JP6728655B2 - 2−フルアルデヒドの製造方法及び2−フルアルデヒド製造用組成物 - Google Patents

2−フルアルデヒドの製造方法及び2−フルアルデヒド製造用組成物 Download PDF

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Description

本発明は、糖類を原料として2−フルアルデヒドを製造する方法、及び、2−フルアルデヒド製造用組成物に関する。
2−フルアルデヒドは、フラン、テトラヒドロフラン、フラン樹脂等の製造原料に用いることができる有用な化合物である。2−フルアルデヒドは、通常、石油由来の原料からは製造されず、植物由来の糖類を原料として製造されるため、石油原料由来の化学品ではなく、植物原料由来の化学品に分類される。
2−フルアルデヒドを製造する方法としては、ペントサンやペントースといった五炭糖類を含む原料を酸触媒の存在下に反応させ、五炭糖類を脱水することにより得る方法が古くから知られている(非特許文献1、2)。五炭糖類は、農産廃棄物であるサトウキビの搾りかす(バガス)、トウモロコシの芯、木材といったものが含有するヘミセルロース等に含まれている。しかし、これら五炭糖類を含む代表的な原料である上記の農産廃棄物は、原料集積に限りがある。さらに上記代表的な原料中に含まれるヘミセルロースの含有量がそれほど多くない。例えば木材中のヘミセルロースの含有量は、多くても25%程度である。このため五炭糖から2−フルアルデヒドを得る方法では、使用する原料あたりの2−フルアルデヒドの収量が少ないという問題がある。そのため2−フルアルデヒドを、植物中により豊富に存在する構成成分から得る方法が望まれている。
そこで木材の主成分であり、天然繊維として豊富に自然界に存在するセルロースが注目されている。セルロースは六炭糖であるグルコースを主成分とする直鎖状のポリマーである。しかしセルロースは高い結晶性を有するため、セルロースを構成する六炭糖に加水分解することが困難である。さらにセルロースを加水分解して得られる六炭糖は、前記五炭糖から2−フルアルデヒドを得る方法と同様の方法で酸触媒の存在下反応させ、脱水させた場合には、2−フルアルデヒドには転化せず、5−ヒドロキシメチル−2−フルアルデヒドに転化することが知られている。(例えば特許文献1、非特許文献3)
一方、六炭糖類を含む原料から、2−フルアルデヒドを製造する方法も提案されている。木材の主成分であるセルロースは、六炭糖類(ヘキソース)であるグルコースを構成単位としている。特許文献2や非特許文献4には、セルロースを、非プロトン性極性溶媒中で、酸又は塩基の存在下に加熱することにより2−フルアルデヒドを得る方法が提案されている。また、特許文献3では、セルロースを、非プロトン性極性溶媒中で、固体酸触媒の存在下に加熱することにより2−フルアルデヒドを得る方法が提案されている。
特開平10−265468号公報 特開2002−205970号公報 国際公開第2012/102347号パンフレット
Journal of Scientific and Industrial Research,Vol.41(1982),P.431−438. Chemical Innovation,April(2000),P.29−32. Chem. Rev. 2007, 107, P.2411. Journal of Wood Science,53(2007),P.127−133.
上記特許文献2には、無機酸として、硫酸、リン酸、ポリリン酸、WやMo、V等との複合リン酸、ホウ酸等が、また塩基として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸カルシウム等が挙げられているが、具体的に開示されている2−フルアルデヒドの生成反応は、非プロトン性溶媒と硫酸の共存した反応液中に、原料であるセルロースを一括して仕込んで2−フルアルデヒドを製造するバッチ式反応である。これに対して、先に、発明者等は、原料、非プロトン性溶媒、硫酸、水を連続的に供給して反応を行う連続式反応として行ったところ、生成する2−フルアルデヒドの収率が低収率となることを見出した(本願の比較例2参照)。また、この収率は触媒量を増加しても改善されなかった(本願の比較例3参照)。この連続式反応における収率の低さは、連続式反応がバッチ式反応にくらべて工業的に有利であることから、工業的に2−フルアルデヒドを製造する際には問題となる。
これに対して、本発明者等は、先に、固体酸触媒を用いて連続式反応する特許文献3の方法を提案した。該方法は連続式反応である利点を有するものの、予め固体酸触媒を調製する必要があり、また、目的物の収率の点でも、更なる改善が望まれる。
そこで、本発明は、連続式反応においても収率の高い、工業的に有利な2−フルアルデヒドの製造方法の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、触媒として特定のホウ素化合物を用い、更に、ある種の酸及び/又は金属化合物を用いることにより、驚くべきことに、それらを単独で触媒として用いる場合に比べて高い触媒性能が得られ、ヘキソースを構成成分とする糖原料から2−フルアルデヒドが収率よく得られることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は、以下に存する。
[1] ヘキソースを構成成分とする糖原料、触媒、及び溶媒を混合して反応させて2−フルアルデヒドを製造する方法であって、前記触媒が、ホウ素化合物であり、更に(a)無機酸(但し、ホウ酸を除く)及び有機酸からなる群より選ばれる1以上の酸、及び/又は、(b)金属化合物を混合して反応させることを特徴とする2−フルアルデヒドの製造方法。
[2] ホウ素化合物が、ホウ酸、酸化ホウ素、ホウ酸エステル、及びハロゲン化ホウ素からなる群より選ばれる1以上であることを特徴とする、[1]に記載の2−フルアルデヒド
の製造方法。
[3] 無機酸(但し、ホウ酸を除く)が、硫酸又はリン酸であり、有機酸がカルボン酸である[1]又は[2]に記載の2−フルアルデヒドの製造方法。
[4] 前記糖原料、触媒、及び溶媒に、更に(a)無機酸(但し、ホウ酸を除く)及び有機酸からなる群より選ばれる1以上の酸、及び、(2)金属化合物を混合して反応させることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載の2−フルアルデヒドの製造方法。
[5] 前記金属化合物が、該金属化合物を加水分解した際に生成する水酸化物が両性となる化合物であることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載の2−フルアルデヒドの製造方法。
[6] 前記金属化合物が、Al、Ga、In、Sn、Ti、Zr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Pb、Bi及びZnからなる群から選ばれる金属を含むものであることを特徴
とする、[1]〜[5]のいずれかに記載の2−フルアルデヒドの製造方法。
[7] 前記金属化合物が、金属アルコキシド、金属有機酸塩、金属ハロゲン化物及び金属硫酸塩からなる群より選ばれることを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかに記載の2−フルアルデヒドの製造方法。
[8] 前記溶媒が、非プロトン性極性溶媒であることを特徴とする、[1]〜[7]のいずれかに記載の2−フルアルデヒドの製造方法。
[9] 前記溶媒が、2−フルアルデヒドよりも沸点が高い溶媒であることを特徴とする、[1]〜[8]のいずれかに記載の2−フルアルデヒドの製造方法。
[10] 前記反応で生成する2−フルアルデヒドを、反応系外に排出しながら反応させることを特徴とする、[1]〜[9]のいずれかに記載の2−フルアルデヒドの製造方法。
[11] 反応温度が、2−フルアルデヒドの沸点以上かつ前記溶媒の沸点以下であることを特徴とする、[1]〜[10]のいずれかに記載の2−フルアルデヒドの製造方法。
[12] 前記糖原料、触媒、及び溶媒に、更に水を混合して反応させることを特徴とする[1]〜[11]のいずれかに記載の2−フルアルデヒドの製造方法。
[13] 前記糖原料が、セルロース、でんぷん及びヘキソースからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする、[1]〜[12]のいずれかに記載の2−フルア
ルデヒドの製造方法。
[14] 前記触媒を水に溶解させて供給することを特徴とする、[1]〜[13]のいずれかに記載の2−フルアルデヒドの製造方法。
[15] 前記触媒がホウ酸であることを特徴とする、[1]〜[14]のいずれかに記載の2−フルアルデヒドの製造方法。
[16] (1)ヘキソースを構成成分とする糖原料、(2)無機酸(但し、ホウ酸を除く)及び有機酸からなる群より選ばれる1以上の酸、及び/又は、金属化合物、並びに(3)溶媒を含むことを特徴とする2−フルアルデヒド製造用組成物。
[17] 前記溶媒が、非プロトン性極性溶媒であることを特徴とする、[16]に記載の2−フルアルデヒド製造用組成物。
本発明によれば、ヘキソースを構成成分として含むセルロース等を糖原料として2−フルアルデヒドを製造する際に、予め固体酸触媒を調製することなく、最終的な目的とする2−フルアルデヒドを高収率で製造することが可能であり、工業的に有利な2−フルアルデヒドの製造方法を提供することができる。
以下、本発明につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
なお本明細書において、本発明の製造方法に係る「少なくとも糖原料、溶媒、ホウ素化合物、並びに、(a)無機酸(但し、ホウ酸を除く)及び有機酸からなる群より選ばれる1以上の酸、及び/又は、(b)金属化合物を混合」した液を「反応液」といい、ホウ素化合物が触媒として作用している反応液を「反応系」という。
[2-フルアルデヒドの製造方法]
本発明の2−フルアルデヒドの製造方法は、少なくとも、ヘキソースを構成成分とする糖原料、触媒、及び溶媒を混合して反応させるものであり、前記触媒が、ホウ素化合物であり、反応系に(a)無機酸(但し、ホウ酸を除く)及び有機酸からなる群より選ばれる1以上の酸、及び/又は、(b)金属化合物を混合して反応させることを特徴とする。
<ヘキソースを構成成分とする糖原料>
本発明において用いられる、ヘキソースを構成成分とする糖原料とは、糖を構成する炭素数が6個であるヘキソース(六炭糖類)をその構成成分として含むものをいう。
構成成分としてのヘキソースの含まれ方は特に限定されるものではないが、糖類の分子中にヘキソースを含むものでも、混合物中にヘキソースを含むものでもよく、またヘキソースを含む糖類(たとえば後述するセルロース等の多糖類)の原料となり得る天然物等も含まれる。
構成成分として含まれるヘキソースとしては、特に限定されるものではなく、アルドース、ケトース、デオキシ糖のいずれでもよい。
具体的にはアロース、タロース、グロース、グルコース(ブドウ糖)、アルトロース、マンノース、ガラクトース、イドース等のアルドース;プシコース、フルクトース(果糖)、ソルボース、タガトース等のケトース;フコース, フクロース, ラムノース等のデオキシ糖;等が挙げられる。好ましくは、以下に記載する糖原料中の含有量が多いことから、グルコース、フルクトースが好ましく、非可食原料由来での入手が可能であることから、グルコースがより好ましい。また、本発明で用いられる糖原料は、上記のヘキソースを1種類でも、2種類以上含むものでもよい。
本発明のヘキソースを構成成分に含む糖原料として、ヘキソースを含有するものが挙げられる。具体的には、ヘキソースを構成成分に含む糖類であって、前記ヘキソースの単糖;スクロース(ショ糖)、ラクトース(乳糖)、トレハロース、イソトレハロース、ツラノース、セロビオース、コージビオース、ソホロース、ニゲロース、ラミナリビオース、マルトース(麦芽糖)、イソマルトース、ゲンチオビオース等のヘキソースを含む二糖類;ラフィノース、パノース、マルトトリオース、メレジトース、ゲンチアノース、スタキオース、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、マンナンオリゴ糖等のヘキソースを含むオリゴ糖;セルロース、でんぷん、デキストリン等のヘキソースを含む多糖類等が挙げられる。
本発明におけるヘキソースを構成成分に含む糖原料としては、上記のヘキソースを含有するものの他に、これら糖類の原料となるもの、例えば天然物等も含まれる。
具体的な糖原料としては、木材や紙、木綿、稲わらや麦わら、トウモロコシの芯、サトウキビの搾りかす(バガス)等のセルロースを含有する原料;ジャガイモやサツマイモ等の芋類、米、麦、とうもろこし等のでんぷんを含有する原料;果汁、水あめ、蜂蜜等の複数の糖類を含有する果汁糖蜜類;等が挙げられる。上記の原料は、単独で用いても2種類
以上を組み合わせて使用してもよい。
また、木材等のペントースとヘキソースを構成成分に含む原料から先に五炭糖(ペントース)成分を抽出利用した残渣を本発明の原料として用いることもできる。ペーパースラッジ等の灰分や共存成分を多く含む廃棄物を原料として用いることも有効である。一方で、原料の種類や様態によっては、触媒の構成成分や反応条件を最適化することにより、原料に含まれるペントースとヘキソース両方から同時にフルフラールを得ることも可能である。
これらのうち、セルロースは樹木や草の主要構成成分として多量に存在しており、またでんぷんやショ糖と異なり非可食資源であることから、糖原料としてはセルロースを含有するものが好ましい。また、でんぷんを含有するものは、純度の高いものが容易に入手できるため好ましく用いられる。
<触媒>
触媒として用いられるホウ素化合物は、水溶性あるいは水により加水分解してホウ酸を
生成するものが好ましい。その理由は、触媒と他の成分(ヘキソースを構成成分とする糖原料や任意に含まれる酸、金属化合物、又は水)との反応により、反応器内での触媒の分散性や均一性、およびヘキソースを構成成分とする糖原料との親和性が高まり、ひいては高い触媒効率が得られるからである。例えば、ホウ酸と無水カルボン酸の反応で生成する酸無水物もホウ素化合物として使用できる。なお、ここでいう水溶性とは25℃で100ccの水に1g以上溶解するものをいう。
本発明において触媒として用いられるホウ素化合物としては、具体的には、ホウ酸、酸化ホウ素、ホウ酸エステル、及びハロゲン化ホウ素、ボロン酸、ボリン酸やそれらのエステル等が挙げられるが、中でもホウ酸、酸化ホウ素、ホウ酸エステル、及びハロゲン化ホウ素からなる群より選ばれる1以上であるのが好ましい
ホウ酸エステル(ホウ酸アルキル、ホウ素アルコキシドとも呼ばれる)としては、ホウ酸モノメチル、ホウ酸ジメチル、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリブチル等の、ホウ酸と炭素数1〜4のアルキル基とのモノ、ジ、トリエステルが挙げられる。
ハロゲン化ホウ素としては、三塩化ホウ素、三フッ化ホウ素、三臭化ホウ素等が挙げられる。
これらの中でも、ホウ酸、酸化ホウ素、ホウ酸エステルが好ましく、安価で取り扱いも容易である点で、ホウ酸が更に好ましい。ホウ素化合物は2種以上組み合わせて使用してもよいし、三フッ化ホウ素とエーテルとの錯体のように複合体として用いることも可能である。
ホウ素化合物は、上記のとおり、化合物との反応や加水分解により適度に分散した触媒活性種を創出するとともに、反応系を2−フルアルデヒドの製造に適した酸性度に調整する役割をもっている。また、一部は、ヘキソースを構成成分とする糖原料や反応中間体と作用、反応し、それらのホウ酸エステルを形成することにより、2−フルアルデヒドへ到る反応の進行を有利にすると考えられる。
尚、本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、上記ホウ素化合物以外の触媒を併用してもよい。
<溶媒>
本発明において用いられる溶媒は、本発明の目的を満たす限りにおいては特に限定されるものではないが、通常、後述する反応により、主成する2−フルアルデヒドを反応系外に排出しながら、好ましくは気相で排出しながら反応させることができる溶媒が好ましく、中でも、反応温度において安定して溶媒として機能する点から、2−フルアルデヒドの沸点以上の沸点を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒は、具体的には、非プロトン性極性溶媒、1−エチル−3メチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3メチルイミダゾリウムメチルフォスフォネート等のイオン液体や溶融塩、超臨界二酸化炭素等から選択される。
これらの溶媒の中でも、非プロトン性極性溶媒が、原料や生成物である2−フルアルデヒドとの反応性に乏しく、本発明の反応に使用する前述のホウ素化合物に対して安定であることから特に好ましい。本発明の目的を達成しうるものであれば、非プロトン性極性溶媒の種類は特に限定されるものではないが、好ましくは反応温度において安定して溶媒として機能する点で、2−フルアルデヒドより高沸点、より具体的には、沸点が、2−フルアルデヒドの沸点より20℃以上高い非プロトン性極性溶媒が用いられる。
具体的にはジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルフォキシド、ヘキサメチルフォスフォリックトリアミド、ジメチルスルフォン、スルフォラン(テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド)、フタリド(1,3−ジヒドロイソベン
ゾフラン−1−オン)等が例示され、2−フルアルデヒドの収率の面でジメチルスルフォン、スルフォラン、フタリドが好ましい。
上記溶媒は単独で用いても、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明において用いる溶媒の使用量は、本発明の目的を満たす限りにおいては特に限定されるものではない。具体的には、反応原料が熱分解して得られるレボグルコサン等の中間体を溶解するのに十分かつ2−フルアルデヒドに変換されることが阻害されない量があればよい。
溶媒の具体的な使用量は、通常、ヘキソースを構成成分とする糖原料1質量部に対し1〜1000質量部である。
<酸>
本発明の製造方法においては、上述のように、ホウ素化合物を触媒として用いるが、更に、反応系に(a)無機酸(但し、ホウ酸を除く)及び有機酸からなる群より選ばれる1以上の酸(以下、無機酸(但し、ホウ酸を除く)及び有機酸を合わせてホウ酸以外の酸と略することがある)、及び/又は、(b)金属化合物を混合して反応させる。ホウ酸以外の酸は、酸性やホウ素化合物の反応性の調整のために、反応系に、別途、添加される。添加する酸の種類は特に限定されないが、ハロゲン化水素、硫酸、リン酸、イソポリ酸、ヘテロポリ酸等の無機酸(但し、ホウ酸を除く)及び有機酸が挙げられる。好ましくは、硫酸、リン酸、ピロリン酸、有機酸であり、特に好ましくは、硫酸、リン酸及びカルボン酸、である。
好ましい有機酸としては、カルボン酸、スルフォン酸等が挙げられ、特に好ましくはカルボン酸である。カルボン酸の種類は特に限定されないが、高温の反応条件でも揮発しにくくかつ安定なカルボン酸が好ましく、具体的には沸点が120℃以上のカルボン酸である、コハク酸、フマル酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、レブリン酸、グルコン酸、グルクロン酸、安息香酸、フタル酸、サリチル酸等があげられる。
通常、触媒成分として2種類以上を用いることは考えないが、本発明の方法では、ホウ
素化合物にホウ酸以外の酸を加えることによって2−フルアルデヒド収率を高めることができた。この酸の添加の効果は、触媒として主要な役割を担うホウ素化合物の加水分解の度合いや溶媒や水への溶解度を調整し、あるいは原料へのアクセスや原料との反応による不活性化を妨げ、結果として触媒活性を高めることにある。また、特に、とうもろこしの芯やバガスなどの草本系の農産廃棄物を直接原料に用いる場合に効果は顕著であり、酸の共用は、原料が含むアルカリなどのミネラル分が主要な触媒成分であるホウ素化合物の反応性を阻害することを回避する。
ホウ酸以外の酸は、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの酸の添加のタイミングは特に限定されないが、通常、ホウ素化合物の導入と同時に加えられるか、あらかじめホウ素化合物に混合して用いられる
加える酸の量は、特に限定されるものではないが、回分方式では、用いられるホウ素化合物の総量1質量部に対して、通常0.01質量部以上100質量部以下である。連続方式においては、1時間あたりに反応器に供給されるホウ素化合物の総量1質量部に対して、1時間あたり、通常0.01質量部以上100質量部以下、好ましくは0.02質量部以上50質量部以下、より好ましくは0.05質量部以上20質量部以下となるように、酸を連続供給する。上記範囲で供給する場合には、特に、収率が向上する傾向となる。但し、多すぎると反応使用後の分離も煩雑になる傾向にある。
<金属化合物>
上述の通り、本発明の製造方法においては、反応系に(a)ホウ酸以外の酸、及び/又は、(b)金属化合物を混合して反応させる。本発明でホウ素化合物とともに使用される
金属化合物は、通常、ホウ素化合物と相互作用して、2−フルアルデヒドの生成能を有する触媒活性種に変化する化合物である。かかる金属化合物としては、該金属化合物を加水分解した際に生成する水酸化物が両性となる化合物であるのが、2−フルアルデヒドを高収率で得る点で好ましい。ここで、両性となるとは、酸に対しては塩基性、塩基に対しては酸性を示すことを意味し、具体的には、Al、Ga、In、Sn、Ti、Zr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Pb、Bi及びZnからなる群から選ばれる金属の化合物が挙げられる。
これらの金属を含む化合物とホウ素化合物から得られる触媒活性種は、これらの金属を含む化合物の加水分解やホウ素化合物との反応により適度に分散し、固体酸触媒ほどには凝集しないため、原料となるヘキソースを構成成分として含む糖原料と接触するにあたり、酸性触媒として固体酸触媒より有効性が高い形態を保持できる。
特に、原料となるヘキソースを構成成分として含む糖原料がセルロースやバイオマスなどの固体の場合はその有効性はさらに顕著である。固体酸触媒はたとえ高表面積を有する固体酸触媒であっても、固体の糖原料との接触部分は極めて少ないのに対し、これらの金属を含む化合物やこれらの金属を含む化合物とホウ素化合物から得られる触媒活性種は親水性が高く、固体の糖原料と混合した段階で水や溶媒の媒介により固体の糖原料の内部までアクセスし、固体内部の糖ユニットにも有効に作用することが可能となる。その結果、固体酸触媒を用いる場合よりも少量で高い2−フルアルデヒド収率が得られると考えられる。さらには、これらの金属を含む化合物とホウ素化合物から得られる触媒活性種は、硫酸ほどには脱水炭化力がないため、収率の低下を招くことなく、2−フルアルデヒドの生成に適していると考えられる。
上記金属化合物の中で、Al、Sn、Ti、Zr、Fe、Co、Znからなる群から選ばれる元素を含む金属化合物が2−フルアルデヒドの収率の点で好適に用いられる。Al、Fe、Znから選ばれる元素を含む金属化合物がさらに好ましい。
尚、上記金属化合物は、単独で用いても、2種以上を用いてもよい。
また、上記金属化合物の中でも、2−フルアルデヒドの収率が良好であることにより、好ましいものは、金属アルコキシド、金属有機酸塩、及び金属ハロゲン化物及び金属硫酸塩等が挙げられる。
Alを例に具体的化合物を例示すると、金属アルコキシドとしては、アルミニウムイソプロポキシド等、金属有機酸塩、としては、安息香酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、セバシン酸アルミニウム等、金属ハロゲン化物としては、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等が、更に硫酸アルミニウムや硝酸アルミニウムが挙げられる。他の金属化合物としては、上記例示のAlを他の金属に置き換えた化合物等が挙げられる。
金属化合物は2種を組み合わせて使用してもよい。
これらの金属化合物の添加のタイミングは特に限定されないが、通常、ホウ素化合物の導入と同時に加えられるか、あらかじめホウ素化合物に混合して用いられる。
加える金属化合物の量は、特に限定されるものではないが、回分方式では、用いられるホウ素化合物の総量1質量部に対して、通常0.01質量部以上100質量部以下である。
連続方式においては、1時間あたりに反応器に供給されるホウ素化合物の総量1質量部に対して、1時間あたり、通常0.01質量部以上100質量部以下、好ましくは0.02質量部以上50質量部以下、より好ましくは0.05質量部以上20質量部以下となるように、金属化合物を連続供給する。上記範囲で供給する場合には、特に、収率が向上する傾向となる。但し、多すぎると反応使用後の分離も煩雑になる傾向にある。
<水>
本発明の製造方法においては、2−フルアルデヒド生成反応を進行させるために、反応系内に水を存在させることが好ましい。水の役割は原料の膨張や水和を促すとともに、2−フルアルデヒドに至る中間体への反応を促進し、生成した2−フルアルデヒドを反応系外に留出させるための役割をも担っている。従って、本発明の2−フルアルデヒドの製造方法では、好ましくは、反応系に水を供給する。特に、溶媒として非プロトン性極性溶媒を用いる場合、水を併用するのが上記の理由から好ましい。
水の供給方法は、特に限定されるものではなく、反応方式によって異なるが、液体で供給する方法、または気化させて水蒸気として供給する方法等が挙げられる。またヘキソースを構成成分として含む糖原料と必要量の水をあらかじめ混合して仕込んでも良く、また反応に悪影響を与えない物質と水とを混合して仕込んでも良い。水を反応系に連続的又は間欠的に供給しながら反応させてもよい。
水を供給する場合の供給量は、特に限定されるものではないが、通常、回分方式では反応器から水と共に留去される2−フルアルデヒドの総量1質量部に対して、0.1質量部以上、連続方式においては、通常、1時間あたりに反応器から水と共に留去される2−フルアルデヒド1質量部に対して、1時間あたり0.1質量部以上となるように連続供給する。上記範囲で供給する場合には、特に、収率が向上する傾向となる。但し、多すぎるとエネルギーの消費が多くなり、生成した2−フルアルデヒドとの分離も煩雑になる傾向にあるため、水の供給量の上限は、回分方式では反応器から水と共に留去される2−フルアルデヒドの総量1質量部に対して、通常100質量部以下程度、連続方式においては、通常、1時間あたりに反応器から水と共に留去される2−フルアルデヒド1質量部に対して、通常1時間あたり100質量部以下程度が好ましい。
本発明の製造方法においては、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の他の成分を混合して反応させてもよい。
<反応>
本発明の2−フルアルデヒドの製造方法では、ヘキソースを構成成分として含む糖原料、触媒、及び溶媒を反応させるが、前記触媒が、ホウ素化合物であり、更に反応系に(a)ホウ酸以外の酸及び/又は(b)金属化合物を混合して反応させることを特徴とし、更に好ましくは水を混合して反応させる。通常、反応は加熱により行われ、混合の方法、順序、及び加熱の方法は特に限定されない。例えば、(1)予め反応温度に設定した反応器に上記の糖原料、ホウ素化合物、溶媒、(a)ホウ酸以外の酸及び/又は(b)金属化合物、水を別々に導入し、反応器内で混合する方法、(2)あらかじめ、糖原料、ホウ素化合物、溶媒、(a)ホウ酸以外の酸及び/又は(b)金属化合物、水を混合して反応器に供給する方法、(3)糖原料、ホウ素化合物、(a)ホウ酸以外の酸及び/又は(b)金属化合物を混合した後に、反応器内に装填した溶媒及び水に導入、混合する方法、あるいは、(4)あらかじめ水とホウ素化合物とを混合し、好ましくはホウ素化合物を水に溶解させ、その後、糖原料や溶媒、(a)ホウ酸以外の酸及び/又は(b)金属化合物を添加、混合する方法、等が挙げられる。これらの混合物は、適度に分散、反応した化合物が原料や溶媒と混ざった、いわゆるスラリー状となることが多く、2−フルアルデヒドの製造に好適な状態が得られる。
尚、従来の固体酸触媒を用いる場合は、2−フルアルデヒドの製造に適した触媒を調製・製造する必要があり、触媒の調製や製造は、触媒原料の混合撹拌や、沈殿ろ過、蒸発乾燥、焼成などの工程を経るため、多くの場合、煩雑で費用も増してしまう。これに対して、本発明の方法では、ホウ素化合物、(a)ホウ酸以外の無機酸及び/又は金属化合物とヘキソースを構成成分として含む糖原料と接触させることにより、触媒、あるいはその前駆体が系内で生成し、実際の反応条件で触媒として作用するため、触媒の調製・製造工程
は実質的に必要なく、きわめて簡便に反応を行うことができるとの利点を有する。
<反応条件>
本発明の2−フルアルデヒドの製造方法では、反応温度は、特に限定されるものではないが、液相で反応を行い、後述するように、生成する2−フルアルデヒドを反応系外に排出しながら、好ましくは気相で出しながら反応させるのが、2−フルアルデヒドを高収率で得る点から好ましく、この場合には、2−フルアルデヒドの沸点以上かつ溶媒の沸点以下の温度で反応することが好ましい。具体的な反応温度は、例えば140℃以上、好ましくは150℃以上、より好ましくは160℃以上、更に好ましくは170℃以上、特に好ましくは180℃以上、最も好ましくは200°以上であり、通常300℃以下、好ましくは280℃以下、さらに好ましくは260℃以下、特に好ましくは250℃以下である。反応温度が低すぎると、反応収率が不十分となる場合があり、また、反応速度が遅くなる傾向がある。また、2−フルアルデヒドの沸点より低い反応温度では、生成する2−フルアルデヒドが溶媒中や反応系に長く滞留し、重合や過分解を起こす可能性がある。一方、反応温度が高すぎる場合には、糖原料や中間体の副反応が顕著となる可能性があり、また、例えば溶媒の沸点以上の反応温度では溶媒が十分に機能しない恐れがある。
本発明の2−フルアルデヒドの製造方法における反応圧力は、特に限定されるものではない。反応系が液相に保持され、生成する2−フルアルデヒドを水と共に反応系外に留出可能な範囲であれば任意の反応圧力に調整可能である。
また本発明で用いられる反応は、適宜窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素等の、反応に悪影響を与えない物質を共存させて実施することができる。
<反応方式>
本発明の2−フルアルデヒドの製造方法の反応方式は、回分式反応でも連続式反応でも行うことができる。
回分式反応の場合には、具体的には反応器に、上記ヘキソースを構成成分とする糖原料、(a)ホウ酸以外の酸及び/又は(b)金属化合物、溶媒、ホウ素化合物を仕込み、加熱攪拌下に、好ましくは水を供給しながら反応させ、生成する2−フルアルデヒドを反応器から、好ましくは気相に抜き出して、より好ましくは水と共に反応器から留去させることができる。この場合、糖原料やホウ素化合物、(a)ホウ酸以外の酸及び/又は(b)金属化合物を一括で仕込まず、数回に分けて反応器に供給、あるいは連続的に反応器に供給し、連続方式と同様の原料供給方法を採用しても良い。
固体の糖原料を反応に供する場合、その形状は特に限定されないが、好ましくは数cm以下の小片状や紛体状が好適に用いられる。あらかじめ反応に供する前に反応器内や外で粉砕したり圧壊したりする処理を行ってもかまわない。
回分式反応の場合の反応時間は、原料の種類、触媒の使用量、反応温度および生成する2−フルアルデヒドの所望の収率などにより異なり、特に限定されるものではないが、通常0.1時間以上、好ましくは0.5時間以上であり、通常、50時間以下、好ましくは20時間以下である。
連続式反応の場合には、具体的には反応器一端から、上記ヘキソースを構成成分とする糖原料、溶媒、ホウ素化合物、(a)ホウ酸以外の酸及び/又は(b)金属化合物、好ましくは水を連続的に供給し、生成する2−フルアルデヒドを反応系から排出して、好ましくは気相に排出して、より好ましくは水と共に反応器から連続的に留去させつつ、反応器の他端から残りの反応混合物を連続的に抜き出す方法を用いることができる。
連続式反応においては、反応器内での滞留時間は特に限定されるものではないが、通常0.1時間以上、好ましくは0.5時間以上であり、通常、50時間以下、好ましくは2
0時間以下である。
ヘキソースを構成成分とする糖原料、ホウ素化合物、溶媒の使用量は、反応器に、ヘキソースを構成成分とする糖原料、溶媒、ホウ素化合物を仕込んで反応させる回分方式の場合、通常、ヘキソースを構成成分とする糖原料1質量部に対し、ホウ素化合物が0.0001〜100質量部、好ましくは0.001〜50質量部、溶媒が1〜1000質量部、好ましくは10〜500質量部である。この回分方式において、ヘキソースを構成成分とする糖原料を一括で仕込まず、数回に分けて反応器に供給、あるいは連続的に反応器に供給する場合には、通常、一度の反応で使用する出発原料の総量1質量部に対し、ホウ素化合物が0.0001〜100質量部、溶媒が1〜1000質量部である。尚、(a)ホウ酸以外の酸及び/又は(b)金属化合物の使用量は前述のとおりである。
反応器一端から、ヘキソースを構成成分とする糖原料、溶媒、ホウ素化合物、水を連続的に供給し、生成する2−フルアルデヒドを反応系外に排出し、反応器の他端から残りの反応混合物を連続的に抜き出す連続方式の場合、ヘキソースを構成成分とする糖原料、ホウ素化合物、溶媒の使用量は、通常、ヘキソースを構成成分とする糖原料1質量部に対し、ホウ素化合物が0.00001〜100質量部、好ましくは0.0001〜50質量部、溶媒が1〜1000質量部、好ましくは10〜500質量部である。水の供給量は、回分方式においては、通常、反応器から水と共に留去される2−フルアルデヒドの総量1質量部に対して、0.1質量部以上、連続方式においては、通常、1時間あたりに反応器から水と共に留去される2−フルアルデヒド1質量部に対して、1時間あたり0.1質量部以上となるように連続供給する。尚、(a)ホウ酸以外の酸及び/又は(b)金属化合物の使用量は前述のとおりである。
連続式反応におけるヘキソースを構成成分とする糖原料の供給形態に特に制限はないが、好ましくは溶媒、特に、水や非プロトン性極性溶媒を用いた溶液あるいはペーストやスラリー状態で供給するのが好ましい。また、連続式反応においては、ホウ素化合物、(a)ホウ酸以外の酸及び/又は(b)金属化合物、ヘキソースを構成成分とする糖原料、溶媒のうち少なくとも1種類を分割して反応器に供給する方法や段階的に供給する方法、別口や別ノズルから反応器に供給する方法が好適に用いられる。反応器に供給する前にホウ素化合物、(a)ホウ酸以外の酸及び/又は(b)金属化合物、ヘキソースを構成成分とする糖原料、溶媒をあらかじめ均一に混合するなどの処理を施してもかまわない。
尚、生成する2−フルアルデヒドを反応系外に排出する場合には、上記いずれの場合においても、反応系の溶媒に対して、2−フルアルデヒドの含有量が10質量%以下となるように反応系外に2−フルアルデヒドを出すことが好ましい。
<2−フルアルデヒドの分離・回収>
本発明により生成する2−フルアルデヒドの分離・回収は常法により行うことができる。
特に、本発明の好ましい反応条件においては、生成した2−フルアルデヒドがただちに気体になって反応系外に除去されるため、溶媒や反応系に残留する副生成物や金属化合物、ホウ素化合物との分離には労力を要しない。具体的には、反応器からの流出気体を冷却して高沸点成分から順次凝縮させることにより2−フルアルデヒドを分離・回収するか、冷却して一旦すべての液体成分を凝縮させて回収し、次いで蒸留により水および2−フルアルデヒドを分離・回収する。この方法により、反応器からの流出気体に含まれるギ酸、酢酸、ホルムアルデヒドなどの副生物も分離あるいは回収可能である。回収された水は反応系に戻して再使用することができる。
本発明により製造された2−フルアルデヒドを精製する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法により実施できる。具体的には、精密蒸留法が挙げられる。
本発明により製造された2−フルアルデヒドの保存方法は、特に制限されず、従来公知の方法を用いることができるが、例えば常温付近で密閉容器に保存する方法、遮光して不活性ガス雰囲気下に保存する方法等が挙げられる。
本発明の製造方法における、反応後の反応混合物中には、未反応のヘキソースを構成成分とする糖原料、水、溶媒、ホウ素化合物、(a)ホウ酸以外の酸及び/又は(b)金属化合物、副生成物等が含まれている。副生物の形態、種類は反応温度にも依存するが、例えば200℃以上の反応温度を選んだ場合は、副生物はほとんどが炭素、水素、酸素からなるチャー(重合固体)であり、分子状の副生物はごくわずかである。本発明では、反応後の反応混合物から揮発性物質を蒸留分離した残渣(重合固体が主成分)をろ過洗浄することによって、溶媒やホウ素化合物を再使用することが可能である。溶媒や洗浄に用いた水(反応で留去された水(反応器に供給される水や原料から生じた水)を使用可能)とともに、ホウ素化合物等を再びヘキソースを構成成分とする糖原料と混合して2−フルアルデヒドを製造することも好適に行われる。また、残渣に吸着したホウ素化合物は、残渣を燃焼させた後、酸化物として回収し、再使用することができる。
また溶媒は、反応後の反応混合物から揮発性物質を蒸留分離する際に、高沸点成分から順次凝縮させることにより分離・回収するか、冷却して一旦すべての揮発性物質を凝縮させて回収し、次いで蒸留により分離・回収する。上記の、本発明の好ましい反応条件において、生成した2−フルアルデヒドがただちに気体になって反応系外に除去される際に、反応器からの流出気体を冷却して高沸点成分から順次凝縮させることにより、溶媒を回収することも好適に行われる。回収された溶媒は反応系にリサイクルすることができる。
[2−フルアルデヒド製造用組成物]
上記の通り、本発明は、少なくとも該糖原料、ホウ素化合物、(a)ホウ酸以外の酸及び/又は(b)金属化合物、並びに溶媒を混合して反応させて2−フルアルデヒドを製造する方法であり、従って、上記成分を含む組成物、即ち、(1)ヘキソースを構成成分とする糖原料、(2)ホウ素化合物、、(3)無機酸(但し、ホウ酸を除く)及び有機酸からなる群より選ばれる1以上の酸、及び/又は、金属化合物、並びに(4)溶媒を含む組成物は、2−フルアルデヒド製造用組成物として有用なものである。本発明の2−フルアルデヒド製造用組成物は、水を含むことが好ましく、また、2−フルアルデヒドの製造に用いられる上記の成分を含んでいてもよい。
尚、各成分は、上記の説明に準じるものであり、単独で含まれても、2種以上が含まれていてもよい。
<2−フルアルデヒド>
本発明で得られた2−フルアルデヒドは、溶剤として使用することが可能である。また従来公知の方法により、フラン、テトラヒドロフラン、フラン樹脂等の製造原料としての用途に使用することが可能である。
具体的には、2−フルアルデヒドを触媒の存在下、水素添加反応を行うことでフラン樹脂の製造原料であるフルフリルアルコールを得ることができる。また、2−フルアルデヒドを触媒の存在下、脱カルボニル化反応に供することにより、フランを得ることができる。こうして得られたフランを触媒存在下、水素添加反応を行うことでテトラヒドロフランへと誘導することができる。
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
尚、以下の実施例中、使用した化合物等は、以下に記載のものを表す。
セルロース :アルドリッチ社製 Cellulose,microcrs
talline,powder,〜20micron
スルフォラン :キシダ化学社製 特級
ホウ酸 :キシダ化学社製 特級
硫酸水溶液 :純正化学社製 容量分析用規定液
85%りん酸 :和光純薬社製 特級
(比較例A)
<ホウ酸を用いたセルロースからの2−フルアルデヒドの製造>
テフロン(登録商標)攪拌子を入れた300mlのナス型フラスコに、14gのセルロース、126gのスルフォラン、56gの脱イオン水、0.320gのホウ酸を加えて5時間攪拌混合して原料スラリーを調製した。
テフロン(登録商標)攪拌子を入れた100ml四つ口フラスコに、テフロン(登録商標)被覆熱電対(反応液温測定用)、原料スラリー供給管、反応液量制御用サクション管、クライゼン型連結管およびリービッヒ冷却管(留出液冷却用)、50ml三角フラスコ(留出液の受器)をセットした。反応液量制御用サクション管は反応中に反応液量が34mlに保たれる長さに調製した。クライゼン型連結管部分はテープヒーターを巻き、その上からシリコンゴム製保温材で覆った。
コンデンサーに冷却水を流し、オイルバスを60℃、クライゼン型連結管保温用テープヒーターを120℃に予熱、原料スラリー供給管から同伴ガスとして40ml/minの供給速度で窒素を100mlフラスコ中に流通させ、反応液量制御用サクション管からの抜き出し速度を1.5ml/minに制御した。原料スラリーを35ml仕込んだ後、スターラーで400r.p.m.の攪拌速度で100mlフラスコ内を攪拌しながら原料スラリーをセルロースとして1.259g/hとなる供給速度で供給すると同時にオイルバスを25分で245℃に昇温、オイルバス温度が245℃に達し反応器内液温が安定した時点(約225℃)を反応開始時間とした。その後反応器内温を225℃±2℃となるよう保持し反応時間6.0時間の連続流通反応をおこなった。
30mlのTHFと0.5mlのトリエチレングリコールジメチルエーテル(GC分析用内部標準物資)の入った50ml三角フラスコを留出液受器として用い、反応時間5.0時間から6.0時間の留出液を分取し、回収した受器を振って良く攪拌した後、ガスクロマトグラフ分析(内分標準法)により2−フルアルデヒド(以後、FALを略号として用いる)の生成量を求めた。
2−フルアルデヒドの分析には、島津製作所製ガスクロマトグラフGC−2014(FID)を用いた。波形処理には島津製作所製クロマトパックC−R8Aを用いた。
GC分析条件
カラム:Thermon-3000 5%/SHINCARBON A 60/80 3
m(ガラス)
キャリアーガス:窒素(30ml/min)
カラム温度:95℃(0min)→230℃まで昇温(3℃/min)→230℃(0min)
INJ:200℃
DET:240℃
2−フルアルデヒド(FAL)収率は以下の式より求めた。
[FAL収率(mol%)]=[FAL生成モル数(ガスクロマトグラフ分析値)]/[
1時間に供給したヘキソースユニットのモル数×100]
なおヘキソースユニットのモル数はセルロースが100%ヘキソースの重合物((C6
H10O5)n、式量:(162.14)n)であると仮定して算出した。
結果を表−1に示す。
(比較例1)
<無触媒でのセルロースからの2−フルアルデヒドの製造>
比較例Aにおいて、ホウ酸を使用せずに原料スラリーを調製した以外は比較例Aと同様に実施した。結果を表−1に示す。
(実施例1)
<ホウ酸および硫酸を用いたセルロースからの2−フルアルデヒドの製造>
比較例Aにおいて、0.320gのホウ酸に加えて0.345mlの2.5mol/l硫酸水溶液(純正化学 容量分析用規定液)(硫酸として0.0847g)を用いて原料スラリーを調製した以外は比較例Aと同様に実施した。結果を表−1に示す。
(比較例2)
<硫酸を用いたセルロースからの2−フルアルデヒドの製造>
比較例Aにおいて、ホウ酸に代えて0.345mlの2.5mol/l硫酸水溶液(純正化学 容量分析用規定液)(硫酸として0.0847g)を用いて原料スラリーを調製した以外は比較例Aと同様に実施した。結果を表−1に示す。
(比較例3)
<硫酸を用いたセルロースからの2−フルアルデヒドの製造>
比較例Aにおいて、ホウ酸に代えて2.07mlの2.5mol/l硫酸水溶液(純正化学 容量分析用規定液)(硫酸として0.508g)を用いて原料スラリーを調製した以外は比較例Aと同様に実施した。結果を表−1に示す。
(実施例2)
<ホウ酸およびリン酸を用いたセルロースからの2−フルアルデヒドの製造>
比較例Aにおいて、0.320gのホウ酸に加えて0.0996gの85%リン酸を用いて原料スラリーを調製した以外は比較例Aと同様に実施した。結果を表−1に示す。
(比較例4)
<リン酸を用いたセルロースからの2−フルアルデヒドの製造>
比較例Aにおいて、ホウ酸に代えて0.0996gの85%リン酸を用いて原料スラリーを調製した以外は比較例Aと同様に実施した。結果を表−1に示す。
(実施例3)
<アルミニウムイソプロポキシド−ホウ酸を用いたセルロースからの2−フルアルデヒドの製造>
テフロン(登録商標)攪拌子を入れた300mlのナス型フラスコに、20gのセルロース、113gのスルフォラン、40gの脱イオン水、0.1gのホウ酸を加えて30分攪拌混合し、これに0.7gのアルミニウムイソプロポキシドを加えて5時間攪拌混合して原料スラリーを調製した。
テフロン(登録商標)攪拌子を入れた100ml四つ口フラスコに、テフロン(登録商標)被覆熱電対(反応液温測定用)、原料スラリー供給管、反応液量制御用サクション管、クライゼン型連結管およびリービッヒ冷却管(留出液冷却用)、50ml三角フラスコ(留出液の受器)をセットした。反応液量制御用サクション管は反応中に反応液量が40mlに保たれる長さに調製した。クライゼン型連結管部分はテープヒーターを巻き、その上からシリコンゴム製保温材で覆った。
コンデンサーに冷却水を流し、オイルバスを60℃、クライゼン型連結管保温用テープヒーターを120℃に予熱、原料スラリー供給管から同伴ガスとして40ml/minの供給速度で窒素を100mlフラスコ中に流通させ、反応液量制御用サクション管からの抜き出し速度を1.5ml/minに制御した。スターラーで400r.p.m.の攪拌速度で100mlフラスコ内を攪拌しながら、原料スラリーをスルフォランとして1.0g/minとなる供給速度で供給すると同時にオイルバスを40分で245℃に昇温、反応液量制御用サクション管から液が抜き出されるようになったら原料スラリー供給速度をセルロースとして2.0g/hとなるよう変更し、オイルバス温度が245℃に達し、反応器内液温が安定した時点(約225℃)を反応開始時間とした。その後反応器内温を225℃±2℃となるよう保持し反応時間4.5時間の連続流通反応をおこなった。
30mlのTHFと0.5mlのトリエチレングリコールジメチルエーテル(GC分析用内部標準物資)の入った50ml三角フラスコを留出液受器として用い、反応時間3.5時間から4.5時間の留出液を分取し、回収した受器を振って良く攪拌した後、ガスクロマトグラフ分析(内分標準法)により2−フルアルデヒド(以後、FALを略号として用いる)の生成量を求めた。結果を表−1に示す。
(比較例5)
<アルミニウムイソプロポキシドを用いたセルロースからの2−フルアルデヒドの製造>
比較例Aにおいて、ホウ酸を用いなかった以外は実施例3と同様に実施した。結果を表−1に示す。
(実施例4)
<酢酸亜鉛・2水和物−ホウ酸を用いたセルロースからの2−フルアルデヒドの製造>
ホウ酸の使用量を0.2gに変更し、アルミニウムイソプロポキシドに代えて0.2gの酢酸亜鉛・2水和物を用い、セルロース、スルフォラン、脱イオン水、ホウ酸及び酢酸亜鉛・2水和物を5時間攪拌混合した以外は実施例3と同様に実施した。結果を表−1に示す。
(比較例6)
<酢酸亜鉛・2水和物を用いたセルロースからの2−フルアルデヒドの製造>
ホウ酸を使用しなかった以外は実施例4と同様に実施した。結果を表−1に示す。
(実施例5)
<クエン酸第二鉄・n水和物−ホウ酸を用いたセルロースからの2−フルアルデヒドの製造>
ホウ酸の使用量を0.25gに変更し、アルミニウムイソプロポキシドに代えて0.6gのクエン酸第二鉄・n水和物を用い、セルロース、スルフォラン、脱イオン水、ホウ酸及びクエン酸第二鉄・n水和物を5時間攪拌混合した以外は実施例3と同様に実施した。結果を表−1に示す。
(比較例7)
<クエン酸第二鉄・n水和物を用いたセルロースからの2−フルアルデヒドの製造>
ホウ酸を使用しなかった以外は実施例5と同様に実施した。結果を表−1に示す。
(実施例6)
<塩化アルミニウム・6水和物−ホウ酸を用いたセルロースからの2−フルアルデヒドの製造>
ホウ酸の使用量を0.2gに変更し、アルミニウムイソプロポキシドに代えて0.2gの塩化アルミニウム・6水和物を用い、セルロース、スルフォラン、脱イオン水、ホウ酸及び塩化アルミニウム・6水和物を5時間攪拌混合した以外は実施例3と同様に実施した。結果を表−1に示す。
(比較例8)
<塩化アルミニウム・6水和物を用いたセルロースからの2−フルアルデヒドの製造>
ホウ酸を使用しなかった以外は実施例6と同様に実施した。結果を表−1に示す。
(比較例9)
<固体酸触媒(H-US-Yゼオライト)を用いたセルロースからの2−フルアルデヒドの製造>
ほう酸に代えて0.2gのH-US-Yゼオライトを用い、30分の撹拌混合を行わず、アルミニウムイソプロポキシドを用いなかった以外は実施例3と同様に実施した。結果を表−1に示す。
(実施例7)
<ホウ酸および乳酸アルミニウムを用いたセルロースからの2−フルアルデヒドの製造>
比較例Aにおいて、0.320gのホウ酸に加えて0.253gの乳酸アルミニウム(キシダ化学)を用いて原料スラリーを調製した以外は比較例Aと同様に実施した。結果を表−1に示す。
(実施例8)
<ホウ酸および硫酸アルミニウムを用いたセルロースからの2−フルアルデヒドの製造>
比較例Aにおいて、0.320gのホウ酸に加えて0.136gの硫酸アルミニウム(Al(SO・14−18HO、キシダ化学)を用いて原料スラリーを調製した以外は比較例Aと同様に実施した。結果を表−1に示す。
(実施例9)
<ホウ酸、硫酸アルミニウム、および硫酸を用いたセルロースからの2−フルアルデヒドの製造>
比較例Aにおいて、0.160gのホウ酸に加えて0.136gの硫酸アルミニウム(Al(SO・14−18HO、キシダ化学)、0.063gの硫酸を用いて原料スラリーを調製した以外は比較例Aと同様に実施した。結果を表−1に示す。
(実施例10)
<ホウ酸およびサリチル酸を用いたセルロースからの2−フルアルデヒドの製造>
比較例Aにおいて、0.320gのホウ酸に加えて0.119gのサリチル酸(キシダ化学)を用いて原料スラリーを調製した以外は比較例Aと同様に実施した。結果を表−1に示す。
(実施例11)
<ホウ酸、硫酸アルミニウムおよび硫酸を用いたおがくずからの2−フルアルデヒドの製造(連続法)>
おがくず粒の調製
本発明の実施例として実バイオマスを適用するにあたり、原料とするおがくず粒を次のように調製した。木芸社より入手したおがくず(完全乾燥超微粒子/樹種:檜、杉、栂、米松ほか)に対して、イオン交換水を約 1 重量部添加して 2 〜4mmに造粒後、乾燥
窒素流通下に 110℃にて 4時間乾燥したものを使用した。なお、使用した乾燥おがくず中の有機溶媒可溶分、ホロセルロース、α-セルロース、ヘミセルロースの割合は木質
科学実験マニュアル(日本木材学会編,P.92)に準じて分析したところ以下であった。

有機溶媒可溶分(エタノール-トルエン抽出法) 3wt%
ホロセルロース(亜塩素酸ナトリウム法) 71wt%
α-セルロース( 17.5% 水酸化ナトリウム法) 47wt%
ヘミセルロース(上記ホロセルロース−α-セルロース) 24wt%

2−フルアルデヒドの製造
連続流通用供給液として、(ア) 126.0gのスルフォランと35.0gのイオン
交換水の混合液、(イ)ホウ酸/硫酸アルミニウム/硫酸(重量組成2.0/5.0/0.1)からなる触媒を21.0gのイオン交換水に溶解した水溶液を予め調製した。実バイオマス原料として、0.420gのおがくず粒をバイアルに小分けしたものを添加回数分の数だけ用意した。
反応液保持容量34mlの反応容器(100ml四つ口フラスコ)に、34.0gのスルフォランを仕込み、コンデンサーに冷却水を流し、窒素雰囲気下にオイルバスを60℃、保温用テープヒーターを120℃に予熱、反応器に(ア)と(イ)の混合液あるいは混合スラリーを反応器にフィードできるようにフィードラインを設置し、反応器蒸留ヘッド上部に連結したシリコンゴム管の末端に0.667gのおがくず粒の入ったバイアルを設置し、シリコンゴム管の途中をピンチコックで止めた。
スターラーで400r.p.m.の攪拌速度で攪拌しながら、同伴ガスとして20ml/minの供給速度で窒素を反応容器に流通させ、オイルバスの昇温を開始し20分で反応器内温が所定温度となるよう昇温を開始した。反応器内液温が所定温度に達した時点で、(ア)および(イ)の供給を開始(スルフォランとして11.33g/h、イオン交換水として4.0g/hとなる供給速度、触媒は所定の供給速度)し、同時にポンプを稼動させ保持反応液量制御用サクション管からの抜き出し速度を1.5ml/minに制御し、反応容器内のスラリーを約34mlに保持した。
蒸留ヘッド上部のシリコンゴム管のピンチコックを開け、0.420gのおがくず粒を、バイアルを傾けながら反応器に供給して反応を開始し、おがくず粒はその後20分毎に反応終了まで0.420gずつ蒸留ヘッド上部から反応器に供給した。1時間あたりに反応器に供給されるおがくず/スルフォラン/水の比は1.0/9.0/4.0重量比であり、おがくず/ホウ酸/硫酸アルミニウム/硫酸の比は100/2.0/5.0/0.1重量比であった。
反応器内温を225℃±2℃となるよう保持し反応時間7.0時間の連続流通反応を行った。留出液サンプリング用受器として、30mlのTHFと0.5mlのトリエチレングリコールジメチルエーテル(GC分析用内部標準物資)の入った50ml三角フラスコをサンプリング回数と同じ数だけ準備し、反応開始から1時間毎(0−1時間、1−2時間、2−3時間、3−4時間・・・・・・)にサンプリング用受器を交換して留出液を回収し、回収した受器を振って良く攪拌した後、GC分析(1.0μl注入)し2−フルアルデヒドの生成量、スルフォランの留出量を求めた。反応時間6.0時間から7.0時間の留出液を分取して2-フルアルデヒド収率を求めた結果を表−1に示す。
Figure 0006728655
上記実施例及び比較例の対比から明らかなように、ホウ素化合物を用いるものの、(a
)ホウ酸を除く酸及び/又は(b)金属化合物を用いない比較例A、無触媒の比較例1、硫酸を使用するもののホウ素化合物を用いない比較例2及び3、リン酸を使用した比較例4、ホウ素化合物を使用せず金属化合物や固体酸触媒を使用した比較例5〜9に対して、本発明に従い、少なくとも該糖原料、溶媒、ホウ素化合物、(a)ホウ酸を除く酸及び/又は(b)金属化合物を混合して反応させた実施例1〜10は、目的とする2−フルアルデヒドを高収率で製造することが可能であることがわかる。
また、実バイオマス原料を用いた実施例11においても、目的とする2−フルアルデヒドを高収率で製造することが可能であることがわかる。
本発明の2−フルアルデヒドの製造方法は、セルロース等のヘキソースを構成成分とする糖原料から、バッチ式反応にくらべて工業的に有利である連続式反応においても経済的にも満足する良好な収率で2−フルアルデヒドを得ることができる点で有益である。

Claims (16)

  1. ヘキソースを構成成分とする糖原料、非プロトン性の極性溶媒、ホウ酸、酸化ホウ素、
    ホウ酸エステル、及びハロゲン化ホウ素からなる群より選ばれる1以上であるホウ素化合
    物、水、並びに、(a)無機酸(但し、ホウ酸を除く)及び有機酸からなる群より選ばれ
    る1以上の酸、及び/又は、(b)金属化合物をそれぞれ混合し、150℃以上300℃
    以下で混合して反応させることを特徴とする2−フルアルデヒドの製造方法。
  2. 無機酸(但し、ホウ酸を除く)が、硫酸又はリン酸であり、有機酸がカルボン酸である
    請求項1に記載の2−フルアルデヒドの製造方法。
  3. 前記糖原料、前記溶媒、前記ホウ素化合物、(a)無機酸(但し、ホウ酸を除く)及び
    有機酸からなる群より選ばれる1以上の酸、及び/又は(b)金属化合物のうち、少なく
    とも1種類を、分割して供給する、段階的に供給する、あるいは、連続的に供給して反応
    させる
    ことを特徴とする、請求項1または2に記載の2−フルアルデヒドの製造方法。
  4. 前記金属化合物が、該金属化合物を加水分解した際に生成する水酸化物が両性となる化
    合物であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の2−フルアルデヒド
    の製造方法。
  5. 前記金属化合物が、Al、Ga、In、Sn、Ti、Zr、Mn、Fe、Co、Ni、
    Cu、Pb、Bi及びZnからなる群から選ばれる金属を含むものである
    ことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の2−フルアルデヒドの製造方法
  6. 前記金属化合物が、金属アルコキシド、金属有機酸塩、金属ハロゲン化物及び金属硫酸
    塩からなる群より選ばれる
    ことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の2−フルアルデヒドの製造方法
  7. 前記溶媒が、2−フルアルデヒドよりも沸点が高い溶媒である
    ことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の2−フルアルデヒドの製造方法
  8. 前記反応で生成する2−フルアルデヒドを、反応系外に排出しながら反応させる
    ことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の2−フルアルデヒドの製造方法
  9. 反応温度が、2−フルアルデヒドの沸点以上かつ前記溶媒の沸点以下である
    ことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の2−フルアルデヒドの製造方法
  10. 前記糖原料が、セルロース、でんぷん及びヘキソースからなる群から選ばれる少なくと
    も1種を含有する
    ことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の2−フルアルデヒドの製造方法
  11. 前記ホウ素化合物、(a)無機酸(但し、ホウ酸を除く)及び有機酸からなる群より選
    ばれる1以上の酸、及び/又は(b)金属化合物水に溶解させて供給することを特徴
    とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の2−フルアルデヒドの製造方法。
  12. 前記ホウ素化合物がホウ酸である
    ことを特徴とする、請求項1〜1のいずれか1項に記載の2−フルアルデヒドの製造方
    法。
  13. 反応時間が0.5時間以上、20時間以下であることを特徴とする、請求項1〜12の
    いずれか1項に記載の2−フルアルデヒドの製造方法。
  14. (1)ヘキソースを構成成分とする糖原料、(2)ホウ素化合物、(3)無機酸(但し、
    ホウ酸を除く)及び 有機酸からなる群より選ばれる1以上の酸、及び/又は、金属化合
    物、(4)溶媒、並びに(5)水それぞれむ組成物であり、
    前記ホウ素化合物が、ホウ酸、酸化ホウ素、ホウ酸エステル、及びハロゲン化ホウ素か
    らなる群より選ばれる1以上である
    ことを特徴とする2−フルアルデヒド製造用組成物。
  15. 前記溶媒が、非プロトン性極性溶媒である
    ことを特徴とする、請求項1に記載の2−フルアルデヒド製造用組成物。
  16. 前記金属化合物が、Al、Ga、In、Sn、Ti、Zr、Mn、Fe、Co、Ni、
    Cu、Pb、Bi及びZnからなる群から選ばれる金属を含むものである
    ことを特徴とする、請求項14または15に記載の2−フルアルデヒドの製造用組成物。
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