JP5030435B2 - ポリ乳酸系樹脂積層フィルム、その製造方法、及びその易分解化処理方法 - Google Patents

ポリ乳酸系樹脂積層フィルム、その製造方法、及びその易分解化処理方法 Download PDF

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本発明は、農業用フィルムのような農業又は園芸材料;コンポストバッグ;ラップフィルムなどの食品包装材料;手術糸のような医用材料;魚網のような漁業材料;ラミネート用フィルム;ラベル;容器などに利用できる生分解性のポリ乳酸系樹脂積層フィルムに関する。詳しくは、生分解の時期を自由にコントロールできるポリ乳酸系樹脂積層フィルムに関する。さらに本発明は、この積層フィルムの製造方法及び易分解化処理方法に関する。
プラスチックは軽く、強く、しかも耐久性、成型加工性に優れることから包装材料をはじめ、弱電部品、自動車部品、建材、日用雑貨などの多岐の分野で多量に使用されている。プラスチックの大半を占めるポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどの汎用プラスチックは使用後の処分方法として、焼却や埋め立てが行われている。
これらの汎用プラスチックは化学的に安定であるため、埋め立て処分を行うと原型をとどめたまま半永久的に残留し、埋立地不足が深刻化する原因の一つとなっている。このように、不要となった大量のプラスチックのゴミをどのように処理するかが、大きな社会問題になっている。また、自然環境下に廃棄された場合には、美観を損ねたり、鳥などの生物が誤って捕食したり、さらには自然環境下の生態系を破壊して環境破壊の一因となっている。
このような地球規模での環境問題に対しての関心が高まるにつれて、自然環境下で生分解して自然界の炭素サイクルに取り込まれる生分解性プラスチックの研究が盛んに行われている。
注目されている生分解性プラスチックとしてポリ乳酸がある。ポリ乳酸は高いガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂であり、結晶性のものは高い融点(180℃)を有する。原料となる乳酸はコンスターチ等の安価な原料の発酵から効率的に得られることが知られている。ポリ乳酸は通常、この乳酸を直接または環状2量体を経由して重合される。このようにポリ乳酸は農産物を原料とするため石油資源に依存せず、また高強度、高弾性率という物性的にも優れた点が多い。また、分解生成物は乳酸、水、二酸化炭素であり、有害物質は排出されない。
ポリ乳酸は、微生物の豊富なコンポスト中では数週間で分解するものの、自然環境中では湿潤条件下で1年から2年で分解する。このようにポリ乳酸は自然環境中での分解速度が遅いため、成形体のように長寿命を必要とする用途には好適であるが、使用期間が短く比較的速く分解することが求められる用途には不向きである。このため、ポリ乳酸系樹脂の自然環境中での生分解性を向上させる技術の開発が種々試みられている。
特許文献1には、ポリ乳酸またはこれと他のポリマーとのブレンド物を、pH7〜13、温度40〜95℃にて分解する方法が開示されている。しかし、この方法によれば、樹脂の分解に室温以上の温度が必要であるため、自然環境中で分解するのは困難である。
特許文献2及び特許文献3には、ポリ乳酸を主成分とする脂肪族ポリエステルと、アタクチック構造のポリ[(R,S)−3−ヒドロキシブタン酸]とを主成分とする脂肪族ポリエステルとを組み合わせることにより、生分解性を調節する技術が開示されている。この技術によれば、脂肪族ポリエステルの量の増大によって生分解性が促進されるが、フィルムの機械的強度が大きく低下する。特に脂肪族が連続相となる場合は、生分解性が大きく増大する一方、機械的強度が大きく低下する。
特許文献4には、ポリ乳酸にポリ乳酸分解活性を有する酵素を0〜35℃の温度下で接触させることにより分解する方法が開示されている。しかし、この方法は分解に長時間が必要であるため、用途が限定される。
特許文献5は、ポリ乳酸とポリ乳酸以外の他の成分とで材料の傾斜構造を形成した成形体は、ポリ乳酸本来の機械的強度を保ったまま生分解が促進されることを開示している。ポリ乳酸以外の他の成分としてポリエチレンオキサイドが挙げられている。しかし、材料の傾斜構造を形成するのは、コスト高になる。
文献1〜5の技術では、種々の方法でポリ乳酸の生分解性は促進されるが、一旦フィルム等に成形した後に生分解速度を変更することはできない。このため、生分解性が促進された樹脂ではすぐ分解するため長期使用に適さない。一方、難生分解樹脂は長期使用には耐えるが廃棄した場合の分解速度は非常に遅い。従って、使用時は分解し難く、廃棄時には忽ち分解する樹脂が望まれている。すなわち、分解までの誘導時間があり、分解し始めると迅速に分解する樹脂や、長期使用後にある引き金(トリガー)によって迅速に生分解する樹脂が望まれているが、未だ存在しない。
特開2001−178483号公報 特開平11−323115号公報 WO2002/094935号公報 特開2003−286364号公報 特開2003−342380号公報
本発明は、分解し難く、かつ特定の引き金により迅速に生分解するポリ乳酸系樹脂組成物、その製造方法、及びその易分解化処理方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために本発明者らは研究を重ね、以下の知見を得た。
ポリ乳酸系樹脂と生分解性可塑剤とを含む樹脂組成物層Aと、ポリ乳酸系樹脂を含み可塑剤を含まないか、又はポリ乳酸系樹脂と非生分解性可塑剤を含む樹脂組成物層BとがB/A/B型に積層されたポリ乳酸系樹脂積層フィルムは、常温以下の環境中で使用中又は保存中は分解しない又は分解し難いが、加熱することにより層A中の生分解性可塑剤が層B中を拡散し、その結果分解が始まる。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、以下のポリ乳酸系樹脂積層フィルム、その製造方法、及びその易分解化処理方法を提供する。
項1. ポリ乳酸系樹脂及び可塑剤として生分解性可塑剤である炭素数1〜20のアルキル基を有するベンジルアルキルジグリコールアジペートのみを配合した樹脂組成物層Aと、ポリ乳酸系樹脂を含むか、又はポリ乳酸系樹脂及び可塑剤として非生分解性可塑剤のみを配合した樹脂組成物層BとがB/A/B型に積層されたポリ乳酸系樹脂積層フィルム。
項2. 層Aの厚みがフィルム全体の10〜95%である項1に記載のポリ乳酸系樹脂積層フィルム。
項3. 積層フィルムの全体厚さが1〜2000μmである項1又は2に記載のポリ乳酸系樹脂積層フィルム。
項4. 層Aにおける生分解性可塑剤の含有量がポリ乳酸系樹脂100重量部に対し10〜200重量部であり、層Bにおける非生分解性可塑剤の含有量がポリ乳酸系樹脂100重量部に対し0〜50重量部である項1〜3のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂積層フィルム。
項5. 生分解性可塑剤が、ベンジルブチルジグリコールアジペート及びベンジルメチルジグリコールアジペートからなる群より選ばれる少なくとも1種である項1〜4のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂積層フィルム。
. 非生分解性可塑剤が、クエン酸エステル系可塑剤、アセチン化合物、ポリ酢酸ビニルからなる群より選ばれる少なくとも1種である項1〜のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂積層フィルム。
. 非生分解性可塑剤の分子量が300〜30000である項1〜のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂積層フィルム。
項8. ポリ乳酸系樹脂及び可塑剤として生分解性可塑剤である炭素数1〜20のアルキル基を有するベンジルアルキルジグリコールアジペートのみを配合した組成物aと、ポリ乳酸系樹脂を含むか、又はポリ乳酸系樹脂及び可塑剤として非生分解性可塑剤のみを配合した組成物bとを用いて、共押出法、ドライラミネート法、又は溶剤キャスト法で組成物aからなる層Aと組成物bからなる層BとがB/A/B型に積層された積層フィルムを得る工程を含むポリ乳酸系樹脂積層フィルムの製造方法。
. 項1〜のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂積層フィルムを60℃以上で1分間以上加熱する工程と、この積層フィルムを微生物又は酵素の存在下に置く工程とを含むポリ乳酸系樹脂積層フィルムの易分解化処理方法。
本発明によれば、生分解開始時を自由にコントロールできるポリ乳酸系樹脂フィルム、その製造方法、及び易分解化処理方法が提供された。
詳述すれば、本発明のポリ乳酸系積層フィルムは、生分解性可塑剤を含むポリ乳酸系樹脂組成物層Aの両面に生分解性可塑剤を含まないポリ乳酸系樹脂組成物層Bが存在するため、常温下で使用中はポリ乳酸と同程度に生分解し難い。また、加熱することにより、生分解性可塑剤が層B中を拡散して積層フィルム表面にまで分布し、積層フィルムの生分解が始まる。このように、加熱が引き金となって生分解を開始させることができる。
このことから、本発明の積層フィルムは、特に、環境中で使用又は保存できるとともに、不要になったときに加熱するだけで環境中での分解を開始させることができる。この点で、農業用フィルムのような農業又は園芸材料、コンポストバッグ、魚網のような漁業材料等として好適に用いることができる。また、本発明の積層フィルムをラップフィルムなどの食品包装材料として用いるときは、使用後は食品とともにコンポストに入れ加熱するだけで分解させることができる。また、手術糸のような医用材料として用いるときは、保存中又は生体内で使用中は分解せず、例えば傷口が塞がった後に縫合部分を暖めることにより生体内で分解させることができる。この他、ラミネート用フィルム、ラベル、容器などのあらゆる用途に用いることができ、不要時に加熱して環境中に廃棄するだけで処分することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(I)ポリ乳酸系樹脂積層フィルム
本発明のポリ乳酸系樹脂積層フィルムは、ポリ乳酸系樹脂と生分解性可塑剤とを含む樹脂組成物層Aと、ポリ乳酸系樹脂を含むか、又はポリ乳酸系樹脂と非生分解性可塑剤とを含む樹脂組成物層BとがB/A/B型に積層された積層フィルムである。
ポリ乳酸系樹脂
本発明において、ポリ乳酸系樹脂とは、L−乳酸残基および/またはD−乳酸残基を50重量%以上含有するホモポリマーまたはコポリマーを指す。ホモポリ乳酸としては、0〜50重量%のD−乳酸残基をもつポリL−乳酸、0〜50重量%のL−乳酸残基をもつポリD−乳酸、ポリL−乳酸とポリD−乳酸との混合物が挙げられる。本発明で使用するホモポリ乳酸は公知の方法で製造できる。ホモポリ乳酸の製造法としては、例えば、乳酸から環状2量体であるラクチドを合成し開環重合により高分子量のポリ乳酸を得る方法や、乳酸の直接脱水縮合によりポリ乳酸を得る方法が挙げられる。
また、コポリマーはポリ乳酸重合時又は重合直後に、副成分を加え重合をさらに進めることにより得られる。副成分の種類は特に限定されないが、例えばグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカロトン酸のようなヒドロキシカルボン酸;カプロラクトン;酢酸ビニル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールのようなポリオール;エチレンテレフタレート重合体類;エチレンビニルアルコール重合体類などが挙げられる。副成分は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。副成分はポリ乳酸の性質を損なわない範囲で使用することができる。コポリマーの形態は、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、交互コポリマー、グラフトコポリマーなどいずれの形態でもよい。
ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量は、1000〜100万程度が好ましく、5000〜50万程度がより好ましい。上記分子量範囲であれば、液状にならず、かつ十分な強度が得られる。また、上記分子量範囲であれば、低粘度で成形性に優れ、かつ可塑剤との親和性がよいためにポリ乳酸系樹脂組成物層中の可塑剤の拡散速度が十分なものになる。本発明におけるポリ乳酸の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定して得た分子量であり、具体的には実施例の項目に記載の方法で測定した値である。
層Aを構成するポリ乳酸系樹脂と層Bを構成するポリ乳酸系樹脂とは同一の組成であってもよく、異なる組成であってもよい。
生分解性可塑剤
層A中には生分解性可塑剤が含まれる。生分解性可塑剤は、ポリ乳酸系樹脂に添加することによってガラス転移温度の低下や剛性の低下を導くような混合性に優れたものであればよく、特に限定されない。エーテルエステル誘導体、グリセリン誘導体、フタル酸誘導体、グリコール酸誘導体、アジピン酸誘導体、エポキシ系可塑剤などの広範囲の可塑剤から選択して使用できる。
生分解性可塑剤の溶解性パラメータは16〜23(MJ/m3)1/2程度であることが好ましい。この範囲であれば、ポリ乳酸の溶解性パラメーターである20と近いため、可塑剤とポリ乳酸とが混ざり易く、室温下でのブリードアウトが抑制され、可塑化効率を高めることができる。溶解性パラメータは、P. Small, J. Appl. Chem.,3,71(1953)に示された方法で計算できる。
また、食品包装等に用いられる場合があることや、コンポスト・農地中に未分解物が一時的に残存する場合があることを考慮すると、FDAやポリオレフィン等衛生協議会などから食品衛生上問題なしと認定された可塑剤であることが好ましい。
このような可塑剤としては、例えば、;エポキシ化大豆油;エポキシ化亜麻仁油;エポキシ化亜麻仁油脂肪酸ブチル;アジピン酸系脂肪族ポリエステル;アセチルリシノール酸エステル;ショ糖脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;アジピン酸ジアルキルエステルのような二塩基酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル;メチルジグリコールブチルジグリコールアジペートのような、炭素数1〜20のアルキル基を有するビス(アルキルジグリコール)アジペート;ベンジルブチルジグリコールアジペート、ベンジルメチルジグリコールアジペートのような炭素数1〜20のアルキル基を有するベンジルアルキルジグリコールアジペート;ポリエチレングリコール等が挙げられる。中でも、ポリ乳酸系樹脂の生分解性を向上させ、かつB層中を拡散し易い点で、メチルジグリコールブチルジグリコールアジペートのような、炭素数1〜20のアルキル基を有するビス(アルキルジグリコール)アジペート;ベンジルブチルジグリコールアジペート、ベンジルメチルジグリコールアジペートのような炭素数1〜20のアルキル基を有するベンジルアルキルジグリコールアジペートが好ましく、その中でも特にベンジルブチルジグリコールアジペート、ベンジルメチルジグリコールアジペートのような炭素数1〜20(中でも炭素数1〜8、特に炭素数1〜4)のアルキル基を有するベンジルアルキルジグリコールアジペートがより好ましい。生分解性可塑剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
生分解性可塑剤の分子量は300〜30000程度が好ましく、350〜5000程度がより好ましい。生分解性可塑剤がポリエチレングリコールのようなポリマーである場合は、分子量300〜30000程度が好ましく、600〜20000程度がより好ましい。上記範囲であれば、A層中の生分解性可塑剤がB層中を拡散し易く、また可塑化効果が高い。また上記範囲であれば、A層中の生分解性可塑剤がB層中に拡散した後フィルム表面からブリードアウトしたりフィルム端面からブリードアウトし難い。本発明における可塑剤の分子量は、予測される分子量が1000程度以下の場合は分子式から算出した値であり、1000程度より大きい場合はゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定して得た値である。
生分解性可塑剤の添加量は、可塑剤やポリ乳酸系樹脂の種類、必要とされる生分解性発現の誘導期間によって異なる。層A中の生分解性可塑剤の含有量は、ポリ乳酸系樹脂 100重量部に対し10〜200重量部程度が好ましく、12〜100重量部程度がより好ましく、15〜80重量部程度がさらにより好ましい。上記範囲であれば、積層フィルムにおいて十分な生分解性が得られる。また、上記範囲であれば、積層フィルムの強度が十分なものとなるとともに、フィルム表面や端面からの可塑剤のブリードアウトが生じ難い。
非生分解性可塑剤
層B中には可塑剤が含まれないか、又は非生分解性可塑剤が含まれる。非生分解性可塑剤もまた、ポリ乳酸系樹脂に添加することによってガラス転移温度の低下や剛性の低下を導くような混合性に優れたものであればよく、特に限定されない。
非生分解性可塑剤の溶解性パラメータも16〜23(MJ/m3)1/2程度であることが好ましい。また、食品包装等に用いられる場合があることや、コンポスト・農地中に未分解物が残存する場合があることを考慮すると、FDAやポリオレフィン等衛生協議会などから食品衛生上問題なしと認定された可塑剤であることが好ましい。
このような非生分解性可塑剤としては、例えば、アセチルクエン酸トリブチルのようなクエン酸エステル系可塑剤;トリアセチンのようなアセチン化合物;ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。非生分解性可塑剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
非生分解性可塑剤の分子量は300〜30000程度が好ましく、400〜5000程度がより好ましい。非生分解性可塑剤がポリ酢酸ビニルのようなポリマーである場合は、分子量300〜30000程度が好ましく、600〜20000程度がより好ましい。上記分子量範囲であれば、ブリードアウトし難くその結果ポリ乳酸系樹脂の柔軟性が長期にわたり安定に保持される。また、上記分子量範囲であれば、ポリ乳酸系樹脂の柔軟性が損なわれない。
非生分解性可塑剤の添加量は、可塑剤やポリ乳酸系樹脂の種類によって異なる。層B中の非生分解性可塑剤の含有量は、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対し0〜50重量部程度が好ましく、0〜30重量部程度がより好ましく、0〜20重量部程度がさらにより好ましい。上記範囲であれば、層Bの柔軟性が十分に得られるとともに、積層フィルム表面への非生分解性可塑剤のブリードアウトやブロッキングが生じ難い。
その他の成分
本発明のフィルムには、用途と要求される特性に応じて、カルボジイミド、オキサゾリンのような安定剤;2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、ブチル・ヒドロキシアニソール(BHA)のような酸化防止剤;シリカ、タルク、アルミナ、炭酸カルシウムのような有機または無機のアンチブロッキング剤;グリセリン脂肪酸エステル、クエン酸モノステアリル、アルキルスルホン酸塩のような防曇剤又は帯電防止剤;酸化チタン、カーボンブラック、各種顔料、染料のような着色剤などの種々の添加剤が含まれていてよい。
層の厚み
本発明のポリ乳酸系樹脂積層フィルムの全体厚みは特に限定されないが、1〜2000μm程度が好ましく、10〜1800μm程度がより好ましく、50〜1600μm程度がさらに好ましい。
フィルム全体に占める層Aの厚みは10%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上がさらにより好ましい。層Aの厚みの上限値は通常95%程度とすればよい。この範囲であれば、層A中の生分解性可塑剤がB層中に拡散したときに積層フィルム全体が充分な生分解性を有するものとなる。また、フィルム全体に占める層Bの厚みは90%以下が好ましく、50%以下がより好ましく、30%以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、室温下での生分解性可塑剤の積層フィルム表面へのブリードアウトが抑制され、また積層フィルムの実用上十分な機械的強度が確保される。
また、後述するドライラミネート法で積層フィルムを得る場合は、各層間に接着剤層が形成されていてもよい。接着剤層の厚さは、ドライラミネート法で通常採用される厚さであればよい。通常100 mm以下であれば、接着剤層中を生分解性可塑剤が拡散できる。
本発明の積層フィルムは、延伸されていてもよく、未延伸であってもよい。延伸されたものは、分子のパッキングがよく生分解性に劣る傾向にあるため、未延伸フィルムの方が好ましい。また、用途に応じて透明性又は柔軟性の低下を回避すべき場合は、層Bが延伸されたものであってもよい。
(II)ポリ乳酸系樹脂積層フィルムの製造方法
本発明のポリ乳酸系樹脂積層フィルムの製造方法は、ポリ乳酸系樹脂と生分解性可塑剤とを含む組成物aと、ポリ乳酸系樹脂を含むか、又はポリ乳酸系樹脂と非生分解性可塑剤とを含む組成物bとを用いて、共押し出し法、ドライラミネート法、又は溶剤キャスト法で組成物aからなる層Aと組成物bからなる層BとがB/A/B型に積層された積層フィルムを得る工程を含む方法である。
中でも、ドライラミネート法により得られた積層フィルムは、フレキシビリティが高く、多層化時に可塑剤が層Bへ移動せず安定性が良好である点で、好ましい。
組成物aの成分は層Aの成分について説明した通りであり、組成物bの成分は層Bの成分について説明した通りである。可塑剤をポリ乳酸系樹脂に所定量含有させる手法は特に限定されず、予め樹脂と可塑剤とを混合しておく方法、剪断のかかる二軸のロールで両者を混練する方法、二軸の押出機中で溶融した樹脂に可塑剤を計量しつつ添加する方法などの公知の方法を採用できるが、溶融した樹脂に可塑剤を計量しつつ添加する方法が好ましい。
共押し出しの場合は、押し出し時に層A中の生分解性可塑剤が層B中に拡散するのを抑制するために、加工時に層Bが層Aに接触するときの温度は160℃以下で、その後6080℃まで冷却するのに要する時間は30秒間以下、特に接触時の温度は140℃以下でその後60℃まで冷却するのに要する時間は10秒間以下とすることが好ましい。
また溶剤キャスト法では、押し出し成形法(Tダイキャスト法、インフレーション法)や溶剤キャスト法で成形した層A上に組成物bを塗布することにより層A両面に層Bを形成してもよく、層B上に組成物aを塗布して層Aを形成した後、その層A上に組成物bを塗布して層Bを形成してもよい。溶剤の蒸発は室温下で行うか、加熱しても60℃より低い温度で行えばよい。
ドライラミネート法では、押し出し成形法(Tダイキャスト法、インフレーション法)や溶剤キャスト法で成形した層A、層Bを公知の接着剤で貼り合わせればよい。接着層の厚さは、ドライラミネート法で通常使用される厚さとすればいが、通常0.1 mm以下であれば、生分解性可塑剤が接着剤層中を拡散できる。
また、透明性や柔軟性を確保すべき場合には、一軸方向又は二軸方向に延伸されたB層を用いてもよい。
(III)ポリ乳酸系樹脂積層フィルムの易分解化処理方法
本発明の易分解化処理方法は、上記説明した本発明のポリ乳酸系樹脂積層フィルムを60℃以上で1分間以上加熱する工程と、この積層フィルムを酵素又は微生物の存在下に置く工程とを含む方法である。
加熱温度、時間は、フィルムの成分や各層厚さによって異なるが、好ましくは、80℃以上で30分間以上加熱することが好ましい。
加熱手段は特に限定されず、その積層フィルムが使用される状況に応じて選択すればよい。通常は、使用後の積層フィルムを回収して、加熱炉内で加熱したり、熱ローラ対間を通過させたりすればよい。また、加熱により層A中の生分解性可塑剤の拡散を開始させた後、土、水中に放置すればよい。これにより、土や水中の微生物や微生物が分泌した酵素により積層フィルムが分解される。
また例えば、農業用フィルムであれば、使用後に黒色シートで覆い太陽熱を利用して加熱した後、そのまま放置すればよい。また、人体内に埋設される手術用糸等では、役割を果たした後は当該部分を赤外線ヒータなどで暖めることができ、それにより体内の酵素や微生物により分解される。
実施例
以下、本発明を実施例、試験例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の実施例等において、特に断りがない限り、%は重量%を指し、部は重量部を示す。
(1)分子量の測定
ポリ乳酸の分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。東ソー株式会社製HLC−8020を使用し、カラムは同社のKF803L×1及びKF806L×2を直列に連結して使用し、解析は同社のAS−802を使用して流速1 ml/分間の条件で行い、分子量既知のポリスチレンを標準試料に用いて重量平均分子量及び数平均分子量を測定した。
(2)用いた材料
ポリ乳酸
ユニチカ株式会社製 ECOPLA 4031DK
重量平均分子量:236,400 (ポリスチレン換算)
数平均分子量:140,800 (ポリスチレン換算)
光学純度:99%(99%L体、1%D体)
可塑剤
ベンジルブチルジグリコールアジペート:大八化学工業株式会社製 SN0212
アセチルトリブチルサイトレート(ATBC):田岡化学工業株式会社製
(3)混練法によるポリ乳酸組成物の均一ブレンドの作製
ポリ乳酸と可塑剤とを、種々の割合で熱ロール(小型熱ロールHR−3型、日東反応機社製)にて175℃で練ることによりブレンド品を得た。それを(株)神藤金属工業所製熱プレスを用い、150℃、ゲージ圧50kgf/cm2で圧縮成形することにより種々の厚さの均一ブレンドフィルムを作製した。
(4)多層フィルムの作製
層Aの両面に層Bを重ね、室温でプレスすることによって多層フィルムを作製した。このとき、層Aの端面が露出しないように、層Aよりサイズの大きい層Bを用い、層Bの縁を互いにエポキシ樹脂接着剤(商品名アラルダイト)で接着した。これは、層B表面の生分解性可塑剤濃度を正確に測定するためである。作製したフィルムの断面を図1に示す。
(5)酵素による生分解性の評価
図1のように作製した多層フィルムについて生分解試験を行った。まず、試験前の各フィルム重量を測り、50ml容の試験瓶に、下記組成のプロティナーゼK(シグマアルドリッチ社製)を含むポリ乳酸分解酵素溶液5mlとフィルムとを入れた。この試験瓶を温度27℃、湿度50%の暗室内で、毎分114回の速度で11日間水平振動した。取り出した試験後のフィルムを蒸留水で充分に洗浄し、紙(商品名:キムワイプ)で水分を拭き取り、自然乾燥した後、重量を測った。生分解性は下記の式で示される試料の重量減少率で評価した。
重量減少率(%)=〔(試験前の重量)−(試験後の重量)/(試験前の重量)〕×100
また、各フィルムについて、ポリ乳酸分解酵素溶液を用いるのに代えて、プロティナーゼKを含まない他は同じ組成の溶液を用いて同様の試験を行った。
<ポリ乳酸分解酵素溶液の組成>
0.5 M リン酸カリウム緩衝液(pH7) 5.0 ml
蒸留水 44.5 ml
2%NaN3水溶液 0.5 ml
プロティナーゼK(シグマアルドリッチ社製) 410 Units
(6)層B表面の生分解性可塑剤濃度の測定
顕微ラマン測定装置(Senturion with sure_cal; Chromex社製)を用い、試料表面の位置での小さなスポット(直径2μm、深さ2μm以内)の部分のラマンスペクトルを測定して、均一ブレンド中の生分解性可塑剤ベンジルブチルジグリコールアジペートに帰属されるピーク(1002cm-1付近)とポリ乳酸に帰属されるピーク(873cm-1付近)との強度比を求め、このピーク比の値を、組成比既知の樹脂組成物について上記ピーク比を求めることにより作成した検量線に当てはめて、層B表面の生分解性可塑剤濃度を測定した。
比較例1、2、3(単層フィルム)
ベンジルブチルジグリコールアジペートをポリ乳酸ブレンド全体に対して20%添加した組成物を用いて、単層フィルムを作製した(比較例1)。また、アセチルトリブチルサイトレートをポリ乳酸ブレンド全体に対して20%添加した組成物を用いて単層フィルムを作製した(比較例2)。さらに、可塑剤を添加しないポリ乳酸からなる単層フィルムを作製した(比較例3)。
これらの生分解の程度を以下の表1に示す。
Figure 0005030435
ベンジルブチルジグリコールアジペートを添加したポリ乳酸(比較例1)は分解酵素の存在下でよく分解された。一方、アセチルトリブチルサイトレートを添加したポリ乳酸(比較例2)、及び可塑剤を添加しないポリ乳酸(比較例3)は分解酵素が存在しても殆ど分解されなかった。
従って、ベンジルブチルジグリコールアジペートは生分解性の可塑剤に分類され、アセチルトリブチルサイトレートは非生分解性可塑剤に分類される。以下の各実施例では、これらの可塑剤を用いて積層フィルムを作製した。
実施例1、2、3、4(層Bの厚みの影響)
生分解性可塑剤としてベンジルブチルジグリコールアジペートをポリ乳酸系樹脂組成物の全体に対して50%含有するポリ乳酸均一ブレンドフィルムを層Aとし、非生分解性層として可塑剤を含有しないポリ乳酸単独フィルムを層Bとした。また、層Aの厚みを1000μmとし、層Bの厚みを表2に示すとおり変えて、B/A/B層構成の多層フィルムを作製した。これを、層B表面の可塑剤濃度の急激な上昇挙動発現に最適な厚みを知るため、80℃で6時間熱処理を行った。結果を以下の表2に示す。
Figure 0005030435
層Bの厚みが薄いほど生分解性可塑剤が層Bに移行する時間が短いため、層B表面の生分解性可塑剤の濃度が大きくなり易く、生分解性が増大し易い。このため、生分解速度を制御し難くなる。このことから、層Bの厚みを適切に調整することで生分解速度を制御できることが分かった。
すなわち、層Bの厚みが小さいほど層B表面への生分解性可塑剤の移行が大きく、それに伴い積層フィルムの生分解速度も大きくなった。このことから、層Bの厚みを調節することで、積層フィルムの生分解速度を制御できることが分かる。
実施例5、6、7、8(熱処理時間の検討)
生分解性可塑剤としてベンジルブチルジグリコールアジペートをポリ乳酸系樹脂組成物の全体に対して50%含有するポリ乳酸均一ブレンドフィルムを層Aとし、非生分解性層として可塑剤を含有しないポリ乳酸単独フィルムを層Bとした。層Aの厚みを1000μm、層Bの厚みを90μmとし、B/A/B層構成の多層フィルムを作製した。これらについて、処理時間を表3に示すとおり変えて、80℃で熱処理を行った。
Figure 0005030435
熱処理をしない場合や熱処理時間が短い場合には、層Bの表面の生分解性可塑剤濃度が低く、またポリ乳酸分解酵素が存在しても生分解し難かった。また、熱処理時間が大きくなるほど、生分解性可塑剤が層Bに移行して積層フィルム表面の生分解性可塑剤濃度が大きくなり、それに伴い積層フィルムの生分解性が大きく向上した。このことから、熱処理時間を調整することで生分解速度を制御できることがわかった。
実施例9、10、11、12(熱処理温度の検討)
生分解性可塑剤としてベンジルブチルジグリコールアジペートをポリ乳酸系樹脂組成物の全体に対して50%含有するポリ乳酸均一ブレンドフィルムを層Aとし、非生分解性層として可塑剤を含有しないポリ乳酸単独フィルムを層Bとした。層Aの厚みを1000μm、層Bの厚みを150μmとし、B/A/B型の多層フィルムを作製した。これらを、処理温度を表4に示すとおり変えて、1時間、熱処理を行った。
Figure 0005030435
表4より、熱処理温度が高くなるほど生分解性可塑剤の層Bへの移行速度が大きく、積層フィルム表面の生分解性可塑剤濃度が大きくなり、それに伴い積層フィルムの生分解性が大きく向上した。このことから、熱処理温度を調整することで生分解速度を制御できることが分かった。
実施例13、14、15、16(層B中の非生分解性可塑剤の有無の影響)
層Bが非生分解性可塑剤を含有しないポリ乳酸系樹脂層である場合、ポリ乳酸の剛性によって積層フィルムの柔軟性がやや低下する可能性がある。そのため、積層フィルムの柔軟性を向上させる観点からは、層B中に可塑剤が含まれることが好ましい。そこで、層B中に非生分解性可塑剤が存在する場合と存在しない場合との間で、積層フィルムの生分解性を比較した。
具体的には、生分解性可塑剤としてベンジルブチルジグリコールアジペートをポリ乳酸系樹脂組成物の全体に対して50%含有するポリ乳酸均一ブレンドフィルムを層Aとし、非生分解性可塑剤としてアセチルトリブチルサイトレートをポリ乳酸系樹脂組成物の全体に対して20%添加して作製したブレンドフィルムを層Bとして、B/A/B型の積層フィルムを得た。さらに、非生分解性可塑剤を添加しないポリ乳酸系樹脂組成物フィルムを層Bとした場合との間で生分解性を比較した。各積層フィルムの層Aの厚みは1000μmとした。また、層Bの厚みが40μmである積層フィルムと層Bの厚みが90μmである積層フィルムの2種類を作製した。これらの積層フィルムについて、表5に示すとおり温度80℃で1時間熱処理した。結果を表5に示す
Figure 0005030435
層B中に非生分解性可塑剤としてアセチルトリブチルサイトレートを添加した場合は、層B中に非生分解性可塑剤を添加しない場合と同程度に、層B表面に層A中の生分解性可塑剤が移行した。また、層Bが薄い方が層B表面への可塑剤の移行は大きかった。また、層B中に非生分解性可塑剤が含まれていても、酵素により積層フィルムは十分に生分解された。このことから、層B中に非中分解性可塑剤を含ませることで積層フィルムの柔軟性を向上させつつ、種々の条件を調整することで生分解速度を制御できることが分かった。
実施例17、18、19、20、21(常温下での保存安定性)
生分解性可塑剤としてベンジルブチルジグリコールアジペートをポリ乳酸系樹脂組成物の全体に対して50%含有するポリ乳酸均一ブレンドフィルムを層Aとし、非生分解性層として可塑剤を含有しないポリ乳酸系樹脂組成物フィルムを層Bとした。層Aの厚みを1000μm、層Bの厚みを120μmとし、B/A/B型の積層フィルムを作製した。これらを、23℃で表6に示す時間保存し、貯蔵安定性を調べた。結果を表6に示す。
Figure 0005030435
常温保存を行っても層Bの表面には生分解性可塑剤の析出が殆ど認められず、またポリ乳酸分解酵素が存在しても積層フィルムは殆ど生分解されなかった。これは、2664時間(111日間)経過した後も同様であった。111日間保存後の生分解の程度は、前掲の表1の可塑剤を含まないポリ乳酸系樹脂組成物(比較例3)の生分解の程度と同じであり、生分解性可塑剤を層A中に含んでいても、そのことで積層フィルムの使用又は保存中の易分解性が促進されないことが示された。このことから、一度に積層フィルムを多量に製造して保存できることが分かる。また、必要とされる生分解速度に応じて各種の条件で熱処理すれば生分解できる、ニーズに応じた積層フィルムを提供できることが分かる。
実施例1〜21で使用したB/A/B型積層フィルムの断面を示す図である。

Claims (9)

  1. ポリ乳酸系樹脂及び可塑剤として生分解性可塑剤である炭素数1〜20のアルキル基を有するベンジルアルキルジグリコールアジペートのみを配合した樹脂組成物層Aと、ポリ乳酸系樹脂を含むか、又はポリ乳酸系樹脂及び可塑剤として非生分解性可塑剤のみを配合した樹脂組成物層BとがB/A/B型に積層されたポリ乳酸系樹脂積層フィルム。
  2. 層Aの厚みがフィルム全体の10〜95%である請求項1に記載のポリ乳酸系樹脂積層フィルム。
  3. 積層フィルムの全体厚さが1〜2000μmである請求項1又は2に記載のポリ乳酸系樹脂積層フィルム。
  4. 層Aにおける生分解性可塑剤の含有量がポリ乳酸系樹脂100重量部に対し10〜200重量部であり、層Bにおける非生分解性可塑剤の含有量がポリ乳酸系樹脂100重量部に対し0〜50重量部である請求項1〜3のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂積層フィルム。
  5. 生分解性可塑剤が、ベンジルブチルジグリコールアジペート及びベンジルメチルジグリコールアジペートからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂積層フィルム。
  6. 非生分解性可塑剤が、クエン酸エステル系可塑剤、アセチン化合物、ポリ酢酸ビニルからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂積層フィルム。
  7. 非生分解性可塑剤の分子量が300〜30000である請求項1〜6のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂積層フィルム。
  8. ポリ乳酸系樹脂及び可塑剤として生分解性可塑剤である炭素数1〜20のアルキル基を有するベンジルアルキルジグリコールアジペートのみを配合した組成物aと、ポリ乳酸系樹脂を含むか、又はポリ乳酸系樹脂及び可塑剤として非生分解性可塑剤のみを配合した組成物bとを用いて、共押出法、ドライラミネート法、又は溶剤キャスト法で組成物aからなる層Aと組成物bからなる層BとがB/A/B型に積層された積層フィルムを得る工程を含むポリ乳酸系樹脂積層フィルムの製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂積層フィルムを60℃以上で1分間以上加熱する工程と、この積層フィルムを微生物又は酵素の存在下に置く工程とを含むポリ乳酸系樹脂積層フィルムの易分解化処理方法。
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