JP5770020B2 - 無機材料の製造方法 - Google Patents
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Description
現行のリチウム二次電池の代わりに、ナトリウム二次電池を使用することができれば、資源枯渇の心配をすることなくして、例えば、車載用二次電池や分散型電力貯蔵用二次電池などの大型二次電池を大量に生産することが可能となる。
<1> 以下の式(1)で表されるリチウム含有複合金属酸化物の少なくとも一部を、電気化学的処理により層状型結晶構造をもつナトリウム含有複合金属酸化物へ変化させることを特徴とする無機材料の製造方法。
LiaAbMcOd (1)
(式(1)において、AはNaおよびKからなる群より選ばれる1種以上の元素、Mは1種以上の遷移金属元素を表し、0<a≦1.5、0≦b<1.5、0<c≦3、0<d≦6、かつ、0<a+b≦1.5である。)
<2> 前記リチウム含有複合金属酸化物が、スピネル型結晶構造を有する前記<1>記載の無機材料の製造方法。
<3> 前記<1>又は<2>に記載の製造方法によって得られてなる無機材料。
<4> 前記<3>記載の無機材料を活物質として有するナトリウム二次電池用電極。 <5> 前記<4>に記載の電極を正極として有するナトリウム二次電池。
本発明の無機材料を正極活物質として用いれば、製造時に大気中での取り扱いが容易で、かつ充放電を繰り返した後の放電容量が大きいナトリウム二次電池を提供することができる。
LiaAbMcOd (1)
(式(1)において、AはNaおよびKからなる群より選ばれる1種以上の元素、Mは1種以上の遷移金属元素を表し、0<a≦1.5、0≦b<1.5、0<c≦3、0<d≦6、かつ、0<a+b≦1.5である。)
なお、電気化学的処理についての詳細は後述する。
まず、上記式(1)で表されるリチウム含有複合金属酸化物について説明する。
式(1)で表されるリチウム含有複合金属酸化物に含まれる遷移金属MとしてはCo、Ni、MnおよびFeからなる群より選ばれる1種以上の元素であることが好ましい。また、Mの一部を、上記の4元素以外の金属元素で置換してもよい。置換により、非水電解質二次電池の電池特性が向上する場合がある。Mを置換する金属としてはLi、K、Ag、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Ga、In、Ti、V、Cr、Cu、Zn、Sc、Y、Nb、Mo、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Ho、Er、Tm、YbおよびLu等の金属元素が挙げられる。
すなわち、LiFeO2、LiMnO2、LiNiO2およびLiCoO2等のLiMO2で表される層状型結晶構造を有する酸化物(但し、Mは1種以上の遷移金属元素を表す。);
Li0.7Mn1-c1M1 c1Od1で表される層状型結晶構造を有する酸化物(但し、M1はMnを除く1種以上の遷移金属元素を表し、0<c1<1、1.9≦d1≦2.1である。);
Lia1(Mn1-c1M1 c1)2O4で表されるスピネル型結晶構造を有する酸化物(但し、M1はMnを除く1種以上の遷移金属元素を表し、0<a1≦1.5、0≦c1≦1である。);
Li0.44Mn1-c1M1 c1O2で表されるトンネル型結晶構造を有する酸化物(但し、M1はMnを除く1種以上の遷移金属元素を表し、0<c1<1である。);
等が挙げられる。
上記式(1)で表されるリチウム含有複合金属酸化物は、目的とするリチウム含有複合金属酸化物となる組成を有する原料を焼成することによって製造できる。該原料としては金属含有化合物の混合物が挙げられる。具体的には、対応する金属元素を含有する金属含有化合物をそれぞれ所定の組成となるように秤量し、それらを混合して、混合物を得る。得られた混合物を焼成することによって複合金属酸化物を製造できる。好ましい金属元素比の一つとしてLi:Mn=1:2の金属元素比を有するリチウム含有複合金属酸化物は、Li2CO3、MnO2の各原料を、Li:Mnのモル比が1:2となるように秤量し、それらを混合し、得られた混合物を焼成することによって製造できる。
リチウム化合物の例としては、水酸化リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウム、過酸化リチウム、硫酸リチウム、炭酸水素リチウム、蓚酸リチウムおよび炭酸リチウムからなる群より選ばれる1種以上の化合物が挙げられ、これらの化合物は水和物であってもよい。取り扱い性の観点では吸湿性が低いために炭酸リチウムが好ましく、製造コストの観点では低温での反応性が高いために水酸化リチウムが好ましい。水酸化リチウムを用いれば、比較的低い焼成温度で焼成できる。これらの化合物は、水和物であってもよい。
本発明の無機材料の製造方法において、上記式(1)で表されるリチウム含有複合金属酸化物を、電気化学的処理により層状型結晶構造をもつナトリウム含有複合金属酸化物へ変化させるための条件は、記式(1)で表されるリチウム含有複合金属酸化物の少なくとも一部が、電気化学的に層状型結晶構造をもつナトリウム含有複合金属酸化物へ変化する条件であればよく、対象となるリチウム含有複合金属酸化物の種類や、最終的に得られる無機材料におけるリチウム含有複合金属酸化物とナトリウム含有複合金属酸化物との比率などにより適宜決定される。
(1)Na金属基準で3.8V以上、好ましくは4.0V以上まで充電(Liなどアルカリ金属元素を抜く)する。
(2)Na金属基準で3.5V以下、好ましくは3.0V以下まで放電(Naを挿入)する。
本発明の無機材料を、電池用の電極活物質として使用する場合、特にナトリウム二次電池の正極活物質として好適である。これは、本発明の無機材料は、ナトリウムイオンを主に含有する非水電解質中において、ナトリウムイオンをドープ・脱ドープできるのみならず、詳細な理由は現段階では明らかではないが、充放電を繰り返した後に放電容量が大きくなる傾向にある。そのため、正極として、本発明の無機材料を含む活物質を有する電極を用いることにより、高容量のナトリウム二次電池を得ることができる。
正極は、上記に記載した本発明の無機材料を正極活物質として含有する。正極は、正極活物質、導電材およびバインダーを含む正極合剤を、正極集電体に担持させて製造できる。
本発明のナトリウム二次電池について説明する。
本発明のナトリウム二次電池は、上述の本発明の無機材料からなる活物質を有する正極、負極およびナトリウムイオンを主に含有する非水電解質を有する。なお、本発明のナトリウム二次電池は、通常、さらにセパレータを有する。
以下、本発明のナトリウム二次電池の正極以外の構成要素、電池の形態および用途について説明する。
本発明のナトリウム二次電池において非水電解質とは、アルカリイオンを含有する物質からなる液体または固体であって、アルカリイオンとして主にナトリウムイオンを含有する。
該非水電解質は、ナトリウムイオン以外にアルカリイオンを含んでいてもよく、ナトリウムイオン以外のアルカリイオンとしては、リチウムイオンおよび/またはカリウムイオンが好ましい。
該電解液における電解質の例としては、NaClO4、NaPF6、NaAsF6、NaSbF6、NaBF4、NaCF3SO3、NaN(SO2CF3)2、低級脂肪族カルボン酸ナトリウム塩、NaAlCl4が挙げられる。これらの2種以上の混合物を使用してもよい。該電解質として、NaPF6、NaAsF6、NaSbF6、NaBF4、NaCF3SO3およびNaN(SO2CF3)2からなる群より選ばれる少なくとも1種のフッ素含有ナトリウム塩を含むことが好ましい。
固体電解質としては、例えば、ポリエチレンオキサイド系の高分子、ポリオルガノシロキサン鎖およびポリオキシアルキレン鎖から選ばれる少なくとも1種以上を含む高分子などの高分子固体電解質に電解液を保持させた、いわゆるゲルタイプの電解質や、
Na2S−SiS2、Na2S−GeS2、Na2S−P2S5、Na2S−B2S3、Na2S−SiS2−Na3PO4、Na2S−SiS2−Na2SO4などの硫化物含有電解質;NaZr2(PO4)3などのNASICON型電解質;などの無機固体電解質が挙げられる。
このような固体電解質を用いると、二次電池の安全性をより高めることができることがある。なお、二次電池において、固体電解質を用いる場合には、固体電解質がセパレータの役割を果たす場合もあり、その場合には、セパレータを必要としないこともある。
本発明のナトリウム二次電池における負極として、正極よりも低い電位においてナトリウムイオンでドープされることができ、かつ、脱ドープされることができる電極が用いられる。
負極としては、具体的には、負極材料を含む負極合剤が負極集電体に担持された電極、または負極材料単独からなる電極が挙げられる。
負極材料としては、炭素材料、カルコゲン化合物(酸化物、硫化物など)、窒化物、金属または合金で、正極よりも低い電位で、ナトリウムイオンでドープされることができかつ脱ドープされることができる材料が挙げられる。これらの負極材料は混合されてもよい。
これらの炭素材料、酸化物、硫化物、窒化物は、併用してもよく、結晶質または非晶質のいずれでもよい。これらの炭素材料、酸化物、硫化物、窒化物は、主に、負極集電体に担持されて、負極として用いられる。
負極材料としての金属の例として、具体的には、ナトリウム金属、シリコン金属、スズ金属、ビスマス金属、ゲルマニウム金属などが挙げられる。合金の例としては、前記負極材料として例示された金属からなる合金や、Na−Al、Na−Ni、Na−Siなどのナトリウム合金;Si−Znなどのシリコン合金;Sn−Mn、Sn−Co、Sn−Ni、Sn−Cu、Sn−Laなどのスズ合金;Cu2Sb、La3Ni2Sn7などの合金が挙げられる。これらの金属、合金は、主に、単独で電極として用いられる(例えば箔状で用いられる。)。
ナトリウム二次電池は、通常、セパレータを有する。本発明のナトリウム二次電池で用いることができるセパレータとしては例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、含窒素芳香族重合体などの材質からなる、多孔質フィルム、不織布、織布などの形態を有する材料を用いることができる。また、これらの材質を2種以上用いた単層または積層セパレータとしてもよい。セパレータとしては、例えば特開2000−30686号公報、特開平10−324758号公報等に記載のセパレータを挙げることができる。セパレータの厚みは、電池の体積エネルギー密度が上がり、内部抵抗が小さくなるという点で、機械的強度が保たれる限り薄いほど好ましい。セパレータの厚みは一般に、5〜200μm程度が好ましく、より好ましくは5〜40μm程度である。
セパレータとして、耐熱樹脂を含有する耐熱多孔層と熱可塑性樹脂を含有する多孔質フィルムとが積層された積層多孔質フィルムからなるセパレータを用いることにより、熱破膜をより防ぐことが可能となる。ここで、耐熱多孔層は、多孔質フィルムの両面に積層されていてもよい。
ナトリウム二次電池は、正極、セパレータ、負極およびセパレータをこの順に積層、または積層かつ巻回することにより得られる電極群を、電池缶などの電池ケース内に収納し、該ケース内に、電解質および有機溶媒を含有する電解液を注入することによって、製造できる。
なお、セパレータを有さない場合には、ナトリウム二次電池は、例えば、正極、固体電解質、負極および固体電解質をこの順に積層する、または積層かつ巻回することにより得られる電極群を、電池缶などの電池ケース内に収納して、製造できる。
本発明のナトリウム二次電池は、エネルギー密度が高いことから、携帯電話、携帯オーディオ、ノートパソコン等の小型機器用電源である小型電池、自動車、自動二輪車、電動椅子、フォークリフト、電車、飛行機、船舶、宇宙船、潜水艦等の輸送機器用電源;耕運機等の機械用電源;キャンプ用途等の屋外電源;自動販売機用途等の屋外/屋内電源などの移動用電池である中・大型電池として好適である。
電極活物質として後述する複合金属酸化物、導電材としてアセチレンブラック(電気化学工業株式会社製)、およびバインダーとしてPVDF(Polysciences社製、PolyVinylideneDiFluoride)を使用し、複合金属酸化物:アセチレンブラック:PVDF=8:1:1(重量比)の組成となるようにそれぞれ秤量した。その後、まず複合金属酸化物とアセチレンブラックをメノウ乳鉢で十分に混合して得られた混合物に、N−メチル−2−ピロリドン(NMP:東京化成工業株式会社製)を適量加え、さらにPVDFを加えて引き続き均一になるように混合して、スラリー化した。得られたスラリーを、集電体であるステンレスメッシュ上に塗布し、これを乾燥機に入れ、NMPを除去させながら、十分に乾燥することによって電極(正極)を得た。
ビーカーセル(高さ80mm、直径30mmの瓶を用いたもの)のリード線のクリップに正極を挟み、そして電解液、および負極としてのアルカリ金属を組み合わせて、電池を作製した。なお、電池の組み立てはアルゴン雰囲気のグローブボックス内で行った。
測定は、株式会社リガク製の粉末X線回折測定装置RINT2500TTR型を用いて、以下の条件で行った:
X線 :CuKα
電圧−電流 :40kV−140mA
測定角度範囲:2θ=10〜90°
ステップ :0.02°
スキャンスピード:4°/分
Carl Zeis社のFE-SEM(supra40)を使用し、加速電圧10kVの条件で測定した。
(1)複合金属酸化物の製造
金属含有化合物として、炭酸ナトリウム(Na2CO3:和光純薬工業株式会社製:純度99.8%)、および酸化マンガン(II、III)(Mn2O3:株式会社高純度化学研究所製:純度99%)を用い、Na:Mnのモル比が1.00:1.00となるように秤量し、乾式ボールミルで4時間にわたって混合して、金属含有化合物の混合物を得た。得られた金属含有化合物の混合物を、アルミナボートに充填し、電気炉を用いて空気雰囲気において加熱して800℃で24時間にわたって保持して焼成した。焼成は1回行った。このようにして製造例1のナトリウム含有複合金属酸化物C1を得た。
複合金属酸化物C1のX線回折測定結果を図1(d)に示す。X線回折測定の結果、複合金属酸化物C1は、層状型結晶構造を有するNaMnO2であった。
(2)ナトリウム二次電池の充放電性能評価
ナトリウム含有複合金属酸化物C1を用いて電極を作製し、該電極をナトリウム二次電池の正極として用い、電解液にNaClO4/PC(キシダ化学株式会社製)、対極にナトリウム金属(アルドリッチ社製)を用いた電池B1を作製し、以下の条件で定電流充放電試験を実施した。
充電は、4.0Vまで0.1Cレート(10時間で完全充電する速度)でCC(コンスタントカレント:定電流)充電することにより行った。放電は、該充電速度と同じ速度で、CC放電を行い、電圧2.0Vでカットオフすることにより行った。次サイクル以降の充電、放電は、該充電速度と同じ速度で行い、1サイクル目と同様に、充電電圧4.0V、放電電圧2.0Vでカットオフした。
(1)複合金属酸化物の製造
金属含有化合物として、炭酸リチウム(Li2CO3:和光純薬工業株式会社製:純度99.8%)、および酸化マンガン(II、III)(Mn2O3:株式会社高純度化学研究所製:純度99.9%)を用い、Li:Mnのモル比が1.00:2.00となるように秤量し、乾式ボールミルで4時間にわたって混合して、金属含有化合物の混合物を得た。得られた金属含有化合物の混合物を、アルミナボートに充填し、電気炉を用いて空気雰囲気において加熱して700℃で12時間にわたって保持して焼成した。焼成は1回行った。このようにして製造例2のリチウム含有複合金属酸化物C2を得た。
複合金属酸化物C2のX線回折測定結果を図1(a)に示す。X線回折測定の結果、複合金属酸化物C2は、スピネル型結晶構造を有するLiMn2O4であった。
(2)ナトリウム二次電池の充放電性能評価
リチウム含有複合金属酸化物C2を用いて電極を作製し、該電極をナトリウム二次電池の正極として用い、電解液にNaClO4/PC(キシダ化学株式会社製)、対極にナトリウム金属(アルドリッチ社製)を用いた電池B2を作製し、以下の条件で定電流充放電試験を実施した。
充電は、4.0Vまで0.1Cレート(10時間で完全充電する速度)でCC(コンスタントカレント:定電流)充電することにより行った。放電は、該充電速度と同じ速度で、CC放電を行い、電圧2.0Vでカットオフすることにより行った。次サイクル以降の充電、放電は、該充電速度と同じ速度で行い、1サイクル目と同様に、充電電圧4.0V、放電電圧2.0Vでカットオフした。
ここで、電池B1と電池B2における放電容量及び放電容量維持率を対比すると、層状型結晶構造のNaMnO2として合成された複合金属酸化物C1を正極活物質として有する電池B1より、無機材料P1を正極活物質を正極活物質として有する電池B2の方が、放電容量及び放電容量維持率が高いことが分かった。
このことから、無機材料P1は、ナトリウム二次電池の活物質として適していることがわかった。
(1)複合金属酸化物の製造
金属含有化合物として、炭酸リチウム(Li2CO3:和光純薬工業株式会社製:純度99.8%)、および酸化コバルト(II、III)(Co3O4:株式会社高純度化学研究所製:純度99%)を用い、Li:Coのモル比が1.00:1.00となるように秤量し、乾式ボールミルで4時間にわたって混合して、金属含有化合物の混合物を得た。得られた金属含有化合物の混合物を、アルミナボートに充填し、電気炉を用いて空気雰囲気において加熱して700℃で12時間にわたって保持して焼成した。焼成は1回行った。このようにして製造例3のリチウム含有複合金属酸化物C3を得た。複合金属酸化物C3のX線回折測定結果及びSEM像をそれぞれ図3(a)、図4(a)に示す。
X線回折測定の結果、複合金属酸化物C3は、層状型結晶構造を有するLiCoO2であった。
(2)ナトリウム二次電池の充放電性能評価
複合金属酸化物C3を用いて電極を作製し、該電極をナトリウム二次電池の正極として用い、電解液にNaClO4/PC(キシダ化学株式会社製)、対極にナトリウム金属(アルドリッチ社製)を用いた電池B3を作製し、実施例1と同様の条件で定電流充放電試験を実施した。
この電池B3について、充放電1サイクル目の放電容量は、119mAh/gであり、充放電10サイクル目の放電容量を120mAh/gであった。充放電1サイクル目の放電容量に対する、充放電10サイクル目の放電容量の割合(放電容量維持率)は、101%であった。
また、この電池B3の正極について、充放電1サイクル後、10サイクル後のX線回折測定結果をそれぞれ図3(b)、図3(c)に示す。X線回折測定の結果から、複合金属酸化物C3におけるLiCoO2は、充放電サイクルを行うことにより、層状構造を有するNaxCoO2(但し、0.6≦x≦0.9)に変化し、該ナトリウム含有複合金属酸化物を含む無機材料P2が製造できることが確認された。
また、充放電1サイクル後のSEM像を図4(b)に示すが、充放電サイクル前の複合金属酸化物C3(図4(a))と比較して、粒子表面や形態に目立った変化は確認されなかった。
リチウム含有複合金属酸化物C4として、株式会社日本化学工業製のLiCo0.33Mn0.33Ni0.33O2を使用した。複合金属酸化物C4のX線回折測定結果を図5(a)に示す。X線回折測定の結果、複合金属酸化物C4は、層状型結晶構造を有するLiCo0.33Mn0.33Ni0.33O2であることが確認された。
(2)ナトリウム二次電池の充放電性能評価
複合金属酸化物C4を用いて電極を作製し、該電極をナトリウム二次電池の正極として用い、電解液にNaClO4/PC(キシダ化学株式会社製)、対極にナトリウム金属(アルドリッチ社製)を用いた電池B4を作製し、比較例1と同様の条件で定電流充放電試験を実施した。この電池B4について、充放電1サイクル目の放電容量は、142mAh/gであり、充放電10サイクル目の放電容量を155mAh/gであった。充放電1サイクル目の放電容量に対する、充放電10サイクル目の放電容量の割合(放電容量維持率)は、109%であった。
また、この電池B4の正極について、充放電1サイクル後、10サイクル後のX線回折測定結果をそれぞれ図5(b)、図5(c)に示す。X線回折測定の結果から、複合金属酸化物C4におけるLiCo0.33Mn0.33Ni0.33O2は、充放電サイクルを行うことにより、層状構造を有するNa x Co 0.33 Mn 0.33 Ni 0.33 O 2 (但し、x≒1)に変化し、該ナトリウム含有複合金属酸化物を含む無機材料P3が製造できることが確認された。
また、充放電1サイクル後のSEM像を図6(b)に示すが、充放電サイクル前の複合金属酸化物C4(図6(a))と比較して、粒子表面や形態に目立った変化は確認されなかった。
Claims (1)
- スピネル型結晶構造を有し、以下の式(1)で表されるリチウム含有複合金属酸化物の少なくとも一部を、電気化学的処理により層状型結晶構造をもつナトリウム含有複合金属酸化物へ変化させることを特徴とする無機材料の製造方法。
LiaAbMcOd (1)
(式(1)において、AはNaおよびKからなる群より選ばれる1種以上の元素、MはCo、Ni、MnおよびFeからなる群より選ばれる1種以上の元素を表し、0<a≦1.5、0≦b<1.5、0<c≦3、0<d≦6、かつ、0<a+b≦1.5である。)
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