以下、本発明に係る放射線画像撮影システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の図示例のものに限定されるものではない。
[放射線画像撮影装置について]
まず、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50における放射線画像撮影に用いられる放射線画像撮影装置1について説明する。
なお、以下では、放射線画像撮影装置1として、シンチレータ等を備え、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレータ等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
図1は、放射線画像撮影装置の外観斜視図であり、図2は、放射線画像撮影装置を反対側から見た外観斜視図である。また、図3は、図1のA−A線に沿う断面図である。放射線画像撮影装置1は、図1〜図3に示すように、筐体状のハウジング2内にシンチレータ3や基板4等で構成されるセンサパネルSPが収納されている。
図1や図2に示すように、放射線画像撮影装置1の筐体2のうち、放射線入射面Rを有する中空の角筒状のハウジング本体部2Aは、放射線を透過するカーボン板やプラスチック等の材料で形成されており、ハウジング本体部2Aの両側の開口部を蓋部材2B、2Cで閉塞することで筐体2が形成されている。
図1に示すように、筐体2の一方側の蓋部材2Bには、電源スイッチ37や選択スイッチ38、コネクタ39、バッテリ状態や放射線画像撮影装置1の稼働状態等を表示するLED等で構成されたインジケータ40等が配置されている。
また、図2に示すように、筐体2の反対側の蓋部材2Cには、放射線画像撮影装置1の識別情報であるカセッテIDを無線で管理装置Sに送信したり、画像データD等を後述するコンソールCに無線で転送するための無線通信手段であるアンテナ装置41が埋め込まれている。なお、アンテナ装置41を設ける場合には、アンテナ装置41の筐体2上の配置場所や配置する個数は適宜決められる。
また、本実施形態では、アンテナ装置41は、IEEE802.11規格に準拠した無線LANにより、後述するアクセスポイント53を介してコンソールC等と無線通信を行うことができるように構成されている。
筐体2の内部には、図3に示すように、センサパネルSPの基板4の下方側に図示しない鉛の薄板等を介して基台31が配置され、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33や緩衝部材34等が取り付けられている。なお、基板4やシンチレータ3の放射線入射面R側には、それらを保護するためのガラス基板35が配設されている。また、センサパネルSPと筐体2の側面との間にも緩衝材36が設けられている。
シンチレータ3は、基板4の後述する検出部Pに貼り合わされるようになっている。シンチレータ3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。
基板4は、ガラス基板で構成されており、図4に示すように、基板4のシンチレータ3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。
このように、走査線5と信号線6で区画された各小領域rに二次元状(マトリクス状ともいう。)に配列された複数の放射線検出素子7が設けられた領域r全体、すなわち図4に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
放射線検出素子7としては、フォトダイオードが用いられているが、この他にも例えばフォトトランジスタ等を用いることも可能である。各放射線検出素子7は、図4の拡大図である図5に示すように、スイッチ手段であるTFT8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
また、TFT8は、図示しないゲートドライバから走査線5を介してゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となって放射線検出素子7内に蓄積されている電荷を信号線6に放出させる。また、ゲートドライバから走査線5を介してゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となって放射線検出素子7から信号線6への電荷の放出を停止して、放射線検出素子7内に電荷を保持するようになっている。
図5に示すように、列状に配置された複数の放射線検出素子7にそれぞれバイアス線9が接続されており、図4に示すように、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で1本の結線10に結束されている。そして、図示しないバイアス電源から結線10およびバイアス線9を通じて各放射線検出素子7に逆バイアス電圧が印加されるようになっている。
また、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう)11に接続されている。各入出力端子11には、図6に示すように、IC12a等のチップがフィルム上に組み込まれたフレキシブル回路基板(Chip On Filmともいう。)12が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
また、フレキシブル回路基板12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側で前述したPCB基板33に接続されるようになっている。このようにして、放射線画像撮影装置1のセンサパネルSPの基板4部分が形成されている。なお、図6では、電子部品32等の図示が省略されている。
一方、放射線画像撮影装置1では、患者の身体等の被写体を介して放射線が照射された後、各放射線検出素子7から画像データDの読み出し処理が行われるようになっており、本実施形態では、放射線画像撮影装置1は、各放射線検出素子7から読み出した各画像データDから所定の割合でデータを間引いてデータ量を減少させた間引きデータDtを作成するようになっている。
そして、放射線画像撮影装置1は、撮影が終了するごとに、無線通信手段であるアンテナ装置41を介して後述するコンソールCに間引きデータDtを送信するようになっている。そして、間引きデータDtを送信した後、続けて自動的に画像データDを送信するようになっている。なお、送信される間引きデータDtや画像データDには、当該放射線画像撮影装置1のカセッテIDが付帯されて送信されるようになっている。
また、放射線画像撮影装置1は、各画像データDに重畳されている暗電荷に起因するオフセット分を取得するためのダーク読取処理を所定のタイミングで行うようになっており、ダーク読取処理で読み出したダーク読取値dに基づいて算出したオフセットデータOをコンソールCに自動的に送信するようになっている。
一方、前述したように、放射線画像撮影装置1に対しては、工場出荷時に、前述したゲイン補正値G等の第1補正データαが放射線検出素子7ごとに設定されており、放射線画像撮影装置1に内蔵されたメモリに、これらの放射線検出素子7ごとの第1補正データαの情報が記憶されている。なお、当該メモリに、欠陥画素位置に関する情報を記憶しておくこととしても良い。
また、前述したように、放射線画像撮影装置1は、病院等の後述する撮影室Raに導入される際に、撮影室Raに設置されている放射線源52に対応して、放射線検出素子7ごとに新たに第2補正データα*が設定されるようになっており、これらの放射線検出素子7ごとの第2補正データα*の情報もメモリに記憶されている。
なお、後述する図7等に示すように、放射線画像撮影システム50内に複数の放射線源52が設けられている場合には、放射線画像撮影装置1には、各放射線源52に対応する第2補正データα*がそれぞれ設定されて記憶されている。
[放射線画像撮影システムについて]
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50の構成等について説明する。図7は、本実施形態に係る放射線画像撮影システムの全体構成を示す図である。
なお、以下では、放射線画像撮影システム50が、複数の撮影室Ra(Ra1〜Ra3)と複数のコンソールC(C1、C2)とを備えて構成されている場合について説明するが、撮影室RaとコンソールCの何れか或いは両方が単数であってもよい。
また、以下では、管理装置SとコンソールCとが別体として設けられている場合について説明するが、単数のコンソールCが、或いは、複数のコンソールC中の1つのコンソールCが、管理装置Sの機能を備えるように構成することも可能である。
本実施形態では、複数の撮影室Raと複数のコンソールCとが、LAN(Local Area Network)等のネットワークNを介して接続されており、ネットワークNには管理装置Sが接続されている。また、図示を省略するが、ネットワークNには、さらに、他のコンピュータや、放射線画像をフィルム等の画像記録媒体に記録して出力するイメージャ等の外部機器、HIS(Hospital Information System;病院情報システム)、RIS(Radiology Information System;放射線科情報システム)等の必要な装置が接続されている。
各撮影室Ra(図7では撮影室Ra1〜Ra3)は、患者の身体の一部である被写体(すなわち患者の撮影部位)に放射線を照射して放射線画像撮影を行う部屋である。以下、放射線画像撮影システム50における各撮影室Ra内の構成等について説明する。
撮影室Ra内には、図8に示すように、放射線画像撮影装置1を装填可能なブッキー装置51が設置されており、ブッキー装置51は、カセッテ保持部(カセッテホルダともいう。)51aに放射線画像撮影装置1を装填して用いることができるようになっている。
なお、図8では、撮影室Raに、ブッキー装置51として立位撮影用のブッキー装置51Aと臥位撮影用のブッキー装置51Bが設置されている場合が示されているが、例えば、立位撮影用のブッキー装置51Aのみ、或いは臥位撮影用のブッキー装置51Bのみが設けられていてもよい。
本実施形態では、ブッキー装置51は、カセッテ保持部51aに従来のCRカセッテを装填して用いることもできるように構成されており、撮影室RaにCRカセッテ用に設置されている既存のブッキー装置が用いられる。
そのため、上記の放射線画像撮影装置1は、CRカセッテと同様の寸法になるように形成されている。すなわち、CRカセッテは、従来のスクリーンフィルム用のカセッテにおけるJIS規格サイズ(対応する国際規格はIEC 60406)に準拠して、14インチ×17インチ(半切サイズ)等の寸法で形成される。また、放射線入射方向の厚さは15mm+1mm〜15mm−2mmの範囲内になるように形成される。
そして、このJIS規格サイズのCRカセッテを装填することができるブッキー装置51への装填使用を可能とするため、放射線画像撮影装置1も、CRカセッテが準拠するスクリーンフィルム用のカセッテにおけるJIS規格に準拠した寸法で形成されている。
なお、スクリーン/フィルムカセッテやCRカセッテ用の既存のブッキー装置を用いない場合には、放射線画像撮影装置1を上記の寸法で形成する必要はなく、放射線画像撮影装置1を任意の大きさや形状に形成することが可能である。しかし、その際には、ブッキー装置51として、任意に設定された形状の放射線画像撮影装置1を装填することができるブッキー装置を新たに撮影室Ra内に設置することが必要となる。
また、例えば図9に示すように、ブッキー装置51から延びるケーブルの先端に設けられたコネクタ51bを放射線画像撮影装置1のコネクタ39(図1参照)に接続した状態で、放射線画像撮影装置1をブッキー装置51のカセッテ保持部51aに装填するように構成することも可能である。
さらに、例えば図10に示すように、ブッキー装置51のカセッテ保持部51aの内部に、装填された放射線画像撮影装置1のコネクタ39と接続されるコネクタ51bを設けておき、放射線画像撮影装置1を装填すると、放射線画像撮影装置1のコネクタ39とブッキー装置51のコネクタ51bとが自動的に接続されるように構成することも可能である。
図9や図10に示したように構成すれば、ブッキー装置51のコネクタ51bと放射線画像撮影装置1のコネクタ39とが接続されることにより、ブッキー装置51から放射線画像撮影装置1に電力を供給することが可能となり、放射線画像撮影装置1に内蔵されたバッテリの消耗を防止することが可能となる。
また、ケーブルを、後述する中継器54に接続して、ブッキー装置51に装填された放射線画像撮影装置1からコンソールCに画像データDを送信する際に、ケーブルを介して有線方式で送信するように構成することも可能である。
図7や図8に示すように、撮影室Raには、被写体に放射線を照射する放射線源52が少なくとも1つ設けられている。
そして、本実施形態では、放射線源52(図8参照)は、例えば撮影室Raの天井からつり下げられて配置されるようになっており、撮影時にはコンソールCからの指示に基づいて起動され、図示しない移動手段により所定の位置にまで移動されるようになっている。そして、図8に示すように、放射線の照射方向を変えることで、立位撮影用のブッキー装置51Aや臥位撮影用のブッキー装置51Bに装填された放射線画像撮影装置1に対して放射線を照射することができるようになっている。
放射線源52は、図示しないX線管球を備えており、X線管球は、後述する放射線発生装置57から所定の管電圧や管電流等が供給されると、指定された照射時間だけ管電圧等に応じた線量の放射線を照射するようになっている。
撮影室Raは放射線が撮影室外に漏洩しないように鉛などでシールドされているため、撮影室Ra内で放射線画像撮影装置1からアンテナ装置41を介して画像データD等の情報を送受信しようとしても、そのままでは送受信することが困難になる。
そこで、図7や図8に示すように、各撮影室Raには、放射線画像撮影装置1からコンソールCに画像データD等を送信する際に、放射線画像撮影装置1から発信された画像データD等を受信してコンソールCに伝送するためのアクセスポイント53がそれぞれ設けられている。そして、アクセスポイント53は、中継器54に接続されており、中継器54やネットワークN(図7参照)を介してコンソールCや管理装置Sと接続されている。
また、撮影室Raには、撮影室Raや前室Rb内の各装置と、撮影室Ra外のネットワークN(図7参照)との通信を中継する中継器54が設けられている。図8に示すように、中継器54には、アクセスポイント53のほか、後述するクレードル55や前室Rbの放射線発生装置57等が接続されており、それらの各装置と、撮影室Ra外のコンソールCや管理装置Sとの間の通信を、ネットワークN(図7参照)を介して中継するようになっている。
本実施形態では、中継器54にはクレードル55が接続されており、クレードル55を介して、代替用の放射線画像撮影装置1bに対する第2補正データβ*の設定処理が行われるようになっているが、この点については、後で詳しく説明する。
また、本実施形態では、クレードル55には、例えば後述する図16に示すように、放射線画像撮影装置1が挿入される挿入口が設けられており、撮影室Raに持ち込まれた放射線画像撮影装置1が挿入されて、放射線画像撮影装置1のコネクタ39とクレードル55のコネクタ55aとが接続されると、放射線画像撮影装置1からクレードル55や中継器54を介して、コンソールCに対して、放射線画像撮影装置1の識別情報であるカセッテIDが通知されるようになっている。
なお、クレードル55は、通常、放射線画像撮影装置1等を保管したり充電するために用いられるものであり、本実施形態においても、クレードル55が充電等の機能を有するように構成することも可能である。さらに、後述する図16では、放射線画像撮影装置1を挿入する挿入口が2個設けられたクレードル55が示されているが、挿入口は1個でもよく、或いは3個以上設けられていてもよい。
また、クレードル55は撮影室Raと前室Rbの何れに設置されてもよく、撮影室Raに設置される場合には、放射線源52から照射される放射線が到達しない位置、すなわち、例えば撮影室Raのコーナーの位置等に設置される。
図8に示すように、前室Rbには、放射線源52に対して放射線の照射開始等を指示するために撮影者が操作する曝射スイッチ56等を備えた放射線発生装置57が設けられている。
そして、放射線発生装置57は、コンソールCからの指示に基づいて、放射線源52に所定の管電圧や管電流等を供給したり、放射線源52を所定の位置に移動させたり、放射線源52の照射方向を変える等して、放射線源52を起動させるようになっている。
次に、撮影室Ra以外にネットワークNに接続されているコンソールCや管理装置Sについて説明する。まず、管理装置Sについて説明する。
管理装置Sは、図示しないCPUやROM、RAM、入出力インターフェース等がバスに接続されたサーバコンピュータ等で構成されている。ROMには所定のプログラムが格納されており、コンソールCは、必要なプログラムを読み出してRAMの作業領域に展開してプログラムに従って各種処理を実行するようになっている。
本実施形態では、管理装置Sは、下記のようにコンソールCから各放射線画像撮影装置1の存在場所すなわち当該放射線画像撮影装置1が何れの撮影室Raに存在するかを示す情報の情報を入手して、各放射線画像撮影装置1が存在する撮影室Raの情報等を管理するようになっている。
また、本実施形態では、管理装置Sは、各放射線画像撮影装置1に関して、第1補正データαや各撮影室Raの各放射線源52に対応する第2補正データα*の各情報を図示しない記憶手段に記憶して管理するようになっている。また、欠陥画素位置に関する情報も、併せて記憶して管理するようにしても良い。
そして、管理装置Sは、コンソールCから、放射線画像撮影装置1が存在する撮影室Raの情報が送信されてくると、管理装置Sは、上記のようにそれらの情報を管理するとともに、その時点で、そのコンソールCに対して、当該放射線画像撮影装置1に関する当該撮影室Raの放射線源52に対応する第2補正データα*(後述するように代替用の放射線画像撮影装置1については第2補正データβ*)や欠陥画素位置の情報等を送信するようになっている。
なお、前述したように、放射線画像撮影装置1には、工場出荷時に、放射線検出素子7ごとにゲイン補正値G等の第1補正データαが設定されている。そこで、放射線画像撮影装置1をこの放射線画像撮影システム50(すなわち放射線画像撮影システム50が適用される病院等)に導入された時点で、放射線画像撮影装置1に設定されている放射線検出素子7ごとの第1補正データαを放射線画像撮影装置1から読み出して、管理装置Sに送信し、放射線画像撮影装置1の識別情報であるカセッテIDと第1補正データαとを対応付けて記憶させる。なお、欠陥画素位置情報を送信する場合は、当該欠陥画素位置情報もカセッテIDと対応つけて記憶させる。
また、導入時に予めこの放射線画像撮影装置1を撮影室Ra1に持ち込んで、撮影室Ra1の放射線源52から放射線画像撮影装置1に放射線を照射させて各放射線検出素子7から画像データDを読み出し、放射線を照射しない状態でオフセットデータOを読み出して、例えばコンソールC1で、読み出された画像データDとオフセットデータOに基づいて、上記(1)式等に従って算出される最終的な画像データD*が全ての放射線検出素子7で同じ値になるように、ゲイン補正値G等の第2補正データα*を放射線検出素子7ごとに設定する。
そして、設定した第2補正データα*と撮影室Ra1の識別情報とを、或いは、撮影室Ra1内に放射線源52が複数設置されている場合には、設定した第2補正データα*と、放射線源52の識別情報とを、管理装置Sに送信し、それらと放射線画像撮影装置1のカセッテIDとを対応付けて記憶させる。撮影室Ra1内に複数の放射線源52が設置されている場合には、各放射線源52についてそれぞれ上記の処理を行う。
続いて、この放射線画像撮影装置1を、撮影室Ra2や撮影室Ra3にそれぞれ持ち込んで、上記の処理を行い、当該放射線画像撮影装置1に関して、各撮影室Ra1〜Ra3の各放射線源52に対応する第2補正データα*をそれぞれ設定し、放射線画像撮影装置1のカセッテIDと、放射線源52の識別情報(或いは撮影室Ra内に放射線源52が1つだけ設けられている場合には撮影室Raの識別情報でよい。)と、第2補正データα*とをそれぞれ対応付けて、管理装置Sに記憶させて管理させるようになっている。
一方、本実施形態では、後述するように、クレードル55や管理装置Sで、代替用の放射線画像撮影装置1に対する第2補正データβ*の算出、設定処理が行われる。この処理については、後で詳しく説明する。
そして、その際、クレードル55で代替用の放射線画像撮影装置1に対する第2補正データβ*の算出、設定処理を行った場合には、クレードル55から当該代替用の放射線画像撮影装置1に関する第1補正データβと算出した第2補正データβ*とが、当該代替用の放射線画像撮影装置1の識別情報であるカセッテIDとともに管理装置Sに送信されてくるため、管理装置Sは、それらの情報も記憶手段に記憶して管理するようになっている。
次に、コンソールC(図7参照)について説明する。
コンソールCは、図示しないCPUやROM、RAM、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータ等で構成されている。ROMには所定のプログラムが格納されており、コンソールCは、必要なプログラムを読み出してRAMの作業領域に展開してプログラムに従って各種処理を実行するようになっている。
コンソールCには、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等からなる図示しない表示部が設けられており、その他、キーボードやマウス等の図示しない入力手段等が接続されている。また、コンソールCには、ハードディスク等で構成された図示しない記憶手段が接続されており、或いは、内蔵されている。
コンソールCでは、放射線技師等の撮影者により、撮影に用いられる撮影室Raが指定できるようになっており、この指定により、コンソールCと撮影室Raとが対応付けられるとともに、他のコンソールCに対して当該コンソールCが当該撮影室Raを使用することが宣言されるようになっている。
すなわち、例えば、コンソールC1で撮影室Ra1と撮影室Ra2が指定されると、その後は、コンソールC1による指定が解除されるまでは、他のコンソールC2で撮影室Ra1や撮影室Ra2を指定することができなくなり、例えば撮影室Ra2からコンソールC2に画像データD等を送信することができなくなる。なお、本実施形態では、コンソールCによる指定が行われても、指定された撮影室Raから管理装置Sにデータや情報等を送信することは可能である。
また、本実施形態では、図7や図8等に示したように、撮影室Raや前室Rb内の各装置からコンソールC等に信号やデータ等を送信する場合には、全て中継器54で中継されて送信されるようになっている。そして、信号等には中継器54の中継器IDが付帯されて送信されるため、コンソールCは、この中継器IDを参照することで、当該信号等がどの撮影室Raから送信されてきたものであるかを認識することができる。
そのため、本実施形態では、コンソールCは、予め撮影室Raの識別情報と撮影室Ra内に設けられた中継器54の中継器IDとを対応付けたテーブルを備えており、信号やデータ等が送信されてくると、その信号等に付帯されている中継器IDを参照して、当該信号等がどの撮影室Raから送信されてきたものであるかを認識するようになっている。
そのため、コンソールCが上記のように撮影室Raを指定して撮影室Raと対応付けられると、当該撮影室Ra内の放射線画像撮影装置1から送信された間引きデータDtや画像データD等が確実に当該コンソールCに送信されるようになる。
また、本実施形態では、前述したように、撮影室Raに持ち込まれた放射線画像撮影装置1がクレードル55に挿入されて、放射線画像撮影装置1のカセッテID等がクレードル55や中継器54を介して送信されてくると、コンソールCは、そのカセッテIDを撮影室Raの識別情報に対応付けて記憶手段に保存して、そのカセッテIDを有する放射線画像撮影装置1が撮影室Ra内に存在することを認識して管理するようになっている。
また、コンソールCは、それと同時に、当該放射線画像撮影装置1の識別情報であるカセッテIDと撮影室Raの識別情報とを管理装置Sに送信することで、管理装置Sに対して、当該放射線画像撮影装置1が撮影室Ra内に存在することを通知するようになっている。
ここで、本実施形態における、代替用の放射線画像撮影装置1に対する第2補正データβ*の算出、設定処理等について説明する前に、コンソールCにおける画像処理等について説明する。
コンソールCは、撮影者の操作により、ネットワークNに接続された図示しないHISやRISから、撮影オーダ情報等の必要な情報を入手するようになっている。
撮影オーダ情報は、少なくとも撮影部位と撮影条件を指定して設定されるようになっている。具体的には、撮影オーダ情報は、図11に例示するように、患者情報としての「患者ID」P2、「患者氏名」P3、「性別」P4、「年齢」P5、「診療科」P6、および「撮影部位」P7、および撮影条件としての「撮影方向」P8や使用するブッキー装置51を表す「ブッキーID」P9や使用するカセッテの「カセッテID」P10等で構成されるようになっている。そして、撮影オーダが登録された順に、各撮影オーダ情報に対して「撮影オーダID」P1が自動的に割り当てられるようになっている。
コンソールCは、撮影オーダ情報を入手すると、図12に示すように、表示部上に各撮影オーダ情報の一覧を選択画面H1として表示するようになっている。本実施形態では、選択画面H1には、撮影オーダ情報表示欄h11や選択ボタンh12、決定ボタンh13、戻るボタンh14が表示されるようになっている。
そして、例えば、撮影者が選択ボタンh12をクリックして、各撮影オーダ情報を選択して、決定ボタンh13をクリックすると、コンソールCは、表示部上に図13に示すような画面H2を表示するようになっている。
画面H2には、図13に示すように、各撮影オーダ情報に対応する各アイコンIが表示され、各アイコンIの下部には、後述するように、アイコンIの位置に表示されるプレビュー画像p_preを撮影者が見て再撮影が不要と判断したり、アイコンIの位置に表示される放射線画像pが正常であると判断して放射線画像pを確定させる際にクリックする「OK」ボタンと、再撮影が必要であったり、放射線画像pに対する画像処理等をやり直す際にクリックする「NG」ボタンがそれぞれ表示されている。
また、画面H2の右側に表示されている照射条件の設定用の表示Ia上の各項目の「+」ボタンや「−」ボタンをクリックすることで、放射線発生装置57の放射線源52の管電圧や管電流、照射時間等の照射条件を変更して設定することができるようになっている。
一方、本実施形態では、各アイコンI1〜I4は、何れか1つのアイコンI(図13の場合はアイコンI2)が目立つようにフォーカスされて表示されるようになっており、フォーカスされているアイコンIに対応する撮影オーダ情報に基づく撮影が行われるようになっている。なお、撮影者が、別の撮影オーダ情報に基づく撮影を行いたい場合には、その撮影オーダ情報に対応する他のアイコンIをクリックする等して操作することにより、フォーカスを遷移させることができるようになっている。
また、本実施形態では、コンソールCは、フォーカスされているアイコンIに対応する撮影オーダ情報に基づく撮影が行われるように、撮影室Ra内の放射線発生装置57を制御して、放射線源52に所定の管電圧や管電流、照射時間等の照射条件で起動させたり、放射線源52を移動させたり、その照射方向を変えさせるようになっている。
なお、画面H2の左側には、フォーカスして表示されているアイコンIに対応する撮影オーダ情報で指定された撮影部位が、撮影者が一目で分かるように表した人体モデルIb上に表示されるようになっている。
一方、フォーカスして表示されたアイコンIに対応する撮影オーダ情報に基づく放射線画像撮影が行われると、前述したように、放射線画像撮影装置1からは、各放射線検出素子7の画像データDから作成された間引きデータDtが送信されてくる。コンソールCは、放射線画像撮影装置1から間引きデータDtが送信されてくると、図14に示すように、送信されてきた間引きデータDtに基づくプレビュー画像を、フォーカスされていた元のアイコンI2の位置に表示するようになっている。
なお、撮影者がプレビュー画像p_preを見易いように、プレビュー画像p_preを画面H2上に拡大して表示するように構成することも可能である。
また、その後、当該放射線画像撮影装置1から画像データDが送信されてくると、コンソールCは、画像データDに付帯されている当該放射線画像撮影装置1のカセッテIDや中継器54の中継器IDを参照し、当該アイコンIに対応する撮影オーダ情報に指定されている放射線画像撮影装置1であること等を確認して、撮影オーダ情報に画像データDを対応付けるようになっている。
そして、コンソールCは、プレビュー画像p_preを所定時間表示する間に、プレビュー画像p_preを見た撮影者が「NG」ボタンをクリックしなければ、図15に示すように、フォーカスして表示するアイコンIを例えばアイコンI3に遷移させるとともに、元のアイコンI2に対応する撮影で放射線画像撮影装置1から送信されてきた画像データD等に基づく放射線画像pの生成処理を開始するようになっている。
なお、プレビュー画像p_preを見た撮影者が上記の所定時間の間に「NG」ボタンをクリックした場合には、撮影オーダ情報に対する画像データDの対応付けを解除するとともに、間引きデータDtや画像データDを抹消する。また、画像データD等に基づく放射線画像pの生成処理も行わない。
コンソールCは、後述するように、撮影に用いられた放射線画像撮影装置1に関する補正データ、すなわち前述したゲイン補正値G等の第2補正データα*等を予め管理装置Sから入手している。また、前述したように、放射線画像撮影装置1からは撮影ごとにオフセットデータOが送信されてくる。
そのため、放射線画像pの生成処理では、コンソールCは、それらに基づいて、オフセット補正やゲイン補正、欠陥画素補正、撮影部位に応じた諧調処理等の処理を行うようになっている。また、撮影の際に、放射線画像撮影装置1にグリッドを取り付けて撮影が行われている場合があるため、グリッドによるモアレ除去のためのフィルタリング処理をさらに行うようになっている。
グリッドを用いた撮影を行う場合、グリッドピッチと放射線画像撮影装置1の画素サイズとの関係で、画像データDにモアレを生じる場合がある。このモアレ対策として、例えば特開2000−316126号公報に記載されているように、使用するグリッドを適正に選択すれば、モアレ発生を避けることができる。また、特開平8−88765号公報に記載されているように、一旦、身近のグリッドを使用して撮影を行い、画像データD中に含まれるモアレ成分を、次工程でフィルタリング処理して除去することも知られている。
放射線画像撮影装置1の場合、本実施形態で説明するように複数の撮影室Raで使用されたり、後述する実施形態で説明するように回診先で使用されるので、使用するグリッド種を制限することは得策ではない。すなわち、CRカセッテを用いて撮影を行っていた際に使用されていたグリッドをそのまま使用することが好ましい。また、撮影の都度、各撮影に使用したグリッドピッチ情報を読取り画像に対応付けて保存とすることも可能であるが、専用機型の放射線画像撮影装置の場合とは異なり、放射線画像撮影装置1の場合、グリッドピッチ情報を対応付けるには、大がかりな既存の撮影設備改造が必要になり、しかも、各撮影における放射線技師等の撮影者の操作も増えるため、現実的ではない。
従って、使用するグリッドを限定せず、使用可能性のあるグリッドピッチに対応したモアレ除去フィルタを予め数種準備しておき、画像データDに対して、予め準備しておいた全てのフィルタを順次適用することで、モアレのない放射線画像pを得る方法が、放射線画像撮影装置1にとっては好ましい。
コンソールCは、放射線画像pを生成すると、図14に示したように、元のアイコンI2の位置に表示する。そして、放射線画像pを見た撮影者が、生成された放射線画像pが正常であると判断して「OK」ボタンをクリックすると、放射線画像pを確定させて、放射線画像pを撮影オーダ情報に対応付けるようになっている。
本実施形態に係る放射線画像撮影システム50では、以上のように、コンソールC(例えばコンソールC1)で、撮影に使用する撮影室Ra(例えば撮影室Ra1と撮影室Ra2)を指定し、指定された撮影室Ra(例えば撮影室Ra1)に放射線画像撮影装置1が持ち込まれてクレードル55に挿入されると、クレードル55から放射線画像撮影装置1のカセッテID等がコンソールCに送信される。
そして、コンソールCから管理装置Sに放射線画像撮影装置1のカセッテIDと撮影室Raの識別情報を送信すると、管理装置Sで、当該放射線画像撮影装置1が撮影室Ra内に存在することが管理されると同時に、当該放射線画像撮影装置1に関する第2補正データα*等の情報が当該コンソールCに送信される。
そして、指定された撮影室Ra(例えば撮影室Ra1)で当該放射線画像撮影装置1を用いて行われた撮影で得られた画像データD等が中継器54等を介して当該コンソールCに送信されると、コンソールCで、当該放射線画像撮影装置1に関する第2補正データα*等の情報を用いて、画像データDに対して補正処理及び諧調処理を含む画像処理が行われて、診断用の放射線画像pが生成されるようになっている。
[代替用の放射線画像撮影装置の導入時の処理について]
次に、以上のような構成の放射線画像撮影システム50に、代替用の放射線画像撮影装置1が導入された場合の処理について説明する。また、それとともに、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50の作用について説明する。
前述したように、上記のようにして、放射線画像撮影システム50に導入した放射線画像撮影装置1(以下、代替用の放射線画像撮影装置と区別するために放射線画像撮影装置1aという。)が、導入後、故障する等して、放射線画像撮影装置1aを工場等に持ち帰って修理する必要が生じる場合があり得る。
このような場合には、この放射線画像撮影装置1aの修理の間、別の放射線画像撮影装置1bが、元の放射線画像撮影装置1aの代替用として提供されることが好ましい。そして、この代替用の放射線画像撮影装置1bに対しても、上記のように、各撮影室Ra1〜Ra3にそれぞれ持ち込んで放射線源52から放射線を照射させて、各放射線源52に対応する第2補正データをそれぞれ算出して設定する作業が非常に面倒な作業になることは前述した通りである。
なお、以下、元の放射線画像撮影装置1aの第1補正データαや第2補正データα*に対して、代替用の放射線画像撮影装置1bの第1補正データや第2補正データを、第1補正データβ、第2補正データβ*という。
また、上記のように、例えばコンソールC1(図7参照)で撮影室Ra1、Ra2を指定すると、例えば現在撮影に使用されていない撮影室Ra2で代替用の放射線画像撮影装置1bに対する第2補正データβ*の算出、設定処理を行おうとしても、コンソールC1は撮影に使用中で使えず、また、コンソールC2には撮影室Ra2内の代替用の放射線画像撮影装置1bから画像データD等を送信できないため、コンソールC2で算出、設定処理を行うことができないといった問題が発生することも前述した通りである。
そこで、本実施形態では、クレードル55や管理装置Sを用いることで、例えばコンソールC1で指定された撮影室Ra2で代替用の放射線画像撮影装置1bに対して第2補正データβ*の算出、設定処理を行うことができ、しかも、算出、設定処理を容易に行うことができるように構成されている。
以下、それを可能とするためのいくつかのパターンについて説明する。
[パターン1]
パターン1では、代替用の放射線画像撮影装置1bに対する第2補正データβ*の算出、設定処理を、全てクレードル55で行う場合について説明する。
この場合、図16に示すように、クレードル55には、前述したように挿入口に挿入された放射線画像撮影装置1のコネクタ39と接続されるコネクタ55aのほか、マイクロコンピュータやFPGA等の専用基板等で構成され、図示しない記憶手段を備えた演算手段55bが設けられている。演算手段55bはコネクタ55aと接続されている。
そして、このパターン1では、元の放射線画像撮影装置1aを修理等のために工場等に持ち出す際に、或いはそれ以前に、クレードル55にこの元の放射線画像撮影装置1aを挿入して、クレードル55の演算手段55bの記憶手段に、当該元の放射線画像撮影装置1aに関する第1補正データαや第2補正データα*の情報を保存させておくようになっている。
なお、このパターン1では、上記のように、クレードル55の演算手段55bの記憶手段に、元の放射線画像撮影装置1aに関する第1補正データαや第2補正データα*の情報のみを保存させておくように構成されているが、例えば、クレードル55の記憶手段に、当該クレードル55が設置された撮影室Raに導入された(当該クレードルを介して登録操作が行なわれた)全ての放射線画像撮影装置1に関する第1補正データαや第2補正データα*の情報を保存しておくように構成することも可能である。
このように構成する場合、各放射線画像撮影装置1のメンテナンス時等に改めてゲイン補正値G等の第2補正データα*が更新された場合には、クレードル55の演算手段55bの記憶手段に記憶された当該放射線画像撮影装置1の元の第2補正データα*上に、更新された第2補正データα*等が上書き保存される。なお、本実施形態のように、管理装置Sで各放射線画像撮影装置1に関する第1補正データαや第2補正データα*の情報を管理する場合には、管理装置Sにも更新された当該放射線画像撮影装置1の第2補正データα*等が送信されて上書き保存される。
また、図16に示すように、クレードル55には、キーボード等の入力手段55cが設けられており、入力手段55cは演算手段55bに接続されている。そして、入力手段55cを介して演算手段55bに、元の放射線画像撮影装置1aの識別情報であるカセッテID等を入力することができるようになっている。
そして、元の放射線画像撮影装置1aの代替用として代替用の放射線画像撮影装置1bが導入された際には、クレードル55では、以下のような処理が行われるようになっている。
すなわち、代替用の放射線画像撮影装置1bがクレードル55の挿入口に挿入されると、図16に示すように、代替用の放射線画像撮影装置1bのコネクタ39と、クレードル55aとが接続される。そして、その状態で、放射線技師等の撮影者により入力手段55cから、代替用の放射線画像撮影装置1bで代替された元の放射線画像撮影装置1a(すなわち修理等で持ち去られた放射線画像撮影装置1a)の識別情報であるカセッテIDが入力される。
すると、クレードル55の演算手段55bは、入力されたカセッテIDに基づいて、元の放射線画像撮影装置1aに関する放射線検出素子7ごとの第1補正データα(すなわち元の放射線画像撮影装置1aの工場出荷時の第1補正データ)と第2補正データα*(すなわち元の放射線画像撮影装置1aの導入時の第2補正データ或いはメンテナンス時等に更新された第2補正データ)とを、記憶手段から読み出す。
また、演算手段55bは、コネクタ55a、39を介して挿入された代替用の放射線画像撮影装置1bから、当該代替用の放射線画像撮影装置1bに関する放射線検出素子7ごとの第1補正データβを読み取る。
前述したように、第1補正データα、βは、工場出荷時に略平行光とされた所定の線量の放射線を放射線画像撮影装置の放射線入射面R(図1参照)に一様に照射して得られる画像データD(およびオフセットデータO)に基づいて、上記(1)式等に従って算出される最終的な画像データD*が全ての放射線検出素子7で同じ値になるように、放射線検出素子7ごとに設定された補正データである。
また、第2補正データα*は、第1補正データαを、さらに、導入された撮影室Raの放射線源52の放射線の放射特性に従って、読み出された画像データD(およびオフセットデータO)に基づく最終的な画像データD*が全ての放射線検出素子7で同じ値になるように、放射線検出素子7ごとに修正して設定した補正データである。
これに基づけば、代替用の放射線画像撮影装置1bにおける第2補正データβ*は、元の放射線画像撮影装置1aにおいて第1補正データαを第2補正データα*に変える際の割合と同じ割合で、第1補正データβから値を変更することで算出されるはずである。
すなわち、第2補正データβ*が、例えば上記(1)式中のゲイン補正値Gのように、画像データDに対して乗算したり除算したりして適用する、いわば乗算系の補正データである場合には、下記(2)式に示すように、代替用の放射線画像撮影装置1bにおける第1補正データβと第2補正データβ*との比が、元の放射線画像撮影装置1aにおける第1補正データαと第2補正データα*との比に等しくなるはずである。
β:β*=α:α* …(2)
従って、第2補正データβ*が乗算系の補正データである場合には、代替用の放射線画像撮影装置1bから読み取った第1補正データβと、記憶手段から読み出した元の放射線画像撮影装置1aに関する第1補正データαおよび第2補正データα*とに基づいて、
β*=β×α*/α …(3)
の演算を放射線検出素子7ごとに行うことで、代替用の放射線画像撮影装置1bにおける放射線検出素子7ごとの第2補正データβ*を演算によって算出することが可能となる。
また、例えば、上記の(1)式等の演算を行う際に、オフセットデータOだけでなく、放射線画像撮影装置1に放射線を照射した放射線源52の特性に基づいて、画像データD或いは画像データDからオフセットデータOを減算した値D−Oに、さらに所定のオフセット分O*を加算したり減算したりして上記(1)式等の演算を行うように構成される場合がある。
この場合、このオフセット分O*も第2補正データβ*の1種になる。そして、このオフセット分O*は、画像データDに対して加算したり減算したりして適用する、いわば加算系の補正データである。このように、第2補正データβ*には、上記のゲイン補正値G等の乗算系の補正データのみならず、このオフセット分O*のような加算系の補正データも含まれる。
そして、この加算系の第2補正データβ*の場合には、下記(4)式に示すように、代替用の放射線画像撮影装置1bにおける第1補正データβと第2補正データβ*との差が、元の放射線画像撮影装置1aにおける第1補正データαと第2補正データα*との差に等しくなるはずである。
β*−β=α*−α …(4)
従って、第2補正データβ*が加算系の補正データである場合には、代替用の放射線画像撮影装置1bから読み取った第1補正データβと、記憶手段から読み出した元の放射線画像撮影装置1aに関する第1補正データαおよび第2補正データα*とに基づいて、
β*=β+(α*−α) …(5)
の演算を放射線検出素子7ごとに行うことで、代替用の放射線画像撮影装置1bにおける放射線検出素子7ごとの第2補正データβ*を演算によって算出することが可能となる。
なお、代替用の放射線画像撮影装置1bに関して算出される第2補正データβ*が乗算系の補正データであるか、加算系の補正データであるかを、各第2補正データβ*について予め設定しておくことが必要である。
このようにして、クレードル55の演算手段55bは、代替用の放射線画像撮影装置1bから読み取った第1補正データβと、記憶手段から読み出した元の放射線画像撮影装置1aに関する第1補正データαおよび第2補正データα*とに基づいて、上記(3)式或いは上記(5)式の演算を行って、代替用の放射線画像撮影装置1bにおける放射線検出素子7ごとの第2補正データβ*を算出するようになっている。
そして、クレードル55の演算手段55bは、算出した第2補正データβ*を、当該代替用の放射線画像撮影装置1bに対して設定するようになっている。
以上のように構成すれば、代替用の放射線画像撮影装置1bに対する第2補正データβ*の算出、設定処理をクレードル55で行うようになるため、算出、設定処理をコンソールCで行う必要がなくなる。
そのため、例えばコンソールC1(図7参照)で指定された撮影室Ra2で代替用の放射線画像撮影装置1bに対する第2補正データβ*の算出、設定処理を行う際に、コンソールC1が撮影室Ra1の撮影で使用中であっても、クレードル55で算出、設定処理を行うことができるため、コンソールC1が空くまで処理を行うことができなくなるといった問題が生じなくなる。
また、放射線技師等は、代替用の放射線画像撮影装置1bに対して、撮影室Ra2に設置された放射線源52から放射線を照射させて画像データDを読み出す等の作業を行わなくても、代替用の放射線画像撮影装置1bをクレードル55に挿入して、元の放射線画像撮影装置1aのカセッテIDを入力するだけで、代替用の放射線画像撮影装置1bに対して第2補正データβ*が算出されて設定される。
そのため、放射線技師等が代替用の放射線画像撮影装置1bに対する第2補正データβ*の算出、設定処理を非常に容易に行うことが可能となり、放射線技師等にとって、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50が非常に使い勝手がよいものとなる。
なお、前述したように、クレードル55は各撮影室Raにそれぞれ設けられている。そのため、下記のパターン2やパターン3においても同様であるが、ある撮影室Ra内に設置されているクレードル55では、代替用の放射線画像撮影装置1bに対して、当該撮影室Ra内に設置されている放射線源52(撮影室Ra内に複数の放射線源52が設置されている場合には当該撮影室Ra内の全ての放射線源52)についてのみ、放射線源52に対応する第2補正データβ*を算出して設定するように構成することが可能である。
このように構成する場合、放射線技師等は、当該代替用の放射線画像撮影装置1bを、各撮影室Raに持ち込んで、各撮影室Ra内でクレードル55に挿入して、それぞれ元の放射線画像撮影装置1aのカセッテIDを入力するだけで、代替用の放射線画像撮影装置1bに対する各放射線源52に対応する第2補正データβ*の設定処理を行うことができる。
また、各撮影室Raの各クレードル55が、各放射線画像撮影装置1について、第1補正データαと、システム内の複数の放射線源52(すなわち図7の場合には各撮影室Ra1〜Ra3に設置された全ての放射線52)にそれぞれ対応する第2補正データβ*を全ての放射線源52について、それぞれ予め有しておくように構成することも可能である。
このように構成すれば、放射線技師等が、代替用の放射線画像撮影装置1bを、例えば撮影室Ra2のクレードル55に挿入して元の放射線画像撮影装置1aのカセッテIDを入力するだけで、撮影室Ra2だけでなく各撮影室Ra1〜Ra3内に設置された全ての放射線源52について、それらに対応する第2補正データβ*を一度に設定することが可能となる。
そのため、放射線技師等が代替用の放射線画像撮影装置1bに対する第2補正データβ*の算出、設定処理を非常に容易に行うことが可能となり、放射線技師等にとって、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50が非常に使い勝手がよいものとなる。
なお、この場合、全ての撮影室Ra1〜Ra3ではなく、当該代替用の放射線画像撮影装置1bを使用する撮影室Raの範囲(例えば撮影室Ra1、Ra2のみ)を設定して、設定した撮影室Ra内の各放射線源52に対応する第2補正データβ*のみを1つの撮影室Raのクレードル55で設定するように構成することも可能である。
また、本実施形態のように、管理装置Sで各放射線画像撮影装置1に関する第1補正データαや第2補正データα*を管理するように構成されている場合には、クレードル55の演算手段55bは、代替用の放射線画像撮影装置1bから読み取った第1補正データβと、算出した第2補正データβ*とを、代替用の放射線画像撮影装置1bのカセッテIDとともに管理装置Sに送信して、管理装置Sに、代替用の放射線画像撮影装置1bに関する第1補正データβと第2補正データβ*も管理させるように構成される。
[パターン2]
上記のパターン1では、代替用の放射線画像撮影装置1bに対する第2補正データβ*の算出、設定処理を、クレードル55で全て行う場合について説明した。しかし、本実施形態のように、管理装置Sが、各放射線画像撮影装置1の第1補正データαや第2補正データα*を管理している場合には、それらの情報をクレードル55が保存、管理する必要はなく、管理装置Sから必要な情報を入手するように構成することが可能である。
そこで、このパターン2では、クレードル55は、元の放射線画像撮影装置1aの代替用として代替用の放射線画像撮影装置1bが導入された際に、代替用の放射線画像撮影装置1bがクレードル55に挿入されて、元の放射線画像撮影装置1aのカセッテIDが入力されると、クレードル55の演算手段55bは、元の放射線画像撮影装置1aのカセッテIDを管理装置Sに送信し、管理装置Sから元の放射線画像撮影装置1aに関する第1補正データαと第2補正データα*の情報を入手する。
そして、代替用の放射線画像撮影装置1bから第1補正データβを読み取り、代替用の放射線画像撮影装置1bに関する第1補正データβと、元の放射線画像撮影装置1aに関する第1補正データαおよび第2補正データα*とを、上記(3)式や(5)式に代入して、代替用の放射線画像撮影装置1bにおける放射線検出素子7ごとの第2補正データβ*を算出する。そして、クレードル55の演算手段55bは、算出した第2補正データβ*を、当該代替用の放射線画像撮影装置1bに対して設定するようになっている。
このように構成すれば、代替用の放射線画像撮影装置1bに対する第2補正データβ*の算出、設定処理をクレードル55で行うようになるため、算出、設定処理をコンソールCで行う必要がなくなり、コンソールCが空くまで処理を行うことができなくなるといった問題が生じなくなる。
また、放射線技師等は、代替用の放射線画像撮影装置1bをクレードル55に挿入して、元の放射線画像撮影装置1aのカセッテIDを入力するだけで、代替用の放射線画像撮影装置1bに対して第2補正データβ*が算出されて設定されるため、放射線技師等が代替用の放射線画像撮影装置1bに対する第2補正データβ*の算出、設定処理を非常に容易に行うことが可能となり、放射線技師等にとって、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50が非常に使い勝手がよいものとなる。
さらに、クレードル55で、元の放射線画像撮影装置1aに関する第1補正データαや第2補正データα*を保存、管理する必要がなくなり、管理装置Sで一元的に管理するように構成することが可能となる。
そのため、前述したパターン1の場合のように、元の放射線画像撮影装置1aを修理等のために工場等に持ち出す前に、放射線技師等が、元の放射線画像撮影装置1aをクレードル55に挿入して、当該元の放射線画像撮影装置1aに関する第1補正データαや第2補正データα*をクレードル55の記憶手段に保存させる作業が不要になるといったメリットもある。
[パターン3]
上記のパターン1、2では、代替用の放射線画像撮影装置1bに対する第2補正データβ*の算出処理を、クレードル55が行う場合について説明した。しかし、この算出処理を、管理装置Sで行うように構成することも可能である。
従って、この場合は、クレードル55は、元の放射線画像撮影装置1aの代わりとなる代替用の放射線画像撮影装置1bが挿入されると、代替用の放射線画像撮影装置1bから第1補正データβを読み取り、読み取った第1補正データβを、入力手段を介して入力された元の放射線画像撮影装置1aの識別情報であるカセッテIDとともに管理装置に送信する。
そして、管理装置Sは、送信されてきた元の放射線画像撮影装置1aの識別情報に対応する元の放射線画像撮影装置1aに関する第1補正データαおよび第2補正データα*を記憶手段から読み出し、それらと、送信されてきた代替用の放射線画像撮影装置1bに関する第1補正データβとに基づいて、上記(3)式や(5)式の演算を行って、代替用の放射線画像撮影装置1bに関する第2補正データβ*を算出する。
そして、管理装置Sは、算出した代替用の放射線画像撮影装置1bに関する第2補正データβ*を、クレードル55が設置された撮影室Ra(例えば撮影室Ra2)に送信して、当該クレードル55を介して、クレードル55に挿入されている代替用の放射線画像撮影装置1bに対して、算出した第2補正データβ*を設定するように構成される。
このように構成すれば、代替用の放射線画像撮影装置1bに対する第2補正データβ*の算出、設定処理を、代替用の放射線画像撮影装置1bがクレードル55に挿入された状態で管理装置Sが行うようになるため、算出、設定処理をコンソールCで行う必要がなくなり、コンソールCが空くまで処理を行うことができなくなるといった問題が生じなくなる。
また、放射線技師等は、代替用の放射線画像撮影装置1bをクレードル55に挿入して、元の放射線画像撮影装置1aのカセッテIDを入力するだけで、代替用の放射線画像撮影装置1bに対して第2補正データβ*が算出されて設定されるため、放射線技師等が代替用の放射線画像撮影装置1bに対する第2補正データβ*の算出、設定処理を非常に容易に行うことが可能となり、放射線技師等にとって、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50が非常に使い勝手がよいものとなる。
さらに、クレードル55で、元の放射線画像撮影装置1aに関する第1補正データαや第2補正データα*を保存、管理する必要がなくなり、管理装置Sで一元的に管理して、管理装置Sで第2補正データβ*の算出処理をも行うことになる。
そのため、前述したパターン1、2の場合のように、クレードル55は、代替用の放射線画像撮影装置1bに関する第2補正データβ*の算出処理を行う必要がなくなるため、クレードル55に設けられる演算手段55bにおける処理が非常に軽くなる。また、クレードル55に演算手段55を設けなくてもよくなる。
また、クレードル55が代替用の放射線画像撮影装置1bの第1補正データβや、元の放射線画像撮影装置1aの第1補正データαおよび第2補正データα*の情報を保持する必要がなくなるため、クレードル55に記憶手段を設ける必要もなくなるといったメリットがある。
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50によれば、管理装置Sや撮影室Raに設けられたクレードル55で、代替用の放射線画像撮影装置1bの第1補正データβと、元の放射線画像撮影装置1aの第1補正データαおよび第2補正データα*とに基づいて、代替用の放射線画像撮影装置1bに関する、クレードル55が設置されている撮影室Raの放射線源52に対応する第2補正データβ*を算出して設定するように構成した。
そのため、元の放射線画像撮影装置1aの代わりに一時的に用いられる代替用の放射線画像撮影装置1bに対して、放射線技師等がわざわざ撮影室Raの放射線源52から放射線を照射する等して第2補正データβ*を設定する必要がなくなり、代替用の放射線画像撮影装置1bをクレードル55に挿入して、元の放射線画像撮影装置1aの識別情報であるカセッテIDを入力するだけでよくなる。
そして、クレードル55や管理装置Sが、元の放射線画像撮影装置1aにおける第1補正データαと第2補正データα*との関係を、代替用の放射線画像撮影装置1bにおける第1補正データβと第2補正データβ*との関係に適用して、代替用の放射線画像撮影装置1bに関する第2補正データβ*を算出して設定するため、代替用の放射線画像撮影装置1bに対する第2補正データβ*の設定を、非常に容易に行うことが可能となる。そのため、放射線画像撮影システム50が放射線技師等にとって非常に使い勝手がよいものとなる。
また、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50によれば、コンソールCではなく、クレードル55や管理装置Sが代替用の放射線画像撮影装置1bに対する第2補正データβ*の設定を行うため、例えば、ある放射線技師等により、コンソールC1で撮影室Ra1、Ra2が指定されてコンソールC1と撮影室Ra1、Ra2とが対応付けられたような場合でも、例えば他の放射線技師は、撮影室Ra2のクレードル55に代替用の放射線画像撮影装置1bを挿入して代替用の放射線画像撮影装置1bに対する第2補正データβ*の設定を行うことが可能となる。
このように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50では、コンソールCが使用中であっても代替用の放射線画像撮影装置1bに対する第2補正データβ*の設定作業を行うことが可能となり、放射線画像撮影システム50が放射線技師等にとって非常に使い勝手がよいものとなる。
なお、本発明が上記の実施形態や変形例に限定されず、適宜変更可能であることはいうまでもない。