(実施形態1)
以下に、本発明の実施形態1について説明する。
図1に、本発明の実施形態1に係る空調システム10の構成を示す。図1に示すように、本実施形態に係る空調システム10は、複数の空調機器群G、複数の電力量計11a、複数の電力量計測装置11b、空調制御装置13、及び監視端末14を備えている。
空調機器群Gは各々、1つの室外機11と、その1つの室外機11に並列に接続された複数の室内機12と、から構成される。
空調制御装置13及び監視端末14は、例えば汎用的なコンピュータ(例えばパーソナルコンピュータ)から構成される。
空調システム10は、例えばビル内に設置される。複数の室内機12は、各利用者のもとに別々に設置される。各利用者は、室内機12のコントローラ(リモートコントローラ等)を操作することで、室内の空調を行うことができる。また、空調制御装置13(管理者端末)は、ビルの管理者のもとに設置され、管理者は、空調制御装置13を通じて、空調機器群G(室外機11及び室内機12)を制御することができる。監視端末14(利用者端末)は、利用者及びビルの管理者のもとに設置され、各利用者は、監視端末14を通じて、自己の電力使用状況(これまでに使用した(消費した)電力量、及びこれから使用可能(消費可能な)な電力量など)を確認したり、省エネルギー活動のスケジュールを設定したりすることができる。また、ビルの管理者は、監視端末14を通じて、ビル全体及び各利用者の電力使用状況等の監視に加え、各ブロックの目標電力量の設定等が可能である。監視端末14は、利用者ごとに設置されてもよいし、複数の利用者に共用されてもよい。
複数の空調機器群Gを構成する空調機器間、即ち、室外機11と複数台の室内機12とは、熱交換のために、冷媒が流通する冷媒管(図示せず)で接続されている。また、複数の空調機器群Gを構成する空調機器(室外機11と複数台の室内機12)と複数台の電力量計測装置11bとは、専用通信線L1で空調制御装置13に通信可能に接続されている。ただしこれに限られず、汎用通信線で接続されてもよい。
電力量計11aと電力量計測装置11bは、信号線L3で互いに通信可能に接続されている。また、空調制御装置13と監視端末14とも、例えばLAN(Local Area Network)を構成する汎用通信線L4で、互いに通信可能に接続されている。空調制御装置13及び監視端末14はそれぞれ、LANに接続するための機能(インターフェース等)を有している。各室外機11及び各室内機12は、例えばビル内の指定場所に設置される。各室外機11及び各室内機12は、空調制御装置13の制御下で動作する。各室外機11及び各室内機12の運転状態は専用通信線L1を介して空調制御装置13に通知される。
電力量計11aは、各室外機11の電力系統に接続され、室外機11の電力量を計測する。本実施形態では、電力量計11aは、電源(図示せず)と室外機11とをつなぐ電力供給線L2に設けられている。電力量計11aにより計測された値は、信号線L3を介して、電力量計測装置11bに使用電力量を通知する。具体的には、例えばパルス信号により、使用電力量を通知する。
電力量計測装置11bは、電力量計11aから信号線L3を介して送られてくる計測値(使用電力量)を受信し、内部に保持する。また、電力量計測装置11bは、通信可能なように、専用通信線L1を介して空調制御装置13に接続されている。このため、空調制御装置13は、専用通信線L1を介して、電力量計測装置11bの保持している使用電力量を取得することができる。
空調制御装置13は、各空調機器群Gを構成する空調機器(室外機11及び室内機12)を、統括的に制御することで、各空調機器の運転状態を管理する。以下、図2を参照して、空調制御装置13の構成について詳述する。
図2に示すように、空調制御装置13は、表示装置131、入力装置132、制御部133、データ記憶部134、空調機器通信管理部135、監視端末通信管理部136を備えている。
表示装置131は、管理者が空調機器群Gを監視するための各種画面を表示する。管理者は、表示装置131に表示された画面を見て空調機器群Gの運転状態を確認し、入力装置132を通じて制御部133に指示を送ることによって、制御部133の制御のもと、空調機器群Gの制御を行うことができる。表示装置131は、内蔵型の液晶モジュール等から構成される。また、タッチパネル(又はタッチスクリーン)など、表示装置131と入力装置132とが一体化したものを用いてもよい。タッチパネルを用いる場合は、入力装置132が、表示装置131上に設置されることになる。なお、表示装置131は必ずしも内蔵型の液晶モジュールである必要はなく、表示用の信号線を介して液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は有機ELディスプレイ、ブラウン管(CRT)等を接続して用いてもよい。
入力装置132は、マウス、キーボード、又はタッチパネル等から構成される。空調制御装置13は、複数種の入力装置132(マウス及びタッチパネル等)を有していてもよい。
制御部133は、機能的に、空調機器管理部133aと、使用電力量管理部133bと、電力量按分処理部133cと、目標電力量管理部133dと、Webサーバ部133eと、を備える。空調機器管理部133aは、空調機器群Gの運転状態を監視するとともに、その運転状態に基づいて所定の制御を行う。制御部133は、空調機器管理部133aにて、空調機器群Gの運転状態を保持している。使用電力量管理部133bは、室外機11の使用電力量を管理する。電力量按分処理部133cは、室外機11の使用電力量から室内機12の使用電力量を算出する。目標電力量管理部133dは、目標電力量との比較を行い、超過時の処理を実施する。Webサーバ部133eは、監視端末14へWebコンテンツを送信するなど、監視端末14との間で監視データ及び設定データの送受信を行う。Webコンテンツは、例えばHTMLファイル、Javaアプレット(「Java」は登録商標)、又はJavaScript(登録商標)から構成される。
制御部133は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)と記憶装置(いずれも不図示)から構成される。CPUが記憶部に格納されているプログラムを実行することにより、上述の各管理部133a〜133eが実現される。
データ記憶部134は、システム構成データD11、目標電力量データD12、按分元電力量データD13、及び室内機データD14を記憶する。データ記憶部134は、例えば、書き換え可能な不揮発性メモリから構成される。上記各データは、共通の記憶装置に格納してもよいし、別々の記憶装置に格納してもよい。データ記憶部134に保持される各データは、例えば空調機器群Gの使用電力量を監視するために用いられたり、監視端末14の表示装置に表示されたりする。各データの詳細については、後述する。
空調機器通信管理部135は、専用通信線L1のインターフェイスとして機能する。この空調機器通信管理部135を介して、空調制御装置13と空調機器群G及び電力量計測装置11bの各々との間でデータの送受信が行われる。
監視端末通信管理部136は、汎用通信線L4のインターフェイスとして機能する。この監視端末通信管理部136を介して、空調制御装置13と監視端末14との間でデータの送受信が行われる。
監視端末14は、Webブラウザ機能を有し、空調制御装置13のWebサーバ部133eからWebコンテンツを受信し、そのWebコンテンツに従って監視画面及び設定画面を表示する。例えば、空調制御装置13及び各利用者の監視端末14(例えばパーソナルコンピュータ)を構内LAN(又は専用のLAN)を構成する汎用通信線L4に接続し、監視端末14のWebブラウザに、空調制御装置13内のWebコンテンツのURL(Uniform Resource Locator)を入力することで、監視画面等を表示することができる。以下、図3を参照して、監視端末14の構成について詳述する。
図3に示すように、監視端末14は、表示装置141、入力装置142、Webコンテンツ表示制御部143、及び通信管理部144を備えている。
表示装置141は、Webコンテンツ表示制御部143の制御のもと、空調制御装置13から取得したWebコンテンツを表示する。表示装置141は、ブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は有機ELディスプレイなどから構成される。また、タッチパネル(又はタッチスクリーン)など、表示装置141と入力装置142とが一体化したものを用いてもよい。タッチパネルを用いる場合は、入力装置142が、表示装置141上に設置される。
入力装置142は、マウス、キーボード、又はタッチパネル等の入力用デバイスである。監視端末14は、複数種の入力装置142(マウス及びタッチパネル等)を有していてもよい。
Webコンテンツ表示制御部143は、空調制御装置13からWebコンテンツを取得し、そのWebコンテンツに基づいて、表示装置141に各種画面を表示するための処理を行う。表示装置141には、例えば空調機器群G用の監視画面及び操作画面や、エネルギー管理用の監視画面及び設定画面などが表示される。
通信管理部144は、汎用通信線L4のインターフェイスとして機能する。この通信管理部144を介して、監視端末14と空調制御装置13との間でデータの送受信が行われる。制御部133(特に、空調制御装置13)は、監視端末14に表示される各種画面に必要なデータを送信する処理を行う。
管理者は、図2に示される入力装置132を通じて、空調機器群Gの監視又は操作等を行うことができる。具体的には、例えば管理者が入力装置132(例えばタッチパネル)を操作すると、その操作に基づく信号が制御部133に送られ、制御部133は、その信号の内容に応じて、制御すべき対象(表示装置131等)に、所定の指令(表示装置131に表示される画面の切り換え等)又は各種パラメータの値等を送る。また、管理者は、監視端末14を通じて、ビル全体又は各利用者の電力使用状況の監視等を行うこともできる。
利用者又は管理者は、図3に示される入力装置142を通じて、表示装置141に表示される画面の切り換え、Webコンテンツの設定等を行うことができる。具体的には、例えば監視端末14の表示装置にWebコンテンツを表示する場合、Webサーバ部133eが、監視端末14へWebコンテンツを送信し、監視端末14がそのWebコンテンツを表示する。そして、利用者又は管理者が入力装置142(例えばマウス)を操作すると、その操作に基づく信号がWebコンテンツ表示制御部143に送られ、Webコンテンツ表示制御部143は、その信号の内容に応じて、制御すべき対象(表示装置141等)に、所定の指令(画面の切り換え等)又は各種パラメータの値等を送る。
以下、データ記憶部134に記憶されている各種データについて詳述する。
システム構成データD11には、接続構成情報D111、ブロック構成情報D112、按分元電力量計情報D113、室内機能力値D114が含まれる。
接続構成情報D111は、空調制御装置13によって管理される各室内機12のアドレス番号、操作グループ番号、機種識別情報など、空調機器群Gの接続構成を示すデータからなる。接続構成情報D111は、空調機器群Gを制御するために用いられる。
ブロック構成情報D112は、複数の室内機12の操作グループが含まれるブロックを示すデータからなる。ブロックは自由に設定できる。例えば部署やテナントの単位で室内機12を区分してブロックとしてもよい。なお、本実施形態では、1つのリモートコントローラで操作できる室内機12を操作グループといい、複数の操作グループをまとめたものをブロックという。操作グループに含まれる室内機12の数は、通常、1台又は2台に設定される。
按分元電力量計情報D113は、各室内機12と按分元の電力量計11aとを関連付けたデータからなる。按分元電力量計情報D113は、各室内機に按分する電力量の元データを指定する。ここで指定する電力量計11aは、各室外機11の電力系統ごとに設置されることを想定しているが、空調システム10内に全体の電力量計を計測する1台の電力量計11aを設置して室外機11及び室内機12の定格能力比率で按分してもよい。或いは、室外機11、室内機12それぞれに電力量計11aを設置してより細かく電力量を測定してもよい。
室内機能力値D114は、各室内機12の定格能力値を示すデータからなる。室内機能力値D114としては、カタログ等に記載されている能力値を用いることができる。また、室内機能力値D114は、専用通信線L1を介して、空調制御装置13が各室内機12から収集することも可能である。
目標電力量データD12には、年間目標電力量D121、月別配分比率D122、曜日別配分比率D123、ブロック別配分比率D124が含まれる。これらのデータは、使用電力量を管理、削減を行うために、例えば管理者が設定することができる。
年間目標電力量D121は、空調システム10で1年間に使用可能な全体の電力量目標値を示すものであって、ビル管理者により指定される。
月別配分比率D122は、年間目標電力量D121を各月に割り振るための配分比率を示すものであり、設定された配分比率に従って、対象年度の1月〜12月の目標電力量が自動的に算出される。
曜日別配分比率D123は、月別の使用電力量目標値を各曜日に割り振るための配分比率を示すものであり、設定された配分比率に従って対象月の1〜31日の目標電力量が自動的に算出される。
ブロック別配分比率D124は、年間、月間、1日の目標電力量を各ブロックに割り振るための配分比率を示すものであり、設定された配分比率に従って各ブロックの目標電力量が算出される。ブロック別配分比率D124は、各ブロックに所属する室内機12の能力値合計値に応じて算出された値が初期値となるが、この比率は管理者が後から変更することも可能である。
按分元電力量データD13には、電力量計測データD131が含まれる。電力量計測データD131としては、各室内機12の電力量按分元に設定されている電力量計11aの各々の計測データを用いることができる。本実施形態では、5分ごとの使用電力量、1時間ごとの使用電力量、1日ごとの使用電力量、1ヶ月ごとの使用電力量、1年ごとの使用電力量のデータを、電力量計測データD131として保持するものとする。
室内機データD14には、使用電力量データD141、目標電力量データD142、運転積算時間D143、サーモON積算時間D144、能力セーブ量積算時間D145が含まれる。これらのデータは、室内機12単位で保持されている。本実施形態では、室内機データD14に含まれる上記データの各々について、5分ごと、1時間ごと、1日ごと、1ヶ月ごと、1年ごとのデータを保持するものとする。
使用電力量データD141は、按分元となる電力量計11aで計測した一定の間隔の使用電力量を、各室内機12の運転状態に応じて按分したデータからなる。
目標電力量データD142は、目標電力量データD12内のデータを、各室内機12の定格能力値に応じて按分したデータからなる。
運転積算時間D143は、一定時間内に各室内機12が運転していた時間を示すものであり、室内機12ごとにそれぞれ保持される。
サーモON積算時間D144は、一定時間内に各室内機12がサーモONの状態で運転していた時間を示すものであり、室内機12ごとにそれぞれ保持される。
能力セーブ量積算時間D145は、一定時間内に各室内機12の能力セーブ量の割合を示すものであり、室内機ごとにそれぞれ保持される。例えば、100%のLEV開度で1分間運転していた場合は1として、50%のLEV開度で1分間運転していた場合は0.5として積算していく。
次に、空調制御装置13の動作について、図1〜図3に加えて、図4〜図7を参照して説明する。
本実施形態では、例えば管理者により監視端末14(Webブラウザ)の入力装置142から全体の年間目標電力量D121が設定されると、図4に示す処理が実行される。空調制御装置13は、図4の処理を実行することにより、空調システム全体の年間目標電力量D121を、各ブロック別の年間/月間/1日の目標電力量、及び各室内機別の年間/月間/1日の目標電力量として按分する。なお、管理者は、空調制御装置13の入力装置132から年間目標電力量D121を設定してもよい。
具体的には、例えば管理者が、空調制御装置13の入力装置132を通じて全体の年間目標電力量を指定すると、空調制御装置13は、その指定された値をデータ記憶部134内の年間目標電力量D121として保持する(ステップS11)。そして、空調制御装置13は、ブロック別配分比率D124に従って、年間目標電力量D121からブロック別の年間目標電力量を算出して、例えばデータ記憶部134に保存する(ステップS12)。
続いて、空調制御装置13は、月別配分比率D122に保持されている1月〜12月の配分比率及びブロック別配分比率D124に従って、年間目標電力量D121からブロック別の月間目標電力量を算出して、例えばデータ記憶部134に保存する(ステップS13)。
続いて、空調制御装置13は、曜日別配分比率D123に保持されている日曜日〜土曜日の配分比率及びブロック別配分比率D124に従って、月間目標電力量からブロック別の1日の目標電力量を算出して、例えばデータ記憶部134に保存する(ステップS14)。
次に、空調制御装置13は、例えば、
「室内機の年間目標電力量=ブロックの年間目標電力量×(室内機の能力値/ブロック内の全室内機の能力値合計)」
という計算式を用いて、ブロック別の年間目標電力量から室内機単位の年間目標電力量を算出し、各室内機の目標電力量データD142として保持する(ステップS15)。
続いて、空調制御装置13は、例えば、
「室内機の月間目標電力量=ブロックの月間目標電力量×(室内機の能力値/ブロック内の全室内機の能力値合計)」
という計算式を用いて、ブロック別の月間目標電力量から室内機単位の月間目標電力量を算出し、各室内機の目標電力量データD142として保持する(ステップS16)。
続いて、空調制御装置13は、例えば、
「室内機の1日の目標電力量=ブロックの1日の目標電力量×(室内機の能力値/ブロック内の全室内機の能力値合計)」
という計算式を用いて、ブロック別の1日の目標電力量から室内機単位の1日の目標電力量を算出し、各室内機の目標電力量データD142として保持する(ステップS17)。
続いて、空調制御装置13は、ステップS18で、全ブロックについてステップS15〜S17の処理が完了したか否かを判断し、全ブロック分を完了するまで、ステップS15〜S17の処理をブロックごとに繰り返し実行する。
以上で、図4の処理が終了する。この処理により、空調システム10内の最小構成となる室内機12の単位で目標電力量を保持することが可能となる。なお、ブロック単位のデータは、室内機12単位のデータを算出した後に消去してもよいが、残しておいて、ブロック単位のデータを使用するときの処理時間の短縮を図るようにしてもよい。
本実施形態の空調システム10では、最小構成の室内機12単位で目標電力量を保持する。このため、複数の室内機12をまとめたブロック単位でも、最小構成の室内機12単位でも、目標電力量を管理することが可能となる。
また、最小構成で目標電力量を保持することで、ブロックの構成が変更となった場合でも、過去のデータの目標電力量データを新しい構成単位で容易に管理可能となる。
本実施形態では、例えば使用電力量計測機能が有効となっている場合に、図5に示す処理が実行される。空調制御装置13は、図5の処理を実行することにより、各室内機12の使用電力量を算出する。
具体的には、まず、空調制御装置13の使用電力量管理部133bが、使用電力量を電力量計測装置11bから一定間隔ごとに収集し、データ記憶部134内の電力量計測データD131として保持する(ステップS21)。なお、電力量計測装置11bは、電力量計11aにより計測されたその時々の使用電力量を、所定の周期で受信して保持している。
また、空調制御装置13の空調機器管理部133aは、各室内機12の運転状態を一定間隔で取得し、運転状態に応じて、データ記憶部134内の運転積算時間D143、サーモON積算時間D144、能力セーブ量積算時間D145に時間を積算する(ステップS22)。ここで、運転積算時間D143は、室内機12の運転/停止状態が運転となっていた場合に積算することにより得られるデータであり、例えば1分間運転状態となっていた場合に、運転積算時間D143に1が加算される。また、サーモON積算時間D144は、室内機12の冷媒流量が0%でない場合に積算することにより得られるデータであり、例えば1分間サーモON状態で運転していた場合に、サーモON積算時間D144に1が加算される。また、能力セーブ量積算時間D145は、室内機12の冷媒流量に応じて積算することにより得られるデータであり、例えば1分間100%の流量で運転していた場合は1を、50%の流量で運転していた場合は0.5を、25%の流量で動作していた場合は0.25を、能力セーブ量積算時間D145に加算する。
なお、ステップS21の処理とステップS22の処理とはどちらを先に行ってもよいし、同時並行で行ってもよい。
続いて、空調制御装置13の電力量按分処理部133cは、ステップS21の処理開始から、電力按分処理する周期に相当する按分単位時間(以下、按分周期という)を経過したか否かを判断する(ステップS23)。そして、ステップS23で按分周期を経過していないと判断された場合(ステップS23;NO)には、ステップS21に戻り、按分周期が経過するまで、ステップS21及びS22の処理を繰り返す。本実施形態では、使用電力量を各室内機12に按分する間隔(按分周期)を5分とする。ただしこれに限られず、間隔をさらに短くし、ほぼリアルタイムで処理するようにしてもよい。
他方、ステップS23で按分周期を経過していると判断された場合(ステップS23;YES)には、ステップS24に進む。すなわち、空調制御装置13の電力量按分処理部133cは、按分周期が経過したタイミングで、各電力量計11aを按分元としている室内機12の構成情報を、データ記憶部134内の按分元電力量計情報D113から取得し、例えば、
「室内機の使用電力量=按分元電力計の使用電力×(室内機の能力値×指定運転時間区分の積算時間/按分対象室内機の[室内機の能力値×指定運転時間区分の積算時間]の合計)」
という計算式を用いて、各室内機12の能力値(室内機能力値D114)及び予め按分計算用に指定されている運転時間区分(運転積算時間、サーモON積算時間、能力セーブ量積算時間のいずれか)から各室内機の使用電力量を算出し、データ記憶部134内の使用電力量データD141として保持する(ステップS24)。本実施形態では、使用電力量を按分する際の係数として、運転積算時間、サーモON積算時間、及び能力セーブ量積算時間のいずれか1つを選択する。
例えば同一の電力量計11a(按分元電力量計)を4台の室内機12(第1室内機〜第4室内機)が指定しており、使用電力量を按分するための係数として能力セーブ量積算時間を選択し、按分単位時間での使用電力量が120Wh、能力セーブ量積算時間が[2、3、1、4]、各室内機の能力値がそれぞれ[2kW、2kW、4kW、4kW]である場合、
第1室内機=120×(4/30)=16Wh
第2室内機=120×(6/30)=24Wh
第3室内機=120×(4/30)=16Wh
第4室内機=120×(16/30)=64Wh
のように、各室内機の使用電力量が算出される。すなわち、本実施形態では、各空調機器(室内機12)の能力値に比例して使用電力量の値を按分している。
なお、ここでは室外機11の待機電力に関しての計算は省略しているが、室外機11及び室内機12の待機電力を各室内機12に割り振った後、残りの使用電力量を各室内機12に按分する仕組みとしてもよい。
続いて、空調制御装置13は、ステップS25で、全電力量計についてステップS21〜S24の処理が完了したか否かを判断し、全電力量計分を完了するまで、ステップS21〜S24の処理を電力量計11aごとに繰り返し実行する。以上の電力按分処理を全電力量計分繰り返すことにより、各室内機12の按分単位時間当たりの使用電力量が算出され、使用電力量データD141として保持される。これにより、図5の処理が終了する。
各室内機12の使用電力量の按分処理(上記図5の処理)が完了すると、空調制御装置13の目標電力量管理部133dが、図6に示す処理(各ブロックの目標電力量と使用電力量との比較処理など)を実行する。
本実施形態では、通常許可条件で、午後5時(17:00)以降の時間帯における室内機12の運転が禁止されている例について説明する。図6に示す処理は、17:00までの時間帯(運転可能な時間帯)において実行される。図6に示す処理により、使用電力量(例えば本日分の電力量)が目標電力量を超えてしまったブロックに所属する各空調機器は、17:00前でも強制的に運転停止になり、再運転が禁止される。
具体的には、まず、目標電力量管理部133dが、データ記憶部134内のブロック構成情報D112からブロック内に所属する室内機12の情報を取得する。そして、目標電力量管理部133dは、各ブロックに所属する複数の室内機12の本日分の使用電力量を全て合計し、ブロック単位の電力使用量を算出する(ステップS31)。
次に、目標電力量管理部133dは、本日分の使用電力量を、第1の目標電力量と比較する(ステップS32)。ここで用いられる第1の目標電力量は、例えば図4の処理(ステップS14)により得られる。なお、単純に2つの値を比較するのではなく、マップ又は方程式などを用いて実質的に両者を比較して、使用電力量が所定の電力量に達しているか否かを判断することも、「比較」に含まれる。
ステップS32で使用電力量が第1の目標電力量に達している(第1の目標電力量≦使用電力量)と判断された場合(ステップS32;YES)には、そのブロック内の室内機12の各々を運転禁止とする(ステップS33)。そして、運転禁止とされた室内機12については、所定の運転禁止処理(例えば運転を強制的に自動停止し、利用者による運転操作を禁止する処理)を行う。他方、ステップS32で使用電力量が第1の目標電力量に達していない(第1の目標電力量>使用電力量)と判断された場合(ステップS32;NO)には、こうした運転禁止処理は行わない。
続いて、目標電力量管理部133dは、ステップS34で、全ブロックについてステップS31〜S33の処理が完了したか否かを判断し、全ブロック分を完了するまで、ステップS31〜S33の処理をブロックごとに繰り返し実行する。以上の目標電力量比較処理を全ブロック分繰り返し行うことにより、第1の目標電力量を超過したブロックについては、空調機器の利用を禁止することが可能となる。これにより、図6の処理が終了する。
図6の処理では、ブロックごとに運転許可条件を満たすか否かを判断して、運転許可条件を満たしていないと判断した場合には、そのブロックに所属する各空調機器の運転を禁止している。図6の処理に係る運転許可条件を充足していない場合には、通常許可条件(時間帯に係る条件)を充足していても、空調機器の運転は強制的に停止される。本実施形態では、ブロックごとの使用電力量が所定の電力量(第1の目標電力量)に達していないことが、そのブロック内に含まれる空調機器の運転を許可するための絶対条件(以下、運転許可絶対条件という)となる。しかし、運転許可絶対条件は、上記のものに限られず、自由に設定することができる。例えば上記図6のステップS31において、使用電力量に代えて、現在の時刻を取得し、ステップS32において、現在の時刻が所定の時間帯外にあると判断された場合に、ステップS33において、運転禁止処理を行うようにしてもよい。また、上記図6のステップS31において、使用電力量に代えて、空調機器の運転履歴(運転積算時間、サーモON積算時間、又は能力セーブ量積算時間など)又は設定運転条件(設定温度など)を取得し、ステップS32において、空調機器の運転状態又は設定運転条件が所定の条件を満たさない(例えば運転積算時間が所定の時間よりも長い、又は設定温度が所定の温度よりも高い)と判断された場合に、ステップS33において、運転禁止処理を行うようにしてもよい。また、運転許可絶対条件は、2以上のパラメータ(例えば使用電力量、時間帯、空調機器の運転履歴又は設定運転条件等)による複合的な条件としてもよい。また、通常許可条件も、上記と同様に任意に設定することができる。
本実施形態では、通常許可条件で、午後5時(17:00)以降の時間帯における室内機12の運転が禁止されている。しかしながら、本実施形態では、17:00以降の時間帯(通常は運転できない時間帯)においては、図6に示す処理に代えて、図7に示す処理が実行される。図7に示す処理により、17:00までの使用電力量に余剰のあるブロックのユーザは、監視端末14(Webブラウザ)の入力装置142から指示することにより目標電力量まで空調機器を利用できるようになる。具体的には、空調制御装置13のスケジュール機能は、図7の処理を実行することにより、通常は空調機器を運転できない場合でも、部門ごとに設定された第2の目標電力量に本日の使用電力量実績が達していなければ(すなわち、電力量の余剰があれば)、対象部門の利用者が部門内の空調機器の運転時間を延長することを可能にする。
17:00以降の時間帯において、すなわち空調機器群Gの運転が禁止されている状態で、空調機器の利用者が室内機12の運転を行いたい場合、利用者は、監視端末14の画面から運転禁止を解除したい室内機12を指定し、運転禁止解除指令を空調制御装置13に送信することができる。図7のステップS41では、空調制御装置13が、この運転禁止解除指令を受信したか否かを判断する。ステップS41で運転禁止解除指令が検知されるまで、すなわち運転禁止解除指令の受信がない間(ステップS41;NO)は、ステップS42以降の処理は行わない。したがって、その間は、所定の周期で繰り返しステップS41の処理が行われる。
空調制御装置13が運転禁止解除指令を受信(検知)した場合(ステップS41;YES)には、指定された室内機12が所属するブロックの使用電力量と所定の電力量(第2の目標電力量)とを比較する(ステップS42)。ここで、使用電力量は、例えばデータ記憶部134内の使用電力量データD141から算出する。また、本実施形態では、第2の目標電力量を、図6のステップS32で用いられる第1の目標電力量と同じ値にする。ただしこれに限られず、第1の目標電力量と第2の目標電力量とを異なる値(例えば第1の目標電力量<第2の目標電力量)にしてもよい。
ステップS42で使用電力量が第2の目標電力量に達していない(第2の目標電力量>使用電力量)、すなわち電力に余剰があると判断された場合(ステップS42;YES)には、指定室内機の運転禁止を解除する(ステップS43)。他方、ステップS42で既に使用電力量が第2の目標電力量に達している(第2の目標電力量≦使用電力量)、すなわち電力に余剰はないと判断された場合(ステップS42;NO)には、運転禁止を解除せず、処理を終了する。
続いて、空調制御装置13の目標電力量管理部133dは、運転禁止を解除した室内機12が所属するブロックの電力に余剰があるか否か、詳しくは使用電力量が所定の電力量(第3の目標電力量)に達したか否かを判断する(ステップS44)。本実施形態では、第3の目標電力量を、ステップS42で用いられる第2の目標電力量と同じ値にする。ただしこれに限られず、第2の目標電力量と第3の目標電力量とを異なる値にしてもよい。
ステップS44で電力に余剰がないと判断されるまで、すなわち使用電力量が第3の目標電力量に達していない間(ステップS44;YES)は、所定の周期で繰り返しステップS44の処理を行う。そして、ステップS44で電力に余剰がない(第3の目標電力量≦使用電力量)と判断された場合(ステップS44;NO)には、そのブロック内の室内機12の各々を運転禁止とする(ステップS45)。そして、運転禁止とされた室内機12については、所定の運転禁止処理(例えば運転を強制的に自動停止し、利用者による運転操作を禁止する処理)を行う。これにより、図7の処理が終了する。
以上の処理を行うことにより、指定部門の使用電力量が目標電力量に達していない場合には、通常時には運転を禁止されている時間帯でも余剰電力分だけ延長して空調機器を利用することが可能となる。すなわち、本実施形態に係る空調制御装置13は、各部門の利用するブロックごとに、異なる運転許可条件を設定することができる。
詳しくは、上記図7の例では、通常許可条件で、午後5時(17:00)以降の室内機12の運転が禁止されている。しかし、空調制御装置13には、通常許可条件(第1許可条件)とは別に、通常許可条件を満たさなくても特例的に空調機器(室内機12)の運転を許可する特例許可条件(第2の運転許可条件)が設定されている。この例における特例許可条件は、ブロックごとの使用電力量が所定の電力量(第2の目標電力量)に達していないことである。すなわち、空調制御装置13は、所定の時間帯(0:00〜17:00)におけるブロックごとの使用電力量(積算値)が、所定の電力量に達していない場合には、通常時には運転禁止とされている時間帯(17:00以降)でも、そのブロックに所属する各空調機器の運転禁止を解除して、運転可能とする。これにより、そのブロックに所属する各空調機器の運転可能な時間帯が拡張される。なお、特例許可条件は、上記のものに限られず、自由に設定することができる。
本実施形態に係る空調制御装置13は、空調機器に係る現在の電力使用状況を空調機器ごと又はブロックごとに表示装置141に表示させるコンテンツ(Webコンテンツ)を、外部の端末(監視端末14)へ送信するWebサーバ部133e(コンテンツ提供部)を備える。監視端末14は、空調制御装置13のWebサーバ部133eからWebコンテンツを受信し、そのWebコンテンツに従って監視画面等を表示する。これにより、部門別に設定されている目標電力量、及び本日使用可能な電力量(残りの電力量)を、各利用者が表示装置141を通じて閲覧可能になる。
図8に、監視端末14(詳しくは表示装置141)で表示する監視画面の一例、詳しくはエネルギー管理画面の一例を示す。
この監視画面では、本日の使用可能電力量(目標電力量)及び残電力量(使用可能な残りの電力量)をブロック単位(図8の例では営業部)で表示し、現在の電力使用状況を利用者が把握できるようにすることで、利用者が運転可能時間を増やすために無駄な空調機器を停止することが可能になる。その結果、設定温度を変更する等の省エネルギー活動を推進することが可能になる。
また、この例では、図8に示す監視画面を通じて、利用者が、本日の電力使用状況及び予測値を監視(又は確認)することができる。これにより、利用者は、電力使用実績に加えて、空調機器を残り何時間運転することができるかなどを把握し易くなる。
また、この例では、図8に示されるように、1ヶ月のうち、何日間目標を達成できたかの達成率(例えば、20日のうち16日達成で、達成率80%)を、監視画面上に明示する。これにより、利用者の省エネルギーの意識を高めることが可能となる。
なお、図8には本日分の電力量を表示する画面を例示したが、今月分や今年分、利用者が指定した過去の年月日などを、監視画面上に表示してもよい。
上記の例では、監視端末14(表示装置141)の画面としてブロック単位での電力量を表示している。ただしこれに限られず、ブロック単位以外にも、ビル全体、複数ブロック、室内機単体などの単位で表示するようにしてもよい。また、フロア平面図上に各室内機グループのアイコンと併せて使用電力量の実績を表示するようにしてもよい。
また、目標電力量から使用電力量実績を減算した余剰電力量にて、あと何分間空調機器が利用可能かの運転可能時間を、過去の空調機器の電力使用量実績から求め、監視端末14(表示装置141)の画面に表示してもよい。
図9に、実際のエネルギー管理運用の一例、詳しくは省エネルギー活動を行わずにわずかな余剰電力量しか無い営業部と、省エネルギー活動を行って使用電力量の一定の余剰のある総務部との各々についてのエネルギー管理運用を示す。なお、図9の例では、通常は17:00にて運転禁止となるスケジュールとなっている。
図9に示されるように、営業部と総務部のいずれも、17:00時点では電力量の余剰があった。このため、17:00に実施された運転禁止の時間延長は両部とも可能であった。しかし、営業部は17:15で余剰電力を使い切り、以降空調機器の運転は禁止となった。一方、総務部は、設定温度を基準温度+1℃(28℃)に設定し、会議中は空調機器を停止するという省エネルギー活動を行ったため、一定量の余剰電力があり、19:00まで空調機器が利用可能となった。
本実施形態では、部門ごとに1日に利用可能な目標電力量を設定している。そして、室外機11の使用電力を一定時間ごとに各室内機12単位に按分し、指定部門に係る空調機器の使用電力量を求めて目標電力量から実使用量を引いた残りの電力量を、表示装置141で表示可能としている。さらに、通常は17:00までしか空調機器が運転できない場合でも、省エネルギー活動により電力が余っていれば時間を延長して空調機器を利用できるようにすることで、省エネルギー活動をする利用者にメリットがあるようにしている。すなわち、図9に示されるように、各部門で実施した省エネルギー活動は、直接的に、自部門のメリットとして還元される。このため、従来のデマンド制御では行われなかった自主的な省エネルギー活動が推進されることとなる。具体的には、空調機器を使いすぎると業務時間内の早い段階で空調機器を使えなくなるため、不要な場所の空調機器を停止する(例えば会議中は自席の空調機器を停止する)等の自主的な省エネルギー活動が期待できる。個人的な省エネルギー活動を行うことで長時間の空調運転が可能になるという対価を享受できることで、個人による省エネルギー活動が増加することが期待できる。電力を最も使用する時間帯の電力値(デマンド値)も自主的な省エネルギー活動により削減可能となる。省エネルギー目標を達成したい管理部門にもメリットがある。
以上詳細に説明したように、本実施形態では、複数の空調機器(室内機12)の運転の可否を制御する空調制御装置13が、ブロック(空調機器の操作グループを部門等でまとめた単位)ごとに、第1の運転許可条件と第2の運転許可条件とを設定する許可条件設定部(入力装置132、制御部133、データ記憶部134)と、第1の運転許可条件(スケジュールによる運転許可時間帯等)を充足していない場合には、そのブロックに所属する空調機器の運転を禁止し、第2の運転許可条件(ステップS42参照)を充足するブロックについては、第1の運転許可条件により運転が禁止されている場合でも、そのブロックに所属する空調機器の運転を許可する運転制御部(制御部133)と、を備える(図6及び図7参照)。各空調機器は、運転制御部によって運転を許可されると、運転を続行することができる。こうした空調制御装置13によれば、空調システム10を構成する複数の空調機器(室内機12)を平等・一律に制御するのではなく、空調機器ごと又はブロックごとに差をつける(差別化を図る)ことが可能になる。また、差別化により、利用者に省エネルギー活動を促して、利用者の自主的な省エネルギー活動を推進することが可能になる。また、目標電力量を下げて、空調システム10における各空調機器の消費電力量を削減することが可能になる。
また、第1の運転許可条件(通常許可条件)とは別に第2の運転許可条件(特例許可条件)を設定することで、通常許可条件と特例許可条件とを分けて設定することが可能になり、簡素な態様で、より高度な省エネルギー制御を行うことが可能になる。すなわち、通常許可条件に基づき、通常の省エネルギー制御(図6参照)を行いながら、特例許可条件に基づき、省エネルギー活動を行っている利用者(ブロック)を優遇する(図7参照)ことにより、利用者が自主的に省エネルギー活動を行うことを推進することが可能になる。
本実施形態では、各部門の空調機器利用者が、現在の電力使用状況をWebブラウザで閲覧可能になる(図8参照)。また、省エネルギー活動によって部門ごとに設定された目標電力量に余りが生じた場合に、余剰電力量に応じて空調機器の利用禁止時間帯でも空調機器の運転が可能となる(図7及び図9参照)。このように、省エネルギー活動に対するメリットを、各部門の空調機器利用者に提供することで、空調機器の運転が不必要な時間帯(会議中等)にはその運転を停止させるなど、利用者が自主的に省エネルギー活動を行うことを推進することができる。その結果、ビル全体の使用電力量を大幅に削減することが可能となる。
本実施形態に係る空調制御装置13によれば、自主的な省エネルギー活動が推進される。その結果、最も電力が消費される昼間の時間帯の最大平均電力値も下げることが可能になる。また、単位時間あたりの最大平均電力値を元に基本料金が決定される電気料金を削減することも可能となる。
本実施形態に係る空調システム10(特に、空調制御装置13)は、複数の空調機器の全体の使用電力量及び目標電力量を取得する全体データ取得部(図4のステップS11及び図5のステップS21参照)と、図5のステップS21で取得した全体の使用電力量を空調機器単位に按分する電力量按分処理部(図5のステップS22〜S24参照)と、図4のステップS11で取得した全体の目標電力量をブロック単位に按分する目標電力量管理部(図4のステップS12〜S17参照)と、を備える。こうした構成によれば、全体の使用電力量及び目標電力量に基づき、ブロック単位の使用電力量及び目標電力量が自動的に算出される。このため、全体のデータさえ用意すれば個別のデータを用意する必要がなくなり、管理者の負担を軽減することが可能になる。本実施形態では、管理者が、空調制御装置13の入力装置132を通じて全体の目標電力量を設定している(図4のステップS11)。また、電力量計11aにより、全体の使用電力量を取得している(図5のステップS21)。
本実施形態に係る空調システム10(特に、空調制御装置13)は、各空調機器の能力値データ(室内機能力値D114)を保持する能力値データ記憶部(データ記憶部134)を備え、図5のステップS22〜S24では、使用電力量を按分する際に、能力値データ記憶部に保持される能力値データに基づき、各空調機器(室内機12)の能力値に比例して使用電力量の値を按分している。こうした構成によれば、電力量の計測値をそのまま用いて各室内機12に使用電力量を按分する場合よりも、各室内機12の使用電力量を、より実測に近い値で算出することが可能になる。
本実施形態に係る空調システム10(特に、空調制御装置13)は、空調機器の運転積算時間、サーモON積算時間、及び能力セーブ量積算時間を保持する積算時間記憶部(データ記憶部134)を備え、図5のステップS22〜S24では、積算時間記憶部に保持される少なくとも1つの積算時間を、使用電力量を按分する際の係数とする。こうした構成によれば、電力量の計測値をそのまま用いて各室内機12に使用電力量を按分する場合よりも、各室内機12の使用電力量を、より実測に近い値で算出することが可能になる。
本実施形態に係る空調制御装置13によれば、目標電力量に達した時点で空調機器の運転が禁止される(図6参照)。このため、目標電力量以上に電力を使用することができなくなり、管理者が設定した電力削減目標を遵守し易くなる。
図6のステップS32又は図7のステップS42、S44で用いられる使用電力量は、使用時間帯(早朝、朝、昼、夜、深夜など)に応じて、所定の重み付けなどをして、時間帯(区分)ごとに使用電力量を算出した後、それらを合算することで、得てもよい。例えば電力消費の集中を避けるため、一般的に電力需要の多い時間帯(例えば13時〜15時)に電力を使用した場合には、実際に使用した電力量よりも多いもの(例えば実際の使用電力量の2〜3倍)として算出し、一般的に電力需要の少ない時間帯(例えば深夜)に電力を使用した場合よりも、実際に使用した電力量よりも少ないもの(例えば実際の使用電力量の1/3〜1/2倍)として算出してもよい。また、時間帯などで分けられた区分ごとに異なる目標電力量を設定してもよい。
図6の処理又は図7の処理では、比較単位を、複数の空調機器をまとめたブロック単位(例えば部門単位)としているが、必ずしもブロック単位で比較する必要はなく、空調機器(室内機12)単位での比較を行ってもよい。
図6の処理又は図7の処理では、本日分の電力量を比較する例を記載したが、比較単位は今月分や今年分としてもよいし、利用者が指定した期間を比較するようにしてもよい。
図6の処理又は図7の処理では、第1の目標電力量を超過した場合に室内機12の運転を強制的に自動停止する運転禁止処理を行っているが、これに限られず、利用者によって室内機12の運転が停止されるまで警報が鳴り続けるなどの仕組みにして、実質的に室内機12の運転を強制的に停止させるようにしてもよい。また、必ずしも強制的な停止処理を行う必要はなく、図6の処理又は図7の処理における運転禁止処理に代えて、運転制限処理を行うようにしてもよい。運転制限処理としては、例えば設定温度を制限する処理や冷媒流量を制限するような省エネルギー処理を行うことができる。さらに、上記運転禁止処理又は上記運転制限処理と共に、室内機12の使用電力量が目標電力量に達したことを示すメッセージを部門管理者宛てにメールで通知するようにしてもよい。
運転制限されている空調機器(室内機12)について図7の処理を行って、ステップS43で、運転禁止の解除に代えて、運転制限の解除を行うようにしてもよい。例えば消費電力の大きい条件での空調機器の運転(高負荷運転)を禁止すべく、空調機器の設定温度などの操作が禁止されている場合には、図7のステップS43で、その禁止項目を解除できるようにしてもよい。
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について、上記実施形態1との相違点を中心に説明する。なおここでは、上記各図(図1等)に示した要素と同一の要素には各々同一の符号を付し、既に説明した共通の部分、すなわち説明が重複する部分については、その説明を省略又は簡略化する。
本実施形態に係る空調システムでは、実施形態1の空調システム10における空調制御装置13(図1及び図2参照)に代えて、空調制御装置13a(図10参照)を用いる。本実施形態において、その他周辺機器のシステム構成は、実施形態1と同一である。すなわち、本実施形態に係る空調システムも、図1に示されるような構成を有する。
図10に、本発明の実施形態2に係る空調制御装置13aの構成を示す。空調制御装置13aは、実施形態1で用いられている空調制御装置13(図2参照)の制御部133内に、省エネスケジュール実行部133fを、データ記憶部134内に、省エネスケジュールデータD15を、それぞれ追加した構成を持つ。省エネスケジュール実行部133fは、消費エネルギー削減のためのスケジュール(以下、省エネスケジュールという)を実行する。
図11に、本実施形態に係る空調システムにおいて、監視端末14(詳しくは表示装置141)で表示される省エネ週間スケジュールの設定画面の一例を示す。
図11に示される設定画面では、室内機グループ単位で省エネスケジュールを設定することができる。そのため、各課の規則、習慣、その他の諸事情(定例会議や出社時間等)を考慮して、予め消費電力の削減(省エネルギー)が可能なスケジュールを設定することが可能になる。
図11に示される設定画面では、各ブロックに含まれる空調機器の操作グループ単位で省エネスケジュールを設定することができる。そして、監視端末14にて設定されたスケジュール内容は、汎用通信線L4を介して空調制御装置13aに送信され、空調制御装置13aの制御部133は、受信した各設定データをデータ記憶部134内に格納する。データ記憶部134においては、当日スケジュールは当日省エネスケジュールD151として、週間スケジュールは週間省エネスケジュールD152として、年間スケジュールは年間省エネスケジュールD153として、それぞれ保持される。
空調制御装置13aの省エネスケジュール実行部133fは、省エネスケジュールデータD15の内容に従って、指定時間に省エネルギー制御を行う。
利用者は、入力装置142を通じて、省エネスケジュールにおける省エネルギー制御の項目として、例えば停止制御(空調機を停止する)、温度制御(現在の温度から省エネルギーとなる方向に設定温度を変更する(±1〜5℃))、能力セーブ(空調能力の最大値を0〜100%で指定)などを指定することができる。なお、入力装置132を通じて、管理者が省エネスケジュールの各項目を設定できるようにしてもよい。
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る空調システム(特に、空調制御装置13a)は、省エネルギー制御のスケジュールデータ(省エネスケジュールデータD15)を書き換え可能に保持する省エネスケジュール記憶部(データ記憶部134)と、省エネスケジュールデータD15における省エネルギー制御の開始タイミングで空調機器に省エネルギー制御を開始し、省エネスケジュールデータD15における省エネルギー制御の終了タイミングで、開始した省エネルギー制御を終了する省エネスケジュール実行部(省エネスケジュール実行部133f)と、を備える。こうした構成によれば、利用者(又は管理者)が、予め省エネスケジュールを設定することにより、予め決まった条件下で求められる習慣的な省エネルギー活動(定例の会議の時間に空調機器を停止することや、課員の出社時間、退社時間を考慮して人の少ない時間帯は能力セーブを行うことなど)については、その都度、利用者が空調機器を操作せずとも、自動的に省エネルギー活動が行われるようになる。その結果、人の手間をかけることなく、より確実に省エネルギー活動を行うことが可能となる。
また、本実施形態に係る空調制御装置13aによれば、省エネスケジュールに設定された省エネルギー活動の終了タイミングで、空調機器が元の運転状態に自動的に復帰する。このため、例えば会議を行って戻ってきたときには会議前同様の空調環境に復帰しており、利用者の快適性を犠牲にすることなく、省エネルギーを実行することが可能となる。
なお、実施形態1と同様の構成及び処理については、前述した実施形態1の効果に準ずる効果が得られる。
(他の実施形態)
ID(識別子)などを用いて、空調機器(室内機12)ごとに識別可能にして、空調機器ごとのデータに基づいて、その空調機器の運転許可条件を決めてもよい。この場合、空調機器ごとのデータは、例えばデータ記憶部134に保存する。具体的には、例えば空調機器の仕様に基づき、空調機器が燃費の良い(消費電力の少ない)機種であるほど、運転許可条件を緩くしてもよい。また、利用者の役職又は省エネルギー活動の実績などに基づいて、その空調機器の運転許可条件を決めてもよい。例えば省エネルギー活動を行うほどポイントが貯まるポイント制にして、ポイントが高い利用者ほど、空調機器の運転許可条件が緩くなるようにしてもよい。
運転許可条件を緩くする場合には、空調機器の運転について、例えば使用可能な電力量(時間帯ごとに使用可能な電力量、又は一度に使用可能な電力量など)を大きくしてもよいし、運転可能な時間帯を拡張してもよいし、利用者による運転条件の設定自由度を高めても(例えば設定可能な温度を高くしても)よい。ただしこれに限られず、運転許可条件は、基本的には任意に設定することができる。
上記各実施形態では、Webコンテンツを用いたが、Webを用いないコンテンツで、前述の機能(電力使用状況の確認及び省エネスケジュールの設定等を可能にする機能)を実現してもよい。例えば空調制御装置13又は13aとの通信が可能なアプリケーションを、外部の端末(例えば監視端末14)に提供する際に、その都度インターネットを通じて入手してもよいし、予め入手して記憶装置に格納しておいてもよい。また、複数種のコンテンツ(Webコンテンツ等)を空調制御装置13又は13a内に用意しておき、状況に応じて、最適なコンテンツを選択(ユーザによる選択又は自動選択)できるようにしてもよい。
上記各実施形態では、空調制御装置13又は13aが表示装置131及び入力装置132を有する構成としたが、必ずしも表示装置131及び入力装置132が必要という訳ではなく、空調制御装置13又は13aは、表示装置131、入力装置132を有さずに、汎用通信線L4を介して通信による設定、操作が可能な構成としてもよい。
上記各実施形態では、監視端末14として汎用的なコンピュータ(パーソナルコンピュータ)を利用するようにしたが、必ずしも汎用的なコンピュータを利用する必要は無く、監視プログラムが実行可能な専用端末やタブレット端末などを利用してもよい。
監視端末14と空調制御装置13との間の通信フォーマットは、XML(Extensible Markup Language)等を用いたテキスト形式を利用してもよいし、通信サイズを低減するためにバイナリ形式など他の形式を用いてもよい。また、通信情報を秘匿できるよう、通信の暗号化を行ってもよい。
上記各実施形態では、コンピュータ(監視端末14)上のWebブラウザを利用するようにしているが、監視端末14は必須の構成では無く、空調制御装置13の表示装置131上で同様の監視、設定が可能な構成としてもよい。
上記各実施形態に係る空調システムを構成する各装置(室外機、室内機、空調制御装置、監視端末等)を有線(通信線)で接続することは必須ではなく、無線LAN等により、無線で通信可能にしてもよい。
上記各実施形態において、データ又はプログラムを保持する記憶装置としては、任意の記憶装置を用いることが可能であり、ROM、フラッシュメモリ、磁気記憶装置(ハードディスクドライブ、磁気カード、磁気テープなど)、又は光ディスクを用いてもよいし、その他の記憶装置を用いてもよい。用途等に応じて最適な記憶装置を選択することが好ましい。
上記各実施形態に係る空調制御装置13の機能は、専用のハードウェアによっても、また、通常のコンピュータシステムによっても実現することができる。
例えば、上記各実施形態において空調制御装置13が保持するプログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto-Optical disk)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをコンピュータにインストールすることによっても、上述の処理を実行する装置を構成することができる。
また、プログラムをインターネット等の通信ネットワーク上の所定のサーバ装置が有するディスク装置等に格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するようにしてもよい。また、通信ネットワークを介してプログラムを転送しながら起動実行することによっても、上述の処理を達成することができる。さらに、プログラムの全部又は一部をサーバ装置上で実行させ、その処理に関する情報をコンピュータが通信ネットワークを介して送受信しながらプログラムを実行することによっても、上述の処理を達成することができる。
なお、上述の機能を、OS(Operating System)が分担して実現する場合又はOSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納して配布してもよく、また、コンピュータにダウンロード等してもよい。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。