JP2010177104A - 高圧放電ランプおよび照明装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】最冷部予定位置に、より早く金属ハロゲン化物を安定させ、ランプ特性のばらつきが小さく寿命中も安定した特性が得られる高圧放電ランプおよびこの放電ランプを用いた照明装置を提供する。
【解決手段】放電空間を形成する膨出部21の両端に設けられた膨出部21より内径が小さい一対の小径筒状部22a,22bを有する透光性セラミックス放電容器2、この放電容器2の各小径筒状部22a,22b内に一端側が気密封止され、他端側先端を膨出部21内に臨ませて電極30が設けられるとともに少なくとも一方側は小径筒状部22a,22b内面と対向する中間部においてこの小径筒状部22a,22b内面との間隙が大きくなるよう細径部35が形成された電極構体3a,3b、上記放電容器2内に封入された金属ハロゲン化物および始動ガスを含む放電媒体とから発光管1Aは構成される。
【選択図】図2
【解決手段】放電空間を形成する膨出部21の両端に設けられた膨出部21より内径が小さい一対の小径筒状部22a,22bを有する透光性セラミックス放電容器2、この放電容器2の各小径筒状部22a,22b内に一端側が気密封止され、他端側先端を膨出部21内に臨ませて電極30が設けられるとともに少なくとも一方側は小径筒状部22a,22b内面と対向する中間部においてこの小径筒状部22a,22b内面との間隙が大きくなるよう細径部35が形成された電極構体3a,3b、上記放電容器2内に封入された金属ハロゲン化物および始動ガスを含む放電媒体とから発光管1Aは構成される。
【選択図】図2
Description
本発明は、透光性セラミックス放電容器からなる発光管内に金属ハロゲン化物などを封入した高圧放電ランプおよびこの放電ランプの照明装置に関する。
高圧放電ランプは、高効率で長寿命など諸特性が優れていることから種々のランプの開発がすすめられている。この高圧放電ランプの一種であるメタルハライドランプは、発光管を構成する放電容器材料として、従来、石英ガラス製のものが用いられていたが、耐熱性および耐蝕性に優れより高温度で動作させることが可能な透光性アルミナなどのセラミックス材料からなるものが普及しつつある。
この小形化されたメタルハライドランプは、発光管が放電空間を形成する膨出部の両端に連通して設けられた膨出部より内径が小さい一対の小径筒状部を有する透光性セラミックス放電容器の各小径筒状部内に気密封止した電極構体およびこの電極構体に接続され小径筒状部の内面との間に僅かな間隙を隔てて延在しているとともに膨出部内に先端を突出した一対の電極と、この放電容器内に水銀、金属ハロゲン化物、希ガスなどの放電媒体とを封入して形成されている。
上記構成のランプにおいて、発光管(放電容器)内に封入されている水銀や金属ハロゲン化物などの封入物は、ランプの動作(点灯)時には蒸発し、放電のエネルギーによってイオン化することで発光する。特にメタルハライドランプでは水銀よりも金属ハロゲン化物の発光効率が高く、光束や演色性など発光特性への寄与が大きい。
しかし、蒸気圧が高い水銀はランプ安定動作時には完全に蒸発しているのに対し、水銀に比べ蒸気圧の低い金属ハロゲン化物はその一部が蒸発して発光に寄与しているにすぎない。
そのため、蒸発しない金属ハロゲン化物は動作中も液相の状態で発光管(放電容器)内の比較的温度の低い位置に滞留する。通常、この滞留する液相の放電空間側の表面位置を最冷部、その温度を最冷部温度といい、ランプ特性を決定する重要な要素である。
上記構造のランプの場合、最冷部位置は小径筒状部と電極構体との間に延在する僅かな隙間で、ランプへの通電初期から点灯時間経過とともにこの隙間に液相の金属ハロゲン化物が集まり滞留して放電が安定する。
しかし、この延在する隙間で金属ハロゲン化物が移動するとき、拡散や毛細管現象が働くため、最冷部が安定するまでにある一定の時間が必要であり、安定するまでは液相の金属ハロゲン化物の位置が個々のランプで異なるため、ランプ特性にばらつきが生じてしまう問題があった。
また、小径筒状部と電極構体との間に延在する僅かな隙間にある金属ハロゲン化物などは、点灯開始直後に高温の電極からの熱で急激に加熱される結果、急激に蒸発して電極間のアークを吹き消し、あるいはランプ電圧に変化をおよぼし、この電圧変化によるランプの立ち消えなどが発生することがあった。
本発明の目的は、最冷部予定位置に、より早く金属ハロゲン化物を安定させることができ、ランプ電圧や電圧変化によるランプの立ち消えなどランプ特性のばらつきを小さく寿命中も安定した特性が得られる高圧放電ランプおよびこの放電ランプを用いた照明装置を提供することである。
請求項1の発明の高圧放電ランプは、放電空間を形成する膨出部の両端に設けられた膨出部より内径が小さい一対の小径筒状部を有する透光性セラミックス放電容器、この放電容器の各小径筒状部内に一端側が気密封止され、他端側先端を膨出部内に臨ませて電極が設けられるとともに少なくとも一方側は小径筒状部内面と対向する中間部においてこの小径筒状部内面との間隙が大きくなるよう細径部が形成された電極構体、上記放電容器内に封入された金属ハロゲン化物および始動ガスを含む放電媒体とからなる発光管と;上記発光管の電極構体に電気的に接続するとともに発光管を保持した一対の給電部材と;内部に上記発光管を管軸に沿って配設するとともに端部に給電部材を封止した外管と;を具備していることを特徴とする。
この発明によれば、電極構体を構成する導入導体(中間部材)や電極軸の中間部に細径部からなる最冷部を形成しておくことにより、この凹んだ部分に液状となった金属ハロゲン化物を溜めることによって、個々のランプにおけるランプ特性のばらつきを低減して安定した点灯を行わせることができる。
さらに、液状の金属ハロゲン化物の移動や金属ハロゲン化物の急激な蒸発拡散を抑制することによって、アークの吹き消しやランプ電圧の変動を抑制することも可能となる。
上記導入導体(中間部材)や電極軸に形成される細径部とは、これら導入導体(中間部材)や電極軸の最大外径部より小径をなす外径部分を有するもので、換言すれば部材の外周に細径化や欠除することによる凹部が形成され、この凹部の領域に液相の金属ハロゲン化物を滞留させることが可能となり、この金属ハロゲン化物の滞留領域が最冷部となるところである。
なお、この発明に関わる電極構体は、少なくとも一対設けられる電極構体のうちの少なくとも一方であっても所定の作用を奏させることができる。
本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
発光管の放電容器を形成する材料としては、サファイヤ、アルミニウム酸化物(アルミナ)、イットリウム−アルミニウム−ガーネットの酸化物(YAG)、イットリウム酸化物(YOX)やアルミニウム窒化物(AlN)などのセラミックスからなる透光性、耐熱性やハロゲン化物からの耐蝕性が高いものを用いることができる。
また、上記の透光性とは、放電によって発生した光を透過して外部に放出できる程度の光透過性を有し、透明に限らず、光拡散性であってもよい。また、容器端部の小径筒状部など放電による放射を主としていない部分は、遮光性であってもよい。
また、放電容器の形状は、楕円形などの長円形、球形や円筒形あるいはこれら形状の複合体などの中央部分が膨出した両端に一体または一体的に膨出部より小径の筒状部が設けられたものからなり、この小径筒状部の開口部を気密に閉塞して封止部が形成してある。
この膨出部は、内部に放電を包囲して放電空間を画成するものであり、その内面を連続的な曲面に形成することができ、また、小径筒状部は、横断面が略円形をなしその内部に後述する電極を有する電極構体が挿通されるとともに、端部近傍において電極構体を気密に封止している。また、この放電容器からなる発光管の点灯中における外表面温度は、膨出部が850〜1200℃、小径筒状部が600〜950℃となるよう設計されている。
また、上記封止部は、小径筒状部の外端開口部側を金属製、セラミックス製やサーメット製などの栓体あるいは耐熱性シール剤などの充填剤で閉塞することができる。
さらに、本発明において、ランプの定格によっても異なり制限されるものではないが、放電容器の放電空間を形成する長円形、球形や円筒形などをなす膨出部の最大内径は4〜30mm程度、内部の全長は10〜90mm程度、内容積は0.02〜15.0cc程度のものを用いることができる。
電極構体は、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)やバナジウム(V)などの封止用金属からなる封止部材を兼ねる無空棒状やパイプ状などに形成されている外部導体に、電極が設けられたタングステン(W)やドープドタングステンからなる電極軸を直接溶接した2部材あるいは両者間にモリブデン(Mo)やサーメットなどからなる中間部材および導入導体を介し直列的に溶接した4部材などの複数部材を接続したものからなる。なお、本発明では、小径筒状部内に配設される導入導体部および電極軸部を中間部材と称しこの部分に細径部が形成されていればよい。
また、その材料の選択はセラミックス製放電容器やシール剤の材料の熱膨張係数などに応じ適宜選ぶことができる。上記モリブデン(Mo)やサーメットなどの耐ハロゲン性材料からなる導入導体は、電極部材と封止用金属との間の熱膨張率差を緩和するとともに高温となる電極部から封止部への伝熱を緩和する。
上記導入導体や電極軸に形成される細径部とは、これら導入導体や電極軸の最大外径部より小径をなす外径部を有するもので、換言すれば部材の外周に凹部が形成され、この箇所が液相の金属ハロゲン化物を滞留させることのできる最冷部となるところである。
また、電極は、格別のことはせず電極軸の先端をそのまま電極としてもあるいは電極軸の先端部にタングステン(W)細線などを巻装してその表面積を大きくして放熱性を高めるよう形成されていてもよい。
そして、電極構体は、小径筒状部内に挿通して、膨出部内に電極が臨むよう配設され、小径筒状部端部近傍内において封止用金属からなる封止部材を兼ねる外部導線部分がシリコンコンパウンドなどのシール剤(接着剤)や栓体などを介し気密に接合されているとともに固定支持されている。
放電媒体は、少なくとも始動ガスおよび緩衝ガスを含み、点灯中は約1気圧以上の圧力を呈するように放電容器内に封入される。また、放電媒体は、水銀などの発光物質またはその化合物たとえば金属ハロゲン化物やアマルガムなどを含む。
この金属ハロゲン化物は、発光効率、演色性や発光色などの発光特性あるいはランプ電力や放電容器の内容積などに応じて、たとえば発光金属として既知のナトリウム(Na)、タリウム(Tl)、インジウム(In)、リチウム(Li)やセシウム(Cs)などあるいはディスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、ツリウム(Tm)、スカンジウム(Sc)、ネオジム(Nd)やセリウム(Ce)などの希土類金属が、また、ハロゲンとしては、ヨウ素(I)、臭素(Br)、塩素(Cl)やフッ素(F)のいずれか一種または複数種を用いることができる。
また、希ガスとしては、ネオン(Ne)やアルゴン(Ar)などが封入されるが、必要に応じてその他の希ガスを封入することができる。
外管は、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスなどの硬質ガラスや半硬質ガラスなどのガラスあるいはセラミックスからなる透光性および耐熱性を有する材料で形成されたA形、AP形、B形、BT形、ED形、R形、T形などをなし、端部の開口部から上記発光管を保持したマウント(給電部材)を入れ、この開口部をバーナで加熱し直接溶融閉塞したりステムを用い封止した封止部が形成されている。なお、上記封止部は、T(直管)形などの外管の場合は両端に形成されていてもよい。また、外管内は真空雰囲気であっても、窒素N2 やアルゴンArなどの希ガスが封入された不活性ガス雰囲気であってもよい。
給電部材は、封止部内に封止られる部分は外管ガラスとの気密性やなじみがよい材料を要することから、外管内の給電線部分、封止部の封着部材部分、外管外に導出した外部リード部分など複数の材料を接続して構成するのが妥当で、材料、寸度などの形態は発光管の品種、電力、重量、外管材料などに合わせ適宜選べばよい。
また、上記給電部材の外管内給電線部分は、モリブデン(Mo)やタングステン(W)などの金属材料からなり、発光管両端の外部導線に電気的に接続して給電を行うとともに発光管などを管軸に沿って配設保持する支持部材を兼ねている。
さらに、必須の部材ではないが発光管を囲繞して容器と同様なセラミックスあるいは石英ガラスや硬質ガラスからなる耐熱透光性の材料からなる中管を設けることができる。この中管により、発光管の保温が行なえ発光金属を容易に作用させて高効率化や高演色化など発光特性の向上がはかれるとともに万一の発光管容器破損時の防護をなす。
請求項2の発明の高圧放電ランプは、少なくとも一方の電極構体中間部の細径部が、導体を欠除あるいは導体に巻回されたコイルを欠除、疎巻または細線化により形成され、ランプ点灯時に金属ハロゲン化物が存在していることを特徴とする。
上記導入導体(中間部材)や電極軸に形成される細径部は、これら部材の軸の一部を切除や小径部材を継ぐあるいは軸に巻装されているコイルの一部を切除、ピッチを大きくする、細径線でコイルを形成などの手段で細径部を設けることができ、この細径部により形成された凹部が液相の金属ハロゲン化物を滞留させる最冷部とすることができる。
請求項3の発明の高圧放電ランプは、電極構体中間部の細径部が、膨出部内の放電空間側の端部位置をA、小径筒状部内の気密封止部端部位置をBとし両者間の間隔をLとしたとき、放電空間側の端部位置AからL/2の範囲内に形成されていることを特徴とする。
上記数値範囲とすることにより温度条件などを満足し、上記請求項1に記載と同様な作用を奏する。なお、上記放電空間側の端部位置Aとは、本発明では小径筒状部の内径が一定となっている領域の端縁を指す。
請求項4の発明の高圧放電ランプは、電極構体の中間部外面と、対向する小径筒状部内面との最小隙間間隔Sおよび最大隙間間隔Dの関係が、2S<Dであることを特徴とする。
上記請求項3に記載と同様な作用を奏する。
請求項5の発明の照明装置は、照明装置本体と;この照明装置本体に設けられた請求項1ないし4のいずれか一に記載の高圧放電ランプと;この高圧放電ランプを点灯させる点灯回路手段と;を具備していることを特徴とする。
本発明において、照明装置は、高圧放電ランプの発光を何らかの目的で用いるあらゆる装置を含む広い概念である。たとえば、電球形高圧放電ランプ、一般用照明器具、前照灯光ファイバー用光源装置、画像投射装置、光化学装置などに適用することができる。
また、照明装置本体とは、上記照明装置から高圧放電ランプを除いた残余の部分をいう。
請求項1ないし4の発明によれば、封入された金属ハロゲン化物などの放電媒体の温度制御が有効に行え、発光特性や電気特性の変化量が小さく安定した発光をなすメタルハライドランプなどの高圧放電ランプを提供することができる。
また、請求項5の発明によれば、上記請求項1ないし4のいずれか一記載の高圧放電ランプを備えているので、諸発光特性や電気特性に優れた照明器具などの照明装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の高圧放電ランプの実施形態を示す概略正面図、図2は図1中の発光管部分を拡大して示す一部縦断正面図、図3は図2中の電極構体近傍部を拡大して示す要部の一部縦断正面図である。
図1において、高圧放電ランプL1は、発光管1A、この発光管1Aを支持するとともに給電をなす一対の給電部材4a,4bを内部に収容した外管5、この外管5を被包するとともに口金7が設けられたカバー体6を主体として構成されている。
図2に示す発光管1Aは、略球状をなしている膨出部21の両端に連続的な曲面によって繋った小径筒状部22a,22bを一体的に設けた透光性アルミナなどのセラミックス材料からなる放電容器2を備え、この放電容器2の小径筒状部22a,22b内に挿通されるとともにシール剤23により気密封止された電極構体3a,3bを有する。
上記各電極構体3a,3bは図3に示すように、タングステン(W)線からなる電極軸31とモリブデン(Mo)線からなる中間部材を形成する導入導体32とニオブ(Nb)線からなる封止線を兼ねる外部導体33との3部材が直列的に突合せ溶接などの手段で接続され、電極軸31の先端にはタングステン(W)細線を巻装して形成されたコイル状の電極30が、導入導体32には小径筒状部22a,22b内において電極構体3a,3bのセンターリングをするモリブデン(Mo)細線を密巻(約100%ピッチ)して形成されたコイル34a,34bが互いに離間して設けられ、このコイル34a,34b間にコイルが存在しない細径部35が形成されている。
そして、小径筒状部22a,22b内に挿通された電極構体3a,3bは、膨出部21内に臨ませるとともに所定の放電間隔をもって両電極30,30を対峙させて、上記封止線を兼ねる外部導体33部分がシール剤23を介し小径筒状部22a,22bに気密封止されている。
なお、このとき小径筒状部22a,22b内を挿通する導入導体32のコイル34a,34bが巻装された外側面と小径筒状部22a,22bの内面との隙間は0.1mm以下となっていて、このコイル34a,34bの外側面が小径筒状部22a,22bの内面と接触していてもよい。また、上記電極軸31の先端のコイル状電極30は必須のものではなく、電極軸31の先端が電極作用を行うものであってもよい。
また、この発光管1Aの放電容器2内には、放電媒体としてたとえばネオン(Ne)およびアルゴン(Ar)などを含む始動および緩衝ガスならびに発光金属としての金属ハロゲン化物と水銀とが封入されている。この金属ハロゲン化物は、たとえばよう化ナトリウム(NaI)、よう化タリウム(TlI)、よう化インジウム(InI)およびよう化ツリウム(TmI3 )などである。
また、外管5は石英ガラスなどで形成されたT形をなし、内部に収容した発光管1Aの両端を延在する一対の給電部材4a,4bで管軸に沿うよう支持させるとともに外部導体33,33と電気的接続をしている。また、外管5内は窒素(N2)やアルゴン(Ar)などの不活性ガス雰囲気あるいは真空雰囲気としてあり、端部は圧潰封止部(ピンチシール)51により閉塞されている。
なお、図中、52は排気チップオフ部、53,53は圧潰封止部51内に封止されたモリブデン(Mo)箔、54は紫外線発生源(UVエンハンサなど)、55はゲッタである。
また、この外管5から導出された外導線(図示しない。)は、口金7のアイレット端子71およびシェル72に電気的接続されるとともに、圧潰封止部51側がばね材や接着剤などを介し口金7の受容部73内に接合される。
また、カバー体6は、外管5を被包保護する透光性の硬質や軟質ガラスからなるここでは一端が閉塞されたT(管)形をなし、開口した基端部側が上記外管5と同様の手段で口金7に接合固定されメタルハライドランプ(高圧放電ランプ)L1が構成される。なお、図中、61はカバー体6と外管5との間に介在して外管5のセンターリングなどをする弾性保持部材である。
そして、このメタルハライドランプ(高圧放電ランプ)L1は、口金7部がソケットに装着され、図示しない点灯回路装置から通電されると、口金7、給電部材4a,4bを介し発光管1A端部の外部導体33−導入導体(中間部材)32−電極軸31を経て電極30,30の先端間に電圧が印加され放電が生起する。
この放電により電極軸31や導入導体(中間部材)32などの温度が急速に高まり、電極構体3a,3bの近傍に存在する金属ハロゲン化物も昇温蒸発していく。しかし、本発明では、導入導体(中間部材)32の中間部にコイルを巻装していない細径部35からなる最冷部35を形成しておくことにより、この凹んだ部分に液状となった金属ハロゲン化物を溜めることによって余剰に封入された、金属ハロゲン化物が膨出部21に過度に滞留しにくくなり、個々のランプにおけるランプ特性のばらつきを低減して安定した点灯を行うことができる。
また、細径部35の電極30側にコイル34aが隣接するように巻装されているので、コイル34aと小径筒状部22a,22bの内面との間に僅かな隙間が形成されて、液状の金属ハロゲン化物の移動や金属ハロゲン化物の急激な蒸発拡散が抑制され、アークの吹き消しやランプ電圧の変動などの不安定な点灯動作が回避される。
なお、最冷部を構成する上記細径部35の形成位置や大きさは発光管1Aの定格、容器2などの大きさ、昇温温度、金属ハロゲン化物の種類や封入量などで異なるので、予め試験など検討しておく必要がある。また、ランプL1の消灯後には、この最冷部35に金属ハロゲン化物が多く集まり凝固している。
また、本発明において、電極構体3a,3bの導入導体32中間部の細径部35は、図3中に示すように膨出部(放電空間)側における小径筒状部22a,22b端部の内径が一定となっている領域の端縁位置A点から小径筒状部22a,22b内の気密封止部(シール部)端部位置B点までの間隔をLとしたとき、上記小径筒状部22a,22bの端部位置A点からL/2の範囲内に形成することにより、温度条件なども満足し上述した作用効果を奏する。
また、導入導体32中間部に形成される細径部35の軸方向における長さは0.1mm以上あればよかった。
また、図4の説明図で示すように電極構体3a,3bの導入導体32中間部最外側面と、対向する小径筒状部22a,22b内面との最小間隙Sおよび最大間隙Dの関係を、2S<Dとすることにより上述した作用効果を奏する。
図5ないし図7は本発明放電ランプの他の実施の形態を示し、図中、図1ないし図3と同一部分には同一の符号を付してその説明は省略する。図はいずれも本発明放電ランプに用いられる電極構体近傍の要部を拡大して示す一部縦断正面図である。
図5の発光管1B(要部のみ。)に示す電極構体3cは、導入導体32のモリブデン(Mo)細線を密巻き(100%ピッチ)したコイルの中間部に飛ばし巻きされた疎ピッチ34c部分が形成されていて、コイル34a,34b間のこの疎ピッチによるコイルのない空間部が細径部35を構成することになる。
図6の発光管1C(要部のみ。)に示す電極構体3dは、導入導体32にモリブデン(Mo)細線を密巻き(100%ピッチ)したコイル34a,34bが離間して設けられ、このコイル34a,34b間にはこのコイル線径より小径のモリブデン(Mo)線が巻装されることにより細径部35が形成されている。
図7の発光管1D(要部のみ。)に示す電極構体3eは、導入導体32部分にはコイルが巻装されてなく小径筒状部22a,22bより少々小径のモリブデン(Mo)線などからなる無空棒状のものからなり、中間部には外径を細くした細径部35が形成されている。この電極構体3eは、外径が異なる材料を接続して構成してもよい。
そして、図5ないし図7に示す電極構体3cないし3eを用いたランプも、導入導体(中間部材)32部分に金属ハロゲン化物が滞留する小径部35が形成されているので、上述した電極構体3a,3bを用いたランプと同様な作用効果を奏する。
また、上記実施の形態では発光管1Aを外管5内に封装するとともにこの外管5をさらにT形のカバー体6で覆った三重管構造の放電ランプL1で説明したが、本発明は図8に示すような構造の放電ランプであってもよい。
図8に示す放電ランプL2は、上記実施の形態で示す発光管1Aをシュラウドと呼ばれるセラミックスあるいは石英ガラスや硬質ガラスからなる耐熱透光性の中管65で覆い、発光管1Aと中管65とをステム80に植設された導入線81a,81bに接続された保持部材4a,4bを介しBT形の外管5内に封装した構造のものである。
なお、図中、41cは導入線81bに接続され発光管1A端部から導出した一方の外部導体33に給電をなす給電部材、82a,82bは上記発光管1Aおよび中管65を上下から挟みこれらを保持するよう給電部材4a,4bに固定されたホルダである。また、この種ランプにおいては、外管5内に紫外線発生源(UVエンハンサなど)やバイメタル、点灯管などの始動補助部材が設けられていてよい。
そして、この放電ランプL2も上述したランプL1と同様な作用効果を奏する他、発光管1Aを囲繞する中管65を設けたことにより、発光管1Aの保温が行なえ発光用の金属ハロゲン化物などを容易に作用させて高効率化や高演色化など発光特性の向上がはかれるとともに、万一の発光管1A気密容器2破損時の防護をなさせることができる。
図9は、本発明の照明装置の実施形態としてスポットライト9を示す一部断面側面図である。
図において91は照明装置本体、92は天井取付部、93はアーム、94は本体ケース、95はランプソケット、96は反射鏡、97は遮光筒、98は前面ガラスである。
天井取付部92は、天井に取り付けられて照明装置本体91を吊持するとともに、天井裏などに配設された点灯回路装置(図示しない。)に接続され、ここから受電する。アーム93は、基端部側が天井取付部92に固定されている。
本体ケース94は、前面が開口した容器状をなし、アーム93の先端に垂直面内において俯仰自在に枢着されている。ランプソケット95は、E形口金に適合するもので本体ケース94内に配設されている。
反射鏡96は、ランプソケット95の前方に位置してあり、遮光筒97は、反射鏡95の開口端の中央部に配設されている。前面ガラス98は、本体ケース94の開口端に配設されている。
高圧放電ランプL1は、図1に示すのと同一仕様であり、口金7部をソケット95に装着することにより取り付けられ、ランプL1の先端部に臨む遮光筒97が先端からの光を遮光してグレアを防止するようになっている。
そして、この照明装置9は、上述した作用効果を呈する高圧放電ランプL1を用い照明が行われるので、諸発光特性や電気特性に優れた照明器具などの照明装置を提供することができる。
図2に示す構造の定格消費電力が300Wの発光管1Aであって、アルミナ製の放電容器2は中央部の最大内径約19mm、内部長さ約25mm、小径筒状部22a,22bの内径約1.4mm、内部長さ約25.2mmである。
また、電極構体3a,3bは図3に示すものとほぼ同じ構成でタングステン(W)線からなる電極軸31は外径約0.75mm、長さ約7mmで、その先端部に外径約0.275mmのタングステン(W)線を5〜6ターン巻装してありその最大外径が約1.3mmで電極30を構成している。
導入導体(中間部材)32は電極軸31側に外径約0.7mm、長さ約11mmのモリブデン(Mo)線と外部導線33側に外径約1.3mm、長さ約8.0mmのサーメット線とを接続し、モリブデン(Mo)線には外径約0.3mmのモリブデン(Mo)線を密ピッチ(100%)で9〜10ターンと約1.8mmの空間(小径部35)を隔て外径約0.3mmのモリブデン(Mo)線を密ピッチ20〜21ターン巻装してありその最大外径が約1.3mmである。
外部導線33は外径約1.32mm、長さ約10mmのニオブ(Nb)線を用いた。
また、小径筒状部22a,22b内面と導入導体(中間部材)32の最外側面との最小隙間Sは約0.05mm、最大隙間Dは約0.35mmで、対峙する両電極間の距離は約18.4mmである。
また、放電容器2内にはイオン化可能な封入物として、アルゴン(Ar)ガス約100torr、水銀約50mg、重量比で50:15:25;10のNaI−TlI−TmI3−InIが約10mg封入されている。
そして、上記構成になる本発明のメタルハライドランプと、比較用として従来構成のランプ(電極構体の導入導体(中間部材)部分を除き同一構造である。……外径約0.7mmのモリブデン(Mo)線に外径約0.3mmのモリブデン(Mo)線を密ピッチ(100%)で36ターン巻装してある。)を製作して、各6本のランプについて定格点灯経過後のランプ電圧(V)、相関色温度(CCT)および立ち上がり時の立ち消えの発生状況について調べた。
図10は定格寿命試験時間(h)のランプ電圧(V)を対比して示すグラフ、図11は定格寿命試験時間(h)の相関色温度(CCT)を対比して示すグラフである。図中、白角は本発明ランプ、黒丸は比較用の従来構成のランプで、縦線はばらつきの範囲である。
図10および図11から明らかなように本発明に関わるランプは、寿命中を通じランプ電圧および相関色温度(CCT)の特性変化やばらつきが小さく長期に亘り安定した特性を維持できた。
また、立ち上がり時の立ち消えの発生については、本発明ランプが0/12本であるのに対して、比較用の従来構成のランプでは4/12本に点灯1ないし2分後に立ち消えが発生した。
図2と外形がほぼ同構造の定格消費電力が200Wの発光管1Cであって、アルミナ製の放電容器2は中央部の最大内径約16mm、内部長さ約22mm、小径筒状部22a,22bの内径約1.1mm、内部長さ約19mmである。
また、電極構体3a,3bは図6に示すものとほぼ同じ構成でタングステン(W)線からなる電極軸31は外径約0.63mm、長さ約8mmで、その先端部に外径約0.15mmのタングステン(W)線を7〜8ターン巻装してありその最大外径が約0.98mmで電極30を構成している。
導入導体(中間部材)32は電極軸31側に外径約0.63mm、長さ約5mmのタングステン(W)線(上記電極軸31が延長されたものであってもよい。)と外部導線33側に外径約1.0mm、長さ約7mmのサーメット線とを接続し、タングステン(W)線32には外径約0.175mmのタングステン(W)線を密ピッチ(100%)で8〜9ターン、小径部35となる部位には外径約0.1mmのタングステン(W)線を密ピッチ(100%)で15〜16ターン、外径約0.175mmのタングステン(W)線を密ピッチ(100%)で8〜9ターン巻装してありその最大外径が約0.98mmである。
外部導線33は外径約1.0mm、長さ約14mmのニオブ(Nb)線を用いた。
また、小径筒状部22a,22b内面と導入導体(中間部材)32の最外側面との最小隙間Sは約0.05mm、最大隙間Dは約0.135mmで、対峙する両電極間の距離は約16.6mmである。
また、放電容器2内にはイオン化可能な封入物として、アルゴン(Ar)ガス約100torr、水銀約30mg、重量比で40:15:25;20のNaI−TlI−TmI3−CeI3が約5mg封入されている。
図2と外形がほぼ同構造の定格消費電力が150Wの発光管1Dであって、アルミナ製の放電容器2は中央部の最大内径約13.4mm、内部長さ約17mm、小径筒状部22a,22bの内径約0.98mm、内部長さ約15mmである。
また、電極構体3a,3bは図7に示すものとほぼ同じ構成でタングステンW線からなる電極軸31は外径約0.5mm、長さ約6mmで、その先端部に外径約0.18mmのタングステンW線を5〜6ターン巻装してありその最大外径が約0.86mmで電極30を構成している。
導入導体(中間部材)32は電極軸31側に外径約0.84mm、長さ約1.6mm、外径約0.54mm、長さ約2mm、外径約0.84mm、長さ約2.5mmのモリブデン(Mo)線と外部導線33側に外径約0.88mm、長さ約4mmのサーメット線とを接続したもので、コイルは巻装されていない。
外部導線33は外径約0.88mm、長さ約16mmのニオブ(Nb)線を用いた。
また、小径筒状部22a,22b内面と導入導体(中間部材)32の最外側面との最小隙間Sは約0.05mm、最大隙間Dは約0.22mmで、対峙する両電極間の距離は約13.2mmである。
そして、実施例2および3のランプも上記実施例1のランプと同様な作用効果を奏することを確認できた。
なお、本発明は上記実施の形態に示したものに限らず、たとえば放電ランプはメタルハライドランプに限らず他の種類の放電ランプにも適用が可能であり、また、ランプ電力が10〜1000W級の放電ランプにおいて、上記実施の形態と同様な作用効果が得られた。
また、照明装置も上記実施の形態に限らず、他の構造や用途をなすものであってもよい。
L1,L2:高圧放電ランプ(メタルハライドランプ)、 1A〜1D:発光管、
2:放電容器、 21:膨出部、 22a,22b:小径筒状部、
3a〜3e:電極構体、 31:電極軸 32:導入導体(中間部材)、
34a〜34d:コイル、 35:細径部、 4a,4b:給電部材、
5:外管、9:照明装置、 92:照明装置本体、
2:放電容器、 21:膨出部、 22a,22b:小径筒状部、
3a〜3e:電極構体、 31:電極軸 32:導入導体(中間部材)、
34a〜34d:コイル、 35:細径部、 4a,4b:給電部材、
5:外管、9:照明装置、 92:照明装置本体、
Claims (5)
- 放電空間を形成する膨出部の両端に設けられた膨出部より内径が小さい一対の小径筒状部を有する透光性セラミックス放電容器、この放電容器の各小径筒状部内に一端側が気密封止され、他端側先端を膨出部内に臨ませて電極が設けられるとともに少なくとも一方側は小径筒状部内面と対向する導入導体の中間部においてこの小径筒状部内面との間隙が大きくなるよう細径部が形成された電極構体、上記放電容器内に封入された金属ハロゲン化物および始動ガスを含む放電媒体とからなる発光管と;
上記発光管の電極構体に電気的に接続するとともに発光管を保持した一対の給電部材と;
内部に上記発光管を管軸に沿って配設するとともに端部に給電部材を封止した外管と;
を具備していることを特徴とする高圧放電ランプ。 - 電極構体の導入導体中間部の細径部は、導体を欠除あるいは導体に巻回されたコイルを欠除、疎巻または細線化により形成され、ランプ点灯時に金属ハロゲン化物が存在していることを特徴とする請求項1に記載の高圧放電ランプ。
- 電極構体の導入導体中間部の細径部は、膨出部内の放電空間側の端部位置をA、小径筒状部内の気密封止部端部位置をBとし両者間の間隔をLとしたとき、放電空間側の端部位置AからL/2の範囲内に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の高圧放電ランプ。
- 電極構体の導入導体中間部最外側面と、対向する小径筒状部内面との最小間隙Sおよび最大間隙Dの関係が、2S<Dであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一に記載の高圧放電ランプ。
- 照明装置本体と;
この照明装置本体に設けられた請求項1ないし4のいずれか一に記載の高圧放電ランプと;
この高圧放電ランプを点灯させる点灯回路手段と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
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JP2013145141A (ja) * | 2012-01-13 | 2013-07-25 | Shimadzu Corp | 水分計 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH1083795A (ja) * | 1996-09-06 | 1998-03-31 | Toshiba Lighting & Technol Corp | 高圧放電ランプ、高圧放電ランプ点灯装置および照明装置 |
JP2006244736A (ja) * | 2005-02-28 | 2006-09-14 | Osram Melco Toshiba Lighting Kk | 高圧放電ランプ |
-
2009
- 2009-01-30 JP JP2009019786A patent/JP2010177104A/ja active Pending
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