JP5776142B2 - 振動板 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電素子を用いた振動板に関し、特に印刷によって前記圧電素子を形成するための手法に関する。
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)用アクチュエータ、特にマイクロミラーデバイス、pMUT(piesoelectric Micromachined Ultrasonic Transducer:圧電マイクロマシン超音波発振器)、インクジェットプリンター用ヘッドの振動板として用いられる圧電素子において、該圧電素子にセラミックを用いる場合は、100μm程度に薄さの限界があり、また該圧電素子をスパッタで形成する場合には、10μm程度に厚さの限界があり、それらの間の駆動力に適した製法として、圧電素子を印刷によって形成することが注目されている。また、印刷による製法の場合、高精度なパターニングを行うことができ、さらに低コスト化を実現できる。特許文献1は、インクジェットヘッドに用いられる圧電素子を、そのような印刷法によって形成したものである。
そのような印刷形成を可能にするためには、ペースト化したPZTなどの圧電体粉末を、スクリーン印刷で前記シリコンなどの基板上にパターニングし、圧電素子に焼成することが考えられる。その場合、前記圧電体粉末は、該圧電体粉末を均一に分散するためのバインダ(分散用樹脂)と、該圧電体粉末およびバインダを印刷に適した前記ペースト状に形成する溶媒と混合され、前記ペースト化される。
そして、下部電極の形成された基板上に前記ペーストが印刷された後、たとえば100℃程度のオーブンに入れ、溶媒を乾燥する処理と、たとえば約400℃程度の温度で樹脂を分解して圧電体粉末のみを残す脱バインダ処理とが行われた後、本焼成が行われ、さらに上部電極が形成されて圧電素子が完成する。
特開平6−206317号公報
ところで、前記圧電体粉末に、PZTなどの鉛系の材料を用いると、高温での焼成の際、下部電極に接する下層側からは下部電極の白金へ向けて、また外部に露出している表層側(後に上部電極が形成される側)は雰囲気中へと、鉛が抜け易いという問題がある。前記鉛が抜けてしまい、PZTの組成が変化し、特に鉛が化学量論的な組成(化合物を構成している原子数の比(組成)が化学式どおりに存在している状態)よりも少なくなると、ジルコニウムの酸化物であるジルコニアやチタンの酸化物であるチタニアが出現し、圧電層が強誘電体特性を示さず、常誘電体となって、印加した電圧がその常誘電体部分にかかってしまい、圧電効果を損ねるなどの弊害が発生する。
本発明の目的は、圧電体粉末のペーストを印刷および焼成して成る圧電素子を形成した振動板において、前記圧電素子の圧電特性を向上することができる振動板を提供することである。
発明の振動板は、鉛系の圧電体粉末を含むペースト材料を、基板上に印刷後、焼成して形成される圧電素子を形成した振動板において、前記基板は、シリコン基板と、前記シリコン基板上に形成された、酸化アルミニウムと酸化チタンとからなる層と、前記層上に形成された下部電極とを備え、該圧電素子は、所望の厚さに対して、複数層に分割して前記ペースト材料を前記下部電極上に印刷することで積層形成されており、積層される複数のペースト層において、前記下部電極に接する下層側の層および前記焼成時に外部に露出している表層が、内方側となる層よりも、鉛含有量が多くなるように前記ペースト材料が調製されていることで、焼成後に、各層において、化学量論的組成1を基準としたPbの組成比が1〜1.03の範囲であることを特徴とする
上記の構成によれば、鉛系の圧電体粉末のペーストを印刷および焼成して成る圧電素子を形成した振動板において、圧電特性が高い圧電素子を形成した振動板を実現することができる。
また、本発明の振動板は、前記圧電体粉末としてPZT−PZN粉末を用いていることを特徴とする。
上記の構成によれば、焼成温度を低下でき、これによって基板などへのダメージを小さくできる
本発明の振動板は、以上のように、鉛系の圧電体粉末を含むペースト材料を、基板上に印刷した後、焼成することで、圧電素子を形成した振動板を製造する方法において、前記ペースト材料を、所望の厚さに対して、複数層に分割して印刷形成するとともに、積層される複数のペースト層において、前記焼成時に外方側となる層、すなわち前記下部電極に接する下層側および外部に露出している表層(上部電極)側が、内方側となる層よりも、鉛含有量が多くなるように、該ペースト材料を調製しておく。
それゆえ、焼成による鉛の抜け易い部分からの鉛抜けによる圧電特性の劣化を防止しながら、中間層部分の組成を化学量論的組成に近付け、圧電特性を向上することができる。
また、本発明の振動板は、以上のように、前記の圧電素子をシリコン基板上に形成して成る。
それゆえ、圧電特性の高い圧電素子を用い、大きな振動を得ることができる。
本発明の実施の一形態に係る振動板の模式的な断面図である。 前記振動板を用いるインクジェットプリンタヘッドの断面図である。 本発明の実施の他の形態に係る振動板の模式的な断面図である。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の一形態に係る振動板1の模式的な断面図である。この振動板1は、大略的に、薄板状の基板2上に、圧電素子3が積層されて構成され、後述の図2で示すインクジェットプリンタヘッド21に用いられる。
前記圧電素子3は、後述するようにして作成される圧電層4の両表面に、電極5,6が積層されて構成される。前記基板2は、シリコンから成り、その上には、先ず熱酸化膜7が形成され、次にバリア層8が形成された後、下部電極5、前記圧電層4および上部電極6から成る圧電素子3が積層される。
前記基板2は、厚さ200μm程度に形成される。前記熱酸化膜7は、500nm〜3μm程度に形成される。前記バリア層8は、前記圧電層4を構成するPZTにおける鉛の熱酸化膜7側への拡散および熱酸化膜7側から圧電層4側へのシリコンの拡散を防止するための酸化アルミニウム層と、下部電極5を成す白金の圧電層4に対する密着性を向上する酸化チタン層とが積層されて成り、前記酸化アルミニウム層が100〜1000nm程度、酸化チタン層が10〜50nm程度に形成されている。さらに、このバリア層8を備えることで、下部電極5の結晶の配向性が向上し、圧電層4の結晶配向性も向上し、圧電定数のより高い圧電素子を得ることができる。下部電極5の厚さは、100nm〜500nm程度に形成されている。上部電極6も下部電極5と同様に、白金、金などから成り、その厚さは100nm〜500nm程度に形成される。また、圧電層4と上部電極6との密着性を向上させるために、クロム、チタンなどの密着層を、該圧電層4と上部電極6との間に設けてもよい。
図2は、上述のように構成される振動板1を用いるインクジェットプリンタヘッド21の断面図である。図1で示す振動板1の部分には、同一の参照符号を付して示す。このインクジェットプリンタヘッド21は、図示しない供給管からキャビティ22内に供給されるインクを、前記圧電素子3の厚み方向(図1および図2の紙面の上下方向)の撓みによって、ノズル23から吐出するものである。
このインクジェットプリンタヘッド21の作製方法としては、後述するようにして、図1で示すような振動板1が作製された後、エッチングなどで熱酸化膜7まで達する凹部24が彫り込まれ、前記キャビティ22の一部を形成する。一方、シリコンから成るノズル板25が積層されたインク室基板26が用意され、該インク室基板26にも、エッチングなどでノズル板25まで達する凹部27が彫り込まれ、前記キャビティ22の一部を形成する。そして、これらの凹部24,27が合わさってキャビティ22を形成するように、基板2とインク室基板26とが接合される。そのため、前記インク室基板26は、シリコンから成る基板2と、シリコンから成るノズル板25とを接合するために、陽極接合用ガラスから成る。
続いて、本発明の実施の第1の形態に係る振動板1の作製方法について、以下に詳述する。大略的に、本実施の形態における振動板1の作製工程は、シリコン基板2上に熱酸化膜7を形成する工程と、その熱酸化膜7上にスパッタによってバリア層8の材料から成る前駆バリア層を形成する工程と、バリア層8を形成する工程と、下部電極5を形成する工程と、圧電層4を形成する工程と、上部電極6を形成する工程とを含む。
注目すべきは、本実施の形態では、前記圧電層4が、その印刷形成時に、所望の厚さに対して、参照符号41〜43で示す3つのペースト層で分割形成されており、積層される各ペースト層41〜43において、焼成時に外方側となるペースト層41,43が、内方側となるペースト層42よりも、鉛含有量が多くなるように、ペースト材料が調製されていることである。なお、本焼成後は、これらのペースト層41〜43の層間の境界は無くなっているが、図1および図2では、印刷後の状態を模式的に示している。
具体的には、中間のペースト層42の圧電体材料には、化学量論的組成であるPb(Zr0.52Ti0.48)Oから成るPZT粉末を用いた。また、外側のペースト層41,43の圧電体材料には、Pb1.2(Zr0.52Ti0.48)O3.2と、PbリッチなPZT粉末を用いた。そして、これらのPZT粉末を印刷するにあたって、該PZT粉末を均一に分散するためのバインダと、該PZT粉末およびバインダをスクリーン印刷に適したペースト状に形成する溶媒とを混合する。本実施の形態では、PZT粉末が60重量%、バインダとしてエチルセルロースを4重量%、溶媒としてブチルカルビトールアセテートを36重量%の割合で混合し、印刷用ペーストを作成した。また、PZT粉末の粒度分布は、メジアン(中央値)で0.6μmである。
一方、基板2としては、直径3インチのSEMI規格のシリコン基板を熱処理し、両面に熱酸化膜7を2μm付けたものを準備した。そして、その基板2上に、AlをDCスパッタで120nm成膜した後、TiをDCスパッタで成膜し、成膜後、基板2をマッフル炉で大気雰囲気下で700℃に加熱し、Tiを酸化させることでバリア層8を作成した。そのバリア層8の上から、白金電極をDCスパッタで200nm成膜し、下部電極5付きの基板2を作成した。
なお、2μmの熱酸化膜7付きの基板2の代わりに、図3の振動板1aで示すように、2μmの活性層10を持つSOI基板12を用いてもよい。これらの熱酸化膜7および活性層10は、圧電層4に次いで、振動板1,1aの主たる構造物になり、圧電層4と共に、振動板として機能する。図3の場合、BOX層17のSiOは0.2μm、さらに基板2の両面に0.2μmの熱酸化膜を形成したものを用いる。その上に、AlおよびTiOから成るバリア層8ならびに白金から成る下部電極5を成膜する。
その後、前記の下部電極5付きの基板2上に、Pbリッチなペースト層41を第1層目として塗布し、100℃のオーブンで溶剤乾燥させた。さらに第2層として化学量論的組成の中間層用ペースト層42を塗布した。同様に溶剤を乾燥させた後、第3層としてPbリッチなペースト層43を塗布し、同じく溶剤を乾燥させた。その後、マッフル炉で400℃に加熱し、30分間保持して、バインダをCOとHOとに分解する脱バインダ処理を行った。さらに、脱バインダしたサンプルをマッフル炉にて1150℃で2時間、本焼成を行った。本焼成後、上部電極6として白金を200nmスパッタし、該振動板1を完成した。なお、下部電極5および上部電極6は、白金ペーストを印刷によりパターニングして形成してもよい。本焼成後の第1層、第2層、第3層の厚みは、それぞれ5μm、20μm、5μmである。
上述のように作製された圧電層4を、透過型電子顕微鏡(TEM)にてエネルギー分散型X線分光法(EDS)を用いた元素分析を行った。その結果、第1層目の鉛量はPb1.02(Zr0.52Ti0.48)O3.02、第2層目はPb1.01(Zr0.52Ti0.48)O3.01、第3層目はPb1.03(Zr0.52Ti0.48)O3.03となっており、中間層(42)の組成については、化学量論的組成が略維持されていた。若干の鉛の増加がみられるのは、上下の層(41,43)から鉛が供給されたためであり、上下の両方の層(41,43)の組成よりも、中間層(42)の鉛過剰量が大きくなることはない。Pbリッチペーストの過剰鉛量は、化学量論比的組成に比べ、モル比で5%から25%の過剰が望ましい。また中間層(42)用ペーストの鉛過剰量は、化学量論比的組成に比べ、モル比で−5%〜10%が望ましい。
また、圧電定数d31を測定したところ、表1で示すように、−89pm/Vであった。その測定は、カンチレバー方式で行い、カンチレバーは15mm×1mmの長さに切り出したものを使用した。また、15mmのうち、端から5mm部分は電極を形成しておらず、この部分を挟み、上部電極と下部電極の間に交流電圧を印加し、その際の振動から圧電定数を求めた。
Figure 0005776142
ここで、上述の第1の形態に対する比較例を説明する。第1の比較例は、圧電体粉末として、同様にPZT粉末を用いた。その粒度分布も同様に、メジアンで0.6μmである。また、焼成時に鉛が抜けることを考慮し、PZTの組成を、Pb1.1(Zr0.52Ti0.48)O3.1と、鉛が過剰に入ったものを準備した。この単一のPZT粉末を用い、同様に該PZT粉末が60重量%、エチルセルロースを4重量%、ブチルカルビトールアセテートを36重量%の割合で混合し、印刷用ペーストを作成した。
基板2側も、第1の形態と同様に、直径3インチのSEMI規格のシリコン基板を熱処理し、両面に熱酸化膜7を2μm付けたものを準備した。そして、その基板2上に、AlをDCスパッタで120nm成膜した後、TiをDCスパッタで成膜し、成膜後、基板2をマッフル炉で大気雰囲気下で700℃に加熱し、Tiを酸化させることでバリア層8を作成した。そのバリア層8の上から、白金電極をDCスパッタで500nm成膜し、下部電極5付きの基板2を作成した。
その後、前記の下部電極5付きの基板2上に、前記単一組成でPbリッチなペースト層41を第1層目として塗布し、100℃のオーブンで溶剤乾燥させた。さらに同様に第2層および第3層の塗布および乾燥を行い、マッフル炉で400℃に加熱し、30分間保持して、脱バインダ処理を行った。さらに、脱バインダしたサンプルをマッフル炉にて1150℃で2時間、本焼成を行った。本焼成後、上部電極6として白金をスパッタし、該振動板1を完成した。本焼成後の第1層、第2層、第3層の厚みは、それぞれ10μmで、3層で計30μmの厚みのPZT膜が得られた。
この第1の比較例の圧電定数d31を測定したところ、前記表1に併せて示すように、−78pm/Vであった。前記圧電定数は、バルクの圧電素子で240pm/V程度、スパッタによる圧電素子で150pm/V程度で、印刷の場合はそれらよりも低くなるが、この表1では、本実施の形態は、第1の比較例に比べて、圧電特性が格段に向上していることが理解される。
また、圧電層4の組成を測定したところ、下部電極5近傍でPb1.02(Zr0.52Ti0.48)O3.02、中間部分でPb1.08(Zr0.52Ti0.48)O3.18、上部電極6近傍でPb1.03(Zr0.52Ti0.48)O3.03となっており、特に中間部分で鉛が過剰になっていた。これは下部電極5近傍では電極に鉛が吸収され、また焼成時に層の表層部分(上部電極6近傍)では鉛が雰囲気中に逃げて、上部と下部とでは化学量論的組成に近付いているが、中間部分では鉛の抜けるところがなく、過剰なままになっていることを表す。
また、第2の比較例を以下に説明する。第2の比較例は、850℃で本焼成を行えるように、圧電体粉末として、PZT−PZN粉末を用い、その粒度分布もメジアンで0.6μmである。前記PZT−PZN粉末の組成は、0.85Pb1.1(Zr0.52Ti0.48)O3.1−0.15Pb1.1(ZnO1/3Nb2/3)O3.1である。前記PZT−PZN粉末は、Pb(Zr0.52Ti0.48)Oの粉末に、ZnNbとPbとの粉末を、Pb,Zr,Ti,Zn,Nbのモル比が狙いの組成0.85Pb1.1(Zr0.52Ti0.48)O3.1−0.15Pb1.1(ZnO1/3Nb2/3)O3.1と等しくなるように混合し、2000kg/cmの圧を加えた後、950℃で24時間焼成し、さらにこの粉末を粉砕することで作成した。
そして、このようなPZT−PZN粉末のペーストを、第1の比較例と同様に、3層に亘って印刷および溶媒の乾燥を繰返して積層した後、白金ペーストを塗布し、乾燥した。そのサンプルを400℃で脱バインダ処理を行い、さらに850℃で2時間焼成したところ、それぞれの層の焼き上がりの厚みは10μm、3層で計30μm、また白金から成る上部電極6は500nmの厚みのPZT−PZN膜と白金上部電極とが得られた。
そして、圧電層4の組成を測定したところ、下部電極5近傍で0.85Pb1.04(Zr0.52Ti0.48)O3.04−0.15Pb1.04(ZnO1/3Nb2/3)O3.04、中間部分でPb1.08(Zr0.52Ti0.48)O3.08−0.15Pb1.08(ZnO1/3Nb2/3)O3.08、上部電極6近傍でPb1.03(Zr0.52Ti0.48)O3.03−0.15Pb1.03(ZnO1/3Nb2/3)O3.03となっていた。
この第2の比較例の圧電定数d31を測定したところ、前記表1に併せて示すように、圧電特性はd31=−65pm/Vであった。この従来例も上部と下部とは化学量論的組成に近付いているが、中間部分では鉛の抜けるところがなく、過剰なままになっている。
以上のように、本実施の形態の圧電素子およびその製造方法によれば、鉛を含む圧電体粉末と、バインダと、溶媒とを含むペースト材料を、基板2上に印刷した後、焼成することで、圧電素子3を製造するにあたって、その焼成の際、下部電極5に接する下層側および外部に露出している表層(上部電極6)側は鉛が抜け易いことに対応して、前記ペースト材料を所望の厚さに印刷するにあたって、複数回に分割して印刷するとともに、前記下層側および表層側のペースト層41,43を、内方側となるペースト層42よりも、鉛含有量が多くなるように調製しておく。具体的には、内方側となる前記ペースト層42には化学量論的組成に近いものを用い、外方側となる前記ペースト層41,43には化学量論的組成から鉛を過剰に添加したものを用いる。
したがって、焼成による鉛の抜け易い部分からの鉛抜けによる圧電特性の劣化を防止しながら、中間層部分の組成を化学量論的組成に近付け、圧電特性を向上することができる。また、このような圧電素子3を振動板1に用いることで、大きな振動を得ることができる。
(実施の形態2)
以下に、本発明の実施の第2の形態に係る振動板の作製方法について説明する。本実施の形態の振動板は、前述の第1の形態の振動板1と同様であり、圧電層4の作製方法が異なるだけである。
具体的には、下部電極5の形成された基板2に、Pbリッチペーストを第1層(41)として塗布し、100℃のオーブンで溶媒を乾燥させた後、さらにマッフル炉で450℃に加熱し、30分間保持して、脱バインダ処理まで行った。そして脱バインダしたサンプルをさらにマッフル炉にて1150℃で2時間、本焼成を行った。
こうして一旦本焼成されたPZT層の上に、中間層(42)用の化学量論的組成のペーストを塗布し、溶媒を乾燥させ、さらに第3層(43)としてPbリッチペーストを塗布し、溶媒を乾燥させた後、マッフル炉で400℃に加熱し、30分間保持して脱バインダ処理を行った。その脱バインダしたサンプルを、さらにマッフル炉にて1150℃で2時間本焼成を行った。
焼成後の第1層、第2層、第3層の厚みは、それぞれ10μm、20μm、5μm、圧電層4全体では35μmになるように調整した。さらに繰返し積層する場合には、2層を1組として、下層側を前記化学量論的組成、上(表)層側をPbリッチの組成で塗布、乾燥、本焼成を繰返せばよい。このとき、Pbリッチペーストの厚みは、10μm以下が望ましい。
本実施の形態の圧電定数の測定結果も、前記表1に併せて示す。第1層(41)を一旦本焼成した後、第2層(42)および第3層(43)を積層しているので、第1の形態に比べて、圧電定数は向上している。
(実施の形態3)
以下に、本発明の実施の第3の形態に係る振動板の作製方法について説明する。本実施の形態の振動板も、前述の第1の形態の振動板1と同様であり、圧電層4の作製方法が異なるだけである。
具体的には、圧電体粉末として、前記PZT−PZN粉末を用いている。その粒度分布は、メジアンで0.6μmである。前記PZT−PZN粉末は、Pb(Zr0.52Ti0.48)Oの粉末に、ZnNbとPbとの粉末を、Pb,Zr,Ti,Zn,Nbのモル比が狙いの組成と等しくなるように混合し、2000kg/cmの圧を加えた後、950℃で24時間焼成し、さらにこの粉末を粉砕することで作成した。そして、中間層(42)用の化学量論的組成のペーストには、0.85Pb(Zr0.52Ti0.48)O−0.15Pb(ZnO1/3Nb2/3)Oを用意し、外層(41,43)用のPbリッチペーストには、0.85Pb1.1(Zr0.52Ti0.48)O3.1−0.15Pb1.1(ZnO1/3Nb2/3)O3.1を用意した。
そして、下部電極5を形成した基板2上に、PbリッチなPZT−PZNペーストを第1層目(41)として塗布し、100℃のオーブンで溶媒を乾燥させ、同様に第2層目(42)として化学量論的組成のPZT−PZNペーストを塗布し、乾燥させ、第3層目(43)としてPbリッチなPZT−PZNペーストを塗布し、乾燥させた後、マッフル炉で400℃に加熱し、30分間保持して、バインダをCOとHOとに分解する脱バインダ処理を行った。さらに脱バインダしたサンプルを、マッフル炉にて850℃で2時間本焼成を行った。本焼成後の第1層、第2層、第3層の厚みは、それぞれ5μm、20μm、5μmである。焼成後に上部電極6として、白金をスパッタし振動板1を作成した。
焼成後、透過型電子顕微鏡(TEM)にてエネルギー分散型X線分光法(EDS)を用いた元素分析にて、この膜の組成分析を行った。その結果、膜の組成比は、下部電極5付近で、0.85Pb1.03(Zr0.52Ti0.48)O3.03−0.15Pb1.03(ZnO1/3Nb2/3)O3.03、中間層はPb1.01(Zr0.52Ti0.48)O3.01−0.15Pb1.01(ZnO1/3Nb2/3)O3.01、上部電極6付近で、0.85Pb1.03(Zr0.52Ti0.48)O3.03−0.15Pb1.03(ZnO1/3Nb2/3)O3.03となっていた。
本実施の形態の圧電定数の測定結果も、前記表1に併せて示す。PZNを混合しているので、第1および第2の形態に比べて、圧電定数は低下しているものの、上述のように850℃で本焼成を行っており、焼成温度を300℃も低下できている。これによって、基板2などへのダメージを小さくすることができる。
ここで、特開2001−196652号公報には、PZTの圧電体膜を複数層で形成することが示されているが、各層で、ジルコニウムに対するチタンの濃度を変化することで電極と圧電素子との界面における応力を小さくしたり、リーク電流を低減することで、圧電特性を向上することが示されている。したがって、本願発明のように鉛の拡散を考慮したものではない。
1,1a 振動板
2 基板
3 圧電素子
4 圧電層
5 下部電極
6 上部電極
7 シリコン熱酸化膜
8 バリア層
10 活性層
12 SOI基板
17 BOX層
21 インクジェットプリンタヘッド
22 キャビティ
23 ノズル
24,27 凹部
25 ノズル板
26 インク室基板

Claims (2)

  1. 鉛系の圧電体粉末を含むペースト材料を、基板上に印刷後、焼成して形成される圧電素子を形成した振動板において、
    前記基板は、シリコン基板と、前記シリコン基板上に形成された、酸化アルミニウムと酸化チタンとからなる層と、前記層上に形成された下部電極とを備え、
    該圧電素子は、所望の厚さに対して、複数層に分割して前記ペースト材料を前記下部電極上に印刷することで積層形成されており、
    積層される複数のペースト層において、前記下部電極に接する下層側の層および前記焼成時に外部に露出している表層が、内方側となる層よりも、鉛含有量が多くなるように前記ペースト材料が調製されていることで、焼成後に、各層において、化学量論的組成1を基準としたPbの組成比が1〜1.03の範囲であることを特徴とする振動板。
  2. 前記圧電体粉末としてPZT−PZN粉末を用いていること
    を特徴とする請求項1に記載の振動板。
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