JP5776265B2 - 複合防水構造体の施工方法及び複合防水構造体 - Google Patents

複合防水構造体の施工方法及び複合防水構造体 Download PDF

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本発明は、構造物に防水性を付与する複合防水構造体の施工方法及び該方法により得られる複合防水構造体に関する。
構造物に施工されるシート型防水材(以下、防水シート)は、大面積への施工に適しており、トーチバーナーでシートを溶融しながら構造物に敷設するトーチ工法とシートに自己粘着性を有する自着工法に大別される。また、防水シートに遮熱性や彩色性、耐候性等の性能を付与する目的で、防水シートの上面に保護塗料(トップコート)を設ける方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、コンクリート建造物などの建造物の屋上、屋根又はベランダの立ち上がり部と床面との上面に、改質アスファルトコンパウンド層を設け、改質アスファルトコンパウンド層の上面に水分散型遮熱塗料からなる遮熱層を設けることで、アスファルト系防水シートの温度上昇を抑制し、熱酸化による劣化を低減する防水工法、防水シートについて開示されている。
特許文献2には、可撓性を有する防水シートの表面に塗布する遮熱塗料であって、ガラス転移点が−20〜20℃の範囲にある熱可塑性樹脂に顔料を添加することにより700〜2100nmの波長域における日射反射率が20%以上としてなることで、塗布した防水シートの表面温度を10〜15℃程度下げることが可能であり、防水シートに美観を付与できる彩色性を有し、防水シートとの密着性に優れることが開示されている。
特開2003−321905号公報 特開2004−156003号公報
しかしながら、トーチ工法でアスファルト系防水シートを敷設する際に、トーチバーナーの熱により防水シート表面、特に端部表面のアスファルト部分の軟化が激しく、防水シート表面の骨材がアスファルト中へ沈み込んだり、自己粘着性を有するシートを敷設油分がアスファルト中から滲出したりすることがあり、アスファルト系防水シートの上面に保護塗料(トップコート)を塗布しても、接着性や耐水性が低下する可能性があり、更なる性能向上が求められている。
そこで本発明は、トーチ工法により敷設される特定のアスファルト系防水シートを用い、アクリル樹脂塗膜層(トップコート)との接着性に優れ、安定して積層一体化し、優れた耐水性を有する複合防水構造体の施工方法及び該施工方法により得られる複合防水構造体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、アスファルト系防水シート表面に、特定の粒子径を有する骨材の層を一体形成することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、骨材、改質アスファルト、不織布、改質アスファルト、合成樹脂フィルムの順で積層し、一体化したアスファルト系防水シートであって、骨材は、骨材全体に対し、粒子径が2.0mm以上の粒子の質量割合を5質量%以下含み、且つ、粒子径が0.6mm以上であり且つ2.0mm未満の粒子の質量割合を70〜100質量%含み、アスファルト系防水シートを用いて、合成樹脂フィルム面をトーチバーナーで炙り、該アスファルト系防水シートの炙り面を構造物に敷設する敷設工程と、アスファルト系防水シートの骨材面に、アクリル樹脂エマルジョンを塗布し、硬化させて、アクリル樹脂塗膜層を形成する塗布硬化工程と、を有する複合防水構造体の施工方法に関する。
本発明の施工方法は、アスファルト系防水シートの表面に特定の粒子径を有する骨材を積層、一体化することにより、アクリル樹脂塗膜層との接着性に優れ、安定して積層一体化し、優れた耐水性を有する複合防水構造体の施工が好適となる。
本発明の複合防水構造体の施工方法は、以下の態様であることが好ましい。
合成樹脂フィルムは、ポリオレフィン樹脂フィルムであることが好ましい。これによって、トーチバーナーでの溶融のタイミングを計りやすく、構造物との接着性をより一層確実にすることができる。
本発明はまた、上記施工方法により得られる複合防水構造体を提供する。アスファルト系防水シートの表面に特定の粒子径を有する骨材を積層、一体化することにより、アクリル樹脂塗膜層との接着性に優れ、安定して積層一体化する施工により、優れた耐水性を有する複合防水構造体となる。
本発明によれば、アスファルト系防水シート表面に、特定の粒子径を有する骨材の層を一体形成することにより、トーチバーナーの熱で防水シートのアスファルトが軟化しても、アスファルト中への骨材の沈み込みが抑制されると共に、アスファルト中から滲出する油分により、アクリル樹脂塗膜層との接着を阻害することも抑制されることから、当該アスファルト系防水シートとアクリル樹脂塗膜層は優れた接着性を有し、安定して積層し、一体化する施工方法を提供することができる。そして、本発明の施工方法を用いることで、防水性(耐水性)に優れた複合防水構造体を提供することができる。
複合防水構造体の施工方法の概略図 マッドカーリング試験結果の写真 マッドカーリング試験結果の写真
<複合防水構造体の施工方法>
本発明の複合防水構造体の施工方法の好適な実施形態を以下に説明する。本実施形態の複合防水構造体の施工方法は、トーチバーナーで合成樹脂フィルム面を炙ったアスファルト系防水シートの炙り面を構造物に敷設する敷設工程と、アスファルト系防水シートの骨材面に水性アクリル樹脂エマルジョンを塗布し、硬化させて、アクリル樹脂塗膜層を形成する塗布硬化工程とを有する複合防水構造体の施工方法である。また、アスファルト系防水シートは、特定の粒子径を有する骨材、改質アスファルト、不織布、改質アスファルト、合成樹脂フィルムの順で積層一体化したアスファルト系防水シートであれば特に制限なく使用できるが、JIS A 6013「改質アスファルトルーフィング」に適合したものが好ましい。
本実施形態の複合防水構造体の施工方法について図2にしたがって説明する。
図1(a)、(b)は、構造物の施工面(一例として屋上面)に本発明の複合防水構造体の施工方法を適用する手順を示す模式図である。
本発明の複合防水構造体の施工方法では、まず構造物30の施工面31の全面を対象として、施工面の表面に付着した汚れ、埃及び付着物などの除去を行い、アスファルト系防水シート用プライマーを施工面31全体に塗布して乾燥させ、アスファルト系防水シート用プライマー層を形成させる。
次に、図1(a)に示すとおり、構造物30の施工面31の全面にアスファルト系防水シート32を敷設する敷設工程では、アスファルト系防水シート32の合成樹脂フィルム面をアスファルト系防水シート用プライマー層が形成された施工面31と接するように配置し、合成樹脂フィルム面をトーチバーナー等で、炙り、合成樹脂フィルム面が溶融するタイミングで、炙り面を施工面31に敷設し、アスファルト系防水シート32と施工面31を接着させる。
そして、先行して敷設されたアスファルト系防水シート32の長辺方向の端部34と、後から敷設されるアスファルト系防水シートの長辺方向の端部34とを、好ましくは100〜150mm重ね合わせて敷設し、接着する。これによって、重ね合わせ部分に良好な防水性能が得られる。
図1(b)に示すように上記敷設したアスファルト系防水シート32の骨材面の全面、及び施工面の側壁35に水性アクリル樹脂エマルジョン36を塗布し、硬化させて、アクリル樹脂塗膜層を形成する塗布硬化工程を有し、アスファルト系防水シート32とアクリル樹脂塗膜層とが積層し、一体化することで、優れた接着性と防水性を有する複合防水構造体が得られる。
さらに、塗布硬化工程は、必要に応じて、複数回繰り返すことができる。これによって、複数層が一体化したアクリル樹脂塗膜層が形成され、より一層の優れた防水性、耐久性が得られるので好ましい。
本実施形態の施工方法により、構造物、アスファルト系防水シート、アクリル樹脂塗膜層の順で、積層し、一体化した、接着性に優れ、防水性、耐久性に優れた複合防水構造体となる。
<複合防水構造体>
本実施形態に係るアスファルト系防水シートは、骨材、改質アスファルト、不織布、改質アスファルト、合成樹脂フィルムの順で積層一体化したアスファルト系防水シートである。
アスファルト系防水シートを構成する骨材は、例えば、珪砂、川砂、陸砂、海砂等の砂類、スラグ骨材、スレート砂、鉱物砕砂から適宜選択して用いることができる。特に、骨材としては、スレート砂、鉱物砕砂から選択したものを好適に用いることができる。
骨材は、骨材全体に対し、粒子径が2.0mm以上の粒子の質量割合が、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは4質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以下であり、特に好ましくは2質量%以下である。粒子径が2.0mm以上の粒子の質量割合の下限値は特に制限が無く、0質量%であってもよい。
また、上記の質量割合を満足しつつ、骨材全体に対し、粒子径が0.6mm以上であり且つ2.0mm未満である粒子の質量割合が、好ましくは70〜100質量%であり、より好ましくは75〜98質量%であり、さらに好ましくは78〜96質量%であり、特に好ましくは80〜95質量%である。
骨材の粒子径を、上記の質量割合の範囲とすることにより、アスファルト系防水シート中の改質アスファルトとの積層一体化に好ましく、アクリル樹脂塗膜層の接着性を向上するので好ましい。骨材の粒子径が2.0mm以上の粒子の質量割合が5質量%を超えると、アスファルト系防水シートの一体化が困難になる可能性がある。
さらに、上記の質量割合を満足しつつ、骨材全体に対し、粒子径が0.15mm以上であり且つ0.6mm未満である粒子の質量割合が、好ましくは1〜20質量%であり、より好ましくは3〜18質量%であり、さらに好ましくは4〜16質量%であり、特に好ましくは5〜15質量%である。
さらに骨材の粒子径を、上記の質量割合の範囲とすることにより、アスファルト系防水シート中の改質アスファルトとの積層一体化にさらに好ましく、アクリル樹脂塗膜層の接着性を一層向上するのでさらに好ましい。骨材の粒子径が0.15mm以上であり且つ0.6mm未満である粒子の質量割合が、20質量%を超えると、アスファルト系防水シートとアクリル樹脂塗膜層との接着性が低下し、はく離が発生し、防水性が低下する可能性がある。
骨材の粒子径は、JIS Z 8801:2006に規定される呼び寸法の異なる数個の篩いを用いて測定することができる。また、本実施形態において、「粒子径0.6mm以上であり且つ2.0mm未満の粒子の質量割合」とは、篩目2.0mmの篩いを用いたとき、篩目2.0mmの篩いを通過し、且つ篩目0.6mmの篩を用いたとき、篩目0.6mmの篩上に残る粒子の骨材全体に対する質量割合のことをいう。
改質アスファルトに積層する骨材は、改質アスファルトの表面が露出しない程度に当該骨材を均質に積層することが好ましい。改質アスファルト表面に積層する骨材の単位面積当たりの骨材質量は、好ましくは0.85〜1.35kg/mであり、さらに好ましくは0.90〜1.30kg/mであり、特に好ましくは0.95〜1.25kg/mである。
単位面積当たりの骨材質量を、上記の範囲とすることにより、アクリル樹脂塗膜層との接着性をより一層確実にする。
アスファルト系防水シートを構成する不織布は、合成樹脂の繊維からなる不織布が好ましい。合成樹脂としては、特に制限はないが、例えばポリエチレンテレフタレートなどの芳香族系ポリエステルなどのポリエステル、ナイロン6やナイロン66などのポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンなどを挙げることができる。これらの合成樹脂の繊維は単独または併用して使用することができる。
不織布の目付は、特に限定されるものではないが、好ましくは30〜200g/mであり、特に好ましくは30〜180g/mである。
不織布の目付を、上記の範囲とすることによって、防水シートが可撓性を有し、施工作業性(敷設作業性)に優れるため好ましい。
アスファルト系防水シートを構成する改質アスファルトは、特に限定されるものではなく、一般の防水シート用として使用されている改質アスファルトを適宜選択して用いることができる。
また、改質アスファルトは、ストレートアスファルトに、改質剤としてブローンアスファルト、スチレン系合成樹脂、ポリオレフィン系合成樹脂、無機フィラー等を、本発明の特性を損なわない範囲で適宜選択して改質アスファルトの構成材料とすることができる。ストレートアスファルトと適宜選択した構成材料を、120〜200℃で3〜30時間加熱混合し、均質性の高い改質アスファルトを調製することができる。
ストレートアスファルトは、原油を常圧もしくは減圧蒸留してガソリン、灯油、軽油、潤滑油などを取り除いて得られるもので、針入度(25℃)は、好ましくは10を超え、且つ300以下であり、さらに好ましくは60を超え、且つ250以下であり、特に好ましくは80を超え、且つ200以下である。
ここで、針入度(25℃)とは、JIS K 2207−1996「石油アスファルト」に準拠して測定した値である。
改質アスファルト中のストレートアスファルトの配合割合は、好ましくは25〜90質量%であり、さらに好ましくは28〜85質量%であり、特に好ましくは30〜80質量%である。
ブローンアスファルトは、ストレートアスファルトを加熱し、十分に空気を吹き込んで
酸化重合したものである。ストレートアスファルトの軟化点やせん断力を改善するために必要に応じて用いることができる。針入度(25℃)は、好ましくは0以上、且つ40以下であり、さらに好ましくは5を超え、且つ30以下であり、特に好ましくは10を超え、且つ20以下である。
スチレン系合成樹脂は、ストレートアスファルトのせん断接着強度を向上するために必要に応じて用いられる。スチレン系合成樹脂としては、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレンブロック共重合体、スチレン/エチレン/プロピレン/スチレンブロック共重合体から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
ポリオレフィン系合成樹脂は、ストレートアスファルトに柔軟性を付与するために必要に応じて用いられる。ポリオレフィン系合成樹脂としては、炭素−炭素間の結合の中に二重結合を一つ持つエチレン系炭化水素を重合させたものを、本発明の特性を損なわない範囲で適宜選択して用いることができる。
無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、クレー、カーボンブラック、タルク、マイカ、硫酸バリウム、珪藻土及びシリカ等の粉末を適宜選択して用いることができる。安定した分散性や低コストの点から、炭酸カルシウムがより好ましい。
アスファルト系防水シートの製造・加工性及び燃料費等の点から改質アスファルトの軟化点は、好ましくは100〜160℃であり、さらに好ましくは105〜155℃である。また、改質アスファルトの粘度(190℃)は、好ましくは2000〜14000mPa・sであり、さらに好ましくは2200〜13000mPa・sであり、特に好ましくは2500〜12000mPa・sである。また、改質アスファルトの針入度(25℃)は、好ましくは10以上、且つ40以下であり、さらに好ましくは15を超え、且つ35以下であり、特に好ましくは20を超え、且つ30以下である。
ここで、軟化点とは、JIS K 2207−1996「石油アスファルト」に準拠して測定した値である。また、粘度(190℃)とは、改質アスファルトが190℃の時、B型粘度計を用いてローターNo.31を用いて回転数12rpmで得た値である。
アスファルト系防水シートを構成する合成樹脂フィルムは、クレープ加工されたもので伸縮性に優れたものが好ましい。合成樹脂フィルムとしては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂フィルムを用いることが出来る。合成樹脂フィルムは、一軸延伸、二軸延伸などの延伸フィルム、又は無延伸フィルムが好ましい。
合成樹脂フィルムは、フィルムを2層以上に積層した積層フィルムを用いることができる。合成樹脂フィルム層としては、特に低密度ポリエチレンが柔軟性に優れているため好ましい。合成樹脂フィルムの厚みは、製造時に支障がなく、施工時あるいは使用時に損傷を受けにくい適度な厚さであればよく、好ましくは3〜100μmの範囲、さらに好ましくは4〜75μmの範囲、特に好ましくは5〜50μmの範囲が好ましい。
合成樹脂フィルムは、改質アスファルトをほとんど、又はまったく透過させない合成樹脂フィルムが、施工者の衣服や靴および建築部材や屋根部材などを汚さないために好ましい。
本実施形態に係るアクリル樹脂塗膜層は、上記アスファルト系防水シートの骨材面に、水性アクリル樹脂エマルジョンを吹き付け、鏝塗り、ローラー塗り等の塗布方法により塗布、施工し、硬化することにより、アスファルト系防水シートと一体化し、本発明のアスファルト系防水シートとアクリル樹脂塗膜層が積層し、一体化した複合防水構造体となる。
水性アクリル樹脂エマルジョンは、市販の水性アクリル樹脂エマルジョンを用いることができ、少なくとも(メタ)クリル酸誘導体を含む、以下に示す合成樹脂エマルジョン等を用いることができる。水性アクリル樹脂エマルジョンとしては、エチレン/酢酸ビニル/(メタ)クリル酸誘導体共重合体エマルジョン、エチレン/(メタ)クリル酸誘導体共重合体エマルジョン、ポリ(メタ)クリル酸誘導体エマルジョン、スチレン/(メタ)クリル酸誘導体共重合体エマルジョン、酢酸ビニル/(メタ)クリル酸誘導体エマルジョンなどを用いることができる。(メタ)クリル酸誘導体は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸、これらのエステルなどの酸誘導体を意味し、少なくともこれらの成分を1種以上含むものである。
上記の(メタ)クリル酸誘導体は、アクリル酸誘導体及び/又はメタクリル酸誘導体を示し、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、などである。
当該水性アクリル樹脂エマルジョンを用いることによって、耐候性がより向上し、長期に渡って優れた防水性が得られるためより好ましい。
水性アクリル樹脂エマルジョンに含まれる合成樹脂成分のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−60〜30℃であり、より好ましくは−40〜25℃であり、さらに好ましくは−35〜22℃である。
アクリル樹脂エマルジョンに含まれる合成樹脂成分のガラス転移温度(Tg)が、上記範囲内であることにより、本実施形態の複合防水構造体において、一層優れた防水性が得られる。
水性アクリル樹脂エマルジョンは、公知の製造方法により得られるものを用いることができ、例えば、乳化剤の存在下に、重合開始剤を用いて、水又は含水溶媒中で合成樹脂の原料となる重合性モノマーを乳化重合する方法などにより製造することができる。
乳化剤としては、公知のものを用いることができ、アニオン性、ノニオン性、カチオン性又は両性の界面活性剤やポリビニルアルコール等の保護コロイドなどを挙げることができる。
水性アクリル樹脂エマルジョンは、エマルジョン中に含まれる合成樹脂の固形分量を特に限定されず、市販のものを適宜選択することができる。また、水性アクリル樹脂エマルジョンの安定性やハンドリング性の点から、合成樹脂の固形分量は、水性アクリル樹脂エマルジョン100質量%中に、好ましくは10〜70質量%であり、より好ましくは15〜60質量%であり、特に好ましくは20〜50質量%である。
ここで、合成樹脂の固形分量とは、水性アクリル樹脂エマルジョンを105℃で恒量となるまで乾燥し、乾燥後の質量を固形分として、水性アクリル樹脂エマルジョン中に含有する固形分の割合(質量%)をもとめた値である。
さらに、水性アクリル樹脂エマルジョンは、本発明の特性を損なわない範囲で、着色顔料粉末や炭酸カルシウム粉末、酸化チタン粉末、酸化ケイ素粉末等を配合することができる。
本実施形態の複合防水構造体は、アスファルト系防水シートとアクリル樹脂塗膜層を積層し、一体化したものであり、施工現場では、構造物の表面にアスファルト系防水シート用プライマーを所定量塗布し、当該プライマーが硬化した後に、トーチバーナー等を用いてアスファルト系防水シートの合成樹脂フィルム面を溶融しながら、敷設する。アスファルト系防水シートを敷設した後に、その骨材面に上記水性アクリル樹脂エマルジョンを塗布し、硬化させて、アクリル樹脂塗膜層を積層し、一体化する。
本実施形態の複合防水構造体は、アスファルト系防水シートとアクリル樹脂塗膜層が積層し、一体化し、優れた防水性、耐久性を有するための耐水性及び耐マッドカーリング性を有する。ここで、耐水性とは、23℃の条件下にて、アスファルト系防水シートに水性アクリル樹脂エマルジョンを塗布し、6時間後及び4日後に水(蒸留水)に浸漬し、24時間後及び48時間後の表面の状態を目視及び指触にて確認する試験方法によって、アクリル樹脂塗膜層の膨れを5段階で評価した値である(膨れが発生しない方が良い)。また、耐マッドカーリング性とは、アスファルト系防水シートに水性アクリル樹脂エマルジョンを塗布し、4日後にベントナイト試薬10gを100mmφの大きさにアクリル樹脂塗膜層に塗布し、60℃乾燥機中で養生する。そして、24時間毎に蒸留水を散布(60℃、7サイクル)して、表面の状態を目視にて確認する試験方法によって、アクリル樹脂塗膜層の剥がれを5段階で評価した結果である(剥がれが発生しない方が良い)。
上記試験方法で測定した耐水性及び耐マッドカーリング性の評価は、好ましく4以上であり、より好ましくは5である。例として、図2にマッドカーリング試験で評価が1の写真を示す。また、図3にマッドカーリング試験で評価が5の写真を示す。
耐水性及び耐マッドカーリング性の評価が上記範囲にあることにより、アスファルト系防水シートとアクリル樹脂塗膜層との接着性が良好で、より一層一体化し、複合防水構造体の防水性が一層確実となる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の内容をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(使用材料)
1)不織布
・ポリエステル製不織布(目付:140g/m
2)改質アスファルト
・改質アスファルト(ストレートアスファルトをポリオレフィン系合成樹脂で改質、粘度(190℃):4500mPa・s、軟化点:152℃、針入度(25℃):25)
3)骨材
・骨材A(スレート砂、粒子径2.0mm以上:1.8質量%、粒子径0.6mm以上であり且つ2.0mm未満:91.4質量%、粒子径0.15mm以上であり且つ0.6mm未満:6.8質量%)
・骨材B(珪砂、粒子径2.0mm以上:0.0質量%、粒子径0.6mm以上であり且つ2.0mm未満:0.0質量%、粒子径0.15mm以上であり且つ0.6mm未満:97.3質量%)
4)合成樹脂フィルム
・ポリエチレン樹脂フィルム(厚み10μm)
5)水性アクリル樹脂エマルジョン
・樹脂A(亜細亜工業社製、スチレン/(メタ)クリル酸誘導体共重合体エマルジョン、ガラス転移温度(Tg):−33℃)
・樹脂B(スズカファイン社製、スチレン/(メタ)クリル酸誘導体共重合体エマルジョン、ガラス転移温度(Tg):10℃)
・樹脂C(亜細亜工業社製、スチレン/(メタ)クリル酸誘導体共重合体エマルジョン、ガラス転移温度(Tg):20℃)
(アスファルト系防水シートの作製)
幅1.0m、長さ1.5mの不織布を中間層(基材)として、190℃の改質アスファルトに含浸し、4.0mmの厚みになるよう調製した。その次に、片面に合成樹脂フィルムを、反対側の面に骨材A(単位面積当たりの骨材質量:1.10kg/m)を張合わせ、アスファルト系防水シートAを得た。
幅1.0m、長さ1.5mの不織布を中間層(基材)として、190℃の改質アスファルトに含浸し、4.0mmの厚みになるよう調製した。その次に、片面に合成樹脂フィルムを、反対側の面に骨材B(単位面積当たりの骨材質量:1.10kg/m)を張合わせ、アスファルト系防水シートBを得た。
上記のアスファルト系防水シートA及びBをそれぞれ9試験体ずつ120×120mmの大きさに切断した。切断した全試験体について、骨材面をハンドバーナーの火力を最大にして10秒間均一に炙り、室温で静置した。
(耐水性試験)
23℃恒温室にて、表1に示すように、上記アスファルト系防水シートA及びBに、水性アクリル樹脂エマルジョン(樹脂A、樹脂B及び樹脂C)をそれぞれ2回ずつ所定量塗布し、6時間(6h)気中養生した後に水中に浸漬する条件と、4日間(4d)気中養生した後に水中に浸漬する条件にて、24時間(24h)後及び48時間(48h)後の表面状態を目視及び指触にて確認した。
(マッドカーリング試験)
23℃恒温室にて、表1に示すように、上記アスファルト系防水シートA及びBに、水性アクリル樹脂エマルジョン(樹脂A、樹脂B及び樹脂C)をそれぞれ2回ずつ所定量塗布し、6時間気中養生した後、ベントナイト試薬(ベントナイト:炭カル:水(蒸留水)=100:200:800)をアクリル樹脂塗膜層の上に100mmφ(10g)塗布し、60℃乾燥機中で養生する。24時間毎に蒸留水を散布し、7回繰り返した後(60℃、7サイクル)の表面状態を目視にて確認した。
Figure 0005776265
表1より、アスファルト系防水シートの骨材が、粒子径2.0mm以上の粒子の質量割合を5質量%以下含み、且つ、粒子径0.6mm以上であり且つ2.0mm未満の粒子の質量割合を70〜100質量%含む、実施例1〜3については、水性アクリル樹脂エマルジョンの樹脂のガラス転移温度(Tg)の違いによらず、耐水性及び耐マッドカーリング性について、良好な結果を示した。
以上のことから、本発明の複合防水構造体の施工方法により、バーナーから熱を受けても、アスファルト系防水シートとアクリル樹脂塗膜層との優れた接着性(積層一体化)により、防水性に優れた複合防水構造体を提供できることが明らかになった。
30: 構造物
31: 施工面
32: アスファルト系防水シート
33: 短辺方向の端部
34: 長辺方向の端部
35: 施工面の側壁
36: 水性アクリル樹脂エマルジョン

Claims (3)

  1. 骨材、改質アスファルト、不織布、改質アスファルト、合成樹脂フィルムの順で積層し、一体化したアスファルト系防水シートであって、
    前記骨材は、骨材全体に対し、粒子径が2.0mm以上の粒子の質量割合を5質量%以下含み、且つ、粒子径が0.6mm以上であり且つ2.0mm未満の粒子の質量割合を80〜95質量%含み、且つ、粒子径が0.15mm以上であり且つ0.6mm未満である粒子の質量割合を5〜15質量%含み、
    前記アスファルト系防水シートを用いて、前記合成樹脂フィルム面をトーチバーナーで炙り、該アスファルト系防水シートの炙り面を構造物に敷設する敷設工程と、
    前記アスファルト系防水シートの前記骨材面に、水性アクリル樹脂エマルジョンを塗布し、硬化させて、アクリル樹脂塗膜層を形成する塗布硬化工程と、を有し、
    前記改質アスファルトに積層する骨材の単位面積当たりの質量は0.85〜1.35kg/m であり、
    前記改質アスファルトは、改質剤としてポリオレフィン系合成樹脂を含み、該改質アスファルトの軟化点は、100〜160℃であり、該改質アスファルトの針入度は25℃において15超え35以下であり、
    前記水性アクリル樹脂エマルジョンに含まれる合成樹脂成分のガラス転移温度(Tg)は、−40〜25℃であり、
    前記水性アクリル樹脂エマルジョンは、スチレン/(メタ)クリル酸誘導体共重合体エマルジョンである、
    複合防水構造体の施工方法。
  2. 前記合成樹脂フィルムは、ポリオレフィン樹脂フィルムである請求項1に記載の複合防水構造体の施工方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の施工方法により得られる複合防水構造体。
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