JP5755566B2 - アミド系インスリンプロドラッグ - Google Patents

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Description

インスリンは、低効力の単一鎖プロインスリン前駆体から、酵素処理によって生合成的に誘導される、二本鎖ヘテロ二量体から構成されるペプチドホルモンである。ヒトのインスリンは、ジスルフィド結合によって一緒に結合され、合計51アミノ酸を有する、2本のペプチド鎖(「A鎖」(配列番号1)及び「B鎖」(配列番号2))から構成される。B鎖のC−末端、及び、A鎖の二つの末端領域は三次元構造において会合し、インスリン受容体に対する高い親和性を持つ結合部位を集合形成する。
インスリンは、ほとんどあらゆる形態の糖尿病においてグルコースを下げる比類無い能力を発揮する。残念ながら、その薬理作用はグルコース感受性を持たず、したがって、重篤な低血糖症を招く恐れのある過剰な作用をもたらす可能性がある。不安定な薬理作用は、インスリン治療を特徴づける証印であり、そのため、低血糖の出現を見ずに血糖を正常化することはきわめて困難である。さらに、天然インスリンは、その作用が短持続であり、基礎的グルコースコントロールの使用に適切なものとするには、修飾を必要とする。インスリン作用の開始を遅らせるための確立された方法としては、溶解度の低減及びアルブミンの結合がある。
例えば、比較的長い作用プロフィールを実現するために、二つの市販のインスリン誘導体が調製されている。さらに詳細には、インスリン誘導体[GlyA21、ArgB31、ArgB32]インスリンは、インスリンのpIを5.4から6.7に変位させるために調製された。これによって、生理的pHでは沈殿し、したがって吸着及び作用時間を遅らせるペプチドが得られた(非特許文献1を参照)。しかしながら、このインスリン誘導体では、IGF−1親和性が強化されるので、増殖作用の増大が引き起こされ、発癌の可能性が生じる。もう一つの市販のインスリン誘導体は[LysB29−テトラデカノイル、des(B30)]インスリンであり、ここで、LysB29は、C14脂肪酸によってアシル化されている(非特許文献2)。脂肪酸鎖の存在は、血清アルブミンに対する該ペプチドの結合を強化し、血漿半減期の増大をもたらす。しかしながら、この誘導体は、インビボにおける効力低下という不利益を被る。さらに、これらのインスリン誘導体は両方とも、その生物活性の発現が患者によってまちまちである。
プロドラッグ化学処置によって、投与部位からのクリアランス後、高度に画定される濃度において血漿中で平衡に達した後、インスリン作用の開始と持続を精密にコントロールする機会が得られる。現今の長期持続性インスリン類縁体及び処方に比べ、このような方法の持つ中心的価値は、インスリンの貯留場所が、注入が行われた皮下の脂肪組織ではなく、血液区画にあるということである。これによって、従来技術による開始遅延インスリン誘導体で見られる吸収の変動は取り除かれる。これによってさらに、皮下注入以外のルートによるペプチドホルモンの投与が可能となる。
インスリンのその受容体に対する結合は、生物学的刺激をもたらすが、同時に、それに続く、該インスリンペプチドの酵素的変性によって、インスリン誘発薬理作用の不活性化も起動される。インスリンプロドラッグ誘導体を使用することの、さらに別の利点は、この方法によって、対応する受容体によるプロドラッグの認識を抑制するという戦略に基づいて、インスリンの生物学的半減期を延長することが可能となることである。プロドラッグ誘導体に関連するこれらの利点にも拘わらず、このようなプロドラッグを調製することの複雑性は、これまで、インスリンの効果的なプロドラッグ誘導体の調製を阻んできた。効果的なプロドラッグを構築するためには、プロドラッグの構造要素の可逆的付着の基盤を形成することが可能な、活性部位の構造的アドレスが必要とされる。この構造的アドレスは、下記の二つの鍵となる特性を提示しなければならない:(1)選択的化学的修飾を許容する可能性、及び、(2)このプロドラッグ構造要素の排除と同時に、天然型の活性を高度に実現する能力、である。本明細書において開示されるインスリンプロドラッグは、受容体によって認識が可能な構造に化学的に変換されるが、ここで、この化学的変換が、インビボにおける生物学的作用の開始時間及び持続時間を決める。本出願において開示されるプロドラッグ化学作用は、付加的な化学的添加剤、若しくは、酵素又は酵素阻害剤に依存しない、分子内化学反応に依拠する。
理想的プロドラッグは、生理的条件(例えば、7.2のpH及び37℃)において水に可溶でなければならず、粉末状で長期の保存のために安定でなければならない。それはまた、免疫学的に不活性で、母体ドラッグに比べ低い活性を示すものでなければならない。典型的には、本プロドラッグは、母体ドラッグの活性の10%以下を示し、一実施態様では、本プロドラッグは、母体ドラッグに対して10%未満、5%未満、約1%、又は1%未満の活性を示す。さらに、本プロドラッグは、体内に注入された場合、指定の期間内に活性薬剤に定量的に変換されなければならない。本出願人らによって初めて、これらの目的のそれぞれを満たす、インスリンプロドラッグ類縁体が開示される。
Belli et al., Diabeto1ogia 1999, 42, 1151-1167 Mayer et al., Peptide Science, 88, 5, 687-713
ペプチド系薬剤は、きわめて効果的な薬剤ではあるが、作用が比較的短く、治療示数が変動する。本開示は、インスリンプロドラッグを主題とし、ここで、そのプロドラッグ誘導体は、薬剤の作用の開始を遅らせ、半減期を延長するように設計される。遅延した作用開始は、該プロドラッグが、その活性化の前に全身に分布されることを可能とするという点で有利である。したがって、プロドラッグの投与は、投与時のピーク活性によって引き起こされる合併症を取り除き、母体薬剤の治療示数を高める。
一実施態様によれば、インスリンのプロドラッグ誘導体は、ジペプチドをアミド結合を介してインスリンペプチドの活性部位に共有結合することによって調製される。一実施態様では、ジペプチドは、インスリンがインスリン受容体及びIGF−1受容体と相互作用する能力を妨げる位置において、インスリンペプチドに共有結合される。その後、生理的条件下に分子内反応によってジペプチドを取り除くことによって、ジケトピペラジン又はジケトモルフォリンの形成がもたらされ、酵素活性の不在下において、該ポリペプチドにおいて完全活性が回復される。
一実施態様では、U−O−インスリンという一般構造を有するインスリンプロドラッグが提供され、ここで、Uはアミノ酸又はヒドロキシル酸であり、Oは、U−Oと、インスリンペプチドのアミンとの間にアミド結合を形成することによってインスリンペプチドに結合される、N−アルキル化アミノ酸である。一実施態様では、U−Oジペプチドは、アミド結合を介して、A鎖又はB鎖のN−末端、若しくは、各A鎖又はB鎖の位置A19、B16、又はB25に対応するアミノ酸の側鎖に結合される。一実施態様では、U−Oの構造は、インスリンペプチドからのU−Oの化学的切断が、生理的条件下のPBS中で約1から約720時間内に少なくとも約90%が完了するように選ばれる。一実施態様では、インスリンペプチドからのU−Oの化学的切断の半減期(t1/2)は、生理的条件下のPBS中で少なくとも約1時間から約1週間である。
一実施態様では、U及びOは、ほ乳類血清に見られる酵素による、インスリンからの、U−Oジペプチドの酵素的切断を抑制するように選ばれる。一実施態様では、U及び/又はOは、生理的条件下のPBS中でのインスリンペプチドからのU−Oの切断半減期が、DPP−IVプロテアーゼを含む溶液におけるインスリンペプチドからのU−Oの切断半減期の2倍以下であるように選ばれる(すなわち、インスリンプロドラッグからのU−Oの切断は、酵素不在下の同じ条件に対し、DPP−IVプロテアーゼ及び生理的条件の存在下では、2倍を超えるより速い速度では起こらない)。一実施態様では、U、O、又は、U−Oが結合されるインスリンペプチドのアミノ酸は非コードアミノ酸である。一実施態様では、U及び/又はOは、D立体異性体配置を持つアミノ酸である。ある例示の実施態様では、Uは、D立体異性体配置を持つアミノ酸であり、Oは、L立体異性体配置を持つアミノ酸である。ある例示の実施態様では、Uは、L立体異性体配置を持つアミノ酸であり、Oは、D立体異性体配置を持つアミノ酸である。ある例示の実施態様では、Uは、D立体異性体配置を持つアミノ酸であり、Oは、D立体異性体配置を持つアミノ酸である。一実施態様では、Oは、N−アルキル化アミノ酸であるがプロリンではない。
一実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、式Iの一般構造を有する化合物を含み:
上式において、
、R、R、及びRは、それぞれ独立に、H、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−C18アルキル)OH、(C−C18アルキル)SH、(C−Cアルキル)SCH、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)NHC(NH )NH、(C−Cアルキル)(C−Cシクロアルキル)、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロ環)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロアリール)、及びC−C12アルキル(W)C−C12アルキルから成る群から選ばれ、ここに、Wは、N、S、及びOから成る群から選ばれるヘテロ原子であるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−C12シクロアルキル又はアリールを形成し;又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−Cシクロアルキルを形成し;
は、C−C18アルキル、(C−C18アルキル)OH、(C−C18アルキル)NH、(C−C18アルキル)SH、(C−Cアルキル)(C−C)シクロアルキル、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロ環)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、及び(C−Cアルキル)(C−Cヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;
はNHR又はOHであり;
は、H、C−Cアルキルであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
は、H及びOHから成る群から選ばれる。
一実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、式Iの一般構造を有する化合物を含み:
上式において、
、R、R、及びRは、それぞれ独立に、H、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−C18アルキル)OH、(C−C18アルキル)SH、(C−Cアルキル)SCH、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)NHC(NH )NH、(C−Cアルキル)(C−Cシクロアルキル)、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロ環)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロアリール)、及びC−C12アルキル(W)C−C12アルキルから成る群から選ばれ、ここに、Wは、N、S、及びOから成る群から選ばれるヘテロ原子であるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−C12シクロアルキルを形成し;又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−Cシクロアルキルを形成し;
は、C−C18アルキル、(C−C18アルキル)OH、(C−C18アルキル)NH、(C−C18アルキル)SH、(C−Cアルキル)(C−C)シクロアルキル、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロ環)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、及び(C−Cアルキル)(C−Cヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;
はNHR又はOHであり;
は、H、C−Cアルキルであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
は、水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれる。
一実施態様では、ジペプチド延長部は、下記の一般構造の化合物を含み:
上式において、Rは、H及びC−Cアルキルから成る群から選ばれ;R及びRは、それぞれ独立に、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、(C−Cアルキル)OH、(C−C18アルキル)SH、(C−Cアルキル)SCH、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)NHC(NH )NH、(C−Cアルキル)(C−Cシクロアルキル)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、及びCH(C−Cヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−Cシクロアルキル環を形成し;
は、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−Cアルキル)NH、(C−C)シクロアルキルから成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、5又は6員のヘテロ環を形成し;
はNHR又はOHであり;
はHであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、5又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
は、H及びOHから成る群から選ばれる。一実施態様では、Rは、C−Cアルキルであり、Rは、H、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−Cアルキル)SCH、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)NHC(NH )NH、(C−Cアルキル)(C−Cシクロアルキル)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、及びCH(C−Cヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって5又は6員のヘテロ環を形成する。
一実施態様によれば、A鎖及びB鎖を含むインスリンプロドラッグが提供され、ここで、A鎖は、配列Z−GIVEQCCXSICSLYQLENXCX(配列番号3)を含み、B鎖は、J−X14−XLCGXLVEALXLVCGERGFX(配列番号14)なる配列を含む。A及びB鎖の式のZ及びJ表示は、それぞれ独立に、H(N−末端アミンを形成する)、又は、下記の一般構造を含むジペプチドである:
ここで、X14は、XLCGXLVEALXLVCGERGFX(配列番号14)配列のN−末端に「J」要素を接合する結合手であるか、若しくは、X14は、FVNQ(配列番号11)、VNQ、NQ、及びQから成る群から選ばれる、1から4個のアミノ酸の配列であって、XLCGXLVEALXLVCGERGFX(配列番号14)配列のN−末端に「J」要素を接合する配列を表す。
は、トレオニン及びヒスチジンから成る群から選ばれる。
は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
上式において、Xは、OH、NH、NHR10、及びOCHから成る群から選ばれ、ここで、R10は、下記の一般構造を含むジペプチドであり:
は、アスパラギン、オルナチン、グリシン、アラニン、トレオニン、及びセリンから成る群から選ばれ;
は、ヒスチジン、トレオニンから成る群から選ばれ;
は、アラニン、グリシン、及びセリンから成る群から選ばれ;
は、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモシステイン酸、及びシステイン酸から成る群から選ばれ;
は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
上式において、X12は、OH、NH、NHR11、及びOCHから成る群から選ばれ、ここで、R11は、下記の一般構造を含むジペプチドであり:
は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
上式において、X13は、H、OH、NH、NHR12、及びOCHから成る群から選ばれ、ここで、R12は、下記の一般構造を含むジペプチドであり:
上式において、Rは、H及びC−Cアルキルから成る群から選ばれ;
及びRは、それぞれ独立に、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、(C−Cアルキル)OH、(C−C18アルキル)SH、(C−Cアルキル)SCH、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)NHC(NH )NH、(C−Cアルキル)(C−Cシクロアルキル)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、及びCH(C−Cヘテロアリール)から成る群から選ばれ;
は、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−C)シクロアルキルから成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、5又は6員のヘテロ環を形成し;
はNHR又はOHであり;
はHであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、5又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
は、H及びOHから成る群から選ばれるが、ただし、X、X12、X13、J、及びZの内の一つ、ただ一つだけが、下記の一般構造のジペプチドを含むことを条件とする:
一実施態様では、J又はZが、式Iのジペプチドを含み、且つ、R及びRが、それらが付着する原子と一緒になって4、5、又は6員のヘテロ環を形成する場合、R及びRは共に水素ではない。
一実施態様によれば、Z、J、R10、R11、又はR12に存在するジペプチドは、式Iの一般構造を有する化合物を含み:
上式において、
、R、R、及びRは、それぞれ独立に、H、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−C18アルキル)OH、(C−C18アルキル)SH、(C−Cアルキル)SCH、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)NHC(NH )NH、(C−Cアルキル)(C−Cシクロアルキル)、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロ環)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロアリール)、及びC−C12アルキル(W)C−C12アルキルから成る群から選ばれ、ここに、Wは、N、S、及びOから成る群から選ばれるヘテロ原子であるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−C12シクロアルキルを形成し;又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−Cシクロアルキルを形成し;
は、C−C18アルキル、(C−C18アルキル)OH、(C−C18アルキル)NH、(C−C18アルキル)SH、(C−Cアルキル)(C−C)シクロアルキル、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロ環)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、及び(C−Cアルキル)(C−Cヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;
はNHR又はOHであり;
は、H、C−Cアルキルであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
は、水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれる。
一実施態様によれば、Z、J、R10、R11、又はR12に存在するジペプチドは、式Iの一般構造を有する化合物を含み:
上式において、
及びRは、H又はC−Cアルキルであり;
及びRは、それぞれ独立に、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−Cアルキル)SCH、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)NHC(NH )NH、(C−Cアルキル)(C−Cシクロアルキル)、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロ環)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、及びCH(C−C12ヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−C12シクロアルキルを形成し;
は、C−C18アルキルであり;
はNHRであり;
は、H又はC−Cアルキルであり;且つ、
は、水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれる。
一実施態様によれば、インスリン類縁体が提供され、ここで、該インスリンペプチドのA鎖は、配列Z−GIVEQCCTSICSLYQLENXCN(配列番号6)を含み、B鎖は、HLCGSHLVEALYLVCGERGFF(配列番号7)、FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKT(配列番号8)、及びFVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTKPT(配列番号9)から成る群から選ばれ;ここで、
Zは、Hか、又は、下記の一般構造を含むジペプチドであり:
は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
上式において、R10は、Hか、又は、下記の一般構造を含むジペプチドであり:
ただし、Z及びR10は、共にHではなく、且つ、共に下記の一般構造を含むジペプチドではない:
ことを条件とする。
一実施態様によれば、単一鎖インスリンプロドラッグ類縁体が提供される。この実施態様では、ヒトのインスリンB鎖又はその機能的類縁体のカルボキシ末端は、ヒトのインスリンA鎖又はその機能的類縁体のN−末端に共有結合され、ここで、下記の一般構造を有するジペプチドプロドラッグ成分:
が、該ペプチドのN−末端に、若しくは、それぞれ、A鎖又はB鎖の、位置A19、B16、又はB25に対応するアミノ酸の側鎖に、アミド結合を介して共有結合される。一実施態様では、B鎖は、4−12又は4−8アミノ酸のペプチドリンカーを介してA鎖に結合される。
別の実施態様では、インスリンプロドラッグ類縁体の溶解度は、そのペプチドに対する親水性成分の共有結合によって強化される。一実施態様では、親水性成分は、B鎖のN−末端アミノ酸、又は、配列番号9の位置28のアミノ酸、又は、配列番号8の位置28のアミノ酸に結合される。一実施態様では、親水性成分は、約500から約40,000ダルトンの範囲から選ばれる分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)である。一実施態様では、ポリエチレングリコール鎖は、約500から約5,000ダルトンの範囲から選ばれる分子量を有する。別の実施態様では、ポリエチレングリコール鎖は、約10,000から約20,000ダルトンの分子量を有する。
アシル化又はアルキル化は、循環中の、インスリンペプチドの半減期を増す可能性がある。有利なことに、アシル化又はアルキル化は、プロドラッグの活性化時、インスンリン受容体に対する作用の開始を遅らせ、及び/又は、作用の持続時間を延長する可能性がある。インスリン類縁体は、親水性成分が結合される場合は、同じアミノ酸位置においてアシル化又はアルキル化されてもよく、又は、異なるアミノ酸位置にアシル化又はアルキル化されてもよい。
一実施態様では、本明細書に開示される新規インスリンプロドラッグ類縁体の内のいずれかを、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の純度において含み、且つ、薬学的に許容される希釈剤、担体、又は賦形剤を含む、医薬組成物が提供される。このような組成物は、本明細書に開示されるA19インスリン類縁体を、少なくとも0.5mg/ml、1mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、7mg/ml、8mg/ml、9mg/ml、10mg/ml、11mg/ml、12mg/ml、13mg/ml、14mg/ml、15mg/ml、16mg/ml、17mg/ml、18mg/ml、19mg/ml、20mg/ml、21mg/ml、22mg/ml、23mg/ml、24mg/ml、25mg/ml以上の濃度において含んでもよい。一実施態様では、医薬組成物は、滅菌された水溶液を含み、該水溶液は、必要に応じて、各種パッケージ容器の中に収容保存されてもよい。医薬組成物はさらに、該組成物を患者に投与するためのディスポーザブルデバイスを含むキットの一部として包装することも可能である。容器又はキットは、周囲温又は冷蔵温度における保存用としてラベルされてもよい。
一実施態様によれば、インスリン依存性患者における血中グルコース濃度を調整する、改良された方法が提供される。この方法は、糖尿病のコントロールのために治療的有効量の本開示のインスリンプロドラッグ類縁体を投与する工程を含む。一実施態様では、このインスリンプロドラッグ類縁体は、約5,000から約40,000ダルトンの範囲から選ばれる分子量を有するPEG鎖によってPEG化される。
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2008年12月19日出願の米国特許仮出願第61/139,218号に対する優先権を主張する。なお、参照によりこの開示の全体を本出願に含めることをここに明言する。
図1は、ヒト・インスリンを調製するための2工程合成戦略の模式的概観図である。手順の詳細は実施例1に記載される。 図2は、精製天然インスリンに対し、合成ヒト・インスリンの、インスリン受容体特異的結合を比較するグラフである。グラフに示されるデータによって表示されるように、二つの分子は同様の結合活性を有する。 図3は、天然インスリン及びA19インスリン類縁体(インスリン(p−NH−F)19)の相対的インスリン受容体結合を比較するグラフである。グラフに示されるデータによって表示されるように、二つの分子は同様の結合活性を有する。 図4は、天然インスリン及びIGF1(YL)B16B17類縁体の相対的インスリン受容体結合を比較するグラフである。グラフに示されるデータによって表示されるように、二つの分子は同様の結合活性を有する。 図5は、IGF1(YB16B17A19類縁体(活性化されない)を調製するために使用される合成スキームの模式図である。 図6は、IGF1(YB16B17)A(p−NH−F)19、及び、IGF1(YB16B17)A(p−NH−F)19のジペプチド延長型の、相対的インスリン受容体結合を比較するグラフである。ここで、ジペプチドAiBAlaは、位置A19において結合される(すなわち、IGF1(YB16B17A19−AiBAla)。 図7A〜7Cは、本開示によって調製される二量体の活性を示す。図7Aは、二つの単一鎖IGFB16B17誘導体ペプチド(IGF−1B鎖[C161722]−A鎖[O9,14,1518,21];配列番号68)が、B鎖のアミノ末端の側鎖間のジスルフィド結合によって一緒に結合される、IGF−1単一鎖二量体の構造を示す。図7Bは、インスリン、IGF−1、単一鎖IGFB16B17誘導体ペプチド二量体、及び、二本鎖IGFB16B17誘導体ペプチド二量体の、相対的インスリン受容体結合を示すグラフである。図7Cは、インスリン受容体のリン酸化における、インスリン、IGF−1、二本鎖IGFB16B17誘導体ペプチド二量体の相対的活性を示すグラフである。 図8A〜図8Cは、プロドラッグ型のIGFB16B17誘導体ペプチドである、IGF1A(Ala)6,7,11,20アミドの(pNH−F)19におけるAib−Pro、の分解を示す。ジペプチドは、指定時間、PBS中で、pH7.4、37℃でインキュベートした。インキュベーション開始後、20分(図8A)、81分(図8B)、及び120分(図8C)後に、分液を採取し、0.1%TFAで反応停止させ、分析用HPLCによって調べた。ピークa(IGF1A(Ala)6,7,11,20(pNH−F)アミド)、及びピークb(IGF1A(Ala)6,7,11,20(Aib−Pro−pNH−F)19アミド)は、LC−MSによって特定し、ピーク面積の積分によって定量した。データは、経時的な、IGF1A(Ala)6,7,11,20(Aib−Pro−pNH−F)19アミドの、IGF1A(Ala)6,7,11,20(pNH−F)アミドへの、自発的、非酵素的転換を示す。 図9Aと9Bは、プロドラッグであるAib,dPro−IGF1YL(A19 4−アミノPheを介して結合されるジペプチド)のインビトロ活性を示すグラフである。図9Aは、PBS中でインキュベートした場合の経時的な、天然インスリン(1時間、4℃で測定)、及び、A19 IGFプロドラッグ類縁体(Aib,dPro−IGF1YL)(0時、2.5時、及び10.6時)の相対的インスリン受容体結合の比較を示すグラフである。図9Bは、20%血漿/PBS中でインキュベートした場合の経時的な、天然インスリン(1.5時間、4℃で測定)、及び、A19 IGFプロドラッグ類縁体(Aib,dPro−IGF1YL)(0時、1.5時、及び24.8時)の相対的インスリン受容体結合の比較を示すグラフである。グラフに示されるデータから明らかなように、プロドラッグ型が活性IGF1YLペプチドに転換されるにつれて、A19IGFプロドラッグ類縁体サンプルからの増大活性が回復する。 図10Aと10Bは、プロドラッグdK,(N−イソブチルG)−IGF1YL(A19 4−アミノPheを介して結合されるジペプチド)のインビトロ活性を示すグラフである。図10Aは、PBS中でインキュベートした場合の経時的な、天然インスリン(1時間、4℃で測定)、及び、A19 IGFプロドラッグ類縁体(IGF1YL:dK,(N−イソブチルG)(0時、5時、及び52時)の相対的インスリン受容体結合の比較を示すグラフである。図10Bは、20%血漿/PBS中でインキュベートした場合の経時的な、天然インスリン(1.5時間、4℃で測定)、及び、A19 IGFプロドラッグ類縁体(IGF1YL:dK,(N−イソブチルG)(0時、3.6時、及び24.8時)の相対的インスリン受容体結合の比較を示すグラフである。グラフに示されるデータから明らかなように、プロドラッグ型が活性IGF1YLペプチドに転換されるにつれて、A19IGFプロドラッグ類縁体サンプルからの増大活性が回復する。 図11は、プロドラッグdK(e−アセチル)、Sar)−IGF1YL(A19 4−アミノPheを介して結合されるジペプチド)のインビトロ活性を示すグラフである。図11Aは、PBS中でインキュベートした場合の経時的な、天然インスリン(1時間、4℃で測定)、及び、A19 IGFプロドラッグ類縁体(IGF1YL:dK(e−アセチル)、Sar)(0時、7.2時、及び91.6時)の相対的インスリン受容体結合の比較を示すグラフである。図11Bは、20%血漿/PBS中でインキュベートした場合の経時的な、天然インスリン(1.5時間、4℃で測定)、及び、A19 IGFプロドラッグ類縁体(IGF1YL:dK(e−アセチル)、Sar)(0時、9時、及び95時)の相対的インスリン受容体結合の比較を示すグラフである。グラフに示されるデータから明らかなように、プロドラッグ型が活性IGF1YLペプチドに転換されるにつれて、A19IGFプロドラッグ類縁体サンプルからの増大活性が回復する。
<定義>
本発明を説明し、その特許を主張するに当たり、下記の語法が、下記に記載される定義に従って使用される。
本明細書で用いる「プロドラッグ」という用語は、その薬理作用を表すのに先立って化学的修飾を受ける任意の化合物と定義される。
「生物活性ポリペプチド」とは、インビトロ及び/又はインビボにおいて生物学的作用を及ぼすことが可能なポリペプチドを指す。
本明細書で用いる「アミノ酸」という用語は、アミノ官能基及びカルボキシル官能基の両方を含み、該アミノ基及びカルボン酸基が、同じ炭素(アルファ炭素)に付着される任意の分子を包含する。アルファ炭素は、必要に応じて、一つ又は二つのさらに別の有機置換基を有していてもよい。その立体化学形状を指定することの無いアミノ酸表示は、該アミノ酸のL形又はD形のいずれか、又は、ラセミ混合体を包含することが意図される。しかしながら、アミノ酸が、その3文字コードで表示され、且つ、上付き数字を含む場合、3文字コード及び上付き数字の前に小文字dを含むことによって、該アミノ酸のD形が指定され(例えば、dLys−1)、ここで、小文字dを欠如する表示(例えば、Lys−1)は、該アミノ酸の天然のL形であることを指定することが意図される。この命名法では、上付き数字を含めることは、IGF配列内部に位置づけられるアミノ酸の位置を表示しており、ここで、IGF配列内に位置づけられるアミノ酸は、N末端から連続的に数えられる、上付きの正の数によって表示される。N−末端又は側鎖においてIGFペプチドに結合される付加的アミノ酸は、0から始まって、IGF配列から遠ざかるにつれて負の整数として増加するように数えられる。例えば、IGFのN−末端に結合されるジペプチドプロドラッグ内のアミノ酸の位置は、aa−1−aa−IGFと表示され、ここで、aaは、ジペプチドのカルボキシ末端アミノ酸を表し、aa−1は、ジペプチドのアミノ末端アミノ酸を表す。
本明細書で用いる「ヒドロキシル酸」という用語は、アルファ炭素のアミノ基をヒドロキシル基で置換するように修飾されたアミノ酸を指す。
本明細書で用いる「非コードアミノ酸」という用語は、下記の20個のアミノ酸:Ala、Cys、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、TyrのいずれかのL異性体以外の任意のアミノ酸を包含する。
「ジペプチド」とは、アルファアミノ酸又はアルファヒドロキシル基が、ペプチド結合を介して別のアミノ酸に結合することによって形成される化合物である。
本明細書で用いる、「化学的切断」という用語は、それ以上いかなる表示も含まない場合、共有化学結合の破断をもたらす非酵素的反応を包含する。
「生物活性ポリペプチド」とは、インビトロ及び/又はインビボにおいて生物学的作用を及ぼすことが可能なポリペプチドを指す。
本明細書で用いるペプチドに対する一般的参照は、アミノ及びカルボキシ末端を修飾させたペプチドをも包含することが意図される。例えば、標準的アミノ酸を表示するアミノ酸配列は、N−及びC−末端の標準的アミノ酸の外、N−末端における対応するヒドロキシル酸、及び/又は、末端カルボン酸の代わりにアミド基を含むように修飾された、対応するC−末端アミノ酸をも包含することが意図される。
本明細書で用いる「アシル化」アミノ酸とは、その生産される手段は問わず、天然産のアミノ酸に対して非天然である、アシル基を含むアミノ酸である。アシル化アミノ酸及びアシル化ペプチドを生産する例示の方法は、当該技術分野で公知であるが、ペプチド中に含める前にアミノ酸をアシル化すること、又は、ペプチド合成し、次いで該ペプチドを化学的にアシル化することを含む。ある実施態様では、アシル基によって、ペプチドは、下記:(i)循環半減期の延長、(ii)作用開始の遅延、(iii)作用持続時間の延長、(iv)DPP−IVなどのプロテアーゼに対する抵抗の向上、及び、(v)インスリンペプチド受容体に対する効力の増加、の内の一つ以上を有することが可能とされる。
本明細書で用いる「アルキル化」アミノ酸は、その生産される手段は問わず、天然産のアミノ酸に対して非天然である、アルキル基を含むアミノ酸である。アルキル化アミノ酸及びアルキル化ペプチドを生産する例示の方法は、当該技術分野で公知であるが、ペプチド中に含める前にアミノ酸をアルキル化すること、又は、ペプチド合成し、次いで該ペプチドを化学的にアキルル化することを含む。いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、ペプチドのアルキル化は、ペプチドのアシル化と、同じでないにしても、類似の作用、例えば、循環半減期の延長、作用開始の遅延、作用持続時間の延長、DPP−IVなどのプロテアーゼに対する抵抗の向上、及び、インスリンペプチド受容体に対する効力の増加、を実現すると考えられる。
本明細書で用いる「薬学的に許容される担体」という用語は、標準的薬学的担体であればいずれのものであってもよく、例えば、リン酸緩衝生理的食塩水、水、水中油又は油中水乳剤などの乳剤、及び、各種の湿潤剤が挙げられる。本用語はさらに、ヒトを含む動物において使用するために、米国連邦政府の規制当局によって承認されるか、又は、米国薬局方に列挙される媒体であれば、そのいずれのものも包含する。
本明細書で用いる「薬学的に許容される塩」という用語は、母体化合物の生物活性を保持し、生物学的に、又は他の点でも有害ではない、化合物の塩を指す。本明細書に開示される化合物の多くは、アミノ基及び/又はカルボキシル基、又は、それらに対して類似の基が存在するために、酸性及び/又は塩基性塩を形成することが可能である。
薬学的に受容可能な塩基付加塩は、無機及び有機塩基から調製することが可能である。無機塩から誘導される塩は、単に例示として述べると、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、及びマグネシウム塩が挙げられる。有機塩基から誘導される塩としては、例えば、ただしこれらに限定されないが、一次、二次、及び三次アミンの塩が挙げられる。
薬学的に受容可能な酸付加塩は、無機及び有機酸から調製されてもよい。無機酸から誘導される塩としては、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。有機酸から誘導される塩としては、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイヒ酸、マンデル酸、メタンスルフォン酸、エタンスルフォン酸、p−トルエン−スルフォン酸、サリチル酸などが挙げられる。
本明細書で用いる「治療する」という用語は、特定の障害又は病態の予防、又は、特定の障害又は病態に関連する症状の緩和、及び/又は、前記症状の防止又は根絶を含む。例えば、本明細書で用いる「糖尿病を治療する」という用語は、一般に、グルコースの血中濃度を正常レベルの近くに維持することを指し、与えられる状況に応じて血中グルコース濃度を上げるか、又は下げることを含んでもよい。
本明細書で用いる、プロドラッグの「有効」量、又は「治療的有効量」とは、該プロドラッグが、無害でありながら、所望の作用を実現するのに十分な量を指す。「有効な」量は、被検体によってまちまちで、個体の年齢及び一般的状態、投与方式などに応じて変動する。したがって、正確な「有効量」を特定することは常に可能とは限らない。しかしながら、任意の個別症例における適切な「有効」量は、当業者であれば、通例の実験手技によって定めることが可能である。
「非経口的」という用語は、消化管を介さず、何らかの別ルート、例えば、鼻腔内、吸引、皮下、筋肉内、脊髄内、又は静脈内によることを意味する。
本明細書で用いる「天然インスリンペプチド」という用語は、配列番号1のA鎖と配列番号2のB鎖とを含む51アミノ酸のヘテロ二量体の外、配列番号1及び2を含む、単一鎖のインスリン類縁体をも表示することが意図される。本明細書で用いる「インスリンペプチド」という用語は、それ以上の説明言語が無い場合、配列番号1のA鎖と配列番号2のB鎖とを含む51アミノ酸のヘテロ二量体の外、該二量体の、単一鎖型のインスリン類縁体(例えば、国際公開WO96/34882及び米国特許第6,630,348号に開示されるものを含む、なお、これらの開示を引用により本明細書に含める)をも包含することが意図され、それらの例としては、天然A鎖及び/又はB鎖の修飾された誘導体を含み、修飾として、例えば、位置A19、B16、又はB25のアミノ酸の、4−アミノフェニルアラニンへの修飾、若しくは、A5、A8、A9、A10、A12、A14、A15、A17、A18、A21、B1、B2、B3、B4、B5、B9、B10、B13、B14、B17、B20、B21、B22、B23、B26、B27、B28、B29、及びB30から選ばれる位置における、1個以上のアミノ酸置換、又は、位置B1−4及びB26−30の内のいずれか又は全ての欠失、を含むような、ヘテロダイマー及び単一鎖インスリン類縁体が挙げられる。本明細書で用いる「インスリンプロドラッグ類縁体」は、インスリンの活性、又は、IGF1系インスリン類縁体の活性(例えば、インスリン及びIGF−1受容体と相互作用する能力)を妨げる位置における、アミド結合を介するジペプチドの共有結合によって修飾されているような、インスリンペプチド(又は、実施例9に記載のIGF1系インスリン類縁体)を指す。
本明細書で用いる「単一鎖インスリン類縁体」という用語は、インスリンA及びB鎖が共有結合されている、構造的に関連する一群のタンパク質を包含する。
本明細書で用いるアミノ酸「修飾」とは、アミノ酸の置換、付加、又は欠失による、若しくは、アミノ酸からの、及び/又は、アミノ酸への化学基の付加及び/又は除去による、アミノ酸の誘導体化を指し、ヒトのタンパク質中に一般的に見出される20種のアミノ酸、及び、非典型的又は非天然産アミノ酸の内の任意のアミノ酸による、置換を含む。非典型的アミノ酸の市販の供給源としては、Sigma−Aldrich(Milwaukee,WI)、ChemPep Inc.(Miami,FL)、及び、Genzyme Pharmaceuticals(Cambridge,MA)が挙げられる。非典型的アミノ酸は、供給業者から購入してもよいし、新たに合成してもよいし、又は、化学的に修飾しても、又は天然のアミノ酸から誘導してもよい。
本明細書で用いるアミノ酸の「置換」とは、一アミノ酸残基の、異なるアミノ酸残基による置換を指す。本出願の全体にわたって、文字及び数字による、ある特定のアミノ酸位置の参照(例えば、位置A5)は全て、それぞれ、ヒトの天然のA鎖(配列番号1)又はB鎖(配列番号2)におけるアミノ酸であって、A鎖のその位置(例えば、位置A5)又はB鎖のその位置(例えば、位置B5)に存在するアミノ酸、若しくは、それら配列の任意の類縁体の、対応するアミノ酸位置に存在するアミノ酸を指す。例えば、本出願における、それ以上の詳細な表示の無い「位置B28」への参照は、配列番号2の最初のアミノ酸が欠失された、インスリン類縁体のB鎖の、対応する位置B27を意味すると考えられる。
本明細書で用いる「保存的アミノ酸置換」という用語は、本明細書では、下記の5群の内の一群内における交換と定義される。
I.小型の脂肪族で、非極性か、又は僅かな極性を持つ残基:
Ala、Ser、Thr、Pro、Gly;
II.極性で、負に帯電した残基、及びそれらのアミド:
Asp、Asn、Glu、Gln;
III.極性で、正に帯電した残基:
His、Arg、Lys;オルニチン(Orn)
IV.大型で、脂肪族で、非極性の残基:
Met、Leu、Ile、Val、Cys、ノルロイシン(Nle)、ホモシステイン
V.大型で、芳香族の残基:
Phe、Tyr、Trp、アセチルフェニルアラニン。
本明細書で用いる一般用語「ポリエチレングリコール鎖」又は「PEG鎖」は、一般式H(OCHCHOH(nは9以上)によって表される、分枝鎖又は直鎖形状を取る、エチレンオキシド及び水の縮合ポリマーの混合物を指す。それ以上の特定が無い場合、この用語は、500から80,000ダルトンの範囲から選ばれる平均総分子量を持つ、エチレングリコールのポリマーを含むことが意図される。「ポリエチレングリコール鎖」又は「PEG鎖」は、その、凡その平均分子量を示すために、数字接尾語と組み合わせて使用される。例えば、PEG−5,000は、約5,000ダルトンの平均総分子量を持つポリエチレングリコール鎖を指す。
本明細書で用いる「PEG化」という用語、及び同様の用語は、ポリエチレングリコール鎖を結合することによってその天然状態から修飾されている化合物を指す。「PEG化ポリペプチド」とは、PEG鎖を共有結合させたポリペプチドである。
本明細書で用いる「リンカー」とは、二つの別々の実体を互いに結合する、結合手、分子、又は分子の基である。リンカーは、二つの実体の間の最適間隔を実現してもよいし、或いはさらに、二つの実体の互いからの分離を可能とする不安定リンカーを供給してもよい。不安定結合としては、光分断基、酸不安定成分、塩基不安定成分、及び酵素切断可能基が挙げられる。
本明細書で用いる「インスリン二量体」とは、リンカーを介して互いに共有結合される二つのインスリンペプチドを含む複合体である。それ以上の特徴説明無く使用される場合、インスリン二量体という用語は、インスリンのホモ二量体とインスリンのヘテロ二量体の両方を含む。インスリンホモ二量体は、二つの同一サブユニット(それぞれがA及びB鎖を含む)を含み、一方、インスリンヘテロ二量体は、異なる二つのサブユニットを含むが、ただし、これらの二つのサブユニットは、事実上互いに近似する。
本明細書で用いる、nが1から6までであってもよい「C−Cアルキル」という用語は、1から指定数までの炭素原子を有する、分枝状又は直鎖状アルキル基を表す。典型的C−Cアルキル基としては、ただしこれらに限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。
本明細書で用いる、nが2から6までであってもよい「C−Cアルケニル」という用語は、2から指定数の炭素原子及び少なくとも1個の二重結合を有する、オレフィン的に不飽和な、分枝状又は直鎖状アルキル基を表す。このような基の例としては、ただしこれらに限定されないが、1−プロペニル、2−プロペニル(−CH−CH=CH)、1,3−ブタジエニル、(−CH=CHCH=CH)、1−ブテニル(−CH=CHCHCH)、ヘキセニル、ペンチニルなどが挙げられる。
nが2から6までであってもよい「C−Cアルキニル」という用語は、2からn個の炭素原子を有する、不飽和の、分枝状又は直鎖状の基を表す。このような基の例としては、ただしこれらに限定されないが、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニルなどが挙げられる。
本明細書で用いる「アリール」という用語は、例えば、ただしこれらに限定されないが、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニルなどを含む、一つ又は二つの芳香環を有する単環又は二環の炭素環系を指す。アリール環のサイズ、及び、置換基又は結合基の存在は、存在する炭素の数を表示することによって示される。例えば、「(C−Cアルキル)(C−C10アリール)」という用語は、1〜3員のアルキル鎖を介して、母体成分に付着される、5〜10員のアリールを指す。
本明細書で用いる「ヘテロアリール」という用語は、一つ又は二つの芳香環、及び、芳香環の中に少なくとも一つの窒素、酸素、又は硫黄を含む、単環又は二環の系を指す。ヘテロアリール環のサイズ、及び、置換基又は結合基の存在は、存在する炭素の数を表示することによって示される。例えば、「(C−Cアルキル)(C−Cヘテロアリール)」という用語は、1〜「n」員のアルキル鎖を介して、母体成分に付着される、5又は6員のヘテロアリールを指す。
「C−Cシクロアルキル」という用語は、炭素及び水素原子を含む、非芳香族の、単環又は多環を指し、ここで、下付数字は、存在する炭素原子の数を示す。例えば、C−Cシクロアルキルという用語は、化合物シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルを表す。
「C−Cヘテロ環」という用語は、1から「n−1」個のヘテロ原子を含むヘテロ環系を指し、ここで、ヘテロ原子は、酸素、硫黄、及び窒素から成る群から選ばれる。例えば、「5−員のヘテロ環」又は「Cヘテロ環」と言う語句は、ただしこれらに限定されないが、一つのヘテロ原子を有する5員のヘテロ環(例えば、チオフェン類、ピロール類、フラン類);1,2又は1,3位置に二つのヘテロ原子を有する5−員のヘテロ環(例えば、オキサゾール類、ピラゾール類、イミダゾール類、チアゾール類、プリン類);三つのヘテロ原子を有する5−員のヘテロ環(例えば、トリアゾ−ル類、チアジアゾール類)を含む。
本明細書で用いる「C−C員環」という用語は、互いに結合されて環を形成する、合計3から「n」個の元素を含む、飽和又は不飽和の炭化水素環状構造を指し、ここで、環元素は、C、O、S、及びNから成る群から選ばれる。この用語は、シクロアルキル類、ヘテロ環類、アリール類、及びヘテロアリール類を包含することが意図される。
本明細書で用いる「患者」という用語は、それ以外に表示の無い場合、飼養される、任意の温血脊椎動物(例えば、ただしこれらに限定されないが、家畜、ウマ、ネコ、イヌ、及びその他のペット)及びヒトを包含することが意図される。
<実施態様>
本開示は、インスリンペプチドの作用開始を遅らせ、その半減期を延長するように処方され、したがって基剤としてのインスリンペプチドの治療示数を向上させる、インスリンプロドラッグ誘導体を提供する。本明細書において開示されるインスリンプロドラッグの化学作用は、非酵素的変性機構を介して該プロドラッグを活性化することを可能とする。開示のプロドラッグの化学作用は、活性部位アミンへ化学的に結合させてアミドを形成することが可能であり、このアミドは、ジケトピペラジン形成及び該プロドラッグの放出と同時に、母体アミンに再転換される。この新規の、生物学的に優しいプロドラッグの化学作用は、生理的条件下(例えば、水性環境における、約7のpH、37℃)に自発的に分解するが、酵素的分解には依存しない。プロドラッグ誘導体の持続時間は、ジペプチドプロドラッグ配列の選択によって決定され、したがって、プロドラッグの柔軟な処方を可能とする。
一実施態様によれば、生理的条件下で1〜100時間の、非酵素的活性化半減期(t1/2)を有するプロドラッグが提供される。本発明で開示される生理的条件とは、水性環境下での、約35から40℃の温度及び約7.0から約7.4のpHを含むことが意図され、より典型的には、7.2から7.4のpH及び36から38℃の温度を含むことが意図される。一実施態様では、生理的条件下でジケトピペラジン形成を経過することが可能なジペプチドが、アミド結合を介してインスリンペプチドに共有結合される。
有利なことに、プロドラッグの切断速度、したがってその活性化は、ジペプチドのプロ成分の構造及び立体化学、及びさらに、求核基の強度に依存する。本明細書に開示されるプロドラッグは、最終的には、該薬剤の天然受容体による認識が可能な構造に化学的に変換され、ここで、その化学的変換の速度が、インビボでの生物学的作用の開始時間及び持続時間を決める。本出願において開示されるプロドラッグの化学作用は、付加的な化学的添加剤又は酵素に依存しない分子内化学的反応に依拠する。変換速度は、ジペプチドの置換基の化学的性質、及び、生理的条件下におけるその切断によって制御される。生理的pH及び温度は、高度に画定される範囲内に納まるように緊密に制御されているので、プロドラッグから薬剤への変換速度は、患者内においても、患者間においても、高度の再現性を示す。
本明細書において開示されるように、生物活性ポリペプチドが、少なくとも約1時間、より典型的には20時間を上回り、100時間未満の、延長された半減期を有し、生理的条件下に、内在性化学的不安定によって駆動される非酵素的反応を介して活性型に変換される、プロドラッグが提供される。一実施態様では、プロドラッグの非酵素的活性化t1/2時間は、1−100時間、より典型的には12から72時間であり、一実施態様では、t1/2は、リン酸バッファー溶液(例えば、PBS)中、37℃、pH7.2においてプロドラッグをインキュベートすることによって測定した場合、24−48時間である。各種プロドラッグの半減期は、式t1/2=.693/kを用いて計算される。該式において、「k」は、プロドラッグ分解の一次の速度定数である。一実施態様では、プロドラッグの活性化は、アミド結合したジペプチドの切断後、及び、ジケトピペラジン又はジケトモルフォリン、及び活性インスリンペプチドの形成後に起こる。
生理的条件下に分子内分解を促進して活性ペプチドを放出する、天然アミノ酸及び/又は合成アミノ酸から構成される特定のジペプチドが、既に特定されている。このジペプチドは、天然インスリンの上に存在するアミノ基に対して、又は、天然インスリンペプチドを修飾することによって該インスリンペプチドの中に導入されたアミノ基に対して、(アミド結合を介して)結合させることが可能である。一実施態様では、ジペプチド構造は、ほ乳類血清中に存在するペプチダーゼ、例えば、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)を含むペプチダーゼによる切断に抵抗するように選ばれる。したがって、一実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素の、生物活性ペプチドからの切断速度は、プロテアーゼの不在下に反応を実行するのに比べ、反応が、血清プロテアーゼの存在下に生理的条件を用いて実行される場合、事実上強化されない(例えば、2Xを超えない)。したがって、インスリンペプチドからのジペプチドプロドラッグ要素の切断半減期(生理的条件下のPBS中で)は、DPP−IVプロテアーゼを含む溶液における、インスリンペプチドからのジペプチドプロドラッグ要素の切断半減期の2倍、3倍、4倍、又は5倍以下である。一実施態様では、DPP−IVプロテアーゼを含む溶液は血清であり、より詳細には、ヒトの血清を含む、ほ乳類の血清である。
一実施態様によれば、ジペプチドプロドラッグ要素は、構造U−Oを含み、ここで、Uはアミノ酸又はヒドロキシル酸であり、OはN−アルキル化アミノ酸である。一実施態様では、U、O、又は、U−Oが結合されるインスリンペプチドのアミノ酸は、非コードアミノ酸である。一実施態様では、U及び/又はOは、D−立体異性体配置を持つアミノ酸である。ある例示の実施態様では、Uは、D立体異性体配置を持つアミノ酸であり、Oは、L立体異性体配置を持つアミノ酸である。ある例示の実施態様では、Uは、L立体異性体配置を持つアミノ酸であり、Oは、D立体異性体配置を持つアミノ酸である。ある例示の実施態様では、Uは、D立体異性体配置を持つアミノ酸であり、Oは、D立体異性体配置を持つアミノ酸である。一実施態様では、OはN−アルキル化アミノ酸であるが、プロリンではない。一実施態様では、アミノ酸OのN−アルキル化される基は、C−C18アルキルであり、一実施態様では、N−アルキル化される基は、C−Cアルキルである。一実施態様では、U−Oは、本明細書で定義される式Iの構造を含むジペプチドである。
一実施態様では、ジペプチドは、インスリンペプチドに対し、A鎖又はB鎖のN−末端アミノ基から選ばれるアミノ基、又は、インスリンペプチドの活性部位に存在するアミノ酸の側鎖アミノ基において結合される。一実施態様によれば、ジペプチド延長部は、活性部位に、又はその近傍に存在するリシン残基の側鎖アミンを介してインスリンペプチドに共有結合される。一実施態様では、ジペプチド延長部は、合成アミノ酸又は修飾アミノ酸を介して結合され、ここで、合成アミノ酸又は修飾アミノ酸は、ジペプチド延長部の共有結合に好適な官能基(例えば、アミノ−フェニルアラニンの芳香族アミン)を提示する。一実施態様によれば、ジペプチドは、A又はB鎖のN−末端アミノ基、又は、位置A19、B16、又はB25に存在する芳香族アミン(例えば、4−アミノ−フェニルアラニン残基)の側鎖アミノ基から選ばれるアミノ基において、インスリンペプチドに結合される。一実施態様では、U−Oジペプチドは、位置A19に存在する4−アミノフェニルアラニンを介して位置A19に結合される。
ジペプチドプロドラッグ要素は、それ自身のインスリン類縁体へのアミド結合を、生理的条件下で酵素活性不在下に、自発的に切断するように設計される。一実施態様では、ジペプチド延長部のN−末端アミノ酸は、C−アルキル化アミノ酸(例えば、アミノイソブチル酸)を含む。一実施態様では、ジペプチドのC−末端アミノ酸は、N−アルキル化アミノ酸(例えば、プロリン又はN−メチルグリシン)を含む。一実施態様では、ジペプチドは、N−末端C−アルキル化アミノ酸の後にN−アルキル化アミノ酸が続く配列を含む。
本出願人らは、A鎖の位置19において天然のチロシンの代わりに4−アミノフェニルアミノ酸を選択的に挿入することが、インスリンペプチドの効力を喪失することなく許容されることを発見した(図3参照)。その後、本明細書に開示されるジペプチドプロドラッグ成分によって、この活性部位アミノ基を化学的にアミド化すると、インスリンの受容体結合活性が急激に低減され、したがって、これは好適なインスリンプロドラッグを提供する(図6参照、データは、IGF1Y1617(p−NH−F)A19類縁体に関するものであり、これは、インスリン(p−NH−F)A19に匹敵する活性を持つことが実証されている、図4参照)。したがって、一実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、アミド結合を介してA19の、4−アミノフェニルアラニンの芳香環に結合され、ここで、ジペプチドのC−末端アミノ酸は、N−アルキル化アミノ酸を含み、ジペプチドのN−末端アミノ酸は任意のアミノ酸である。
このジペプチドプロドラッグ成分はさらに、インスリンペプチドのさらに別の部位に付着させて、インスリンのプロドラッグ又は沈着類縁体を調製することが可能である。一実施態様によれば、インスリンのプロドラッグ/沈着類縁体であって、A鎖と、B鎖と、A鎖又はB鎖のN−末端アミノ基、又は、例えば、位置A19、B16、又はB25に存在する4−アミノ−フェニルアラニン残基の芳香族アミンに結合されるアミノ酸を含む、内部アミノ酸の側鎖アミノ基、から成る群から選ばれる一つ以上の部位に対し、アミド結合を介して結合されるジペプチドとを含む、プロドラッグ/沈着類縁体が提供される。一実施態様では、インスリンペプチドは、二つのジペプチド要素を含み、ここで、該ジペプチド要素は、必要に応じて、PEG化、アルキル化、アシル化されているか、若しくは、沈着ポリマーに結合される。一実施態様では、ジペプチドは、N−末端C−アルキル化アミノ酸に続けてN−アルキル化アミノ酸を含む。
インスリンプロドラッグ類縁体を含むA鎖及びB鎖は、各ペプチドの天然配列(すなわち、配列番号1及び配列番号2)を含んでもよく、若しくは、配列番号1及び/又は配列番号2の誘導体において、位置A19、B16、又はB25におけるアミノ酸の、4−アミノフェニルアラニンへの修飾、及び/又は、A5、A8、A9、A10、A14、A15、A17、A18、A19、及びA21、B1、B2、B3、B4、B5、B9、B10、B13、B14、B17、B20、B22、B23、B26、B27、B28、B29、及びB30から選ばれる位置における、1個以上のアミノ酸置換、又は、位置B1−4及びB26−30の内のいずれか、又は全ての欠失を含む、誘導体を含んでもよい。一実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、A又はB鎖のN−末端アミノ基に結合され、ここで、ジペプチドプロドラッグ要素のC−末端アミノ酸は、N−アルキル化アミノ酸を含み、ジペプチドプロドラッグ要素のN−末端アミノ酸は、任意のアミノ酸であるが、ただし、ジペプチドのC−末端アミノ酸がプロリンである場合、ジペプチドのN−末端アミノ酸は、C−アルキル化アミノ酸を含むことを条件とする。
一実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、式Iの一般構造を有する化合物を含み:
上式において、
、R、R、及びRは、それぞれ独立に、H、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−C18アルキル)OH、(C−C18アルキル)SH、(C−Cアルキル)SCH、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)NHC(NH )NH、(C−Cアルキル)(C−Cシクロアルキル)、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロ環)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロアリール)、及びC−C12アルキル(W)C−C12アルキルから成る群から選ばれ、ここに、Wは、N、S、及びOから成る群から選ばれるヘテロ原子であるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−C12シクロアルキル又はアリールを形成し;又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−Cシクロアルキルを形成し;
は、C−C18アルキル、(C−C18アルキル)OH、(C−C18アルキル)NH、(C−C18アルキル)SH、(C−Cアルキル)(C−C)シクロアルキル、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロ環)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、及び(C−Cアルキル)(C−Cヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;
はNHR又はOHであり;
は、H、C−Cアルキルであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
は、H及びOHから成る群から選ばれ、ただし、R及びRが、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成する場合、R及びRは共にH以外であることを条件とする。
別の実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、下記の一般構造を含み:
上式において、
及びRは、H又はC−Cアルキルから成る群から選ばれ;
及びRは、それぞれ独立に、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、(C−Cアルキル)OH、(C−C18アルキル)SH、(C−Cアルキル)SCH、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)NHC(NH )NH、(C−Cアルキル)(C−Cシクロアルキル)、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロ環)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、及びCH(C−Cヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−C12シクロアルキルを形成し;
は、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)SH、(C−C)シクロアルキルから成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、5又は6員のヘテロ環を形成し;
はNHR又はOHであり;
はH、C−Cアルキルであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、5又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
は、水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれ、ただし、式Iのジペプチドが、ペプチドのN−末端アミノを介して結合され、R及びRが、それらが付着する原子と一緒になって5又は6員のヘテロ環を形成する場合、R及びRは共にHではないことを条件とする。一実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素の第1アミノ酸及び/又は第2アミノ酸は、D立体異性体配置を持つアミノ酸である。
一実施態様では、式Iのプロドラッグ要素が提供され:
ここで、Rは、H及びC−C18アルキルから成る群から選ばれ;且つ、
及びRは、それぞれ独立に、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−Cアルキル)SCH、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)NHC(NH )NH、(C−Cアルキル)(C−Cシクロアルキル)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロアリール)、及びCH(C−Cヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−Cシクロアルキル環を形成し;
は、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−Cアルキル)NH、(C−C)シクロアルキルから成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、5又は6員のヘテロ環を形成し;
はNHR又はOHであり;
はHであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、5又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
は、H及びOHから成る群から選ばれ、且つ、RはHである。一実施態様では、RはC−Cアルキルであり、Rは、H、C−Cアルキル、CHOH、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、及びCH(C−Cヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、5又は6員のヘテロ環を形成する。
さらに別の実施態様では、式Iのプロドラッグ要素が提供され、ここで、
は、H及びC−C18アルキルから成る群から選ばれ;且つ、
及びRは、それぞれ独立に、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−Cアルキル)SCH、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)NHC(NH )NH、(C−Cアルキル)(C−Cシクロアルキル)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、及びCH(C−Cヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−Cシクロアルキル環を形成し;
は、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−Cアルキル)NH、(C−C)シクロアルキルから成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、5又は6員のヘテロ環を形成し;
はNHR又はOHであり;
はHであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、5又は6員のヘテロ環を形成し;
は、水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれ、且つ、RはHであるが、ただし、R及びRが、それらが付着する原子と一緒になって5又は6員のヘテロ環を形成する場合、R及びRは共にHではない。一実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素の第1アミノ酸及び/又は第2アミノ酸は、非コードアミノ酸であり、一実施態様では、D立体異性体配置を持つアミノ酸である。
他の実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、式Iの構造を有し、該式において、
及びRは、それぞれ独立に、H又はC−C18アルキルであり;
及びRは、それぞれ独立に、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−Cアルキル)SCH、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)NHC(NH )NH、(C−Cアルキル)(C−Cシクロアルキル)、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロ環)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、及びCH(C−Cヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−Cシクロアルキルを形成し;
は、C−Cアルキルであり;
はNHRであり;
はH又はC−Cアルキルであり;
は、水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれ、且つ、RはHである。
さらに別の実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は式Iの構造を有し、該式において:
及びRは、それぞれ独立に、C−C18アルキル、又は(C−Cアルキル)(C−C10アリール)Rであるか;又は、R及びRは、−(CH−を介して結合され、前式においてpは2−9であり;
はC−C18アルキルであり;
及びRはそれぞれ水素であり;
はNHであり;且つ
は、水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれる。
さらに別の実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は式Iの構造を有し、該式において:
及びRは、それぞれ独立に、水素、C−C18アルキル、(C−C18アルキル)OH、(C−Cアルキル)NH、及び(C−Cアルキル)(C−C10アリール)Rから成る群から選ばれるか;又は、R及びRは、(CHを介して結合され、前式においてpは2−9であり;
はC−C18アルキルであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4−12ヘテロ環を形成し;
及びRは、それぞれ独立に、水素、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)Rから成る群から選ばれ;
はNHであり;且つ
は、H、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれるが、ただし、R及びRは共に水素ではなく、R又はRの少なくとも一方は水素であることを条件とする。
別の実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は式Iの構造を有し、該式において:
及びRは、それぞれ独立に、水素、C−Cアルキル、及び(C−Cアルキル)NHから成る群から選ばれ;又は、R及びRは、(CHを介して結合され、前式においてpは2−9であり;
はC−Cアルキルであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって4−6ヘテロ環を形成し;
は、水素及びC−Cアルキルから成る群から選ばれ;
は水素であり;且つ、
はNHであるが、ただし、R及びRは共に水素ではないことを条件とする。
さらに別の実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は式Iの構造を有し、該式において:
及びRは、それぞれ独立に、水素、C−Cアルキル、及び(C−Cアルキル)NHから成る群から選ばれ;
はC−Cアルキルであり;
及びRはそれぞれ水素であり;且つ、
はNHであるが、ただし、R及びRは共に水素ではないことを条件とする。
別の実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は式Iの構造を有し、該式において:
及びRは、それぞれ独立に、水素、C−Cアルキル、及び(C−Cアルキル)NHから成る群から選ばれ;又は、R及びRは、(CHを介して結合され、前式においてpは2−9であり;
はC−Cアルキルであり;
は、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)Rであり;
はNHであり;
は、水素、C−Cアルキル、及び(C−Cアルキル)OHから成る群から選ばれ;
は水素であるが、ただし、R及びRは共に水素ではないことを条件とする。
別の実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は式Iの構造を有し、該式において:
は、水素、C−Cアルキル、及び(C−Cアルキル)(C−C10アリール)Rから成る群から選ばれ;
は水素であり;
はC−C18アルキルであり;
及びRは、それぞれ水素であり;
はNHR又はOHであり;
は、H、C−Cアルキルであるか、又はR及びRは、それらが付着する原子と一緒になって4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
は、水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれるが、ただし、Rがアルキルであるか、又は(C−Cアルキル)(C−C10アリール)Rである場合、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって4−11ヘテロ環を形成することを条件とする。
一実施態様では、インスリンペプチド及びアミド結合ジペプチドを含む、インスリンプロドラッグ類縁体が提供される。より詳細には、インスリンプロドラッグ類縁体は、A鎖及びB鎖を含み、ここで、A鎖は、配列Z−GIVEQCCXSICSLYQLENXCX−R13(配列番号3)、又は、配列番号3とは、位置A5、A8、A9、A10、A14、A15、A17、A18から選ばれる位置における、1から9、1から5、又は1から3個のアミノ酸修飾で異なる(天然インスリンA鎖に対し)、配列番号3の類縁体、を含み、B鎖は、J−X14−XLCGXLVEALXLVCGERGFX(配列番号14)なる配列、又は、配列番号14とは、位置B1、B2、B3、B4、B5、B13、B14、B17、B20、B22、B23、B26、B27、B28、B29、及びB30から選ばれる位置における、1から10、1から5、又は1から3個のアミノ酸修飾で異なる(天然インスリンB鎖に対し、すなわち、配列番号14のアミノ酸Xは、天然インスリンの位置B5に対応する)、配列番号14の類縁体、を含む。Z及びJは、それぞれ独立に、Hか、又は、式Iの一般構造を含むジペプチドである:
14は、「J」要素を、XLCGXLVEALXLVCGERGFX(配列番号14)に接合する結合手であるか、若しくは、X14は、「J」要素を、XLCGXLVEALXLVCGERGFX(配列番号14)配列に接合する配列であって、XVNQ(配列番号21)、VNQ、NQ、及び、Qから成る群から選ばれる1から4個のアミノ酸の配列を表す。
は、トレオニン及びヒスチジンから成る群から選ばれ;
は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
上式において、mは0−3から選ばれる整数であり、Xは、OH、NH、NHR10、及びOCHから成る群から選ばれ、ここで、R10は、Hであるか、又は、下記の式Iの一般構造を含むジペプチドであり:
は、アスパラギン、グリシン、アラニン、トレオニン、及びセリンから成る群から選ばれ;
は、ヒスチジン及びトレオニンから成る群から選ばれ;
は、アラニン、グリシン、及びセリンから成る群から選ばれ;
は、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモシステイン酸、及びシステイン酸から成る群から選ばれ;
は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
上式において、mは0−3から選ばれる整数であり、X12は、OH、NH、NHR11、及びOCHから成る群から選ばれ、ここで、R11は、Hであるか、又は、下記の式Iの一般構造を含むジペプチドであり:
は、下記の一般構造の酸であり:
上式において、mは0−3から選ばれる整数であり、X13は、H、OH、NH、NHR12、及びOCHから成る群から選ばれ、ここで、R12は、Hであるか、又は、下記の式Iの一般構造を含むジペプチドであり:
は、フェニルアラニン及びデスアミノ−フェニルアラニンから成る群から選ばれ;上式において、
、R、R、及びRは、それぞれ独立に、H、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−C18アルキル)OH、(C−C18アルキル)SH、(C−Cアルキル)SCH、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)NHC(NH )NH、(C−Cアルキル)(C−Cシクロアルキル)、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロ環)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロアリール)、及びC−C12アルキル(W)C−C12アルキルから成る群から選ばれ、ここに、Wは、N、S、及びOから成る群から選ばれるヘテロ原子であるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−C12シクロアルキル又はアリールを形成し;又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−Cシクロアルキルを形成し;
は、C−C18アルキル、(C−C18アルキル)OH、(C−C18アルキル)NH、(C−C18アルキル)SH、(C−Cアルキル)(C−C)シクロアルキル、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロ環)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、及び(C−Cアルキル)(C−Cヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;
はNHR又はOHであり;
は、H、C−Cアルキルであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;
は、H及びOHから成る群から選ばれ;且つ、
13は、COOH又はCONHである。一実施態様では、R13はCOOHであり、B鎖のカルボキシ末端アミノ酸は、天然のアルファ炭素カルボキシル基の代わりにアミド(CONH)を有する。一実施態様では、X、X12、X13、J、及びZの内の一つ以上は、式Iの一般構造を含むジペプチドであり:
一実施態様では、X、X12、X13、J、及びZの内の少なくとも一つは、式Iの一般構造のジペプチドを含み:
一実施態様によれば、X、X12、X13、J、及びZの内の少なくとも一つは、式Iの一般構造を含むジペプチドであり:
一実施態様では、X、X12、X13、J、及びZの内の一つだけが、式Iの一般構造のジペプチドを含み:
(すなわち、ジペプチドプロドラッグ要素が一つだけインスリンペプチドに付着される)。さらに、ジペプチドプロドラッグ要素が、A又はB鎖のN−末端に結合され(すなわち、J又はZのどちらかがジペプチドを含む場合)、且つ、R及びRが、それらが付着する原子と一緒になって4、5、又は6員のヘテロ環を形成する場合、R及びRの少なくとも一つは、H以外であり、一実施態様では、R及びRの両方ともH以外である。一実施態様では、J及びZは共にHであり、X12はOHであり、X13はHか又はOHであり、XはNHR10であり、ここで、R10は、式Iの一般構造を含むジペプチドである。さらに別の実施態様では、A鎖は、配列GIVEQCCXSICSLYQLENXCX−R13(配列番号3)を含み、B鎖配列は、X14−XLCGXLVEALXLVCGERGFX(配列番号14)なる配列を含み、mは1であり、X12はOHであり、X13はHか又はOHであり、XはNHR10であり、ここで、R10は、式Iの一般構造を含むジペプチドであり、R13はCOOHであり、B鎖のカルボキシ末端アミノ酸は、天然のアルファ炭素カルボキシル基の代わりにアミド(CONH)を有し、他の表示は直上に定義した通りである。
一実施態様では、X、X12、X13、J、及びZにおいて存在するジペプチドは、式Iの一般構造を含み:
上式において、
、R、R、及びRは、それぞれ独立に、H、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−C18アルキル)OH、(C−C18アルキル)SH、(C−Cアルキル)SCH、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)NHC(NH )NH、(C−Cアルキル)(C−Cシクロアルキル)、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロ環)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロアリール)、及びC−C12アルキル(W)C−C12アルキルから成る群から選ばれ、ここに、Wは、N、S、及びOから成る群から選ばれるヘテロ原子であるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−C12シクロアルキルを形成し;又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−Cシクロアルキルを形成し;
は、C−C18アルキル、(C−C18アルキル)OH、(C−C18アルキル)NH、(C−C18アルキル)SH、(C−Cアルキル)(C−C)シクロアルキル、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロ環)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、及び(C−Cアルキル)(C−Cヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;
はNHR又はOHであり;
は、H、C−Cアルキルであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;
は、水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれるが、ただし、R及びRが、それらが付着する原子と一緒になって5又は6員のヘテロ環を形成する場合、R及びRは共に水素ではないことを条件とする。一実施態様では、J又はZが式Iのジペプチドを含み、且つ、R及びRが、それらが付着する原子と一緒になって4、5、又は6員のヘテロ環を形成する場合、R及びRは共に水素ではない。
一実施態様では、Rは、H及びC−Cアルキルから成る群から選ばれ;
及びRは、それぞれ独立に、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−Cアルキル)SCH、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)NHC(NH )NH、(C−Cアルキル)(C−Cシクロアルキル)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、及びCH(C−Cヘテロアリール)から成る群から選ばれ;
は、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−Cアルキル)NH、(C−C)シクロアルキルから成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、5又は6員のヘテロ環を形成し;
はNHR又はOHであり;
はHであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって5又は6員のヘテロ環を形成し;
は、水素又はOHであり、且つ、RはHである。別の実施態様によれば、mは1であり、RはHであり、RはC−Cアルキルであり、Rは、H、C−Cアルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、及び(C−Cアルキル)(Cアリール)Rから成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって5員のヘテロ環を形成する。一実施態様では、mは1であり、RはHであり、RはC−Cアルキルであり、Rは、H、C−Cアルキルから成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって5員のヘテロ環を形成する。さらに別の実施態様では、Xはフェニルアラニンであり、単一ジペプチド延長部は、A鎖又はB鎖のN−末端に対するアミド結合を介して、インスリンペプチドに結合される。別の実施態様では、インスリンペプチドは、A鎖の位置19において4アミノフェニルアラニン置換を含み、単一ジペプチド延長部は、該4アミノフェニルアラニンの芳香族アミンにおいて形成されるアミド結合を介してインスリンペプチドに結合される。一実施態様では、本明細書において開示されるインスリン類縁体は、A鎖及び/又はB鎖のC−末端カルボキシレートの代わりに、C−末端アミド又はエステルを含む。
一実施態様によれば、式Iのジペプチドはさらに、インスリン又はIGF−1受容体と相互作用するインスリン類縁体の能力を妨げる大型ポリマーを含むように、修飾される。その後、ジペプチドを切断することによって、インスリン類縁体は、ジペプチド複合体から放出され、ここで、解放されたインスリンは、完全な活性を帯びる。一実施態様によれば、Jは、式Iのジペプチドを含み、ここで、式Iのジペプチドはさらに、インスリン又はIGF−1受容体と相互作用するインスリン類縁体の能力を妨げる大型ポリマーを含むように、修飾される。一実施態様によれば、X、X12、X13、J、及びZの内の一つは、式Iの一般構造のジペプチドを含み:
ここで、式Iのジペプチドは、PEG化、アルキル化、又はアシル化されている。一実施態様では、J、Z、又はXのいずれかは、PEG化、アルキル化、又はアシル化された式Iのジペプチドを含み、一実施態様では、Jは、アシル化又はPEG化された式Iのジペプチドを含む。
一実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、インスリンペプチドに対し、A鎖又はB鎖のN−末端にアミド結合を介して共有結合されるか、又は、内部アミノ酸のアミン含有側鎖に対して付着され、ここで、ジペプチドはさらに、ジペプチドに結合される沈着ポリマーを含む。一実施態様では、インスリンペプチドの、ある天然アミノ酸は、式Iのジペプチドとアミド結合を形成するのに好適なアミノ酸によって置換される。一実施態様では、沈着物含有ジペプチドが、A14、A19、B16、B28、及びB29から選ばれる位置において結合される。一実施態様では、単一のジペプチド要素に対し、二つ以上の沈着ポリマーが結合される。沈着ポリマーとしては、生体適合性であり、且つ、ジペプチドの共有結合によって修飾されるインスリンペプチドが、注入部位に封鎖保存されるか、及び/又は、患者への投与時、その対応する受容体と相互作用することができなくするほど十分な大きさを持つものが選ばれる。その後、ジペプチドを切断することによって、インスリンペプチドは放出されて、その意図される標的と相互作用する。
一実施態様によれば、沈着(depot)ポリマーは、当業者に公知の生体適合性ポリマーから選ばれる。沈着ポリマーは、典型的には、約20,000から120,000ダルトンの範囲から選ばれるサイズを有する。一実施態様では、沈着ポリマーは、約40,000から100,000、又は約40,000から80,000ダルトンの範囲から選ばれるサイズを有する。一実施態様では、沈着ポリマーは、約40,000、50,000、60,000、70,000、又は80,000ダルトンのサイズを有する。適切な沈着ポリマーとしては、ただしこれらに限定されないが、デキストラン、ポリラクチド、ポリグリコリド、カプロラクトン系ポリマー、ポリ(カプロラクトン)、ポリ無水物、ポリアミン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリジオキサノン、ポリアセタール、ポリケタール、ポリカーボネート、ポリフォスフォエステル、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリオルトカーボネート、ポリフォスファゼン、コハク酸塩、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(アミノ酸)、ポリビニールピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシセルロース、ポリサッカリド、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、及び、コポリマー、ターポリマー、及びそれらの混合物、及び生分解性ポリマー、及び、カプロラクトン系ポリマー、ポリカプロラクトンを含む、そのコポリマー、及び、ポリブチレンテレフタレートを含むコポリマー、が挙げられる。一実施態様では、沈着ポリマーは、ポリエチレングリコール、デキストラン、ポリ酪酸、ポリグリコール酸、及び、酪酸とグリコール酸のコポリマー、から成る群から選ばれ、一つの特定の実施態様では、沈着ポリマーはポリエチレングリコールである。一実施態様では、沈着ポリマーは、ポリエチレングリコール鎖であり、ジペプチド要素に結合される沈着ポリマー(単数又は複数)の併合分子量は40,000から80,000ダルトンである。
一実施態様によれば、式Iのジペプチドはさらに、ポリエチレンオキシド、アルキル、又はアシル基を含む。一実施態様では、一つ以上のポリエチレンオキシド鎖が、式Iのジペプチドに結合され、ここで、ポリエチレンオキシド鎖の合計分子量は、約20,000から約80,000ダルトン、又は40,000から80,000ダルトン、又は40,000から60,000ダルトンの範囲にある。一実施態様では、ポリエチレンオキシドはポリエチレングリコールである。一実施態様では、式Iのジペプチドに対し、約40,000ダルトンの分子量を持つポリエチレングリコール鎖が結合される。別の実施態様では、式Iのジペプチドは、血清アルブミンに結合するのに十分な大きさのアシル基によってアシル化されており、そのため、投与時、インスリン類縁体を不活性化する。アシル基は、直鎖又は分枝鎖状であってもよく、一実施態様では、C16からC30脂肪酸である。例えば、アシル基は、C16脂肪酸、C18脂肪酸、C20脂肪酸、C22脂肪酸、C24脂肪酸、C26脂肪酸、C28脂肪酸、又はC30脂肪酸の内のいずれかであってもよい。一実施態様では、アシル基は、C16からC20脂肪酸、例えば、C18脂肪酸又はC20脂肪酸である。
一実施態様によれば、A鎖配列及びB鎖配列を含む、インスリンプロドラッグ類縁体が提供され、ここで、A鎖は、配列GIVEQCCXSICSLYQLENXCX−R13(配列番号3)、及び、B鎖配列は、X14−XLCGXLVEALXLVCGERGFX(配列番号14)の配列を含み、ここで、
14は、N−末端アミン、XVNQ(配列番号21)、VNQ、NQ、及び、Qから成る群から選ばれ、XLCGXLVEALXLVCGERGFX−R14(配列番号14)配列に「J」要素を接合する。
は、トレオニン及びヒスチジンから成る群から選ばれ;
は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
上式において、Uは、アミノ酸又はヒドロキシル酸であり、Oは、アミド結合を介して結合されるN−アルキル化アミノ酸であり;
は、アスパラギン、オルニチン、グリシン、アラニン、トレオニン、及びセリンから成る群から選ばれ;
は、ヒスチジン及びトレオニンから成る群から選ばれ;
は、アラニン、グリシン、及びセリンから成る群から選ばれ;
は、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモシステイン酸、及びシステイン酸から成る群から選ばれ;
は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
上式において、mは0−3から選ばれる整数であり、X12は、OH、NH、及びOCHから成る群から選ばれ;
は、下記の一般構造の酸であり:
上式において、mは0−3から選ばれる整数であり、X13は、H、OH、NH、及びOCHから成る群から選ばれ;
は、フェニルアラニン及びデスアミノ−フェニルアラニンから成る群から選ばれ;且つ、R13及びR14は、それぞれ独立に、COOH又はCONHである。一実施態様では、X及びXは共にチロシンであり、R13はCOOHであり、B鎖のカルボキシ末端アミノ酸は、天然のアルファ炭素カルボキシル基の代わりにアミド(CONH)を含む。
一実施態様では、配列Z−GIVEQCCXSICSLYQLENXCX(配列番号3)、又は、該配列とは位置A5、A8、A9、A10、A14、A15、A17、A18から選ばれる位置における1から3個のアミノ酸修飾で異なる(天然インスリンA鎖配列に対し)、該配列の類縁体、を含む化合物が提供される。この実施態様では、Xは、トレオニン及びヒスチジンから成る群から選ばれ;
は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
上式において、Xは、OH、NH、NHR10、及びOCHから成る群から選ばれ、
さらに同式において、R10及びZは、それぞれ独立に、Hか、又は構造U−Oのジペプチドであり、ここで、Uは、アミノ酸であるか、又はヒドロキシル酸であり、Oは、N−アルキル化アミノ酸であり、ここで、Oは、アミド結合の形成を介して配列番号3のペプチドに結合されるが、ただし、R10及びZが同じではなく、U、O、又は、U−Oが結合される配列番号3のアミノ酸が非コードアミノ酸であることを条件とする。一実施態様では、配列番号3からの、ジペプチドの化学的切断は、生理的条件下のPBS中で約1から約720時間内に少なくとも約90%完了する。別の実施態様では、配列番号3からの、U−Oの化学的切断半減期(t1/2)は、生理的条件下のPBS中で少なくとも約1時間から約1週間である。一実施態様における化合物はさらに、分子内ジスルフィド結合を介して、又は、組み換え単一鎖ポリペプチドとして、配列番号3のA鎖に結合されるインスリンB鎖を含む。
ジペプチド要素における置換基、及び、ジペプチドプロドラッグ要素の付着部位の選択は、インスリンペプチドからのジペプチドプロドラッグ要素の化学的切断の速度に影響を及ぼす可能性がある。一実施態様では、A鎖配列及びB鎖配列を含むインスリンプロドラッグであって、A鎖は、配列GIVEQCCXSICSLYQLENXCX(配列番号3)を含み、B鎖は、配列X14−XLCGXLVEALYLVCGERGFF(配列番号4)を含む、インスリンプロドラッグが提供され、ここで、
は、トレオニン及びヒスチジンから成る群から選ばれ;
は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
上式において、Xは、OH、NH、及びOCHから成る群から選ばれ;
は、アスパラギン、グリシン、アラニン、トレオニン、及びセリンから成る群から選ばれ;
は、ヒスチジン及びトレオニンから成る群から選ばれ;
は、アラニン、グリシン、及びセリンから成る群から選ばれ;
は、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモシステイン酸、及びシステイン酸から成る群から選ばれ;且つ、
14は、結合手、XVNQ(配列番号21)、VNQ、NQ、及び、Qから成る群から選ばれ、且つ、Xは、フェニルアラニン及びデスアミノ−フェニルアラニンから成る群から選ばれ、さらにここで、下記の構造:
を含む、ジペプチドプロドラッグ要素が、配列番号3又は配列番号4のペプチドのN−末端アミノ酸のアルファアミノ基に結合されるが、ただし、R及びRが、それらの付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成する場合、R及びRは共に水素ではないことを条件とする。この実施態様では、生理的条件下のPBS中でのt1/2が約1時間である化合物が提供され、ここで、
及びRは、それぞれ独立に、C−C18アルキル又はアリールであるか;又は、R及びRは、−(CH−を介して結合され、前式においてpは2−9であり;
はC−C18アルキルであり;
及びRはそれぞれ水素であり;且つ、
はアミンである。
他の実施態様では、N−末端において結合されたプロドラッグ要素を有し、例えば約1時間のt1/2を有するプロドラッグは、下記の構造を有するジペプチドプロドラッグ要素を含み:
上式において、
及びRは、それぞれ独立に、C−C18アルキル、又は(C−Cアルキル)(C−C10アリール)Rであるか;又は、R及びRは、−(CH−を介して結合され、前式においてpは2−9であり;
はC−C18アルキルであり;
及びRはそれぞれ水素であり;
はNHであり;且つ
は、水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれる。
それとは別に、GIVEQCCXSICSLYQLENXCX(配列番号3)なるA鎖配列、及び、X14−XLCGXLVEALYLVCGERGFX(配列番号14)なるB鎖配列を含む、インスリンプロドラッグが提供され、ここで、ジペプチドプロドラッグ要素は、配列番号3又は配列番号14のペプチドのN−末端アミノ酸のアルファアミノ基に結合され、生理的条件下のPBS中で約6から約24時間のt1/2を示す。一実施態様では、このような化合物は式Iのプロドラッグ要素を含み、該式において:
及びRは、それぞれ独立に、水素、C−C18アルキル、及びアリールから成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、−(CH−を介して結合され、前式においてpは2−9であり;
はC−C18アルキルであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4−12ヘテロ環を形成し;
及びRは、それぞれ独立に、水素、C−C18アルキル、及びアリールから成る群から選ばれ;且つ、
はアミンであるが、
ただし、R及びRは共に水素ではなく、R又はRの一方は水素であることを条件とする。
さらに別の実施態様では、GIVEQCCXSICSLYQLENXCX(配列番号3)なるA鎖配列、及び、X14−XLCGXLVEALYLVCGERGFX(配列番号14)なるB鎖配列を含む、インスリンプロドラッグが提供され、ここで、ジペプチドプロドラッグ要素は、配列番号3又は配列番号14のペプチドのN−末端アミノ酸のアルファアミノ基に結合され、生理的条件下のPBS中で約72から約168時間のt1/2を示す。一実施態様では、このような化合物は式Iのプロドラッグ要素を含み、該式において:
は、水素、C−Cアルキル、及びアリールから成る群から選ばれ;
はHであり;
はC−C18アルキルであり;
及びRは、それぞれ水素であり;且つ、
はアミン又はN−置換アミン、又はヒドロキシルであり;
ただし、Rがアルキル又はアリールである場合、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって4−11ヘテロ環を形成することを条件とする。
一実施態様では、インスリンA又はB鎖ペプチドのN−末端アルファアミノ酸に結合されるジペプチドプロドラッグ要素を有し、t1/2が、例えば、約12から約72時間であるか、一実施態様では約12から約48時間であるプロドラッグは、下記の構造のジペプチドプロドラッグ要素を含み:
上式において、R及びRは、それぞれ独立に、水素、C−C18アルキル、(C−C18アルキル)OH、(C−Cアルキル)NH、及び(C−Cアルキル)(C−C10アリール)Rから成る群から選ばれるか;又は、R及びRは、(CHを介して結合され、前式においてpは2−9であり;
はC−C18アルキルであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4−12ヘテロ環を形成し;
及びRは、それぞれ独立に、水素、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)Rから成る群から選ばれ;
はNHであり;且つ
は、H、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれるが、ただし、R及びRは共に水素ではなく、R又はRの少なくとも一方は水素であることを条件とする。
一実施態様では、インスリンA又はB鎖ペプチドのN−末端アミノ酸に結合されるジペプチドプロドラッグ要素を有し、t1/2が、例えば、約12から約72時間であるか、一実施態様では約12から約48時間であるプロドラッグは、下記の構造のジペプチドプロドラッグ要素を含み:
上式において、R及びRは、それぞれ独立に、水素、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)NHから成る群から選ばれるか;又は、R及びRは、(CHを介して結合され、前式においてpは2−9であり;
はC−Cアルキルであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって4−6ヘテロ環を形成し;
は、水素及びC−Cアルキルから成る群から選ばれ;
は水素であり;且つ、
はNHであるが、ただし、R及びRは共に水素ではないことを条件とする。
他の実施態様では、インスリンA又はB鎖ペプチドのN−末端アミノ酸に結合されるジペプチドプロドラッグ要素を有し、t1/2が、例えば、約12から約72時間であるか、一実施態様では約12から約48時間であるプロドラッグは、下記の構造のジペプチドプロドラッグ要素を含み:
上式において、
及びRは、それぞれ独立に、水素、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)NHから成る群から選ばれ;
はC−Cアルキルであり;
は水素であり;且つ、
はNHであるが、ただし、R及びRは共に水素ではないことを条件とする。
一実施態様では、インスリンA又はB鎖ペプチドのN−末端アミノ酸に結合されるジペプチドプロドラッグ要素を有し、t1/2が、例えば、約12から約72時間であるか、一実施態様では約12から約48時間であるプロドラッグは、下記の構造のジペプチドプロドラッグ要素を含み:
上式において、
及びRは、それぞれ独立に、水素及びC−Cアルキル、(C−Cアルキル)NHから成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、(CHを介して結合され、前式においてpは2−9であり;
はC−Cアルキルであり;
は、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)Rであり;
はNHであり;且つ、
は、水素、C−Cアルキル、及び(C−Cアルキル)OHから成る群から選ばれるが;ただし、R及びRは共に水素ではないことを条件とする。
さらに、インスリンA又はB鎖ペプチドのN−末端アルファアミノ酸に結合されるジペプチドプロドラッグ要素を有し、t1/2が例えば約72から約168時間であるプロドラッグが提供され、ここで、ジペプチドプロドラッグ要素は、下記の構造を含み:
上式において、Rは、水素、C−Cアルキル、及び(C−Cアルキル)(C−C10アリール)Rから成る群から選ばれ;
はC−C18アルキルであり;
及びRは、それぞれ、水素であり;
は、NHR又はOHであり;
は、H、C−C18アルキルであり;
は、水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれるが、ただし、Rがアルキルであるか、又は、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)Rである場合、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって4−11ヘテロ環を形成することを条件とする。
一実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、インスリンペプチドの内部アミノ酸の側鎖アミンに結合される。この実施態様では、t1/2が例えば約1時間であるプロドラッグは、下記の構造を有し:
上式において、
及びRは、それぞれ独立に、C−Cアルキル、又は(C−Cアルキル)(C−C10アリール)Rであるか;又は、R及びRは、(CHを介して結合され、前式においてpは2−9であり;
はC−C18アルキルであり;
及びRはそれぞれ水素であり;
はNHであり;且つ
は、水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれる。
さらに、例えば、約6から約24時間のt1/2を有し、内部アミノ酸側鎖に結合されるジペプチドプロドラッグ要素を有する、プロドラッグは、下記の構造を有するジペプチドプロドラッグ要素を含み:
上式において、R及びRは、それぞれ独立に、水素、C−Cアルキル、及び(C−Cアルキル)(C−C10アリール)Rから成る群から選ばれるか;又は、R及びRは、(CHを介して結合され、前式においてpは2−9であり;
はC−C18アルキルであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4−12ヘテロ環を形成し;
及びRは、それぞれ独立に、水素、C−C18アルキル、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)Rから成る群から選ばれ;
はNHRであり;
は、H又はC−Cアルキルであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
は、H、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれるが、ただし、R及びRは共に水素ではなく、R又はRの少なくとも一方は水素であることを条件とする。
さらに、例えば、約72から約168時間のt1/2を有し、インスリンペプチドの内部アミノ酸側鎖に結合されるジペプチドプロドラッグ要素を有する、プロドラッグが提供され、ここで、ジペプチドプロドラッグ要素は、下記の構造を有し:
上式において、Rは、水素、C−C18アルキル、及び(C−Cアルキル)(C−C10アリール)Rから成る群から選ばれ;
はC−C18アルキルであり;
及びRは、それぞれ水素であり;
はNHR又はOHであり;
は、H又はC−Cアルキルであるか、又はR及びRは、それらが付着する原子と一緒になって4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
は、水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれるが、ただし、R及びRが、それぞれ独立して、アルキル、又は(C−Cアルキル)(C−C10アリール)Rである場合、R又はRは、(CHを介してRに結合され、前式においてpは2−9である。
一実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、インスリンペプチドの内部アミノ酸の側鎖アミンに結合され、ここで、内部アミノ酸は、式IVの構造を含み:
上式において、nは、1から4から選ばれる整数である。一実施態様では、nは3又は4であり、一実施態様では、内部アミノ酸はリシンである。一実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、インスリンペプチドのB鎖の位置28又は29に位置するアミノ酸の側鎖の一次アミンに結合される。
一実施態様では、A鎖配列及びB鎖配列を含むインスリンプロドラッグであって、A鎖は、配列GIVEQCCXSICSLYQLENXCX(配列番号3)を含み、B鎖は、配列X14−XLCGXLVEALYLVCGERGFX(配列番号14)を含むインスリンプロドラッグが提供され、ここで、
は、トレオニン及びヒスチジンから成る群から選ばれ;
は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
上式において、Xは、OH、NH、NHR10、及びOCHから成る群から選ばれ、ここで、R10は、Hか、又は、下記の一般構造を含むジペプチドであり:
上式において、
及びRは、それぞれ独立に、水素、C−Cアルキル、及び(C−Cアルキル)(C−C10アリール)Rから成る群から選ばれるか;又は、R及びRは、(CHを介して結合され、前式においてpは2−9であり;
はC−C18アルキルであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4−12ヘテロ環を形成し;
及びRは、それぞれ独立に、水素、C−C18アルキル、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)Rから成る群から選ばれ;
はNHRであり;
は、H又はC−Cアルキルであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;
は、水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれ;
は、アスパラギン、グリシン、アラニン、トレオニン、及びセリンから成る群から選ばれ;
は、ヒスチジン及びトレオニンから成る群から選ばれ;
は、アラニン、グリシン、及びセリンから成る群から選ばれ;
は、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモシステイン酸、及びシステイン酸から成る群から選ばれ;
は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
上式において、X12は、OH、NH、NHR11、及びOCHから成る群から選ばれ、ここで、R11は、Hであるか、下記の一般構造を含むジペプチドであり:
は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
上式において、X13は、H、OH、NH、NHR12、及びOCHから成る群から選ばれ、ここで、R12は、Hであるか、又は、下記の一般構造を含むジペプチドであり:
14は、水素(N−末端アミンを形成する)、XVNQ(配列番号21)、VNQ、NQ、及び、Qから成る群から選ばれ、且つ、Xは、フェニルアラニン及びデスアミノ−フェニルアラニンから成る群から選ばれるが、ただし、R10、R11、及びR12の内のただ一つだけが、下記の一般構造を含む、ジペプチドである:
ジペプチドプロドラッグ要素が、芳香族アミノ酸のアリール基のアミノ置換基に結合される、一実施態様によれば、所望の活性時間を有するプロドラッグ処方を提供することが可能である。例えば、式IIIの構造:
(式中、mは0から3の整数である)を含み、生理的条件下のPBS中でのt1/2が約1時間であるインスリンプロドラッグが提供される。インスリンプロドラッグが式IIIの構造を含み、同様の半減期を示す、一実施態様では、
及びRは、それぞれ独立に、C−C18アルキルか、又はアリールであり;
はC−C18アルキルであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4−12ヘテロ環を形成し;
及びRは、それぞれ独立に、水素、C−C18アルキル、及びアリールから成る群から選ばれ;且つ、
はアミン又はヒドロキシルである。一実施態様では、mは1である。
一実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、インスリンペプチドの芳香族アミノ酸のアリール基上に存在するアミンを介してインスリンペプチドに結合され、ここで、t1/2が例えば約1時間であるプロドラッグは、下記の構造のジペプチドを有し:
上式において、R及びRは、それぞれ独立に、水素、C−C18アルキル、又は(C−Cアルキル)(C−C10アリール)Rであり;
はC−C18アルキルであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4−12ヘテロ環を形成し;
及びRは、それぞれ独立に、水素、C−C18アルキル、及び(C−Cアルキル)(C−C10アリール)Rから成る群から選ばれ;
は、NH又はOHであり;
は、水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれる。
別の実施態様では、式IIIの構造(式中、mは0から3の整数である)を含み、生理的条件下のPBS中でのt1/2が約6から約24時間であるインスリンプロドラッグが提供される。インスリンプロドラッグが式IIIの構造を含み、同様の半減期を含む一実施態様では、
及びRは、それぞれ独立に、水素、C−C18アルキル、及びアリールから成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、(CHを介して結合され、前式においてpは2−9であり;
はC−C18アルキルであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4−6ヘテロ環を形成し;
及びRは、それぞれ独立に、水素、C−C18アルキル、及びアリールから成る群から選ばれ;且つ、
は、アミン又はN−置換アミンである。一実施態様では、mは1である。
一実施態様では、芳香族アミノ酸のアリール基上に存在するアミンを介して結合されるジペプチドプロドラッグ要素を有し、t1/2が例えば約6から約24時間であるプロドラッグが提供され、ここで、ジペプチドは、下記の構造を含み:
式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素、C−C18アルキル、(C−C18アルキル)OH, (C−Cアルキル)NH2、及び(C−Cアルキル)(C−C10アリール)Rから成る群から選ばれるか;又は、R及びRは、(CHを介して結合され、前式においてpは2−9であり;
はC−C18アルキルであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4−6ヘテロ環を形成し;
及びRは、それぞれ独立に、水素、C−C18アルキル、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)Rから成る群から選ばれ;
はNHRであり;
は、H又はC−Cアルキルであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;
は、水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれる。
別の実施態様では、式IIIの構造(式中、mは0から3の整数である)を含み、生理的条件下のPBS中でのt1/2が約72から約168時間であるインスリンプロドラッグが提供される。インスリンプロドラッグが式IIIの構造を含み、同様の半減期を含む一実施態様では、
及びRは、それぞれ独立に、水素、C−Cアルキル、及びアリールから成る群から選ばれ;
はC−C18アルキルであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4−6ヘテロ環を形成し;
及びRはそれぞれ水素であり;且つ、
は、アミン、N−置換アミン、又はヒドロキシルから成る群から選ばれる。一実施態様では、mは1である。
一実施態様では、芳香族アミノ酸を介して結合されるジペプチドプロドラッグ要素を有し、t1/2が例えば約72から約126時間であるプロドラッグが提供され、ここで、ジペプチドは、下記の構造を含み:
式中、Rは、水素、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)COOH、及び(C−Cアルキル)(C−C10アリール)Rから成る群から選ばれるか;又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって4−11ヘテロ環を形成し;
はC−C18アルキルであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4−6ヘテロ環を形成し;
は水素であるか、又は、Rと共に4−6ヘテロ環を形成し;
は水素であり;
は、NHR又はOHであり;
は、H又はC−Cアルキルであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;
は、水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれる。
一実施態様では、インスリンプロドラッグ類縁体は、GIVEQCCXSICSLYQLENXCX(配列番号3)なるA鎖、及び、X14−XLCGXLVEALYLVCGERGFX(配列番号14)なるB鎖を含み、ここで、
は、トレオニン、ヒスチジン、アルギニン、及びリシンから成る群から選ばれ;
は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
上式において、Xは、OH、NH、及びOCHから成る群から選ばれ、
は、アスパラギン、グリシン、アラニン、トレオニン、又はセリンであり;
は、ヒスチジン及びトレオニンから成る群から選ばれ;
は、アラニン、グリシン、及びセリンから成る群から選ばれ;
は、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモシステイン酸、及びシステイン酸から成る群から選ばれ;
は、チロシンであり;
は、チロシン又はフェニルアラニンであり;
は、フェニルアラニン及びデスアミノ−フェニルアラニンから成る群から選ばれ;
10は、アスパルテート−リシンジペプチド、リシン−プロリンジペプチド、又はプロリン−リシンジペプチドであり;
11は、トレオニン、アラニン、又は、トレオニン−アルギニン−アルギニントリペプチドであり;さらにここで、B鎖は、1から4個のアミノ酸から成るカルボキシ末端延長部を含み、ここで、前記カルボキシ末端延長部は、下記の構造を有するアミノ酸を含み:
上式において、mは、0−3の整数であり;
nは、1−4の整数であり;
12は、下記の一般構造を含むジペプチドであり:
は、H及びC−Cアルキルから成る群から選ばれ;
及びRは、それぞれ独立に、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−Cアルキル)SCH、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)NHC(NH )NH、(C−Cアルキル)(C−Cシクロアルキル)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、及びCH(C−Cヘテロアリール)から成る群から選ばれ;
は、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−Cアルキル)NH、(C−C)シクロアルキルから成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、5又は6員のヘテロ環を形成し;
はNHR又はOHであり;
はHであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって5又は6員のヘテロ環を形成し;
は、水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれ;且つ、
13は、COOH又はCONHである。
一実施態様では、インスリンプロドラッグ類縁体は、配列GIVEQCCXSICSLYQLENXCX−R13(配列番号3)を含むA鎖配列、及び、J−X14−XLCGXLVEALXLVCGERGFX(配列番号14)、又は、J−XVNQXLCGXLVEALXLVCGERGFXYTX1011−R14(配列番号5)なる配列を含むB鎖配列、を含み、ここで、Jは、H(N−末端アミンを形成する)であるか、又は、下記の一般構造を含みジペプチドであり:
14は、「J」要素を配列番号14に接合する結合手であるか、又は、X14は、FVNQ(配列番号11)、VNQ、NQ、及び、Qから成る群から選ばれる1〜4個のアミノ酸の配列であって、「J」要素を配列番号14に接合する配列を表わし;
は、トレオニン、ヒスチジン、アルギニン、及びリシンから成る群から選ばれ;
は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
上式において、Xは、OH、NH、及びOCHから成る群から選ばれ;
は、アスパラギン、グリシン、アラニン、トレオニン、又はセリンであり;
は、ヒスチジン及びトレオニンから成る群から選ばれ;
は、アラニン、グリシン、及びセリンから成る群から選ばれ;
は、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモシステイン酸、及びシステイン酸から成る群から選ばれ;
は、下式の一般構造のアミノ酸であり:
上式において、X12は、OH、OCH、NH、及びNHR11から成る群から選ばれ、ここで、R11は、下記の一般構造を含むジペプチドであり:
は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
上式において、X13は、H、OH、OCH、NH、及びNHR12から成る群から選ばれ、ここで、R12は、下記の一般構造を含むジペプチドであり:
は、フェニルアラニン及びデスアミノ−フェニルアラニンから成る群から選ばれ;
10は、アスパルテート−リシンジペプチド、リシン−プロリンジペプチド、又はプロリン−リシンジペプチドであり;
11は、トレオニン、アラニン、又は、トレオニン−アルギニン−アルギニントリペプチドであり;ここで、Rは、H及びC−Cアルキルから成る群から選ばれ;且つ、
及びRは、それぞれ独立に、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−Cアルキル)SCH、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)NHC(NH )NH、(C−Cアルキル)(C−Cシクロアルキル)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、及びCH(C−Cヘテロアリール)から成る群から選ばれ;
は、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−Cアルキル)NH、(C−C)シクロアルキルから成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、5又は6員のヘテロ環を形成し;
はNHR又はOHであり;
はHであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって5又は6員のヘテロ環を形成し;
は、H及びOHから成る群から選ばれ;且つ、
13及びR14は、それぞれ独立に、COOH又はCONHであるが、ただし、X12、X13、又はJの内の一つだけが、下記の一般構造:
を含むジペプチドである(すなわち、ジペプチドプロドラッグ要素が一つだけインスリンペプチドに付着される)ことを条件とする。一実施態様では、Jは、下記の一般構造を含むジペプチドであり:
且つ、X及びX12はそれぞれOHであり、X13はHであるが、ただしさらに、R及びRが、それらが付着する原子と一緒になって5員のヘテロ環を形成する場合、R及びRは共にH以外であることを条件とする。別実施態様では、X12はNHR11であり、J及びX13はそれぞれHであり、XはOHである。別の代わりの実施態様では、X13はNHR12であり、X及びX12はそれぞれOHであり、JはHである。一実施態様では、B鎖は、配列J−XVNQXLCGXLVEALXLVCGERGFXYTPKT(配列番号15)、又はJ−XVNQXLCGXLVEALXLVCGERGFXYTKPT(配列番号16)を含み、前式において、J、X、X、X、X、X、及びXは、直上において定義した通りである。さらに別の実施態様では、RはC−Cアルキルであり、Rは、H、C−Cアルキルから成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって5員のヘテロ環を形成する。別の実施態様では、Xはヒスチジンであり、Xはセリンであり、Xはヒスチジンである。
別の実施態様では、Z−GIVEQCCXSICSLYQLENXCX(配列番号3)なるA鎖配列、及び、LCGXLVEALYLVCGERGFF(配列番号4)なるB鎖配列を含むインスリンプロドラッグ類縁体が提供され、ここで、
Zは、Hか、又は、下記の一般構造を含むジペプチドであり:
は、トレオニン、及びヒスチジンから成る群から選ばれ;
は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
上式において、Xは、OH、NH、NHR10、及びOCHから成る群から選ばれ、ここで、R10は、下記の一般構造を含むジペプチドであり:
は、アスパラギン、グリシン、アラニン、トレオニン、又はセリンから成る群から選ばれ;
は、ヒスチジン及びトレオニンから成る群から選ばれ;
は、アラニン、グリシン、及びセリンから成る群から選ばれ;
は、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモシステイン酸、及びシステイン酸から成る群から選ばれ;
上式において、Rは、H及びC−Cアルキルから成る群から選ばれ;
及びRは、それぞれ独立に、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−Cアルキル)SCH、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)NHC(NH )NH、(C−Cアルキル)(C−Cシクロアルキル)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、及びCH(C−Cヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−Cシクロアルキルを形成し;
は、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−Cアルキル)NH、(C−C)シクロアルキルから成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、5又は6員のヘテロ環を形成し;
はNHR又はOHであり;
はHであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって5又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
は、H及びOHから成る群から選ばれるが、ただし、X及びZは共にジペプチドではなく、XがOHである場合にはZはHではないことを条件とする。一実施態様において、Zが、下記の一般構造を含むジペプチド:
であって、R及びRが、それらが付着する原子と一緒になって5員のヘテロ環を形成する場合、RとRの少なくとも一方はH以外である。一実施態様では、A鎖は、Z−GIVEQCCXSICSLYQLENYCX(配列番号17)なる配列を含み、B鎖配列は、配列XVNQXLCGXLVEALYLVCGERGFFYTPKT(配列番号12)、又は、XVNQXLCGXLVEALYLVCGERGFFYTKPT(配列番号13)を含む。
別の実施態様では、GIVEQCCXSICSLYQLENXCX(配列番号3)なるA鎖配列、及び、配列XVNQXLCGXLVEALYLVCGERGFFYTPKT(配列番号12)、又は配列XVNQXLCGXLVEALYLVCGERGFFYTKPT(配列番号13)を含むB鎖配列を含む、インスリンプロドラッグ類縁体が提供され、ここで、Xは、トレオニン、及びヒスチジンから成る群から選ばれ;
は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
上式において、Uは、アミノ酸か、又はヒドロキシル酸であり、Oは、N−アルキル化アミノ酸であり;
は、アスパラギン、グリシン、アラニン、トレオニン、又はセリンであり;
は、ヒスチジン及びトレオニンから成る群から選ばれ;
は、アラニン、グリシン、及びセリンから成る群から選ばれ;
は、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモシステイン酸、及びシステイン酸から成る群から選ばれ;
は、フェニルアラニン及びデスアミノ−フェニルアラニンから成る群から選ばれる。一実施態様では、U−Oは、下記の一般構造のジペプチドを表わし:
上式において、Rは、H及びC−Cアルキルから成る群から選ばれ;
及びRは、それぞれ独立に、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−Cアルキル)SCH、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)NHC(NH )NH、(C−Cアルキル)(C−Cシクロアルキル)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、及びCH(C−Cヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−Cシクロアルキルを形成し;
は、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−Cアルキル)NH、(C−C)シクロアルキルから成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、5又は6員のヘテロ環を形成し;
はNHR又はOHであり;
はHであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって5又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
は、H及びOHから成る群から選ばれる。さらに別の実施態様では、Xはチロシンであり、Xはフェニルアラニンであり、Xはフェニルアラニンであり、さらに追加の実施態様では、Xはヒスチジンであり、Xはセリンであり、Xはヒスチジンである。さらに別の実施態様では、U−Oは、下記の一般構造のジペプチドを表わし:
上式において、
、R、R、及びRは、それぞれ独立に、H、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−C18アルキル)OH、(C−C18アルキル)SH、(C−Cアルキル)SCH、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)NHC(NH )NH、(C−Cアルキル)(C−Cシクロアルキル)、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロ環)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロアリール)、及びC−C12アルキル(W)C−C12アルキルから成る群から選ばれ、ここに、Wは、N、S、及びOから成る群から選ばれるヘテロ原子であるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−C12シクロアルキルを形成し;又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−Cシクロアルキルを形成し;
は、C−C18アルキル、(C−C18アルキル)OH、(C−C18アルキル)NH、(C−C18アルキル)SH、(C−Cアルキル)(C−C)シクロアルキル、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロ環)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、及び(C−Cアルキル)(C−Cヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;
はNHR又はOHであり;
は、H、C−Cアルキルであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
は、水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれる。
別の実施態様では、Z−GIVEQCCTSICSLYQLENXCX−R13(配列番号18)なるA鎖配列、及び、配列XLCGSHLVEALYLVCGERGFF−R14(配列番号19)を含むB鎖配列を含む、インスリンプロドラッグ類縁体が提供され、ここで、
Zは、Hであるか、又は、下記の一般構造を含む、アミド結合ジペプチドであり:
は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
上式において、Xは、OH及びNHR10から成る群から選ばれ;
ここで、R10は、下記の一般構造を含むジペプチドであり:
は、セリン、アスパラギン、又はグリシンであり;
は、ヒスチジン及びトレオニンから成る群から選ばれ;
は、H及びC−Cアルキルから成る群から選ばれ;
及びRは、それぞれ独立に、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−Cアルキル)SCH、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)NHC(NH )NH、(C−Cアルキル)(C−Cシクロアルキル)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、及びCH(C−Cヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−Cシクロアルキルを形成し;
は、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−C)シクロアルキルから成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、5又は6員のヘテロ環を形成し;
はNHR又はOHであり;
はHであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって5又は6員のヘテロ環を形成し;
は、H及びOHから成る群から選ばれ;且つ、
13及びR14は、それぞれ独立に、COOH又はCONHであるが、ただし、ZがHである場合、XはOHではなく、XがOHである場合、ZはHではないことを条件とする。一実施態様では、R13はCOOHであり、R14はCONHである。さらに別の実施態様では、Xは、下記の式IIIの一般構造のアミノ酸であり:
ZはHであり、Xはセリンであり、Xはヒスチジンであり、且つ、R14はCONHである。さらに追加の実施態様では、
は、H及びC−Cアルキルから成る群から選ばれ;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)(C−Cシクロアルキル)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、及びCH(C−Cヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって5員のヘテロ環を形成し;
は、C−Cアルキルであり;
は、H及びC−Cアルキルから成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって5員のヘテロ環を形成する。さらに別の実施態様では、RはCHであり、RはHであり、且つRはNHであるか、又は、それとは別に、RはNHであり、且つ、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって5員のヘテロ環を形成する。一実施態様によれば、インスリンプロドラッグ類縁体のB鎖は、配列:
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKT−R14(配列番号8)、
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTKPT−R14(配列番号9)、又は、
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRR−R14(配列番号10)、
を含み、上式において、R14は、COOH、又はCONHであり、一実施態様では、R14はCONHである。
一実施態様では、配列Z−GIVEQCCXSICSLYQLENXCX(配列番号3)を含むインスリンプロドラッグ類縁体が提供され、ここで、
Zは、下記の一般構造を含むジペプチドであり:
は、トレオニン及びヒスチジンから成る群から選ばれ;
は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
上式において、Xは、OH、NH、及びOCHから成る群から選ばれ、
は、アスパラギン、グリシン、アラニン、トレオニン、又はセリンであり;
は、H及びC−Cアルキルから成る群から選ばれ;且つ、
及びRは、それぞれ独立に、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−Cアルキル)SCH、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)NHC(NH )NH、(C−Cアルキル)(C−Cシクロアルキル)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、及びCH(C−Cヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−Cシクロアルキルを形成し;
は、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−Cアルキル)NH、(C−C)シクロアルキルから成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、5又は6員のヘテロ環を形成し;
はNHR又はOHであり;
はHであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって5又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
は、H及びOHから成る群から選ばれる。一実施態様では、Xはトレオニンであり、Xはアスパラギン又はグリシンであり、さらに別の実施態様では、RはC−Cアルキルであって、Rは、H、C−Cアルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、及び(C−Cアルキル)(Cアリール)Rから成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって5員のヘテロ環を形成するが、ただし、R及びRが、それらが付着する原子と一緒になって5又は6員のヘテロ環を形成する場合、R及びRは共にH以外であることを条件とする。
一実施態様では、配列GIVEQCCXSICSLYQLENXCX(配列番号3)のポリペプチドを含むインスリンプロドラッグ類縁体が提供され、ここで、
は、トレオニン及びヒスチジンから成る群から選ばれ;
は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
は、アスパラギン、グリシン、アラニン、トレオニン、又はセリンであり;
は、H及びC−Cアルキルから成る群から選ばれ;且つ、
及びRは、それぞれ独立に、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−Cアルキル)SCH、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)NHC(NH )NH、(C−Cアルキル)(C−Cシクロアルキル)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、及びCH(C−Cヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−Cシクロアルキルを形成し;
は、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−C)シクロアルキルから成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、5又は6員のヘテロ環を形成し;
はNHR又はOHであり;
はHであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって5又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
は、H及びOHから成る群から選ばれる。一実施態様では、直上に定義したGIVEQCCXSICSLYQLENXCX(配列番号3)なるA鎖は、ジスルフィド結合又は単一鎖ポリペプチドを介して、配列X14−XLCGXLVEALXLVCGERGFX(配列番号14)を含むB鎖に結合され、ここで:
は、ヒスチジン及びトレオニンから成る群から選ばれ;
は、アラニン、グリシン、及びセリンから成る群から選ばれ;
は、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモシステイン酸、及びシステイン酸から成る群から選ばれ;
はチロシンであり;且つ、
はフェニルアラニンである。
さらに別の実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、式Iの構造を有し、ここで、
、R、及びRは、それぞれ独立に、H、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−C18アルキル)OH、(C−C18アルキル)SH、(C−Cアルキル)SCH、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)NHC(NH )NH、(C−Cアルキル)(C−Cシクロアルキル)、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロ環)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロアリール)、及びC−C12アルキル(W)C−C12アルキルから成る群から選ばれ、ここに、Wは、N、S、及びOから成る群から選ばれるヘテロ原子であるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−C12シクロアルキルを形成し;
は、C−C18アルキル、(C−C18アルキル)OH、(C−C18アルキル)NH、(C−C18アルキル)SH、(C−Cアルキル)(C−C)シクロアルキル、(C−Cアルキル)(C−Cヘテロ環)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、及び(C−Cアルキル)(C−Cヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;
はNHR又はOHであり;
は、H、C−Cアルキルであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
は、水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれる。さらに別の実施態様では、RはC−Cアルキルであり、Rは、H及びC−Cアルキルから成る群から選ばれるか、又は別に、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって5員のヘテロ環を形成する。一実施態様では、Xはトレオニンであり、Xは、アスパラギン又はグリシンである。
一実施態様では、Rは、H及びC−Cアルキルから成る群から選ばれ、Rは、H、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)C(O)NH、CHOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cシクロアルキル)、及びCH(Cアリール)Rから成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になってC−C12シクロアルキルを形成し、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって5員のヘテロ環を形成し;
はC−Cアルキルであり;
は、H、C−Cアルキル、(C−C)シクロアルキル、及び(C−Cアルキル)(C−C10アリール)Rから成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって5員のヘテロ環を形成し;
はNHR又はOHであり;
はHであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、5又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
は、H及びOHから成る群から選ばれる。
一実施態様では、単一鎖インスリンプロドラッグ類縁体であって、ヒト・インスリンB鎖、又はその機能的類縁体のカルボキシ末端が、ヒト・インスリンA鎖、又はその機能的類縁体のN−末端に共有結合され、さらに、下記の一般構造:
を有するジペプチドプロドラッグ成分が、該ペプチドのN−末端か、又は、アミド結合を介して、例えば、各天然インスリンA鎖又はB鎖のA19、B16、又はB25に対応する位置のアミノ酸の側鎖に共有結合される、単一鎖インスリンプロドラッグ類縁体が提供される。一実施態様によれば、単一鎖インスリン類縁体は、式B−P−Aの化合物を含み、前式において、Bは、ヒト・インスリンのB鎖、又は、B鎖の、本明細書に開示される機能的類縁体又はプロドラッグ類縁体の内の一つ、を表し、Aは、ヒト・インスリンのA鎖、又は、A鎖の、本明細書に開示される機能的類縁体又はプロドラッグ類縁体の内の一つ、を表し、Pは、A鎖をB鎖に共有結合させる、ペプチドリンカーなどのリンカーを表す。一実施態様では、このリンカーは、約5から約8、又は約10から約14、又は約4から約8、又は約6個のアミノ酸から成るペプチドリンカーである。一実施態様では、B鎖は、4−12又は4−8アミノ酸のペプチドリンカーを介してA鎖に結合される。
一実施態様では、式B−P−Aの単一鎖プロドラッグ類縁体は、配列GIVEQCCXSICSLYQLENXCX(配列番号3)を有するA鎖、及び、J−X14−XLCGXLVEALXLVCGERGFX(配列番号14)を含むB鎖配列を含み、ここで、Jは、Hであるか、又は、下記の一般構造を含むジペプチドであり:
上式において、X14は、結合手であるか、又は、FVNQ(配列番号11)、VNQ、NQ、及び、Qから成る群から選ばれる、1から4個のアミノ酸の配列であり;
は、トレオニン及びヒスチジンから成る群から選ばれ;
は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
ここで、Xは、OH及びNHR10、及びOCHから成る群から選ばれ;R10は、Hであるか、又は、下記の一般構造を含むジペプチドであり:
は、アスパラギン、グリシン、アラニン、トレオニン、又はセリンであり;
は、ヒスチジン及びトレオニンから成る群から選ばれ;
は、アラニン、グリシン、及びセリンから成る群から選ばれ;
は、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモシステイン酸、及びシステイン酸から成る群から選ばれ;
は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
ここで、X12は、OH、OCH、及びNHR11から成る群から選ばれ、ここで、R11は、Hであるか、又は、下記の一般構造を含むジペプチドであり:
は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
ここで、X13は、H、OH、OCH、及びNHR12から成る群から選ばれ、ここで、R12は、Hであるか、又は、下記の一般構造を含むジペプチドであり:
上式において、Rは、H及びC−Cアルキルから成る群から選ばれ;
及びRは、それぞれ独立に、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−Cアルキル)SCH、(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOH、(C−Cアルキル)NH、(C−Cアルキル)NHC(NH )NH、(C−Cアルキル)(C−Cシクロアルキル)、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)R、及びCH(C−Cヘテロアリール)から成る群から選ばれ;
は、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、(C−Cアルキル)NH、(C−C)シクロアルキルから成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって、5又は6員のヘテロ環を形成し;
はNHR又はOHであり;
はHであるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって5又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
は、H及びOHから成る群から選ばれるが、ただし、Z、J、R10、R11、又はR12の内のただ一つだけが、下記の一般構造を含むジペプチドである:
(すなわち、ジペプチドプロドラッグ要素が一つだけインスリンペプチドに付着される)ことを条件とする。
一実施態様では、Jは、下記の一般構造を含むジペプチドであり:
X及びX12はそれぞれOHであり、X13はHであるが、ただし、R及びRが、それらが付着する原子と一緒になって5又は6員のヘテロ環を形成する場合、R及びRは共にH以外であることを条件とする。別の実施態様では、X12は、式Iのジペプチドを含み、J及びX13は、それぞれHであり、XはOHである。さらに別の実施態様では、X13は、式Iのジペプチドを含み、X及びX12は、それぞれOHであり、JはHである。別の実施態様では、Xは、式Iのジペプチドを含み、J及びX13は、それぞれHであり、X12はOHである。一実施態様では、B鎖は、配列J−XVNQXLCGXLVEALXLVCGERGFXYTPKT(配列番号15)、又はJ−XVNQXLCGXLVEALXLVCGERGFXYTKPT(配列番号16)を含み、前式において、J、X、X、X、X、X、及びXは、直上において定義した通りである。さらに別の実施態様では、RはC−Cアルキルであり、Rは、H、C−Cアルキルから成る群から選ばれるか、又は、R及びRは、それらが付着する原子と一緒になって5員のヘテロ環を形成する。さらに別の実施態様では、Xはヒスチジンであり、Xはセリンであり、Xはヒスチジンである。
一実施態様では、単一鎖インスリン類縁体は、式B−P−Aの化合物を含み、前式において:
Bは、XLCGXLVEALYLVCGERGF(配列番号4)なる配列、又はその機能的類縁体を含む、B鎖配列を表し、
Aは、GIVEQCCXSICSLYQLENXCX(配列番号3)なる配列、又はその機能的類縁体を含む、A鎖配列を表し、ここで、
は、トレオニン及びヒスチジンから成る群から選ばれ;
は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
は、アスパラギン又はグリシンであり;
は、ヒスチジン及びトレオニンから成る群から選ばれ;
は、アラニン、グリシン、及びセリンから成る群から選ばれ;
は、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモシステイン酸、及びシステイン酸から成る群から選ばれる。
Pは、B鎖のカルボキシ末端にA鎖のアミノ末端を共有結合させる、ペプチドリンカーを含むリンカーである。別態様では、単一鎖インスリン類縁体は、式A−P−Bの化合物を含み、前式において、Aは、ヒトのインスリンA鎖、又はその機能的類縁体を表し、Bは、ヒトのインスリンB鎖、又はその機能的類縁体を表し、Pは、B鎖のアミノ末端をA鎖のカルボキシ末端に共有結合させる、ペプチドリンカーを含むリンカーを表す。一実施態様では、ペプチドリンカーは4から8個のアミノ酸を含む。
一実施態様によれば、ペプチドリンカーは5から18アミノ酸長であり、下記から成る群から選ばれる配列を含む:Gly−Gly−Gly−Pro−Gly−Lys−Arg(配列番号22)、Gly−Tyr−Gly−Ser−Ser−Ser−Arg−Arg−Ala−Pro−Gln−Thr(配列番号23)、Arg−Arg−Gly−Pro−Gly−Gly−Gly(配列番号32)、Gly−Gly−Gly−Gly−Gly−Lys−Arg(配列番号24)、Arg−Arg−Gly−Pro−Gly−Gly(配列番号32)、Gly−Gly−Gly−Gly−Gly−Lys−Arg(配列番号24)、Arg−Arg−Gly−Gly−Gly−Gly−Gly(配列番号25)、Gly−Gly−Ala−Pro−Gly−Asp−Val−Lys−Arg(配列番号26)、Arg−Arg−Ala−Pro−Gly−Asp−Val−Gly−Gly(配列番号27)、Gly−Gly−Tyr−Pro−Gly−Asp−Val−Lys−Arg(配列番号28)、Arg−Arg−Tyr−Pro−Gly−Asp−Val−Gly−Gly(配列番号29)、Gly−Gly−His−Pro−Gly−Asp−Val−Lys−Arg(配列番号30)、及びArg−Arg−His−Pro−Gly−Asp−Val−Gly−Gly(配列番号31)。一実施態様では、ペプチドリンカーは、7から12アミノ酸長であり、配列Gly−Gly−Gly−Pro−Gly−Lys−Arg(配列番号22)か、又はGly−Tyr−Gly−Ser−Ser−Ser−Arg−Arg−Arg−Ala−Pro−Gln−Thr(配列番号23)を含む。
さらに別の実施態様では、ペプチドリンカーは下記から成る群から選ばれる配列を含む:AGRGSGK(配列番号35)、AGLGSGK(配列番号36)、AGMGSGK(配列番号37)、ASWGSGK(配列番号38)、TGLGSGQ(配列番号39)、TGLGRGK(配列番号40)、TGLGSGK(配列番号41)、HGLYSGK(配列番号42)、KGLGSGQ(配列番号43)、VGLMSGK(配列番号44)、VGLSSGQ(配列番号45)、VGLYSGK(配列番号46)、VGLSSGK(配列番号47)、VGMSSGK(配列番号48)、VWSSSGK(配列番号49)、VGSSSGK(配列番号50)、VGMSSGK(配列番号51)、TGLGSGR(配列番号52)、TGLGKGQ(配列番号53)、KGLSSGQ(配列番号54)、VKLSSGQ(配列番号55)、VGLKSGQ(配列番号56)、TGLGKGQ(配列番号57)、SRVSRRSR(配列番号65)、GYGSSSRRAQT(配列番号66)、及びVGLSKGQ(配列番号58)。一実施態様では、リンカーは、GSSSRRAP(配列番号67)、又はSRVSRRSR(配列番号65)を含む。
一実施態様では、単一鎖インスリン類縁体は、下記のアミノ酸配列:
Phe−Val−Asn−Gln−His−Leu−Cys−Gly−Ser−His−Leu−Val−Glu−Ala−Leu−Tyr−Leu−Val−Cys−Gly−Glu−Arg−Gly−Phe−Phe−Tyr−Thr−Pro−Lys−Thr−Gly−Ile−Val−Glu−Gln−Gln−Cys−Cys−Thr−Ser−Ile−Cys−Ser−Leu−Tyr−Gln−Leu−Glu−Asn−Xaa−Cys−Asn(配列番号33)、又は、
Phe−Val−Asn−Gln−His−Leu−Cys−Gly−Ser−His−Leu−Val−Glu−Ala−Leu−Tyr−Leu−Val−Cys−Gly−Glu−Arg−Gly−Phe−Phe−Tyr−Thr−Pro−Lys−Thr−Gln−Pro−Ala−Leu−Glu−Gly−Ser−Leu−Gln−Lys−Arg−Gly−Ile−Val−Glu−Gln−Cys−Cys−Thr−Ser−Ile−Ser−Cys−Ser−Leu−Tyr−Gln−Glu−Asn−Xaa−Cys−Asn(配列番号34)を有し、ここで、Xaaは、一般構造:
のアミノ酸である。
本明細書に開示されるインスリンペプチドは、リンカーを介して結合される、二つ、三つ、又はさらに多くのペプチドを含む、二量体、三量体、又は、それよりも高次の多量体の一部であってもよく、ここで、少なくとも一つ又は両方のペプチドが、インスリンペプチドに結合されるジペプチドプロドラッグ要素を含む。二量体は、天然インスリン、天然IGF−1、天然IGF−II、及び本明細書に開示されるインスリン類縁体ペプチドから成る群から選ばれるペプチドを含む、ホモ二量体であってもよいし、ヘテロ二量体であってもよい。一実施態様では、リンカーは、二官能チオールクロスリンカー、及び二官能アミンクロスリンカーから成る群から選ばれる。ある実施態様では、リンカーはPEGであり、例えば、5kDa PEG、20kDa PEGである。ある実施態様では、リンカーはジスルフィド結合である。
例えば、二量体の各単量体は、Cys残基(例えば、末端又は内部に位置づけられるCys)を含んでもよく、各Cys残基の硫黄原子は、ジスルフィド結合の形成に参加してもよい。二量体の各単量体は、A及びB鎖のヘテロ二量体を表す。A及びB鎖は、ジスルフィド結合を介して結合されるか、又は、単一鎖ペプチドとして調製される。本発明のある態様では、単量体同士は、末端アミノ酸(例えば、N−末端又はC−末端)同士を介して、内部アミノ酸同士を介して、又は、少なくとも一つの単量体の一つの末端アミノ酸と、少なくとも一つの他の単量体の一つの内部アミノ酸とを介して、接続される。特定の態様では、単量体同士は、N−末端アミノ酸を介しては接続されていない。特定の態様では、多量体の単量体同士は、各単量体のC−末端アミノ酸が互いに繋ぎ合わされる「テール・トゥー・テール」配向で結合される。二量体、三量体、又はより高次の多量体を含む、本明細書に開示のインスリンペプチドのいずれかに、結合体成分が共有結合されてもよい。
本明細書に開示されるプロドラッグはさらに修飾して、生理的pHにおいて、水溶液に対するペプチドの溶解度を高めながら、ペプチドの腎クリアランスを阻止することによって該ペプチドの作用持続時間を延長することが可能である。ペプチドは、それらの比較的小さい分子量のために、血漿タンパクに比べて簡単に排泄される。ペプチドの分子量を40kDa超えて増すことは、腎閾値を超えることになり、血漿中の持続時間を著明に引き延ばす。したがって、一実施態様では、ペプチドプロドラッグはさらに、共有結合される親水性成分を含むように修飾される。一実施態様では、親水性成分は、血漿タンパクポリエチレンオキシド鎖であるか、又は免疫グロブリンのFc部分である。したがって、一実施態様では、ここに開示されるプロドラッグはさらに、アミノ酸の側鎖に共有結合される、一つ以上の親水性基を含むように修飾される。
一実施態様によれば、本明細書に開示されるインスリンプロドラッグは、B鎖のN−末端アミノ酸、又は、B鎖のカルボキシ末端に位置づけられるリシンアミノ酸、例えば、配列番号9/配列番号13の位置28、又は、配列番号8/配列番号12の位置29に位置づけられるリシンアミノ酸、の側鎖に対し親水性成分を結合することによって、さらに修飾される。一実施態様では、ペプチドリンカーのアミノ酸の一つが、その側鎖に親水性成分を結合することによって修飾されている、単一鎖インスリンプロドラッグ類縁体が提供される。一実施態様では、この修飾アミノ酸は、システイン、リシン、又はアセチルフェニルアラニンである。一実施態様では、ペプチドリンカーは、TGLGSGQ(配列番号39)、VGLSSGQ(配列番号45)、VGLSSGK(配列番号47)、TGLGSGR(配列番号52)、TGLGKGQ(配列番号53)、KGLSSGQ(配列番号54)、VKLSSGQ(配列番号55)、VGLKSGQ(配列番号56)、TGLGKGQ(配列番号57)、及びVGLSKGQ(配列番号58)から成る群から選ばれ、親水性成分(例えば、ポリエチレングリコール)は、このペプチドリンカーのリシンの側鎖に結合される。
別の実施態様では、本明細書に開示されるインスリンプロドラッグ類縁体は、インスリンプロドラッグのB鎖のカルボキシ末端に修飾アミノ酸を付加することによってさらに修飾され、ここで、C−末端に付加されるアミノ酸は、該アミノ酸に結合される親水性成分を含むように修飾される。一実施態様では、C−末端に付加されるアミノ酸は、修飾されたシステイン、リシン、又はアセチルフェニルアラニンである。一実施態様では、親水性成分は、血漿タンパク、ポリエチレンオキシド鎖、及び免疫グロブリンのFc部分から成る群から選ばれる。
一実施態様では、親水性基は、ポリエチレンオキシド鎖であり、一実施態様では、二つ以上のポリエチレンオキシド鎖が、インスリンプロドラッグ類縁体の、二つ以上のアミノ酸側鎖に共有結合される。一実施態様によれば、親水性成分は、本明細書に開示されるインスリンプロドラッグ類縁体の、A9、A14、A15、B22、B28、B29、及び、B鎖のC−末端又はN−末端から成る群から選ばれる位置におけるアミノ酸の側鎖に、共有結合される。複数のポリエチレンオキシド鎖を有するインスリンプロドラッグ類縁体に関して言えば、これらのポリエチレンオキシド鎖は、B鎖のN−末端アミノ酸、又は、B鎖のカルボキシ末端に位置づけられるリシンアミノ酸の側鎖に付着させることが可能であり、若しくは、ペプチドのC−末端に単一アミノ酸を付加することによって付着させることが可能であり、後者の場合、付加されるアミノ酸は、その側鎖に結合させたポリエチレンオキシド鎖を有する。一実施態様によれば、ポリエチレンオキシド鎖、又は他の親水性成分は、ジペプチドプロドラッグ要素を含む二つのアミノ酸の一方の側鎖に結合される。一実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、側鎖アミンにポリエチレンオキシド鎖を付着させたリシン(D又はL配置の)を含む。
<親水性成分の結合>
別の実施態様では、本明細書に開示されるインスリン類縁体の溶解度が、該ペプチドに親水性成分を共有結合させることによって強化される。親水性成分は、タンパクを活性化ポリマー分子と反応させるのに好適な条件であるならば、いずれの条件下であってもインスリン類縁体に付着させることが可能である。当該技術分野で公知の任意の手段、例えば、アシル化、還元的アルキル化、マイケル付加、チオールアルキル化、又は、PEG成分の反応基(例えば、アルデヒド、アミノ、エステル、チオール、α−ハロアセチル、マレイミド、又はヒドラジノ基)の、標的化合物における反応基(例えば、アルデヒド、アミノ、エステル、チオール、α−ハロアセチル、マレイミド、又はヒドラジノ基)に対する反応を介する、他の化学選択的結合体形成/ライゲーション法、などの手段を使用することが可能である。水溶性ポリマーを一つ以上のタンパクに結合させるために使用することが可能な活性基としては、ただしこれらに限定されないが、スルフォン、マレイミド、スルフヒドリル、チオール、トリフレート、トレシレート、アジジリン、オキシラン、及び5−ピリジルが挙げられる。還元的アルキル化によってペプチドに付着される場合、選ばれるポリマーは、重合の程度が調節可能となるように、単一の反応性アルデヒドを有していなければならない。例えば、Kinstler et al.,Adv.Drug.Delivery Rev.54:477−485(2002);Roberts et al.,Adv.Drug.Delivery Rev.54:459−476(2002);及び、Zalipsky et al.,Adv.Drug Delivery Rev.16:157−182(1995)を参照されたい。
適切な親水性成分としては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、POG)、ポリオキシエチル化ソルビトール、ポリオキシエチレン化グルコース、ポリオキシエチル化グリセロール(POG)、ポリオキシアルキレン、ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、モノ−(C1−C10)アルコキシ−又はアリールオキシ−ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアセタール、ポリビニールアルコール(PVA)、ポリビニールピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリ(ベータ−アミノ酸)(ホモポリマーか、又はランダムコポリマー)、ポリ(n−ビニールピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールホモポリマー(PPG)及び他のポリアルキレンオキシド、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、結腸酸又はその他のポリサッカリドポリマー、フィコール又はデキストラン及びそれらの混合物が挙げられる。
一実施態様によれば、親水性成分、例えば、ポリエチレングリコール鎖は、約500から約40,000ダルトンの範囲から選ばれる分子量を有する。一実施態様では、親水性成分、例えば、PEGは、約500から約5,000ダルトン、又は約1,000から約5,000ダルトンの範囲から選ばれる分子量を有する。別の実施態様では、親水性成分、例えば、PEGは、約10,000から約20,000ダルトンの分子量を有する。さらに別の例示の実施態様では、親水性成分、例えば、PEGは、約20,000から約40,000ダルトンの分子量を有する。
一実施態様では、親水性成分としてデキストランが使用される。デキストランは、主にα1−6結合によって結合されるグルコースサブユニットから成る、ポリサッカリドポリマーである。デキストランは、多数の分子量範囲において、例えば、約1kDから約100kD、又は、約5、10、15、又は20kDから約20、30、40、50、60、70、80、又は90kDの範囲において入手が可能である。
直鎖又は分枝鎖ポリマーは考慮の対象とされる。それから得られる結合体の調製物は、事実上モノ分散性であってもポリ分散性であってもよく、1ペプチド当たり、約0.5、0.7、1、1.2、1.5、又は2個のポリマー成分を有していてもよい。
一実施態様によれば、本明細書に開示されるインスリンプロドラッグ類縁体は、アミノ酸置換によってさらに修飾され、ここで、置換アミノ酸は、例えばポリエチレングリコールなどの、親水性成分と架橋結合をするのに好適な側鎖を含む。一実施態様では、インスリンプロドラッグ類縁体の、親水性成分が結合される位置におけるアミノ酸は、親水性成分の導入のため、又はその付着を容易にするために、天然又は合成アミノ酸によって置換される(又は、そのC−末端に付加される)。例えば、一実施態様では、A5、A8、A9、A10、A12、A14、A15、A17、A18、B1、B2、B3、B4、B5、B13、B14、B17、B21、B22、B26、B27、B28、B29、及びB30から選ばれる位置における天然アミノ酸は、リシン、システイン、又はアセチルフェニルアラニン残基によって置換され(又は、リシン、システイン、又はアセチルフェニルアラニン残基が、そのC−末端に付加され)て、ポリエチレングリコール鎖の共有結合を可能とする。
一実施態様では、インスリンプロドラッグ類縁体は、B鎖のカルボキシ末端に付加させた単一のシステイン残基を有するか、又は、インスリンプロドラッグ類縁体は、少なくとも一つのシステイン残基によって置換されており、該システイン残基の側鎖は、例えば、マレイミド、ビニールスルフォン、2−ピリジルチオ、ハロアルキル、及びハロアシルなどの、チオール反応性試薬によってさらに修飾される。これらのチオール反応性試薬は、カルボキシ、ケト、ヒドロキシル、及びその他の基や、他の親水性成分、例えば、ポリエチレングリコール単位を含んでもよい。別の実施態様では、インスリンプロドラッグ類縁体は、B鎖のカルボキシ末端に付加させた単一リシン残基を有するか、又は、インスリンプロドラッグ類縁体はリシンによって置換されており、この置換するリシン残基の側鎖はさらに、アミン反応性試薬、例えば、カルボン酸の活性エステル(スクシニミド、無水物など)、又は、ポリエチレングリコールなどの親水性成分のアルデヒドによって修飾される。
インスリンプロドラッグ類縁がポリエチレングリコール鎖を含む実施態様では、ポリエチレングリコール鎖は、直鎖状であってもよいし、分枝状であってもよい。一実施態様によれば、ポリエチレングリコール鎖は、約20,000から約60,000ダルトンの範囲から選ばれる平均分子量を有する。インスリンプロドラッグ類縁体に最適な溶解度及び血液クリアランス特性を与えるために、該インスリンプロドラッグ類縁体に複数のポリエチレングリコール鎖を結合させることも可能である。一実施態様では、インスリンプロドラッグ類縁体は、約20,000から約60,000ダルトンの範囲から選ばれる平均分子量を持つ、単一のポリエチレングリコール鎖に結合される。別の実施態様では、インスリンプロドラッグ類縁体は、二つのポリエチレングリコール鎖に結合され、ここで、二本鎖の併合平均分子量は、約40,000から約80,000ダルトンの範囲から選ばれる。一実施態様では、20,000又は60,000ダルトンの平均分子量を持つ単一のポリエチレングリコール鎖が、インスリンプロドラッグ類縁体に結合される。別の実施態様では、単一のポリエチレングリコール鎖がインスリンプロドラッグ類縁体に結合され、このポリエチレングリコール鎖は約40,000から約50,000ダルトンの範囲から選ばれる平均分子量を有する。一実施態様では、二本のポリエチレングリコール鎖がインスリンプロドラッグ類縁体に結合され、ここで、第1及び第2ポリエチレングリコール鎖は、それぞれ、20,000ダルトンの平均分子量を有する。別の実施態様では、2本のポリエチレングリコール鎖がインスリンプロドラッグ類縁体に結合され、ここで、第1及び第2ポリエチレングリコール鎖は、それぞれ、40,000ダルトンの平均分子量を有する。
さらに別の実施態様では、ペプチドに共有結合される2本以上のポリエチレングリコール鎖を含むインスリンプロドラッグ類縁体が提供され、ここで、これらのポリエチレングリコール鎖の合計分子量は、約40,000から約60,000ダルトンである。一実施態様では、PEG化インスリンプロドラッグ類縁体は、B鎖のN−末端、及び/又は、配列番号9の位置28、又は、配列番号8の位置29から選ばれる一つ以上のアミノ酸に結合される、ポリエチレングリコール鎖を含み、ここで、PEG鎖(単数又は複数)の合計分子量は約40,000から80,000ダルトンである。
一実施態様によれば、インスリンペプチド、又は、そのプロドラッグ/沈着誘導体は、化学的PEGと同様の延長構造を形成することが可能なアクセサリーペプチド(例えば、組み換えPEG(rPEG))、例えば、国際公開第WO2009/023270号、及び米国特許出願第US2008/0286808号に記載されるものと同様のもの、に融合される。rPEGはポリエチレングリコールではない。ある態様におけるrPEGは、一つ以上のグリシン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン、又はプロリンを含むポリペプチドである。ある態様では、rPEGは、ホモポリマー、例えば、ポリ−グリシン、ポリ−セリン、ポリ−グルタミン酸、ポリ−アスパラギン酸、ポリ−アラニン、又はポリ−プロリン、である。別の実施態様では、rPEGは、反復される2種類のアミノ酸、例えば、ポリ(Gly−Ser)、ポリ(Gly−Glu)、ポリ(Gly−Ala)、ポリ(Gly−Asp)、ポリ(Gly−Pro)、ポリ(Ser−Glu)などを含む。ある態様では、rPEGは、3種類の異なるアミノ酸、例えば、ポリ(Gly−Ser−Glu)を含む。特定の態様では、rPEGは、インスリンペプチドの寿命を延長する。ある態様では、rPEGは、正の正味電荷、又は負の正味電荷を有する。ある態様では、rPEGは二次構造を欠く。一実施態様では、rPEGは、10アミノ酸長より長いか、等しい長さであり、一実施態様では、約40から約50アミノ酸長である。ある態様におけるアクセサリーペプチドは、ペプチド結合又はプロテイナーゼ切断部位を介して、本発明のペプチドのN−又はC−末端に融合されるか、又は、本発明のペプチドのループの中に挿入される。ある態様ではrPEGは、アフィニティータグを含むか、又は、5kDaよりも大きいPEGに結合される。一実施態様では、rPEGは、本発明のペプチドに対し、流体力学半径の増加、血清半減期の延長、プロテアーゼ耐性の増大、又は溶解度の上昇を賦与し、ある態様では、ペプチドに対し、免疫原性の低下を賦与する。
一実施態様によれば、インスリンプロドラッグ類縁体であって、その溶解度、安定性、及び/又は薬物動態を改善するために、血漿タンパクが、該ペプチドのアミノ酸側鎖に共有結合される、インスリンプロドラッグ類縁体が提供される。例えば、血清アルブミンを、本明細書に提示されるインスリンプロドラッグ類縁体に共有結合させることが可能である。一実施態様では、血漿タンパクは、B鎖のN−末端、及び/又は、配列番号9の位置28、又は、配列番号8の位置29に対応するアミノ酸に共有結合させる。
一実施態様によれば、インスリンプロドラッグ類縁体であって、その溶解度、安定性、及び/又は薬理動態を改善するために、免疫グロブリン分子のFc部分を表す直鎖状アミノ酸配列を、そのアミノ酸側鎖に共有結合させたインスリンプロドラッグ類縁体が提供される。例えば、免疫グロブリン分子のFc部分を表すアミノ酸配列は、B鎖のN−末端、A又はB鎖のC−末端、又は、末端延長させたA又はB鎖のC−末端に対し共有結合させることが可能である。例えば、免疫グロブリン分子のFc部分を表すアミノ酸配列は、B鎖のC−末端に共有結合させることが可能であり、又は、例えば、配列番号9の位置28、又は配列番号8の位置29に対応するアミノ酸に結合させることが可能である。このFc部分は、典型的にはIgGから単離されるものであるが、任意の免疫グロブリンからのFcペプチド断片もまた、同様に機能するはずである。
本発明の特定の態様では、インスリンプロドラッグ類縁体は、そのアミノ酸側鎖のアミン、ヒドロキシル、又はチオールを直接アルキル化又はアシル化することによって、アルキル又はアシルを含むように修飾される。一実施態様では、インスリンプロドラッグ類縁体は、アミノ酸の側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを介して直接アシル化されている。一実施態様では、アシル化は、A9、A14、A15、B22、B28、又はB29から選ばれる一つ以上の位置において行われる。この点で、アシル化インスリンプロドラッグ類縁体は、配列番号3のA鎖アミノ酸配列と配列番号5のB鎖とを含むことが可能であるし、配列番号3及び/又は配列番号5の修飾アミノ酸配列であって、位置A9、A14、A15、B22、B28、又はB29のアミノ酸の少なくとも一つを修飾して、側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを含む任意のアミノ酸に変換させた修飾アミノ酸配列を含むことも可能である。ある特定の態様では、インスリンプロドラッグ類縁体の直接的アシル化は、位置B28又は29のアミノ酸の側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを介して行われる。さらに別の一実施態様では、インスリンプロドラッグ類縁体は、位置B28又はB29の位置に存在するLysのイプシロンアミノ基に結合される、1−24炭素原子を有するカルボン酸のアシル基を含む。一実施態様では、ペプチドリンカーのアミノ酸の一つがそのアミノ酸側鎖のアミン、ヒドロキシル、又はチオールを直接アシル化することによってアシル基を含むように修飾されている、単一鎖インスリンプロドラッグ類縁体が提供される。一実施態様によれば、単一鎖インスリン類縁体のペプチドリンカーは、AGRGSGK(配列番号35)、AGLGSGK(配列番号36)、AGMGSGK(配列番号37)、ASWGSGK(配列番号38)、TGLGSGQ(配列番号39)、TGLGRGK(配列番号40)、TGLGSGK(配列番号41)、HGLYSGK(配列番号42)、KGLGSGQ(配列番号43)、VGLMSGK(配列番号44)、VGLSSGQ(配列番号45)、VGLYSGK(配列番号46)、VGLSSGK(配列番号47)、VGMSSGK(配列番号48)、VWSSSGK(配列番号49)、VGSSSGK(配列番号50)、VGMSSGK(配列番号51)、TGLGSGR(配列番号52)、TGLGKGQ(配列番号53)、KGLSSGQ(配列番号54)、VKLSSGQ(配列番号55)、VGLKSGQ(配列番号56)、TGLGKGQ(配列番号57)、及びVGLSKGQ(配列番号58)から成る群から選ばれ、ここで、A鎖、B鎖、又は接続ペプチドにおける少なくとも一つのリシン残基は、アシル化によって化学的に修飾されている。一実施態様では、このアシル化基は、1−5、10−12、又は12−24の炭素鎖を含む。
一実施態様によれば、本明細書に開示されるインスリンプロドラッグ類縁体は、そのプロドラッグジペプチドプロドラッグ要素にさらに別の化合物を結合するように修飾される。一実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素を含むアミノ酸側鎖は、PEG化、アシル化、又はアルキル化されている。一実施態様では、ジペプチドは、1−5、10−12、又は12−24の炭素鎖を含む基によってアシル化されている。一実施態様では、ジペプチドは、40−80KDaのポリエチレングリコール鎖によってPEG化されている。一実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素はPEG化さており、該ジペプチドに結合されているインスリンペプチドはアシル化されている、例えば、B鎖のC−末端リシンにおいてアシル化されている。一実施態様によれば、親水性成分又は封鎖性巨大分子が、下記の一般構造を含むジペプチドのR側鎖に共有結合され:
上式において、Rは、(C−Cアルキル)OH、(C−Cアルキル)SH、及び(C−Cアルキル)CONH、(C−Cアルキル)COOHから成る群から選ばれる。一実施態様では、Rは(C−Cアルキル)NHである。封鎖性巨大分子は、当業者には公知であり、デキストラン、及び大分子量(すなわち、80kDa以上)のポリエチレングリコールを含む。封鎖性巨大分子をジペプチド成分に結合することによって、プロドラッグは封鎖状態に維持され、一方、活性インスリンペプチドは、ジペプチドのアミド結合切断速度に基づいてゆっくりと放出される。
本開示はさらに、本発明のプロドラッグ類縁体が結合される他の結合体も包含し、抱合体への結合は、共有結合を介してであってもよいし、リンカーを介してであってもよい。結合は、共有化学結合、物理的力、例えば、電磁的、水素、イオン性、ファンデルワールス、若しくは疎水性又は親水性性相互作用などによって実現することが可能である。種々の非共有結合性の結合システム、例えば、ビオチン−アビジン、リガンド/受容体、酵素/基質、核酸/核酸結合タンパク、脂質/脂質結合タンパク、細胞接着分子パートナー同士;又は、相互に親和性を持つ、任意の結合パートナー又はそれらの断片同士、を用いてもよい。
例示の結合体としては、例えば、ただしこれらに限定されないが、異種ペプチド又はポリペプチド(例えば、血漿タンパクを含む)、標的剤、免疫グロブリン又はその一部(例えば、可変領域、CDR、又はFc領域)、例えば、放射性同位元素、蛍光色素、又は酵素標識のような診断用標識、水溶性ポリマーを含むポリマー、又は他の治療又は診断用薬剤、が挙げられる。一実施態様では、本開示のインスリンプロドラッグ類縁体と血漿タンパクとを含む結合体が提供され、ここで、血漿タンパクは、アルブミン、トランスフェリン、及びフィブリノーゲンから成る群から選ばれる。一実施態様では、結合体の血漿タンパク成分は、アルブミン又はトランスフェリンである。一実施態様では、リンカーは、1〜約60、又は1〜30原子長又はそれ以上、2〜5原子、2〜10原子、5〜10原子、又は10〜20原子長の原子鎖を含む。一実施態様では、鎖原子は全て炭素原子である。一実施態様では、リンカーのバックボーンの鎖原子は、C、O、N、及びSから成る群から選ばれる。鎖原子及びリンカーは、より溶解度の高い結合体を実現するために、それらの期待される溶解度(親水性度)に従って選ばれてもよい。一実施態様では、リンカーは、酵素、又は他の触媒によって、又は、標的組織又は器官又は細胞の中に認められる加水分解条件によって、切断され易い官能基を提供する。一実施態様では、リンカーの長さは、立体的阻害の可能性を下げるのに十分な長さである。リンカーが共有結合か、又はペプチジル結合であって、結合体がポリペプチドである場合、この結合体の全体は、融合タンパクであってもよい。このようなペプチジルリンカーは、任意の長さを持ってもよい。例示のリンカーは、約1〜50アミノ酸長、5〜50、3〜5、5〜10、5〜15、又は10〜30アミノ酸長である。このような融合タンパクは、別法として、当業者には公知の組み換え遺伝子工学法によって生産してもよい。
<結合体及び融合体>
本開示はさらに、本明細書において開示されるインスリン類縁体が、結合体成分に対し、必要に応じて共有結合を介して、且つ、必要に応じてリンカーを介して結合される他の結合体も包含する。結合は、共有化学結合、物理的力、例えば、電磁的、水素、イオン性、ファンデルワールス、若しくは疎水性又は親水性性相互作用などによって実現することが可能である。種々の非共有結合性の結合システム、例えば、ビオチン−アビジン、リガンド/受容体、酵素/基質、核酸/核酸結合タンパク、脂質/脂質結合タンパク、細胞接着分子パートナー同士;又は、相互に親和性を持つ、任意の結合パートナー又はそれらの断片同士、を用いてもよい。
ペプチドは、標的アミノ酸の、選ばれた側鎖、若しくはN−又はC−末端残基と反応することが可能な有機誘導剤と、それらの標的アミノ酸残基とを反応させることによる直接的共有結合を介して、結合体成分に結合させることが可能である。ペプチド又は結合体における反応基としては、例えば、アルデヒド、アミノ、エステル、チオール、α−ハロアセチル、マレイミド、又はヒドラジノ基が挙げられる。誘導剤としては、例えば、マレイミドベンゾイルスルフォスクシニミドエステル(システイン残基を介する結合)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リシン残基を介する)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、又は、他の公知の薬剤が挙げられる。それとは別に、結合体成分は、ポリサッカリド又はポリペプチドキャリヤーなどの中間キャリヤーを介して間接的にペプチドに結合させることも可能である。ポリサッカリドキャリヤーの例としては、アミノデキストランが挙げられる。得られる担持キャリヤーに対し所望の可溶性を賦与するために適切なポリペプチドキャリヤーの例としては、ポリリシン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、それらのコポリマー、及び、これらのアミノ酸、及び、他のアミノ酸、例えば、セリンとの混合ポリマー、が挙げられる。
システイニル残基は、もっとも一般的にはクロロ酢酸又はクロロ汗アミドなどのα−ハロアセテートと反応させられて、カルボキシメチル又はカルボキシアミドメチル誘導体を生じる。システイニル残基はさらに、ブロモトリフルオロアセトン、アルファ−ブロモ−β−(5−イミドゾイル)プロピオン酸、クロロアセチルフォスフェート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジスルフィド、メチル2−ピリジルジスルフィド、p−クロロメルクリベンゾエート、2−クロロメルクリ−4−ニトロフェノール、又はクロロ−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールとの反応によって、誘導体化する。
ヒスチジル残基は、pH5.5−7.0においてジエチルピロカーボネートとの反応によって誘導体化する。なぜなら、この薬剤はヒスチジル側鎖に対し比較的特異的だからである。パラブロモフェナシルブロミドも有用である:この反応は、pH6.0において0.1Mのカコジル酸ナトリウム中で実行することが好ましい。
リシニル及びアミノ末端残基は、無水コハク酸又は他のカルボン酸と反応させる。これらの薬剤による誘導体化は、リシニル残基の帯電を逆転させる作用を有する。アルファ−アミノ含有残基の誘導体化に適切な他の試薬としては、イミドエステル類、例えば、ピコリニミデート、ピリドキサルフォスフェート、ピリドキサル、クロロボロハイドライド、トリニトロベンゼンスルフォン酸、O−メチルソウレア、2,4−ペンタンジオン、及び、グリオキシレートとのトランスアミナーゼ触媒反応、が挙げられる。
アルギニル残基は、一つ、又は数種の通例の試薬、特に、フェニルグリオキサル、2,3−ブタジオン、1,2−シクロヘキサンジオン、及びニンヒドリン、との反応によって修飾される。アルギニン残基の誘導体化は、グアニジン官能基の高いpKのために、反応がアルカリ条件で行われることを要求する。さらに、これらの試薬は、リシンの基だけでなく、アルギニンのイプシロンアミノ基とも反応する可能性がある。
チロシル残基の特異的修飾は、特に、芳香族ジアゾニウム化合物又はテトラニトロメタンとの反応によってチロシル残基の中にスペクトラム標識を導入する点で、特別の関心を呼ぶ。もっとも一般的には、N−アセチルイミジゾール及びテトラニトロメタンを用いて、それぞれ、O−アセチルチロシル分子及び3−ニトロ誘導体を形成する。
カルボキシル側基(アスパルチル又はグルタミル)は、カルボジイミド(R−N=C=N−R’)との反応によって選択的に修飾される。ここで、R及びR’は、異なるアルキル基であり、例えば、1−シクロヘキシル−3−(2−モルフォリニル−4−エチル)カルボジイミド、又は1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミドである。さらに、アスパルチル及びグルタミル残基は、アンモニウムイオンとの反応によってアスパラギニル及びグルタミニル残基に変換される。
他の修飾としては、プロリン及びリシンのヒドロキシル化、セリル又はトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のアルファアミノ基のメチル化(T.E.Creighton,Proteins:Structure and Molecular Properties,W.H.Freeman & Co.,San Francisco,pp.79−86(1983))、アスパラギン又はグルタミンのデアミド化、N−末端アミンのアセチル化、及び/又は、C−末端のカルボン酸基のアミド化又はエステル化が挙げられる。
別のタイプの、共有結合による修飾としては、ペプチドに、化学的又は酵素的に結合されるグリコシドが挙げられる。糖(単数又は複数)は、(a)アルギニン及びヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基、(c)遊離スルフヒドリル基、例えば、システインのものなど、(d)遊離ヒドロキシル基、例えば、セリン、トレオニン、又はヒドロキシプロリンのものなど、(e)芳香族残基、例えば、チロシン又はトリプトファンのものなど、又は(f)グルタミンのアミド基、に付着されてもよい。これらの方法は、1987年9月11日公開のWO87/05330、及び、Aplin and Wriston,CRC Crit.Rev.Biochem.,pp.259−306(1981)に記載される。
本明細書に記載されるインスリン類縁体のいずれに対しても結合させることが可能な例示の結合体成分としては、ただしこれらに限定されないが、異種ペプチド又はポリペプチド(例えば、血漿タンパクを含む)、標的剤、免疫グロブリン又はその一部(例えば、可変領域、CDR、又はFc領域)、例えば、放射性同位元素、蛍光色素、又は酵素標識のような診断用標識、水溶性ポリマーを含むポリマー、又は他の治療又は診断用薬剤、が挙げられる。一実施態様では、本開示のインスリン類縁体と血漿タンパクとを含む結合体が提供され、ここで、血漿タンパクは、アルブミン、トランスフェリン、フィブリノーゲン、及びグロブリンから成る群から選ばれる。
一実施態様では、リンカーは、1〜約60、又は1〜30原子長又はそれ以上、2〜5原子、2〜10原子、5〜10原子、又は10〜20原子長の原子鎖を含む。一実施態様では、鎖原子は全て炭素原子である。一実施態様では、リンカーのバックボーンの鎖原子は、C、O、N、及びSから成る群から選ばれる。鎖原子及びリンカーは、より溶解度の高い結合体を実現するために、それらの期待される溶解度(親水性度)に従って選ばれてもよい。一実施態様では、リンカーは、酵素、又は他の触媒によって、又は、標的組織又は器官又は細胞の中に認められる加水分解条件によって切断され易い官能基を提供する。一実施態様では、リンカーの長さは、立体的阻害の可能性を下げるのに十分な長さである。リンカーが共有結合か、又はペプチジル結合で、結合体がポリペプチドである場合、結合体の全体は、融合タンパクであってもよい。このようなペプチジルリンカーは、任意の長さを持ってもよい。例示のリンカーは、約1〜50アミノ酸長、5〜50、3〜5、5〜10、5〜15、又は10〜30アミノ酸長である。このような融合タンパクは、別法として、当業者には公知の組み換え遺伝子工学法によって生産してもよい。
上述のように、一実施態様では、インスリン類縁体は、免疫グロブリン又はその部分(例えば、可変領域、CDR、又はFc領域)に結合、例えば、融合される。公知のタイプの免疫グロブリン(Ig)としては、IgG、IgA、IgE、IgD、又はIgMが挙げられる。Fc領域は、Ig重鎖のC−末端領域であり、これは、リサイクリング(これは半減期の延長につながる)、抗体依存性細胞介在細胞毒性(ADCC)、及び補体依存性細胞毒性(CDC)などの作用を実行する、Fc受容体との結合を担当する。
例えば、ある定義によれば、ヒトのIgG重鎖Fc領域は、該重鎖のCys226からC−末端まで延びる。「ヒンジ領域」は、一般に、ヒトIgG1のGlu216からPro230まで延びる(他のIgG異性体のヒンジ領域は、システイン結合に与るシステインを整列させることによって、IgG1配列と揃えることが可能である)。IgGのFc領域は、二つの定常ドメインCH2及びCH3を含む。ヒトのIgG Fc領域のCH2ドメインは、通常、アミノ酸231からアミノ酸341まで延びる。ヒトのIgG Fc領域のCH3ドメインは、通常、アミノ酸342からアミノ酸447まで延びる。免疫グロブリン、免疫グロブリン断片、又は領域のアミノ酸数に関する参照は、全て、Kabat et al.1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Public Health,Bestheda,Mdに基づく。関連実施態様では、Fc領域は、CH1以外の免疫グロブリン重鎖の、一つ以上の天然又は修飾定常域、例えば、IgG及びIgAのCH2及びCH3領域、又はIgEのCH3及びCH4領域、を含んでもよい。
適切な結合体成分の例としては、FcRn結合部位を含む、免疫グロブリン部分が挙げられる。FcRn、すなわちサルベージ受容体は、免疫グロブリンのリサイクルを担当し、それらを血液循環に戻す。FcRn受容体に結合するIgGのFc部分の領域は、X線結晶解析に基づいて記載されている(Burmeister et al.1994,Nature 372:379)。FcRnに対するFcの主要接触区域は、CH2及びCH3ドメインの接合部の近くである。Fc−FcRn接触部は全て、単一のIg重鎖の内部にある。主要接触部位は、CH2ドメインの、アミノ酸残基248、250−257、272、285、288、290−291、308−311、及び314、及び、CH3ドメインの、アミノ酸残基385−387、428、及び433−436を含む。
結合体成分は、FcγR結合部位(単数又は複数)を含んでもよいし、含まなくてもよい。FcγRは、ADCC及びCDCを担当する。Fc領域において、FcγRと直接接触する位置の例としては、アミノ酸234−239(下方ヒンジ領域)、アミノ酸265−269(B/Cループ)、アミノ酸297−299(C/Eループ)、及びアミノ酸327−332(F/C)ループがある(Sondermann et al.,Nature 406:267−273,2000)。IgEの下方ヒンジ領域も、FcRI結合に関与する(Henry et al.,Biochemistry 36,15568−15578,1997)。IgA受容体結合に関与する残基は、Lewis et al.,(J.Immunol.175:6694−701,2005)に記載される。IgE受容体結合に関与する残基は、Sayers et al.(J.Biol.Chem.279(34):35320−5,2004)に記載される。
アミノ酸修飾は、免疫グロブリンのFc領域に行ってもよい。このような変種Fc領域は、Fc領域のCH3ドメイン(残基342−447)における少なくとも一つのアミノ酸修飾、及び/又は、Fc領域のCH2ドメイン(残基231−341)における少なくとも一つのアミノ酸修飾を含む。FcRnに対する親和度の増加をもたらすと考えられる突然変異は、T256A、T307A、E380A、及びN434Aを含む(Shields et al.2001,J.Biol.Chem.276:6591)。他の突然変異は、FcRnに対する親和度を著明に下げることなく、FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB、及び/又はFcγRIIIAに対するFc領域の結合を低減させる可能性がある。例えば、Fc領域の位置297におけるAsnをAla又は他のアミノ酸によって置換すると、高度に保存されるN−グリコシル化部位が取り除かれることになり、免疫原性の低下と、同時に、Fc領域の半減期の延長、及び、FcγRsに対する結合の低下が引き起こされる(Routledge et al.1995,Transplantation 60:847;Friend et al.1999,Transplantation 68:1632;Shields et al.,1995,J.Biol.Chem.276:6591)。FcγRsに対する結合を低下させる、IgG1の位置233−236におけるアミノ酸修飾が実行されている(Ward and Ghetie 1995,Therapeutic Immunology 2:77、及び、Armour et al.1999,Eur.J.Immunol.29:2613)。いくつかの例示のアミノ酸置換が、米国特許第7,355,008号及び7,381,408号に記載される。なお、それぞれの全体を引用により本明細書に含める。
<アシル化及びアルキル化>
一実施態様によれば、本明細書に開示されるインスリン類縁体は、アシル基又はアルキル基を含むように修飾される。アシル化又はアルキル化は、循環におけるインスリン類縁体の半減期を延長することが可能である。有利なことに、アシル化又はアルキル化は、インスリン及び/又はIGF−1受容体に対する作用の開始を遅らせ、及び/又は、作用の持続時間を延長し、及び/又は、DPP−IVなどのプロテアーゼに対する抵抗性を高める。インスリン類縁体は、親水性成分が結合されるアミノ酸位置と同じ位置において、若しくは、異なるアミノ酸位置において、アシル化又はアルキル化されてもよい。
一実施態様では、本発明は、天然インスリンのA10、B28、B29に対応する位置に、又は、A又はB鎖のC−末端又はN−末端のアミノ酸に共有結合されるアシル基又はアルキル基を含むように修飾される、インスリン類縁体を提供する。このインスリン類縁体はさらに、インスリン類縁体アミノ酸と、アシル基又はアルキル基との間にスペーサーを含んでもよい。一実施態様では、アシル基は、脂肪酸又は胆汁酸、又はその塩であり、例えば、C4からC30脂肪酸、C8からC24脂肪酸、コール酸、C4からC30アルキル、C8からC24アルキル、又は、胆汁酸のステロイド成分を含むアルキルである。スペーサーは、アシル基又はアルキル基を付着させるために好適な反応基を有するものであればいずれの成分であってもよい。例示の実施態様では、スペーサーは、ジペプチド、トリペプチド、又は、親水性性二官能基スペーサーを含む。一実施態様では、Trp、Glu、Asp、Cys、及び、NH(CHCHO)(CHCOOHを含むスペーサーから成る群から選ばれ、前式において、mは、1から6の任意の整数であり、nは、2から12の任意の整数である。このようなアシル化又はアルキル化インスリンペプチドはさらに、親水性成分を含んでもよく、これは必要に応じてポリエチレングリコールであってもよい。前述のインスリン類縁体は、いずれも、二つのアシル基、又は、二つのアルキル基、又は、それらの組み合わせを含んでもよい。
アシル化は、インスリン類縁体に対し、該インスリン類縁体のアゴニスト活性が保持される限り、その任意の位置において実行することが可能である。アシル基は、インスリン類縁体のアミノ酸に対し直接共有結合させることが可能であり、若しくは、インスリン類縁体のアミノ酸に対しスペーサーを介して間接的に結合させることが可能である。本発明の特異的態様では、インスリン類縁体は、該インスリンペプチドのアミノ酸側鎖のアミン、ヒドロキシル、又はチオールの直接的アシル化によってアシル基を含むように修飾される。一実施態様では、インスリン類縁体は、アミノ酸の側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを介して直接アシル化されている。一実施態様では、アシル化は、天然インスリンのA10、B28、B29に対応する位置、又は、A又はB鎖のC−末端又はN−末端において行われる。この点で、アシル化インスリン類縁体は、配列番号9及び配列番号10のアミノ酸配列を含んでもよいし、本明細書に記載されるアミノ酸修飾の内の一つ以上を含む、それらの修飾アミノ酸配列を含んでもよく、この場合、天然インスリンのA10、B28、B29に対応する位置、又は、A又はB鎖のC−末端又はN−末端におけるアミノ酸の少なくとも一つは修飾されて、側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを含む任意のアミノ酸に変換される。ある特定の態様では、インスリンペプチドの直接的アシル化は、天然インスリンのA10、B28、B29に対応する位置のアミノ酸の側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを介して行われる。一実施態様によれば、ジペプチド要素のアミノ酸側鎖の一つはアシル化されている。
一実施態様では、アシル化されているアミノ酸は、式IVのアミノ酸である:
ある例示の実施態様では、式IVのアミノ酸は、nが4であるアミノ酸(Lys)、又は、nが3であるアミノ酸(Orn)である。
他の実施態様では、側鎖ヒドロキシルを含むアミノ酸は、式Vのアミノ酸である:
ある例示の実施態様では、式Vのアミノ酸は、nが1であるアミノ酸である(Ser)。
さらに別の実施態様では、側鎖チオールを含むアミノ酸は、式VIのアミノ酸である:
ある例示の実施態様では、式VIのアミノ酸は、nが1であるアミノ酸である(Cys)。
ある例示の実施態様では、インスリン類縁体は、スペーサーのアミン、ヒドロキシル、又はチオールをアシル化することによってアシル基を含むように修飾され、ここで、該スペーサーは、位置A10、B28、又はB29のアミノ酸(野生型インスリンのアミノ酸番号による)の側鎖に付着される。スペーサーが付着されるアミノ酸は、スペーサーに対する結合を可能とする成分を含むものであればいずれのアミノ酸であってもよい。例えば、側鎖NH2、−OH、又は−COOHを含むアミノ酸(例えば、Lys、Orn、Ser、Asp、又はGlu)は適切である。一実施態様では、スペーサーは、側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを含む一つのアミノ酸であるか、若しくは、側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを含むアミノ酸を含むジペプチド又はトリペプチドである。
アシル化が、スペーサーのアミン基を介して行われる場合、アシル化は、アミノ酸のアルファアミンを介して行われてもよいし、若しくは、側鎖アミンを介してもよい。アルファアミンがアシル化されている場合、スペーサーアミノ酸は任意のアミノ酸であってよい。例えば、スペーサーアミノ酸は、疎水性アミノ酸、例えば、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Trp、Met、Phe、Tyrであってもよい。それとは別に、スペーサーアミノ酸は、酸性残基、例えば、Asp及びGluであってもよい。スペーサーアミノ酸の側鎖アミンがアシル化されている場合、該スペーサーアミノ酸は、側鎖アミンを含むアミノ酸、例えば、式Iのアミノ酸(例えば、Lys又はOrn)である。この場合、スペーサーアミノ酸のアルファアミンと、側鎖アミンの両方がアシル化されていることが可能であり、その場合、インスリンペプチドはジアシル化されている。本開示はさらに、ジアシル化インスリン類縁体を考慮の対象とする。
アシル化が、スペーサーのヒドロキシル基を介して行われる場合、一つのアミノ酸、又は、ジペプチド又はトリペプチドの複数のアミノ酸の一つは、式IIのアミノ酸であってもよい。特定の例示的な実施態様では、そのアミノ酸はSerである。
アシル化が、スペーサーのチオール基を介して行われる場合、アミノ酸、又は、ジペプチド又はトリペプチドの複数のアミノ酸の一つは、式IIIのアミノ酸であってもよい。特定の例示的な実施態様では、そのアミノ酸はCysである。
一実施態様では、スペーサーは、親水性性二官能基スペーサーを含む。特定の実施態様では、スペーサーは、アミノポリ(アルキルオキシ)カルボキシレートを含む。この点で、スペーサーは、例えば、NH(CHCHO)(CHCOOH(前式において、mは1から6の任意の整数であり、nは、2から12の任意の整数である)を含んでもよく、その例として、8−アミノ−3,6−ジオキサオクタノイン酸があり、これは、Peptides Inernational,Inc.(Louisville,KY)から市販されている。
アミン、ヒドロキシル、及びチオールを介するペプチドアシル化の適切な方法は従来技術で公知である。例えば、下記を参照されたい:Miller,Biochem Biophys Res Commun 218:377−382(1996);Shimohigasi and Stammer,Int J Pept Protein Res 19:54−62(1982);及びPreviero et al.,Biochim Biophys Acta 263:7−13(1973)(ヒドロキシルを介してアシル化する方法に関して);及び、San and Silvius,J Pept Res 66:169−180(2005)(チオールを介してアシル化する方法に関して);Bioconjugate Chem.”Chemical Modifications of Proteins:History and Applications(「タンパク質の化学的修飾:歴史と応用」)”pages1,2−12(1990);Hashimoto et al.,Pharmaceutical Res.”Synthesis of Palmitoyl Derivatives of Insulin and their Biological Activity(「インスリンのパルミトイル誘導体の合成及びその生物活性」)”Vol.6,No:2 pp171−176(1989)。
アシル化インスリンペプチドのアシル基は、いずれの大きさであってもよく、例えば、いずれの長さの炭素鎖であってもよく、直鎖でも、分枝鎖であってもよい。本発明の、ある特定の実施態様では、アシル基は、C4からC30脂肪酸である。例えば、アシル基は、C4脂肪酸、C6脂肪酸、C8脂肪酸、C10脂肪酸、C12脂肪酸、C14脂肪酸、C16脂肪酸、C18脂肪酸、C20脂肪酸、C22脂肪酸、C24脂肪酸、C26脂肪酸、C28脂肪酸、又はC30脂肪酸の内のいずれであってもよい。一実施態様では、アシル基は、C8からC20脂肪酸、例えば、C14脂肪酸か、又はC16脂肪酸である。
別の実施態様では、アシル基は胆汁酸である。胆汁酸は、適切なものであれば、いずれの胆汁酸であってもよく、例えば、ただしこれらに限定されないが、コール酸、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、タウロコール酸、グリココール酸、及びコレステロール酸が挙げられる。
ある特定の実施態様では、インスリン類縁体はコレステロール酸を含み、ここで、該コレステロール酸は、アルキル化デス−アミノCysスペーサー、すなわち、アルキル化3−メルカプトプロピオン酸スペーサーを介してインスリン類縁体のLys残基に結合される。このアルキル化デス−アミノCysスペーサーは、例えば、ドデカエチレングリコール成分を含むデス−アミノ−Cysスペーサーであってもよい。一実施態様では、インスリン類縁体は、下記の構造を含む:
本明細書に記載されるアシル化インスリン類縁体は、親水性成分を含むようにさらに修飾されてもよい。ある特定の実施態様では、親水性成分は、ポリエチレングリコール(PEG)鎖を含んでもよい。親水性成分の取り込みは、適切なものであればいずれの手段によって実現してもよく、例えば、本明細書に記載される方法の内のいずれかを用いてもよい。
それとは別に、アシル化インスリンペプチドはスペーサーを含んでもよく、ここで、スペーサーは、アシル化され、且つ、親水性成分を含むように修飾される。適切なスペーサーの非限定的例としては、Cys、Lys、Orn、homo−Cys、及びAc−Pheから成る群から選ばれる、一つ以上のアミノ酸を含むスペーサーが挙げられる。
一実施態様によれば、インスリン類縁体は、アルキル基を含むように修飾され、このアルキル基は、該インスリン類縁体に対し、エステル、エーテル、チオエーテル、アミド、又はアルキルアミン結合を介して付着される。これは、循環半減期を延長すること、及び/又は、作用の開始を遅らせ及び/又はその持続時間を延長すること、及び/又は、DPP−IVなどのプロテアーゼに対する耐性を向上させることのためである。
アシル化インスリンペプチドのアシル基は、いずれの大きさであってもよく、例えば、いずれの長さの炭素鎖であってもよく、直鎖でも、分枝鎖であってもよい。本発明の一実施態様では、アシル基は、C1からC30アルキルである。例えば、アルキル基は、C1アルキル、C2アルキル、C3アルキル、C4アルキル、C6アルキル、C8アルキル、C10アルキル、C12アルキル、C14アルキル、C16アルキル、C18アルキル、C20アルキル、C22アルキル、C24アルキル、C26アルキル、C28アルキル、又はC30アルキルの内のいずれであってもよい。一実施態様では、アルキル基は、C8からC20アルキル、例えば、C14アルキルか、又はC16アルキルである。
ある特定の実施態様では、アルキル基は、例えば、コール酸、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、タウロコール酸、グリココール酸、及びコレステロール酸などの、胆汁酸のステロイド成分を含む。
一実施態様によれば、本明細書に開示される新規インスリンプロドラッグ類縁体のいずれかを、好ましくは、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の純度で含み、且つ、薬学的に許容される希釈剤、担体、又は賦形剤を含む、医薬組成物が提供される。このような組成物は、本明細書に開示されるA19インスリン類縁体を、少なくとも0.5mg/ml、1mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、7mg/ml、8mg/ml、9mg/ml、10mg/ml、11mg/ml、12mg/ml、13mg/ml、14mg/ml、15mg/ml、16mg/ml、17mg/ml、18mg/ml、19mg/ml、20mg/ml、21mg/ml、22mg/ml、23mg/ml、24mg/ml、25mg/ml、又はそれ以上の濃度において含んでもよい。一実施態様では、医薬組成物は、滅菌された水溶液を含み、該水溶液は、必要に応じて種々の包装容器に納められて保存されていてもよい。他の実施態様では、医薬組成物は凍結乾燥粉末を含む。医薬組成物はさらに、該組成物を患者に投与するためのディスポーザブルデバイスを含むキットの一部として包装することも可能である。容器又はキットには、室温又は冷蔵温度で保存するためのラベル表示を行ってもよい。
一実施態様では、第1及び第2インスリンプロドラッグ類縁体の混合物を含む組成物が提供され、ここで、第1及び第2インスリンプロドラッグ類縁体は、プロドラッグ要素の構造に基づいて互いに異なる。さらに詳細には、第1インスリンプロドラッグ類縁体は、第2インスリンプロドラッグ類縁体のジペプチドプロドラッグ要素とは事実上異なる半減期を有する、ジペプチドプロドラッグ要素を含んでもよい。したがって、ジペプチド要素における置換基について種々の組み合わせを選択することによって、所望の時間枠にわたって、且つ、特定の時間間隔で調節的に活性化されるような、インスリンプロドラッグ類縁体の混合物を含む組成物の調製が可能となる。例えば、組成物は、食事時に活性インスリンを放出し、次いで就眠時にインスリンを活性化し、このようにして、活性化時間に基づいて適切な用量が放出されるように処方することが可能である。別の実施態様では、医薬組成物は、本明細書で開示されるインスリンプロドラッグ類縁体と、天然インスリン、又は、インスリンの公知の生物活性誘導体との混合物を含む。
開示のインスリンプロドラッグ類縁体は、従来インスリンペプチドに関して記載されている全ての使用に好適であると考えられる。したがって、本明細書に記載されるインスリンプロドラッグ類縁体は、高血糖症の治療、又は、高い血中グルコース濃度に起因する、他の代謝性疾患の治療、に使用することが可能である。したがって、本発明は、高い血中グルコース濃度に悩む患者の治療に使用するための、本開示のインスリンプロドラッグ類縁体及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を包含する。一実施態様によれば、本明細書に開示されるインスリンプロドラッグ類縁体を用いて治療される患者は飼養動物であり、別の実施態様では、治療される患者はヒトである。
本開示による高血糖症を治療する一つの方法は、本明細書に開示されるインスリンプロドラッグ類縁体を、患者に対し、任意の標準的投与ルートを用いて、非経口的ルート、例えば、静脈内、腹腔内、皮下又は筋肉内、硬膜下腔内、経皮的、直腸内、経口的、鼻腔内、又は吸引によって投与する工程を含む。一実施態様では、組成物は、皮下又は筋肉内に投与される。一実施態様では、組成物は非経口的に投与され、インスリンプロドラッグ類縁体組成物は、あらかじめシリンジ内に装備される。
本発明のインスリンプロドラッグ類縁体は、単独で、又は、他の抗糖尿病剤と組み合わせて投与されてよい。従来技術で公知の、又は研究中の抗糖尿病剤としては、天然インスリン、天然グルカゴン、及び、それらの機能的誘導体、スルフォニルウレア類、例えば、トルブタミド(Orinase)、アセトヘキサミド(Dymelor)、トラザミド(Tolinase)、クロルプロパミド(Diabinese)、グリピジド(Glucotrol)、グリブリド(Diabeta、Micronase、Glynaze)、グリメピリド(Amaryl)、又はグリクラジド(Diamicron);ビアグアニド類、例えば、メトフォルミン(Glucophage)、又はフェンフォルミン;チアゾリジンジオン類、例えば、ロシグリタゾン(Avandia)、ピオグリタゾン(Actos)、又はトログリタゾン(Rezulin)、又は他のPPARγ阻害剤;炭水化物消化を抑制するアルファグルコシダーゼ阻害剤、例えば、ミグリトール(Glyset)、アカルボース(Precose/Glucobay);エキセナチド(Byetta)又はプラムリンチド;ジペプチジルペプチダーゼ−4(DPP−4)阻害剤、例えば、ビルダグリプチン又はシタグリプチン;SGLT(ナトリウム依存性グルコーストランスポーター1)阻害剤;又は、FBPアーゼ(フラクトース1,6−ビスフォスファターゼ)阻害剤が挙げられる。
本明細書に開示されるインスリンプロドラッグ類縁体を含む医薬組成物は、標準的な、薬学的に許容される担体を用いて処方し、且つ、当業者に公知の投与ルートを用いて患者に投与することが可能である。したがって、本開示はさらに、本明細書に開示されるインスリンプロドラッグ類縁体の一つ以上、又は、薬学的に許容されるその塩を、薬学的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物を包含する。一実施態様では、医薬組成物は、リン酸バッファー系中で約4.0から約7.0のpHにおいて1mg/ml濃度のインスリンプロドラッグ類縁体を含む。この医薬組成物は、インスリンプロドラッグ類縁体を唯一の薬学的活性成分として含んでもよく、若しくは、インスリンプロドラッグ類縁体は、一つ以上の追加活性剤と組み合わせることも可能である。一実施態様によれば、好ましくは滅菌された、本明細書に開示されるインスリンプロドラッグ類縁体の一つを、好ましくは、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の純度で含み、且つ、薬学的に許容される希釈剤、担体、又は賦形剤を含む、医薬組成物が提供される。このような組成物は、インスリン類縁体を、得られる活性ペプチドが、少なくとも0.5mg/ml、1mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、7mg/ml、8mg/ml、9mg/ml、10mg/ml、11mg/ml、12mg/ml、13mg/ml、14mg/ml、15mg/ml、16mg/ml、17mg/ml、18mg/ml、19mg/ml、20mg/ml、21mg/ml、22mg/ml、23mg/ml、24mg/ml、25mg/ml、又はそれ以上の濃度として存在するように含んでもよい。一実施態様では、医薬組成物は、滅菌された水溶液を含み、該水溶液は、必要に応じて種々の包装容器に納められて保存されていてもよい。一実施態様によれば、本発明の化合物は、注射用の事前処方液を調製するために使用することが可能である。他の実施態様では、医薬組成物は凍結乾燥粉末を含む。医薬組成物はさらに、該組成物を患者に投与するためのディスポーザブルデバイスを含むキットの一部として包装することも可能である。容器又はキットには、室温又は冷蔵温度で保存するためのラベル表示を行ってもよい。
治療法、医薬組成物、キット、及び、本明細書に記載される他の同様の実施態様は、インスリンプロドラッグ類縁体が、全て、薬学的に許容されるその塩も含むことを考慮の対象とする。
一実施態様では、インスリンプロドラッグ類縁体組成物を患者に投与するためのデバイスを備えるキットが提供される。キットはさらに、種々の容器、例えば、バイアル、チューブ、瓶などを含んでもよい。好ましくは、キットはさらに、使用説明書を含む。一実施態様によれば、キットのデバイスは、エアロゾル・ディスペンサーであり、組成物は、該エアロゾル・ディスペンサーの中にあらかじめ封入される。別の実施態様では、キットはシリンジ及び針を含み、一実施態様では、インスリン類縁体組成物は、このシリンジの内部にあらかじめ封入される。
本発明の化合物は、標準的合成法、組み換えDNA技術、又は、ペプチド及び融合タンパクを調製する、他の任意の方法によって調製されてよい。ある種の非天然アミノ酸は、標準的組み換えDNA技術では発現させることができないけれども、それらの調製技術は当該技術分野において公知である。非ペプチド部分を包含する、本発明の化合物は、適用可能であれば標準的ペプチド化学反応でもよいが、それ以外にも、標準的有機化学反応によって合成されてもよい。
(実施例1)
インスリンA及びB鎖の合成
インスリンA及びB鎖は、Boc化学を用い、4−メチルベンジリルアミン(MBHA)樹脂、又は4−ヒドロキシメチル−フェニルアセタミドメチル(PAM)樹脂上で合成した。ペプチドは、HF/p−クレゾール95:5を1時間0℃で用いて樹脂から切断た。HF切断及びエーテル沈殿後、ペプチドを、50%酢酸水溶液に溶解し、凍結乾燥した。それとは別に、ペプチドは、Fmoc化学を用いて合成した。ペプチドは、トリフルオロ酢酸(TFA)/トリイソプロピルシラン(TIS)/HO(95:2.5:2.5)、2時間、室温を用いて樹脂から切断した。ペプチドは、過剰量のジエチルエーテルを加えることによって沈殿させ、ペレットを酸性水性バッファーに溶解した。ペプチドの品質は、RP−HPLCによって監視し、質量分析(ESI又はMALDI)によって確認した。
インスリンA鎖は、アミノ酸7にいて唯一の遊離システインを含み、他の全てのシステインを、アセタミドメチルA−(SH)(Acm)6,11,20として保護した状態で合成した。インスリンB鎖は、位置7に唯一の遊離システインを含み、他のシステインを、アセタミドメチルB−(SH)(Acm)19として保護した状態で合成した。粗製ペプチドは、通例のRP−HPLCによって精製した。
合成A及びB鎖は、図1に概観される一般手順にしたがってって、天然のジスルフィド結合を介して相互に結合した。各B鎖は、DMF又はDMSOへの溶解を介してCys−Npys誘導体に活性化し、2,2’−Dithiobis(5−ニトロピリジン)(Npys)と1:1モル比において室温で反応させた。活性化は、RP−HPLCによって監視し、産物は、ESI−MSによって確認した。
第1のB7−A7ジスルフィド結合は、各A−(SH)(Acm)6,11,20及びB−(SH)(Acm)19を1:1モル比で10mg/mlの合計ペプチド濃度に溶解することによって形成した。鎖の結合反応が完了したら、混合物は、50%酢酸水溶液に希釈した。最後の二つのジスルフィド結合は、ヨウ素の添加によって同時に形成した。モル比にして40倍過剰なヨウ素を溶液に加え、混合物を室温でさらに1時間攪拌した。反応は、アスコルビン酸水溶液を加えて停止させた。混合物をRP−HPLCによって精製し、最終化合物をMALDI−MSによって確認した。図2及び表1のデータに示すように、この手順にしたがってって調製された合成インスリンは、インスリン受容体結合において精製インスリンに十分匹敵する。
さらに、修飾アミノ酸(例えば、位置A19における4−アミノフェニルアラニン)を含むインスリンペプチドは、非コードアミノ酸をタンパクの中に取り込むことが可能なシステム、例えば、米国特許第7,045,337及び7,083,970号に教示されるシステムを用いてインビボで合成することが可能である。
〔表1〕 天然インスリンに対する合成インスリンの活性
(実施例2)
還元性アルキル化によるアミン基(N−末端及びリシン)のPEG化
a.合成
インスリン(又は、インスリン類縁体)、mPEG20k−アルデヒド及びNaBHCNを、1:2:30のモル比において、酢酸バッファーにpH4.1−4.4で溶解した。この反応液は、0.1N NaCl、0.2N酢酸、及び0.1N NaCOから構成される。インスリンペプチドの濃度は約0.5mg/mlであった。反応は室温で6時間行った。反応の程度は、RP−HPLCによって監視したところ、反応の収率は約50%であった。
b.精製
この反応混合物を、0.1%TFAによって2−5倍に希釈し、分取用RP−HPLCカラムに加えた。HPLC条件:C4カラム;流速10ml/分;Aバッファー、10%ACN及び0.1%TFA水溶液;Bバッファー、0.1%TFAのACN液;直線勾配、B%、0−40%(0−80分);PEG−インスリン又は類縁体は、約35%バッファーBにおいて溶出した。所望の化合物は、MALDI−TOFによって確認し、その後、加硫分解又はトリプシン分解による化学的修飾を行った。
N−ヒドロキシスクシンイミドアシル化によるアミノ基(N−末端及びリシン)のPEG化
a.合成
インスリン(又は、インスリン類縁体)を、mPEG20k−NHSと一緒に、1:1のモル比において、0.1N Bicineバッファーに溶解した。インスリンペプチドの濃度は約0.5mg/mlであった。反応の進行は、RP−HPLCによって監視した。反応の収率は、室温で2時間後、約90%であった。
b.精製
この反応混合物を、2−5倍に希釈し、RP−HPLCに負荷した。HPLC条件:C4カラム;流速10ml/分;Aバッファー、10%ACN及び0.1%TFA水溶液;Bバッファー、0.1%TFAのACN液;直線勾配、B%、0−40%(0−80分);PEG−インスリン又は類縁体は、約35%Bにおいて溶出した。所望の化合物は、MALDI−TOFによって確認し、その後、加硫分解又はトリプシン分解による化学的修飾を行った。
フェニルアラニンの芳香環アセチル基に対する還元的アミンPEG化
a.合成
インスリン(又は、インスリン類縁体)、mPEG20k−ヒドラジド及びNaBHCNを、1:2:20のモル比において、酢酸バッファー(pH4.1から4.4)に溶解した。この反応液は、0.1N NaCl、0.2N酢酸、及び0.1N NaCOから構成される。インスリン又はインスリン類縁体の濃度は約0.5mg/mlであった。反応は室温で24時間行った。反応の進行は、RP−HPLCによって監視した。反応の変換率は約50%であった(HPLCによって計算)。
b.精製
この反応混合物を、2−5倍に希釈し、RP−HPLCカラムに負荷した。HPLC条件:C4カラム;流速10ml/分;Aバッファー、10%ACN及び0.1%TFA水溶液;Bバッファー、0.1%TFAのACN液;直線勾配、B%、0−40%(0−80分);PEG−インスリン又はPEG−インスリン類縁体は、約35%バッファーBにおいて収集した。所望の化合物は、MALDI−TOFによって確認し、その後、加硫分解又はトリプシン分解による化学的修飾を行った。
(実施例3)
インスリン受容体結合アッセイ
インスリン又はIGF−1受容体に対する各ペプチドの親和度は、scintillation proximity technologyを用いて競合結合アッセイにおいて測定した。Tris−Clバッファー(0.05M Tris−HCl、pH7.5、0.15M NaCl、0.1%w/vウシ血清アルブミン)を用いて、ペプチドの3倍連続希釈を調製し、96ウェルプレート(Corning Inc.,Acton,MA)において、0.05nM(3−[125I]−ヨードチオシル)A TyrA14インスリン、又は(3−[125I]−ヨードチオシル)IGF−1(American Biosciences,Piscataway,NJ)と混ぜ合わせた。各ウェルには、ヒト・インスリン又はIGF−1受容体を過剰発現する細胞から調製した、1−6マイクログラムの血漿膜フラグメントの分液が入れてあり、そこへ、0.25mg/ウェルのポリエチレンイミン処理麦芽アグルチニンA型scintillation proximityアッセイビーズ(American Biosciences,Piscataway,NJ)を加えた。800rpmで5分間振とうした後、プレートを室温で12時間インキュベートし、放射能を、MicroBeta1450液体シンチレーションカウンター(PerkinElmer,Wellesley,MA)によって測定した。非特異的結合(NSB)放射能は、試験サンプルの最高濃度よりも4倍過剰濃度の「コールドの」天然リガンドを入れたウェルにおいて測定した。総計結合放射能は、競合因子無しのウェルにおいて検出した。特異的結合パーセントは下記のように計算した:特異的結合%=(結合−NSB/総結合−NSB)x100。IC50値は、Originソフトウェア(OriginalLab,Northampton,MA)を用いて決定した。
(実施例4)
インスリン受容体リン酸化アッセイ
インスリン又はインスリン類縁体の受容体のリン酸化を測定するために、受容体をトランスフェクトしたHEK293細胞を、96ウェル組織培養プレート(Costar#3596,Cambridge,MA)に撒き、100IU/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、10mM HEPES、及び0.25%ウシ育成血清(HyClone,SH30541,Logan,UT)を添加したDulbecco改変イーグル培地(DMEM)中で16−20時間37℃で、5%CO及び90%湿度下に培養した。インスリン又はインスリン類縁体の連続希釈を、0.5%ウシ血清アルブミン(Roche Applied Science#100350,Indianapolis,IN)を添加したDMEMで調製し、接着した細胞を含むウェルに加えた。5%COを含む高湿度雰囲気下37℃で15分インキュベーションした後、細胞を、室温で20分5%パラアルデヒドによって固定し、リン酸バッファー生理的食塩水pH7.4で2回洗浄し、2%ウシ血清アルブミンのPBS液で1時間ブロックした。次に、プレートを3回洗浄し、西洋わさびペルオキシダーゼを結合した抗フォスフォチロシン抗体(Upstate biotechnology#16−105,Temecula,CA)を、メーカーの推薦にしたがって、2%ウシ血清アルブミン含有PBS中で再構成させたものを満たした。室温で3時間インキュベーションした後、プレートを4回洗浄し、0.1mlのTMB単一溶液基質(Invitrogen,#00−2023,Calbard,CA)を各ウェルに加えた。5分後、0.05mlの1N HClを加えることによって発色を停止させた。450nmにおける吸収を、Titertek Multiscan MCC340(ThermoFisher,Pittsburgh,PA)で測定した。吸光度・対・ペプチド濃度用量反応曲線をプロットし、EC50値をOriginソフトウェア(OriginalLab,Northampton,MA)を用いて決定した。
(実施例5)
モデルジペプチドの(PBS中での)切断速度の定量
モデルペプチドとして、特異的ヘキサペプチド(HSRGTF−NH;配列番号59)を用いた。このものにおいてN−末端のジペプチド延長部の切断速度を調べることは可能と考えられたからである。このジペプチド延長モデルペプチドは、Boc−保護サルコシンを用いて調製し、続けて、モデルペプチド結合樹脂にリシンを加えてペプチドA(Lys−Sar−HSRGTF−NH;配列番号60)を生産した。ペプチドAは、HFによって切断し、分取用HPLCによって精製した。
各プロペプチドについて切断速度を定量した。プロペプチド及びモデルの母体ペプチドの濃度は、それぞれのピーク面積によって定量した。プロドラッグの一次の解離速度定数は、種々の時間間隔におけるプロドラッグ濃度の対数をプロットすることによって定量した。このプロットの勾配は、速度定数’k’を与える。各種プロドラッグの切断半減期は、式t1/2=.693/kを用いて計算した。このモデルペプチドHSRGTF−NH(配列番号59)に対するLys−Sar延長部の半減期は、14.0時間であると決定された。
(実施例6)
全体d−異性体モデルペプチドによって定量された、血漿中でのジペプチド切断速度半減期
血漿中でのジペプチド切断速度を定量するために、追加のモデルヘキサペプチド(dHdTdRGdTdF−NH;配列番号63)を用いた。各アミノ酸について、d−異性体を用い、プロドラッグ延長部を除き、モデルペプチドの酵素的切断を阻止した。このモデルd−異性体ヘキサペプチドは、l−異性体と類似のやり方で合成した。ペプチドAに関して前述したようにして、サルコシン及びリシンを続けてN−末端に付加してペプチドBを調製した(dLys−dSar−dHdTdRGdTdF−NH;配列番号64)。
各プロペプチドについて切断速度を定量した。プロペプチド及びモデルの母体ペプチドの濃度は、それぞれのピーク面積によって定量した。プロドラッグの一次の解離速度定数は、種々の時間間隔におけるプロドラッグ濃度の対数をプロットすることによって定量した。このプロットの勾配は、速度定数’k’を与える。各種プロドラッグの切断半減期は、式t1/2=.693/kを用いて計算した。このモデルペプチド(dHdTdRGdTdF−NH;配列番号63)に対するLys−Sar延長部の半減期は、18.6時間であると決定された。
(実施例7)
モデルヘキサペプチド(HSRGTF−NH;配列番号59)に結合された付加ジペプチドの切断速度は、実施例5に記載した手順を用いて定量した。この実験で得られた結果を表2及び3に示す。
〔表2〕 モデルヘキサペプチド(HSRGTF−NH;配列番号59)のN−末端パラアミノ−Pheの側鎖に結合されるジペプチドO−Uの、PBS中での切断。
〔表3〕 モデルヘキサペプチド(HSRGTF−NH;配列番号59)の位置1(X)におけるヒスチジン(又はヒスチジン誘導体)に結合されるジペプチドO−Uの、PBS中での切断。
(実施例8)
プロドラッグ構築に好適な構造を有するインスリン類縁体の特定
A鎖の位置19は、インスリン活性にとって重要な部位であることが知られる。したがって、プロドラッグ要素の付着を可能とするようにこの部位に修飾を施すことは望ましい。インスリンのA19における特異的類縁体は合成されており、インスリン受容体に対するそれらの活性についても詳細が明らかにされている。A19においては、二つの活性の高い構造類縁体が特定されているが、第2の活性部位の芳香族残基(B24)において同様の構造的変化をさせても、同様に十分な活性を持つインスリン類縁体の特定はできなかった。
表4及び5は、インスリン受容体に対する十分な活性のために位置A19において高度に保存される構造を示す(受容体結合は、実施例3に記載されるアッセイを用いて定量した)。表4は、A19において修飾された、二つのインスリン類縁体のみが、天然インスリンと同様の受容体結合活性を有することを示す。「活性(試験)」と表示したカラムは、同時に行った二つの別々の実験において、天然インスリンに対するインスリン類縁体の結合パーセントを比較したものである。「活性(0.60nM)」と表示したカラムは、このアッセイによってインスリン結合について得られた歴史的平均値に対する、インスリン類縁体の相対的結合パーセントである。いずれの分析でも、二つのA19インスリン類縁体(4−アミノフェニルアラニン、及び4−メトキシフェニルアラニン)は、天然インスリンとほぼ等価的な受容体結合を示す。図3は、インスリン受容体に対する、天然インスリン及びA19インスリン類縁体のそれぞれの特異的結合を示すグラフを表す。表5は、天然インスリンと等価的な結合活性を呈する、二つのA19インスリン類縁体(4−アミノ及び4−メトキシ)は、インスリン受容体に対しても等価的活性を示すというデータ(受容体活性は、実施例4に記載するアッセイを用いて定量した)を提示する。
〔表4〕 A19インスリン類縁体のインスリン受容体結合活性
〔表5〕 A19インスリン類縁体のインスリン受容体リン酸化活性
(実施例9)
インスリン様増殖因子(IGF)類縁体
インスリンA鎖を単離するための典型的精製スキームは、NHHCOバッファー(pH=7.8)を使用する。この条件下で、プロドラッグ要素は、A−鎖から急速に切断される。プロドラッグについて、インスリン受容体に対するその活性を調べるに際し、その精製を単純化するために、本出願人らは、インスリン受容体に対し、天然インスリンと同様の活性を示す、IGF類縁体を用いる実験を行った。さらに詳細には、IGF類縁体(IGF1(YB16B17)は、天然のIGF A及びB鎖(それぞれ、配列番号61及び62)を含むが、ここで、天然のIGF B−鎖の位置15及び16における天然のグルタミン及びフェニルアラニンが、それぞれ、チロシン及びロイシン残基(それぞれ、天然のインスリンB−鎖の位置16及び17に対応する)によって置換されている。図4及び下表6に示すように、IGF1(YB16B17)の結合活性は、この化合物が、強力なインスリン類縁体であることを示す。
〔表6〕
(実施例10)
IGFプロドラッグ誘導体
A19インスリン類縁体の活性に基づいて(実施例5参照)、同様の修飾を、IGF1 A:B(YB16B17)類縁体について行い、インスリン受容体への結合活性、インスリン受容体の刺激活性を調べた。図5は、IGF1 A:B(YB16B17)を調製するための一般的合成スキームを示す。このスキームでは、天然チロシンが、4−アミノフェニルアラニン[IGF1 A:B(YB16B17)(p−NH−F)A19アミド]によって置換されるだけでなく、そのジペプチド延長誘導体[IGF1 A:B(YB16B17)AiBAlaアミド]も調製され、ここで、AiB及びAlaを含むジペプチドは、A19の4−アミノフェニルアラニンに対するアミド結合を介して該ペプチドに結合される。図6及び表7に示すように、IGF類縁体、IGF1(YB16B17)A(p−NH−F)19は、インスリン受容体に特異的に結合し、ここで、該類縁体のジペプチド延長誘導体は、インスリン受容体に特異的結合することができない。このジペプチド延長部は、ジペプチドの自発的切断を可能とする適正な構造を欠くこと(ジペプチドの第2位置におけるN−アルキル化アミノ酸の不在)、したがって、インスリン受容体結合の回復は無いことに注意されたい。
〔表7〕
IGFB16B17誘導体ペプチドなる、さらに別のプロドラッグ誘導体が調製され、ここでは、ジペプチドプロドラッグ要素(アラニン−プロリン)は、アミド結合を介して、A鎖のアミノ末端に結合された(IGFI(YB16B17)(AlaPro)A−1,0)。表8に示すように、IGFI(YB16B17)(AlaPro)A−1,0は、インスリン受容体に対する親和度は事実上低下した。表3のデータに基づくと、このジペプチドプロドラッグ要素は、該ジペプチドプロドラッグ要素の自発的切断を可能とする適正な構造を欠くこと、したがって、検出されるインスリン受容体結合は、プロドラッグ要素の切断の結果ではないことに注意されたい。
〔表8〕
(実施例11)
さらに別のIGFインスリン類縁体
IGFI(YB16B17)(YL)B1617ペプチド配列をさらに修飾することによって、インスリン及びIGF1受容体に対するその効力が変動する、さらに別のIGFインスリン類縁体が明らかになった。これらの類縁体それぞれについて、結合データ(実施例3のアッセイを使用)を表9に示す。なお、修飾部の位置は、天然インスリンペプチドにおける対応位置に基づいて表示される(DPI=des B26−B30)。例えば、本明細書において、「位置B28」に対する参照は、さらに詳細を含まない場合、配列番号2の第1アミノ酸が欠失されているインスリン類縁体B鎖の対応する位置B27を意味すると考えられる。「B(Y16)」に対する一般的参照は、天然IGF−1配列のB鎖の位置15におけるチロシン残基の置換を指す。インスリン及びIGF類縁体の相対的受容体結合に関するデータを表9に示し、IGF類縁体刺激によるリン酸化(実施例4のアッセイを使用)に関するデータを表10に示す。
〔表9〕 インスリン及びIGF類縁体の受容体結合親和度
〔表10〕 IGF−1及びIGF−2類縁体の合計リン酸化
(実施例12)
IGFB16B17誘導体ペプチドのプロドラッグ型からのジペプチドの切断
各種IGF−1ペプチドからの、(pNH2−Phe)アミド結合ジペプチドAibProの切断を測定し、ペプチド配列、又は、ヘテロ二重鎖の、ジペプチド切断に対する影響を判定した。試験ペプチドの結果を表12に示す。データは、IGF1−A鎖のみが、IGFI B:A(YL)B16,17ペプチドのプロドラッグ半減期研究のための優れたモデルを代表することを示す。
〔表12〕
ジスルフィド結合A鎖及びB鎖構築体(IGF1 A:B(YB16B17)に対する、IGF A鎖のプロドラッグ誘導体の比較は、この二つの化合物は、プロドラッグ型として同様の半減期を有することを明らかにした。したがって、IGF1A鎖のみが、IGF1 A:B(YB16B17)に基づくプロドラッグ半減期の研究にとって優れたモデルになると判定された。AibAla誘導体は、切断されず、したがってプロドラッグとはならないが、修飾は、インスリン類縁体IGF1(YB16B17)A(p−NH−F)19アミドを不活性化することも可能であることを示すのに役立つことに注意されたい。簡単のために、プロドラッグ半減期は、B鎖不在下に、IGF1A鎖のみを用いて定量した。各ペプチドの半減期は、実施例5に記載したように定量した。データを表13に示す。
〔表13〕 IGF1ジペプチド延長(p−NH−F)19アミドにおけるジペプチド半減期
データは、ジペプチドプロドラッグ要素における置換基を変更することによって、プロドラッグの半減期を2時間から>100時間まで変動させることが可能であることを示す。
IGF1−A(p−NH2−F)19系ペプチドを用い、位置A19における4−アミノフェニルアラニンを介して結合されるジペプチドプロドラッグ要素のアミノ酸組成を変えることによって、さらに別のプロドラッグ誘導体ペプチドを調製した。種々の構築体について、PBS及び20%血漿/PBS(すなわち、血清酵素の存在下)においてジペプチド半減期を測定した。結果を表14に示す。この結果は、試験した4種のペプチドの内3種は、血清酵素によって影響されないことを示す。
〔表14〕 IGF1−A(pNH−F)19におけるジペプチド半減期
(実施例13)
IGFB16B17誘導体ペプチドの受容体結合の経時的変化
IGFB16B17誘導体ペプチドのプロドラッグ処方を調製し、その経時的分解を、実施例3のインスリン受容体結合アッセイを用いて測定した。このアッセイに用いられるペプチドは下記のように調製した。
ジペプチド−IGF1A類縁体
特に指定しない場合、設計ペプチド類縁体の合成にはBoc−化学手法を用いた。選択されたジペプチドHN−AA1−AA2−COOHを、IGF1A(Ala)6,7,11,20上の(p−NH−F)19に加えた。IGF−1 A鎖C−末端トリペプチドBoc(Fmoc−pNH−Phe)−Ala−Alaは、MBHA樹脂上で合成した。20%ピペリジン/DMF、室温、30分による処理でFmocを除去した後、Fmoc−AA2を、3倍過剰のアミノ酸、PyBop、DIEA、及び触媒量のピペリジンを用いて、A19におけるp−アミノベンジル側鎖に結合させた。残りのIGF−1 A鎖(Ala)6,7,11,20配列のBoc−合成は、Applied Biosystems 430A Peptide Synthesizerを用いて完了し、IGF−1 A鎖(Boc)(Ala)6,7,11,20(Fmoc−AA2−pHN−Phe)19−MBHAが得られた。AA2のN−末端からFmoc基を除去した後、Boc−AA1を、3倍過剰のアミノ酸、DEPBT、及びDIEAを用いて、アミンに結合させた。A鎖に残留する二つのBoc基をTFAによって除去した後、HF切断したところ、IGF−1 A鎖(Ala)6,7,11,20(HN−AA2−pHN−Phe)19アミドが得られた。AA1がd−リシンである場合、ε−アミンに対するアシル化を、Boc除去の前に行った。ジペプチドIGF−1 A鎖類縁体は、半分取用RP−HPLCによって精製し、分析用RP−HPLC及びMALDI質量分析によって特徴解明した。
ジペプチド−IGF−1(YL)類縁体
HF切断によってC末端酸が得られるようにIGF−1 A鎖の合成にPAM樹脂を用いたことを除いては、直上に記載した通りにして、選ばれたジペプチドHN−AA1−AA2−COOHをIGF−1 A鎖(Acm)6,7,11,20の(pNH−Phe)19に加えた。CysB7の遊離チオールを、100%DMSOにおいて1:1モル比でDTNPとの反応を介してNpysによって修飾した。精製ジペプチド−IGF−1 A鎖、及びIGF−1 B鎖(YL)16,17誘導体を、スキーム1に示される「1+2」2工程鎖結合戦略を用いて連接させた。中間的及び最終的精製は、半分取用RP−HPLCによって実行し、分析RP−HPLC及びMALDI質量分析によって特徴解明した。
(IGF)B16,B17誘導体ペプチドプロドラッグは、PBS、pH7.5、37℃でインキュベートし、指定の時間間隔で、分液を採取し、それ以上の分解は、0.1%TFAで停止させ、分液は、分析用HPLC分析によって調べた。(IGF)B16,B17誘導体ペプチドのプロドラッグ型及び活性型を表すピークa及びbは、LC−MSで特定し、HPLCにおけるピーク面積を積分することによって定量した。図8A−8Cは、(IGF)B16,B17誘導体ペプチドプロドラッグ:IGF−1A(Ala)6,7,11,20(Aib−Pro−pHN−F)19の分解に関する、HPLC分析の出力を示す。PBS中でのプロドラッグのインキュベーション開始後、20分(図8A)、81分(図8B)、及び120分(図8C)に、分液を採取した。データは、経時的な、IGF1A(Ala)6,7,11,20(Aib−Pro−pNH−F)19アミドの、IGF1A(Ala)6,7,11,20(pNH−F)アミドへの、自発的で非酵素的な転換を示す。
IGFB16,B17誘導体ペプチドのプロドラッグ型からその活性型への分解を、実施例3においてインビトロアッセイを用いて測定したように、インスリン受容体に対する、化合物の結合能力に基づいて測定した。図9A及び9Bは、プロドラッグAib,dPro−IGF1YL(A19 4−アミノPheを介して結合されるジペプチド)のインビトロ活性を示すグラフである。図9Aは、PBS中でインキュベートした場合の経時的な、天然インスリン(1時間、4℃で測定)、及び、A19 IGFプロドラッグ類縁体(Aib,dPro−IGF1YL)(0時、2.5時、及び10.6時)の相対的インスリン受容体結合の比較を示すグラフである。図9Bは、20%血漿/PBS中でインキュベートした場合の経時的な、天然インスリン(1.5時間、4℃で測定)、及び、A19 IGFプロドラッグ類縁体(Aib,dPro−IGF1YL)(0時、1.5時、及び24.8時)の相対的インスリン受容体結合の比較を示すグラフである。グラフに示されるデータから明らかなように、プロドラッグ型が活性IGF1YLペプチドに転換されるにつれて、A19IGFプロドラッグ類縁体サンプルからの増大活性が回復する。IGFB16,B17誘導体ペプチドの活性はインスリン受容体結合に対して測定されたが、IGFB16,B17誘導体ペプチドは天然インスリンよりも高い活性を有しているのであるから、インスリンに対して100%を超える活性も実現可能である。
図10A及び10Bは、プロドラッグdK,(N−イソブチルG)−IGF1YL(A19 4−アミノPheを介して結合されるジペプチド)のインビトロ活性を示すグラフである。図10Aは、PBS中でインキュベートした場合の経時的な、天然インスリン(1時間、4℃で測定)、及び、A19 IGFプロドラッグ類縁体(IGF1YL:dK,(N−イソブチルG)(0時、5時、及び52時)の相対的インスリン受容体結合の比較を示すグラフである。図10Bは、20%血漿/PBS中でインキュベートした場合の経時的な、天然インスリン(1.5時間、4℃で測定)、及び、A19 IGFプロドラッグ類縁体(IGF1YL:dK,(N−イソブチルG)(0時、3.6時、及び24.8時)の相対的インスリン受容体結合の比較を示すグラフである。グラフに示されるデータから明らかなように、プロドラッグ型が活性IGF1YLペプチドに転換されるにつれて、A19IGFプロドラッグ類縁体サンプルからの増大活性が回復する。
図11A及び11Bは、プロドラッグdK(e−アセチル)、Sar)−IGF1YL(A19 4−アミノPheを介して結合されるジペプチド)のインビトロ活性を示すグラフである。図11Aは、PBS中でインキュベートした場合の経時的な、天然インスリン(1時間、4℃で測定)、及び、A19 IGFプロドラッグ類縁体(IGF1YL:dK(e−アセチル)、Sar)(0時、7.2時、及び91.6時)の相対的インスリン受容体結合の比較を示すグラフである。図11Bは、20%血漿/PBS中でインキュベートした場合の経時的な、天然インスリン(1.5時間、4℃で測定)、及び、A19 IGFプロドラッグ類縁体(IGF1YL:dK(e−アセチル)、Sar)(0時、9時、及び95時)の相対的インスリン受容体結合の比較を示すグラフである。グラフに示されるデータから明らかなように、プロドラッグ型が活性IGF1YLペプチドに転換されるにつれて、A19IGFプロドラッグ類縁体サンプルからの増大活性が回復する。

Claims (25)

  1. A鎖、B鎖、及びジペプチド要素を含む、インスリン類縁体であって、
    A鎖は、Z−ペプチドA−R 13 なる構造を含み、前記ペプチドAはGIVEQCCX1SICSLYQLENX2CX3(配列番号3)なる配列を含み、
    B鎖は、J−X 14 −ペプチドBなる構造を含み、前記ペプチドBは4LCGX56LVEALX7LVCGERGFX8(配列番号14)なる配列を含み、
    こで、Z及びJは、それぞれ独立に、Hか、又は、下記の一般構造
    を有するジペプチド要素であり;
    14は、X4LCGX56LVEALX7LVCGERGFX8(配列番号14)なる配列にJを接合する結合手であるか、又は、X14は、 9 VNQ(配列番号21)、VNQ、NQ、及びQから成る群から選ばれる、1から4個のアミノ酸の配列であって、X4LCGX56LVEALX7LVCGERGFX8(配列番号14)なる配列にJを接合する配列を表し;
    1は、トレオニン及びヒスチジンから成る群から選ばれ;
    2は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
    上式において、mは、0〜3から選ばれる整数であり;
    Xは、OH、OCH3、NH2、及びNHR10から成る群から選ばれ、
    ここで、R10は、Hであるか、又は、一般構造I:
    含むジペプチド要素であり;
    3は、アスパラギン、グリシン、アラニン、トレオニン、及びセリンから成る群から選ばれ;
    4は、ヒスチジン、トレオニンから成る群から選ばれ;
    5は、アラニン、グリシン、及びセリンから成る群から選ばれ;
    6は、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモシステイン酸、及びシステイン酸から成る群から選ばれ;
    7は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
    上式において、mは0〜3から選ばれる整数であり、
    12は、OH、NH2、NHR11、及びOCH3から成る群から選ばれ、ここで、R11は、Hであるか、又は、下記の一般構造Iを含むジペプチド要素であり:
    8は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
    上式において、mは0〜3から選ばれる整数であり、
    13は、H、OH、NH2、NHR12、及びOCH3から成る群から選ばれ、ここで、R12は、Hであるか、又は、下記の一般構造を含むジペプチド要素であり:
    9は、フェニルアラニン及びデスアミノ−フェニルアラニンから成る群から選ばれ;
    上式において、
    1 及びR 8 は、それぞれ独立に、Hか、又はC 1 −C 8 アルキルであり;
    2 及び4 、それぞれ独立に、H、C1−C 8 アルキル、C2−C 8 アルケニル、(C1−C 4 アルキル)OH、(C1−C 4 アルキル)SH、(C2−C3アルキル)SCH3、(C1−C4アルキル)CONH2、(C1−C4アルキル)COOH、(C1−C4アルキル)NH2、(C1−C4アルキル)NHC(NH2 +)NH2、(C0−C4アルキル)(C3−C6シクロアルキル)、(C0−C4アルキル)(C2−C5ヘテロ環)、(C0−C4アルキル)(C6−C10アリール)R7CH 2 (C3−C9ヘテロアリール)ら成る群から選ばれか、又は、R1及びR2は、それらが付着する原子と一緒になってC3−C12シクロアルキル形成し
    3は、C1−C 8 アルキル、(C1−C 4 アルキル)OH、(C1−C 4 アルキル)NH2、(C1−C 4 アルキル)SH、3−C6)シクロアルキルら成る群から選ばれるか、又は、R4及びR3は、それらが付着する原子と一緒になって、、又は6員のヘテロ環を形成し;
    5はNHR6又はOHであり;
    6は、H及びC1−C8アルキルからなる群から選ばれるか、又は、R6及びR2は、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;
    7は、H、C 1 −C 8 アルキル、C 2 −C 18 アルケニル、(C 0 −C 4 アルキル)CONH 2 、(C 0 −C 4 アルキル)COOH、(C 0 −C 4 アルキル)NH 2 、(C 0 −C 4 アルキル)O及びハロから成る群から選ばれ、ただし、前記一般構造Iを含むジペプチド要素が、前記A鎖又はB鎖のN−末端アミノを介して結合され、R 4 及びR 3 が、それらが付着する原子と一緒になって5又は6員のヘテロ環を形成する場合、R 1 及びR 2 は共にHではなく;且つ、
    13は、COOH又はCONH2であり、
    但し、X、X12、X13、J、及びZの内の少なくとも一つは、一般構造Iを含むジペプチド要素であることを条件とし;
    前記ジペプチド要素は、生理学的条件下及び酵素活性の非在下で、前記インスリン類縁体から切断される、
    類縁体。
  2. X、X12、X13、J、及びZの内のひとつだけが、下記の一般構造
    を含むジペプチドであることを特徴とする、請求項1に記載のインスリン類縁体。
  3. A鎖、B鎖、及びジペプチド要素を含む、インスリン類縁体であって、
    鎖が、Z−GIVEQCCX1SICSLYQLENX2CX3(配列番号3)なる配列を含み、
    鎖配列が、X4LCGX56LVEALYLVCGERGFF(配列番号4)なる配列を含み、ここで
    Zは、Hであるか、又は、下記の一般構造を含むジペプチド要素であり:
    1は、トレオニン及びヒスチジンから成る群から選ばれ;
    2は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
    上式において、Xは、OH、NH2、NHR10、及びOCH3から成る群から選ばれ、ここで、R10は、下記の一般構造を含むジペプチド要素であり:
    3は、アスパラギン及びグリシンから成る群から選ばれ;
    4は、ヒスチジン及びトレオニンから成る群から選ばれ;
    5は、アラニン、グリシン、及びセリンから成る群から選ばれ;
    6は、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモシステイン酸、及びシステイン酸から成る群から選ばれ;
    1、R2、R4、及びR8は、それぞれ独立に、H、C1−C18アルキル、C2−C18アルケニル、(C1−C18アルキル)OH、(C1−C18アルキル)SH、(C2−C3アルキル)SCH3、(C1−C4アルキル)CONH2、(C1−C4アルキル)COOH、(C1−C4アルキル)NH2、(C1−C4アルキル)NHC(NH2 +)NH2、(C0−C4アルキル)(C3−C6シクロアルキル)、(C0−C4アルキル)(C2−C5ヘテロ環)、(C0−C4アルキル)(C6−C10アリール)R7、(C1−C4アルキル)(C3−C9ヘテロアリール)、及びC1−C12アルキル(W)C1−C12アルキルから成る群から選ばれ、ここに、Wは、N、S、及びOから成る群から選ばれるヘテロ原子であるか、又は、R1及びR2は、それらが付着する原子と一緒になってC3−C12シクロアルキル又はアリールを形成し;又は、R4及びR8は、それらが付着する原子と一緒になってC3−C6シクロアルキルを形成し;
    3は、C1−C18アルキル、(C1−C18アルキル)OH、(C1−C4アルキル)NH2、(C1−C18アルキル)SH、(C0−C4アルキル)(C3−C6)シクロアルキル、(C0−C4アルキル)(C2−C5ヘテロ環)、(C0−C4アルキル)(C6−C10アリール)R7、及び(C1−C4アルキル)(C3−C9ヘテロアリール)から成る群から選ばれ、又は、R4及びR3は、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;
    5はNHR6又はOHであり;
    6はH、C1−C8アルキルであるか、又は、R6及びR2は、それらが付着する原子と一緒になって4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
    7は、水素及びOHから成る群から選ばれ、
    ただし、XがNHR10である場合、ZはHであり、
    XがOH、NH2、又はOCH3である場合、Zは
    であり、
    Zが
    であり、且つ、R4及びR3が、それらが付着する原子と一緒になって5又は6員のヘテロ環を形成する場合、R1及びR2は、それぞれ、H以外であることを条件とする
    ことを特徴とする、請求項1に記載のインスリン類縁体。
  4. 下記(a)〜(c)のいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載のインスリン類縁体:
    (a)
    前記B鎖配列が、X9VNQX4LCGX56LVEALYLVCGERGFFYTPKT(配列番号12)、又はX9VNQX4LCGX56LVEALYLVCGERGFFYTKPT(配列番号13)であり、ここで:
    4は、ヒスチジン及びトレオニンから成る群から選ばれ;
    5は、アラニン、グリシン、及びセリンから成る群から選ばれ;
    6は、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモシステイン酸、及びシステイン酸から成る群から選ばれ;且つ、
    9は、フェニルアラニン及びデスアミノ−フェニルアラニンから成る群から選ばれる;若しくは、
    (b)
    4が、ヒスチジンであり;
    5は、セリンであり;且つ、
    6は、ヒスチジンである;又は、
    (c)
    上記(a)及び(b)の組み合わせ。
  5. ZがHであり;
    XはNHR10であり;
    1は、H及びC1−C4アルキルから成る群から選ばれ;
    2は、H、C1−C6アルキル、C2−C8アルケニル、(C1−C4アルキル)OH、(C1−C4アルキル)NH2、(C0−C4アルキル)(C3−C6シクロアルキル)、(C0−C4アルキル)(C6−C10アリール)R7、及びCH2(C5−C9ヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R2及びR6は、それらが付着する原子と一緒になって5員のヘテロ環を形成し;
    3は、C1−C6アルキルであり;且つ、
    4は、H及びC1−C4アルキルから成る群から選ばれるか、又は、R3及びR4は、それらが付着する原子と一緒になって5員のヘテロ環を形成する
    ことを特徴とする、請求項4に記載のインスリン類縁体。
  6. 下記(a)〜(c)のいずれかであることを特徴とする、請求項5に記載のインスリン類縁体
    (a)R3がCH3であり、R4がHである;
    (b)R5がNHR6である;又は、
    (c)R3及びR4が、それらが付着する原子と一緒になって5員のヘテロ環を形成する。
  7. 下記(a)又は(b)であることを特徴とする、請求項4に記載のインスリン類縁体:
    (a)
    ZがHであり;
    XはNHR10であり;
    3は、C1−C6アルキルであり;且つ、
    4は、H及びC1−C4アルキルから成る群から選ばれるか、又は、R3及びR4は、それらが付着する原子と一緒になって5員のヘテロ環を形成する;又は、
    (b)
    XがOHであり;
    3は、C1−C6アルキルであり;且つ、
    4は、H、C1−C4アルキル、(C3−C6)シクロアルキル、(C1−C4アルキル)OH、(C1−C4アルキル)SH、及び(C0−C4アルキル)(C6アリール)R7から成る群から選ばれるか、又は、R3及びR4は、それらが付着する原子と一緒になって5員のヘテロ環を形成する。
  8. 下記(a)又は(b)であることを特徴とする、請求項に記載のインスリン類縁体:
    (a)前記インスリン類縁体に結合される、親水性成分を含み又は、
    (b)前記B鎖配列が、配列番号8又は配列番号9の配列であり
    該B鎖のN−末端アミノ酸、配列番号8の位置29におけるリシン、及び、配列番号9の位置28におけるリシンから成る群から選ばれる位置において、前記インスリン類縁体に、親水性成分が結合され
  9. は1であり;
    12はOH、NH 2 、及びNHR 11 から成る群から選ばれ
    13はH又はOHであり;
    XはNHR10であり、ここで、R11は、一般構造Iを含むジペプチド要素であり;
    13はCOOHであり;且つ、
    B鎖のカルボキシ末端アミノ酸は、天然のアルファ炭素カルボキシル基の代わりにアミド(CONH2)を有する
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のインスリン類縁体。
  10. 下記(a)〜(f)のいずれかであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のインスリン類縁体:
    (a)
    Zが、下記の一般構造のジペプチド要素を含み:
    前記ジペプチド要素が、アシル化されているか、又はPEG化されている;
    (b)
    Jが、下記の一般構造を含むジペプチド要素を含み:
    前記ジペプチド要素が、アシル化されているか、又はPEG化されている;
    (c)
    Z、J、及びX13がそれぞれHであり;
    XはOHであり;
    12はNHR11であり、ここで、R11は、下記の一般構造を含むジペプチド要素である;
    (d)
    Z及びX13はそれぞれHであり;
    X及びX12はそれぞれOHであり;
    Jは、下記の一般構造を含むジペプチド要素であり:
    ただしさらに、R4及びR3が、それらが付着する原子と一緒になって5又は6員のヘテロ環を形成する場合、R1及びR2は共にH以外であることを条件とする;
    (e)
    Z及びJが共にHであり;
    X及びX12がそれぞれOHであり;
    13はNHR12であり、ここで、R12は、下記の一般構造を含むジペプチド要素である:
    又は、
    (f)
    Z及びJがそれぞれHであり;
    XがOHであり;
    前記B鎖配列が、配列X9VNQX4LCGX56LVEALX7LVCGERGFX8YTPKT(配列番号15)、又は、X9VNQX4LCGX56LVEALX7LVCGERGFX8YTKPT(配列番号16)であり、ここで、
    9は、フェニルアラニン及びデスアミノ−フェニルアラニンから成る群から選ばれ;
    7は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
    上式において、X12は、OH、NH2、及びNHR11から成る群から選ばれ、ここで、R11は、下記の一般構造を含むジペプチド要素であり:
    8は、下記の一般構造のアミノ酸であり:
    上式において、X13は、H、NH2、OCH3、及びNHR12から成る群から選ばれ、ここで、R12は、下記の一般構造を含むジペプチド要素であるが:
    ただし、X13がH、NH2、又はOCH3である場合、X12はNHR11であり、
    13がNHR12である場合、X12はOH、NH2、又はOCH3であることを条件とする。
  11. 下記(a)又は(b)であることを特徴とする、請求項10に記載のインスリン類縁体:
    (a)前記ジペプチド要素が、1又は2本のポリエチレングリコール鎖によってPEG化され、ここで、それらのポリエチレングリコール鎖の合計分子量が、約20,000から約80,000ダルトンの範囲にある;又は、
    (b)前記ジペプチド要素が、16から30炭素原子を含むアシル基によってアシル化されている。
  12. 1が、トレオニンであり;
    4は、ヒスチジンであり;
    5は、セリンであり;且つ、
    6は、ヒスチジンである
    ことを特徴とする、請求項10に記載のインスリン類縁体。
  13. 3が、アスパラギン又はグリシンであることを特徴とする、請求項12に記載のインスリン類縁体。
  14. 1が、H及びC1−C4アルキルから成る群から選ばれ;
    2は、H、C1−C6アルキル、C2−C8アルケニル、(C1−C4アルキル)OH、(C1−C4アルキル)NH2、(C0−C4アルキル)(C3−C6シクロアルキル)、(C0−C4アルキル)(C6−C10アリール)R7、及びCH2(C5−C9ヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R2及びR6は、それらが付着する原子と一緒になって5又は6員のヘテロ環を形成し;
    3は、C1−C6アルキルであり;
    4は、H及びC1−C4アルキルから成る群から選ばれるか、又は、R3及びR4は、それらが付着する原子と一緒になって5員のヘテロ環を形成する
    ことを特徴とする、請求項10〜13のいずれか1項に記載のインスリン類縁体。
  15. 前記B鎖配列が、配列J−X9VNQX4LCGX56LVEALX7LVCGERGFX8YTX1011(配列番号5)であり、ここで、
    1は、ヒスチジン、及びトレオニンから成る群から選ばれ;
    5は、アラニン、グリシン、及びセリンから成る群から選ばれ;
    6は、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモシステイン酸、及びシステイン酸から成る群から選ばれ;
    9は、フェニルアラニン、及びデスアミノ−フェニルアラニンから成る群から選ばれ;
    10は、アスパルテート−リシンジペプチド、リシン−プロリンジペプチド、又はプロリン−リシンジペプチドであり;且つ、
    11は、トレオニン、アラニン、又は、トレオニン−アルギニン−アルギニントリペプチドである
    ことを特徴とする、請求項1に記載のインスリン類縁体。
  16. 前記B鎖配列が、配列J−X9VNQX4LCGX56LVEALX7LVCGERGFX8YTPKT(配列番号15)、又はJ−X9VNQX4LCGX56LVEALX7LVCGERGFX8YTKPT(配列番号16)であることを特徴とする、請求項に記載のインスリン類縁体。
  17. 下記(a)又は(b)であることを特徴とする、請求項16に記載のインスリン類縁体:
    (a)前記B鎖のN−末端アミノ酸、配列番号15の位置29におけるリシン、及び、配列番号16の位置28におけるリシン、から成る群から選ばれる位置のアミノ酸に、親水性成分が結合されており又は、
    (b)親水性成分又は封鎖性巨大分子が、下記の一般構造を含む前記ジペプチド要素のR2側鎖に共有結合され:
    上式において、R2は、(C1−C4アルキル)OH、(C1−C4アルキル)SH、又は(C1−C4アルキル)NH2である。
  18. A9、A14、A15、B22、B28、又はB29から選ばれる一つ以上の位置においてアシル化されていることを特徴とする、請求項4〜13又は1517のいずれか1項に記載のインスリン類縁体。
  19. 請求項1〜18のいずれか1項に記載のインスリン類縁体、及び、薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
  20. 高血糖症治療用の薬剤の製造における、請求項19に記載の医薬組成物の使用方法。
  21. 糖尿病を治療するための薬剤の製造における請求項19に記載の医薬組成物の使用方法。
  22. A鎖、B鎖、及びジペプチド要素を含むインスリン類縁体であって、
    前記A鎖はZ−ペプチドA−R 13 なる構造を含み、前記ペプチドAはGIVEQCCX 1 SICSLYQLENX 2 CX 3 (配列番号3)の配列を含み、
    前記B鎖はJ−ペプチドBなる構造を含み、前記ペプチドBはX 9 VNQX 4 LCGX 5 6 LVEALX 7 LVCGERGFX 8 YTPKT(配列番号15)又はX 9 VNQX 4 LCGX 5 6 LVEALX 7 LVCGERGFX 8 YTKPT(配列番号16)の配列を含み、
    前記B鎖が分子内ジスルフィド結合を介して前記A鎖と結合し、
    Z及びJはそれぞれ独立してH又は式Iの一般構造を含むジペプチドであり、
    1 は、ヒスチジン及びトレオニンから成る群から選ばれ、
    2 は、下記一般式で表されるアミノ酸であり、
    XはOH及びNHR 10 から成る群から選ばれ、R 10 は下記式Iで表される一般構造を含み、
    3 は、アスパラギン、グリシン、アラニン、トレオニン及びセリンから成る群から選ばれ、
    4 は、ヒスチジン及びトレオニンから成る群から選ばれ、
    5 は、アラニン、グリシン及びセリンから成る群から選ばれ、
    6 は、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモシステイン酸及びシステイン酸から成る群から選ばれ、
    7 は、チロシンであり、
    8 は、フェニルアラニンであり、
    9 は、フェニルアラニン及びデスアミノ−フェニルアラニンから成る群から選ばれ、
    1 及びR 2 は、それぞれ独立にH、C 1 −C 8 アルキル及び(C 0 −C 4 アルキル)(C 6 −C 10 アリール)R 7 から成る群から選ばれるか、又はR 1 及びR 2 は−(CH 2 )p−を介して結合され、Pは2−9の整数であり、
    3 は、C 1 −C 18 アルキルであるか、又はR 4 及びR 3 は、それらが付着する原子と一緒になって、4−12員のヘテロ環を形成し、
    4 及びR 8 は、それぞれ独立して、H、C 1 −C 18 アルキル又は(C 0 −C 4 アルキル)(C 6 −C 10 アリール)R 7 であり、
    5 は、NHR 6 であり、
    6 は、H又はC 1 −C 8 アルキルであるか、又はR 6 とR 2 は、それらが付着する原子と一緒になって、4、5又は6員のヘテロ環を形成し、
    7 は、H、C 1 −C 18 アルキル、C 2 −C 18 アルケニル、(C 0 −C 4 アルキル)CONH 2 、(C 0 −C 4 アルキル)COOH、(C 0 −C 4 アルキル)NH 2 、(C 0 −C4アルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれ、
    13 は、COOH又はCONH 2 であり、
    但しR 4 及びR 3 が、それらが付着する原子と一緒になって5員のヘテロ環を形成するときR 1 及びR 2 はどちらもHでなく、X、J及びZの少なくとも1つが一般構造Iで表されるジペプチドである。
  23. 請求項22に記載のインスリン類縁体であって、
    Jは下記一般構造で表されるジペプチドを含み、
    1 は、H及びC 1 −C 8 アルキルから成る群から選ばれ、
    2 及びR 4 は、それぞれ独立にH、C 1 −C 8 アルキル、C 2 −C 8 アルケニル、(C 1 −C 4 アルキル)OH,(C 1 −C 4 アルキル)SH、(C 2 −C 3 アルキル)SCH 3 、(C 1 −C 4 アルキル)CONH 2 、(C 1 −C 4 アルキル)COOH、(C 1 −C 4 アルキル)NH 2 、(C 1 −C 4 アルキル)NHC(NH 2 + )NH 2 、(C 0 −C 4 アルキル)(C 3 −C 6 シクロアルキル)、(C 0 −C 4 アルキル)(C 6 −C 10 アリール)R 7 、及びCH 2 (C 5 −C 9 ヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又はR 1 及びR 2 が、それらが付着する原子と一緒になってC 3 −C 8 シクロアルキル環を形成し、
    3 は、C 1 −C 8 アルキル、(C 1 −C 4 アルキル)OH、(C 1 −C 4 アルキル)SH、(C 1 −C 4 アルキル)NH 2 及び(C 3 −C 6 )シクロアルキルから成る群から選ばれるか、又はR 4 及びR 3 はそれらが付着する原子と一緒になって、5又は6員のヘテロ環を形成し、
    5 は、NHR 6 又はOHであり、
    6 は、Hであるか、又はR 6 及びR 2 はそれらが付着する原子と一緒になって、5又は6員のヘテロ環を形成し、
    7 は、H及びOHから成る群から選ばれ、
    Zは、Hであり、
    Xは、OHである。
  24. 請求項23に記載のインスリン類縁体であって、
    4 は、ヒスチジンであり、
    5 は、セリンであり、
    6 は、ヒスチジンであり、
    1 及びR 2 は、それぞれ独立にH、C 1 −C 8 アルキル、及び(C 1 −C 4 アルキル)NH 2 から成る群から選ばれ、
    3 は、C 1 −C 6 アルキルであり、
    4 は、Hであり、
    5 は、NH 2 である。
  25. 請求項22に記載のインスリン類縁体であって、
    Jは下記一般構造を含むジペプチドであり、
    1 及びR 2 は、それぞれ独立してH、C 1 −C 8 アルキル、及び(C 1 −C 4 アルキル)NH 2 から成る群から選ばれ、
    3 は、C 1 −C 6 アルキルであり、
    4 は、Hであり、
    5 は、NH 2 であり、但しR 1 及びR 2 はどちらもHではなく、
    前記A鎖配列はGIVEQCCTSICSLYQLENX 2 CN(配列番号6)であり、
    2 はチロシン又は下記一般構造で表されるアミノ酸であり、
    10 はHであるか、又は下記一般構造を含むジペプチドであり、
    前記B鎖配列はFVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKT(配列番号8)又はFVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTKPT(配列番号9)であり、
    前記B鎖は分子内ジスルフィド結合によって前記A鎖と結合し、
    前記ジペプチド要素は、前記A鎖又は前記B鎖のN末端のアミノ基にアミド結合を介して結合するか、又は側鎖アミノ基のA19の4−アミノ−フェニルアラニン残基を介して前記A鎖に結合する。
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