JP5749828B2 - 平板状膜エレメント及びそれを用いた浸漬型膜分離装置 - Google Patents

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Description

本発明は、処理槽に貯留された濾過対象液に浸漬されて濾過に使用される平板状膜エレメントと、当該平板状膜エレメントを用いた浸漬型膜分離装置に関するものである。
浄化槽汚泥や生活系排水汚泥、し尿、施設排水等の処理対象液を濾過処理する設備として浸漬型膜分離装置が知られている。かかる浸漬型膜分離装置は、一般に、特許文献1(特開2003−117358号公報)に記載されているように、平板状膜エレメントの複数枚を組み付けた膜ユニットを備えており、この膜ユニットを処理対象液に浸漬して濾過処理するようになっている。
また、上記膜ユニットを構成する平板状膜エレメントは、上記特許文献1や特許文献2(特開2001−212436号公報)にも記載されているように、矩形平板形状の濾板の表面に対して、一回り小さい矩形薄膜形状の濾過膜シートを重ね合わせその周縁を濾板に溶着すると共に、濾過膜シートを透過した濾過液を外部に導く濾過液流路を濾板に形成してなる構造とされている。
ところで、このような平板状膜エレメントにおける濾過膜シートには、濾過液吸引のために外部から負圧が及ぼされる他、処理槽内に流体流動を生ぜしめ滞留を防ぐと共に微生物環境を保全し且つ濾過膜の目詰まりを防止するために下方から及ぼされる曝気による流体流動圧や振動が及ぼされる。また、濾過膜の目詰まりを物理的に解消するために外部から供給される正圧が及ぼされることもあるし、更に、処理槽内に超音波発生手段が設置されて超音波振動が及ぼされることもあり(特許文献3〜5参照)、耐久性が問題になりやすい。
一方、平板状膜エレメントで濾過処理された液を外部管体を通じて取り出すために、従来から、上記特許文献1,2に示されているように、濾過液流路の外方開口部分が、濾板から上方に向って突出するノズル部によって構成されており、このノズル部に対して外部管体が接続されるようになっている。
ところが、本発明者が検討したところ、前述のように浸漬型膜分離装置の稼働状態で平板状膜エレメントに対して流体流動圧や振動が及ぼされるために、ノズル部への外部管体の接続状態を安定して保持せしめるには、未だ充分でない場合のあることがわかった。即ち、前述の如き負圧や正圧、流体圧や振動等によって及ぼされる実際の外力の大きさは、濾過対象液の粘度等の状態や作用せしめられる圧力の大きさ等に応じて異なり、大きな外力が作用することで外部管体がノズル部から外れやすくなるおそれがあったのである。
また、従来技術として特許第3539753号公報(特許文献6)があり、そこには濾板の下端における板厚方向両端をそれぞれ直角なエッジ形状として、平板状膜エレメント間に形成されるクロスフロー領域の濾板下端での開口部分において、濾板の下端面の合計面積を20〜50%に設定してクロスフロー領域への流入口の流路断面積を急激に縮小させることで、クロスフロー領域へ流入する上向流を急縮流となして処理対象液中の大気泡を小気泡に分解することが記載されている。
そもそも、かかる特許文献6は、混合液浮遊物質濃度(MLSS)を一般の推奨値である3000〜6000mg/Lを大きく外れた20000mg/Lに設定し、且つ単一条件で単に濾板厚さのみを異ならせた5つの実験結果から、20〜50%という特徴的構成を拾い上げているに過ぎず、かかる構成について、何等の理論的または実験的な証明もなく、全ての条件下で稼働される浸漬型膜分離装置に対して全て適用されるものとしている。
この事実だけでも、特許文献6には、権利取得に際しての意図的な操作が推認されるし、浄化対象液の如き気泡を含む2相流については理論解析が実質的に不可能であるという事実からも、通常の稼働条件を大きく外れた単一の条件下の実験しか開示していない以上、当業者にとってみれば、特許文献6は、その技術的効果を信用し得ず、ひいては発明開示範囲を越えた権利内容であり、記載上の不備さえも有するものといえる。このような問題はさておいても、下方からクロスフロー領域への流入に際して流路断面積を50〜80%へ急激に縮小させることは、特許文献6にも記載されているように乱流が積極的に発生するものと解せられる。
すなわち、特許文献6に記載の発明が基本的な技術思想とするところは、その明細書の記載から、濾板の下端面を平坦面形状で大きくとることで、そこに大気泡をぶつけて衝撃的に破砕して小気泡にすることや、濾板の下端における板厚方向両端をそれぞれ直角なエッジ形状として、下方からクロスフロー領域へ流入する状態の対象液に急激な流路断面積の縮小に伴う乱流を積極的に惹起させてキャビテーションのような衝撃波で大気泡を破砕して小気泡にすることを、期待しているものと考えるのが相当である。
しかしながら、このように浄化対象液へ衝撃的な作用を及ぼすことで、その反力として、濾板やクロスフロー領域内の流動液に対して衝撃的な流体流動圧や振動が及ぼされることとなる。それ故、かかる特許文献6に記載の発明においても、前記特許文献1〜5に記載の発明と同様に、ノズル部へ接続された外部管体や、濾板に展張状態で装着された濾過膜シートに対して、外れや破れなどの不具合が発生する原因となり易く、改善すべき問題を内在していたのである。
特開2003−117358号公報 特開2001−212436号公報 特開平3−213128号公報 特開2007−111623号公報 特開平9−103791号公報 特許第3539753号公報
本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、濾板に対して及ぼされる流体圧や振動の軽減が図られ得て、濾板から上方に突設されたノズル部における接続された外部管体の抜けや濾過膜シートの破れなどの不具合の軽減効果が、製造設備の大型化や製造コストの大幅な増大を伴うことなく簡単な構造をもって達成され得る、新規な構造の平板状膜エレメントを提供することにある。
また、本発明は、かかる平板状膜エレメントを利用して構成されて、目的とする濾過機能が長期間に亘って安定して発揮され得る、新規な構造の浸漬型膜分離装置を提供することも、目的とする。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
先ず、平板状膜エレメントに係る本発明の特徴とするところは、合成樹脂製の濾板の表面に平面多角形状の濾過膜シートを重ね合わせて該濾過膜シートの周縁を該濾板に固着すると共に、該濾過膜シートを透過した濾過液を外部に導く濾過液流路を該濾板に形成した平板状膜エレメントにおいて、前記濾過液流路の外方開口部分が、前記濾板の上端縁部から上方に向かって突出する筒状のノズル部によって構成されており、該ノズル部に対して外部管体が接続可能とされている一方、前記濾板の下端縁部が、下方に向かって次第に板厚寸法が小さくなる先細断面形状とされており、該下端縁部における板厚方向の両側面が上方に行くに従って板厚方向外方に向かって次第に突出する傾斜面とされていると共に、かかる板厚方向両側の傾斜面が、該濾板の下端に対して板厚方向の両側から角のない円弧面で滑らかにつながっており、更に、かかる板厚方向両側の傾斜面の上端が、それぞれ該濾板における前記濾過膜シートの重ね合わせ面よりも板厚方向外方に突出していると共に、該傾斜面の上端から上方に向かって該濾板の表面と平行にのびる平行面を有する外方突部とされており、該外方突部の上方に離隔して前記濾過膜シートの下端が位置し且つ該濾過膜シートの表面が該外方突部の該平行面よりも該濾板の板厚方向で内方に位置している平板状膜エレメントにある。
本発明に従う構造とされた平板状膜エレメントでは、濾板の下端縁部における特定構造を採用することにより、曝気等に基づいて下方から濾板間(クロスフロー領域)に導かれて上昇流動せしめられる濾過対象液の流れを、下端から滑らかにつながった円弧面と外方突部の傾斜面で案内して濾板間に向けてスムーズに流入させることが出来る。これにより、濾過膜シート上における濾過対象液の整流化が図られ、濾過膜シートに及ぼされる流体圧力の局所的な変動や振動等が抑えられて、濾過膜シートの損傷の回避やノズル部からの外部管体の抜けの防止が図られて耐久性の向上という本発明の目的が、効果的に実現可能となるのである。
加えて、濾板の下端縁部における上記傾斜面の上端が濾過膜シートの重ね合わせ面よりも外方に突出した外方突部とされていることから、濾板の下方から導かれる濾過対象液の流体圧が濾過膜シートの下端面に直接に作用することも防止される。これにより、濾過対象液の流体圧の作用に起因した、濾過膜シート下端縁における濾板からの剥離が防止されて、目的とする濾過膜シートの損傷防止と耐久性向上がより効果的に実現可能となる。
ところで、平板状膜エレメントに関する本発明においては、濾過膜シートの濾板表面に対する溶着構造として、例えば、熱可塑性合成樹脂からなる前記濾板を用い、該濾板の表面における前記濾過膜シートの重ね合わせ領域の周縁部分に位置して周方向に連続して線状に延びる溶着突条の複数本を並列状に形成すると共に、平面多角形状の該濾過膜シートの各角部において隣り合う該溶着突条間に角部補助突起を形成し、それら溶着突条と角部補助突起を該濾過膜シートに溶着せしめて固着することにより該濾過膜シートの周縁における該濾板への溶着面積を辺部分より角部分において大きくした構造が好適に採用される。
このような溶着構造を採用すれば、濾過膜シートの周縁において濾板に対する溶着面積の大幅な増大を伴うことなく、濾過膜シートを濾板に対して効率的に溶着し、その展張力と耐久性を効果的に向上させることが出来る。即ち、平面多角形状の濾過膜シートを周縁において濾板に溶着するに際しては、各対角線上で展張力を及ぼすことにより、少ないポイントで濾過膜シート全体を効率的に展張状態に保持することが可能となる。ここにおいて、本発明では、濾過膜シートの各角部を角部補助突起で濾板に溶着することにより、濾過膜シートに対して対角線方向で大きな引張力を及ぼすことができる。これにより、濾過膜シートの各辺部分で展張力をもたせる場合に比して、各角部で展張力をもたせることにより、溶着面積の増加を抑えつつ濾過膜シートの展張力を効率的に増大させることが出来るのである。
しかも、このような溶着構造を採用すれば、大きな展張力を負担することとなる濾過膜シートの各角部においてだけ、角部補強突起で溶着面積を増大させることが出来、濾過膜シートの全周に亘って溶着面積を増大させる必要がない。それ故、溶着に際して必要とされるエネルギー(超音波溶着のホーン出力や加熱溶着の発熱量等)も、大幅な増大が必要とされることがなく、特別な設備の補強やそれに伴う製造コストの増大も可及的に抑えられ得る。
さらに、上述の如き溶着構造を採用するに際しては、例えば、溶着突条の外周側に位置して、濾過膜シートの外周端縁を含む内外周の両方に亘る幅をもって周方向の全周に延びる固着外縁領域において網目状突起を形成し、この網目状突起に対して濾過膜シートの外周端縁を溶着した態様が、併せて好適に採用される。
すなわち、濾過膜シートの外周縁部を濾板に溶着することにより、濾過膜シートの外周端縁部の捲れ上がりを防止することが出来、かかる捲れ上がりに起因する濾過膜シートの損傷や耐久性低下等の問題発生を回避することも可能となる。
さらに、浸漬型膜分離装置に関する本発明の特徴とするところは、上述の如き本発明に従う構造とされた平板状膜エレメントの複数をそれぞれが鉛直方向に広がるように且つ互いに水平方向で所定間隔を隔てて重なり合うように位置決め支持せしめた膜ユニットを、濾過対象液が貯留される処理槽内に設置して該濾過対象液に浸漬せしめ、隣り合う各平板状膜エレメントの対向面間にクロスフロー領域を形成する浸漬型膜分離装置であって、前記平板状膜エレメントの下方に曝気手段を設けた浸漬型膜分離装置にある。
このような本発明に従う構造とされた浸漬型膜分離装置においては、本発明に従う構造とされた平板状膜エレメントを採用したことにより、前述の如き濾過膜シートの損傷の回避と外部管路の安定した接続状態が得られるのであり、特に、曝気手段や濾過対象液の流動によって濾板に対して衝撃的な外力や振動として流体圧や振動が及ぼされる状況にあっても、濾板の下端に設けた特別な構造を採用したことによって、濾板ひいては平板状膜エレメントや外部管路の接続部に及ぼされる力や振動を効果的に軽減せしめて、初期の濾過性能を優れた耐久性をもって長期間にわたり発揮させることが可能となるのである。
本発明の実施形態としての浸漬型膜分離装置の概略全体構造を示す正面図。 図1に示された浸漬型膜分離装置の概略全体構造を示す側面図。 図1に示された浸漬型膜分離装置を構成する膜ユニットの部分拡大図。 図3におけるIV−IV断面図。 図1に示された浸漬型膜分離装置を構成する膜ユニットに用いられている平板状膜エレメントの単体正面図。 図5に示された平板状膜エレメントの部分拡大図。 図5に示された平板状膜エレメントの部分拡大平面図。 図7におけるVIII−VIII断面図。 図5に示された平板状膜エレメントの部分拡大図。 図9におけるX−X断面図。 図5に示された平板状膜エレメントの部分拡大底面図。 図5に示された平板状膜エレメントを構成する濾板の単品正面図。 図12に示された濾板の部分拡大図。 図13におけるXIV−XIV断面の拡大図。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
図1及び図2には、本発明の実施形態としての浸漬型膜分離装置2の概要が示されている。この浸漬型膜分離装置2は、濾過対象液が導き入れられて貯留される処理槽4を備えており、この処理槽4の中に濾過装置である膜ユニット10が収容状態で設置されている。この膜ユニット10は、矩形タワー形骨格構造のケース枠体12に対して複数の平板状膜エレメント14が収容状態で装着された構造とされており、処理槽4に貯留された濾過対象液に浸漬されて稼働されるようになっている。なお、以下の説明において、上下方向とは、原則として、膜ユニット10の設置状態における鉛直上下方向となる図1,2中の上下方向をいう。
より詳細には、ケース枠体12は、押出形材等の適当な剛性材の複数本を溶接やボルト等で連結して組み合わせることによって形成されている。また、中空構造とされたケース枠体12の内部には、複数の平板状膜エレメント14が装着されている。
なお、ケース枠体12では、周壁が外方に開口されて、内部に装着された平板状膜エレメント14が外部に露出されている。また、ケース枠体12は、上下に開放されていると共に、ケース枠体12の下部には、曝気用管体16、16が配管されている。これら曝気用配管16、16には、図示しない外部のエアポンプ等が接続されており、圧縮気体が供給されるようになっており、かかる圧縮気体が曝気用配管16,16の周壁に形成された噴出孔から濾過対象液中に噴出されるようになっている。
そして、曝気用配管16、16から噴出されたエア等は、ケース枠体12内に装着された複数の平板状膜エレメント14の対向面間の隙間(クロスフロー領域)を通じて上方に浮上されるようになっており、このエア等の浮上によって、かかるクロスフロー領域に存在する濾過対象液に対して下方から上方に向かう流体流動が生ぜしめられるようになっている。なお、ケース枠体12において、曝気用配管16、16から平板状膜エレメント14の下端縁部にまで至る領域は、周壁板17によって周囲を覆われており、曝気用配管16、16から噴出されたエア等(要求される条件に応じて、曝気用気体として例えば空気の他、窒素等も採用可能である)が、不必要に拡散することなく、クロスフロー領域に対して効率的に導かれるようになっている。
また、ケース枠体12の下方には、曝気用配管16、16の間に位置して、超音波発生手段としての超音波振動子18が装着配置されている。この超音波振動子18は、外部からの給電によって超音波振動を生ずるようになっており、この超音波振動がケース枠体12や濾過対象液を伝達媒体として平板状膜エレメント14に及ぼされるようになっている。
ここにおいて、本実施形態の平板状膜エレメント14は、略矩形平板形状の濾板20を備えている。この濾板20は、ABS等の硬質樹脂材料によって一体成形されており、特に本実施形態では、矩形平板形状の本体部分に対して、その上端部分において左右両側に突出する一対の耳部22,22が、各短冊形状をもって一体形成されている。そして、図3〜4に示されているように、これら左右一対の耳部22,22が、それぞれ、ケース枠体12で固定的に把持されることによって、平板状膜エレメント14がケース枠体12内で位置決めされて組み付けられている。
なお、各耳部22には、略中央部分を板厚方向に貫通してサービス孔23が形成されており、これらのサービス孔23,23を利用して、平板状膜エレメント14を吊り上げることが出来るようになっている。また、各耳部22には、ゴム弾性体等で形成された袋状の保護カバー24が被せられている。そして、ケース枠体12を構成する構造材26,28により、保護カバー24を介して、耳部22が挟持されることにより、平板状膜エレメント14がケース枠体12に対して位置決めされている。
上述の如くしてケース枠体12に装着された複数枚の平板状膜エレメント14は、板厚方向で相互に微小間隔を隔てて互いに平行に重ね合わされた状態で、相互に位置決めされている。なお、隣り合って配置された平板状膜エレメント14、14の対向面間距離は、特に限定されるものでないが、例えば濾板20の厚さ寸法と略同じ程度に設定される。
さらに、平板状膜エレメント14には濾板20の両側表面上にそれぞれ濾過膜シート30が重ね合わされており、この濾過膜シート30による濾過作用を利用して濾過機能が発揮されるようになっている。要するに、本実施形態では、図5〜11に示されているように、濾板20の両側面が互いに同一構造とされた平板状膜エレメント14が用いられており、濾板20の両側表面において、それぞれ、濾過膜シート30が重ね合わされて略全面を覆うように配されることにより、濾過処理面34が構成されている。
また、濾板20には、左右両側部分において、上端面から上方に向かって突出する略円筒形状のノズル部40が一体形成されている。そして、このノズル部40の中心軸上に貫設された吸引孔42が、濾板20の表面43において、濾過膜シート30で覆われる部位に開口せしめられている。これにより、ノズル部40に対して樹脂チューブ等の外部管体44の一端を外挿接続し、該外部管体44を通じて外部の吸引ポンプ等の負圧力を及ぼすことにより、平板状膜エレメント14が浸漬される濾過対象液を濾過膜シート30に透過させて、ノズル部40の吸引孔42から濾過吸引し、外部管体44を通じて排出し得るようになっている。なお、このことから明らかなように、本実施形態では、ノズル部40の先端における吸引孔42の開口部分によって、濾過膜シート30で濾過された濾過液流路の外方開口部分が構成されている。
なお、本実施形態の濾板20の上端縁部には、ノズル部40の基端側下方に位置する部分において、濾板20の表裏両面にそれぞれ突出する基端側突出部46,46が形成されている。これら表裏の基端側突出部46,46は、全体として半球体を濾板20の上端縁部に埋め込んだような形状とされており、下方から上方に向かって外方に膨らんで拡径している。
そして、これら基端側突出部46,46の外周面により、濾板20の下方から上方に向かって次第に外方に大きく突出する傾斜面48,48が形成されている。即ち、これら傾斜面48,48は、図8に示されているように、ノズル部40の基端側の直下において、ノズル部40に向かって拡開する逆スカート形状を呈しているのである。
なお、基端側突出部46,46の突出高さは、その上端の最大突出部位において、濾板20の表裏両側の基端側突出部46,46の頂部間距離(図8中のL)が、ノズル部40に外挿された外部管体44の下端外径寸法(図8中のD)以上となるように設定されることが望ましい。これにより、処理槽内において濾板20の表面43に沿って下方から上方に向かって流動せしめられる濾過対象液に対して、図8中に矢印で示されているように、基端側突出部46,46の傾斜面48,48による整流作用(案内作用)が一層効果的に発揮される。即ち、かかる傾斜面48,48の整流作用により、下方からノズル部40に向かって上昇流動する濾過対象液がノズル部40から外周側に離れる方向に案内されて、該ノズル部40に外挿された外部管体44の下端面等に対する流体圧の作用が一層効果的に低減され得るのである。
さらに、本実施形態の濾板20の上端縁部には、ノズル部40を挟んだ左右方向(濾板20の上端縁部の長さ方向となる図6,7中の左右方向)の両側に位置して、上方に向かって突出する整流突部50,50が一体形成されている。特に本実施形態では、これら両側の整流突部50,50が、ノズル部40を挟んで対称形状とされており、何れも、上方への突出先端縁部が、ノズル部40からの遠位端から近位端に向かって次第に突出高さの大きくなる傾斜上辺52とされている。
特に本実施形態では、かかる整流突部50が、濾板20の外周縁部と略同じ厚さ寸法をもって形成された不等辺の直角三角形状とされている。そして、直角の角部をノズル部40側に向け、斜辺を傾斜上辺52として形成されている。また、かかる傾斜上辺52における濾板20の上端縁部からの最大突出高さ(換言すれば、ノズル部40に対峙する辺の長さ)は、ノズル部40の突出高さと略同じか、それより僅かに大きくされることが望ましい。
これらの整流突部50,50は、濾板20の両側表面に沿って下方から上方に向かって流動せしめられる濾過対象液の流体流動に対して、濾板20の上端部から突設されたノズル部40付近において整流効果を発揮する。加えて、整流突部50,50は、ノズル部40の両側を保護する機能も発揮する。即ち、濾板20を搬送したり、濾板20をケース枠体12に対して着脱する場合などにおいて、ノズル部40が他部材に打ち当たる場合には、その前に、整流突部50が当該他部材に打ち当り易い。それ故、ノズル部40が予期せずに他部材に打ち当たることに起因するノズル部40の損傷を防止することが出来る。
しかも、本実施形態では、整流突部50が傾斜上辺52を備えていることから、処理槽内において濾板20の表面43に沿って下方から上方に向かって流動せしめられる濾過対象液に対して、かかる傾斜上辺52による整流作用(案内作用)も発揮される。即ち、濾板20の上端縁部では、上方に向かう流体流動に対して、濾板20の直上で濾板20が無くなることによる渦流が発生して局部的な圧力低下が生ずるが、この渦流による圧力低下位置が傾斜上辺52に沿った傾斜線上とされる。その結果、傾斜上辺52に対して略直交する方向で圧力勾配が大きくなることにより、図6中に矢印で示されているように、傾斜上辺52による整流効果が発揮されて、下方からノズル部40に向かって上昇流動する濾過対象液がノズル部40から外周側に離れる方向に案内されて、該ノズル部40に外挿された外部管体44の下端面等に対する流体圧の作用が一層効果的に低減され得るのである。
一方、濾板20において、濾過膜シート30が重ね合わされる表面43には、図12〜13にも示されているように、外周縁部に沿って延びる溶着代54が形成されている。この溶着代54は、周方向の全周に亘って連続して延びるように全体として略矩形枠体形状をもって形成されている。そして、超音波溶着用ホーンを備えた超音波溶着装置や加熱溶着ヘッドを備えた加熱溶着装置等の公知の適当な溶着装置を用いて、かかる溶着代54において、濾過膜シート30が溶着固定されることにより、濾過膜シート30の周縁が全周に亘って連続して濾板20に対して密着状態で固着されている。また、かかる溶着代54で周囲を囲まれた濾過膜シート30の中央部分の広い領域では、濾過膜シート30と濾板20との重ね合わせ面間に、全体に亘って拡がる内部領域が形成されている。そして、上記外部管体44からノズル部40の吸引孔42を通じて及ぼされる吸引力(負圧)が、この内部領域を通じて、濾過膜シート30の略全面に及ぼされるようになっている。
ここにおいて、本実施形態では、かかる溶着代54は、一定の山形断面で周方向に連続して延びる2条の平行なリブ状の溶着突条56,58を備えている。また、それら溶着突条56,58の外周側を所定幅で取り囲むようにして、周方向に広がる網目状突起としての格子形状の溶着突起60および2条の内周側溶着突条56と外周側溶着突条58の間の四角部分において、それぞれ、角部補助突起としてのカギ形に延びる角部溶着突条62も含んで、溶着代54が構成されている。
なお、図14に拡大断面が示されているように、内周側溶着突条56と外周側溶着突条58、及び角部溶着突条62は、何れも、基端部分よりも突出先端部分の方が幅が狭くされた略一定の山形断面で周方向に延びている。また、格子状溶着突起60は、(図面から明らかでないが)上記各突条56,58,62と同様に突出方向で先細とされた断面形状をもって格子状に交差する多数本の直線突条の集合体として形成されることが望ましい。このように先細断面形状とすることにより、各突条56,58,62や格子状溶着突起60を、濾過膜シート30に対して、効率的に且つ安定して溶着することが可能となる。
また、内周側溶着突条56と外周側溶着突条58、及び角部溶着突条62は、略同じ突出高さ寸法で形成されていることが望ましい。一方、格子状溶着突起60は、それら各突条56,58,62に比して、同じ突出高さとされていても良いが、より低い突出高さとされることが好適である。これにより、例えば特許文献2に記載されているように、超音波溶着装置のアップダウンホーンを用いて、内周側溶着突条56と外周側溶着突条58、及び角部溶着突条62だけを先に濾過膜シート30に溶着した後、別工程において、同様にアップダウンホーンを用い、格子状溶着突起60を濾過膜シート30に溶着することも可能である。或いは、超音波溶着装置のアップダウンホーンを用いて、内周側溶着突条56と外周側溶着突条58、及び角部溶着突条62と共に、格子状溶着突起60を、同時に濾過膜シート30に溶着するようにした場合でも、突出高さが大きい各突条56,58,62が、格子状溶着突起60よりも先にアップダウンホーンに当接されて溶融されて濾過膜シート30に溶着されることから、特にシール性や展張強度の確保の役割を負う各突条56,58,62の濾過膜シート30への溶着信頼性を効果的に確保することが可能となる。
特に、濾過膜シート30の周縁は、2本の平行に延びる内外周溶着突条56,58で、周方向に連続したシール性能が高度に且つ確実に確保されることに加えて、四角部分では、更に角部溶着突条62が濾過膜シート30に溶着されて溶着面積が大きくされている。これにより、特に四角部分において、対角線方向で大きな展張力を濾過膜シート30にかけることで、濾過膜シート30の全面に対して効率的に大きな展張力を及ぼした状態で、濾過膜シート30を濾板20に装着することが出来る。しかも、角部溶着突条62,62,62,62によって濾過膜シート30の各角部に及ぼされた濾板20による固定支持力は、各辺部の全長に亘って角部間の張力としても作用せしめられることとなり、その結果として、濾過膜シート30の周縁部の全周に対して大きな張力による弛みのない固着状態が効率的に実現されるのである。
しかも、このように濾過膜シート30の全体に効率的な展張力を作用せしめる角部溶着突条62は、濾過膜シート30の周縁部において角部だけに部分的に設けられるに過ぎない。それ故、かかる角部溶着突条62,62,62,62を増設したことに伴う溶着エレルギーの増大も殆ど問題とされることがなく、角部溶着突条62を設けていない態様の溶着代54を濾過膜シート30に溶着するのに必要とされる溶着装置を実質的にそのまま使用して溶着を行うことが可能とされる。従って、設備の大幅な増設や改造の必要がなく、目的とする平板状膜エレメント14を経済的に製造することが可能である。
なお、本実施形態では、かかる溶着代54で囲まれた表面43の中央部分に対して、その略全体に亘って枝状に繋がって広がる凹溝64が形成されている。具体的には、かかる凹溝64は、表面43の上部を左右に延びる横溝部64aと、表面43の幅方向で互いに所定間隔を隔ててそれぞれ上下方向に延びる複数の縦溝部64bを含んで構成されており、各縦溝部64bの上端部が横溝部64aに接続されている。また、横溝部64aの長さ方向両側部分には、上方に向かって溶着代54の近くまで延びる接続溝66が形成されており、この接続溝66の上端部が、ノズル部40に貫設された吸引孔42の内方端部に対して連通されている。これにより、外部管体44からノズル部40を通じて及ぼされる吸引力が、濾板20の表面43に形成された凹溝64の全体に亘って及ぼされるようになっている。
そして、このような凹溝64が形成された濾板20の表面43に対して、濾過膜シート30が重ね合わされて装着されている。かかる濾過膜シート30は、溶着代54に対して外周部分が重ね合わされるだけの大きさをもった膜形状を有しており、特に本実施形態では、その外周端縁が、格子状溶着突起60の内周端縁よりも一回り大きく且つ格子状溶着突起60の外周端縁よりも一回り小さな大きさの矩形平膜形状とされている。
この濾過膜シート30は、前述のとおり、適当な装着装置を用い、濾板20の表面43に重ね合わされた状態で、その外周部分が溶着代54に対して溶着処理されることにより、図5〜11に示されているように、溶着代54を構成する内外周の溶着突条56,58や角部溶着突条62及び格子状溶着突起60に対して溶着で一体化されて固着されている。なお、図5,6,9に示された溶着突条56,58及び角部溶着突条62は、濾過膜シート30の溶着後に該濾過膜シート30を透過して表面から視認することが出来る状態を表している。要するに、内外周の溶着突条56,58及び角部溶着突条62は、溶着により、濾過膜シート30の熱可塑性樹脂と溶融一体化されており、この一体化された部分が濾過膜シート30の表面から視認され得る状態となっているのである。
なお、濾過膜シート30としては、従来から公知のものが採用可能であるが、例えば多孔質の濾材としてPTFEを採用したものであって、その全体がPTFE単体で形成されているものの他、補強等の目的で、他の材質との一体的な複合構造や積層構造等とされたものが、好適に採用される。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレートの基材(基膜)に対してポリテトラフルオロエチレンをコーティングしたものが好適に採用される。
ここにおいて、かかる補強材として機能する基材は、PTFE製の多孔質膜よりも大きな孔径の多孔体等であって通水性に優れたものであれば、特に限定されることはない。例えば、フェルト,不織布,織布,メッシュ(網目状シート)等を用いることが出来るが、強度や捕集性,柔軟性等の観点から不織布が望ましい。なお、補強材の繊維材料としては、ポリオレフィン(ポリエチレンやポリプロピレン等),ポリアミド,ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等),芳香族ポリアミド、或いは、これらを複合したもの等が特に好適に採用される。
また、補強材等である基材とPTFE多孔質膜の積層体を製造する方法としては、例えば、単に重ね合わせて(必要に応じて加熱して)圧着するだけでも良いし、接着剤ラミネートや熱ラミネート等の方法を用いても良い。或いは、ホットメルトパウダーのような融着材を介在させて接着積層にしても良い。
なお、本発明では、基材の両面にPTFE分離膜を被着形成した両面濾過層型の濾過膜シート30の他、基材の片面にPTFE分離膜を被着形成した片面濾過層型の濾過膜シート30も好適に採用される。このような片面濾過層型の濾過膜シート30は、例えば基材の一方の表面にPTFE膜素材たる高分子物質溶液をキャストして基材上にPTFE膜を成膜することによって溶融流延で形成することが出来る他、溶融押出で形成したPTFE膜を基材の一方の表面に重ね合わせて溶着等することによって形成するなど、公知の手法によって製造することが出来る。
そして、このようにして基材の片面にPTFE分離膜を被着形成した片面濾過層型の濾過膜シート30は、基材の片面だけにPTFE膜が形成されていることと、基材に対してPTFE膜が含浸されていないこととが相俟って、従来から一般に濾過膜として用いられている両面濾過層型のエチレン系濾過膜シートに比して、略同じ濾過孔径を実現しつつ、シート濾過抵抗を略半分程にまで抑えることが可能となる。それ故、濾過膜シート30に及ぼされる負圧や正圧の作用力を軽減することが可能であり、本発明が目的とする耐久性の向上に資するのである。なお、片面濾過層型の濾過膜シート30を採用する場合には、PTFEの成膜側が外面となるようにして濾板20に重ね合わされることが望ましく、それによって、溶着代54の濾過膜シート30への溶着強度がより効果的に確保され得る。
また、本発明においては、濾過膜シート30の厚さ寸法が0.1mm〜0.3mmであることが望ましい。これにより、濾板20に対する固着強度と耐久性を一層有利に得ることが出来る。即ち、分離膜の厚さ寸法が0.1mmよりも小さい場合、分離膜に十分な耐久性を与えることが難しく、分離膜の厚さ寸法が0.3mmよりも大きい場合には、モジュール本体への固着強度を充分に得ることが難しくなるおそれがある。
なお、本実施形態の濾板20では、濾過膜シート30が重ね合わされて覆われる表面43において、溶着代54で周囲を囲まれた領域に細かな凹凸が付されている。それにより負圧吸引時等における濾過膜シート30が濾板20の表面43へ密着することが防止されるようになっている。
また、必要に応じて、濾板20の表面43と濾過膜シート30の間には、濾過膜シート30の表面43への密着を防止して有効濾過面積を安定確保したり、濾過膜シート30を裏面から担持することで耐久性を向上させたり等する目的で、膜状のスペーサを配設することも可能である。例えば、ポリエチレンテレフタレート等を用いて形成された、濾過膜シート30よりも充分に大きい孔径の多孔質膜からなる膜状スペーサを、濾板20の表面43と濾過膜シート30との間に重ね合わせ、かかる膜状スペーサの外周縁部を濾過膜シート30の外周縁部と共に、溶着代54に対して溶着して装着することも可能である。
このようにして、濾板20の表面43に濾過膜シート30が重ね合わされることによって形成された濾過処理面34にあっては、ノズル部40から及ぼされる吸引力が凹溝64を通じて、表面43上において濾過膜シート30との間に画成された内部領域の略全体に及ぼされる。その結果、濾過膜シート30の外面が晒される処理対象液に対して、濾過膜シート30を通じての吸引力が及ぼされ、濾過膜シート30を透過することで濾過作用を加えられた後、かかる内部領域からノズル部40の吸引孔42を通じて、外部管体44から外部に排出される濾過処理が施されることとなる。なお、この濾過膜シート30による処理対象液の濾過吸引方向は、処理槽内を曝気エア作用で流動せしめられる上方への流体流動方向に対して直交する方向となることから、処理槽内において並設された濾板20,20間の流体流動領域はクロスフロー領域とも言われている。
ところで、本実施形態の濾板20では、その下端縁部の略全長に亘って、図10に示されているように、下方に向かって次第に板厚寸法が小さくなる先細断面形状の外方突部72が形成されている。この外方突部72は、板厚方向の両側面が上方に行くに従って板厚方向外方に向かって次第に突出する傾斜面74,74とされている。これにより、下方から上方に向かって上昇する処理対象液の流動に対して傾斜面74,74が案内作用を為し、クロスフロー領域へ侵入する際の流体流動の乱れを抑えるようになっている。
その結果、濾板20の表面43に配された濾過膜シート30に及ぼされる局所的な圧力変動とそれに伴う大きな圧力の作用が軽減乃至は回避されて、濾過膜シート30の耐久性の向上と損傷回避が、一層効果的に達成され得る。特に、かかる外方突部72における最上端の最大厚寸法が、濾板20の外周部分76の板厚寸法よりも僅かに大きくされて、濾板20の表裏両面から僅かに突出されている。これにより、下方から上昇流動せしめられる処理対象液の流体圧が、濾板20の表面43に溶着された濾過膜シート30の端縁部に直接に作用することが軽減され、濾過膜シート30の耐久性や、剥離耐久性の向上等も図られている。
しかも、クロスフロー領域に導き入れられる濾過対象液の整流が図られることにより、濾板20に対して及ぼされる流体圧による振動も軽減乃至は防止されることから、濾板20の振動に起因する支持部の磨耗の軽減や異音の低減等も図られ得る。
上述の如き構造とされた平板状膜エレメント14は、所定間隔のクロスフロー領域を隔てて並設された膜ユニット10において、互いに水平方向で所定間隔を隔てて重なり合うように位置決め配置される。その際、対向面に配設された濾過膜シート30,30は、それぞれ、濾板20に対して、角部溶着突条62を含む特定構造の溶着代54によって周縁部を強固に且つ大きな展張力をもって固着支持されていることから、相互干渉による損傷や耐久性低下等の問題が効果的に防止され得るのである。即ち、互いに隣り合う濾板20,20の対向表面に配設された濾過膜シート30,30は、それぞれ、吸引ポンプのオン/オフや目詰り防止等のメンテナンスに際しての正圧供給等の物理的作用等によって、更に下方から流動せしめられる濾過対象液の流体圧変動や曝気圧力変動、超音波による加振力作用等によって、局所的に或いは全体として外方に膨らむことがある。しかし、前述の如く、各濾過膜シート30が充分に大きな張力で展張装着されていることに加え、傾斜面48や整流突部50、傾斜面74等の整流作用で作用圧力の局所的な増大が軽減されることから、かかる膨らみを可及的に抑えることが出来、その結果、対向配置された濾過膜シート30,30相互間の接触や、濾板20の表面43への接触によって及ぼされる摩擦が軽減されて優れた耐久性が発揮されるのである。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明は当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
例えば、溶着代54において、周方向に連続的に延びる溶着突条は、例示の如き2条に限定されるものでなく、設備などが対応する範囲で3条以上を平行に或いは略平行に形成しても良い。なお、3条以上形成される場合には、少なくとも隣り合う二つの溶着突条の間において、各角部に位置する角部補助突起が形成されていれば良い。
また、本発明において採用される角部補助突起は、例示の如き、角部頂点を中心として周方向の両側各辺に向かってそれぞれ所定長さで延びる「く」字状又は「L」字状に限定されるものでなく、角部に形成されて角部において濾過膜シート30に対する補強溶着作用を発揮するものであれば良い。例えば、角部において突設された複数の点状突起や分断された線状突起等によって角部補助突起を構成することも可能である。
さらに、溶着装置において問題とならない範囲において、角部補助突起において各辺側に延びる長さを適当に調節したり、角部補助突起の幅寸法や突出高さ等の断面形状を、周方向に延びる溶着突条と異ならせることも可能であり、各辺部の中間部分に散在する補助溶着点を追加したりすることもできる。
なお、本明細書において記載したノズル部40の下方の基端側突出部46,46による傾斜面48,48や、ノズル部40の左右両側の整流突部50,50およびその傾斜上辺52,52、更に、濾板20の下端縁部における先細断面形状の外方突部72等は、何れも、本発明から独立して、それぞれ単独で発明を構成し得るものである。それによって、濾過対象液の整流効果や、ノズル部40の保護効果などの、特別な技術的効果を、各単独でも有効に発揮し得る。尤も、本出願では、それらの各発明が、本発明の請求項1に記載された発明と共通する目的を有しており、共通する課題を解決するという技術的効果を有するものであることにも着目し、且つ出願の単一性という形式的な要件を充足する目的で、特許請求の範囲において従属的に記載している。即ち、以下の何れの発明も、それぞれ単独で技術的に認識され得るものであるが、本出願では、上記形式的理由から、単独では権利請求していない。
剛性を有する濾板の少なくとも一方の面に濾過膜シートを重ね合わせて該濾過膜シートの周縁を該濾板に固着すると共に、該濾過膜シートを透過した濾過液を外部に導く濾過液流路を該濾板に形成することにより、該濾板の少なくとも一方の面側に濾過処理面を構成した、処理槽内で鉛直方向に配置されて濾過対象液に浸漬される平板状膜エレメントであって、前記濾過液流路の外方開口部分が、前記濾板の上端縁部から上方に向かって突出する筒状のノズル部によって構成されており、該ノズル部に対して外部管体が接続可能とされていると共に、該濾板の上端縁部における該ノズル部の基端側下方には、該濾板の両面においてそれぞれ外方に突出して、下方から上方に向かって次第に外方に大きく突出する傾斜面を形成する基端側突出部が設けられている構成の平板状膜エレメント。
剛性を有する濾板の少なくとも一方の面に濾過膜シートを重ね合わせて該濾過膜シートの周縁を該濾板に固着すると共に、該濾過膜シートを透過した濾過液を外部に導く濾過液流路を該濾板に形成することにより、該濾板の少なくとも一方の面側に濾過処理面を構成した、処理槽内で鉛直方向に配置されて濾過対象液に浸漬される平板状膜エレメントであって、前記濾過液流路の外方開口部分が、前記濾板の上端縁部から上方に向かって突出する筒状のノズル部によって構成されており、該ノズル部に対して外部管体が接続可能とされていると共に、該濾板の上端縁部において該ノズル部を挟んだ長さ方向の両側に位置して、それぞれ、該濾板の上端縁部から上方に向かって突出する整流突部が設けられている構成の平板状膜エレメント。なお、上記ノズル部を挟んだ両側に設けられた整流突部の少なくとも一方は、該ノズル部に対する遠位側から近位側に向かって次第に上方に大きく突出する傾斜上辺を備えていることが好適である。
2:浸漬型膜分離装置、10:膜ユニット、14:平板状膜エレメント、16:曝気用配管(曝気手段)、18:超音波振動子(超音波発生手段) 、20:濾板、30:濾過膜シート、40:ノズル部(濾過液流路)43:表面、44:外部管体、46:基端側突出部、48:傾斜面、50:整流突部、52:傾斜上辺、56:内周側溶着突条(溶着突条)、58:外周側溶着突条(溶着突条)、60:格子状溶着突起(網目状突起)、62:角部溶着突条(角部補助突起)、72:外方突部、74:傾斜面

Claims (2)

  1. 合成樹脂製の濾板の表面に平面多角形状の濾過膜シートを重ね合わせて該濾過膜シートの周縁を該濾板に固着すると共に、該濾過膜シートを透過した濾過液を外部に導く濾過液流路を該濾板に形成した平板状膜エレメントにおいて、
    前記濾過液流路の外方開口部分が、前記濾板の上端縁部から上方に向かって突出する筒状のノズル部によって構成されており、該ノズル部に対して外部管体が接続可能とされている一方、
    前記濾板の下端縁部が、下方に向かって次第に板厚寸法が小さくなる先細断面形状とされており、該下端縁部における板厚方向の両側面が上方に行くに従って板厚方向外方に向かって次第に突出する傾斜面とされていると共に、かかる板厚方向両側の傾斜面が、該濾板の下端に対して板厚方向の両側から角のない円弧面で滑らかにつながっており、更に、かかる板厚方向両側の傾斜面の上端が、それぞれ該濾板における前記濾過膜シートの重ね合わせ面よりも板厚方向外方に突出していると共に、該傾斜面の上端から上方に向かって該濾板の表面と平行にのびる平行面を有する外方突部とされており、
    該外方突部の上方に離隔して前記濾過膜シートの下端が位置し且つ該濾過膜シートの表面が該外方突部の該平行面よりも該濾板の板厚方向で内方に位置していること
    を特徴とする平板状膜エレメント。
  2. 請求項1に記載の平板状膜エレメントの複数をそれぞれが鉛直方向に広がるように且つ互いに水平方向で所定間隔を隔てて重なり合うように位置決め支持せしめた膜ユニットを、濾過対象液が貯留される処理槽内に設置して該濾過対象液に浸漬せしめ、隣り合う各該平板状膜エレメントの対向面間にクロスフロー領域を形成する浸漬型膜分離装置であって、前記平板状膜エレメントの下方に曝気手段を設けたことを特徴とする浸漬型膜分離装置。
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