JP5766955B2 - 燻蒸用フィルム、燻蒸袋、及び燻蒸方法 - Google Patents

燻蒸用フィルム、燻蒸袋、及び燻蒸方法 Download PDF

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Description

本発明は、樹木や木材、建築物、美術工芸品、家具、生活用品、畜舎、パレットやケース、梱包材等の加工品、果実、穀物、土壌等を燻蒸処理するために使用される生分解性の燻蒸用フィルムまたはシート、燻蒸用袋、及び、該フィルム、シートまたは袋を使用する燻蒸方法に関する。
近年、自然環境の保全や環境衛生思想の普及などを踏まえて、樹木や木材、建築物、美術工芸品、家具、生活用品、畜舎、パレットやケース、梱包材等の加工品、果実、穀物、土壌等に対して、害虫駆除や有害な動植物の除去等を目的として、燻蒸作業が盛んに行われるようになってきた。
燻蒸処理とは、熱により揮散したガス状の活性物質、または、熱、紫外線、水分等の作用によって反応または分解して発生した揮散性のガス状活性物質を、土壌中に拡散させ、または、室内や容器内に充満させて、有害生物、病原菌、雑草等を除去するものである。
例えば、土壌燻蒸による殺菌剤、殺虫剤として、ダゾメット剤やカーバム剤が、トマト青枯病、カボチャ立枯病、コマツナ萎黄病、カブ根こぶ病、ネギ黒腐菌核病に対して使用されている。カーバム剤及びカーバムナトリウム塩剤は、ハクサイ黄化病、キャベツ根こぶ病及びバーティシリウム萎ちょう病、ホウレンソウ萎ちょう病に対しても使用されている。また、輸入木材の燻蒸や松食い虫の燻蒸駆除にもカーバム剤及びカーバムナトリウム塩剤が使用されている。燻蒸剤としては、上記の外、例えばクロルピクリン、D−D剤(ジクロルプロパンとジクロルプロペン混合物)、イソチオシアン酸メチル等があり、カーバム剤及びカーバムナトリウム塩剤はD−D剤と併用されることもある。
一方、従来燻蒸剤として広く使用されてきた臭化メチルは、モントリオール議定書でオゾン層破壊物質に指定され、使用が禁止される状況にあり、不可欠用途に使用する場合は、臭化メチルの放出を最小限とすることを確保する措置の実施促進が求められている。
燻蒸作業を行う際には、燻蒸効果を向上させ、かつ殺菌剤や殺虫剤及びそれらに由来する刺激臭の飛散を防ぐために、通常、プラスチック製の燻蒸用フィルムまたはシート、または燻蒸用袋(以下、これらを総称して「燻蒸用フィルムまたはシート等」ということがある。)を樹木や土壌等の被燻蒸物に被せることが行われている。燻蒸用フィルムまたはシートを被せた状態で数時間〜数週間にわたり燻蒸処理を行い、燻蒸処理終了後少なくとも48時間経過後に、燻蒸用フィルムまたはシート等を取り除き、被燻蒸物に燻蒸ガスの影響の残留がないことを確認した後に、被燻蒸物は使用に供される。松食い虫駆除の場合は、さらに1月を超える長期間にわたり燻蒸用フィルムまたはシート等による被覆を継続し、必要に応じ再度燻蒸を行う。また、土壌燻蒸の場合は、数か月間以上燻蒸用フィルムまたはシートで被覆したままとすることが多い。
被燻蒸物を被覆した燻蒸用フィルムまたはシート等は、最終的に回収され廃棄される。従来、これら燻蒸用フィルムまたはシート等としては、塩化ビニル、ポリエチレン等の素材が使用されていた。しかし、これらのフィルム、シート、袋状物はガスバリア性が低いために、殺菌剤、殺虫剤の透過を防ぐことが困難であり、燻蒸効果の向上や、使用者等の安全や健康、刺激臭の飛散防止には課題があった。ガスバリア性の課題を解決するために、ガスバリア性の高い素材を用いたり、燻蒸用フィルムまたはシートを厚くしたり、積層構造にするなどの改良が提案されている。例えば、特開平8−325108号公報(特許文献1)には、ポリエチレンテレフタレート(厚み12μm)フィルムや、エチレンビニルアルコール共重合物ポリエチレン共押し出しフィルム(厚み50μm)などが開示され、特開2008−307042号公報(特許文献2)には、ポリブチレンテレフタレートの基材層とポリビニルアルコールのガスバリア層とからなる燻蒸用シートが開示されている。
燻蒸用フィルムまたはシート等は、使用後に、林野や農地から回収して廃棄処理することが必要な場合がある。この回収や処分には、山中など燻蒸処理を行った場所から廃棄処理施設まで大量の燻蒸用フィルムまたはシート等を運搬するために多大な労力や費用がかかるばかりか、処分方法に応じてさまざまな環境汚染を引き起こすことがあった。すなわち、プラスチック製の燻蒸フィルムまたはシート等を最終的に土壌中に埋設処理する場合は、長期間にわたりプラスチック製品が蓄積され続けるとともに、埋没地の地盤軟弱化を引き起こすおそれがある。また、プラスチックの種類によっては、焼却処理により、燃焼時の高熱で焼却炉の破損をもたらしたり、ダイオキシンなどの有害物質を排出したりするおそれがある。
そこで、プラスチック製の燻蒸フィルムまたはシート等の素材に、生分解性プラスチックを用いることにより、燻蒸処理の終了後、廃棄処理施設まで運搬することなく、燻蒸処理を行った場所の土壌中へ埋設して微生物分解させる方法が知られていた。しかし、生分解性樹脂プラスチックは、一般にガスバリア性が低いことから、単独で燻蒸効果の高いフィルムを得ることは困難であった。このため、特開2003−320620号公報(特許文献3)では、酸素ガス透過係数が5以下の生分解性樹脂と酸素ガス透過係数が5より大きい生分解性樹脂との積層フィルムまたはシートが提案され、また、生分解性とガスバリア性を兼ね備えた燻蒸フィルムとして、特開2008−263912号公報(特許文献4)では、脂肪族芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリ乳酸等の生分解性樹脂を含む皮膜と、同じく生分解性樹脂であるポリビニルアルコール系フィルムとから構成した燻蒸用生分解性シートが提案されている。
しかしながら、従来の燻蒸フィルムまたはシート等において、ガスバリア性を持たせるために使用されるポリビニルアルコールやエチレンビニルアルコール共重合体等のガスバリア材料は、高湿度下でガスバリア性が大きく低下する。したがって、比較的長期間山中などに置かれて行う燻蒸処理や、温室内で行う燻蒸処理に際しては、雨や霧、結露などの影響で、充分に殺菌剤、殺虫剤の飛散を防ぐことはできず、燻蒸効率や、作業者や住民の健康・安全確保において問題があることが分かった。そこで、高湿度下で燻蒸処理を行っても十分なガスバリア性を有し、かつ、使用後には簡便に廃棄可能な生分解性を有するとともに、軽量で燻蒸処理を行う場所までの運搬などの取り扱い性に優れた燻蒸用フィルムまたはシート等が求められていた。
特開平8−325108号公報 特開2008−307042号公報 特開2003−320620号公報 特開2008−263912号公報
本発明の課題は、高湿度下で燻蒸処理を行っても十分なガスバリア性と、使用後には簡便に廃棄可能な生分解性とを有するとともに、軽量で燻蒸処理を行う場所までの運搬などの取り扱い性に優れた燻蒸用フィルムまたはシート、燻蒸用袋、及び、該燻蒸用フィルムまたはシート等を使用する燻蒸方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決することについて鋭意研究した結果、ポリグリコール酸(以下、「PGA」ということがある。)を主成分とする層を少なくとも1層含む燻蒸用フィルムまたはシート等とすることによって、課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。なお、本発明においては、燻蒸用フィルムまたはシートを総称して、単に、「燻蒸用フィルム」という。したがって、本明細書において、「燻蒸用フィルム」は、厚みが概ね200μm以上である燻蒸用シートを含む意味で使用されている。
すなわち、本発明によれば、PGAを主成分とする層を少なくとも1層備えることを特徴とする燻蒸用フィルムが提供される。
すなわち、本発明によれば、式−(O・CH ・CO)−で表わされるグリコール酸繰り返し単位を、全モノマー単位を100モル%とした場合に、70モル%以上有するポリグリコール酸を50質量%以上含有する層を少なくとも1層備えることを特徴とする燻蒸用フィルムであって、セルロース成分からなる基紙の少なくとも片面に生分解性熱可塑性樹脂層が積層されてなるものを除く燻蒸用フィルムが提供される
また、本発明によれば、実施の態様として、以下(1)〜(3)の燻蒸用フィルムが提供される。
(1)PGAを主成分とする層及び他の熱可塑性樹脂を主成分とする層を備える前記の燻蒸用フィルム。
(2)該他の熱可塑性樹脂を主成分とする層が生分解性樹脂を主成分とする層である前記の燻蒸用フィルム。
(3)該生分解性樹脂がポリ乳酸である前記の燻蒸用フィルム。
また、本発明によれば、前記の燻蒸用フィルムから形成した燻蒸用袋が提供される。
さらに、本発明によれば、前記の燻蒸用フィルムまたは燻蒸用袋(以下、「燻蒸用フィルム等」ということがある。)を使用する燻蒸方法が提供される。
本発明は、燻蒸用フィルム等が、PGAを主成分とする層(以下、「PGA層」ということがある。)を少なくとも1層備えるものであることにより、高湿度下で燻蒸処理を行っても十分なガスバリア性と、使用後には簡便に廃棄可能な生分解性とを有するとともに、軽量で燻蒸処理を行う場所までの運搬などの取り扱い性に優れるという効果を奏する。また、本発明は、燻蒸用フィルム等が、PGA層と他の熱可塑性樹脂を主成分とする層(以下、「他の熱可塑性樹脂層」ということがある。)とを備えるものであることにより、燻蒸用フィルム等の強度などが向上するという効果を奏する。
さらに、これら燻蒸用フィルム等を使用した燻蒸方法であることにより、燻蒸処理の安全性が高まり、燻蒸剤の使用量の減少と運搬や廃棄負担の軽減等により経済性が高まるという効果を奏する。
図1は、燻蒸用フィルムのガス透過度の測定装置の概略図である。
本発明の燻蒸用フィルム等は、PGA層を少なくとも1層備えることを特徴とする燻蒸用フィルムである。
1.ポリグリコール酸
本発明において、燻蒸用フィルム等の主成分であるPGAは、式−(O・CH・CO)−で表わされるグリコール酸繰り返し単位を、全モノマー単位を100モル%とした場合に、70モル%以上有し、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、特に好ましくは98モル%以上、最も好ましくは99モル%以上有するものであり、その上限は、100モル%である。したがって、PGAは、式−(O・CH・CO)−で表わされるグリコール酸繰り返し単位のみからなるグリコール酸のホモポリマー(グリコール酸の2分子間環状エステルであるグリコリドの開環重合物を含む)に加えて、上記グリコール酸繰り返し単位を70モル%以上含むPGA共重合体を含むものである。式−(O・CH・CO)−で表わされる繰り返し単位の含有割合が70モル%よりも少ないと、ガスバリア性、機械的特性、分解性、耐熱性が低下する。
該繰り返し単位の含有割合が70モル%以上であれば、その他の成分として少量の共重合成分を導入することにより、PGAの結晶性を制御し、押出温度の低下や延伸性の向上が可能となるとともに、延伸工程での結晶化による粗面化を抑制できる。また、PGAに共重合成分を導入することは、PGA層と他の熱可塑性樹脂層とを積層させる場合に、積層界面の接着性が向上したり、前記の両層を共押出により積層するときの押出温度を近くできたりすることがあるので好ましい。
PGA共重合体を製造するには、グリコリドやグリコール酸などのモノマーと各種共重合成分とを共重合させる。共重合成分としては、例えば、シュウ酸エチレン、ラクチド、ラクトン類(例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、ピバロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン)、トリメチレンカーボネート、1,3−ジオキサン等の環状モノマー;乳酸、3−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、6−ヒドロキシカプロン酸等のヒドロキシカルボン酸またはそのアルキルエステル;エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等の脂肪族ジオールとこはく酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸またはそのアルキルエステルとの実質的に等モルの混合物;またはこれらの2種以上を挙げることができる。グリコリドとグリコール酸を併用してもよい。これらの共重合成分の中でも、共重合させやすく、物性に優れた共重合体が得られやすい点で、ラクチド、カプロラクトン、トリメチレンカーボネート等の環状モノマー;乳酸等のヒドロキシカルボン酸が好ましい。
共重合成分は、全仕込みモノマーの30モル%以下、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは5モル%以下、特に好ましくは2モル%以下、最も好ましくは1モル%以下の割合で使用する。共重合成分の共重合割合が大きくなると、生成するPGA共重合体の結晶性が損なわれやすくなることがある。PGAの結晶性が失われると、燻蒸用フィルムとして逐次二軸延伸フィルムを用いる場合、ガスバリア性、機械的特性、耐熱性などが低下することがある。
PGAは、グリコール酸の脱水重縮合、グリコール酸アルキルエステルの脱アルコール重縮合、グリコリドの開環重合などにより合成することができる。これらの中でも、グリコリドを少量の触媒(例えば、有機カルボン酸錫、ハロゲン化錫、ハロゲン化アンチモン等のカチオン触媒)の存在下に、約120℃から約250℃の温度に加熱して、開環重合する方法によってPGAを合成する方法が好ましい。
したがって、本発明の燻蒸用フィルムにおいて主成分として含有されるPGAとしては、グリコリド70〜100モル%及び他の環状モノマー30〜0モル%を開環重合して得られるPGAが好ましい。他の共重合成分としては、2分子間の環状モノマーであってもよいし、その他の環状モノマーまたは非環状モノマーとの混合物であってもよい。
グリコリドとの共重合成分として使用することができる他の環状モノマーとしては、ラクチド等のヒドロキシカルボン酸の2分子間環状エステルの外、ラクトン類(例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、ピバロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等)、トリメチレンカーボネート、1,3−ジオキサン等の環状モノマーを使用することができる。好ましい他の環状モノマーは、ヒドロキシカルボン酸の2分子間環状エステルであり、ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、L−乳酸、D−乳酸、α−ヒドロキシ酪酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、α−ヒドロキシ吉草酸、α−ヒドロキシカプロン酸、α−ヒドロキシイソカプロン酸、α−ヒドロキシヘプタン酸、α−ヒドロキシオクタン酸、α−ヒドロキシデカン酸、α−ヒドロキシミリスチン酸、α−ヒドロキシステアリン酸、及びこれらのアルキル置換体などを挙げることができる。特に好ましい他の環状モノマーは、乳酸の2分子間環状エステルであるラクチドであり、L体、D体、ラセミ体、これらの混合物のいずれであってもよい。
PGAの共重合体の好ましい例としては、グリコリドとラクチドとの共重合体、または、グリコリドとカプロラクトンとの共重合体などが挙げられる。ラクチドとしては、入手の容易性の観点から、L−ラクチドが好ましい。カプロラクトンとしては、ε−カプロラクトンが好ましい。
重縮合や開環重合は、通常、触媒の存在下に実施する。触媒の種類は、特に限定されないが、例えば、ハロゲン化スズ(例えば、二塩化スズ、四塩化スズ)、有機カルボン酸スズ(例えば、オクタン酸スズ、オクチル酸スズ)などのスズ系化合物;アルコキシチタネートなどのチタン系化合物;アルコキシアルミニウムなどのアルミニウム系化合物;ジルコニウムアセチルアセトンなどのジルコニウム系化合物;ハロゲン化アンチモン、酸化アンチモンなどのアンチモン系化合物;などを挙げることができる。
(重量平均分子量(Mw))
本発明で使用するPGAは、ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定におけるポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量(Mw)が、通常30,000〜800,000の範囲内であり、好ましくは50,000〜700,000、より好ましくは80,000〜600,000、さらに好ましくは100,000〜500,000、特に好ましくは120,000〜400,000の範囲内にあるものを選択する。重量平均分子量(Mw)が小さすぎると、燻蒸用フィルムの機械的強度が不十分であったり、成形加工を行う場合の温度管理が難しくなったりする。重量平均分子量(Mw)が大きすぎると、成形温度や加工温度が高くなるため、PGAやその他の添加成分の熱分解や酸化が生じることがある。
(融点(Tm))
本発明で使用するPGAの融点(Tm)は、197〜245℃であり、共重合成分の種類及び含有割合によって調整することができる。好ましくは200〜243℃、より好ましくは、205〜238℃、特に好ましくは210〜235℃である。PGAの単独重合体の融点は、通常220℃程度である。融点が低すぎると、燻蒸用フィルムの機械的強度が不十分であったり、成形加工を行う場合の温度管理が難しくなったりする。融点が高すぎると、加工性が不足したり、燻蒸用フィルムの柔軟性が不足したりすることがある。融点が高すぎると、成形温度や加工温度が高くなるため、PGAやその他の添加成分の熱分解や酸化が生じることがある。
(溶融粘度)
本発明で使用するPGAは、温度270℃及び剪断速度122sec−1で測定した溶融粘度が、通常100〜10,000Pa・s、好ましくは200〜8,000Pa・s、より好ましくは300〜4,000Pa・sである。PGAの溶融粘度が低すぎると燻蒸用フィルムの機械的特性が低下傾向を示し、高すぎると溶融押出加工や延伸加工が困難となることがある。
2.PGAを主成分とする層(PGA層)
本発明の燻蒸用フィルム等は、PGA層を少なくとも1層備えることを特徴とする。該PGA層は、PGAを、50質量%以上、好ましくは75質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上、特に好ましくは90質量%以上含有するものである。PGAの含有量が少なすぎると、燻蒸用フィルムのガスバリア性や機械的特性が低下する。
[他の熱可塑性樹脂とのブレンド]
本発明の燻蒸用フィルム等のPGA層においては、前記のPGAの単独重合体または共重合体を、単独で樹脂材料として使用することができるが、PGAに、他の熱可塑性樹脂をブレンドし、PGAを主成分とする樹脂組成物を樹脂材料として使用することもできる。
PGAにブレンドする他の熱可塑性樹脂としては、PGAのガスバリア性や機械的特性、透明性などの諸特性を阻害しないものが好ましい。他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等の芳香族ビニル樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素含有樹脂;ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)などを挙げることができる。また、生分解性樹脂である、ポリ(ε−カプロラクトン−ブチレンサクシネート)、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリ乳酸/ジオール・ジカルボン酸共重合体、ポリエステルカーボネート、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート−アジペート共重合体、ポリブチレンアジペート−テレフタレート共重合体、ポリエチレンテレフタレートサクシネートなどをブレンドすることもできる。燻蒸用フィルム等をすべて生分解性樹脂素材から形成しようとする場合、PGAと生分解性樹脂のブレンド物が好適に用いられる。
PGAと他の熱可塑性樹脂とのブレンドにおける他の熱可塑性樹脂の混合割合は、50質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。他の熱可塑性樹脂の含有量が多すぎると、燻蒸用フィルム等のガスバリア性、機械的特性が低下する傾向を示す。
[熱安定剤]
本発明の燻蒸用フィルム等のPGA層には、溶融安定性を高めるために、熱安定剤を添加することができる。熱安定剤としては、重金属不活性化剤、ペンタエリスリトール骨格構造を有するリン酸エステル、少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つの長鎖アルキルエステル基とを持つリン化合物、炭酸金属塩などが好ましい。これらの化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ペンタエリスリトール骨格構造を有するリン酸エステルは、特異的にPGAの溶融安定性を向上させる作用を示すので、特に好ましい。ペンタエリスリトール骨格構造を有するリン酸エステルの具体例としては、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(モノノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(4−オクタデシルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つの長鎖アルキルエステル基とを持つリン化合物としては、長鎖アルキルの炭素原子数が8〜24個の範囲である化合物が好ましい。このようなリン化合物の具体例としては、モノまたはジ−ステアリン酸塩が挙げられる。なお、ホスファイト系酸化防止剤などその他のリン系化合物の多くは、PGAの溶融安定性を阻害する作用を示すため、熱安定剤として使用することは好ましくない。
重金属不活性剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−N−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル−ベンズアミド、ビス〔2−(2−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジン〕ドデカン二酸などが挙げられる。また、炭酸金属塩としては、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウムなどが挙げられる。
これら熱安定剤の配合割合は、PGA100質量部に対して、通常0.001〜5質量部、好ましくは0.003〜3質量部、より好ましくは0.005〜1質量部である。
[各種添加剤]
PGA層には、所望により、可塑剤、無機フィラー、触媒失活剤、熱線吸収剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防湿剤、防水剤、撥水剤、滑剤、離型剤、カップリング剤、顔料、染料などの各種添加剤を添加することができる。これらの各種添加剤は、PGAの延伸加工性、ガスバリア性、透明性、機械的特性などを損なわない範囲内の量で添加することが好ましい。これらの各種添加剤は、それぞれの機能や用途に応じて、PGA100質量部に対して、通常10質量部以下、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下の割合で配合される。
[厚み]
本発明の燻蒸用フィルム等におけるPGA層の厚みは、特に限定されないが、好ましくは3〜500μm、より好ましくは5〜250μm、さらに好ましくは6〜120μm、特に好ましくは8〜80μmの厚みである。PGA層の厚みが薄すぎると、所望のガスバリア性や機械的特性が得られない。PGA層の厚みが厚すぎると、重量が増加するため運搬や回収に多大の労力や期間を要するとともに、燻蒸用フィルム等の可撓性が減少するため取扱い時に折損し、燻蒸剤が漏出するおそれもある。
3.PGA層及び他の熱可塑性樹脂層を備える燻蒸用フィルム等
本発明の燻蒸フィルムは、PGA層単独でも十分なバリア性、機械的特性を備えるものであるが、PGA層及び他の熱可塑性樹脂層を備える燻蒸用フィルム等とすることもできる。PGA層及び他の熱可塑性樹脂層はそれぞれ独立に、1層または複数層であってもよい。
該他の熱可塑性樹脂層は、種々の熱可塑性樹脂を主成分とする層とすることができる。
該他の熱可塑性樹脂層の主成分である熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等の芳香族ビニル樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素含有樹脂;ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、EVOHなどを挙げることができる。また、生分解性樹脂であるポリ(ε−カプロラクトン−ブチレンサクシネート)、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリ乳酸/ジオール・ジカルボン酸共重合体、ポリエステルカーボネート、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート−アジペート共重合体、ポリブチレンアジペート−テレフタレート共重合体、ポリエチレンテレフタレートサクシネートなどを挙げることができる。
例えば、他の熱可塑性樹脂層の主成分として、ポリエチレンテレフタレートを用いると、燻蒸用フィルム等の機械的特性が向上する。しかし、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする層は、土中に長期間埋設しても分解することはない。
燻蒸用フィルム等をすべて生分解性樹脂素材から形成しようとする場合、PGA層及びこれら生分解性樹脂を主成分とする層を備える燻蒸用フィルム等が好適に使用される。特に好ましくは、生分解性樹脂がポリ乳酸である燻蒸用フィルム等、すなわち、PGA層及びポリ乳酸を主成分とする層を備える燻蒸用フィルム等である。該ポリ乳酸と、L体、D体、ラセミ体またはこれらの混合物からなる乳酸の重合体であればよく、ポリ乳酸/ジオール・ジカルボン酸共重合体等の乳酸の共重合体を使用することもできる。具体的に使用できる生分解性樹脂としては、NatureWorks社製INGEO(登録商標)、ユニチカ株式会社製テラマック等のポリ乳酸や、BASF社製エコフレックス(登録商標)、三菱化学株式会社製GSプラ(登録商標)、Metabolix社製Mirel(登録商標)、P&G社製NODAX(登録商標)、昭和高分子株式会社製ビオノーレ(登録商標)などの樹脂が挙げられる。
他の熱可塑性樹脂層には、所望により、可塑剤、無機フィラー、触媒失活剤、熱線吸収剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防湿剤、防水剤、撥水剤、滑剤、離型剤、カップリング剤、顔料、染料などの各種添加剤を添加することができる。これらの各種添加剤は、他の熱可塑性樹脂層の延伸加工性、機械的特性などを損なわない範囲内の量で添加することが好ましい。これらの各種添加剤は、それぞれの機能や用途に応じて、他の熱可塑性樹脂100質量部に対して、通常15質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下の割合で配合される。
本発明のPGA層及び他の熱可塑性樹脂層を備える燻蒸用フィルム等における該他の熱可塑性樹脂層の厚みは、特に限定されないが、好ましくは1〜500μm、より好ましくは3〜300μm、さらに好ましくは5〜200μm、特に好ましくは10〜100μmの厚みである。他の熱可塑性樹脂層の厚みが薄すぎると、機械的特性が不足することがある。他の熱可塑性樹脂層の厚みが厚すぎると、重量が増加し、運搬や回収に多大の労力を要するとともに、燻蒸用フィルム等の可撓性が減少するため取扱い時に折損し、燻蒸剤が漏出するおそれもある。
PGA層と他の熱可塑性樹脂層との厚みの比率は、特に限定されないが、好ましくは5/95〜95/5、より好ましくは10/90〜90/10、さらに好ましくは15/85〜80/20、特に好ましくは20/80〜70/30の範囲である。
4.燻蒸用フィルム等の製造方法
本発明の燻蒸用フィルム等は、特に限定されず、それ自体公知の種々の方法によって製造したフィルムを使用することができ、Tダイ法やインフレーション法等の押出成形やカレンダ成形などのフィルムの製造方法を採用することができる。
すなわち、PGA層は、PGAを主成分とする樹脂組成物を、該組成物の融点以上の温度で溶融混練した後に、フィルム状に成形すればよい。PGA層は、未延伸のフィルムでもよいが、延伸・熱処理したフィルムとすると、バリア性、機械的特性、透明性等が向上するので好ましい。フィルムの延伸は、一軸延伸または二軸延伸のいずれでもよく、二軸延伸は逐次延伸または同時二軸延伸のいずれでもよい。
PGA層及び他の熱可塑性樹脂層を備える燻蒸用フィルム等における該他の熱可塑性樹脂層は、PGA層と同様の方法により製造することができる。なお、他の熱可塑性樹脂層は、流延成形やコーティングによって形成することもできる。
本発明の燻蒸用フィルム等が、PGA層及び他の熱可塑性樹脂層を備えるものである場合、それ自体公知の種々の積層方法によって製造することができ、例えば、ラミネート加工、コーティング、共押出成形などの方法が採用できる。ラミネート加工としては、ウエットラミネーション、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ホットメルトラミネーション、押出ラミネーションなどの方法が含まれる。PGA層と他の熱可塑性樹脂層との間に介在させる接着剤としては、屋外で使用しても劣化したり、層の剥離などが生じたりしないこと、さらに接着剤が黄変しないことなどが必要であり、ポリウレタン系接着剤などが好ましく使用される。また、ホットメルト接着剤としては、低密度ポリエチレン(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のポリオレフィン系樹脂が好ましく使用される。
コーティングとしては、あらかじめ形成したPGA層の表面に、他の熱可塑性樹脂の溶液または分散液からなるコーティング液を塗布する。共押出成形による積層方法としては、フィードブロック方式またはマルチマニホールドダイ方式のフラットダイを用いる方法や、多層サーキュラーダイを用いて、ダイ内でPGA層と他の熱可塑性樹脂層を積層させた後に押し出す方法が採用できる。
PGA層及び他の熱可塑性樹脂層を備える燻蒸用フィルムとして、延伸・熱処理したフィルムを製造する場合、積層と延伸・熱処理の順序及び条件は、適宜選択することができる。すなわち、あらかじめ延伸・熱処理を行って形成したPGA層と他の熱可塑性樹脂層とを接着剤を使用して積層する方法でもよいし、未延伸のPGA層と他の熱可塑性樹脂層とを接着または共押出成形等により形成した後、延伸・熱処理を行ってもよい。
本発明の燻蒸用フィルムから形成した燻蒸用袋の製造方法は、特に限定されず、通常のプラスチック製袋の製造方法によればよい。具体的には、前記の方法によって得られたPGA層を少なくとも1層備えるフィルムを、折り曲げ、接着等の定法により袋状物とすることができる。接着方法としては、接着剤による接着やヒートシール層を利用した接着や溶着等の方法を採用することができる。
5.燻蒸用フィルム等
[バリア性]
本発明の燻蒸用フィルム等は、PGAを主成分とする層を少なくとも1層備えるものであることにより、各種の燻蒸剤に対する高いバリア性を有する。本発明の燻蒸用フィルム等がバリア性を示す燻蒸剤は、特に限定されず、広く殺菌剤、殺虫剤として使用される燻蒸剤である、クロロピクリン(トリクロロニトロメタン)、イソチオシアン酸メチル(MITC)、メチルジチオカルバメートナトリウム、カリウムまたはアンモニウム塩(カーバム剤)、3,5−ジメチルテトラヒドロ−2H−1,3,5−チアジアジン−2−チオン(ダゾメット剤)、臭化メチル、ヨウ化メチル、D−D剤(ジクロルプロパンとジクロルプロペン混合物)、DBCP(1,2−ジブロモ−3クロロプロパン)、DCIP(ジクロロジイソプロピルエーテル)、エチレンジブロマイド、ジメチルジクロルビニルホスフェート、二硫化炭素などが挙げられる。本発明の燻蒸用フィルム等がバリア性を示す燻蒸剤は、上記に例示された燻蒸剤の2種類以上を併用したものも含む。
燻蒸剤には、上記のとおり、構造、極性、分子量において多様な有機化合物が包含されているので、本発明の燻蒸用フィルム等のバリア性は、極性や構造の異なる有機化合物であるシクロヘキサン(分子量84.1、沸点81℃)、酢酸エチル(分子量88.1、沸点77.1℃)、2−プロパノール(分子量60.1、沸点82.4℃)、及びトルエン(分子量92.1、沸点110.6℃)の透過性によって評価することができる。
本発明の燻蒸用フィルム等は、後に詳述するように、従来、バリア性フィルムとして知られていたEVOHよりも高いバリア性を有し、かつ、温度30℃、湿度100%RHの高湿度環境においてもバリア性が良好である。具体的には、厚み10μの燻蒸用フィルムは、シクロヘキサン、酢酸エチルまたは2−プロパノールに対して、10μg・10μm/m・kPa・day以下の透過度、好ましくは8μg・10μm/m・kPa・day以下、より好ましくは5μg・10μm/m・kPa・day以下、特に好ましくは3μg・10μm/m・kPa・day以下の透過度を有し、優れたバリア性を有することが分かった。また、トルエンに対しても、温度50℃、湿度80%RHの環境において、50μg・10μm/m・kPa・day以下の透過度、好ましくは30μg・10μm/m・kPa・day以下、より好ましくは20μg・10μm/m・kPa・day以下、特に好ましくは15μg・10μm/m・kPa・day以下の優れた透過度を有することが分かった。
[軽量・薄肉性、機械的特性]
また、本発明の燻蒸用フィルム等は、PGAを主成分とする層を少なくとも1層備えるものであることにより、薄肉かつ軽量で機械的特性に優れているため、燻蒸処理を行う場所までの運搬に要する労力、期間、費用を低減することができ、燻蒸用フィルム等の敷設や燻蒸処理の実施中、及び燻蒸処理終了後に、燻蒸用フィルム等の破損や折損が生じるおそれがなく、燻蒸剤の漏出の懸念もない。この結果、燻蒸処理に使用する燻蒸剤の使用量を従来より少なくすることができ、経済性及び安全性に優れている。
[分解性]
さらに、本発明の燻蒸用フィルム等は、PGAを主成分とする層を少なくとも1層備えるものであることにより、燻蒸処理終了後には、燻蒸処理を行った場所または近傍の適切な場所に燻蒸用フィルム等を残置しておけるので、燻蒸用フィルム等の回収や燻蒸用フィルム等の廃棄処理のための運搬が不要または容易となる。特に、燻蒸用フィルム等が、PGA層と、他の熱可塑樹脂層としてポリ乳酸等の生分解性樹脂を主成分とする層とを備えるものである場合は、3か月間程度、長くても6か月間程度、燻蒸用フィルム等を残置しておけば、ほぼ完全に分解してしまうので、回収や運搬作業が不要となる。該燻蒸用フィルム等の分解速度は、PGA層と他の熱可塑性樹脂層との組成及び厚みを選択することによって調整することができる。他の熱可塑樹脂層が生分解性樹脂を主成分とする層ではない場合も、PGA層がほぼ完全に分解してしまうため、燻蒸用フィルム等の残余の部分の回収作業が容易となる。
6.燻蒸方法
本発明の燻蒸方法は、前記した本発明のPGA層を備える燻蒸用フィルム、または、PGA層と他の熱可塑性樹脂層を備える燻蒸用フィルム(これらの燻蒸用フィルムを総称して、「本発明の燻蒸用フィルム」ということがある。)、または本発明の燻蒸用フィルムから形成した燻蒸用袋を使用する燻蒸方法である。
具体的には、土壌や樹木等の燻蒸方法としては、本発明の燻蒸用フィルム等を、土壌や樹木等の被燻蒸物に被せ、該燻蒸用フィルム等を被せた状態で、数時間〜数週間にわたり燻蒸剤による燻蒸処理を行う。燻蒸処理は、必要に応じて、燻蒸剤を加熱してもよいし、燻蒸剤に噴射剤を添加して使用してもよい。燻蒸処理終了後少なくとも48時間経過後に、燻蒸用フィルム等を取り除き、被燻蒸物に燻蒸ガスの影響の残留がないことを確認した後に、被燻蒸物は使用に供される。松食い虫駆除の場合は、さらに1月を超える長期間にわたり燻蒸用フィルム等による被覆を継続し、必要に応じ再度燻蒸処理を行う。土壌燻蒸の場合は、数か月〜半年間程度燻蒸用フィルムで被覆したままとしてもよい。
美術工芸品や果実、穀物等の燻蒸方法は、燻蒸庫または燻蒸室内で、本発明の燻蒸用フィルムで被燻蒸物を覆い、または、該フィルムから形成した袋状物等に被燻蒸物を封入し、数時間〜数週間、燻蒸剤による燻蒸処理を行う。燻蒸処理終了後少なくとも48時間経過後に、燻蒸用フィルム等を取り除き、被燻蒸物に燻蒸ガスの影響の残留がないことを確認した後に、被燻蒸物は使用に供される。本発明の燻蒸用フィルム等は、その他、生活用品、衣類、寝具、食器、台所用品、仏壇、犬小屋、鳥小屋、動物飼育用ゲージ等に対しても、同様の方法によって、燻蒸処理を行うことができる。
使用後の本発明の燻蒸用フィルム等は、通常、燻蒸処理を行った場所の近傍に散逸しないよう留意しつつ残置しておけばよく、高温多湿の環境下でも差し支えない。使用後の本発明の燻蒸用フィルム等を土中に埋設することは、生分解が進行、促進されるので好ましい。
特に、本発明の燻蒸用フィルム等が、PGA層のみである場合、または、PGA層とポリ乳酸等の生分解性樹脂を主成分とする層とを備えるものである場合は、概ね数か月間で燻蒸用フィルム等は生分解される。燻蒸用フィルム等が、PGA層と生分解性樹脂以外の熱可塑性樹脂を主成分とする層とを備えるものである場合は、PGA層が数か月間で生分解されてしまうため、燻蒸用フィルム等の残余の部分を回収して廃棄処理を行えばよい。
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をさらに説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例における特性の測定方法は、以下のとおりである。
1.ガスバリア性(透過度)
燻蒸用フィルムのガスバリア性(透過度)は、JIS K7126−2に準じて測定を行った。具体的には、図1に示すガス透過度試験装置を作製し、試料フィルムについて、有機化合物の透過度の測定を行った。すなわち、所定温度に調整した恒温槽内に、内径8cmの円筒状の透過セルを略鉛直に配置し、略水平に固定した試料フィルムにより、透過度測定器内を上側のチャンバ(セル)と下側のチャンバ(セル)に区分した。試料フィルムの厚みは10μmとし、該試料フィルム下側のチャンバの高さは5cm、試料フィルム上側のチャンバの高さは5mmとした。
恒温槽内の雰囲気温度を30℃または50℃として、試料フィルム下側のセルに測定対象の有機化合物を10mL入れた後、試料フィルムを気密を確保して透過セルに固定した。透過側セル(試料フィルム上側のセル)に、湿度100%RH、80%RHまたは0%RHに調湿した空気を流量10mL/minで流し続け、あらかじめ定めた所定期間が経過した後、試料フィルムを透過した有機化合物のガスを含む空気をガスタイトシリンジで採取し、ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC/MS)により有機化合物の濃度を測定して、透過度を算出した。透過度は、μg(有機化合物透過量)・10μm(フィルムの厚み基準値)/m(透過面積)・kPa(分圧差)・day(時間)を単位として表した。
2.ガスバリア性(燻蒸剤の減量度)
燻蒸用フィルムのガスバリア性(燻蒸剤の減量度)は、5cm×5cmに切り出したヒートシール層を備える多層の試料フィルムを2枚重ねて、富士インパルス株式会社製キュートシーラーV300を用いて、3辺をヒートシールし、1辺が開放された袋を作成して測定した。
次いで、該袋内に燻蒸剤1gを測りとり、開放された部分をヒートシールして、燻蒸剤を袋内に封入した。燻蒸剤を封入した袋を、初期重量をメトラー社製AT250により測定した後、温度30℃、湿度30%RH、または、温度30℃、湿度100%RHに設定した恒温恒湿槽内で、それぞれ静置した。24時間経過後、及び72時間経過後に重量を測定し、初期重量からの重量減少量(g)を計算した。
〔参考例1〕PGAフィルムの製造
重量平均分子量200,000、温度270℃及び剪断速度122sec−1で測定した溶融粘度が600Pa・sのPGAに、熱安定剤として、旭電化株式会社製アデカスタブAX−71(リン酸モノステアリル50モル%とリン酸ジステアリル50モル%との混合物)を300ppmの割合で含有させたPGAペレットを、スクリュー径35mmの単軸押出機を用いて、樹脂温度が260〜270℃となるように加熱して溶融混練した。溶融物を、目開き100μmのフィルターを通して、長さ270mmで間隙0.75mmの直線状リップを有するTダイから押し出し、表面を40℃に保った金属ドラム上にキャストすることにより冷却し、厚み200μmの未延伸シートを作製した。60℃のシート温度に調整した該未延伸シートを、延伸ロールを用いて、延伸速度2m/分で、縦方向(MD)に、延伸倍率が6.0倍となるように一軸延伸した。一軸延伸フィルムの表面温度が33℃となるように冷却した後、該一軸延伸フィルムをテンター延伸機に導入し、フィルム温度38℃で、延伸倍率が3.7倍となるように横方向(TD)に延伸し、120℃で緊張下に1分間熱処理して、面積倍率22倍の二軸延伸フィルムを作製した。該二軸延伸PGAフィルムの厚みは15μmであった。
〔実施例1〕
参考例1で製造したPGAフィルムについて、ガスバリア性(透過度)を測定した。有機化合物としては、極性や構造の異なる化合物であるシクロヘキサン、2−プロパノール、酢酸エチル及びトルエンを使用した。シクロヘキサン、2−プロパノール及び酢酸エチルについては、温度30℃で、湿度0%RHまたは湿度100%RHの条件で測定を行い、トルエンについては、温度50℃、湿度80%RHの条件で測定を行った。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1のPGAフィルムに代えて、EVOHフィルム(株式会社クラレ製EVAL(登録商標)F171Bフィルム、厚み15μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、フィルムのガスバリア性(透過度)を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0005766955
表1から、実施例1のPGAフィルムは、多様な有機化合物のガスに対して、高いバリア性を有しており、特に、温度30℃湿度0%RHの環境と温度30℃湿度100%RHの環境との両方において、高いバリア性が維持されていることが分かった。
これに対して、比較例1のEVOHフィルムは、ガスの透過度が、実施例1のフィルムと比較して大きく、特に、高湿度の環境下では、ガス透過度が極めて大きいことが分かった。
これらの結果から、PGAを主成分とする本発明の燻蒸用フィルム等は、種々の燻蒸剤に対するバリア性が高く、特に高湿度の環境下でも燻蒸剤の透過や逸散が少ないことが推察される。
〔参考例2〕PGAフィルム袋の製造
参考例1で使用したPGAから形成したフィルム層(厚み25μm)、接着層(三菱化学株式会社製MODIC−F563)、及びヒートシール層(株式会社プライムポリマー製LLDPEモアテック(登録商標)0238CN)を配置して、LLDPE(厚み50μm)/接着層(厚み5μm)/PGAフィルム層(厚み25μm)/接着層(厚み5μm)/LLDPE(厚み50μm)である多層フィルムを製造した。具体的には、各層を形成する樹脂を、複数の押出機内でそれぞれ溶融混練した後、溶融樹脂をTダイ内で上記層構成となるように溶融接合させる共押出加工を行った。Tダイ出口から流出した溶融体を温度30℃の冷却ロールで冷却し、多層フィルムを製造した。
続いて、該多層フィルムから5cm×5cmに切り出した2枚の多層フィルムを重ね、富士インパルス株式会社製キュートシーラーV300を用いて、3辺をヒートシールして、1辺が開放されたPGAフィルム袋を製造した。
〔実施例2〕
参考例2で製造した1辺が開放されたPGAフィルム袋内に、燻蒸剤であるイソチオシアン酸メチル(和光純薬株式会社製)1gを測りとり、開放された部分をヒートシールして、イソチオシアン酸メチルをPGAフィルム袋内に封入した。イソチオシアン酸メチルを封入したPGAフィルム袋を、初期重量をメトラー社製AT250で測定した後、温度30℃、湿度30%RH、及び、温度30℃、湿度100%RHに設定した恒温恒湿槽内中で、それぞれ静置した。24時間経過後及び72時間経過後にPGAフィルム袋の重量を測定し、初期重量からの重量減少量(g)を計算して、ガスバリア性(燻蒸剤の減量度)を測定した。結果を表2に示す。
〔比較例2〕
参考例2で使用したPGAフィルム層に代えて、EVOHフィルム(株式会社クラレ製、EVAL−F171B)から形成したフィルム層を用いたこと以外は、参考例2と同様にして、EVOHを使用した多層フィルムを製造した。このEVOHの多層フィルムから製造した袋を使用して、実施例2と同様にして、初期重量からの重量減少量(g)を計算して、ガスバリア性(燻蒸剤の減量度)を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0005766955
表2の結果から、実施例2のPGAフィルム袋は、ガスバリア性(燻蒸剤の減量度)に優れ、特に、温度30℃、湿度30%RHの環境と、温度30℃、湿度100%RHの環境の両方において、燻蒸剤に対する高いバリア性が維持されていることが分かった。
これに対して、比較例2のEVOHのフィルム層を使用して製造した袋は、燻蒸剤の透過性(減量度)が、実施例2のPGAフィルム袋と比較して大きく、特に、温度30℃、湿度100%RHの高湿度環境下では、燻蒸剤の透過性が更に大きく、バリア性が低下していることが分かった。
これらの結果から、PGA層を備える本発明の燻蒸用フィルム等は、種々の燻蒸剤に対するバリア性が高く、特に高湿度の環境下でも燻蒸剤の透過や逸散が少ないことが推察される。
本発明は、燻蒸用フィルム等が、PGA層を少なくとも1層備えるものであることにより、高湿度下で燻蒸処理を行っても十分なガスバリア性と、使用後には簡便に廃棄可能な生分解性とを有するとともに、軽量で燻蒸処理を行う場所までの運搬などの取り扱い性に優れるので、燻蒸処理の効率性、安全性及び経済性が向上し、産業上の利用可能性が高い。

Claims (6)

  1. 式−(O・CH ・CO)−で表わされるグリコール酸繰り返し単位を、全モノマー単位を100モル%とした場合に、70モル%以上有するポリグリコール酸を50質量%以上含有する層を少なくとも1層備えることを特徴とする燻蒸用フィルムであって、セルロース成分からなる基紙の少なくとも片面に生分解性熱可塑性樹脂層が積層されてなるものを除く燻蒸用フィルム
  2. 前記ポリグリコール酸を50質量%以上含有する層及び他の熱可塑性樹脂を50質量%以上含有する層を備える請求項1に記載の燻蒸用フィルム。
  3. 前記他の熱可塑性樹脂を50質量%以上含有する層が生分解性樹脂を50質量%以上含有する層である請求項2に記載の燻蒸用フィルム。
  4. 前記生分解性樹脂がポリ乳酸である請求項3に記載の燻蒸用フィルム。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の燻蒸用フィルムから形成した燻蒸用袋。
  6. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の燻蒸用フィルムまたは請求項5に記載の燻蒸用袋を使用する燻蒸方法。
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