JP5776902B2 - スパッタリングターゲット及びその製造方法 - Google Patents
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Description
また、Mo電極層をスパッタ成膜した後に、この層を高温にて低圧Se雰囲気に暴露させることでMoSe2層を形成する技術も提案されている(特許文献2参照)。
NaをCIGS膜に添加するため、予めNaを含有したMo電極層を形成することが提案されている。このNa含有Mo電極層をスパッタ成膜するために、特許文献3には、Naを添加したMo系スパッタリングターゲットを用いることが提案されている。このMo系スパッタリングターゲットは、NaF粉末とMo粉末との焼結体から構成されている。
すなわち、特許文献2及び3に記載の技術では、MoSe層をCIGS膜形成過程の熱処理時に副次的に形成するか、Mo電極層を高温低圧のSe雰囲気に暴露することでMoSe層を形成しているが、これらの製法の場合、一定の膜厚で安定したMoSe層を得ることが困難であるため、スパッタリングターゲットを用いてスパッタ成膜することも検討されている。従来、例えば特許文献4に記載されているように、MoSe2膜をスパッタ成膜可能なスパッタリングターゲットが知られている。しかしながら、MoSe2は、層状構造の組織を有しているため、焼結体とした際にひび割れが生じ易く、割れ易いという不都合があった。このため、スパッタリングターゲットのハンドリングが困難になり、スパッタができないおそれもあった。
なお、Na含有量がNa:10wt%を超えると、膜中にフッ素(F)あるいは硫黄(S)が大量に取り込まれ、後の太陽電池製造工程で除去することが困難となり、同時に膜中のNa量も多く含有され過ぎることから、Mo−MoSe−CIGS界面で剥がれが発生し、発電特性を劣化させるためである。また、Na含有量が0.05wt%より少ないと、MoSe2ターゲットに割れが発生してしまうためである。
半導体のMoSe2ターゲットに絶縁性の化合物であるNaF,Na2S,Na2Seを添加したことで、従来のMoSe2ターゲットと同様にRFスパッタを行おうとすると、NaF,Na2S,Na2Seに起因する異常放電が多発する。こうした異常放電を抑制すべく、本発明のスパッタリングターゲットでは、ターゲット素地中のNaF,Na2S,Na2Seの粒子サイズを最適化することで、従来のMoSe2ターゲットと同様のRFスパッタを可能にした。
すなわち、本発明のスパッタリングターゲットでは、ターゲット素地中にNaF,Na2S,Na2Seが分散している組織を有すると共に、NaF,Na2S,Na2Seの平均粒径を5μm以下にすることで、NaF,Na2S,Na2Seによる異常放電を抑制して安定したRFスパッタが可能になる。含有するNaF,Na2S,Na2Seは絶縁物であるため、平均粒径が5μmを越えると、異常放電が多発し、RFスパッタが不安定になる。したがって、本発明では、NaF,Na2S,Na2Seの平均粒径を5μm以下に設定することで、異常放電が抑制され、安定したRFスパッタが可能になる。
すなわち、このスパッタリングターゲットの製造方法では、NaF,Na2S,Na2Seから選ばれる1種以上の化合物粉末とMoSe2粉末との混合粉末、NaF,Na2S,Na2Seから選ばれる1種以上の化合物粉末とMo粉末とSe粉末との混合粉末、又はNaF,Na2S,Na2Seから選ばれる1種以上の化合物粉末とMoSe2粉末とに加えMo粉末とSe粉末とから選択される1種類以上の粉末との混合粉末からなる成形体を、真空中、不活性ガス中または還元性雰囲気中で加圧焼結または常圧焼結する工程を有しているので、NaをNaF,Na2S,Na2Se化合物の形で均一に分散分布させたMoSe系スパッタリングターゲットを得ることができる。
すなわち、本発明に係るスパッタリングターゲット及びその製造方法によれば、スパッタリングターゲットのFおよびSを除く金属成分として、Se:53〜65wt%、Na:0.05〜10wt%を含有し、残部がMo及び不可避不純物からなる成分組成を有し、NaがNaF,Na2S,Na2Se化合物の状態で含有されているので、ひび割れ等を抑制することができる。また、その粒径が5μm以下であればスパッタリング時の異常放電を低減することもできる。したがって、このスパッタリングターゲットを用いたスパッタ法により、発電効率の向上に有効なNaを含有したMoSe膜を良好な生産性により成膜することができる。また、本発明のスパッタリングターゲットを用いてスパッタ成膜したNa含有MoSe膜を用いることで、CIGS薄膜型太陽電池における光吸収層へNaを効率的に添加することができ、発電効率の高い太陽電池を製造することが可能となる。
まず、NaF,Na2S,Na2Seから選ばれる1種以上の化合物粉末とMoSe2粉末との混合粉末、NaF,Na2S,Na2Seから選ばれる1種以上の化合物粉末とMo粉末とSe粉末との混合粉末、又はNaF,Na2S,Na2Seから選ばれる1種以上の化合物粉末とMoSe2粉末とに加え、Mo粉末とSe粉末とから選択される1種類以上の粉末との混合粉末を予め用意し、以下の3つの焼結方法で製造することができる。
2.混合粉末を真空または不活性ガス雰囲気中で100〜200℃の温度範囲内でホットプレスする。
3.混合粉末をHIP法で温度:100〜200℃、圧力:30〜150MPaにて焼結する。
(1)NaF,Na2S,Na2Se化合物は、純度2N以上であり、ターゲット中の酸素含有量を低減にするために、NaF,Na2S,Na2Se化合物中の吸着水分を混合する前に予め取り除く必要がある。例えば、真空乾燥機中で真空環境にて120℃、10時間の乾燥が有効である。
なお、混合後の混合粉中の吸着水分を取り除く必要がある場合、例えば、真空乾燥機中で真空環境にて40℃、10時間以上の乾燥が有効である。
また、MoSe2粉末またはMo粉末の焼結中の酸化防止のため、常圧焼結、ホットプレスまたはHIPは還元性雰囲気中、真空中または不活性ガス雰囲気中で行う。
ホットプレスにおいては、ホットプレスの圧力がターゲット焼結体の密度に大きな影響を及ぼすので、好ましい圧力は100〜800kgf/cm2とする。また、加圧は、昇温開始前からでもよいし、一定のホットプレス温度に到達してから行ってもよい。
HIP法においては、好ましい圧力は30〜150kgf/cm2とする。
焼結体の焼結時間は組成により変わるが、1〜3時間が好ましい。
なお、加工済みのターゲットを保管する際には、酸化、吸湿を防止するため、ターゲット全体を真空パックまたは不活性ガス置換したパックを施すことが好ましい。
まず、表1に示される成分組成および粒径を有するMoSe2粉末とNaF,Na2S,Na2Se化合物粉末との混合粉末、又はMo粉末とSe粉末とNaF,Na2S,Na2Se化合物粉末との混合粉末を、表1に示される量になるように配合し、実施例1〜6の原料粉末とした。これらの原料粉末を、ロッキングミキサーで混合した。混合はアルゴン雰囲気で行った。
なお、焼結済みの焼結体に、乾式切削加工を施し、所定形状のターゲット(実施例1〜6)を作製した。
まず、本実施例1〜6について、作製したターゲット中のSeとNaとMoとの含有量を、ICP法(高周波誘導結合プラズマ法)を用いて定量分析を行った。また、作製したターゲットから試験片を採取し、試験片から真密度を測定した。さらに、ホットプレス時におけるターゲットの割れ発生の有無を調べた。
表1に示された成分組成及び粒径を有するMoSe2粉末(比較例1)、Mo粉末とSe粉末との混合粉末(比較例2)、及びMoSe2粉末とNaF化合物粉末との混合粉末(比較例3)を原料粉として用意した。これらの原料粉のうち比較例2及び3の混合粉末については、本発明の上記実施例と同様にロッキングミキサーで混合して作製した。これら各比較例の原料粉を、上記実施例と同様にホットプレスを行った。このように得られた比較例1〜3のターゲットは、Naの含有量が0.05〜10wt%の範囲外となっている。
また、本発明の技術範囲は上記実施形態及び上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
Claims (3)
- スパッタリングターゲットのFおよびSを除く金属成分として、Se:53〜65wt%、Na:0.05〜10wt%を含有し、残部がMo及び不可避不純物からなる成分組成を有し、
NaがNaF,Na2S,Na2Seから選ばれる1種以上の化合物の状態で含有されていることを特徴とするスパッタリングターゲット。 - 請求項1に記載のスパッタリングターゲットにおいて、
ターゲット素地中にNaF,Na2S,Na2Seが分散している組織を有すると共に、前記NaF,Na2S,Na2Seの平均粒径が5μm以下であることを特徴とするスパッタリングターゲット。 - 請求項1又は2に記載のスパッタリングターゲットを製造する方法であって、
NaF,Na2S,Na2Se化合物から選択される1種類以上の粉末とMoSe2粉末との混合粉末、NaF,Na2S,Na2Se化合物から選択される1種類以上の粉末とMo粉末とSe粉末との混合粉末、
又はNaF,Na2S,Na2Se化合物から選択される1種類以上の粉末とMoSe2粉末とに加えMo粉末とSe粉末とから選択される1種類以上の粉末からなる成形体を、真空中、不活性ガス中または還元性雰囲気中で加圧焼結または常圧焼結する工程を有していることを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
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