能である。また、2−フルアルデヒドは、溶剤、フラン樹脂、テトラヒドロフラン、フラン等の製造原料としての用途に使用することが可能である。
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
なお、実施例1〜23,26,27,29及び比較例1〜4における5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒド(以後、略号としてHMFを使用する)の分析には、島津製作所製ガスクロマトグラフGC−2014(FID)を用い、以下の条件で行った。波形処理には島津製作所製クロマトパックC−R8Aを用いた。
<GC分析条件>
カラム:Thermon3000 5%/SHINCARBON A 60/80
3m(ステンレス)
キャリアーガス:窒素(50ml/min)
カラム温度:170℃(12min)→190℃まで昇温(10℃/min)
→190℃(31min)
INJ:200℃
DET:240℃
5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒド(HMF)収率は以下の式(i)より求めた。
HMF収率(%)=
生成したHMF(mol)/仕込み原料中のヘキソースユニット(mol)×100
・・・(i)
また、実施例24及び実施例25における5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒド(HMF)及びその有機カルボン酸エステル(略号として吉草酸エステルの場合はVMF、カプロン酸エステルの場合はCMFを使用する)の分析にも、同様に、島津製作所製ガスクロマトグラフGC−2014(FID)を用い、上記と同様のGC分析条件を採用し、波形処理にも同様に島津製作所製クロマトパックC−R8Aを用いた。
5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒド(HMF)収率は上記式(i)により求め、HMF有機カルボン酸エステル(VMF、CMF)の収率は以下の式(ii),(iii)より求めた。
VMF収率(%)=
生成したVMF(mol)/仕込み原料中のヘキソースユニット(mol)×100
・・・(ii)
CMF収率(%)=
生成したCMF(mol)/仕込み原料中のヘキソースユニット(mol)×100
・・・(iii)
また、実施例28及び比較例5における2−フルアルデヒド(略号としてFALを使用する)の分析には、島津製作所製ガスクロマトグラフGC−2014(FID)を用い、以下の条件で行った。波形処理には島津製作所製クロマトパックC−R8Aを用いた。
<GC分析条件>
カラム:FON 10%/Celite545A 80/100
3m(ステンレス)
キャリアーガス:窒素(30ml/min)
カラム温度:140℃(15min)→240℃まで昇温(20℃/min)
→240℃(25min)
INJ:200℃
DET:240℃
2−フルアルデヒド(FAL)収率は以下の式(iv)より求めた。
FAL収率(%)=
生成したFAL(mol)/仕込み原料中のペントースユニット(mol)×100
・・・(iv)
[実施例1]
反応は、ブッヒグラスウスター社製ミニクレーブ(PTFEカバー、200mlガラス容器、液温測定用熱電対鞘管付き)を用いて実施した。
攪拌子を入れたミニクレーブのガラス容器に、10.89gのリン酸二水素カリウム(80.0mmol)、12.26gの脱塩水(680.8mmol)、及び2.306gの85%リン酸(H3PO4として20.0mmol、H2Oとして19.2mmol)を入れた。この水溶液は、カリウムとリン酸との塩を含む水溶液の組成として、K0.82.2PO4 100.0mmol、H2O 700.0mmolで、HO/Pモル比は7.0である。
このガラス容器をオイルバスにセットし、室温にて攪拌しながら1.802gのD(+)グルコース(10.0mmol)を壁に付着しないようにガラス容器に加え、さらに有機溶媒として50.0mlの2−ブタノールを加え、ミニクレーブのカバーを閉め、緩やかに攪拌しつつ内部を0.6MPaの窒素ガスで10回置換した後、内部の窒素ガスを0.1MPaとした。熱電対を液温測定用鞘管に装着し、攪拌速度を300rpmとしてから、プログラム温度調節器を用いてオイルバスの温度を40分かけて150℃に昇温し、そのまま150℃で保持した。反応の開始時間はオイルバス温度が150℃に達した15分後とし、反応温度(液温)を反応開始時から反応終了時まで1時間毎にチェックしその平均値を反応温度とした。6.0時間の反応の後、加熱・攪拌を停止し、ミニクレーブをオイルバスから取り出し室温付近まで放冷し、内部のガスをパージして大気圧としてからミニクレーブのカバーを開放し、2−ブタノール層を100ml三角フラスコに移した。水溶液層を10mlの2-ブタノールで3回洗浄してこれらの洗浄液を前記フラスコ中に回収した。回収された2−ブタノール溶液に2.0mlのテトラエチレングリコールジメチルエーテル(GC分析用内部標準物質)と1gの水酸化カルシウム(残存する酸の除去用)を加え混合した後、No.2Cの濾紙で濾過し、濾液をGC分析して生成した5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒド量を求めた。5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドの収率を表1に示す。
[比較例1]
11.53gの85%リン酸(H3PO4として100.0mmol、H2Oとして96.0mmol)、及び10.88gの脱塩水(604.0mmol)を混合して水溶液層(リン酸を含む水溶液の組成として、H3PO4 100.0mmol、H2O 700.0mmol)として用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。反応後は二層にならなかったため、回収した反応液に2.0mlのテトラエチレングリコールジメチルエーテル(GC分析用内部標準物質)と15gの水酸化カルシウム(リン酸中和除去用)を加え混合した後、No.2Cの濾紙で濾過し、濾液をGC分析して生成した5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒド量を求めた。結果を表1に示す。
[実施例2]
2.722gのリン酸二水素カリウム(20.0mmol)、11.23gの脱塩水(623.2mmol)、及び9.223gの85%リン酸(H3PO4として80.0mmol、H2Oとして76.8mmol)を混合して水溶液層(カリウムとリン酸との塩を含む水溶液の組成として、K0.22.8PO4 100.0mmol、H2O 700.0mmol)として用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
5.444gのリン酸二水素カリウム(40.0mmol)、11.57gの脱塩水(642.4mmol)、及び6.917gの85%リン酸(H3PO4として60.0mmol、H2Oとして57.6mmol)を混合して水溶液層(カリウムとリン酸との塩を含む水溶液の組成として、K0.42.6PO4 100.0mmol、H2O 700.0mmol)として用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
8.165gのリン酸二水素カリウム(60.0mmol)、11.92gの脱塩水(661.6mmol)、及び4.612gの85%リン酸(H3PO4として40.0mmol、H2Oとして38.4mmol)を混合して水溶液層(カリウムとリン酸との塩を含む水溶液の組成として、K0.62.4PO4 100.0mmol、H2O 700.0mmol)として用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
9.526gのリン酸二水素カリウム(70.0mmol)、12.09gの脱塩水(671.2mmol)、及び3.459gの85%リン酸(H3PO4として30.0mmol、H2Oとして28.8mmol)を混合して水溶液層(カリウムとリン酸との塩を含む水溶液の組成として、K0.72.3PO4 100.0mmol、H2O 700.0mmol)として用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。結果を表1に示す。
[実施例6]
12.25gのリン酸二水素カリウム(90.0mmol)、12.44gの脱塩水(690.4mmol)、及び1.153gの85%リン酸(H3PO4として10.0mmol、H2Oとして9.6mmol)を混合して水溶液層(カリウムとリン酸との塩を含む水溶液の組成として、K0.92.1PO4 100.0mmol、H2O 700.0mmol)として用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
13.61gのリン酸二水素カリウム(100.0mmol)、及び12.61gの脱塩水(700.0mmol)を混合して水溶液層(カリウムとリン酸との塩を含む水溶液の組成として、KH3PO4 100.0mmol、H2O 700.0mmol)として用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。この反応においては反応中の水溶液層に塩の析出が観察された。結果を表1に示す。
[実施例7]
10.89gのリン酸二水素カリウム(80.0mmol)、6.86gの脱塩水(380.8mmol)、及び2.306gの85%リン酸(H3PO4として20.0mmol、H2Oとして19.2mmol)を混合して水溶液層(カリウムとリン酸との塩を含む水溶液の組成として、K0.82.2PO4 100.0mmol、H2O 400.0mmol)として用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。この反応においては反応中の水溶液層に塩の析出が観察された。結果を表1に示す。
[実施例8]
10.89gのリン酸二水素カリウム(80.0mmol)、17.67gの脱塩水(980.8mmol)、及び2.306gの85%リン酸(H3PO4として20.0mmol、H2Oとして19.2mmol)を混合して水溶液層(カリウムとリン酸との塩を含む水溶液の組成として、K0.82.2PO4 100.0mmol、H2O 1000.0mmol)として用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。結果を表2に示す。
[実施例9]
10.89gのリン酸二水素カリウム(80.0mmol)、23.07gの脱塩水(1280.8mmol)、及び2.306gの85%リン酸(H3PO4として20.0mmol、H2Oとして19.2mmol)を混合して水溶液層(カリウムとリン酸との塩を含む水溶液の組成として、K0.82.2PO4 100.0mmol、H2O 1300.0mmol)として用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。結果を表2に示す。
[実施例10]
10.89gのリン酸二水素カリウム(80.0mmol)、35.68gの脱塩水(1980.8mmol)、及び2.306gの85%リン酸(H3PO4として20.0mmol、H2Oとして19.2mmol)を混合して水溶液層(カリウムとリン酸との塩を含む水溶液の組成として、K0.82.2PO4 100.0mmol、H2O 2000.0mmol)として用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。結果を表2に示す。
[実施例11]
10.89gのリン酸二水素カリウム(80.0mmol)、53.69gの脱塩水(2980.8mmol)、及び2.306gの85%リン酸(H3PO4として20.0mmol、H2Oとして19.2mmol)を混合して水溶液層(カリウムとリン酸との塩を含む水溶液の組成として、K0.82.2PO4 100.0mmol、H2O 3000.0mmol)として用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。結果を表2に示す。
[比較例3]
15.0mlの室温飽和塩化ナトリウム水溶液と0.391gの35%塩酸の混合液を水溶液層とし、予め室温飽和塩化ナトリウム水溶液と接触させておいた50.0mlの2−ブタノールを有機溶媒層として用い、反応時間を5.0時間とした以外は、実施例1と同様に反応を行った。結果を表2に示す。
[実施例12]
D(+)グルコースの代わりに1.802gのD(−)フルクトース(10.0mmol)を用い、反応時間を3.0時間とした以外は、実施例1と同様に反応を行った。結果を表2に示す。
[比較例4]
D(+)グルコースの代わりに1.802gのD(−)フルクトース(10.0mmol)を用い、5.0mlの室温飽和塩化ナトリウム水溶液と0.130gの35%塩酸の混合液を水溶液層とし、予め室温飽和塩化ナトリウム水溶液と接触させておいた50.0mlの2−ブタノールを有機溶媒層として用い、反応時間を0.5時間とした以外は、実施例1と同様に反応を行った。結果を表2に示す。なお、反応時間0.5時間の反応温度(液温)は反応開始時と反応終了時の平均値とした。
[実施例13]
D(+)グルコースの代わりに1.711gのD(+)セロビオース(5.0mmol、ヘキソースユニットとして10.0mmol)を用い、反応時間を7.0時間とした以外は、実施例1と同様に反応を行った。結果を表2に示す。
[実施例14]
D(+)グルコースの代わりに1.802gのD(+)マルトース・1水和物(5.0mmol、ヘキソースユニットとして10.0mmol、H2O 5.0mmol)を用い、10.89gのリン酸二水素カリウム(80.0mmol)、12.17gの脱塩水(675.8mmol)、及び2.306gの85%リン酸(H3PO4として20.0mmol、H2Oとして19.2mmol)を混合して水溶液層(マルトースの水和水を含め、カリウムとリン酸との塩を含む水溶液の組成として、K0.82.2PO4 100.0mmol、H2O 700.0mmol)として用い、反応時間を7.0時間とした以外は、実施例1と同様に反応を行った。結果を表2に示す。
[実施例15]
D(+)グルコースの代わりに1.711gのスクロース(5.0mmol、ヘキソースユニットとして10.0mmol)を用いた以外は、実施例1と同様に反応を行った。結果を表3に示す。
[実施例16]
D(+)グルコースの代わりに1.954gの馬鈴薯澱粉(含水量17.04wt%:H2O 18.5mmol、残りのすべてがヘキソース重合物と仮定するとヘキソースユニットとして10.0mmol)を用い、水溶液層として5.70gの脱塩水(316.2mmol)、1.845gの85%リン酸(H3PO4として16.0mmol、H2Oとして15.4mmol)、及び8.71gのリン酸二水素カリウム(64.0mmol)の混合物(カリウムとリン酸との塩を含む水溶液の組成として、馬鈴薯澱粉中のH2Oを含め、K0.82.2PO4 80.0mmol、H2O 350.0mmol)を用い、有機溶媒として50.0mlの4−メチル−2−ペンタノン、反応後の水溶液層の洗浄に4−メチル−2−ペンタノンを用いた以外は、実施例1と同様に反応を行った。結果を表3に示す。
[実施例17]
糖原料として0.901gのD(+)グルコース(5.0mmol)、水溶液層として9.39gの脱塩水(521.2mmol)、3.459gの85%リン酸(H3PO4として30.0mmol、H2Oとして28.8mmol)、及び16.09gのリン酸二水素セシウム(70.0mmol)の混合物(セシウムとリン酸との塩を含む水溶液の組成として、Cs0.72.3PO4 100.0mmol、H2O 550.0mmol)を用い、反応時のオイルバス温度を145℃とした以外は、実施例1と同様に反応を行った。結果を表3に示す。
[実施例18]
糖原料として0.901gのD(+)グルコース(5.0mmol)、水溶液層として13.37gの脱塩水(742.3mmol)、0.922gの85%リン酸(H3PO4として8.0mmol、H2Oとして7.7mmol)、及び7.48gのリン酸二水素リチウム(72.0mmol)の混合物(リチウムとリン酸との塩を含む水溶液の組成として、Li0.92.1PO4 80.0mmol、H2O 750.0mmol)を用い、反応時のオイルバス温度を145℃とした以外は、実施例1と同様に反応を行った。結果を表3に示す。
[実施例19]
糖原料として0.901gのD(+)グルコース(5.0mmol)、水溶液層として6.11gの脱塩水(339.3mmol)、1.585gの85%リン酸(H3PO4として13.75mmol、H2Oとして13.2mmol)、及び19.31gのリン酸二水素ナトリウム・2水和物(123.75mmol)の混合物(ナトリウムとリン酸との塩を含む水溶液の組成として、Na0.92.1PO4 137.5mmol、H2O 600.0mmol)を用い、反応時のオイルバス温度を145℃、反応時間を3.0時間とした以外は、実施例1と同様に反応を行った。結果を表3に示す。
[実施例20]
糖原料として0.901gのD(+)グルコース(5.0mmol)、水溶液層として13.23gの脱塩水(734.6mmol)、1.845gの85%リン酸(H3PO4として16.0mmol、H2Oとして15.4mmol)、及び8.71gのリン酸二水素カリウム(64.0mmol)の混合物(カリウムとリン酸との塩を含む水溶液の組成として、K0.82.2PO4 80.0mmol、H2O 750.0mmol)を用い、有機溶媒として50.0mlの1−プロパノール、反応後の水溶液層の洗浄に1−プロパノールを用い、反応時のオイルバス温度を145℃、反応時間を5.0時間とした以外は、実施例1と同様に反応を行った。結果を表3に示す。
[実施例21]
糖原料として0.901gのD(+)グルコース(5.0mmol)、水溶液層として9.63gの脱塩水(534.6mmol)、1.845gの85%リン酸(H3PO4として16.0mmol、H2Oとして15.4mmol)、及び8.71gのリン酸二水素カリウム(64.0mmol)の混合物(カリウムとリン酸との塩を含む水溶液の組成として、K0.82.2PO4 80.0mmol、H2O 550.0mmol)を用い、有機溶媒として50.0mlの2−ペンタノール、反応後の水溶液層の洗浄に2−ペンタノールを用い、反応時のオイルバス温度を145℃、反応時間を5.0時間とした以外は、実施例1と同様に反応を行った。結果を表3に示す。
[実施例22]
糖原料として0.901gのD(+)グルコース(5.0mmol)、水溶液層として6.03gの脱塩水(334.6mmol)、1.845gの85%リン酸(H3PO4として16.0mmol、H2Oとして15.4mmol)、及び8.71gのリン酸二水素カリウム(64.0mmol)の混合物(カリウムとリン酸との塩を含む水溶液の組成として、K0.82.2PO4 80.0mmol、H2O 350.0mmol)を用い、有機溶媒として50.0mlのエチレングリコールジエチルエーテル、反応後の水溶液層の洗浄にエチレングリコールジエチルエーテルを用い、反応時のオイルバス温度を145℃、反応時間を4.0時間とした以外は、実施例1と同様に反応を行った。結果を表3に示す。
[実施例23]
糖原料として0.901gのD(+)グルコース(5.0mmol)、水溶液層として6.03gの脱塩水(334.6mmol)、1.845gの85%リン酸(H3PO4として16.0mmol、H2Oとして15.4mmol)、及び8.71gのリン酸二水素カリウム(64.0mmol)の混合物(カリウムとリン酸との塩を含む水溶液の組成として、K0.82.2PO4 80.0mmol、H2O 350.0mmol)を用い、有機溶媒として50.0mlの4−メチル−2−ペンタノン、反応後の水溶液層の洗浄に4−メチル−2−ペンタノンを用い、反応時のオイルバス温度を145℃とした以外は、実施例1と同様に反応を行った。結果を表3に示す。
[実施例24]
糖原料として0.901gのD(+)グルコース(5.0mmol)、水溶液層として9.63gの脱塩水(534.6mmol)、1.845gの85%リン酸(H3PO4として16.0mmol、H2Oとして15.4mmol)、及び8.71gのリン酸二水素カリウム(64.0mmol)の混合物(カリウムとリン酸との塩を含む水溶液の組成として、K0.82.2PO4 80.0mmol、H2O 550.0mmol)を用い、有機溶媒として50.0mlの吉草酸を用いた以外は、実施例1と同様に反応を実施した。
反応後、吉草酸層を100ml三角フラスコに移した後、水溶液層を10mlの吉草酸で3回洗浄してこれらの洗浄液を前記フラスコ中に回収した。回収された吉草酸溶液に2.0mlのテトラエチレングリコールジメチルエーテル(GC分析用内部標準物質)と1gのベーマイト(残存リン酸除去用)を加え混合した後、No.2Cの濾紙で濾過し、濾液をGC分析して生成した5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒド及び5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドの吉草酸エステルの量を求めた。5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒド及びその吉草酸エステル(VMF)の収率を表4に示す。
[実施例25]
有機溶媒としてカプロン酸を用い、水溶液層の洗浄にカプロン酸を使用した以外は、実施例24と同様に反応を行った。5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒド及びそのカプロン酸エステル(CMF)の収率を表4に示す。
[実施例26]
攪拌子、フッ素樹脂被覆熱電対、還流冷却管を備えた100ml四口フラスコに、窒素雰囲気下、糖原料として1.802gのD(−)フルクトース(10.0mmol)、水溶液層として5.46gの脱塩水(303.1mmol)、5.765gの85%リン酸(H3PO4として50.0mmol、H2Oとして48.0mmol)、及び10.21gのリン酸二水素カリウム(75.0mmol)の混合物(カリウムとリン酸との塩を含む水溶液の組成として、K0.62.4PO4 125.0mmol、H2O 351.1mmol)、有機溶媒として50.0mlの4−メチル−2−ペンタノンを仕込み、オイルバスにセットした。プログラム温度調節器を用いてオイルバスの温度を30分かけて107℃に昇温し、そのまま107℃で保持した。反応の開始時間はオイルバス温度が107℃に達した時点とし、反応液温度をテフロ被覆熱電対で反応開始時から反応終了時まで1時間毎に測定しその平均値を反応温度とした。8時間の反応時間の後、加熱・攪拌を停止し、フラスコをオイルバスから取り出し室温付近まで放冷し、4−メチル−2−ペンタノン層を100ml三角フラスコに移した。水溶液層を10mlの4−メチル−2−ペンタノンで3回洗浄してこれらの洗浄液を前記フラスコ中に回収した。回収された4−メチル−2−ペンタノン溶液に2.0mlのテトラエチレングリコールジメチルエーテル(GC分析用内部標準物質)と1gの水酸化カルシウム(残存する酸の除去用)を加え混合した後、No.2Cの濾紙で濾過し、濾液をGC分析して生成した5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドの量を実施例1と同様に求めた。結果を表5に示す。
[実施例27]
糖原料として0.901gのD(−)フルクトース(5.0mmol)、水溶液層として3.42gの脱塩水(189.8mmol)、7.206gの85%リン酸(H3PO4として62.5mmol、H2Oとして60.0mmol)、及び8.506gのリン酸二水素カリウム(62.5mmol)の混合物(カリウムとリン酸との塩を含む水溶液の組成として、K0.52.5PO4 125mmol、H2O 249.8mmol)を用い、反応時間を4.0時間とした以外は、実施例26と同様に反応を行った。結果を表5に示す。
[実施例28]
糖原料として1.501gのD(+)キシロース(10.0mmol)を用い、反応時間を3.0時間とした以外は、実施例1と同様に反応を実施した。
反応後、2−ブタノール層を100ml三角フラスコに移した後、水溶液層を10mlの2−ブタノールで3回洗浄してこれらの洗浄液を前記フラスコ中に回収した。回収された2−ブタノール溶液に1.0mlのジエチレングリコールジエチルエーテル(GC分析用内部標準物質)と1gの水酸化カルシウム(残存する酸の除去用)を加え混合した後、No.2Cの濾紙で濾過し、濾液をGC分析して生成した2−フルアルデヒド(FAL)量を求めた。結果を表6に示す。
[比較例5]
15.0mlの室温飽和塩化ナトリウム水溶液と0.391gの35%塩酸の混合液を水溶液層とし、予め室温飽和塩化ナトリウム水溶液と接触させておいた50.0mlの2−ブタノールを有機溶媒層として用いた以外は、実施例28と同様に反応を行った。結果を表6に示す。
[実施例29]
<Run1>
糖原料として0.901gのD(+)グルコース(5.0mmol)を用いた以外は、実施例1と同様に反応、分析を行った。
<Run2>
Run1で回収されたカリウムとリン酸との塩を含む水溶液の重量を測定し、これにRun1の水溶液層の仕込み重量(25.46g)と同じになるように脱塩水を添加した。これに、糖原料として0.901gのD(+)グルコース(5.0mmol)、有機溶媒として50.0mlの2−ブタノールを加え、Run1と同様に反応、分析を行った。
<Run3>
Run2で回収されたカリウムとリン酸との塩を含む水溶液を用いた以外は、Run2と同様に実施した。
<Run4>
Run3で回収されたカリウムとリン酸との塩を含む水溶液を用いた以外は、Run2と同様に実施した。
上記Run1〜Run4の結果を表7に示す。
Figure 0005779888
Figure 0005779888
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Figure 0005779888
Figure 0005779888
Figure 0005779888
Figure 0005779888
以上の結果より、本発明によれば、ヘキソース及び/又はペントースを含む糖原料から、腐食性の高い触媒を用いることなく、高価な反応媒体を用いることなく、エネルギー消費量を低減した上で、2−フルアルデヒド化合物を効率的に製造することができることが分かる。

Claims (7)

  1. 水溶液層と有機溶媒層の二層からなる反応系で、ヘキソース及び/又はペントースを、酸触媒の存在下で反応させる2−フルアルデヒド化合物の製造方法において、該水溶液層を構成する水溶液が下記一般式(1)で表されるアルカリ金属とリン酸との塩を含むことを特徴とする2−フルアルデヒド化合物の製造方法。
    (3−a)PO ・・・(1)
    [式中、Mはアルカリ金属を示し、aは0.2以上0.95以下である]
  2. 前記ヘキソース及び/又はペントースが、アルドースであることを特徴とする請求項1に記載の2−フルアルデヒド化合物の製造方法。
  3. 前記アルドースが、グルコース及び/又はキシロースであることを特徴とする請求項2に記載の2−フルアルデヒド化合物の製造方法。
  4. 前記アルカリ金属が、カリウムであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の2−フルアルデヒド化合物の製造方法。
  5. 前記反応系で、ヘキソースを、酸触媒の存在下で反応させて5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドを製造する方法であって、前記水溶液層に対する有機溶媒層の容量比が0.1以上50以下であり、且つ、水溶液層を構成する水溶液の水/リン酸イオンのモル比が30以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の2−フルアルデヒド化合物の製造方法。
  6. 前記反応系で、ペントースを、酸触媒の存在下で反応させて2−フルアルデヒドを製造することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の2−フルアルデヒド化合物の製造方法。
  7. 前記有機溶媒層を構成する有機溶媒が、アルコール、エーテル、ケトン、及びカルボン酸よりなる群から選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の2−フルアルデヒド化合物の製造方法。
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