JP5752900B2 - 液透過パネル - Google Patents

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Description

本発明は、例えば犬等の動物用のシステムトイレに用いられる使い捨てタイプの液透過パネルに関する。
室内で飼育する動物の排泄物の処理にあたっては、室内に設置できる動物用トイレが使用されている。近年、この動物用トイレとしては、市販のトイレ用のペットシートを直接床面に敷いたもの、ペットシートをペットシートの外周を押さえる外枠により固定する動物用トイレ(特許文献1)、浅底のトレイ状の受け皿に、板状の尿吸収マットと、該尿吸収マットの上面の全域を密接して被覆する液透過性の不織布とを収容した動物用システムトイレ(特許文献2)等が使用されている。
ところで、上記特許文献2のような動物用システムトイレは、最上部に設置される不織布等の液透過性部材上に動物の糞が排泄された場合、糞の載った不織布等の部材を取り外し、トイレ等の廃棄場所まで運んで糞を処分した後、不織布は再利用することが多い。このときの糞の量は一回で数十gに達するので無視できない重さである。このような状況での廃棄作業、すなわちシステムトイレから廃棄場所までの移動を考えると、柔らかい不織布等では、その両端を両手で持ち、適度な力で引っ張りながら、慎重に水平バランスを保って運ばなければ、糞が不織布から容易に落下してしまう。
なお、糞を不織布に包んで運ぶことも考えられるが、糞が不織布表面の全面に付いてしまうため、不織布の再使用ができなくなる。また、不織布で包んだり、広げたりという作業が必要となり、非常に煩雑である。システムトイレだけでなく、ペットシートを使用した場合でも、糞の処理に関しては同様の課題があった。
特許第3609855号公報 特開2002−142599号公報
上記のような糞が付いた場合の運搬性や廃棄性の悪さは、本来低剛性の部材が本質的に持つ欠点であるが故に、従来これを改善する検討が行なわれなかったのが現状である。そして、本発明者らが提起するのがこの新規な課題である。
本発明は、糞の処理時に糞の落下の危険や作業の煩雑さを回避することのできる、動物用システムトイレ用の液透過パネルを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、所定の液透過性を備える液透過パネルであって、該液透過パネルの一方向における曲げ強度を所定の範囲のものとして適度に曲がり易くすることにより、糞の処理時に糞の落下の危険や作業の煩雑さを回避し、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には本発明は以下のものを提供する。
(1)動物用トイレにおいて動物が直接乗る部分に載置される液透過パネルであって、
下記で定義される、前記液透過パネルの平面視の一方向における15度曲げ強度が0.2N以上10N以下である液透過パネル。
[15度曲げ強度:液透過パネルの平面視における向かい合う一組の両辺を支持した状態で、先端が直径8mmの円形プランジャーで、平面に垂直な方向から液透過パネルの中央部を、500mm/minの速度で荷重をかけて、液透過パネル面内の両辺方向に直交する曲げ方向に沿って凹部状に変形させた場合、該凹部の断面視において、該凹部の最下点を含む水平線と、前記最下点と前記両辺の何れかとを結ぶ傾斜線とがなす角θが15度となるときの荷重。]
(2)前記向かい合う一組の両辺の一端側を支持して、前記断面視において前記θが15度となるような凹部を形成し、この状態で、下記で定義される、前記両辺方向における曲げ形状保持耐荷重が50g以上である(1)記載の液透過パネル。
[曲げ形状保持耐荷重:前記一端側と反対側の側端から12cm以内の中央部に重りを載せていき、前記反対側の凹部断面視におけるθが15未満となる荷重。又は、曲げ方向と垂直に交わる軸方向Yに沿って屈曲した状態となる荷重。]
(3)前記液透過パネルは、波板状シートと平板状シートとを積層してなる孔部を有するコルゲートブロックを、前記孔部の貫通方向と垂直な方向で、所定厚さに切断して得られるコルゲートハニカム構造であり、前記曲げ方向が、前記液透過パネルの平面視における前記平板状シートの配置方向に直交する方向である(1)又は(2)に記載の液透過パネル。
(4)排泄物収容部を有する排泄容器と、前記排泄物収容部の上部空間に着脱可能に配置される(1)から(3)の何れかに記載の液透過パネルと、を備える動物用システムトイレ。
本発明によれば、動物用トイレの使用において、糞の処理における糞の落下の危険や作業の煩雑さを回避することのできる、動物用システムトイレ用の液透過パネルが提供される。
実施形態に係る動物用システムトイレの斜視図である。 実施形態に係る動物用システムトイレの分解斜視図である。 実施形態に係る動物用システムトイレにおいて、液透過パネルを取り外した状態の平面図である。 実施形態に係る動物用システムトイレの、図1の動物用システムトイレ1のA−A線における断面図である。 実施形態に係る動物用システムトイレに用いる液透過パネルの上面図である。 実施形態に係る動物用システムトイレに用いる液透過パネルの、図5の液透過パネル3のB−B線における断面図である。 実施形態に係る動物用システムトイレに用いる液透過パネルを糞処理に適当な形状に屈曲させた状態を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明の実施形態は、下記の実施形態に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲は、これに限定されるものではない。
<全体構造>
まず、本発明の実施形態である動物用システムトイレ1を用いて、動物用システムトイレ1の全体構造について説明する。
本実施形態の動物用システムトイレ1は、図1及び2に示すように、吸液シート6等の吸水性を有する吸液部材を収容可能な排泄物収容部21を有し上面が開口した排泄容器2と、この排泄容器2の上部に配置され排泄容器2の開口した上面を覆う底面を有する上部容器4と、この上部容器4の底面部41に配置(載置)される液透過パネル3と、を備える。
排泄容器2は、図2に示すように、略正方形状の底面部22と、この底面部の4辺それぞれから底面部22に対して所定の角度で起立して配置される4つの側壁部23と、を備える。排泄物収容部21は、底面部22及び4つの側壁部23に囲まれた空間により形成される。この排泄物収容部21には、動物が排泄した尿等が収容される。
上部容器4は、図2及び図3に示すように、上面が開口して構成され、平面視で略正方形状の底面を構成する支持部41とこの支持部41の4辺それぞれから支持部41に対して所定の角度で起立して配置される4つの上部側壁部42と、を備える。
支持部41は、図3に示すように、複数の貫通穴441を有する格子状に構成され、尿等の液体を透過可能となっている。つまり、複数の貫通穴441は、矩形形状に形成され、行方向及び列方向にそれぞれ所定の間隔をあけて配置される。
複数の貫通穴441の大きさは、好適な液体透過性を確保する観点から、一辺の長さが好ましくは1mm〜100mm、より好ましくは10〜60mmである。
また、支持部41における格子状部分の幅W1(図3に図示)は、好適な液体透過性を確保すると共に、支持部41の強度を確保する観点から、好ましくは1mm〜10mm、より好ましくは2mm〜6mmである。
また、支持部41の厚さD1(図4に図示)は、支持部41の強度を確保する観点から、好ましくは1mm〜10mmである。
4つの上部側壁部42のうちの3つの上部側壁部42の高さは、略均一に構成されている。そして、4つの上部側壁部42のうちの1つの上部側壁部42aには、他の3つの上部側壁部42の高さよりも高さが低く構成された出入り口部43が形成されている。動物用システムトイレ1を使用する動物は、この出入り口部43から上部容器4に出入りできる。
以上の排泄容器2及び上部容器4は、木材、金属、プラスチック等の種々の材質を用いて構成できる。これらの材質の中では、排泄物が材料の内部に染み込むことによる臭気の発生の問題や、排泄物による腐食の問題がないことからプラスチックを用いるのが好ましい。プラスチックとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等種々の材料を使用することができる。
液透過パネル3は、図1及び図2に示すように、上部容器4の支持部41の上面側に配置され、支持部41の上面の略全域を覆う。本実施形態では、液透過パネル3は、支持部41の大きさの略半分の大きさを有する長方形状に形成され、2枚の液透過パネル3により支持部41の上面を覆っている。また、液透過パネル3は、長手方向が上部容器4の出入り口部43が形成された上部側壁部42aの延びる方向に沿うように配置される。
以上の液透過パネル3は、所定の液透過性、液吸収性及び消臭性を備える。液透過パネル3の詳細については、後述する。
以上の動物用システムトイレ1は、図2及び図4に示すように、排泄物収容部21に吸液シート6を収容した状態で、排泄容器2の上部に上部容器4を配置し、この上部容器4の支持部41に液透過パネル3を載置して使用される。
そして、この状態では、図4に示すように、排泄物収容部21と液透過パネル3との間に支持部41が配置されるので、排泄物収容部21と液透過パネル3との間には、所定の空間5が形成される。
なお、排泄容器2の内部の排泄物収容部21には、排泄容器2の底部に水平方向に引出し可能な引出トレイを設けてもよい。この場合、引出しトレイはそのまま排泄物を収容するか、引出しトレイの内部に吸液シート6を敷設した状態で使用される。引出しトレイを設けることにより、排泄物収容部21の清掃が非常に容易になる。また、引出しトレイは排泄容器2からの取り出しが容易であることから取手を備えるのが好ましい。取手の形状は引出しトレイを把持できる限り特に制限されない。
排泄容器2の上部の開口部の形状は特に限定されず、意匠性等を考慮して、正方形、長方形、台形、楕円形、円形、半円形等種々の形状から選択することができる。大型の吸水性のパネルから液透過パネル3を切断して加工する際に余剰の部材が生じないことから、排泄容器2の上部の開口部の形状は正方形又は長方形であるのが好ましい。
<使い捨て液透過パネル>
次に、使い捨ての液透過パネル3について説明する。液透過パネル3は全体として平面パネル状であり、図1及び図2に示されるように排泄容器2の開口部の略全面を覆うように上部容器4に対して着脱可能に構成される。
液透過パネル3を構成する吸水性を有するパネルの材料は、排泄物を良好に透過しつつ、好ましくは、所定の吸水性を有するものを用いる。かかる物性を有する材料の具体例としては、パルプ等からなる紙、好ましくは段ボール紙が挙げられる。
液透過パネル3の厚さは、パネルに用いる材料、構成するパネルの形態によって異なるが、典型的には、3〜25mmが好ましく、3〜10mmがより好ましい。液透過パネル3が薄すぎる場合、パネルの変形により排泄物の排泄物収容部21への透過が妨げられたり、動物の重量によってはパネルが破壊されたりする場合がある等、強度の点で問題が生じ易い。液透過パネル3が厚すぎる場合は、一回の排泄による液透過パネル3の排泄物の吸収量が増加し交換サイクルが短くなる問題や、交換用パネルを保管する際に嵩張ること等の問題がある。
図5に示すように、液透過パネル3は、その厚さ方向に貫通する複数の孔部31を有し、複数の孔部31を通じて排泄物を液透過パネル3の厚さ方向に透過するものを用いるのが好ましい。複数の孔部の開口部の形状及び面積は同一であっても異なっていてもよい。かかる複数の孔部31を有する液透過パネル3は、例えばスポンジ状の材料のように不規則な方向の孔部を有するパネルと比較して、使い捨て液透過パネル3の内部に残留する排泄物の量を低減し易く、動物による液透過パネル3の踏みつけによる動物の足濡れを抑制し易い。
液透過パネル3が、液透過パネル3の厚さ方向に貫通する複数の孔部31を有する場合、複数の孔部31の開口部の平均面積は10〜100mm/個であるのが好ましく、15〜60mm/個であるのがより好ましい。孔部31の開口部の平均面積が小さすぎると液透過パネル3に付着する排泄物の量が増え動物の足が排泄物で濡れてしまうことを抑制しにくく、孔部31の開口部の平均面積が広すぎると液透過パネル3に十分な強度を付与するために液透過パネル3を厚くする必要がある点で好ましくない。複数の孔部31の開口部の平均面積の測定方法は特に制限されず公知の種々の方法を用いることができ、例えば、開口部の写真を画像解析する方法等により測定することが出来る。
液透過パネル3が、その厚さ方向に貫通する複数の孔部31を有するための、パネルの構造としては、製造が容易で安価に入手可能であることからコルゲートハニカム構造のパネルが好ましい。
以下コルゲートハニカム構造の液透過パネル3について図5及び図6を参照して説明する。コルゲートハニカム構造の液透過パネル3を作製するには、波板状シート32と平板状シート33とを接合する。波板状シート32の波型は、コルゲーターと呼ばれる機械で材料に付与する。波板状シート32と平板状シート33とを接合する方法は特に制限されず、接着剤による接合方法等の公知の接合方法から適宜選択できるが、耐水性の高い樹脂系の接着剤が好ましい。
次に波板状シート32と平板状シート33とを接合して得た部材を複数枚積層して接着する。この場合も耐水性の高い樹脂系の接着剤による接着が好ましい。そして、波板状シート32と平板状シート33とを接合して得た部材を積層してできたブロックを孔部31の貫通方向と平行に適当な大きさに切断し、孔部31の貫通方向と垂直に適切な厚さにスライスすることにより、コルゲートハニカム構造の液透過パネル3が完成する。完成したコルゲートハニカム構造の液透過パネル3は、波板状シート32と平板状シート33とに囲まれる孔部31を有する。
<液透過パネルの曲げ易さ>
液透過パネル3の曲げ易さについては、本発明における15度曲げ強度(以下、単に曲げ強度ともいう)によって規定され、具体的には後述する実施例における曲げ強度試験の方法で規定される。この15度という角度は、本発明において、糞の転がり落下を防止するためのパネルの屈曲を得るために必要充分な角度として、本発明者が経験値として見出した数値である。本発明においてはこの曲げ強度が0.2N以上10N以下であることが好ましく、0.2N以上3.5N以下であることがより好ましい。かかる曲げ易さを有する液透過パネル3を用いることにより、液透過パネル3の上に排泄された犬等の糞を処理する場合に、液透過パネル3を図7に示すように一方向Xに沿って適度に屈曲させて、凹状態をとる。これにより、運搬中の糞の落下を防ぐことができ、簡易に糞を処理することができる。0.2N未満であると柔らか過ぎてうまく屈曲させることができず、10Nを超えると曲がり難く通常の手の力で屈曲させることが困難である。
なお、この場合の屈曲凹部の断面視の凹部頂点を含む水平線から、両辺を結ぶ線までの絶対高さは、液透過パネルのX方向に幅にもよるが、10mm以上50mm以下が好ましい。このとき、糞をうまく凹部で保持して両辺から転がり落ちたりするのを防止できる。
また、図7に示すように、液透過パネル3は、波板状シートと平板状シートとを積層してなる孔部を有するコルゲートブロックを、前記孔部の貫通方向と垂直な方向で切断して得られる所定厚さのコルゲートハニカム構造のパネルであり、このときの曲げ方向Xが、前記液透過パネルの平面視における平板状シートの配置方向に直交する方向であることが好ましい。コルゲートハニカム構造体にはX方向とY方向とで異方性があり、図7においては、平板状シートの配置方向(Y方向)に沿っては曲がり難く、これと直交するX方向に曲がり易い構造を取るので本発明に特に好適に用いられる。
なお、図7においては液透過パネル3の長手方向がY方向を構成し、短手方向がX方向を構成する。ここで、この短手方向を曲げ方向とし、好ましくは100mm以上300mm以下とすることにより、片手で簡単に両辺を把持して屈曲させることができる。
<液透過パネルの曲げ形状を保持できる荷重>
図7に示した液透過パネル3の曲げ形状を保持できる荷重については、後述する実施例における曲げ形状保持耐荷重試験の方法で測定した場合の曲げ形状保持耐荷重が50g以上200g以下であることが好ましく、100g以上150g以下であることがより好ましい。本願発明において「曲げ形状を保持できない」とは、図7に示すような片手で曲げた状態にした液透過パネル3が、糞等の荷重によって、図7における屈曲角度(液透過パネル面内の両辺方向に直交する曲げ方向に沿って凹部状に変形させた場合、該凹部の断面視において、該凹部の最下点を含む水平線と、前記最下点と前記両辺の何れかとを結ぶ傾斜線とがなす角、すなわち図7に示す角度θを、屈曲角度とする。)が15度より小さくなった状態、又は、曲げ方向と垂直に交わる軸方向Yに沿って屈曲した状態となることをいう。このような状態になると糞の処理時に運搬途中に糞が落下することを防ぐことができない。通常、犬が一度に排泄する糞の重量は、50g以下であるので、曲げ形状を保持できる荷重が上記の範囲の曲げ形状保持耐荷重を有する液透過パネルを用いることにより、液透過パネル3の上に排泄された犬等の糞を処理する際に、糞の重さによる荷重に対しても曲げ形状を保持できるため、運搬途中に糞が落下することを防ぐことができる。
<液透過パネルの液透過率及び吸水性>
液透過パネル3の液透過率は90%以上が好ましく、93%以上がより好ましい。かかる液透過率の使い捨て液透過パネル3を用いることにより、排泄後の液透過パネル3への尿の付着を低減でき、内部での尿の拡散や、踏みつけによる動物の足濡れを抑制し易い。液透過パネル3の液透過率は後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
液透過パネル3は、10〜50%/min、より好ましくは15〜40%/minの吸水性を有する。かかる吸水性の液透過パネル3を用いることにより、排泄物の大部分が透過した後に少量付着する排泄物を液透過パネル3に吸収させることができ足濡れを抑制することができる。液透過パネル3の吸水性が高すぎると排泄物が透過する最中に多量に液透過パネル3に吸収されてしまい、動物が排泄した個所を踏みつけることによる排泄物の染み出しにより足濡れが起こり易くなる。液透過パネル3の吸水性が低すぎると、付着した排泄物が液状で液透過パネル3の表面に残存してしまい足濡れが起こり易くなる。液透過パネル3の吸水性は後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
動物用システムトイレ1に用いる液透過パネル3を係る構成とすることにより、液透過パネル3上に排泄された犬等の糞を処理する際の、運搬途中での落下を防止することができ、簡易に糞の処理を行える。
また、尿の大部分を液透過パネル3を通じて排泄物収容部21へ透過させ、且つ、液透過パネル3に付着する少量の排泄物を吸収させることが出来るので、排泄物による足濡れを顕著に抑制することが可能となる。また、上記従来技術の記載のように、液透過パネル3は動物の足の裏が直接触れる部分を濡らさないということが望まれるが、本発明によれば、排泄物が液透過パネル3にて殆ど透過し、且つ液透過パネル3に残った尿を殆ど吸収することで、同じ場所でも繰り返し排泄することが可能となる。なお、液透過パネル3は上部容器4に対して着脱可能に構成されているので、尿の吸収や大便の詰まりにより汚染されても容易に交換することができ、動物用システムトイレ1の清掃作業が非常に容易である。
さらに、図4に示すように、液透過パネル3と排泄物収容部21の間には空間5が形成されている。このため、大量の排尿があった場合でも、尿は液透過パネル3の孔部31を通過して裏面側の表面で拡散し、その後に吸液シート6で吸収される。すなわち、空間5によって尿が戻り孔部31がオーバーフローして液透過パネル3の表面側へ残ることを効果的に防止する。これにより上記の足濡れの発生が抑制される。
本発明の動物用システムトイレ1は、上述した実施形態に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。例えば、上述した実施形態に係る動物用システムトイレにおいて、排泄容器2の上部に液透過パネル3表面での排泄物の飛散による動物用システムトイレ1の周囲の汚染を防止するために、所望の形状のフードを設けてもよい。
また、本実施形態に係る動物用システムトイレ1において、液透過パネル3の波板状シート32は曲線状のシートで構成されているが、波板状シート32はジグザグに折り曲げられたシートにより構成されてもよい。また孔部31の開口部の形状は、これらに限らず例えば六角形であってもよいし、円形であってもよい。開口部の大きさが前述した所定の範囲であり、厚さ方向に貫通する孔部であれば、任意の形状を適宜選択することができる。
また、本実施形態に係る動物用システムトイレ1において、支持部4は格子状の多孔板に変えて、円形の開口部が規則的に設けられたパンチングプレート、平行してスリットが多数設けられた多孔板、網状の板等に変更されてもよい。
本発明の動物用システムトイレ1は、犬、猫、兎等のペットとして飼育される動物用のトイレとして使用でき、特に室内で飼育される犬用のトイレとして好適に使用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
<実施例1、比較例1>
以下に記す方法に従い、紙製液透過パネル材料、ペットシートについて、曲げ強度試験及び、曲げ形状保持耐荷重試験を行った。
紙製液透過パネル(実施例1):王子板紙(株)より入手可能なONBS耐水原紙(坪量180g/m)を使用したAフルート片側段ボールを積層させてカットし、図5のようなコルゲートハニカム構造に加工したもので、孔部開口部の平均面積は16mm/個とした。
ペットシート(比較例1):表面シートに不織布を、裏面シートとにはポリエチレン非通気フィルムを使用、表面シートと裏面シートの間に介在する吸収体は、パルプに高吸収性ポリマーが含まれたものに、ティッシュを重ねて形成した。
〔曲げ強度試験〕
(1)15cm×15cmにカットした試料を、7cmの間隔をおいて設置した高さ10cmの直方体の設置台の間に橋を架けるようにして、設置台の間の中心線と試料の中心線が平面視で重なる位置に設置した。
(2)試料の中央部に、先端が直径8mmの円形プランジャー棒で、500mm/minの速度で荷重をかけて試料を屈曲させた。
(3)試料を面内の両辺方向に直交する曲げ方向に沿って凹部状に変形させた場合、該凹部の断面視において、該凹部の最下点を含む水平線と、最下点と両辺の何れかとを結ぶ傾斜線とがなす角、すなわち図7に示す角度θを、以下、試料の屈曲角度とする。この屈曲角度が15度になるまで曲げるのに必要な荷重(N)(以下、15度曲げ強度と言う)を、デジタルフォースゲージで5回測定し平均値を算出した。実施例1については、図5に示すX方向(積層方向)とY方向(非積層方向)の両方向、それぞれに沿って屈曲させた場合について測定し、比較例1については、正方形にカットした試料の各側辺に平行する2つの方向(方向1、方向2)それぞれに沿って屈曲させた場合について測定した。測定結果を表1に記した。
Figure 0005752900
表1から、実施例1の紙製液透過パネル材料は積層方向には適度に屈曲するが、非積層方向には曲がらないことが分かる。比較例1のペットシートは何れの方向についても15度曲げ強度を全く持たないことが確認された。
〔曲げ形状保持耐荷重試験〕
曲げ形状を形成することができた実施例1の積層方向に沿って屈曲させたものについてのみ下記の試験を行った。
(1)短辺に沿った方向が積層方向で、長辺に沿った方向が非積層方向である、185mm×370mmの実施例1の試料を、持ち手の逆側の屈曲角度が15度になるように、積層方向に沿って屈曲させ、一側端を片手で持つ。
(2)試料の持ち手と反対側の側端から12cm以内の中央部に重りを載せていく。
(3)試料が屈曲角度15度の状態を保持できなくなる荷重(以下、曲げ形状保持耐荷重と言う)を確認する。この試験を5枚の試料に対して行い測定結果を表2に記した。表の×印に対応する荷重をかけたときに各資料1〜5は、屈曲角度15度の状態を保持できなくなった。
(4)「試料が屈曲角度15度の状態を保持できなくなる」とは、荷重によって片手で曲げた状態にできずに試料の屈曲角度が15度より小さくなった状態、又は、持ち手部分で曲げ方向と垂直に交わる軸方向に沿って屈曲した状態となることをいう。
Figure 0005752900
表2から実施例1の紙製液透過パネル材料は140gから150gまでの荷重に対して曲げ形状が保持できることが分かる。
<実施例2〜5、比較例2〜3>
以下に記す方法に従い、パネル材料について、曲げ強度と曲げ形状保持耐荷重との関係を調べる試験を行った。
実施例2:普通紙(コピー用紙)5枚を材料とする、曲げ強度0.3Nのパネル。
実施例3:普通紙(コピー用紙)8枚を材料とする、曲げ強度0.5Nのパネル。
実施例4:コルゲートハニカムパネル(厚さ5mm)1枚を材料とする、曲げ強度3.5Nのパネル。
実施例5:コルゲートハニカムパネル(厚さ5mm)2枚を材料とする、曲げ強度10.0Nのパネル
比較例2:普通紙(コピー用紙)1枚を材料とする、曲げ強度0.1Nのパネル。
比較例3:板紙(600g/m)1枚を材料とする、曲げ強度15.0Nのパネル。
各実施例、比較例の曲げ形状保持耐荷重を、前述の曲げ形状保持耐荷重試験と同じ方法で測定した。曲げ易さの指標として、
5:非常に曲げ易い
4:曲げ易い
3:やや曲げ易い
2:やや曲げにくい
1:曲げにくい
の5つの指標を用いて、曲げ易さと曲げ形状保持耐荷重との関係を表3に記した。
Figure 0005752900
犬が1回に排泄する糞の重量は50g以下であることから、本発明の実施品は50gを超える曲げ形状保持耐荷重が好ましい。表3より比較例2のパネルは要件を満たさないことが分かる。また、比較例3のパネルは曲げ形状保持耐荷重は充分であるが、曲げ易さの点で、やはり本発明にとって好ましい要件を満たさないことが分かる。
表3より、本発明に係る液透過パネルについては、15度曲げ強度が0.2N以上10N以下であることが好ましく、0.2以上3.5N以下であることがさらに好ましいことが分かる。
後述する、参考例、実施例6、実施例7、及び比較例4において、人工尿は以下の組成のものを用いた。
〔人工尿組成〕
尿素 400g
塩化ナトリウム 160g
硫酸マグネシウム(7水和物) 16g
塩化カルシウム(2水和物) 6g
以上を合計20Lになるように水で調整する。
調整液に、青色1号を2g加え着色する。
<参考例>
下記の方法により、プラスチック製のスノコ上に尿を排泄した場合の足濡れによる室内の汚染を再現する試験を行った。
〔足濡れ汚染試験方法〕
プラスチック製のスノコは以下のものを用いた。
プラスチック製スノコ:メッシュトレイ(ポリプロピレン製、開口部形状:縦6mm×横6mm、横方向桟太さ3.5mm、縦方向桟太さ3.5mm)
スノコ上に内径60mmの円筒を置き、円筒の内側にまんべんなく30mlの人工尿を滴下した。30分後、直径18mmのウレタン製の半球をスノコに残った水滴に押し当て、半球をろ紙(JIS P3801に定められる2種)上にスタンプした。次いで、ろ紙上の人工尿の跡の最も大きな直径を測定した。同様の試験を、スノコ上に3箇所(A〜C)において、1箇所あたり5回行った。足濡れ汚染の測定結果を表4に記す。
Figure 0005752900
参考例の試験により、プラスチック製のスノコ上で動物が排泄するとき、1回の尿の排泄量を30mlと仮定した場合では、床面に直径11.43mm程度の尿による汚染跡が形成されることが分かった。このように、従来の動物用トイレでは尿による足濡れによって室内の汚染が生じていることが分かった。
<実施例6、実施例7、及び比較例4>
以下に記す方法に従い、下記の紙製液透過パネル材料、不織布性液透過パネル材料、及びプラスチック製スノコについて、それぞれ、5回ずつ、吸水性試験、液透過率試験、足濡れ試験を行った。液透過率試験の結果を表5に、吸水性試験の結果を表6に、足濡れ性試験の結果を表7にそれぞれ記す。
(液透過パネル材料)
紙製液透過パネル(実施例6):ニューレンコートを原紙として使用、Aフルート段ボールをコルゲートハニカム構造に加工したもの、孔部開口部の平均面積16mm/個。
不織布性液透過パネル(実施例7):活性炭を含有したポリエステル繊維を使用した脱臭紙を原紙として使用、Aフルート段ボールをコルゲートハニカム構造に加工したもの、孔部開口部の平均面積10.5mm/個、パラフィン系撥水剤4.8%添加。
プラスチック製スノコ(比較例4):メッシュトレイ(ポリプロピレン製、開口部形状:縦6mm×横6mm、横方向桟太さ3.5mm、縦方向桟太さ3.5mm)
〔液透過率試験〕
あらかじめ重量(A)を測定された受け皿を、液透過率を測定する試料の下部に置く。人工尿約30mlを測りとり人工尿の重量(B)を測定する。試料上に内径60mmの円筒を置き、円筒の内側に人工尿をまんべんなく滴下する。試料から人工尿の液滴が落下しなくなった時点で人工尿の入った受け皿の重量(C)を測定する。液透過率の値を下式に基づいて算出する。
(液透過率計算式)
液透過率(%)=(重量(C)−重量(A))÷重量(B)×100
〔吸水性試験〕
使い捨て液透過パネル3の材料を5cm×5cmにカットした試料の重量(A)を測定する。カットされた試料を1分間、人工尿に浸漬する。1分間浸漬後、試料を引き上げ、表面に付着した人工尿を拭き取った後、各試料の重量(B)を測定する。吸水率の値を下式に基づいて算出する。
(吸水性計算式)
吸水性(%/min)=(重量(B)−重量(A))÷重量(A)×100
〔足濡れ性試験〕
使い捨て液透過パネル3の材料の上に内径60mmの円筒を置き、その内側に30mlの人工尿をまんべんなく滴下する。人工尿の滴下後、円筒を取り除き、30分間放置する。10cm×10cmのろ紙(JIS P3801に定められる2種)の重量(A)を測定する。30分後、液透過パネル3の材料の人工尿を滴下した箇所の上に10cm×10cmのろ紙を載せ、5秒間静置する。5秒後、ろ紙を取り外し、ろ紙の重量(B)を測定する。足濡れ性の試験結果を下式に基づいて算出する。
(足濡れ性計算式)
足濡れ性(g)=重量(B)−重量(A)
Figure 0005752900
Figure 0005752900
Figure 0005752900
比較例4より、プラチック製のスノコが、人工尿を良好に透過すること、及び、透過しなかった人工尿は全く吸収されないことが表5及び表6より分かる。このため、足濡れ試験において、スノコ上に残存した人工尿が多量にろ紙に付着する結果となった。従って、プラスチック製のスノコ上で排泄を行う従来の動物用トイレでは足濡れは改善されないことが分かる。
一方、紙や不織布等からなるコルゲートハニカム構造の液透過パネル3を用いた実施例6及び実施例7では、液透過パネル3が優れた液透過性及び吸水性を示すことが分かった。このため、実施例6及び実施例7の液透過パネル3を用いれば、人工尿の大分部分が液透過パネル3を透過し、僅かに液透過パネル3上に残存する人工尿は液透過パネル3に吸収されるため、足濡れ試験において表5に示されるようにろ紙には殆ど人工尿が付着しないことが分かった。
表1〜7より、コルゲート形状の構造の紙製液透過パネルは、液透過性、吸水性が高いという点で、動物用システムトイレの排泄物吸収部を覆う液透過パネルとして好適であるのみならず、積層方向に曲げ易く、非積層方向については形状保持耐荷重が高いという特性より、パネル上に排泄された糞の処理という観点からも動物用システムトイレの排泄物吸収部を覆う液透過パネルとして好適であることが分かった。
1 動物用システムトイレ
2 排泄容器
21 排泄物収容部
3 液透過パネル
31 孔部
32 波板状シート
33 平板状シート
4 上部容器
41 支持部
5 空間
6 吸液シート

Claims (4)

  1. 動物用トイレにおいて動物が直接乗る部分に載置される、使い捨てタイプの液透過パネルであって、
    下記で定義される、前記液透過パネルの平面視の一方向における15度曲げ強度が0.2N以上10N以下である液透過パネル。
    [15度曲げ強度:液透過パネルの平面視における向かい合う一組の両辺を支持した状態で、先端が直径8mmの円形プランジャーで、平面に垂直な方向から液透過パネルの中央部を、500mm/minの速度で荷重をかけて、液透過パネル面内の両辺方向に直交する曲げ方向に沿って凹部状に変形させた場合、該凹部の断面視において、該凹部の最下点を含む水平線と、前記最下点と前記両辺の何れかとを結ぶ傾斜線とがなす角θが15度となるときの荷重。]
  2. 前記向かい合う一組の両辺の一端側を支持して、前記断面視において前記θが15度となるような凹部を形成し、この状態で、
    下記で定義される、前記両辺方向における曲げ形状保持耐荷重が50g以上である請求項1記載の液透過パネル。
    [曲げ形状保持耐荷重:前記一端側と反対側の側端から12cm以内の中央部に重りを載せていき、前記反対側の凹部断面視におけるθが15未満となる荷重。又は、曲げ方向と垂直に交わる軸方向に沿って屈曲した状態となる荷重]
  3. 前記液透過パネルは、波板状シートと平板状シートとを積層してなる孔部を有するコルゲートブロックを、前記孔部の貫通方向と垂直な方向で、所定厚さに切断して得られるコルゲートハニカム構造であり、
    前記曲げ方向が、前記液透過パネルの平面視における前記平板状シートの配置方向に直交する方向である請求項1又は2に記載の液透過パネル。
  4. 排泄物収容部を有する排泄容器と、前記排泄物収容部の上部空間に着脱可能に配置される請求項1から3の何れかに記載の液透過パネルと、を備える動物用システムトイレ。
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