JP5778930B2 - ランフラットタイヤ - Google Patents

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Description

本発明はランフラットタイヤ(以下、単に「タイヤ」とも称する)に関し、詳しくは、カーカスプライコードおよびサイドウォール部表面構造の改良に係るランフラットタイヤに関する。
近年、タイヤ内部の空気圧が低下した後も応急走行を行うことができる空気入りタイヤとして、カーカスの内方のサイドウォール部に断面三日月状のサイド補強ゴム層を配設してなるサイド補強タイプのランフラットタイヤが、広く実用に供されている。
かかるサイド補強タイプのランフラットタイヤに係る改良技術として、例えば、特許文献1,2には、タイヤサイド部内の劣化が生じる部位の効率的な温度低減を図って、耐久性をさらに向上させることを目的として、タイヤサイド部のタイヤ表面に、内周側から外周側に向かって延在する乱流発生用突起をタイヤ周方向に間隔を置いて設けた空気入りタイヤが開示されている。これらの技術によれば、乱流発生用突起によりサイド表面の放熱効果を高めて、ランフラット走行距離を高めることが可能である。しかし、これらの技術においては、乱流発生用突起の根元部分における局所的な歪が大きいために、乱流発生用突起を設けない場合と比較して、耐クラック性が悪化する傾向にある。今後、軽量化および低転がり抵抗化の要請に応じて、タイヤサイド部の薄ゲージ化は非常に重要な項目となっていくものと考えられ、その場合、サイドウォール部表面の歪は増大傾向となることから、この耐クラック性の問題は、非常にシビアな問題となると考えられる。
特開2008−222006号公報(特許請求の範囲等) 特開2008−222007号公報(特許請求の範囲等)
ところで、ランフラットタイヤのカーカスプライの補強コードとしては、従来より一般に、レーヨンが使用されている。レーヨンは高剛性の繊維であるので、ランフラット走行時における撓み抑制効果は高いものの、熱収縮応力がほとんどないことから、ランフラット走行によりタイヤが高温になった際には、熱収縮応力による撓み抑制効果は得られなかった。また、レーヨンは高剛性であるため、通常走行時の縦バネが大きく、乗り心地が悪いという難点をも有していた。
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、ランフラットタイヤにおいて、ランフラット走行時のタイヤの撓みを抑制しつつ、通常走行時の縦バネを抑制する技術を確立することで、ランフラット走行耐久性を低下させることなく、通常走行時の乗り心地性を向上したランフラットタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下のようなことを見出した。
すなわち、ランフラットタイヤのカーカスプライの補強コードとして、従来のレーヨンに代えて、所定の高い熱収縮応力を有するハイブリッドコードを用いれば、通常走行時の縦バネを抑えつつ、ランフラット走行時のタイヤの撓みを抑制することが可能となると考えられる。縦バネの低減は、低転がり抵抗化にも繋がる特性である。
また、かかるハイブリッドコードを用いることで、その熱収縮応力により高温時の撓みを抑制できる一方、かかるハイブリッドコードにおいては、通常走行時の1%歪時の引張弾性率(初期ひずみ)を、レーヨン対比、低剛性とすることができる。よって、かかるハイブリッドコードを用いたカーカスプライと、上記乱流発生用突起とを組み合わせることで、サイドウォール部の表面ゴムとカーカスコードとの間の層間歪を低減することができ、結果としてクラックの主要因となる表面歪を抑制して、乱流発生用突起近傍の耐クラック性の悪化を補完することができるものと考えられる。
本発明者は、上記観点から、さらに検討した結果、下記構成とすることにより上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のランフラットタイヤは、左右一対のビード部と、該ビード部から夫々タイヤ半径方向外側に連なる一対のサイドウォール部と、該一対のサイドウォール部間に跨って延び接地部を形成するトレッド部とを有し、前記一対のビード部間にトロイド状に延在してこれら各部を補強する一枚以上のカーカスプライからなるカーカスと、前記サイドウォール部において該カーカスの内側に配置された断面三日月状のサイド補強ゴム層と、を備えるランフラットタイヤにおいて、
前記カーカスを構成するカーカスプライコードが、2種類の有機繊維からなるフィラメントを撚り合わせてなるハイブリッドコードであり、製品タイヤから抜き出した該ハイブリッドコードの177℃における熱収縮応力(cN/dtex)が0.16〜0.25cN/dtexであり、かつ、
前記接地部およびタイヤにリムを装着した際のリムとの接触部以外の、タイヤ表面の少なくとも一部に、乱流発生用凸部が配設されていることを特徴とするものである。
本発明において、前記ハイブリッドコードを構成する2種の有機繊維は、芳香族ポリアミド、セルロース繊維、ポリエステル、ナイロンおよびポリケトンからなる群から選択されることが好ましく、より好ましくはセルロース繊維およびナイロンである。また、本発明においては、製品タイヤから抜き出した前記ハイブリッドコードの、25℃における1%歪時の引張弾性率が45cN/dtex以下であって、かつ、25℃における3%歪時の引張弾性率が12cN/dtex以上であることが好ましい。
さらに、本発明においては、前記乱流発生用凸部がタイヤ周方向において複数にて配設され、該乱流発生用凸部の長手方向の中央にてその幅wを二等分する点の、隣り合う該乱流発生用凸部間での距離をピッチp、該乱流発生用凸部の高さをhとしたときに、1.0≦p/h≦50.0、かつ、1.0≦(p−w)/w≦100.0の関係を満足することが好ましい。さらにまた、前記乱流発生用凸部の長手方向と、タイヤ半径方向とのなす角度θは、好適には70°以下である。
本発明によれば、上記構成としたことで、ランフラット走行時のタイヤの撓みを抑制しつつ、通常走行時の縦バネを抑制することができ、これにより、ランフラット走行耐久性を低下させることなく通常走行時の乗り心地性を向上したランフラットタイヤを実現することが可能となった。なお、本発明において、製品タイヤから抜き出したコードの物性値は、いずれも、抜き出した直後1時間以内に測定した値を意味する。
本発明のランフラットタイヤの一構成例を示す一部切欠斜視図である。 乱流発生用凸部による乱流の発生状態を示す説明図である。 乱流発生用凸部の配置条件を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、本発明のランフラットタイヤの一構成例を示す一部切欠斜視図を示す。図示する本発明のランフラットタイヤは、左右一対のビード部1と、ビード部1から夫々タイヤ半径方向外側に連なる一対のサイドウォール部2と、これら一対のサイドウォール部2間に跨って延び接地部を形成するトレッド部3とを有し、一対のビード部1間にトロイド状に延在してこれら各部1,2,3を補強する一枚以上のカーカスプライからなるカーカス4と、サイドウォール部2においてカーカス4の内側に配置された断面三日月状のサイド補強ゴム層5とを備えている。また、カーカス4のトレッド部3のタイヤ半径方向外側には、二枚のベルト層6a,6bからなるベルト6が配置されている。
ここで、カーカス4は、平行に配列された複数の補強コードをコーティングゴムで被覆してなるカーカスプライ1枚から構成され、ビード部1内に夫々埋設した一対のビードコア7間にトロイド状に延在する本体部と、各ビードコア7の周りでタイヤ幅方向の内側から外側に向けてタイヤ半径方向外方に巻上げられた折り返し部とからなるが、本発明のタイヤにおいて、カーカス4のプライ数および構造は、これに限られるものではない。
また、ベルト層6a,6bは、タイヤ赤道面に対して15°〜35°で傾斜して延びるコードのゴム引き層、好ましくは、スチールコードのゴム引き層からなり、2層のベルト層6a,6bは、ベルト層6a,6bを構成するコードが互いに赤道面を挟んで交差するように積層されて、ベルト6を構成する。図示する例では、ベルト6は2枚のベルト層6a、6bからなるが、本発明のタイヤにおいては、ベルトを構成するベルト層の枚数はこれに限られるものではない。さらに、図示はしないが、ベルト6のタイヤ半径方向外側に、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列したコードのゴム引き層からなり、ベルト6の全体を覆うベルト補強層(キャップ層)と、キャップ層の両端部のみを覆う一対のベルト補強層(レイヤー層)とを配置することもできる。
本発明においては、カーカス4を構成するカーカスプライコードとして、2種の有機繊維からなるフィラメントを撚り合わせてなるハイブリッドコードであって、製品タイヤから抜き出した際(タイヤ引抜きコード)の177℃における熱収縮応力(cN/dtex)が、0.10cN/dtex以上であるものを用いる。すなわち、熱収縮応力は高くないが高剛性である有機繊維コードと、剛性は低くても熱収縮応力が高い有機繊維コードとを組み合わせて、所定の高い熱収縮応力を有するハイブリッドコードとすることで、高い熱収縮応力を有し、かつ、初期の剛性の低いコードとすることができ、かかるハイブリッドコードをカーカスプライコードとして用いることで、通常走行時の縦バネを抑えて乗り心地性を良好に保持しつつ、ランフラット走行時のタイヤの撓みを抑制してランフラット走行耐久性を向上させたランフラットタイヤを得ることが可能となったものである。また、本発明によれば、縦バネの低減により、低転がり抵抗化にも寄与できる。さらに、本発明によれば、かかるハイブリッドコードを用いたことで、サイドウォール部における表面歪を抑制して、後述する乱流発生用凸部近傍における耐クラック性の悪化を抑制する効果をも得ることができるものである。
かかるハイブリッドコードのタイヤ引抜きコードとしての177℃における熱収縮応力が0.10cN/dtex未満であると、ランフラット走行耐久性が不十分となる。この熱収縮応力は高いほど良く、例えば、0.12〜0.25cN/dtexである。ここで、タイヤ引抜きコードの177℃における熱収縮応力は、カーカスコードのうちビードコアで挟まれた区間のコードを引抜き、5℃/分の昇温スピードで加熱して、177℃時にコードに発生する応力として得られる。
また、かかるハイブリッドコードとしては、製品タイヤから抜き出した際の、25℃における1%歪時の引張弾性率が45cN/dtex以下、特には18〜35cN/dtexであって、かつ、25℃における3%歪時の引張弾性率が12cN/dtex以上、特には15〜30cN/dtexであることが好ましい。低歪時においては縦バネを小さくしたいので、1%歪時の引張弾性率は、タイヤ引抜きコードで45cN/dtex以下が好適である。これは、例えば、レーヨンの同引張弾性率の値以下に相当する。一方、高歪時においては撓みを抑制する効果を得るために、好適には3%歪時の引張弾性率を、タイヤ引抜きコードで12cN/dtex以上とする。これは、例えば、レーヨンの同引張弾性率の値同等以上に相当する。ここで、ハイブリッドコードの引張弾性率は、JIS−L1013に準じて測定することにより得られる値であり、引張弾性率は任意の歪時の伸度および荷重から算出した値である。
本発明において、かかるハイブリッドコードに用いる2種の有機繊維としては、特に制限されるものではないが、熱収縮応力は高くないが高剛性の繊維として、芳香族ポリアミド(アラミド)や、レーヨンやリヨセル等のセルロース繊維などを挙げることができ、低剛性であるが熱収縮応力が高い繊維として、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)等、ナイロン、ポリケトン(PK)などを挙げることができる。
上記のうちでも、ハイブリッドコードを構成する2種の有機繊維として、好適には、レーヨンやリヨセル等のセルロース繊維と、ナイロンとの組合せを用いる。ハイブリッドコードを構成する2種の有機繊維として、セルロース繊維およびナイロンの組み合わせを用いることで、ディップコード作製時の接着剤として、従来から一般に使用されているレゾルシン・ホルムアルデヒド・ラテックス(RFL)を用いたRFL系接着剤液を使用することができ、1種類の接着剤による処理で接着性を確保できる。PET,PEN,PTTなどのポリエステルまたはアラミドをベースとする有機繊維は、その化学的性質のためにゴムに対する接着性が乏しく、接着を確保するためには、例えば、ブロックドイソシアネートまたはエポキシ樹脂等による前処理が必要とされ、接着剤塗布加工時の工数が多くなってしまう。また、アラミド繊維やポリケトン繊維を使用する場合、セルロース繊維やナイロン繊維に比べ疲労性に劣るので、疲労性を確保するためには、撚り加工で高撚りにしなければならなくなり、撚り加工の工数が増加するだけでなく、ハイブリッドコードにした際の径が太くなりすぎてしまう場合もある。結果として、セルロース繊維およびナイロン以外の他の有機繊維の組合せでは、2種類の接着剤を用いなければ接着性を確保できず、また、2種類の接着剤を用いた場合、ディップ処理の工数が多くなるとともに、2種類の接着剤を混合することで副反応が生ずる可能性があり、いずれにしても、実用上、十分なものではない。
また、ハイブリッドコードを構成する2種の有機繊維として、セルロース繊維およびナイロンの組み合わせを用いる場合、ハイブリッドコードの総dtex数に対するナイロンのdtex数の比率が、17%以上60%以下の範囲であることが好ましい。ナイロンのdtex数の比率が、この範囲より小さいとハイブリッドコードとしての熱収縮応力が小さくなり、この範囲より大きいと引張弾性率が低くなり、いずれも好ましくない。
なお、本発明において、これら有機繊維を用いたハイブリッドコードの熱収縮応力および引張弾性率を調整する方法としては、接着剤処理(ディップ処理)時におけるテンションや温度を制御する方法が挙げられ、例えば、高いテンションを掛けながらディップ処理を行うことで、コードの熱収縮応力の値を大きくすることができる。また、低い温度でディップ処理を行うことで、コードの熱収縮応力の値を大きくすることができる。すなわち、各有機繊維において固有の物性値範囲はあるものの、上記ディップ処理条件を制御することにより、その範囲内で物性値を調整して、所望の物性を有するハイブリッドコードを得ることができるものである。
さらに、本発明においては、上記ハイブリッドコードを構成する2種の有機繊維の下撚り数が30〜60回/10cmであり、該ハイブリッドコードの上撚り数が25〜60回/10cmであることが好ましい。上記ハイブリッドコードの撚り数および上撚り数をこの範囲内とすることで、目的の引張弾性率を実現することができる。
また、本発明においては、上記カーカス4を構成するカーカスプライコードに係る条件に加えて、図1に示すように、接地部およびタイヤにリムを装着した際のリムとの接触部以外の、タイヤ表面の少なくとも一部に、乱流発生用凸部8が配設されていることが重要である。かかる乱流発生用凸部8を設けることで、タイヤ表面からの放熱効果を向上して、ランフラット走行時におけるタイヤの温度上昇を抑制し、カーカス4の周辺温度を、カーカス4を構成する繊維コードが高い熱収縮応力を示す温度付近に維持することが可能となる。その結果、ランフラット走行時における撓み抑制効果を得ることができ、ランフラットタイヤの応急走行寿命をより向上させることが可能となる。一方で、乱流発生用凸部8を設けた場合、局所的な歪の集中による耐クラック性の悪化が問題となるが、本発明においては、前述のハイブリッドコードとの組合せ効果により、耐クラック性の悪化を生ずることがない。
タイヤ表面に乱流発生用凸部8を設けることで、通常はタイヤの回転に伴ってタイヤ周方向に表面上を流れていく空気の流れが、乱流発生用凸部8にぶつかる部分で乱流となってタイヤ表面上を流れ、これによりタイヤ表面との間で積極的な熱交換が行われて、タイヤの放熱を促進させることができることとなる。ここで、図2を用いて、本発明における乱流発生用凸部8による乱流の発生状態につき説明する。図2は、本発明のランフラットタイヤの表面近傍を示す部分断面図である。図示するように、走行時において、乱流発生用凸部8が形成されていない部分のタイヤ表面に接触していた空気の流れS1は、タイヤの回転に伴って、乱流発生用凸部8でタイヤ表面から剥離されて、乱流発生用凸部8を乗り越える。このとき、乱流発生用凸部8の背面側には、空気の流れが滞留する部分(領域)S2が生ずる。その後、空気の流れS1は次の乱流発生用凸部8との間のタイヤ表面で跳ね返って、次の乱流発生用凸部8により再びタイヤ表面から剥離される。この際にも、次の乱流発生用凸部8の背面側には、空気の流れが滞留する部分(領域)S3が生ずることになる。
この際、タイヤの放熱効果を高めるためには、上記により乱流となった空気の流れS1が接触する領域での、S1の速度を速くすることが有利である。かかる観点から、本発明においては、図示するように、乱流発生用凸部8をタイヤ周方向において複数にて配設して、これら乱流発生用凸部8を、乱流発生用凸部8の長手方向の中央にてその幅wを二等分する点の、隣り合う乱流発生用凸部8間での距離をピッチp、乱流発生用凸部8の高さをhとしたときに、1.0≦p/h≦50.0、かつ、1.0≦(p−w)/w≦100.0の関係を満足するよう配置することが好ましい(図2,3参照)。
p/hの値が1.0未満であると、隣り合う乱流発生用凸部8に挟まれたタイヤ表面に空気の流れが入り込まず、一方、50.0を超えると乱流の影響が及ばない領域が発生するため、いずれにしても、乱流発生用凸部8を設けた部分の放熱効率が、設けていない部分と同等になってしまう。p/hの値は、2.0≦p/h≦24.0とすることがより好ましく、さらに好ましくは、10.0≦p/h≦20.0である。
また、本発明において、(p−w)/wは、ピッチpに対する乱流発生用凸部8の幅wの割合を示しており、この値が小さいことは、放熱面に対して乱流発生用凸部8の面積の割合が増大すること、すなわち、放熱面の面積が減少することを意味する。従って、この(p−w)/wの値が1未満であると、放熱面の面積が少なすぎて、放熱効率の十分な向上効果が期待できず、さらに、ゴムの体積が増大することによるゴムの発熱の増大が懸念される。一方、(p−w)/wの値が100.0を超えると、ピッチpに対して幅wが薄くなりすぎて、乱流発生用凸部8に相対して流入衝突する空気の流れS1に対して十分な剛性を維持することができず、乱流発生用凸部8としての役割が不十分となるおそれがある。(p−w)/wの値は、好適には、4.0≦(p−w)/w≦39.0である。
さらに、本発明のタイヤにおいては、乱流発生用凸部8の高さhが0.5mm≦h≦7mmを、幅wが0.3mm≦w≦4mmを、それぞれ満足することが好ましい。高さhが7mmを超え、かつ、幅wが4mmを超えると、乱流発生用凸部8の体積が増大して、乱流発生用凸部8における発熱が増加するとともに、乱流発生用凸部8が表面を覆う面積が増大して、ゴム表面で蓄熱してしまうおそれがある。また、hが0.5mm未満であり、かつ、wが0.3mm未満であると、前述したと同様に、乱流発生用凸部8としての必要な剛性を保てなくなるため、放熱効果が十分に得られなくなるおそれがある。
また、図3に模式的に示すように、本発明のタイヤにおいて、乱流発生用凸部8は、その長手方向aとタイヤ半径方向rとのなす角度θが70°以下となるように配置されていることが好ましい。乱流発生用凸部8が配設されるタイヤ表面の空気の流れは、タイヤが回転することで生ずる遠心力により、わずかにタイヤ半径方向外側に向かっている。そこで、乱流発生用凸部8の長手方向aがタイヤ半径方向rに対しなす角度θを70°以下とすることで、タイヤ表面への空気の流入により、乱流発生用凸部8の背後に生ずる空気の滞留部分S2,S3を低減して、放熱効率を向上させることができる。なお、乱流発生用凸部8の長手方向aは、タイヤ半径方向rを基準にして、片側70°およびもう片側70°の合計140°の範囲にあればよい。
この場合、回転するタイヤの表面においては、そのタイヤ半径方向rの位置によって、空気の流速が異なる。そのため、乱流発生用凸部8をタイヤ半径方向に複数にて配設する場合には、上記角度θを、乱流発生用凸部8のタイヤ半径方向の位置により、乱流発生用凸部8ごとに異なるものとすることが好ましい。
本発明においては、乱流発生用凸部8の形状については特に制限はないが、好適には、図示するように、乱流発生用凸部8が、少なくともタイヤ半径方向内方において、頂部8Aを有するものとする。すなわち、乱流発生用凸部8としては、図1に示すように4箇所の頂部8Aを有する形状の他、頂部8Aにあたる部分がそれぞれ曲面となっているような形状を有するものであってもよいが、少なくともタイヤ半径方向内方において頂部8Aを有するものとすることで、この頂部8Aの周辺に三次元的な空気の流れが発生し、放熱効果がより向上することとなる。
また、本発明においては、乱流発生用凸部8が、長手方向において分割されていることも好ましい。乱流発生用凸部8が長手方向において分割されていると、タイヤ回転時において乱流発生用凸部8の背後に生ずる空気の滞留部分S2,S3が削減されるため、乱流発生用凸部8を設けた部位全体にわたり平均的な放熱が達成できることとなる。なお、この場合の乱流発生用凸部8の分割数は特に限定されず、任意に選択することができる。
さらに、本発明のタイヤにおいて、乱流発生用凸部8がタイヤ周方向および半径方向にそれぞれ複数にて配設されている場合には、乱流発生用凸部8のタイヤ周方向における設置頻度が、タイヤ半径方向の位置により異なることが好適である。回転するタイヤの表面においては、その半径方向の位置によって空気の流速が異なる。また、放熱効率はタイヤ表面上を流れる空気の流速に依存する。従って、乱流発生用凸部8をタイヤ周方向および半径方向にそれぞれ複数個設置し、乱流発生用凸部8のタイヤ周方向における設置頻度、すなわち設置個数を、タイヤ半径方向によって変化させることで、タイヤの表面におけるタイヤ半径方向位置の違いによる放熱効率の不均一性が解消できる。
本発明のランフラットタイヤにおいては、上記カーカスプライコードおよび乱流発生用凸部に係る条件を満足することのみが重要であり、それ以外のタイヤ構造の詳細や各部材の材質などについては特に特に制限されず、従来公知のもののうちから適宜選択して構成することができる。
例えば、本発明のタイヤにおいて、トレッド部3の表面には適宜トレッドパターンが形成されており、最内層にはインナーライナー(図示せず)が形成されている。また、本発明のタイヤにおいて、タイヤ内に充填する気体としては、通常の又は酸素分圧を変えた空気、もしくは窒素等の不活性ガスを用いることができる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
図1に示す、タイヤ表面に乱流発生用凸部が配設されたサイド補強タイプのランフラットタイヤを、タイヤサイズ245/40R18にて、下記表中に示す条件を満足する繊維コードをカーカスプライコードとして用いて作製した。下記表に示すカーカスプライコードの熱収縮応力および弾性率の値は、ディップ処理時のテンションおよび温度を制御することにより調整した。また、ハイブリッドコードの接着剤としてはRFL系接着剤を用いた。カーカスプライは2枚とし、そのトリート打込数は同等とした。また、カーカスのクラウン部のタイヤ半径方向外側には、タイヤ赤道面に対して±26°の角度で2枚のベルト層からなるベルトを配置した。
乱流発生用凸部の配置条件としては、幅w:1(mm)、ピッチp:24(mm)、高さh:2(mm)、p/h:12、(p−w)/w:23、タイヤ半径方向とのなす角度θ:0°とした。また、サイドゴムのゲージは、比較例1および実施例1を100とする指数にて表記した。比較例2および実施例2は、サイドゴムのゲージをそれぞれ比較例1および実施例1の50%としたものである。得られた各供試タイヤにつき、通常走行時の縦バネ、タイヤ重量、ランフラット耐久性および耐クラック性を、下記に従い評価した。その結果を、下記表中に併せて示す。
<通常走行時の縦バネ>
各供試タイヤに230kPaの内圧を充填して荷重−撓み曲線を作成し、得られた荷重−撓み曲線上のある荷重における接線の傾きをその荷重に対する縦バネ定数とし、比較例1のタイヤの縦バネ定数の値を100として指数表示した。指数値が大きいほど、縦バネ定数が大きいことを示す。したがって、指数値が小さいほど乗り心地性は良好である。
<タイヤ重量>
各供試タイヤの重量を、比較例1のタイヤの重量を100として指数表示した。指数値が小さいほど、軽量であって好ましい。
<ランフラット耐久性>
各供試タイヤに内圧を充填することなく、荷重4.17kN、速度89km/h、温度38℃の環境下でドラム試験を行い、タイヤが故障に至るまでの走行距離を測定して、比較例1のタイヤの故障に至るまでの走行距離を100として指数表示した。指数値が大きいほど、故障に至るまでの走行距離が長く、ランフラット耐久性に優れることを示す。
<耐クラック性>
各供試タイヤに内圧150kPaを充填して、荷重800kgの条件下でドラム走行させ、1時間毎にドラムを停止し、クラックの発生の有無につき確認した。最初にクラックが発生した走行距離を、比較例1の走行距離を100として指数表示した。指数値が大きいほど、クラックが発生するまでの走行距離が長く、耐クラック性に優れることを示す。
Figure 0005778930
Figure 0005778930
上記表中の結果からわかるように、本発明に係る条件を満足するハイブリッドコードを適用するとともに乱流発生用凸部を設けた各実施例のランフラットタイヤにおいては、通常走行時の縦バネを抑制しつつランフラット走行耐久性を向上させることができ、耐クラック性についても良好に確保できることが確かめられた。
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 カーカス
5 サイド補強ゴム層
6 ベルト
6a,6b ベルト層
7 ビードコア
8 乱流発生用凸部
8A 頂部

Claims (6)

  1. 左右一対のビード部と、該ビード部から夫々タイヤ半径方向外側に連なる一対のサイドウォール部と、該一対のサイドウォール部間に跨って延び接地部を形成するトレッド部とを有し、前記一対のビード部間にトロイド状に延在してこれら各部を補強する一枚以上のカーカスプライからなるカーカスと、前記サイドウォール部において該カーカスの内側に配置された断面三日月状のサイド補強ゴム層と、を備えるランフラットタイヤにおいて、
    前記カーカスを構成するカーカスプライコードが、2種類の有機繊維からなるフィラメントを撚り合わせてなるハイブリッドコードであり、製品タイヤから抜き出した該ハイブリッドコードの177℃における熱収縮応力(cN/dtex)が0.16〜0.25cN/dtexであり、かつ、
    前記接地部およびタイヤにリムを装着した際のリムとの接触部以外の、タイヤ表面の少なくとも一部に、乱流発生用凸部が配設されていることを特徴とするランフラットタイヤ。
  2. 前記ハイブリッドコードを構成する2種の有機繊維が、芳香族ポリアミド、セルロース繊維、ポリエステル、ナイロンおよびポリケトンからなる群から選択される請求項1記載のランフラットタイヤ。
  3. 前記ハイブリッドコードを構成する2種の有機繊維が、セルロース繊維およびナイロンである請求項2記載のランフラットタイヤ。
  4. 製品タイヤから抜き出した前記ハイブリッドコードの、25℃における1%歪時の引張弾性率が45cN/dtex以下であって、かつ、25℃における3%歪時の引張弾性率が12cN/dtex以上である請求項1〜3のうちいずれか一項記載のランフラットタイヤ。
  5. 前記乱流発生用凸部がタイヤ周方向において複数にて配設され、該乱流発生用凸部の長手方向の中央にてその幅wを二等分する点の、隣り合う該乱流発生用凸部間での距離をピッチp、該乱流発生用凸部の高さをhとしたときに、1.0≦p/h≦50.0、かつ、1.0≦(p−w)/w≦100.0の関係を満足する請求項1〜4のうちいずれか一項記載のランフラットタイヤ。
  6. 前記乱流発生用凸部の長手方向と、タイヤ半径方向とのなす角度θが70°以下である請求項1〜5のうちいずれか一項記載のランフラットタイヤ。
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