JP5760664B2 - シリコーン系封止材組成物及び半導体発光装置 - Google Patents
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Description
このような半導体発光デバイス用封止材としては、エポキシ樹脂が広く用いられているが、LED等の高出力化、発光波長の短波長化により、エポキシ樹脂の劣化による変色やこれに伴う半導体発光デバイスの輝度低下が問題となってきた。
しかしながら、シリコーン樹脂は水分やガスの透過性が高いため、半導体発光デバイスに含まれるリード電極等の金属部材の表面が酸化や硫化によって変色し、経時的に光反射率が低下し、従って発光装置の出力が低下するという問題が発生している。
(1)(A)二官能熱硬化性シリコーン樹脂、(B)多官能熱硬化性シリコーン樹脂、及び(C)硬化触媒を含有してなるシリコーン系封止材組成物であって、以下の特徴を有するシリコーン系封止材組成物であり、以下の1)〜4)の特徴を有する組成物。
1)(A)と(B)との合計量中に(B)が占める比率、(B)/((A)+(B))(重量比)の値が、0.5/100以上、100/100未満
2)(B)成分の官能数が2.5以上4.0以下
3)(B)成分の重量平均分子量が1000〜10000
4)80℃において、(A)と(B)とは相溶せず、かつ当該温度での(B)の密度が(A)の密度よりも0.01g/cm3以上高い。
(2)また、本発明は、
(A)と(B)とを含む液状組成物及び(C)を含む液状組成物とから構成される二液型組成物である上記(1)に記載のシリコーン系封止材組成物が好ましい態様である。
(3)また、本発明は、
(A)と(B)のいずれか一方の融点が25℃以下であり、他方の融点が30〜100℃である上記(1)又は(2)に記載の組成物も好ましい態様である。
(4)さらに、本発明は、
(A)と(B)との合計量中に(B)が占める比率、(B)/((A)+(B))の値が、1/100〜50/100(重量比)である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の組成物がより好ましい態様である。
(5)また、本発明は、
(C)硬化触媒の含有量が、(A)と(B)との合計量に対して、0.01〜0.5重量%である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の組成物が好ましい態様である。
(6)また、本発明は、
(C)硬化触媒が金属成分としてスズ(Sn)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ビスマス(Bi)、ハフニウム(Hf)、イットリウム(Y)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)及びガリウム(Ga)からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属の有機錯体又は有機酸塩である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の組成物が好ましい態様である。
(7)また、本発明は、
上記(A)〜(C)の各成分に加えて、さらに(D)重量平均分子量が300〜800の多官能ポリオルガノシロキサンを、(A)と(B)との合計量に対して0.05〜1重量%含有する上記(1)〜(6)のいずれかに記載の組成物が好ましい態様である。
(8)また、本発明の別の態様は、上記(1)〜(7)のいずれかに記載のシリコーン系封止材組成物によって封止されている半導体発光装置である。
以下、本発明について、シリコーン系封止材組成物及び半導体発光装置の具体的な態様について詳述するが、本発明はこれらの説明により限定されるものではない。
<1.組成物の構成成分>
本発明の半導体発光デバイス用シリコーン系封止材組成物は、(A)二官能熱硬化性シリコーン樹脂、(B)多官能熱硬化性シリコーン樹脂、及び(C)硬化触媒を必須成分とし、好ましくは、更に(D)重量平均分子量が300〜800の反応性ポリオルガノシロキサンを含んでなるシリコーン系封止材組成物であって、それぞれが特定の組成比及び特徴を有するものである。
1.1 (A)二官能熱硬化性シリコーン樹脂
本発明に用いられる(A)二官能熱硬化性シリコーン樹脂とは、シロキサン結合を主鎖とする有機性重合体であり、以下に示す一般組成式(1)で表される化合物の平均官能数が、約2になるものを言う。
(R1R2R3SiO1/2)M(R4R5SiO2/2)D(R6SiO3/2)T(SiO4/2)Q ・・・(1)
但し、R1からR6はそれぞれ独立して、アルキル基やフェニル基等の炭化水素基である。また、これらR1からR6の部位がハロゲン原子やアルカリ金属原子により置換されることもあるが、このような場合、これらの原子はR1からR6には相当せず、上記式(1)においては酸素原子と見なしてカウントされる。
官能数=(2×D+3×T+4×Q)/(D+T+Q) ・・・ (2)
なお、典型的な二官能熱硬化性シリコーン樹脂は、上記式(1)で全てが(R4R5SiO2/2)の構成単位、即ち、ジオルガノシロキサン構造(−O−Si(R4)(R5)−O−)のみからなるポリオルガノシロキサンであり、この場合の官能数は2.0である。
このような二官能熱硬化性シリコーン樹脂の具体例としては、U111、U113D、U211、U213D、S111、S113D、S211、S213D、N111、N113D、N211、N213D(以上三菱化学(株)製)、YF3800、XF3905、YF3057、YF3807、YF3802、YF3897、XC96−723、YF3804(以上モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、X−21−5841、KF9701(以上信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
本発明において用いる(B)多官能熱硬化性シリコーン樹脂とは、上記式(1)において、官能数が約3以上の熱硬化性シリコーン樹脂である。好ましい官能数は2.5以上4.0未満、より好ましくは2.8以上3.5以下である。
官能数が上記範囲にあることにより、加熱硬化時にシリコーン樹脂中に緊密な架橋構造が形成され、水分やイオウ類の透過性が低い、ガスバリア性に優れた硬化樹脂が形成できる。
官能数が2.5未満では、ガスバリア性が十分高くならず、また4.0では効果反応の制御性が悪くなり、均一な架橋構造が形成しにくくなり、結果的にガスバリア性が不十分になることがある。
このような多官能熱硬化性シリコーン樹脂の具体例としては、KR220L、KR242A、KR−271、KR−282、KR−300、KR311(以上信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
本発明において(C)硬化触媒は、上記(A)二官能熱硬化性シリコーン樹脂と(B)多官能熱硬化性シリコーン樹脂との混合物を脱水・脱アルコール縮合反応させることによる架橋促進のために用いられる。
スズ(Sn)を含有する有機金属化合物触媒としては、テトラアルキルスズ、ジアルキルスズオキサイド、ジアルキルスズジカーボネート等(但しアルキル基やカルボン酸の炭素原子数は1〜10が好ましい)が挙げられる。
亜鉛(Zn)を含有する有機金属化合物触媒としては、亜鉛トリアセチルアセトネート、ステアリン酸亜鉛、ビス(アセチルアセトナト)亜鉛(II)(一水和物)等が挙げられる。
ガリウム(Ga)を含有する有機金属化合物触媒としては、例えばガリウムトリアセチルアセトネート、ガリウムトリアルコキシド(アルキル基の炭素原子数は2〜8が好ましい)、ガリウムオクトエート、ガリウムラウレート、酢酸ガリウムなどを挙げることが出来る。
硬化触媒の含有量は、(A)と(B)との合計量に対して、0.01〜0.5重量%(金属原子換算)であることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.2重量%である。
硬化触媒の含有量が0.01重量%未満のように少量の場合は、硬化反応が遅くなり、硬化が所望の時間内に完了しないことがあり、一方、0.5重量%を超えて多量に用いると、縮合反応である硬化反応により発生する水やアルコールによる発泡が顕著になって良好な封止が行えなかったり、触媒の光吸収により封止材層の光透過率が低下したり、硬化後の樹脂の熱収縮が顕著になり封止材層がパッケージから剥離したりすることがある。
なお、硬化触媒の含有量は、その金属成分のICP分析により測定できる。
本発明のシリコーン系封止材組成物には、上記(A)〜(C)の必須成分に加えて、(D)重量平均分子量が300〜800の多官能ポリオルガノシロキサンを含有させることが好ましい。このような多官能ポリオルガノシロキサンは、上記(B)多官能熱硬化性シリコーン樹脂よりも重量平均分子量が低く、常温で液状であるため、組成物の取扱い性が改良されるとともに、加熱硬化反応時には、(B)とともに架橋反応に関与して、より緻密な架橋構造を形成し、得られる封止材層のガスバリア性向上に有効である。
含有量が0.05%未満では、(D)を含有させることによるガスバリア性向上効果が不十分となり、一方1重量%を超えて多量に添加すると、硬化反応時の低分子成分(水、アルコール等)の生成による発泡が著しくなり、封止材層の透明度が低下して光線透過率が低下する恐れがある。
本願発明のシリコーン系封止材組成物には、その目的や効果を阻害しない範囲で、上記各成分以外に、例えば粘度、硬化速度、硬化物の硬度、触媒の溶解性向上、取扱い性の向上などの性状の調整や、硬化後に得られる封止材の光学特性、機械的特性、物理化学的特性を改良することを目的として、無機粒子、硬化速度調整剤、及び液状媒体等の添加物を含有させてもよい。
無機粒子の平均粒径は、その添加目的に応じて適宜選択されるが、一般に1nm〜100μmの範囲から選ばれることが多い。
硬化速度調整剤は、硬化反応時の過度の発泡を制御するために、その速度を調整(遅延)させるために用いられ、例えば3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、3−ヒドロキシ−3−フェニル−1−ブチン等の脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、有機過酸化物等が挙げられ、これらを併用してもかまわない。
硬化速度調整剤は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のシリコーン系封止材組成物には、用いる(A)または(B)のシリコーン樹脂や触媒の溶解性向上、組成物の粘度、硬化速度、或いは硬化物の硬度などの調整のために上記各成分以外の液状媒体を添加してもよい。
前記液状媒体の使用量は、シリコーン系封止材組成物の使用形態に応じて適宜選択すればよいが、揮発性の有機溶剤を用いる場合は、その使用量に注意が必要である。これについては、別項(3.)で説明する。
2.1 (A)と(B)との合計量中に(B)が占める比率
本発明の半導体発光デバイス用シリコーン系封止材組成物においては、上記(A)二官能熱硬化性シリコーン樹脂と(B)多官能熱硬化性シリコーン樹脂との合計量中に(B)が占める比率、即ち「(B)/((A)+(B))」の値はその重量比として、0.5/100以上、100/100未満である。
封止材の剥離性と成形時の発泡のバランスを考慮すると、より好ましい重量比は、1/100以上、50/100以下、更に好ましくは3/100以上15/100以下、特に好ましいのは5/100以上、10/100以下である。
本発明に用いるシリコーン樹脂である(A)及び(B)は、それぞれ上記の特性を有する他に、硬化が進行する状態の温度である80℃において、(A)と(B)とが相溶しないことと、当該温度(80℃)における、(B)の密度が(A)の密度よりも0.01g/cm3以上高いことが必要である。
ここで、(A)と(B)とが相溶しない、とは、例えば等量の(A)及び(B)を混合して、80℃に温度を調整したところで、その混合液を撹拌した時に、両者が一つの均一相を形成することなく、例えば濁った状態となったり、あるいは相分離したりすることで、相溶していないことが判断できる。
なお、密度測定は、例えば予め重量を測定してある容量100mlのガラス(パイレックス(登録商標))製メスシリンダーに試料を、液体であれば約10ml分秤取して重量を測定し、その上で80℃の恒温器中に1〜2時間放置した後取り出して、直ちにその体積を確認し、この体積と先に測定した試料の重量から80℃での密度を求めることができる。また試料が常温で固体の場合は、例えば約10g程度の試料をメスシリンダーに秤取して重量を測定し、次いで上記と同様にメスシリンダーごと80℃の恒温器中に1〜2時間放置し溶解させて80℃における体積を測定し、80℃での密度を算出できる。
本発明において用いる(A)と(B)は、そのいずれか一方の融点が25℃以下であり、他方の融点が30〜100℃であることが好ましい。
(A)と(B)がこのような融点を持つことで、上記したような加熱硬化時の密度差に基づく挙動がより顕著に発現するとともに、沈降部分においてリード電極をより均一な被膜によって被覆することが可能となる。
より好ましい融点の関係は、一方の融点が20℃以下であり、他方の融点が60℃〜80℃であることである。
また上記の硬化過程において得られる皮膜も厚さにむらがない均一な膜とすることができる。
上記の各成分をそれぞれの好適組成範囲で配合、含有させることによって本発明のシリコーン系封止材組成物を製造することができる。
このような封止材組成物は、上記各成分(A)〜(C)を全て含む一液型の組成物であっても、また(A)成分と(B)成分を一方の液状組成物、(C)縮合触媒を他方の液状組成物とする、二液型の組成物であってもよい。このとき、二つの液状組成物の少なくとも一方が、所定の混合比率で各成分を混合した場合でも、常温では液状にならない場合や、二液を使用する場合に極端にその用いる容量が異なる場合などは、安定な液状組成物としたり、使用量のバランスを取ったりするために、前記した有機溶剤を適宜併用することが好ましい。
液状組成物の沸点が前記範囲より低い温度であると溶剤の引火性による安全上の問題が生じることがあり、一方前記範囲より高い温度では硬化後も有機溶剤が封止材層中に残存し、透過率の低下が起きる可能性がある。
更に、硬化時に溶剤が気化するため、その気泡によって硬化後の封止材の光透過性が悪化することもある。
本発明のシリコーン系封止材組成物は、二液型として用いる方が、保管時の安定性が良好となるので好ましい。
一液型とすると、使用時の簡便性は高くなるが、保管に際して冷凍庫に保管したり、あるいは使用可能期間を短く限定したりする等の配慮が必要となる。
上記本発明のシリコーン系封止材組成物は半導体発光デバイスの封止材として好ましく使用できる。
本発明の半導体発光装置は、リード電極に相当する金属部材とこの金属部材の一部を露出させることができる底面と側面とを有する凹部を形成した樹脂成形体とからなるパッケージと、前記凹部内に配置され、前記金属部材と電気的に接続された発光素子と、この凹部内に充填された封止材とを少なくとも備えてなるものである。
この半導体発光装置において、上記本発明に係るシリコーン系封止材組成物を封止材として用いることにより、水分や含イオウ化合物等のイオウ類の透過性を低くすることができ、リード電極等の金属部材の反射率を、長期間にわたって効果的に維持することができる。
半導体発光装置5は、一般に半導体発光素子2、装置全体の外殻を構成する樹脂成形体1、半導体発光素子2とリード電極4とを電気的に接続するボンディングワイヤ、半導体発光素子を封止する封止材3、半導体発光素子に電気を供給するリード電極4等から構成される。なお、リード電極等の導電性金属配線および絶縁性の樹脂成形体からなる構成をパッケージと称する。
リード電極の材質は特段制限されず、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、白金族元素、ニッケル(Ni)等の銀白色を呈する金属の1種類、又は2種類以上含むものが例示され、中でも光反射率が高い銀又は銀合金が好ましく用いられる。
パッケージを構成する樹脂成形体1は、半導体発光装置の外形構造を維持するとともに、全方向に射出される半導体発光素子からの光を、半導体発光装置の光の射出方向に反射させることで、半導体発光装置の光出力を向上させ、かつ正負のリード電極を絶縁するという機能も有している。
このような樹脂タイプの反射材の材質としては、本発明のシリコーン系封止材組成物と樹脂組成が近似する、シリコーン樹脂を用いたものが、両者間の密着性が良好となり、成形時や使用時の剥離等の恐れが小さくなるため好ましい。シリコーン樹脂系の反射材には、主成分である熱硬化性ポリオルガノシロキサン以外にチタニアやアルミナ等の光反射性フィラーを含んでいることが一般的である。
上記のパッケージ型構造を有する半導体発光装置の他に、半導体発光装置の形態として、基板上に発光素子を直接搭載して封止材層で封止したチップオンボード実装用の配線基板としてもよい。
本発明の発光装置は、例えば以下(1)、(2)のような手順で製造することができる。
市販される半導体発光装置用のパッケージを用い、所望の発光波長(例えば460nm等)を有する半導体発光素子を上記パッケージの凹部に露出しているリード電極上に導電性ダイボンド材を用いて設置した後、該ダイボンド材を加熱硬化して、半導体発光素子をパッケージ上に搭載し、金線等のボンディングワイヤーを用いて該パッケージの他方のリード電極と半導体発光素子とを接続する。
続いて、このパッケージ凹部へ、開口部上縁と同じ高さになるように封止材組成物を滴下・装入し、引き続き所定の温度条件で封止材組成物を加熱硬化させて、半導体発光素子を封止し、半導体発光装置を製造する。
本発明の半導体発光装置は、上記特定のシリコーン系封止材組成物を用いるので、耐イオウ性が優れており、リード電極の反射率を長期にわたって維持できる優れた半導体発光装置となる。
1.シリコーン系封止材組成物の調製
(1)シリコーン樹脂
本実施例の組成物に用いたシリコーン樹脂は以下の通りである。
(A)成分
(A)成分の二官能熱硬化性シリコーン樹脂としては、三菱化学(株)製「S111」(主成分:ジメチルポリオルガノシロキサン、重量平均分子量:13000、官能度:2.08、常温で液体、密度:0.98g/ml)を使用した。
(B)成分
実施例に用いた(B)多官能熱硬化性シリコーン樹脂は以下のようにして調製した。
1Lのセパラブルフラスコにメチルトリクロロシラン100重量部、トルエン200重量部を入れ、循環冷却器で冷却しながら、水10重量部、メタノール50重量部、
及びイソプロパノール10重量部の混合液を、内温を0℃に維持した状態で10時間かけて滴下した。滴下終了後、20分間80℃に加熱して溶媒の混合アルコールを還流した。その後室温まで冷却し、内温が30℃を超えないように冷却しながら、水10重量部を30分間かけて滴下した。更に水25重量部を10分間で滴下後、50℃で1時間攪拌した。
得られた化合物は、メチルトリメトキシシランオリゴマーを主成分とする、重量平均分子量4000、官能度3.15、融点75〜80℃、密度1.14g/cm3の多官能熱硬化性シリコーン樹脂であった。
1)第一液
下記の(A)成分と(B)成分を、表1に示す比率で混合して封止材組成物の第一液とした。なお、上記で調製した(B)成分は常温で固体であるので、封止材の第一液を調製するに際しては、約100μmの粒径になるまで粉砕した上で、(A)成分と混合し、分散液の形として使用した。
但し、比較例1では(B)成分を単独で用い、比較例2では(A)成分のみを用いた。また比較例3は上記で調製した多官能熱硬化性シリコーン樹脂に代えて、常温で液状の多官能熱硬化性シリコーン化合物である上記「KC89S」を使用した。
(C)硬化触媒として、ジルコニウムテトラ(2−エチルヘキサノエート)を2重量%含む脂肪族炭化水素系溶媒溶液を第二液として使用した。
2.封止材の硬化とイオウ雰囲気曝露試験
銀のリード電極を有するパッケージ(金森藤平商事製、”High Power LED Package 90×90)に、上記の二液型封止材組成物を混合の上、パッケージの縁まで注入して、150℃の恒温オーブン中で3時間加熱し、封止材組成物を硬化させた。
このシャーレを、更に大型シャーレ(直径15cm、深さ4.5cm)中に格納し、シャーレの上蓋をかぶせた上で、該大型シャーレの側面をフッ素樹脂製のシールテープ((株)スリーボンド製)を用いて密封した。
これを80℃の恒温オーブン中で6時間保持した後、取り出してパッケージの変色状態を以下に示す方法で評価した。
(1)光反射率
反射率測定器(コニカミノルタ(株)製、CM−2600d)を用いて、350nm〜750nmにおけるパッケージの反射率を測定した。
封止する前のパッケージ及び各封止材組成物により封止したパッケージを、測定器のプローブにセットしてイオウ雰囲気曝露試験前後の反射率を測定した。
測定の結果、上記の波長範囲の全範囲で、サンプル間での反射率の順位が変動していなかったので、光反射率の評価は代表的な波長として550nmを用いて、この波長における光反射率の維持率を用いて行った。
目視にてイオウ雰囲気曝露前後の未封止パッケージ及び封止したパッケージの着色状況を観察し、以下の基準で評価した。
○:部分的に僅かな着色があることもあるが、ほとんど着色は見られない
△:明らかに着色が見られる
×:著しい着色が見られる
封止されたパッケージについて、イオウ雰囲気曝露前に封止材層の発泡状態を観察し、以下の基準で評価した。
○:発泡は見られない
△:少量の発泡が見られる
×:発泡が著しい
(1)(A)成分、(B)成分が本願で特定される特性値を有していて、かつ本願で規定する組成比となっている、実施例1〜5は、(A)成分が単独で用いられた比較例2に比べて、反射率の維持も着色の程度も良好である。同様に(B)成分が単独で用いられた比較例1と比べても発泡性が抑えられて優れた反射率を維持している。
(2)(B)成分の分子量規定から低く外れたものを用いた比較例3は、対応する実施例3と比べると、反射率の維持率が低くなっており、耐イオウ性が不十分であることが見られる。
2 半導体発光素子
3 封止材
4 リード電極
5 半導体発光装置
Claims (7)
- (A)二官能熱硬化性シリコーン樹脂、(B)多官能熱硬化性シリコーン樹脂、及び(C)硬化触媒を含有してなるシリコーン系封止材組成物であって、以下の特徴を有するシリコーン系封止材組成物。
1)(A)と(B)との合計量中に(B)が占める比率、(B)/((A)+(B))(重量比)の値が、0.5/100以上、100/100未満
2)(B)成分の官能数が2.5以上4.0以下
3)(B)成分の重量平均分子量が1000〜10000
4)80℃において、(A)と(B)とは相溶せず、かつ当該温度での(B)の密度が(A)の密度よりも0.01g/cm3以上高い
(C)が金属成分としてスズ(Sn)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ビスマス(Bi)、ハフニウム(Hf)、イットリウム(Y)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)及びガリウム(Ga)からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属の有機錯体又は有機酸塩である - (A)と(B)とを含む液状組成物及び(C)を含む液状組成物とから構成される二液型組成物であることを特徴とする請求項1に記載のシリコーン系封止材組成物。
- (A)と(B)のいずれか一方の融点が25℃以下であり、他方の融点が30〜100℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリコーン系封止材組成物。
- (A)と(B)との合計量中に(B)が占める比率、(B)/((A)+(B))(重量比)が1/100以上、50/100以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリコーン系封止材組成物。
- (C)硬化触媒の含有量が、(A)と(B)との合計量に対して、0.01〜0.5重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシリコーン系封止材組成物。
- さらに(D)重量平均分子量が300〜800の多官能ポリオルガノシロキサンを、(A)と(B)との合計量に対して0.05〜1重量%含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のシリコーン系封止材組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のシリコーン系封止材組成物によって封止されていることを特徴とする半導体発光装置。
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