JP5754073B2 - 硬化複合体の製造方法、および硬化複合体 - Google Patents

硬化複合体の製造方法、および硬化複合体 Download PDF

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Description

本発明は、形状因子により成形が難しい複合体、構造上成形方法に制約を受ける複合体等において、また外観及び/もしくは機能上割れや変色等が好まれない複合体において、硬化性樹脂を含む樹脂組成物層の硬化により硬化複合体を製造する方法、並びにそれによる硬化複合体を提供するものである。さらに詳細には、本発明は、光や熱等のエネルギーを使用する、硬化性樹脂を含む樹脂組成物層を含んで成る硬化複合体の製造方法、並びにそれによる硬化複合体を提供するものである。
従来から、UV等のエネルギー線によって硬化し得る硬化性樹脂が様々な分野・用途に使用されているが、かかる硬化性樹脂は通常一定量以上のエネルギー線が照射された部位が硬化するという特徴を有している。また、UV等のエネルギー線は、硬化性樹脂を透過する過程で樹脂に吸収されるなどして減衰しやすいために、硬化性樹脂の深部まで到達しにくい特徴を有している。それ故、UV等のエネルギー線による硬化性樹脂の硬化において、エネルギー線が到達し得る硬化性樹脂の表層部の数μm〜数mm程度しか硬化せず、硬化性樹脂の深部は未硬化のため、厚肉の硬化性樹脂への適用が困難か又は不可能という問題点があった。また、UV等のエネルギー線の透過障害となるフィラー等を含有する硬化性樹脂の場合には、エネルギー線の透過障害が容易に発生して硬化不能になるという問題点があった。
かかる問題点の解決策として、カチオン重合性官能基を有する樹脂と熱開始剤とを含む組成物において、樹脂組成物の一部分のみ加熱するだけで、そこで得られる反応熱を利用した連鎖的な硬化反応が進行するという技術が知られていた。この技術は反応により生成する発熱を次の反応に利用する連鎖反応形態である。
即ち、特許文献1において、エネルギー線の遮蔽性が極めて高い物質、例えばカーボン、炭素繊維(CF)、金属、その他無機フィラー等を包含する樹脂系、例えば炭素繊維強化複合材(CFRP)、カーボン/金属物/無機物含有樹脂等においても、エネルギー線硬化を可能にする樹脂硬化方法を提供すること、また、例えば炭素繊維強化複合材(CFRP)のようなエネルギー線の遮蔽性が高い樹脂組成物に特定の2元系以上からなる光重合開始剤(反応触媒系)を存在させることによりUVやEB等エネルギー線を照射するだけで陰部や深部まで該樹脂組成物を完全に硬化させることを目的として、エネルギーを樹脂組成物に付与した際にエネルギー源からのエネルギーとは別のエネルギーを樹脂内部に自己発生させてかかるエネルギー若しくはかかるエネルギーとエネルギー源からのエネルギーにより樹脂組成物を硬化させることを特徴とする樹脂硬化方法、および、エネルギーを樹脂組成物に付与した際にエネルギー源からのエネルギーとは別のエネルギーを樹脂内部に自己発生させて更に発生したエネルギーにより連続的にかかるエネルギーを発生させてかかるエネルギー若しくはかかるエネルギーとエネルギー源からのエネルギーにより樹脂組成物を硬化させることを特徴とする樹脂硬化方法、および、エネルギー線を樹脂組成物に照射した際にエネルギー線源からのエネルギーとは別のエネルギーを樹脂内部に自己発生させてかかるエネルギー若しくはかかるエネルギーとエネルギー線源からのエネルギーにより樹脂組成物を硬化させることを特徴とする樹脂硬化方法、さらには、エネルギー線を樹脂組成物に照射した際にエネルギー線源からのエネルギーとは別のエネルギーを樹脂内部に自己発生させて更に発生したエネルギーにより連続的にかかるエネルギーを発生させてかかるエネルギー若しくはかかるエネルギーとエネルギー線源からのエネルギーにより樹脂組成物を硬化させることを特徴とする樹脂硬化方法が提案されている。
しかしながら、そこでの樹脂硬化方法によっては、硬化性樹脂組成物を深部まで硬化させることが可能になっても、硬化された樹脂組成物の成形体において割れや変色などの不具合を生じたりすることがあり、また硬化性樹脂組成物が金属等の高熱伝導性部材なる被着体の上に付着された複合体のような放熱性が高い系では、連鎖反応に必要な反応熱が系外に逃げ、連鎖硬化性が得られないという欠点があった。特に、被着体が樹脂より放熱性の高い金属の場合、連鎖反応による硬化性が得られないという欠点があった。
特開平11−193322号公報
本発明は、上記のような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、特に、硬化性樹脂組成物が金属等の高熱伝導性部材なる被着体の上に付着された複合体において、硬化性樹脂組成物内部の硬化反応により自己発生した熱エネルギーによる連続的な硬化が困難であるという問題点を解決し、金属等の高熱伝導性部材なる被着体と硬化性樹脂組成物を含む複合体のさらに改良された硬化複合体の製造方法を提供しようとするものである。
そこで本発明者らは、上記した従来のエネルギー線による硬化性樹脂の硬化における欠点に鑑み、硬化性樹脂組成物が金属等の高熱伝導性部材なる被着体の上に付着された複合体における硬化性樹脂組成物内部の硬化反応により自己発生した熱エネルギーの放散を防いで、硬化反応の進行速度を適度に保ち連鎖硬化性を保持することについて鋭意研究した結果、驚くべきことには、金属等の高熱伝導性部材なる被着体の表面を有機系樹脂等の熱伝導性の低い材料でコートすることにより、硬化性樹脂組成物内部の硬化反応により自己発生した熱エネルギーの放散を防ぐことで、硬化反応の進行速度がそれほど低下すること無く硬化複合体が得られることを見出し、本発明に到達したものである。
本発明の第1の態様である硬化複合体の製造方法は、請求項1に記載のように、2W/mK以上の熱伝導率を有する高熱伝導性部材(1)、該高熱伝導性部材(1)の上に位置する、0.1mm以上の厚さおよび0.3W/mK以下の熱伝導率を有し、かつフェノキシ樹脂を含む低熱伝導性樹脂組成物層(2)、および該低熱伝導性樹脂組成物層(2)の上に位置する、少なくとも一種の硬化性樹脂を含む樹脂組成物層(3)を含んで成る複合体(4)の硬化複合体の製造方法であって、該複合体(4)を所定の形に成形する成形工程、エネルギー源(5)からのエネルギーを該複合体(4)の該樹脂組成物層(3)に付与して、該硬化性樹脂の硬化反応を開始させ、反応熱を発生させる硬化反応開始工程、並びに該反応熱、および任意に該エネルギー源(5)からのエネルギーによって該硬化反応を進行させる硬化反応工程を含むことを特徴とするものである。ここで、低熱伝導性樹脂組成物層(2)が0.1mm以上の厚さを有するものであり、かつ低熱伝導性樹脂組成物層(2)が低熱伝導性樹脂組成物層であるので、反応熱の放熱作用が低く、樹脂組成物層中の硬化性樹脂の自己発熱による熱連鎖反応を継続することが可能である。
かかる第1の態様では、金属等の高熱伝導性部材なる被着体と樹脂組成物層を含んで成る複合体であっても連鎖硬化性樹脂組成物を用いることが出来、硬化用の炉を用いない連鎖硬化が可能となる。
第1の態様のもう一つの好ましい形態として、高熱伝導性部材(1)が金属であることを特徴とする、硬化複合体の製造方法が挙げられる(請求項参照)。高熱伝導性部材が3W/mK以下の熱伝導性部材であれば、その表面に低熱伝導性層としての有機層をもうけなくても樹脂組成物層中の硬化性樹脂の自己発熱による熱連鎖反応の継続が可能であるが、目的によっては3W/mK以上の熱伝導率を有する金属を有する被着体を使う場合がある。このような場合、本発明の技術を使うことにより樹脂組成物層中の硬化性樹脂の自己発熱による熱連鎖硬化による硬化が可能となる。
第1の態様のもう一つの好ましい形態として、樹脂組成物層(3)の少なくとも一部の厚みが1mm以上であることを特徴とする、硬化複合体の製造方法が挙げられる(請求項参照)。かかる形態において、樹脂組成物層(3)の少なくとも一部の厚みが1mm以上である場合に、従来の硬化方法では得られなかった本発明の効果がより確実に発揮され得る。
第1の態様のもう一つの好ましい形態として、少なくとも一種の硬化性樹脂における少なくとも一種の硬化性樹脂が、硬化反応に関与するエーテル環を有するものであることを特徴とする、硬化複合体の製造方法が挙げられる(請求項参照)。かかる形態によれば、硬化反応工程において、連鎖的に進む硬化反応の進行が良好であり、目的とする複合対の形態を確実に得ることが可能である。
第1の態様のもう一つの好ましい形態として、エーテル環がエポキシ環であることを特徴とする、硬化複合体の製造方法が挙げられる(請求項参照)。かかる形態によれば、硬化反応工程において、連鎖的に進む硬化反応の進行がさらに良好であり、目的とする複合対の形態をより確実に得ることが可能である。
第1の態様のもう一つの好ましい形態として、樹脂組成物層(3)がカチオン系の光重合開始剤および/または熱重合開始剤を含むことを特徴とする、硬化複合体の製造方法が挙げられる(請求項参照)。かかる形態によれば、光もしくは熱エネルギーを与えることにより、硬化反応が連鎖的に進行し、目的とする複合体を容易に得ることが可能である。
第1の態様のもう一つの好ましい形態として、エネルギー源(5)からのエネルギーが光エネルギーおよび/または熱エネルギーであることを特徴とする、硬化複合体の製造方法が挙げられる(請求項参照)。かかる形態によれば、光もしくは熱エネルギーを与えることにより、硬化反応がより確実に連鎖的に進行し、目的とする成形物を容易に得ることが可能である。
本発明の第2の態様である硬化複合体は、請求項に記載のように、2W/mK以上の熱伝導率を有する高熱伝導性部材(1)、該高熱伝導性部材(1)の上に位置する、0.1mm以上の厚さおよび0.3W/mK以下の熱伝導率を有し、かつフェノキシ樹脂を含む低熱伝導性樹脂組成物層(2)、および該低熱伝導性樹脂組成物層(2)の上に位置する、少なくとも一種の硬化性樹脂を含む樹脂組成物層(3)を含んで成る複合体(4)の硬化複合体であって、所定の形に成形された該複合体(4)の該樹脂組成物層(3)にエネルギー源(5)からのエネルギーが付与されて、該硬化性樹脂の硬化反応が開始され、該硬化反応によって発生した反応熱、および任意に該エネルギー源(5)からのエネルギーによって該硬化反応が進行されることによって、該少なくとも一種の硬化性樹脂が硬化されたことを特徴とするものである。
かかる第2の態様では、熱伝導率の高い被着体に対しても、樹脂組成物層中の硬化性樹脂の自己発熱による熱連鎖硬化が可能となる。
尚、上記に付した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載する具体的態様との対応関係を示す一例である。
本発明における、高熱伝導性部材1、低熱伝導性層2、および少なくとも一種の硬化性樹脂を含む樹脂組成物層3を含んで成る複合体4、並びにエネルギー源5を模式的に示す概念図である。
本発明における樹脂組成物層3に含まれる少なくとも一種の硬化性樹脂は、UV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、UV・加熱併用硬化型樹脂等が挙げられる。それらの中でも、硬化反応に関与するエーテル環を有する硬化性樹脂が、カチオン反応性が高いという点で好ましい。その具体例としては、脂環式エポキシ樹脂類、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂類、エポキシ変性シリコーン化合物類等が挙げられる。
そのような硬化反応に関与するエーテル環を有する硬化性樹脂としては、そのエーテル環がエポキシ環である硬化性樹脂がより好ましく、その具体例としては、脂環式エポキシ樹脂類、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂類、エポキシ変性シリコーン化合物類等が挙げられ、中でも脂環式エポキシ樹脂類、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂類がより好ましい。
かかる少なくとも一種の硬化性樹脂の上記以外の例としては、オキセタン類、テトラヒドロフラン類、テトラヒドロピラン類等が挙げられ、中でもオキセタン類等が好適である。
かかる脂環式エポキシ樹脂類の具体例としては、セキロイド2021P(ダイセル化学工業株式会社製)、セロキサイド2000Z(ダイセル化学工業株式会社製)、セロキサイド3000(ダイセル化学工業株式会社製)等が挙げられ、中でもセキロイド2021Pが好適である。
オキセタン類の具体例としては、キシリレンビスオキセタンであるアロンオキセタンOXT−121(東亜合成株式会社製)、OXT−221(東亞合成株式会社製)等が挙げられ、中でもアロンオキセタンOXT−121が好適である。
ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂類の具体例としては、jER828(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、jER834(ジャパンエポキシレジン株式会社製)等が挙げられ、中でもjER828が好適である。
かかる少なくとも一種の硬化性樹脂は、複合体の用途に応じて、一種の硬化性樹脂をまたは2種以上の硬化性樹脂を組み合わせて樹脂組成物層3に含有され得るが、3種類以上の硬化性樹脂が樹脂組成物層3に含有されても良い。
本発明における少なくとも一種の硬化性樹脂を含む樹脂組成物層3には、上記のごとき硬化性樹脂の他に、硬化性樹脂の硬化反応を開始させるための反応開始剤、樹脂に強度特性等を与えるためのフィラー類等がさらに含まれ得る。
かかる重合開始剤としては、光重合開始剤、熱重合開始剤等が挙げられる。その光重合開始剤としては、カチオン系光重合開始剤CPI−100P(サンアプロ株式会社)、CPI−101A(サンアプロ株式会社)等が挙げられ、熱重合開始剤としては、カチオン系熱重合開始剤サンエイドSI−60L(三新化学工業株式会社)、アデカオプトマーCP−77(株式会社ADEKA)等が挙げられる。それらの中でも、反応性進行の点で、カチオン系光重合開始剤とカチオン系熱重合開始剤がより好ましく、アデカオプトマーCP−77(株式会社ADEKA)が特に好ましい。それらは、二種以上を共に用いても良い。
また、フィラー類としては、金属粉、その他の無機フィラー類、カーボン、炭素繊維(短繊維、長繊維、連続繊維、カーボンクロス等)等の有機フィラー類等が挙げられ、中でも、成型性、反応連鎖性の点で、無機フィラー類が好ましい。その無機フィラー類としては、タルク類、炭酸カルシウム等が挙げられ、中でもタルク類等がより好ましく、その具体例として、汎用タルクSW(日本タルク株式会社製)等が挙げられる。尚、そのフィラーのサイズとしては、特に制限されるものではなく、成形し易さ、目的物である硬化複合体の用途等によって適宜選択され得るが、例えば通常平均粒子系が1〜20μmであり、好ましくは5〜15μmである。
また、硬化性樹脂を含む樹脂組成物層3には、上記の成分に加えて、さらに必要に応じて、樹脂劣化防止のためのIrganox1010等の酸化防止剤等の添加剤が含まれても良い。
本発明における硬化性樹脂を含む樹脂組成物層3における硬化性樹脂以外の成分の組成としては、その樹脂組成物層3の重量基準で、重合開始剤が、通常0.1〜4重量%であり、特に好ましくは0.5〜2.0重量%であり、さらに必要に応じて、上記の成分の含有量の範囲を満たす範囲内で、フィラー、酸化防止剤等の添加剤を樹脂組成物層3に含ませても良い。
かかる少なくとも一種の硬化性樹脂を含む樹脂組成物層3は、その少なくとも一部の厚みが、特に望ましくは大半の部分の厚みが、1mm以上であることが好ましい。かかる部分の厚みは、より好ましくは2mm以上、特に好ましくは4mm以上であり、また、通常50mm以下であり、特に好ましくは20mm以下である。但し、硬化反応による寸法の変化が無視できない程大きい場合には、その寸法変化を考慮して、後述の硬化複合体における硬化樹脂組成物層の厚みを基準に、複合体を所定の形に成形する成形工程において成形される複合体4における樹脂組成物層3の厚みを決めることが望ましい。
本発明における低熱伝導性層2としては、金属等の高熱伝導性部材1なる被着体と硬化性の樹脂組成物層3の間の層として使用され得る低熱伝導性層2であれば良く、2W/mK以下の熱伝導率を有するものが樹脂組成物層3である接着剤層が硬化する際の反応熱を放散しにくく、熱連鎖反応性を継続できるという点で好ましい。熱伝導率が2W/mKより高くなると、接着剤層の反応熱が放散し、熱連鎖硬化性が失われてしまう点で好ましくない。その低熱伝導性層2の熱伝導率としては、1W/mK以下、0.3W/mK以下が特に好ましい。
かかる低熱伝導性層2を構成する材料としては、通常、低熱伝導性の樹脂組成物が好ましく、より具体的には、ポリウレタン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂等の高分子量体の他、シラン縮合体等を中心とする表面処理剤等の有機系樹脂を含む樹脂組成物が挙げられる。その有機系樹脂としては、通常1種のものが用いられるが、必要に応じて2種以上のものであっても良い。また、その有機系樹脂には、必要に応じて、アルミナ粉末、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルク等の無機粉末を混入させても良い。その低熱伝導性層2を構成する低熱伝導性の樹脂組成物には、さらに必要に応じて、可塑剤、溶剤等を含有させることも出来る。その低熱伝導性の樹脂組成物の各成分の組成は、上記の熱伝導率を満たす範囲で適宜選択し得るものであって、例えば有機系樹脂の含有量として10〜100重量%が、無機粉末の含有量として0〜90重量%が好ましい。
かかる低熱伝導性層2としては、通常、0.1mm以上の厚さを有するものが、接着剤硬化に伴って生成する熱を放散しにくく、連鎖硬化性が継続する為点で好ましい。0.1mmよりも薄い低熱伝導性層2は、更に下の熱伝導率の高い被着体の影響を受け、熱が逃げてしまい、連鎖硬化性の継続が困難となる点で好ましくない。その低熱伝導性層2の厚さとしては、0.12〜5mmがより好ましく、0.15〜2mmが特に好ましい。
本発明における高熱伝導性部材1としては、複合体の用途に応じて適宜選択され得るものであるが、2W/mK以上の熱伝導率を有するものが、本発明の効果を奏する上でより適している。その高熱伝導性部材の熱伝導率としては、3W/mK以上、更に好ましくは5W/mK以上がより好ましい。
かかる高熱伝導性部材1としては、通常、金属が挙げられ、より具体的には、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鉄、鉄合金、ニッケル、スズ、鉛、銀、金、シリコン等の金属が挙げられる。高熱伝導性部材についての他の例としては、導電性付与等の目的で樹脂に金属粉末を高濃度に含有させた熱伝導体等が挙げられる。
かかる高熱伝導性部材1の形状としては、複合体の用途に応じて適宜選択され得るものであって、本発明では特に限定されるものではない。その高熱伝導性部材1の具体的形状としては、平面での接着部位、或いは3次元的に局面を持つアルミケース等が挙げられる。
本発明におけるエネルギー源5からのエネルギーとしては、UV(紫外線)、EB(電子線)、赤外線、X線、可視光線、アルゴンやCO2 やエキシマ等のレーザー、太陽光線、放射や輻射等の熱線等のエネルギー線や伝導による熱エネルギー等が挙げられ、中でも、反応効率の点で、UV、可視光線、赤外線等のエネルギー線や伝導による熱エネルギー等が好ましく、特に伝導による熱エネルギー等が好ましい。
本発明における、エネルギー源5からのエネルギーを樹脂組成物層に付与する形式としては、上記の如く複合体を所定の形に成形する成形工程において成形された複合体4の樹脂組成物層3に対して、エネルギー源5としてのUV、可視光線、赤外線等のランプからのエネルギー線を非接触で当てることにより、またはヒーター等の熱源を複合体4に接触させて伝導により熱源からの熱エネルギーを与えることが挙げられる。
本発明の硬化複合体は、高熱伝導性部材1、高熱伝導性部材1の上に低熱伝導性層2、および低熱伝導性層2の上に少なくとも一種の硬化性樹脂を含む樹脂組成物層3を含んで成る複合体4の硬化複合体であって、所定の形に成形された複合体4の樹脂組成物層3にエネルギー源5からのエネルギーが付与されて、硬化性樹脂の硬化反応が開始され、硬化反応によって発生した反応熱、および任意にエネルギー源5からのエネルギーによって硬化反応が進行されることによって、少なくとも一種の硬化性樹脂が硬化されたことを特徴としている。尚、上記の本発明の好ましい態様等は、硬化複合体についても適用され得るものである。
かかる硬化複合体の形状は、その複合体の用途に応じて適宜選択され得るものであって、本発明において特に限定されるものではない。その硬化複合体の具体例としては、車載用センサー機器、インバータケース等が挙げられる。
図1は、本発明における、高熱伝導性部材1、該高熱伝導性部材1の上に低熱伝導性層2、および該低熱伝導性層2の上に少なくとも一種の硬化性樹脂を含む樹脂組成物層3を含んで成る複合体4、並びにエネルギー源5を模式的に示す概念図である。
後述する実施例等に記載される複合体4の硬化時における「連鎖硬化性」とは、反応熱によって連鎖的に硬化が進行することを意味し、「○」は、樹脂組成物層3の厚さが2mmで、樹脂組成物層3の広がり方向に10cmまで連鎖性硬化が進行したものであることを表し、「×」は、樹脂組成物層3の厚さが2mmで、樹脂組成物層3の広がり方向の連鎖硬化が3cm以下だったものであることを表す。
かかる硬化の広がり方向での硬化反応の連鎖的な進行の広がり、即ち連鎖的硬化の進行距離は、樹脂層の屈折率の変化による色の変化によって判定することが出来る。
本発明における、低熱伝導性層2および高熱伝導性部材1の「熱伝導率」は、通常用いられる方法によって測定することが出来るものであって、より具体的には、レーザーフラッシュ等による測定によって測定される。
本発明における、低熱伝導性層2および樹脂組成物層3の厚さは、通常用いられる方法によって測定することが出来るものであって、より具体的には、ノギスにより測定される。
以下に本願発明についての実施例を挙げて更に具体的に本願発明を説明するが、それらの実施例によって本願発明が何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例および比較例における樹脂組成物層を表す各成分の量は、特に断らない限り「重量部」で表したものである。
実施例1〜4、比較例1,2
下記の表1に示される量で、エポキシ樹脂Aとしての脂環式エポキシであるセロキサイド2021P(ダイセル化学工業株式会社製)、エポキシ樹脂BとしてのビスフェノールA型エポキシであるjER828、およびオキセタンとしてのアロンオキセタンOXT‐121(東亞合成株式会社製)と、開始剤としてのアデカオプトマー(株式会社ADEKA製)をそれぞれ硬化性樹脂として使用して、各々の硬化性樹脂含有樹脂組成物を調整した。
また、低熱伝導性層用の材料として、下記の表1に示されるように、有機樹脂Aとしてフェノキシ樹脂(1255HX30:ジャパンエポキシレジン株式会社製)、有機樹脂Bとして有機樹脂Aにアルミナ粉末を50wt%混合した樹脂組成物を準備した。そのようにして準備した有機樹脂Aおよび有機樹脂Bについての各々熱伝導率を、レーザーフラッシュによる測定方法によって測定したところ、有機樹脂Aの熱伝導率が0.1W/mK、有機樹脂Bの熱伝導率が0.W/mKであった。
次いで、高熱伝導性部材(1)として、アルミ製のプレート(熱伝導率:237W/mK、厚さ:3mm、長さ:100mm、幅:10mm)の表面に、その長手方向に深さ2mm、幅5mmの溝を掘り、その溝の表面に低熱伝導性層2として上記の有機樹脂A,Bを0.1mm厚に塗布して、硬化した。更に、その低熱伝導性層2を塗布された溝に上記の硬化性樹脂含有樹脂組成物を室温で厚さが2mmとなるように塗布し、硬化性樹脂含有の樹脂組成物層3を形成し、それぞれの複合体4を得た。
各々の複合体4における硬化性樹脂含有の樹脂組成物層3の表面の端部の一点に、250℃に加熱した半田ごてを5秒間付け、熱エネルギーを付与して、樹脂組成物層3中の連鎖硬化性を確認した。尚、硬化時の樹脂組成物層3の温度は放射温度計を用いて測定した。
その結果、表1に示されるように、実施例1〜4では良好な連鎖硬化性が得られたが、比較例1,2では良好な連鎖硬化性が得られなかった。尚、実施例1〜4では、硬化された樹脂組成物層において割れや変色などの不具合を生じなかった。
Figure 0005754073

Claims (8)

  1. 2W/mK以上の熱伝導率を有する高熱伝導性部材(1)、該高熱伝導性部材(1)の上に位置する、0.1mm以上の厚さおよび0.3W/mK以下の熱伝導率を有し、かつフェノキシ樹脂を含む低熱伝導性樹脂組成物層(2)、および該低熱伝導性樹脂組成物層(2)の上に位置する、少なくとも一種の硬化性樹脂を含む樹脂組成物層(3)を含んで成る複合体(4)の硬化複合体の製造方法であって、
    該複合体(4)を所定の形に成形する成形工程、
    エネルギー源(5)からのエネルギーを該複合体(4)の該樹脂組成物層(3)に付与して、該硬化性樹脂の硬化反応を開始させ、反応熱を発生させる硬化反応開始工程、並びに
    該反応熱、および任意に該エネルギー源(5)からのエネルギーによって該硬化反応を進行させる硬化反応工程
    を含むことを特徴とする、硬化複合体の製造方法。
  2. 前記高熱伝導性部材(1)が金属であることを特徴とする、請求項1に記載の硬化複合体の製造方法。
  3. 前記樹脂組成物層(3)の少なくとも一部の厚みが1mm以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の硬化複合体の製造方法。
  4. 前記少なくとも一種の硬化性樹脂における少なくとも一種の硬化性樹脂が、前記硬化反応に関与するエーテル環を有するものであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化複合体の製造方法。
  5. 前記エーテル環がエポキシ環であることを特徴とする、請求項4に記載の硬化複合体の製造方法。
  6. 前記樹脂組成物層(3)がカチオン系の光重合開始剤および/または熱重合開始剤を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化複合体の製造方法。
  7. 前記エネルギー源(5)からのエネルギーが光エネルギーおよび/または熱エネルギーであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化複合体の製造方法。
  8. 2W/mK以上の熱伝導率を有する高熱伝導性部材(1)、該高熱伝導性部材(1)の上に位置する、0.1mm以上の厚さおよび0.3W/mK以下の熱伝導率を有し、かつフェノキシ樹脂を含む低熱伝導性樹脂組成物層(2)、および該低熱伝導性樹脂組成物層(2)の上に位置する、少なくとも一種の硬化性樹脂を含む樹脂組成物層(3)を含んで成る複合体(4)の硬化複合体であって、所定の形に成形された該複合体(4)の該樹脂組成物層(3)にエネルギー源(5)からのエネルギーが付与されて、該硬化性樹脂の硬化反応が開始され、該硬化反応によって発生した反応熱、および任意に該エネルギー源(5)からのエネルギーによって該硬化反応が進行されることによって、該少なくとも一種の硬化性樹脂が硬化されたことを特徴とする、硬化複合体。
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