JP5776040B2 - セラミックス工芸品用の成形材料 - Google Patents
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Description
例えば、低温焼成によってセラミックス化でき、このため、蛍光あるいは蓄光パウダーの添加によって暗所で発光するとともに、透光性や艶を備えたガラス工芸系の製品を得ることができる、粘土材料、粘土質の釉薬材料、泥漿鋳込み材料に関する。
或いは、技術的に難易度が高く時間とコストのかかるガラス工芸的な手法を使う必要が無く、陶磁器作製用の二大成形手法であるロクロ成形や泥漿鋳込み成形が可能であり、このため、製品の形状自由度が極めて高い陶磁器的素地に関する。
さらには、有機溶剤などの人体に危険な添加剤が不使用であるため、安全性が極めて高い陶磁器的素地に関し、また、1000℃以下での低温焼成が可能であるため、市販の安価な七宝等用の電気炉や、電子レンジを活用したマイクロ波焼成用アタッチメントで焼成できる、陶磁器的素地に関する。
ガラスは、陶磁器が及び得ないところまで透光性を高めることが出来るが、吹きガラスでは、高温熔融したもの(1000℃を超える加熱が必要)を吹くため、形状が制約される。また、鋳造やパートドベールでは、金型や消耗品である耐火石膏型等のコストが高く、切子は、定型形状品をカットする手間がかかるばかりでなく、その技術的な難易度も高い。
特開平05−294271号公報(特許文献2)には、釉薬を厚く施すことが可能な吸水率が高い陶器品について記載されている。
特開平10−001366号公報(特許文献3)には、カードランを添加したセラミックス鋳込み成形用のスラリーについて記載されている。
特許文献2(特開平05−294721号公報)は、釉薬を施すべき対象である陶器品に関する発明であり、釉薬自体の特性によって厚肉とするものではない。
特許文献3(特開平10−001366号公報)は、焼成時の温度についての言及は無く、成形原料に鑑みても、低温焼成が可能とも思われない。このことから、多少の透光性及び艶、さらに、暗所で発光する蛍光特性を備えたガラス工芸系の製品を得ることはできないと思われる。
また、最終製品が変形したり、歪みを生じたり、黒化等の変色をしないように焼成できる、粘土材料、粘土質の釉薬材料、泥漿鋳込み材料を提供することを目的とする。
[1]構成1
低温軟化タイプのガラスフリットa1と屈伏点が前記低温軟化タイプのガラスフリットa1以上である高温軟化タイプのガラスフリットa2という少なくとも2種類のガラスフリットを含有するとともに蛍光体粉末a3を含有して成る非可塑性無機原料粉末Aに、カルボキシメチルセルロース粉末(CMC)と塩化カルシウム粉末を添加するとともに寒天粉末又はカラギナンを添加して成ることを特徴とするセラミックス工芸品用の成形材料。
構成1に於いて、
低温軟化タイプのガラスフリットa1の屈伏点は350℃〜800℃の範囲であり、
高温軟化タイプのガラスフリットa2の屈伏点は500℃〜950℃の範囲であり、
前記非可塑性無機原料粉末Aに於ける、低温軟化タイプのガラスフリットa1と、高温軟化タイプのガラスフリットa2と、蛍光体粉末a3の配合質量比は、低温軟化タイプのガラスフリットa1の成分比が1〜35質量%の範囲、高温軟化タイプのガラスフリットa2の成分比が50〜95質量%の範囲、蛍光体粉末a3の成分比が1〜60質量%の範囲である、
ことを特徴とするセラミックス工芸品用の成形材料。
低温軟化タイプのガラスフリットa1の原料としては、上記の特性を備えるものであれば公知の原料を使用でき、特に限定されない。例えば、東罐マテリアル・テクノロジー(株)の12−3617(屈伏点548 ℃)、日本フリット(タカラスタンダード)のCY0072L1(屈伏点614℃)、日陶産業のM−25(屈伏点650℃)、日陶産業のM−204(屈伏点700℃)等を使用できる。
高温軟化タイプのガラスフリットa2の原料としては、上記の特性を備えるものであれば公知の原料を使用でき、特に限定されない。例えば、東罐マテリアル・テクノロジー(株)の12−3979(屈伏点690℃)、12−3725(屈伏点710℃)、タカラスタンダード(株)のCK0133(屈伏点650℃)等を使用できる。
ガラスフリットa1、a2としては、環境の観点から無鉛であることが好ましく、発光の美観の観点から無鉛透明フリットが好ましい。
前記非可塑性無機原料粉末Aに於ける低温軟化タイプのガラスフリットa1の配合質量比は、好ましくは1質量%〜30質量%の範囲、更に好ましくは2質量%〜20質量%の範囲、特に好ましくは3質量%〜15質量%の範囲である。低温軟化タイプのガラスフリットa1の配合質量比が1質量%に満たない場合は、成形品の焼成時に、接合剥れが生じ易いため、所望の特性の製品を得るために熟練が必要である。35質量%を越えると、成形品の焼成時に熔融し易く、形状を保持できなくなる可能性が高くなる。
前記非可塑性無機原料粉末Aに於ける高温軟化タイプのガラスフリットa2の配合質量比は、好ましくは55質量%〜95質量%の範囲、更に好ましくは70質量%〜93質量%の範囲、特に好ましくは80質量%〜90質量%の範囲である。高温軟化タイプのガラスフリットa2の配合質量比が50質量%に満たない場合は、成形品の焼成時に熔融し易くなり、形状を保持できなくなる可能性が高い。95質量%を越えると、成形品の焼成時に、接合剥れが生じ易いため、所望の特性の製品を得るために熟練が必要である。
非可塑性無機原料粉末Aには、例えば、石英、長石、シャモット、骨灰、滑石、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、チタニア、コージェライト、チタン酸アルミニウム、フォルステライト、ムライト、ジルコン、フェライト、石灰石、ドロマイト、マグネサイト、炭化珪素、窒化珪素、各種ガラス粉末等を添加することもできる。なお、木節粘土、蛙目粘土、カオリン、セリサイト、陶石、蝋石、ベントナイト等は可塑性無機原料であるが、これらが少量含まれていても全体として非可塑性であれば用いることができる。
構成1の非可塑性無機原料粉末A100質量%に対して、それぞれ、
(a)寒天粉末又はカラギナンの外割での成分比を1質量%〜20質量%の範囲、
(b)カルボキシメチルセルロース粉末(CMC)と塩化カルシウム粉末の合計の外割での成分比を5質量%〜30質量%の範囲、
(c)カードランの外割での成分比を0質量%〜5質量%の範囲、
としてもよい。そのようにすると、手びねりやロクロ成形可能な粘土質の成形材料を得ることができる。
なお、成形に際して添加する水の量は、構成1の非可塑性無機原料粉末A100質量%に対して、外割の成分比で、20質量%〜100質量%の範囲、好ましくは30質量%〜80質量%の範囲とする。
上記(b)カルボキシメチルセルロース粉末(CMC)と塩化カルシウム粉末の合計の外割での成分比は、好ましくは8質量%〜15質量%の範囲である。この成分比が5質量%に満たない場合は、パサパサになって粘土材料としての所望の成形性を得ることができない。30質量%を越えると、成形体を焼成した場合に収縮が著しい結果となってしまい、通常用途への利用は不適である。
上記(c)カードランの外割での成分比は、好ましくは0質量%〜1質量%である。この成分比が5質量%を越えると、パサパサして造形しにくいという不具合がある。
上述の成形材料(粘土材料)によると、低温焼成可能な粘土成形品を例えばロクロ成形や手びねりで成形できるため、透光性や艶さらには暗所で発光する蛍光特性を備えたガラス工芸系の製品に焼成可能な粘土材料を得ることができる。
カルボキシメチルセルロース粉末の粒径は、好ましくは5〜300[μm]、更に好ましくは10〜200[μm]である。カルボキシメチルセルロース粉末の粒径が5[μm]より小さかったり、300[μm]より大きかったりすると、塩化カルシウム粉末と均一に混じるまでの時間が長くなるという不具合がある。
塩化カルシウム粉末の粒径は、好ましくは1300〜150[μm]、更に好ましくは1000〜350[μm]である。塩化カルシウム粉末の粒径が150[μm]より小さかったり、1300[μm]より大きかったりすると、カルボキシメチルセルロースと均一に混じるまでの時間が長くなるという不具合がある。
カルボキシメチルセルロース粉末と塩化カルシウム粉末の容積比は、好ましくは1.5:8.5〜2.5:7.5の範囲、更に好ましくは2:8である。カルボキシメチルセルロース粉末の占める量が1/10より少ないと、粘土材料を水に溶いて練る時にべたつき易くなるという不具合がある。塩化カルシウム粉末の占める量が7/10より少ないと、造形後の作品に黴が生ずることを防止する効果が不十分になる。
構成1の非可塑性無機原料粉末A100質量%に対して、それぞれ、
(a1)寒天粉末又はカラギナンの外割での成分比を1質量%〜10質量%の範囲、
(b1)カルボキシメチルセルロース粉末(CMC)と塩化カルシウム粉末の合計の外割での成分比を0質量%〜5質量%の範囲、
(c1)カードランの外割での成分比を1質量%〜30質量%の範囲、
とすると、泥漿鋳込みによる成形に適した成形材料を得ることができる。
なお、成形に際して添加する水の量は、構成3の非可塑性無機原料粉末A100質量%に対して、外割の成分比で、30質量%〜150質量%の範囲、好ましくは50質量%〜100質量%の範囲とする。
上記(b1)カルボキシメチルセルロース粉末(CMC)と塩化カルシウム粉末の合計の外割での成分比は、好ましくは0質量%〜1質量%の範囲である。成分比が1質量%を越えると、泥漿鋳込みとしての成形性が悪化する。
上記(c1)カードランの外割での成分比は、好ましくは2質量%〜10質量%である。この成分比が1質量%に満たないと、泥漿鋳込み成形での造形が困難となる。30質量%を越えると、成形体を焼成した場合に収縮が著しい結果となってしまい、通常用途への利用は不適である。
この成形材料(泥漿鋳込みの成形材料)によると、低温焼成可能な粘土成形品を泥漿鋳込みで成形できるため、透光性や艶さらには暗所で発光する蛍光特性を備えたガラス工芸系の製品に焼成可能な泥漿鋳込み材料を得ることができる。
例えば、120℃程度に設定して20秒程加熱し、その後、70℃で10分程度加熱する。これにより、所望の型から脱型する。なお、型の内表面に予めココアバターを塗布しておくと、良好な離型性を得る。
この成形方法によると、所望の成形品を簡単に成形することができる。
構成2とは別の成形材料として、下記構成を提供することもできる。
記
構成1に於いて、
低温軟化タイプのガラスフリットa1の屈伏点は350℃〜800℃の範囲であり、
高温軟化タイプのガラスフリットa2の屈伏点は500℃〜950℃の範囲であり、
前記非可塑性無機原料粉末Aに於ける、低温軟化タイプのガラスフリットa1と、高温軟化タイプのガラスフリットa2と、蛍光体粉末a3の配合質量比は、低温軟化タイプのガラスフリットa1の成分比が25〜90質量%の範囲、高温軟化タイプのガラスフリットa2の成分比が10〜60質量%の範囲、蛍光体粉末a3の成分比が1〜60質量%の範囲である、
ことを特徴とするセラミックス工芸品用の成形材料。
以下、この構成を、構成3−aと言うこととする。
構成3−aでは、非可塑性無機原料粉末Aに於ける低温軟化タイプのガラスフリットa1の配合質量比は、好ましくは30質量%〜80質量%の範囲、更に好ましくは40質量%〜70質量%の範囲、特に好ましくは45質量%〜65質量%の範囲である。低温軟化タイプのガラスフリットa1の成分比が25質量%に満たない場合は、浮き彫りタイプの釉薬としても熔融不足で素地表面に馴染み難い。ガラスフリットa1の成分比が90質量%を越えると、浮き彫り意匠が失われ易くなる。
構成3−aでは、非可塑性無機原料粉末Aに於ける高温軟化タイプのガラスフリットa2の配合質量比は、好ましくは15質量%〜55質量%の範囲、更に好ましくは25質量%〜50質量%の範囲、特に好ましくは35質量%〜45質量%の範囲である。高温軟化タイプのガラスフリットa2の配合質量比が10質量%に満たない場合は、浮き彫り意匠が失われ易くなる。高温軟化タイプのガラスフリットa2の配合質量比が60質量%を越えると、浮き彫りタイプの釉薬としても熔融不足で素地表面に馴染み難い。
構成3−aの非可塑性無機原料粉末A100質量%に対して、それぞれ、
(a2)寒天粉末又はカラギナンの外割での成分比を1質量%〜20質量%の範囲、
(b2)カルボキシメチルセルロース粉末(CMC)と塩化カルシウム粉末の合計の外割での成分比を5質量%〜30質量%の範囲、
(c2)カードランの外割での成分比を0質量%〜5質量%の範囲、
としてもよい。そのようにすると、釉薬として適した成形材料を得ることができる。
上記(b2)カルボキシメチルセルロース粉末(CMC)と塩化カルシウム粉末の合計の外割での成分比は、好ましくは8質量%〜15質量%の範囲である。成分比が5質量%に満たない場合は、パサパサになって対象成形品の表面に立体形状を施すべき釉薬材料としての所望の成形性を得ることができない。成分比が30質量%を越えると、収縮が著しくなるため対象成形品の表面に形状を維持して焼き付けることが困難である。
上記(c2)カードランの外割での成分比は、好ましくは0質量%〜1質量%である。成分比が5質量%を越えると、パサパサして造形しにくいという不具合がある。
この成形材料(釉薬材料)によると、対象成形品の表面に立体的に意匠を施すことができるとともに、低温焼成可能であるため、対象成形品の表面に透光性や艶さらには暗所で発光する蛍光特性を備えたガラス工芸系の立体模様を形成できる。
構成2は、構成1に於いて、低温軟化タイプのガラスフリットa1の屈伏点は350℃〜800℃の範囲であり、高温軟化タイプのガラスフリットa2の屈伏点は500℃〜950℃の範囲であり、前記非可塑性無機原料粉末Aに於ける、低温軟化タイプのガラスフリットa1と、高温軟化タイプのガラスフリットa2と、蛍光体粉末a3の配合質量比は、低温軟化タイプのガラスフリットa1の成分比が1〜35質量%の範囲、高温軟化タイプのガラスフリットa2の成分比が50〜95質量%の範囲、蛍光体粉末a3の成分比が1〜60質量%の範囲である成形材料であるため、低温焼成で成形でき、透光性や艶さらには暗所で発光する蛍光特性を備えたガラス工芸系の製品に最適な成形材料を提供することができる。
参考例aでは、非可塑性無機原料粉末Aとして、
(イ)熔融を主とするフリットa1:東罐マテリアル・テクノロジー(株)の12−3617(屈伏点548℃)を、5質量%、
(ロ)ガラス焼結的挙動を主とするフリットa2:東罐マテリアル・テクノロジー(株)の12−3979(屈伏点690℃)を、85質量%、
(ハ)蛍光体粉末a3:根本特殊化学(株)のBGL−300M(蓄光性蛍光体)を、10質量%、
を用い、この非可塑性無機原料粉末A100重量部に対して、それぞれ、
(ニ)セルロース系多糖類型増粘剤粉末B:(有)アドバンスから提供された糊剤(以下、「アドバンス糊剤」という)を10重量部添加するとともに、
(ホ)水を、非可塑性無機原料粉末A100重量部に対して40重量部添加して、粘土材料を得た。
なお、上記(ニ)のアドバンス糊剤とは、平均粒径100μmのカルボキシメチルセルロース(CMC)の粉末と、平均粒径500μmの塩化カルシウムの粉末を、2:8の容積比で混合して成る粉末である。
上記粘土材料を用いて所望の形状の成形品に成形した後、電気炉にセットして、400℃で30分脱脂した後、800℃で1時間焼成した。
焼成して得た製品は、パートドベール程度の透光性を有しており、暗所でも良好に発光した。また、表面には艶を備えていた。
なお、冷却ゲルタイプ多糖類型増粘剤粉末Dは無添加であるが、熔融を主とするフリットa1を少なくしているため黒化の程度は低く目立たない。
実施例1では、非可塑性無機原料粉末Aとして、
(イ)熔融を主とするフリットa1:東罐マテリアル・テクノロジー(株)の12−3617(屈伏点548℃)を、5質量%、
(ロ)ガラス焼結的挙動を主とするフリットa2:東罐マテリアル・テクノロジー(株)の12−3979(屈伏点690℃)を、85質量%、
(ハ)蛍光体粉末a3:根本特殊化学(株)のBGL−300M(蓄光性蛍光体)を、10質量%、
を用い、この非可塑性無機原料粉末A100重量部に対して、それぞれ、
(ニ)セルロース系多糖類型増粘剤粉末B:(有)アドバンスのアドバンス糊剤を、10重量部、
(ヘ)冷却ゲルタイプ多糖類型増粘剤粉末D:伊那食品工業(株)の寒天粘土用寒天を、5重量部、
を添加するとともに、
(ホ)水を、非可塑性無機原料粉末A100重量部に対して60重量部、
添加して、粘土材料を得た。
なお、上記(ニ)のアドバンス糊剤とは、平均粒径100μmのカルボキシメチルセルロース(CMC)の粉末と、平均粒径500μmの塩化カルシウムの粉末を、2:8の容積比で混合して成る粉末である。
上記粘土材料を用いて所望の形状の成形品に成形した後、電気炉にセットして、400℃で30分脱脂した後、800℃で1時間焼成した。
焼成して得た製品は、パートドベール程度の透光性を有しており、暗所でも良好に発光した。また、表面には艶を備えていた。
実施例1の寒天無添加の素地に比べ成形性はやや悪化するものの、焼成品の雰囲気はより白味を増して、品位向上を感じることが出来た。
参考例bでは、非可塑性無機原料粉末Aとして、
(イ−2)熔融を主とするフリットa1:タカラスタンダード(株)のCY0072L1(屈伏点614℃)を、50質量%、
(ロ)ガラス焼結的挙動を主とするフリットa2:東罐マテリアル・テクノロジー(株)の12−3979(屈伏点690℃)を、40質量%、
(ハ)蛍光体粉末a3:根本特殊化学(株)のBGL−300M(蓄光性蛍光体)を、10質量%、
を用い、この非可塑性無機原料粉末A100重量部に対して、それぞれ、
(ニ)セルロース系多糖類型増粘剤粉末B:(有)アドバンスのアドバンス糊剤を、10重量部添加するとともに、
(ホ)水を、非可塑性無機原料粉末A100重量部に対して40重量部、
添加して、釉薬材料を得た。
なお、上記(ニ)のアドバンス糊剤は実施例1と同じである。
上記釉薬材料を用いて対象成形品の表面に所望の形状の立体模様を施した後、電気炉にセットして、400℃で30分脱脂した後、830℃で1時間焼成した。なお、対象成形品としては施釉前の市販用タイルを用いた。
焼成して得た製品の表面には、良好な透光性と艶を備え、暗所でも良好に発光する立体模様を形成することができた。釉薬としては熔融を主とするフリットを少なくしているため熔けが少なく硬めな印象である。冷却ゲルタイプ多糖類型増粘剤粉末無添加であるが、焼成温度を高くしているため黒化は許容範囲である。
実施例2では、非可塑性無機原料粉末Aとして、
(イ−2)熔融を主とするフリットa1:タカラスタンダード(株)のCY0072L1(屈伏点614℃)を、50質量%、
(ロ)ガラス焼結的挙動を主とするフリットa2:東罐マテリアル・テクノロジー(株)の12−3979(屈伏点690℃)を、40質量%、
(ハ)蛍光体粉末a3:根本特殊化学(株)のBGL−300M(蓄光性蛍光体)を、10質量%、
を用い、この非可塑性無機原料粉末A100重量部に対して、それぞれ、
(ニ)セルロース系多糖類型増粘剤粉末B:(有)アドバンスのアドバンス糊剤を、10重量部
(へ)冷却ゲルタイプ多糖類型増粘剤粉末D:伊那食品工業(株)の寒天粘土用寒天を、5重量部、添加するとともに、
(ホ)水を、無機原料粉末100重量部に対して60重量部、
添加して、釉薬材料を得た。
なお、上記(ニ)のアドバンス糊剤は実施例1と同じである。
上記釉薬材料を用いて対象素地の表面に所望の形状の立体模様を施した後、電気炉にセットして、400℃で30分脱脂した後、800℃で1時間焼成した。なお、対象素地としては施釉前の市販タイルを用いた。
焼成して得た製品の表面には、良好な透光性と艶を備え、暗所でも良好に発光する立体模様を形成することができた。また、実施例3の寒天無添加の素地に比べ、焼成品の雰囲気はより白味を増して、品位向上を感じることが出来た。
[参考例−1]
参考例−1では、非可塑性無機原料粉末Aとして、
(イ)熔融を主とするフリットa1:東罐マテリアル・テクノロジー(株)の12−3617(屈伏点548℃)を、5質量%、
(ロ)ガラス焼結的挙動を主とするフリットa2:東罐マテリアル・テクノロジー(株)の12−3979(屈伏点690℃)を、85質量%、
(ハ−2)蛍光体粉末a3:東京インテリジェントネットワーク(株)の蓄光スーパーブルー(蓄光性蛍光体)を、10質量%、
を用い、この非可塑性無機原料粉末A100重量部に対して、それぞれ、
(ト)加熱ゲルタイプ多糖類型増粘剤C:キリン協和フーズ(株)のカードラン(微生物由来の加熱ゲルタイプ多糖類型増粘剤)を、3重量部、
(ヘ−2)冷却ゲルタイプ多糖類型増粘剤粉末D:伊那食品工業(株)のUX−30(寒天)を、2重量部、
添加するとともに、
(ホ)水を、無機原料粉末100重量部に対して70重量部、添加して攪拌し、泥漿鋳込み材料を得た。
上記泥漿鋳込み材料を、予め内表面に離型剤としてココアバターを塗布して皮膜を形成しておいた所望の形状のプラスチック型に充填し、該型を電子レンジにセットして、120℃に20秒保持した後、70℃に10分保持して、その後、脱型した。離型はスムーズで、反りもほとんど見られなかった。
次に、電気炉にセットして、400℃で30分脱脂した後、800℃で1時間加熱して焼成した。
焼成して得た製品は、良好な透光性と艶を備え、暗所でも良好に発光した。また、反りや黒化等の不良も見当たらなかった。
[参考例−2]
(p)非可塑性無機原料粉末A−x:大明化学工業(株)の易焼結性アルミナTM−DAR100重量部、
(ニ)セルロース系多糖類型増粘剤粉末B:(有)アドバンスのアドバンス糊剤を10重量部、
(ホ)水を40重量部、
以上を混合してよく練り、粘土とした。
上記粘土を猪口形状にロクロ成形した後、乾燥させたものを電気炉で、1300℃で焼成しアルミナ猪口とした。
なお、上記配合は一例を示すものであり、非可塑性無機原料粉末A−xとセルロース系多糖類型増粘剤粉末Bの配合質量比の範囲は、非可塑性無機原料粉末A−x100重量部に対するセルロース系多糖類型増粘剤粉末Bの割合が、5〜30重量部の範囲である。
参考例cでは、非可塑性無機原料粉末Aとして、
(イ−2)フリットa1:タカラスタンダード(株)のCY0072L1(屈伏点614℃)を、5質量%、
(ロ)フリットa2:東罐マテリアル・テクノロジー(株)の12−3979(屈伏点690℃)を、95質量%、
を用い、この非可塑性無機原料粉末A100重量部に対して、
(ニ)セルロース系多糖類型増粘剤粉末B:(有)アドバンスのアドバンス糊剤を10重量部、
(ホ)水を、40重量部添加して練り、粘土とした。
上記粘土を湯呑形状にロクロ成形した後、乾燥させものを電気炉で、400℃で30分脱脂後、800℃で1時間焼成した。焼成して得た湯呑は、白く艶を有する。
なお、上記配合は一例を示すものであり、フリットa1とフリットa2の配合質量比の範囲は、フリットa1が1〜35質量%、フリットa2が65〜99質量%、両者合計で100質量%である。
また、非可塑性無機原料粉末A100重量部に対するセルロース系多糖類型増粘剤粉末Bの割合は、5〜30重量部の範囲である。
蓄光含有多孔質プレートの非可塑性無機原料粉末として、
(イ)フリットa1:東罐マテリアル・テクノロジー(株)の12−3617(屈伏点548℃)を、40質量%、
(q)骨材:太平窯業薬品(株)の太平骨灰を、50質量%、
(ハ−2)蛍光体粉末a3:東京インテリジェントネットワーク(株)の蓄光スーパーブルー(蓄光性蛍光体)を、10質量%、
を用い、この無機原料粉末100重量部に対して、それぞれ、
(ト)加熱ゲルタイプ多糖類型増粘剤C:キリン協和フーズ(株)のカードラン(微生物由来の加熱ゲルタイプ多糖類型増粘剤)を、3重量部
(ヘ−2)冷却ゲルタイプ多糖類型増粘剤粉末D:伊那食品工業(株)のUX−30(寒天)を、2重量部、
添加するとともに、
(ホ)水を、無機原料粉末100重量部に対して70重量部、添加して攪拌し、泥漿鋳込み材料を得た。
上記泥漿鋳込み材料を、予め内表面に離型剤としてココアバターを塗布して皮膜を形成しておいた所望の形状のプラスチック型に充填し、該型を電子レンジにセットして、120℃に20秒保持した後、70℃に10分保持して、その後、脱型した。離型はスムーズ で、反りもほとんど見られなかった。
次に、この焼成前の蓄光含有多孔質プレートの上に、蓄光の浮き彫り意匠を施すための実施例3の練り土的蓄光釉薬材料のための非可塑性無機原料粉末Aとして、
(イ−2)フリットa1:タカラスタンダード(株)のCY0072L1(屈伏点614℃)を、40質量%、
(ロ)フリットa2:東罐マテリアル・テクノロジー(株)の12−3979(屈伏点690℃)を、40質量%、
(ハ)蛍光体粉末a3:根本特殊化学(株)のBGL−300M(蓄光性蛍光体)を、20質量%、
を用い、この非可塑性無機原料粉末A100重量部に対して、
(ニ)セルロース系多糖類型増粘剤粉末:(有)アドバンスのアドバンス糊剤を、10重量部、
(ヘ)冷却ゲルタイプ多糖類型増粘剤粉末D:伊那食品工業(株)の寒天粘土用寒天を、5重量部、
(ホ)水を60重量部、添加して、釉薬材料を得た。
この実施例3の釉薬材料を用いて、上記焼成前の蓄光含有多孔質プレートの表面に所望の意匠の立体模様を施した後、電気炉にセットして、400℃で1時間脱脂した後、830℃で1時間焼成した。
焼成して得た製品の表面には、良好な透光性と艶を備え、暗所でも良好に発光する立体模様を形成することができた。素地に反りや黒化等の不良も見当たらなかった。全体として発光するが、素地の蓄光含有割合が1割で釉薬が2割であるため、釉薬の光が強くて美しいアクセントとなる意匠である。素地が多孔質となっているため暗所で発光するアロマプレートとして利用が可能である。
Claims (2)
- 低温軟化タイプのガラスフリットと屈伏点が前記低温軟化タイプのガラスフリット以上である高温軟化タイプのガラスフリットという少なくとも2種類のガラスフリットを含有するとともに蛍光体粉末を含有して成る非可塑性無機原料粉末に、カルボキシメチルセルロース粉末(CMC)と塩化カルシウム粉末を添加するとともに、寒天粉末又はカラギナンを添加して成ることを特徴とするセラミックス工芸品用の成形材料。
- 請求項1に於いて、
低温軟化タイプのガラスフリットの屈伏点は350℃〜800℃の範囲であり、
高温軟化タイプのガラスフリットの屈伏点は500℃〜950℃の範囲であり、
前記非可塑性無機原料粉末に於ける、低温軟化タイプのガラスフリットと、高温軟化タイプのガラスフリットと、蛍光体粉末の配合質量比は、低温軟化タイプのガラスフリットの成分比が1〜35質量%の範囲、高温軟化タイプのガラスフリットの成分比が50〜95質量%の範囲、蛍光体粉末の成分比が1〜60質量%の範囲である、
ことを特徴とするセラミックス工芸品用の成形材料。
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