以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態に係る定着装置9(本発明の定着装置の一例)、及びこの定着装置9を備えた複合機1(本発明の画像形成装置の一例)について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態は変更可能である。
[複合機1]
図1は、複合機1の概略構成を模式的に示す正面図であり、複合機1が使用可能なように設置された状態が示されている。ここで、以下の説明においては、複合機1が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準としてZ方向(上下方向)を定義し、図1において複合機1の手前側を正面として図1の紙面を貫くY方向(前後方向)を定義し、複合機1を手前側(正面)から見てX方向(左右方向)を定義する。また、図2乃至図6においても、使用状態に設置された複合機1に装着された姿勢を基準に定着装置9のZ方向、Y方向、X方向が示されている。
複合機1は、プリンター、複写機、及びファクシミリの各機能を画像形成装置であり、入力された画像データを基にしてトナーなどの印刷材料を用いて印刷用紙は封筒などの被転写材に印刷するものである。図1に示されるように、複合機1は、電子写真方式の画像形成部20を有する。画像形成部20の下部には、Z方向に多段に配置された3つの給紙トレイ21が設けられている。また、画像形成部20の内部には、転写装置23と、この転写装置23よりも用紙搬送方向の下流側に配置されて定着装置9とが設けられている。
転写装置23は、像担持体としての感光体ドラム2と、帯電部10と、露光ユニットとしてのレーザースキャナーユニット4と、現像器16と、トナーカートリッジ5と、ドラムクリーニング部11と、除電器12と、転写ローラー8とを有する。感光体ドラム2では、帯電部10による帯電、レーザースキャナーユニット4による露光、現像器16による現像、転写ローラー8による転写、除電器12による除電、及びドラムクリーニング部11によるクリーニングが行われる。なお、転写装置23は、従来から周知の構成のものであり、ここでの詳細な説明は省略する。
複合機1に印刷対象となる画像データとともに印刷指示が入力されると、いずれかの給紙トレイ21から予め指定されたサイズの被転写材が給送される。給送された被転写材は、転写装置23へ搬送されて、この転写装置23によって、画像データに応じたトナー画像が被転写材に形成される。その後、この被転写材は定着装置9へ搬送される。
定着装置9は、被転写材に転写されたトナー画像を構成するトナーを溶融及び加圧して、被転写材に定着させる。定着装置9は、不図示のヒーターにより加熱される加熱回転体(加熱ローラー)9aと、加熱回転体9aに圧接される加圧回転体(加圧ローラー)9bと、を有する。加熱回転体9aと加圧回転体9bとは、トナー画像が転写された被転写材を挟み込んで加圧すると共に、搬送する。なお、加熱回転体は本発明の第1回転体の一例であり、加圧回転体9bは本発明の第2回転体の一例である。
転写装置23から搬送されてきた被転写材が定着装置9に到達すると、加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間に挟み込まれた状態で被転写材が搬送される。この挟持搬送時に、被転写材に転写されたトナーが溶融及び加圧され、被転写材に定着される。その後、その被転写材は外部の排紙トレイ25に排出される。なお、本発明は、複合機10に限られず、プリンターや複写機、ファクシミリなどの専用機であっても、適用可能である。
[定着装置9]
次に、本実施形態の複合機1における特徴部分である定着装置9に係る構成について詳細に説明する。なお、本実施形態の複合機1の説明において、感光体ドラム2、定着装置9等における各種回転体(ローラー等)の回転軸方向が「Y方向」(図1の紙面を貫く方向)である。Y方向は、被転写材の搬送方向に直交する方向でもある。Y方向において、複合機の正面側(前側)を「+(プラス)側」ともいい、後側を「−(マイナス)側」ともいう。水平方向で且つY方向に直交する方向が「X方向」である。X方向において、複合機1の正面から見て右側を「+側」ともいい、左側を「−(マイナス)側」ともいう。また、上下方向であるZ方向(X方向及びY方向と直交する方向でもある)において上側を「+側」ともいい、下側を「−(マイナス)側」ともいう。
定着装置9は、加熱された加熱ローラー9aの周面に、未定着のトナー画像(トナー)が転写(形成)された被転写材(印刷用紙や封筒など)を、加圧ローラー9bによって押圧しつつ、搬送方向に搬送する。これにより、定着装置9は、トナー画像を加熱及び加圧をしながら溶融させて、トナー画像を被転写材の表面に定着(固定)させる。
また、定着装置9は、通常の被転写材(筒状物以外の被転写材であって、例えば、印刷用紙)に定着動作を行う通常定着位置(図2及び図3参照)と、封筒などの筒状物に対して定着動作を行う筒状物定着位置(図4及び図5参照)との2つの定着位置を切り換え可能となっている。この定着位置の切り換えは、例えば、不図示の制御部が定着ニップ圧変更部511(後述)の駆動を制御することにより行われる。
図2に示されるように、定着装置9は、定着フレーム(不図示)と、加熱ローラー9aと、加圧ローラー9bと、定着ニップ圧変更部511と、を備える。定着ニップ圧変更部511は、加熱ローラー9aに対して加圧ローラー9bを相対的に移動させて、図1に示す定着ニップN9のニップ圧を変更させる。
定着装置9を構成する各構成要素について詳細に説明する。定着フレーム(不図示)について説明する。前記定着フレームは、定着装置9の筐体を構成するものであり、図2に示されるように、Y方向に一対の側板501と、一対の側板501を連結する連結部材(不図示)と、を備える。一対の側板501は、第2搬送路L2(図1参照)において、Y方向の両側に離間して配置されている。
前記定着フレームには、加熱ローラー9a、加圧ローラー9b、定着ニップ圧変更部511の一部の構成部材等が回転可能に連結されている。側板501は、加熱ローラー9aを支持するための軸受(図示せず)と、後述する支持部材524(本発明の支持部材の一例)を介して加圧ローラー9bを支持するための係合孔503(図3(A)及び図6(A)参照)とを有する。定着装置9は、これらの構成要素から、一つのアッセンブリを構成している。そして、定着装置9は、このようにアッセンブリされた状態で、複合機1(図1参照)の正面側から後方へ装着される。
加熱ローラー9aについて説明する。図3に示すように、加熱ローラー9aは、Y方向に延びる第1回転軸J1を中心に回転可能に構成される。加熱ローラー9aは、加熱ローラー本体911と、第1回転軸J1と同軸の第1軸部材912と、を有する。加熱ローラー本体911は、円筒状の金属部材と、金属部材の外周面に形成される離型層と、を有する。例えば、加熱ローラー本体911は、直径が40mm程度のアルミニウムや鉄等の金属管の外周面に、ニッケル等のメッキの磁性金属層を設け、その磁性金属層の外周面に、厚み20μm程度のPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフッ素樹脂からなる離型層を設けることで形成される。
第1軸部材912は、加熱ローラー本体911の両端部からY方向外側それぞれに突出して形成されている。第1軸部材912は、前記定着フレーム(不図示)の側板501に形成された図示しない軸受を介して回転可能に支持されている。これにより、加熱ローラー9aは、Y方向に延びる第1回転軸J1を中心に回転可能となっている。なお、加熱ローラー9aは、前記定着フレームに対して相対的に移動しない。
加熱ローラー9aの内部には、不図示のヒーターが配置されている。ヒーターは、その軸方向が加熱ローラー9aの第1回転軸J1(Y方向)と平行な状態で配置されている。ヒーターは、通電によって発熱し、加熱ローラー9aを内部から加熱する。ヒーターは、例えば、ハロゲンヒーターやセラミックヒーターから構成されている。ヒーターは、加熱ローラー9aを介して、定着ニップN9を加熱する。
加圧ローラー9bについて説明する。加圧ローラー9bは、第1回転軸J1に平行でY方向に延びる第2回転軸J2を中心に回転可能に構成される。加圧ローラー9bは、加圧ローラー本体921と、第2回転軸J2と同軸の第2軸部材922と、を有する。加圧ローラー本体921は、金属製の円柱状部材の外周に、シリコンゴム等による所定厚さの弾性層を有して構成され、所定の外径の円柱状に形成されている。弾性層の表面には、フッ素系の剥離層が形成されている。
第2軸部材922は、加圧ローラー本体921の両端部からY方向外側それぞれに突出して形成されている。第2回転軸J2には、モーター等の駆動源(図示せず)が連結されている。加圧ローラー9bは、第2回転軸J2を介して、この駆動源によって回転駆動されるように構成される。また、加圧ローラー9bは、第2軸部材922を介して、定着ニップ圧変更部511における支持部材524(後述)に回転可能に支持されている。加圧ローラー9bは、加熱ローラー9aに対して、定着ニップN9(図1参照)を挟んで反対側に配置されている。これにより、加圧ローラー9bは、第2回転軸J2を中心に回転可能に且つ加熱ローラー9aに対向して配置される。
また、加圧ローラー9bは、加熱ローラー9aとによって被転写材が搬送される定着ニップN9(図1参照)を形成する。加圧ローラー9bは、定着ニップN9が形成される状態において、加熱ローラー9aを押圧するように配置される。そのため、加圧ローラー9bは、加熱ローラー9aに対向する部分において、加熱ローラー9aの表面形状に沿うように弾性変形する。これにより、加圧ローラー9bは、定着ニップN9が形成される状態において定着ニップN9のニップ圧により生じる反発力により加熱ローラー9aから離れる方向に付勢される。
詳細については後述するが、定着ニップ圧変更部511における支持部材524は、前記定着フレーム(不図示)の側板501に対して揺動する。この支持部材524の揺動によって、加圧ローラー9bは、加熱ローラー9aに対して接近したり(図2及び図3参照)、離間したり(図5及び図6参照)する。
詳述すると、加圧ローラー9bは、加熱ローラー9aに対して2段階の異なる位置を採り得るようになっている。加圧ローラー9bの2段階の位置は、加圧ローラー9bの外周面が加熱ローラー9aの外周面に対して最も大きく干渉する「通常定着位置」(図2及び図3に示される位置)と、加熱ローラー9aに対する加圧ローラー9bの干渉量が通常定着位置における干渉量よりも少ない「筒状物定着位置」(図5及び図6に示される位置)と、である。これら加圧ローラー9bの位置の変更は、定着ニップ圧変更部511によって行われる。
加熱ローラー9aは、次のように回転する。具体的には、加圧ローラー9bが回転することにより、加圧ローラー9bの外周面に当接する加熱ローラー9aが従動して回転する。
定着ニップ圧変更部511について説明する。図2及び図3に示されるように、定着ニップ圧変更部511は、加圧ローラー9bを支持する支持部材524と、支持部材524に係合可能な切り替え部材521(本発明の切り替え部材の一例)と、切り替え部材521を押圧可能な押圧部材523と、押圧部材523を介して切り替え部材521を押圧操作するニップ圧変更カム515(本発明のカム部材の一例)と、切り替え部材521を支持部材524に向けて(Z方向のプラス側へ)付勢する第1弾性部材522(本発明の第1弾性部材の一例)と、支持部材524を介して加圧ローラー9bを加熱ローラー9aに向けて付勢可能な第2弾性部材525(本発明の第2弾性部材の一例)と、第2弾性部材525のZ方向のマイナス側への移動を規制する規制部材528と、第1弾性部材522のZ方向のマイナス側の端部を支持するとともにその支持位置をZ方向のマイナス側へ移動させる移動プレート530(本発明の移動部材の一例)と、ニップ圧変更カム515に連結されて、ニップ圧変更カム515を駆動させる駆動機構(不図示)と、を備える。
これらの定着ニップ圧変更部511における各構成要素は、前記駆動機構を除いてY方向に一対設けられている。Y方向に一対の構成要素については、特に必要がない限り一方のみ説明する。前記駆動機構は、Y方向のマイナス側のみに設けられている。
支持部材524について説明する。支持部材524は、アーム状の部材であり、鋼板等の所定厚さの板材によって形成されている。支持部材524は、ローラー支持部524Aと、係合支点部524Bと、第1延在部524Cと、操作アーム524Dと、第2延在部524Eと、第2バネ係止部524Fと、凸状部524Gとを備える。
ローラー支持部524Aは、軸受を有し、この軸受に加圧ローラー9bの第2軸部材922を回転可能に支持している。係合支点部524Bは、ローラー支持部524Aの外周縁からY方向外側に略直角に屈曲するように延出し、フック状に形成されている。係合支点部524Bは、側板501に設けられた係合孔503に係合している。これにより、支持部材524は、係合孔503を支点として、X−Z平面内で側板501に対して揺動可能となっている。支持部材524が係合孔503を支点として揺動すると、加圧ローラー9bは、加熱ローラー9aに対して接近又は離間する。つまり、支持部材524は、その揺動により加圧ローラー9bを移動可能に支持している。
また、支持部材524は、定着ニップN9(図1参照)が形成される状態において加圧ローラー9bが加熱ローラー9aから離れる方向に付勢されるため、加圧ローラー9bを介して係合孔503を支点として加熱ローラー9aから離れる方向に付勢される。
第1延在部524Cは、ローラー支持部524Aから斜め上方に向かって所定長さ延在する部分である。操作アーム524Dは、第1延在部524Cの上端部からX方向のプラス側に延びるように形成される。操作アーム524Dは、切り替え部材521の第1縦アーム521Bにおける長孔521D(後述)に挿通される。
操作アーム524Dは、切り替え部材521の第1縦アーム521Bにおける長孔521Dの下端に係合可能である。具体的には、操作アーム524Dは、切り替え部材521がZ方向に移動することにより、長孔521Dの下端に係合した状態(図2及び図3参照)と、長孔521Dの下端に係合しない状態(図5B及び図6参照)とに変更される。
操作アーム524Dが切り替え部材521の長孔521Dの下端に係合した状態(図2及び図3参照)においては、後述する第1弾性部材522の弾性付勢力が切り替え部材521及び支持部材524を介して加圧ローラー9bに伝達される。
また、操作アーム524Dが切り替え部材521の長孔521Dに係合しない状態(図5及び図6参照)においては、支持部材524における加熱ローラー9aから離れる方向の弾性付勢力により揺動して、後述する第2弾性部材525の弾性付勢力が支持部材524を介して加圧ローラー9bに伝達される。
第2延在部524Eは、第1延在部524Cの上端部側からZ方向のマイナス側に延びるように形成される。凸状部524Gは、第2延在部524EのZ方向のマイナス側の端部からZ方向のマイナス側に延びるように形成される。凸状部524GのX方向における幅は、第2延在部524Eよりも狭く形成される。凸状部524Gは、後述する第2弾性部材525に挿入される。
第2バネ係止部524Fは、第2延在部524EのZ方向における端部において、凸状部524Gを跨いでX方向に沿って形成される。第2バネ係止部524Fは、後述する第2弾性部材525のZ方向のプラス側の端部を係止可能に構成される。具体的には、第2バネ係止部524Fは、支持部材524が揺動することにより、第2弾性部材525の上端が係止された状態(図2及び図3参照)と、第2弾性部材525の上端が係止されない状態(図5及び図6参照)とに変更される。
切り替え部材521について説明する。切り替え部材521は、第1弾性部材522又は第2弾性部材525のいずれか一方の弾性付勢力が加圧ローラー9bに伝達される状態に切り替え可能な部材である。切り替え部材521は、支持部材524に係合する係合位置(図2及び図3参照)と、支持部材524に係合しない非係合位置(図5及び図6参照)に移動可能な部材である。切り替え部材521は、鋼板等の所定厚さの板材から形成されている。切り替え部材521は、X方向に延びる横アーム521Aと、横アーム521AからZ方向のマイナス側に延びる第1縦アーム521Bと、第1縦アーム521BからZ方向のマイナス側に延びる第2縦アーム521Cと、横アーム521AからZ方向のプラス側に突出する突出部521Fとを有する。
切り替え部材521は、横アーム521Aと第1縦アーム521BとがL字状に屈曲した形状を有する。即ち、横アーム521Aと第1縦アーム521Bとが略直交する形状となっている。また、突出部521Fと第1縦アーム521Bと第2縦アーム521Cとは、Z方向に沿って直線状に形成される。
第1縦アーム521Bは、Y方向において所定幅を有する矩形の板状に形成される。第1縦アーム521Bは、長孔521Dと、第1バネ係止部521E(図3(B)参照)とを有する。長孔521Dは、第1縦アーム521Bの略中央において、Z方向に延びるように形成され、X方向に貫通している。
第1バネ係止部521Eは、第1縦アーム521BにおけるZ方向のマイナス側を向く端面の両端に形成される。第1バネ係止部521Eは、第2縦アーム521Cを跨いでY方向に沿うように形成される。第1バネ係止部521Eは、後述する第1弾性部材522のZ方向のプラス側の端部を係止する。
第2縦アーム521Cは、第1縦アーム521BよりもY方向における幅が狭い形状で、第1縦アーム521BのZ方向のマイナス側の端部側からZ方向のマイナス側に延びるように形成される。
切り替え部材521は、長孔521DのZ方向の端部が支持部材524の操作アーム524Dが係合する位置である係合位置(図2及び図3に示される位置)と、支持部材524に係合しない非係合位置(図5及び図6に示される位置)とに移動可能に構成される。切り替え部材521が係合位置に位置する場合には、第1弾性部材522の弾性付勢力が切り替え部材521及び支持部材524を介して加圧ローラー9bに伝達される(図2及び図3参照)。この場合、切り替え部材521は、第1弾性部材522の弾性力により、支持部材524に向けて(Z方向のプラス側に向けて)付勢される。これにより、第1弾性部材522の弾性付勢力が切り替え部材521及び支持部材524を介して加圧ローラー9bに伝達される。
一方、切り替え部材521が非係合位置に位置する場合には、第1弾性部材522の弾性付勢力が加圧ローラー9bに伝達されない(図5及び図6参照)。この場合、支持部材524は、加熱ローラー9aに対する加圧ローラー9bの反発力により生じる加熱ローラー9aから離れる方向の弾性付勢力により揺動する。これにより、第2弾性部材525が支持部材524の第2バネ係止部524Fに係止される。その結果、第2弾性部材525の弾性付勢力が支持部材524を介して加圧ローラー9bに伝達される。
押圧部材523について説明する。押圧部材523は、ニップ圧変更カム515の回転により押圧可能に構成される。押圧部材523は、ニップ圧変更カム515に押圧されることにより切り替え部材521をZ方向のマイナス側に押圧する部材である。押圧部材523は、鋼板等の所定厚さの板材から形成されている。
押圧部材523は、側板501に回動可能に支持される押圧支点部523Aと、側板501に沿うように配置される押圧支持板523Bと、押圧支持板523BからY方向のプラス側(内側)に延びる押圧横アーム523Cとを有する。
押圧部材523は、押圧支持板523Bと押圧横アーム523CとがL字状に屈曲した形状を有する。即ち、押圧支持板523Bと押圧横アーム523Cとが直交する形状となっている。
押圧支点部523Aは、側板501に揺動可能に係合している。これにより、押圧部材523は、押圧支点部523Aを支点として、X−Z平面内で側板501に対して揺動可能となっている。
押圧横アーム523Cは、切り替え部材521とニップ圧変更カム515(後述)との間に配置される。押圧横アーム523CにおけるX方向のプラス側の端部側の下面は、切り替え部材521の横アーム521Aの上面に対向する。押圧部材523が押圧支点部523Aを支点として揺動すると、押圧横アーム523Cの下面が切り替え部材521の横アーム521Aの上面を押圧して、切り替え部材521がZ方向のマイナス側に移動する。
押圧横アーム523Cには、X方向に長く延び且つZ方向に貫通するスライド貫通孔523D(図2(A)参照)が形成される。スライド貫通孔523Dには、切り替え部材521の突出部521Fが挿通される。
押圧部材523は、押圧横アーム523Cの上面がニップ圧変更カム515に押圧されることにより、押圧支点部523Aを中心に揺動する。そして、押圧部材523の押圧横アーム523Cは、スライド貫通孔523Dに挿通された突出部521Fがスライド貫通孔523Dをスライド可能な状態で、切り替え部材521の横アーム521AをZ方向のマイナス側に向けて押圧したり又は押圧しないように移動する。
移動プレート530について説明する。移動プレート530は、Z方向へスライド移動可能なように、側板501に取り付けられる。移動プレート530は、切り替え部材521による付勢力の切り替え時に第1弾性部材522のZ方向のプラス側の端部が押圧されることによりZ方向のマイナス側の端部の支持位置をZ方向のマイナス側(第1弾性部材522の伸張方向)へ移動させるものである。詳細には、移動プレート530がZ方向のマイナス側へスライド移動することにより、規制板530BがZ方向のマイナス側へ移動する。
移動プレート530は、鋼板等の所定厚さの板材から形成されている。移動プレート530は、側板501に沿うように配置されるベース板530Aと、ニップ圧変更カム515の外周面が当接されるカム受け板530Dと、第1弾性部材522のZ方向のマイナス側の端部と係合して支持する規制板530Bと、側板501のX方向のマイナス側のエッジに沿って移動プレート530をZ方向へ移動するようガイドするレールガイド530Eと、を有する。
規制板530Bの上面は、第1弾性部材522におけるZ方向のマイナス側の端部が当接される部分であり、この上面によってその端部が支持される。規制板530Bは、移動プレート530のZ方向のマイナス側の端部がL字状に屈曲されてなるものである。規制板530Bには、Z方向に貫通する貫通孔530Cが形成されている。図2乃至図4に示されるように、貫通孔530Cには、切り替え部材521の第2縦アーム521CのZ方向のマイナス側の端部側が挿通される。第2縦アーム521Cは、貫通孔530Cに挿通された状態でZ方向に移動可能である。そのため、切り替え部材521は、第2縦アーム521Cが貫通孔530Cに挿通された状態でZ方向に移動可能である。
図2(B)に示されるように、ベース板530Aは側板501のY方向のプラス側の面に配置される。ベース板530Aには、Z方向に延びる長孔530Fが形成されている。また、側板501のY方向のプラス側の面には、長孔530Fに挿通可能な突起530Gが設けられている。レールガイド530Eと側板501のX方向のマイナス側のエッジとが位置合わせされ、更に長孔530Fに突起530Gが挿通されることにより、移動プレート530が側板501に取り付けられて、レールガイド530E及び長孔530Fに案内されてZ方向へ移動可能となる。
カム受け板530Dは、移動プレート530のZ方向のプラス側の端部がL字状に屈曲されてなるものである。ニップ圧変更カム515が回転されることにより、その外周面がカム受け板530DをZ方向のプラス側へ押圧する。ニップ圧変更カム515によって、ニップ圧変更カム515の回転にともなう外周面(カム面)の変位が移動プレート530に作用して、移動プレート530がZ方向へスライド移動する。
ニップ圧変更カム515について説明する。図2及び図3に示すように、ニップ圧変更カム515は、押圧部材523の押圧横アーム523Cに対してZ方向のプラス側に配置される。詳細には、押圧部材523の押圧横アーム523Cと移動プレート530のカム受け板530Dとの間に配置されている。ニップ圧変更カム515は、厚みのある円盤部材を中心からずらされた位置で回転可能に支持された所謂偏心カムの構造を有しており、回転中心から外周面までの肉厚の小さい第1カム部515Aと、肉厚の大きい第2カム部515Bとからなる。
図示されていないが、ニップ圧変更カム515を支持するカム軸部材は、Y方向に延びており、一対のニップ圧変更カム515を連結する。前記カム軸部材は、不図示の駆動機構によって回転駆動される。このカム軸部材の回転によって、ニップ圧変更カム515は、図2及び図3に示すように、第1カム部515AがZ方向のマイナス側に位置する第1カム状態で且つニップ圧変更カム515が押圧部材523を介して切り替え部材521を押圧しない状態と、図5及び図6に示すように、第2カム部515BがZ方向のマイナス側に位置する第2カム状態で且つ第2カム部515Bが押圧部材523の押圧横アーム523Cを介して切り替え部材521を押圧する状態との間で、回転するようになっている。
ニップ圧変更カム515が第1カム状態にある場合には、ニップ圧変更カム515が切り替え部材521を押圧しない状態であり、切り替え部材521は、係合位置に位置する。ニップ圧変更カム515が第2カム状態にある場合には、切り替え部材521が第1弾性部材522の弾性付勢力に抗して第1弾性部材522を押圧した状態であり、切り替え部材521は、非係合位置に位置する。
カム軸部材の回転によって、ニップ圧変更カム515が図2及び図3に示す第1カム状態になると、カム受け板530DがZ方向のプラス側の押圧力をうけて、第1弾性部材522の弾性付勢力に抗して移動プレート530がZ方向のプラス側へスライド移動する。これにより、規制板530BもZ方向のプラス側へ移動し、それによって第1弾性部材522がZ方向のプラス側へ持ち上げられる。このとき、第1弾性部材522の弾性力によって、第1弾性部材522が切り替え部材521をZ方向のプラス側へ移動させて、切り替え部材521を係合位置に位置させる。また、カム軸部材の回転によって、ニップ圧変更カム515が図5及び図6に示す第2カム状態になると、カム受け板530Dがニップ圧変更カム515から受けていた押圧力がなくなり、反対に、ニップ圧変更カム515は押圧部材523をZ方向のマイナス側へ押圧する。これにより、押圧部材523から押圧力を受けた切り替え部材521がZ方向のマイナス側へ移動して、切り替え部材521が非係合位置に位置する。このとき、切り替え部材521が係合位置から非係合位置に移動したことに連動して、移動プレート530が移動する。詳細には、カム受け板530Dとニップ圧変更カム515との間にギャップが生じるが、第1弾性部材522の弾性力によって、前記ギャップを埋めるようにして移動プレート530がZ方向のマイナス側へ移動する。これにより、第1弾性部材522のZ方向のマイナス側の端部の支持位置がZ方向のマイナス側へ移動される。このように、第1弾性部材522は圧縮されないままで、切り替え部材521が非係合位置に位置する。
第1弾性部材522について説明する。図2及び図3に示すように、第1弾性部材522は、所定長さを有するコイルスプリングからなり、これが圧縮された状態で、切り替え部材521の第2縦アーム521Cを内側に配置した状態で配置されている。つまり、第1弾性部材522の内側に切り替え部材521の第2縦アーム521Cが挿入されている。また、第1弾性部材522のZ方向のプラス側の端部は、第1バネ係止部521Eに係止される。また、第1弾性部材522のZ方向のマイナス側の端部は、移動プレート530の規制板530Bに係止される。第1弾性部材522は、ニップ圧変更カム515の回転に伴って切り替え部材521がZ方向に移動することにより、また、移動プレート530がZ方向へスライドすることにより、一方端が第1バネ係止部521Eに係止され、他方端が移動プレート530の規制板530Bに係止された状態で、伸縮される。
第1弾性部材522は、その弾性復帰力により、切り替え部材521の長孔521Dに支持部材524の操作アーム524Dを係合させた状態で、切り替え部材521を支持部材524に向けて(Z方向のプラス側に向けて)付勢する。これにより、第1弾性部材522は、定着ニップN9におけるニップ圧を第1ニップ圧とするように支持部材524を介して加圧ローラー9bを加熱ローラー9aに向かう方向に付勢可能である。
第2弾性部材525について説明する。図2及び図3に示すように、第2弾性部材525は、所定長さを有するコイルスプリングからなり、切り替え部材521の凸状部524Gを内側に配置した状態で配置されている。つまり、第2弾性部材525の内側に切り替え部材521の凸状部524Gが挿入されている。また、第2弾性部材525のZ方向のプラス側の端部は、第2バネ係止部524Fに係止可能である。
第2弾性部材525は、支持部材524の揺動により、第2バネ係止部524Fに係止されない状態(図2及び図3参照)と、第2弾性部材525の弾性復帰力により第2バネ係止部524Fに係止される状態(図5及び図6参照)とに伸縮される。
第2弾性部材525は、第2バネ係止部524Fに係止されない状態においては、自然長であり、支持部材524を付勢しない。また、第2弾性部材525は、弾性復帰力により第2バネ係止部524Fに係止される状態においては、支持部材524をZ方向のプラス側に向けて押圧するように付勢する。これにより、第2弾性部材525は、定着ニップN9(図1参照)におけるニップ圧を第1ニップ圧よりも小さい第2ニップ圧にするように支持部材524を介して加圧ローラー9bを加熱ローラー9aに向かう方向に付勢可能である。
規制部材528について説明する。規制部材528は、側板501に一体に設けられている。規制部材528は、鋼板等の所定厚さの板材から形成されている。規制部材528は、側板501のZ方向のマイナス側の端部がL字状に屈曲されてなるものである。規制部材528の上面には、第2弾性部材525におけるZ方向のマイナス側の端部が当接する。これにより、規制部材528は、第2弾性部材525のZ方向のマイナス側への移動を規制する。
詳細については後述するが、定着ニップ圧変更部511は、ニップ圧変更カム515を回転させることで、加圧ローラー9bを加熱ローラー9aに向かう方向又は加熱ローラー9aから離れる方向に移動させて、定着ニップN9のニップ圧を変更させる。
簡単に説明すると、切り替え部材521は、ニップ圧変更カム515の回転によるニップ圧変更カム515の外周面(カム面)の変位に対応して押圧部材523に押圧されてZ方向に移動する。また、同時に、移動プレート530は、ニップ圧変更カム515の回転によるニップ圧変更カム515の外周面(カム面)の変位に対応して方向へ移動する。例えば、ニップ圧変更カム515によって押圧部材523がZ方向のマイナス方向へ押圧されると、切り替え部材521及び移動プレート530は共にZ方向のマイナス方向へ移動する。また、ニップ圧変更カム515によってカム受け板530DがZ方向のプラス方向へ押圧されると、切り替え部材521及び移動プレート530は共にZ方向のプラス方向へ移動する。切り替え部材521がZ方向に移動することにより、支持部材524が揺動する。そのため、加圧ローラー9bには、支持部材524を介して第1弾性部材522又は第2弾性部材525のいずれかの弾性付勢力を作用させることができる。
これにより、支持部材524に支持される加圧ローラー9bの位置は、第1弾性部材522又は第2弾性部材525のいずれかの弾性付勢力を作用させた場合において異なる。従って、加熱ローラー9aに対する加圧ローラー9bの位置を変更することができる。その結果、定着ニップN9のニップ圧を変更することができる。
次に、本実施形態の定着装置9における定着位置について詳述する。ニップ圧変更カム515は、前述したように、定着ニップ圧変更部511によって回転駆動され、第2カム部515Bが押圧部材523を介して切り替え部材521を押圧しない第1カム状態(図2及び図3参照)と、第1カム状態から180度回転して第2カム部515Bが押圧部材523を介して切り替え部材521を第1弾性部材522の弾性付勢力に抗して押圧した第2カム状態(図5及び図6参照)とに状態を変更することができる。
ニップ圧変更カム515が第1カム状態の場合には、通常定着位置となる。ニップ圧変更カム515が第1カム状態にある場合を、ニップ圧変更カム515が「通常姿勢」にあるともいう。また、ニップ圧変更カム515が第2カム状態の場合には、筒状物定着位置となる。ニップ圧変更カム515が第2カム状態にある場合を、ニップ圧変更カム515が「減圧姿勢」にあるともいう。
詳述すると、図2及び図3に示すように、ニップ圧変更カム515が第1カム状態(通常定着位置)の場合には、ニップ圧変更カム515の第1カム部515Aが押圧部材523の押圧横アーム523Cの上面(Z方向のプラス側の面)と対向しており、ニップ圧変更カム515の第1カム部515Aと押圧部材523とが近接又は当接した状態である。この状態では、支持部材524は、切り替え部材521を介して第1弾性部材522により加熱ローラー9aに向けて付勢される。この場合、切り替え部材521は、支持部材524の操作アーム524Dが切り替え部材521における長孔521DのZ方向のマイナス側の端部に係合する係合位置に位置されている。そして、支持部材524に支持された加圧ローラー9bは、その外周面が加熱ローラー9aの外周面に対して最も大きく干渉する通常定着位置に位置することになる。
通常定着位置における定着ニップN9におけるニップ圧を「第1ニップ圧」ともいう。定着装置9が通常定着位置にある場合には、加圧ローラー9bには、切り替え部材521及び支持部材524を介して第1弾性部材522の弾性付勢力が作用している。なお、加圧ローラー9bには、支持部材524が第2弾性部材525に接触していない状態であるため、第2弾性部材525の弾性付勢力は作用しない。
また、通常定着位置では、加圧ローラー9bは、加熱ローラー9aの外周面と干渉し、弾性変形する。そして、加圧ローラー9bの弾性層の弾性復帰力により、加圧ローラー9bは、加熱ローラー9aから離れる方向に付勢される。第1弾性部材522は、加圧ローラー9bの弾性層の弾性復帰力による弾性付勢力に抗するように加圧ローラー9bを加熱ローラー9aに向けて付勢することにより、定着ニップN9におけるニップ圧を第1ニップ圧とする。
一方、図5及び図6に示すように、ニップ圧変更カム515が第1カム状態から回転した第2カム状態(筒状物定着位置)の場合には、押圧部材523は、ニップ圧変更カム515の第2カム部515Bにより押圧されて揺動する。そして、切り替え部材521は、押圧部材523に押圧されることによりZ方向のマイナス側に押圧される。これにより、切り替え部材521は、操作アーム524Dが長孔521DにおけるZ方向のマイナス側の端部に係合しない非係合位置に位置される。このとき、カム受け板530Dと第1カム部515Aが対向することにより、ニップ圧変更カム515とカム受け板530Dとの間にギャップが生じるが、切り替え部材521がZ方向のマイナス側に押圧されたことにより、第1弾性部材522から規制板530Bに対してZ方向のマイナス側の力が作用し、それにより、移動プレート530がZ方向のマイナス側へスライド移動して、前記ギャップがなくなる。このように移動プレート530が移動するため、第1弾性部材522は圧縮されないままとなる。
そして、支持部材524は、加熱ローラー9aから離れる方向に付勢される加圧ローラー9bを支持するため、加熱ローラー9aから離れる方向に揺動する。これにより、支持部材524の第2バネ係止部524Fは、第2弾性部材525に係止される。その結果、支持部材524に支持された加圧ローラー9bは、その外周面が加熱ローラー9aの外周面に対して通常定着位置時よりも少ない干渉量で干渉する筒状物定着位置に位置することになる。つまり、筒状物定着位置の場合には、加圧ローラー920の外周面は、通常定着位置のときよりも加熱ローラー9aの外周面から離間する。
筒状物定着位置における定着ニップN9のニップ圧を「第2ニップ圧」ともいう。第2ニップ圧は、通常定着位置における第1ニップ圧よりも小さくなる。定着装置9が筒状物定着位置にある場合には、加圧ローラー9bには、支持部材524を介して第2弾性部材525の弾性付勢力が作用している。なお、加圧ローラー9bには、支持部材524が第1弾性部材522からの弾性付勢力を伝達しない状態であるため、第1弾性部材522の弾性付勢力は作用しない。
また、筒状物定着位置では、加圧ローラー9bは、通常定着位置の場合よりも少ない干渉量で加熱ローラー9aの外周面と干渉し、弾性変形する。そして、加圧ローラー9bの弾性層の弾性復帰力により、加圧ローラー9bは、加熱ローラー9aから離れる方向に付勢される。第2弾性部材525は、加圧ローラー9bの弾性層の弾性復帰力による弾性付勢力に抗するように加圧ローラー9bを加熱ローラー9aに向けて付勢することにより、定着ニップN9におけるニップ圧を第2ニップ圧にする。
上述のように定着装置9が構成されているため、本実施形態の定着装置9においては、切り替え部材521により第1弾性部材522又は第2弾性部材525のいずれかの弾性付勢力を加圧ローラー9bに作用させることができる。具体的には、筒状物ではない通常の被転写材に画像の定着を行う際には、第1弾性部材522が加圧ローラー9bを加熱ローラー9aに向かう方向に付勢する。この場合、第1弾性部材522は、定着ニップN9のニップ圧を第1ニップ圧とするように付勢する。また、封筒などの筒状物に画像の定着を行う際には、第2弾性部材525が加圧ローラー9bを加熱ローラー9aに向かう方向に付勢する。この場合、第2弾性部材525は、定着ニップN9のニップ圧を第2ニップ圧にするように付勢する。これにより、封筒などの筒状物及び筒状物ではない通常の被転写材に画像の定着を行う際において、定着ニップN9におけるニップ圧を安定して付与することができる。
また、切り替え部材521による付勢力の切り替え時に第1弾性部材522のZ方向のプラス側の端部が押圧されることによってZ方向のマイナス側の端部の支持位置をZ方向のマイナス側(第1弾性部材522の伸張方向)へ移動させる移動プレート530が設けられているため、切り替え部材521によって定着ニップN9のニップ圧が第1ニップ圧から第2ニップ圧に切り替えられても、第1弾性部材522が許容応力の限界近くまで圧縮されずに済む。これにより、ニップ圧の供給元である第1弾性部材522の疲労を軽減して弾性力の低下を防止することができる。
また、本実施形態の定着装置9においては、切り替え部材521は、支持部材524と第1弾性部材522との間に配置されると共に、支持部材524に係合する係合位置と、支持部材524に係合しない非係合位置とに移動可能であり、加圧ローラー9bは、切り替え部材521が係合位置にある場合には第1弾性部材522により付勢され、切り替え部材521が非係合位置にある場合には第2弾性部材525により付勢される。そのため、簡易な構成で、第1弾性部材522又は第2弾性部材525のいずれか一方の弾性付勢力を加圧ローラー9bに伝達することができる。これにより、封筒などの筒状物及び筒状物ではない通常の被転写材に画像の定着を行う際において、定着ニップN9におけるニップ圧を一層安定して付与することができる。
また、本実施形態の定着装置9は、前記第1カム状態と、前記第2カム状態とに回転されるニップ圧変更カム515を備える。ニップ圧変更カム515は、加圧ローラー9bが第1弾性部材522により付勢される場合には、切り替え部材521を押圧しない状態である。また、ニップ圧変更カム515は、加圧ローラー9bが第2弾性部材525により付勢される場合には、切り替え部材521を第1弾性部材522の弾性付勢力に抗して押圧した状態である。
これにより、ニップ圧変更カム515の回転により、切り替え部材521は、第1弾性部材522の弾性付勢力を加圧ローラー9bに伝達する状態、又は第2弾性部材525の弾性付勢力を加圧ローラー9bに伝達する状態に切り替える。その結果、ニップ圧変更カム515が切り替え部材521を切り替える際にのみ使用されるため、ニップ圧変更カム515の外形が磨耗等により変化した場合であっても、ニップ圧を安定して付与することができる。また、簡易な構成で定着ニップN9のニップ圧を変更することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。例えば、前述の実施形態においては、加圧ローラー9bを回転駆動させ、加熱ローラー9aを従動回転させているが、これに制限されず、加熱ローラー9aを回転駆動させ、加圧ローラー9bを従動回転させてもよい。
また、前記実施形態においては、第1回転体として加熱ローラー9aを用いると共に、第2回転体として加圧ローラー9bを用いたが、これに制限されない。第1回転体として加圧ローラー9bを用いると共に、第2回転体として加熱ローラー9aを用いてもよい。
また、前記実施形態においては、第1回転体として加熱ローラー9aを用いたが、これに代えて、無端状に形成されたベルトからなる加熱回転体を用いてもよい。同様に、第2回転体として加圧ローラー9bを用いたが、これに代えて、無端状に形成されたベルトからなる加圧回転体を用いてもよい。
また、前記実施形態においては、加圧ローラー9bの位置を変更することにより定着ニップN9におけるニップ圧を変更しているが、これに制限されない。加熱ローラー9a(第1回転体)のみの位置を変更することにより、又は加熱ローラー9a(第1回転体)及び加圧ローラー9b(第2回転体)の両方の位置を変更することにより、定着ニップN9におけるニップ圧を変更してもよい。
また、前述実施形態においては、定着ニップN9におけるニップ圧を第1ニップ圧とする第1弾性部材522及び定着ニップN9におけるニップ圧を第2ニップ圧とする第2弾性部材525を備えているが、これに制限されない。例えば、定着ニップN9におけるニップ圧を第1ニップ圧及び第2ニップ圧とは異なるニップ圧とするように支持部材524を介して加圧ローラー9bを加熱ローラー9aに向かう方向に付勢可能な別の弾性部材を更に備えていてもよい。これにより、第1ニップ圧及び第2ニップ圧とは異なるニップ圧を安定して付与することもできる。
また、前記実施形態においては、ニップ圧変更カム515が第1カム部515A及び第2カム部515Bを有することにより2つのニップ圧に切り替えるように構成しているが、これに制限されない。例えば、ニップ圧変更カム515が複数のカム部を有することにより3つ以上のニップ圧に変更するように構成してもよい。
また、前記実施形態においては、第1弾性部材522の弾性付勢力に抗して押圧可能なニップ圧変更カム515を備えているが、これに制限されない。例えば、第1弾性部材522の弾性付勢力に抗して押圧可能な第1カム部材と、第2弾性部材525の弾性付勢力に抗して押圧可能な第2カム部材とを同時に備えていてもよい。
本発明の画像形成装置の種類は、特に限定がなく、カラーコピー機、プリンター、ファクシミリ、又はこれらの複合機などであってもよい。また、被転写材は、印刷用紙又は筒状物に制限されず、例えば、フィルムシートであってもよい。
1:複合機
9:定着装置
9a:加熱ローラー
9b:加圧ローラー
511:定着ニップ圧変更部
515:ニップ圧変更カム
521:切り替え部材
522:第1弾性部材
523:押圧部材
524:支持部材
525:第2弾性部材
530:移動プレート