JP5750231B2 - 塗布組成物、光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents

塗布組成物、光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、光学フィルムを作製する際に問題となる点欠陥故障を大幅に改善し、品質、得率の良い光学フィルムを提供できる塗布組成物、該塗布組成物から形成される層を有する光学フィルム、該光学フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置に関する。
光学フィルムは、一般に、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)のような画像表示装置において、ディスプレイの性能改善のために、ディスプレイの表面、又は内部に配置される。このような光学フィルムとしては、反射防止フィルム、防眩フィルム、光学補償フィルム等が挙げられる。
これらの光学フィルムは、直接目視で観察される画像表示装置に用いられるため、異物、はじき等の点状の欠陥(点欠陥)に対して、極めて厳しい品質が要求される。また、ディスプレイの大画面化により、大きな面積のフィルムが用いられるため、広い面積で点欠陥のないことが要求される。このため、点欠陥が多いと、光学フィルムの得率や生産性に大きな問題となる。
また、光学フィルムにおける光学機能層は、透明支持体上への溶液の塗工、特に有機溶剤を含有する溶液の塗工することによって形成されることが多い。このような塗工によって光学機能層を設けた場合、反射防止フィルム、防眩フィルム、光学補償フィルム等においては、塗膜の膜厚の変化による特性の変化が大きく、微小な膜厚差でも欠点として目立ち易くなることが多く、点欠陥が顕在化しやすい。
このため、点欠陥の少ないフィルム、及びその製造方法が望まれており、塗布前のフィルムの除塵や、塗布工程のクリーン度を強化する方法(特許文献1、2)、塗布液をろ過処理する方法(特許文献3)等が知られている。
ところで、光学フィルムの物理特性や光学特性等の機能性を向上させるために、透明支持体上に塗設する塗布組成物に対して無機微粒子を添加することが行われている。特に、平均粒径100nmより小さい無機微粒子は光学フィルムの透明性を維持したまま機能性を向上することが可能となるため、該平均粒径が100nmより小さい無機微粒子の添加は頻繁に行われている(特許文献4)。
しかしながら、光学フィルムに無機微粒子を添加すると点欠陥が増加する場合があり、機能性を付与する際の大きな問題となっている。無機微粒子添加時の点欠陥対策として、シランカップリング剤などを用いて粒子表面の表面処理が行われているが(特許文献5)、点欠陥を改良するには不十分である。
特開2001−343505号公報 特開2002−40245号公報 特開2000−304926号公報 特開2000−112379号広報 特開2000−9908号広報
本発明の目的は、透明性を維持したまま機能性を向上させた光学フィルムを提供することができる塗布組成物を提供することにある。特に、点欠陥が低減され、品質・得率の良い光学フィルムを提供することができる塗布組成物を提供することである。
本発明の他の目的は、該塗布組成物により塗設した層を有し、透明性が高く、硬度の高い光学フィルムであって、更には点欠陥が低減され、品質・得率の良い光学フィルムを提供することである。
本発明の更なる目的は、該光学フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置を提供することである。
本発明者らは、上述の課題を解消すべく鋭意検討した結果、下記構成とすることにより、前記課題を解決し目的を達成しうることを知見し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、下記の構成により前記目的を達成したものである。
<1>
下記の(a)〜(e)を含む塗布組成物であって、前記塗布組成物中の全固形分量に対する下記(a)の無機微粒子の含有量が1〜5質量%であり、下記(e)のモノマーの含有量が0.15〜2.5質量%であり、かつ下記(e)のモノマーが、1分子あたりのアクリロイル基又はメタクリロイル基を1つ有する、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、又は下記(A−22)で表される化合物である、塗布組成物。
(a)平均粒径1〜100nmの無機微粒子
(b)電離放射線硬化型バインダー形成材料
(c)光重合開始剤
(d)有機溶剤
(e)1分子あたりの水酸基数が2つ以上のモノマー
Figure 0005750231

<2>
前記(b)の電離放射線硬化型バインダー形成材料が、分子中にアルキレンオキサイド部位を有する<1>に記載の塗布組成物。
<3>
透明支持体上に、<1>又は<2>に記載の塗布組成物を塗設した層を有する光学フィルム。
<4>
前記塗布組成物を塗設した層がハードコート層である<3>に記載の光学フィルム。
<5>
更に、前記層の上に低屈折率層を有する<3>又は<4>に記載の光学フィルム。
<6>
偏光膜と該偏光膜の両側に保護フィルムを有する偏光板であって、少なくとも一方の保護フィルムが<3>〜<5>のいずれか1項に記載の光学フィルムである偏光板。
<7>
<3>〜<5>のいずれか1項に記載の光学フィルム又は<6>に記載の偏光板を有する画像表示装置。
本発明は、前記<1>〜<7>に係る発明であるが、以下、それ以外の事項(例えば、下記[1]〜[10])についても記載している。
[1]
下記の(a)〜(d)を含む塗布組成物。
(a)平均粒径1〜100nmの無機微粒子
(b)電離放射線硬化型バインダー形成材料
(c)光重合開始剤
(d)有機溶剤
[2]
更に(e)1分子あたりの水酸基数が2つ以上のモノマーを含む塗布組成物であって、前記塗布組成物中の全固形分量に対する前記(e)のモノマーの質量分率が0.1質量%以上3.0質量%以下である[1]に記載の塗布組成物
[3]
前記(e)のモノマーが、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する[2]に記載の塗布組成物。
[4]
前記(e)のモノマーの1分子あたりのアクリロイル基又はメタクリロイル基の数が1つである[2]又は[3]に記載の塗布組成物。
[5]
前記(b)の電離放射線硬化型バインダー形成材料が、分子中にアルキレンオキサイド部位を有する[1]〜[4]のいずれか1項に記載の塗布組成物。
[6]
透明支持体上に、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の塗布組成物を塗設した層を有する光学フィルム。
[7]
前記塗布組成物を塗設した層がハードコート層である[6]に記載の光学フィルム。
[8]
更に、前記層の上に低屈折率層を有する[6]又は[7]に記載の光学フィルム。
[9]
偏光膜と該偏光膜の両側に保護フィルムを有する偏光板であって、少なくとも一方の保護フィルムが[6]〜[8]のいずれか1項に記載の光学フィルムである偏光板。
[10]
[6]〜[8]のいずれか1項に記載の光学フィルム又は[9]に記載の偏光板を有する画像表示装置。
本発明によれば、透明性を維持したまま機能性を向上させた光学フィルムを提供することができる。特に、点欠陥の発生を低減させ、品質・得率の良い光学フィルムを提供することができる。
本発明の光学フィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明の光学フィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明の光学フィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明の光学フィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明の光学フィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。
以下、本発明に係る光学フィルムの実施形態について説明する。なお、本明細書において、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」等も同様である。
本発明の塗布組成物は、下記の(a)〜(d)を含む塗布組成物であって、好ましくは、更に下記の(e)を含み、前記塗布組成物中の全固形分量に対する下記(e)のモノマーの質量分率が0.1質量%以上3.0質量%以下である。
(a)平均粒径1〜100nmの無機微粒子
(b)電離放射線硬化型バインダー形成材料
(c)光重合開始剤
(d)有機溶剤
(e)1分子あたりの水酸基数が2つ以上のモノマー
また、本発明の光学フィルムは、透明支持体上に、上記塗布組成物を塗設した層を有することを特徴とする。
上記のように、平均粒径100nm以下の無機微粒子を添加した塗布組成物において、(e)成分のモノマーを添加することにより、点欠陥の発生を低減させ、品質・得率の良い光学フィルムを提供することができる。
本発明における光学フィルムは、反射防止フィルム、防眩性フィルム、防眩性反射防止フィルム、光拡散フィルム、光学補償フィルム、表面保護フィルム等に用いられる。このようなフィルムでは、透明支持体上に塗布により機能層を設け、反射防止、防眩性、光散乱性、表面硬度、光学補償性等の機能を付与することができる。
従来は、これらの光学フィルムにおいて機能層は、微小な膜厚の変化や含有する粒子の密度変化により、光学特性が変化し、点欠陥が目視で見えやすくなることが多かった。また、これらの光学フィルムは、画像表示装置に用いられ、直接目視の透過、反射で観察されるため、点欠陥に対して極めて厳しい品質が要求されている。
このような課題に対し、本発明では、上記のような特定の組成の塗布組成物により機能層を形成することにより、点欠陥発生を抑制する効果が見られる。特に、反射防止フィルム、防眩性フィルム、防眩性反射防止フィルム、光拡散フィルム、光学補償フィルム等において、本発明の効果が大きい。
本発明において、光学フィルムにおける「点欠陥」とは、塗設された層上に、通常の目視で見える50μm以上の欠陥を意味する。このような点欠陥は、目視による透過、若しくは、反射観察により確認することができる。透過若しくは反射観察方法としては、各種画像表示装置で想定される観察方法があり、蛍光灯、タングステン光、人工太陽灯等、各種光源下での観察や、偏光板クロスニコル下の透過観察等、光学フィルムの使用用途に合わせて行われる。50μm以上のサイズは、目視で観察される大きさを示す。このような点欠陥は、通常光学フィルムとして提供する際には、機能層を塗設したフィルム1mあたり0.5個以下であることが好ましい。更に好ましくは1mあたり0.1個以下であり、より好ましくは1mあたり0.05個以下であり、特に好ましくは1mあたり0.01個以下である。
[塗布組成物]
以下、本発明の塗布組成物の各成分について説明する。
(a)無機微粒子
本発明の塗布組成物は、平均粒径1〜100nmの無機微粒子を含有する。該無機微粒子により、硬度などの物理特性や、反射率、散乱性などの光学特性などを向上させることができる。
無機微粒子としては、例えば、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも一つ金属の酸化物が挙げられる。具体例としては、ZrO、TiO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITO等が挙げられる。その他BaSO、CaCO、タルク及びカオリンなどが含まれる。なかでも、好ましい無機微粒子は、珪素、ジルコニウム、チタン及び錫より選ばれる少なくとも一つの金属の酸化物からなる微粒子である。
本発明の塗布組成物に使用する無機微粒子の粒径は、1〜100nmであるが、好ましくは、10〜80nmがより好ましく、10〜50nmが特に好ましい。この範囲の粒径の無機微粒子を添加することにより、透明性を損なわず、屈折率調整や硬度の上昇、導電性の付与といった機能性付与を行うことができる。無機微粒子の平均粒径は、粒子の質量を重みとした平均径であり、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
無機微粒子の比表面積は、10〜400m/gであることが好ましく、20〜200m/gであることが更に好ましく、30〜150m/gであることが最も好ましい。
本発明に使用する無機微粒子は分散媒体中に分散物として使用する層の塗布液に添加することが好ましい。
無機微粒子の分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例には、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びブタノールが特に好ましい。
特に好ましい分散媒体は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンである。
無機微粒子は、分散機を用いて分散する。分散機の例には、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライター及びコロイドミルが含まれる。サンドグラインダーミル及び高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダー及びエクストルーダーが含まれる。
無機微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状あるいは不定形状であることが好ましい。
本発明の塗布組成物における無機微粒子の含有量は、該塗布組成物の全固形分に対して、5〜60質量%であることが好ましく、10〜55質量%であることが好ましく、15〜50質量%であることが更に好ましい。
(導電性無機微粒子)
光学フィルムに導電性を付与するために、無機微粒子として、各種の導電性無機微粒子を用いることができる。
導電性微粒子は、金属の酸化物又は窒化物から形成することが好ましい。金属の酸化物又は窒化物の例には、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛及び窒化チタンが含まれる。酸化錫及び酸化インジウムが特に好ましい。導電性無機微粒子は、これらの金属の酸化物又は窒化物を主成分とし、更に他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例には、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、S、B、Nb、In、V及びハロゲン原子が含まれる。酸化錫及び酸化インジウムの導電性を高めるために、Sb、P、B、Nb、In、V及びハロゲン原子を添加することが好ましい。Sbを含有する酸化錫(ATO)、Pを含有する酸化錫(PTO)及びSnを含有する酸化インジウム(ITO)が特に好ましい。ATO中のSbの割合は、3〜20質量%であることが好ましい。PTO中のPの割合は、3〜20質量%であることが好ましい。ITO中のSnの割合は、5〜20質量%であることが好ましい。なかでも、好ましい導電性無機微粒子は、Pを含有する酸化錫(PTO)である。
本発明の塗布組成物に用いる導電性無機粒子の平均粒径は、1〜100nmであるが、好ましくは、10〜80nmがより好ましく、10〜50nmが特に好ましい。この範囲の粒径の無機微粒子を添加することにより、透明性を損なわず、所望の導電性や帯電防止性を付与することができる。導電性無機粒子の平均粒径は、粒子の質量を重みとした平均径であり、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
導電性無機粒子の比表面積は、10〜400m/gであることが好ましく、20〜200m/gであることが更に好ましく、30〜150m/gであることが最も好ましい。
導電性無機微粒子は表面処理されていてもよい。表面処理は、無機化合物又は有機化合物を用いて実施する。表面処理に用いる無機化合物の例には、アルミナ及びシリカが含まれる。シリカ処理が特に好ましい。表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤及びチタネートカップリング剤が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。二種類以上の表面処理を組み合わせて実施してもよい。
導電性無機微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状あるいは不定形状であることが好ましい。
本発明の光学フィルムにおいては、2種類以上の導電性微粒子を特定の層内あるいはフィルム内で併用してもよい。
本発明の塗布組成物における導電性無機微粒子の含有量は、該塗布組成物の全固形分に対して、20〜60質量%であることが好ましく、25〜55質量%であることが好ましく、30〜50質量%であることが更に好ましい。
導電性無機粒子は、分散物の状態で層形成に使用することができる。
(e)1分子あたりの水酸基数が2つ以上であるモノマー
本発明の塗布組成物は、1分子あたりの水酸基が2つ以上である、少なくとも1種のモノマーを含有する。該モノマーの添加により、点欠陥発生を抑えることができる。その詳細な理由は明らかではないが、該モノマーの水酸基が無機微粒子の表面に吸着し、分散剤のように振舞うことで凝集を抑制し、点欠陥発生を抑えているものと推定している。
該モノマーはアクリロイル基又はメタクリロイル基を有することが好ましく、理由は定かではないが、点欠陥発生の抑制効果が高いことから、1分子中のアクリロイル基又はメタクリロイル基は1つであることがより好ましい。
アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する、1分子あたり2つ以上の水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、具体的には、燐酸エステル型(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、下記(A−22)で記載される化合物などが挙げられる。
Figure 0005750231
アクリロイル基又はメタクリロイル基を有さず、1分子あたり2つ以上の水酸基を有するモノマーとしては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)、ポリオキシプロピレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのプロピレン付加物、ビスフェノールAのエチレン付加物、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。3価以上の多価アルコール単量体としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる
該モノマーとしては、市販のものも使用することができる。例えば、ブレンマーGLM(日油(株)製)、P−1M(共栄社化学(株)製)等が挙げられる。
1分子あたり2つ以上の水酸基数を持つモノマーの質量平均分子量は、1000以下であることが好ましく、100以上900以下であることがより好ましく、150以上800以下であることが更に好ましい。この範囲であると、相対的に水酸基密度が高く、点欠陥発生抑制効果を高めることができる。モノマーの平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。
1分子あたりの水酸基数が2つ以上であるモノマーは、無機微粒子に対して0.5質量%以上15質量%の範囲であることが好ましく、1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以上5質量%以下であることが更に好ましい。
本発明の塗布組成物における1分子あたりの水酸基数が2つ以上であるモノマーの含有量は、塗布組成物中の全固形分に対する質量分率が、0.1質量%以上3質量%以下であり、好ましくは0.2質量%以上2質量%であり、更に好ましくは0.3質量%以上1質量%である。この範囲の含有量であれば、鉛筆硬度が確保され、かつ点欠陥発生を抑制できる。
(b)電離放射線硬化型バインダー形成材料
本発明の塗布組成物は、電離放射線硬化型バインダー形成材料を含む。本発明の塗布組成物が塗設される層は、該電離放射線硬化型バインダー形成材料が硬化してバインダーを形成するものである。バインダーとは、本発明の塗布組成物で形成される層を主として構成する樹脂のことをいう。ここで、「層を主として構成する樹脂」とは、層中に35質量%以上含有される樹脂を意味する。
バインダー形成材料としては、電離放射線硬化型バインダー形成材料以外に、熱硬化性の材料を含んでもよい。
本発明の塗布組成物により、反射防止フィルム、防眩性反射防止フィルム、ハードコートフィルム、防眩性フィルム、表面保護フィルム等に含まれる機能層を形成する際には、該機能層は、主として前記電離放射線硬化型バインダー形成材料の架橋反応、重合反応により形成される。すなわち、バインダー形成材料としては電離放射線硬化型の多官能モノマーや多官能オリゴマーが好ましい。電離放射線硬化型の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光(紫外線)、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
上記バインダー形成材料としては、特開平10−25388号公報及び特開2000−17028号公報に記載のごとく、適宜重合性の不飽和結合を有する化合物を使用することが好ましい。重合性の不飽和結合を有する化合物としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の重合性官能基を有する化合物が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。特に好ましくは下記の1分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を用いることができる。これら化合物は、特にポリマー本体に重合性不飽和基を有する化合物を用いた場合に耐擦傷性、あるいは薬品処理後の耐擦傷性改良に対する併用効果が大きく好ましい。
重合性の不飽和結合を有する化合物の具体例としては、
ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;
等を挙げることができる。
更にはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。更に好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−クロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレート系化合物類の具体化合物としては、日本化薬(株)製KAYARAD DPHA、同DPHA−2C、同PET−30、同TMPTA、同TPA−320、同TPA−330、同RP−1040、同T−1420、同D−310、同DPCA−20、同DPCA−30、同DPCA−60、同GPO−303、大阪有機化学工業(株)製V#3PA、V#400、V#36095D、V#1000、V#1080等のポリオールと(メタ)アクリル酸のエステル化物を挙げることができる。また紫光UV−1400B、同UV−1700B、同UV−6300B、同UV−7550B、同UV−7600B、同UV−7605B、同UV−7610B、同UV−7620EA、同UV−7630B、同UV−7640B、同UV−6630B、同UV−7000B、同UV−7510B、同UV−7461TE、同UV−3000B、同UV−3200B、同UV−3210EA、同UV−3310EA、同UV−3310B、同UV−3500BA、同UV−3520TL、同UV−3700B、同UV−6100B、同UV−6640B、同UV−2000B、同UV−2010B、同UV−2250EA、同UV−2750B(日本合成化学(株)製)、UL−503LN(共栄社化学(株)製)、ユニディック17−806、同17−813、同V−4030、同V−4000BA(大日本インキ化学工業(株)製)、EB−1290K、EB−220、EB−5129、EB−1830,EB−4858(ダイセルUCB(株)製)、ハイコープAU−2010、同AU−2020((株)トクシキ製)、アロニックスM−1960(東亜合成(株)製)、アートレジンUN−3320HA,UN−3320HC,UN−3320HS、UN−904,HDP−4Tなどの3官能以上のウレタンアクリレート化合物、アロニックスM−8100,M−8030,M−9050(東亞合成(株)製、KRM−8307(ダイセルサイテック(株)製)などの3官能以上のポリエステル化合物なども好適に使用することができる。
更に、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する樹脂、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物などのオリゴマー又はプレポリマー等もあげられる。
更に、2官能(メタ)アクリレート化合物としては具体的に下式で示される化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005750231
Figure 0005750231
また、例えば特開2005−76005号、同2005−36105号に記載されたデンドリマーや、例えば特開2005−60425号記載のようなノルボルネン環含有モノマーを用いることもできる。また、特開平2002−105141号公報に記載の化学式(2)で表される含フッ素多官能(メタ)アクリレートを用いることもできる。
多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
電離放射線硬化型バインダー形成材料が、分子中にアルキレンオキサイド部位を有することが好ましい。アルキレンオキサイド部位が無機微粒子表面に配位し、無機微粒子の分散性を改良するためと推定される。
以下に、分子中にアルキレンオキサイド部位を有する電離放射線硬化型バインダー形成材料を示す。nは電離放射線硬化型バインダー形成材料中に含まれるアルキレンオキサイド部位の繰り返し回数の平均値を表す。また、以下、エチレンオキシドを「EO」、プロピレンオキシドを「PO」と略する。
E−1 EO付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(n=1)
E−2 EO付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(n=1.5)
E−3 EO付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(n=2)
E−4 EO付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(n=6)
E−5 PO付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(n=1)
E−6 PO付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(n=2)
E−7 EO付加グリセリントリ(メタ)アクリレート(n=2)
E−8 PO付加グリセリントリ(メタ)アクリレート(n=2)
E−9 EO付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート(n=2)
E−10 PO付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート(n=2)
E−11 EO付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート(n=2)
E−12 PO付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート(n=2)
E−13 EO付加ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(n=1.5)
E−14 EO付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(n=1)
E−15 PO付加ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(n=1.5)
E−16 PO付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(n=1)
E−17 トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート
また、本発明の塗布組成物に含有される電離放射線硬化型バインダー形成材料には、下記(E)及び(F)の多官能アクリレート系モノマーが併用されていることがより好ましい。
(E)エチレンオキシド若しくはプロピレンオキシドを付加した多官能アクリレート系モノマー
(F)オキシド類を付加しない多官能アクリレート系モノマー
(E)及び(F)の多官能アクリレート系モノマーを併用することで、硬度が硬く、かつ密着性と柔軟性に優れた光学フィルムを得ることができる。
ここで、「アクリレート系モノマー」とは、アクリロイル基を有するアクリレートモノマーと、メタアクリロイル基を有するメタアクリレートモノマーを指す。
このうち(E)で定義される、エチレンオキシド(EO)若しくはプロピレンオキシド(PO)を付加した多官能アクリレート系モノマーにおいて、EO若しくはPOの繰り返し数の平均値nとしては、n=1〜15が好ましく、n=1〜10がより好ましく、n=1〜6が更に好ましく、n=1〜3が特に好ましい。
(E)の、EO若しくはPOを付加した多官能アクリレート系モノマーの具体例としては、上記E−1〜E−17を挙げられる。(E)として複数のものが併用されてもよい。
(E)としては、EO付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが好ましい。また、上記具体例の中でも、E−1、E−2、E−10が特に好ましく用いられる。
(F)で定義される、オキシド類を付加しない多官能アクリレート系モノマーとは、何も付加処理をしない普通の多官能モノマーを指し、特に高硬度の放射線硬化樹脂を作製するために当業界で一般的に知られた多官能アクリレート系モノマーを好ましく用いることができる。
具体的には以下のモノマーが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
F−1 トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート
F−2 トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、
F−3 ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート
F−4 ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート
F−5 ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート
F−6 ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート
F−7 ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート
F−8 ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート
F−9 ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート
F−10 グリセリントリ(メタ)アクリレート
F−11 1,2,3−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート
(F)として複数のものが併用されてもよい。
上記具体例の中でも、F−3、F−7、F−8が好ましい。また、F−7とF−8との混合物を用いることも好ましい。
また、前記多官能アクリレート系モノマーの(E)と(F)の好ましい混合比は、(E):(F)=5:95〜95:5であり、より好ましくは(E):(F)=10:90〜90:10、更に好ましくは(E):(F)=30:70〜70:30である。
また、ハードコート性を向上させるために、(E)、(F)の化合物は重合硬化後の弾性率が高い化合物であることが好ましい。
本発明の塗布組成物における電離放射線硬化型バインダー形成材料の含有量は、塗布組成物中の全固形分に対して、50質量%以上100質量%未満であり、好ましくは55質量%以上98質量%であり、更に好ましくは60質量%以上95質量%である。
(c)光重合開始剤
本発明の塗布組成物は、光重合開始剤を含む。電離放射線硬化型バインダー形成材料の硬化は、該光重合開始剤の存在下、電離放射線の照射により行うことができる。更に、熱開始剤を用いて加熱により硬化を促進させてもよい。
<光重合開始剤>
光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ−ジメチル−p−イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、が含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン及びp−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3’、4、4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
ボレート塩としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、及び、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19〜22頁,1998年,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩記載される化合物があげられる。例えば、前記特開2002−116539号明細書の段落番号[0022]〜[0027]記載の化合物が挙げられる。またその他の有機ホウ素化合物としては、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられ、具体例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
活性エステル類の例には1、2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。
具体的には特開2000−80068記載の実施例記載化合物1〜21が特に好ましい。
オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
活性ハロゲン類としては、具体的には、若林 等の“Bull Chem.Soc Japan”42巻、2924頁(1969年)、米国特許第3,905,815号明細書、特開平5−27830号、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1巻(3号),(1970年)等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:s−トリアジン化合物が挙げられる。より好適には、少なくとも一つのモノ、ジ又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。具体的な例にはS−トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−スチリルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(3−Br−4−ジ(エチル酢酸エステル)アミノ)フェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−トリハロメチル−5−(p−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールが含まれる。具体的には特開昭58−15503のp14〜p30、特開昭55−77742のp6〜p10、特公昭60−27673のp287記載のNo.1〜No.8、特開昭60−239736のp443〜p444のNo.1〜No.17、US−4701399のNo.1〜19などの化合物が特に好ましい。
無機錯体の例にはビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムが挙げられる。
クマリン類の例には3−ケトクマリンが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。
「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159、及び、「紫外線硬化システム」 加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,500,819,907,127,369,1173,1870,2959,4265,4263など)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等及びそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
本発明の塗布組成物における光重合開始剤の含有量は、電離放射線硬化型バインダー材料100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
<光増感剤>
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトン及びチオキサントン、などを挙げることができる。
更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
<熱開始剤>
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
(d)有機溶剤
本発明の塗布組成物に用いられる溶剤としては、各成分を溶解又は分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶剤が使用できる。
溶媒は2種類以上のものを混合して用いることができる。特に、乾燥負荷の観点から、常圧室温における沸点が100℃以下の溶剤を主成分とし、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶剤を少量含有することが好ましい。
沸点が100℃以下の溶剤としては、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃)、ヘプタン(98.4℃)、シクロヘキサン(80.7℃)、ベンゼン(80.1℃)などの炭化水素類、ジクロロメタン(39.8℃)、クロロホルム(61.2℃)、四塩化炭素(76.8℃)、1,2−ジクロロエタン(83.5℃)、トリクロロエチレン(87.2℃)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6℃)、ジイソプロピルエーテル(68.5℃)、ジプロピルエーテル (90.5℃)、テトラヒドロフラン(66℃)などのエーテル類、ギ酸エチル(54.2℃)、酢酸メチル(57.8℃)、酢酸エチル(77.1℃)、酢酸イソプロピル(89℃)などのエステル類、アセトン(56.1℃)、2−ブタノン(メチルエチルケトンと同じ、79.6℃)などのケトン類、メタノール(64.5℃)、エタノール(78.3℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−プロパノール(97.2℃)などのアルコール類、アセトニトリル(81.6℃)、プロピオニトリル(97.4℃)などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2℃)などがある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
沸点が100℃を以上の溶剤としては、例えば、オクタン(125.7℃)、トルエン(110.6℃)、キシレン(138℃)、テトラクロロエチレン(121.2℃)、クロロベンゼン(131.7℃)、ジオキサン(101.3℃)、ジブチルエーテル(142.4℃)、酢酸イソブチル(118℃)、シクロヘキサノン(155.7℃)、2−メチル−4−ペンタノン(MIBKと同じ、115.9℃)、1−ブタノール(117.7℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(166℃)、ジメチルスルホキシド(189℃)などがある。好ましくは、シクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノンである。
本発明の塗布組成物中の有機溶剤の含有量は、20質量%以上90質量%以下であり、好ましくは25質量%以上85質量%であり、更に好ましくは30質量%以上80質量%である。
<透光性粒子>
本発明の塗布組成物には、各種の透光性粒子を含有させることができる。透光性粒子を含有する塗布組成物により機能層を形成することにより、光学フィルムに防眩性(表面散乱性)や内部散乱性を付与することができる。
透光性粒子は有機粒子であっても、無機粒子であってもよい。粒径にばらつきがないほど、散乱特性にばらつきが少なくなり、ヘイズ値の設計が容易となる。透光性粒子としては、プラスチックビーズが好適であり、特に透明度が高く、バインダーとの屈折率差が前述のような数値になるものが好ましい。
有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート粒子(屈折率1.49)、架橋ポリ(アクリル−スチレン)共重合体粒子(屈折率1.54)、メラミン樹脂粒子(屈折率1.57)、ポリカーボネート粒子(屈折率1.57)、ポリスチレン粒子(屈折率1.60)、架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニル粒子(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド粒子(屈折率1.68)等が用いられる。
無機粒子としては、シリカ粒子(屈折率1.44)、アルミナ粒子(屈折率1.63)、ジルコニア粒子、チタニア粒子、また中空や細孔を有する無機粒子が挙げられる。
なかでも架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が好ましく用いられ、これらの粒子の中から選ばれた各透光性粒子の屈折率にあわせてバインダーの屈折率を調整することにより、本発明の内部ヘイズ、表面ヘイズ、中心線平均粗さを達成することができる。
更に、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としたバインダー(硬化後の屈折率が1.50〜1.53)とアクリル含率50〜100質量パーセントである架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体からなる透光性粒子を組合せて用いることが好ましく、特にバインダーと架橋ポリ(スチレン−アクリル)共重合体からなる透光性粒子(屈折率が1.48〜1.54)との組合せが好ましい。
本発明におけるバインダーと透光性粒子との屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましく、より好ましくは1.48〜1.65である。屈折率を前記範囲とするには、バインダー及び透光性粒子の種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
また、本発明においては、バインダーと透光性粒子との屈折率の差(透光性粒子の屈折率−バインダーの屈折率)は、絶対値として好ましくは0.001〜0.030であり、より好ましくは0.001〜0.020、更に好ましくは0.001〜0.015である。この差が0.030を超えると、光学フィルムの文字ボケ、暗室コントラストの低下、表面の白濁等の問題が生じる。
ここで、バインダーの屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。前記透光性粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
上記のような透光性粒子の場合には、バインダー中で透光性粒子が沈降し易いので、沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加してもよい。なお、無機フィラーは添加量が増す程、透光性粒子の沈降防止に有効であるが、塗膜の透明性に悪影響を与える。従って、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、バインダーに対して塗膜の透明性を損なわない程度に、0.1質量%未満程度含有させるとよい。
透光性粒子の平均粒径は0.5〜10μmが好ましく、より好ましくは5.0〜10.0μmである。この範囲であると、光の散乱角度分布が適正の範囲となり、ディスプレイの文字ボケが防止でき、更に、形成する層の膜厚を厚くする必要がなくカールやコスト上昇が抑えられる。
また、粒子径の異なる2種以上の透光性粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径の透光性粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径の透光性粒子で表面のザラツキ感を低減することが可能である。
本発明の塗布組成物における透光性粒子の含有量は、該塗布組成物の全固形分に対して、3〜30質量%が好ましく。より好ましくは5〜20質量%である。この範囲であると、画像ボケや表面の白濁やギラツキ等の問題を改善することができる。
また、本発明の塗布組成物から形成する機能層における透光性粒子の密度は、好ましくは10〜1000mg/m、より好ましくは100〜700mg/mである。
<透光性粒子調製、分級法>
本発明に係る透光性粒子の製造法は、懸濁重合法、乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、分散重合法、シード重合法等を挙げることができ、いずれの方法で製造されてもよい。これらの製造法は、例えば「高分子合成の実験法」(大津隆行、木下雅悦共著、化学同人社)130頁及び146頁から147頁の記載、「合成高分子」1巻、p.246〜290、同3巻、p.1〜108等に記載の方法、及び特許第2543503号明細書、同第3508304号明細書、同第2746275号明細書、同第3521560号明細書、同第3580320号明細書、特開平10−1561号公報、特開平7−2908号公報、特開平5−297506号公報、特開2002−145919号公報等に記載の方法を参考にすることができる。
透光性粒子の粒度分布はヘイズ値と拡散性の制御、塗布面状の均質性から単分散性粒子が好ましい。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、更に好ましくは0.01%以下である。このような粒度分布を持つ粒子は、調製又は合成反応後に、分級することも有力な手段であり、分級の回数を上げることやその程度を強くすることで、望ましい分布の粒子を得ることができる。
分級には風力分級法、遠心分級法、沈降分級法、濾過分級法、静電分級法等の方法を用いることが好ましい。
[光学フィルム]
本発明の光学フィルムは、透明支持体上に、本発明の塗布組成物を塗設した層を有する。本発明の塗布組成物を塗設して形成される層(機能層)としては、ハードコート層、帯電防止層、防眩層、低屈折率層、光学補償層などが挙げられる。本発明の塗布組成物は、なかでも、ヘイズが1.0%以下の透明性が要求され、かつ、500g荷重の鉛筆硬度試験で2H以上を必要とする層を形成することに好ましく、そのような層として、特に、ハードコート層を形成することに好ましい。
ここで、本発明でハードコート層とは、JIS―K5400に従う鉛筆硬度試験で評価した場合に、鉛筆硬度でH以上のものをいう。
また、本発明の光学フィルムのヘイズはJIS−K7105に規定されたヘーズ値のことであり、JIS−K7361−1で規定された測定法に基づき、日本電色工業(株)製の濁度計「NDH−1001DP」を用いて測定したヘイズ=(拡散光/全透過光)×100(%)として自動計測される値を用いた。
塗布組成物の塗設の方法は、特に制限はないが、透明支持体上に、ワイヤーバー塗布方式、グラビア塗布方式、スロット塗布方式などの方法により塗布組成物を塗布し、その後、電離放射線(紫外線、電子線など)の照射、又は熱の付与により硬化させ、形成することができる。
<光学フィルムの層構成>
本発明の光学フィルムについては、上記のような本発明の塗布組成物を塗設した層を用い、公知の層構成を使用することができる。たとえば、代表的な例としては以下のようなものがある。
a.支持体/ハードコート層
b.支持体1/ハードコート層2/低屈折率層5(図1)
c.支持体1/ハードコート層2/高屈折率層4/低屈折率層5(図2)
d.支持体1/ハードコート層2/中屈折率層3/高屈折率層4/低屈折率層5(図3)
b(図1)のように、支持体上にハードコート層を塗布した上に、低屈折率層を積層すると、反射防止フィルムとして好適に用いることができる。低屈折率層は、例えば、ハードコート層の上に低屈折率層4を光の波長の1/4前後の膜厚で形成することにより、薄膜干渉の原理により表面反射を低減することができる。
また、c(図2)のように支持体上にハードコート層を塗布した上に、高屈折率層、低屈折率層を積層しても反射防止フィルムとして好適に用いることができる。更に、d(図3)のように支持体、ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、そして低屈折率層の順序の層構成を設置することにより、反射率を1%以下とすることができる。
aないしdの構成において、ハードコート層2は防眩性を有する防眩層とすることができる。防眩性は図4に示されるようなマット粒子6の分散によるものでも、図5に示されるようなエンボス加工などの方法による表面の賦形によって形成されてもよい。マット粒子の分散によって形成される防眩層は、バインダーとバインダー中に分散された透光性粒子とから形成することができる。防眩性を有する防眩層は、好ましくは防眩性とハードコート性を兼ね備えており、複数層、例えば2層〜4層で構成されていてもよい。
また透持体とそれよりも表面側の層の間あるいは最表面に設けても良い層として、干渉ムラ(虹ムラ)防止層、帯電防止層(ディスプレイ側からの表面抵抗値を下げる等の要求がある場合、表面等へのゴミつきが問題となる場合)、別のハードコート層(1層のハードコート層ないし防眩層だけで硬度が不足する場合)、ガスバリアー層、水吸収層(防湿層)、密着改良層、防汚層(汚染防止層)、等が挙げられる。
本発明における前記b〜dの層構成の光学フィルムにおいて、構成する各層の屈折率は以下の関係を満たすことが好ましい。
ハードコート層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
本発明の塗布組成物を、複数の層を有する反射防止フィルム、防眩性反射防止フィルムの形成に使用する場合には、ハードコート層(防眩性層)を形成する塗布組成物として用いることが好ましい。特に、ヘイズが1%以下のハードコート層に用いることが特に好ましい。
(光学フィルムの形成方法)
本発明の光学フィルムの各層は以下の塗布方法により形成することができるが、この方法に制限されない。
ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられる。
光学フィルムの各層は、塗布後、加熱乾燥された後、紫外線や電子線等の電離放射線を照射され硬化処理されることが好ましい。
本発明に使用する電離放射線は、紫外線、電子線、γ線等で、化合物を活性化して架橋硬化させることができれば制限なく使用できるが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。紫外線反応性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプ又はシンクロトロン放射光等も用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は20mJ/cm以上が好ましく、更に好ましくは、50mJ/cm〜10000mJ/cmであり、特に好ましくは、50mJ/cm〜2000mJ/cmである。
紫外線照射は、反射防止層を構成する複数の層(中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層)それぞれに対して1層設ける毎に照射してもよいし、積層後照射してもよい。あるいはこれらを組み合わせて照射してもよい。生産性の点から、多層を積層後、紫外線を照射することが好ましい。
また、電子線も同様に使用できる。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることができる。
上記電離放射線で架橋反応、又は、重合反応により各層を形成する場合、架橋反応、又は、重合反応は酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で形成することにより、物理強度や耐薬品性に優れた層を形成することができる。
好ましくは酸素濃度が6体積%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成することであり、更に好ましくは酸素濃度が4体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、最も好ましくは1体積%以下である。
酸素濃度を10体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
<ハードコート層>
本発明の光学フィルムが、反射防止フィルムの場合、該フィルムを構成するハードコート層のヘイズは1.0%以下であることが好ましく、0.75%以下が更に好ましく、0.5%以下が最も好ましい。
反射防止フィルムは、白呆け、画像の呆け、ギラツキ現象をなくし、明室での黒の締まりを改善するために、表面を平らにすることが好ましい。具体的には表面粗さを示す特性のうち、中心線平均粗さ(Ra)を0.10μm以下とすることが好ましい。Raは、より好ましくは0.09μm以下であり、更に好ましくは0.08μm以下である。反射防止フィルムにおいては、フィルムの表面凹凸にはハードコート層の表面凹凸が支配的であり、ハードコート層の中心線平均粗さを上記範囲とすることが好ましい。
上記の表面形状を制御することに併せて、反射率特性を制御することも必要である。反射防止フィルムは、白呆け、画像の呆け、ギラツキ現象をなくし、明室での黒の締まりを改善するために、450nmから650nmまでの波長領域における積分反射率の平均値に対する5度鏡面反射率の平均値が65%以上とする。より好ましくは70%以上であり、更に好ましくは75%以上である。
また、積分反射率の絶対値を制御することも重要であり、450nmから650nmまでの波長領域における積分反射率の平均値が2.5%以下であることが好ましく、より好ましくは2.3%以下であり、更に好ましくは2.0%以下である。
反射防止フィルムの透過画像鮮明度は60%以上が好ましい。透過画像鮮明度は、一般にフィルムを透過して映す画像の呆け具合を示す指標であり、この値が大きい程、フィルムを通して見る画像が鮮明で良好であることを示す。透過画像鮮明度は好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上である。
ここで、透過画像鮮明度は、JIS K 7105に従い、スガ試験機(株)製の写像性測定器(ICM−2D型)にて、スリット幅が5mmの光学櫛を用いて測定できる。
反射防止フィルムのハードコート層の屈折率は、反射防止性のフィルムを得るための光学設計から、屈折率が1.45〜2.00の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1.45〜1.80であり、更に好ましくは1.45〜1.55である。ハードコート層の上に低屈折率層が少なくとも1層ある場合、屈折率がこの範囲にあると、十分な反射防止性能が得られ、反射光に色味がつくことを抑えることができる。
ハードコート層の膜厚は、フィルムに充分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から、ハードコート層の厚さは通常0.5μm〜50μm程度とし、5μm以上20μm以下が好ましく、7.5μm以上17.5μm以下が特に好ましい。ハードコート層の膜厚を5μm以上20μm以下とすることで、膜硬度と脆性の両立したハードコート層を得ることができる。
また、ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であり、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
更に、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
<低屈折率層>
本発明の光学フィルムを反射防止フィルム、防眩性反射防止フィルムとして使用する場合には、ハードコート層などの機能層の上に低屈折率層を設けることが好ましい。
低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の強度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、反射防止フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90度以上であることが好ましい。更に好ましくは95度以上であり、特に好ましくは100度以上である。
上記低屈折率層は、バインダーと微粒子とを含有して形成されているのが好ましい。以下、各構成成分について説明する。
〔バインダー〕
上記低屈折率層が含有するバインダー形成材料としては、含フッ素ビニルモノマーを他の共重合成分と共重合してなる含フッ素共重合体を好ましく用いることができる。
含フッ素ビニルモノマーとしてはフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分又は完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学製)やR−2020(商品名、ダイキン製)等)、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。これらの含フッ素ビニルモノマーの組成比を上げれば屈折率を下げることができるが、皮膜強度は低下する。本発明では含フッ素共重合体のフッ素含率が20〜60質量%となるように含フッ素ビニルモノマーを導入することが好ましく、より好ましくは25〜55質量%の場合であり、特に好ましくは30〜50質量%の場合である。
上記含フッ素ビニルモノマーと共重合させる他の共重合成分としては、架橋反応性付与のために下記(A)、(B)、(C)で示されるモノマーなどが好ましく挙げられる。
(A):グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマー。
(B):カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等)。
(C):分子内に上記(A)、(B)の官能基と反応する基とそれとは別に架橋性官能基を有するモノマー(例えばヒドロキシル基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で合成できるモノマー)。
上記(C)のモノマーは、架橋性官能基が光重合性基であることが好ましい。ここに、光重合性基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、シンナモイル基、シンナミリデンアセチル基、ベンザルアセトフェノン基、スチリルピリジン基、α−フェニルマレイミド基、フェニルアジド基、スルフォニルアジド基、カルボニルアジド基、ジアゾ基、o−キノンジアジド基、フリルアクリロイル基、クマリン基、ピロン基、アントラセン基、ベンゾフェノン基、スチルベン基、ジチオカルバメート基、キサンテート基、1,2,3−チアジアゾール基、シクロプロペン基、アザジオキサビシクロ基などを挙げることができ、これらは1種のみでなく2種以上であってもよい。これらのうち、(メタ)アクリロイル基及びシンナモイル基が好ましく、特に好ましくは(メタ)アクリロイル基である。
光重合性基を含有する含フッ素共重合体を調製するための具体的な方法としては、下記の方法を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
a.水酸基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、(メタ)アクリル酸クロリドを反応させてエステル化する方法、
b.水酸基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、イソシアネート基を含有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させてウレタン化する方法、
c.エポキシ基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、(メタ)アクリル酸を反応させてエステル化する方法、
d.カルボキシル基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、エポキシ基を含有する含有(メタ)アクリル酸エステルを反応させてエステル化する方法。
上記光重合性基の導入量は任意に調節することができ、塗膜面状安定性・無機粒子共存時の面状故障低下・膜強度向上などの点からカルボキシル基やヒドロキシル基等を一定量残すことも好ましい。
本発明に有用な含フッ素共重合体では上記含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位及び側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位以外に、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜他のビニルモノマーを共重合することもできる。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、合計で共重合体中の0〜65モル%の範囲で導入されていることが好ましく、0〜40モル%の範囲であることがより好ましく、0〜30モル%の範囲であることが特に好ましい。
併用可能な他のビニルモノマーとしては、特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2‐ヒドロキシエチル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N,N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N,N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル等を挙げることができる。
本発明で特に有用な含フッ素共重合体は、パーフルオロオレフィンとビニルエーテル類又はビニルエステル類とのランダム共重合体である。特に単独で架橋反応可能な基((メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等)を有していることが好ましい。これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70mol%を占めていることが好ましく、特に好ましくは30〜60mol%の場合である。好ましいポリマーについては、特開2002−243907号、特開2002−372601号、特開2003−26732号、特開2003−222702号、特開2003−294911号、特開2003−329804号、特開2004−4444、特開2004−45462号に記載のものを挙げることができる。
本発明に好ましく用いることのできる含フッ素共重合体には、防汚性を付与する目的で、ポリシロキサン構造が導入されていることが好ましい。ポリシロキサン構造の導入方法に制限はないが例えば特開平6−93100号、特開平11−189621号、同11−228631号、特開2000−313709号の各公報に記載のごとく、シリコーンマクロアゾ開始剤を用いてポリシロキサンブロック共重合成分を導入する方法、特開平2−251555号、同2−308806号の各公報に記載のごとくシリコーンマクロマーを用いてポリシロキサングラフト共重合成分を導入する方法が好ましい。特に好ましい化合物としては、特開平11−189621号の実施例1、2、及び3のポリマー、又は特開平2−251555号の共重合体A−2及びA−3を挙げることができる。これらのポリシロキサン成分は含フッ素共重合体中の0.5〜10質量%であることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%である。
本発明に好ましく用いることのできる含フッ素共重合体の好ましい分子量は、質量平均分子量が5000以上、好ましくは10000〜500000、最も好ましくは15000〜200000である。平均分子量の異なる含フッ素共重合体を併用することで塗膜面状の改良や耐傷性の改良を行うこともできる。
(重合性の不飽和結合を有する化合物)
上記バインダー形成材料としては、上記の含フッ素共重合体と、特開平10−25388号公報及び特開2000−17028号公報に記載のごとく、適宜重合性の不飽和結合を有する化合物とを併用してもよい。また、特開2002−145952号に記載のごとく含フッ素の多官能の重合性の不飽和結合を有する化合物との併用も好ましい。重合性の不飽和結合を有する化合物としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の重合性官能基を有する化合物が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。特に好ましくは下記の1分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を用いることができる。これら化合物は、特にポリマー本体に重合性不飽和基を有する化合物を用いた場合に耐擦傷性、あるいは薬品処理後の耐擦傷性改良に対する併用効果が大きく好ましい。
重合性の不飽和結合を有する化合物の具体例としては、前記電離放射線硬化型バインダー形成材料と同じ化合物が共通で使用できる。
多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
(フッ素を含有する重合性化合物)
本発明では、重合性基を3つ以上有する含フッ素化合物であって、フッ素含有率が該含フッ素化合物の分子量の35.0質量%以上であり、前記重合性基を重合させたとき、すべての架橋間分子量の計算値が300以下である含フッ素多官能モノマーも好ましく利用できる。具体的には、特開2006−28409号公報の段落番号〔0023〕から〔0027〕に記載のX−2〜4、X−6、X−8〜14、X−21〜32に加えて、以下の化合物(X−33)も好ましく用いることができる。
Figure 0005750231
また、特開2006−284761号公報の段落番号〔0062〕から〔0065〕に記載の下記M−1〜M−16も好ましく用いることができる。
また、以下に示す化合物MA1〜MA20も好ましく用いることができる。
Figure 0005750231
Figure 0005750231
Figure 0005750231
Figure 0005750231
中でも耐擦傷性と低屈折率の両立という観点から下記X−22又はM−1を用いることが特に好ましく、M−1を用いることが最も好ましい。
Figure 0005750231
また、WO2005/059601号公報の段落番号0135から0149に記載の化合物も好適に用いることができる。
更には、特開2006−291077号公報の段落番号0014から0028に記載の化合物も好適に用いることができる。
(多孔質又は中空の微粒子)
低屈折率化を図るために、低屈折率層に多孔質又は中空構造の微粒子を使用することが特に好ましい。これら粒子の空隙率は、好ましくは10〜80%、更に好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。中空微粒子の空隙率を上述の範囲にすることが、低屈折率化と粒子の耐久性維持の観点で好ましい。
多孔質又は中空粒子がシリカの場合には、微粒子の屈折率は、1.10〜1.40が好ましく、更に好ましくは1.15〜1.35、最も好ましくは1.15〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、シリカ粒子を形成している外殻のシリカのみの屈折率を表すものではない。
多孔質又は中空シリカの製造方法は、例えば特開2001−233611や特開2002−79616に記載されている。特にシェルの内部に空洞を有している粒子で、そのシェルの細孔が閉塞されている粒子が特に好ましい。なお、これら中空シリカ粒子の屈折率は特開2002−79616号公報に記載の方法で算出することができる。
多孔質又は中空シリカの塗設量は、1mg/m〜100mg/mが好ましく、より好ましくは5mg/m〜80mg/m、更に好ましくは10mg/m〜60mg/mである。少なすぎると、低屈折率化の効果や耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する。
多孔質又は中空シリカの平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、中空シリカの粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上100nm以下、更に好ましくは、40nm以上65nm以下である。
本発明においては、空孔含有微粒子はサイズ分布を有していてもよく、その変動係数は好ましくは60%〜5%、更に好ましくは50%〜10%である。また、平均粒子サイズの異なる2種又は3種以上の粒子を混合して用いることもできる。
シリカ微粒子の粒径が小さすぎると、空腔部の割合が減り屈折率の低下が見込めず、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する。シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子が好ましい。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
また、中空シリカは粒子平均粒子サイズの異なるものを2種以上併用して用いることができる。ここで、中空シリカの平均粒径は電子顕微鏡写真から求めることができる。
本発明において中空シリカの比表面積は、20〜300m/gが好ましく、更に好ましくは30〜120m/g、最も好ましくは40〜90m/gである。表面積は窒素を用いBET法で求めることが出来る。
本発明において、中空シリカと併用して空腔のないシリカ粒子を用いることができる。空腔のないシリカの好ましい粒子サイズは、30nm以上150nm以下、更に好ましくは35nm以上100nm以下、最も好ましくは40nm以上80nm以下である。
(無機微粒子の表面処理方法)
無機微粒子の表面の処理方法について、多孔質又は中空の無機微粒子を例として述べる。低屈折率層形成用の塗布組成物への分散性を改良するために、無機微粒子の表面はオルガノシランの加水分解物及び/又はその部分縮合物により処理がされているのが好ましく、処理の際に、酸触媒及び金属キレート化合物のいずれか、あるいは両者が使用されることが更に好ましい。オルガノシランの構造は特に限定されないが、末端に(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましい。
(オルガノシラン化合物)
本発明の光学フィルムを構成する層のうちの少なくとも1層は、その層を形成する塗布液中に、オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又はその部分縮合物の少なくとも一種の成分、いわゆるゾル成分(以降このように称する場合もある)を含有することが耐擦傷性の点で好ましい。
特に、本発明の光学フィルムを反射防止フィルムとする場合には、反射防止能と耐擦傷性を両立させるために、低屈折率層にゾル成分を含有することが好ましい。このゾル成分は、塗布液を塗布後、乾燥、加熱工程で縮合して硬化物を形成し上記層のバインダーの一部となる。また、該硬化物が重合性不飽和結合を有する場合、活性光線の照射により3次元構造を有するバインダーが形成される。
オルガノシラン化合物は、下記一般式1で表されるものが好ましい。
一般式1:(R−Si(X)4−m
上記一般式1において、R1は置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基か好ましく、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アルキル基の具体例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基又は加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びRCOO(Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。例えばCHCOO、CCOO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
mは1〜3の整数を表し、好ましくは1〜2である。
Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
1に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
1は置換アルキル基若しくは置換アリール基であることが好ましい。
オルガノシラン化合物としては、一般式2の化合物を出発原料として合成される下記一般式2で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物も好ましい。
Figure 0005750231
上記一般式2において、Rは水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、又は塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、及び塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、及び塩素原子が更に好ましく、水素原子及びメチル基が特に好ましい。
Yは単結合若しくは*−COO−**、*−CONH−**又は*−O−**を表し、単結合、*−COO−**及び*−CONH−**が好ましく、単結合及び*−COO−**が更に好ましく、*−COO−**が特に好ましい。*は=C(R)−に結合する位置を、**はLに結合する位置を表す。
Lは2価の連結鎖を表す。具体的には、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換若しくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換若しくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
lはl=100−mの数式を満たす数を表し、mは0〜50の数を表す。mは0〜40の数がより好ましく、0〜30の数が特に好ましい。
〜R5は、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基、若しくは無置換のアルキル基を表す。R〜Rは塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基がより好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基若しくはメトキシ基が特に好ましい。
は水素原子、アルキル基を表す。アルキル基はメチル基、エチル基などが好ましい。Rは前述の一般式1のRで定義された基あるいは水酸基を表す。水酸基若しくは無置換のアルキル基がより好ましく、水酸基若しくは炭素数1〜3のアルキル基が更に好ましく、水酸基若しくはメチル基が特に好ましい。
一般式1の化合物は2種類以上を併用しても良い。特に一般式2の化合物は一般式1の化合物2種類を出発原料として合成される。以下に一般式1の化合物及び一般式2で表される化合物の出発原料の具体例を示すが、限定されるものではない。
Figure 0005750231
Figure 0005750231
Figure 0005750231
Figure 0005750231
SI−48 メチルトリメトキシシラン
本発明の所望の効果を得るためには、オルガノシランの加水分解物及び/又はその部分縮合物における前記ビニル重合性基を含有するオルガノシランの含有量は、オルガノシランの加水分解物及び/又はその部分縮合物の全量中30質量%〜100質量%が好ましく、50質量%〜100質量%がより好ましく、70質量%〜95質量%が更に好ましい。
上記オルガノシランの加水分解物及びその部分縮合物の少なくともいずれかは塗布品性能の安定化のためには揮発性を抑えることが好ましく、具体的には、105℃における1時間当たりの揮発量が5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
本発明に用いられるゾル成分は上記オルガノシランを加水分解及び/又は部分縮合することにより調製される。
加水分解縮合反応は加水分解性基(X)1モルに対して0.05〜2.0モル、好ましくは0.1〜1.0モルの水を添加し、本発明に用いられる触媒の存在下、25〜100℃で、撹拌することにより行われる。
上記オルガノシランの加水分解物及びその部分縮合物の少なくともいずれかにおいて、ビニル重合性基を含有するオルガノシランの加水分解物及びその部分縮合物いずれかの質量平均分子量は、分子量が300未満の成分を除いた場合に、450〜20000が好ましく、500〜10000がより好ましく、550〜5000が更に好ましく、600〜3000が更に好ましい。
ここで、質量平均分子量及び分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量であり、含有量は、分子量が300以上の成分のピーク面積を100%とした場合の、前記分子量範囲のピークの面積%である。
分散度(質量平均分子/数平均分子量)は3.0〜1.1が好ましく、2.5〜1.1がより好ましく、2.0〜1.1が更に好ましく、1.5〜1.1が特に好ましい。
本発明で用いるオルガノシラン化合物の加水分解物及び部分縮合物について詳細を説明する。
オルガノシランの加水分解反応、それに引き続く縮合反応は、一般に触媒の存在下で行われる。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、酪酸、マレイン酸、クエン酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラブチルチタネート、ジブチル錫ジラウレート等の金属アルコキシド類;Zr、Ti又はAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等;KF、NHFなどの含F化合物が挙げられる。
上記触媒は単独で使用しても良く、或いは複数種を併用しても良い。
オルガノシランの加水分解・縮合反応は、無溶媒でも、溶媒中でも行うことができるが成分を均一に混合するために有機溶媒を用いることが好ましく、例えばアルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好適である。
溶媒はオルガノシランと触媒を溶解させるものが好ましい。また、有機溶媒が塗布液あるいは塗布液の一部として用いることが工程上好ましく、含フッ素ポリマーなどのその他の素材と混合した場合に、溶解性あるいは分散性を損なわないものが好ましい。
オルガノシランの加水分解性基1モルに対して0.05〜2モル、好ましくは0.1〜1モルの水を添加し、上記溶媒の存在下あるいは非存在下に、そして触媒の存在下に、25〜100℃で、撹拌することにより行われる。
本発明に用いられる塗布液には、上記ゾル成分及び金属キレート化合物を含む組成物に加えて、β−ジケトン化合物及びβ−ケトエステル化合物の少なくともいずれかが添加されることが好ましい。
上記オルガノシラン化合物の加水分解物及び部分縮合物の含有量は、比較的薄膜である反射防止層の場合は少なく、厚膜であるハードコート層の場合は多いことが好ましい。含有量は効果の発現、屈折率、膜の形状・面状等を考慮すると、含有層(添加層)の全固形分の0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、1〜15質量%が最も好ましい。
<透明支持体>
本発明の光学フィルムの透明支持体としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートや透明ガラスなど、特に限定は無い。透明樹脂フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム等が使用できる。
支持体の厚さは通常25μm〜1000μm程度のものを用いることができるが、好ましくは25μm〜250μmであり、30μm〜90μmであることがより好ましい。
支持体の巾は任意のものを使うことができるが、ハンドリング、得率、生産性の点から通常は100〜5000mmのものが用いられ、800〜3000mmであることが好ましく、1000〜2000mmであることが更に好ましい。
支持体の表面は平滑であることが好ましく、平均粗さRaの値が1μm以下であることが好ましく、0.0001〜0.5μmであることが好ましく、0.001〜0.1μmであることが更に好ましい。
<セルロースアシレートフィルム>
上記各種フィルムの中でも、透明性が高く、光学的に複屈折が少なく、製造が容易であり、偏光板の保護フィルムとして一般に用いられているセルロースアシレートフィルムが好ましい。
セルロースアシレートフィルムについては力学特性、透明性、平面性などを改良する目的のため、種々の改良技術が知られており、公開技報2001−1745に記載された技術は公知のものとして本発明のフィルムに用いることができる。
本発明ではセルロースアシレートフィルムの中でもセルローストリアセテートフィルムが特に好ましく、セルロースアシレートフィルムに酢化度が59.0〜61.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定及び計算に従う。
セルロースアシレートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることが更に好ましい。
また、本発明に使用するセルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の値が1.0に近いこと、換言すれば分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることが更に好ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
一般に、セルロースアシレートの2,3,6の水酸基は全体の置換度の1/3づつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。本発明ではセルロースアシレートの6位水酸基の置換度が、2,3位に比べて多いほうが好ましい。
全体の置換度に対して6位の水酸基が32%以上アシル基で置換されていることが好ましく、更には33%以上、特に34%以上であることが好ましい。更にセルロースアシレートの6位アシル基の置換度が0.88以上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基であるプロピオニル基、ブチロイル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基などで置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求めることができる。
本発明ではセルロースアシレートとして、特開平11−5851号公報の段落「0043」〜「0044」[実施例][合成例1]、段落「0048」〜「0049」[合成例2]、段落「0051」〜「0052」[合成例3]に記載の方法で得られたセルロースアセテートを用いることができる。
[偏光板]
本発明の偏光板は、偏光膜と、該偏光膜の両側に設けられた保護フィルムとを有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が、本発明の光学フィルムである偏光板である。
[画像表示装置]
本発明の光学フィルム又は偏光板は、各種表示装置の反射防止フィルムとして好適に利用できる。本発明の反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)、電界放出ディスプレイ(FED)、表面電界ディスプレイ(SED)のような様々な画像表示装置において、外光の反射や像の映り込みによるコントラスト低下を防止するために使用できる。
本発明の画像表示装置(好ましくは液晶表示装置)は、本発明の光学フィルム又は偏光板を有する。本発明の光学フィルム又は偏光板はディスプレイの表面(表示画面の視認側)に配置されることが好ましい。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特別の断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(実施例1)
(1)ハードコート層用塗布液の調製
───────────────────────────────────
ハードコート層用塗布液1の組成
───────────────────────────────────
PET−30 21.4質量部
ビスコート360 21.4質量部
イルガキュア127 1.28質量部
MEK−ST 29.3質量部
MiBK−ST 7.3質量部
メチルイソブチルケトン 6.1質量部
メチルエチルケトン 13.2質量部
SP−13 0.03質量部
───────────────────────────────────
───────────────────────────────────
ハードコート層用塗布液2の組成
───────────────────────────────────
PET−30 21.4質量部
ビスコート360 21.4質量部
M−0 0.03質量部
イルガキュア127 1.28質量部
MEK−ST 29.3質量部
MiBK−ST 7.3質量部
メチルイソブチルケトン 6.1質量部
メチルエチルケトン 13.2質量部
SP−13 0.03質量部
───────────────────────────────────
───────────────────────────────────
ハードコート層用塗布液3の組成
───────────────────────────────────
PET−30 21.3質量部
ビスコート360 21.3質量部
M−0 0.08質量部
イルガキュア127 1.28質量部
MEK−ST 29.3質量部
MiBK−ST 7.3質量部
メチルイソブチルケトン 6.1質量部
メチルエチルケトン 13.2質量部
SP−13 0.03質量部
───────────────────────────────────
───────────────────────────────────
ハードコート層用塗布液4の組成
───────────────────────────────────
PET−30 21.2質量部
ビスコート360 21.2質量部
M−0 0.28質量部
イルガキュア127 1.28質量部
MEK−ST 29.3質量部
MiBK−ST 7.3質量部
メチルイソブチルケトン 6.1質量部
メチルエチルケトン 13.2質量部
SP−13 0.03質量部
───────────────────────────────────
───────────────────────────────────
ハードコート層用塗布液5の組成
───────────────────────────────────
PET−30 20.7質量部
ビスコート360 20.7質量部
M−0 1.38質量部
イルガキュア127 1.28質量部
MEK−ST 29.3質量部
MiBK−ST 7.3質量部
メチルイソブチルケトン 6.1質量部
メチルエチルケトン 13.2質量部
SP−13 0.03質量部
───────────────────────────────────
───────────────────────────────────
ハードコート層用塗布液6の組成
───────────────────────────────────
PET−30 20.4質量部
ビスコート360 20.4質量部
M−0 1.93質量部
イルガキュア127 1.28質量部
MEK−ST 29.3質量部
MiBK−ST 7.3質量部
メチルイソブチルケトン 6.1質量部
メチルエチルケトン 13.2質量部
SP−13 0.03質量部
───────────────────────────────────
───────────────────────────────────
ハードコート層用塗布液7の組成
───────────────────────────────────
PET−30 21.2質量部
ビスコート360 21.2質量部
M−1 0.28質量部
イルガキュア127 1.28質量部
MEK−ST 29.3質量部
MiBK−ST 7.3質量部
メチルイソブチルケトン 6.1質量部
メチルエチルケトン 13.2質量部
SP−13 0.03質量部
───────────────────────────────────
───────────────────────────────────
ハードコート層用塗布液8の組成
───────────────────────────────────
PET−30 21.2質量部
ビスコート360 21.2質量部
ジエチレングリコール 0.28質量部
イルガキュア127 1.28質量部
MEK−ST 29.3質量部
MiBK−ST 7.3質量部
メチルイソブチルケトン 6.1質量部
メチルエチルケトン 13.2質量部
SP−13 0.03質量部
───────────────────────────────────
───────────────────────────────────
ハードコート層用塗布液9の組成
───────────────────────────────────
PET−30 21.2質量部
ビスコート360 21.2質量部
イソプロパノール 0.28質量部
イルガキュア127 1.28質量部
MEK−ST 29.3質量部
MiBK−ST 7.3質量部
メチルイソブチルケトン 6.1質量部
メチルエチルケトン 13.2質量部
SP−13 0.03質量部
───────────────────────────────────
───────────────────────────────────
ハードコート層用塗布液10の組成
───────────────────────────────────
PET−30 21.2質量部
ビスコート360 21.2質量部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 0.28質量部
イルガキュア127 1.28質量部
MEK−ST 29.3質量部
MiBK−ST 7.3質量部
メチルイソブチルケトン 6.1質量部
メチルエチルケトン 13.2質量部
SP−13 0.03質量部
───────────────────────────────────
───────────────────────────────────
ハードコート層用塗布液11の組成
───────────────────────────────────
PET−30 21.2質量部
ビスコート360 21.2質量部
M−2 0.28質量部
イルガキュア127 1.28質量部
MEK−ST 29.3質量部
MiBK−ST 7.3質量部
メチルイソブチルケトン 6.1質量部
メチルエチルケトン 13.2質量部
SP−13 0.03質量部
───────────────────────────────────
───────────────────────────────────
ハードコート層用塗布液12の組成
───────────────────────────────────
PET−30 18.2質量部
ビスコート360 18.2質量部
M−0 0.28質量部
イルガキュア127 1.23質量部
Z−7404 25.4質量部
メチルイソブチルケトン 2.7質量部
メチルエチルケトン 34.24質量部
SP−13 0.03質量部
───────────────────────────────────
───────────────────────────────────
ハードコート層用塗布液13の組成
───────────────────────────────────
PET−30 42.7質量部
イルガキュア127 1.28質量部
MEK−ST 29.3質量部
MiBK−ST 7.3質量部
メチルイソブチルケトン 6.1質量部
メチルエチルケトン 13.2質量部
SP−13 0.03質量部
───────────────────────────────────
───────────────────────────────────
ハードコート層用塗布液14の組成
───────────────────────────────────
PET−30 42.4質量部
M−0 0.28質量部
イルガキュア127 1.28質量部
MEK−ST 29.3質量部
MiBK−ST 7.3質量部
メチルイソブチルケトン 6.1質量部
メチルエチルケトン 13.2質量部
SP−13 0.03質量部
───────────────────────────────────
───────────────────────────────────
ハードコート層用塗布液15の組成
───────────────────────────────────
PET−30 39.2質量部
ビスコート360 39.2質量部
M−0 0.28質量部
イルガキュア127 2.35質量部
メチルイソブチルケトン 6.1質量部
メチルエチルケトン 13.2質量部
SP−13 0.03質量部
───────────────────────────────────
上記塗布液を孔径5μmのポリプロピレン製デプスフィルターでろ過後、更に孔径0.5μmのポリプロピレン製デプスフィルターでろ過してハードコート層用塗布液1〜15を調製した。
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
・PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
・ビスコート360:トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート[大阪有機化学(株)製]
・イルガキュア127:重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]
・MEK−ST:オルガノシリカゾル MEK(メチルエチルケトン)溶液、固形分濃度30質量%、平均粒径15nm[日産化学工業(株)製]
・MiBK−ST:オルガノシリカゾル MiBK(メチルイソブチルケトン)溶液、固形分濃度30質量%、平均粒径15nm[日産化学工業(株)製]
・SP−13:下記ポリマー(質量平均分子量19000)の固形分濃度40質量%のMEK溶液
Figure 0005750231
上記構造式中、「90」及び「10」は繰り返し単位の質量分率を表す。
・M−0:グリセリンモノメタクリレート(日油(株)製)
・M−1:下記のエチレンオキサイド変性リン酸アクリレート
Figure 0005750231
・M−2:下記のエピクロルヒドリン変性フタル酸ジアクリレート
Figure 0005750231
・Z−7404:ジルコニア微粒子(平均粒径15nm)含有ハードコート組成液(JSR(株)製)
(低屈折率層用塗布液LL−1の調製)
(エチレン性不飽和基を有する含フッ素重合体A(メタアクリル変性フッ素重合体)の合成)
まず、水酸基含有含フッ素重合体の合成を行った。内容積2.0リットルの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル400g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)53.2g、エチルビニルエーテル36.1g、ヒドロキシエチルビニルエーテル44.0g、過酸化ラウロイル1.00g、アゾ基含有ポリジメチルシロキサン(VPS1001(商品名)、和光純薬工業(株)製)6.0g及びノニオン性反応性乳化剤(NE−30(商品名)、旭電化工業(株)製)20.0gを仕込み、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
次いでヘキサフルオロプロピレン120.0gを仕込み、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達した時点での圧力は5.3×105Paを示した。その後、70℃で20時間攪拌下に反応を継続し、圧力が1.7×105Paに低下した時点でオートクレーブを水冷し、反応を停止させた。室温に達した後、未反応モノマーを放出してオートクレーブを開放し、固形分濃度26.4%のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液をメタノールに投入しポリマーを析出させた後、メタノールにて洗浄し、50℃にて真空乾燥を行い220gの水酸基含有含フッ素重合体を得た。これを水酸基含有含フッ素重合体とする。使用した単量体と溶剤を表1に示す。
Figure 0005750231
得られた水酸基含有含フッ素重合体に付き、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算数平均分子量を測定した。また、1H−NMR、13C−NMRの両NMR分析結果及び元素分析結果から、水酸基含有含フッ素重合体を構成する各単量体成分の割合を決定した。結果を表2に示す。
Figure 0005750231
NE−30は、下記式(10)において、nが9、mが1、uが30であるノニオン性反応性乳化剤である。
Figure 0005750231
続いて、得られた水酸基含有含フッ素重合体を用いてエチレン性不飽和基含有フッ素重合体Aを合成した。電磁攪拌機、ガラス製冷却管及び温度計を備えた容量1リットルのセパラブルフラスコに、製造例1で得られた水酸基含有含フッ素重合体を50.0g、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノール0.01g及びメチルイソブチルケトン(MIBK)370gを仕込み、20℃で水酸基含有含フッ素重合体がMIBKに溶解して、溶液が透明、均一になるまで攪拌を行った。
次いで、この系に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを15.1g添加し、溶液が均一になるまで攪拌した後、ジブチルチンジラウレート0.1gを添加して反応を開始し、系の温度を55〜65℃に保持し5時間攪拌を継続することにより、エチレン性不飽和基を有する含フッ素重合体AのMIBK溶液を得た。
この溶液をアルミ皿に2g秤量後、150℃のホットプレート上で5分間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、15.2質量%であった。使用した化合物、溶剤及び固形分含量を表3に示す。
Figure 0005750231
(低屈折率層用塗布液の調製)
上記のように合成して得られたエチレン性不飽和基を有する含フッ素重合体Aのメチルイソブチルケトン溶液を固形分として19質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(PET−30、日本化薬(株)製)8質量部、アクリル変性パーフルオロプロピレンオキシドB−3 15質量部、中空シリカ粒子(JX−1012SIV、触媒化成工業(株)製)を固形分として52質量部、光重合開始剤として式(16)で示される化合物(Irgacure127、チバ・スペシャルティーケミカルズ製)2.7質量部、Rad2600(Tego社製)を1.1質量部、Rad2500(Tego社製)を0.5質量部、サイラプレーンFM−0725(チッソ社製)を1.1質量部、及びMEKを固形分濃度が5%になるまで添加し、攪拌機をつけたガラス製セパラブルフラスコに仕込み、室温にて1時間攪拌後、孔径0.5μmのポリプロピレン製デプスフィルターでろ過し、低屈折率層用塗布液LL−1を得た。
以下、使用した化合物について説明する。
・Rad2600:Tego社製、数平均分子量:16,000であり、下記式(17)で表される構造単位と、下記式(18)で表される構造単位を含んでなり、下記式(18)で表される構造単位を6個有する。
Figure 0005750231
Figure 0005750231
・Rad2500:Tego社製、数平均分子量:1,500であり、上記式(17)で表される構造単位と、上記式(18)で表される構造単位を含んでなり、上記式(18)で表される構造単位を2個有する。
・PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物、日本化薬(株)製
・アクリル変性パーフルオロプロピレンオキシドB−3:下記化合物B−1においてRb=Hの化合物
Figure 0005750231
・中空シリカ粒子(触媒化成工業(株)製、商品名:JX−1012SIV(数平均粒子径0.050μm、シリカ粒子濃度20%、溶媒:イソプロパノール/MIBK=3/7)
・IRGACURE 127:下記式(16)で示される化合物、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製
Figure 0005750231
・サイラプレーンFM−0725:下記式(24)で示されるシリコーン化合物、チッソ社製、数平均分子量:10,000
Figure 0005750231
[式(24)中、gは、化合物の数平均分子量が10,000となる整数である。]
[ハードコート層、低屈折率層の塗設]
特開2003−211052号公報の図1に記載されたスロットダイコーターを用いて、トリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、ハードコート層用塗布液1を、30cc/mの流量で塗布し、25℃で15秒間、60℃で30秒間乾燥の後、更に窒素パージ下で160W/cmの「高圧水銀ランプ」{Dr.honle AG社製}を用いて、照射量120mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、ハードコート層HC−1(膜厚13μm)を作製した。同様にしてハードコート層用塗布液2〜15を塗設して、ハードコートフィルムHC−2〜15を作成した。その後、ハードコートフィルムHC−1〜15の上に、低屈折率層用塗布液(LL−1)を、特開2003−211052号公報の図1に記載されたスロットダイコーターを用いて、低屈折率層の乾燥膜厚が90nmになるようにウエット塗布し、25℃で15秒間、60℃で30秒間乾燥の後、更に窒素パージにより、酸素濃度100ppmの雰囲気下で240W/cmの「高圧水銀ランプ」{Dr.honle AG社製}を用いて、照射量300mJ/cmの紫外線を照射し、低屈折率層を形成させて巻き取り、反射防止機能を持つ光学フィルム(HL−1〜HL15)を作成した。各層の塗布はクラス100のクリーンルーム内で実施した。また、ハードコートフィルムHC−4の上に低屈折率層を塗布していない光学フィルムをHL−16とした。
(光学フィルムの評価)
以下の方法により光学フィルムの点欠陥、反射率及び鉛筆硬度の評価を行った。結果を表4に示す。
(点欠陥)
ハードコート層及び低屈折率層を塗布した後の光学フィルム表面上にある点欠陥の数を目視で判定した。目視で見える輝点欠陥のサイズは、50μm以上である。点欠陥は、1平方メートルあたりの個数でカウントした。1平方メートルあたりの点欠陥個数は、0.5個以下を合格とした。
(反射率)
鏡面反射率及び色味の測定は、分光光度計“V−550”[日本分光(株)製]にアダプター“ARV−474”を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5゜の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価した。
<鉛筆硬度>
光学フィルムの強度は、JIS―K5400に従う鉛筆硬度試験で評価した。鉛筆硬度は2H以上を合格とした。
<ヘイズ値>
光学フィルムのヘイズ値は、JIS−K7361−1で規定された測定法に基づき、日本電色工業(株)製の濁度計「NDH−1001DP」を用いて測定した。
なお、表4中の添加剤の添加量は、全固形分量に対する質量%を表す。
Figure 0005750231
表4から分かるように、本発明の光学フィルムは鉛筆硬度に優れる。更に、1分子あたりの水酸基数が2つ以上持つモノマー(表4中、「添加剤」)を、全固形分量に対する質量分率が0.1質量%以上3.0質量%以下含有する塗布組成物は、塗布して光学フィルムを形成した際に点欠陥故障が少ないことが分かる。更に、上記モノマーはアクリロイル基を有する際(M−0〜M−2)に更に点欠陥故障が少ないことが分かる。更に、1分子中のアクリロイル基が1つのとき(M−0〜M−1)に最も点欠陥故障が少なくなる。更に、アルキレンオキサイド変性アクリレートモノマー有する塗布組成物を塗布して形成した光学フィルムの方が点欠陥が少なく、好ましいことが分かる。また、低屈折率層を塗設した光学フィルムは反射率が低く、画像表示装置の表面フィルムとして使用した際に外光の映り込みが小さく、視認性に優れるため好ましい。
(1)支持体
(2)ハードコート層
(3)中屈折率層
(4)高屈折率層
(5)低屈折率層
(6)マット粒子

Claims (7)

  1. 下記の(a)〜(e)を含む塗布組成物であって、前記塗布組成物中の全固形分量に対する下記(a)の無機微粒子の含有量が1〜5質量%であり、下記(e)のモノマーの含有量が0.15〜2.5質量%であり、かつ下記(e)のモノマーが、1分子あたりのアクリロイル基又はメタクリロイル基を1つ有する、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、又は下記(A−22)で表される化合物である、塗布組成物。
    (a)平均粒径1〜100nmの無機微粒子
    (b)電離放射線硬化型バインダー形成材料
    (c)光重合開始剤
    (d)有機溶剤
    (e)1分子あたりの水酸基数が2つ以上のモノマー
    Figure 0005750231
  2. 前記(b)の電離放射線硬化型バインダー形成材料が、分子中にアルキレンオキサイド部位を有する請求項1に記載の塗布組成物。
  3. 透明支持体上に、請求項1又は2に記載の塗布組成物を塗設した層を有する光学フィルム。
  4. 前記塗布組成物を塗設した層がハードコート層である請求項3に記載の光学フィルム。
  5. 更に、前記層の上に低屈折率層を有する請求項3又は4に記載の光学フィルム。
  6. 偏光膜と該偏光膜の両側に保護フィルムを有する偏光板であって、少なくとも一方の保護フィルムが請求項3〜5のいずれか1項に記載の光学フィルムである偏光板。
  7. 請求項3〜5のいずれか1項に記載の光学フィルム又は請求項6に記載の偏光板を有する画像表示装置。
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