本実施の形態1〜10(本願発明)に係る動物用耳標RFIDタグの札部は、雌軸部(雌軸基部)に形成されたものを用いて説明を行なうが、雄軸部側に動物用耳標RFIDタグの札部を形成してもよい。札部を形成しない方の軸部(雄軸部又は雌軸部)の基部を円盤状(ボタン状)にする必要はなく、別の形状でもよいが、単体で管理対象の動物の耳から脱落しにくい形状を有する必要がある。さらに、札部に形成される軸部(雄軸部又は雌軸部)の基部は、札部と一体であっても一体でなくてもよい。また、札部の材質は、札部自身の形状を維持できる程度の硬度のもので、RFIDタグが動作可能な樹脂であればよいので、可撓性の有無は問わない。但し、動物用耳標RFIDタグの一部を管理対象の動物の耳に接触させて、動物用耳標RFIDタグを撓ませて耳と札部との間に空間を形成させる必要がある構造に関しては、可撓性が必要となる場合もある。なお、札部自身の形状を維持できる程度の硬度がなくても、札部の外部又は内部に姿勢維持を図る部材を配して、札部自身の形状を維持させてもよい。さらに、札部の材質に関しては、低誘電率のものを使用することにより、RFIDタグを札部に実装して動物用耳標RFIDタグとしても、動物用耳標RFIDタグがRFIDタグ単体の性能とほぼ同等の性能を得ることができるが、札部の誘電率を織り込んでRFIDタグのアンテナ等の設計を行ってもよい。実施の形態1において、RFIDリーダライタを用いた動物用耳標RFIDタグによる管理対象の動物の個体識別や個体管理の方法やシステムは、他の実施の形態でも実行できるので、実施の形態1以外では、基本的な説明を行なわないこととする。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について、図1〜10を用いて説明する。図1(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図1(b)動物用耳標RFIDタグを構成する雄軸部の側面図、図1(c)は図1(a)に係る札部の側面図、図1(d)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)、図2(a)は動物用耳標RFIDタグの装着前の模式図、図2(b)は動物用耳標RFIDタグの装着後の模式図、図3(a)は図1(a)の矢印方向から見た動物用耳標RFIDタグの構成図、図3(b)は図1(a)の一点鎖線ABによる断面の断面図、図4(a)〜(d)は動物用耳標RFIDタグの構成図、図5(a)は動物用耳標RFIDタグに使用するダイポールアンテナ構成図、図5(b)は動物用耳標RFIDタグに使用するメアンダラインによるダイポールアンテナ構成図、図6(a)は動物用耳標RFIDタグによる管理対象の動物の個体識別や個体管理の実行模式図、図6(b)は動物用耳標RFIDタグに実装されたRFIDタグの構成図、図7〜9は動物用耳標RFIDタグによる管理対象の動物の個体識別や個体管理の実行模式図、図10(a)(b)は動物用耳標RFIDタグを取り付けた管理対象の動物図、図10(c)は図10(a)に示す管理対象の動物に取り付けられた動物用耳標RFIDタグによる管理対象の動物の個体識別や個体管理の実行模式図である。
図1〜10において、1は動物用耳標RFIDタグを構成する札部であり、札部1は上部(先端部)が細くなっている。便宜上、これをくびれ部と称する。2は動物の耳を貫通することが可能な先端部が鋭利な雄軸部、3は雄軸部2の基端部に形成された円盤状(ボタン状)の雄軸基部、4は札部1の上部に形成され、先端部の開口から雄軸部3が嵌合される雌軸部、5は雌軸部の基端部に形成された円盤状(ボタン状)の雌軸基部であり、この雌軸基部5を介して札部の上部が細くなっている先端部と雌軸部4とが接合されている。6は札部に貼り付けられるRFIDタグ、7はRFIDタグ6を構成するICチップ、8はRFIDタグ6を構成するダイポールアンテナ、9はRFIDタグ6を構成する整合線路(整合回路)であり、ICチップ7とダイポールアンテナ8とを電気的に接続し、互いのインピーダンス整合を取っている。10は札部に封止されるRFIDタグであり、構成要素は、RFIDタグ6と同等である。RFIDタグ6及びRFIDタグ10を保護する(耐水性を向上させる)ためのポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride:PVC)などの樹脂で封止してもよい。本明細書(図面)においては、RFIDタグ6は封止したものを図示している。RFIDタグ10に関しては、ポリ塩化ビニルなどで封止するか否かは適宜選択すればよく、札部に内蔵されているがポリ塩化ビニルなどで封止してもよい。また、RFIDタグ6及びRFIDタグ10は、ポリ塩化ビニルなどの樹脂や樹脂シートの表面上に形成されたものでもよいし、基板(可撓性を有するものも含む)の表面上に形成されたものでもよい。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
本明細書(図面)においては、便宜上、ICチップ7とダイポールアンテナ8に符号をふらずに、RFIDタグ6又はRFIDタグ10にのみ符号をふっている場合がある。また、札部の側面図では、内部に封止されたRFIDタグ10は見えないが、位置を明確するために、RFIDタグ10を実線で表記している。
続いて、図1〜10において、11は管理対象の動物の耳であり、この耳11を有する管理対象の動物は「管理対象の動物26」として後述する。12は動物用耳標RFIDタグにおいて、耳11が配置される空間、13はICチップ7とダイポールアンテナ8とに接続され、ICチップ7とダイポールアンテナとのインピーダンス整合を取る整合線路(整合回路)、14はダイポールアンテナ同士を短絡する短絡回路、15はメアンダラインで構成されたダイポールアンテナである。16はRFIDリーダライタ、17はアナログ部、18はA/D変換部、19は電源制御部、20はメモリ部、21は復調部、22は制御部、23は変調部、25はD/A変換部、26は管理対象の動物、27は動物の耳を貫通することが可能な雄軸部と、この雄軸部が嵌合される雌軸部と、少なくとも前記雄軸部又は前記雌軸部のいずれか一方に形成された札部とを備えた動物用耳標RFIDタグ、28は管理対象の動物の通路に形成された壁(導電性)、29は管理対象の動物の通路に形成された壁(非導電性)である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
図1(a)(c)(図1(d))から、RFIDタグ6が札部1の先端部側に貼り付けられており、雄軸部2と雌軸部4と嵌合させた場合の雄軸部2と雌軸部4とは反対側に反っていることが分かる。次に、図2(a)に示すように、札部1と雄軸部2との間に耳11を配置し、雌軸部4に雄軸部2を挿入して互いを嵌合することにより、実施の形態1に係る動物用耳標RFIDタグの耳11への装着が完了する。図2(b)及び図3が装着後を示す図面である。図3(a)は図1(a)の矢印方向から見た場合の札部1(雌軸部3)と雄軸部2とが嵌合された状態の図面である。図3(b)は図1(a)の一点鎖線ABによる断面から見た場合の札部1(雌軸部3)と雄軸部2とが嵌合された状態の図面である。雌軸部4と雄軸部2との嵌合は、耳標装着器を使用することにより簡便に行なうことができる。また、札部1と雄軸部2を耳11に前後逆に取り付けてもよい。なお、図3では、耳11が配置される部分を空間12として、動物用耳標タグの構成や位置関係を明瞭にしている。
図1(b)及び図2に示すように、雄軸部2は、耳11を貫通することが可能なものであり、雌軸部4は雄軸部2が嵌合されているものだが、雄軸部2と雌軸部4との形状によっては、雌軸部4のみが耳11を貫通している場合もある。具体的には、「雄軸部2が、雄軸部2の先端に形成された先鋭部分のみで形成される」又は「雄軸部2の主要部分が軸部の先端に形成された先鋭部分」である場合などが考えられる。このような場合でも、便宜上、雄軸部2と雌軸部4とが嵌合して成す軸が耳11を貫通しておれば、その状態も、「雄軸部2が耳11を貫通している」又は「雄軸部2は耳11を貫通することが可能」とする。
図1(c)又は図1(d)に記載の札部1(雌軸部4)と図1(b)に記載の雄軸部2とを嵌合させることにより、実施の形態1に係る動物用耳標RFIDタグが構成されていることを説明した。以上のような構成を採っているので、実施の形態1に係る動物用耳標RFIDタグは、図3(a)に示すように、雄軸部2と雌軸部4とが嵌合している付近では、耳11と札部1とは近接するが、札部1が雄軸部2と雌軸部4と嵌合させた場合の雄軸部2と雌軸部4とは反対側に反っているので、図3(b)に示すように、札部1と耳11(空間12)との間に空間(図3(b)中の矢印で示した間隔)ができるので、札部1が耳11から離れた部分である札部1の先端部付近にRFIDタグ6を設けることにより、耳11からRFIDタグ6が離れることになり、RFIDタグ6を構成するICチップが接続されたアンテナに対する管理対象の動物(生体)の影響を大幅に減じることができる。したがって、実施の形態1に係る動物用耳標RFIDタグを管理対象の動物に設置してもRFIDリーダライタと良好な通信を図ることができ、管理対象の動物の個体識別や個体管理を高い確度で行なうことができる。
図1〜3では、札部1の先端部にRFIDタグ6又はRFIDタグ10を横に1つ配置したものを用いて説明した。これは、一番容易にRFIDタグ6又はRFIDタグ10と耳11との間に距離をとることができる配置ではあるが、札部1の反り加減を耳11との距離を勘案して設定することにより、ダイポールアンテナ8を雌軸基部5に近接させない限り、札部1におけるRFIDタグ6又はRFIDタグ10の他の配置も選択できる。例えば、札部1の反り加減を大きくすることにより、図4(a)に示すように、札部1にRFIDタグ6を縦に1つ配置することや、図4(b)に示すように、札部1の先端部にRFIDタグ6を横にして2つ配置することも可能である。もちろん、札部1の先端部にRFIDタグ6を縦にして2つ配置することも可能である。これは、図4(a)(b)の組み合わせともいえる。また、図4(c)に示すように、札部1にRFIDタグ6を斜めに1つ配置することも可能であるが、この場合は、図4(d)の点線で示す方向に、札部1の反らせることにより、RFIDタグ6全体が耳11から距離をとることができる。
図4(a)(c)の動物用耳標タグや札部1の反り加減が大きい場合は、札部1の沿っている部分のカーブの半径値であるR値がきつい部分に亘って、RFIDタグ6が展開していても、RFIDタグ6又はRFID10自体が、十分な可撓性を有しているものを選択することにより、札部1からのRFIDタグの剥離やRFIDタグ自体の故障の減じることができる。もちろん、RFIDタグ6又はRFID10自体が可撓性を有していない場合でも、RFIDタグ6又はRFID10が形成される札部1のR値に対応した形状を札部1に実装する前から有しておれば、札部1からのRFIDタグの剥離やRFIDタグ自体の故障の減じることができる。
実施の形態1に係る動物用耳標タグに使用できるRFIDタグは、図1〜4に示すICチップ7を中心にした対象形状のもの以外でも使用できる。図5に示すダイポールアンテナを用いたRFIDタグは、その一例である。図5(a)に記載のRFIDタグは、整合線路13以外にアンテナパターン同士を短絡する短絡線路14を有しており、ICチップがRFIDタグの中心に位置しない。さらに、図5(b)に記載のRFIDタグは、アンテナパターンがメアンダライン(ダイポールアンテナ15)で構成されているので、アンテナパターンの小型化が実現でき、動物用耳標RFIDタグ自体の寸法や札部1のR値に制約条件がある場合に有効である。例えば、ダイポールアンテナ15を使用することにとより、図4(a)に示すRFIDタグであれば、さらに、雌軸基部からの距離を離すことができる。
次に、図6を用いて、動物用耳標RFIDタグによる管理対象の動物の個体識別や個体管理の実行を説明する。図6(b)において、RFIDシステムを利用する用途(個体識別や個体管理など)に合わせて、それらのタグ情報がRFIDタグ6のメモリ部20に格納されており、RFIDリーダライタ16は、自身の送受信エリア内にRFIDタグ6が(管理の対象である動物に貼り付けられて)存在又は移動しているときにタグ情報の更新・書き込み、又は読み取りを行なうことができる。RFIDリーダライタ16は、更新・書き込み、又は読み取り等をRFIDタグ6に命令するコマンド信号を送信波としてRFIDリーダライタ16のアンテナ部からRFIDタグ6へ送信する。RFIDタグ6のアンテナ部8が送信波を受信し、送信波は電源制御回路11により検波・蓄電(平滑化)され、RFIDタグ6の動作電源を生成し、RFIDタグ6の各回路に動作電源を供給する。また、送信波は復調部21によりコマンド信号が復調される。復調されたコマンド信号の命令内容から制御部22がデータ処理し、メモリ部20へタグ情報の更新・書き込みと読み取りとのいずれか一方、又は両方の指示を行い、この制御部22の指示によりメモリ部20が出力した読み取り信号が変調部23により変調された返信波がアナログ部17を経由してアンテナ部8からRFIDリーダライタ16のアンテナ部に送信され、RFIDリーダライタ16が読み取り信号を受信して、所望の情報を得る。
図6(a)は、管理対象の動物26の耳11において、右耳には前面に、左耳には背面にそれそれ動物用耳標タグ27が装着されている。また、図6(a)では、管理対象の動物26の図に右耳と左耳の拡大図を添えている。その拡大図では、右耳に装着された動物用耳標タグ27は、管理対象の動物26の前側に配置された固定式のRFIDリーダライタ16と通信している状態を示している。左耳に装着された動物用耳標タグ27は、管理対象の動物26の後側にあるハンディタイプのリーダライタであるハンディターミナル(RFIDリーダライタ16)と通信している状態を示している。このように、RFIDリーダライタ16と良好な通信が行なえることは、前述や図6(a)の通りであるが、図6(a)に示すような動物用耳標RFIDタグ27の前側や後側にRFIDリーダライタ16のアンテナを配置してRFIDタグ6を読み取るだけでなく、本願に係る動物用耳標RFIDタグでは、RFIDタグ6が耳11から離れているので、図7に示すように、RFIDリーダライタ16のアンテナが動物用耳標RFIDタグ27の横に配置されていても、RFIDリーダライタ16と良好な通信が行なえる。したがって、管理対象の動物26が通るゲートに、RFIDリーダライタ16のアンテナを設置して、管理対象の動物26の個体識別や個体管理を行なう場合やハンディターミナルで対象の動物26の個体識別や個体管理を行なう場合のRFIDリーダライタ16のアンテナを設置する場所及び対象の動物26との方角やハンディターミナルを操作する人間の場所及び対象の動物26との方角の自由度が広がる。これは、人や物品などをRFIDシステムで管理する場合と異なり、管理対象の動物26が頭を動かすなど、管理対象の行動が予測し難い場合が想定されるRFIDシステムよる動物の管理においては大きな利点となる。さらに、本願発明に係る動物用耳標RFIDタグでは、RFIDタグ6が耳11から離れているので、図6(a)のように、管理対象の動物26の右耳に装着された動物用耳標RFIDタグ27を前側や横から読み取るだけでなく、後側から読み取れる可能性が高まる(読取率が上がる)。同じく、図6(a)のように、管理対象の動物26の左耳に装着された動物用耳標RFIDタグ27を後側や横から読み取るだけでなく、前側から読み取れる可能性が高まる(読取率が上がる)。
図8のように、RFIDリーダライタ16のアンテナが動物用耳標RFIDタグ27の横に配置されている場合でも、動物用耳標RFIDタグ27がRFIDリーダライタ16のアンテナから遠い方の耳11に取り付けられているときは、管理対象の動物26に対してRFIDリーダライタ16のアンテナとの反対側に導電性の壁28を設けて、導電性の壁28を反射板として、RFIDリーダライタ16と動物用耳標RFIDタグ27(RFIDタグ)との通信を図れば通信成功の確度が上がる。これは、RFIDリーダライタ16が、動物用耳標RFIDタグ27から直接送信される返信波を受信する可能性と反射板を介した返信波を受信する可能性とがあるためである。なお、導電性の壁28は、全面が導電性である必要がなく、管理対象の動物26の頭部、つまり、動物用耳標RFIDタグが通過又は位置する高さにあたる部分だけが導電性を有しておれば、RFIDリーダライタ16と動物用耳標RFIDタグ27(RFIDタグ)との通信を図れば通信成功の確度が上がる。
図9のように、RFIDリーダライタ16のアンテナが動物用耳標RFIDタグ27の横に配置されている場合であって、さらに、管理対象の動物26に対してRFIDリーダライタ16のアンテナとの反対側に既存の非導電性の壁29があるときは、壁29に導体層を形成して、図8と同じ状態にしてもよいし、図9に示すように、RFIDリーダライタ16のアンテナを斜め上方に設置することや、図示していないが管理対象の動物26の上方にRFIDリーダライタ16のアンテナを設置することにより、RFIDリーダライタ16と動物用耳標RFIDタグ27(RFIDタグ)との通信を図れば通信成功の確度が上げてもよい。なお、図8及び図9で説明したRFIDリーダライタや壁28及び壁20の配置は、動物用耳標RFIDタグ27がRFIDリーダライタ16のアンテナから近い方の耳11に取り付けられているときでも、実施できることはいうまでもない。
図6〜9を用いて説明した手法による動物用耳標RFIDタグ27の読み取りにおける読み取り率を、より向上させたい場合は、管理対象の動物26に動物用耳標RFIDタグ27を複数取り付ければよい。一例として、図6(a)を用いて説明したものが挙げられるが、図10を用いて、動物用耳標RFIDタグ27を2つ使用する場合を詳細に説明する。図10(a)に示すように、耳11の両方の前面に動物用耳標RFIDタグ27を取り付けると、図10(c)に示すように、RFIDリーダライタ16のアンテナが管理対象の動物26を挟んだ両横に配置することにより、動物用耳標RFIDタグ27と良好な通信が行なえる。また、図10(b)に示すように、片方の耳11の前面ともう片方の耳の背面にそれぞれ動物用耳標RFIDタグ27を取り付けてもよい。この場合は、管理対象の動物26の後側や下側にRFIDリーダライタ16(ハンディタイプのリーダライタ)のアンテナがある場合でも、図6(a)に関して説明したように、良好な通信が可能となる。もちろん、一つの耳11の前面と背面とにそれぞれ動物用耳標RFIDタグ27を取り付けてもよいことはいうまでもない。さらに、管理対象の動物26に三つ以上の動物用耳標RFIDタグ27を取り付けてもよい。なお、単に、動物用耳標RFIDタグ27を管理対象の動物26に複数取り付けるだけでなく、図4(b)に記載の動物用耳標RFIDタグのように、一つの札部1に複数のRFIDタグ6(RFIDタグ10)を形成したものを管理対象の動物26に取り付ける場合も、同じような処理が動物管理において実行できる。但し、一つの札部1に複数のRFIDタグ6(RFIDタグ10)を取り付けているので、RFIDタグ6(RFIDタグ10)が近接する点では、動物用耳標RFIDタグ27を複数取り付ける場合と異なるということはいうまでもない。さらに、一つの札部1に複数のRFIDタグ6(RFIDタグ10)を形成した動物用耳標RFIDタグとRFIDタグ6(RFIDタグ10)を一つ形成した動物用耳標RFIDタグとを併用してもよいこともいうまでもない。
ここで、実施の形態1に係る動物用耳標RFIDタグ27を管理対象の動物26に2つ取り付けた場合、特に、耳11の前面と背面に取り付けた場合の動物用耳標タグを用いた動物管理システムの基本的な動作を用いて説明する。管理対象の動物26の前後に、それぞれRFIDリーダライタ16(RFIDリーダライタ用アンテナ)が設置されている。管理対象の動物26の管理区域への入退場管理や給餌の際には、管理対象の動物の前側に設置されたRFIDリーダライタ16から質問波を動物用耳標RFIDタグ26(耳11の前面側)に送信し、送信波に基づき、動物用耳標RFIDタグ26がRFIDリーダライタ16へ返信波を送信することにより、RFIDリーダライタ16により管理対象の動物26の個体番号を読み取り識別することができる。乳の成分や発情を調べる際は、動物の耳の後側や物の耳の下側に作業者が位置し、作業者が操作するハンディタイプのリーダライタ(RFIDリーダライタ16)にから質問波を動物用耳標RFIDタグ26(耳11の背面側)に送信し、送信波に基づき、動物用耳標RFIDタグ26がRFIDリーダライタ16へ返信波を送信することにより、RFIDリーダライタにより管理対象の動物の個体番号を読み取り識別することができる。このように、前後、上下(ダイポールアンテナの放射パターンが許す範囲で)からの読取が可能となるため、管理対象の動物やその耳11が上下左右に激しく動いている場合や、後側からの送信波が送信されても、通信距離の劣化を極力少なくし、無線通信することが可能である。
動物用耳標RFIDタグ27(耳11の前面側)のICチップ6をICチップ6(前面側)と称す。動物用耳標RFIDタグ27(耳11の背面側)のICチップ6をICチップ6(背面側)と称す。以下、便宜上、ICチップ6(前面側)とICチップ6(背面側)とには、同じ個体(管理対象の動物)の個体番号が、ICチップ6(前面側)のメモリ部20とICチップ6(背面側)のメモリ部20とに保存されていることを前提に説明を行なうが、それぞれのメモリ部20に同じ個体番号を保存せずに、それぞれ別個のIDが保存されている場合でも、RFIDリーダライタ16若しくはRFIDリーダライタ16と有線又は無線で接続された管理サーバ(データベース)、つまりシステム上で、その別個のIDが同じ個体であると設定しておけば、ICチップ6(前面側)とICチップ6(背面側)自体に、同じ個体の個体番号を保存する必要はない。言い換えると、動物用耳標RFIDタグ27(耳11の前面側)を構成するRFIDタグ6(耳11の前面側)と動物用耳標RFIDタグ27(耳11の背面側)を構成するRFIDタグ6(耳11の背面側)とが同じ個体の識別に使用できればよい。したがって、RFIDタグ6(耳11の前面側)とRFIDタグ6(耳11の背面側)とに保存されているIDやデータが管理対象の動物の個体番号と一切関係が無くてもシステム上で、ある管理対象に貼り付けられているRFIDタグが、RFIDタグ6(耳11の前面側)とRFIDタグ6(耳11の背面側)であることが分かればよい。また、このようにした場合は、RFIDタグ6(耳11の前面側)とRFIDタグ6(耳11の背面側)との再利用や交換が容易となる。
管理対象の動物の管理区域への入退場管理や給餌の際には、管理対象の動物26の前側に設置されたRFIDリーダライタ16から質問波が動物用耳標RFIDタグに送信され、ICチップ6(前面側)とICチップ6(背面側)のいずれか一方若しくは両方に保存された個体番号の情報が返信波に乗せられて、動物用耳標RFIDタグから管理対象の動物の前側に設置されたRFIDリーダライタ16に送られる。もちろん、管理対象の動物26の前側に設置されたRFIDリーダライタ16に返信波を返す可能性が高いRFIDタグは、RFIDタグ6(耳11の前面側)とRFIDタグ6(耳11の背面側)のうち、管理対象の動物の前側に設置されたRFIDリーダライタ16に距離が近い方であることはいうまでもない。実際は、RFIDリーダライタ16と両方の耳標との距離が近接していない限りは、RFIDリーダライタ16に距離が近い方のRFIDタグ(RFIDタグ6(耳11の前面側)又はRFIDタグ6(耳11の背面側))から返信波が返信される。したがって、RFIDリーダライタ16により管理対象の動物の個体番号を読み取り識別することができる。
同様に、乳の成分や発情を調べる際は、動物の耳の後側や物の耳の下側に作業者が位置し、作業者が操作するハンディタイプのリーダライタ(RFIDリーダライタ16)にから質問波が動物用耳標RFIDタグに送信され、ICチップ6(前面側)とICチップ6(背面側)のいずれか一方若しくは両方に保存された個体番号の情報が返信波に乗せられて、動物用耳標RFIDタグから管理対象の動物の前側に設置されたRFIDリーダライタ16に送られる。もちろん、作業者が操作するハンディタイプのリーダライタ(RFIDリーダライタ16)に返信波を返す可能性が高いRFIDタグは、RFIDタグ6(耳11の前面側)とRFIDタグ6(耳11の背面側)のうち、作業者が操作するハンディタイプのリーダライタ(RFIDリーダライタ16)に距離が近い方であることはいうまでもない。実際は、RFIDリーダライタ16と両方の耳標との距離が近接していない限りは、RFIDリーダライタ16に距離が近い方のRFIDタグ(RFIDタグ6(耳11の前面側)又はRFIDタグ6(耳11の背面側))から返信波が返信される。したがって、RFIDリーダライタ16により管理対象の動物の個体番号を読み取り識別することができる。
また、動物用耳標タグ27により、単に管理対象の動物26の個体情報を得るだけでなく、入退場管理や給餌の履歴や乳の成分や発情の履歴情報(以下、単に履歴情報と称す)を管理したい場合は、RFIDリーダライタ16が得た動物用耳標タグからの固体情報と履歴情報とを紐付けて、RFIDリーダライタ16側若しくはRFIDリーダライタ16と有線又は無線で接続された管理サーバ(データベース)側で管理すればよい。しかし、このような動物用耳標タグ27を用いた動物管理システムのように、RFIDリーダライタ16や管理サーバ(データベース)側でなく、動物用耳標タグに履歴情報を保存する動物用耳標タグを用いた動物管理システムを構築したい場合は、動物用耳標RFIDタグが有するICチップ6(前面側),ICチップ6(背面側)のメモリ部20それぞれに個別に履歴情報を記録・追記及び削除すればよい。
次段落以降で具体的な説明を行なう。そこでは、RFIDリーダライタ16がRFIDタグ6(耳11の前面側)及びRFIDタグ6(耳11の背面側)の両方と通信可能な距離に配置させ、RFIDタグ6(耳11の前面側)及びRFIDタグ6(耳11の背面側)と無線通信を行なうことを前提に話を進める。しかし、仮に、RFIDリーダライタ16がRFIDタグ6(耳11の前面側)と通信可能な距離で、RFIDタグ6(耳11の背面側)と通信困難な距離に配置されている場合でも、RFIDタグ6(耳11の前面側)のメモリ部20に保存された履歴情報などの情報を記録・追記及び削除が完了して、RFIDリーダライタ16とRFIDタグ6(耳11の背面側)との相対的な位置がRFIDタグ6(耳11の背面側)と通信可能な距離に変わり、RFIDリーダライタ16によって、RFIDタグ6(耳11の背面側)のメモリ部20に保存された履歴情報などの情報を記録・追記及び削除を実行しようとする前までに、別のRFIDリーダライタによって、RFIDタグ6(耳11の背面側)のメモリ部20に保存された履歴情報などの情報を記録・追記及び削除されないことが保証されておれば、RFIDリーダライタ16をRFIDタグ6(耳11の前面側)及びRFIDタグ6(耳11の背面側)の両方と通信可能な距離に配置する必要はない。
前段落の記載を前提にして、具体的に説明すると、ICチップ6(前面側)とICチップ6(背面側)とのメモリ部20は、独立しており、片方のメモリ部20に履歴情報が記録・追記されたり削除されたりしても、もう片方のメモリ部20には、記録・追記も削除もされない。そこで、履歴情報をメモリ部20に記録・追記又は削除する際に、その履歴情報が得られた時間情報、つまり、入退場管理や給餌の履歴や乳の成分や発情の履歴が記録された時間情報(以下、単に時間情報と称す)を履歴情報の記録・追記又は削除に合わせて、メモリ部20に記録・追記すればよい。仮に、ICチップ6(前面側)のメモリ部20に時間情報Aと紐付けられた履歴情報αが保存されており、ICチップ6(背面側)とのメモリ部20に時間情報Aよりもあとの時間である時間情報Bと紐付けられた履歴情報βが保存されている場合は、RFIDリーダライタ16をRFIDタグ6(耳11の前面側)及びRFIDタグ6(耳11の背面側)の両方と通信可能な距離で、RFIDタグ6(耳11の前面側)及びRFIDタグ6(耳11の背面側)と無線通信を行い、時間情報Aと時間情報Bとのうち、後の時間である方の時間情報Bと紐付けられた履歴情報βの履歴が最新であると判断できる。なお、時間情報は、時計機能を有するような構成をRFIDリーダライタ16又は管理サーバ(データベース)に形成すれば容易に得られる。また、時間情報を履歴情報に組み込んで合わせて履歴情報として運用してもよい。
時間情報からICチップ6(前面側)とICチップ6(背面側)とのメモリ部20のうち、最新の履歴情報を有しているほうが分かるとしたが、さらに、RFIDタグ6(耳11の前面側)及びRFIDタグ6(耳11の背面側)の両方と通信可能な距離にあるRFIDリーダライタ16を利用して、ICチップ6(前面側)とICチップ6(背面側)とのメモリ部20に保存されている情報を統合、片方の情報に統一するようにしてもよい。具体的には、前述のように、ICチップ6(前面側)のメモリ部20に時間情報Aと紐付けられた履歴情報αが保存されており、ICチップ6(背面側)とのメモリ部20に時間情報Aよりもあとの時間である時間情報Bと紐付けられた履歴情報βが保存されているとき、情報を統合する場合は、ICチップ6(前面側)のメモリ部20には、時間情報Bと履歴情報βとを追記し、ICチップ6(背面側)のメモリ部20には、時間情報Aと履歴情報αとを追記する。その結果、ICチップ6(前面側)とICチップ6(背面側)との両方のメモリ部20が時間情報A及びB,履歴情報α及びβが保存される。片方の情報に統一する場合、特に、最新の情報に統一する場合は、ICチップ6(前面側)のメモリ部20から時間情報Aと履歴情報αとを削除し、時間情報Bと履歴情報βとを追記する。削除と追記の動作に関して順序は問わない。ICチップ6(背面側)のメモリ部20に記録された情報は最新であるので、そのままにしておく。なお、情報を統合する場合及び最新の情報に統一する場合の両方においても、これらの処理が行われたことを「情報統一」化情報(以下、統一化情報と称す)として、ICチップ6(前面側)のメモリ部20とICチップ6(背面側)のメモリ部20との両方に記録・追記すれば、さらに、管理対象の動物の個体識別や個体管理が精度の高いものとなる。
以上のように、図10(b)のような、耳11の前面と背面にそれぞれ一つずつ動物用耳標RFIDタグ27を取り付けた場合の例に管理対象の動物26の個体識別や個体管理を行なうことが可能であることを説明したが、管理対象の動物26に三つ以上の動物用耳標RFIDタグ27を取り付けても管理対象の動物26の個体識別や個体管理を行なうことが可能であることはいうまでもない。動物用耳標RFIDタグ27が一枚増えるごとに、手順は増えるが基本的な処理は同じである。したがって、RFIDリーダライタ16のアンテナを設置され、管理対象の動物26が通過するゲート、扉、通路、給餌場などに管理対象の動物26が殺到した場合や、管理対象の動物26が密集した場合に、管理対象の動物26同士により、RFIDリーダライタ16のアンテナからの電波(質問波)が届かない動物用耳標RFIDタグ27が生じる可能性がある場合でも、管理対象の動物26一個体あたりに複数の動物用耳標RFIDタグ27を取り付けることにより、その可能性を減じることができる。
この発明の実施の形態1における変形例1について、図11〜14を用いて説明する。図11(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図11(b)は図11(a)に係る札部の側面図、図11(c)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)、図12(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図12(b)は図12(a)に係る札部の側面図、図12(b)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)であり、図11〜14において、30は札部(札部1)の姿勢を維持する姿勢維持部材、31は数字、バーコードなどが印字された動物用耳標タグである。なお、雄軸部2や雄軸基部3は、前述のものと同様のものを使用すればよい。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
図1〜10では、札部1自身が自身形状を維持できる程度の硬度のものを説明したが、図11に示すように、姿勢維持部材31により、自身で形状を維持できる程度の硬度を有していない材料でも札部1に使用することができる。図11に記載の動物用耳標RFIDタグは、姿勢維持部材31である非導電性の紐の一端を雌軸基部5に固定し、他端を札部1の先端部の右端に固定、同じく、姿勢維持部材31である非導電性の紐の一端を雌軸基部5に固定し、他端を札部1の先端部の左端に固定したものである。このように、二つの姿勢維持部材31を用いることにより、姿勢維持部材31の長さの選択により、所望の札部1の反り加減を得ることができる。姿勢維持部材31の数や固定位置は、上記のものに限るものでなく、必要とされる札部1の反り加減や札部1を反らせる部分により適宜設定すればよい。また、自身で形状を維持できる程度の硬度を有する材料を使った札部1でも、補強として姿勢維持部材31を使用してもよい。さらに、RFIDタグ6やRFID10を姿勢維持部材として使用してもよい。これは、RFIDタグ6やRFID10を札部1の中骨や芯のようにすることであり、RFIDタグのダイポールアンテナ8に姿勢を維持できる硬度の導体を使用するか、樹脂モールドしたRFIDタグを採用して、RFIDタグをモールドした樹脂が姿勢を維持できる硬度であればよい。
図1〜11では、札部1は、嵌合している雄軸部2と雌軸部4とは反対側に反っているものを説明したが、札部1は、嵌合している雄軸部2及び雌軸部4側に反っているものでも構わないことを説明する。図12に記載の動物用耳標RFIDタグは、札部1が雌軸部4と側に反っており、RFIDタグ6(RFIDタグ10)は、札部1の基端部と先端部を避けて横向き配置されている。つまり、図1〜11に記載の動物用耳標RFIDタグとは、札部1の向きが逆になっている構造といえる。このような構成となっているので、管理対象の動物26の耳11に図12に記載の動物用耳標RFIDタグを札部11の先端部を耳11に接触するように取り付けると、札部1の反りと札部11の先端部と耳11との接触により、耳11とRFIDタグ6(RFIDタグ10)との間に空間が生じるので、図12に記載の動物用耳標RFIDタグを管理対象の動物に設置してもRFIDリーダライタと良好な通信を図ることができる。但し、札部1に高硬度の材料を使用すると、耳11に動物用耳標RFIDタグを取り付けることが困難になるので、程度な可撓性を有する材料を選択する必要がある。なお、耳11とRFIDタグ6(RFIDタグ10)との間に空間に対応する箇所に配置できる形状(特に、アンテナ形状)であれば、図12に示すRFIDタグ6(RFIDタグ10)のように横向きである必要はない。
次に、図13及び14を用いて、管理対象の動物26の耳11に既存の動物用耳標タグ31が取り付けられていており、追加で動物用耳標RFIDタグ27を耳11に取り付ける場合に関して説明する。このような場合、動物用耳標RFIDタグ27の寸法及び動物用耳標タグ31の寸法や耳11の寸法の関係から、どうしても、動物用耳標RFIDタグ27と動物用耳標タグ31とが被ってしまう場合がある。しかし、動物用耳標タグ31に記載された数字やバーコードを光学的に読み取る必要があるので、動物用耳標RFIDタグ27により数字やバーコードが見えなくなることを防ぐ必要がある。そこで、図13及び14に示す管理対象の動物26のように、動物用耳標タグ31を耳11の前側に取り付けざるを得ないが、図13及び14に示す動物用耳標RFIDタグ27のように、動物用耳標タグ31と被っている部分からずらしてRFIDタグ6を配置することにより、動物用耳標タグ31の材料(樹脂)による動物用耳標RFIDタグ27のアンテナへの影響を減じることができる。なお、動物用耳標RFIDタグ27を動物用耳標タグ31の前に設置した場合でも、動物用耳標RFIDタグ27の反り加減を大きくすれば、動物用耳標RFIDタグ27の反っている部分から動物用耳標タグ31の数字やバーコードが見るように、耳11に動物用耳標RFIDタグ27と動物用耳標タグ31とを配置すれば、動物用耳標RFIDタグ27により数字やバーコードが見えなくなることを防ぐことができる。
この発明の実施の形態1における変形例2について、図15〜19を用いて説明する。図15(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図15(b)は図15(a)に係る札部の側面図、図15(c)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)、図16(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図16(b)は図16(a)に係る札部の側面図、図16(c)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)、図17(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図17(b)は図17(a)に係る札部の側面図、図17(c)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)、図18(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図18(b)は図18(a)に係る札部の側面図、図18(c)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)、図19(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図19(b)は図11(a)に係る札部の側面図、図19(c)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)である。
図15〜19において、32は札部、33は札部32に形成され、札部32を縦方向に屈曲させる札部32の横方向に延びた札部屈曲部、33aは札部1の雌軸基部5(基端部)よりに形成された屈曲部A、33bは札部1のくびれ部付近に形成された屈曲部B、33cは札部1の先端部よりに形成された屈曲部C、34は自身の姿勢を維持できる硬度の導体を使用、若しくは、モールドした樹脂が姿勢を維持できる硬度を有するものを使用したRFIDタグ(貼り付け)、35はRFIDタグ34を構成するダイポールアンテナ、36は札部に封止されるRFIDタグであり、構成要素は、RFIDタグ34と同等である。なお、雄軸部2や雄軸基部3は、前述のものと同様のものを使用すればよい。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。なお、ここでは、札部屈曲部33の説明に、三箇所の屈曲部A33a、屈曲部B33b、屈曲部C33cを用いて説明を行なうが、これに限るものではく、札部屈曲部33の数や配置は、札部32に求められる反り加減により適宜選択すればよい。もちろん、屈曲部A33a・屈曲部B33b・屈曲部C33c(後述の屈曲部D33dを含む)などの屈曲部ごとの屈曲形状は、図1〜14で説明した札部1ような滑らかな円弧状であってもよい。
図1〜14では、札部1全体が滑らかな円弧を描くように反っているものを説明したが、札部のそりは全体が円弧のような滑らかなものでなくてもよい。つまり、札部は少なくとも一つの札部屈曲部33を有しておればよい。図15に記載の動物用耳標RFIDタグのように、屈曲部A33a、屈曲部B33b、屈曲部C33cの三箇所に札部屈曲部33を形成して、図1〜14に記載された札部1のように、比較的に滑らかな反りにしてもよいし、図16のように屈曲部A33aのみ、図17のように屈曲部B33bのみ、図18のように屈曲部C33cのみの札部32でもよい。さらに、図19に示す札部32のように、RFIDタグ35やRFID36を札部屈曲部33(屈曲部A33a)の姿勢維持部材として使用してもよい。RFIDタグのダイポールアンテナ35に姿勢を維持できる硬度の導体を使用するか、樹脂モールドしたRFIDタグを採用して、RFIDタグをモールドした樹脂が姿勢を維持できる硬度であればよい。この場合、札部32の基端部に近い札部屈曲部33にアンテナの端部が配置されることになるので、アンテナの端部と耳11とが接近するが、アンテナの大部分が耳11と離れているので大きな影響は無い。また、札部が嵌合している雄軸部2及び雌軸部4側に反っている図12に記載の動物用耳標タグに札部屈曲部33を適用してもよい。なお、札部屈曲部33が札部32の基端部に近ければ近いほど、札部屈曲部33の反り加減(屈曲具合)が大きければ大きいほど、選択できるRFIDタグ6(RFID10)の形状や札部32上の位置に自由度が増す。つまり、札部32の先端部にRFIDタグ6又はRFIDタグ10を横に1つ配置したものを用いて説明したが、札部32の反り加減(屈曲具合)を耳11との距離を勘案して設定することにより、ダイポールアンテナ8を雌軸基部5に近接させない限り、札部32におけるRFIDタグ6又はRFIDタグ10の他の配置も選択できる。
実施の形態2.
以下、この発明の実施の形態2について、図20〜22を用いて説明する。図20(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図20(b)は図20(a)に係る札部の側面図、図20(c)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(前面樹脂層にRFIDタグ内蔵)、図21(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図21(b)は図21(a)に係る札部の側面図、図21(c)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(前面樹脂層にRFIDタグ内蔵)、図22(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図22(b)は図22(a)に係る札部の側面図、図22(c)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(前面樹脂層にRFIDタグ内蔵)である。
図20〜22において、1aは平坦な形状で、耳11に取り付ける際、又は、耳11に取り付け後、に耳11との接触により撓む程度の可撓性を有する札部、37は動物用耳標タグを耳11に取り付けた際に耳11と対向する面と反対の札部1aの表面に形成された前面樹脂層、38は動物用耳標タグを耳11に取り付けた際に耳11と対向する面と反対の札部1aの表面に形成され、札部1aの先端部に向かってテーパ状に厚みが増加していく、表面の傾斜を有する前面樹脂層、39は動物用耳標タグを耳11に取り付けた際に耳11と対向する面と反対の札部1aの表面に形成され、札部1aの先端部に向かってテーパ状に厚みが減少していく、表面の傾斜を有する前面樹脂層である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。なお、図20においては札部1aと前面樹脂層37とは一体でないものを示し、図21においては札部1aと前面樹脂層38とは一体のものを示し、図22においては札部1aと前面樹脂層39とは一体のものを示しているが、札部1aと前面樹脂層37〜39とにおける一体又は一体でないの選択は自由である。但し、既存の札部にRFIDタグ6(RFIDタグ10)を実装する場合は、札部1aと前面樹脂層37,前面樹脂層38,前面樹脂層39とは一体でないことはいうまでもない。前面樹脂層37〜39の材料には低誘電率のものを使用することがRFIDタグのアンテナへの影響が少なく、理想的である。さらに、前面樹脂層37〜39は、動物用耳標タグを耳11に取り付けた際に耳11と対向する面と反対の札部1aの表面全体若しくはほぼ全体に形成してもよい。
図20に記載の動物耳標RFIDタグは、嵌合している雄軸部2と雌軸部4とは反対側の札部1aの表面に表面が平坦な前面樹脂層37が形成されており、その前面樹脂層37の表面(図20(b))又は内部(図20(c))にRFIDタグが設けられている。このような構造を動物耳標RFIDタグが有しているので、耳11に動物耳標RFIDタグを取り付けても、札部1aの厚みと前面樹脂層37のRFIDタグ6(RFIDタグ10)までの厚みと距離分、RFIDタグ6(RFIDタグ10)が耳11から離れるので、図20に記載の動物用耳標RFIDタグを管理対象の動物26に設置してもRFIDリーダライタと良好な通信を図ることができる。また、札部1a自身を反らせる(曲げることを含む)場合に比べて、設置対象の耳11の形状に関わらず、常に札部1aの厚みと前面樹脂層37のRFIDタグ6(RFIDタグ10)までの厚みと距離分以上に耳11からRFIDタグ6(RFIDタグ10)を離すことが可能となる。このために、RFIDタグ6(RFIDタグ10)の前面樹脂層37上の位置や角度(アンテナが斜めの場合)は、どこでもよいことになる。
図21に記載の動物耳標RFIDタグと図20に記載の動物耳標RFIDタグとの違いは、前面樹脂層が札部1aの先端部に向かってテーパ状に厚みが増加していく、表面の傾斜を有する前面樹脂層38であることである。前面樹脂層38は傾斜しているので、その傾斜に合わせてRFIDタグ6(RFIDタグ10)を傾けて配置することにより、耳11が下を向いていても、RFIDタグ6(RFIDタグ10)を正面に向けることができる。また、耳11が下を向いていない場合でも、管理対象の動物26が屋外で雨が掛かり、動物耳標RFIDタグの表面がぬれた場合でも、前面樹脂層38の傾斜面を雨の水分が流れるために、動物耳標RFIDタグの表面に水滴が残りにくいので、RFIDリーダライタと良好な通信を図ることができる。なお、耳11との関係からRFIDタグ6(RFIDタグ10)の前面樹脂層37上の位置は、前面樹脂層38に基端部よりの厚みが薄いので、札部1aの先端部よりに配置する方がよい。
図22に記載の動物耳標RFIDタグと図20及び21に記載の動物耳標RFIDタグとの違いは、前面樹脂層が札部1aの先端部に向かってテーパ状に厚みが減少していく、表面の傾斜を有する前面樹脂層39であること、耳11と十分な距離を取るためにRFIDタグ6(RFIDタグ10)の設置位置が札部1aの先端部から遠ざける必要があることである。前面樹脂層39は傾斜しているので、その傾斜に合わせてRFIDタグ6(RFIDタグ10)を傾けて配置することにより、耳11が上を向いていても、RFIDタグ6(RFIDタグ10)を正面に向けることができる。なお、耳11との関係からRFIDタグ6(RFIDタグ10)の前面樹脂層39上の位置は、前面樹脂層39に先端部よりの厚みが薄いので、札部1aの基端部よりに配置する方がよい。また、耳11が上を向いていない場合でも、管理対象の動物26が屋外で雨が掛かり、動物耳標RFIDタグの表面が濡れた場合でも、前面樹脂層39の傾斜面を雨の水分が流れるために、動物耳標RFIDタグの表面に水滴が残りにくいので、RFIDリーダライタと良好な通信を図ることができる。なお、図22の札部1aと前面樹脂層39との間にある段差に雨の水分が残る可能性がある場合は、この段差を滑らかな形状にしてもよい。これは、図21と図22とに記載の動物用耳標RFIDタグを組み合わせた形ともいえ、前面樹脂層を突起のような形にしてもよい。言い換えると、図20に記載の動物用耳標RFIDタグの前面樹脂層37を上と下に傾斜部を設けたような形とも言える。また、前面樹脂層37〜39をこぶ状の突起としてもよい。
実施の形態3.
以下、この発明の実施の形態3について、図23〜25を用いて説明する。図23(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図23(b)は図23(a)に係る札部の側面図、図23(c)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)、図24(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図24(b)は図24(a)に係る札部の側面図、図24(c)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)、図25(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図25(b)は図25(a)に係る札部の側面図、図25(c)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)である。
図23〜25において、40は動物用耳標タグを耳11に取り付けた際に耳11と対向する面に形成された背面樹脂層、41は動物用耳標タグを耳11に取り付けた際に耳11と対向する面に形成され、札部1aの先端部に向かってテーパ状に厚みが増加していく、表面の傾斜を有する、表面の傾斜を有する背面樹脂層、42は動物用耳標タグを耳11に取り付けた際に耳11と対向する面に形成され、札部1aの先端部に向かってテーパ状に厚みが減少していく、表面の傾斜を有する、表面の傾斜を有する背面樹脂層である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。なお、図23においては札部1aと背面樹脂層40とは一体のものを示し、図24においては札部1aと背面樹脂層41とは一体のものを示し、図25においては札部1aと背面樹脂層42とは一体のものを示しているが、札部1aと背面樹脂層40〜42とにおける一体又は一体でないの選択は自由である。但し、既存のRFIDタグ6(RFIDタグ10)が実装された動物用耳標RFIDタグに背面樹脂層40〜42を追加する場合は、札部1aと背面樹脂層40,背面樹脂層41,背面樹脂層42とは一体でないことはいうまでもない。背面樹脂層40〜42の材料には低誘電率のものを使用することがRFIDタグのアンテナへの影響が少なく、理想的である。さらに、背面樹脂層40〜42は、動物用耳標タグを耳11に取り付けた際に耳11と対向する面全体若しくはほぼ全体に形成してもよい。
図23に記載の動物耳標RFIDタグは、嵌合している雄軸部2及び雌軸部4側の札部1aの表面に背面樹脂層40が形成されており、札部1aの表面(図23(a))又は内部(図23(b))、若しくは、札部1a側の背面樹脂層40の内部にRFIDタグが設けられている。このような構造を動物耳標RFIDタグが有しているので、耳11に動物耳標RFIDタグを取り付けても、背面樹脂層40の厚み(背面樹脂層40のRFIDタグ6(RFIDタグ10)までの厚み)と札部1aのRFIDタグ6(RFIDタグ10)までの厚みと距離分と札部1aの撓みによる耳11との間の空間により、RFIDタグ6(RFIDタグ10)が耳11から離れるので、図23に記載の動物用耳標RFIDタグを管理対象の動物26に設置してもRFIDリーダライタと良好な通信を図ることができる。設置対象の耳11の形状に関わらず、札部1aの厚みと背面樹脂層40のRFIDタグ6(RFIDタグ10)までの厚みと距離分程度に耳11からRFIDタグ6(RFIDタグ10)を離すことが可能となる。このために、RFIDタグ6(RFIDタグ10)の背面樹脂層40が背面にあれば札部1a上の位置や角度(アンテナが斜めの場合)は、どこでもよいことになる。
図24に記載の動物耳標RFIDタグと図23に記載の動物耳標RFIDタグとの違いは、背面樹脂層が札部1aの先端部に向かってテーパ状に厚みが増加していく、表面の傾斜を有する背面樹脂層41であることである。背面樹脂層41は傾斜しているので、背面樹脂層41と札部1aとの間に段差が生じない。図22に記載の動物耳標RFIDタグと図20に記載の動物耳標RFIDタグとの違いは、背面樹脂層が札部1aの先端部に向かってテーパ状に厚みが減少していく、表面の傾斜を有する前面樹脂層42であることである。背面樹脂層42は傾斜しているので、背面樹脂層42と札部1aとの間に段差が生じるが、この段差突起となり、耳11と背面樹脂相層42との接触する箇所が少なくて済む。なお、図25の札部1aと背面樹脂層42との間にある段差が鋭利なることを避けて滑らかな形状にしてもよい。これは、図24と図25とに記載の動物用耳標RFIDタグを組み合わせた形ともいえ、背面樹脂層を突起のような形にしてもよい。言い換えると、図23に記載の動物用耳標RFIDタグの背面樹脂層40を上と下に傾斜部を設けたような形とも言える。また、背面樹脂層40〜42をこぶ状の突起としてもよい。詳細は、実施の形態4で説明する。こぶ状とは、半球状のものでもよいし、緩やかな丘陵状のようなものでよい。また、複数の突起を形成する場合は、全体として波状とみなせるものでもよい。
実施の形態4.
以下、この発明の実施の形態4について、図26〜32を用いて説明する。図26(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図26(b)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の背面図、図26(c)は図26(a)(b)に係る札部の側面図、図26(d)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)、図27(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図27(b)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の背面図、図27(c)は図27(a)(b)に係る札部の側面図、図27(d)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)、図28(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図28(b)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の背面図、図28(c)は図28(a)(b)に係る札部の側面図、図28(d)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)、図29(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図29(b)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の背面図、図29(c)は図29(a)(b)に係る札部の側面図、図29(d)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)である。
続いて、図30(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図30(b)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の背面図、図30(c)は図30(a)(b)に係る札部の側面図、図30(d)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)、図31(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図31(b)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の背面図、図31(c)は図31(a)(b)に係る札部の側面図、図31(d)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)、図32(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図32(b)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の背面図、図32(c)は図32(a)(b)に係る札部の側面図、図32(d)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)であり、図26〜32において、43は札部1aの背面に形成されたこぶ状の突起部、44は札部1aの背面に形成されたこぶ状の突起部、45は札部1aの背面に形成されたこぶ状の突起部、46は札部1aの背面に形成されたこぶ状の突起部である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。図26(a)、図27(a)、図28(a)、図29(a)、図30(a)、図31(a)、図32(a)では、札部の背面に形成された突起部43〜46を点線で示している。突起部43〜46の材料には低誘電率のものを使用することがRFIDタグのアンテナへの影響が少なく、理想的である。実施の形態4に係る動物用耳標RFIDタグは、背面樹脂層40〜42を突起部43〜46に置換したと考えると、実施の形態3に係る動物用耳標RFIDタグの変形例ともいえるので、構造の以外の説明は、実施の形態4に係る動物用耳標RFIDタグに特有のもの以外は省略する。
図26に記載の動物耳標RFIDタグは、耳11に設置した際に、耳11と接する部分に、つまり、嵌合している雄軸部2及び雌軸部4側の札部1aの表面にこぶ状の突起部43が形成されているので、耳11に接したときも柔らかなに圧が掛かるので、耳11に与える影響が少ない。図27に記載の動物耳標RFIDタグは、耳11に設置した際に、耳11と接する部分に突起部43よりも径が小さいこぶ状の突起部44を複数形成しているので、耳11に接したときに掛かる圧が分散し、図26に記載の動物耳標RFIDタグよりも、さらに、耳11に与える影響が少ない。図28に記載の動物耳標RFIDタグは、図27に記載の動物耳標RFIDタグの突起部44を縦一列のみの配列にしたもので、耳11と突起部44との接触面積を減じることができる。札部1aにおけるRFIDタグ6(RFIDタグ10)の配置は、突起部44により耳11との距離が十分に取れる位置であれよいので、図26〜28に示す位置である必要はない。
図29に記載の動物耳標RFIDタグは、突起部44よりも径が小さくこぶ状の突起部45と、さらに、径が小さくこぶ状の突起部45を有し、この三つの突起部44〜46が、札部1aの基端部から先端部に向かって徐々に大きくなるように配置されている。このため、動物耳標RFIDタグを耳11に取り付けた場合に、札部1aの基端部から先端部に向かって徐々に、札部1aが、嵌合している雄軸部2と雌軸部3とは反対側に反っていくので、札部1aに無理な力が掛かりにくいという効果を奏する。なお、複数の突起部が、札部1aの基端部から先端部に向かって徐々に大きくなるように配置されておれば、突起部の数や径に制限はない。札部1aにおけるRFIDタグ6(RFIDタグ10)の配置は、突起部により耳11との距離が十分に取れる位置であれよいので、図29に示す位置である必要はないが、突起部が小さすぎることにより、耳11との距離が十分に取れない場合は除く。
図30〜32に記載の動物耳標RFIDタグは、平面視で札部1aのRFIDタグ6(RFIDタグ10)が形成された部分を外して複数の突起部44が形成されている。図30では、札部1aの先端部にRFIDタグ6(RFIDタグ10)が横向きに配置されている。図31では、札部1aのくびれ部から先端部に亘ってRFIDタグ6(RFIDタグ10)が縦向きに配置されている。図32では、札部1aにRFIDタグ6(RFIDタグ10)が斜め向きに配置されている。このように、図30〜32に記載の動物耳標RFIDタグは、平面視でRFIDタグ6(RFIDタグ10)が突起部44と被らないように配置されているので、突起部44に低誘電率以外のものを採用しても、RFIDタグ6(RFIDタグ10)のアンテナに与える影響が少ない。もちろん、図26〜図29で説明した突起部を図30〜32で説明した突起部に適用してもよい。
実施の形態5.
以下、この発明の実施の形態5について、図33〜38を用いて説明する。図33(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図33(b)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の札部スペーサへの挿入図、図33(c)は図33(a)に係る札部の側面図、図33(d)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)、図34(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図34(b)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の札部クリップへの挿入図、図34(c)は図33(a)に係る札部の側面図、図34(d)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)、図35(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図35(b)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の札部スペーサへの挿入図、図35(c)は図33(a)に係る札部の側面図、図35(d)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)、図36(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図36(b)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の札部の札部スペーサへの挿入図、図36(c)は図33(a)に係る札部の側面図、図36(d)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)である。
続いて、図37(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図37(b)は図37(a)の矢印方向から見た動物用耳標RFIDタグの構成図、図37(c)は図33(a)に係る札部の側面図、図37(d)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)、図38(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図38(b1)は図38(a)の矢印方向から見た動物用耳標RFIDタグの構成図、図38(b2)は図38(a)の矢印方向から見た動物用耳標RFIDタグの構成図(札部省略)、図38(c)は図38(a)に係る札部の側面図、図38(d)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)であり、図33〜38において、47は札部1aを嵌合する札部スペーサ、48は札部1aを挟み込む札部クリップ、49は札部1aを嵌合する札部線状スペーサ50は札部1aを嵌合する札部スペーサである。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。札部スペーサ47、札部クリップ48、札部スペーサ49、札部線状スペーサ50には低誘電率のものを使用することがRFIDタグのアンテナへの影響が少なく、理想的である。しかし、札部スペーサ47、札部クリップ48、札部スペーサ49、札部線状スペーサ50を平面視で、RFIDタグ6(RFIDタグ10)を避けるように配置した場合は、札部スペーサ47、札部クリップ48、札部スペーサ49、札部線状スペーサ50に低誘電率以外のものを採用しても、RFIDタグ6(RFIDタグ10)のアンテナに与える影響が少ない。また、札部スペーサ47、札部クリップ48、札部スペーサ49、札部線状スペーサ50を使用する個数に関しては、任意で選択すればよい。
図33に記載の動物用耳標RFIDタグは、札部1aの両脇に札部スペーサ47を嵌合させる(図33(b))ことにより、動物用耳標RFIDタグを管理対象の動物26に取り付けた際に、耳11からRFIDタグ6(RFIDタグ10)を遠ざけるスペーサとして札部スペーサ47が機能する。同じく、図34に記載の動物用耳標RFIDタグは、札部1aの両脇に札部クリップ48を嵌合させる(図34(b))ことにより、動物用耳標RFIDタグを管理対象の動物26に取り付けた際に、耳11からRFIDタグ6(RFIDタグ10)を遠ざけるスペーサとして札部クリップ48が機能する。このように、札部スペーサ47、札部クリップ48を利用することにより、既存の動物用耳標RFIDタグを流用して実施の形態5に係る動物用耳標RFIDタグを構成することが可能となるだけでなく、管理対象の動物26の種別ごとに札部スペーサ47、札部クリップ48を準備することにより、管理対象の動物26の種別ごとに札部1aを準備する必要がなくなる。なお、札部1aの先端部にRFIDタグ6又はRFIDタグ10を横に1つ配置したものを用いて説明したが、札部スペーサ47又は札部クリップ48による札部1aと耳11との距離と札部スペーサ47又は札部クリップ48の配置を勘案して設定することにより、ダイポールアンテナ8を雌軸基部5に近接させない限り、札部1aにおけるRFIDタグ6又はRFIDタグ10の他の配置も選択できる。これは、以下に説明する図37及び38に記載の動物耳標RFIDタグに関してもいえることである。但し、図38に記載の動物耳標RFIDタグのスペーサは、札部線状スペーサ50である。また、図36では、RFIDタグ6(RFIDタグ10)が札部1aではく、札部スペーサ49に実装される点が異なるが、耳11との距離と札部スペーサ49の配置を勘案して設定することにより、札部スペーサ49におけるRFIDタグ6又はRFIDタグ10の他の配置も選択できる。
次に、札部スペーサ47の別の形状である札部スペーサ49の説明を行なう。図35に記載の動物用耳標RFIDタグは、図33に記載の動物用耳標RFIDタグとは異なり、札部スペーサ47よりも幅広の札部スペーサ49が札部1aを嵌合している。このように、札部スペーサ49が幅広であるために、札部1aの大部分を覆うことになるので、札部1aやRFIDタグ6(RFIDタグ10)の保護層としての働きをするので、動物用耳標RFIDタグの耐環境性(耐候性)や動物用耳標RFIDタグの破壊防止に役立つ。さらに、札部スペーサ49が幅広であるからRFIDタグ6(RFIDタグ10)を札部1aに実装せずに、札部スペーサ49に実装することも可能である。その場合が、図36に記載の動物用耳標RFIDタグとなる。これは、RFIDタグ6(RFIDタグ10)の札部スペーサ49を、RFIDタグを有さない既存の動物用耳標タグ31に嵌合させることで、容易に実施の形態5に係る動物用耳標RFIDタグを実現できることを意味する。また、札部スペーサ49に透明な材料を使用することにより、既存の動物用耳標タグ31に記載された数字やバーコードから避けて、RFIDタグ6(RFIDタグ10)の配置すれば、動物用耳標RFIDタグの機能と動物用耳標タグ31の機能との両方を使用することが可能となる。さらに、札部スペーサ47は、札部1aの先端部から縦に配置するだけでなく、図37に記載の動物用耳標RFIDタグのように、札部1aの側方から嵌合させてもよい。もちろん、斜めに札部スペーサ47を札部1aに挿入して嵌合してもよい。また、図38に記載の動物用耳標RFIDタグのように、線状で平ループ(図38(b2))である札部線状スペーサ50を札部1aに挿入しても、実施の形態5に係る動物用耳標RFIDタグを容易に実現することができる。
実施の形態6.
以下、この発明の実施の形態6について、図39を用いて説明する。図39(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図39(b)動物用耳標RFIDタグを構成する雄軸部の側面図、図39(c)は図39(a)に係る札部の側面図、図39(d)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)であり、図39において、51はループ状で弾性を有する札部である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。図39に記載の動物用耳標RFIDタグは、札部51自体がループ状になっている。このループ状の札部51は、雌軸基部5により束ねられている。札部51の雄軸部2と雌軸部4とは反対側に反っている部分と反対側の部分、つまり、嵌合している雄軸部2及び雌軸部3側に反っている部分の表面又は内部にRFIDタグが設けられている。動物用耳標RFIDタグは、このような構造を成しているので、平坦な札部を丸め、端部を雌軸基部5で固定するだけで札部51が得られる。したがって、容易に、RFIDタグ6(RFIDタグ10)を構成するICチップ5が接続されたアンテナが管理対象の動物26の耳11からの影響を受けにくい構造を有する動物用耳標RFIDタグを得ることができる。なお、札部51は、基端部と先端部との両方を雌軸部4(雌軸基部5)に固定されたループ状の札であるともいえる。
実施の形態7.
以下、この発明の実施の形態7について、図40を用いて説明する。図40(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図40(b)は図40(a)の矢印方向から見た動物用耳標RFIDタグの構成図(ICチップが透視されている)、図40(c)は図40(a)に係る札部の側面図、図40(d)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグが内蔵されているが透視はしていない)であり、52は横方向に反った札部である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。実施の形態1などでは、縦方向や斜め方向に反った札部を用いた動物用耳標タグを説明したが、図40に記載の動物用耳標RFIDタグのように、嵌合している雄軸部2及び前記雌軸部3側で、横方向に反った札部52にRFIDタグ6(RFIDタグ10)を形成してもよい。これは、図12に記載の動物用耳標RFIDタグと同様に札部の端部が耳11と接触する。但し、図12に記載の動物用耳標RFIDタグは、札部1の先端部が耳11と接するが、図40に記載の動物用耳標RFIDタグは、札部52の側部が耳11と接することになる。また、札部52を、嵌合している雄軸部2と雌軸部4とは反対側へ、横方向に反らせてもよいが、この場合は、RFIDタグ6(RFID10)は、図40に記載の動物用耳標RFIDタグと異なり、札部の側方に配置する必要がある。さらに、札部52の片側だけを反らせてもよい。これは、図12や図1に記載の動物用耳標RFIDタグの雌軸部4(雌軸基部5)が形成された札部の基端部と札部のくびれ部とを札部の横に取り付けたような形になる。
実施の形態8.
以下、この発明の実施の形態8について、図41〜45を用いて説明する。図41(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図41(b)動物用耳標RFIDタグを構成する雄軸部の側面図、図41(c)は図41(a)に係る札部の側面図、図41(d)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)、図42(a)は動物用耳標RFIDタグの装着前の模式図、図42(b)は動物用耳標RFIDタグの装着後の模式図、図43(a)は図1(a)の矢印方向から見た動物用耳標RFIDタグの構成図、図43(b)は図1(a)の一点鎖線ABによる断面の断面図、図44(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図44(b)は図44(a)に係る札部の側面図、図44(c)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)、図45(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図45(b)は図45(a)に係る札部の側面図、図45(c)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)であり、図41〜45において、5aは雌軸部4と雌軸基部5との間に配置された軸部スペーサである。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。なお、軸部スペーサ5aは、雌軸基部5と一体のものを図示しているが一体である必要はない。
図41(a)(c)(図41(d))から、RFIDタグ6(RFIDタグ10)が札部1aの先端部側に貼り付けられており、雄軸部2と雌軸部4と嵌合させた場合、軸部スペーサ5aにより、雄軸部2と雌軸部4と嵌合させた部分よりも前面に札部1aが突出していることが分かる。次に、図42(a)に示すように、札部1と雄軸部2との間に耳11を配置し、雌軸部4に雄軸部2を挿入して互いを嵌合することにより、実施の形態8に係る動物用耳標RFIDタグの耳11への装着が完了する。図42(b)及び図43が装着後を示す図面である。図43(a)は図41(a)の矢印方向から見た場合の札部1(雌軸部3)と雄軸部2とが嵌合された状態の図面である。図43(b)は図41(a)の一点鎖線ABによる断面から見た場合の札部1(雌軸部3)と雄軸部2とが嵌合された状態の図面である。雌軸部4と雄軸部2との嵌合は、耳標装着器を使用することにより簡便に行なうことができる。また、札部1と雄軸部2を耳11に前後逆に取り付けてもよい。なお、図43では、耳11が配置される部分を空間12として、動物用耳標タグの構成や位置関係を明瞭にしている。
以上のような構成を採っているので、実施の形態8に係る動物用耳標RFIDタグは、図43(a)に示すように、札部1aと耳11(空間12)との間に空間(図43(b)中の矢印で示した間隔)ができるので、雄軸部2と雌軸部4とが嵌合している付近で、耳11と札部1とは、軸部スペーサ5aの分だけ、耳11から札部1aが離れている。そこで、図43(b)に示すように、札部1aが耳11から離れた部分である札部1aの先端部付近にRFIDタグ6を設けても、札部1aが平坦な形状であるので、耳11からRFIDタグ6が離れることになり、RFIDタグ6を構成するICチップが接続されたアンテナに対する管理対象の動物(生体)の影響を大幅に減じることができる。したがって、実施の形態8に係る動物用耳標RFIDタグを管理対象の動物に設置してもRFIDリーダライタと良好な通信を図ることができ、管理対象の動物の個体識別や個体管理を高い確度で行なうことができる。なお、実施の形態8に係る動物用耳標RFIDタグは、札部1aは、嵌合している雄軸部2及び雌軸部4側に雌軸部4よりも大径の軸部スペーサ5aを介して接続されているともいえる。また、軸部スペーサ5aによって、耳11と札部1aとの距離がほぼ一定に保てるので、図44及び45に記載の動物用耳標RFIDタグに代表されるように、実装するRFIDタグ6(RFIDタグ10)の実装位置の自由度が他の実施の形態よりも高いことが分かる。
実施の形態9.
以下、この発明の実施の形態9について、図46〜48を用いて説明する。図46(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図46(b)は図46(a)に係る札部の側面図、図46(c)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)、図47(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図47(b)は図47(a)に係る札部の側面図、図47(c)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)、図48(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図48(b)は図48(a)に係る札部の側面図、図48(c)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)であり、図46〜48において、53は札部、54は反った札部、55は屈曲した札部、33dは札部55の先端部よりに形成された屈曲部Dである。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。実施の形態8では、軸部スペーサ5aによって、耳11と札部1aとの距離を離したが、実施の形態9では、雌軸基部5に札部53〜55を斜めに固定して、札部53〜55の先端部側が、嵌合している雄軸部2と雌軸部4とは反対側に延伸した動物用耳標RFIDタグを説明する。
図46に記載の動物用耳標RFIDタグは、平坦な札部53が斜めに雌軸基部5に固定されているので、先端部に向かうにつれて、札部53が耳11から離れていくので、耳11との距離が所望の位置となるところに、RFIDタグ6(RFIDタグ10)を実装すれば、RFIDタグ6(RFIDタグ10)を構成するICチップが接続されたアンテナが管理対象の動物の耳(生体)からの影響を受けにくい構造を有する動物用耳標RFIDタグを得ることができる。これは、図47及び48に記載の動物用耳標RFIDタグでも同様のことであるが、図47に記載の動物用耳標RFIDタグの札部54は反った形状、言い換えると、札部1を逆さにした側面の形状をしており、札部53と比べて、先端部が突出しない動物用耳標RFIDタグを得ることができる。同じく、図48に記載の動物用耳標RFIDタグの札部55は屈曲部Dを有した屈曲形状、言い換えると、図16〜18に記載された札部32を逆さにした側面の形状をしており、札部53と比べて、先端部が突出しない動物用耳標RFIDタグを得ることができる。したがって、図48に記載の動物用耳標RFIDタグは、図16〜18に記載された札部屈曲部33のような多様な配置を有する構造や図15に記載された複数の札部屈曲部33を有する構造も採ることができる。なお、札部53〜55の先端部にRFIDタグ6又はRFIDタグ10を横に1つ配置したものを用いて説明したが、耳11との距離を勘案して設定することにより、ダイポールアンテナ8を雌軸基部5に近接させない限り、札部53〜55におけるRFIDタグ6又はRFIDタグ10の他の配置も選択できる。
実施の形態10.
以下、この発明の実施の形態10について、図49〜52を用いて説明する。図49(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図49(b)動物用耳標RFIDタグを構成する雄軸部の側面図、図49(c)は図49(a)に係る札部の側面図、図49(d)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)、図50(a)は動物用耳標RFIDタグの装着前の模式図、図50(b)は動物用耳標RFIDタグの装着後の模式図、図51(a)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の正面図、図51(b)動物用耳標RFIDタグを構成する雄軸部の側面図、図51(c)は図51(a)に係る札部の側面図、図51(d)は動物用耳標RFIDタグを構成する札部の側面図(RFIDタグ内蔵)、図52(a)は動物用耳標RFIDタグの装着前の模式図、図52(b)は動物用耳標RFIDタグの装着後の模式図であり、図49〜52において、2aは屈曲した雄軸部である軸部屈曲部、4aは屈曲した雌軸部である軸部屈曲部である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。実施の形態1〜9では、雄軸部2と雌軸部4とは曲がっていない動物用耳標RFIDタグを説明してきたが、実施の形態10では、雄軸部(軸部屈曲部2a)と雌軸部(軸部屈曲部4a)とのいずれかが曲がっている動物用耳標RFIDタグを説明する。言い換えると、雄軸部及び雌軸部の少なくとも一方に軸部屈曲部を有する動物用耳標RFIDタグを説明する。
図49及び50に記載指された動物用耳標タグに関して説明を行なう。図49(a)(c)(図49(d))から、RFIDタグ6(RFIDタグ10)が札部1aの先端部側に貼り付けられており、軸部屈曲部2aと雌軸部4と嵌合させた場合、軸部屈曲部2aにより、軸部屈曲部2aと雌軸部4と嵌合させた部分よりも前面に札部1aが突出していることが分かる。次に、図50(a)に示すように、札部1と軸部屈曲部2aとの間に耳11を配置し、雌軸部4に軸部屈曲部2aを挿入して互いを嵌合することにより、実施の形態10に係る動物用耳標RFIDタグの耳11への装着が完了する。図50(b)が装着後を示す図面である。雌軸部4と軸部屈曲部2aとの嵌合は、耳標装着器を使用することにより簡便に行なうことができる。また、札部1と軸部屈曲部2aを耳11に前後逆に取り付けてもよい。軸部屈曲部2aが屈曲しているので、図50(b)に示すように、札部1aの基端部の上部又は雌軸基部5の上部が耳11と接して札部1aの位置が固定され、札部1aが平坦な形状であるので、札部1aの先端部付近にRFIDタグ6があるので、耳11からRFIDタグ6が離れることになり、RFIDタグ6を構成するICチップが接続されたアンテナに対する管理対象の動物(生体)の影響を大幅に減じることができる。
次に、図51及び52に記載指された動物用耳標タグに関して説明を行なう。図51(a)(c)(図51(d))から、RFIDタグ6(RFIDタグ10)が札部1aの先端部側に貼り付けられており、雄軸部2と軸部屈曲部4aと嵌合させた場合、軸部屈曲部4aにより、雄軸部2と軸部屈曲部4aと嵌合させた部分よりも前面に札部1aが突出していることが分かる。次に、図52(a)に示すように、札部1と雄軸部2との間に耳11を配置し、軸部屈曲部4aに雄軸部2を挿入して互いを嵌合することにより、実施の形態10に係る動物用耳標RFIDタグの耳11への装着が完了する。図52(b)が装着後を示す図面である。軸部屈曲部4aと雄軸部2との嵌合は、耳標装着器を使用することにより簡便に行なうことができる。また、札部1と雄軸部2を耳11に前後逆に取り付けてもよい。軸部屈曲部4aが屈曲しているので、図52(b)に示すように、札部1aの基端部の上部又は雌軸基部5の上部が耳11と接して札部1aの位置が固定され、札部1aが平坦な形状であるので、札部1aの先端部付近にRFIDタグ6があるので、耳11からRFIDタグ6が離れることになり、RFIDタグ6を構成するICチップが接続されたアンテナに対する管理対象の動物(生体)の影響を大幅に減じることができる。
このように、実施の形態10に係る動物用耳標RFIDタグを管理対象の動物に設置してもRFIDリーダライタと良好な通信を図ることができ、管理対象の動物の個体識別や個体管理を高い確度で行なうことができる。また、札部1aを実施の形態9で説明した札部54又は札部55に置換してもよい。なお、札部1aの先端部にRFIDタグ6又はRFIDタグ10を横に1つ配置したものを用いて説明したが、耳11との距離を勘案して設定することにより、ダイポールアンテナ8を雌軸基部5に近接させない限り、札部1aにおけるRFIDタグ6又はRFIDタグ10の他の配置も選択できる。
実施の形態1〜10において、札部屈曲部33を適用していない構造にも、少なくとも一つの札部屈曲部33を追加して、耳11とRFIDタグ6(RFIDタグ10)との距離の調整や動物用耳標RFIDタグの外形の調整を行なってもよい。同じく、実施の形態1〜10において、姿勢維持部材31や姿勢維持部材の機能を有する構造を適用していない構造に適用してもよい。なお、図12や図40に記載の動物用耳標RFIDタグのように、札部が反ることにより、札部の端部又は側部が耳11と接触するもののうち、札部と耳11との間に姿勢維持部材が介在する場合は、姿勢維持部材と耳11とが接触することになるので、姿勢維持部材が札部スペーサとしての機能も有する場合もある。したがって、このような場合は、札部の端部又は側部と耳11とが接触しないこともある。