JP5778057B2 - 鉄道車両の車体制御装置 - Google Patents
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こうした重大な鉄道事故を防止するため、下記特許文献1には、プラットホーム上に柵と車両の乗降口に対応する位置に可動式の扉を設け、プラットホームに車両が停車していない際は扉を閉めることで転落防止を図ることが記載されている。
さらに下記特許文献3には、車体の乗降口下部に可動式のステップを設け、プラットホームに車両が停車した際に、可動式のステップがプラットホームと車両の間隔を埋めることで、転落防止を図ることが示されている。
上記特許文献2では、プラットホームに設置された可動式ステップによって乗降時にプラットホームと車両の間隔へ乗降客が転落することを防いでいるが、プラットホームに設置されたステップの位置に対応する乗降口を持たない車両が停車した場合は、乗降口にステップがないため、転落防止の効果を発揮する車両が限定されてしまう。
(1)前後の台車と、前記台車上に設置される車体と、前記台車のそれぞれと前記車体の間に配置され、該車体を進行方向に対し左右方向に移動させるアクチュエータとを備え、プラットホームと前記車体の間隔情報に基づいて、前記プラットホームと前記車体との間隔を前記アクチュエータによって制御する鉄道車両の車体制御装置であって、前記プラットホームと前記車体との間隔を計測するセンサを、前記車体の側面部において、前記車体の側面部の進行方向に沿って、前端付近、中央付近、後端付近にそれぞれ設け、各センサが計測した間隔情報に基づき、前記プラットホームが直線プラットホーム、中央部付近の間隔が狭い凸型プラットホーム、中央部の間隔が広い凹型プラットホームのいずれであるかを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に応じて、前記センサそれぞれが計測する間隔情報の目標値を定め、各間隔情報が当該目標値となるよう、前記アクチュエータそれぞれの制御量を決定する制御装置を設けるようにした。
なお、図3に示されるように、鉄道車両の進行方向からみて、前方側の車体101F、後方側の車体101Rは、それぞれ、前後の台車102F、102Rの上部に載せられており、それぞれの台車に、車体をホーム側へ移動させるためのアクチュエータ103F、103R、車体を移動可能に支持するダンパ109F、109Rが設けされており、制御装置104は両アクチュエータ103F、103Rを個別に、あるいは同一の制御量で共通に制御を行う。
これらのアクチュエータ103及びダンパ109については、走行中の左右方向の揺れを抑制するアクティブサスペンションを備えた鉄道車両の場合は、アクティブサスペンション用のアクチュエータ及びダンパを利用することができる。
停車するすべての駅のプラットホーム106の高さが同じであり、側面形状に凹凸がなければ距離センサ201を1つ設置するだけでよいが、駅によって鉄道車両に対するプラットホーム106の高さが異なっていたり、プラットホーム106の端面形状に凹凸がある場合もあることから、この実施例では、上下方向に4個の距離センサ201−1〜201−4が設けられている。
このように上下方向に複数の距離センサを設置するのに代え、プラットホーム106の端面と車体101の側面との最短距離を測定するため、1個の距離センサ201を垂直方向へ移動あるいは回転させることにより、時間差でプラットホーム106の端面と車体101の側面との距離を計測させ、距離センサ201を複数設置した場合と同等の機能を実現させてもよい。
さらに、プラットホーム106の進行方向に沿って、最も突出した側面箇所に複数の距離センサを配備し、これを集約して地上装置から無線により間隔情報を鉄道車両に送信するようにしてもよい。
この例では、鉄道車両は、車体101毎に進行方向からみて前端付近、中央付近及び後端付近に、3組のセンサ105F、105M、105Rが設けられており、前述のように各センサはそれぞれ上下方向に4個配列された距離センサから構成されている。
図3は、一例として、後方側の車体101Rが線路軌道及びプラットホームが直線状の直線プラットホーム301に停車し、前方側の車体101Fが線路軌道及びプラットホームが曲線状の曲線プラットホーム302を有するプラットホームに鉄道車両が停車している状態を示している。
なお、曲線プラットホーム302が車体に対し凹型となっている場合は、間隔情報107F、107Rが最小となるため、これらが0となって、車体101の前方部あるいは後方部が直線プラットホーム301の端面に接触しない範囲で、間隔情報107Mが最小の値となるよう、アクチュエータ103F、103Rを、車体前後において同距離に接近させるように制御すればよい。
よって本実施例では図3のように、各車両の両側に、片側あたり車体の中央部に1箇所、車体の両端に2箇所、すなわち片側あたり3箇所、両側で計6箇所にセンサ105を設置した場合について以下に説明する。
図4は手順の流れを示したフローチャート図である。
鉄道車両がプラットホーム106へ進入し、停車したことを検知すると、制御装置104は車体101両面のすべてのセンサ105から間隔情報107を得る。
図2に示されるセンサ105により、最短の間隔情報107を制御装置104へ与える方法について述べる。
この例では、プラットホーム106側面部に凸があるため、距離2〜4の中で凸部との距離3が最短距離となる。
複数の距離センサ201−1〜201−4によって得られる距離1〜4は集約装置202へ与えられ、集約装置202は各距離の値を比較し、その中から最短距離である距離3を間隔情報107として制御装置104へ与える。
なお、プラットホーム106が車体101のどちら側にあるのかの情報を、地上に設置された無線送信装置から制御装置104に接続された無線受信器装置を経由して送信するようにすれば、上述のプラットホームの位置判定を行う必要はない。
図3の間隔情報107F、107M、107Rを用いる場合の目標値設定の手順を図5のフローチャートで示す。
ここで、センサ105F、105M、105Rにより検出される間隔情報107F、107M、107Rをそれぞれa、b、cとすると、制御装置104は、長手方向の前端付近、中央付近、後端付近に設置された各位置の間隔情報a、b、cについて、中央付近の間隔情報bから前端付近の間隔情報aを減算した値と、中央付近の間隔情報bから後端付近の間隔情報cを減算した値の絶対値がともに閾値より小さければ直線プラットホーム301であると判断する。
また、間隔情報bから間隔情報aを減算した値と、間隔情報bから間隔情報cを減算した値のいずれかが閾値以上であり、各間隔情報の中で最大値が中央付近の間隔情報bである場合は、プラットホーム106と車体101の中央部の間隔が広い凹型のプラットホームであると判断する。
このように目標値を設定することでプラットホーム106と車体101側面は衝突しないオフセット値分の間隔がある状態となる。
なお、制御装置104は、中央部の間隔情報bが最小値となるよう、アクチュエータ103F、103Rに対し、同じ制御量108でフィードバックするようにしてもよいし、例えば、乗降口が、車体101の前方付近に配置されている鉄道車両の場合には、間隔情報bが0とならない範囲で前端付近の間隔情報aを優先に小さくするような目標値a’、b’、c’を設定することも可能である。ただし、その際には、後続車両の車体101の乗降口位置も考慮した総合的な制御を行うことが必要である。
このようにして、制御装置104は各位置の間隔情報a、b、cの値が、目標値となるように2つのアクチュエータ103へ制御量108を与える。間隔情報a、b、cは、アクチュエータ103F、103Rを制御している間も制御装置104へ与えられ、目標値と比較し、目標値に到達するまでアクチュエータ103へ制御量108を与える。目標値に到達し、アクチュエータ103が静止したら間隔の制御が完了したと判断する。
乗客の乗降が完了し、ドアが閉まったら車体101を停車時点の位置へ戻すように制御装置104はアクチュエータ103へ制御量108を与える。停車時点の車体101の位置へ戻りアクチュエータ103が静止したら、鉄道車両は発車する。
そこで、線路軌道が直線の場合は、1車両の片側あたり1箇所のみ、両側で計2箇所設置した構成とする。
間隔情報107からプラットホーム106が車体101のどちら側にあるのかを判断する手順について述べる。左側に設置されたセンサ105による間隔情報と右側に設置されたセンサによる間隔情報の値を比較し、小さい値を持つ側にプラットホーム106があると判断する。また、2つの差がある閾値以内であった場合は、プラットホーム106が両側にあると判断し、車体101の制御は行わない。
上記の手順でプラットホーム106側へ車体101を制御することにより、プラットホーム106と車体101の間隔を狭めることができ、間隔へ人が転落することを抑制することができる。
乗客の乗降が完了し、ドアが閉まったら車体101を停車時点の位置へ戻すように制御装置104はアクチュエータ103F、103Rへ同じ制御量108を与える。
それ以外の構成は上記の実施例と同様である。
記憶装置106は鉄道車両側に設置され、制御装置104に接続されているが、記憶装置106を地上側に設置して、無線送信装置から制御装置104に接続された無線受信器装置を経由して、制御装置104に記憶された間隔データを伝送するようにしてもよい。
鉄道車両は運転士の操作や自動運転等によってプラットホーム106に停車されるが、一般的には定点停止位置にまったくずれることなく停止することは困難であり、停止位置に誤差が発生する。
許容し得る停止位置の範囲は予め決められており、例えば前後50cm以内など、停止位置範囲外に停車した場合は、再び鉄道車両を前後に移動させ停止位置範囲内に停車する。
このため、定点停止位置からずれてしまい、プラットホーム106と車体101の実際の間隔と記憶装置601に記憶された間隔データとの間に誤差が生じても、最大のずれには上限があるので、定点停止位置の許容誤差範囲内におけるプラットホーム106と車体101の最小間隔データを記憶装置601に持つことで対応する。
図7は手順の流れを示したフローチャート図である。
鉄道車両がプラットホーム106へ進入し、停車したことを検知すると、制御装置104は記憶装置601よりプラットホーム106がどちら側にあるのかの情報を得て、プラットホーム106が右側にあるのか、左側にあるのか、両側にあるのか判断する。プラットホーム106が右側または左側にある場合は車体の制御を行い、両側にある場合は車体の制御を行わない。
また、定点停車位置前後のずれがこの閾値を超える場合は、記憶されている間隔情報のうち最小間隔を間隔情報107として記憶装置601より得る。得られた間隔情報107より、制御装置は実施例1の目標値決定の手順と同様に目標値を決定する。
制御装置104は目標値となるように2つのアクチュエータ103F、103Rへの制御量108を決定し与える。アクチュエータ103の制御が完了し、車体101が静止したら制御が完了したと判断する。
乗客の乗降が完了し、ドアが閉まったら車体101を停車時点の位置へ戻すように制御装置104はアクチュエータ103へ制御量108を与える。停車時点の車体101の位置へ戻りアクチュエータ103の制御が完了したら、鉄道車両は発車する。
なお、鉄道車両が定点停車位置から停止許容誤差範囲の上下限に到るまで、各停車位置毎に、プラットホーム106との間隔を連続的に計測し、これを記憶装置601に位置情報と関連させてデータベース化し、実際の鉄道車両の停車位置情報に基づいて、これを読み出すようにしてもよい。
102 台車
103 アクチュエータ
104 制御装置
105 センサ
106 プラットホーム
107 間隔情報
108 制御量
109 ダンパ
201 距離センサ
202 集約装置
301 直線プラットホーム
302 曲線プラットホーム
601 記憶装置
Claims (2)
- 前後の台車と、前記台車上に設置される車体と、前記台車のそれぞれと前記車体の間に配置され、該車体を進行方向に対し左右方向に移動させるアクチュエータとを備え、プラットホームと前記車体の間隔情報に基づいて、前記プラットホームと前記車体との間隔を前記アクチュエータによって制御する鉄道車両の車体制御装置であって、
前記プラットホームと前記車体との間隔を計測するセンサを、前記車体の側面部において、前記車体の側面部の進行方向に沿って、前端付近、中央付近、後端付近にそれぞれ設け、各センサが計測した間隔情報に基づき、前記プラットホームが直線プラットホーム、中央部付近の間隔が狭い凸型プラットホーム、中央部の間隔が広い凹型プラットホームのいずれであるかを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に応じて、前記センサそれぞれが計測する間隔情報の目標値を定め、各間隔情報が当該目標値となるよう、前記アクチュエータそれぞれの制御量を決定する制御装置を設けたことを特徴とする鉄道車両の車体制御装置。 - 請求項1において、前記センサを、前記車体の側面部において、垂直方向に複数配置することを特徴とする鉄道車両の車体制御装置。
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