(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る充電システムの一例について説明する。
図1には、構造物である建物10と、建物10に隣接する敷地の駐車スペース14上に駐車された車両の一例としての自動車16と、自動車16へ充電を行うための充電システム20とが示されている。なお、駐車スペース14は、自動車16が駐車される領域と、自動車16の周囲の領域とを含んで構成されており、地面上にコンクリート打設により形成されたスペースであるが、地面が露出している部位があってもよい。
建物10は、外壁12を有しており、屋内には、系統電源(電力会社から供給される商用電源等であり図示は省略する)から電力(電気エネルギー)が供給される給電ケーブル13が設けられている。給電ケーブル13の一端は、外壁12に形成された貫通孔(図示省略)を通って建物10の屋外に延出されており、後述する制御部24(図2参照)に接続されている。
自動車16は、一例として、いわゆるプラグインハイブリッド車やプラグイン電気自動車を想定している。すなわち、自動車16は、走行用の駆動源として蓄電池17が搭載されており、蓄電池17の残量が低下した場合に充電する必要が生じる自動車である。蓄電池17には、後述する接続プラグ34(図2参照)が接続される給電部の一例としての給電口18が設けられており、蓄電池17と給電口18が配線19で接続されている。
自動車16の給電口18は、一例として、自動車16の運転席(平面視で進行方向の右前方の座席)から前方を見て、右後方の側面の上部に設けられている。また、給電口18は、自動車16の側面でカバー部材(図示省略)を開放することで露出する構成とされており、給電口18に接続プラグ34(図2参照)が接続されることにより、蓄電池17への充電が行われるようになっている。
図2に示すように、充電システム20は、固定側電力供給手段の一例としての固定ユニット22と、固定ユニット22に設けられ配線ケーブル26を巻き取る巻取手段の一例としての巻取部28と、配線ケーブル26の一端に接続された可動側電力供給手段の一例としての可動ユニット30と、可動ユニット30に設けられた充電手段の一例としての充電部32と、を含んで構成されている。なお、以後の説明では、駐車スペース14の上面と平行な水平方向であり且つ自動車16(図1参照)が駐車スペース14から出るときの進行方向を矢印X方向とし、矢印X方向と直交する鉛直方向(矢印Y方向)における上方向を矢印+Y方向、下方向を矢印−Y方向とする。さらに、矢印X方向及び矢印Y方向と直交する方向を矢印Z方向とする。
固定ユニット22は、外壁12に取付けられた箱状の筐体22Aを有している。筐体22Aの内部には、給電ケーブル13の一端が接続された制御部24と、制御部24に他端が接続された配線ケーブル26の一部と、巻取部28とが収納されており、配線ケーブル26の一端は、筐体22Aから外側へ延出されて(引き出されて)いる。
巻取部28は、筐体22A内に回転可能に支持されたコードリール25と、コードリール25を矢印+R方向(図示の時計回り方向であり配線ケーブル26の引き出し方向)又は矢印−R方向(図示の反時計回り方向であり配線ケーブル26を巻き取る方向)に回転させるモータ27と含んで構成されている。なお、図2では、巻取部28の構成を説明するために、コードリール25の回転軸方向を矢印Z方向に配置しているが、実際は、コードリール25の回転軸方向が矢印X方向となっており、筐体22Aの矢印X方向の幅が狭められている。
モータ27は、信号線及び電源線(図示省略)が接続されている。そして、モータ27は、制御部24によって駆動されることにより、コードリール25を矢印+R方向又は矢印−R方向に回転させ、配線ケーブル26の引き出し動作又は巻取り動作を行うようになっている。また、モータ27は、回転量の情報を信号として制御部24に送る構成となっており、制御部24は、モータ27の回転量に基づいて筐体22Aからの配線ケーブル26の引き出し量を検出可能となっている。
制御部24は、後述する接続プラグ34と給電口18(図1参照)が電気的に接続されたことを通電の有無により検知する構成となっている。また、制御部24は、接続プラグ34と給電口18が電気的に接続されている状態が検知された場合において、給電ケーブル13を介して供給された電力を、配線ケーブル26及び後述する充電部32を介して蓄電池17(図1参照)へ供給するように構成されている。
さらに、制御部24は、蓄電池17に設けられた充電量の検出手段(図示省略)から充電量情報を取得し、蓄電池17が充電完了となったか否かを判断して、接続プラグ34の充電完了ランプ(図示省略)を点灯するように設定されている。なお、制御部24には、操作リモコン(図示省略)が接続されており、操作リモコンに設けられた巻取ボタンを操作することで筐体22A内に配線ケーブル26が巻き取られ、また、操作リモコンに設けられた引出ボタンを操作することで筐体22Aから外側へ配線ケーブル26が引き出されるように構成されている。
一方、駐車スペース14には、配線ケーブル26を介して可動ユニット22から供給された電力を自動車16(図1参照)へ供給する可動ユニット30が配置されている。
可動ユニット30は、直方体状のユニット本体31を有している。ユニット本体31内には、配線ケーブル26を介して固定ユニット22から供給された電力(電気エネルギー)を給電口18(図1参照)に供給して、蓄電池17(図1参照)を充電する充電手段の一例としての充電部32と、支柱36とが設けられている。また、可動ユニット30は、後述する案内部40によって、駐車スペース14の上面に沿ってX−Z面内で所定の方向に移動可能となっている。
図4(A)、(B)に示すように、可動ユニット30の充電部32は、配線ケーブル26の一端に電気的に接続された充電ケーブル33と、充電ケーブル33の一端に設けられ給電口18(図1参照)に接続されるコネクタの一例としての接続プラグ34とを有している。充電ケーブル33は、他端が支柱36の上端部から内側へ挿入されており、支柱36の内側において、配線ケーブル26(図2参照)の一端に電気的に接続されている。
接続プラグ34は、給電口18(図1参照)と電気的に接続可能な大きさ及び形状となっており、充電ケーブル33の一端に電気的に接続されている。また、ユニット本体31内には、接続プラグ34を収納可能な大きさのプラグ置場38が設けられており、接続プラグ34が、未使用時にプラグ置場38に収納(載置)されるようになっている。
支柱36は、中空の四角柱状に形成されており、ユニット本体31内の底面上に直立して設けられている。そして、支柱36の内側では、前述したように、配線ケーブル26(図2参照)と充電ケーブル33が接続されている。また、支柱36の側面36Aには、引掛部39が設けられている。引掛部39は、一例として、側面36Aから矢印X方向に向けて突出した丸棒状の部材で構成され、先端部が矢印+Y方向へ向けて折り曲げられた形状となっている。そして、充電ケーブル33の一部が、引掛部39に引っ掛けられた状態でユニット本体31内に収納されている。
図2に示すように、可動ユニット30及び駐車スペース14には、給電口18(図1参照)への電力の供給が可能となる位置(接続プラグ34と給電口18を接続可能となる位置)まで、可動ユニット30を駐車スペース14に沿って案内する案内手段の一例としての案内部40が設けられている。
案内部40は、駐車スペース14に設けられ上方が開口された案内溝の一例としてのガイドレール46と、可動ユニット30の下部に駐車スペース14の上面に向けて突出して設けられ、ガイドレール46にスライド可能に嵌合(接触)する嵌合部42と、を含んで構成されている。なお、駐車スペース14における自動車16(図1参照)の駐車領域及びガイドレール46の周囲は、前述のように、一例としてコンクリート製となっている。
図3に示すように、ガイドレール46は、一例として、駐車スペース14を平面視して、自動車16の左右側方と後方を囲むように配置された鉄製のガイドレール46A、46B、46Cで構成されている。ガイドレール46Aは、駐車されている自動車16の右側面に対して作業スペース分の間隔をあけて平行に配置されると共に、外壁12の下端付近から矢印X方向へ自動車16の前後方向の長さよりも長く延設されている。また、ガイドレール46Bは、ガイドレール46Aの外壁12側の部位から駐車されている自動車16の後面と平行に、矢印Z方向に延設されている。そして、ガイドレール46Bの長さは、矢印Z方向における自動車16の幅よりも長くなっている。
さらに、ガイドレール46Cは、駐車されている自動車16の左側面から作業スペース分の間隔をあけて平行に配置されると共に、ガイドレール46Bの一端部(ガイドレール46Aとは反対側の端部)から矢印X方向へ自動車16の前後方向の長さよりも長く延設されている。ガイドレール46A、ガイドレール46B、及びガイドレール46Cは、各接続部位の内側が繋がっており(連続しており)、ガイドレール46Aからガイドレール46Bを通ってガイドレール46Cまで、連続して可動ユニット30を移動可能となっている。なお、自動車16は、ガイドレール46Bとは反対側から駐車スペース14に出入りするようになっている。
ここで、図3に破線の円で示すように、ガイドレール46Cにおける自動車16の前方側の端部位置を位置A、ガイドレール46Bとガイドレール46Cの接続位置を位置D、ガイドレール46Aにおける自動車16の前方側の端部位置を位置E、ガイドレール46Aとガイドレール46Bの接続位置を位置Hとする。また、ガイドレール46C上における位置Aと位置Dの間には、間隔をあけて位置Aに近い側に位置B、位置Dに近い側に位置Cが設定されている。さらに、ガイドレール46A上における位置Eと位置Hの間には、間隔をあけて位置Eに近い側に位置F、位置Hに近い側に位置Gが設定されている。なお、本実施形態では、一例として、自動車16の側面で位置Gに近い場所に給電口18が設けられており、位置Gに可動ユニット30を配置して充電を行うようになっている。
図5(A)に示すように、ガイドレール46は、一例として、矢印X方向(可動ユニット30の案内方向の1つに相当)から見たY−Z断面において、水平(X−Z面)に配置された底壁46Dを有している。底壁46Dの矢印Z方向の両端部には、それぞれ矢印+Y方向に直立した側壁46E、46Fが一体で形成されており、側壁46E、46Fの上端部には、それぞれ内側へ向けて水平に(矢印Z方向に)張り出した張出部46G、46Hが一体で形成されている。そして、張出部46Gの端面及び張出部46Hの端面を開口縁として、張出部46G、46Hを周縁とする開口部47が形成されている。
また、ガイドレール46は、駐車スペース14に形成された断面矩形状の穴部14A(凹部)内に開口部47を上方として設置されており、駐車スペース14の平面視で、張出部46G、46H、及び開口部47が駐車スペース14の上面側に露出している。さらに、矢印+Y方向における駐車スペース14の上面の高さ位置に対して、張出部46G、46Hの上面の高さ位置は低く設定されており、この高さ位置の違いにより、穴部14A内に段差部14Bが形成されている。そして、段差部14Bには、必要に応じて、蓋部材48が嵌め込まれるようになっている。また、ガイドレール46の内側には、配線ケーブル26が収納されている。
蓋部材48は、一例として、鉄板で構成されており、段差部14Bに嵌め込まれて張出部46G、46H上に載置されることにより、ガイドレール46の開口側を覆って開口部47を塞ぐ大きさとなっている。また、蓋部材48は、段差部14Bに嵌め込まれることにより、駐車スペース14の上面と面一となる厚みとなっている。さらに、蓋部材48は、ガイドレール46上に複数枚配置されるものであり、端面に嵌合部42の一部である後述する軸部43が接触するようになっている。なお、図5(A)では、蓋部材48を明確に示すために矢印+Y方向の厚みを増して図示しているが、蓋部材48の実際の厚みは、持ち運び可能なように薄く設定されている。
図5(B)には、ガイドレール46及び蓋部材48の他の実施例として、ガイドレール52及び蓋部材54が示されている。ガイドレール52は、Y−Z断面において、水平(X−Z面)に配置された底壁52Aを有している。底壁52Aの矢印Z方向の両端部には、それぞれ矢印+Y方向に直立した側壁52B、52Cが一体で形成されており、側壁52B、52Cの上端部には、それぞれ内側へ向けて水平に(矢印Z方向に)張り出した張出部52D、52Eが一体で形成されている。そして、張出部52Dの端部及び張出部52Eの端部には、ガイドレール52の内側へ向けて下方側へ傾斜したテーパ面52F、52Gが形成されている。
また、ガイドレール52は、駐車スペース14に形成された断面矩形状の穴部14C(凹部)内にテーパ面52F、52Gを上方として設置されており、駐車スペース14の平面視で、張出部52D、52E、及びテーパ面52F、52Gが駐車スペース14の上面側に露出している。なお、張出部52D、52Eの矢印+Y方向における上面の位置は、駐車スペース14の上面の位置と揃えられている。そして、蓋部材54は、矢印Z方向における両端部にテーパ面52F、52Gと接触するテーパ面54A、54Bが形成されており、テーパ面54Aとテーパ面52F、テーパ面54Bとテーパ面52Gとを接触させることで、蓋部材54がガイドレール52の上部に嵌め込まれるようになっている。また、ガイドレール52の内側には、配線ケーブル26が収納されている。このように、蓋部材54をガイドレール52に嵌め込むように構成してもよい。
一方、図5(A)に示すように、嵌合部42は、軸部43と被案内部44とで構成されている。軸部43は、可動ユニット30におけるユニット本体31の下面31Eから下方側に突出して設けられており、四角柱状に形成されると共に矢印+Y方向に直立して配置されている。また、軸部43は、開口部47に挿入可能な大きさとなっている。
被案内部44は、一例として、軸部43の下端部から軸部43の軸方向(矢印+Y方向)と交差する水平方向(X−Z面に相当)に突出すると共に、開口部47を通過可能となる大きさで軸部43に一体形成されている。具体的には、被案内部44は、直方体状に形成されており、矢印+Y方向からの平面視で矩形状となっている(1組の長辺と1組の短辺とで構成されている)。そして、被案内部44は、この矩形の長辺に相当する1組の側面44A、44B(図6(A)参照)が張出部46G、46Hの端面と対向する配置において、開口部47を通過可能となっている。
また、被案内部44は、後述するように、ガイドレール46に矢印−Y方向へ挿入された後の可動ユニット30の案内方向(ここでは一例として矢印X方向)と交差する方向(X−Z面内)への回転によって、張出部46G、46Hの下側に配置されると共にガイドレール46にスライド可能に嵌合し(ガイドレール46の内面と接触し)、ガイドレール46に沿って案内されるようになっている。
(作用)
次に、第1実施形態の作用について説明する。
図6(A)に示すように、ガイドレール46への可動ユニット30の設置では、可動ユニット30の被案内部44について、1組の側面44A、44Bを張出部46G、46Hの端面と対向するように配置し、被案内部44を開口部47を通してガイドレール46の内側へ挿入する。そして、被案内部44をガイドレール46の底壁46D上に配置する(載せる)。この状態では、軸部43が張出部46G、46Hの端面と対向している。なお、図6(A)では、軸部43のX−Z面内での中心位置(対角線の交点)を点O、被案内部44のX−Z面内での1つの角の位置を点Aとして表示している。
続いて、可動ユニット30の操作者(図示省略)が、可動ユニット30をX−Z面で矢印−R方向(図示の反時計回り方向)に角度90°で回転させると、図6(B)に示すように、点Aの位置にあった被案内部44の角が点A´の位置に移動する。そして、被案内部44の矩形の短辺に相当する1組の側面44C、44Dが、ガイドレール46の側壁46E、46Fと対向して配置され、張出部46G、46Hの下側に被案内部44の長手方向の両端部が配置されることで、嵌合部42がガイドレール46にスライド可能に嵌合する。なお、一例として、線分OA(=OA´)を半径とする弧AA´で示される被案内部44の1つの角の移動線は、ガイドレール46の側壁46Eと接触していない。また、配線ケーブル26は、ガイドレール46の内側に収納される。
ここで、図5(A)に示すように、可動ユニット30は、被案内部44の長手方向における両端部の上面が張出部46G、46Hの下面(内面)と接触することで、矢印+Y方向の移動が規制される。さらに、図6(B)に示すように、可動ユニット30は、軸部43の1組の側面43A及び側面43Bのいずれか一方が、張出部46G及び張出部46Hのいずれか一方と接触し、あるいは、被案内部44の1組の側面44C及び側面44Dのいずれか一方が、ガイドレール46の側壁46E及び側壁46Fのいずれか一方と接触することにより、矢印Z方向の移動が規制される。
これにより、図3に示すように、可動ユニット30は、ガイドレール46A、46C上において、矢印X方向に案内され位置Eから位置Hまでの区間又は位置Aから位置Dまでの区間をスライド移動可能となり、ガイドレール46B上において、矢印Z方向に案内され位置Dから位置Hまでの区間をスライド移動可能となる。なお、軸部43又は被案内部44にバネ及び可動部材からなるロック機構(図示省略)を設けておき、90°回転させたときにロック機構を作動させるようにして、スライド移動中に可動ユニット30が移動方向と直交する方向に移動しないように構成してもよい。
このように、充電システム20では、嵌合部42がガイドレール46に嵌合することより、可動ユニット30が一方向(ガイドレール46A、46Cでは矢印X方向、ガイドレール46Bでは矢印Z方向)に案内されるので、自動車16の給電口18の設置位置に合わせて可動ユニット30を移動させるときに、可動ユニット30の移動方向が変わるのを防ぐことができる。
また、充電システム20では、可動ユニット30を交換する場合、図6(A)に示すように、被案内部44が開口部47を通過可能となる位置まで可動ユニット30を回転させ上方(矢印+Y方向)に引き上げることで、被案内部44が開口部47を通過し可動ユニット30を交換可能となる。
即ち、充電システム20では、被案内部44を回転させることにより、可動ユニット30がガイドレール46内に挿入され、又は可動ユニット30がガイドレール46から取外される。これにより、駐車スペース14へのガイドレール46の設置前に可動ユニット30の被案内部44をガイドレール46に嵌合させておく作業や、可動ユニット30を取外すときにガイドレール46と一体で駐車スペース14から取外す作業が不要となるので、可動ユニット30のガイドレール46への着脱作業を簡単に行うことができる。
さらに、充電システム20では、ガイドレール46の内側に配線ケーブル26が収納されており、配線ケーブル26が、駐車スペース14の上面と接触し又は自動車16に轢かれることが無くなるので、配線ケーブル26の汚れ及び傷を抑制することができる。
一方、図3に示すように、充電の対象となる自動車16の給電口18の設置場所がガイドレール46の位置Gに最も近い場合、可動ユニット30の操作者(図示省略)が、ガイドレール46Aに沿って可動ユニット30を位置Gまで移動させる。
続いて、図7に示すように、軸部43の矢印X方向に配置された1組の側面43C、43Dを挟むようにして、複数(2枚)の蓋部材48を駐車スペース14の段差部14Bに嵌め込む。ここで、充電システム20では、蓋部材48によってガイドレール46の開口部47が塞がれるので、ガイドレール46の内側への埃等の侵入を防ぐことができる。さらに、軸部43の側面43C、43Dが、蓋部材48の一端面48A又は他端面48Bと接触することで可動ユニット30の矢印X方向の移動が規制されるので、可動ユニット30を所望の位置(ここでは一例として位置G)に位置決めすることができる。
図8(A)に示すように、第1実施形態の充電システム20に対する比較例として、巻取部28及び可動ユニット30(図2参照)を用いずに、長さの決まっている配線ケーブル26の端部に接続プラグ34を設けた構成があるものとする。
ここで、図3において、配線ケーブル26の必要とされる基準長さは、第1実施形態も比較例も同様に、固定ユニット22から最も遠いガイドレール46Cの位置Aまでの長さとなる。しかし、巻取部28及び可動ユニット30(図2参照)を有していない比較例の構成では、他の位置B〜Hで自動車16に充電を行うとき、配線ケーブル26に必要とされる長さが位置Aよりも短くなるため、余分な配線ケーブル26が駐車スペース14の上面と接触して傷がつくことになる。
また、図8(A)に示すように、比較例では、操作者Mが位置G(図3参照)で他の自動車(図示省略)に充電を行った後、次の自動車16に位置Gで充電を行う場合、他の自動車に充電した後の接続プラグ34を置いておく場所が無いので、駐車スペース14の上面に接続プラグ34を置くことになる。この場合、操作者Mが、かがんで接続プラグ34を掴むことになり給電の作業性が低下する。さらに、接続プラグ34の端子部(図示省略)に埃やゴミが付着して、給電口18での接続不良(導通不良)が生じる恐れがある。
一方、第1実施形態の充電システム20では、一例として、図3に示す位置Aで前回の充電が行われ、位置Gで今回の充電を行う場合、図2に示すように、操作者(図示省略)が、リモコン(図示省略)を用いて巻取部28のモータ27を回転駆動する。そして、図3に示すように、余分な配線ケーブル26(位置Hから位置Aまでの長さと位置Hから位置Gまでの長さとの差分に相当)を巻き取りながら、可動ユニット30をガイドレール46C、ガイドレール46B、ガイドレール46Aの順で移動させる。これにより、固定ユニット22から位置Gに配置された可動ユニット30までの配線ケーブル26の長さが適切な長さ(過不足の少ない長さ)に変更される。
このように、第1実施形態の充電システム20では、固定ユニット22から可動ユニット30までの配線ケーブル26の長さが、巻取部28の動作により変更可能となっているため、駐車スペース14上での可動ユニット30の配置をガイドレール46に沿って自由(例えば位置A〜位置H)に変えることができる。このため、搭載された蓄電池17(図1参照)の給電口18の位置が異なる自動車16に充電を行う場合、可動ユニット30の配置を変えるだけで充電することができる。
続いて、図8(B)に示すように、充電システム20において、操作者Mが充電部32の接続プラグ34を給電口18に接続すると、固定ユニット22(図3参照)から配線ケーブル26及び充電ケーブル33を介して、給電口18に電力が供給される。そして、蓄電池17(図1参照)が充電される。
ここで、第1実施形態の充電システム20では、充電部32が可動ユニット30に設けられており、充電部32(特に接続プラグ34)を可動ユニット30上(プラグ置場38(図2参照))に置いておくことができるので、比較例に比べて、操作者Mが立ったままで充電部32を取り扱うことができる。即ち、給電口18の位置が異なる自動車16に対する給電の作業性を比較例に対して向上させることができる。
また、図2に示すように、充電システム20では、ユニット本体31内に引掛部39が設けられている。このため、接続プラグ34を給電口18(図1参照)に接続するとき、充電ケーブル33の長さが余ることがあっても、この余った部分を巻いて引掛部39に引っ掛けることにより、充電ケーブル33が駐車スペース14の上面に接触することが抑制されるので、充電ケーブル33の汚れ及び傷を抑制することができる。
ここで、図9に示すように、充電システム20において、蓄電池17(図示省略)の給電口62が前方(矢印X方向の端部)に設けられた自動車60に充電する場合は、一例として、可動ユニット30をガイドレール46Aの位置Eに配置することで、充電ケーブル33が給電口62まで届き、接続プラグ34を給電口62に接続することができる。なお、可動ユニット30の元の位置がガイドレール46C上にあった場合は、ガイドレール46Cの矢印X方向の端部(図3の位置Aに相当)に可動ユニット30を配置すればよい。
一方、図10(A)に示すように、充電システム20の他の実施例として、長期間同じ位置で可動ユニット30を使用する場合には、ユニット本体31のガイドレール46による案内方向(一例として矢印X方向)と直交する方向(矢印Z方向)における1組の側面31A、31Bから、両外側(矢印Z方向)へ突出したフランジ部64、65を設けておき、可動ユニット30の移動が終わった後、フランジ部64、65を複数のアンカーボルト66で駐車スペース14に固定して、可動ユニット30を固定してもよい。
具体的には、図10(B)に示すように、フランジ部64、65は、平板が2箇所で直角にそれぞれ逆方向へ折り曲げられた形状のブラケットで構成されている。また、フランジ部64、65は、折り曲げられた一方の端部64A、65Aに矢印+Y方向に貫通したネジ孔(図示省略)が形成され、他方の端部64B、65Bに矢印+Y方向に貫通したボルト挿入孔67が形成されている。そして、ユニット本体31(側面31A、31B)の下端部に形成された開口部31Cから内側へ端部64A、65Aが挿入されると共に、端部64A、65Aがユニット本体31の底壁31D上にネジ68で締結されることにより、端部64B、65Bが外側へ張り出した状態で、フランジ部64、65がユニット本体31に固定されている。
ここで、可動ユニット30を駐車スペース14に固定する場合、駐車スペース14にドリルで下穴69をあけておき、ボルト挿入孔67及び下穴69にアンカーボルト66を挿入する。続いて、ハンマーでアンカーボルト66の芯棒(符号省略)を打ち込み、アンカーボルト66の下端部のスリーブを拡幅させる。そして、アンカーボルト66のナット(符号省略)を締めることで可動ユニット30が固定される。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る充電システムの一例について説明する。なお、前述した第1実施形態と基本的に同一の部材には、前記第1実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
図11には、建物10と、駐車スペース14内の後述する駐車スペース15A、15Bにそれぞれ駐車された自動車16、60と、自動車16、60へ充電を行うための第2実施形態の充電システム70とが示されている。そして、充電システム70の一部を構成する案内溝の一例としての鉄製のガイドレール72が、駐車スペース15A、15Bを囲んで設けられている。
ガイドレール72は、外壁12に隣接する場所から矢印X方向に延びると共に矢印Z方向に間隔をあけて互いに平行となるように設けられた3本のガイドレール72A、72B、72Cと、ガイドレール72A、72B、72Cの外壁12側の端部を繋いで矢印Z方向に延びるガイドレール72Dとで構成されている。そして、ガイドレール72A、72B、72C、72Dは、それぞれ上方に開口部73(第1実施形態の開口部47に相当)が形成されると共に内側が繋がっており(連続しており)、後述する可動ユニット30A、30Bをそれぞれに対して案内可能となっている。
また、ガイドレール72A、72B、72Dで囲まれた領域が駐車スペース15Aとなっており、ガイドレール72B、72C、72Dで囲まれた領域が駐車スペース15Bとなっている。駐車スペース15Aには自動車60が駐車され、駐車スペース15Bには自動車16が駐車されている。即ち、自動車60は、側方にガイドレール72A、72Bが配置されており、自動車16は側方にガイドレール72B、72Cが配置されている。さらに、自動車60及び自動車16の後方には、ガイドレール72Dが配置されている。
一方、ガイドレール72には、充電システム70の一部を構成する2台の可動ユニット30が設けられており、それぞれガイドレール72A、72B、72C、72D上を移動可能となっている。なお、以後の説明では、駐車スペース15Aの周囲を移動するものを可動ユニット30Aとし、駐車スペース15Aの周囲を移動するものを可動ユニット30Bとして区別する。また、可動ユニット30Aの使用時に用いられる各部材の符号について数字の後にAを付し、可動ユニット30Bの使用時に用いられる各部材の符号について数字の後にBを付して区別する場合がある(各部材A、Bは同様の構成である)。
図12に示すように、充電システム70は、固定側電力供給手段の一例としての1つの固定ユニット76を有しており、固定ユニット76に対して、巻取部28、可動ユニット30、及び充電部32が同数で2組設けられている。即ち、1つの固定ユニット76に対して、巻取部28A、可動ユニット30A、及び充電部32Aと、巻取部28B、可動ユニット30B、及び充電部32Bとが設けられており、固定ユニット76内には、可動ユニット30A、30Bへの電力の供給量を制御する制御部78が1つ設けられている。
固定ユニット76は、外壁12に取付けられた箱状の筐体77を有している。そして、筐体77の内部には、給電ケーブル13(図2参照)の一端が接続された制御部78と、制御部78に他端が接続された配線ケーブル26A、26Bの一部と、巻取部28A、28Bとが設けられており、配線ケーブル26A、26Bの一端は、筐体77から外側へ延出されて(引き出されて)いる。
巻取部28のモータ27A、27Bは、制御部78によって駆動されることにより、コードリール25A、25Bを矢印方向に回転させ、配線ケーブル26A、26Bの引き出し動作又は巻取り動作を行うようになっている。また、モータ27A、27Bは、回転量の情報を信号として制御部78に送る構成となっており、制御部78は、モータ27A、27Bの回転量に基づいて筐体77からの配線ケーブル26A、26Bの引き出し量を検出するようになっている。
また、制御部78は、一例として、接続プラグ34Aと給電口62(図11参照)、接続プラグ34Bと給電口18(図11参照)がそれぞれ電気的に接続されたことを通電の有無により検知する構成となっている。そして、制御部78は、接続プラグ34Aと給電口62、接続プラグ34Bと給電口18が電気的に接続されている状態が検知された場合に、配線ケーブル26A、26Bを介して電力を供給するようになっている。なお、接続プラグと給電口の組合せは異なっていてもよい。
さらに、制御部78は、自動車60、16について、蓄電池17(図1参照)に設けられた充電量の検出手段(図示省略)から残量情報を取得し、蓄電池17が充電完了となったか否かを判断して、接続プラグ34A、34Bの充電完了ランプ(図示省略)を点灯するように構成されている。なお、制御部78には操作リモコン(図示省略)が接続されており、操作リモコンに設けられた巻取ボタンを押すことで筐体77内に配線ケーブル26A、26Bが巻き取られ、また、操作リモコンに設けられた引出ボタンを押すことで筐体77から外側へ配線ケーブル26A、26Bが引き出されるように構成されている。
一方、嵌合部42Aとガイドレール72とを含んで案内部74Aが構成されており、嵌合部42Bとガイドレール72とを含んで案内部74Bが構成されている。また、嵌合部42Aは、軸部43Eと被案内部44Eを有しており、嵌合部42Bは、軸部43Fと被案内部44Fを有している。そして、嵌合部42A、42Bが、第1実施形態の嵌合部42(図5(A)参照)と同様にガイドレール72に挿入され嵌合されることにより、可動ユニット30A、30Bがガイドレール72に沿ってスライド移動可能となっている。
さらに、ガイドレール72の内側には、配線ケーブル26A、26Bが収納されている。なお、ガイドレール72上の可動ユニット30A、30Bの配置が決まった後、ガイドレール72の上方に蓋部材48(図5(A)参照)を載せて、開口部73(開口側)を塞ぐと共に可動ユニット30A、30Bの移動を規制してもよい。
(作用)
次に、第2実施形態の作用について説明する。
図12に示すように、充電システム70では、嵌合部42A、42Bとガイドレール72との嵌合(接触)により、可動ユニット30A、30Bが一方向に案内されるので、可動ユニット30A、30Bを移動させるときに、可動ユニット30A、30Bの移動方向が変わるのを防ぐことができる。
また、充電システム70では、可動ユニット30A、30Bを交換する場合、被案内部44A、44Bを回転させることにより可動ユニット30A、30Bがガイドレール72内に挿入され、又は可動ユニット30A、30Bがガイドレール72から取外される。これにより、ガイドレール72の設置前において、可動ユニット30A、30Bの被案内部44A、44Bをガイドレール72に嵌合させておく作業や、可動ユニット30A、30Bを取り出すときにガイドレール72を駐車スペース15A、15B(図11参照)の周囲から取外す作業が不要となるので、可動ユニット30A、30Bのガイドレール72への着脱作業を簡単に行うことができる。
さらに、充電システム70では、ガイドレール72内に配線ケーブル26A、26Bが収納されており、配線ケーブル26A、26Bが、駐車スペース15A、15B(図11参照)と接触し又は自動車16、60に轢かれることが無くなるので、配線ケーブル26A、26Bの汚れ及び傷を抑制することができる。
ここで、一例として、図11に示すように、充電の対象となる自動車60が駐車スペース15Aに駐車され、自動車16が駐車スペース15Bに駐車されたものとする。この場合、操作者(図示省略)は、リモコン(図示省略)を用いてモータ27A(図12参照)を回転駆動させ、余分な配線ケーブル26Aを巻き取りながら、ガイドレール72Aに沿って、可動ユニット30Aをガイドレール72Aの一端部(外壁12側とは反対側の端部)まで移動させる。また、操作者は、リモコンを用いてモータ27Bを回転駆動させ、余分な配線ケーブル26Bを巻き取りながら、ガイドレール72Bに沿って、可動ユニット30Bをガイドレール72Bの中央より外壁12側の位置まで移動させる。
これにより、固定ユニット76から可動ユニット30A、30Bまでの配線ケーブル26A、26Bの長さが適切な長さ(過不足の少ない長さ)に変更され、給電口62に接続プラグ34Aを接続して充電が行われると共に給電口18に接続プラグ34Bを接続して、自動車16、60の充電が行われる。
このように、第2実施形態の充電システム70では、図12に示すように、巻取部28、可動ユニット30、及び充電部32が、同数で且つ複数組(2組)あるので、駐車された自動車が複数台(自動車60と自動車16)あっても、自動車60、16に電力を供給して、それぞれの蓄電池17(図1参照)に充電することができる。
また、充電システム70では、1つの制御部78が、2台の可動ユニット30A、30Bへの電力の供給量を制御する。一例として、自動車60の蓄電池17の充電量が自動車16の蓄電池17の充電量よりも少ない場合、制御部78は、給電ケーブル13(図1参照)から供給される電力の可動ユニット30A、30Bへの配分を自動車60側が自動車16側よりも多くなるように変更する。
このように、1つの制御部78で可動ユニット30A、30Bへの電力の供給量を制御するので、固定ユニット76を外壁12の複数箇所に設ける必要がなくなり、固定ユニット76の無駄な設置スペースを減らすことができる。
なお、充電システム70では、接続プラグ34A、34Bをプラグ置場38A、38Bに置いておくことができるので、操作者(図示省略)が立ったまま接続プラグ34A、34Bを取り扱うことができる。これにより、図11に示すように、給電口62、18の位置が異なる自動車60、16に対する給電の作業性を向上させることができる。
(参考例)
次に、参考例に係る充電システムについて説明する。なお、前述した第1、第2実施形態と基本的に同一の部材には、前記第1、第2実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
図13及び図14には、参考例の充電システム80が示されている。充電システム80は、第1実施形態の充電システム20(図2参照)において、ユニット本体31の底面に錘部材92が取付けられた可動ユニット90を有しており、且つ第1実施形態の駐車スペース14からガイドレール46(図2参照)が取除かれた構成となっている。なお、充電システム80における錘部材92を除く他の構成(ガイドレール46を除く)は、充電システム20と同様の構成であるため、説明を省略する。
図14に示すように、錘部材92は、鉄板で構成されており、ボルト等(図示省略)によりユニット本体31の底面に固定されている。そして、錘部材92が取付けられたことにより、可動ユニット90の重心位置P1が高さ方向(矢印+Y方向)における中央位置P0よりも下側に下がっており、可動ユニット90が駐車スペース14上に自立している。なお、中央位置P0とは、ユニット本体31の高さ+錘部材92の厚さ=高さTとして、駐車スペース14から矢印+Y方向に高さT/2となる高さであり、且つユニット本体31の矢印X方向の幅(図示省略)の1/2となる位置としている。
(作用)
次に、参考例の作用について説明する。
図15(A)に示すように、自動車16が駐車されたとき、操作者(図示省略)は、リモコン(図示省略)を用いてモータ27(図14参照)を回転駆動させ、余分な配線ケーブル26を巻き取りながら、可動ユニット90を給電口18に近接する位置まで移動させる。これにより、固定ユニット22から可動ユニット90までの配線ケーブル26の長さが適切な長さ(過不足の少ない長さ)に変更される。そして、給電口18に接続プラグ34を接続することにより、充電が行われる。
一方、図15(B)に示すように、自動車60が駐車されたとき、操作者(図示省略)は、リモコン(図示省略)を用いてモータ27(図14参照)を回転駆動させ、配線ケーブル26を引き出しながら、可動ユニット90を給電口62に充電可能となる位置まで移動させる。これにより、固定ユニット22から可動ユニット90までの配線ケーブル26の長さが適切な長さ(過不足の少ない長さ)に変更される。そして、給電口62に接続プラグ34を接続することにより、充電が行われる。
このように、充電システム80では、図14に示すように、錘部材92によって可動ユニット90の重心位置P1が中央位置P0よりも下側に下がるので、可動ユニット90を駐車スペース14上で移動させても転倒し難くなる。これにより、可動ユニット90を駐車スペース14上に自立させると共に、各自動車の給電口の位置に合わせて可動ユニット90を移動させることができる。
なお、充電システム80では、接続プラグ34をプラグ置場38に置いておくことができるので、操作者(図示省略)が立ったままで接続プラグ34を取り扱うことができる。これにより、図15(A)、(B)に示すように、給電口62、18のように給電口の位置が異なる自動車60、16に対する給電の作業性を向上させることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る充電システムについて説明する。なお、前述した第1、第2実施形態と基本的に同一の部材には、前記第1、第2実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
図16には、第3実施形態の充電システム100が示されている。充電システム100は、後述する可動ユニット110に設けられた充電部112から自動車120の底面に設けられた給電部122へ、非接触方式で電力(電気エネルギー)を供給して充電を行う構成となっている。なお、この非接触方式では、充電部112と給電部122の位置関係がずれると充電を行えないため、充電部112と給電部122の位置合せ作業が必要となる。このため、充電部112と給電部122の位置合せのための作業量を低減するという課題がある。
自動車120は、走行用の駆動源として蓄電池17が搭載されており、蓄電池17の充電量(電力の残量)が低下した場合に充電する必要が生じる自動車である。そして、蓄電池17は、給電部122を有しており、蓄電池17と給電部122がコイル配線124で接続されている。
図18(B)に示すように、給電部122は、一例として、X−Z面が四角形で且つ最も広い面となる中空の筐体123を有している。また、給電部122は、自動車120の底面120Aの中央部(平面視での中央部)に、下面123Aが駐車スペース14と平行となるように露出して設けられている。さらに、給電部122は、筐体123の内側に矢印+Y方向を中心軸方向とする直方体状の鉄心123Bが設けられており、鉄心123Bの側面にコイル配線124が複数回巻き付けられている。そして、コイル配線124の両端は、蓄電池17に接続されている。なお、コイル配線124の鉄心123Bに巻き付けられた部位をコイル部124Aとする。
一方、図16に示すように、充電システム100は、固定ユニット22と、固定ユニット22に設けられた巻取部28と、巻取部28で巻き取られたコイル配線116の一端側に設けられた(接続された)可動ユニット110と、可動ユニット110に設けられた充電手段の一例としての充電部112(図18(A)参照)と、給電ケーブル13から可動ユニット110への電力の供給又は供給停止を制御する制御部24と、を含んで構成されている。
図18(A)に示すように、可動ユニット110は、一例として、X−Z面が四角形で且つ最も広い面となる中空のユニット本体111を有している。ユニット本体111の上面111Aは、筐体123の下面123A(図18(B)参照)とほぼ同じ形状、大きさとされている。また、ユニット本体111は、上面111Aが駐車スペース14と平行となるように、駐車スペース14上に露出して設けられている。
さらに、ユニット本体111は、内側に矢印+Y方向を中心軸方向とする直方体状の鉄心111Bが設けられており、鉄心111Bの側面にコイル配線116が複数回巻き付けられている。そして、コイル配線116の両端は、制御部24(図16参照)に接続されている。なお、コイル配線116の鉄心111Bに巻き付けられた部位をコイル部116Aとする。ここで、充電部112は、鉄心111Bとコイル配線116とを含んで構成されており、充電時、電流I1がコイル配線116に流れるようになっている。
一方、可動ユニット110及び駐車スペース14には、給電部122(図16参照)への電力の供給が可能となる位置(可動ユニット110の上面111Aと給電部122の下面123A(図18(B)参照)とが対向する位置)まで、可動ユニット110を駐車スペース14に沿って矢印X方向に案内する案内手段の一例としての案内部130が設けられている。
案内部130は、可動ユニット110の下部に設けられ駐車スペース14に向けて突出した嵌合部42と、駐車スペース14に設けられ上方が開口され嵌合部42と接触して可動ユニット110を駐車スペース14に沿って案内する案内溝の一例としてのガイドレール132と、を含んで構成されている。
図17に示すように、ガイドレール132は、一例として、鉄製であり、駐車スペース14の駐車スペースを平面視して、固定ユニット22から自動車120の中心となる位置Kまで矢印X方向に延設されている。また、駐車スペース14上には、運転者に駐車位置を認識させるために駐車領域の表示(図示省略)が形成されている。そして、この駐車領域の表示に合わせて自動車120が駐車された状態において、位置Kに配置された可動ユニット110と給電部122(図16参照)とが対向配置されるようになっている。また、ガイドレール132上で位置Kよりも自動車120の後方となる位置には、位置Jが設定されている。位置Jは、自動車120の後方に給電部122(図16参照)が設けられた場合に、可動ユニット110が配置される位置である。
図18(A)に示すように、ガイドレール132は、Y−Z断面において、水平(X−Z面)に配置された底壁132Aを有している。底壁132Aの矢印Z方向の両端部には、それぞれ矢印+Y方向に直立した側壁132B、132Cが一体で形成されており、側壁132B、132Cの上端部には、それぞれ内側へ向けて水平に(矢印Z方向に)張り出した張出部132D、132Eが一体で形成されている。そして、張出部132Dの端面及び張出部132Eの端面を開口縁として、張出部132D、132Eを周縁とする開口部134が形成されている。
また、ガイドレール132は、駐車スペース14に形成された断面矩形状の穴部14D(凹部)内に開口部134を上方として設置されており、駐車スペース14の平面視で、張出部132D、132E、及び開口部134が駐車スペース14に露出している。さらに、矢印+Y方向における駐車スペース14の高さ位置に対して、張出部132D、132Eの上面の高さ位置は低く設定されており、この高さ位置の違いにより、穴部14D内に段差部14Eが形成されている。そして、段差部14Eには、必要に応じて、蓋部材48が嵌め込まれるようになっている。また、ガイドレール132内には、コイル配線116が収納されている。
ここで、蓋部材48が段差部14Eに嵌め込まれ張出部132D、132E上に載置されることにより、開口部134が塞がれると共に、駐車スペース14の上面と蓋部材48の上面が揃えられるようになっている。なお、図18(A)では、蓋部材48を明確に示すために矢印+Y方向の厚みを増して図示しているが、蓋部材48の実際の厚みは、持ち運び可能なように薄く設定されている。また、ガイドレール132への可動ユニット110の設置は、第1実施形態の可動ユニット30及びガイドレール46(図1参照)と同様の手順で行われる。
(作用)
次に、第3実施形態の作用について説明する。
図18(A)に示すように、充電システム100では、嵌合部42とガイドレール132との接触により可動ユニット110が一方向(矢印X方向)に案内されるので、自動車120の給電部122(図16参照)の設置位置に合わせて可動ユニット110を移動させるときに、可動ユニット110の移動方向が変わるのを防ぐことができる。これにより、ガイドレール132が無い構成に比べて、可動ユニット110の充電部112と給電部122の位置合せのための作業量を低減することができる。
また、充電システム100では、可動ユニット110を交換する場合、被案内部44が開口部134を通過可能となる位置まで可動ユニット110を回転させ上方(矢印+Y方向)に引き上げることで、被案内部44が開口部134を通過し可動ユニット110を交換可能となる。これにより、駐車スペース14へのガイドレール132の設置前に可動ユニット110の被案内部44をガイドレール132に挿入しておく作業や、可動ユニット110を取り出すときにガイドレール132を駐車スペース14から取外す作業が不要となるので、可動ユニット110のガイドレール132への着脱作業を簡単に行うことができる。
さらに、充電システム100では、ガイドレール132内にコイル配線116が収納されており、コイル配線116が、駐車スペース14と接触し又は自動車120(図16参照)に轢かれることが無くなるので、コイル配線116の汚れ及び傷を抑制することができる。
一方、図17に示すように、可動ユニット110の操作者(図示省略)が、充電の対象となる自動車120の給電部122の設置場所に合わせて、ガイドレール132に沿って可動ユニット110を位置Kまで移動させる。このとき、巻取部28(図16参照)から引き出されるコイル配線116の長さは、操作者がリモコン(図示省略)を操作することで調整される。なお、可動ユニット110は、自動車120が駐車スペース14上に駐車される前に位置決めが行われる。
続いて、図18(B)に示すように、蓋部材48を駐車スペース14の段差部14Eに嵌め込む。ここで、充電システム100では、蓋部材48によってガイドレール132の開口部134が塞がれるので、ガイドレール132内への埃等の侵入を防ぐことができる。さらに、軸部43が蓋部材48と接触することで、可動ユニット110の矢印X方向の移動が規制されるので、可動ユニット110を位置Kに位置決めすることができる。
また、図17に示すように、充電システム100では、固定ユニット22から可動ユニット110までのコイル配線116の長さが変更可能となっているため、駐車スペース14上での可動ユニット110の配置をガイドレール132に沿って自由に変えることができる。このため、給電部122の位置が異なる自動車120に充電を行う場合、可動ユニット110の配置を変えるだけで充電することができる。
続いて、図18(B)に示すように、充電システム100において、操作者(図示省略)が制御部24(図16参照)を作動させてコイル配線116に電流I1を流すと、コイル部116Aに磁界MGが発生する。ここで、コイル部116Aの上方に給電部122のコイル部124Aがあるため、コイル部124Aに磁界MGが作用し、コイル配線124には、磁界MGを打ち消す方向に誘導電流I2が流れる。そして、誘導電流I2が蓄電池17(図16参照)に供給されることで、蓄電池17の充電が行われる。このように、非接触方式で蓄電池17を充電することもできる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
充電システム20において、自動車16に無線タグを設け、駐車スペースに自動車16が駐車されたときに駐車スペースのアンテナで給電口18の設置場所の位置情報を得るようにしてもよい。そして、可動ユニット30の被案内部44にモータで回転駆動される回転体を設けておき、得られた給電口18の位置情報に基づいて、可動ユニット30をガイドレール46に沿って自動で移動させてもよい。
無線タグは、給電口18が設置された場所の位置情報を記憶しており、この位置情報は、予め設定された基準位置(例えば自動車16の中心位置)に対する車体前後方向の位置、車幅方向の位置、及び車高方向の位置で表される。さらに、無線タグは、電池(図示省略)を内蔵しており、それ自体で電波を発信することが出来る構成とする。
また、充電システム70において、1つの固定ユニット22に対して、配線ケーブル26、巻取部28、及び可動ユニット30を3組以上の複数組設けて、3台以上の自動車にそれぞれ充電を行うようにしてもよい。さらに、充電システム80において、1つの固定ユニット22に対して、配線ケーブル26、巻取部28、及び可動ユニット90を2組以上の複数組設けて、2台以上の自動車にそれぞれ充電を行うようにしてもよい。
一方、非接触方式の充電システム100において、可動ユニット110の嵌合部42に換えて錘部材92を設け、駐車スペース14上に自立させてもよい。また、充電システム100において、ガイドレール132を自動車120の前方まで延ばしてもよく、あるいは、X−Z面で移動できるように、ガイドレール132を複数本設けてもよい。