JP5752987B2 - 液晶性ブロック共重合体塗膜、液晶性ブロック共重合体薄膜の製造方法及びパターン形成方法 - Google Patents
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Description
そこで、液晶性ブロック鎖及び該液晶性ブロック鎖と非相溶なブロック鎖を有する液晶性ブロック共重合体を利用する微細加工技術が提案されている。前記液晶性ブロック共重合体は、非相溶な互いのブロック鎖同士が反発して各々が凝集するが、互いのブロック鎖が分子内で化学的に結合しているため、相の大きさが共重合体の大きさと同程度となるミクロ相分離構造を形成する。また、液晶性に由来する長距離秩序を有している。これらの性質を有する液晶性ブロック共重合体を利用することで、より簡便に微細加工を行うことができる。
(i)ラビング処理、偏光照射等による配向処理を施した配向基板上に、液晶性ブロック共重合体を含む溶液を塗布し、熱処理することで、液晶性ブロック共重合体のミクロ相分離構造が一軸水平配向したナノパターンを有する液晶性ブロック共重合体薄膜を製造する方法(特許文献1、非特許文献1、2参照)。
(ii)ポリテトラフルオロエチレンが筋状に摩擦転写された配向基板上に、液晶性ブロック共重合体を塗布し、熱処理することで、液晶性ブロック共重合体のミクロ相分離構造が一軸水平配向したナノパターンを有する液晶性ブロック共重合体薄膜を製造する方法(特許文献2)。
液晶性ブロック鎖(A)は、側鎖としてメソゲン骨格を有する基を有する、(メタ)アクリレート系単量体に由来する繰り返し単位を有するブロック鎖であることが好ましい。
また、前記液晶性ブロック共重合体(I)は、下式(1)で表されるブロック共重合体であることが好ましい。
また、前記疎水性材料(II)は、シロキサン骨格を有する材料であることが好ましい。
塗膜積層工程:表面をラビング処理した配向基板上に、前記液晶性ブロック共重合体塗膜を形成する工程。
加熱処理工程:前記液晶性ブロック共重合体塗膜を加熱処理して液晶性ブロック共重合体薄膜前駆体を形成する工程。
除去工程:前記液晶性ブロック共重合体薄膜前駆体から前記疎水性材料(II)を除去する工程。
塗膜積層工程:表面をラビング処理した配向基板上に、前記液晶性ブロック共重合体(I)を含む組成物を塗布した後、前記疎水性材料(II)を含む組成物を塗布して前記液晶性ブロック共重合体塗膜を形成する工程。
また、前記塗膜積層工程の前に下記配向基板形成工程をさらに有することが好ましい。
配向基板形成工程:基板上に樹脂膜を形成した後、該樹脂膜の表面をラビング処理する工程。
また、前記樹脂膜は、表面にラビング処理が施されたポリイミド膜であることが好ましい。
また、本発明の液晶性ブロック共重合体塗膜を用いれば、液晶性ブロック共重合体のミクロ相分離構造が一軸水平配向したナノパターンを有する良好な品質の液晶性ブロック共重合体薄膜を安定して製造できる。
また、本発明のパターン形成方法によれば、前記液晶性ブロック共重合体薄膜の配向パターンに対応する配向パターンを有する金型を安定して得ることができる。
相分離のしやすさの指標としてχNの値が用いられる。χは、ブロック鎖(α)とブロック鎖(β)の相互作用パラメータと呼ばれる定数であり、χの値が大きいほどブロック鎖(α)とブロック鎖(β)の相溶性が低く、相分離しやすい。また、Nはジブロック共重合体の重合度であり、Nが大きいほど相分離しやすい。したがって、両者の積χNの値が大きいほど相分離しやすく、逆にχNの値が小さくなりすぎると、もはや相分離せずに無秩序構造となる。
χNの値が充分大きくて相分離が起きる場合、ミクロ相分離したドメインの形状は各ブロック鎖の体積分率に大きく依存する。例えば、ジブロック共重合体においてブロック鎖(α)の体積分率が0から0.5に変化する場合、ドメイン形状は、無秩序構造、球状構造、シリンダー構造、ラメラ構造の順に変化していく。更に、ブロック鎖(α)の体積分率が0.5から1.0に増加する場合、ラメラ構造、シリンダー構造、球状構造、無秩序構造と逆の順に変化していく。
配向基板形成工程:基板10上に樹脂膜を形成し、該樹脂膜の表面をラビング処理して、図1に示すように、配向膜12を形成し、配向基板14を得る工程。
塗膜積層工程:図2に示すように、配向基板14上に、液晶性ブロック鎖(A)及び該液晶性ブロック鎖(A)と非相溶なブロック鎖(B)を有する液晶性ブロック共重合体(I)(以下、「共重合体(I)」という。)と、前記ブロック鎖(A)及びブロック鎖(B)の両方と非相溶な疎水性材料(II)を含む液晶性ブロック共重合体塗膜16A(以下、単に「塗膜16A」という。)を形成する工程。
加熱処理工程:前記塗膜16Aを加熱処理して、図3に示すように、液晶性ブロック共重合体薄膜前駆体16B(以下、単に「薄膜前駆体16B」という。)を形成する工程。
除去工程:図4に示すように、薄膜前駆体16Bから前記疎水性材料(II)を除去する工程。
薄膜前駆体16Bから前記疎水性材料(II)を除去することで、液晶性ブロック共重合体薄膜16(以下、単に「薄膜16」という。)が得られる。
図1に示すように、配向膜を形成する樹脂材料もしくは配向膜を形成する樹脂材料の前駆体を溶媒に溶解した樹脂溶液を、基板10上に塗布し、乾燥、加熱処理を行って樹脂膜を形成した後、該樹脂膜の表面をラビング処理することで、液晶性材料に対して配向能を有する配向膜12が基板10上に形成された配向基板14を得る。ラビング処理による配向処理は、偏光照射を用いる光配向に比べて大面積でも簡便に配向処理が行える。
前記樹脂膜を形成する方法としては、特に制限されず、例えば、キャスト法、スピンコート法等が挙げられる。
ラビング処理は、例えば、ラビング布等で行うことができる。
基板10の形状は、この例では矩形であるが、矩形以外であってもよい。
基板10の寸法は、特に限定されない。
前記樹脂材料としてポリイミドを使用する場合、ポリイミドは溶剤への可溶性が低いため、前駆体であるポリアミック酸を基板に塗布後、熱処理によりポリイミド化させる工程により製膜することが一般的である。
前記樹脂溶液の溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
配向膜12の厚みは特に限定されない。
配向基板14上に、共重合体(I)と疎水性材料(II)を含む塗膜16Aを形成する。塗膜16Aにおいては、共重合体(I)が下層16a、疎水性材料(II)が上層16bに分かれている。配向基板14上に塗膜16Aを形成する方法は以下の方法1又は2が挙げられる。
<方法1>図2に示すように、配向基板14上に、共重合体(I)及び溶媒を含む液晶性ブロック共重合体組成物(X)(以下、「共重合体組成物(X)」という。)を塗布して下層16aを形成した後、該下層16a上に、疎水性材料(II)及び溶媒を含む疎水性材料組成物(Y)を塗布して上層16bを形成する方法。
このとき、共重合体組成物(X)及び疎水性材料組成物(Y)の塗布方法は、特に制限されず、例えば、キャスト法、スピンコート法等が挙げられる。
<方法2>共重合体(I)、疎水性材料(II)及び溶媒を含む液晶性ブロック共重合体組成物(以下、「共重合体組成物(Z)」という。)を塗布する方法。共重合体組成物(Z)を配向基板14上に塗布すると、互いに非相溶な共重合体(I)と疎水性材料(II)が自然に分離して下層16aと上層16bに分かれる。
共重合体組成物(Z)の塗布方法は、特に制限されず、例えば、キャスト法、スピンコート法等が挙げられる。
共重合体組成物(X)は、共重合体(I)及び溶媒を含む組成物である。
共重合体(I)は、液晶性ブロック鎖(A)及び該液晶性ブロック鎖(A)と非相溶なブロック鎖(B)を含む2つ以上のブロック鎖が化学的に結合したブロック共重合体である。すなわち、互いに非相溶である液晶性ブロック鎖(A)の1つ以上と、ブロック鎖(B)の1つ以上が結合した共重合体である。本発明において、液晶性ブロック鎖(A)とブロック鎖(B)が非相溶であるとは、示差走査熱量測定等の測定において、液晶性ブロック鎖(A)の相転移温度とブロック鎖(B)の相転移温度がそれぞれ独立に観測されることを意味する。
液晶性ブロック鎖(A)は、側鎖として、炭素数4〜17の炭化水素基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子(臭素原子、塩素原子、フッ素原子、ヨウ素原子等。)で置換された基、又はメソゲン骨格を有する基等を有していてもよい。
液晶性ブロック鎖(A)としては、側鎖としてメソゲン骨格を有する基を有する、(メタ)アクリレート系単量体に由来する繰り返し単位を有するブロック鎖が好ましい。
共重合体(I)のブロック鎖(B)の重合度は、液晶性ブロック鎖(A)との相溶性の点から、5以上が好ましく、10以上がより好ましい。また、ブロック鎖(B)の重合度は、溶融時の粘度の点から、500以下が好ましく、500以下がより好ましい。なお、ブロック鎖(B)の重合度は、NMR測定又はGPC測定により測定される。
また、nは、5〜500が好ましく、10〜300がより好ましい。
ATRP法によると、一般的に重合速度が高く、ラジカル同士のカップリング等の停止反応が起こりやすいラジカル重合でありながら、重合がリビング的に進行し、分子量分布の狭いブロック共重合体を得ることができる。また、分子量は、用いる単量体と開始剤の仕込み時の比率によって自由に制御できる。
一価の銅化合物としては、例えば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅が挙げられる。これらの中では、塩化第一銅、臭化第一銅が、重合の制御に優れることから好ましい。
二価のルテニウムとしては、例えば、クメンジクロロルテニウムダイマー、トリスジクロライドトリフェニルフォスフィンルテニウムが挙げられる。
重合溶媒としては、例えば、炭化水素系溶媒、ハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、ニトリル系溶媒、エステル系溶媒が挙げられる。重合溶媒は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
共重合体組成物(X)に含まれる共重合体(I)は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
共重合体組成物(X)に含まれる溶媒としては、重合時に使用した重合溶媒をそのまま使用してもよい。
共重合体組成物(X)に含まれる溶媒は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
共重合体(I)が溶媒に溶解し難い場合には、撹拌、加熱等の操作を行ってもよい。
疎水性材料組成物(Y)は、疎水性材料(II)と溶媒を含む組成物である。
疎水性材料(II)は、共重合体(I)を構成する液晶性ブロック鎖(A)及びブロック鎖(B)の両方と非相溶な材料である。本発明において、液晶性ブロック鎖(A)及びブロック鎖(B)の両方と非相溶であるとは、示差走査熱量測定等の測定において、共重合体(I)の相転移温度と疎水性材料(II)の相転移温度がそれぞれ独立に観測されることを意味する。
共重合体組成物(X)に含まれる疎水性材料(II)は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
疎水性材料組成物(Y)に含まれる溶媒は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
また、疎水性材料組成物(Y)に含まれる疎水性材料(II)の量は、上層16bによって下層16aを被覆しやすい点から、共重合体組成物(X)中の共重合体(I)100質量部に対して、0.001質量部以上が好ましく、0.005質量部以上がより好ましく、1質量部以上がさらに好ましい。また、疎水性材料組成物(Y)に含まれる疎水性材料(II)の量は、後の工程で疎水性材料(II)を洗浄溶媒で洗浄して除去しやすい点から、共重合体組成物(X)中の共重合体(I)100質量部に対して、1000質量部以下が好ましく、100質量部以下がより好ましい。
共重合体組成物(Z)は、共重合体(I)、疎水性材料(II)及び溶媒を含む組成物である。
共重合体組成物(Z)(100質量%)中の共重合体(I)の含有量は、0.001〜50質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましい。共重合体(I)の含有量が前記下限値以上であれば、連続した塗膜が得られやすい。共重合体(I)の含有量が前記上限値以下であれば、膜厚ムラの小さい塗膜が得られやすい。
塗膜16Aを加熱処理して、図3に示すように、薄膜前駆体16Bを形成する。該加熱処理により、塗膜16Aに含まれる共重合体(I)が溶融して流動し、ミクロ相分離構造がラビング方向に沿って一軸配向した薄膜前駆体16Bが形成される。
加熱方法としては、例えば、配向基板14を加熱する方法が挙げられる。
加熱時間は、塗膜16Aに含まれる溶媒を完全に除去でき、かつ共重合体(I)を充分にミクロ相分離させることができる時間であればよい。加熱時間は、5分間〜24時間が好ましい。
また、組成物の調製に使用した溶媒が薄膜16中に残存し難くなる点から、加熱処理は真空雰囲気中で行うことが好ましい。
薄膜前駆体16Bから共重合体(I)が溶解せず、かつ疎水性材料(II)が溶解する洗浄溶媒で洗浄することで、薄膜前駆体16Bから疎水性材料(II)を除去し、乾燥して、図4に示すように、疎水性材料が取り除かれた薄膜16を有する薄膜付き基板1を得る。
洗浄溶媒としては、例えば、炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、オクタン等。)、アルコール(メタノール、エタノール等。)等が挙げられる。なかでも、疎水性材料(II)の溶解性の点から、ヘキサン、ヘプタン、オクタンが好ましい。
洗浄溶媒は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
乾燥時間は、洗浄溶媒を完全に除去できる時間であればよい。乾燥時間は、5分間〜24時間が好ましい。
また、乾燥処理は、洗浄溶媒を薄膜16中に残存させないため、真空雰囲気中で行うことが好ましい。
前述したように、従来の方法では、形成される液晶性ブロック共重合体薄膜における液晶性ブロック共重合体のミクロ相分離構造が、配向基板に対して垂直方向に配向することがある。本発明者らが、この問題について詳細に検討したところ、従来の方法に使用される液晶性ブロック共重合体が、空気との界面に対して垂直に配向しやすい性質を有することが原因であることが判明した。
これに対し、本発明は、前記方法1、2いずれにおいても、加熱処理工程において、塗膜16Aの下層16aは、上面側では空気と接触しておらず、側面側でしか空気と接触しない。そのため、加熱処理の際に共重合体(I)のミクロ相分離構造が配向基板に対して垂直に配向することが抑制され、ラビング方向に沿って一軸水平配向した液晶性ブロック共重合体薄膜が得られる。また、配向処理をラビング処理により行えば、偏光照射を用いる光配向に比べて大面積でも簡便に液晶性ブロック共重合体薄膜を製造できる。
液晶性ブロック共重合体薄膜の転写、及びエッチング処理は、公知の方法を採用することがでいる。
[走査型プローブ顕微鏡による観察]
本実施例において、後述する液晶性ブロック共重合体薄膜、積層体の観察は、走査型プローブ顕微鏡(日本ビーコ(株)製、ナノマンV(製品名))を使用して行った。シリコン製カンチレバーを使用し、操作周波数1Hzのタッピングモードで高さ像と位相像を観察した。
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌装置を備えた容量50mLの三口フラスコに、11−[4−(ブチルフェニルアゾ)フェノキシ]ウンデシルメタクリレート2.8g、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル(重合度m=114)と2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸ブロミドとの縮合反応で合成されたブロモイソブチリル基が結合した開始剤0.428g、及び臭化銅(I)0.022gを、N,N−ジメチルホルムアミド1g及びトルエン4.5gの混合溶媒に添加した。減圧下で脱気後、系内を窒素置換し、75℃まで加熱した。さらに、フラスコ内にN,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン0.03g及びN,N−ジメチルホルムアミド0.5gの混合溶液を添加して重合を開始し、8時間、重合を行った。
重合終了後、反応液をN,N−ジメチルホルムアミド12gで希釈し、アルミナカラムを通して、使用した銅を除去した。除去後の反応液をメタノール400mL中に徐々に滴下し、溶液中に析出した黄色の固体を回収し、24時間、70℃で真空乾燥した。得られた黄色の固体は、液晶性ブロック鎖(A)として、側鎖にメソゲン骨格を有する液晶性メタクリレート系重合体(重合度n=45、分子量22,000)、ブロック鎖(B)としてポリエチレンオキシド(重合度m=114、分子量5,000)を有する、下式(1A)で表される液晶性ブロック共重合体(1A)(ジブロック共重合体。以下、「共重合体(1A)」という。)であった。
得られた共重合体(1A)における液晶性ブロック鎖(A)とブロック鎖(B)が非相溶であることは、以下のDSC測定で確認した。
示差走査熱量計(セイコーインスツル(株)製、DSC220C(製品名))を用いて、30〜200℃の温度範囲で、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で共重合体(1A)の相転移温度を測定した。
その結果、共重合体(1A)のDSC測定におけるピークは、高い方から123℃、73℃、42℃であった。123℃、73℃のピークは、液晶性ブロック鎖(A)の構成成分である11−[4−(ブチルフェニルアゾ)フェノキシ]ウンデシルメタクリレートの単独重合体で観測される等方相−液晶相相転移温度、及び液晶相−液晶相相転移温度のピークである。42℃のピークは、ブロック鎖(B)の構成成分であるポリエチレンオキシドの相転移に由来するものであり、11−[4−(ブチルフェニルアゾ)フェノキシ]ウンデシルメタクリレートの単独重合体では観測されない。以上の結果から、共重合体(1A)を構成している液晶性ブロック鎖(A)とブロック鎖(B)は互いに非相溶であることが確認された。
製造例1で得られた共重合体(1A)0.1gを、トルエン5.0gに溶解し、共重合体組成物(X1)である共重合体(1A)の2.0質量%トルエン溶液を調製した。
疎水性材料(II−A)であるシリコンオイルKF−968−100CS(信越化学工業(株)製)0.025gを、ヘキサン5.0gに溶解し、疎水性材料組成物(Y1)である疎水性材料(II−A)の0.5質量%ヘキサン溶液を調製した。
疎水性材料(II−A)の濃度を0.1質量%(製造例4)、1.0質量%(製造例5)、2.0質量%(製造例6)に変更した以外は、製造例3と同様にして疎水性材料組成物(Y2)〜(Y4)を調製した。
前記共重合体(1A)0.1g、及び疎水性材料(II−A)であるシリコンオイルKF−968−100CS(信越化学工業(株)製)0.025gを、トルエン5.0gに溶解し、共重合体組成物(Z1)(トルエン溶液)を調製した。
ポリアミック酸(サンエバー8292 日産化学工業(株)製)のN−メチルピロリドン/γ−ブチロラクトン(質量比=20/80)の混合溶媒からなる2質量%溶液を、ガラス基板上にスピンコートで塗布し、製膜した後、150℃で1時間、250℃で2時間熱処理することで、ポリアミック酸のポリイミド化を行い、ガラス基板上にポリイミド膜を形成した。次に、EHC社製ラビング装置を使用して、前記ポリイミド膜にラビング処理を施し、配向基板を得た。
製造例8で得た配向基板を簡易型スピンコーター((株)アイデン製、SC2005(製品名))に設置し、前記共重合体組成物(X1)を滴下して、2000rpm、30秒の条件で製膜し、下層を形成して室温(30℃)で30分乾燥させた。共重合体組成物(X1)の塗布量は、配向基板の1cm2当たり0.15mLとした。
次に、前記下層を有する配向基板を簡易型スピンコーター((株)アイデン製、SC2005(製品名))に設置し、前記疎水性材料組成物(Y1)を滴下して、2000rpm、30秒の条件で製膜して上層を形成して液晶性ブロック共重合体塗膜を得た後、真空下において、140℃で2時間、乾燥、熱処理することで、液晶性ブロック共重合体薄膜前駆体を得た。疎水性材料組成物(Y1)の塗布量は、配向基板の1cm2当たり0.15mLとした。
得られた前記液晶性ブロック共重合体薄膜前駆体を走査型プローブ顕微鏡で観察した高さ像を図5に示す。この像では、共重合体(1A)のミクロ相分離構造に由来する形状像は観察されず、走査した範囲で高さは一様であった。
この像では、共重合体(1A)のミクロ相分離構造に由来する高さ像が観察され、共重合体(1A)のミクロ相分離構造がラビング方向に沿って一軸水平配向していることが確認された。また該ミクロ相分離構造において、ポリエチレンオキシド由来のブロック鎖(B)からなるシリンダー構造のドメインが確認され、1個のドメインの幅は11nm、周期(ドメインの幅と、各ドメイン間の幅方向の間隔の合計)は26nmであった。
製造例8で得た配向基板を簡易型スピンコーター((株)アイデン製、SC2005(製品名))に設置し、前記共重合体組成物(Z1)を滴下して、2000rpm、30秒の条件で製膜し、室温(30℃)で30分乾燥させ、配向基板上に、液晶性ブロック共重合体塗膜を得た。共重合体組成物(Z1)の塗布量は、配向基板の1cm2当たり0.15mLとした。その後、真空下において、140℃で2時間熱処理することで、液晶性ブロック共重合体薄膜前駆体を得た。
得られた前記液晶性ブロック共重合体薄膜前駆体を走査型プローブ顕微鏡で観察したところ、実施例1と同様に、共重合体(1A)のミクロ相分離構造に由来する形状像は観察されず、走査した範囲で高さは一様であった。
得られた薄膜付き基板を走査型プローブ顕微鏡により観察したところ、実施例1と同様に、共重合体(1A)のミクロ相分離構造に由来する高さ像が観察され、共重合体(1A)のミクロ相分離構造がラビング方向に沿って一軸水平配向していることが確認された。
疎水性材料組成物(Y2)の代わりに、製造例4〜6で得られた疎水性材料組成物(Y2)(実施例3)、疎水性材料組成物(Y3)(実施例4)、疎水性材料組成物(Y4)(実施例5)を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶性ブロック共重合体薄膜を有する薄膜付き基板を得た。
得られた薄膜付き基板を走査型プローブ顕微鏡により観察したところ、いずれの薄膜付き基板についても実施例1と同様に、共重合体(I)のミクロ相分離構造に由来する高さ像が観察され、共重合体(I)のミクロ相分離構造がラビング方向に沿って一軸水平配向していることが確認された。
製造例8で得た配向基板を簡易型スピンコーター((株)アイデン製、SC2005(製品名))に設置し、前記共重合体組成物(X1)を滴下して、2000rpm、30秒の条件で製膜し、塗膜を形成して室温(30℃)で30分乾燥させた。共重合体組成物(X1)の塗布量は、配向基板の1cm2当たり0.15mLとした。その後、真空下において、140℃で2時間熱処理することで、配向基板上に、共重合体(1A)からなる液晶性ブロック共重合体薄膜を有する薄膜付き基板を得た。
得られた薄膜付き基板を走査型プローブ顕微鏡で観察した高さ像を図7に示す。この像では、共重合体(1A)のミクロ相分離構造に由来する高さの差が観察されたが、共重合体(1A)のミクロ相分離構造は水平配向ではなく、垂直配向していた。また、該ミクロ相分離構造におけるポリエチレンオキシド由来のブロック鎖(B)からなるシリンダー構造のドメインは、六方細密充填配置になっていることが確認され、1個のドメインの幅は11nm、周期(ドメイン1個の幅と、各ドメインの幅方向の間隔の合計)は26nmであった。
10 基板
12 配向膜
14 配向基板
16A 液晶性ブロック共重合体塗膜
16a 下層
16b 上層
16B 液晶性ブロック共重合体薄膜前駆体
16 液晶性ブロック共重合体薄膜
I 液晶性ブロック共重合体(I)
Claims (9)
- 液晶性ブロック鎖(A)及び該液晶性ブロック鎖(A)と非相溶なブロック鎖(B)を有する液晶性ブロック共重合体(I)100質量部、並びに前記ブロック鎖(A)及びブロック鎖(B)の両方と非相溶な疎水性材料(II)25〜100質量部を含む液晶性ブロック共重合体塗膜であって、
前記液晶性ブロック共重合体(I)が、1つの液晶性ブロック鎖(A)と1つのブロック鎖(B)からなる(A−B)型のジブロック共重合体、3つのブロック鎖からなる(A−B−A)型又は(B−A−B)型のトリブロック共重合体、又は4つのブロック鎖からなる(A−B−A−B)型のテトラブロック共重合体である、液晶性ブロック共重合体塗膜。 - 液晶性ブロック鎖(A)が、側鎖としてメソゲン骨格を有する基を有する、(メタ)アクリレート系単量体に由来する繰り返し単位を有するブロック鎖である、請求項1に記載の液晶性ブロック共重合体塗膜。
- 前記液晶性ブロック共重合体(I)が下式(1)で表されるブロック共重合体である、請求項1又は2に記載の液晶性ブロック共重合体塗膜。
- 前記疎水性材料(II)がシロキサン骨格を有する材料である請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶性ブロック共重合体塗膜。
- 下記塗膜積層工程、加熱処理工程及び除去工程を有する、液晶性ブロック共重合体薄膜の製造方法。
塗膜積層工程:表面をラビング処理した配向基板上に、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶性ブロック共重合体塗膜を形成する工程。
加熱処理工程:前記液晶性ブロック共重合体塗膜を加熱処理して液晶性ブロック共重合体薄膜前駆体を形成する工程。
除去工程:前記液晶性ブロック共重合体薄膜前駆体から前記疎水性材料(II)を除去する工程。 - 前記塗膜積層工程が下記工程である請求項5に記載の液晶性ブロック共重合体塗膜の製造方法。
塗膜積層工程:表面をラビング処理した配向基板上に、前記液晶性ブロック共重合体(I)を含む組成物を塗布した後、前記疎水性材料(II)を含む組成物を塗布して前記液晶性ブロック共重合体塗膜を形成する工程。 - 前記塗膜積層工程の前に下記配向基板形成工程をさらに有する、請求項5又は6に記載の液晶性ブロック共重合体薄膜の製造方法。
配向基板形成工程:基板上に樹脂膜を形成し、該樹脂膜の表面をラビング処理する工程。 - 前記樹脂膜が、ラビング処理が施されたポリイミド膜である請求項7に記載の液晶性ブロック共重合体薄膜の製造方法。
- 請求項5〜8のいずれか一項に記載の液晶性ブロック共重合体薄膜の製造方法により得られた液晶性ブロック共重合体薄膜を金型に転写し、エッチングによって、前記金型に前記液晶性ブロック共重合体薄膜の配向パターンに対応する配向パターンを形成する工程を有するパターン形成方法。
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