以下、添付図面を参照しながら本発明による光半導体デバイスの製造方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る光半導体デバイスの製造方法によって好適に製造される光半導体デバイスの一例として、マッハツェンダー型の光変調器10の外観を示す斜視図である。図1に示されるように、この光変調器10は、基板11と、基板11上に形成された半導体積層部12と、半導体積層部12の全面を覆う樹脂層13と、2つの電極14及び15とを備えている。
基板11は、第1導電型(例えばn型)のInPといった半導体から成る基板である。また、半導体積層部12は、基板11上に順に結晶成長した下部クラッド層121、コア層122、上部クラッド層123、及び図示しないコンタクト層を含んでいる。下部クラッド層121は第1導電型のInPといった半導体から成り、上部クラッド層123は第2導電型(例えばp型)のInPといった半導体から成る。また、コア層122は、例えばノンドープのAlGaInAs井戸層及びAlInAsバリア層が交互に積層された多重量子井戸(MQW)構造を有している。コンタクト層は、例えば第2導電型のInGaAsから成る。
半導体積層部12には、2本の光導波路21及び22が形成されている。光導波路21及び22はシングルモード光導波路であり、所定方向に沿って互いに平行に延びている。光導波路21及び22の一端はマルチモード光導波路28に結合されており、他端はマルチモード光導波路29に結合されている。
光導波路21は、半導体積層部12に形成された、上記所定方向に沿って互いに平行に延びる一対の溝(トレンチ)23a及び23bによって構成されており、いわゆるメサ形状を呈している。すなわち、光導波路21は、一対の溝23a及び23bに挟まれた半導体領域(第1の半導体領域)であり、この光導波路21において光が導波される。一対の溝23a及び23bの底面は基板11に達しており、一対の溝23a及び23bの側壁には下部クラッド層121、コア層122、及び上部クラッド層123が現れている。光導波路21では、コア層122を導波する光が、その縦方向において下部クラッド層121及び上部クラッド層123によって閉じ込められ、その横方向において一対の溝23a及び23bによって閉じ込められる。
光導波路22は、上述した光導波路21と同様に構成されている。すなわち、光導波路22は、半導体積層部12に形成された、上記所定方向に沿って互いに平行に延びる一対の溝(トレンチ)24a及び24bによって構成されており、いわゆるメサ形状を呈している。すなわち、光導波路22は、一対の溝24a及び24bに挟まれた半導体領域(第1の半導体領域)であり、この光導波路22において光が導波される。一対の溝24a及び24bの底面は基板11に達しており、一対の溝24a及び24bの側壁には下部クラッド層121、コア層122、及び上部クラッド層123が現れている。光導波路22では、コア層122を導波する光が、その縦方向において下部クラッド層121及び上部クラッド層123によって閉じ込められ、その横方向において一対の溝24a及び24bによって閉じ込められる。
上記のように、光導波路21及び22が下部クラッド層121、コア層122、及び上部クラッド層123を含むメサ形状に形成されていることによって、光導波路21及び22の周囲との間で極めて高い屈折率差を有することとなる。したがって、光導波路21,22の曲率半径を小さくした場合の放射損失を抑えられるので、光変調器10の小型化が可能となる。なお、光導波路21及び22の高さ(すなわち一対の溝23a,23b並びに24a,24bの深さ)は、例えば3μm以上4μm以下である。
樹脂層13は、例えばポリイミド、ベンゾシクロブテン(BCB)樹脂、又はフッ素樹脂といった樹脂を主に含んで構成される。本実施形態では、樹脂層13として、フッ素樹脂を用いた場合について説明する。樹脂層13は、半導体積層部12上の全面にわたって形成され、その一部は溝23a,23b及び溝24a,24bを埋め込んでいる。樹脂層13の平均的な厚さの範囲は、例えば2.5μm以上3.5μm以下である。
電極14及び15それぞれは、光導波路21及び22それぞれの上方に設けられている。電極14及び15それぞれは、光導波路21及び22それぞれを導波する光を変調する為の電流を供給する。電極14及び15の直下では、樹脂層13がエッチングにより除去されて半導体積層部12のコンタクト層が露出しており、電極14及び15は、このコンタクト層とオーミック接触を成している。なお、基板11の裏面上の全面には、図示しない別の電極が設けられている。
また、電極14及び15それぞれには、ボンディングパッド26及び27それぞれが電気的に接続されている。ボンディングパッド26及び27それぞれは、光導波路21及び22それぞれから離れた樹脂層13上の領域に設けられている。ボンディングパッド26及び27それぞれには、電極14及び15それぞれに供給される電流を提供するための図示しないボンディングワイヤが接続される。
続いて、上述した構成を備える光変調器10の製造方法について説明する。図2は、この製造方法を示すフローチャートである。また、図3〜図6は、光変調器10の製造方法における各工程を示す断面図であり、図1におけるI−I線に沿った断面及びII−II線に沿った断面の製造過程を示している。
まず、図3(a)に示されるように、第1導電型(例えばn型)のInPといった半導体から成るウエハ16の主面16a上に、下部クラッド層121、コア層122、上部クラッド層123、及びコンタクト層124を結晶成長させる(結晶成長工程、S11)。このとき、結晶成長方法としては例えば有機金属気相成長法(MOVPE法)が好適である。この工程によって、半導体積層部12がウエハ16上に形成される。
次に、半導体積層部12上に例えばプラズマCVD法によって絶縁膜を形成したのち、フォトリソグラフィー技術を用いてこの絶縁膜のパターニングを行うことにより、図3(b)に示されるような絶縁膜マスクM1を形成する(マスク形成工程、S12)。この絶縁膜マスクM1は、図1に示された一対の溝23a,23b及び一対の溝24a,24bに相当する部分に開口を有するように、例えばCF4系のRIEによってパターニングされる。絶縁膜マスクM1に好適な絶縁性材料としては、例えばSiO2やSiNといったシリコン化合物が挙げられる。絶縁膜マスクM1の厚さは例えば400nmである。
続いて、絶縁膜マスクM1を用いて半導体積層部12に対しエッチングを行う(エッチング工程、S13)。このときのエッチング方法としては、例えば反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching;RIE)が好適である。本工程では、ウエハ16の主面16aが露出した時点で半導体積層部12のエッチングを停止する。これにより、図3(c)に示されるように、光導波路21,22(図1を参照)を構成する溝23a,23b、並びに溝24a,24bが形成される。この工程ののち、図4(a)に示されるように、絶縁膜マスクM1を除去する。絶縁膜マスクM1は、例えばウェットエッチングによって好適に除去される。
続いて、図4(b)に示されるように、ウエハ16上の全面に絶縁膜17を形成する(保護膜形成工程、S14)。この絶縁膜17は、半導体積層部12の表面を保護するために設けられ、半導体積層部12の上面のほか、溝23a,23b(及び溝24a,24b)の側面上及び底面上にわたって形成される。絶縁膜17に好適な絶縁性材料としては、例えばSiO2やSiNといったシリコン化合物が挙げられる。
続いて、図4(c)に示されるように、ウエハ16上の全面に樹脂を塗布することにより、図1に示された樹脂層13を形成する(塗布工程、S15)。具体的には、スピンコートといった方法によってフッ素樹脂を均一に塗布したのち、この樹脂を高温に曝すことにより熱硬化(キュア)を行う。この工程により形成される樹脂層13は、半導体積層部12の上面を覆うほか、溝23a,23b(及び溝24a,24b)を埋め込む。
続いて、図5(a)に示されるように、樹脂層13の上にレジストマスク18を形成する。レジストマスク18は、フォトリソグラフィー技術によってパターニングされた開口18aを光導波路21及び22の上方に有する。そして、このレジストマスク18を介して樹脂層13のエッチングを行うことにより、樹脂層13に開口を形成し、光導波路21及び22上において絶縁膜17を露出させる(露出工程、S16)。なお、このときのエッチング方法としては、例えば酸素系のRIEが好適である。
続いて、図5(b)に示されるように、絶縁膜17のうち樹脂層13から露出した部分に対してエッチングを行い、当該部分を除去することにより、光導波路21及び22の頂部(コンタクト層124)を露出させる(露出工程、S16)。なお、このときのエッチング方法としては、例えばフッ素系のRIEが好適である。この工程ののち、図5(c)に示されるように、レジストマスク18を除去する。
続いて、図6(a)に示されるように、コンタクト電極膜19をウエハ16上の全面に蒸着する。このコンタクト電極膜19は、電極14及び15の一部であり、例えばTi/Pt/Auといったオーミック金属から成る。その後、図1に示された電極14及び15並びにボンディングパッド26及び27の平面形状に対応する領域のコンタクト電極膜19上にAuメッキ配線20を形成し(図6(b))、余分のコンタクト電極膜19をミリング等により除去する。こうして、電極14及び15並びにボンディングパッド26及び27が形成される(電極形成工程、S17)。
なお、ボンディングパッド26及び27やその周囲の配線と半導体積層部12との間の寄生容量を低減する為に、ボンディングパッド26及び27やその周囲の配線と半導体積層部12とは出来るだけ離れていることが望ましい。したがって、前述した露出工程S16では、樹脂層13のエッチングは光導波路21,22上においてのみ行われる。
続いて、ウエハ16の裏面を、厚さが100μm程度になるまで研磨し、その後、ウエハ16の裏面に裏面電極としてAuGeNi/Auオーミック電極を形成する(不図示)。
以上の工程S11〜S17ののち、ウエハ16をチップ状に切断することによって、図1に示された光変調器10が完成する。
上述した製造方法の露出工程S16において、光導波路21,22上の樹脂層13に対するエッチングの停止タイミングを精度良く制御することは極めて重要である。エッチングの停止が遅れた場合、その後に形成される電極14,15が光導波路21,22の側面に回り込み、上部クラッド層123と下部クラッド層121とが短絡するといった不都合が生じるおそれがあるからである。或いは、エッチングの停止が早過ぎる場合には、その後に形成される電極14,15と光導波路21,22の頂部とが十分に接触できないおそれがあるからである。
このような課題に対して、本発明者は、溝23a,23bのような一対の溝が形成されたウエハ16上に樹脂層13を塗布すると、該一対の溝に挟まれた領域(光導波路21に相当)の上に形成される樹脂層13の厚さが、それらの溝の幅に応じて変化することを見出した。更に、本発明者は、このような現象を、樹脂層13のエッチング停止タイミングの判断の為に好適に用い得ることを見出した。
図7及び図8は、そのような現象を説明するための図である。まず、図7(a)及び図8(a)に示されるように、半導体積層部12に一対の溝T11,T12が形成されている場合、その一対の溝T11,T12に挟まれる半導体領域A1の上に形成される樹脂層13の表面S1は、その周辺の領域の樹脂層13の表面S2より若干凹む。なお、このような凹みは、一対の溝T11,T12内への樹脂の落ち込みや、樹脂の粘性に起因すると考えられる。
ここで、図7(a)に示されるように、一対の溝T11,T12の幅W1が比較的狭い場合に半導体領域A1の上に形成される樹脂層13の厚さをT1とする。また、図8(a)に示されるように、一対の溝T11,T12の幅W1が比較的広い場合に半導体領域A1の上に形成される樹脂層13の厚さをT2とする。この場合、T1>T2となる。すなわち、幅が広い溝T11,T12に挟まれた半導体領域A1上の樹脂層13は、幅が狭い溝T11,T12に挟まれた半導体領域A1上の樹脂層13より薄く形成される。なお、このような現象は、半導体領域A1の横幅が十分に狭く、且つ一対の溝T11,T12が互いに独立でない程度に近接している場合には、溝T11,T12の幅W1が広いほど樹脂の落ち込み量が多いことに起因すると考えられる。
従って、図7(b)及び図8(b)に示されるように樹脂層13上にレジストマスク18を形成し、樹脂層13を同じ時間だけエッチングすると、一対の溝T11,T12の幅W1が狭い場合には、図7(c)のように絶縁膜17が露出せずエッチング停止タイミングに至らない。一方、一対の溝T11,T12の幅W1が広い場合には、図8(c)のように絶縁膜17が露出し過ぎてエッチング停止タイミングを超過する。
図9は、一対の溝T11,T12の幅W1と半導体領域A1上の樹脂層13の厚さとの相関を実測した結果をプロットしたグラフである。なお、図9において、横軸は幅W1を示しており、縦軸は樹脂層13の厚さを示している。図9を参照すると、一対の溝T11,T12の幅W1が広くなるに従って、樹脂層13の厚さが単調に減少することがわかる。なお、このグラフでは、幅W1が最も狭い場合と比較して、幅W1が最も広い場合には樹脂層13の厚さが1/2以下にまで減少している。
このように、半導体積層部12に形成される一対の溝の幅を広くするほど、その一対の溝に挟まれた領域上における樹脂層13の厚さが薄くなる。そこで、本実施形態では、ウエハ16上において光変調器10が形成される領域とは別に用意される評価用(Test Element Group;TEG)の領域に複数対の溝(評価用溝)を形成し、これらの溝の幅を各対毎に異ならせる。そして、上述した露出工程S16において、樹脂層13をエッチングする際に、この評価用領域における複数対の溝にそれぞれ挟まれた複数の領域上の樹脂層13も同時にエッチングして、これらの領域の頂部を順次露出させる。そして、この露出状況を観察しながら、樹脂層13に対するエッチングを停止するタイミングを判断する。以下、このような方法について詳細に説明する。
図10は、ウエハ16の平面図である。図10を参照すると、ウエハ16の主面16aには、フォトレジストに対するステッパーの一回の露光に対応する領域A2が二次元状に複数並んで設定されており、複数の領域A2のそれぞれには、上述した評価用領域A3が1箇所ずつ設定されている。
図11〜図15は、評価用領域A3を示す(a)平面図、及び(b)断面図である。本実施形態では、図11(a)及び(b)に示されるように、評価用領域A3における半導体積層部12に複数対(図では5対)の評価用溝(第1の評価用溝)31a,31bを形成する。具体的には、まず、上述したマスク形成工程S12(図3(b)を参照)において形成される絶縁膜マスクM1に、複数対の評価用溝31a,31bに対応する開口をパターニングする。そして、続くエッチング工程S13(図3(c)を参照)において、この絶縁膜マスクM1を用いて半導体積層部12に対しエッチングを行うことにより、複数対の評価用溝31a,31bを形成する(評価用溝形成工程)。
こうして形成される複数対の評価用溝31a,31bの幅W2は各対毎に異なっており、図11では左端の評価用溝31a,31bの幅W2が最も狭く、右端に近い評価用溝31a,31bほど、幅W2が広くなっている。また、複数対の評価用溝31a,31bの幅W2のうち、最も狭い幅W2は、光変調器10の一対の溝23a,23b、及び一対の溝24a,24bの幅と同じかより狭く、最も広い幅W2は、光変調器10の一対の溝23a,23b、及び一対の溝24a,24bの幅より広い。なお、各対における評価用溝31aと評価用溝31bとの間隔W3は互いに等しく、且つ、これらの間隔W3は、溝23aと溝23bとの間隔及び溝24aと溝24bとの間隔(すなわち光導波方向と直交する方向における光導波路21及び22の幅)と等しい。
続いて、図12(a)及び(b)に示されるように、保護膜形成工程S14(図4(b)を参照)において、複数対の評価用溝31a,31bの底面及び側面、並びに評価用溝31a,31bに挟まれた半導体領域33の上面を含むウエハ16上の全面に、絶縁膜17が形成される。
続いて、図13(a)及び(b)に示されるように、塗布工程S15(図4(c)を参照)において、ウエハ16上の全面に樹脂が塗布されることにより、樹脂層13が形成される。この工程により形成される樹脂層13は、半導体積層部12の上面を覆うほか、複数対の評価用溝31a,31bを埋め込む。また、前述したように評価用溝31a,31bの幅W2は各対毎に異なっているので、図13(b)に示されるように、評価用溝31a,31bに挟まれた半導体領域33上の樹脂層13の厚さは各対毎に異なる。なお、同図では、左端の評価用溝31a,31bの幅が最も狭く、右端に近い評価用溝31a,31bほど幅が広くなっていることから、左端の半導体領域33上の樹脂層13が最も厚く、右端に近い半導体領域33上の樹脂層13ほど薄くなっている。
続いて、図14(a)及び(b)に示されるように、露出工程S16(図5(a)を参照)において、樹脂層13の上にレジストマスク18を形成する。レジストマスク18は、フォトリソグラフィー技術によってパターニングされた複数の開口18bを、複数の半導体領域33それぞれの上方に有する。続いて、図15(a)及び(b)に示されるように、露出工程S16(図5(b)を参照)において、このレジストマスク18を介して樹脂層13のエッチングを行うことにより、少なくとも一つの半導体領域33上において絶縁膜17を露出させる。このとき、複数の半導体領域33上の樹脂層13の厚さがそれぞれ異なることから、樹脂層13の厚さが最も薄い半導体領域33上の絶縁膜17が最も早く露出し、その後、樹脂層13の厚さに応じて順次に絶縁膜17が露出する。なお、図15は、右端寄りの3つの半導体領域33上の絶縁膜17が露出した状態を示している。
上述した露出工程S16では、このように複数の半導体領域33上の絶縁膜17が順次に露出する。また、複数の半導体領域33のうち少なくとも一つの半導体領域33上の樹脂層13の厚さが、光導波路21,22上に形成される樹脂層13と較べて薄くなるように、評価用溝31a,31bの幅W2を設定しておけば、光導波路21,22の頂部の絶縁膜17より先に、該少なくとも一つの半導体領域33の頂部の絶縁膜17が露出する。したがって、樹脂層13に対するエッチングの進行の程度や、更にどの程度までエッチングを進めると光導波路21,22の頂部の絶縁膜17が露出するかといった情報を容易に且つ精度良く知ることができるので、残りのエッチング時間を精度良く予測することができる。
このように、本実施形態に係る光変調器10の製造方法によれば、露出工程S16における光導波路21,22上の樹脂層13のエッチングの停止タイミングを、容易に且つ精度良く判断することができる。
また、本実施形態では、複数対の評価用溝31a,31bのうち或る一対の評価用溝31a,31bの幅W2が一対の溝23a,23b(及び一対の溝24a,24b)の幅と同じかより狭いので、該一対の評価用溝31a,31bに挟まれた半導体領域33上の樹脂層13の厚さが、光導波路21,22上の樹脂層13の厚さと同じになるか、より厚くなる。一方、複数対の評価用溝31a,31bのうち別の一対の評価用溝31a,31bの幅W2が一対の溝23a,23b(及び一対の溝24a,24b)の幅より広いので、該別の一対の評価用溝31a,31bに挟まれた半導体領域33上の樹脂層13が、光導波路21,22上の樹脂層13よりも薄くなる。したがって、複数の半導体領域33が順に露出する間に光導波路21,22が露出するので、光導波路21,22上の樹脂層13のエッチングの停止タイミングを更に精度良く判断することができる。特に、或る一対の評価用溝31a,31bの幅W2が一対の溝23a,23b(及び一対の溝24a,24b)の幅よりも狭い場合には、どの程度まで過剰に樹脂をエッチングしたかといった情報をも容易に把握することができる。
また、本実施形態では、各一対の評価用溝31a,31bの間隔W3が、一対の溝23a,23b(及び一対の溝24a,24b)の間隔と等しい。これにより、一対の溝23a,23b(及び一対の溝24a,24b)の幅を基準として評価用溝31a,31bの幅W2を容易に設定することができる。
また、本実施形態では、評価用溝形成工程の後、塗布工程S15の前に、保護膜形成工程S14を行っており、露出工程S16の際、樹脂層13に対してエッチングを行ったのち、絶縁膜17に対してエッチングを行うことにより光導波路21,22の頂部を露出させている。樹脂層13に対するエッチングの際、絶縁膜17が露出すると光の干渉によってその露出部分の色が明らかに変化するので、このような方法によって、樹脂層13に対するエッチングの停止タイミングを更に容易且つ精度良く判断することができる。
なお、近年の光通信システムの大容量化に伴い、送信光の変調方式は、半導体レーザへの注入電流をオン・オフすることにより送信光を変調する方式(直接変調方式)から、より高速な変調が可能な外部変調器による方式へ移行しつつある。外部変調器としては、例えばマッハツェンダー型光変調器がある。また、通信速度が40Gb/sを超えるような光通信システムでは、一対の溝によって光導波路が形成された導波路型の光半導体デバイスが好適である。本実施形態の製造方法によれば、このような導波路型のマッハツェンダー型光変調器の信頼性を更に高めることができる。
(実施例)
続いて、上記実施形態に係る光変調器10の製造方法の一実施例について説明する。まず、n型InPから成るウエハ16上に、MOVPE法を用いて厚さ1μmのn型InP下部クラッド層121を成長させ、ノンドープAlGaInAs井戸層及びAlInAsバリア層をその上に交互に成長させてMQWコア層122を成長させる。なお、井戸層のバンドギャップ波長を例えば1.4μm帯とするとよい。また、井戸層の厚さを10nmとし、バリア層の厚さを5nmとするとよい。井戸層の層数は例えば25層である。更に、p型InP上部クラッド層123及びp+型InGaAsコンタクト層124をその上に順次成長させる。こうして、半導体積層部12を作製する。
次に、半導体積層部12の上に、厚さ400nmのSiN膜をプラズマCVD法により形成する。そして、このSiN膜上にレジストマスクを形成し、CF4系RIEによって一対の溝23a,23b及び24a,24b、並びに複数対の評価用溝31a,31bに応じたパターンを有する絶縁膜マスクM1を形成する。なお、このとき、光変調器10となる領域(以下、デバイス領域という)では、一対の溝23a,23bに対応する絶縁膜マスクM1のパターンを光導波路21の平面形状に一致させ、一対の溝24a,24bに対応する絶縁膜マスクM1のパターンを光導波路22の平面形状に一致させるとよい。また、評価用領域では、複数対の評価用溝31a,31bに対応する絶縁膜マスクM1のパターンを例えば8対形成し、各評価用溝31a,31bに対応する絶縁膜マスクM1のパターンを、例えば所定方向に延びる直線形状とするとよい。
続いて、絶縁膜マスクM1を用いてCl系RIEを行うことにより、半導体積層部12に一対の溝23a,23b及び24a,24b、並びに複数対の評価用溝31a,31bを形成する。このとき、各溝の深さ(すなわちエッチング深さ)を例えば4μmとする。また、一対の溝23a,23b及び24a,24bの幅を例えば4μmとする。また、複数対の評価用溝31a,31bの幅W2を、例えば各対毎に4μmから11μmまで1μmずつ変化させる。なお、光導波路21,22の幅および評価用溝31a,31bの間隔W3は、例えば1.5μmとされる。
続いて、バッファードフッ酸により絶縁膜マスクM1を除去した後、厚さ400nmのSiN膜(絶縁膜17)をプラズマCVD法により再び形成する。そして、ウェハ16上にスピン塗布法によりフッ素樹脂を塗布し、350℃、2時間のキュアを行う。こうして、樹脂層13を形成する。続いて、樹脂層13上にレジストを塗布し、光導波路21,22上、および複数対の評価用溝31a,31bに挟まれた半導体領域33上にのみ、例えば幅5μmのストライプ状の開口をレジストに形成する。このレジストをマスクとして、O2系RIEにて樹脂層13を段階的に加工する。
上述した実施例を本発明者が実施したところ、最初の加工時間30分の後にウェハ16の評価用領域を観察すると、8つの半導体領域33上に形成されたレジストの開口のうち、評価用溝31a,31bの幅W2が広い側から数えて1番目ないし6番目の開口においてSiN膜(絶縁膜17)の干渉色が確認された。そこで、2回目の加工時間を10分と決定し、O2系RIEによる加工を行ったところ、デバイス領域におけるレジストの全ての開口において、SiN膜(絶縁膜17)の露出を示す干渉色を確認することができた。その後、ウエハ16の光導波路21,22付近をその光導波方向と垂直な断面にて劈開し、SEMによる断面観察を行ったところ、光導波路21,22の両側面における樹脂層13のオーバーエッチング深さは0.1μm以下に留まっており、光導波路21,22上の絶縁膜17が露出した直後にエッチングを停止できていることが確認された。
なお、上記実施例では、フッ素樹脂からなる樹脂層13の加工のためにO2系RIEを用いる場合について述べた。一方、樹脂層13として、ポリイミド樹脂やBCB樹脂を用いる場合は、フッ素系ガス(CF4、SF6など)とO2との混合ガスによるRIEを用いることができる。この場合、絶縁膜17のSiNも同時にエッチングされるので、レジストの開口からは半導体積層部12の表面色(例えば白色)が観察される。
(第2の実施の形態)
続いて、本発明の第2実施形態として、半導体積層部上に樹脂層を備えない高屈折率差導波路型の光変調器を製造する方法について説明する。図16は、この製造方法を示すフローチャートである。また、図17及び図18は、この光変調器の製造方法における各工程を示す断面図である。なお、本実施形態では、保護膜形成工程S14までの各工程は既に述べた第1実施形態と同様なので、それらの工程の説明を省略する。
本実施形態では、保護膜形成工程S14の後、図17(a)に示されるように、ウエハ16上の全面にレジストを塗布することにより、レジスト層41を形成する(塗布工程、S21)。具体的には、スピンコートといった方法によってフォトレジストを均一に塗布したのち、硬化させる。この工程により形成されるレジスト層41は、半導体積層部12の上面を覆うほか、溝23a,23b(及び溝24a,24b)を埋め込む。
続いて、図17(b)に示されるように、レジスト層41の全面に対してエッチング(エッチバック)を行うことにより、光導波路21及び22上の絶縁膜17をレジスト層41から露出させる(露出工程、S22)。なお、このときのエッチング方法としては、例えば酸素系のRIEが好適である。
続いて、図17(c)に示されるように、絶縁膜17のうちレジスト層41から露出した部分に対してエッチングを行い、当該部分を除去することにより、光導波路21及び22の頂部(コンタクト層124)を露出させる(露出工程、S22)。なお、このときのエッチング方法としては、例えばフッ素系のRIEが好適である。この工程ののち、図18に示されるように、レジスト層41を除去する。
続いて、第1実施形態の電極形成工程S17と同様にして、コンタクト電極膜(不図示)をウエハ16上の全面に蒸着し、電極及びボンディングパッドの平面形状に対応する領域のコンタクト電極膜上にAuメッキ配線(不図示)を形成し、余分のコンタクト電極膜をミリング等により除去する(電極形成工程、S23)。続いて、ウエハ16の裏面を、厚さが100μm程度になるまで研磨し、その後、ウエハ16の裏面に裏面電極としてAuGeNi/Auオーミック電極を形成する(不図示)。
以上の工程S11〜S23ののち、ウエハ16をチップ状に切断することによって、高屈折率差導波路型の光変調器が完成する。
図19〜図22は、本実施形態における評価用領域A3を示す(a)平面図、(b)断面図である。本実施形態では、図19(a)及び(b)に示されるように、評価用領域A3における半導体積層部12に複数対(図では5対)の評価用溝(第1の評価用溝)31a,31bを形成する(評価用溝形成工程)。なお、これらの評価用溝31a,31bの形成方法や幅などの形状は第1実施形態と同様である。
続いて、図20(a)及び(b)に示されるように、保護膜形成工程S14において、複数対の評価用溝31a,31bの底面及び側面、並びに評価用溝31a,31bに挟まれた半導体領域33の上面を含むウエハ16上の全面に、絶縁膜17を形成する。
続いて、図21(a)及び(b)に示されるように、塗布工程S21(図17(a)を参照)において、ウエハ16上の全面にレジストが塗布されることにより、レジスト層41が形成される。この工程により形成されるレジスト層41は、半導体積層部12の上面を覆うほか、複数対の評価用溝31a,31bを埋め込む。また、評価用溝31a,31bの幅W2は各対毎に異なっているので、図21(b)に示されるように、評価用溝31a,31bに挟まれた半導体領域33上のレジスト層41の厚さは各対毎に異なる。なお、同図では、左端の評価用溝31a,31bの幅が最も狭く、右端に近い評価用溝31a,31bほど幅が広くなっていることから、左端の半導体領域33上のレジスト層41が最も厚く、右端に近い半導体領域33上のレジスト層41ほど薄くなっている。
続いて、図22(a)及び(b)に示されるように、露出工程S22(図17(b)を参照)において、レジスト層41の全面に対してエッチングを行うことにより、少なくとも一つの半導体領域33上において絶縁膜17を露出させる。このとき、複数の半導体領域33上のレジスト層41の厚さがそれぞれ異なることから、レジスト層41の厚さが最も薄い半導体領域33上の絶縁膜17が最も早く露出し、その後、レジスト層41の厚さに応じて順次に絶縁膜17が露出する。なお、図22は、右端寄りの3つの半導体領域33上の絶縁膜17が露出した状態を示している。
上述した露出工程S22では、このように複数の半導体領域33上の絶縁膜17が順次に露出する。また、複数の半導体領域33のうち少なくとも一つの半導体領域33上のレジスト層41の厚さが、光導波路21,22上に形成されるレジスト層41と較べて薄くなるように、評価用溝31a,31bの幅W2を設定しておけば、光導波路21,22の頂部の絶縁膜17より先に、該少なくとも一つの半導体領域33の頂部の絶縁膜17が露出する。したがって、レジスト層41に対するエッチングの進行の程度や、更にどの程度までエッチングを進めると光導波路21,22の頂部の絶縁膜17が露出するかといった情報を容易に且つ精度良く知ることができるので、残りのエッチング時間を精度良く予測することができる。
このように、本実施形態に係る光変調器の製造方法によれば、露出工程S22における光導波路21,22上のレジスト層41のエッチングの停止タイミングを、容易に且つ精度良く判断することができる。
(第3の実施の形態)
続いて、光半導体デバイスとして面発光型の発光デバイス(発光ダイオードや面発光レーザ等)を製造する方法について、第1実施形態の図3〜図6を参照しながら説明する。本実施形態では、第1実施形態の結晶成長工程S11(図3(a)を参照)により半導体積層部12を形成したのち、マスク形成工程S12(図3(b)を参照)において、環状の開口を有する絶縁膜マスクを形成する。そして、エッチング工程S13(図3(c)を参照)において、この絶縁膜マスクを用いて半導体積層部12に対しエッチングを行うことにより、環状の溝を形成する。この環状の溝に囲まれた半導体領域(第2の半導体領域)は、平面形状が円形といったメサ形状を呈する。面発光型の半導体デバイスにおいて、このメサ状の半導体領域は、光を発する発光部となる。なお、この工程では、ウエハ16の主面16aが露出した時点で半導体積層部12のエッチングを停止するとよい。この後、絶縁膜マスクを除去する。
続いて、保護膜形成工程S14(図4(b)を参照)において、ウエハ16上の全面に絶縁膜17を形成する。そして、塗布工程S15(図4(c)を参照)において、ウエハ16上の全面に樹脂を塗布することにより、樹脂層13を形成する。この樹脂層13は、半導体積層部12の上面を覆うほか、半導体積層部12に形成された環状の溝を埋め込む。続いて、露出工程S16(図5(a)を参照)において、樹脂層13の上にレジストマスクを形成する。このレジストマスクは、フォトリソグラフィー技術によってパターニングされた開口をメサ状の半導体領域(発光部)上に有する。そして、このレジストマスクを介して樹脂層13のエッチングを行うことにより、樹脂層13に開口を形成し、メサ状の半導体領域(発光部)上において絶縁膜17を露出させる。その後、露出工程S16(図5(b)を参照)において、絶縁膜17のうち樹脂層13から露出した部分に対してエッチングを行い、メサ状の半導体領域の頂部(コンタクト層124)を露出させる。この工程ののち、レジストマスクを除去する。
続いて、電極形成工程S17(図6(a)を参照)において、コンタクト電極膜19をウエハ16上の全面に蒸着する。この場合、面発光型の発光デバイスの上面から光を放射させるために、透明電極を用いることができる。透明電極としては、例えば酸化インジウム・すず(ITO)を用いることができる。或いは、コンタクト電極膜19に、光出射用窓部を設けても良いし、ウエハ16の裏面に形成した裏面電極に光放出用の窓構造を設けてもよい(不図示)。
以上の工程ののち、ウエハ16をチップ状に切断することによって、面発光型の発光デバイスが完成する。
ここで、図23〜図27は、本実施形態に係る評価用領域を示す(a)平面図、(b)断面図である。本実施形態では、図23(a)及び(b)に示されるように、評価用領域における半導体積層部12に複数(図では5つ)の環状の評価用溝(第2の評価用溝)34を形成する。具体的には、まず、上述したマスク形成工程S12(図3(b)を参照)において形成される絶縁膜マスクに、複数の環状の評価用溝34に対応する開口をパターニングする。そして、続くエッチング工程S13(図3(c)を参照)において、この絶縁膜マスクを用いて半導体積層部12に対しエッチングを行うことにより、複数の環状の評価用溝34を形成する(評価用溝形成工程)。
こうして形成される複数の環状の評価用溝34の径方向の幅W4は各評価用溝34毎に異なっており、図23では左端の評価用溝34の幅W4が最も狭く、右端に近い評価用溝34ほど、幅W4が広くなっている。また、複数の環状の評価用溝34の幅W4のうち、最も狭い幅W4は、当該面発光デバイスの環状の溝の幅と同じかより狭く、最も広い幅W4は、当該面発光デバイスの環状の溝の幅より広い。なお、複数の評価用溝34の内径D1は互いに等しく、且つ、これらの内径D1は、面発光デバイスの環状の溝の内径(すなわちメサ状の半導体領域の直径)と等しい。
続いて、図24(a)及び(b)に示されるように、保護膜形成工程S14(図4(b)を参照)において、複数の環状の評価用溝34の底面及び側面、並びに評価用溝34に囲まれた半導体領域35の上面を含むウエハ16上の全面に、絶縁膜17が形成される。
続いて、図25(a)及び(b)に示されるように、塗布工程S15(図4(c)を参照)において、ウエハ16上の全面に樹脂が塗布されることにより、樹脂層13が形成される。この工程により形成される樹脂層13は、半導体積層部12の上面を覆うほか、複数の環状の評価用溝34を埋め込む。また、前述したように複数の評価用溝34の幅W4はそれぞれ異なっているので、図25(b)に示されるように、評価用溝34に囲まれた半導体領域35上の樹脂層13の厚さは各半導体領域35毎に異なる。なお、同図では、左端の評価用溝34の幅W4が最も狭く、右端に近い評価用溝34ほど幅W4が広くなっていることから、左端の半導体領域35上の樹脂層13が最も厚く、右端に近い半導体領域35上の樹脂層13ほど薄くなっている。
続いて、図26(a)及び(b)に示されるように、露出工程S16(図5(a)を参照)において、樹脂層13の上にレジストマスク36を形成する。レジストマスク36は、フォトリソグラフィー技術によってパターニングされた複数の円形の開口36bを、複数の半導体領域35それぞれの上方に有する。続いて、図27(a)及び(b)に示されるように、露出工程S16(図5(b)を参照)において、このレジストマスク36を介して樹脂層13のエッチングを行うことにより、少なくとも一つの半導体領域35上において絶縁膜17を露出させる。このとき、複数の半導体領域35上の樹脂層13の厚さがそれぞれ異なることから、樹脂層13の厚さが最も薄い半導体領域35上の絶縁膜17が最も早く露出し、その後、樹脂層13の厚さに応じて順次に絶縁膜17が露出する。なお、図27は、右端寄りの3つの半導体領域35上の絶縁膜17が露出した状態を示している。
上述した露出工程S16では、このように複数の半導体領域35上の絶縁膜17が順次に露出する。また、複数の半導体領域35のうち少なくとも一つの半導体領域35上の樹脂層13の厚さが、メサ状の半導体領域(発光部)上に形成される樹脂層13と較べて薄くなるように、評価用溝34の幅W4を設定しておけば、メサ状の半導体領域(発光部)の頂部の絶縁膜17より先に、該少なくとも一つの半導体領域35の頂部の絶縁膜17が露出する。したがって、樹脂層13に対するエッチングの進行の程度や、更にどの程度までエッチングを進めるとメサ状の半導体領域(発光部)の頂部の絶縁膜17が露出するかといった情報を容易に且つ精度良く知ることができるので、残りのエッチング時間を精度良く予測することができる。
このように、本実施形態に係る面発光デバイスの製造方法によれば、露出工程S16におけるメサ状の半導体領域(発光部)上の樹脂層13のエッチングの停止タイミングを、容易に且つ精度良く判断することができる。
また、本実施形態では、複数の環状の評価用溝34のうち或る一つの評価用溝34の幅W4が、面発光デバイスの環状の溝の幅と同じかより狭いので、該一つの評価用溝34に囲まれた半導体領域35上の樹脂層13の厚さは、メサ状の半導体領域(発光部)上の樹脂層13の厚さと同じになるか、より厚くなる。一方、複数の環状の評価用溝34のうち別の一つの評価用溝34の幅W4が、面発光デバイスの環状の溝の幅より広いので、該別の一つの評価用溝34に囲まれた半導体領域35上の樹脂層13は、メサ状の半導体領域(発光部)上の樹脂層13よりも薄くなる。したがって、複数の半導体領域35が順に露出する間にメサ状の半導体領域(発光部)が露出するので、メサ状の半導体領域(発光部)上の樹脂層13のエッチングの停止タイミングを更に精度良く判断することができる。特に、或る一つの評価用溝34の幅W4が環状の溝の幅よりも狭い場合には、どの程度まで過剰に樹脂をエッチングしたかといった情報をも容易に把握することができる。
また、本実施形態では、各評価用溝34の内径D1が、面発光デバイスの環状の溝の内径と等しい。これにより、環状の溝の幅を基準として評価用溝34の幅W4を容易に設定することができる。
また、本実施形態においても、評価用溝形成工程の後、塗布工程S15の前に、保護膜形成工程S14を行っており、露出工程S16の際、樹脂層13に対してエッチングを行ったのち、絶縁膜17に対してエッチングを行うことによりメサ状の半導体領域(発光部)の頂部を露出させている。樹脂層13に対するエッチングの際、絶縁膜17が露出すると光の干渉によってその露出部分の色が明らかに変化するので、このような方法によって、樹脂層13に対するエッチングの停止タイミングを更に容易且つ精度良く判断することができる。
本発明による光半導体デバイスの製造方法は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、第1実施形態および第2実施形態では、一対の溝によって光導波路が形成される光半導体デバイスに対して、複数対の評価用溝をウエハ上の評価用領域に形成しており、一方、第3実施形態では、環状の溝によってメサ状の発光部が形成される光半導体デバイスに対して、複数の環状の評価用溝をウエハ上の評価用領域に形成している。本発明に係る製造方法では、これらのように、光半導体デバイスが一対の溝を有する場合には複数対の評価用溝を形成し、光半導体デバイスが環状の溝を有する場合には複数の環状の評価用溝を形成する形態に限られるものではなく、例えば、光半導体デバイスが一対の溝を有する場合に複数の環状の評価用溝を形成し、また、光半導体デバイスが環状の溝を有する場合に複数対の評価用溝を形成してもよい。
また、上記各実施形態では、評価用領域における複数対の評価用溝(或いは複数の環状の評価用溝)の幅を、光半導体デバイスにおける一対の溝(或いは環状の溝)の幅と等しいものとしているが、これらの幅は互いに異なっていても良い。すなわち、光導波路やメサ状の発光部の上方に形成される樹脂層の厚さに対し、複数対の評価用溝に挟まれた複数の領域(或いは複数の環状の評価用溝に囲まれた複数の領域)の上に形成される樹脂層の厚さが、或る領域では薄くなり、他の領域では同じかより厚くなるように評価用溝の形状を設定することによって、上記各実施形態の作用効果を好適に得ることができる。
また、第1実施形態では、一対の溝によって構成された光導波路を備える光変調器について本発明を適用する形態を例示したが、一対の溝によって構成された光導波路を備える端面発光型の半導体レーザ素子に対しても、第1実施形態と同様にして本発明を適用することができる。