JP5761558B2 - セラミックメタルハライドランプ - Google Patents

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Description

本発明は、セラミックメタルハライドランプに関する。更に具体的には、本発明は、従来の異なる種類のランプが取り付けられていた照明器具に取り付け可能なセラミックメタルハライドランプに関する。
高圧水銀ランプ、高圧ナトリウムランプ、メタルハライドランプ等を総称し、高輝度放電灯(以下、「HIDランプ」という。)と言う。HIDランプを点灯するためには、安定器が必要となる。一般に、高圧水銀ランプは、商用交流電源200Vを使用する高圧水銀ランプ用安定器を使用して点灯することができる。
これに対し、高圧ナトリウムランプやメタルハライドランプは、始動時にパルスをかけて発光管内で絶縁破壊を生じさせるため、イグナイターと称するパルス発生器が必要となる。このため、安定器には、パルス発生器関連の回路(以下、単に「パルス発生器」という。)が内蔵されている。
また、従来の異なる種類のランプが取り付けられていた照明器具に取り付け可能な「レトロフィット」のランプには大きく分けて2つの市場がある。1つは、高圧水銀ランプ用安定器を使用して点灯するランプの市場である。他の1つは、高圧ナトリウムランプ用安定器を使用して点灯するランプの市場である。
高圧水銀ランプは安価なため広く普及しているが、発光効率は45[lm/W]程度と低く、平均演色評価数Raは約40、相関色温度Tcpは約4100[K]である。
一方高圧ナトリウムランプの発光効率は、83[lm/W]程度と高圧水銀ランプより高効率だが、平均演色評価数Raは、約25と低く被照射物の色再現性が悪い。また相関色温度Tcpは約2100[K]でオレンジ色の光となってしまう。
近年、発光管にセラミックを採用し、発光管内にさまざまな金属ハロゲン化物を封入することにより、発光効率と色味の両方を向上させることができるHIDランプとして、セラミックメタルハライドランプが市場に投入されている。
しかし、一般的なセラミックメタルハライドランプは、ランプ電圧や始動に必要な始動パルスといった特性が、従来の高圧水銀ランプまたは高圧ナトリウムランプの特性とは異なっている。
特開平11-96966号公報 特許文献1は、両端にニオビウムよりなる電極支持管が固定された透光性アルミナ管からなる発光管、強誘電体コンデンサ(FEC)及び熱応動スイッチを備える高圧ナトリウムランプを開示する。 特開2010-3414号公報 特許文献2は、発光管、FEC及びバイメタルスイッチ11を備えるメタルハライドランプを開示する。 特開2005-26146号公報 特許文献3は、ランプ内始動器を備えるメタルハライドランプにおいて、発光管からの距離と熱応動スイッチの動作温度との関係を示す。 特開2008-192475号公報 特許文献4は、セラミック機密容器を備えた発光管及び紫外線発生源を備える高圧放電ランプを開示する。 特開2006-236919号公報 特許文献5は、発光管及び紫外線放射始動素子を備える高圧金属蒸気放電ランプを開示する。 特開平6-96883号公報 特許文献6は、発光管とそれに並列に配置された外部補助導体と熱応動スイッチとを備える高圧ナトリウムランプを開示する。
そこで、高圧水銀ランプまたは高圧ナトリウムランプを取り付けていた照明器具に適用可能で、高圧水銀ランプ及び高圧ナトリウムランプよりも高効率、高演色、且つ自然な色合いのランプを提供することが要望されている。それを達成するために、高圧水銀ランプ80W用安定器で点灯可能なランプにおいて、発光効率η≧105[lm/W]、Duv≦10、平均演色評価数Ra≧70、相関色温度3000≦Tcp≦4000[K]を目標として開発を進めている。
また、産業界では、CO2排出量の少ない燃料への転換やエネルギー使用量の削減が求められている。これに呼応して、照明業界でも、ランプの発光効率向上によるCO2削減が求められている。電力消費量の少ない省エネのランプを開発することは、時代の要請でもある。
いずれの特許文献も、上記の要望や要請を達成することを目的とするものではなく、また、発光管の発光が発光管内部の素子等によって遮られるような状況を課題とするものではなく、特に、バイメタルスイッチの配置については何等の考慮も行っていない。
上記課題に鑑みて、本発明に係るセラミックメタルハライドランプは、発光管と、電気的に直列に接続されたバイメタル、強誘電体コンデンサ及び電流制限抵抗であって、前記発光管と電気的に並列に接続されたバイメタル、強誘電体コンデンサ及び電流制限抵抗とを備えるセラミックメタルハライドランプであって、前記発光管が、一対の電極を有する発光部と該発光部の対向位置に配置された一対のキャピラリーとを備え、前記バイメタルが前記発光管の一方のキャピラリーの長手方向軸線と平行に配置されていて、該バイメタルの少なくとも一部が、該キャピラリーと位置的に並列に配置されていることを特徴とする。
そのセラミックメタルハライドランプにおいて、前記キャピラリーと位置的に並列に配置されている前記バイメタルの少なくとも一部の長さは、バイメタルの開閉動作温度を考慮して決定することができる。
そのセラミックメタルハライドランプにおいて、前記キャピラリーと位置的に並列に配置されている前記バイメタルの少なくとも一部の長さは、前記強誘電体コンデンサのキュリー点温度を考慮して決定することができる。
そのセラミックメタルハライドランプにおいて、パルス発生器の無い安定器を有するランプ点灯装置に用いることができる。
そのセラミックメタルハライドランプにおいて、前記セラミックメタルハライドランプは、定格ランプ電力45〜72Wのランプであってもよい。
本発明によれば、パルス発生器が無い安定器で点灯可能で、高圧水銀ランプ及び高圧ナトリウムランプよりも高効率、高演色、且つ自然な色合いのセラミックメタルハライドランプを提供することができる。
更に、本発明によれば、発光管の発光が発光管内部の素子等によって遮られることがなく、再点灯が的確に行われるセラミックメタルハライドランプを提供することができる。
図1Aは、本発明の一実施形態に係るセラミックメタルハライドランプの正面図である。 図1Bは、図1Aのセラミックメタルハライドランプの底面図である。 図1Cは、図1Aのセラミックメタルハライドランプの背面図である。 図2は、図1A、図1B及び図1Cに示すセラミックメタルハライドランプの回路図である。 図3は、図1Aに示すセラミックメタルハライドランプのFECのヒステリシス特性を説明するための図である。 図4は、図1Aに示すセラミックメタルハライドランプの始動及び再始動動作を説明するための図である。 図5は、本発明の他の実施形態に係るセラミックメタルハライドランプの正面図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係るセラミックメタルハライドランプについて説明する。なお、全図において、各部材の厚さ、長さ、形状、部材同士の間隔、隙間等は、理解の容易のために、適宜、拡大・縮小・変形・簡略化等を行っているため、本発明は図面の形状等に限定されるものではない。図の説明の際の上下・左右の表現は、説明の便宜上、その図を鉛直面内に置いた状態でのその図面の面に沿った方向を表すものとする。また、異なる図面において、同じ部材には同じ参照符号を付し、場合に応じて説明を省略する。
[セラミックメタルハライドランプ]
(構成)
本発明の一実施形態に係るセラミックメタルハライドランプ10は、定格ランプ電力が45Wから72Wランプのように比較的小型のランプを対象とする。
図1Aから図1Cに示すように、セラミックメタルハライドランプ10は、外球20の内部に、発光管1を有する。発光管1は、内部に一対の電極を有していて中央に配置されている発光部1aと両側の細い円筒状のキャピラリー1b,1cとからなる。また、外部から電力の供給を受ける口金30にステム2が固定されており、ステム2に2本の支柱3,4が支持されている。
発光管1のキャピラリー1bは右側に延びたリード線を介して支柱4に接続されており、発光管1のキャピラリー1cは左側に延びたリード線及び下方に延びる他のリード線7を介して支柱3に接続されている。
また、支柱4には、バイメタル8の一端が接続されており、バイメタル8の他端が、焦電流抵抗Rc10の一端に接続されている。Rc抵抗10の他端は、支柱3及び電流制限抵抗Rd12の一端に接続されている。Rd12は、始動時の異常放電によりFECが焼損することを防ぐための電流制限抵抗として機能する。
Rd12の他端は、強誘電体コンデンサ(FEC)9の一方の面の中央の接点に溶接されており、FEC9の他方の面の中央の接点は、バイメタル8の端部と焦電流抵抗Rc10の端部との間に接続されている。
FEC9はパルス発生器で、機械的スタータに代わるものであり、FEC9により位相制御が可能で、始動までの時間を短縮でき、光束維持率を高く維持できる。また、発生パルスの高さはFECの厚さによって変えられ、薄いほど高くできる。本実施例では0.7mmの厚さのものを使用した。
支柱4には、ゲッタ11が取り付けられている。ゲッタ11は外球20内の不純ガスを吸収するためのものである。また、支柱4の右端部にはマウント支持板5が取り付けられていて支柱4を所定の位置に保持する。
概略、始動後の安定した点灯状態では、支柱4から発光管1を経由して支柱3のルートで電流が流れる。
図1A及び図1Cに示すように、バイメタル8は発光管1の長手方向の軸線と概略平行に配置されており、また、バイメタル8の一部は、発光管1のキャピラリー1cと並列に配置されている。詳しくは、後述するように、そのように、バイメタル8及び発光管1が配置されていることにより、発光管1の中央の太い発光部1aと細いキャピラリー1cとの体積の差により形成された空間内にバイメタル8を配置することができ、さらに、バイメタル8が発光管1の発光部1aからの発光を遮ることがないため、外球20内の空間を有効に活用することができる。つまり、外球20内の素子を接近させて配置でき、さらに、必要に応じて、外球20自体を小型化することが可能になる。
(回路構成)
図2は、図1A、図1B及び図1Cに示すセラミックメタルハライドランプの回路図である。図2において、一点鎖線20から右側の回路が、図1A、図1B及び図1Cに示すセラミックメタルハライドランプの外球20内の素子の回路であり、一点鎖線20から左側の安定器22及び電源24は、ランプの点灯装置の構成である。一点鎖線20の位置において、ランプは口金30を介して電気的に点灯装置に接続されている。
図2に示すように、発光管1は電源24に直列に接続されており、発光管1は、バイメタル8、FEC9及びRd12の直列回路と並列に接続されている。また、FEC9及びRd12の直列回路にはRcが並列に接続されている。
バイメタル8は、通常は、閉じていて、周囲の温度が所定の温度になると開く。周囲の温度は発光管1の点灯によって上昇する。
始動時には、FEC9の作用により電源回路に発生した高電圧パルスが支柱4から発光管41に印加される。そうすると、発光管内で絶縁破壊が起こり、アーク放電が発生して、発光管1が点灯する。発光管1の熱によりバイメタル8が開くと、このルートは遮断されて安定した点灯状態になる。消灯してランプが冷えると、バイメタル8は閉じて、所定時間経過すると、再始動の準備が整う。
(FEC)
FECは、印加電圧と分極との関係が非線形であり、正弦波などの印加電圧を交番させて逆電圧にしたときでも残留分極があるため、図3の上の図に示すように、ヒステリシスカーブを描く。この特性を利用してFECをスイッチング素子としてパルス電圧を発生することができる。つまり、図3の下の図に示すように、FECに交流電圧を加えると、半サイクルごとに急激な電流変化(dI/dt)が生じてパルス電圧が発生する。
(ランプの動作)
図4は、図1A乃至図1Cに示すセラミックメタルハライドランプ10の始動及び再始動動作を説明するための図である。
図4の下側に示す丸で囲んだ1から11の時間の流れに沿って説明をする。以下において、丸で囲んだ数字を時間1、時間2・・・等と表現する。
時間1
この時間では、外球20内は、室温と同じであり「常時点灯温度」には達していない。電源を投入すると、バイメタル8は室温では閉じているため、発光管1の両端及びFEC9の端子間に電源電圧がかかる。これにより、FECが、交流電源の電圧変化に同期して発振するとともに、充電と放電とを繰り返し、安定器22にインダクタンスに比例した高電圧パルスを発生させる。この際、FECは、発振による自己発熱により、温度がゆっくり上昇する。
時間2
ランプが点灯し、外球20内の温度が上昇する。発光管1からの熱放射及び発光管1のキャピラリー1cからの熱伝導により、FEC9の温度及びバイメタル8の温度が上昇する。
時間3
FEC9の温度がキュリー点(約90°C)を越えると、FEC9が発振しなくなり高電圧パルスが発生されなくなる。
時間4
次に、バイメタル8の温度が「開閉動作温度」を越えるとバイメタルが開き、FEC9の端子間の電圧がゼロVになる。なお、バイメタル8の温度が開閉動作温度を越える時間は、FEC9の温度がキュリー点を越える前の時間であってもよい。これは、バイメタル8の配置の変更によって変えることができる。
時間5
電源を切断する。ランプが消灯し、各素子の温度が下降する。
時間6
時間5から数秒後に電源の再投入を試みる。電源電圧は発光管1の両端に印加されるが、バイメタル8の接点が開のため、FEC9に電圧が印加されない。このため、発光管1は消灯したままであり、各素子の温度は下がり続ける。
時間7
FEC9の温度がキュリー点以下に下がる。バイメタル8の温度は開閉動作温度より高い。つまり、バイメタル8の接点は開いている。このため、この時点で電源を再投入してもFEC9に電圧がかからないため、FEC9は発振しない。
時間8
バイメタル8の温度が開閉動作温度より低くバイメタルの接点が閉じている。このため、電源を再投入すると、FEC9に電圧がかかり、FEC9が発振して安定器22にインダクタンスに比例したパルスが発生する。
時間9
発光管1が点灯し、各素子の温度が再び上昇する。
時間10
バイメタル8の温度が開閉動作温度を越えるため、バイメタルの接点が開となり、高電圧パルスは発生しなくなる。
時間11
FEC9の温度がキュリー点を越えるが、既にバイメタルの接点が開となっているので、特に変化はない。
(考察)
バイメタル8の開閉は、バイメタル片の温度が開閉動作温度を越えるか否かで決定される。バイメタル片の温度は、発光管1の特に発光部1aの熱放射及び発光管1のキャピラリー1cからの熱伝導によって引き起こされる。特に、バイメタル8と発光管1の特に発光部1aとの距離によって定まる。
一方、バイメタル8と発光管1の特に発光部1aとの距離が小さい場合には、再点灯時において、FEC9がキュリー点温度より高い状態でバイメタル8の接点が閉じたとしても、FEC9はパルス発生に寄与しないため、発光管1は点灯することができない。
従って、バイメタル8と発光管1の特に発光部1aとの距離は重要な要素である。
[他の実施形態]
図5は、本発明の他の実施形態に係るセラミックメタルハライドランプ100の正面図である。
図1A等に示すセラミックメタルハライドランプ10の外球20は円筒形状であるのに対し、セラミックメタルハライドランプ100の外球50は曲面を有するやや膨張した形状である点で相違する。他の素子の構成は同じである。
セラミックメタルハライドランプ100の外球50は、セラミックメタルハライドランプ10の外球20よりも広い空間を有するが、セラミックメタルハライドランプ100においても、バイメタル8が発光管1の発光を遮ることはない。
以上、本発明に係る2つの実施形態のセラミックメタルハライドランプについて説明したが、本発明はそれらの実施形態に拘束されるものではなく、当業者が容易になしえる追加、削除、改変等は、本発明に含まれるものであり、また、本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載によって定められることを承知されたい。
10,100・・・セラミックメタルハライドランプ
1・・・発光管
1a・・・発光部
1b,1c・・・キャピラリー
2・・・ステム
3,4・・・支柱
5・・・マウント支持板
8・・・バイメタル
9・・・FEC
10・・・Rc
11・・・ゲッタ
12・・・Rd
20,50・・・外球

Claims (3)

  1. 発光管と、
    電気的に互いに直列に接続され且つ前記発光管と電気的に並列に接続されたバイメタル、強誘電体コンデンサ及び電流制限抵抗とを備えるセラミックメタルハライドランプであって、
    前記発光管が、一対の電極を有する発光部と該発光部の対向位置に配置された一対のキャピラリーとを備え、
    前記バイメタルが前記発光管の一方のキャピラリーの長手方向軸線と平行に配置されていて、該バイメタルの少なくとも一部が、該キャピラリーと位置的に並列に配置されており、
    前記バイメタルは、前記発光部からの発光を遮ることがないように前記発光部の位置まで延長しないように配置され、
    前記バイメタルの少なくとも一部は前記発光管の発光部と前記キャピラリーとの体積の差により形成された前記キャピラリーの周囲の空間内に配置される、セラミックメタルハライドランプ。
  2. 請求項のセラミックメタルハライドランプにおいて、
    前記セラミックメタルハライドランプは、定格ランプ電力45〜72Wのランプである、セラミックメタルハライドランプ。
  3. 請求項1又は2のセラミックメタルハライドランプにおいて、
    パルス発生器の無い安定器を有するランプ点灯装置に用いることができる、セラミックメタルハライドランプ。
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