JP5770492B2 - 微粒子金属酸化物分散組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、非シリコーン系油剤に微粒子金属酸化物を分散させた微粒子金属酸化物分散組成物に関し、さらに詳細には、分散性や経時での安定性に優れ、べたつきが無くのび広がりの良好な使用性を有する微粒子金属酸化物分散組成物に関するものである。
化粧料や塗料等の各種製品に配合される微粒子金属酸化物は、様々な機能を発揮する一方、凝集性が高いため製品中に均一に分散することや経時での安定性を保つことは非常に困難であり、様々な検討がなされてきた。例えば、紫外線防御効果を有する化粧料には、有機紫外線吸収剤や無機紫外線散乱剤などが配合されており、無機紫外線散乱剤としては、酸化チタンや酸化亜鉛などの金属酸化物が用いられているが、屈折率が高く塗布後に肌が白くなってしまい化粧料としては好ましくない。また、塗布後の白さを改良するために、金属酸化物を微粒子化して可視光線の透過性を向上させる技術が報告されている(例えば特許文献1参照)。更に、微粒子金属酸化物の紫外線防御効果や可視光線の透過性を向上させるためには、微粒子金属酸化物を均一に分散させる必要があり、そのために微粒子金属酸化物を予め分散処理した分散組成物を調製し、化粧料に配合することが行われている。分散組成物としては、分散剤としてトリメチルシロキシケイ酸やジメチルポリシロキサン・メチル(ポリオキシアルキレン)シロキサン共重合体を用いた分散組成物や(例えば特許文献2参照)、分散剤としてアクリル−シリコーングラフトポリマーを用いた分散組成物や(例えば特許文献3参照)、分散剤として両末端シリコーン化ポリグリセリンを用いた分散組成物や(例えば特許文献4参照)、分散剤として特定のオルガノポリシロキサン共重合体を用いた分散組成物や(例えば特許文献5参照)、分散剤としてポリグリセリン変性シリコーンを用いた分散組成物を得る技術があり(例えば特許文献6参照)、分散性向上や使用性の向上のため、分散媒としてデカメチルシクロペンタシロキサンなどの揮発性シリコーン油などが用いられている。デカメチルシクロペンタシロキサンなどの揮発性シリコーン油以外の油を分散媒として用いる検討は、分散剤としてリシノール酸やヒドロキシステアリン酸を用い、分散媒としてパラフィン油やトリグリセリドエステルを用いた検討や(例えば特許文献7参照)、分散剤としてポリヒドロキシステアリン酸を用い、分散媒としてエステル油やトリグリセリドエステルを用いた検討がある(例えば特許文献8参照)。
特開平9−175821号公報 特開平9−208438号公報 特開2006−131547号公報 特開2007−161648号公報 特開平11−263708号公報 特開2004−169015号公報 特開平6−39272号公報 特表2009−508920号公報
しかしながら、特許文献1のように、透明性を向上させるために金属酸化物を微粒子化すると粉体の表面積が増大し、凝集力が強くなり分散するのが困難となる。特許文献3〜6に用いられているシリコーン系の分散剤は、シリコーン鎖に親水部分を導入した低HLBの界面活性剤であり、水を配合する水中油型乳化化粧料や油中水型乳化化粧料では、油と水の界面にシリコーン系分散剤が配向してしまい、微粒子金属酸化物の分散性が低下してしまうことがある。また、特許文献3〜6に用いられているシリコーン系の分散剤は、分散安定化のために分子量が大きく設計されており、べたつきや、のび広がりの悪さなど、使用性に問題があった。特に特許文献2のトリメチルシロキシケイ酸は粘着性の樹脂であり、べたつきが著しく使用性に問題があった。特許文献7のように非シリコーン系の分散剤としてリシノール酸やヒドロキシステアリン酸を用いた場合や、特許文献8のように分散剤としてポリヒドロキシステアリン酸を用いた場合には、分散剤を多量に配合する必要があり、べたついた使用性となってしまい、のび広がりも悪く、経時での安定性も充分とは言えなかった。以上のように、分散性や経時での安定性に優れ、べたつきが無くのび広がりの良好な使用性を有する微粒子金属酸化物分散組成物の検討は充分といえるものではなかった。
かかる実情において、本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、
微粒子金属酸化物をトリアルコキシアルキルシランで表面処理することにより、非シリコーン油に対する吸油量が著しく低下し、更に分散剤としてポリヒドロキシステアリン酸を用いることにより、更なる吸油量の低下と分散安定化の向上が図れる知見を得、分散性や経時での安定性に優れ、べたつきが無く、のび広がりの良好な微粒子金属酸化物分散組成物を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、次の成分(a)〜(c):
成分(a)トリアルコキシアルキルシランで表面処理された微粒子金属酸化物
成分(b)ポリヒドロキシステアリン酸
成分(c)非シリコーン系油剤
を含有することを特徴とする微粒子金属酸化物分散組成物に関する。
前記成分(a)のトリアルコキシアルキルシランによる表面処理量が、質量比で表面処理剤/微粒子金属酸化物=0.02〜0.25であることを特徴とする微粒子金属酸化物分散組成物に関する。
前記成分(a)の処理粉体が更に(ジメチコン/メチコン)コポリマーで処理されていること特徴とする微粒子金属酸化物分散組成物に関する。
前記成分(a)の含有量が30〜70質量%であることを特徴とする微粒子金属酸化物分散組成物に関する。
前記成分(a)と成分(b)の含有質量比(b)/(a)が0.01〜0.5であることを特徴とする微粒子金属酸化物分散組成物に関する。
前記成分(c)非シリコーン系油剤が炭化水素油またはエステル油であることを特徴とする微粒子金属酸化物分散組成物に関する。
前記成分(c)の非シリコーン系油剤が、40℃における粘度が16mm/s以下の炭化水素油または炭素数27以下のエステル油であることを特徴とする微粒子金属酸化物分散組成物に関する。
前記成分(c)の非シリコーン系油剤がイソドデカン、イソテトラデカン、イソヘキサデカン、40℃における粘度が11mm/s以下の流動パラフィン、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、2−エチルヘキサン酸セチルであることを特徴とする記載の微粒子金属酸化物分散組成物に関する。
前記微粒子金属酸化物分散組成物を含有することを特徴とする化粧料に関する。
本発明の微粒子金属酸化物分散組成物は、分散性や経時での安定性に優れ、べたつきが無くのび広がりの良好な使用性を有するものである。
以下、本発明について詳述する。
本発明に用いられる成分(a)を構成する微粒子金属酸化物は、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄等が挙げられ、これらを一種又は二種以上併用して用いることができる。これらの微粒子金属酸化物の形状等は特に限定はされないが、粒子径は1〜100nmであり、経時での安定性が優れた微粒子金属酸化物分散組成物を得ることができる。ここでの粒子径とは、画像解析装置(ルーゼックスIIIU,ニコレス社製)による測定により求めた値である。
本発明に用いられる成分(a)を構成するトリアルコキシアルキルシランは、ケイ素原子に三つのアルコキシ基と一つのアルキル基が結合した化合物であり、該アルコキシ基が粉体表面の水酸基等と反応することにより、粉体表面を被覆する化合物である。このようなトリアルコキシアルキルシランは下記一般式(1)で表すことができる。該トリアルコキシアルキルシランにおける、アルコキシ基は、炭素数1〜3のアルコキシ基であるメトキシ、エトキシ、プロポキシ等が好ましい。また、該トリアルコキシアルキルシランにおける、アルキル基は、炭素数6〜18のアルキル基であるヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基等が好ましい。このようなトリアルコキシアルキルシランは、例えば、トリメトキシヘキシルシラン、トリメトキシオクチルシラン、トリメトキシデシルシラン、トリメトキシオクタデシルシラン、トリエトキシヘキシルシラン、トリエトキシオクチルシラン、トリエトキシデシルシラン、トリエトキシオクタデシルシラン等が挙げられ、これらより一種又は二種以上用いることができる。
(m、nはそれぞれ正の整数で、m=6〜20、n=1〜3)
これらトリアルコキシアルキルシランの中でも、上記一般式(1)においてm=7、n=2であるトリエトキシオクチルシランを選択すると、非シリコーン系油剤中での分散安定性が良好となる。アルキル基の炭素数が8以上であると非シリコーン系油剤中での分散安定性が良好となる。
本発明において微粒子金属酸化物の表面にトリアルコキシアルキルシランの表面処理剤を被覆する方法は、特に限定されず、通常公知の処理方法が用いられる。具体的には、トリアルコキシアルキルシランと微粒子金属酸化物とを直接混合する方法、直接微粒子金属酸化物と混合し加熱して被覆する乾式被覆方法、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ヘキサン、塩化メチレン、ベンゼン、トルエン等の溶媒にトリアルコキシアルキルシランを溶解又は分散し、この溶液又は分散液に微粒子金属酸化物を添加し、混合後、前記溶媒を乾燥等により除去、加熱、粉砕する湿式被覆方法、溶媒に溶解又は分散したトリアルコキシアルキルシランを流動層中で粉体にスプレーコートする気相被覆方法、メカノケミカル方法等が挙げられる。
成分(a)の微粒子金属酸化物のトリアルコキシアルキルシランによる表面処理量は、質量比で表面処理剤/微粒子金属酸化物=0.02〜0.25が好ましく、更に好ましくは、0.03〜0.18である。この範囲であれば、更に良好な使用性を与えことができ、分散性や経時での安定性も向上する。表面処理剤/微粒子金属酸化物=0.02未満では上記効果を充分に得ることが難しい場合があり、0.25を超えて成分(a)を調製した場合、均一な粉末状とはならず好ましくない場合がある。
微粒子金属酸化物の表面処理はトリアルコキシアルキルシランだけでも良く、さらに(ジメチコン/メチコン)コポリマーや他の表面処理剤を組み合わせても良い。
本発明に用いられる成分(a)は更に(ジメチコン/メチコン)コポリマーで表面処理をすると成分(a)の吸油量が下がり、分散組成物中に成分(a)をより多く含有することができ好ましい。(ジメチコン/メチコン)コポリマーはINTERNATIONAL NOMENCLATURE of COSMETIC INGREDIENTSに(ジメチコン/メチコン)コポリマーとして収載されている化合物であり、ジメチルシロキサンとメチルハイドロジェンシロキサンからなる共重合体である。通常、粉体の表面処理剤として用いられ、粉体に撥水性を付与し、しかも経時的に水素を発生し難い表面処理剤として汎用されている。具体的には、好ましい化合物として下記一般式(2)で示される化合物が例示できる。
(a、bはそれぞれ正の整数で、a+b=7〜50、a:b=1:0.2〜1:4)
成分(a)の(ジメチコン/メチコン)コポリマーによる表面処理量は、質量比で(表面処理剤)/(トリアルコキシアルキルシランで表面処理された微粒子金属酸化物)=0.01〜0.15が好ましく、更に好ましくは、0.03〜0.08である。この範囲であれば、更に良好な使用性を与えことができ、分散性や経時での安定性も向上する。0.01未満では上記効果を充分に得ることが難しい場合があり、また、0.15を超えて含有しても更なる効果の向上が得られにくく、分散性やのび広がりが悪くなり、かえって良好な使用性を得ることが困難となる場合がある。
本発明において、成分(a)の含有量が30〜70質量%(以下、「%」と略す)であることが好ましく、更に好ましくは40〜60%である。この範囲であれば、更に良好な使用性を与えことができる。30%未満では、マスターバッチ(中間原料)として化粧料等に配合する際に、紫外線防止効果を発揮できる十分な量を含有できない場合があり、70%よりも多いと、一次粒子に分散するのに多量の成分(b)を必要とすることがあり、かえって良好な使用性を得ることが困難となる場合がある。
本発明に用いられる成分(b)のポリヒドロキシステアリン酸は、成分(a)を分散させるために用いられ、ヒドロキシステアリン酸の水酸基は12位が好ましく、ヒドロキシステアリン酸の重合度は3〜12が好ましく、更に好ましくは重合度4〜8である。市販品としては、ARLACEL P−100(ユニケマ社製)を挙げることが出来る。
本発明において、成分(a)と成分(b)の含有質量比(b)/(a)は0.01〜0.5が好ましく、更に好ましくは、0.02〜0.3である。この範囲であれば、更に良好な使用性を与えことができ、分散性や経時での安定性も向上する。0.01未満では、一次粒子まで分散できない場合があり、0.5を超えて含有しても更なる効果の向上が得られにくく、かえって良好な使用性を得ることが困難となる場合がある。
本発明に用いられる成分(c)の非シリコーン系油剤は、成分(a)を分散させる媒体であり、ポリシロキサン骨格を持たない油剤であれば特に限定されず、動物油、植物油、合成油等の起源や、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わないが、常温(15℃〜25℃)で液状である液体油が成分(a)の分散性の観点から好ましい。例えば、炭化水素類、油脂類、硬化油類、エステル油類、フッ素系油剤類、ラノリン誘導体類等が配合可能であり、より具体的には流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、ドデカン、イソドデカン、テトラデカン、イソテトラデカン、ヘキサデカン、イソヘキサデカン、スクワラン、植物性スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素類、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油、カメリア油、ローズピップ油、アボカド油等の油脂類、ホホバ油、2−エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソトリデシル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、オレイン脂肪酸フィトステリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)等のエステル油類、p−アミノ安息香酸エチルヘキシルジメチル、サリチル酸エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ジネオペンチル−4’−メトキシベンザルマロナート等の油溶性紫外線吸収剤類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類等を例示することができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらのうち、炭化水素油及びエステル油が好ましく、そのなかでも、40℃における粘度が16mm/s以下の炭化水素油または炭素数27以下のエステル油が好ましく、更には、イソドデカン、イソテトラデカン、イソヘキサデカン、40℃における11mm/s以下の流動パラフィン、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、2−エチルヘキサン酸セチルが好ましい。これらの油剤であると、経時での安定性に優れ、べたつきが無くのび広がりの良好な使用性を有する粒子金属酸化物分散組成物を得ることができる。
本発明における成分(c)の含有量は、20〜80%が好ましく、更に好ましくは30〜60%である。この範囲であれば、各種微粒子金属酸化物の特性を十分に発揮することができ、また、のび広がりや経時での安定性に優れた粒子金属酸化物分散組成物を得ることができる。
また、本発明の微粒子金属酸化物分散組成物には、シリコーン油を含有しないことが好ましい。シリコーン油を含有する場合にはできるだけ少量であることが好ましく、シリコーン油の含有量は、シリコーン油と微粒子金属酸化物分散組成物中の全ての油剤の含有質量比(シリコーン油)/(全ての油剤)=0.2以下が好ましく、更に好ましくは0.1以下であり、最も好ましくはシリコーン油を含有しないことである。全ての油剤中のシリコーン油の含有比率が高くなると、微粒子金属酸化物分散組成物の粘度が高くなり、成分(a)の分散性が低下する。
本発明の微粒子金属酸化物分散組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、成分(b)と成分(c)を混合し、これに成分(a)を添加し、均一分散することにより得ることができる。この際に、均一分散する機器としては、ディスパーミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル等が挙げれるが、より好ましくは媒体を用いたボールミルやビーズミル等の湿式粉砕処理機器である。
本発明の微粒子金属酸化物分散組成物は、主として粉体を油剤に分散させた油性分散物であり、上記成分に加え、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲において、上述した以外の粉体や界面活性剤、ゲル化剤、酸化防止剤、防腐剤、着色剤、香料、化粧料用成分等を含有可能である。
本発明の微粒子金属酸化物分散組成物は化粧品用途の他に、塗料やインク、光学フィルター、抄き込み紙などに用いることができる。
本発明の化粧料は、上記の微粒子金属酸化物分散組成物を配合したものであり、経時での安定性やのび広がりに優れる化粧料である。本発明の化粧料における上記の微粒子金属酸化物分散組成物の配合量は1〜80%が好ましく、更に好ましくは5〜60%である。この範囲であるとのび広がりに優れる化粧料となる。
また、本発明の化粧料においてもシリコーン油を含有しないことが好ましい。シリコーン油を含有する場合にはできるだけ少量であることが好ましく、シリコーン油の含有量は、シリコーン油と化粧料中の全ての油剤の含有質量比(シリコーン油)/(全ての油剤)=0.2以下が好ましく、更に好ましくは0.1以下であり、最も好ましくはシリコーン油を含有しないことである。シリコーン油の含有量が少量であるほど経時での安定性に優れる化粧料となる。
本発明の化粧料には、成分(a)〜(c)を含有する微粒子金属分散組成物の他に配合される油性成分としては、本発明の効果を損なわない範囲で、環状ジメチルポリシロキサン、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類を挙げることができる
本発明の化粧料には、成分(a)〜(c)を含有する微粒子金属分散組成物の他に粉体成分を配合することができ、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的に例示すれば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、炭化珪素、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、カオリン、ベントナイト、スメクタイト、ヘクトライト、モンモリロナイト等の粘土鉱物、およびそれらの有機変性物、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末、酸化チタン被覆ガラスフレーク等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、等が挙げられる。これら粉体はその一種又は二種以上を用いることができ、更に複合化したものを用いても良い。なお、これら粉体は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の一種又は二種以上を用いて表面処理を施してあっても良い。
本発明の化粧料には、成分(a)〜(c)を含有する微粒子金属分散組成物の他に界面活性剤を配合することができ、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。例えば、非イオン性界面活性剤としては、リオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、N−アルキルジメチルアミンオキシドポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル・アルキル共変性シリコーン、ポリエーテル・アルキル・シロキシエチル共変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、ポリグリセリン・アルキル共変性シリコーン、ポリグリセリン・アルキル・シロキシエチル共変性シリコーンなどを挙げられる。例えば、アニオン性界面活性剤としてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸などの脂肪酸のナトリウム塩またはトリエタノールアミン塩、ココイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、ミリストイルメチルタウリンナトリウム、パルミトイルメチルタウリンナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウムなどのNアシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸などのポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。例えば、カチオン性界面活性剤としては、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジベヘニルジメチルアンモニウム、臭化ジベヘニルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、臭化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジラウリルジメチルアンモニウム、塩化ジポリオキシエチレン(15E.O.)ヤシ油アルキルメチルアンモニウム、塩化ジポリオキシエチレン(4E.O.)ラウリルエーテルジメチルアンモニウム、塩化ステアリン酸アミドプロピルトリメチルアンモニウム、ジココイルエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウム・メチル硫酸塩等を挙がられる。例えば、両性界面活性剤としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴリン脂質、大豆レシチン、卵黄レシチン、あるいはそれらの水素添加物等のリン脂質及びリン脂質・コレステロール複合体、リン脂質・フィトステロール複合体等のリン脂質複合体を挙られる。
本発明の化粧料には、成分(a)〜(c)を含有する微粒子金属分散組成物の他に水性成分を配合することができ、水に可溶な成分であれば何れでもよく、例えば、エチアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。
本発明の化粧料には、成分(a)〜(c)を含有する微粒子金属分散組成物の他に水溶性高分子を配合することができ、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成系のもの、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成系のもの、他にタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられる。
本発明の化粧料には、成分(a)〜(c)を含有する微粒子金属分散組成物の他に添加剤を配合することができ、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等の酸化防止剤、ビタミン類、消炎剤、生薬等の美容成分、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等の防腐剤が挙げられる。
本発明の化粧料は、特に限定されないが、形状として液状、半固形状、固形状のものが挙げられる。また、その剤形や製品形態が特に限定されるものではなく、油中水型、水中油型、油性型、水分散型、粉体型等の剤形とすることができ、また製品形態としては、洗顔フォーム・クリーム、クレンジング、マッサージクリーム、パック、化粧水、乳液、クリーム、美容液、化粧下地、日焼け止めなどの皮膚用化粧料、ファンデーション、白粉、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、アイブロウ、コンシーラー、口紅、リップクリーム等の仕上げ用化粧料、ヘアミスト、シャンプー、リンス、トリートメント、ヘアトニック、ヘアクリーム、ポマード、チック、液体整髪料、セットローション、ヘアスプレー、染毛料等の頭髪用化粧料などを例示することができる。この中でも、日焼け止め、ファンデーション、化粧下地等が本発明の効果が発揮されやすい化粧料である。
本発明の化粧料の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば成分(a)、成分(b)、成分(c)等を含有する微粒子金属酸化物と任意の油性成分を混合したものを、均一に混合した界面活性剤や水系成分に混合し乳化した後、これを容器または型に充填して得ることができる。
次に製造例及び実施例をもって本発明をより詳細に説明する。本発明はこれらにより、何ら限定されるものではない。
製造例1〜13
表1に示す組成の表面処理微粒子金属酸化物を下記の製造方法により調製した。
(注1)MT−100SA(テイカ社製)
(注2)MZ−500(テイカ社製)
(注3)KF−9901(信越化学工業社製)
(製造方法)
イソプロピルアルコール100部と成分3〜6を混合し、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)中で成分1、2と混合する。その後、減圧下、60℃でイソプロピルアルコールを回収し、粉砕して表面処理微粒子金属酸化物を得た。
実施例1および比較例1〜6;微粒子金属酸化物分散組成物
表2に示す組成の微粒子金属酸化物分散組成物を下記の製造方法により調製し、各試料について、「分散性」、「経時での安定性」、「のびの良さ」について評価を行い、その結果も併せて表2に示した。
(注4)KF−6017(信越化学工業社製)
(製造方法)
成分1〜8を均一に混合し、アシザワ(株)製のビーズミル(LMZ−0.6)にてジルコニアビーズ3mmを用い、ビーズ゛充填率60%、アジテーター回転数2000rpmにて5時間分散させ、微粒子金属酸化物分散組成物を得た。
(評価方法1)分散性
粉体の分散が良好であれば微粒子金属酸化物分散組成物の粘度は低くなるので、微粒子金属酸化物分散組成物を製造後、30℃恒温槽にて1日保管した後に、B型粘度計にて分散組成物の粘度を測定し、分散性を下記の基準に従って判断した。
(微粒子金属酸化物分散組成物の分散性に関する評価基準)
(評価) :(判定)
粘度値が0mPa・s以上、2000mPa・s未満 ;◎
粘度値が2000mPa・s以上、6000mPa・s未満 ;○
粘度値が6000mPa・s以上、14000mPa・s未満 ;△
粘度値が14000mPa・s以上 ;×
(評価方法2)経時での安定性
微粒子金属酸化物分散組成物の安定性が良好であれば次に示す加速試験前後の微粒子金属酸化物分散組成物の粘度変化は小さく、安定性が悪い場合は加速試験前後の粘度変化が大きくなる。ここでの加速試験とは50℃恒温槽に4週間保管することである。分散組成物を製造後、30℃恒温槽にて1日保管した後にB型粘度計で測定した粘度値と、50℃恒温槽に4週間保管した後30℃の恒温槽に1日保管した後に測定した粘度値を比較し、下記の基準に従って判断した。
(微粒子金属酸化物分散組成物の経時での安定性に関する評価基準)
(評価) :(判定)
粘度変化が0mPa・s以上、±1000mPa・s未満 ;◎
粘度変化が±1000mPa・s以上、±2000mPa・s未満 ;○
粘度変化が±2000mPa・s以上、±4000mPa・s未満 ;△
粘度変化が±4000mPa・s以上 ;×
(評価方法3)のびの良さ
微粒子金属酸化物分散組成物について化粧品評価専門パネル20名による使用テストを行った。パネル各人に各試料を使用してもらい、下記絶対評価基準にて6段階に評価し評点を付け、各試料のパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
絶対評価基準
(評点):(評価)
6点:非常に良好
5点:良好
4点:やや良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎:5点を超える
○:3.5点を超える5点以下
△:2点を超える3.5点以下
×:2点以下
表2に示したように、トリエトキシカプリリルシランで表面処理した微粒子金属酸化物とポリヒドロキシステアリン酸と流動パラフィンを含有した実施例1の微粒子金属酸化物分散組成物は、「分散性」、「経時での安定性」、「のびの良さ」の全項目において優れた微粒子金属酸化物分散組成物であった。一方、ポリヒドロキシステアリン酸を含まない比較例1、ポリヒドロキシステアリン酸のかわりに、ステアリン酸イヌリンを含有した比較例2、(パルミチン酸・オクタン酸)デキストリンを含有した比較例3、セスキオレイン酸ソルビタンを含有した比較例4、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマーを含有した比較例5、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体を含有した比較例6の微粒子金属酸化物分散組成物は、実施例1に比べ、「分散性」、「経時での安定性」、「のびの良さ」の全ての項目に劣っていた。
実施例2〜21および比較例7〜12;微粒子金属酸化物分散組成物
表3〜6に示す組成の微粒子金属酸化物分散組成物を下記の製造方法により調製し、各試料について、「分散性」、「経時での安定性」、「のびの良さ」について評価を行い、その結果も併せて表3〜6に示した。
(製造方法)
成分1〜26を均一に混合し、アシザワ(株)製のビーズミル(LMZ−0.6)にてジルコニアビーズ3mmを用い、ビーズ゛充填率60%、アジテーター回転数2000rpmにて5時間分散させ、微粒子金属酸化物分散組成物を得た。
表3〜6に示したように、トリエトキシカプリリルシランで表面処理した微粒子金属酸化物とポリヒドロキシステアリン酸と流動パラフィンを含有した実施例1〜16の微粒子金属酸化物分散組成物は、「分散性」、「経時での安定性」、「のびの良さ」の全項目において優れた微粒子金属酸化物分散組成物であった。一方、トリエトキシカプリリルシランで表面処理した微粒子金属酸化物のかわりに、(ジメチコン/メチコン)コポリマーで表面処理した微粒子金属酸化物を含有した比較例7、トリメトキシシリルジメチコンで表面処理した微粒子金属酸化物を含有した比較例8、トリメチルシロキシケイ酸で表面処理した微粒子金属酸化物を含有した比較例9、表面処理を何もしていない微粒子金属酸化物を含有した比較例10はいずれも、実施例1に比べ「分散性」、「経時での安定性」、「のびの良さ」の項目に劣っていた。
また、流動パラフィンのかわりにオクタン酸セチルを含有した実施例17、ジカプリン酸ジプロピレングリコールを含有した実施例18、イソヘキサデカンを含有した実施例19、流動パラフィンの一部をデカメチルシクロペンタシロキサンに置き換えた実施例20〜21の微粒子金属酸化物分散組成物も、「分散性」、「経時での安定性」、「のびの良さ」の全項目において優れた微粒子金属酸化物分散組成物であった。一方、流動パラフィンのかわりに、ジメチルポリシロキサンを含有した比較例11、デカメチルシクロペンタシロキサンを含有した比較例12は「分散性」、「経時での安定性」、「のびの良さ」の全ての項目に劣っていた。
実施例22〜24および比較例13〜15;油中水型乳化化粧料
表7に示す組成の油中水型乳化化粧料を下記の製造方法により調製し、各試料について、「経時での安定性」、「のびの良さ」について評価を行い、その結果も併せて表7に示した。
(注5) ISOLAN GPSI (デグッサ社製)
(製造方法)
成分(1)〜(9)を均一に混合したものに、成分(10)〜(14)を均一に混合したものを加え乳化し、脱泡して油中水乳化型化粧料を得た。
(評価方法4)経時での安定性
化粧料の安定性が良好であれば次に示す加速試験前後の化粧料の粘度変化は小さく、安定性が悪い場合は加速試験前後の粘度変化が大きくなる。ここでの加速試験とは50℃恒温槽に4週間保管することである。化粧料を製造後、30℃恒温槽にて1日保管した後にB型粘度計で測定した粘度値と、50℃恒温槽に4週間保管した後30℃の恒温槽に1日保管した後に測定した粘度値を比較し、下記の基準に従って判断した。
(経時での安定性に関する評価基準)
(評価) :(判定)
粘度変化が0mPa・s以上、±10000mPa・s未満 ;◎
粘度変化が±10000mPa・s以上、±20000mPa・s未満 ;○
粘度変化が±20000mPa・s以上、±40000mPa・s未満 ;△
粘度変化が±40000mPa・s以上 ;×
(評価方法5)化粧料におけるのびの良さ
化粧料について化粧品評価専門パネル20名による使用テストを行った。パネル各人に各試料を使用してもらい、下記絶対評価基準にて6段階に評価し評点を付け、各試料のパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
絶対評価基準
(評点):(評価)
6点:非常に良好
5点:良好
4点:やや良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎:5点を超える
○:3.5点を超える5点以下
△:2点を超える3.5点以下
×:2点以下
表7に示したように、トリエトキシカプリリルシランで表面処理した微粒子金属酸化物とポリヒドロキシステアリン酸と流動パラフィンを含有する微粒子金属酸化物分散組成物を配合した実施例22は、「経時での安定性」、「のびの良さ」の全項目において優れていた。トリエトキシカプリリルシランおよび(ジメチコン/メチコン)コポリマーで表面処理した微粒子金属酸化物とポリヒドロキシステアリン酸と流動パラフィンを含有する微粒子金属酸化物分散組成物を配合した実施例23、24も、「経時での安定性」、「のびの良さ」の全項目において優れていた。一方、ポリヒドロキシステアリン酸を含有せず、トリエトキシカプリリルシランで表面処理した微粒子金属酸化物と流動パラフィンのみで構成する微粒子金属酸化物分散組成物を配合した比較例13は、不均一な乳化状態であり、「経時での安定性」、「のびの良さ」の全項目において劣っていた。表面処理を何もしていない微粒子金属酸化物とポリヒドロキシステアリン酸と流動パラフィンを含有する微粒子金属酸化物分散組成物を配合した比較例14は、流動性が無く、「経時での安定性」、「のびの良さ」の全項目において劣っていた。流動パラフィンの替わりにシリコーン油を含有した微粒子金属酸化物分散組成物を配合した比較例15は、不均一な乳化状態であり、「経時での安定性」、「のびの良さ」の全項目において劣っていた。
実施例25〜27および比較例16〜18;水中油型乳化化粧料
表8に示す組成の水中油型乳化化粧料を下記の製造方法により調製し、各試料について、「経時での安定性」、「のびの良さ」について評価を行い、その結果も併せて表8に示した。
(注6) セピゲル305(SEPPIC社製)
(製造方法)
成分(1)〜(8)を均一に混合したものに、成分(9)〜(15)を均一に混合したものを加え乳化し、脱泡して水中油乳化型化粧料を得た。
表8に示したように、トリエトキシカプリリルシランで表面処理した微粒子金属酸化物とポリヒドロキシステアリン酸と流動パラフィンを含有する微粒子金属酸化物分散組成物を配合した実施例25は、「経時での安定性」、「のびの良さ」の全項目において優れていた。トリエトキシカプリリルシランおよび(ジメチコン/メチコン)コポリマーで表面処理した微粒子金属酸化物とポリヒドロキシステアリン酸と流動パラフィンを含有する微粒子金属酸化物分散組成物を配合した実施例26、27は、「経時での安定性」、「のびの良さ」の全項目において優れていた。ポリヒドロキシステアリン酸を含有せず、トリエトキシカプリリルシランで表面処理した微粒子金属酸化物と流動パラフィンのみで構成する微粒子金属酸化物分散組成物を配合した比較例16は、不均一な乳化状態であり、「経時での安定性」、「のびの良さ」の全項目において劣っていた。トリエトキシカプリリルシランで表面処理をしていない微粒子金属酸化物とポリヒドロキシステアリン酸と流動パラフィンを含有する微粒子金属酸化物分散組成物を配合した比較例17は、「経時での安定性」において劣っていた。流動パラフィンの替わりにシリコーン油を含有する微粒子金属酸化物分散組成物を配合した比較例18は、不均一な乳化状態であり、「経時での安定性」、「のびの良さ」の全項目において劣っていた。
実施例28:油中水型乳化日焼け止め化粧料
(成分) (%)
1.2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)
アニリノ]−1,3,5−トリアジン 1
2.メトキシケイヒ酸オクチル 7
3.オクトクリレン 5
4.トリイソステアリン酸ジグリセリル 5
5.部分架橋型オルガノポリシロキサンエラストマー (注7) 5
6.実施例9の微粒子金属酸化物分散組成物 10
7.軽質流動イソパラフィン 15
8.PEG−30ジポリヒドロキシステアリン酸 8
9.精製水 残部
10.1,2−ペンタンジオール 10
11.塩化ナトリウム 1
12.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
13.香料 適量
(注7):KSG43(信越化学工業社製)
(製造方法)
A:成分1〜4を90℃に加温して溶解し混合する。
B:Aに成分5〜8、13を加え混合する。
C:成分9〜12を溶解する。
D:BにCを加え乳化する。
E:脱泡して油中水型乳化日焼け止め化粧料を得た。
実施例28は、経時での安定性に優れ、のびの良い使用性の油中水型乳化日焼け止め化粧料であった。
実施例29:油中水型乳化下地
(成分) (%)
1.パルミチン酸デキストリン 2
2.酸化セリウム 3
3.微粒子酸化亜鉛 3
4.(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマー (注8) 2
5.ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 (注4) 1
6.ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 1
7.イソヘキサデカン 10
8.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエイト 3
9.実施例7の微粒子金属酸化物分散組成物 15
10.デカメチルシクロペンタシロキサン 3
11.PEG−30ジポリヒドロキシステアリン酸 3
12.ジイソステアリン酸ポリグリセリル 2
13.精製水 残部
14.エタノール 5
15.1,2−ペンタンジオール 1
(注8):KP−540(信越化学工業社製)
(注4):KF−6017(信越化学工業社製)
(製造方法)
A:成分1〜7を90℃に加温し、3本ロ−ラーで分散する。
B:Aに成分8〜12を加え90℃に加温し分散する。
C:Bを45℃まで冷却する。
D:成分13〜15を混合する
E:CにDを加え乳化する。
F:脱泡して油中水型乳化下地を得た。
実施例29は、経時での安定性に優れ、のびの良い使用性の油中水型乳化下地であった。
実施例30:水中油型乳化美容液
(成分) (%)
1.ジカプリン酸プロピレングリコール 3
2.イソドデカン 5
3.実施例5の微粒子金属酸化物分散組成物 20
4.メチルトリメチコン 5
5.ステアリン酸ナトリウム 1.5
6.セタノール 1.5
7.モノステアリン酸グリセリル 1
8.1,3−ブチレングリコール 10
9.セチルリン酸 1
10.モノステアリン酸ポリエチレングリコール(55モル) 0.5
11.精製水 残部
12.キサンタンガム 0.2
13.エタノール 5
14.1,2−ペンタンジオール 1
(製造方法)
A:成分1〜7を75℃に加温し混合する。
B:成分8〜14を75℃に加温し混合する。
C:BにAを加え乳化する。
D:Cを30℃まで冷却する。
E:Dを脱泡して水中油型乳化美容液を得た。
実施例30は、経時での安定性に優れ、のびの良い使用性の水中油型乳化美容液であった。
実施例31:木材用ラッカー
(成分) (%)
1.H1/4硝化綿 7.5
2.イソプロピルアルコール 22.5
3.酢酸ブチル 残部
4.酢酸エチル 15
5.ブタノール 10
6.トルエン 25
7.実施例1の微粒子金属酸化物分散組成物 3
(製造方法)
成分1〜7を25℃で混合して木材用ラッカーを得た。
実施例28は、経時での安定性に優れ、のびの良い木材用ラッカーであった。

Claims (9)

  1. 次の成分(a)〜(c):
    (a)トリアルコキシアルキルシランで表面処理された粒子径が1〜100nmである微粒子金属酸化物
    (b)ポリヒドロキシステアリン酸
    (c)炭化水素油及びエステル油よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の油剤
    を含有することを特徴とする微粒子金属酸化物分散組成物。
  2. 成分(a)のトリアルコキシアルキルシランによる表面処理量が、質量比で表面処理剤/微粒子金属酸化物=0.02〜0.25であることを特徴とする請求項1記載の微粒子金属酸化物分散組成物。
  3. 成分(a)の微粒子金属酸化物が更に(ジメチコン/メチコン)コポリマーで表面処理されていることを特徴とする請求項1または2記載の微粒子金属酸化物分散組成物。
  4. 成分(a)の含有量が30〜70質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の微粒子金属酸化物分散組成物。
  5. 成分(a)と成分(b)の含有質量比(b)/(a)が0.01〜0.5であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の微粒子金属酸化物分散組成物。
  6. 成分(c)の含有量が20〜80質量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の微粒子金属酸化物分散組成物
  7. 成分(c)が、40℃における粘度が16mm/s以下の炭化水素油及び炭素数27以下のエステル油よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の油剤であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載の微粒子金属酸化物分散組成物。
  8. 成分(c)が、イソドデカン、イソテトラデカン、イソヘキサデカン、40℃における粘度が11mm/s以下の流動パラフィン、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル及び2−エチルヘキサン酸セチルよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の油剤であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載の微粒子金属酸化物分散組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかの項に記載の微粒子金属酸化物分散組成物を配合することを特徴とする化粧料。
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