JP5759018B2 - 冷凍サイクル装置 - Google Patents
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Description
また、膨張弁に流入する前において、適切なサブクールがとれないことにより、気液二相状態の冷媒となってしまい、この結果、膨張弁において冷媒音が発生したり、冷媒の不安定現象が生じてしまったりする可能性があった。
図1は、本発明の実施の形態1における冷凍サイクル装置1の冷媒回路構成の一例を示す図である。
冷媒回路11は、この室内等に冷風等を供給するものであり、冷媒を圧縮する圧縮機21、冷媒を凝縮液化させる凝縮器22、冷媒を減圧して膨張させる膨張弁23、冷媒を蒸発ガス化させる蒸発器24、及び余剰冷媒を蓄えるアキュームレータ25等を有しており、これらが冷媒配管で接続されることにより構成されている。
冷媒回路11は、上述したように、非共沸混合冷媒が採用されており、低沸点の冷媒として、例えば、R32が採用され、高沸点の冷媒として、ハイドロフルオロオレフィン系冷媒、例えば、HFO1234yfが採用されている。このR32は、充填組成が44(wt%)であり、このHFO1234yfは、充填組成が56(wt%)である。そして、この充填組成の場合、この非共沸混合冷媒の地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)は300となっている。ここでいう地球温暖化係数とは、二酸化炭素を基準にして、他の温室効果ガスの温暖化に寄与する能力を表した数字を意味するものである。
圧縮機21は、冷媒を吸入し、この冷媒を圧縮して高温高圧の状態にして、高温高圧の冷媒を吐出するものである。圧縮機21は、例えば、容量制御可能なインバータ圧縮機等で形成されるものである。圧縮機21は、吐出側にある吐出管(図示せず)が、冷媒配管を介して凝縮器22に接続されている。また、圧縮機21は、吐出側にある吐出管が、第1バイパス配管51a(後述する)を介して高低圧熱交換器41(後述する)の第1ポート52a(後述する)に接続されている。圧縮機21は、吸引側にある吸入管(図示せず)が、冷媒配管を介してアキュームレータ25に接続されている。また、圧縮機21は、吸引側にある吸入管が、第4バイパス配管51d(後述する)を介して高低圧熱交換器41(後述する)の第4ポート52d(後述する)に接続されている。
圧縮機21で圧縮された高温高圧のガス冷媒は、凝縮器22に流入し、凝縮液化され、液冷媒となる。次に、凝縮器22から流出したこの液冷媒は、膨張弁23に流入し、減圧され、気液二相冷媒となる。次に、膨張弁23から流出した低圧の気液二相冷媒は、蒸発器24に流入し、蒸発ガス化され、ガス冷媒となる。蒸発器24から流出したガス冷媒は、アキュームレータ25に流入し、冷凍サイクル装置1の運転条件や負荷条件等によって発生する余剰冷媒が貯留されることとなる。アキュームレータ25に貯留されずにアキュームレータ25から流出したガス冷媒は、圧縮機21に吸い込まれ、再び圧縮される。
なお、上記で説明した冷媒回路11の構成については、一例を示すものであり、これに限定されないことはいうまでもない。
組成検知回路12は、循環組成を検知することにより、運転時の動作信頼性を向上させるものである。組成検知回路12は、高低圧熱交換器41、第1温度センサ42、減圧機構43、圧力センサ44、及び第2温度センサ45等を有している。
高低圧熱交換器41は、高圧の非共沸混合冷媒と、低圧の非共沸混合冷媒とを熱交換するものであり、圧縮機21から吐出される高圧の非共沸混合冷媒が流れる高圧配管41aと、減圧機構43により減圧され、高沸点冷媒を多く含む非共沸混合冷媒が流れる低圧配管41bとから形成されている。高低圧熱交換器41は、高圧配管41a及び低圧配管41bが、例えば、二重配管として形成されるものである。高圧配管41aは、一端が第1ポート52aを形成し、他端が第2ポート52bを形成している。また、低圧配管41bは、一端が第3ポート52cを形成し、他端が第4ポート52dを形成している。
なお、第1ポート52a、第2ポート52b、第3ポート52c、及び第4ポート52dを総称していうときには、ポート52と称することとする。
なお、第1温度センサ42及び第2温度センサ45の何れか一つは、本発明における温度検知手段に相当する。
なお、圧力センサ44は、本発明における圧力検知手段に相当する。
組成検知回路12は、減圧機構43から高低圧熱交換器41までは、第3バイパス配管51cを介して接続されている。第3バイパス配管51cは、一端が、減圧機構43の出口側に接続されている。また、第3バイパス配管51cは、他端が、高低圧熱交換器41の第3ポート52cに接続されている。
組成検知回路12は、高低圧熱交換器41から圧縮機21の吸入管までの間とは、第4バイパス配管51dを介して接続されている。第4バイパス配管51dは、一端が、高低圧熱交換器41の第4ポート52dに接続されている。また、第4バイパス配管51dは、他端が、圧縮機21の吸入管から分岐している配管に直接接続されているか、あるいは、圧縮機21の吸入管に接続されている冷媒配管を介して分岐している配管に接続されている。つまり、第4バイパス配管51dの他端は、圧縮機21の吸入管からアキュームレータ25までの間で接続されていることとなる。
なお、バイパス配管51は、本発明におけるバイパス管に相当する。
具体的には、まず、高低圧熱交換器41では、圧縮機21の高温のガス冷媒が熱交換されることにより、このガス冷媒が冷却され、過冷却液となる。次に、減圧機構43では、過冷却液が減圧されて二相冷媒となる。最後に、高低圧熱交換器41では、二相冷媒が過熱されてガス冷媒となる。
よって、第1温度センサ42は、高低圧熱交換器41を通った後で減圧機構43前の冷媒温度を検知し、圧力センサ44は、二相冷媒の冷媒圧力を検知し、第2温度センサ45は、二相冷媒の冷媒温度を検知するようになっている。
具体的には、制御装置13は、膨張弁23、圧縮機21の回転数、凝縮器22及び蒸発器24のそれぞれに付設された送風ファンの回転数等の動作を統括制御している。また、制御装置13は、検知制御部61の検知結果に基づいて、膨張弁23,圧縮機21の回転数、凝縮器22及び蒸発器24のそれぞれに付設された送風ファンの回転数等の動作を制御している。
また、制御装置13は、詳細については後述するが、検知制御部61の検知結果に基づいて、校正制御部62が、組成検知回路12に制御指令を出すようにするか、組成検知回路12を直接制御するようにして、第2温度センサ45の出力値や圧力センサ44の出力値を校正するものである。
検知制御部61は、後述する式(4)と式(5)を記憶している。例えば、第1温度センサ42で検知した値をT1、第2温度センサ45で検知した値をT2、圧力センサ44で検知した値をPとすると、検知制御部61は、引数(T1,T2,P)の多項式によって、循環組成を結果として出力するように定式化されたものとして記憶している。具体的には、定式化されたものは、電子計算機で解釈実行できるアルゴリズムで記述されたプログラムとして記憶されることとなる。この場合、引数(T1,T2,P)が与えられると、この定式化されたプログラムを呼び出すことにより、循環組成が演算されることとなる。このようにすることで、常時記憶しておくデータを削減することができる。
要するに、冷媒組成の表現の仕方については、全体の混合冷媒に対するその一つ一つの冷媒の割合が表現できるものであれば、特に限定されるものではない。
校正制御部62は、後述する基準組成値と式(3)を記憶している。この場合、検知制御部61のときと同様に、校正制御部62は、式(3)を定式化されたものとして記憶している。具体的には、定式化されたものは、電子計算機で解釈実行できるアルゴリズムで記述されたプログラムとして記憶されることとなる。この場合、引数(T1,T2,P)が与えられると、この定式化されたプログラムを呼び出すことにより、補正値dP、dTが演算されることとなる。このようにすることで、常時記憶しておくデータを削減することができる。
なお、制御装置13の各機能をハードウェアで実現するか、ソフトウェアで実現するかは問わない。つまり、制御装置13を示すブロック図は、ハードウェアのブロック図と考えても、ソフトウェアによる機能ブロック図と考えてもよい。
なお、制御装置13の各機能をマイクロプロセッサユニット以外のハードウェアで実現してもよい。例えば、論理回路等のような布線論理回路が実装されることで実現されていてもよい。このようにすることで、制御装置13の各機能を高速で処理することができる。
また、制御装置13の各機能は、ファームウェアで実現されていてもよい。このようにすることで、制御装置13の各機能を適宜更新可能にすると共に、プログラムモジュールとして実装されるよりも速い処理を実現することができる。例えば、式(4)や式(5)の内容や、データテーブル等を適宜更新することができ、また、予め記憶させておくこともできる。つまり、検知制御部61や校正制御部62を、適宜更新することができ、また、予め記憶させておくことができる。
このように、アキュームレータ25内には、高沸点の冷媒を多く含んでいる液相の冷媒が存在している。このため、冷凍サイクル内を循環する全冷媒に対する低沸点の組成は、増大することとなる。
ここで、冷凍サイクル内を循環する全冷媒に対する低沸点の組成の割合が、減少する場合について説明する。例えば、冷凍サイクル装置1が複数の室内機を有し、これらの室内機が暖房運転を実施している場合を想定する。この場合、一部の室内機が短時間のうちに暖房運転を停止するときには、この室内機に液冷媒が滞留してしまうことがある。これにより、液冷媒の滞留分だけ、冷凍サイクル内を循環する全冷媒に対する低沸点の組成が、減少することとなる。
以下で説明する校正制御処理は、循環組成を2つの状態でそれぞれ求め、求めた2つの循環組成のそれぞれと基準となる循環組成との差分で表現される2つの連立方程式を解くことにより、補正値dPとdTを求めるものである。
校正制御部62は、基準組成値α*を演算する。
ここでは、まず、基準組成値について説明する。基準組成値とは、校正制御部62が第2温度センサ45と圧力センサ44とを校正するときの基準値のことである。
基準組成値を決めるときには、冷媒の循環組成が冷凍サイクル装置1の運転状態によって変化していく性質に着目する。具体的には、冷媒の循環組成は、冷凍サイクル装置1の運転状態によって変化していくものであることにより、冷媒の充填組成とは異なる場合がある。そして、冷凍サイクル装置1のある運転状態に着目すると、冷媒の循環組成と冷媒の充填組成とがほぼ等しい状態も存在する。このような状態とは、冷凍サイクル内で、液冷媒が滞留しない場合である。これは、すなわち、アキュームレータ25内に液冷媒が滞留しない場合のことである。このような状態となるためには、蒸発器24の出口側の出口過熱度が正となっていればよい。この場合には、冷媒の循環組成は冷媒の基準組成値にほぼ等しくなる。このときの状態については、式(1)で表される。
なお、ここではδを1(wt%)として説明したが、これに限定されるものではなく、冷凍サイクル装置1の仕様や使用環境に応じて異なる値となってもよいものである。
なお、基準組成値α*は、本発明における基準となる循環組成値に相当する。
制御装置13は、冷凍サイクルの運転状態を、循環組成が推定できる第1の状態に設定する。
具体的には、循環組成が推定できる第1の状態とは、アキュームレータ25で液冷媒が滞留しない場合である。このような状態とするためには、蒸発器24の出口側の出口過熱度が正であればよい。
より具体的には、制御装置13は、膨張弁23の開度、圧縮機21の回転数、凝縮器22及び蒸発器24のそれぞれに付設された送風ファンの回転数等を制御する。これにより、制御装置13は、循環組成が推定できる第1の状態に設定する。
校正制御部62は、一定の時間が経過したか否かを判定する。校正制御部62は、一定の時間が経過した場合、ステップS104に進む。一方、校正制御部62は、一定の時間が経過していない場合、ステップS103に戻る。
校正制御部62は、T1 exp 1、T2 exp 1、Pexp 1を検知する。
ここで、T1 exp 1とは、循環組成が推定できる第1の状態における第1温度センサ42で検知した冷媒温度のことを意味するものである。また、T2 exp 1とは、循環組成が推定できる第1の状態における第2温度センサ45で検知した冷媒温度のことを意味するものである。また、Pexp 1とは、循環組成が推定できる第1の状態における圧力センサ44で検知した冷媒圧力のことを意味するものである。
校正制御部62は、T1 exp 1、T2 exp 1、Pexp 1を検知後、検知結果を図示しない記憶部に格納する。
校正制御部62は、ステップS104で検知したT1 exp 1、T2 exp 1、Pexp 1に基づいて、検知制御部61に循環組成αcal 1演算処理を実行させ、循環組成αcal 1を演算する。循環組成αcal 1演算処理の詳細は、図4のフローチャートを参照して後述する。
なお、循環組成αcal 1は、本発明における循環組成値に相当する。
制御装置13は、冷凍サイクルの運転状態を、循環組成が推定できる第2の状態に設定する。
具体的には、循環組成が推定できる第2の状態とは、アキュームレータ25で液冷媒が滞留しない場合である。このような状態とするためには、蒸発器24の出口側の出口過熱度が正であればよい。
より具体的には、制御装置13は、膨張弁23の開度、圧縮機21の回転数、凝縮器22及び蒸発器24のそれぞれに付設された送風ファンの回転数等を制御する。これにより、制御装置13は、循環組成が推定できる第2の状態に設定する。
校正制御部62は、一定の時間が経過したか否かを判定する。校正制御部62は、一定の時間が経過した場合、ステップS108に進む。一方、校正制御部62は、一定の時間が経過していない場合、ステップS107に戻る。
このように、循環組成が推定できる第2の状態に設定されてから、一定時間だけ待機状態にさせることにより、以降の処理において、設定された状態を反映させた処理を実行することができる。このため、このような一定の時間というのは任意に設定することができるものである。例えば、設定された状態に早く移行できるような環境であれば、一定の時間というものは、長く設定する必要がない。これに対して、設定された状態に早く移行できないような環境であれば、一定の時間というものは、長めに設定する必要がある。また、それとは別に、常に所定の間隔で校正をするような場合には、固定値として一定の時間を確保しておいてもよい。
校正制御部62は、T1 exp 2、T2 exp 2、Pexp 2を検知する。
ここで、T1 exp 2とは、循環組成が推定できる第2の状態における第1温度センサ42で検知した冷媒温度のことを意味するものである。また、T2 exp 2とは、循環組成が推定できる第2の状態における第2温度センサ45で検知した冷媒温度のことを意味するものである。また、Pexp 2とは、循環組成が推定できる第2の状態における圧力センサ44で検知した冷媒圧力のことを意味するものである。
校正制御部62は、T1 exp 2、T2 exp 2、Pexp 2を検知後、検知結果を図示しない記憶部に格納する。
ただし、ステップS104で検知するT1 exp 1、T2 exp 1、Pexp 1と、ステップS108で検知するT1 exp 2、T2 exp 2、Pexp 2とは、少なくとも、式(2)で表されるような関係式となっている必要がある。すなわち、循環組成が推定できる第1の状態と、循環組成が推定できる第2の状態とは異なる状態である必要がある。
校正制御部62は、ステップS108で検知したT1 exp 2、T2 exp 2、Pexp 2に基づいて、検知制御部61に循環組成αcal 2演算処理を実行させ、循環組成αcal 2を演算する。循環組成αcal 2演算処理の詳細は、図8のフローチャートを参照して後述する。
なお、循環組成αcal 2は、本発明における循環組成値に相当する。
校正制御部62は、式(3)で表される関係式に基づいて、第2温度センサ45の補正値dTと、圧力センサ44の補正値dPを求め、校正制御処理を終了する。
なお、ステップS110で補正値dP及びdTを演算する際、この演算に必要な全てのパラメータが求まっていなくてもよい。この場合においては、予め設定したデフォルトの値をデータとして利用すればよい。このようにすることで、第1温度センサ42、圧力センサ44、及び第2温度センサ45の何れかが故障等により値を検知できなかったとしても、補正値dP及びdTを演算することができる。
検知制御部61は、記憶部に格納されたT1 exp 1、T2 exp 1、Pexp 1を読み込む。
検知制御部61は、冷凍サイクル内の循環組成の仮定値αを設定する。ここで、検知制御部61は、仮定値αを、例えば、前回検知制御部61で演算した循環組成で設定する。これにより、ステップS202〜ステップS205における収束に要するループ回数を減らすことができ、冷凍サイクル装置1の制御性を安定させることができる。また、前回に演算した循環組成が存在しない場合、予めダミーデータを記憶に格納させておけばよい。
具体的には、循環組成の仮定値αは、充填組成を下限とし、充填組成に5(wt%)を加えた冷媒の組成を上限とする範囲で定められる値である。
検知制御部61は、この循環組成の仮定値αと冷媒温度T1 exp 1と冷媒圧力Pexp 1とにより、減圧機構43の出口側の冷媒乾き度Xを演算し、演算結果を図示しない記憶部に格納する。
具体的には、減圧機構43を通過する冷媒は、等エントロピーで膨張することにより、減圧機構43の入口側の温度T1 exp 1と減圧機構43の出口側の圧力Pexp 1及び乾き度Xとの間には、後述する図5に示されるような相関関係がある。
図5は、本発明の実施の形態1における所定の循環組成での非共沸混合冷媒の温度と乾き度と圧力との相関関係を示す線図の一例を示す図である。
図5に示されるように、所定の循環組成における減圧機構43の出口側の圧力は、横軸を減圧機構43の入口温度とし、縦軸を乾き度とした場合、循環組成と、減圧機構43の入口温度と、このときの減圧機構43の出口側の圧力とが定まることにより、乾き度が求まるようになっている。図5に示される一例においては、減圧機構43の出口側の圧力が3種類示されており、例えば、P’’<P<P’となっている。
検知制御部61は、減圧機構43の出口温度T2 exp 1、圧力Pexp 1、及び記憶部に格納された乾き度Xに基づいて、循環組成α’を演算する。
具体的には、所定の圧力において、乾き度Xの気液二相状態の非共沸混合冷媒の温度は、冷凍サイクル内の循環組成、すなわち、組成検知回路12内を流れる循環組成により、後述する図6に示されるような相関関係がある。
図6に示されるように、所定の圧力における非共沸混合冷媒の循環組成は、横軸を循環組成とし、縦軸を減圧機構43の出口側の出口温度T2 exp 1とした場合、圧力と、減圧機構43の出口側の出口温度T2 exp 1と、この出口温度T2 exp 1のときの乾き度とが定まることにより、このときの循環組成が求まるようになっている。図6に示される一例においては、循環組成は低沸点成分R32の重量分率であり、飽和蒸気温度と、飽和液温度との特性曲線の間で囲まれている範囲内を変動するように、乾き度Xにおける温度の特性曲線が存在するようになっている。
図7には、図6に示される相関関係から、減圧機構43の出口側の温度T2 exp 1と、圧力と、乾き度Xとから循環組成α’を求めるようにした関係が示されている。
図7は、本発明の実施の形態1における所定の乾き度での非共沸混合冷媒の温度と循環組成と圧力との相関関係を示す線図の一例を示す図である。
図7に示されるように、所定の乾き度における循環組成は、横軸を乾き度Xにおける温度とし、縦軸を循環組成とした場合、減圧機構43の出口側の温度T2 exp 1と、圧力と、乾き度Xとが定まることにより、このときの循環組成が求まるようになっている。図7に示される一例においては、乾き度Xが一定であるときの、減圧機構43の出口側の圧力が、3種類示されており、例えば、P’’<P<P’となっている。
検知制御部61は、この循環組成α’と、最初に設定した循環組成の仮定値αとが一致しているか否かを判定する。
検知制御部61は、この循環組成α’と、最初に設定した循環組成の仮定値αとが一致している場合、ステップS206に進む。一方、この循環組成α’と、最初に設定した循環組成の仮定値αとが一致していない場合、ステップS207へ進む。
検知制御部61は、循環組成の仮定値αを循環組成αcal 1に設定し、処理は終了する。
検知制御部61は、循環組成の仮定値αを別の値で設定し、ステップS203に戻る。
ここで、別の値で循環組成の仮定値を設定したとしても、循環組成α’と、再度設定した循環組成の仮定値αとが一致しない場合、循環組成の仮定値を、例えば、循環組成α’と、再度設定した循環組成の仮定値αとの平均値を、新たな循環組成の仮定値αに設定する。
この場合、平均値の算出方法については特に限定されるものではない。例えば、相加平均、相乗平均、対数平均、及び移動平均等のさまざま方法で算出すればよい。また、値を収束させるため、既存のさまざまな探索アルゴリズムを用いてもよい。例えば、リスト探索、木探索、及びグラフ探索等、さまざまな方法で算出すればよい。このようにすることで、循環組成α’と、再度設定した循環組成の仮定値αとを一致する処理が、なかなか収束しない状態であったとしても、解の探索問題として、なるべく早く収束していくようにすることができる。
このように、制御装置13の検知制御部61は、減圧機構43の出口側の冷媒乾き度を演算し、循環組成を演算している。このため、冷凍サイクルの運転状態が変化し、高低圧熱交換器41の熱交換量が変化しても、確実に循環組成を検知することができる。
検知制御部61は、記憶部に格納されたT1 exp 2、T2 exp 2、Pexp 2を読み込む。
検知制御部61は、冷凍サイクル内の循環組成の仮定値αを設定する。ここで、検知制御部61は、仮定値αを、例えば、前回検知制御部61で演算した循環組成で設定する。これにより、ステップS302〜ステップS305における収束に要するループ回数を減らすことができ、冷凍サイクル装置1の制御性を安定させることができる。また、前回に演算した循環組成が存在しない場合、予めダミーデータを記憶に格納させておけばよい。
検知制御部61は、この循環組成の仮定値αと冷媒温度T1 exp 2と冷媒圧力Pexp 2とにより、減圧機構43の出口側の冷媒乾き度Xを演算し、演算結果を図示しない記憶部に格納する。
具体的には、減圧機構43を通過する冷媒は、等エントロピーで膨張することにより、減圧機構43の入口側の温度T1 exp 2と減圧機構43の出口側の圧力Pexp 2及び乾き度Xとの間には、上述した図5に示されるような相関関係がある。
ここで、図5に示されるような関係は、上述した式(4)で表されるものとする。
このように、式(4)で示される関係を、検知制御部61内に記憶させておけば、式(4)の相関関係を用いることにより、温度T1 exp 2、圧力Pexp 2、及び循環組成仮定値αから、減圧機構43の出口冷媒乾き度Xを求めることができる。
検知制御部61は、減圧機構43の出口温度T2 exp 2、圧力Pexp 2、及び記憶部に格納された乾き度Xに基づいて、循環組成α’を演算する。
具体的には、所定の圧力において、乾き度Xの気液二相状態の非共沸混合冷媒の温度は、冷凍サイクル内の循環組成、すなわち、組成検知回路12内を流れる循環組成により、上述した図6に示されるような相関関係がある。
ここで、図7に示されるような関係は、上述した式(5)で表されるものとする。
このように、式(5)で示される関係を、検知制御部61内に記憶させておけば、式(5)の相関関係を用いることにより、温度T2 exp 2、圧力Pexp 2、及び乾き度Xから、循環組成α’を演算することができる。
検知制御部61は、この循環組成α’と、最初に設定した循環組成の仮定値αとが一致しているか否かを判定する。
検知制御部61は、この循環組成α’と、最初に設定した循環組成の仮定値αとが一致している場合、ステップS306に進む。一方、この循環組成α’と、最初に設定した循環組成の仮定値αとが一致していない場合、ステップS307へ進む。
検知制御部61は、循環組成の仮定値αを循環組成αcal 2に設定し、処理は終了する。
検知制御部61は、循環組成の仮定値αを別の値で設定し、ステップS303に戻る。
ここで、別の値で循環組成の仮定値を設定したとしても、循環組成α’と、再度設定した循環組成の仮定値αとが一致しない場合、循環組成の仮定値を、例えば、循環組成α’と、再度設定した循環組成の仮定値αとの平均値を、新たな循環組成の仮定値αに設定する。
この場合、平均値の算出方法については特に限定されるものではない。例えば、相加平均、相乗平均、対数平均、及び移動平均等のさまざま方法で算出すればよい。また、値を収束させるため、既存のさまざまな探索アルゴリズムを用いてもよい。例えば、リスト探索、木探索、及びグラフ探索等、さまざまな方法で算出すればよい。このようにすることで、循環組成α’と、再度設定した循環組成の仮定値αとを一致する処理が、なかなか収束しない状態であったとしても、解の探索問題として、なるべく早く収束していくようにすることができる。
このように、制御装置13の検知制御部61は、減圧機構43の出口側の冷媒乾き度を演算し、循環組成を演算している。このため、冷凍サイクルの運転状態が変化し、高低圧熱交換器41の熱交換量が変化しても、確実に循環組成を検知することができる。
よって、冷凍サイクル装置1は、校正制御部62が、導出された式(3)に基づいて、補正値dPとdTとを求め、この求めた補正値dPとdTとが図示しない記憶部に記憶される。この補正値dPとdTとが定まることで、この後の検知制御部61は、第1温度センサ42、第2温度センサ45、及び圧力センサ44の検知された値であるT1、T2、及びPを、T1、T2+dT、及びP+dPとdTとして循環組成を演算する。すなわち、式(11)に示すような基準組成値α*の状態となるように第2温度センサ45の出力値と圧力センサ44の出力値とをそれぞれT2 exp 1+dT及びPexp 1+dPとして校正する。
なお、補正値dPとdTの値は正の値であっても、負の値であってもよい。
より具体的には、ある特定の基準値と、各種センサの検知結果に基づいて求めた循環組成とが一致するように、各種センサの出力値を校正している。すなわち、各種センサ等に起因する測定誤差を含めた値と、目標となるある特定の基準値との差分を補正値dPとdTとなるようにしている。そのため、各種センサの検知結果に基づいて求めた循環組成が、各種センサ等に起因する測定誤差を含むものであったとしても、その誤差に依存することなく、正確な校正を行うことができる。
したがって、低コストでありつつも、冷凍サイクル内の循環組成を従来よりも正確に検知することができる冷凍サイクル装置を提供することができる。
しかし、このようにしたとしても、圧力センサ44の検知精度を十分に高い精度となるように校正することができない、あるいは、校正する必要がない場合がある。このときには、循環組成が推定できる第1の状態のみで、冷凍サイクル装置1を運転させ、圧力センサ44の補正値dPを0としてもよい。この場合、式(13)を変形させ、式(15)とすればよい。
また、同様にして、第2温度センサ45の検知精度を十分に高い精度となるように校正することができない、あるいは、校正する必要がない場合がある。このときには、循環組成が推定できる第1の状態のみで、冷凍サイクル装置1を運転させ、第2温度センサ45の補正値dTを0としてもよい。この場合、式(13)を変形させ、式(16)とすればよい。
このように、不要な校正処理を省略することにより、校正処理全体に要する時間を短縮することができる。また、校正制御部62が記憶する総情報量を削減することができる。それにより、コストを抑制することができる。
また、本実施の形態においては、冷媒流れが逆転することはないものの、四方弁を設け、凝縮器22と蒸発器24との相対的な位置を入れ替えることにより、冷房運転(冷熱供給)と暖房運転(温熱供給)を実施してもよい。
また、本実施の形態においては、余剰冷媒処理を冷凍サイクルの低圧側のアキュームレータ25で対応することとしたが、冷凍サイクルの高圧側や中間の位置の液溜であってもよいことはいうまでもない。
また、本実施の形態においては、減圧機構43の出口側の冷媒の二相状態について検知したが、これに限定されるものではない。冷媒が二相状態であれば、冷凍サイクル内の他の場所であってもよい。
また、本実施の形態においては、冷媒の基準組成値と、各種センサの検知結果に基づいて演算した循環組成値とが、始めから同一の値であるときには、各種センサの出力値の校正を行う必要はない。
Claims (13)
- 圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器が冷媒配管を介して接続された冷凍サイクルに非共沸混合冷媒を循環させる冷凍サイクル装置において、
前記圧縮機から吐出された前記非共沸混合冷媒が気液二相状態となる部位の入口側と出口側の冷媒温度を検知する温度検知手段と、
前記出口側の冷媒圧力を検知する圧力検知手段と、
基準となる循環組成値である基準組成値と、前記温度検知手段で検知した前記非共沸混合冷媒の温度の値及び前記圧力検知手段で検知した前記非共沸混合冷媒の圧力の値に基づいて求めた前記非共沸混合冷媒の循環組成値と、に基づいて、前記温度検知手段で検知された前記出口側の前記非共沸混合冷媒の温度の値及び前記圧力検知手段で検知された前記非共沸混合冷媒の圧力の値の少なくとも一方を校正する校正制御部と、を備えた
ことを特徴とする冷凍サイクル装置。 - 前記校正制御部は、前記冷凍サイクルに充填するときの前記非共沸混合冷媒の充填組成に基づいて、前記基準組成値を求め、
前記冷凍サイクル装置は、前記校正制御部で校正された値に基づいて、運転制御される
ことを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。 - 前記校正制御部は、
前記非共沸混合冷媒の循環組成値が推定できる第1の状態で前記冷凍サイクルを運転させて得られる前記非共沸混合冷媒の循環組成値である第1の冷媒循環組成値と、
前記非共沸混合冷媒の循環組成値が推定できる状態であって前記第1の状態とは異なる第2の状態で前記冷凍サイクルを運転させて得られる前記非共沸混合冷媒の循環組成値である第2の冷媒循環組成値と、が前記基準組成値と一致するように前記圧力検知手段と前記温度検知手段を校正する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置。 - 前記校正制御部は、
前記非共沸混合冷媒の循環組成値が推定できる状態に前記冷凍サイクルを運転させ、前記推定される循環組成値と、前記基準組成値とが一致するように前記圧力検知手段を校正する
ことを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。 - 前記校正制御部は、
前記非共沸混合冷媒の循環組成値が推定できる状態に前記冷凍サイクルを運転させ、前記推定される循環組成値と、前記基準組成値とが一致するように前記温度検知手段で検知された前記出口側の前記非共沸混合冷媒の温度の値を校正する
ことを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。 - 前記圧縮機の吐出側から分岐して前記圧縮機の吸引側に接続されるバイパス管と、
前記バイパス管に設けられ、前記圧縮機から吐出された非共沸混合冷媒を減圧する減圧機構と、
前記減圧機構の入口側の非共沸混合冷媒と前記減圧機構の出口側の非共沸混合冷媒とで熱交換させる高低圧熱交換器と、を備え、
前記温度検知手段は、前記減圧機構の入口側と、前記減圧機構の出口側とに設置され、
前記圧力検知手段は、前記減圧機構の出口側に設置され、
前記減圧機構の出口側における非共沸混合冷媒の状態に基づいて前記非共沸混合冷媒の循環組成値が求められる
ことを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。 - 前記非共沸混合冷媒の循環組成値の仮定値を設定し、
前記温度検知手段で検知した前記入口側の非共沸混合冷媒の温度の値、前記圧力検知手段で検知した前記出口側の非共沸混合冷媒の圧力の値、及び当該非共沸混合冷媒の循環組成値の仮定値に基づいて、乾き度を求め、
前記温度検知手段で検知した前記出口側の非共沸混合冷媒の温度の値、前記圧力検知手段で検知した前記出口側の非共沸混合冷媒の圧力の値、前記乾き度に基づいて、前記非共沸混合冷媒の循環組成値を求め、
前記非共沸混合冷媒の循環組成値の仮定値と、前記求めた結果とが一致するとき、前記非共沸混合冷媒の循環組成値の仮定値が前記非共沸混合冷媒の循環組成値に設定される
ことを特徴とする請求項1、又は請求項6に記載の冷凍サイクル装置。 - 前記蒸発器と前記圧縮機との間に接続され、前記冷凍サイクルを循環する前記非共沸混合冷媒のうち、余剰となった非共沸混合冷媒を蓄えるアキュームレータを備え、
前記冷凍サイクルを循環する非共沸混合冷媒が、液冷媒として前記アキュームレータに滞留しないとき、前記非共沸混合冷媒の循環組成値が求められる
ことを特徴とする請求項1、請求項6、及び請求項7の何れか一項に記載の冷凍サイクル装置。 - 前記非共沸混合冷媒の循環組成値は、前記冷凍サイクルに充填される非共沸混合冷媒の充填組成を下限とし、充填組成に5wt%を加えた非共沸混合冷媒の組成を上限とする
ことを特徴とする請求項1、請求項6〜請求項8の何れか一項に記載の冷凍サイクル装置。 - 前記冷凍サイクルが起動されるごとに、又は、前記冷凍サイクルが起動後に一定の期間が経過したときに、前記非共沸混合冷媒の循環組成値が求められる
ことを特徴とする請求項1、請求項6〜請求項9の何れか一項に記載の冷凍サイクル装置。 - 前記校正制御部は、
前記基準となる循環組成値と、前記非共沸混合冷媒の循環組成値との差がある一定値以上のとき、
非共沸混合冷媒が漏洩していると判定する機能を有している
ことを特徴とする請求項1、請求項6〜請求項10の何れか一項に記載の冷凍サイクル装置。 - 前記非共沸混合冷媒は、
2成分以上の非共沸混合冷媒のうち、低沸点冷媒がR32である
ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項6〜請求項11の何れか一項に記載の冷凍サイクル装置。 - 前記非共沸混合冷媒は、
2成分以上の非共沸混合冷媒のうち、高沸点冷媒がハイドロフルオロオレフィン系冷媒である
ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項6〜請求項12の何れか一項に記載の冷凍サイクル装置。
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