JP5748374B1 - 梅エキス、梅ワイン及び梅奈良漬けの製造方法 - Google Patents
梅エキス、梅ワイン及び梅奈良漬けの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】完熟梅を使用して梅独特の甘みや甘い香りを出し、かつ味わい深く風味豊かな梅エキスの製造方法を提供し、また、梅エキスを用いて梅が収穫できない時期においても梅ワインを製造する方法を提供する。【解決手段】梅エキスの製造方法は、完熟梅を水洗いし、乾燥させる第1工程と、塩及び酢に漬けて殺菌熟成させる第2工程と、第2工程で得られた完熟梅を容器に入れ、砂糖を添加して常温保管する第3工程と、容器中の液体を取り出す第4工程を含む。梅ワインの製造方法は、梅エキスと梅エキスの製造で使用した完熟梅に、水と、砂糖と酒粕を添加して常温保管し、発酵させる第5工程と、第5工程で得られた発酵体の上澄み液を取り出す第6工程を含む。【選択図】図1
Description
本発明は、梅を用いて製造する梅エキスと、梅エキスを用いた果実酒(梅ワイン)と梅奈良漬けの製造方法に関する。
梅酒は甘口で口当たりがやわらかく、しかも健康増進に効果的であることから、近年、一般家庭においても梅酒が作られるようになってきた。特に梅に含まれるクエン酸には疲労感回復や食欲増進、体質改善などの効果があると言われており、梅に含まれる成分や風味を生かした梅果汁やそれを使った飲食品が製造されている。
一般に梅酒や梅ワインの多くは、密封容器内に梅と氷砂糖などの糖を加え、ホワイトリカーなどのアルコールを加えて漬け込むことで製造される。密封容器内に3ヶ月以上保存した後、一旦梅果を取り出し(又は取り出さずに)、再び保存して半年から1年ほど経過した頃が、飲み頃であるとされている。
梅酒に使用する梅は、熟されていない、青くて硬い梅である青梅が使用されることが多い。青梅は酸味が強く、風味が良く、梅酒の濁りがほとんどないからである。ホワイトリカーは無味無臭であるため、梅の風味を生かすのには最適な漬け込み用のアルコールであるが、ブランデー、ワインなども漬け込み用のアルコールとして使用されている。
梅酒や梅ワインは上記のように、糖にホワイトリカーなどのアルコールを加えて漬け込むことで製造されるが、それ以外にも例えば特許文献1に開示されているように、青梅に本直し味醂を添加して梅酒を製造することもできる。特許文献1に記載されている本直し味醂(焼酎に麹(コウジ)と蒸煮糯米(モチゴメ)を混合し、発酵させたもの)を用いて製造した梅酒は、発酵による複雑多岐な呈味成分を含み、味わい深く、味醂独特の豊醇な風味を有する梅酒を提供することができるとされている。
上記の製造方法や特許文献1に記載の梅酒の製造方法で使用する梅として、青梅が使用されているが、青梅が採れる時期は5月中旬から7月上旬くらいまでと限られているため、青梅を使用した梅酒作りの時期も限られている。また、酸味が強い青梅を使用しているため、酸味が少ない完熟梅独特の甘みや甘い香りを出すことも難しい。
本発明の目的は、上記課題に鑑み、完熟梅を使用することで完熟梅独特の甘みや甘い香りを出し、かつ味わい深く風味豊かな梅エキスの製造方法を提供し、また梅エキスを用いて、梅が収穫できない時期においても梅ワインを製造する方法を提供することである。
本発明の1は、完熟梅を水洗いし、乾燥させる第1工程と、
完熟梅1kg当たり5mLの5倍酢と3〜5mgの塩を添加して、一晩寝かせて、殺菌熟成させる第2工程と、
前記第2工程で得られた完熟梅を容器に入れ、完熟梅1kgに対して三温糖0.6kgを添加して常温保管する第3工程と、
前記容器中の液体を取り出す第4工程と、
を含むことを特徴とする梅エキスの製造方法である。
完熟梅1kg当たり5mLの5倍酢と3〜5mgの塩を添加して、一晩寝かせて、殺菌熟成させる第2工程と、
前記第2工程で得られた完熟梅を容器に入れ、完熟梅1kgに対して三温糖0.6kgを添加して常温保管する第3工程と、
前記容器中の液体を取り出す第4工程と、
を含むことを特徴とする梅エキスの製造方法である。
本発明の2は、本発明の1に記載の前記梅エキスと前記第3工程で使用した前記完熟梅に、水と、砂糖と酒粕を添加して常温保管し、発酵させる第5工程と、
前記第5工程で得られた発酵体の上澄み液を取り出す第6工程と、
を含むことを特徴とする梅ワインの製造方法である。
前記第5工程で得られた発酵体の上澄み液を取り出す第6工程と、
を含むことを特徴とする梅ワインの製造方法である。
本発明の3は、本発明の2に記載の第5工程で使用した前記完熟梅と前記酒粕を取り出して製造することを特徴とする梅奈良漬けの製造方法である。
本発明の1の梅エキスの製造方法によれば、完熟梅を使用して梅エキスを製造しているため、酸味が強い青梅では製造できない、酸味が少ない完熟梅独特の甘みや甘い香りを有する梅エキスを提供することができる。また、人工的に梅を冷凍するなど複雑な工程なく、完熟梅の自然乾燥、常温保管というシンプルな工程で梅エキスを製造することができる。
本発明の2の梅ワインの製造方法によれば、梅が取れない時期であっても、梅エキスと梅エキスの製造に使用した完熟梅を用いることで、いつでも梅ワインを製造することができる。また、梅エキスと完熟梅に水と砂糖と酒粕を添加して常温保管し、発酵させるため、酒粕の発酵による旨味成分を含み、味わい深く風味豊かな梅ワインを提供することができる。特に完熟梅を使用することで、完熟梅独特の香りを有する梅ワインを提供することができる。
本発明の3の梅奈良漬けの製造方法によれば、本発明の2に記載した完熟梅と酒粕を取り出して製造するため、梅ワインの製造で使用した完熟梅と酒粕を無駄にすることなく、再利用でき、手間なく美味しい梅奈良漬けを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態(以下実施例と記す)を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施例である梅エキス、梅ワイン及び梅奈良漬けの製造工程の流れを示すブロック図である。図1の第1工程(S1)では、完熟梅を水洗いし、乾燥させる。詳しく説明すると、使用する完熟梅は、熟して木から落ちた梅又は木を揺らすと簡単に落ちる程に熟した梅である。このような完熟梅を使用することで梅独特の甘みや甘い香りと風味を有する梅エキスを製造することができる。また、完熟梅を水洗いした後は、ざる等に入れて水切りをして、常温で40〜50分間、自然乾燥させる。
第2工程(S2)では、水洗い及び乾燥させた完熟梅を塩及び酢に漬けて殺菌熟成させる。詳細には、完熟梅1kg当たり5mLの5倍酢と3〜5mgの塩を添加して、一晩寝かせる。それにより、完熟梅が殺菌熟成される。
第3工程(S3)では、前記第2工程で殺菌熟成した完熟梅を容器に入れ、砂糖を添加して常温保管する。砂糖には三温糖を使用する。例えば完熟梅5kgに対して三温糖3kgを添加して、常温保管する。3日から1週間で梅エキスを抽出することができる。
第4工程(S4)では、前記容器中の液体(梅エキス)を取り出す。ここまでの工程で、梅エキスが製造される。このように本実施例の梅エキスは、複雑な工程なく、完熟梅の自然乾燥、常温保管というシンプルな工程だけで製造することができる。
梅エキスには梅の栄養が凝縮されており、クエン酸、リンゴ酸、リボフラビン(ビタミンB2)などが含まれており、血流改善、疲労回復、抗菌などの効能が期待されている。本実施例の梅エキスは完熟梅独特の甘みや香り、風味を有しており、そのままでも無論、水や白湯、炭酸水などで割った飲料としても優れた価値を有する。また、梅エキスは梅の栄養が凝縮されているため、常温で長期間(少なくとも1年以上)の保存が可能である。
第5工程(S5)では、第4工程(S4)で製造した梅エキスと第3工程で使用した完熟梅を保存容器に入れ、水と、砂糖と酒粕を添加して常温保管し、発酵させる。例えば梅エキスと完熟梅を合わせて32kgに、水(精製水)30リットル、砂糖(三温糖)10kg、及び酒粕(吟醸酒の酒粕)5kgを添加して常温保管する。
酒粕中にアルコール発酵を行う酵母が含まれており、それによりアルコール発酵が行われる。3日で発酵が開始し、1か月で概ね十分な発酵状態になる。通常の梅酒や梅ワインの製法では梅の収穫できる時期にしか製造が開始されないが、本実施例では、上記梅エキスと完熟梅が長期保管可能であるため、梅エキスと完熟梅を使用すれば、いつでも梅ワインの製造を開始することができる。なお、本実施例の梅ワインは、アルコール度数が11.2%であり、概ね11%前後の梅ワインとなっている。
第6工程(S6)では、第5工程(S5)で得られた発酵体の上澄み液を取り出す。ここまでの工程で、梅ワインが製造される。本実施例の梅ワインは、梅エキスと同様に複雑な工程なく、常温保管というシンプルな工程だけで製造することができる。
一般に酒粕には米の発酵から作られるアミノ酸やブドウ糖が豊富に含まれ、これがうま味のもとになるとされている。また、吟醸酒は香り高く淡麗ですっきりした上品な味わいを有する。本実施例では吟醸酒の酒粕を使用しているため、酒粕の発酵による旨味成分を含み、味わい深く風味豊かな梅ワインを提供することができる。また、完熟梅を使用しているため、梅独特の甘みや甘い香りを含む梅ワインを提供することができる。
第7工程(S7)では、上記第5工程(S5)で使用した完熟梅と酒粕を取り出す。この取り出した酒粕を含む完熟梅が梅奈良漬けとなっている。このように本実施例では、上記梅ワインの製造で使用した完熟梅と酒粕を取り出すことで奈良漬けが得られるため、梅ワインの製造で使用した完熟梅と酒粕を無駄にすることなく再利用できる。また、通常、奈良漬けは何度も酒粕に漬け替えて製造されるが、本実施例では梅ワインの副産物として製造されるため、手間なく美味しい梅奈良漬けを提供することができる。
以上説明してきたように、本発明は、完熟梅を使用することで梅独特の甘みや甘い香りを出し、かつ味わい深く風味豊かな梅エキスを製造することができる。また梅エキスを用いて、梅が採れない時期においても梅ワインの製造を開始することができ、酒粕の発酵による旨味成分を含み、味わい深い梅ワインを提供することができる。また、その副産物として手間なく美味しい梅奈良漬けを提供することができる。
なお、上述した実施例で説明した梅エキスや梅ワインの材料(完熟梅、砂糖、水、酒粕など)の量は一例であり、その量は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。
Claims (3)
- 完熟梅を水洗いし、乾燥させる第1工程と、
完熟梅1kg当たり5mLの5倍酢と3〜5mgの塩を添加して、一晩寝かせて、殺菌熟成させる第2工程と、
前記第2工程で得られた完熟梅を容器に入れ、完熟梅1kgに対して三温糖0.6kgを添加して常温保管する第3工程と、
前記容器中の液体を取り出す第4工程と、
を含むことを特徴とする梅エキスの製造方法。 - 請求項1に記載の前記梅エキスと前記第3工程で使用した前記完熟梅に、水と、砂糖と酒粕を添加して常温保管し、発酵させる第5工程と、
前記第5工程で得られた発酵体の上澄み液を取り出す第6工程と、
を含むことを特徴とする梅ワインの製造方法。 - 請求項2に記載の第5工程で使用した前記完熟梅と前記酒粕を取り出して製造することを特徴とする梅奈良漬けの製造方法。
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JP2014044628A JP5748374B1 (ja) | 2014-03-07 | 2014-03-07 | 梅エキス、梅ワイン及び梅奈良漬けの製造方法 |
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CN111647483A (zh) * | 2020-06-24 | 2020-09-11 | 广东佳业食品有限公司 | 一种酿制李子酒的制备方法 |
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2014
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