JP5760443B2 - 偽造防止媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、目視にて真偽判定が可能な偽造防止媒体に係り、物品に設けることにより物品の偽造を困難にし、特に物品から偽造防止媒体を不正に剥離して偽造品に貼付されることを防止する、再利用防止機能を備えた偽造防止媒体に関するものである。
従来、粗悪な偽造品被害が大きな社会問題となっている。そこで偽造防止対策として、真正品であることを判定するためのラベル等の偽造防止媒体を物品に設けることにより、本物と偽物を区別できるようにする手段がある。この偽造防止媒体としては、偽造防止用機能性インキ、特殊印刷、ホログラム、磁気記録、ICタグ等、多くの偽造防止手段が採用されている。しかし、これら偽造防止策手段が物品に貼付されているとしても、偽造防止ラベルを真正品から剥がし取り、偽造品に貼りつけるといった不正行為が頻繁に行われてしまっている。
このようなことから、偽造防止ラベルの再貼り付け防止を目的とする方法が考えられている。例えば、偽造防止ラベルに切り欠きを設け、無理に剥がそうとすると、切り欠きがきっかけとなり偽造防止ラベルが裂けてしまう方法や、偽造防止ラベルの基材を脆性材料にする方法、もしくはラベルを剥がそうとすると表面基材に“VOID”等の文字が現れ、物品にインキが付着するパターン脆性タイプのもの等がある。
しかしながら、これらの方法では、ラベル剥がし液等の有機溶剤を染みこませ、そっと偽造防止ラベルを剥がせば、ラベルが損傷しないため再使用が可能となってしまう。
さらに、有機溶剤による剥離を防止するために、有機溶剤溶解染料が含有されていて、ラベル剥がし液等で剥がそうとした時、前記染料が印刷部よりにじみ出すことで再貼り付けを防止する方法がある(特許文献1)。
また、ラベルの粘着層中に発泡粒子を含有することで、ドライヤー等でラベルを温めた場合、粘着層中の発泡粒子が発泡することで、再貼り付けを防止する方法がある(特許文献2)。さらにラベルの粘着剤を難溶性にすることで再貼り付けを防止する方法がある(特許文献3)。
しかしながら、有機溶剤溶解染料を用いる方法では、ドライヤー等で偽造防止ラベルの表面を温めることによりきれいに剥がれる。また発泡粒子を含有させ、粘着剤を難溶性とする方法を用いても、偽造防止ラベルを貼付している物品の表層ごと削ぎ落とすことで、偽造防止ラベルに損傷を与えず再利用が可能となる。この場合、物品自身が損傷するが、物品が装置の消耗品である場合、消耗品等を使い終わった後に行うのならば、一部が損傷しても関係がないため、深刻な問題となってしまう。
特開平10−204363号公報 特開2000−293108号公報 特開2005―266147号公報
本発明は、前記偽造防止技術の問題点に鑑みてなされた発明であり、偽造防止媒体を、加熱や溶剤により剥離したり、機械的に削ぎ落とした後に、その偽造防止媒体を偽造品に貼り付けて使用する偽造を防止するために、再利用ができない偽造防止媒体を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、目視判定可能な偽造防止媒体であって、少なくとも可視光線を吸収する光吸収層、熱圧にて隠蔽性が消滅する中空構造の有機ポリマーからなる隠蔽性粒子を主成分とする隠蔽層、角度依存性を有する光学干渉層を順次積層されてなり、該光吸収層、隠蔽層、光学干渉層は少なくとも重なる領域があることを特徴とする偽造防止媒体である。
また、請求項2に記載の発明は、前記熱圧にて隠蔽性が消滅する中空構造の有機ポリマーからなる隠蔽性粒子を主成分とする隠蔽層と角度依存性を有する光学干渉層の間に、パターン状に形成された可視光線を吸収する第二の光吸収層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の偽造防止媒体である。
また、請求項3に記載の発明は、前記熱圧にて隠蔽性が消滅する中空構造の有機ポリマーからなる隠蔽性粒子が可視光を反射し、前記隠蔽性粒子を主成分とする隠蔽層が可視光線を吸収する光吸収層よりも可視光領域の波長の反射率が高いことを特徴とする請求項1または2に記載の偽造防止媒体である。
また、請求項4に記載の発明は、前記熱圧にて隠蔽性が消滅する中空構造の有機ポリマーからなる隠蔽性粒子を主成分とした隠蔽層が、5μm以上の厚みであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の偽造防止媒体である。
また、請求項5に記載の発明は、前記熱圧にて隠蔽性が消滅する中空構造の有機ポリマーからなる隠蔽性粒子が100℃〜300℃の熱圧により破壊されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の偽造防止媒体である。
また、請求項6に記載の発明は、前記可視光線を吸収する光吸収層、前記熱圧にて隠蔽性が消滅する中空構造の有機ポリマーからなる隠蔽性粒子を主成分とする隠蔽層、前記角度依存性を有する光学干渉層の少なくとも1層が、パターン状に形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の偽造防止媒体である。
また、請求項7に記載の発明は、前記中空構造の有機ポリマーからなる隠蔽性粒子を主成分とする隠蔽層が、ベタ状に形成され、中空構造の有機ポリマーからなる隠蔽性粒子を熱圧にてパターン状に破壊されてなることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の偽造防止媒体である。
また、請求項8に記載の発明は、前記角度依存性を有する光学干渉層が、金属酸化物を多層に被覆した角度依存性を有する小板状の光干渉顔料を含むインキ層であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の偽造防止媒体である。
また、請求項9に記載の発明は、前記角度依存性を有する光学干渉層が、配向性を持ったコレステリック液晶から構成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の偽造防止媒体である。
また、請求項10に記載の発明は、前記角度依存性を有する光学干渉層が、螺旋軸の回転方向が左方向または右方向のいずれかまたは両方のコレステリック高分子液晶顔料を含
有していることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の偽造防止媒体である。
また、請求項11に記載の発明は、前記角度依存性を有する光学干渉層が、屈折率の異なる二種またはそれ以上の薄膜が交互に積層されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の偽造防止媒体である。
本発明によれば、偽造が困難な光学干渉層が設けられているため、偽造を防止する効果を有すると共に、中空構造の有機ポリマーからなる隠蔽層と光吸収層とを設けているため、再利用を不可能にすることができる。特に、使用が終わった偽造防止媒体に対し、例えばサーマルヘッド等で、熱圧をかけた場合に、光を反射していた隠蔽層は、主成分である中空構造の有機ポリマーが壊れ、光が透過し、下の層の光吸収層に達し、光が吸収されることにより、光学干渉層のカラーシフト効果を付与することを可能にするという効果が得られる。
また、本発明の偽造防止媒体は、任意の層がパターン状に設けられているため、情報を入れることが可能であり、識別情報を設けておくことや、識別情報の消し込み、情報の追加が可能となる。
本発明の偽造防止媒体は、光学干渉層の色変化の効果を高めることにより、カラーシフト効果を見やすくし、さらに、熱圧をかけて、隠蔽層の隠蔽粒子を破壊した部分と破壊していない部分との差の判別を可能にしやすいという効果が得られる。
また偽造困難な層を設けることにより、汎用のコピー機やプリンタ、通常の印刷では再現できず、目視での光沢の違いや角度依存性のカラーシフトの変化を見ることにより、真正か否かの判定をすることが可能である。
本発明の偽造防止媒体の一実施形態を示した平面図である。 図1に示した偽造防止媒体のX−X´線を見た断面図である。 本発明の偽造防止偽造防止媒体に熱圧を加え、再使用を不可能とした一実施形態を示した平面図である。 図3に示した再使用を不可能とした偽造防止媒体のX−X´線を見た断面図である。 本発明における偽造防止媒体の第二の実施形態を表した平面図である。 図5に示した偽造防止媒体のY−Y´線を見た断面図である。 本発明の第二の実施形態である偽造防止偽造防止媒体に熱圧を加え、再使用を不可能とした偽造防止偽造防止媒体の平面図である。 図7に示した再使用を不可能とした偽造防止媒体のY−Y´線を見た断面図である。
以下本発明を実施するための形態を、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の偽造防止媒体1の一実施形態を示す平面図であり、図2は図1における一実施形態のX−X’の断面図である。偽造防止媒体1は、基材2上に、再利用を防止するため、少なくとも光吸収層3、隠蔽層4、および、偽造を防止するために光学干渉層5が設けられている。図3は、図1の隠蔽層4が、熱圧等により有機ポリマー粒子が破壊された隠蔽層6になった状態の平面図である。
図4は、隠蔽層4の中空構造の有機ポリマー粒子を熱圧等で破壊した状態の断面図であり、中空構造の有機ポリマー粒子が破壊されることにより隠蔽性がなくなり、光吸収層3が見える状態を示している。
図5は本発明における偽造防止媒体1の第二の実施形態を示す平面図であり、隠蔽層4と角度依存性を有する光学干渉層5の間に、パターン状に形成された第二の光吸収層7が設けられた第二の実施形態を示した平面図であり、図6は、図5に示した偽造防止媒体のY−Y´線を見た断面図である。光吸収層3のパターンは隠蔽層4により見えないが、第二の光吸収層7のパターンが目視できる。
図7は図5における隠蔽層4の中空構造の有機ポリマー粒子を熱圧等で破壊した場合の平面の図であり、熱圧等により、隠蔽層4が有機ポリマー粒子が破壊された隠蔽層6となり光吸収層3が透過して見えるようになる。図8は熱圧をかけて有機ポリマー粒子を破壊した図7のY−Y´線を見た断面図である。
以下に本発明の偽造防止媒体1を構成する各層の材料や形成方法について、具体的に説明する。
本発明の偽造防止媒体1に使用される基材2は、それぞれの用途に応じて選定される。例えば、この偽造防止媒体1がチケットの一部に設ける場合、例えば上質紙が選定されるが、カードの一部に本発明の偽造防止媒体1を設ける場合にはPET等のプラスチックのシートが選定される。また、パッケージの一部に本発明の偽造防止媒体1を設ける場合には、例えばコートボール紙を使用し、ラベルに使用する場合には、タック加工をされた上質紙やコート紙を使用する。
さらには、はり替え防止の観点から、共に脆性を有するフィルム、例えば、セルロースアセテート、低密度ポリエチレン、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイドなどの高結晶性プラスチック素材を溶液成膜からフィルム化したものを使用する。このように、基材2は特に限定されるものではなく、用途により、媒体に直接設ける場合には、基材2を設けなくても良い。
本発明では、偽造防止機能として光学干渉層5が設けられる。通常、物体は色素を持っており、通常の光、つまり、様々な色の中から、ある色を吸収し、また別の色を反射する。通常印刷に使用されるY(イエロー)は、色素がY以外の色を吸収し、Yの色を反射するため、Yに見える。通常印刷に使用する色は、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)、Bk(ブラック)や他の色も同様である。光学干渉層5は、このような色素で表現できない色、つまり、光の干渉によって色を見せるための層である。光の干渉による色はコピー機やプリンタで再現できず、また、印刷による偽造も困難である。光学干渉層5は、その構造により目視角度を変えた場合に色相が異なって観察されるものが好ましいが、金属光沢が観察されるものでもよく、構造色で色を出しているものならば何でも良く、パターン状またはベタ状に設けることができる。
光学干渉層5としてはこの他に、コレステリック液晶から構成されたものを、挙げることができる。コレステリック液晶層は、隣接する薄膜の間で結晶の配列方向が少しずつずれているコレステリック液晶を含有している。このコレステリック液晶は、分子軸に垂直な方向に螺旋周期構造を持ち、その螺旋構造のピッチが光と相互関係を構築している。
すなわち、コレステリック液晶は螺旋軸に沿って光の屈折率が周期的に変動するため、螺旋ピッチに対応した波長の光を選択的に反射するのである。したがって、何らかの方法で螺旋ピッチを制御し、希望する可視光部の光の色を反射する螺旋ピッチが得られたとこ
ろで、その螺旋構造を固定化できれば、思い通りのコレステリック螺旋反射色を作り出すことができる。固定化のための代表的な例として、高分子液晶形成化合物と多官能性エネルギー線重合化合物の組成物を組み合わせたものに対して紫外線照射し、重合させることによりコレステリック液晶の螺旋構造を固定化する方法を挙げることができる。
また、例えば、コレステリック高分子液晶顔料をインキ化して印刷しても良い。コレステリック高分子液晶顔料は以下のように製造できる。まず、3次元架橋性液晶ポリオルガノシクロキサンと光重合開始剤の混合溶液を、金属支持体、プラスチック支持体又はガラス支持体上に加温しながらドクターを用いてせん断力を加えながら塗布し、液晶分子を配向させる。次に、液晶層に紫外線を照射し、三次元架橋した液晶層を支持体から剥離し、万能ミル等で粉砕し、フレーク状の顔料を得る。このとき、顔料の大きさは5μm〜5mmの粒度を有し、1〜100μm、好ましくは5〜50μmの厚さのものとする。このコレステリック高分子液晶顔料をインキメジウムと混合し、スクリーン印刷法等の公知の印刷法にて印刷することができる。
また、他の例として多層の金属酸化物を被覆した小板状の干渉顔料から構成される材料を挙げることができる。天然雲母等の表面を酸化チタン及び、又は酸化鉄を主成分とする金属酸化物で被覆してなる、平均の厚みが0.1〜5μmであり、平均粒子径が2〜300μmのものが有効である。前記金属酸化物の被覆率によって、金色、銀色、あるいはメタリック色の金属光沢色を呈する。ここで、前記平均粒子径は、レーザー回折法平均粒子径を示し、体積基準のメジアン径が累積分布の50%に相当する粒子径である。こうしてできた光学干渉顔料をインキメジウムと混合し、スクリーン印刷法等の公知の印刷法にて印刷して光学干渉層5を形成することもできる。
さらにまた、屈折率の異なる2種又はそれ以上の薄膜が交互に積層されたフィルムも例として挙げられる。積層材料として用いられるポリマーとしては、高屈折率ポリマーとして、PEN(1.63=屈折率n:以下同じ)、PC(1.59)、PSt(1.59)、PET(1.58)などがあり、また低屈折率ポリマーとしてNy(1.53)、PMMA(1.49)、ポリメチルペンテン(1.46)、フッ素系PMMA(1.4)などがある。これらのポリマーの中から高屈折率材料より少なくとも一種、低屈折率材料より少なくとも一種選択し、所定の厚さで交互に積層させることにより特定の波長の可視光に対する吸収あるいは反射を示すものである。このフィルムを基材として印刷するか、又は、フィルムをラミネートすることによって、光学干渉層5を形成することもできる。
隠蔽層4は、この光学干渉層5の機能の再利用を防止するために設ける。隠蔽層4は中空構造の有機ポリマーを主成分として形成される。さらに具体的には、隠蔽性を有する中空構造の有機ポリマー粒子と成膜性を有する水性ポリマーとからなるインキにて印刷・塗工される。
この中空構造の有機ポリマー粒子は通常の状態では光を散乱するため、隠蔽層4は可視光から近赤外光を反射するが、中空構造の有機ポリマー粒子が破壊されることにより、可視光および近赤外光が透過し、下の層が見えるようになる。中空構造の有機ポリマー粒子は針等の圧力で破壊することもできるが、熱圧をかけることによっても破壊されるため、サーマルヘッド等で破壊することができ、サーマルヘッドによる印字及び消し込みを行うことができ、印字を可能にすると共に、再利用を防止する機能を有する。隠蔽層4は全面に設けても良いが、部分的に設けても良い。また、隠蔽層4を全面に設けておき、サーマルヘッドで熱圧をかけ、事前に部分的に無効化して部分的に機能を有するようにしても良い。
隠蔽性を有する中空構造の有機ポリマーとは、水中に分散している中空孔ポリマー粒子
のことであり、その組成および製造方法は、特開昭56−32513号、特開昭61−185505号、特開昭60−69103号、特開昭63−213509号、特開昭63−135409号、特開昭60−223873号、特開昭63−110208号、特開昭61−87734号、特開昭62−127336号などに記載されている。
有機ポリマーとしては、メタアクリル酸、又はメタクリル酸共重合体をコア成分とし、スチレンをシエル(外殻)成分とするものを用いることが好ましい。粒子径は、5〜0.1ミクロンであり、好ましくは1〜0.3ミクロンである。
成膜性を有する水性ポリマーとは、乳化重合、溶液重合、塊状重合等で合成されたポリマーであり、成膜性を有する。この水性ポリマーは水中で分散ないし溶解した状態のインキで印刷塗工する。当該ポリマーのモノマー組成の例としてはアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、クロロブレン、塩化ビニリデン、酢酸ビニル等であり、天然ゴムラテックス、ジイソシアネート類とポリオール又はポリアミンとの反応によるポリマー(例えばウレタンラテックス)を用いることができる。
ポリマーのガラス転移点(Tg)は100℃以下、好ましくは25℃〜−80℃である。特に好ましいモノマー組成は、アクリル酸エチルエステル(EA)、アクリル酸ブチルエステル(BA)、アクリル酸2エチルヘキシルエステル(2EHA)、ブタジエンであり、これらのホモポリマー又はこれらを主成分とするコポリマーである。また、特に好ましいポリマーは、ヘキサメチレンジイソシアネートとポリカーボネートポリオールとの反応によるポリマーである。これらは水性分散ポリマーである。
水溶解型ポリマーは、前述のモノマー組成にカルボキシル基を共重合させたポリマーであり、カルボキシル基を有するモノマー組成の例としては、アクリル酸(Aa)、メタクリル酸、モノメチルイタコン酸(MMI)、2−カルボキシエチルアクリル酸エステル等であり、カルボン酸のアルカリ金属塩又はアミン塩、又はアンモニウム塩で水溶化される。必要により可塑剤、湿潤剤、消泡剤、増粘剤、乳化剤、ワックス(カルナバワックス、パラフィンワックス等)も加えられる。
中空構造の有機ポリマー粒子と成膜性を有する水性ポリマーの重量比は1〜3であり、両者を混合して得られた塗布液が着色原紙に塗布される。塗布方法はエアーナイフコーター、ロールコーター、スプレー、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ミヤバコーター等であり、既知の印刷塗工方法を用いることができ、均一な面ができれば良く、限定されるものではない。均一に、かつ温風(50〜200℃)乾燥により、5〜20μmの膜厚の塗膜が形成される量を塗布するのが好ましい。より好ましい乾燥後の膜厚は10μmである。得られる隠蔽層4の皮膜は下の層を完全に隠蔽し、通常は白色を呈する。
中空構造の有機ポリマー粒子は、コアが一部中空化しているため、高い隠蔽性を有し、且つ粒子は完全に水中で分散された状態である。成膜性を有する水性ポリマーは、上記有機ポリマー粒子を上下の層に密着させるバインダーとして作用する。この成膜性を有する水性ポリマーは中空構造の有機ポリマー粒子が潰れるのを妨げない可塑性を備えている。
隠蔽層4により、再利用を防止するための隠蔽の有無を熱圧にて制御することが可能であるが、隠蔽効果の有無だけでは透過するか、反射するかだけであるため、光学干渉層5の透過してきた光を吸収するには、光吸収層3が隠蔽層4の下の層に設ける必要である。光吸収層3は、カーボンブラックを主成分とするインキで印刷されたものが最も好ましく、光学干渉層5および光吸収層3を覆うように設けられていることが最も好ましいが、少なくとも一部の領域が重なっていれば限定する必要はない。
光吸収層3は、印刷にて設けることができ、パターン状にしてもベタ状にしても良い。印刷法としては、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷等、既知の印刷方法であれば良く、これに限定しない。また、基材2が光吸収層3に求められる分光特性を持つものであれば、基材2自体が光吸収層3の機能になるため、光吸収層3に酸化チタン等の光反射材料を用いれば、ネガパターンの表示も可能である。
第二の光吸収層7は、光学干渉層5構造色をはじめからパターン化して見せておくために設ける層である。使用できるインキや設ける方法は光吸収層3と同様である。第二の光吸収層7も、可視光領域で吸収するものであれば何でも良く、カーボンブラックを主成分とするインキで形成することが望ましいが、これに限定されるものではなく、光吸収層3に使用できるインキと同様である。また、第二の光吸収層7をベタで設けておき、一部の領域に紫外線レーザーを照射して、パターン化しても良い。この時隠蔽層4は紫外線を透過するので破壊される事は無い。また、光吸収層3をベタで設けておき、隠蔽層4にレーザーを照射して、パターン化形成すると、隠蔽層4の一部の中空構造の有機ポリマー粒子が破壊されて透明化して光吸収層3のパターンを形成しても良い。
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。
まず、基材2として上質紙を用い、グラビア印刷方式にて、図1、図2のように偽造防止媒体1の一部の領域に「無効」の文字パターンを光吸収層3として、墨インキ(ファインスターR墨)を2μm印刷形成し、その上の同じ領域に下記組成を混合してなるインキにて隠蔽層4を、10μm印刷する。さらに、その上に光学干渉層5を下記組成にて混合してなるインキにて、図1のような形状に印刷し、偽造防止媒体1を得た。
<隠蔽層のインキ組成>
ローペイクOP-84J(ダウ・ケミカル社製)・・・25質量部
アクリルエマルジョンポリマー・・・・・・・・・・12.5質量部
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30質量部
<光学干渉層のインキ組成>
Iriodin211(メルク社製)・・・・・・・10質量部
ファインスターRメジウム(東洋インキ製造社製)・90質量部
上記で得た偽造防止媒体1を見ると、光沢があり、角度により色が変化すると共に、図1のような光吸収層3の「無効」のパターンを見ることできなかった。この偽造防止媒体1を再利用されないために、1kgf/cm2の圧力と160度の熱を全面にかけると、隠蔽層4が透明となり、光吸収層3のパターンである「無効」の文字が見えるようになった。
まず、基材2として上質紙を用い、グラビア印刷方式にて、図7のように×のパターン形状に光吸収層3を、墨インキ(ファインスターR墨)を2μmの厚みに印刷し、その上の同じ領域にインキにて隠蔽層4を、10μm印刷する。同じ領域の上の層に第2の光吸収層7を「有効」の文字パターンをグラビア印刷法により印刷し、さらに下記組成の光学干渉層5を印刷し、偽造防止媒体1を得た。
<光学干渉層のインキ組成>
Iriodin211(メルク社製)・・・・・・・10質量部
ファインスターRメジウム(東洋インキ製造社製)・90質量部
上記で得た偽造防止媒体1は、通常は図5のように有効の文字が見える。この偽造防止媒体1を再利用されないために、1kgf/cm2の圧力と160度の熱を全面にかけた。図8に示すように隠蔽層4が透明となり、光吸収層3のパターンである「×」の文字が見えるようになり、偽造防止媒体1は図7のように、「有効」の文字の重なる部分に、「×」形状の文字が浮き出て見え再利用ができなくなった。
1・・・偽造防止媒体
2・・・基材
3・・・光吸収層
4・・・隠蔽層
5・・・光学干渉層
6・・・有機ポリマー粒子が破壊された隠蔽層
7・・・第二の光吸収層

Claims (11)

  1. 目視判定可能な偽造防止媒体であって、少なくとも可視光線を吸収する光吸収層、熱圧にて隠蔽性が消滅する中空構造の有機ポリマーからなる隠蔽性粒子を主成分とする隠蔽層、角度依存性を有する光学干渉層を順次積層されてなり、該光吸収層、隠蔽層、光学干渉層は少なくとも重なる領域があることを特徴とする偽造防止媒体。
  2. 前記熱圧にて隠蔽性が消滅する中空構造の有機ポリマーからなる隠蔽性粒子を主成分とする隠蔽層と角度依存性を有する光学干渉層の間に、パターン状に形成された可視光線を吸収する第二の光吸収層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の偽造防止媒体。
  3. 前記熱圧にて隠蔽性が消滅する中空構造の有機ポリマーからなる隠蔽性粒子が可視光を反射し、前記隠蔽性粒子を主成分とする隠蔽層が可視光線を吸収する光吸収層よりも可視光領域の波長の反射率が高いことを特徴とする請求項1または2に記載の偽造防止媒体。
  4. 前記熱圧にて隠蔽性が消滅する中空構造の有機ポリマーからなる隠蔽性粒子を主成分とした隠蔽層が、5μm以上の厚みであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の偽造防止媒体。
  5. 前記熱圧にて隠蔽性が消滅する中空構造の有機ポリマーからなる隠蔽性粒子が100℃〜300℃の熱圧により破壊されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の偽造防止媒体。
  6. 前記可視光線を吸収する光吸収層、前記熱圧にて隠蔽性が消滅する中空構造の有機ポリマーからなる隠蔽性粒子を主成分とする隠蔽層、前記角度依存性を有する光学干渉層の少なくとも1層が、パターン状に形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の偽造防止媒体。
  7. 前記中空構造の有機ポリマーからなる隠蔽性粒子を主成分とする隠蔽層が、ベタ状に形成され、中空構造の有機ポリマーからなる隠蔽性粒子を熱圧にてパターン状に破壊されてなることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の偽造防止媒体。
  8. 前記角度依存性を有する光学干渉層が、金属酸化物を多層に被覆した角度依存性を有する小板状の光干渉顔料を含むインキ層であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の偽造防止媒体。
  9. 前記角度依存性を有する光学干渉層が、配向性を持ったコレステリック液晶から構成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の偽造防止媒体。
  10. 前記角度依存性を有する光学干渉層が、螺旋軸の回転方向が左方向または右方向のいずれかまたは両方のコレステリック高分子液晶顔料を含有していることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の偽造防止媒体。
  11. 前記角度依存性を有する光学干渉層が、屈折率の異なる二種またはそれ以上の薄膜が交互に積層されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の偽造防止媒体。
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