JP2012030740A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】空気入りラジアルタイヤ10は、2層のベルト層22と、このベルト層22の最上層上に少なくとも1層設けられたベルト補助補強層24とを備える。ベルト層22の少なくとも1層は、アラミド繊維とナイロン繊維からなる複合繊維コードを備えるものである。ベルト補助補強層24は、有機繊維コードを備えるものであり、かつ各ベルト補助補強層24は、それぞれ1層でベルト層22全域を一重に覆うように設けられている。
【選択図】図1
Description
また、前記ベルト補助補強層の前記有機繊維コードは、断面積(mm2)、前記有機繊維コードの2%伸張時の弾性率(N/mm2)、および前記ベルト補助補強層における前記有機繊維コードの打ち込み本数(本/50mm)の積により表される引張剛性G(N・本/50mm)が、20000≦G≦180000であることが好ましい。
図1は、本発明の実施形態に係る空気入りラジアルタイヤの子午線CLに対して右半分の断面形状を示す断面図である。
なお、以下の説明において、図1中に矢印で示すように、タイヤ幅方向とは、タイヤの回転軸(図示せず)と平行な方向をいい、タイヤ径方向とは、回転軸と直交する方向をいう。また、タイヤ周方向とは、回転軸を回転の中心となる軸として回転する方向をいう。さらに、タイヤ内側とは、タイヤ径方向において図1中タイヤの下側、すなわちタイヤに所定の内圧を与える空洞領域Rに面するタイヤ内面側をいい、タイヤ外側とは、図1中タイヤの上側、すなわちタイヤ内周面と反対側の、ユーザが視認できるタイヤ外面側をいう。
本実施形態においては、内側ベルト層40及び外側ベルト層42は、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、その補強コードが層間で互いに交差するように配置されている。内側ベルト層40及び外側ベルト層42は、それぞれ補強コードがコードコーティングゴムで被覆して構成されている。
内側ベルト層40及び外側ベルト層42は、補強コードのタイヤ周方向に対するコード角度が、例えば、24〜35°であり、好ましくは27〜33°である。これにより、高速耐久性と耐フラットスポット性とをバランスよく向上させることができる。
本実施形態においては、内側ベルト層40の補強コードがスチールコードにより構成され、外側ベルト層42の補強コードが上述の複合繊維コードにより構成されている。
なお、内側ベルト層40の補強コードが上述の複合繊維コードにより構成され、外側ベルト層42の補強コードがスチールコードにより構成されてもよい。また、内側ベルト層40および外側ベルト層42のいずれの補強コードも上述の複合繊維コードにより構成されてもよい。
また、複合繊維コードを構成するアラミド繊維には、例えば、芳香族ポリアミド繊維が用いられ、同じく複合繊維コードを構成するナイロン繊維には、例えば、ナイロン66繊維、ナイロン46繊維が用いられる。
このベルト補助補強層24は、補強コードとして有機繊維コードが、タイヤ周方向に螺旋状に配置されており、これらの有機繊維コードがコードコーティングゴムで被覆して構成されている。
ベルト補助補強層24は、1層だけ設けられていれば、全体が単層構造であり、タイヤ幅方向における端部24aが折り曲げられるものではなく、端部24aも1層構造で局所的に多層になることはない。このため、例えば、ベルト補助補強層24が1層の場合、ベルト層22の端部βを2重に覆うことはない。このようにベルト補助補強層24は、1層でベルト層22全域を一重に覆っている。
また、ビード部18には、タイヤ周方向に対して傾斜する補強コードを含むサイド補強層26が埋設されている。
なお、サイド補強層26の他端部Cは、カーカス層20の本体部20aとビードフィラー6との間の、ビードコア28近傍に存在する。なお、サイド補強層26は、ビード部18では、カーカス層20の折り返し部20bとビードコア28及び/又はビードフィラー30との間に、サイドウォール部16では、本体部20aと折り返し部20bとの間に配置されていても良いし、ビード部18では、折り返し部20bのタイヤ幅方向外側に、サイドウォール部16では、本体部20aの外側に配置されていても良い。さらに、これらを組み合わせて配置しても良い。
さらに、サイド補強層26を設ける領域を補強コードの種類に応じて変えても良い。例えば、サイド補強層26の補強コードとして、従来公知のスチールコードを用いる場合には、ビードフィラー30とカーカス層20の折り返し部20bとの間にサイド補強層26を配置するのが好ましく、有機繊維コードを用いる場合には、ビードコア28及びビードフィラー30を包み込むようにサイド補強層26を配置するのが好ましい。
一方、ベルト層22の複合繊維コードにおいて、13.0(cN/dtex)を超える強度Sにするためには、コードの撚り数を少なくしたり、複合繊維コードを太くする必要がある。しかし、コードの撚り数が少なすぎると、コード疲労性が低下することもあり、耐久性能が低下することがある。また、複合繊維コードが太すぎると、ベルト層22が厚くなることもあり、転がり抵抗低減の効果が小さくなることがある。
なお、強度Sは、JlS L1017化学繊維タイヤコード試験法に準拠して測定する。強度Sを測定する場合、タイヤ10のベルト層22から採取した複合繊維コードが吸湿しないように、採取後すぐに、例えば、1分以内に測定を行う。
一方、ベルト層22の複合繊維コードにおいて、2.0cN/dtexでの伸び率E(%)が5.0(%)より大きい場合、ベルト層22の端部βでのタガ効果が小さくなるため、耐久性能が低下する。
本発明において、2.0cN/dtexでの伸び率E(%)は、タイヤ10のベルト層22から採取した複合繊維コードが吸湿しないように、採取後すぐに、例えば、1分以内に、JIS L 1017,8.7一定荷重時伸び率a)標準時試験に準拠して測定したものである。
一方、ベルト層22の複合繊維コードにおいて、総繊度Dが5000(dtex)より大きい場合、ベルト層22が厚くなり、転がり抵抗低減の効果が小さい。
なお、本発明において、2%伸張時の弾性率M(N/mm2)は、タイヤ10のベルト層22から採取した複合繊維コードが吸湿しないように、採取後すぐに、例えば、1分以内に、JIS L 1017準拠した測定により求めた応力−歪曲線において、歪が0%の点と2%の点とを直線で結び、その直線の傾きから求めた弾性率とした。
一方、ベルト補助補強層24において、有機繊維コードの引張剛性Gが180000(N・本/50mm)より大きい場合、トレッド部の剛性が大きくなりすぎ、接地形状が丸くなるため、転がり抵抗が大きくなる。
更には、補強コードに有機繊維コードを用いたベルト補助補強層24を少なくとも1層、ベルト層22全域を覆うようにして設けることによって、曲げ剛性の低下(コーナリングパワーの低下)を抑制し、更なる剛性の確保とトレッド部全域での剛性差をなくして、転がり抵抗を小さくすることができる。
なお、第1のプライ52および第2のプライ54には、ベルト補助補強層24と同じ有機繊維コードが用いられる。
また、図2(b)に示すベルト補助補強層50のように2層構造の場合、例えば、内側ベルト層40および外側ベルト層42は、いずれも補強コードが上述の複合繊維コードにより構成される。
本実施例においては、下記表1に示す構成の実施例1〜6、比較例1および比較例2のタイヤを作製し、各タイヤについて、転がり抵抗性能、突起乗越し耐久性能および高速耐久性能を評価した。転がり抵抗性能、突起乗越し耐久性能および高速耐久性能の結果を下記表1に示す。なお、各タイヤのタイヤサイズは195/65R15である。
下記表1の「ベルト層」の欄において「SHA」は、ベルト層が、スチールコードの層と、アラミドとナイロンの複合繊維コードの層の構成であることを示し、「SA」は、ベルト層が、スチールコードの層と、アラミドコードの層の構成であることを示す。
なお、実施例1〜6、比較例1および比較例2においては、下側、すなわち、ベルト側がスチールコードの層である。
また、下記表1の「コード構造」の欄において、「A1670/2」は、繊度が1670dtexのアラミド繊維を双撚りしたものを示す。
下記表1の「コード構造」の欄において、「/1×2」は、片撚りのものを2本撚ったものを示し、「/1×3」は、片撚りのものを3本撚ったものを示す。
下記表1の「2.0cN/dtexでの伸び率E(%)」は、タイヤから採取したベルト層の各コードが吸湿しないように採取後、1分以内に、JIS L 1017,8.7一定荷重時伸び率a)標準時試験に準拠して測定したものである。
下記表1の「コードの2%弾性率M(N/mm2)」は、上述の2%伸張時の弾性率M(N/mm2)と同じである。この下記表1の「コードの2%弾性率M(N/mm2)」は、タイヤから採取したベルト層の各コードが吸湿しないように採取後、1分以内に、JIS L 1017準拠した測定により求めた応力−歪曲線において、歪が0%の点と2%の点とを結んだ直線の傾きから求められた弾性率のことである。
まず、実施例1〜6、比較例1および比較例2の各タイヤを、リムサイズが15×6JJのリムに組み込み、試験内圧230kPaでインフレートさせる。その後、各タイヤについて、ドラム表面が平滑な鋼性で、かつ直径1707mmの室内ドラム式タイヤ転動抵抗試験機を用い、周辺温度を38±3℃に制御し、各タイヤに荷重4kNを与え、速度80km/hで走行させたときの転がり抵抗値を測定した。
なお、下記表1に示す「転がり抵抗性能」の欄の数値は、比較例1を100とする指数で示しており、この数値が小さいほど転がり抵抗性能が優れていることを示す。
まず、実施例1〜6、比較例1および比較例2の各タイヤを、サイズが15×6JJのリムに組み込み、試験内圧350kPaでインフレートさせる。その後、ドラム表面に3本の突起が付いた直径1707mmのドラム試験機を用い、周辺温度を38±3℃に制御し、各タイヤについて、JATMAで規定された最大荷重150%の荷重を与え、速度60km/hでタイヤが破壊するまでドラム走行を続けた。
なお、下記表1に示す「突起乗り越し耐久性能」の欄の数値は、比較例1を100とする指数で示し、数値が大きいほど耐久性能が向上していることを示す。
まず、実施例1〜6、比較例1および比較例2の各タイヤを、サイズが15×6JJのリムに組み込み、試験内圧260kPaでインフレートさせる。その後、ドラム表面が平滑な鋼性でかつ直径1707mmのドラム試験機を用い、周辺温度を38±3℃に制御し、各タイヤについて、JATMAで規定された最大荷重80%の荷重を与え、速度170km/hで1時間走行させる。以降10分毎に速度を10km/hずつステップアップさせながらタイヤが破壊するまでドラム走行を続けた。
なお、下記表1に示す「高速耐久性能」の欄の数値は、比較例1を100とする指数で示し、数値が大きいほど耐久性能が向上していることを示す。
また、実施例5および実施例6は、実施例2に比して引張剛性Gが好ましい範囲から外れている。このため、実施例5は、転がり抵抗が実施例2によりも若干大きくなった。しかしながら、実施例5は、比較例1および比較例2よりも転がり抵抗が小さく、しかも突起乗越し耐久性能および高速耐久性能が優れている。このように、実施例5は、突起乗越し耐久性能および高速耐久性能等の耐久性能を維持しつつ、転がり抵抗性能が高いものであった。
実施例6は、突起乗越し耐久性能および高速耐久性能が実施例2によりも若干悪くなったものの、比較例1および比較例2よりも突起乗越し耐久性能および高速耐久性能は優れており、しかも転がり抵抗が小さい。このように、実施例6は、突起乗越し耐久性能および高速耐久性能等の耐久性能を維持しつつ、転がり抵抗性能が高いものであった。
比較例2は、ベルト層補助補強層の構成がフルカバーではない。このため、曲げ剛性の低下(コーナリングパワーの低下)を抑制することができず、実施例1〜6のいずれよりも転がり抵抗が大きく、しかも突起乗越し耐久性能および高速耐久性能が悪い。
12 トレッド部
14 ショルダー部
16 サイドウォール部
18 ビード部
20 カーカス層
22 ベルト層
24、50 ベルト補助補強層
26 サイド補強層
28 ビードコア
30 ビードフィラー
32 トレッドゴム層
34 サイドウォールゴム層
36 リムクッションゴム層
38 インナーライナゴム層
40 内側ベルト層
42 外側ベルト層
52 第1のプライ
54 第2のプライ
Claims (3)
- 2層のベルト層と、このベルト層の最上層上に少なくとも1層設けられたベルト補助補強層とを備える空気入りラジアルタイヤであって、
前記ベルト層の少なくとも1層は、アラミド繊維とナイロン繊維からなる複合繊維コードを備えるものであり、
前記ベルト補助補強層は、有機繊維コードを備えるものであり、かつ各ベルト補助補強層は、それぞれ1層で前記ベルト層全域を一重に覆うように設けられていることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。 - 前記ベルト層の前記複合繊維コードは、強度S(cN/dtex)が9.0≦Sであり、2.0cN/dtexでの伸び率Eが2.5≦E≦5.0であり、かつ総繊度D(dtex)が2000≦D≦5000である請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記ベルト補助補強層の前記有機繊維コードは、断面積(mm2)、前記有機繊維コードの2%伸張時の弾性率(N/mm2)、および前記ベルト補助補強層における前記有機繊維コードの打ち込み本数(本/50mm)の積により表される引張剛性G(N・本/50mm)が、20000≦G≦180000である請求項1又は2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
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