以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
図1は、実施の形態における車両としてプラグインハイブリッド車両10を示す概略構成図である。
プラグインハイブリッド車両10には、エンジン100と、第1モータジェネレータ110と、第2モータジェネレータ120と、動力分割機構130と、減速機140と、蓄電装置150とが搭載される。
エンジン100、第1モータジェネレータ110、第2モータジェネレータ120、蓄電装置150は、ECU(Electronic Control Unit)170により制御される。ECU170は複数のECUに分割するようにしてもよい。
このプラグインハイブリッド車両10は、エンジン100および第2モータジェネレータ120のうちの少なくともいずれか一方からの駆動力により走行する。すなわち、エンジン100および第2モータジェネレータ120のうちのいずれか一方もしくは両方が、運転状態に応じて駆動源として自動的に選択される。
たとえばアクセル開度が小さい場合および車速が低い場合などには、第2モータジェネレータ120のみを駆動源としてプラグインハイブリッド車両10が走行する。この場合、エンジン100が停止される。
また、アクセル開度が大きい場合、車速が高い場合、蓄電装置150の残存容量(SOC:State Of Charge)が小さい場合などには、エンジン100が駆動される。この場合、エンジン100のみ、もしくはエンジン100および第2モータジェネレータ120の両方を駆動源として、このプラグインハイブリッド車両10が走行する。
さらに、このプラグインハイブリッド車両10は、CS(Charge Sustaining)モードとCD(Charge Depleting)モードとをたとえば自動で切替えて走行する。なお、CSモードとCDモードとを手動で切替えるようにしてもよい。
CSモードでは、蓄電装置150に蓄えられた電力を所定の目標値に維持しながら、プラグインハイブリッド車両10が走行する。
CDモードでは、走行用として蓄電装置150に蓄えられた電力を維持せず、電力を用いて、主に第2モータジェネレータ120の駆動力のみでプラグインハイブリッド車両10が走行する。ただし、CDモードでは、アクセル開度が高い場合および車速が高い場合などには、駆動力を補うためにエンジン100が駆動され得る。
CSモードは、HVモードと記載される場合もある。同様に、CDモードは、EVモードと記載される場合もある。
エンジン100は、内燃機関である。燃料と空気の混合気が燃焼室内で燃焼することよって、出力軸であるクランクシャフトが回転する。エンジン100から排出される排気ガスは、触媒102によって浄化された後、車外に排出される。触媒102は、特定の温度まで暖機されることによって浄化作用を発揮する。触媒102の暖機は、排気ガスの熱を利用して行なわれる。触媒102は、たとえば三元触媒である。
触媒102の近傍には、触媒102を暖めるためのヒータ104が設けられる。ヒータ104は、たとえば、補機バッテリ(図示せず)から供給された電力により発熱する。後述するように、エンジン100の出力軸(クランクシャフト)が回転するように第1モータジェネレータが制御される際、触媒102を暖めるようにヒータ104が制御される。なお、ヒータ104を設けないようにしてもよい。
触媒102の下流側には、O2センサ105が設けられている。このO2センサ105は、上流に位置する触媒102の状態が、特定の温度まで暖機されることによって浄化作用を発揮する活性状態となることを前提条件として、エンジン100から排気された排気ガス中の酸素量をO2検出値として検出する。検出されたO2検出値は、ECU170に入力されて、空燃比がフィードバック制御される。
プラグインハイブリッド車両10には、エンジン100により駆動されるようにエンジン100の出力軸に連結されたオイルポンプ106がさらに設けられる。オイルポンプ106は、ドライブトレーンのデファレンシャルギヤおよびアクスルなどを潤滑するためにオイルを吐出する。
このオイルポンプ106は、プラグインハイブリッド車両10の停車中であっても、第1モータジェネレータ110が駆動されると、後述する動力分割機構130を介して、エンジン100の出力軸の回転に伴って回転駆動される。エンジン100の出力軸回転数が上昇して、モータリング状態となる際、ガソリンなどの燃料を消費せずに、オイルポンプ106からオイルを吐出させることができ、その結果、燃費を悪化させずに潤滑が行なえる。
また、エンジン100には、冷却水温を検出する水温センサ101が設けられている。検出した冷却水温は、この水温センサ101から出力されて水温信号WSとして、ECU170に入力する。
エンジン100には、燃料を供給する燃料パイプ107を介して、燃料タンク108が接続されている。この燃料タンク108内の燃料は、ECU170からの駆動信号fsに応じて吐出量を変更可能なフューエルポンプPを接続している。そして、フューエルポンプPによって吐出された燃料は、燃料パイプ107内を通過してエンジン100に供給される。
燃料パイプ107内を通過する燃料の流量は、燃料流量センサ109によって検出されて、流量検出信号fgとなる。この流量検出信号fgは、燃料流量センサ109から、エンジン100に送出された燃料量として、ECU170に入力される。
また、エンジン170のエアインテーク側には、A/Fセンサ(エアフローセンサ)111が設けられている。このA/Fセンサ111は、空気流入通路内を通過する空気量が所定量以上存在することが前提条件となり、空気の流量を検出して空気流量検出信号efとする。このA/Fセンサ111で検出された空気流量検出信号efは、ECU170に入力される。
また、燃料タンク108内には、燃料残量計108aが設けられている。この燃料残量計108aは、燃料タンク108内の燃料残量を検出して、残存する燃料量を残存燃料検出信号feとして出力する。この残存燃料検出信号feはECU170に入力される。
エンジン100、第1モータジェネレータ110および第2モータジェネレータ120は、動力分割機構130を介して接続されている。エンジン100が発生する動力は、動力分割機構130により、2経路に分割される。一方は減速機140を介して前輪160を駆動する経路である。もう一方は、第1モータジェネレータ110を回転駆動させて発電する経路である。
この動力分割機構130のうち、エンジン100の回転駆動力によって、第1モータジェネレータ110を回転駆動させて発電する経路は、プラグインハイブリッド車両10が停車中であっても、車軸と遮断されていて回転駆動により発電が行なえるように構成されている。
第1モータジェネレータ110は、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルを備える、三相交流回転電機である。第1モータジェネレータ110は、動力分割機構130により分割されたエンジン100の動力により発電する。第1モータジェネレータ110により発電された電力は、プラグインハイブリッド車両10の走行状態や、蓄電装置150の残存容量の状態に応じて使い分けられる。
たとえば、通常走行時では、第1モータジェネレータ110により発電された電力はそのまま第2モータジェネレータ120を駆動させる電力となる。一方、蓄電装置150の残存容量が予め定められた値よりも低い場合、第1モータジェネレータ110により発電された電力は、後述するインバータにより交流から直流に変換される。その後、後述するコンバータにより電圧が調整されて蓄電装置150に蓄えられる。
第1モータジェネレータ110が発電機として作用している場合、第1モータジェネレータ110は負のトルクを発生している。ここで、負のトルクとは、エンジン100の負荷となるようなトルクをいう。第1モータジェネレータ110が電力の供給を受けてモータとして作用している場合、第1モータジェネレータ110は正のトルクを発生する。ここで、正のトルクとは、エンジン100の負荷とならないようなトルク、すなわち、エンジン100の回転をアシストするようなトルクをいう。なお、第2モータジェネレータ120についても同様である。
第2モータジェネレータ120は、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルを備える、三相交流回転電機である。第2モータジェネレータ120は、蓄電装置150に蓄えられた電力および第1モータジェネレータ110により発電された電力のうちの少なくともいずれかの電力により駆動する。
第2モータジェネレータ120の駆動力は、減速機140を介して前輪160に伝えられる。これにより、第2モータジェネレータ120はエンジン100をアシストしたり、第2モータジェネレータ120からの駆動力によりプラグインハイブリッド車両10を走行させる。すなわち、プラグインハイブリッド車両10は、蓄電装置150に蓄えられた電力を用いて走行可能である。なお、前輪160の代わりにもしくは加えて後輪を駆動するようにしてもよい。
プラグインハイブリッド車両10の回生制動時には、減速機140を介して前輪160により第2モータジェネレータ120が駆動され、第2モータジェネレータ120が発電機として作動する。これにより第2モータジェネレータ120は、制動エネルギを電力に変換する回生ブレーキとして作動する。第2モータジェネレータ120により発電された電力は、蓄電装置150に蓄えられる。
この蓄電装置150に蓄えられた充電量は、蓄電装置150の残存容量(SOC:State Of Charge)として、電流センサ150aで検出された検出値から積算されて、ECU170に入力される。
動力分割機構130は、サンギヤと、ピニオンギヤと、キャリアと、リングギヤとを含む遊星歯車から構成される。ピニオンギヤは、サンギヤおよびリングギヤと係合する。キャリアは、ピニオンギヤが自転可能であるように支持する。サンギヤは第1モータジェネレータ110の回転軸に連結される。キャリアはエンジン100のクランクシャフトに連結される。リングギヤは第2モータジェネレータ120の回転軸および減速機140に連結される。
蓄電装置150は、複数のバッテリセルを一体化したバッテリモジュールを、さらに複数直列に接続して構成された組電池である。蓄電装置150の電圧は、たとえば200V程度である。蓄電装置150には、第1モータジェネレータ110および第2モータジェネレータ120の他、プラグインハイブリッド車両10の外部電源402から供給される電力が充電される。なお、蓄電装置150の代わりにもしくは加えてキャパシタを用いるようにしてもよい。
図2は、プラグインハイブリッド車両の電気システムの構成を示す回路図である。図2を参照して、プラグインハイブリッド車両10の電気システムについてさらに説明する。
プラグインハイブリッド車両10には、コンバータ200と、第1インバータ210と、第2インバータ220と、SMR(System Main Relay)230と、充電器240と、インレット250とが設けられる。
コンバータ200は、リアクトルと、二つのnpn型トランジスタと、二つダイオードとを含む。リアクトルは、各蓄電装置150の正極側に一端が接続され、2つのnpn型トランジスタの接続点に他端が接続される。
2つのnpn型トランジスタは、直列に接続される。npn型トランジスタは、ECU170により制御される。各npn型トランジスタのコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すようにダイオードがそれぞれ接続される。
なお、npn型トランジスタとして、たとえば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることができる。npn型トランジスタに代えて、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)等の電力スイッチング素子を用いることができる。
蓄電装置150から放電された電力を第1モータジェネレータ110もしくは第2モータジェネレータ120に供給する際、電圧がコンバータ200により昇圧される。逆に、第1モータジェネレータ110もしくは第2モータジェネレータ120により発電された電力を蓄電装置150に充電する際、電圧がコンバータ200により降圧される。
コンバータ200と、各インバータとの間のシステム電圧VHは、電圧センサ180により検出される。電圧センサ180の検出結果は、ECU170に送信される。
第1インバータ210は、U相アーム、V相アームおよびW相アームを含む。U相アーム、V相アームおよびW相アームは並列に接続される。U相アーム、V相アームおよびW相アームは、それぞれ、直列に接続された2つのnpn型トランジスタを有する。各npn型トランジスタのコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードがそれぞれ接続される。そして、各アームにおける各npn型トランジスタの接続点は、第1モータジェネレータ110の各コイルの中性点112とは異なる端部にそれぞれ接続される。
第1インバータ210は、蓄電装置150から供給される直流電流を交流電流に変換し、第1モータジェネレータ110に供給する。また、第1インバータ210は、第1モータジェネレータ110により発電された交流電流を直流電流に変換する。
第2インバータ220は、U相アーム、V相アームおよびW相アームを含む。U相アーム、V相アームおよびW相アームは並列に接続される。U相アーム、V相アームおよびW相アームは、それぞれ、直列に接続された2つのnpn型トランジスタを有する。各npn型トランジスタのコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードがそれぞれ接続される。そして、各アームにおける各npn型トランジスタの接続点は、第2モータジェネレータ120の各コイルの中性点122とは異なる端部にそれぞれ接続される。
第2インバータ220は、蓄電装置150から供給される直流電流を交流電流に変換し、第2モータジェネレータ120に供給する。また、第2インバータ220は、第2モータジェネレータ120により発電された交流電流を直流電流に変換する。
コンバータ200、第1インバータ210および第2インバータ220は、ECU170により制御される。
蓄電装置150と充電器240との間には、SMR(システムメインリレー)230が、設けられている。SMR230は、蓄電装置150と電気システムとを接続した状態および遮断した状態を切換えるリレーである。SMR230が開いた状態であると、蓄電装置150が電気システムから遮断される。SMR230が閉じた状態であると、蓄電装置150が電気システムに接続される。
すなわち、SMR230が開いた状態であると、蓄電装置150が、コンバータ200および充電器240などから電気的に遮断される。SMR230が閉じた状態であると、蓄電装置150が、コンバータ200および充電器240などと電気的に接続される。
SMR230の状態は、ECU170により制御される。たとえば、ECU170が起動すると、SMR230が閉じられる。ECU170が停止する際、SMR230が開かれる。
充電器240は、蓄電装置150とコンバータ200との間を結ぶ配線に一方側が接続され他方側は、プラグイン充電用のインレット250に接続される。
図3は、プラグインハイブリッド車両10の電気システムで、充電器と外部電源とを充電ケーブルで接続した様子を示す回路図である。図3中に示す充電器240は、AC/DC変換回路242と、DC/AC変換回路244と、絶縁トランス246と、整流回路248とを含む。
AC/DC変換回路242は、単相ブリッジ回路を含んで構成される。AC/DC変換回路242は、ECU170からの駆動信号に基づいて、交流電力を直流電力に変換する。また、AC/DC変換回路242は、コイルをリアクトルとして用いることにより電圧を昇圧する昇圧チョッパ回路としても機能する。
DC/AC変換回路244は、単相ブリッジ回路を含んで構成される。DC/AC変換回路244は、ECU170からの駆動信号に基づいて、直流電力を高周波の交流電力に変換して絶縁トランス246へ出力する。
絶縁トランス246は、磁性材を含んで構成されるコアと、コアに巻回された一次コイルおよび二次コイルを含む。一次コイルおよび二次コイルは、電気的に絶縁されており、それぞれDC/AC変換回路244および整流回路248に接続される。絶縁トランス246は、DC/AC変換回路244から受ける高周波の交流電力を一次コイルおよび二次コイルの巻数比に応じた電圧レベルに変換して整流回路248へ出力する。整流回路248は、絶縁トランス246から出力される交流電力を直流電力に整流する。
AC/DC変換回路242とDC/AC変換回路244との間の電圧(平滑コンデンサの端子間電圧)は、電圧センサ182により検出され、検出結果を表わす信号がECU170に入力される。また、充電器240の出力電流は、電流センサ184により検出され、検出結果を表わす信号がECU170に入力される。さらに、充電器240の温度は、温度センサ186により検出され、検出結果を表わす信号がECU170に入力される。
ECU170は、プラグインハイブリッド車両10の外部電源402から蓄電装置150への充電が行なわれるとき、充電器240を駆動するための駆動信号を生成して充電器240へ出力する。
ECU170は、充電器240の制御機能の他、充電器240のフェール検出機能を有する。電圧センサ182により検出される電圧、電流センサ184により検出される電流、温度センサ186により検出される温度などがしきい値以上であると、充電器240のフェールが検出される。
インレット250は、たとえばプラグインハイブリッド車両10の側部に設けられる。インレット250には、プラグインハイブリッド車両10と外部電源402とを連結する充電ケーブル300のコネクタ310が接続される。
プラグインハイブリッド車両10と外部電源402とを連結する充電ケーブル300は、コネクタ310と、プラグ320と、CCID(Charging Circuit Interrupt Device)330とを含む。
充電ケーブル300のコネクタ310は、プラグインハイブリッド車両10に設けられたインレット250に接続される。コネクタ310には、スイッチ312が設けられる。充電ケーブル300のコネクタ310が、プラグインハイブリッド車両10に設けられたインレット250に接続された状態でスイッチ312が閉じると、充電ケーブル300のコネクタ310が、プラグインハイブリッド車両10に設けられたインレット250に接続された状態であることを表わすコネクタ信号CNCTがECU170に入力される。
スイッチ312は、充電ケーブル300のコネクタ310をプラグインハイブリッド車両10のインレット250に係止する係止金具に連動して開閉する。係止金具は、コネクタ310に設けられたボタンを操作者が押すことにより揺動する。
図4は、この実施の形態の充電ケーブル300のコネクタ310の構成を説明する側面図である。たとえば、充電ケーブル300のコネクタ310がプラグインハイブリッド車両10に設けられたインレット250に接続した状態で、操作者が、図4に示すコネクタ310のボタン314から指を離した場合、係止金具316がプラグインハイブリッド車両10に設けられたインレット250に係合するとともに、スイッチ312が閉じる。操作者がボタン314を押すと、係止金具316とインレット250との係合が解除されるとともに、スイッチ312が開く。なお、スイッチ312を開閉する方法はこれに限らない。
図3に戻って、充電ケーブル300のプラグ320は、家屋に設けられたコンセント400に接続される。コンセント400には、外部電源402から交流電力が供給される。
CCID330は、リレー332およびコントロールパイロット回路334を有する。リレー332が開いた状態では、プラグインハイブリッド車両10の外部電源402からプラグインハイブリッド車両10へ電力を供給する経路が遮断される。リレー332が閉じた状態では、プラグインハイブリッド車両10の外部電源402からプラグインハイブリッド車両10へ電力を供給可能になる。リレー332の状態は、充電ケーブル300のコネクタ310がプラグインハイブリッド車両10のインレット250に接続された状態でECU170により制御される。
コントロールパイロット回路334は、充電ケーブル300のプラグ320がコンセント400、すなわち外部電源402に接続され、かつコネクタ310がプラグインハイブリッド車両10に設けられたインレット250に接続された状態において、コントロールパイロット線にパイロット信号(方形波信号)CPLTを送る。パイロット信号は、コントロールパイロット回路334内に設けられた発振器から発振される。
コントロールパイロット回路334は、充電ケーブル300のプラグ320がコンセント400に接続されると、コネクタ310がプラグインハイブリッド車両10に設けられたインレット250から外されていても、一定のパイロット信号CPLTを出力し得る。
ただし、コネクタ310がプラグインハイブリッド車両10に設けられたインレット250から外された状態で出力されたパイロット信号CPLTを、ECU170は検出できない。
充電ケーブル300のプラグ320がコンセント400に接続され、かつコネクタ310がプラグインハイブリッド車両10のインレット250に接続されると、コントロールパイロット回路334は、予め定められたパルス幅(デューティサイクル)のパイロット信号CPLTを発振する。
パイロット信号CPLTのパルス幅により、供給可能な電流容量がプラグインハイブリッド車両10に通知される。たとえば、充電ケーブル300の電流容量がプラグインハイブリッド車両10に通知される。パイロット信号CPLTのパルス幅は、外部電源402の電圧および電流に依存せずに一定である。
一方、用いられる充電ケーブルの種類が異なれば、パイロット信号CPLTのパルス幅は異なり得る。すなわち、パイロット信号CPLTのパルス幅は、充電ケーブルの種類毎に定められ得る。
本実施の形態においては、充電ケーブル300によりプラグインハイブリッド車両10と外部電源402とが連結された状態において、外部電源402から供給された電力が蓄電装置150に充電される。蓄電装置150の充電時には、SMR230、CCID330内のリレー332が閉じられる。
外部電源402の交流電圧VACは、プラグインハイブリッド車両10の内部に設けられた電圧センサ188により検出される。検出された交流電圧VACは、ECU170に送信される。
この状態で、故障診断をする必要が生じるエンジン100の始動回数に到達した場合で、しかも、ECU170で故障診断ができるプラグインハイブリッド車両状態であることが判断されると、エンジン100が始動されると共に、エンジン100の運転に伴う点検項目について故障診断が行なわれる。
図5は、この実施の形態のプラグインハイブリッド車両10の故障診断装置を用いた故障診断方法を示すフローチャートである。
ステップS100で、プラグインハイブリッド車両10のエンジン部品故障診断ルーチンをスタートさせると、ステップS101では、外部電源402から供給される電力によって、車載された蓄電装置150が、プラグを用いた充電中であるか否かが判定される。
充電ケーブル300のプラグ320がコンセント400に接続され、かつコネクタ310がプラグインハイブリッド車両10のインレット250に接続されると、コントロールパイロット回路334は、予め定められたパルス幅(デューティサイクル)のパイロット信号CPLTを発振する。
充電ケーブル300によりプラグインハイブリッド車両10と外部電源402とが連結された状態において、外部電源402から供給された電力が蓄電装置150に充電される。蓄電装置150の充電時には、SMR230、CCID330内のリレー332が閉じられる。
外部電源402の交流電圧VACは、プラグインハイブリッド車両10の内部に設けられた電圧センサ188により検出される。検出された交流電圧VACは、電圧センサ188からECU170に送信される。ECU170では、パイロット信号CPLTと共に、この検出された交流電圧VACを受信することにより、プラグを用いた充電中であると判定する。
また、コネクタ310がプラグインハイブリッド車両10に設けられたインレット250から外された状態で出力されたパイロット信号CPLTを、ECU170は検出できない。このため、ECU170では、パイロット信号CPLTの未検出により、プラグ充電が行われていない状態であると判定し、故障診断が行なわれない。
実施の形態のプラグインハイブリッド車両10では、プラグを用いた充電中の場合、次のステップS103に処理を進めて多岐に渡る項目の故障診断を行なう一方、充電ケーブル300が接続されていない状態および、プラグ充電が行なわれていない場合は、ステップS202に処理を進めて、ルーチンを繰り返す。
なお、ステップS101では、故障診断をする必要があるか否かを判断するため、充電履歴回数が、予め定められた所定値以上となっているか否かを判定することがより好ましい。この場合、充電履歴回数が所定値以上である場合は、次のステップS103に処理を進める。また、充電履歴回数が所定値に満たない場合は、ステップS200に処理を進めて、エンジン100を停止させると共に、ステップS202に処理を進め、故障診断ルーチンを繰り返す。
ステップS103では、故障診断できるプラグインハイブリッド車両状態か否かを判断するため、燃料タンク108に設けられた燃料残量計108aで検出されたガソリン燃料残量が、所定値以上であるか否かが判定される。燃料残量計108aで検出されたガソリン燃料残量が、所定値以上である場合は、次のステップS104に処理を進ませて、燃料残量計108aで検出されたガソリン燃料残量が、所定値に満たない場合は、ステップS200に処理を進ませる。
ステップS104では、蓄電装置150の充電量が所定値未満であるか否かが判定される。蓄電装置150の充電量を示す残存容量SOCが、更なる充電が出来ない程度まで高い場合は、第1モータジェネレータ110により発電された電力を蓄電装置150に蓄えることが出来ない。このため、エンジン100を始動して、第1モータジェネレータ110で発電を行わせ、これによっての生じる負のトルクを用いてトルク吸収を活用しながら、診断に必要なエンジン100の運転状態を作りこむことは出来ない。
蓄電装置150に設けられた電流センサ150aで検出された検出値が積算されて、残存容量SOCとして充電量を示す信号となってECU170に入力される。ECU170では、この残存容量SOCが、予め定められた所定値未満である場合には、ステップS105に進み、残存容量SOCが、予め定められた所定値を上回る場合には、ステップS200に進む。
ステップS105では、エンジン100がクランキングにより始動されて、ファイアリング(点火)されることでアイドル運転状態となる。
図6は、実施の形態のプラグインハイブリッド車両10の故障診断装置で、第1モータジェネレータ110の回転数、第2モータジェネレータ120の回転数およびエンジン100の回転数を示す共線図である。図6に示される共線図では、プラグインハイブリッド車両10が停車している状態で、第2モータジェネレータ120がスタータとして用いられてエンジン100の回転駆動軸のクランキングが行なわれる。
エンジン100の始動時(例えば、至1000rpm)、エンジン100の回転駆動軸の回転の立ち上がりは、第1モータジェネレータ110によって増速されて、図6中紙面上下方向で最も上に位置する実線が示すように一旦吹け上がり、ファイアリングにより点火すると、図6中紙面上下方向で中央に位置する実線でしめすアイドル運転状態に移行する。
アイドル運転状態では、エンジン100の回転駆動軸が、アイドル回転数(例えば、1000rpm近傍)で回転駆動されて、ゼロトルク出力状態となっている。
正常状態では、燃料タンク108内の燃料が、ECU170からの駆動信号fsに応じてフューエルポンプPから吐出されて、燃料パイプ107を介してエンジン100に供給される。アイドル運転状態のゼロトルク出力状態では、フューエルカット制御が行なわれるまで、燃料の供給が断たれることはない。また、ファイアリングにより点火することなく、アイドル運転状態と同等のエンジン100の回転駆動軸の回転数を得ても、アイドル運転状態ではなく、負のトルクとなるモータリング状態となる。
更に、エンジン100排気ガスの熱を利用することにより、触媒102が特定の温度まで暖機されて浄化作用を発揮する。そして、エンジン100の運転によってエンジン100を冷却する冷却水温も上昇する。
ステップS106では、エンジン100に設けられた水温センサ101で検出された冷却水温が、水温信号WSとして出力される。この水温信号WSは、ECU170に入力すると、ECU170では、この水温信号WSに基づいて診断が行なえる車両状態か否かが判定される。
このプラグインハイブリッド車両10では、エンジン100がアイドル運転状態を維持するために必要なISC流量は、暖機後の状態を基準として、正常範囲内に収まっているか否かで、ISC(Idle Speed Control)故障診断が実施される。
ステップS106において、水温が予め定められた所定値以上である場合は、ステップS107に進み、水温が予め定められた所定値に満たない場合は、暖気されていない若しくは暖気中で基準となる正常範囲まで水温が到達していないと判断して、ステップS200に進む。
ステップS107では、ISC(Idle Speed Control)故障診断が実施される。ISCは、目標回転数Ne*と目標吸入空気量Q*とを調整してアイドル運転状態を安定させる。ISC故障診断では、これらの目標回転数Ne*と目標吸入空気量Q*とに応じてエンジン100のアイドル回転数Niが所望の回転数に制御されているかが診断される。
ステップS108に処理が進むと、ステップS108では、第1モータジェネレータ110が起電力を発生させる際に、この起電に伴って発生する負荷方向のトルクが、エンジン100のアイドル回転を維持するトルクと打ち消しあって吸収されて、停車状態でもアイドル回転数近傍のエンジン回転数が維持されたまま、高負荷運転が継続される。
このエンジン100の回転を維持したままの高負荷運転状態とは、エンジン100から余剰に発生したトルクをモータの反力トルクによって相殺し、エンジン回転数をアイドル回転数と同じ回転数に抑えている状態のことである。
すなわち、ステップS101〜ステップS106の判断によって故障診断ができる車両状態であることが判断されると、ファイアリングされたアイドル運転から、アイドル運転状態と同じアイドル回転数が維持されながら、エンジン100に高負荷が与えられる高負荷運転に移行して、故障診断が行なわれる。
図6に示すように、停車している状態では、第2モータジェネレータ120が、リングギヤと共に回転が0となっている。このため、スタータとして用いられた第1モータジェネレータ110の回転によって発生する反力トルクの大きさと、エンジン100の回転駆動軸のトルクとが、釣り合う位置でエンジン回転数および第1モータジェネレータ110の回転数は安定する。例えば、第1モータジェネレータ110の起電力を発生させることに伴い、生じる反力トルクTM1は、エンジン100の回転駆動軸の駆動トルクTE1と釣り合い、エンジン100の回転駆動軸の回転数をアイドル運転状態の回転数相当に安定させる。同様に第1モータジェネレータ110の起電力を発生させることに伴い、生じる反力トルクTM2は、エンジン100の回転駆動軸の駆動トルクTE2と釣り合い、エンジン100の回転駆動軸の回転数をアイドル運転状態の回転数相当に安定させることができる。
エンジン100の始動時(例えば、至1000rpm)、エンジン100の回転駆動軸の回転が立ち上がった後、第1モータジェネレータ110によって増速されて、吹け上がり、ファイアリングにより点火すると、アイドル運転状態に移行する。
アイドル運転状態から、ECU170によって、第1モータジェネレータ110の起電力を発生させると、起電力の発生に伴って、エンジン100の回転数をアイドル回転数相当に抑制する反力トルクが発生する。この反力トルクは対抗するエンジントルクを発生させることによって、エンジン高負荷運転状態を実現させることが出来る。
アイドル運転状態に比して、エンジン100の回転をアイドル回転数相当に維持したままの高負荷運転状態では、エアインテーク側の空気流入通路を通過する空気の流量、燃料消費量、エンジン100の回転駆動軸の回転トルクがそれぞれ増大すると共に、マフラーを通過する排気ガスの温度、排気ガスにより暖められる触媒102の温度も上昇する。
このため、故障診断に必要な空気の流量、燃料消費量、温度条件となるように、第1モータジェネレータ110の起電力をECU170により制御して、反力トルク量の強弱を調整することにより、所望の診断を、プラグインハイブリッド車両10を停車させたまま行なうことができる。
ステップS109では、燃料系/センサ系/触媒の故障診断が実施される。
この実施の形態のECU170は、故障診断をする必要が生じるエンジン100の始動回数に到達した場合であって、しかも、故障診断ができる車両状態であることが判断されると、エンジン100を始動すると共に、エンジン100をアイドル運転状態の回転数に維持して各点検項目について故障診断を行なう。
プラグインハイブリッド車両10の燃料タンク108内の燃料は、フューエルポンプPから燃料パイプ107内を通過して、エンジン100に供給される。
このフューエルポンプPによって吐出される燃料は、ECU170からの駆動信号fsに応じて、吐出量を可変可能である。燃料パイプ107内を通過する燃料の流量は、燃料流量センサ109によって検出されて、流量検出信号fgとなりECU170に入力されている。
また、この燃料タンク108内には、燃料残量計108aが設けられていて、燃料タンク108内のガソリン残量が検出されて残存燃料検出信号feとしてECU170に入力される。
このため、駆動信号Fsの積算値と、流量検出信号fgの積算値である総供給燃料量と、残存燃料検出信号feから求められる使用した燃料量とが一致しなければ、フューエルポンプP、燃料流量センサ109、燃料残量計108aのいずれかが故障していることとなり、燃料系の故障を診断可能である。
燃料系の故障診断のうち、デュアルインジェクションシステムを採用するエンジン100では、アイドル運転状態では直噴制御が行なわれると共に、負荷領域では、ポート制御が行なわれている。この実施の形態のプラグインハイブリッド車両10では、プラグを用いた充電中に、高負荷運転を再現できる。また、デュアルインジェクションシステムによって負荷方向で空気量を変化させる必要があるものでも、高負荷運転の負荷を可変させて、空気量を変更可能で、正確な故障診断を行なうことが出来る。
このように、インジェクション方式を、エンジン100の各制御領域で使い分けている場合でも、アイドル運転状態の直噴制御および、負荷領域のポート制御のそれぞれについて故障診断することができる。
また、水温センサ101、燃料流量センサ109、電流センサ150a,184、電圧センサ180,182,188、温度センサ186の異常は、センサ系の故障として診断される。
更に、触媒102を暖めるためのヒータ104は、たとえば、補機バッテリ(図示せず)から供給された電力により発熱するが、第1モータジェネレータ110の制御により、エンジン100の出力軸(クランクシャフト)がクランキングされる際、触媒102を暖めるようにヒータ104が制御されていても、触媒102の温度が上昇していない場合は、ヒータ104の故障若しくは、触媒温度センサ103の故障であると診断される。そして、続くファイアリングでも触媒102の温度が上昇しない場合は、触媒温度センサ103の故障であると診断される。
また、エンジン170のエアインテーク側に設けられたA/Fセンサ(エアフローセンサ)111の異常は、センサ系の故障として診断される。A/Fセンサ111の応答性診断には、所定値以上の空気量を必要とする。しかしながら、アイドル運転状態では、空気流入通路内を通過する空気量が、診断を行なう為に必要な所定値まで到達しない虞がある。このため、アイドル運転状態に比して、通過する空気量が増大する高負荷運転状態として、流入空気量を所定値以上となるように確保することで、A/Fセンサ111の応答性診断を行なうことが出来る。
更に、O2センサ105(O2:酸素O2の意味。以下O2を以下O2と記す。)は、上流に位置する触媒102の状態が、特定の温度まで暖機されることによって浄化作用を発揮する活性状態となることを前提条件として、エンジン100から排気された排気ガス中の酸素量が、O2検出値として検出される。このため、高負荷運転状態で暖機を行い、上流に位置する触媒102が充分に活性された状態まで温度を上昇させてから、O2センサ105による検出を行い、O2センサ105の故障診断が確実に行なわれる。
また、一般に、エンジン100は、アイドル運転状態では、触媒102が活性状態の下限温度付近にあるため、故障診断に必要とされる浄化が正常に行なわれているか否かの判断が困難であるといった問題がある。
この実施の形態のプラグインハイブリッド車両10では、エンジン回転数をあまり上昇させなくても高負荷運転状態によって、暖機を短時間で行なうことが出来る。このため、触媒102の浄化能力を検査する故障診断においても、高負荷運転状態によって、暖機を短時間で行い、故障診断を行なえる状態まで、触媒の温度を上昇させることが可能となる。
この際、ヒータ104は、補機バッテリからの電力供給により発熱されて、更に短時間で触媒の温度を上昇させてもよく、高負荷運転により、エンジン100の暖機が短時間で行われる場合、ヒータ104を用いないで、電力消費を抑制してもよい。
再び図5を参照してステップS110では、各診断が終了するとステップS111に処理が進む。
ステップS111では、フューエルカットが実施されて、燃料タンク108から、フューエルポンプPによるエンジン100への燃料の供給が停止される。
そして、ステップS112に処理が進むと、ステップS112では、第1モータジェネレータ110によるモータリングで、エンジン100の駆動軸がモータリングされて、フューエルカットが正常に実施されているか否かが診断される。
この実施の形態では、プラグインハイブリッド車両10が停車中に、ファイアリングされて、高負荷運転を行なった後、フューエルカットが行なわれるので、モータリングのみによるフューエルカット診断よりも、実際の走行中に近い条件で故障診断を行なうことが出来る。
フューエルカット診断後、ステップS200に処理が進み、エンジン100を停止させる。その後、ステップS202に進み、故障診断ルーチンを繰り返す。
特に、ハイブリッド車両等である場合、走行中にエンジン100が、比較的短い運転時間で頻繁に始動される。このため、エンジン100の始動回数に基づいて、所定の始動回数ごとに点検を行なう診断方法では、故障診断の頻度が多くなりすぎる傾向にある。
そのため、プラグ充電の回数で故障診断を行なうようにすることによって、エンジン100の始動回数に応じてエンジン故障診断を行なうものに比して、プラグ充電の回数の設定により、故障診断を適度な間隔で行ない、故障診断を行なってから間もない場合等、故障診断を行なう必要が無いプラグインハイブリッド車両10の点検回数を、減少させることがより好ましい。
また、燃料タンク108内のガソリン残量が、高負荷運転診断を充分に行なえる燃料残量に満たない場合や、蓄電装置150の残存容量SOCが所定値未満ではなく、更なる充電が出来ない程度まで高く、高負荷回転に伴い発電された電力を充電できない。
これらの場合は、エンジン100を始動させることなく、高負荷運転診断を行なわない。このように、故障診断できない状態のプラグインハイブリッド車両10は、エンジン100を始動させない。よって、不必要にエンジン100の始動回数を増大させることなく、適宜必要な診断項目について点検を行なうことができる。
また、プラグを用いた充電中に、各種故障診断を行なうことができる。このため、アイドル運転中、負荷運転中、フューエルカット状態等、エンジン100の運転状態を異ならせなければ、検出故障診断できない診断項目や、その他の診断項目についても、各運転状態を作り込んで、診断項目の検出の前提となる条件を得ることが出来る。
再び図6を参照して、アイドリング状態から、第1モータジェネレータ110に起電力を発生させて、エンジン100を高負荷状態とすると、第1モータジェネレータ110で発生した反力トルクTM1よりも、比較的大きな反力トルクTM2の場合の方が、エンジン100の回転駆動力を示す駆動トルクTE1よりも比較的大きな駆動トルクTE2を発生させながら、アイドル運転状態のアイドル回転数相当の回転数に安定させる方向へ調整される。
アイドル運転状態に比して、エンジン100の回転をアイドル回転数相当に維持したままの高負荷運転状態では、エアインテーク側の空気流入通路を通過する空気の流量、燃料消費量、エンジン100の回転駆動軸の回転トルクがそれぞれ増大すると共に、マフラーを通過する排気ガスの温度、排気ガスにより暖められる触媒102の温度も上昇する。
このため、各種故障診断に必要な空気の流量、燃料消費量、温度条件を、第1モータジェネレータ110の起電力がECU170により制御されることにより得られる。
そして、反力トルク量の強弱を調整することにより、プラグインハイブリッド車両10を停車させたまま、所望の診断を行なうことができる。
以上説明した実施の形態について、最後に再び図面を参照しながら総括する。
本発明によるプラグインハイブリッド車両10の故障診断装置は、エンジン100と、第1モータジェネレータ110と、エンジン100および第1モータジェネレータ110を制御するECU170と、第1モータジェネレータ110を駆動する電力を外部電源402から充電可能とする蓄電装置150とを備える。
ECU170は、故障診断をする必要が生じるエンジン100の規定の始動回数に到達した場合、故障診断ができる車両状態であることが判断されると、エンジン100を始動すると共に、エンジン100の運転に伴う点検項目について故障診断を行なう。
このため、走行中に比較的短い運転時間で頻繁にエンジン100が始動されるプラグインハイブリッド車両10等のハイブリッド車両であっても、比較的長い停車中の時間を利用して、多岐におよぶ故障診断を行うための検出機会を確保することができる。
また、プラグ充電の回数が、所定の充電回数に到達した場合、ECU170により故障診断をする必要があるとして故障診断が行なわれ、充電履歴回数が所定値に満たない場合は、診断が行なわれないようにすることもできる。
このため、故障診断を行なう間隔を適宜設定でき、故障診断をする必要があるプラグインハイブリッド車両10を、故障診断する必要が無いプラグインハイブリッド車両10から区別して、効率よく故障診断を行なうことができる。
また、プラグインハイブリッド車両10の故障診断装置は、ECU170による故障診断は、蓄電装置150が、外部電源402によって充電されている状態で行なわれる。
この実施の形態のプラグインハイブリッド車両10では、ECU170が、パイロット信号CPLTと共に、充電中の交流電圧VACを受信することにより、プラグを用いた充電中であると判定するので、確実に、充電時間中の比較的長い時間を、故障診断時間として利用できる。
また、ECU170に適合した専用の外部診断機器であるダイアグノーシス等の診断機器を車体側のコネクタを介して接続することにより、さらに詳細な故障診断を行う事ができる。
この場合、エンジン100がアイドル運転している場合の空気と燃料の比率(空燃比)やエンジン100の故障状態を記録しているダイアグノーシスコードを読み取りまたは書き込みを、診断の前後でプラグインハイブリッド車両10のECU170と、接続された診断機器との間で行なうことが出来、更に利便性が良好である。
そして、エンジン100の排気に含まれるCO,HC,NOx等の濃度が所定基準値の範囲内であるか否かを診断する排気診断では、通常の走行状態と同等の高負荷を、第1モータジェネレータ110の起電に伴う負のトルクによって、エンジン100に対して、停車中でも与えることが出来、より正確な排気診断を行なうことができる。
更に、ECU170によって、エンジン100に供給されるガソリン燃料を蓄えた燃料タンク108の燃料残量が、所定値以上である場合、故障診断ができる車両状態であると判断する。
このため、故障診断を行なっている間に、燃料残量が無くなってしまうおそれがない。 また、ECU170は、蓄電装置150の残存容量SOCが、所定値未満である場合、故障診断ができる車両状態であると判断する。
このため、エンジン100に高負荷を与える第1モータジェネレータ110が起電する電力が、放電等で無駄にされることなく、蓄電装置150に充電が行われて蓄えられる。
しかも、エンジン100の点火による起動で暖気が行なわれる。この際、ECU170が、水温センサ101から送られてくる温度信号によって、エンジン100の冷却水温が、所定値以上であると判断されると、故障診断が行なわれる。このため、エンジン100の運転条件が、冷却水の温度が一定以上に安定しないと診断できない制約が存在するISC故障診断等の故障診断も、高負荷運転によって短時間で冷却水温を温度上昇させて行なうことができる。
更に、この実施の形態では、ドライブトレーンのデファレンシャルギヤおよびアクスルなどを潤滑するオイルポンプ106が、高負荷状態で暖気された後に、オイルを吐出する。このオイルポンプ106は、プラグインハイブリッド車両10の停車中であっても、走行状態に近い高負荷状態で回転駆動される。このため、ファイアリングを伴わないエンジン100のモータリング状態で、故障診断を行なう場合に比して、更に正確な故障診断を行なうことが出来る。
そして、このプラグインハイブリッド車両10の故障診断装置では、故障診断をする必要が生じたことを判定すると、故障診断ができる車両状態であることが判断されて、エンジン100の運転に伴う点検項目について故障診断が、プラグを用いた充電中に行なわれる。
このため、停車中でも、エンジン100の高負荷運転に伴う点検項目について、多岐に渡り必要な点検を行なうことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施の形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
たとえば、上述の実施の形態においては、車両としてプラグインハイブリッド車両10を用い、プラグを用いた充電中に故障診断するものを示して説明してきたが、例えば非接触の充電装置を用いた充電等、プラグを用いた充電中でなくても良く、また、プラグインハイブリッド車両10ではないハイブリッド車両であっても、停車中に高負荷運転状態を得られる車両であれば、特にプラグインハイブリッド車両10である必要はない。
また、エンジン100の故障診断をする必要がある場合の一例として、プラグ充電の回数が、所定の充電回数に到達した場合を例示して説明してきたが、特にこれに限らず、エンジン100の始動回数が所定の回数に到達した場合や、プラグ充電の回数が所定の充電回数に到達するかあるいは、内燃機関の始動回数が所定の回数に到達するか少なくともいずれか一方が到達していればよく、充電回数および始動回数が共に到達したことにより、故障診断を行なう必要が生じたと判断してもよい。
また、実施の形態では、ステップS111において、フューエルカットを実行しているが、特にこれに限らず、ステップS112のモータリングによるフューエルカット中診断を行う際に、フューエルカット動作を併せて行なう等、モータリングにより所望の負荷が与えられている状態であればよい。
また、ISC故障診断、燃料系/センサ系/触媒故障診断、フューエルカット中診断の順序がこれに限られるものではなく、何れの順序で行なわれても良く、診断の種類、順序、組み合わせについて特に限定されるものではない。
更に、動力分割機構130のうち、エンジン100の回転駆動力によって、第1モータジェネレータ110を回転駆動させて発電する経路が用いられて、高負荷運転状態を得ているが、特にこれに限らず、例えば、車両が停車中であっても、車軸と遮断されていて回転駆動により発電を行うモータジェネレータや、エンジン100の回転駆動軸に負のトルクを与えることが出来る機構であればどのように構成されていてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した範囲説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。