以下に、本発明にかかる硬貨処理装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の実施の形態である硬貨処理装置を内蔵した給油スタンドを示す概念図である。図1に示すように、本発明の実施の形態である硬貨処理装置1は、給油スタンドに内蔵される硬貨処理装置に好適であって、本発明の実施の形態である硬貨処理装置1が内蔵された給油スタンドSは、ガソリンスタンドに設置される。ガソリンスタンドに設置される給油スタンドは、給油スタンドを境にして両側(一方側と他方側)において給油が可能であって、給油スタンドの両側(一方側と他方側)において代金を受け取り、お釣りを払い出すことが求められる。このため、本発明の実施の形態である硬貨処理装置1を内蔵した給油スタンドSにおいても、両側(一方側と他方側)に投入口21と出金口22とが開口した接客面2を設けることが求められる。
図2は、本発明の実施の形態で硬貨処理装置の構成を示す概略図である。図3は、図2に示した硬貨処理装置のIII−III矢視図であり、図4は、図1に示した硬貨処理装置のIV−IV矢視図である。
本発明の実施の形態である硬貨処理装置は、図2において左側となる側面(以下、「左側面」という)と右側となる側面(以下、「右側面」という)の両方に投入口21と出金口22(22L,22R)とが設けてある。そして、左側面において受け取った代金に対するお釣りは、左側面に設けた出金口22Lから払い出され、右側面において受け取った代金に対するお釣りは、右側面に設けた出金口22Rから払い出される。
図2に示すように、本発明の実施の形態である硬貨処理装置1は、左側面に設けた投入口21L(図5参照)から投入された硬貨と右側面に設けた投入口(図示せず)から投入された硬貨を共通する硬貨収納部3に金種ごとに収納する一方、共通する硬貨収納部3に収納した硬貨を左側面に設けた出金口22Lまたは右側面に設けた出金口22Rに払い出すもので、共通する硬貨収納部3のほか、投入識別部4、搬送振分部5、硬貨払出部6、硬貨搬送部7、制御部8を備えている。
図5は、図2に示した投入識別部の構成を示す概略図(側面図)である。ここでは、左側面に設けた投入口21Lに連通する投入識別部4を例に説明する。なお、右側面に設けた投入口に連通する投入識別部4は、左側面に設けた投入口21Lに連通する投入識別部と同一の構成であるから説明を省略する。
図5に示すように、投入識別部4は、投入口21Lから投入された硬貨を識別し、たとえば真正の硬貨として収納可能と識別した硬貨を受け入れる一方、偽損の硬貨として収納不能と識別した硬貨を出金口22Lに返却するためのもので、投入通路4Aと繰出通路4Bとを有している。
投入口21Lは、一度に一枚の硬貨(最大径の硬貨、たとえば、500円硬貨)が投入可能なように、縦長の細長い矩形形状を有しており、一度(同時)に複数枚の硬貨が投入することはできない。
投入通路4Aは、投入口21Lから投入された硬貨を識別し、識別した硬貨を繰出通路4Bに導入するための通路で、一枚の硬貨(最大径の硬貨、たとえば、500円硬貨)が通過するように、縦長の細長い矩形の断面を有しており、投入口21Lから奥方に向けて斜め下方に傾斜している。
図5に示すように、投入通路4Aの投入口側となる位置には、入金シャッタ41と、入金シャッタ41を作動させるシャッタソレノイド41Aとが配設してある。入金シャッタ41は、硬貨の投入を規制するためのもので、投入通路4Aに進出することにより、投入口21Lから投入通路4Aへの硬貨の投入が不能となり、投入通路4Aから退避することにより、投入口21Lから投入通路4Aへの硬貨の投入が可能となる。
投入通路4Aであって、上述した入金シャッタ41の奥方となる位置には、投入検知センサ42が設けてある。投入検知センサ42は、投入口21Lから投入通路4Aに投入された硬貨を検知するためのもので、透過型のセンサまたは反射型のセンサにより構成してある。そして、投入検知センサ42は、硬貨を検知した場合にオンとなり、硬貨が投入検知センサ42を通過した場合にオフとなる。
投入通路4Aの中程であって、上述した投入検知センサ42の奥方となる位置には、識別センサ(硬貨識別手段)43が設けてある。識別センサ43は、投入口21Lから投入された硬貨の真偽、正損等を識別するためのセンサであり、投入口21Lから投入された硬貨は、識別センサ43を通過する際に識別される。本発明の実施の形態である硬貨処理装置1の識別センサ43は、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨が識別可能であり、識別できない硬貨は収納不能な硬貨とされる。なお、識別できない硬貨には、外国の硬貨、遊技機用のメダルのほか、識別できない正貨が含まれる。
繰出通路4Bは、識別した硬貨を搬送振分部5に繰り出すための通路であり、一枚の硬貨(最大径の硬貨、たとえば、500円硬貨)が通過するように、縦長の細長い矩形の断面を有しており、投入通路4Aの後端から奥方に向けて斜め上方に傾斜している。
繰出通路4B上には、繰出ユニット44が設けてある。繰出ユニット44は、繰出通路4Bと協働して硬貨を繰り出すためのもので、繰出ユニット44は、繰出通路4Bの通路面に硬貨を押し付けた状態で硬貨を繰り出す。繰出ユニット44は、繰出通路4Bと平行に設けられ、繰出通路4Bの通路面に硬貨を押し付けた状態で硬貨を繰り出すベルト44aと、該ベルト44aが張架された一対のプーリ44b,44cと、プーリ44dおよびベルト44eを介して接続され、一対のプーリ44b,44cを回転させる繰出モータ44fとを備えている。
また、繰出通路4Bの中程には、後述するリジェクトゲート48により開閉されるリジェクト口(図示せず)が設けてある。リジェクト口は、硬貨収納部3に収納不能な硬貨を回収するためのもので、略矩形に形成してある。また、リジェクト口には、リジェクト通路45が接続してある。そして、リジェクト口からリジェクト通路45に回収された硬貨は、リジェクト部46を通り、出金口22Lに返却される。また、リジェクト通路45には、リジェクトセンサ47が設けてある。リジェクトセンサ47は、リジェクト通路45を通過した硬貨を検出するためのセンサであり、リジェクトセンサ47は、硬貨を検出した場合にオンとなり、硬貨がリジェクトセンサ47を通過した場合にオフとなる。
リジェクト口には、リジェクトゲート48が開閉可能に取り付けてある。リジェクトゲート48は、リジェクトゲートソレノイド48Aにより作動され、リジェクトゲート48を開放した場合に、リジェクト口が開口し、硬貨を回収する一方、リジェクトゲート48を閉塞した場合にリジェクトゲート上を硬貨が通過する。
図6は、図2に示した搬送振分部の構成を示す概略図(平面図)である。また、図7は、図6に示した搬送振分部のVII―VII矢視図である。
図6に示すように、搬送振分部5は、投入識別部4において収納可能と識別した硬貨を搬送し、金種ごとに硬貨を振り分けるためのもので、搬送部5Aと振分部5Bとを有している。
搬送部5Aは、投入識別部4において収納可能と識別した硬貨を振分部5Bにより振り分けるためのもので、一対の搬送通路5A1L,5A1Rと、一対の搬送通路5A1L,5A1Rと協働して硬貨を搬送する搬送ユニット51とを備えている。
一対の搬送通路5A1L,5A1Rのうち、図6において下方となる一方の搬送通路5A1Lは、図6において左側となる投入識別部4から繰り出された硬貨を搬送するためのものであり、図6において左側となる投入識別部4から右側となる投入識別部4に向けて延在している。
また、一対の搬送通路5A1L,5A1Rのうち、図6において上方となる他方の搬送通路5A1Rは、図6において右側となる投入識別部4から繰り出された硬貨を搬送するためのものであり、図6において右側となる投入識別部4から左側となる投入識別部4に向けて延在している。
図7−1に示すように、搬送ユニット51は、搬送通路5A1L,5A1Rの通路面に硬貨Cを押し付けた状態で硬貨を搬送するもので、図6に示すように、一方の搬送通路5A1Lと他方の搬送通路5A1Rの両方に平行に設けられたベルト51aと、該ベルト51aが張架された一対のプーリ51b,51cと、プーリ(図示せず)およびベルト51dを介して接続され、一対のプーリ51b,51cを回転させる搬送モータ51eとを備えている。
図7−2および図7−3に示すように、振分部5Bは、搬送部5Aに搬送された硬貨Cを後述する第1〜第6の収納部31〜36に形成された硬貨収納庫3A〜3Fに振り分けるためのもので、搬送通路上で硬貨Cを振り分ける複数の振分ゲート52と、複数の振分ゲート52が振り分けた硬貨Cをさらに振り分ける複数の振分ガイド53とを備えている。
図6に示すように、振分ゲート52は多数設けられ、それぞれが後述する第1〜第6の収納部31〜36に形成された硬貨収納庫3A〜3Fに対応している。本発明の実施の形態である硬貨処理装置1は、6個の収納部31〜36にそれぞれ3個の硬貨収納庫3A〜3C、または硬貨収納庫3D〜3Fを有しているので、18個の振分ゲート52を有している。
振分ゲート52は、搬送通路5A1L,5A1Rの一部を構成する通路部52aと、該通路部52aと直交し、搬送通路5A1L,5A1Rに搬送された硬貨Cを堰き止めて下方に落下させる振分部52bと、通路部52aと平行に設けられ、振分部52bが延在する基部52cとを有しており、平面視コの字状に形成してある。
また、振分ゲート52は、搬送通路5A1L,5A1Rに進退可能に取り付けてある。振分ゲート52は、図7−2に示すように、ゲートソレノイド52Aにより作動され、振分ゲート52が搬送通路5A1L,5A1Rに進出した場合に、振分部52bが硬貨Cを堰き止めて下方に落下させる一方、図7−1に示すように、振分ゲート52が搬送通路5A1L,5A1Rから退避することにより、通路部52aが搬送通路5A1L,5A1Rの一部を構成し、硬貨Cを通過させる。
図7―2および図7−3に示すように、振分ガイド53は、振分ゲート52の下方域に進退可能に取り付けてある。振分ガイド53は、ガイドソレノイド53Aにより作動され、退避した場合に振分ゲート52の直下に位置する収納部32に形成された硬貨収納庫3Aに硬貨Cを振り分ける一方(図7−2参照)、進出した場合に該収納部32に対向する位置に備えられた収納部35に形成された硬貨収納庫3Aに硬貨Cを振り分ける(図7−3参照)。
図8は、図2に示した硬貨収納部の構成を示す概略図(平面図)である。硬貨収納部3は、搬送振分部5において振り分けられた硬貨を金種ごとに収納するためのもので、図2に示すように、搬送振分部5の下方域に設けてある。図3に示すように、硬貨収納部3は、第1〜第6の収納部31〜36を備えている。これら第1〜第6の収納部31〜36は、図3に示すように、搬送振分部5における硬貨の搬送方向に沿って二列に整列している。一方の列に整列した第1および第2の収納部31,32は、それぞれが1円硬貨、10円硬貨、100円硬貨を収納する一系収納部であり、第3の収納部33は、5円硬貨、50円硬貨、500円硬貨を収納する五系収納部である。また、他方の列に整列した第4の収納部34は、5円硬貨、50円硬貨、500円硬貨を収納する五系収納部であり、第5および第6の収納部35,36は、それぞれが1円硬貨、10円硬貨、100円硬貨を収納する一系収納部である。
上述したように、第1および第2の収納部31,32、並びに、第5および第6の収納部35,36は、一系収納部であり、図8に示すように、1円硬貨を収納するAの硬貨収納庫3A、10円硬貨を収納するBの硬貨収納庫3B、100円硬貨を収納するCの硬貨収納庫3Cを有している。これらの硬貨収納庫3A,3B,3Cは、円筒形状に形成してあり、上方域から収納した硬貨は、下から上に積み上げられて収納される。
また、上述したように、第3および第4の収納部33,34は、五系収納部であり、5円硬貨を収納するDの硬貨収納庫3D、50円硬貨を収納するEの硬貨収納庫3E、500円硬貨を収納するFの硬貨収納庫3Fを有している。これらの硬貨収納庫3D,3E,3Fは、円筒形状に形成してあり、上方域から収納した硬貨は、下から上に積み上げられて収納される。
なお、上述した硬貨収納部3において、一方の列と他方の列とにそれぞれ二つの一系収納部31,32(35,36)と一つの五系収納部33(34)とを備えたのは、一系収納部31,32(35,36)に収納され、払い出される硬貨のほうが、五系収納部33(34)に収納され、払い出される硬貨よりも多いと想定されること、五系収納部33(34)に収納された硬貨(5円、50円、500円)に代えて一系収納部31,32(35,36)に収納された硬貨(1円、10円、100円)を5枚払い出してもよいこと、に基づく。
図9は、図2に示した硬貨払出部の構成を示す概略図(平面図)である。硬貨払出部6は、硬貨収納部3に収納された硬貨を払い出すためのもので、図2に示すように、硬貨収納部3の下方部に設けてある。硬貨払出部6は、第1〜第6の収納部31〜36に対応するように、アクチュエータ61〜66が設けてある。各アクチュエータ61〜66は、対応する第1〜第6の収納部31〜36において、任意の硬貨収納庫3A〜3Cまたは3D〜3Fを選択した後に作動することにより、選択した硬貨収納庫3A〜3Cまたは3D〜3Fから一度に硬貨を払い出す。たとえば、一系収納部31において、アクチュエータ61がすべての硬貨収納庫3A〜3Cを選択した後に作動すると、硬貨収納庫3A〜3Cから一度に111円分の硬貨を払い出す。同様に、五系収納部33において、アクチュエータ63がすべての硬貨収納庫3D〜3Fを選択した後に作動すると、硬貨収納庫3D〜3Fから一度に555円分の硬貨を払い出す。
これにより、第1および第2の収納部31,32、並びに、第5および第6の収納部35,36において、硬貨収納庫3A〜3Cを選択して硬貨を払い出すことができる。すなわち、第1および第2の収納部31,32、並びに、第5および第6の収納部35,36において硬貨収納庫3A〜3Cを選択して払い出すことにより、それぞれ、111円、110円、101円、100円、11円、10円、1円のいずれかを一度に払い出すことができる。
同様に、第3および第4の収納部33,34において、硬貨収納庫3D〜3Fを選択して硬貨を払い出すことができる。すなわち、第3および第4の収納部33,34において、硬貨収納庫3D〜3Fを選択して払い出すことにより、それぞれ、555円、550円、505円、500円、55円、50円、5円のいずれかを一度に払い出すことができる。
硬貨搬送部7は、硬貨払出部6において払い出された硬貨を出金口に搬出するためのもので、図2および図4に示すように、硬貨払出部6の下方域に設けてある。図4に示すように、硬貨搬送部7は、一対の搬送路71,72を有している。一対の搬送路71,72は、いずれも一方の出金口22Lと他方の出金口22Rとの間にわたり設けたコンベアであり、一方の搬送路71を正転させ、他方の搬送路72を逆転させることにより、同時に一方の出金口22Lと他方の出金口22Rとに硬貨を出金させることもできれば、一方の搬送路71と他方の搬送路72とを正転させることにより、一方の出金口22Lに硬貨を出金させることもできる。また、一方の搬送路71と他方の搬送路72とを逆転させることにより、他方の出金口22Rに硬貨を出金させることもできる。
図10は、本発明の実施の形態である硬貨処理装置の制御構成を示すブロック図である。制御部8は、上述した投入識別部4、搬送振分部5、硬貨収納部3、硬貨払出部6、硬貨搬送部7を統括的に制御する。
図11は、本発明の実施の形態である硬貨処理装置1の硬貨収納制御手順を示すフローチャートである。上述した本発明の実施の形態である硬貨処理装置1は、入金シャッタ41が投入通路4Aに進出している場合に投入口21から投入通路4Aへの硬貨の投入が不能となり、入金シャッタ41が投入通路4Aから退避している場合に投入口21から投入通路4Aへの硬貨の投入が可能となる。
入金シャッタ41が投入通路4Aから退避している場合に、投入口21から投入通路4Aに硬貨を投入すると、投入した硬貨は、自重により、投入通路4Aに沿って滑走または転動する。そして、投入通路4Aを滑走または転動した硬貨は、図11に示すように、投入検知センサ42を通過する際に検知され、投入検知センサ42がオンになる(ステップS1:Yes)。投入検知センサ42がオンになると、制御部8は、シャッタソレノイド41Aを作動させ、入金シャッタ41を投入通路4Aに進出させる(ステップS2)。これにより、投入口21から投入通路4Aへの硬貨の投入が不能となり、硬貨の連続投入が阻止される。
投入検知センサ42を通過した硬貨は、つぎに、識別センサ43を通過する。このとき、識別センサ43は硬貨を識別する(ステップS3)。識別センサ43が硬貨を識別できない場合には、制御部8は収納不能な硬貨と判断し(ステップS4:Yes)、リジェクトゲートソレノイド48Aを作動し、リジェクトゲート48を開放する(ステップS5)。
一方、識別センサ43が硬貨を識別した場合には(ステップS4:No)、制御部8は、識別した硬貨の金種に基づいて、当該硬貨を収納する第1〜第6の収納部31〜36に形成された硬貨収納庫3A〜3Fを決定するとともに(ステップS6)、決定した硬貨収納庫3A〜3Fに至る経路を確定する(ステップS7)。
具体的には、当該硬貨を収納する候補となる第1〜第6の収納部31〜36に形成された硬貨収納庫3A〜3Fのうち、収納枚数が最も少ない硬貨収納庫を当該硬貨を収納する硬貨収納庫に決定する。たとえば、識別センサ43が識別した硬貨が100円硬貨の場合には、100円硬貨を収納する第1および第2の収納部31,32、並びに、第5および第6の収納部35,36に形成された硬貨収納庫3Cのうち、収納枚数が最も少ない硬貨収納庫(たとえば、第2の収納部32の硬貨収納庫3C)を当該100円硬貨を収納する硬貨収納庫に決定する。なお、当該硬貨を収納する候補となるすべての硬貨収納庫(収納部)の収納枚数が同一の場合には、候補となるすべての硬貨収納庫のうち、最初に硬貨を払い出す硬貨収納庫(収納部)が硬貨を収納する硬貨収納庫となる。
そして、決定した収納部31〜36の硬貨収納庫3A〜3Fに至る経路を決定し、硬貨が当該経路を辿るように、ゲートソレノイド52A、ガイドソレノイド53Aを作動させる(ステップS8)。これにより、振分ゲート52、振分ガイド53が作動して、投入識別部4から収納部31〜36の硬貨収納庫3A〜3Fに至る経路が確定する。
識別センサ43を通過した硬貨は、繰出通路4Bに導入される。繰出通路4Bに導入された硬貨は、繰出ユニット44により搬送振分部5に向けて繰り出される。
そして、収納不能な硬貨であると制御部8が判断した硬貨が繰り出されると、開口したリジェクト口から回収される。リジェクト口から回収された硬貨は、リジェクト通路45、リジェクト部46を通って出金口22に返却される。そして、リジェクト口から回収された硬貨は、リジェクトセンサ47を通過する際に検知され、リジェクトセンサ47がオンとなる(ステップS9)。これにより、制御部8は、収納不能な硬貨であると記憶した硬貨の回収を確認し、リジェクトゲートソレノイド48Aを作動させ、リジェクトゲート48を閉鎖する(ステップS10)。つぎに、制御部8は、シャッタソレノイド41Aを作動させ、入金シャッタ41を投入通路4Aから退避させる(ステップS11)。これにより、投入口21から投入通路4Aへの硬貨の投入が可能となる。
一方、収納する収納部31〜36に形成に形成された硬貨収納庫3A〜3Fを制御部8が決定した硬貨は、リジェクトゲート48を通過して搬送振分部5に繰り出される。そして、搬送振分部5に繰り出された硬貨は、搬送通路上を搬送され、搬送通路5A1L,5A1Rに進出した振分ゲート52に堰き止められ、搬送通路5A1L,5A1Rから下方に落下する。そして、落下した硬貨はそのまま直下の収納部31〜36に形成された硬貨収納庫3A〜3Fに収納され、あるいは、振分ガイド53にガイドされて、斜め下の収納部31〜36に形成された硬貨収納庫3A〜3Fに収納される(ステップS12)。
そして、硬貨が収納部31〜36に形成された硬貨収納庫3A〜3Fに収納されると、制御部8は、ゲートソレノイド52A、ガイドソレノイド53Aを作動させ、振分ゲート52と振分ガイド53とを退避させる(ステップS13)。つぎに、制御部8は、シャッタソレノイド41Aを作動させ、入金シャッタ41が投入通路4Aから退避させる(ステップS11)。これにより、投入口21から投入通路4Aへの硬貨の投入が可能となる。
図12は、本発明の実施の形態である硬貨処理装置1の硬貨払出手順を示すフローチャートである。また、図13〜図15は、本発明の実施の形態である硬貨処理装置の出金例を示す図であって、図13は、左側面に設けた出金口(左出金口)への出金例を示す図、図14は、右側面に設けた出金口(右出金口)への出金例を示す図、図15は、左出金口と右出金口への出金例を示す図である。
本発明の実施の形態である硬貨処理装置1は、上位機器(たとえば、本発明の実施の形態である硬貨処理装置を内蔵する給油スタンド)(図示せず)から通知された制御指令に基づいて硬貨を払い出す。上位機器から通知される制御指令は、硬貨を払い出す出金口と払出金額の情報を含むもので、制御部8は、この情報に基づいて、硬貨を払い出す出金口と払出金額を決定する(ステップS21)。つぎに、制御部8は、払出金額に基づいて金種ごとに払出枚数を算出する(ステップS22)。
金種ごとに払い出す硬貨の払出枚数を算出が終わると、制御部8は、硬貨を払い出す硬貨収納庫を選択する(ステップS23)。
具体的には、まず、硬貨を払い出す出金口の情報に基づいて使用可能な収納部31〜36を選択する。すなわち、硬貨を払い出す出金口が左出金口22L、右出金口22Rのいずれか一方である場合には、すべての収納部31〜36を選択する。一方、硬貨を払い出す出金口が左出金口22Lと右出金口22Rの両方である場合には、左出金口22Lに払い出す収納部は第1〜第3の収納部31〜33を選択し、右出金口22Rに払い出す収納部は第4〜第6の収納部34〜36を選択する。
つぎに、制御部8が管理する収納枚数に基づいて、選択した収納部から選択可能な硬貨収納庫を選択する。すなわち、硬貨収納庫に硬貨が収納してあり、硬貨を払い出すことが可能な硬貨収納庫を選択する。
最後に、収納枚数の多い順に硬貨収納庫を選択する。すなわち、同一金種を収納した硬貨収納庫のうち、最も収納枚数の多い硬貨収納庫、つぎに収納枚数の多い硬貨収納庫、そのつぎに収納枚数の多い硬貨収納庫の順に硬貨収納庫を選択する。
硬貨を払い出す硬貨収納庫の選択が終わると、制御部8は、アクチュエータ61〜66を制御して、選択した硬貨収納庫から硬貨搬送部7に硬貨を払い出す(ステップS24)。
硬貨の払い出しが終了すると、制御部8は、硬貨を払い出す出金口の情報に基づいて硬貨を搬送し、出金口22に払出金額を構成する硬貨の払い出しを終了する(ステップS25)。
図13〜図15を参照し、具体的に説明する。たとえば、図13に示すように、上位機器から出金口が左、払出金額999円の情報を含む制御指令が通知されると、制御部8は、この情報に基づいて、硬貨を払い出す出金口を左、払出金額999円を決定する(ステップS21)。つぎに、制御部8は、払出金額999円を構成する硬貨の払出枚数を金種ごとに算出する(ステップS22)。この例では、1円硬貨4枚、5円硬貨1枚、10円硬貨4枚、50円硬貨1枚、100円硬貨4枚、500円硬貨1枚が求められる。
つぎに、制御部8は、硬貨を払い出す硬貨収納庫を選択する(ステップS23)。この例では、硬貨を払い出す出金口が左出金口22Lに限られるから、すべての収納部31〜36が選択可能である。つぎに、制御部8が管理する収納枚数に基づいて、選択した収納部から選択可能な硬貨収納庫を選択する。この例では、すべての硬貨収納庫に硬貨が収納してあり、すべての硬貨収納庫から硬貨を払い出すことが可能であるとする。
最後に、収納枚数の多い順に硬貨収納庫を選択する。この例では1円硬貨、10円硬貨、100円硬貨をそれぞれ4枚払い出す必要があるので、収納枚数に関係なく、第1および第2の収納部31,32、並びに第5および第6の収納部35,36の硬貨収納庫3A〜3Cを選択する。また、5円硬貨、50円硬貨、500円硬貨をそれぞれ1枚払い出す必要があるので、第3および第4の収納部33,34から収納枚数の多い硬貨収納庫を選択する。ここでは、第3の収納部33の硬貨収納庫3D〜3Fを選択する。
つぎに、制御部8は、アクチュエータ61〜66を制御して、選択した硬貨収納庫から硬貨搬送部7に硬貨を払い出す(ステップS24)。
つぎに、制御部8は、硬貨搬送部7を制御して、左出金口22Lに硬貨を払い出す(ステップS25)。具体的には、搬送路71,72を駆動して、左出金口22Lに硬貨を払い出す。
一方、図14に示すように、上位機器から出金口が右、払出金額999円の情報を含む制御指令が通知されると、制御部8は、この情報に基づいて、硬貨を払い出す出金口を右、払出金額999円を決定する(ステップS21)。つぎに、制御部8は、払出金額999円を構成する硬貨の払出枚数を金種ごとに算出する(ステップS22)。この例では、1円硬貨4枚、5円硬貨1枚、10円硬貨4枚、50円硬貨1枚、100円硬貨4枚、500円硬貨1枚が求められる。
つぎに、制御部8は、硬貨を払い出す硬貨収納庫を選択する(ステップS23)。この例では、硬貨を払い出す出金口が右出金口22Rに限られるから、すべての収納部31〜36が選択可能である。つぎに、制御部8が管理する収納枚数に基づいて、選択した収納部から選択可能な硬貨収納庫を選択する。この例では、すべての硬貨収納庫に硬貨が収納してあり、すべての硬貨収納庫から硬貨を払い出すことが可能であるとする。
最後に、収納枚数の多い順に硬貨収納庫を選択する。この例では1円硬貨、10円硬貨、100円硬貨をそれぞれ4枚払い出す必要があるので、収納枚数に関係なく、第1および第2の収納部31,32、並びに第5および第6の収納部35,36の硬貨収納庫3A〜3Cを選択する。また、5円硬貨、50円硬貨、500円硬貨をそれぞれ1枚払い出す必要があるので、第3および第4の収納部33,34から収納枚数の多い硬貨収納庫を選択する。ここでは、第4の収納部34の硬貨収納庫3D〜3Fを選択する。
つぎに、制御部8は、アクチュエータ61〜66を制御して、選択した硬貨収納庫から硬貨搬送部7に硬貨を払い出す(ステップS24)。
つぎに、制御部8は、硬貨搬送部7を制御して、右出金口22Rに硬貨を払い出す(ステップS25)。具体的には、搬送路71,72を駆動して、右出金口22Rに硬貨を払い出す。
他方、図15に示すように、上位機器から出金口が左と右、払出金額がそれぞれ999円の情報を含む制御指令が通知されると、制御部8は、この情報に基づいて、硬貨を払い出す出金口を右と左、払出金額999円を決定する(ステップS21)。つぎに、制御部は、払出金額999円を構成する硬貨の払出枚数を金種ごとに算出する(ステップS22)。1円硬貨4枚、5円硬貨1枚、10円硬貨4枚、50円硬貨1枚、100円硬貨4枚、500円硬貨1枚が求められる。
つぎに、制御部8は、硬貨を払い出す硬貨収納庫を選択する(ステップS23)。この例では、硬貨を払い出す出金口が左出金口22Lと右出金口22Rとであるから、左出金口22Lに払い出す収納部は第1〜第3の収納部31〜33を選択し、右出金口22Rに払い出す収納部は第4〜第6の収納部34〜34を選択する。
そして、左出金口22Lには、第1〜第3の収納部31〜33の硬貨収納庫から払い出すことになる。第1〜第3の収納部31〜33のすべての硬貨収納庫3A〜3C、3D〜3Fから硬貨を払い出しても777円にしかならないので、第1および第2の収納部31,32の硬貨収納庫3A〜3Cからは二回払い出すことになる。そして、一回目に、第1および第2の収納部31,32の硬貨収納庫3A〜3Cと、第3の収納部33の硬貨収納庫3D〜3Fとから硬貨を払い出し、二回目に、第1および第2の収納部31,32の硬貨収納庫3A〜3Cから硬貨を払い出す(ステップS24)。
同様に、右出金口22Rには、第4〜第6の収納部34〜36の硬貨収納庫から払い出すことになる。第4〜第6の収納部34〜36のすべての硬貨収納庫3A〜3C、3D〜3Fから硬貨を払い出しても777円にしかならないので、第5および第6の収納部35,36の硬貨収納庫3A〜3Cからは二回払い出すことになる。そして、一回目に、第5および第6の収納部35,36の硬貨収納庫3A〜3Cと第4の収納部34の硬貨収納庫3D〜3Fとから硬貨を払い出し、二回目に、第5および第6の収納部35,36の硬貨収納庫3A〜3Cから硬貨を払い出す(ステップS24)。
つぎに、制御部8は、硬貨搬送部7を制御して、左出金口22Lと右出金口22Rとに硬貨を払い出す(ステップS25)。具体的には、一方の搬送路71と他方の搬送路72とを反対方向に駆動することにより、左出金口22Lに硬貨を払い出すとともに、右出金口22Rに硬貨を払い出す。
上述した本発明の実施の形態である硬貨処理装置1は、硬貨収納部3が1円硬貨を収納する硬貨収納庫3Aを四つ備え、1円硬貨を複数枚払い出す場合には、四つの硬貨収納庫3Aのうち、少なくとも二つの硬貨収納庫3Aからそれぞれ硬貨を払い出す。これにより、一つの硬貨収納庫3Aから複数回に分けて硬貨を一枚ずつ払い出すよりも短い時間で硬貨を払い出すことができる。たとえば、2円を払い出す場合には、四つの硬貨収納庫3Aのうち二つの硬貨収納庫3Aからそれぞれ一枚ずつ硬貨を払い出す。これにより、一つの硬貨収納庫3Aから二回に分けて硬貨を一枚ずつ払い出す場合よりも短い時間で硬貨を払い出すことができる。
同様に、硬貨収納部3が10円硬貨を収納する硬貨収納庫3Bを四つ備え、10円硬貨を複数枚払い出す場合には、四つの硬貨収納庫3Bのうち、少なくとも二つの硬貨収納庫3Bからそれぞれ硬貨を払い出す。これにより、一つの硬貨収納庫から複数回に分けて硬貨を一枚ずつ払い出すよりも短い時間で硬貨を払い出すことができる。たとえば、30円を払い出す場合には、四つの硬貨収納庫3Bのうち三つの硬貨収納庫3Bからそれぞれ一枚ずつ硬貨を払い出す。これにより、一つの硬貨収納庫3Bから三回に分けて硬貨を一枚ずつ払い出す場合よりも短い時間で硬貨を払い出すことができる。
同様に、硬貨収納部3が100円硬貨を収納する硬貨収納庫3Cを四つ備え、100円硬貨を複数枚払い出す場合には、四つの硬貨収納庫3Cのうち、少なくとも二つの硬貨収納庫3Cからそれぞれ一枚ずつ硬貨を払い出す。これにより、一つの硬貨収納庫から複数回に分けて硬貨を一枚ずつ払い出すよりも短い時間で硬貨を払い出すことができる。たとえば、400円を払い出す場合には、四つの硬貨収納庫3Cからそれぞれ硬貨を払い出す。これにより、一つの硬貨収納庫3Cから四回に分けて硬貨を一枚ずつ払い出す場合よりも短い時間で硬貨を払い出すことができる。なお、四つの硬貨収納庫3Cのうち、二つの硬貨収納庫3Cしか使用できない場合には、二つの硬貨収納庫3Cから二回に分けて一枚ずつ硬貨を払い出す。この場合でも一つの硬貨収納庫3Cから四回に分けて硬貨を一枚ずつ払い出す場合よりも短い時間で硬貨を払い出すことができる。