JP5772733B2 - 電動パワーステアリング装置および操舵アシスト方法 - Google Patents

電動パワーステアリング装置および操舵アシスト方法 Download PDF

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本発明は、電動の操舵アシストに関する。
惰性走行機能を備えた自動車が知られている。惰性走行機能とは、惰性走行をしつつ、アイドリングストップをするための機能である。惰性走行とは、エンジンとタイヤとが動力的に切り離された状態で走行することを言う。惰性走行中にエンジンの出力が必要になった場合は、エンジンが再始動される。エンジンの再始動には大きな電力が消費されるので、エンジンの再始動中はバッテリ電圧が急激に降下することがある。
惰性走行機能を備えた自動車が、電動パワーステアリング装置(以下「パワステ」とも言う)も備える場合、上記のようにバッテリ電圧が急激に降下すると、パワステによるアシストトルクが急激に低下してしまうことが考えられる。例えば、操舵中にエンジンの再始動が行われ、パワステによるアシストトルクが急激に低下すると、操舵トルクの変動を引き起こす。
このようなアシストトルクの急激な低下に鑑み、エンジンの再始動時に電源電圧の低下が発生した場合、電源電圧に応じてアシスト継続許容時間を設定し、アシスト継続許容時間以内に、アシスト継続許容時間に基づいて求められたアシスト補正ゲインを用いてアシスト量を制限しながらアシスト制御を継続することによって、アシストトルクの変動を抑える手法が知られている(例えば、特許文献1)。
国際公開第2011/102028号
上記の先行技術が有する課題は、アシストトルクを小さくし過ぎてしまうことが考慮されていない点である。
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、以下の形態または適用例として実現できる。
適用例1:惰性走行機能を備えた自動車に搭載される電動パワーステアリング装置であって;惰性走行中の場合、エンジンが動作中の場合に決定されるアシストトルクを所定の手法によって低減された値が下限値以上のときは、その値をアシストトルクとして決定し;前記所定の手法によって低減された値が下限値未満のときは、その低減された値よりも大きな値をアシストトルクとして決定する決定部を備える。この適用例によれば、惰性走行時にエンジンが再始動した場合に発生し得る操舵トルクの変動を小さくしつつ、アシストトルクを小さくし過ぎてしまうことを防止できる。低減された値が下限値未満のときに、どの程度大きくするかは種々考えられる。例えば、一律に前記下限値にしても良いし、低減された値に応じて大きくしても良い。「前記所定の手法によって低減された値が下限値以上か下限値未満か」は、決定部が判断しても良いし、しなくても良い。決定部が判断しないために、例えば、エンジンが動作中の場合に決定されるアシストトルクの値に対して、所定の手法によって低減された値が下限値以上なのか下限値未満なのかを対応づけておくことが考えられる。
適用例2:適用例1に記載の電動パワーステアリング装置であって;前記所定の手法による低減は、操舵トルクが第1の範囲においては、操舵トルクが大きくなるほど低減度合いが大きくなり、操舵トルクが前記第1の範囲よりも大きい第2の範囲においては、低減度合いが操舵トルクによらない。この適用例によれば、より適切にアシストトルクを決定できる。一般的に、操舵トルクが大きくなるほど、大きなアシストトルクによってアシストするのが好ましい。一方で、アシストトルクを大きくすると、操舵トルクの変動が生じやすくなり、且つその変動値が大きくなりやすくなる。そこで、第1の範囲においては、操舵トルクが大きくなるほど、大きな低減度合いによってアシストトルクを低減し、操舵トルクの変動を小さくしている。ただし、際限なく低減度合いを大きくすると、アシストトルクが小さくなり過ぎてしまう場合がある。そこで、第2の範囲においては低減度合いを操舵トルクによらず一定とすることによって、アシストトルクを小さくし過ぎることを防止する。このようにして、より適切にアシストトルクを決定できる。
適用例3:適用例1又は適用例2に記載の電動パワーステアリング装置であって;前記決定部は、操舵速度が基準値以上であることを必要条件としてアシストトルクを決定する。この適用例によれば、より適切にアシストトルクを決定できる。電動パワーステアリング装置は、操舵速度が低ければ、バッテリ電圧が低くても、大きなアシストトルクが得られる傾向にあるからである。大きなアシストトルクが得られれば、アシストトルクの不足分が小さくなる傾向にある。よって、操舵速度が基準値未満の場合、アシストトルクを低減しなくても操舵トルクの変動は生じにくい。操舵トルクの変動が生じないのであれば、惰性走行の場合であっても、エンジンが動作している場合と同様にアシストするのが好ましい。この適用例によれば、これを実現しやすくなる。
適用例4:適用例1から適用例3の何れか一つに記載の電動パワーステアリング装置であって;前記決定部は、低減されないアシストトルクが基準値以上となることを必要条件としてアシストトルクを決定する。この適用例によれば、より適切にアシストトルクを決定できる。アシストトルクが小さければ、操舵トルクの変動は生じにくいので、更にアシストトルクを小さくしなくても良いからである。
適用例5:適用例1から適用例4の何れか一つに記載の電動パワーステアリング装置であって;前記決定部は、タイヤの舵角が基準値以上であることを必要条件としてアシストトルクを決定する。この適用例によれば、より適切にアシストトルクを決定できる。タイヤの舵角が小さければ、アシストトルクも小さくて良いからである。アシストトルクが小さければ、更にアシストトルクを小さくしなくても良い。
適用例6:適用例1から適用例5の何れか一つに記載の電動パワーステアリング装置であって;前記決定部は、操舵トルクが基準値以上であることを必要条件としてアシストトルクを決定する。この適用例によれば、より適切にアシストトルクを決定できる。操舵トルクが小さければ、アシストトルクも小さくて良いからである。アシストトルクが小さければ、更にアシストトルクを小さくしなくても良い。
適用例7:惰性走行機能を備えた自動車に搭載される電動パワーステアリング装置であって;惰性走行中の場合、エンジンが動作中の場合に決定されるアシストトルクよりも小さく、且つエンジンが動作中の場合に決定されるアシストトルクの変化率の範囲よりも小さな変化率の範囲でアシストトルクを決定する。この適用例によれば、適用例1と同等の効果を得ることができる。
適用例8:惰性走行機能を備えた自動車に搭載される電動パワーステアリング装置であって;惰性走行中の場合、エンジンが動作中の場合に決定されるアシストトルクが第1のトルクのときは、前記第1のトルクが所定の手法によって低減された値をアシストトルクとして決定し、エンジンが動作中の場合に決定されるアシストトルクが前記第1のトルクよりも小さい第2のトルクのときは、予め定められた下限値をアシストトルクとして決定する。この適用例によれば、適用例1と同等の効果を得ることができる。
本発明は、種々の形態で実現することも可能である。例えば、操舵のアシスト方法、この方法を実現するためのプログラム、そのプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現できる。
電動パワーステアリング装置及び関連装置の概略構成。 アシストマップ選択処理を示すフローチャート。 アシストトルクと操舵トルクとの関係の一例を示すグラフ。 モータ回転数とアシストトルクとの関係の一例を示すグラフ。
概略構成(図1):
図1は、四輪自動車用の電動パワーステアリング装置1(以下「パワステ1」と言う)と、パワステ1に関連する装置との概略構成を示す。パワステ1は、ステアリング機構10と、電動モータ20と、モータ駆動回路31と、アシストECU32とを備える。
ステアリング機構10は、ステアリングホイール11の操舵に応じて左前輪FWL,右前輪FWRの舵角を制御するための機構である。ステアリング機構10は、ステアリングホイール11の他、ステアリングシャフト12、ピニオンギヤ13、ラックバー14、左右のタイロッド15L,15R、ボールねじ機構16、電動モータ20、操舵トルクセンサ21、回転角センサ22を備える。
ステアリングシャフト12は、ステアリングホイール11に一体回転するように接続される。ステアリングシャフト12の下端には、ピニオンギヤ13が一体回転するように接続される。ピニオンギヤ13は、ラックバー14に形成されたラック歯と噛み合って、ラックバー14と共にラックアンドピニオン機構を構成する。ラックバー14の両端には、タイロッド15L,15Rを介して左前輪FWL及び右前輪FWRのナックル(図示略)が接続される。左前輪FWL及び右前輪FWRの舵角は、ラックバー14の軸線方向の変位に応じて定まる。ラックバー14の軸線方向の変位は、上記の機構によって、ステアリングホイール11の回転角に応じて定まる。
電動モータ20の回転軸は、ボールねじ機構16を介してラックバー14に動力伝達可能に接続される。ボールねじ機構16は、電動モータ20の回転を減速すると共に直線運動に変換してラックバー14に伝達する。このように伝達される動力が、操舵をアシストする。
ステアリングシャフト12には、操舵トルクセンサ21が設けられる。操舵トルクセンサ21は、操舵トルクに応じた信号をアシストECU32に出力する。操舵トルクとは、ステアリングホイール11の操舵によってステアリングシャフト12に作用するトルクのことである。電動モータ20内には、回転角センサ22が設けられる。回転角センサ22は、電動モータ20の回転子の回転角度位置に応じた検出信号を、アシストECU32に入力する。アシストECU32は、電動モータ20の回転角に基づき、ステアリングホイール11の舵角を特定できる。
パワステ1に関連する装置は、図1に示すように、電力供給ユニット100、エンジンECU200、スタート&ストップECU201(以下「S&SECU201」と言う)、エンジン300、スタータ310を含む。
アシストECU32は、S&SECU201と通信可能に接続される。アシストECU32は、S&SECU201が行うスタート&ストップ(以下「S&S」と言う)制御の状態を示す状態信号を取得する。アシストECU32は、操舵トルクと、電動モータ20の回転角度と、状態信号と、車速とに基づき、モータ駆動回路31に制御信号を入力する。モータ駆動回路31は、入力された制御信号に応じて、電動モータ20に電流を流す。
S&SECU201は、予め設定されたS&S条件に従って、エンジンECU200に対してエンジンの停止(ストップ)指令または再始動(スタート)指令を入力する。S&S条件は、図示しない車速センサやブレーキペダルセンサ、アクセルペダルセンサ、シフトポジションセンサ等から取得されるセンサ信号を入力値とするものである。S&S条件は、例えば、車速が所定値以上であり、ブレーキペダル及びアクセルペダルが共に踏まれておらず、オートマチックトランスミッションのシフトポジションがニュートラルである場合に、アイドリングストップを行うように定められている。エンジンECU200は、停止指令を取得するとエンジン300を停止させる。このようにしてアイドリングストップを伴う惰性走行が開始される。
S&SECU201は、エンジンの再始動が必要なことを検出した場合、エンジンECU200に再始動指令を入力する。エンジンの再始動が必要な場合とは、運転者による加速操作を検出した場合や、コンプレッサやオルタネータ等の駆動が必要になった場合などである。エンジンECU200は、再始動指令を取得すると、スタータ310に、エンジン300のクランキングを実行させ、エンジン300を再始動させる。電力供給ユニット100は、バッテリ等を備え、図4に示すように、モータ駆動回路31及びスタータ310等に電源を供給する。
アシストマップ選択処理(図2):
図2は、アシストマップ選択処理を示すフローチャートである。この処理の実行主体は、アシストECU32である。この処理は、アシストECU32の電源がオンの最中、常に実行される。
初めに、惰性走行中かを判定する(ステップS410)。この判定は、S&SECU201からの情報に基づく。惰性走行中でないと判定すると(ステップS410,NO)、通常アシストマップ(図3と共に後述)を用いて操舵アシストを行い(ステップS430)、ステップS410に戻る。
一方、惰性走行中と判定すると(ステップS410,YES)、操舵速度が基準値以上かを判定する(ステップS420)。操舵速度が基準値未満と判定すると(ステップS420,NO)、通常アシストマップを用いた操舵アシストを行い(ステップS430)、ステップS410に戻る。
操舵速度が基準値以上と判定すると(ステップS420,YES)、制限アシストマップ(図3と共に後述)を用いた操舵アシストを行い(ステップS440)、ステップS410に戻る。
通常アシストマップ、制限アシストマップ(図3):
図3は、通常アシストマップと制限アシストマップとについて、アシストトルクと操舵トルクとの関係の一例を示すグラフである。アシストトルクは、先述したように種々のパラメータに基づき決定される。よって、図3に示すように、操舵トルクを横軸にとってグラフを描くと、アシストトルクの値は、一意には定まらず、ある範囲(図3のシングルハッチングによって示される範囲)に収まるものとして示される。
図3に示すように、通常アシストマップによって定まるアシストトルク(以下「通常アシストトルク」と言う)は、操舵トルクがトルクTs1以下においてゼロである。操舵トルクがトルクTs1を超えると、通常アシストトルクは操舵トルクの増加に対して増加する。操舵トルクがトルクTs2を超えると、通常アシストトルクは操舵トルクの増加に対して一定になる。
制限アシストマップによって定まるアシストトルク(以下「制限アシストトルク」と言う)は、図3においてクロスハッチングによって示される。制限アシストトルクは、通常アシストトルクに対して、所定割合、低減(例えば40%減)した値として定められている。このように定められていることによって、操舵トルクがTs1〜Ts2においては、操舵トルクが増大する程、アシストトルクの低下量(差分)が大きくなり、アシスト率(=アシストトルク/操舵トルク)が低下する。操舵トルクがTs2以上においては、操舵トルクの増大に対して、アシストトルクの低下量は変動しなくなる。
図3に示すように、操舵トルクがトルクTs2の場合に、通常アシストトルクがトルクTa2になるとする。トルクTa2を所定割合、低減すると、制限アシストマップの範囲に収まるトルクTa2’になるとする。この場合、制限アシストトルクとしてトルクTa2’が採用されるように、制限アシストマップが定められている。
一方、上記のように所定割合、低減した値が、予め定められた下限値よりも小さくなる場合は、その下限値を制限アシストトルクとして採用する。例えば、図3に示すように、操舵トルクがトルクTs3の場合に、通常アシストトルクがトルクTa3になるとする。トルクTa3を所定割合、低減すると、下限値としてのトルクTa3”よりも小さいトルクTa3’になるとする。この場合、制限アシストトルクとしてトルクTa3”が採用されるように、制限アシストマップが定められている。
図3に示した制限アシストマップは、上記とは異なる見方によって説明することもできる。具体的には、制限アシストトルクが、通常アシストトルクよりも小さく、且つ通常アシストトルクの変化率の範囲よりも小さな変化率の範囲で決定されるように、制限アシストマップが定められているという見方もできる。変化率の範囲の大小は、例えば、ある操舵トルクにおける「アシストトルクの上限値÷アシストトルクの下限値」によって比較される。制限アシストトルクの下限値は、通常アシストトルクの下限値を所定割合、低減した値よりも大きい。よって、制限アシストトルクは、通常アシストトルクよりも、変化率の範囲が小さいことになる。
図3に示した制限アシストマップは、更に別の見方によって説明することもできる。具体的には、通常アシストトルクが下限値対応トルク以上の場合(例えば、操舵トルクがTs2、アシストトルクがTa2の場合)は、通常アシストトルクを所定割合、低減した値(Ta2’)を制限アシストトルクとし、通常アシストトルクが下限値対応トルク未満の場合(例えば、操舵トルクがTs3、アシストトルクがTa3の場合)は、下限値(Ta3”)を制限アシストトルクとするように、制限アシストマップが定められているという見方である。下限値対応トルクとは、制限アシストトルクの下限値に対応するトルクである。つまり、下限値対応トルクを所定割合、低減すると、制限アシストトルクの下限値となる。
効果:
図4は、モータ回転数とアシストトルクとの関係の一例を示すグラフである。モータ回転数は、電動モータ20の1分当たりの回転数(rpm)である。図4は、電力供給ユニット100のバッテリ電圧が8Vの場合と、12Vの場合とについての最大アシストトルクを示す。最大アシストトルクとは、アシスト可能なトルクの最大値のことである。
図4に示すように、バッテリ電圧が8Vの場合、12Vの場合に比べて、最大アシストトルクは低下する。例えば、図4に示す点Aのモータ回転数およびアシストトルク(以下、これら2つを「モータ出力」と言う)が要求された場合、バッテリ電圧が12Vであれば、その要求に応えることができる。これに対して8Vの場合は、その要求に応えることができず、アシストトルクに不足が生じる。この不足が急激に生じると、操舵トルクの変動を引き起こす。アシストトルクの不足が急激に生じるのは、スタータ310によるクランキング等によってバッテリ電圧が急激に低下することが原因となり得る。
一方、通常アシストマップによって要求されるモータ出力が点Aとなる状況の場合に、制限アシストマップによって要求されるモータ出力は、図4に示した点Bとなる。図4に示すように点Bの制限アシストトルクは、点Aの通常アシストトルクよりも小さくなる。さらに、アシストトルクが小さくなることによって、操舵速度が小さくなり、ひいてはモータ回転数も小さくなる。このように、点Bのモータ出力によってアシストを実現することによって、バッテリ電圧が8Vであってもアシストトルクに不足が生じなくなり、操舵トルクの変動はほとんどなくなる。
図4に点A、点Bとして例示したのは、アシスト不足の状態がアシスト満足の状態になる場合であり、本実施形態の効果が特に顕著に表れる場合である。このような場合とは異なり、制限アシストトルクによってもアシストが不足する事態もあり得る。
制限アシストトルクによってもアシストが不足したとしても、アシストトルクの不足分は、通常アシストトルクに比べれば小さくなる。この結果、操舵トルクの変動を小さくすることができる。
図4に示すように、モータ回転数が回転数R未満の場合、バッテリ電圧が8Vであっても、アシストトルクに不足が生じることはほとんどない。よって、モータ回転数が回転数R未満の場合は、惰性走行中であっても、通常アシストマップを用いれば良い。このことは、アシストマップ選択処理のステップS420によって実現される。回転数Rは、操舵速度が、ステップS420における基準値の場合に発生する値である。
図3に示すように、操舵トルクがトルクTs1〜Ts2の範囲においては、操舵トルクが大きくなる程、通常アシストトルクも大きくなるので、アシスト不足が生じやすい。一方、制限アシストトルクは、操舵トルクが大きくなる程、アシストトルクの低下量を大きくすることによって、アシスト不足を回避している。
一方、操舵トルクがトルクTs2以上の範囲においては、アシストトルクの低下量を、操舵トルクによらずに決定する。これによって、アシストトルクが小さくなり過ぎることを防止している。
図2,3を用いて説明したように、制限アシストトルクは、下限値を下回らないように決定される。この結果、緊急操舵などにおいてアシストが小さくなり過ぎてしまうことを回避できる。
本実施形態は、スタータ310によるクランキング時にバッテリ電圧を一定に保つための装置(例えば定電圧装置(BBC))を用いなくても操舵トルクの変動を小さくできる点においても優れている。定電圧装置等を用いる手法は、コストや搭載スペースにおいて不利だからである。
他の実施形態:
制限アシストマップを用いる条件は、種々考えられる。例えば、アシストマップ選択処理のステップS420を省いて、惰性走行中の場合は制限アシストマップを用いるようにしても良い。或いは、通常アシストトルク、前輪の舵角、操舵トルクの少なくとも一つを、制限アシストマップを用いるか否かの判断基準にしても良い。つまり、実施形態で用いた操舵速度を含めて、これまでに例示された4つのパラメータの中から任意のものを選んで、選んだパラメータのうちの少なくとも1つが基準値以上の場合に、制限アシストマップを用いるようにしても良い。
通常アシストトルクと制限アシストトルクとの関係は、種々考えられる。例えば、通常アシストトルクの領域と制限アシストトルクの領域とが重複しても良いし、一定の割合で低減するのではなく、低減する割合を操舵に関するパラメータに基づき変更しても良い。そのパラメータとは、例えば、操舵トルク、舵角などが考えられる。
通常アシストトルクを低減する手法は、マップの選択以外にも種々考えられる。例えば、通常アシストトルクを算出して、その算出した値を低減するようにしても良いし、ダンピング制御の出力のゲインを増加させても良い。
実施形態とは異なり、場合分けを行って制限アシストマップを作成するのではなく、場合分けを伴わず、且つ下限値を下回らない手法によって制限アシストマップを作成しても良い。例えば、通常アシストトルクが小さければ小さい程、低減度合いが小さくなるような関数を用いることで実現できる。このような関数としては、指数関数や高次の関数が考えられる。このような手法は、マップを用いる場合に限らず、上記のように通常アシストトルクを算出する手法に適用しても良い。
図4に例示した回転数Rは、バッテリ電圧が8Vの場合に、アシスト不足が生じないようにした値である。つまり、この基準値は、バッテリ電圧がどの程度、低下することを想定するかに依存して決定されるので、その想定に応じて変更しても良い。実施形態のようにバッテリ電圧が8Vまで低下することを想定した場合においても、回転数Rよりも高回転数または低回転数を基準値として採用しても良い。高回転数を採用すれば、高アシストトルクにおいて操舵トルクの変動が生じやすくなるものの、低アシストトルクにおいては通常アシストトルクによるアシストを実現しやすくなる。一方、低回転数を採用すれば、より高アシストトルクにおいても操舵トルクの変動を小さくしやすくなる。
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現できる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、或いは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
1…電動パワーステアリング装置
10…ステアリング機構
11…ステアリングホイール
12…ステアリングシャフト
13…ピニオンギヤ
14…ラックバー
15L…タイロッド
15R…タイロッド
16…ボールねじ機構
20…電動モータ
21…操舵トルクセンサ
22…回転角センサ
31…モータ駆動回路
32…アシストECU
100…電力供給ユニット
200…エンジンECU
201…スタート&ストップECU
300…エンジン
310…スタータ
FWL…左前輪
FWR…右前輪

Claims (9)

  1. 惰性走行機能を備えた自動車に搭載される電動パワーステアリング装置であって、
    エンジンが動作中の場合に、第1の下限値を下回らないことを条件にアシストトルクを決定する第1の決定部と、
    アイドリングストップを伴う惰性走行中の場合におけるアシストトルクを、前記第1の下限値よりも小さい第2の下限値を下回らないことを条件に、エンジンが動作中の場合に決定されるアシストトルクよりも低減した値に決定する第2の決定部
    を備え
    前記第2の決定部による低減は、操舵トルクが第1の範囲においては、操舵トルクが大きくなるほど低減度合いが大きくなり、操舵トルクが前記第1の範囲よりも大きい第2の範囲においては、低減度合いが操舵トルクによらない
    電動パワーステアリング装置。
  2. 惰性走行機能を備えた自動車に搭載される電動パワーステアリング装置であって、
    エンジンが動作中の場合に、第1の下限値を下回らないことを条件にアシストトルクを決定する第1の決定部と、
    アイドリングストップを伴う惰性走行中の場合におけるアシストトルクを、前記第1の下限値よりも小さい第2の下限値を下回らないことを条件に、エンジンが動作中の場合に決定されるアシストトルクよりも低減した値に決定する第2の決定部と
    を備え、
    前記第2の決定部は、操舵速度が基準値以上であることを必要条件としてアシストトルクを決定する
    電動パワーステアリング装置。
  3. 惰性走行機能を備えた自動車に搭載される電動パワーステアリング装置であって、
    エンジンが動作中の場合に、第1の下限値を下回らないことを条件にアシストトルクを決定する第1の決定部と、
    アイドリングストップを伴う惰性走行中の場合におけるアシストトルクを、前記第1の下限値よりも小さい第2の下限値を下回らないことを条件に、エンジンが動作中の場合に決定されるアシストトルクよりも低減した値に決定する第2の決定部と
    を備え、
    前記第2の決定部は、低減されないアシストトルクが基準値以上となることを必要条件としてアシストトルクを決定する
    電動パワーステアリング装置。
  4. 惰性走行機能を備えた自動車に搭載される電動パワーステアリング装置であって、
    エンジンが動作中の場合に、第1の下限値を下回らないことを条件にアシストトルクを決定する第1の決定部と、
    アイドリングストップを伴う惰性走行中の場合におけるアシストトルクを、前記第1の下限値よりも小さい第2の下限値を下回らないことを条件に、エンジンが動作中の場合に決定されるアシストトルクよりも低減した値に決定する第2の決定部と
    を備え、
    前記第2の決定部は、タイヤの舵角が基準値以上であることを必要条件としてアシストトルクを決定する
    電動パワーステアリング装置。
  5. 惰性走行機能を備えた自動車に搭載される電動パワーステアリング装置であって、
    エンジンが動作中の場合に、第1の下限値を下回らないことを条件にアシストトルクを決定する第1の決定部と、
    アイドリングストップを伴う惰性走行中の場合におけるアシストトルクを、前記第1の下限値よりも小さい第2の下限値を下回らないことを条件に、エンジンが動作中の場合に決定されるアシストトルクよりも低減した値に決定する第2の決定部と
    を備え、
    前記第2の決定部は、操舵トルクが基準値以上であることを必要条件としてアシストトルクを決定する
    電動パワーステアリング装置。
  6. 惰性走行機能を備えた自動車に搭載される電動パワーステアリング装置であって、
    アイドリングストップを伴う惰性走行中の場合、エンジンが動作中の場合に決定される第1のアシストトルクよりも小さく、且つ前記第1のアシストトルクの変化率の範囲よりも小さな変化率の範囲で第2のアシストトルクを決定し、
    前記変化率とは、操舵トルクに対応して定められているアシストトルクの上限値と下限値との比であり、
    操舵トルクが第1の範囲においては、操舵トルクが大きくなるほど前記第1のアシストトルクに対する低減度合いが大きくなるように、操舵トルクが前記第1の範囲よりも大きい第2の範囲においては前記低減度合いが操舵トルクによらないように、前記第2のアシストトルクを決定する
    電動パワーステアリング装置。
  7. 惰性走行機能を備えた自動車に搭載される電動パワーステアリング装置であって、
    アイドリングストップを伴う惰性走行中の場合、エンジンが動作中の場合に決定される第1のアシストトルクよりも小さく、且つ前記第1のアシストトルクの変化率の範囲よりも小さな変化率の範囲で第2のアシストトルクを決定し、
    前記変化率とは、操舵トルクに対応して定められているアシストトルクの上限値と下限値との比であり、
    操舵速度が基準値以上であることを必要条件として前記第2のアシストトルクを決定する
    電動パワーステアリング装置。
  8. 惰性走行機能を備えた自動車に搭載される電動パワーステアリングによって、運転者による操舵をアシストする方法であって、
    エンジンが動作中の場合に、第1の下限値を下回らないことを条件に第1のアシストトルクを決定し、
    アイドリングストップを伴う惰性走行中の場合における第2のアシストトルクを、前記第1の下限値よりも小さい第2の下限値を下回らないことを条件に、前記第1のアシストトルクよりも低減した値に決定し、
    操舵トルクが第1の範囲においては、操舵トルクが大きくなるほど前記第1のアシストトルクに対する低減度合いが大きくなるように、操舵トルクが前記第1の範囲よりも大きい第2の範囲においては前記低減度合いが操舵トルクによらないように、前記第2のアシストトルクを決定する
    操舵アシスト方法。
  9. 惰性走行機能を備えた自動車に搭載される電動パワーステアリングによって、運転者による操舵をアシストする方法であって、
    エンジンが動作中の場合に、第1の下限値を下回らないことを条件に第1のアシストトルクを決定し、
    アイドリングストップを伴う惰性走行中の場合における第2のアシストトルクを前記第1の下限値よりも小さい第2の下限値を下回らないことを条件に、エンジンが動作中の場合に決定されるアシストトルクよりも低減した値に決定し、
    操舵速度が基準値以上であることを必要条件として前記第2のアシストトルクを決定する
    操舵アシスト方法。
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