以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
以下の実施の形態においては、本発明を液晶表示装置(液晶ディスプレイ)に適用した例について説明する。すなわち、以下の実施の形態において、表示装置10は、液晶表示パネル(LCDパネル、液晶表示パネル)からなる表示パネル40を含んで構成されている。
図1に示すように、表示装置10は、表示パネル40と、表示パネル40に接続され表示パネル40の駆動を制御する制御装置20と、液晶表示パネルとしての表示パネル40を背面側(非観察者側)から照明する面光源装置(バックライト)30と、を有している。そして、液晶表示パネルとして形成された表示パネル40が面光源装置30からの面状光を選択的に透過させることにより、映像を表示面12に表示することができるようになっている。
面光源装置30としては、例えば、エッジライト型や直下型等の面光源装置が適宜用いられ得る。本実施の形態において、面光源装置30は、可視光だけでなく赤外線も発光するようになっている。例えば、面光源装置に内蔵される光源が発光ダイオード(LED)から構成されている場合、典型的には、830nm以上の光が面光源装置30から発光されるようになる。
また、図1〜図3に示された表示装置10は、表示面12に映像を表示する表示機能だけでなく、人間の手の指90a(図3参照)や専用の入力用手段(入力ペン)等の被検出体90(被検出物90)が表示面12に接触または接近したことを検出することができ、さらには、被検出体90が表示面12のどの位置に接触または接近しているかを検出することができる機能を有している。つまり、表示装置10は、文字や図等の情報を映像として出力する出力装置として機能するだけでなく、表示面12上に表示された内容に対応した情報の入力を行う入力手段としても機能する。この際、表示装置10の表示面12は、入力手段(タッチパネル装置)の入力面(タッチ面、接触面)として機能するようになる。
制御装置20は、表示されるべき映像に関する情報を処理する映像情報処理部22と、外部からの情報の読み取りを行う演算部24と、を有している。映像情報処理部22は、表示パネル40に接続され、映像情報に基づいて表示パネル40を駆動する。すなわち、映像情報処理部22は、映像情報に基づいて、各画素の表示状態を制御するように構成された回路(駆動回路)を含んでいる。一方、演算部24は、映像情報処理部22と接続され、読み取った情報を外部からの入力情報として映像情報処理部22へ送信することもできる。この際、映像情報処理部22は、入力情報に基づいた映像情報を作成し、入力情報に対応した映像を表示面12に表示させるようにすることもできる。制御装置20の映像情報処理部22および演算部24については、回路構成も含め、従来の映像表示装置で用いられている映像情報処理部22や、従来のタッチパネル装置で用いられている演算部24と同様に構成することができる。
なお、本実施の形態においては、演算部24が、表示装置10の表示面12への被検出体90の接触または接近を検出するとともに、被検出体90が接触または接近する表示面12上の位置を検出することにより、表示面12を介した外部からの情報の入力を読み取るように構成されている例について、説明する。
次に、表示パネル40について詳述する。表示パネル40は、映像を表示することができる表示領域DA(図1参照)を含んでいる。表示領域DAは、画素領域A1と、画素領域A1の外側の領域である非画素領域A2と、からなっている。ここで画素領域A1とは、映像を形成する映像光が透過可能であるとともに映像を構成する最小要素となる画素が位置している(占めている)領域のことである。
本実施の形態において、画素領域A1は一つの画素を構成するようになる単位画素部UPを複数有し、各単位画素部UPは三つのサブ画素部SPから構成されている。三つのサブ画素部SPはそれぞれ異なる色を選択的に透過させるようになっている。すなわち、三つのサブ画素部SPから、それぞれ、互いに異なる波長域帯の光が透過する。具体的には、三つのサブ画素部SPは、それぞれ、赤色光、緑色光および青色光を選択的に透過させるようになっており、これにより、表示面12にカラー映像を表示することができる。
図3によく示されているように、液晶表示パネルとしての表示パネル40は、背面側(面光源装置側)に配置された背面側基板(素子基板、アレイ基板とも呼ばれる)70と、背面側基板70に対向して配置されたカラーフィルタ基板(対向基板とも呼ばれる)50と、背面側基板70およびカラーフィルタ基板50の間に封入された液晶層45と、を有している。上述したように、表示装置10は表示機能および被検出体検出機能(情報読み取り機能)の両方を有しており、これに対応して、表示パネル40は、映像を表示する表示機能を実現するための構成、および、被検出体検出機能(情報読み取り機能)を実現するための機能の両方を有している。このような概要の表示パネル40のうち、まず、主に表示機能を実現するための構成について説明し、その後、被検出体検出機能(情報読み取り機能)を実現するための構成について説明する。
まず、カラーフィルタ基板50は、透光性を有した第1の基材51と、基材51上に所定のマトリクスパターンで形成されたブラックマトリクス(BM)58と、を有している。ブラックマトリクス58には、各々がサブ画素部SPを構成するようになる貫通孔が形成されている。そして、本実施の形態において、各サブ画素部SPを構成する貫通孔には、当該サブ画素部SPの表示色に着色された着色部52(52R,52G,52B)が形成されている。この着色部(着色層)52を透過した光が映像を形成する。すなわち、着色部52によって画素領域A1が形成され、表示領域DA内において画素領域以外の領域(例えば、ブラックマトリクス58が形成されている領域)が、非画素領域A2を形成している。
さらに、カラーフィルタ基板50には、液晶表示パネルの観察者側の基板(対向基板)として有効に機能するため、その他の構成要素が適宜設けられている。例えば、図3に示すように、着色部52上には、保護膜53、透明電極層54および配向膜55が、液晶層45の側に向けてこの順番で形成されている。また、カラーフィルタ基板50の基材51の液晶層45とは反対の側、つまりカラーフィルタ基板50の基材51の観察者側には、偏光板56が積層されている。
一方、図2および図3に示すように、背面側基板70は、透光性を有した第2の基材71と、基材71上の画素領域A1にそれぞれ配置された画素電極72と、を有している。また、画素電極72に対する印可を制御するスイッチング素子78(図2参照)が、画素電極72(サブ画素部SP)毎に別個に設けられている。スイッチング素子78は、薄膜トランジスタ(TFT)として形成され得る。このスイッチング素子78は、上述した制御装置20の映像情報処理部22からの制御に基づいて動作する。なお、第2基材71上には、スイッチング素子78の駆動に必要となる、走査線や信号線(データ線)等の種々の回路配線(図示せず)が形成されている。
さらに、背面側基板70には、液晶表示パネルの面光源装置側の基板(素子基板、アレイ基板)として有効に機能するため、その他の構成要素が適宜設けられている。例えば、図3に示すように、画素電極72上には、保護膜73および配向膜75が、液晶層45の側に向けてこの順番で形成されている。また、背面側基板70の基材71の液晶層45とは反対の側、つまり背面側基板70の基材71の面光源装置側には、偏光板76が積層されている。
以上の表示パネル40の構成は、主として液晶表示パネルとしての機能(表示機能)を果たすための構成である。次に、被検出体検出機能(情報読み取り機能)を実現するための表示パネル40の構成について説明する。表示装置10が被検出体検出機能を実現するため、表示パネル40の背面側基板70は多数の光センサ81,82,83を有しており、カラーフィルタ基板50は、光センサ81,82,83に対面する位置に、光フィルタ部61、遮光部62および光透過部63のいずれかが形成されている。
光センサ81,82,83は、光を感知可能であり、例えばフォトダイオードから構成され得る。フォトダイオードとしての光センサ81,82,83は、感知した光の光量が多くなるに連れて、大きな電流を出力するようになる。また、光センサ81,82,83の出力は、上述した制御装置20の演算部24へ送られる。演算部24は、光センサ81,82,83の出力電流の変化を監視する。背面側基板70の第2基材71上には、光センサ81,82,83からの出力の検出および当該光センサ81,82,83の表示領域DA内における位置の特定を可能にするため、センシング線等の種々の回路配線(図示せず)が形成されている。図4には、一例として、単結晶シリコン光センサの感度特性が図示されている。単結晶シリコン光センサは、波長が380nm以上1000nm以下の可視光線および赤外線に十分な感度を有している。光センサ81,82,83にともなう回路配線等の詳細な構成や作製方法等については、種々の公知文献(例えば、特開2009−151039)に開示されており、ここでは、詳細な説明を省略する。
図2から理解され得るように、光センサ81,82,83は、すべて、背面側基板70の第2基材71上における非画素領域A2に設けられている。そして、上述したように、各光センサ81,82,83は、詳しくは後述するカラーフィルタ基板50の光フィルタ部61、遮光部62および光透過部63のいずれか一つに対面するようになる。そして、光センサは、対面するカラーフィルタ基板50の構成に応じて、第1光センサ81、第2光センサ82および第3光センサ83に分類される。また、図2によく示されているように、光センサ81,82,83はサブ画素部SPの数と同数だけ設けられ、一つのサブ画素部SPに対応するようにして、第1〜第3光センサ81,82,83のいずれか一つが設けられている。
なお、第1光センサ81、第2光センサ82および第3光センサ83は、互いに同一の構成を有し、したがって、互いに同一の分光感度特性を有している。具体的には、第1光センサ81、第2光センサ82および第3光センサ83は、波長が380nmから1000nmまでの可視光および赤外光に十分な感度を有している。このような第1光センサ81、第2光センサ82および第3光センサ83として、一例として、図4に示す感度特性を有した単結晶シリコン光センサを用いることができる。
一方、第1光センサ81に対向して配置される光フィルタ部(特定波長透過層)61は、特定波長域の光を選択的に透過させるものである。光フィルタ部61は、カラーフィルタ基板50が背面側基板70に対向して配置された状態で第1光センサ81に対面するようになる位置を含む第1基材51上の領域に形成されている。
なお、ここでいう「特定波長域の光を選択的に透過」とは、いわゆる「波長選択透過性」のことであり、当然に、特定波長域の光のみが100%の透過率で透過することのみを意味するものではなく、特定波長域外の波長の光が透過してもよいし、特定波長域の光の透過率が100%でなくてもよい。すなわち、「特定波長域の光を選択的に透過」には、光フィルタ部61を透過する特定波長域の光についての透過率が、光フィルタ部61を透過する特定波長域外の波長の光についての透過率よりも高くなっている場合も含まれる。
本実施の形態において、この光フィルタ部61は、赤外線を主として透過させ、その他の光を吸収するようになっている。このような光フィルタ部61は、いわゆるカラーフィルタ(カラーフィルタ層)と呼ばれる上述の着色部52と同様の方法、すなわち、特定の波長光を吸収し得る顔料を分散された顔料分散レジスト塗膜を、フォトリソグラフィー技術を用いてパターニングすることにより、カラーフィルタ基板50の第1基材51上に形成され得る。すなわち、光フィルタ部61は、顔料を含み、赤外線を主として透過させ、他の波長域の光を主として吸収するようになされている。図2に示すように、光フィルタ部61は、ブラックマトリクス58に全周囲を取り囲まれた非画素領域A2内の領域に形成されている。
赤外線を選択的に透過させるための有機顔料として、一例として、イソインドリン系の黄色顔料と、キナクリドン系の紫色顔料と、フタロシアニン系の青色顔料と、ジケトピロロピロール系の赤色顔料と、が組み合わせて用いられて得る。この組み合わせにおいて、イソインドリン系の黄色顔料として、ピグメントイエロー139(PY139)を用いることができる。また、キナクリドン系の紫色顔料として、ピグメントヴァイオレット23(PV23)を用いることができる。さらに、フタロシアニン系の青色顔料として、銅フタロシアニン系を用いることができ、とりわけ、ピグメントブルー15:6(PB15:6)を用いることができる。さらに、ジケトピロロピロール系の赤色顔料としては、ピグメントレッド254(PR254)を用いることができる。
図5のグラフには、ピグメントイエロー139(PY139)の分光透過率、ピグメントヴァイオレット23(PV23の分光透過率、ピグメントブルー15:6(PB15:6)の分光透過率、および、ピグメントレッド254(PR254)の分光透過率が示されている。図5に示すように、ピグメントイエロー139は、波長が380nm以上500nm以下の範囲にある光に対して優れた遮光性を示す。また、ピグメントレッド254は、波長が450nm以上570nm以下の範囲にある光に対して優れた遮光性を示す。さらに、ピグメントブルー15:6は、波長が570nm以上780nm以下の範囲にある光に対して優れた遮光性を示す。
そして、ピグメントヴァイオレット23は、波長が520nm以上570nm以下の範囲にある光に対して優れた遮光性を示す。ピグメントヴァイオレット23を光フィルタ部61に加えることによって、ピグメントレッド254では効果的に遮光しきれない520nm以上570nm以下の波長域の光を十分に遮光することが可能となる。
また、一般的なカラーフィルタ基板等の表示装置用基板の製造においては、黄色顔料として、ピグメントイエロー150(PY150)およびピグメントイエロー139(PY139)等が用いられてきた。ただし、図6に示すように分光透過率特性を比較すると、ピグメントイエロー139(PY139)を用いた場合には、ピグメントイエロー150(PY150)では効果的に遮光しきれない470nm以上500nm以下の波長域の光および380nm以上400nm以下の波長域の光を十分に遮光することが可能となることがわかる。したがって、ここで説明する光フィルタ部61に含まれる顔料の組み合わせにおいては、他の顔料によって十分に遮光できない波長の光を十分に遮光し得る点において、ピグメントイエロー139(PY139)を用いることが有効である。
そして、各顔料の配合割合としては、光フィルタ部61に含まれる顔料の合計質量に対して、イソインドリン系の黄色顔料が25質量%以上50質量%以下含まれ、キナクリドン系の紫色顔料が8質量%以上30質量%以下含まれ、フタロシアニン系の青色顔料が25質量%以上40質量%以下含まれ、ジケトピロロピロール系の赤色顔料が5質量%以上50質量%以下含まれるようにすることができる。
本件発明者らが実験を重ねたところ、以上に説明した顔料の組み合わせを採用することにより、光フィルタ部61は、優れた波長選択透過性を呈するようになる。具体的には、本件発明者らが確認したところ、波長が380nm以上630nm以下である光についての光フィルタ部61の最大透過率を1%以下とし、さらには、0.5%以下とすることもできた。また、波長が630nm以上750nm以下である光についての光フィルタ部61の最大透過率を3%以下とすることができた。さらに、波長が830nmである光についての光フィルタ部61の透過率を85%以上、さらには、90%以上とすることもできた。また、波長が830nm以上880nm以下である光についての光フィルタ部61の最大透過率を92%以上とすることもできた。
すなわち、光フィルタ部61は、赤外線の波長域よりも短波長側の光を十分に遮光することができる。とりわけ、一例として図7に太陽光の分光強度分布を示すように、太陽光や照明光等の環境光には、波長が380nm以上630nm以下の範囲にある光が多く含まれている。上述してきた顔料の構成を有した光フィルタ部61によれば、環境光の多くを占める380nm以上630nm以下の波長域の光を極めて効果的に遮光することができる。
一方、今日、光を発光する光源として、省エネルギーの観点から発光ダイオード(LED)が注目を浴びている。赤外域の光を発光する種々の発光ダイオードのうち、量産される表示装置への適用が可能なものであって、環境光との分離を十分に可能にし得るものは、実情として、波長が830nm以上880nm以下の光を発光する発光ダイオードである。
一般的に、可視光を吸収する複数の顔料を含む光学素子の透過率は、赤外領域において、波長が長波長側にシフトするにつれて上昇する傾向がある。厳密には、光学素子の透過率は、波長が赤外領域において長波長側に900nm程度までシフトするにつれて上昇し、以降、長波長側においては概ね一定の高い透過率を有するようになる(後に言及する図10参照)。そして、上述した顔料に組み合わせによれば、波長が830nmである光についての光フィルタ部61の透過率が安定して85%以上となり、90%以上にすることも可能である。加えて、波長が830nm以上880nm以下の光についての光フィルタ部61の最大透過率を92%以上にすることも可能である。したがって、上述した顔料の組み合わせからなる光フィルタ部61によれば、実際の量産に使用され得る発光オードからの赤外光を極めて高い透過率で透過させ、その一方で、環境光に多量に含まれている可視光を効果的に遮光することができる。すなわち、この光フィルタ部61によれば、実際の量産に使用され得る発光オードからの赤外線を、環境光から分離して、選択的に取り出すことが可能となる。
次に、第2光センサ82に対向して位置する遮光部62は、波長が380nm以上1000nm以下である光を遮光するものである。ただし、ここでいう「遮光」とは、透過率を0%にすることだけではなく、380nm以上1000nm以下の光についての遮光部62の最大透過率を低くすることも意味する。
遮光部62は、カラーフィルタ基板50が背面側基板70に対向して配置された状態で第2光センサ82に対面するようになる位置を含む第1基材51上の領域に形成されている。なお図2に示すように、本実施の形態において、遮光部62はブラックマトリクス58の一部分から構成されている。
この遮光部62は、光フィルタ部61と同様に、光を吸収し得る顔料を分散された顔料分散レジスト塗膜を、フォトリソグラフィー技術を用いてパターニングすることにより、第1基材51上に形成され得る。380nm以上1000nm以下の波長の光を吸収するための顔料として、カーボン系の顔料(カーボン系化合物)、赤色顔料、黄色顔料および紫色顔料よりなる群から選択される一種以上と、チタン系の顔料(チタン系の化合物)と、を少なくとも含む顔料の組み合わせを用いることができる。この組み合わせにおいて、カーボン系の顔料として、カーボンブラックを用いることができる。また、赤色顔料として、ジケトピロロピロール系の顔料、とりわけ、ピグメントレッド254(PR254)を用いることができる。黄色顔料として、イソインドリン系の黄色顔料、とりわけ、ピグメントイエロー139(PY139)を用いることができる。紫色顔料として、キナクリドン系の紫色顔料、とりわけ、ピグメントヴァイオレット23(PV23)を用いることができる。チタン系の顔料として、チタンブラックを用いることができる。
本件発明者らが実験を重ねたところ、遮光部61が、カーボン系の顔料(カーボン系化合物)、赤色顔料、黄色顔料および紫色顔料よりなる群から選択される一以上と、チタン系の顔料(チタン系の化合物)と、を含む場合、波長が380nm以上1000nm以下である光の当該遮光部61の最大透過率を、安定して、0.05%を大きく下回るようにすることができた。
図8は、遮光部62(ブラックマトリクス58)に含まれる顔料と、当該遮光部62(ブラックマトリクス58)の分光透過率との関係を調査した結果の一例を示したグラフである。また、図8にその分光透過率を示された各サンプルに含まれる顔料、および、波長が380nm以上1000nm以下の光についての各サンプルの最大透過率を表1に示す。
上述した顔料配合からなるサンプル1および2については、波長が380nm以上1000nm以下である光に対する遮光部の透過率は、0.05%を大きく下回っていた。一方、顔料としてカーボンブラックのみを含有したサンプル3については、可視光のうちの長波長側の光(具体的には、620nm以上の波長の光)について、遮光部の透過率が0.05%を超え、波長が700nm以上の可視光および赤外光については、遮光部の透過率は非常に上昇した。また、顔料としてチタンブラックのみを含有したサンプル4については、赤外線についての遮光部の透過率を低くすることができたが、可視光についての遮光部の透過率が0.05%を大きく超えた。結果として、380nm以上1000nm以下の波長域での最大透過率は、サンプル1および2では、サンプル3および4と比較して、格段に低くなっている。
なお、上述したように、光フィルタ部61は特定波長域の光を選択的に透過させる。光フィルタ部61に対面するようにして配置された第1光センサ81は、光フィルタ部61を透過する特定波長域の光の光量を監視することを意図されている。そして、本実施の形態では、遮光部62と同一の極めて優れた遮光性を有するブラックマトリクス58が、光フィルタ部61の全周囲を取り囲んでいる。したがって、第1光センサ81に受光される光の殆どは、意図されたように、光フィルタ部61を透過した光となる。すなわち、優れた遮光性を有したブラックマトリクス58によって、光フィルタ部61の全周囲が取り囲まれていることにより、光フィルタ部61の波長選択透過性がより有効に機能するようになる。
最後に、第3光センサ83に対向して位置する光透過部63は、ブラックマトリクス58の第3光センサ83に対向する位置に形成された貫通孔からなっている。光透過部63(貫通孔)は、カラーフィルタ基板50が背面側基板70に対向して配置された状態で第3光センサ83に対面するようになる位置を含む第1基材51上の領域に形成されている。図2に示すように、光透過部63は、ブラックマトリクス58に全周囲を取り囲まれた非画素領域A2内の領域に形成されている。
ところで、各第1光センサ81は、いずれか一つ以上の近接配置された第2光センサ82と対応付けられている。また、各第1光センサ81は、いずれか一つ以上の第3光センサ83とも対応付けられている。とりわけ本実施の形態では、対応付けられる第1光センサ81および第2光センサ82は1対1の関係にあり、同様に、対応付けられる第1光センサ81および第3光センサ83も1対1の関係にある。なお、被検出体90の検出精度を向上させる観点からは、対応付けられる第1〜第3光センサ81,82,83が、互いに近接配置されたセンサであることが好ましい。具体例として、本実施の形態では、図2に点線で示す小区域LA内に配置された第1〜第3光センサ81,82,83が、互いに対応付けられている。
以上のような構成からなる表示装置10は、高感度かつ高精度の被検出体検出機能(情報読み取り機能)を有し、例えばタッチパネルのように機能する。以下、表示装置10がタッチパネルとして機能する場合における、表示装置10の被検出体検出機能に関する作用について説明する。
図3に示すように、面光源装置30で発光された光は、表示パネル40内に進む。そして、制御装置20の映像情報処理部22からの信号によりスイッチング素子78が駆動され、面光源装置30で発光された光は、透過率を調整されながら、各サブ画素部SPを画成する各着色部52R,52G,52Bを透過する。着色部52R,52G,52Bを透過して表示パネル40から出射する光は、映像光として映像を形成する。
一方、面光源装置30からは、表示装置10を観察する観察者に観察され難い赤外線も発光されている。そして、光フィルタ部61は、赤外線を選択的に透過させる。このため、面光源装置30で発光された赤外線は、光フィルタ部61を透過して、表示パネル30から観察者側へ出射する。ただし、図3に示すように、被検出体90が表示面12に接触または接近すると、表示パネル30から出射する赤外線は、この被検出体90で反射されて、その進行方向を面光装置側に折り返す。このようにして、被検出体90で反射された赤外線は、光フィルタ部61を再び逆向きに透過し、光フィルタ部61の直下(面光源装置側)に設けられた第1光センサ81に受光される。すなわち、第1光センサ81の受光量は、当該第1光センサ81が対面する表示面12上の位置に被検出体90が接近また接触することによって、増大する。制御装置20の演算部24は、表示パネル40内に多数設けられた第1光センサ81の出力電流量の変化を監視することにより、被検出体90が表示面12に接触または接近していることを、被検出体90が接触または接近している表示面12上の位置とともに、検出する。
なお、図3および後に参照する図9においては、可視光を太い矢印で示し、特定波長域の光(本実施の形態では赤外光)を細い矢印で示している。
ところで、ブラックマトリクス等の遮光性を有した層が背面側基板70に形成されていない場合には、図3に示すように、第1光センサ81は、面光源装置30で発光された赤外線および可視光線をその背面側から受光してしまう。また、表示パネル40内には赤外線および可視光線からなる迷光が生じてしまう。第1光センサ81は、被検出体90の表示面12への接触または接近に関係なく、これらの光を受光して、これらの光に対応した出力電流を発生させる。さらに、光センサ自体の性質に起因して、受光とは無関係に常に、第1光センサ81が微弱電流を出力することもある。結果として、第1光センサ81からの出力電流は被検出体90からの反射光だけに起因するものではなく、このため、第1光センサ81の出力電流のみに基づいて被検出体90の接触または接近を検出しようとすると、検出精度の信頼性が低下してしまう。
一方、第1光センサ81は、近接配置された少なくとも一つの第2光センサ82と対応付けられている。第2光センサ82は遮光部62の真下(面光源装置側)に配置されているため、被検出体90で反射された反射光を、基本的には、受光しない。その一方で、この第2光センサ82は、第1光センサ81の近傍に配置されていることから、当該第1光センサ81と同程度に背面側から光源光を受光し且つ迷光を受光する。さらに、第2光センサ82は、第1光センサ81と同様に構成されているため、第2光センサ82も、第1光センサ81と同程度に微弱電流を出力する傾向がある。したがって、制御装置20の演算部24で被検出体90の接触または接近を判定する際、第1光センサ81からの出力電流だけでなく、当該第1光センサに対応付けられた第2光センサ82からの出力電流も考慮することにより、表示面12への被検出体90の接触または接近をより高精度に判定することができる。一例として、制御装置20の演算部24は、第1光センサ81からの出力電流と第2光センサ82からの出力電流との差分を算出し、得られた差分が閾値を超えた場合に、対象とする第1光センサ81と対面する表示面12上の位置へ、被検出体が接触または接触したと判断するように構成され得る。あるいは他の例として、制御装置20の演算部24は、第2光センサ82からの出力電流に基づいて都度閾値を設定し、第1光センサ81からの出力電流が設定された閾値を超えた場合に、対象とする第1光センサ81と対面する表示面12上の位置へ、被検出体が接触または接触したと判断するように、構成され得る。
さらに、表示装置10が配置されている環境の明るさが変化すると、第1光センサ81の受光量も変化する。一例として図7に太陽光の分光強度分布を示すように、太陽光や照明光内には、赤外線が含まれている。したがって、明るい環境下においては、より多量の赤外線が、光フィルタ部61を介して表示パネル40内に入射し、第1光センサ81に受光されるようになる。また、明るい環境下においては、着色部52を透過して表示パネル40内に可視光が入り込みやすくなり、多量の可視光が迷光として第1光センサ81に受光されるようになる。つまり、被検出体の表示面12への接触または接近とは無関係に、第1光センサ81からの出力電流が増加する。
一方、第1光センサ81は、少なくとも一つの第3光センサ83と対応付けられている。第3光センサ83は、ブラックマトリクス58に形成された貫通孔からなる光透過部63の真下(面光源装置側)に配置されている。したがって、環境の明るさの変化に応じて、第3光センサ83の受光量が大きく変化する。このため、制御装置20の演算部24で被検出体90の接触または接近を判定する際、第1光センサ81からの出力電流だけでなく、当該第1光センサに対応付けられた第3光センサ83からの出力電流も考慮することにより、表示面12への被検出体90の接触または接近をより高精度に判定することができる。一例として、制御装置20の演算部24は、第3光センサ83からの出力電流に基づいて都度閾値を設定し、第1光センサ81からの出力電流が設定された閾値を超えた場合に、対象とする第1光センサ81と対面する表示面12上の位置へ、被検出体が接触または接触したと判断するように、構成され得る。あるいは他の例として、制御装置20の演算部24は、第1光センサ81からの出力電流と第3光センサ83からの出力電流との差分を算出し、得られた差分が閾値を超えた場合に、対象とする第1光センサ81と対面する表示面12上の位置へ、被検出体が接触または接触したと判断するように、構成され得る。
ところで、図7に一例として太陽光の分光強度分布が示されているように、太陽光や照明光等には赤外線が含まれているもの、その相対光量は少ない。その一方で、太陽光や照明光等には可視光線が多く含まれているが、可視光線の多くは光フィルタ部61で吸収される。したがって、環境光に含まれている被検出体の接触(接近)とは無関係の光を、被検出体90からの反射光として、光センサが多量に感知してしまうことを防止することができる。また、赤外線は、非可視光線であり観察者に視認されないことから、観察者に観察される映像光の色再現性に悪影響を及ぼさない。これらの点から、光センサ(本実施の形態においては、第1光センサ81)によって受光されるシグナル光となる特定波長域の光として、赤外線を用いることは好ましい。
しかしながらその一方で、図4に一例として単結晶シリコン光センサの感度比が示されているように、一般的に光センサ式のタッチパネルに用いられている光センサは、赤外線の波長域の光に対してのみ強い感度を有するわけではなく、広く可視光域の光に対しても強い感度を有している。したがって、光フィルタ部61が十分な波長選択透過性を有し、可視光を遮光することができなければ、第1光センサ81が、環境光に多量に含まれている可視光を、被検出体90からの反射光として受光してしまう。また、光フィルタ部61が十分な波長選択透過性を有し、赤外光を透過させることができなければ、いくら第2および第3光センサ82,83からの出力電流に基づいて補正を行ったとしても、被検出体90からの反射光を他の光から区別して精度良く検出することができない。
このようなことから、従来技術の欄でも説明したように、光センサによって受光されるシグナル光となる特定波長域の光として赤外線を用いる場合、シグナル光の光量を増大させる目的で、シグナル光となる赤外線の面光源装置30からの発光量を多く設定しておく必要があった。赤外線の発光量を多くすることは、消費電力の増大を意味し、昨今重要課題の一つに挙げられている表示装置での光利用効率の改善にも相反することとなる。
この点に関し、本実施の形態では、波長が380nm以上750nm以下である光についての光フィルタ部61の最大透過率が、3%以下と十分低くなっている。とりわけ太陽光等の環境光の多くを占め且つ映像光のほとんどをなすようになる波長が380nm以上630nm以下である光についての光フィルタ部61の最大透過率は1%以下となっている。これにより、環境光に多く含まれるとともに映像光のほとんどをなす光が、光フィルタ部61によって遮光され、被検出体90で反射されて第1光センサ81で受光される赤外光から、高い精度で分離される。また、本件発明者らが確認したところ、波長が380nm以上630nm以下である光についての光フィルタ部61の最大透過率が0.5%以下となっている場合には、表示装置10が一般的に配置されると予想される環境下において、光フィルタ部61を通過する環境光に含まれる波長が380nm以上630nm以下の光の第1光センサ81での受光が無視し得る程度となった。
また、本実施の形態では、波長が830nmである光についての光フィルタ部61の透過率が85%以上となっている。そして、光フィルタ部61は、830nmより長波長の光に対して85%以上の透過率を呈する傾向を有する。また、波長が830nm以上880nm以下である光についての光フィルタ部61の最大透過率は92%以上となっている。このため、光フィルタ部61は、被検出体90から反射された赤外線を極めて高い透過率で透過し、これにより、光フィルタ部61に対面する第1光センサ81は、被検出体90から反射された赤外線を多量に受光することができる。とりわけ、面光源装置30の赤外線を発光する発光源が省エネルギーを実現し得る発光ダイオードからなる場合、環境光からの分離を考慮すると、面光源装置30から発光される赤外線の波長は830nm以上に設定され、典型的には、赤外線の波長は830nm以上880nm以下となる。したがって、被検出体90で反射された赤外線が、環境光と分離されて、極めて効率的に第1光センサ81によって受光されるようになる。またとりわけ、本件発明者らが確認したところ、波長が830nmである光についての光フィルタ部61の透過率が90%以上となっている場合、あるいは、波長が830nm以上880nm以下の光についての光フィルタ部61の最大透過率が92%以上となっている場合には、光フィルタ部61に対面する第1光センサ81は極めて優れた感度で赤外線を受光することが可能となる。
以上のように本実施の形態によれば、被検出体90で反射されることによって第1光センサ81に向かおうとする特定波長光(赤外線)の光量が僅かであったとしても、光フィルタ部61によって、当該赤外線が、その他の光から高効率で分離されるようになる。これにより、被検出体90の表示面12への接触または接近の検出に関し、誤作動が生じることが防止され、被検出体90を精度良く検出し、外部からの情報を高精度に読み取ることができる。
とりわけ、本件発明者らが鋭意研究を重ねたところ、波長が380nm以上630nm以下である光についての光フィルタ部61の最大透過率が1%以下となっており、波長が630nm以上750nm以下である光についての光フィルタ部61の最大透過率が3%以下となっており、波長が830nmである光についての光フィルタ部61の透過率が85%以上となっている場合、この光フィルタ部61によって、被検出体90からの反射光としての赤外線を、光フィルタ部61によって環境光から極めて高精度に分離することができるとともに、光フィルタ部61に対面する第1光センサ81によって高感度で感知することができることが確認された。すなわち、このような分光透過率の光フィルタ部61によれば、普及している光センサ(フォトセンサ)からなる第1光センサ81からの出力電流に含まれる、環境光中の可視光に起因した成分を、無視し得る程度にまで微弱にすることができ、且つ、赤外線を発光する光源として発光ダイオードが組み込まれている面光源装置30との組み合わせにおいて、被検出体90で反射される赤外線を第1光センサ81によって十分な感度で感知することができた。そして、上述してきた実施の形態では、面光源装置30からの特定波長域の光の発光量を増大させることに依らず、被検出体90が接触または接近している表示面12上における位置を極めて高精度に特定することが可能となる。この点において、被検出体90の検出感度を向上させるために映像を形成し得ない非可視光である特定波長域の光の発光量を増大させる必要があった従来の表示装置とは大きく異なり、本実施の形態によれば、外部情報読み取り機能付き表示装置の消費電力を増大させることなく被検出体の検出精度を向上させることによって、表示面12を介した外部情報の読み取り精度を向上させることができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明で用いる図面においては、上述した実施の形態と同一に構成され得る部分について、上述の実施の形態で用いた符号と同一の符号を用いており、重複する説明を省略する。
上述した実施の形態においては、面光源装置30から、映像を形成するようになる可視光とともに、映像を形成し得ない赤外線を発光し、赤外線を選択的に透過し得る光フィルタ部61を介して、被検出体90によって反射された赤外線を第1光センサ81で受光することにより、被検出体の検出を行うようにした例を説明したが、この例に限られない。
例えば、被検出体が発光機能を有した発光ペン等であり、被検出体から発光される特定波長域の光を光フィルタ部61を介して第1光センサ81が受光することにより、表示面12への被検出体90の接触または接近を検出するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態においては、表示面12への被検出体90の接触または接近を検出するとともに、被検出体90が接触または接近する表示面12上の位置を検出することにより、表示面12を介した外部からの情報を読み取るように構成されている例を示したが、これに限られない。例えば、図9に示すように、発光機能を有したポインター91から表示装置10の表示面12上に照射される特定波長域の光をフィルタ部61を介して第1光センサ81で受光し、ポインター91から表示面12への光の照射を検出することにより、及び/又は、表示面12上のどの位置にポインター91からの光が照射されているかを検出することにより、表示面12を介して外部からの情報を読み取るようにしてもよい。
これらのような例においても上述した実施の形態と同様の作用効果、要約すると、シグナル光の発光強度を増強することに依存することなく、外部情報の読み取り精度を向上させることができる。またこれらの変形例によれば、面光源装置30から映像を形成し得ない非可視光を発光し続ける必要が無い。この点において、さらに、表示装置10の消費電力を低減することが可能となり、省エネルギーに貢献することができる。また、図9に示したポインター91からの照射光を検出する変形例によれば、ポインター91を操作する操作者は、表示装置10の表示面12から離間した位置から、当該表示装置10に情報を入力することが可能となる。
また、上述した実施の形態において、ブラックマトリクス58および遮光部62の物性値(分光透過率)や、ブラックマトリクス58および遮光部62に含まれる顔料等についての一例を説明したが、ブラックマトリクス58および遮光部62の物性値や、ブラックマトリクス58および遮光部62に含まれる顔料は、上述した例に限られない。
さらに、上述した実施の形態において、一つのサブ画素部SPに対していずれか一つの光センサ81,82,83が設けられる例を示したが、これに限られない。例えば、表示面12上における被検出体90の接触(接近)位置あるいはポインター91等の発光装置からの照射位置を特定する際の位置特定精度に応じて、光センサ81,82,83の数を増減させるようにしてもよい。具体的には、表示装置に求められている位置特定精度が高くない場合には、光センサの数量を減らすことができる。また、上述した実施の形態において、一つの第1光センサ81に対して一つの第2光センサ82が対応付けられている例を示したがこれに限られない。一つの第1光センサ81に対し、近接配置された複数の第2光センサ82が対応付けられていてもよいし、あるいは、複数の第1光センサ81に対して、当該複数の第1光センサ81のすべてに対して近傍となる位置に配置された一つの第2光センサ82が対応付けられていてもよい。同様に、一つの第1光センサ81に対応して一つの第3光センサ83が対応付けられている例を示したがこれに限られない。
さらに、上述した実施の形態において、カラーフィルタ基板50を用いて液晶表示装置(液晶表示パネル)を構成する例を示したが、これに限られない。上述したカラーフィルタ基板50を用いて、液晶表示装置以外の表示装置、例えばEL表示装置やプラズマディスプレイを構成することもできる。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
<カラーフィルタ基板>
以下のようにして、基材と、基材上に形成されたブラックマトリクスと、光フィルタ部と、赤色着色部と、緑色着色部と、青色着色部と、を有する実施例1および2に係るカラーフィルタ基板ならびに比較例1に係るカラーフィルタ基板を作製した。
なお、実施例1および2に係るカラーフィルタ基板ならびに比較例1に係るカラーフィルタ基板は、光フィルタ部に含有される顔料が異なるだけであって、その他については、同一の作製方法を用いて同一の構成を有するように作製した。
具体的には、まず、ガラス基材上に顔料分散レジスト塗膜を形成し、次に、フォトリソグラフィー技術を用いてこの顔料分散レジスト塗膜をパターニングすることにより、ガラス基材上にブラックマトリクスを形成した。パターニングにおいて、各着色部を形成するための貫通孔と、光フィルタ部を形成するための貫通孔と、がブラックマトリクスに形成されるようにした。その後、ブラックマトリクスの貫通孔内に、各着色部および光フィルタ部を作製し、各実施例および各比較例に係るカラーフィルタ基板を得た。各着色部および光フィルタ部は、ブラックマトリクスと同様に、ガラス基材上に顔料分散レジスト塗膜を形成し、次に、フォトリソグラフィー技術を用いてこの顔料分散レジスト塗膜をパターニングすることにより、作製した。
光フィルタ部、着色部およびブラックマトリクスを作製するための各顔料分散レジスト塗膜は、それぞれ、樹脂組成物をガラス基板上に塗布して形成した。光フィルタ部、着色部およびブラックマトリクスを作製するための各樹脂組成物は、それぞれ、顔料の他、顔料を分散させるための分散剤、製版性や平坦性を向上させるための樹脂、架橋反応を生じさせるためのモノマー、光硬化を開始させるための開始剤、塗布性を向上させるための活性剤、並びに、顔料分散レジスト塗膜と基材との密着性を向上させるためのカップリング材等を含むようにした。
実施例1及び2並びに比較例1に係るカラーフィルタ基板において、光フィルタ部を作製するために用いられた顔料の組み合わせは、以下のとおりとした。なお、以下において配合割合は、各カラーフィルタ基板の光フィルタ部に含まれる顔料の合計質量に対する割合である。
○実施例1
・ピグメントレッド254(PR254) 30質量%
・ピグメントブルー15:6(PB15:6) 32質量%
・ピグメントヴァイオレット23(PV23) 8質量%
・ピグメントイエロー139(PY139) 30質量%
○実施例2
・ピグメントレッド254(PR254) 5質量%
・ピグメントブルー15:6(PB15:6) 30質量%
・ピグメントヴァイオレット23(PV23) 20質量%
・ピグメントイエロー139(PY139) 45質量%
○比較例1
・ピグメントレッド254(PR254) 35質量%
・ピグメントブルー15:6(PB15:6) 35質量%
・ピグメントヴァイオレット23(PV23) 5質量%
・ピグメントイエロー150(PY150) 25質量%
<透過率分布>
実施例1及び2並びに比較例1に係るカラーフィルタ基板の遮光部(ブラックマトリクスの一部分)について、JIS−R−3106に準拠して、分光透過率を測定した。分光透過率の測定には、PERKIN ELMER社製 LAMBDA 19を用いた。実施例1及び2並びに比較例1に係るカラーフィルタ基板について得られた光フィルタ部の分光透過率を図10および図11に示す。また、実施例1及び2並びに比較例1に係るカラーフィルタ基板の光フィルタ部に関し、380nm以上630nm以下の波長域での最大透過率、630nm以上750nm以下の波長域での最大透過率および830nmの波長での透過率を調査し、表2に示した。
実施例1および実施例2に係るカラーフィルタ基板については、波長が380nm以上630nm以下である光に対する光フィルタ部の透過率は、1.0%を下回っていた。比較例1に係るカラーフィルタ基板については、380nm以上400nm以下の波長域において、光フィルタ部の透過率が1.0%を大きく上回っていた。また、比較例1に係るカラーフィルタ基板については、470nm以上500nm以下の波長域においても、光フィルタ部の透過率が局所的に上昇し、この範囲での透過率の極大値が1.0%を超えた。
その一方で、630nm以上750nm以下の波長域の光に対する光フィルタ部の遮光性は、実施例1および実施例2に係るカラーフィルタ基板よりも、比較例1に係るカラーフィルタ基板の方が、わずかであるが優れていた。
図11に示されているように、各カラーフィルタ基板とも、750nm以上の波長域の光に対しては、波長が長くなるにつれて、光フィルタ部の透過率は上昇していった。また、750nm以上の波長域の全域に亘って、実施例1および実施例2に係るカラーフィルタ基板は、比較例1に係るカラーフィルタ基板よりも優れた透光性を呈していた。赤外線域の光を発光する発光ダイオードで実際に表示装置等の量産に適したものは複数種類存在するが、これらの発光ダイオードで発光される赤外線のうち太陽光等の外光と分離するのに優れた発光ダイオードの最短波長は現状で830nmである。そして、比較例1に係るカラーフィルタ基板では、量産に適した発光ダイオードから発光される赤外線の透過率(つまり、830nmの光に対する透過率)が85%を下回ってしまうことがあることが確認された。その一方で、実施例1および2に係るカラーフィルタ基板では、量産に適した発光ダイオードから発光される赤外線を、90%上の透過率で透過させ得ることが確認された。
<出力電流量>
実施例1及び2並びに比較例1に係るカラーフィルタ基板を用いて上述した実施の形態に係る表示装置を作製することにより、それぞれ、実施例1及び2並びに比較例1に係る表示装置を得た。実施例1及び2並びに比較例1に係る表示装置を太陽光下に配置した状態で、表示パネル内においてカラーフィルタ基板の光フィルタ部に対面する位置に配置された光センサ(上述した実施の形態における第1光センサ)およびからの出力電流(ノイズ電流)を調査した。この調査は、表示装置の面光源装置が発光していない状態、すなわち、表示パネル内には表示面側のみから光が入射し得る状態で行った。調査結果を表2のノイズの欄に示す。なお、表2においては、出力電流量を、各測定値の比によって表している。
次に、同様の条件下において、つまり太陽光下において面光源装置を消灯した状態で、表示面に発光装置(ポインター)から各表示装置の表示面へ赤外線を照射し、表示パネル内においてカラーフィルタ基板の光フィルタ部に対面する位置に配置された前記光センサ(上述した実施の形態における第1光センサ)からの出力電流(シグナル電流)を測定した。調査結果を表2のシグナルの欄に示す。なお、表2においては、出力電流量を、各測定値の比によって表している。
さらに、表2におけるシグナル(S)のノズル(N)に対する比(S/N)を比較した。実施例1及び2並びに比較例1に係る表示装置間での相対比として、S/Nを表1に示している。
実施例1及び実施例2に係る表示装置では、比較例1に係る表示装置と比較して、S/Nを格段に向上させることができた。