本発明の第1実施形態について説明する。図1は、無段変速機1を搭載した自転車の概略図である。図2Aは無段変速機1の正面図である。図2Bは無段変速機1の平面図である。図2Cは図2AのII−II断面図である。なお、図2A〜図2Cでは、変速レバー9の一部を省略し、ベースプレート2を実際よりも大きく記載している。以下の説明では、図においては構成の一部を適宜省略する。また、ここでは無段変速機1を自転車に搭載した場合について説明するが、これに限られることはなく、オートバイ、自動車などにも搭載することができる。
無段変速機1は、ベースプレート2と、駆動軸部3と、従動軸部4と、入力ディスク5と、出力ディスク6と、動力伝達部7と、シャフト支持部8と、変速レバー9とを備える。
ベースプレート2は、自転車のフレームに取り付けられる。
駆動軸部3、および従動軸部4は、回転軸が平行となるように配置される。駆動軸部3にはペダルが取り付けられており、運転者によってペダルが回されると駆動軸部3はペダルと一体となって回転する。従動軸部4は、回転軸が駆動軸部3の回転軸とは非同軸であり、ギア機構を介して後輪に連結している。
入力ディスク5は、駆動軸部3と同軸上に設けられた円形のディスクである。入力ディスク5は、駆動軸部3に取り付けられ、駆動軸部3と一体となって回転する。入力ディスク5の回転は動力伝達部7を介して出力ディスク6に伝達される。入力ディスク5は、スラストベアリング10を介してベースプレート2に支持されている。
出力ディスク6は、従動軸部4と同軸上に設けられた円形のディスクであり、従動軸部4に取り付けられ、従動軸部4と一体となり回転する。出力ディスク6は、スラストベアリング11を介してベースプレート2に支持されている。
従動軸部4の回転は、ギア機構によって逆転して後輪に伝達される。駆動軸部3および入力ディスク5の回転方向と、出力ディスク6および従動軸部4の回転方向とは逆方向であるが、ギア機構によって従動軸部4の回転が逆転して後輪に伝達されるので、ペダルの回転方向と後輪の回転方向とは一致する。
動力伝達部7は、入力ローラ12と、出力ローラ13と、ドライブシャフト14とを備える。動力伝達部7は、駆動軸部3と従動軸部4との間に配置される。
入力ローラ12について図3A、図3Bを用いて詳しく説明する。図3Aは、入力ローラ12をドライブシャフト14の回転軸に対して垂直な面で切断した場合の断面図である。図3Bは、図3AのIII−III断面図である。
入力ローラ12は、入力ディスク5に当接する曲面部12aと、ドライブシャフト14の端部が挿入され、ドライブシャフト14に連結する連結穴12bと、駆動軸部3側に突出する円柱状の凸部12cとを備える。凸部12cはベアリング15を介して後述する第1レバー25に連結する。入力ディスク5が回転すると、入力ローラ12は、入力ディスク5と曲面部12aとの摩擦によって入力ディスク5から回転が伝達され、入力ローラ12の回転軸を中心に回転する。
連結穴12bは従動軸部4側に向けて開口しており、連結穴12bには入力ローラ12の回転方向に等間隔に凹部12dが形成されている。凹部12dにはドライブシャフト14の凸部14aが挿入され、入力ローラ12とドライブシャフト14とは一体となって回転する。連結穴12bの内周壁12eは曲面部12a側に窪むように湾曲した曲面となっている。この曲面は、ドライブシャフト14の凸部14a、曲部14bの形状に応じて形成され、入力ローラ12がドライブシャフト14に対して傾動可能となっている。なお、連結穴12bの開口径は、ドライブシャフト14の曲部14bの径よりも小さくなっており、ドライブシャフト14が入力ローラ12から抜けない構成となっている。
入力ローラ12は、無段変速機1が変速を行っていない状態(以下、この状態を初期状態と言う。)では入力ローラ12の回転軸とドライブシャフト14の回転軸とが一致している。入力ローラ12は、変速レバー9が操作されて第1レバー25が入力ディスク5、または出力ディスク6の平面方向に傾動すると、第1レバー25と共に入力ディスク5、または出力ディスク6の平面方向に傾動する。
このように、入力ローラ12は、ドライブシャフト14と一体となって回転し、ドライブシャフト14に対して傾動可能となっており、入力ローラ12とドライブシャフト14とは等速ジョイントとしての機能を有している。
出力ローラ13について図4A、図4Bを用いて詳しく説明する。図4Aは、出力ローラ13の断面図である。図4Bは図4BのIV−IV断面図である。
出力ローラ13は、出力ディスク6に当接する曲面部13aと、ドライブシャフト14のもう一方の端部が挿入され、ドライブシャフト14に連結する連結穴13bと、従動軸部4側に突出する円柱状の凸部13cとを備える。凸部13cはベアリング17を介して後述する第2レバー26に連結する。
連結穴13bは駆動軸部3側に向けて開口しており、連結穴13bには入力ローラ12の連結穴12bと同様に凹部13dが形成され、凹部13dにはドライブシャフト14の凸部14aが挿入され、ドライブシャフト14と出力ローラ13とは一体となって回転する。また、連結穴13bの内周壁13eは曲面部13a側に窪むように湾曲した曲面となっている。この曲面は、ドライブシャフト14の凸部14a、曲部14bの形状に応じて形成され、出力ローラ13がドライブシャフト14に対して傾動可能となっている。なお、連結穴13bの開口径は、ドライブシャフト14の曲部14bの径よりも小さくなっており、ドライブシャフト14が出力ローラ13から抜けない構成となっている。
出力ローラ13は、初期状態では出力ローラ13の回転軸がドライブシャフト14の回転軸と一致している。出力ローラ13は、変速レバー9が操作されて第2レバー26が入力ディスク5、または出力ディスク6の平面方向に傾動すると、第2レバー26と共に入力ディスク5、または出力ディスク6の平面方向に傾動する。
このように、出力ローラ13は、ドライブシャフト14と一体となって回転し、ドライブシャフト14に対して傾動可能となっており、出力ローラ13とドライブシャフト14とは等速ジョイントとしての機能を有している。
なお、等速ジョイントしての機能を有する構成は上記する構成に限られることはなく、入力ローラ12、および出力ローラ13がドライブシャフト14と一体となって回転し、ドライブシャフト14に対して傾動可能となればよい。
出力ローラ13の回転は、曲面部13aと出力ディスク6との摩擦によって出力ディスク6に伝達される。
ドライブシャフト14は、駆動軸部3、および従動軸部4に対して垂直となるように配置される。ドライブシャフト14は、図2Cに示すようにベアリング19を介してシャフト支持部8によって回転可能に支持され、シャフト支持部8に対してドライブシャフト14の軸方向に沿って移動可能となっている。ドライブシャフト14は、変速レバー9が操作されても傾動しない。
シャフト支持部8は、ベースプレート2に対して平行に配置される板部20と、板部20からベースプレート2とは反対側に突出し、ドライブシャフト14が貫通し、ベアリング19を介してドライブシャフト14を支持する支持部21とを備える。板部20には、ボルト23が挿入される孔が形成されている。
ボルト23はベースプレート2に固定されている。ボルト23の胴部23aの外周にはバネ24が配置され、バネ24の一方の端部は、ボルト23の頭部23bに当接し、もう一方の端部は板部20に当接する。バネ24は、圧縮コイルバネであり、シャフト支持部8の板部20をベースプレート2側に付勢する。これにより、動力伝達部7もバネ24によってベースプレート2側に付勢され、動力伝達部7の入力ローラ12、および出力ローラ13が入力ディスク5、および出力ディスク6に押し付けられる。
変速レバー9は、第1レバー25と、第2レバー26と、第1レバー25と第2レバー26とを連結する連結部27とを備える。第1レバー25は、ベアリング15を介して入力ローラ12の凸部12cに連結し、端部が連結部27に回動可能に連結する。第2レバー26は、ベアリング17を介して出力ローラ13の凸部13cに連結し、連結部27に回動可能に連結する。変速レバー9はベアリング15、17を介して入力ローラ12、および出力ローラ13に連結するので、動力伝達部7が回転している場合でも回転しない。
第1レバー25、および第2レバー26は、初期状態ではドライブシャフト14、駆動軸部3、および従動軸部4に対して垂直となっている。変速レバー9が操作されると、連結部27はドライブシャフト14の回転軸方向に移動し、目標変速比となる位置に保持される。第1レバー25、および第2レバー26は、まず連結部27の移動に伴って傾動し、その後、変速が進行すると動力伝達部7の移動に伴って傾動し、変速が終了すると、初期状態となる。
変速レバー9は、ステップモータやソレノイドなどのアクチュエータによって操作量(変位量)が制御される。なお、無段変速機1の変速は、運転者による操作に基づいて行われてもよく、運転者の操作によらず自動的に行われてもよい。
無段変速機1での変速について説明する。
まず、初期状態における回転の伝達について説明する。初期状態では、第1レバー25、および第2レバー26は、ドライブシャフト14、駆動軸部3、および従動軸部4に対して垂直となっており、入力ローラ12の回転軸、および出力ローラ13の回転軸はドライブシャフト14の回転軸と一致している。
駆動軸部3と共に回転する入力ディスク5の回転は、入力ディスク5と入力ローラ12の曲面部12aとの接触面における摩擦によって入力ローラ12に伝達される。この摩擦力の向きは、入力ディスク5と入力ローラ12の曲面部12aとの接触面の中心と、入力ディスク5の回転軸とを結ぶ線に垂直な方向となる。
初期状態における摩擦力を図5Aで実線の矢印で示す。入力ローラ12は、入力ローラ12の回転軸に直交する方向に働く力によって回転するので、初期状態において入力ローラ12が受ける摩擦力がそのまま入力ローラ12を回転させる力となり、入力ローラ12はドライブシャフト14に対して傾動することなく、回転する。
入力ローラ12の回転は、ドライブシャフト14を介して出力ローラ13に伝達され、出力ローラ13が回転する。出力ローラ13の回転は、出力ディスク6との接触面における摩擦によって出力ディスク6に伝達され、出力ディスク6が回転する。出力ローラ13は、出力ディスク6から反力を受けるが、反力が働く方向はドライブシャフト14の回転軸の軸方向に垂直な方向であり、出力ローラ13はドライブシャフト14に対して傾動することなく、初期状態の位置に維持されながら回転する。
このようにして駆動軸部3から入力ディスク5、動力伝達部7、出力ディスク6、従動軸部4、ギア機構を介して後輪に回転が伝達され、自転車は走行する。
次に無段変速機1で変速を行う場合について説明する。変速レバー9が操作され、無段変速機1がHigh側へ変速する場合について図5A〜図5Cを用いて説明する。
変速レバー9が操作され、連結部27が図5Aに示す初期状態の位置から目標変速比となる図5Bに示す位置まで従動軸部4側に移動すると、第1レバー25、入力ローラ12、第2レバー26、および出力ローラ13は入力ディスク5の平面方向に傾動する。入力ローラ12が入力ディスク5から受ける摩擦力の向きは初期状態と同じ向きであり、この摩擦力は図5Bで示すように分解することができる。図5Bでは分解した力を破線で示す。分解した力のうち入力ローラ12の回転軸と直交する矢印Aの力によって入力ローラ12は回転する。また、分解した力のうち入力ローラ12の回転軸方向に向いた矢印Bの力によって、入力ローラ12は従動軸部4側へ移動する。出力ローラ13も入力ローラ12と同様に出力ディスク6から受ける反力を分解した力のうち出力ローラ13の回転軸方向に向く力によって従動軸部4側へ移動する。このようにして動力伝達部7は従動軸部4側へ移動し、入力ローラ12と入力ディスク5との接触半径が大きくなり、出力ローラ13と出力ディスク6との接触半径が小さくなり、無段変速機1はHigh側へ変速する。
変速レバー9が操作されない限り、連結部27はドライブシャフト14の軸方向において移動しないので、変速が進行すると第1レバー25、および第2レバー26は、連結部27と連結する各端部を中心に従動軸部4側に傾動する。
そして、第1レバー25、および第2レバー26が図5Cに示すようにドライブシャフト14に対して垂直になり、入力ローラ12の回転軸、および出力ローラ13の回転軸がドライブシャフト14の回転軸に一致すると、変速は終了する。
次に初期状態から変速レバー9が操作され、無段変速機1がLow側へ変速する場合について図6A〜図6Cを用いて説明する。
変速レバー9が操作され、連結部27が図6Aに示す初期状態の位置から目標変速比となる図6Bに示す位置まで駆動軸部3側に移動すると、第1レバー25、入力ローラ12、第2レバー26、および出力ローラ13は入力ディスク5の平面方向に傾動する。入力ローラ12が入力ディスク5から受ける摩擦力は、図6Bで示すように分解することができる。図6Bにおいても、図5Bと同様に摩擦力を実線で示し、分解した力を破線で示す。分解した力のうち矢印Aで示す力によって入力ローラ12は回転し、矢印Bで示す力によって入力ローラ12は駆動軸部3側へ移動する。出力ローラ13も入力ローラ12と同様に出力ディスク6から受ける反力を分解した力のうち出力ローラ13の回転軸方向に向く力によって駆動軸部3側へ移動する。このようにして、動力伝達部7は、駆動軸部3側へ移動し、入力ローラ12と入力ディスク5との接触半径が小さくなり、出力ローラ13と出力ディスク6との接触半径が大きくなり、無段変速機1はLow側へ変速する。
変速が進行し、第1レバー25、および第2レバー26は図6Cに示すようにドライブシャフト14に対して垂直となり、入力ローラ12の回転軸、および出力ローラ13の回転軸がドライブシャフト14の回転軸に一致すると、変速は終了する。
以上のように、変速レバー9が操作されると、動力伝達部7が変速レバー9の移動に追従して移動し、無段変速機1は変速する。そして、動力伝達部7が目標変速比に応じた変速終了位置まで移動すると、動力伝達部7の移動は自動的に終了し、変速が終了する。
本発明の第1実施形態の効果について説明する。
無段変速機1で変速する場合にドライブシャフト14に対して入力ローラ12、および出力ローラ13を傾動させることで、動力伝達部7自体に駆動軸部3側、または従動軸部4側へ移動する力を発生させて変速を行う。入力ローラ12、および出力ローラ13をドライブシャフト14に対して傾動させるために必要な力は、入力ローラ12、および出力ローラ13をドライブシャフト14に対して傾動させずに動力伝達部7全体を駆動軸部3側、または従動軸部4側へ移動させるために必要な力よりも小さい。本実施形態では、入力ローラ12、および出力ローラ13をドライブシャフト14に対して傾動するだけで、変速を実行することができ、小さい力で変速を実行することができる(請求項1、2に対応する効果)。
また、小さい力で変速を実行することができるので、変速レバー9を操作するためのアクチュエータを小型にすることができ、無段変速機1を小型にすることができる。これにより、例えば自転車などの比較的小型の車両などにも無段変速機1を搭載することができる。また、無段変速機1を小型にすることでコストを抑制することができる(請求項1に対応する効果)。
入力ローラ12を傾動させる第1レバー25と、出力ローラ13を傾動させる第2レバー26とを連結部27によって連結して、入力ローラ12と出力ローラ13とを同時に同方向に傾動することで、動力伝達部7をスムーズに駆動軸部3側、または従動軸部4側へ移動することができる(請求項3に対応する効果)。
入力ローラ12、および出力ローラ13を入力ディスク5、および出力ディスク6の平面方向に傾動することで、摩擦力を用いて動力伝達部7を駆動軸部3側、または従動軸部4側へ移動させることができる。また、変速を行う場合には、変速レバー9を操作して連結部27を目標変速比となる位置まで移動するだけで、変速が進行し、自動的に変速が終了するので、容易に変速を行うことができる(請求項4に対応する効果)。
次に本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態については第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。本実施形態は、変速レバー30の構成が第1実施形態とは異なっている。本実施形態の無段変速機1について図7A、図7Bを用いて説明する。図7Aは無段変速機1の正面図であり、図7Bは平面図である。
変速レバー30は、初期状態では、第1レバー31、および第2レバー32は、駆動軸部3の回転軸、または従動軸部4の回転軸と平行となっており、入力ローラ12、および出力ローラ13は、駆動軸部3の回転軸と従動軸部4の回転軸とを通る平面の平面方向に傾動する。
無段変速機1で変速を行う場合について説明する。初期状態の位置から変速レバー30が操作され、High側へ変速する場合について図8A〜図8Cを用いて説明する。
変速レバー30が操作され、連結部27が図8Aで示す初期状態の位置から目標変速比となる図8Bに示す位置まで従動軸部4側に移動すると、第1レバー31、入力ローラ12、第2レバー32、および出力ローラ13は駆動軸部3の回転軸と従動軸部4の回転軸とを通る平面の平面方向に傾動する。入力ローラ12、および出力ローラ13は、入力ディスク5、および出力ディスク6側よりも、連結部27側が従動軸部4に近くなるように傾いて回転するので、入力ローラ12、出力ローラ13には図8Bにおいて矢印で示すように従動軸部4側へ向かうキャンバスラストが発生する。これにより、動力伝達部7は、従動軸部4側へ移動し、無段変速機1はHigh側へ変速する。
動力伝達部7が従動軸部4側へ移動し、第1レバー31、および第2レバー32が図8Cに示すようにドライブシャフト14に対して垂直になり、入力ローラ12の回転軸、および出力ローラ13の回転軸がドライブシャフト14の回転軸に一致すると、変速は終了する。
無段変速機1をLow側へ変速する場合には、変速レバー30を駆動軸部3側へ傾動する。これにより、入力ローラ12、および出力ローラ13に駆動軸部3側へ向かうキャンバスラストが発生し、無段変速機1はLow側へ変速する。
本発明の第2実施形態の効果について説明する。
変速を行う場合には、入力ローラ12、および出力ローラ13を、入力ディスク5の回転軸と出力ディスク6の回転軸とを通る平面の平面方向に傾動させることで入力ローラ12、および出力ローラ13に駆動軸部3側、または従動軸部4側へ向かうキャンバスラストを発生させ、キャンバスラストを用いて動力伝達部7を駆動軸部3側、または従動軸部4側へ移動させて変速を実行することができる(請求項5に対応する効果)。
次に本発明の第3実施形態について説明する。
第3実施形態については第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。本実施形態は、動力伝達部40、入力ディスク33、駆動軸部38の構成が第1実施形態と異なっており、第1実施形態の変速レバー9を設けていない。本実施形態の無段変速機1について図9を用いて説明する。図9は無段変速機1の駆動軸部38の軸方向における概略断面図である。
動力伝達部40は、入力ローラ41、および出力ローラ42がドライブシャフト14に対して傾動せず、入力ローラ41の回転軸、出力ローラ42の回転軸、およびドライブシャフト14の回転軸が常に一致するように入力ローラ41、および出力ローラ42がドライブシャフト14に連結している。
入力ディスク33は、可動ディスク34と、可動ディスク34と一体となって駆動軸部38の回転軸方向に沿って移動し、可動ディスク34の背面側に油圧室37を形成するケース35とを備える。
油圧室37は、駆動軸部38に固定された仕切板36によって可動ディスク34側の第1室37aと、ケース35の底部35a側の第2室37bとに分割される。
駆動軸部38には、第1室37aに油を給排する第1油路43と、第2室37bに油を給排する第2油路44とが形成される。
第1室37a、および第2室37bに給排される油を制御することで、第1室37a、および第2室37bの体積が変化し、可動ディスク34、およびケース35が仕切板36に対して駆動軸部38の回転軸方向に移動する。油の給排は、第1油路43、および第2油路44に設けたソレノイドなどのアクチュエータを制御することで実行される。
無段変速機1で変速を行う場合について説明する。無段変速機1がHigh側へ変速する場合について図10A〜図10Cを用いて説明する。
初期状態では、図10Aに示すように入力ディスク33の可動ディスク34は、出力ディスク6と同一平面にあり、ドライブシャフト14は駆動軸部38、および従動軸部4に垂直となっている。
High側へ変速する場合には、初期状態の入力ディスク33に対して第1室37aに油を供給し、第2室37bから油を排出する。これにより、可動ディスク34、およびケース35は、図10Bにおいて、可動ディスク34が出力ディスク6よりも高くなるように移動する。可動ディスク34に当接する入力ローラ41は、可動ディスク34と共に移動し、動力伝達部40全体が傾動する。
動力伝達部40が図10Bに示すように傾くと、入力ローラ41、および出力ローラ42には図10Bにおいて矢印で示すように従動軸部4側に向いたキャンバスラストが発生する。これにより、動力伝達部40が従動軸部4側へ移動し、無段変速機1はHigh側へ変速する。
変速を終了させる場合には、第1室37aから油を排出し、第2室37bに油を供給し、可動ディスク34が、図10Cに示すように出力ディスク6と同一平面となるようにする。これにより、入力ローラ41、出力ローラ42にはキャンバスラストが発生せず、入力ローラ41、出力ローラ42はドライブシャフト14の回転軸方向には移動せずに回転する。
無段変速機1をLow側へ変速させる場合には、初期状態の入力ディスク33に対して第1室37aから油を排出し、第2室37bに油を供給して、可動ディスク34を移動させる。
本発明の第3実施形態の効果について説明する。
変速を行う場合には、入力ディスク33の第1室37a、および第2室37bに油を給排することで、可動ディスク34を駆動軸部38の回転軸方向に沿って移動させて、動力伝達部40を一体として傾動させる。これにより、動力伝達部40にキャンバスラストを発生させて、キャンバスラストによって動力伝達部40を駆動軸部38側、または従動軸部4側へ移動させて、変速を実行することができる(請求項6、7に対応する効果)。
次に本発明の第4実施形態について説明する。
第4実施形態については第3実施形態と異なる部分を中心に説明する。本実施形態は、入力ディスク51の構成が第3実施形態と異なっており、変速ローラ50を備える。本実施形態の無段変速機1について図11を用いて説明する。
入力ディスク51は等速ジョイント52を介して駆動軸部3に連結しており、入力ディスク51は駆動軸部3に対して傾動可能であり、駆動軸部3と一体となって回転する。入力ディスク51は、変速レバー53が操作されると駆動軸部3に対して傾動する。
変速ローラ50は、駆動軸部3に対して入力ローラ41が当接する側とは反対側で入力ディスク51に当接し、ベアリングを介して変速レバー53に連結している。変速ローラ50は、変速レバー53が操作されると、駆動軸部3の回転軸方向に移動し、入力ディスク51を傾動する。
無段変速機1が変速する場合について説明する。無段変速機1がHigh側へ変速する場合について図12A〜図12Cを用いて説明する。
初期状態では、図12Aに示すように入力ディスク51は、傾動しておらず、出力ディスク6と同一平面である。入力ローラ41は、シャフト支持部8によって付勢されており、入力ディスク51には入力ローラ41によってモーメントが発生しているが、入力ディスク51には変速ローラ50によって、入力ローラ41によって発生するモーメントとは逆向きのモーメントが発生している。初期状態では、この2つのモーメントが釣り合い、入力ディスク51は、出力ディスク6と同一平面となっている。
High側へ変速する場合には、変速ローラ50によって発生するモーメントを大きくし、出力ディスク6側の入力ディスク51が図12Bに示すように高くなるように入力ディスク51を傾動させる。これにより、動力伝達部40が傾動し、入力ローラ41、および出力ローラ42には図12Bにおいて矢印で示すように従動軸部4側に向いたキャンバスラストが発生する。これにより、動力伝達部40が従動軸部4側へ移動し、無段変速機1はHigh側へ変速する。
変速を終了させる場合には、変速ローラ50によって発生するモーメントを小さくして入力ディスク51を傾動し、図12Cに示すように入力ディスク51が出力ディスク6と同一平面となるようにする。
無段変速機1をLow側へ変速させる場合には、変速ローラ50で発生するモーメントを小さくし、入力ディスク51をHigh側への変速とは逆方向に傾動する。
本発明の第4実施形態の効果について説明する。
変速を行う場合に、変速ローラ50で発生するモーメントの大きさを変更して入力ディスク51を駆動軸部3に対して傾動させる。これにより、動力伝達部40にキャンバスラストを発生させ、キャンバスラストによって動力伝達部40を駆動軸部3側、または従動軸部4側に移動させて変速を実行することができる(請求項6、8に対応する効果)。
本発明の第5実施形態について説明する。
第5実施形態については第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。本実施形態の無段変速機1について図13A〜図13Cを用いて説明する。図13Aは、無段変速機1の正面図である。図13Bは無段変速機1の平面図である。図13Cは、図13BのXIII−XIII断面における概略図である。
動力伝達部40は、入力ローラ41、および出力ローラ42がドライブシャフト14に対して傾動せず、入力ローラ41の回転軸、出力ローラ42の回転軸、ドライブシャフト14の回転軸が常に一致するように入力ローラ41、および出力ローラ42がドライブシャフト14に連結している。
ドライブシャフト14は、ベアリング60を介してシャフト支持部63に傾動可能に支持されている。ドライブシャフト14は、ベアリング61を介して変速レバー62に連結しており、変速レバー62が操作されると入力ディスク5、または出力ディスク6の平面方向に傾動する。
シャフト支持部63は、ベースプレート65と平行に設けた板部20がボールベアリング69を介してベースプレート65に支持されている。シャフト支持部63は、図13Cに示すように支持部64によってベアリング60を介してドライブシャフト14を傾動可能に支持しており、ベアリング60と当接する支持部64の面64aが曲面となっている。この曲面は、ベアリング60のアウターレース60aの外周に設けた曲面に応じて形成される。このような曲面を設けることで、シャフト支持部63に対してベアリング60、およびベアリング60を介して支持される動力伝達部40が入力ディスク5、または出力ディスク6の平面方向に傾動可能となっている。支持部64は、ベアリング60、および動力伝達部40がシャフト支持部63に対して駆動軸部3の回転軸と従動軸部4の回転軸とを結ぶ軸間連結線に沿った方向(以下、軸間連結線方向と言う。)に移動しないようにベアリング60を支持している。つまり、軸間連結線方向においては、動力伝達部40とシャフト支持部63とが一体となって移動する。
ベースプレート65には、ボルト23が挿入される長孔66が形成される。長孔66は、軸間連結線方向に延び、ボルト23が摺動する。
ベースプレート65の長孔66に挿入されるボルト23の先端は、ベースプレート65の背面側でブロック部67に連結している。ブロック部67は、ベースプレート65に取り付けられたブロックケース68によって駆動軸部3の回転軸方向への移動が規制されている。つまり、ボルト23、およびブロック部67は、ベースプレート65の長孔66に沿った移動のみが許されている。これにより、シャフト支持部63、および動力伝達部40は、バネ24によってベースプレート65側に付勢され、軸間連結線方向に移動することができる。
無段変速機1が変速する場合について説明する。無段変速機1がHigh側へ変速する場合について図14A〜図14Cを用いて説明する。
初期状態では、図14Aに示すようにドライブシャフト14は駆動軸部3、および従動軸部4に対して垂直となっている。
変速レバー62が、図14Aの下方向に操作されると、動力伝達部40は図14Bに示すように入力ディスク5の回転方向における上流側へ傾動する。入力ローラ41が入力ディスク5から受ける摩擦力の向きは、図14Bで実線の矢印で示す向きとなる。実線で示す摩擦力は、図14Bにおいて破線で示す矢印に分解することができ、矢印Aの力によって入力ローラ41が回転し、矢印Bの力によって入力ローラ41は従動軸部4側へ移動する。そして、動力伝達部40、およびシャフト支持部63は一体となって従動軸部4側へ移動し、無段変速機1はHigh側へ変速する。
変速を終了させる場合には、変速レバー62によって動力伝達部40を図14Cに示すように入力ディスク5の回転方向における下流側へ傾動し、ドライブシャフト14が駆動軸部3、および従動軸部4に対して垂直となるようにする。
無段変速機1をLow側へ変速させる場合には、初期状態の位置から動力伝達部40を入力ディスク5の回転方向の下流側に傾動する。
本発明の第5実施形態の効果について説明する。
変速を行う場合に、動力伝達部40を入力ディスク5、または出力ディスク6の平面方向に傾動させることで摩擦力を用いて動力伝達部40を駆動軸部3側、または従動軸部4側に移動させて、変速を実行することができる(請求項9に対応する効果)。
次に本発明の第6実施形態について説明する。
第6実施形態については第5実施形態と異なる部分を中心に図15A〜図15Cを用いて説明する。図15Aは無段変速機1の正面図である。図15Bは無段変速機1の平面図である。図15Cは図15BのXV−XV断面における概略図である。
無段変速機1は、変速レバー73を介して動力伝達部40を傾動させる変速制御プレート72を備える。
ドライブシャフト14は、ベアリング70を介してシャフト支持部63に傾動可能に支持されている。ドライブシャフト14は、ベアリング70に対して相対回転可能であり、かつドライブシャフト14の軸方向に相対移動不能となるように設けられている。
ベアリング70は、シャフト支持部63の支持部64から入力ローラ41側に延設され、アウターレース70aの外周壁から駆動軸部3の回転軸方向に突出するピン71を備える。ピン71は変速制御プレート72の長孔72aに挿入される。
変速制御プレート72は、変速レバー73の操作に応じて軸間連結線方向に移動する。変速制御プレート72は、軸間連結線方向にのみ移動し、軸間連結線に直交する方向(図15A中上下方向)などには移動せず、また入力ディスク5の平面方向に傾動しないように取り付けられている。変速制御プレート72には、軸間連結線方向に対して傾斜する長孔72aが形成される。変速制御プレート72が軸間連結線方向に移動すると、長孔72aに摺動してピン71が図15Aの上下方向に移動すると共に、動力伝達部40が傾動する。長孔72aは、変速制御プレート72が従動軸部4側へ移動した場合に、入力ローラ41が入力ディスク5の回転方向における上流側へ傾動し、変速制御プレート72が駆動軸部3側へ移動した場合に、入力ローラ41が入力ディスク5の回転方向における下流側へ傾動するように形成される。
無段変速機1が変速する場合について説明する。無段変速機1がHigh側へ変速する場合について図16A〜図16Cを用いて説明する。
初期状態では、図16Aに示すようにドライブシャフト14は駆動軸部3、および従動軸部4に対して垂直となっている。また、ピン71は長孔72aの中央に位置している(以下において、この位置を初期位置と言う。)。
変速レバー73が操作され、変速制御プレート72が軸間連結線方向に沿って従動軸部4側に目標変速比を実現する位置まで移動すると、ピン71が変速制御プレート72の長孔72aに摺動し、図16Aの下方向に移動する。これにより、動力伝達部40は、入力ローラ41が入力ディスク5の回転方向における上流側に移動するように傾動する。そして、図16Bの破線で示す矢印Bの力によって、動力伝達部40、およびシャフト支持部63は一体となって従動軸部4側へ移動し、無段変速機1はHigh側へ変速する。
変速中、変速レバー73によって操作されない限り、変速制御プレート72の位置は変わらない。変速中、動力伝達部40、およびシャフト支持部63は軸間連結線方向に沿って従動軸部4側へ移動し、ピン71は変速制御プレート72の長孔72aに摺動し、初期位置に戻るように移動し、動力伝達部40は、入力ディスク5の回転方向における下流側に傾動しながら、従動軸部4側へ移動し、初期状態となるように傾動する。
そして、図16Cに示すようにピン71が初期位置に戻り、ドライブシャフト14が初期状態となると変速が終了する。
以上のように、本実施形態では、変速制御プレート72を軸間連結線方向に移動させるだけで、変速が実行され、動力伝達部40が目標変速比を実現する位置まで移動すると、変速は自動的に終了する。
無段変速機1をLow側へ変速させる場合には、初期状態の位置から変速制御プレート72を駆動軸部3側へ移動させて、動力伝達部40を入力ディスク5の下流側に傾動する。
本発明の第6実施形態の効果について説明する。
軸間連結線方向に移動する変速制御プレート72に軸間連結線に対して傾斜する長孔72aを備える。この長孔72aにドライブシャフト14と共に軸間連結線方向に移動するピン71を摺動可能となるように挿入する。また、動力伝達部40を入力ディスク5、または出力ディスク6の平面方向に傾動可能となるようにシャフト支持部63によって支持する。変速を行う場合には、変速制御プレート72を軸間連結線方向に移動し、ピン71を長孔72aに摺動させて動力伝達部40を入力ディスク5、または出力ディスク6の平面方向に傾動する。動力伝達部40を入力ディスク5、または出力ディスク6の平面方向に傾動させることで摩擦力を用いて動力伝達部40を駆動軸部3側、または従動軸部4側に移動することができる。また、変速を行う場合には、変速制御プレート72を、目標変速比を実現する位置まで移動させるだけで、変速が進行し、自動的に変速が終了するので、容易に変速を行うことができる(請求項10に対応する効果)。
上記実施形態では、バネ24として圧縮コイルバネを用いたが、動力伝達部40をベースプレート2、65側に付勢できればよく、板バネなどを用いてもよい。
上記実施形態では、変速レバー9、30、53、62、73がアクチェエータを用いて操作される場合について説明したが、ワイヤやリンク機構を用いて、運転者が変速レバー9、30、53、62、73を操作するようにしてもよい。
第1、2実施形態では、入力ローラ12、および出力ローラ13を変速レバー9、30によって傾動させたが、いずれか一方のみを傾動させてもよい。
第3実施形態では、入力ディスク33に可動ディスク34を設けたが、出力ディスク6に設けてもよく、また入力ディスク33、および出力ディスク6に設け、可動ディスク34を駆動軸部3の回転軸方向、または従動軸部4の回転軸方向に沿って移動させてもよい。
第4実施形態では、入力ディスク51を傾動させたが、出力ディスク6を傾動させてもよく、また入力ディスク51、および出力ディスク6を傾動させてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。