JP5767000B2 - 油中水型化粧料 - Google Patents
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Description
視覚的演出の1つとして、使用中の色調変化が挙げられるが、これを意図した化粧料として、pH等による色調変化を利用した化粧料(例えば特許文献1、2)の提案がなされており、メイクアップ化粧料としては、圧縮崩壊性のある軟質樹脂カプセルに着色顔料を内包する技術(特許文献3参照)が知られている。
従って、本発明は、化粧料を塗布する際のなめらかな伸び広がりを阻害することなく、劇的な色調変化を得られるメイクアップ化粧料の提供を、その課題とするものである。
カラギーナンは、α(1→3)結合およびβ(1→4)結合を交互に繰り返してなる直鎖状のガラクタンである。β(1→4)結合しているガラクトースユニットは、一部あるいは全部が3,6−アンヒドロ−D−ガラクトースおよびその硫酸エステルとして存在している。組成構造によりカッパ、イオタ、ラムダの3種類のカラギーナンがあるが、本発明においては、凝集体を得られやすいという観点から、カッパ及びイオタカラギーナンが好ましいものである。カッパカラギーナンは、α(1→3)−D−ガラクトース−4−サルフェイト、β(1→4)−3,6−アンヒドロ−D−ガラクトースからなっており、イオタカラギーナンは、カッパカラギーナン同様の構造を有しているが、全てのβ(1→4)−3,6−アンヒドロ−D−ガラクトースに2−サルフェイトエステルグループが存在していることが特徴である。3,6のグルコシド結合を有するカッパ及びイオタカラギーナンは熱可逆性のゲルをつくり、そのゲル強度は強いものである。このようなカッパタイプの市販品としては、GENUGEL carrageenan type SWG−J(CPケルコ ジャパン社製)、イオタタイプの市販品としては、GENU VISCOTYPE J−J(コペンハーゲン ペクチン ファクトリー社製)等がある。
軟凝集粒子に係わる水溶性高分子と無機着色顔料の質量比が1:20〜1:200の範囲であれば、なめらかに崩れる軟凝集粒子が得られ、使用中の色調変化が速やかな油中水型化粧料を得ることが出来る。なお、本発明における適度な凝集状態(なめらかに崩れる)とは、油中水型化粧料を製造する際には、軟凝集粒子が崩れることなく内水相中に存在し、無機着色顔料の色は見えないが、化粧料の使用に際して、手指あるいは化粧用スポンジなどの摩擦力によって初めて軟凝集粒子が崩れて発色する状態のことを指す。
水溶性高分子の量が無機着色顔料の量に比べて少なすぎると、軟凝集粒子が保たれず、油中水型化粧料の製造時に外油相に着色顔料が移相して発色してしまう場合があり、逆に多すぎる場合は、軟凝集粒子が固すぎて、肌上に塗布した際、なめらかに崩れず発色しづらい場合がある。
軟凝集粒子の平均粒径は、10〜200μm、特に20〜100μmが好ましい。この範囲であれば、化粧料として劇的な色調変化を得られやすく、経時安定性も良好である。
本発明における油中水型化粧料とは、肌上に塗擦することにより色調変化することを特徴とするものであるが、例えば、外観色が白い化粧料を塗擦すると、肌色の化粧膜が得られるといった、化粧料の外観色からは予想しがたい着色効果を意図したメイクアップ化粧料である。メイクアップ化粧料としての着色効果は、主に軟凝集粒子中の無機着色顔料に由来するが、本発明の油中水型化粧料における無機着色顔料の含有量は、0.5〜30質量%(以下、単に%と略す)が好ましく、特に2〜10%が好ましい。この範囲内で用いると、塗布後の化粧膜として自然なメイクアップ効果が得られる。
白色顔料としては、化粧料一般に使用される粉体であればよく、板状、紡錘状、針状等の形状、粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、複合粉体類等、いずれのものでもよい。具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン・酸化チタン焼結物、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、雲母、白雲母、ベントナイト、スメクタイト、珪ソウ土、ヒドロキシアパタイト、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、合成金雲母、魚燐箔、二酸化チタン被覆ガラスフレーク、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の光輝性粉体類、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、N−アシルリジン等の有機粉体類、澱粉、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体等が挙げられる。特に、塗布前の油中水型化粧料の外観色と、塗擦後の化粧膜の外観色との色差を顕著に演出するためには、外油相中に、酸化チタン、酸化亜鉛を配合することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等、酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、1,2−ペンタンジオール、フェノキシエタノール等が挙げられる。
実施例1〜7 油中水型リキッドファンデーション
表1に示す組成及び下記の製法で、油中水型リキッドファンデーションの実施例サンプル1〜7及び比較例サンプル1〜4を調製し、下記の評価方法により各サンプルの評価を行った。その結果も併せて表1に示す。
A:No.1〜5を室温にて3本ローラーにて分散する。
B:AにNo.6〜12を加えて、デスパ400rpmにて軟凝集粒子分散液を得る。
C:No.13〜16を均一に溶解して、Bを加え、均一に懸濁させる(内水相)。
D:No.17〜25をデスパ2000rpm、にて、混合分散する(外油相)。
E:DにCを加え、デスパ2500rpmにて乳化し、油中水型リキッドファンデーションを得た。
イ.軟凝集粒子の大きさ
各サンプルを光学顕微鏡にて観察し、軟凝集粒子の大きさを計測した。
ロ.凝集状態
各サンプルの製造直後の軟凝集粒子の凝集状態を目視により判定した。
(判定基準)
◎:凝集体中の顔料が外油相に移相することなく、軟凝集粒子を確認することができる。
○:凝集体中の顔料の一部が外油相に移相するが、軟凝集粒子を確認することができる。
△:凝集体中の顔料の大半が外油相に移相し、軟凝集粒子を確認しにくい。
×:凝集体中の顔料が外油相に移相し、軟凝集粒子がない。
ハ.塗布時の色調変化
各サンプルを化粧用スポンジに取り、前腕内部肌上への塗布動作(手首から肘側に向かって10cm程度の長さで塗布)の際、軟凝集粒子がなめらかに崩れて速やかに発色するかどうかを評価した。
(判定基準)
◎:1〜5回の動作にて速やかに発色する。
○:6〜10回の動作にて発色する。
△:11〜15回の動作にて発色するが、色むらがある。
×:16回以上の動作でも発色しない。
二.色差ΔE
各サンプルについて、塗布前の化粧料の外観色については、透明セルに流し込んだ化粧料の色を、また、塗擦後の化粧膜の外観色については、A4白色用紙(G70 FUJI XEROX社製)上の直径5cmの円内にサンプルを0.05gのせ、指により均一に塗布し発色させ、室温にて5分間乾燥した後の色を、それぞれ分光式色彩計SE−2000(日本電色工業株式会社)を用いて測定し、ハンター表色系のΔE値で算出した。
<処方> (%)
1.軟凝集粒子分散液 *5 20
2.アルコール 7
3.防腐剤 0.1
4.塩化ナトリウム 0.5
5.精製水 適量
6.酸化亜鉛 5.5
7.タルク 4.4
8.シリコーン油 *6 3
9.シリコーン系活性剤 *2 1.1
10.ベントナイト 1.2
11.シリコーン油 *1 14.8
12.アルコール 0.5
13.シリコーン系活性剤 *7 2
14.シリコーン油 *8 7.5
*5:実施例1の成分1〜12を製造方法A,Bを用いて得られたもの
*6:シリコンKF−96(10CS)(信越化学社製)
*7:シリコンKF−6104(信越化学社製)
*8:SH245(東レダウ社製)
<製法>
A:1〜5を混合し、水系成分を作製する。
B:6〜14をデスパにて分散処理する。
C:BにAを注入し、乳化する。
<結果>
実施例8の油中水型コントロールカラーは、肌上への塗布動作により容易に崩壊して速やかに発色するものであった。
<処方> (%)
1.軟凝集粒子分散液 *5 20
2.アルコール 7
3.防腐剤 0.1
4.塩化ナトリウム 0.5
5.精製水 適量
6.酸化チタン 5.5
7.タルク 4.4
8.ポリエチレンワックス 3
9.シリコーン系活性剤 *9 5
10.シリコーン油 *1 25
*9:ABIL EM90(エボニックデグサジャパン社製)
<製法>
A:1〜4を混合し、水系成分を作製する。
B:5〜10をデスパにて分散処理する。
C:BにAを注入し、乳化する。
D:Cを70℃に溶解し、化粧品用金皿に流し込み、室温にて冷却固化する。
<結果>
実施例9の油中水型固形ファンデーションは、肌上への塗布動作により容易に崩壊して速やかに発色するものであった。
Claims (4)
- カラギーナン及び/又はキサンタンガムを含む水溶性高分子と、酸化鉄を含む無機着色顔料とから構成される軟凝集粒子を、内水相に含有する油中水型化粧料であって、塗布前の化粧料の外観色とは異なる色調の化粧膜を塗布部位に付与することを特徴とする油中水型化粧料。
- 軟凝集粒子の平均粒子径が10μm〜200μmであることを特徴とする請求項1に記載の油中水型化粧料。
- 外油相に白色顔料を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の油中水型化粧料。
- ハンター表色系における、塗布前の化粧料の外観色と、白紙片上に塗布した化粧膜の表面色との色差ΔEが5以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の油中水型化粧料。
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