JP5747418B2 - マイクロ波共振器 - Google Patents

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Description

本発明は、電磁波の伝搬を許したり、阻止させたりする機能を有するメタマテリアル(人工構造体装置)に関するものであり、構造体の実効誘電率が正、負、零のいずれかであり、一方で、実効透磁率が正、負、零のいずれかの値を取る右手/左手系複合メタマテリアルにてなるマイクロ波共振器と、当該マイクロ波共振器を用いたアンテナ装置と、当該マイクロ波共振器を用いた帯域通過フィルタ装置及び帯域阻止フィルタ装置とに関する。なお、本明細書において、マイクロ波とは、例えばUHF(Ultra High Frequency)バンドの周波数帯以上のマイクロ波、ミリ波、準ミリ波、テラヘルツ波をいう。
メタマテリアル(Meta-material)とは、光を含む電磁波に対して、自然界の物質には無い振る舞いをする人工構造体のことであるが、特に、負の屈折率を持った物質を指して用いられる場合もある。
従来から、メタマテリアルを用いて、右手/左手系複合メタマテリアルにてなるマイクロ波共振器が提案されている。ここで、「右手系」というのは、電磁波の電界ベクトル、磁界ベクトル、波数ベクトルが右手系をなす方向関係を有する電磁波の伝搬状態を指し、電磁波の伝送電力の方向(群速度の向き)と、位相面の流れの向き(位相速度の向き)が同方向となるフォワード波の伝搬状態を指す。この状態は、実効誘電率及び透磁率がともに正の値を持つ媒質及び構造体において可能となる。また、「左手系」というのは、電界ベクトル、磁界ベクトル、波数ベクトルが左手系をなす関係を有する電磁波の伝搬状態を指し、電磁波の伝送電力の方向と、位相面の流れの向きが反対となるバックワード波の伝搬状態を指す。この状態は、実効誘電率及び透磁率がともに負の値を持つ媒質及び構造体において可能となる。
メタマテリアルの構成方法はいくつか提案されているが、代表例として、共振型メタマテリアルと伝送線路(非共振)型メタマテリアルの2つが挙げられる。前者の共振型メタマテリアルは、金属ストリップからなるスプリットリング共振器と細線の組合せに代表されるように、外部電磁界の磁界及び電界成分によって応答する磁気的及び電気的共振器の組合せからなる。この構造は、実効誘電率あるいは透磁率が反共振特性を示すので、共振周波数付近において損失の影響が非常に大きくなる。一方、後者の伝送線路型メタマテリアルは、一般的な電磁波の伝搬形態が伝送線路モデルで記述できることを用いて構造体が構成されており、フォワード波伝搬を許す従来の一次元右手系メタマテリアル構造は、直列枝に誘導性素子が、並列枝(以下、シャント枝ともいう。)に容量性素子が挿入された梯子型構造を取るのに対して、一次元左手系メタマテリアル構造は、実効誘電率及び透磁率の値を負にするために、直列枝に容量性素子が、並列枝に誘導性素子が挿入された構造となる。この伝送線路型メタマテリアルの多くは、実効誘電率及び透磁率において反共振特性を示さないため、上記の共振型に比べて低損失となる特長がある。伝送線路型メタマテリアルにおいては、動作周波数帯域により、右手系メタマテリアル、左手系メタマテリアル、誘電率あるいは透磁率のどちらか一方が負で他方が正となるシングルネガティブメタマテリアル、実効誘電率あるいは透磁率が零のメタマテリアルとして動作することから、右手/左手系複合メタマテリアルと呼ばれる。
右手/左手系複合メタマテリアルの実効誘電率及び透磁率がゼロの値を取る周波数は、一般に異なる。その場合、隣接する誘電率がゼロの周波数と透磁率がゼロとなる周波数の間の帯域は、誘電率あるいは透磁率のどちらか一方のみが負で、他方が正の値を取る。このとき電磁波の伝搬条件を満たさず、禁止帯が形成される。この禁止帯の下側の帯域では、誘電率及び透磁率がともに負であるので左手系メタマテリアルとして、上側の帯域ではともに正の値となり右手系メタマテリアルとして動作する。誘電率と透磁率がゼロとなる周波数が一致する場合、禁止帯(バンド・ギャップ)が形成されず、左手系伝送帯域と右手系伝送帯域が連続的に接続される。このようなメタマテリアルを平衡型右手/左手系複合メタマテリアルといい、そうでないものを非平衡型右手/左手系複合メタマテリアルと呼ぶ。平衡型右手/左手系複合メタマテリアルは、禁止帯を生じないばかりでなく、位相定数が0となる周波数においても、群速度がゼロとならず、効率良い電力伝送が可能という特長を持つ。
零次共振器に関する最初の報告は、特許文献1、2及び非特許文献1によってなされた。これは、複数の単位セルよりなる有限長の右手/左手系複合伝送線路の両端に対して、開放もしくは短絡終端を設置することにより構成される。共振器の特長としては、
(i)線路長に関係なく、単位セルの構造パラメータのみによって決まる共振周波数で共振すること、
(ii)共振時には、共振器内の電磁界分布の振幅及び位相が一様となることが挙げられる。
零次共振器の共振周波数は、右手/左手系複合伝送線路の伝搬特性を与える分散ダイアグラム(動作周波数と伝搬定数(以下、位相定数ともいう。)の関係)において、位相定数がゼロ(実効誘電率がゼロもしくは実効透磁率がゼロ)となる周波数に対応する。
右手/左手系複合伝送線路の両端がともに開放終端であるか、短絡終端であるかのどちらかの場合に、共振周波数が線路長に関係しないような共振条件を得ることができる。両端がともに開放終端である場合、零次共振器を構成する線路の実効誘電率がゼロに対応する周波数において共振する。一方、両端が短絡の場合、実効透磁率がゼロに対応する周波数において共振する。従って、非平衡型右手/左手系複合伝送線路を用いた場合、両端を開放する場合と短絡する場合とで、零次共振器の動作周波数が異なるというのが従来の共振器の設計方法であった。
零次共振器内の電磁界分布は、振幅及び位相が一様となるため、大きな単位セル数からなる右手/左手系複合伝送線路をアンテナに応用することにより、高指向性及び高利得のアンテナを構成することが可能となる。また、零次共振器をアンテナ素子に応用した報告も既にいくつかなされている(例えば、非特許文献2及び3参照。)。
しかしながら、上記の実効誘電率がゼロとなる周波数と、実効透磁率がゼロとなる周波数とが異なる非平衡型右手/左手系複合伝送線路を用いて構成された零次共振器においては、もともと同線路の伝搬特性を表す分散曲線において、位相定数がゼロとなる周波数では、群速度もゼロとなってしまう。このため、共振器を構成する単位セル数が大きくなる(共振器のサイズが大きくなる)と、共振器に沿って信号が伝搬できないため共振動作が得られないという問題があった。実際、これまで提案された非平衡型右手/左手系複合伝送線路を用いた零次共振器の多くは、比較的少ない単位セル数で構成されており、アンテナサイズの大型化の際に不向きである。以上のことから、位相定数が0の場合においても群速度が0でない線路を構成する必要があり、平衡型右手/左手系複合伝送線路を用いる必要がある。
零次共振器のサイズを大きくし、アンテナ素子として用いることにより、指向性アンテナ設計、利得の改善を図る報告が既にある(例えば、非特許文献4、5及び6参照。)。非特許文献4及び5の報告では、いずれもマイクロストリップ線路の直列枝にコンデンサを、並列枝に短絡スタブを誘導性素子として周期的に挿入した右手/左手系複合伝送線路からなる一次元零次共振器を採用している。また、単位セル数の多いアンテナにおける指向性、放射利得の改善については、数値計算結果のみの報告にとどまっている。一方、非特許文献6には、誘電体共振器と平行平板線路との組合せからなる右手/左手系複合メタマテリアル構造により構成された2次元零次共振器を、指向性アンテナ素子として応用することが記載されている。
さらに、アンテナ以外の応用例として、フィルタ、電力分配器、発振器などが挙げられ、報告例もいくつかなされている(例えば、非特許文献7参照。)。
米国特許第7391288号明細書。 米国特許第7330090号明細書。
A. Sanada et al., "Novel zeroth-order resonance in composite right/left-handed transmission line resonators", in Proceedings of Asia-Pacific Microwave Conference 2003, pp.1588-1591, November 2003. A. Lai et al., "Infinite wavelength resonant antennas with monopolar radiation pattern based on periodic structures", IEEE Transactions on Antennas and Propagations, Vol. 55, No. 3, pp.868-876, March 2007. J.-G. Lee et al., "Zeroth order resonance loop antenna", IEEE Transactions on Antennas and Propagation, Vol. 55, No. 3, pp.994-997, March 2007. A. Rennings et al., "MIM CRLH series mode zeroth order resonant antenna (ZORA) implemented in LTCC technology", in Proceedings of Asia-Pacific Microwave Conference 2007, pp.191-194, December 2007. C. Caloz et al., "CRLH metamaterial leaky-wave and resonant antennas", IEEE Antennas and Propagation Magazine, Vol. 50, No. 5, pp.25-39, October 2008. T. Yoshida et al., "Radiation characteristics of zeroth-order resonators composed of 2-D dielectric-based composite right/left handed metamaterial structures", in Proceedings of 39th European Microwave Conference 2009, pp. 205-208, September 2009. A. Lai et al., "A novel N-port series divider using infinite wavelength phenomena", Microwave Symposium Digest, 2005 IEEE MTT-S International, June 2005.
従来技術に係る零次共振器は、当該零次共振器を構成する有限長伝送線路の両端を短絡することによる直列枝における直列共振、又は、両端を開放することによる並列枝における並列共振のいずれかの場合に相当していた。従って、これまでに、直列共振及び並列共振が混在した二重共振の状態にある零次共振器は、未だ報告されていない。
本発明の目的は以上の問題点を解決し、直列共振及び並列共振が混在した二重共振の状態にある零次共振器を実現できるマイクロ波共振器、並びに当該マイクロ波共振器を用いたアンテナ装置、帯域通過フィルタ装置及び帯域阻止フィルタ装置を提供することにある。
第1の発明に係るマイクロ波共振器は、容量性素子を等価的に含む直列枝の回路と、誘導性素子を等価的に含む並列枝の回路と、少なくとも1つの伝送線路部分とを有する少なくとも1つの単位セルを、第1と第2のポートの間で縦続接続して構成されたマイクロ波伝送線路を備えたマイクロ波共振器であって、
上記マイクロ波伝送線路の各単位セルは、上記マイクロ波伝送線路に入力されるマイクロ波信号の動作周波数と、上記マイクロ波伝送線路の位相定数との関係を示す分散曲線において上記マイクロ波伝送線路が所定の位相定数を有するように回路構成され、
上記マイクロ波伝送線路は第1のポートと第2のポートとを有し、
上記マイクロ波共振器は、
上記マイクロ波伝送線路の第1のポートに接続され、所定の動作周波数において、上記第1のポートから第1の反射用インピーダンス回路を見たインピーダンスが第1のインピーダンスとなるように動作する第1の反射用インピーダンス回路と、
上記マイクロ波伝送線路の第2のポートに接続され、上記動作周波数において、上記第のポートから第2の反射用インピーダンス回路を見たインピーダンスが第2のインピーダンスとなるように動作する第2の反射用インピーダンス回路とを備え、
上記第1のインピーダンスの虚部と上記第2のインピーダンスの虚部とは互いに異符号であり、かつ上記第1のインピーダンスの虚部の大きさと上記第2のインピーダンスの虚部の大きさとは実質的に互いに等しいことを特徴とする。
上記マイクロ波共振器において、上記第1のインピーダンスは所定の純虚数であり、
上記第2のインピーダンスは、上記第1のインピーダンスと共役である純虚数であることを特徴とする。
また、上記マイクロ波伝送線路において、上記容量性素子は当該伝送線路を伝搬する電磁波モードの実効透磁率が負であるマイクロ波素子であり、上記誘導性素子は当該伝送線路を伝搬する電磁波モードの実効誘電率が負であるマイクロ波素子であることを特徴とする。
さらに、上記マイクロ波伝送線路において、上記マイクロ波伝送線路は、
裏面に接地導体を有する誘電体基板と、
上記誘電体基板上に形成されたマイクロストリップ線路と、
上記マイクロストリップ線路を複数の線路部に分断し、上記分断された複数の線路部のうちの互いに隣接する各線路部を接続する複数のキャパシタと、
上記各線路部をそれぞれ接地導体に接続する複数の誘導性スタブ導体とを備えたことを特徴とする。
第2の発明に係るアンテナ装置は、上記マイクロ波共振器を用いたアンテナ装置であって、
上記第1の反射用インピーダンス回路又は上記第2の反射用インピーダンス回路に接続され、上記マイクロ波共振器によって受信されたマイクロ波信号を出力する給電回路をさらに備えたことを特徴とする。
上記アンテナ装置において、上記第1の反射用インピーダンス回路は、上記第1のインピーダンスを変化させる第1のインピーダンス変化手段を備え、
上記第2の反射用インピーダンス回路は、上記第2のインピーダンスを変化させる第2のインピーダンス変化手段を備え、
上記アンテナ装置は、
上記マイクロ波共振器によって受信されるマイクロ波信号の偏波方向を変化させるように、上記第1及び第2のインピーダンス変化手段をそれぞれ制御する制御手段をさらに備えたことを特徴とする。
また、上記アンテナ装置は、
上記給電回路から出力されたマイクロ波信号の受信電力を検出する受信電力検出手段をさらに備え、
上記制御手段は、上記検出された受信電力に基づいて、上記受信電力が最大になるように上記マイクロ波共振器によって受信されるマイクロ波信号の偏波方向を変化させることを特徴とする。
さらに、上記アンテナ装置において、上記第1及び第2のインピーダンスは離散的に変化することを特徴とする。
またさらに、上記アンテナ装置において、上記第1及び第2のインピーダンスは連続的に変化することを特徴とする。
またさらに、上記アンテナ装置において、上記第1及び第2の反射用インピーダンス回路はそれぞれ、可変容量ダイオード及びインダクタを含むことを特徴とする。
また、上記アンテナ装置において、上記第1及び第2の反射用インピーダンス回路のそれぞれは、移相器及び伝送線路を含むことを特徴とする。
第3の発明に係る帯域通過フィルタ装置は、上記マイクロ波共振器を備えた帯域通過フィルタ装置であって、
上記マイクロ波伝送線路は非平衡型マイクロ波伝送線路であり、
上記第1の反射用インピーダンス回路は、上記第1のインピーダンスを変化させる第1のインピーダンス変化手段を備え、
上記第2の反射用インピーダンス回路は、上記第2のインピーダンスを変化させる第2のインピーダンス変化手段を備え、
上記帯域通過フィルタ装置は、
当該帯域通過フィルタ装置の帯域通過周波数を変化させるように、上記第1及び第2のインピーダンス変化手段をそれぞれ制御する制御手段をさらに備えたことを特徴とする。
第4の発明に係る帯域阻止フィルタ装置は、上記マイクロ波共振器を備えた帯域阻止フィルタ装置であって、
上記マイクロ波伝送線路は非平衡型マイクロ波伝送線路であり、
上記第1の反射用インピーダンス回路は、上記第1のインピーダンスを変化させる第1のインピーダンス変化手段を備え、
上記第2の反射用インピーダンス回路は、上記第2のインピーダンスを変化させる第2のインピーダンス変化手段を備え、
上記帯域阻止フィルタ装置は、
当該帯域阻止フィルタ装置の帯域阻止周波数を変化させるように、上記第1及び第2のインピーダンス変化手段をそれぞれ制御する制御手段をさらに備えたことを特徴とする。
本発明に係るマイクロ波共振器によれば、マイクロ波伝送線路の第1のポートに接続され、所定の動作周波数において、上記第1のポートから第1の反射用インピーダンス回路を見たインピーダンスが第1のインピーダンスとなるように動作する第1の反射用インピーダンス回路と、上記マイクロ波伝送線路の第2のポートに接続され、上記動作周波数において、上記第のポートから第2の反射用インピーダンス回路を見たインピーダンスが第2のインピーダンスとなるように動作する第2の反射用インピーダンス回路とを備え、上記第1のインピーダンスの虚部と上記第2のインピーダンスの虚部とは互いに異符号であり、かつ上記第1のインピーダンスの虚部の大きさと上記第2のインピーダンスの虚部の大きさとは実質的に互いに等しい。従って、マイクロ波伝送線路を構成する単位セルの直列枝の直列共振のみが支配的な状態と、並列枝の並列共振のみが支配的な状態との間の、直列共振と並列共振とが混在した二重共振の状態にある零次共振器を実現できる。
また、本発明に係るアンテナ装置によれば、本発明に係るマイクロ波共振器と、上記第1の反射用インピーダンス回路又は上記第2の反射用インピーダンス回路に接続され、上記マイクロ波共振器によって受信されたマイクロ波信号を出力する給電回路を備えたので、受信するマイクロ波信号の偏波の向きを、マイクロ波伝送線路を構成する単位セルの直列枝に平行な方向と、並列枝に平行な方向との間の任意の方向に設定できる。
さらに、本発明に係るアンテナ装置によれば、上記第1の反射用インピーダンス回路は、上記第1のインピーダンスを変化させる第1のインピーダンス変化手段を備え、上記第2の反射用インピーダンス回路は、上記第2のインピーダンスを変化させる第2のインピーダンス変化手段を備え、上記アンテナ装置は、上記マイクロ波共振器によって受信されるマイクロ波信号の偏波方向を変化させるように、上記第1及び第2のインピーダンス変化手段をそれぞれ制御する制御手段をさらに備える。従って、例えば、受信されるマイクロ波信号の受信電力が最大になるように偏波の向きを変化させることができる。
またさらに、本発明に係る帯域通過フィルタ装置は本発明に係るマイクロ波共振器を備え、上記第1の反射用インピーダンス回路は、上記第1のインピーダンスを変化させる第1のインピーダンス変化手段を備え、上記第2の反射用インピーダンス回路は、上記第2のインピーダンスを変化させる第2のインピーダンス変化手段を備え、上記帯域通過フィルタ装置は、当該帯域通過フィルタ装置の帯域通過周波数を変化させるように、上記第1及び第2のインピーダンス変化手段をそれぞれ制御する制御手段をさらに備える。従って、直列共振周波数と並列共振周波数との間の任意の帯域通過フィルタ周波数を有する帯域通過フィルタ装置を実現できる。
また、本発明に係る帯域阻止フィルタ装置は本発明に係るマイクロ波共振器を備え、上記第1の反射用インピーダンス回路は、上記第1のインピーダンスを変化させる第1のインピーダンス変化手段を備え、上記第2の反射用インピーダンス回路は、上記第2のインピーダンスを変化させる第2のインピーダンス変化手段を備え、上記帯域阻止フィルタ装置は、当該帯域阻止フィルタ装置の帯域阻止周波数を変化させるように、上記第1及び第2のインピーダンス変化手段をそれぞれ制御する制御手段をさらに備える。従って、直列共振周波数と並列共振周波数との間の任意の帯域阻止フィルタ周波数を有する帯域阻止フィルタ装置を実現できる。
基本的な右手/左手系複合伝送線路100を用いた従来技術に係る伝送線路型マイクロ波共振器の等価回路モデルを示す回路図である。 図1の単位セルUC(n=1,2,…,N)を簡略化して表した、従来技術に係る伝送線路型マイクロ波共振器の等価回路モデルを示す回路図である。 対称T型構造を有する図1の単位セルUCの一例を示す回路図である。 対称π構造を有する図1の単位セルUCの一例を示す回路図である。 従来技術に係る可逆右手/左手系複合伝送線路において非平衡状態の場合における分散曲線(規格化位相定数βp/πに対する角周波数ωの特性)を示すグラフである。 従来技術に係る可逆右手/左手系複合伝送線路において平衡状態の場合における分散曲線(規格化位相定数βp/πに対する角周波数ωの特性)を示すグラフである。 本発明の実施形態に係る伝送線路型マイクロ波共振器である零次共振器の等価回路モデルを示す回路図である。 図7の右手/左手系複合伝送線路100のポートP1を、インピーダンスjBを有する反射用インピーダンス素子151Rで終端したときの、単位セルUCのポートP12から見た入力インピーダンスZin,1を示すブロック図である。 図7の右手/左手系複合伝送線路100のポートP1を、インピーダンスjBを有する反射用インピーダンス素子151Rで終端したときの、単位セルUCのポートP12から見た入力インピーダンスZin,nを示すブロック図である。 図7の反射用インピーダンス素子151R及び152Rを備えた集中定数回路の閉ループ回路を示すブロック図である。 零次共振器を構成する単位セルの数Nが10あり、かつ可逆な右手/左手系複合伝送線路100を備えたときの、図7の零次共振器の具体的な構成を示す平面図である。 図11のA−A’ラインを横切る縦断面図である。 図11のB−B’ラインを横切る縦断面図である。 放射角θ及びφの定義を示す図11の零次共振器の斜視図である。 可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、図11の零次共振器の構造パラメータLa,Lb,Lc,Ld,Le,Lf,Lg,Cを示す平面図である。 可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、図11の零次共振器を構成する平衡型右手/左手系複合伝送線路100の分散曲線(規格化位相定数βp/πに対する角周波数ωの特性)を示すグラフである。 可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを、0、50[Ω]及び+∞に設定したときの図11の零次共振器の反射係数S11(シミュレーション計算値)の周波数特性を示すグラフである。 可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを0に設定したときの図11の零次共振器の磁界強度の分布(シミュレーション計算値)を示す平面図である。 可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを50[Ω]に設定したときの図11の零次共振器の磁界強度の分布(シミュレーション計算値)を示す平面図である。 可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを+∞に設定したときの図11の零次共振器の磁界強度の分布(シミュレーション計算値)を示す平面図である。 可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを0に設定したときの図11の零次共振器のx−z面上の放射パターン(シミュレーション計算値)を示す図である。 可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを50[Ω]に設定したときの図11の零次共振器のx−z面上の放射パターン(シミュレーション計算値)を示す図である。 可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを+∞に設定したときの図11の零次共振器のx−z面上の放射パターン(シミュレーション計算値)を示す図である。 可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを0に設定したときの図11の零次共振器の反射係数S11(実験測定値及びシミュレーション計算値)の周波数特性を示すグラフである。 可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを50[Ω]に設定したときの図11の零次共振器の反射係数S11(実験測定値及びシミュレーション計算値)の周波数特性を示すグラフである。 可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを+∞に設定したときの図11の零次共振器の反射係数S11(実験測定値及びシミュレーション計算値)の周波数特性を示すグラフである。 可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを0に設定したときの図11の零次共振器の近傍磁界強度分布(実験測定値)を示す平面図である。 可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを50[Ω]に設定したときの図11の零次共振器の近傍磁界強度分布(実験測定値)を示す平面図である。 可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを+∞に設定したときの図11の零次共振器の近傍磁界強度分布(実験測定値)を示す平面図である。 可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを0に設定したときの図11の零次共振器のx−z面(φ=0の場合)上の放射パターン(実験測定値及びシミュレーション計算値)を示す図である。 可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを50[Ω]に設定したときの図11の零次共振器のx−z面(φ=0の場合)上の放射パターン(実験測定値及びシミュレーション計算値)を示す図である。 可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを+∞に設定したときの図11の零次共振器のx−z面(φ=0の場合)上の放射パターン(実験測定値及びシミュレーション計算値)を示す図である。 可逆かつ非平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、図11の零次共振器の構造パラメータLa,Lb,Lc,Ld,Le,Lf,Lg,Cを示す平面図である。 可逆かつ非平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合における図11の零次共振器を構成する非平衡型右手/左手系複合伝送線路100の分散曲線(規格化位相定数βp/πに対する角周波数ωの特性)を示すグラフである。 可逆かつ非平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを、0、50[Ω]及び+∞に設定したときの図11の零次共振器の反射係数S11(シミュレーション計算値)の周波数特性を示すグラフである。 可逆かつ非平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを0に設定したときの図11の零次共振器の磁界強度の分布(シミュレーション計算値)を示す平面図である。 可逆かつ非平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを50[Ω]に設定したときの図11の零次共振器の磁界強度の分布(シミュレーション計算値)を示す平面図である。 可逆かつ非平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを+∞に設定したときの図11の零次共振器の磁界強度の分布(シミュレーション計算値)を示す平面図である。 図26Aに比較して、単位セルの数を30に変更したときの図11の零次共振器の磁界強度の分布(シミュレーション計算値)を示す平面図である。 図26Bに比較して、単位セルの数を30に変更したときの図11の零次共振器の磁界強度の分布(シミュレーション計算値)を示す平面図である。 図26Cに比較して、単位セルの数を30に変更したときの図11の零次共振器の磁界強度の分布(シミュレーション計算値)を示す平面図である。 図7の零次共振器を用いたアンテナ装置の第1の実施例の構成を示すブロック図である。 図7の零次共振器を用いたアンテナ装置の第2の実施例の構成を示すブロック図である。 図7の零次共振器を用いたアンテナ装置の第3の実施例の構成を示すブロック図である。 図7の零次共振器を用いた帯域阻止フィルタ装置の実施例の構成を示すブロック図である。 図31の帯域阻止フィルタ装置の構成を示す平面図である。 図31の帯域阻止フィルタ装置において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを、0、50[Ω]及び+∞に設定したときの反射係数S11及び透過係数S21(シミュレーション計算値)の周波数特性を示すグラフである。 図7の零次共振器を用いた帯域通過フィルタ装置の実施例の構成を示す平面図である。 図34の帯域通過フィルタ装置において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを、0、50[Ω]及び+∞に設定したときの反射係数S11及び透過係数S21(シミュレーション計算値)の周波数特性を示すグラフである。 零次共振器を構成する単位セルの数Nが10あり、かつ非可逆な右手/左手系複合伝送線路100を備えたときの、図7の零次共振器の具体的な構成を示す斜視図である。 図36のA−A’ラインを横切る縦断面図である。 非可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを0に設定し、外部磁化Hを印加したときの図36の零次共振器のx−z面上の放射パターン(シミュレーション計算値)を示す図である。 非可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを50[Ω]に設定し、外部磁化Hを印加したときの図36の零次共振器のx−z面上の放射パターン(シミュレーション計算値)を示す図である。 非可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを+∞に設定し、外部磁化Hを印加したときの図36の零次共振器のx−z面上の放射パターン(シミュレーション計算値)を示す図である。 図7の零次共振器の直列枝に流れる電流Icenter及び並列枝に流れる電流Istubを示す回路図及び平面図(ただし、零次共振器を構成する単位セルの数Nは10である。)である。 図11の零次共振器から放射された電波をホーンアンテナ500を用いて受信するための実験装置の構成を示す斜視図である。 図40のホーンアンテナ500の主偏波方向θを45度に設定したときの放射パターンの実験測定値及び主偏波方向θを−45度に設定したときの放射パターンの実験測定値を示す図である。 図11の零次共振器において反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを0と+∞との間の値に設定したときの電界Etotalを示す平面図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
また、本明細書において、数式がイメージ入力された墨付き括弧の数番号と、数式が文字入力された大括弧の数式番号とを混在して用いており、また、当該明細書での一連の数式番号として「式(1)」の形式を用いて数式番号を式の最後部に付与して(付与していない数式も存在する)用いることとする。
1.右手/左手系複合伝送線路100の基本構成.
始めに、図1乃至図6を参照して、本発明の実施形態に係る伝送線路型マイクロ波共振器において用いる右手/左手系複合伝送線路100の基本構成を説明する。図1は、基本的な右手/左手系複合伝送線路100を用いた従来技術に係る伝送線路型マイクロ波共振器の等価回路モデルを示す回路図であり、図2は、図1の単位セルUC(n=1,2,…,N)を簡略化して表した、従来技術に係る伝送線路型マイクロ波共振器の等価回路モデルを示す回路図である。図1の伝送線路型マイクロ波共振器は、有限の長さを有する右手/左手系複合伝送線路100と、右手/左手系複合伝送線路100の両端に伝送信号を反射するようにそれぞれ接続された終端負荷151及び152とを備えて構成される。さらに、右手/左手系複合伝送線路100の構成は、伝送信号の波長に比べて充分小さなサイズを有する複数N個の単位セルUC,UC,…,UCを縦続接続した梯子型伝送線路構成である。ここで、図1及び図2に示すように、単位セルUCは2端子対網の微小構成要素である。
さらに、図1に示すように、単位セルUCは、右手/左手系複合伝送線路100を構成する伝送線路部分61の直列枝にキャパシタンスCを有する容量性素子及びインダクタンスLを有する誘導性素子を備えた直共振回路が等価的に挿入され、並列枝にキャパシタンスCを有する容量性素子及びインダクタンスLを有する誘導性素子を備えた並列共振回路が等価的に挿入された構成を有する。ここで、インダクタンスLを有する誘導性素子及びキャパシタンスCを有する容量性素子は、右手系伝送線路が本来備えているもしくは挿入される直列枝の誘導性素子及び並列枝の容量性素子に対応する。一方、キャパシタンスCを有する容量性素子は、右手/左手系複合伝送線路100を伝搬する電磁波モードの実効透磁率が負となるよう直列枝に挿入された容量性素子(マイクロ波素子)に対応し、インダクタンスLを有する誘導性素子は、右手/左手系複合伝送線路100を伝搬する電磁波モードの実効誘電率が負となるよう並列枝に挿入された誘導性素子(マイクロ波素子)に対応する。
なお、上述した梯子形伝送線路構成として対象となる回路又は装置は、ストリップ線路、マイクロストリップ線路、スロット線路、コプレーナ線路、平行平板線路などマイクロ波、ミリ波、準ミリ波、テラヘルツ波において用いられるプリント基板回路、導波管、誘電体線路だけでなく、プラズモン、ポラリトン、マグノン等を含む導波モードあるいは減衰モードを支える構成全般、あるいはそれらの組み合わせ、さらに等価回路として記述可能な自由空間など全てが含まれる。
また、キャパシタンスCを有する容量性素子としては、電気回路でよく用いられるコンデンサ、マイクロ波、ミリ波回路などで用いられる分布定数型容量素子だけでなく、等価的には、伝送線路中を伝搬する電磁波モードの実効透磁率が負の値を持つような回路又は回路素子であってもよい。負の実効透磁率を示す具体的な例としては、金属からなるスプリットリング共振器、スパイラル構成などの磁気的共振器を少なくとも1つ含む空間的配置、あるいは磁気的共振状態にある誘電体共振器の空間的配置、あるいはフェライト基板マイクロストリップ線路に沿って伝搬するエッジモードのように、負の実効透磁率を持つ導波モードもしくは減衰モードで動作するマイクロ波回路全てを、等価回路として直列枝の回路が容量性素子として支配的に動作する線路として記述されることから用いることが可能である。さらに、キャパシタンスCを有する容量性素子としては、上記以外に、容量性素子と誘導性素子の直列接続、並列接続あるいはそれらの組み合わせであってもよい。挿入されるべき部分の素子又は回路が全体として容量性を示すものであってもよい。
さらに、インダクタンスLを有する誘導性素子として、電気回路で用いられるコイルなどの集中定数型素子や、マイクロ波、ミリ波回路などで用いられる短絡スタブなどの分布定数型誘導性素子だけでなく、伝送線路中を伝搬する電磁波モードの実効誘電率が負の値を持つ回路又は素子を用いることができる。具体的には、金属細線、金属球などの電気的共振器を少なくとも1つ含む空間的配置、あるいは金属だけでなく電気的共振状態にある誘電体共振器の空間的配置、あるいはTEモードが遮断領域にある導波管、平行平板線路など、負の実効誘電率を持つ導波モードもしくは減衰モードで動作するマイクロ波回路全てを、等価回路として並列枝が誘導性素子として支配的に動作する伝送線路として記述されることから用いることができる。また、インダクタンスLを有する誘導性素子としては、上記以外に、容量性素子と誘導性素子の直列接続、並列接続あるいはそれらの組み合わせであってもよい。挿入されるべき部分が全体として誘導性を示す回路又は素子であってもよい。
図3は、対称T型構造を有する図1の単位セルUCの一例を示す回路図であり、図4は、対称π構造を有する図1の単位セルUCの一例を示す回路図である。図3及び図4において、パラメータZseは、伝送線路部分61の直列枝のインピーダンスを表し、パラメータYshは並列枝のアドミタンスを表し、それぞれ、次式で表される。
Figure 0005747418
Figure 0005747418
ここで、ωseは直列枝の直列共振角周波数であり、次式で表される。
Figure 0005747418
また、ωshは並列枝の並列共振角周波数であり、次式で表される。
Figure 0005747418
以下では原則として、単位セルUCの線路長(つまり、周期長さ)pが波長に比べて十分小さい場合を仮定しているので、T型、π型あるいはL型の場合であっても、本質的に同様の結果が得られる一方で、波長に対する単位セルUCの線路長pがここで述べる基本的動作を制約しないことを強調しておく。
また、以下、順方向の位相定数βと逆方向の位相定数βとが同一の値βである可逆位相特性を有する右手/左手系複合伝送線路100を可逆右手/左手系複合伝送線路又は相反右手/左手系複合伝送線路といい、順方向の位相定数βと逆方向の位相定数βとが互いに異なる非可逆位相特性を有する右手/左手系複合伝送線路100を非可逆右手/左手系複合伝送線路又は非相反右手/左手系複合伝送線路という。
図1及び図2に示すような、複数の単位セルUCを縦続接続した周期構造を有する右手/左手系複合伝送線路100の伝搬特性は、動作周波数と伝搬電磁波の位相定数との間を関係づける分散曲線として求められる。図5は、従来技術に係る可逆右手/左手系複合伝送線路において非平衡状態の場合における分散曲線(規格化位相定数βp/πに対する角周波数ωの特性)を示すグラフであり、図6は、従来技術に係る可逆右手/左手系複合伝送線路において平衡状態の場合における分散曲線(規格化位相定数βp/πに対する角周波数ωの特性)を示すグラフである。
一般に、分散曲線の接線の勾配
Figure 0005747418
は、速度の次元を持ち、電磁波の伝送電力(ポインティングベクトル)の方向を表すのに対して、
Figure 0005747418
は位相速度(等位相面の流れる向き)を表す。
図5に示すように、非平衡状態の場合には直列共振角周波数ωseと並列共振角周波数ωshとは互いに異なり、電磁波の伝送電力の方向(群速度の向き)と位相速度の向きが反対となるバックワード波(左手系モード)の伝搬が可能な状態の下側の周波数帯と、群速度の向きと位相速度の向きとが同方向となるフォワード波(右手系モード)の伝搬が可能状態の上側の周波数帯とに分かれていることがわかる。また、右手系(RH)モード及び左手系(LH)モードを示す帯域の間には分散曲線が存在せず、波の伝搬が許されない禁止帯(バンド・ギャップ)となっている。
一方、図6に示すように、平衡状態の場合には、直列共振角周波数ωseと並列共振角周波数ωshとは互いに一致し、右手系(RH)伝送特性及び左手系(LH)伝送特性が連続的に連結され、禁止帯が消失している。
なお、図5を参照して、可逆右手/左手系複合伝送線路において非平衡状態の場合における分散曲線を説明したが、非可逆右手/左手系複合伝送線路において非平衡状態の場合における分散曲線は、図5の分散曲線の対称軸(β=0の直線である。)を当該対称軸から右側又は左側にシフトしたものになる。また、図6を参照して、可逆右手/左手系複合伝送線路において平衡状態の場合における分散曲線を説明したが、非可逆右手/左手系複合伝送線路において平衡状態の場合における分散曲線は、図6の分散曲線の対称軸(β=0の直線である。)を当該対称軸から右側又は左側にシフトしたものになる。
以上説明したように、右手/左手系複合伝送線路100は、少なくとも1つの単位セルUC,UC,…,UCを縦続接続した構成を有するマイクロ波伝送線路である。ここで、各単位セルUCは、右手/左手系複合伝送線路100を伝搬する電磁波モードの実効透磁率が負となるよう直列枝に挿入され、キャパシタンスCを有する容量性素子と、右手/左手系複合伝送線路100を伝搬する電磁波モードの実効誘電率が負となるよう直列枝に挿入され、インダクタンスLを有する誘導性素子と、非可逆伝送線路部分又は可逆伝送線路部分である伝送線路部分61とを備えて構成される。また、各単位セルUCは、右手/左手系複合伝送線路100に入力されるマイクロ波信号の動作周波数と、右手/左手系複合伝送線路100の位相定数との関係を示す分散曲線において右手/左手系複合伝送線路100が所定の位相定数を有するように回路構成されている。
2.可逆右手/左手系複合伝送線路を備えた本発明の実施形態に係る伝送線路型マイクロ波共振器である零次共振器の共振条件.
次に、図7乃至図10を参照して、可逆右手/左手系複合伝送線路を備えた本発明の実施形態に係る伝送線路型マイクロ波共振器である零次共振器の共振条件を説明する。図7は、本発明の実施形態に係る伝送線路型マイクロ波共振器である零次共振器の等価回路モデルを示す回路図である。図7において、本実施形態に係るマイクロ波共振器は、ポートP1及びP2を有する有限長さl=Npの直線形状の右手/左手系複合伝送線路(CRLHTL)100(複数N個の基本セルUC,UC,…,UCからなり、1個の基本セルの長さはpである。)と、ポートP1に接続された反射用インピーダンス素子151Rと、ポートP2に接続された反射用インピーダンス素子152Rとを備えて構成される。ここで、反射用インピーダンス素子151Rは、動作周波数において、ポートP1から見たインピーダンスがZL1となるように動作し、反射用インピーダンス素子152Rは、動作周波数において、ポートP2から見たインピーダンスがZL2となるように動作する。図7におけるパラメータβ及びΔφはそれぞれポートP1からポートP2までの電力伝送に関する線路の位相定数及び位相遅延を示し、パラメータβ及びΔφはそれぞれポートP2からポートP1までの電力伝送に関する線路の位相定数及び位相遅延を示し、xは、右手/左手系複合伝送線路100の長手方向の位置を示す。さらに、ポートP1及びP2における反射に起因する移相は、それぞれΔφ及びΔφである。この事例では、共振条件は、次式の位相関係式が成り立つときに満たされる。
Figure 0005747418
ここで、Δφ=βl、及びΔφ=βlであり、mは整数である。また、右手/左手系複合伝送線路100は、位相定数βと位相定数βとが互いに等しい可逆伝送線路であると仮定する。このとき、両方のポートP1,P2が開放端であるか短絡されていれば、Δφ+Δφの値は、電圧波又は電流波のいずれの場合も2π又は0であり、よって式(2)は次式で表される。
Figure 0005747418
従って、線路の位相定数βに関する共振条件は右手/左手系複合伝送線路100の長さlによって決定され、かつ次式で表される。
Figure 0005747418
位相定数βは周波数の関数であるので、式(4)は共振周波数が線路長に依存することを表しているとも言える。式(4)においてm=1である場合、線路長l=λ/2である。ここで、パラメータλは管内波長である。この条件は、典型的な半波長共振器の動作を規定する。式(4)において、m=0であれば、共振条件は線路長lとは独立し、β=0である。位相定数βがゼロであることは無限波長を意味し、管内波長λが+∞の大きさを持ち、右手/左手系複合伝送線路100上で信号振幅及び位相が一様になる。このように、共振周波数が共振器のサイズに依存しない共振状態を、零次共振といい、零次共振する共振器を零次共振器という(例えば、非特許文献1参照。)。
図7において、ポートP1及びP2が短絡されて、ZL1=ZL2=0であれば、右手/左手系複合伝送線路100から反射用インピーダンス素子151R及び152Rに大電流が流れ込むため、各単位セルUCの直列枝のインピーダンスZseが0となる直列共振動作が支配的となる。このとき、放射波は直線偏波であって、その主偏波方向は、右手/左手系複合伝送線路100に平行な方向となる。反対に、ポートP1及びP2が開放端であって、ZL1=ZL2=+∞であれば、右手/左手系複合伝送線路100と反射用インピーダンス素子151R及び152Rの接続点で電流はゼロ、電圧が最大となるため、並列枝のアドミタンスYshが0となる並列共振動作が支配的となる。このとき、放射波の主偏波方向は、並列枝に平行な方向となる。このため、例えば、図11に示すように、並列枝を構成する短絡スタブ導体13を、右手/左手系複合伝送線路100に直交するように形成すると、放射波の主偏波方向は右手/左手系複合伝送線路100に直交する方向(図11のY軸に平行な方向。)となる。
従来は、上述したように、両ポートP1及びP2を短絡端又は開放端とすることにより、零次共振器を実現していた。しかしながら、式(2)を得るためには、終端反射における位相条件としては、単に次式を満たせば十分である。
Figure 0005747418
ここで、mは整数である。さらに、終端反射に対する共振条件は、この位相条件だけでなく、実質的に全反射である(すなわち、反射係数の絶対値が1である)必要がある。従って、式(5)及びそれに続く説明により、ポートP1における反射係数Γ及びポートP2における反射係数Γは、次式で表される。
Figure 0005747418
Figure 0005747418
式(5)の位相関係は、ポートP1に、動作周波数において純虚数のインピーダンスjBを有する反射用インピーダンス素子151Rを挿入し、ポートP2に、動作周波数においてインピーダンスjBと共役なインピーダンス−jBを有する反射用インピーダンス素子152Rを挿入することにより実現できる。
なお、本発明の実施形態に係る零次共振器を実際に作成する場合、反射用インピーダンス素子151RのインピーダンスZ1の虚部と反射用インピーダンス素子152RのインピーダンスZ2の虚部とが互いに異符号であり、かつインピーダンスZ1の虚部の大きさとインピーダンスZ2の虚部の大きさとは実質的に互いに等しければ、式(5)の位相関係を実質的に実現できる。このとき、インピーダンスZ1の実部である損失は存在するが実質的にゼロであり、かつインピーダンスZ2の実部である損失は存在するが実質的にゼロである。実際には、零次共振器のQ値は数十以上であればよく、好ましくは、200以上であればよい。
このとき、ポートP1における反射係数Γ1B及びポートP2における反射係数Γ2Bは、零次共振器を構成する右手/左手系複合線路100のブロッホインピーダンスZCRLHTLを用いて、次式で表される。
Figure 0005747418
Figure 0005747418
一般に、右手/左手系複合伝送線路100のブロッホインピーダンスZCRLHTLは、単位セルの構造により異なる。例えば、T型の場合は、ブロッホインピーダンスZCRLHTLは、次式で表される。
Figure 0005747418
単位セルの構造がπ型の場合は、ブロッホインピーダンスZCRLHTLは、次式で表される。
Figure 0005747418
特に、右手/左手系複合伝送線路100が平衡状態を保ったまま共振状態にあるときには、ブロッホインピーダンスZCRLHTLは、単位セルの構造に関係なく、次式のように簡単に表される。
Figure 0005747418
式(7a)及び式(7b)の各反射係数Γ1B及びΓ2Bの関係は、式(6a)及び式(6b)の各反射係数Γ及びΓの関係を満たしている。従って、図7において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBに応じて、様々な零次共振器を実現できる。
2−1.可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いたときの零次共振器の動作.
次に、図8乃至図10を参照して、可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いたときの零次共振器の動作を説明する。
対称T型構造を有する単位セルUC(図3参照。)のABCD行列FΤ、及び対称π構造を有する単位セルUC(図4参照。)のABCD行列FΠは、次式で表される。
Figure 0005747418
Figure 0005747418
零次共振周波数付近で、直列枝のインピーダンスZse及び並列枝のアドミタンスYshは、実質的にゼロになる。このとき、式(9a)及び式(9b)は、まとめて次式で近似できる。
Figure 0005747418
各単位セルUCが対称T型構造を有するとき、図7の右手/左手系複合伝送線路100のポートP1(単位セルUCの一方のポートP11である。)を、インピーダンスjBを有する反射用インピーダンス素子151Rで終端したときの、単位セルUCの他方のポートP12から見た入力インピーダンスZin,1は、近似的に次式で表される。
Figure 0005747418
単位セルUCが対称π型構造を有するときも、単位セルUCの他方のポートP12から見た入力インピーダンスZin,1は、式(11)で同様に表される。図8は、図7の右手/左手系複合伝送線路100のポートP1を、インピーダンスjBを有する反射用インピーダンス素子151Rで終端したときの、単位セルUCのポートP12から見た入力インピーダンスZin,1を示すブロック図である。これにより、単位セルUCの数Nが複数の場合に拡張しても、各単位セルUCのポートP12から見た入力インピーダンスZin,nが常にjBになることがわかる。つまり、零次共振状態にある有限長さの平衡型の右手/左手系複合線路100の一方のポートP1に、インピーダンスjBを有する反射用インピーダンス素子151Rを接続すると、他方のポートP2から見た入力インピーダンスは、線路長lに関係なく、常にポートP1の終端素子(すなわち、反射用インピーダンス素子151R)のインピーダンスjBと同じになることが容易に理解できる。図9は、図7の右手/左手系複合伝送線路100のポートP1を、インピーダンスjBを有する反射用インピーダンス素子151Rで終端したときの、単位セルUCのポートP12から見た入力インピーダンスZin,nを示すブロック図である。
従って、有限長さの平衡型右手/左手系複合線路100の一方のポートP1に、動作周波数においてインピーダンスjBを有する反射用インピーダンス素子151Rが反射器として挿入された場合、平衡型右手/左手系複合線路100を零次共振させるためには、他方のポートP2に、動作周波数において、純虚数のインピーダンスjBと共役な純虚数のインピーダンス−jBを有する反射用インピーダンス素子152Rを挿入することが必要となる。
図10は、図7の反射用インピーダンス素子151R及び152Rを備えた集中定数回路の閉ループ回路を示すブロック図である。以上説明したように、両端がインピーダンスjBを有する反射用インピーダンス素子151R及びインピーダンス−jBを有する反射用インピーダンス素子152Rで終端された有限長の平衡型右手/左手系複合線路100は、集中定数jB及び−jBを有する2つの素子の閉ループ(図10参照。)がそうであるのと同様に、自動的に共振条件を満たすことがわかる。
なお、零次共振状態にある右手/左手系複合線路100に沿って伝搬する電圧波と電流波の比(インピーダンス)は、上記の入力インピーダンスjBに相当することに注意すべきである。
従来技術に係る零次共振器では、右手/左手系複合伝送線路100のポートP1及びP2を短絡端又は開放端としていた。ここで、右手/左手系複合伝送線路100のポートP1及びP2が短絡端である場合には、右手/左手系複合伝送線路100において直列共振が支配的になり、右手/左手系複合伝送線路100のポートP1及びP2が開放端である場合には、右手/左手系複合伝送線路100において並列共振が支配的になる。従って、従来技術に係る零次共振器をアンテナ装置の放射器として用いる場合、並列枝を構成するスタブ導体を右手/左手系複合伝送線路100に直交するように形成したときは、放射波の主偏波の方向として実現できる方向は、右手/左手系複合伝送線路100に平行な方向(直列共振が支配的な場合。)又は、直交する方向(並列共振が支配的な場合。)のみであった。これに対して、本発明によれば、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBは任意の値を取りうるので、直列共振が支配的な状態(リアクタンスBは0である。)と、並列共振が支配的な状態(リアクタンスBは無限大である)の中間の二重共振の状態の零次共振器を実現できる。すなわち、本実施形態に係る零次共振器をアンテナ装置の放射器として用いる場合、並列枝を構成するスタブ導体を右手/左手系複合伝送線路100に直交するように形成したときは、リアクタンスBを0から+∞まで変化させることにより、放射波の主偏波の方向を、右手/左手系複合伝送線路100に平行な方向から直交する方向(スタブ導体に平行な方向である。)まで変化させることができる。このとき、右手/左手系複合伝送線路100上のエネルギー分布は直列枝に集中した状態から並列枝に集中した状態まで変化する。さらに、右手/左手系複合伝送線路100における共振エネルギーにおいて、直列共振エネルギーのみの状態から並列共振エネルギーのみの状態まで変化する。
2−2.可逆かつ非平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いたときの零次共振器の動作.
次に、可逆かつ非平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いたときの零次共振器の動作を説明する。位相定数βがゼロになるときの直列共振角周波数ωse及び並列共振角周波数ωshにおいて、一方は実効透磁率μeffがゼロとなる角周波数であり、他方は実効誘電率εeffがゼロとなる角周波数である。さらに、この2つの角周波数に挟まれた領域は、右手/左手系複合伝送線路100に沿って電磁波の伝搬が許されない禁止帯であるが、実効誘電率εeff及び実効透磁率μeffのうち一方のみが負となるので、右手/左手系複合伝送線路100の特性インピーダンス(厳密には周期構造のブロッホインピーダンスZCRLHTL)Z=(μeff/εeff1/2は純虚数となる。以上のことから、右手/左手系複合伝送線路100のポートP1に反射器として挿入されたリアクタンスjBを有する反射用インピーダンス素子151Rが、インピーダンス整合の取れる負荷として動作する周波数が存在する。つまり、右手/左手系複合伝送線路100の特性インピーダンスZがインピーダンスjBと等しくなる角周波数が、直列共振角周波数ωseと、並列共振角周波数ωshとの間の禁止帯に必ず存在する。このとき、右手/左手系複合伝送線路100の他方のポートP2からこの反射用インピーダンス素子151R(負荷インピーダンスである。)を見たときの入力インピーダンスZinは線路長lに関係なく、常にjBとなる。従って、ポートP2にインピーダンス−jBを有する反射用インピーダンス素子152Rを接続することにより、共振条件は自動的に満たされる。
非平衡型の右手/左手系複合伝送線路100において、直列共振角周波数ωse及び並列共振角周波数ωshの間の周波数帯では、伝送線路に沿って伝搬するモードが存在しない。従来は、直列共振角周波数ωse及び並列共振角周波数ωshに挟まれた禁止帯において動作可能で、共振角周波数が線路長lに依存しない伝送線路型共振器が提案された報告はなかった。これに対して、本実施形態に係る非平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いた零次共振器によれば、リアクタンスBを0から+∞まで変化させることにより、共振周波数が線路の長さlに依存しない零次共振状態を維持したまま、共振角周波数を直列共振角周波数ωseから並列共振角周波数ωshまで変化させることができる。なお、このとき、平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いた場合と同様に、放射波の主偏波の方向は、右手/左手系複合伝送線路100に平行な方向から直交する方向(並列枝に平行な方向である。)まで変化し、右手/左手系複合伝送線路100上のエネルギー分布は直列枝に集中した状態から並列枝に集中した状態まで変化する。従って、本実施形態に係る非平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いた零次共振器により、共振周波数を直列共振周波数から並列共振周波数まで連続的に変化させることができるチューナブル共振器と、帯域通過周波数を直列共振周波数から並列共振周波数まで連続的に変化させることができる帯域通過フィルタ装置と、帯域阻止周波数を直列共振周波数から並列共振周波数まで連続的に変化させることができる帯域阻止フィルタ装置とを実現できる。
3.非可逆右手/左手系複合伝送線路を備えた本発明の実施形態に係る伝送線路型マイクロ波共振器である零次共振器の共振条件.
前節では、順方向の伝搬定数βと逆方向の伝搬定数βとが同一の値βである可逆位相特性を有する右手/左手系複合伝送線路100を用いたときの零次共振器の共振条件を説明した。本節では、順方向の位相定数βと逆方向の位相定数βとが互いに異なる非可逆位相特性を有する右手/左手系複合伝送線路100を用いたときの零次共振器の共振条件を説明する。
前節で詳述したように、図7の零次共振器において、可逆な右手/左手系複合伝送線路100を用いた場合の共振条件は式(2)及び式(3)で与えられる。一方、非可逆な右手/左手系複合伝送線路100を用いた場合の共振条件は、式(2)と、以下の式(12)で与えられる。
Figure 0005747418
上式においてm=0であるとき、式(12)の共振条件は線路長lとは独立し、次式で表される。
Figure 0005747418
式(13)のように、位相定数β及びβの大きさが等しく、かつ符号が異なるという条件は、線路の順方向に、位相速度と群速度とが同じ向きとなる右手系モードが伝搬し、線路の逆方向に、位相速度と群速度が逆平行となる左手系モードが伝搬することを意味する。しかも、両者の位相定数β及びβの大きさが等しいので、線路において伝送電力の向きに関係なく波数ベクトルが実質的に同一になっていることを意味する。このとき、共振器である線路上で、信号振幅は一様となるが、位相分布は場所の関数として直線的に変化する。以上説明したように、非可逆位相の右手/左手系複合伝送線路100を用いることにより、右手/左手系複合伝送線路100のサイズ(セルの個数N)に依存しない共振周波数を有する進行波共振器を構成することができる。
この場合、可逆な右手/左手系複合伝送線路100を用いた場合と同様に、両端短絡の場合、直列枝の直列共振が支配的となり、両端開放の場合、シャント枝の並列共振が支配的となる。しかしながら、式(13)の共振条件を満たすためには、終端反射における位相条件としては、単に、可逆な右手/左手系複合伝送線路100を用いた場合と同様に、式(5)を満たせば十分である。
以上説明したように、可逆な右手/左手系複合伝送線路100を備えた零次共振器の場合と同様に、非可逆な右手/左手系複合伝送線路100を備えた進行波共振器の場合においても、終端条件(図7の反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBである。)を制御することにより、直列枝の直列共振とシャント枝の並列共振を同時に励振させ、かつそのエネルギー分布の重み付けも自由に制御することが可能である。
この非可逆な右手/左手系複合伝送線路100からなる進行波共振器からの漏れ波により形成される放射ビームの方向は、ブロードサイド方向(伝搬方向に対して垂直方向、つまり、θ=0)から傾いた方向になる。この放射ビームの傾きは、右手/左手系複合伝送線路100の非可逆性の大きさにより決まる。一方、放射ビームの指向性及び利得の大きさは、零次共振器のサイズ(セルの個数N)により決定される。ここで、線路の非可逆性の大きさは、例えば、外部印加磁界の大きさを変えることにより、変化させることができる。例えば、非可逆な右手/左手系複合伝送線路100のシャント枝に含まれる誘導性スタブが、中央の線路部分に対して垂直に形成されている場合、可逆な右手/左手系複合伝送線路100を備えた零次共振器の場合と同様に、両端の反射条件を制御することにより、放射波の直線偏波の方向を、放射ビームとは独立に変えることができる。従って、本発明に係る非可逆な右手/左手系複合伝送線路100を備えた零次共振器を用いることにより、それぞれ異なる制御パラメータでビーム走査および偏波制御が可能なビーム走査アンテナを構成することが可能である。
4.可逆右手/左手系複合伝送線路を用いた本実施形態に係る零次共振器の具体的構成例.
次に、可逆右手/左手系複合伝送線路を用いた場合の図7の零次共振器の具体的構成例について、図11乃至図14を参照して以下に説明する。図11は、零次共振器を構成する単位セルの数Nが10であり、かつ可逆な右手/左手系複合伝送線路100を備えたときの、図7の零次共振器の具体的な構成を示す平面図である。また、図12は、図11のA−A’ラインを横切る縦断面図であり、図13は、図11のB−B’ラインを横切る縦断面図である。さらに、図14は、放射角θ及びφの定義を示す図11の零次共振器の斜視図である。
図11乃至図14において、本実施形態に係る零次共振器は、
(a)可逆な右手/左手系複合伝送線路100と、
(b)右手/左手系複合伝送線路100の一端に接続され、長さlr1を有する開放終端マイクロストリップ線路にてなる反射用インピーダンス素子151Rと、
(c)右手/左手系複合伝送線路100の他端に接続され、長さlr2を有する開放終端マイクロストリップ線路にてなる反射用インピーダンス素子152Rとを備えて構成される。
ここで、右手/左手系複合伝送線路100は、
(a)裏面に接地導体11を有する誘電体基板10と、
(b)誘電体基板10の表面に形成された1本のストリップ導体を分断してなる複数のストリップ導体12と、
(c)複数のストリップ導体12のうちの互いに隣接する各ストリップ導体12を接続する複数のキャパシタ14と、
(d)上記各ストリップ導体12を、それぞれビア導体12Sを介して接地導体11に接続する複数の短絡スタブ導体13とを備えて構成される。
ここで、各短絡スタブ導体13は、右手/左手系複合伝送線路100の長手方向に直交するように形成される。また、反射用インピーダンス素子151Rを構成する長さlr1を有する開放終端マイクロストリップ線路は、裏面に接地導体11を有する誘電体基板10と、長さlr1を有するストリップ導体12P1とを備えて構成される。さらに、反射用インピーダンス素子152Rを構成する長さlr2を有する開放終端マイクロストリップ線路は、裏面に接地導体11を有する誘電体基板10と、長さlr2を有するストリップ導体12P2とを備えて構成される。ここで、誘電体基板10を挟設する各ストリップ導体12及び線路端のストリップ導体12P1,12P2と接地導体11により、マイクロストリップ線路12Aを構成する。
さらに、図11において、ストリップ導体12P1は、右手/左手系複合伝送線路100の側のストリップ導体12P1bと、残りのストリップ導体12P1aとから構成されており、両ストリップ導体12P1a及び12P1bの接続点に、零次共振器に給電するための給電線路を構成する給電線路導体12Fが挿入接続されている。ここで、給電線路は、給電線路導体12Fと裏面に接地導体11を有する誘電体基板10とを備えて構成される。また、ストリップ導体12P1aの長さlf1は、反射用マイクロストリップ線路12P1上に形成される定在波により空間変化する電圧対電流比(インピーダンス)と給電線路の特性インピーダンス(50[Ω]である。)を整合させるように設定される。
なお、図11乃至図14の伝送線路では、11個のキャパシタ14を装荷し、10個の短絡スタブ導体13を形成してなる10周期の分布定数回路型伝送線路を形成している。なお、伝送線路の両端のキャパシタ14の各キャパシタンスは、その他のキャパシタ14の各キャパシタンスの2倍である。キャパシタ14は、入力される高周波信号の周波数に依存して、互いに隣接するストリップ導体12間に実体のあるキャパシタを接続してもよいし、互いに隣接するストリップ導体12間の浮遊容量のみで構成してもよいし、もしくは上記各浮遊容量と並列接続されたキャパシタとからなる直列容量をキャパシタ14としてもよい。また、短絡スタブ導体13の形成間隔は、単位セルの線路長さ(すなわち、周期長さ)p[mm]と同じである。
図11において、開放終端マイクロストリップ線路導体12P1及び12P2の特性インピーダンス及び位相定数が、右手/左手系複合伝送線路100の特性インピーダンスZ及び位相定数βとそれぞれ等しいとき、反射用インピーダンス素子151RのインピーダンスZL1及び反射用インピーダンス素子152RのインピーダンスZL2は、次式で表される。
Figure 0005747418
Figure 0005747418
ここで、lr1+lr2=λ/2を満足するように、右手/左手系複合伝送線路100の両端に接続されるマイクロストリップ線路の長さlr1及びlr2を変化させる場合に、式(6a)及び式(6b)を満足する反射用インピーダンス素子151R及び152Rの構成を説明する。
右手/左手系複合伝送線路100の両端に接続されるマイクロストリップ線路の長さlr1及びlr2がそれぞれλ/4であるとき(lr1=lr2=λ/4)、反射用インピーダンス素子151RのインピーダンスZL1及び反射用インピーダンス素子152RのインピーダンスZL2は、次式で表される。
Figure 0005747418
Figure 0005747418
従って、右手/左手系複合伝送線路100の両端を短絡した両端短絡条件となるので、図11の零次共振器において、直列枝部分の直列共振が支配的となる。
また、右手/左手系複合伝送線路100の両端に接続されるマイクロストリップ線路の長さlr1及びlr2がそれぞれλ/2及び0であるとき(lr1=λ/2かつlr2=0)、反射用インピーダンス素子151RのインピーダンスZL1及び反射用インピーダンス素子152RのインピーダンスZL2は、次式で表される。
Figure 0005747418
Figure 0005747418
従って、右手/左手系複合伝送線路100の両端を開放した両端開放条件となるので、図11の零次共振器において、並列枝部分の並列共振が支配的となる。
さらに、右手/左手系複合伝送線路100の両端に接続されるマイクロストリップ線路の長さlr1及びlr2を、lr1+lr2=λ/2を満足するように、両端短絡から両端開放へ連続的に変化させるとき、反射用インピーダンス素子151RのインピーダンスZL1及び反射用インピーダンス素子152RのインピーダンスZL2は、次式で表される。
Figure 0005747418
Figure 0005747418
従って、インピーダンスZL1及ZL2は、式(7a)及び式(7b)の関係を自動的に満たす。
なお、ここでは、lr1+lr2=λ/2を満足するように、右手/左手系複合伝送線路100の両端に接続されるマイクロストリップ線路の長さlr1及びlr2を変化させる場合について説明したが、lr1+lr2がλ/2の整数倍であるときも同様に説明できる。
5.可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いた零次共振器の共振特性及び電磁界分布.
次に、可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いたときの、図11の零次共振器の共振特性及び電磁界分布についてのシミュレーション計算値及び実験測定値について以下に説明する。
図15は、可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、図11の零次共振器の構造パラメータLa,Lb,Lc,Ld,Le,Lf,Lga,Cを示す平面図である。以下のシミュレーション及び実験において、以下のように各構造パラメータを設定した。
(1)厚さ0.8mm、比誘電率2.62の誘電体基板10を用いた。
(2)右手/左手系複合伝送線路100の線路幅Lfを1.7mmに設定し、右手/左手系複合伝送線路100に対して、1mmの幅Leと、18mmの長さLdとを有する短絡スタブ導体13を並列枝として接続し、直列枝に、4.0pFのキャパシタンスCのチップコンデンサ14を5mmの周期Lcで挿入した。
(3)ストリップ導体12P1及び12P2の線路幅Laを、特性インピーダンスが50Ωになるように2.1mmに設定した。
(4)零次共振器のインピーダンスを、給電線路導体12Fと裏面に接地導体11を有する誘電体基板10とを備えて構成される給電線路の特性インピーダンス(50[Ω]である。)に整合させるために、ストリップ導体12P1の開放端からの給電線路導体12Fの距離Lgaを16.5mmに固定した。
(5)動作周波数における半波長(λg/2)の長さを46mmに設定し、ストリップ導体12P1の長さlr1(図14の長さLb)及びストリップ導体12P2の長さlr2の総和が46mmになるように、長さlr1及び長さlr2を変化させた。
なお、上述したように、長さlr1及びlr2と、インピーダンスZL1及びZL2との間の関係は、以下の通りである。
(1)lr1=lr2=λ/4であるとき、ZL1=ZL2=0、すなわち、B=0である。
(2)lr1=3λ/8かつlr2=λ/8であるとき、ZL1=j50[Ω]かつZL2=−j50[Ω]、すなわち、B=50[Ω]である。
(3)lr1=λ/2かつlr2=0であるとき、ZL1=ZL2=+∞、すなわち、B=+∞である。
図16は、可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、図11の零次共振器を構成する平衡型右手/左手系複合伝送線路100の分散曲線(規格化位相定数βp/πに対する角周波数ωの特性)を示すグラフである。図16に示すように、左手系(LH)モードは0.5GHzから2.3GHzの間に存在し、右手系(RH)モードは、2.3GHzから7GHzの間に存在していることが確認できる。また、右手系(RH)伝送特性及び左手系(LH)伝送特性は連続的に連結され、禁止帯が消失した平衡状態になっている。
図17は、可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを、0、50[Ω]及び+∞に設定したときの図11の零次共振器の反射係数S11(シミュレーション計算値)の周波数特性を示すグラフである。図17において、反射用インピーダンス素子151R及び152Rの各線路長lr1及びlr2を変化させることによりリアクタンスBを変化させても、共振周波数はほぼ一定値であることが確認できる。
図18A、図18B及び図18Cは、それぞれ可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを0、50[Ω]及び+∞に設定したときの図11の零次共振器の磁界強度の分布(シミュレーション計算値)を示す平面図である。図18A、図18B及び図18Cにおいて、白い領域は黒い領域よりも磁界強度が大きいことを表す。図18Aに示すように、リアクタンスBがゼロであるときには、反射用インピーダンス素子151R及び152RのインピーダンスZL1及びZL2はゼロであり、直列枝の直列共振が支配的であり、中央のストリップ導体12に磁界が集中していることが確認できる。また、図18Cに示すように、リアクタンスBが+∞であるときには、反射用インピーダンス素子151R及び152RのインピーダンスZL1及びZL2は+∞であり、並列枝の並列共振が支配的であり、短絡スタブ導体13に磁界が集中していることが確認できる。さらに、図18Bに示すように、リアクタンスBが50[Ω]のときは、中央のストリップ導体12の磁界強度と、短絡スタブ導体13の磁界強度はほぼ同程度であり、列枝の直列共振と並列枝の並列共振がほぼ同程度に共存している二重共振の状態であることが確認できる。すなわち、リアクタンスBが50[Ω]のときは、二重共振の状態が実現されることを確認できた。なお、数値シミュレーション結果から、反射用インピーダンス素子151R及び152Rの各線路長lr1及びlr2を連続的に変えることにより、直列枝に分布する磁界の大きさと、スタブに分布する磁界の大きさの割合を連続的に変えられることがさらなる数値シミュレーションにより確認されている。
図19A、図19B及び図19Cは、それぞれ可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを0、50[Ω]、+∞に設定したときの図11の零次共振器のx−z面(φ=0の場合)上の放射パターン(シミュレーション計算値)を示す図である。図19A、図19B及び図19Cにおける座標系の取り方は、図14に示すとおりである。零次共振器上の電磁界の振幅分布が線路上で一様となるため、図19A、図19B及び図19Cに示すように、放射ビーム方向は、リアクタンスBの値に依存せずに、ブロードサイド方向(伝搬方向に対して垂直方向、つまり、θ=0)を向くことが確認される。図19Aの場合は、直列枝の直列共振が支配的であり、中央のストリップ導体12に磁界が集中することから、当該線路に平行な電界のθ方向成分Eθが主偏波となっていることが確認できる。また、図19Cの場合には、並列枝の並列共振が支配的で短絡スタブ導体13に磁界が集中していることから、短絡スタブ導体13に平行な電界のφ方向成分Eφが主偏波となっていることが確認できる。図19Bの場合には、直列枝の直列共振と並列枝の並列共振がほぼ同程度に共存し、中央のストリップ導体12の磁界強度と短絡スタブ導体13磁界強度がほぼ同程度であることから、放射波の電界のθ方向成分Eθ及びφ方向成分Eφがほぼ同程度となっていることが確認できる。図19A、図10B及び図19Cの場合において、放射波のθ方向成分及びφ方向成分は、ほぼ同相関係にあるため、直線偏波の状態を維持したまま、偏波方向が回転している。また、さらなる数値シミュレーションの結果から、反射用インピーダンス素子151R及び152Rの線路長lr1及びlr2を、リアクタンスBを0から+∞まで連続的に変えるように変化させることにより、放射波の主偏波方向を右手/左手系複合伝送線路100に平行な方向から、短絡スタブ導体13に平行な方向(つまり、右手/左手系複合伝送線路100に直交する方向)まで、連続的に変えられることが確認されている。なお、右手/左手系複合伝送線路100が厳密には平衡型ではなく、左手系モード伝送帯域と、右手系モード伝送帯域との間に小さな禁止帯が存在する非平衡型線路の場合であっても、共振器は直列共振および並列共振が混在した状態で動作可能であるため、放射波の主偏波を連続的に変えることができる。但し、この場合、後に説明するように、主偏波の方向を変えるためには、共振器の動作周波数が禁止帯の下限から上限に亘って変動する問題がある。
図20A、図20B及び図20Cは、それぞれ可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを0、50[Ω]及び+∞に設定したときの図11の零次共振器の反射係数S11(実験測定値及びシミュレーション計算値)の周波数特性を示すグラフである。図20A、図20B及び図20Cにより、実験測定値及びシミュレーション計算値はほぼ一致し、反射用インピーダンス素子151R及び152Rの線路長lr1及びlr2を連続的に変えても、共振周波数がほぼ一定であることが確認された。
図21A、図21B及び図21Cは、それぞれ可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを0、50[Ω]及び+∞に設定したときの図11の零次共振器の近傍磁界強度分布(実験測定値)を示す平面図である。図21A、図21B及び図21Cに対応する数値シミュレーション結果は、それぞれ図18A、図18B及び図18Cである。図21A、図21B及び図21Cにおいて、白い領域は黒い領域よりも磁界強度が大きいことを表す。図21Aに示すように、リアクタンスBがゼロであるときには、反射用インピーダンス素子151R及び152RのインピーダンスZL1及びZL2はゼロであり、直列枝の直列共振が支配的であり、中央のストリップ導体12に磁界が集中していることが確認できる。また、図21Cに示すように、リアクタンスBが+∞であるときには、反射用インピーダンス素子151R及び152RのインピーダンスZL1及びZL2は+∞であり、並列枝の並列共振が支配的であり、短絡スタブ導体13に磁界が集中していることが確認できる。さらに、図21Bに示すように、リアクタンスBが50[Ω]のときは、中央のストリップ導体12の磁界強度と、短絡スタブ導体13の磁界強度はほぼ同程度であり、列枝の直列共振と並列枝の並列共振がほぼ同程度に共存していることが確認できる。すなわち、リアクタンスBが50[Ω]のときは、二重共振の状態が実現されることを確認できた。
図22A、図22B及び図22Cは、それぞれ可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを0、50[Ω]、+∞に設定したときの図11の零次共振器のx−z面(φ=0の場合)上の放射パターン(実験測定値及びシミュレーション計算値)を示す図である。図22A、図22B及び図22Cにおける座標系の取り方は、図14に示すとおりである。零次共振器上の電磁界の振幅分布が線路上で一様となるため、図22A、図22B及び図22Cに示すように、放射ビーム方向は、リアクタンスBの値に依存せずに、ブロードサイド方向(伝搬方向に対して垂直方向、つまり、θ=0である方向。)を向くことが確認される。図22Aの場合は、直列枝の直列共振が支配的であり、中央のストリップ導体12に磁界が集中することから、当該線路に平行な電界のθ方向成分Eθが主偏波となっていることが確認できる。また、図22Cの場合には、並列枝の並列共振が支配的で短絡スタブ導体13に磁界が集中していることから、短絡スタブ導体13に平行な電界のφ方向成分Eφが主偏波となっていることが確認できる。図22Bの場合には、直列枝の直列共振と並列枝の並列共振がほぼ同程度に共存し、中央のストリップ導体12の磁界強度と短絡スタブ導体13の磁界強度がほぼ同程度であることから、放射波の電界のθ方向成分Eθ及びφ方向成分Eφがほぼ同程度となっていることが確認できる。図22A、図22B及び図22Cの場合において、放射波のθ方向成分及びφ方向成分は、ほぼ同相関係にあるため、直線偏波の状態を維持したまま、偏波方向が回転している。
6.可逆かつ非平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いた零次共振器の共振特性及び電磁界分布.
次に、可逆かつ非平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いたときの、図11の零次共振器の共振特性及び電磁界分布についてのシミュレーション計算値及び実験測定値について以下に説明する。
図23は、可逆かつ非平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、図11の零次共振器の構造パラメータLa,Lb,Lc,Ld,Le,Lf,Lgb,Cを示す平面図である。以下のシミュレーション及び実験において、以下のように各構造パラメータを設定した。
(1)厚さ0.8mm、比誘電率2.62の誘電体基板10を用いた。
(2)右手/左手系複合伝送線路100の線路幅Lfを1.7mmに設定し、右手/左手系複合伝送線路100に対して、1mmの幅Leと、15mmの長さLdとを有する短絡スタブ導体13を並列枝として接続し、直列枝に、2.4pFのキャパシタンスCのチップコンデンサ14を5mmの周期Lcで挿入した。
(3)ストリップ導体12P1及び12P2の線路幅Laを、特性インピーダンスが50[Ω]になるように2.1mmに設定した。
(4)零次共振器のインピーダンスを、給電線路導体12Fと裏面に接地導体11を有する誘電体基板10とを備えて構成される給電線路の特性インピーダンス(50[Ω]である。)に整合させるために、ストリップ導体12P1の開放端からの給電線路導体12Fの距離Lgbを16mmに固定した。
(5)動作周波数における半波長(λg/2)の長さを42mmに設定し、ストリップ導体12P1の長さlr1(図14の長さLb)及びストリップ導体12P2の長さlr2の総和が42mmになるように、長さlr1及び長さlr2を変化させた。
図24は、可逆かつ非平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合における図11の零次共振器を構成する非平衡型の右手/左手系複合伝送線路100の分散曲線(規格化位相定数βp/πに対する角周波数ωの特性)を示すグラフである。図24に示すように、平衡型右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合(図16参照。)よりも、直列枝に挿入されるキャパシタ14のキャパシタンスCが小さい(2.4pF)ので、直列共振周波数fseが2.8GHzまで上昇している。
図25は、可逆かつ非平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを、0、50[Ω]及び+∞に設定したときの図11の零次共振器の反射係数S11(シミュレーション計算値)の周波数特性を示すグラフである。図25の数値シミュレーション結果から、反射用インピーダンス素子151R及び152Rの線路長lr1及びlr2を、リアクタンスBを0から+∞まで連続的に変えるように変化させることにより、共振周波数が連続的に変化することが確認できる。
図26A、図26B及び図26Cは、それぞれ可逆かつ非平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを0、50[Ω]及び+∞に設定したときの図11の零次共振器の磁界強度の分布(シミュレーション計算値)を示す平面図である。図26A、図26B及び図26Cにおいて、白い領域は黒い領域よりも磁界強度が大きいことを表す。図26Aに示すように、リアクタンスBがゼロであるときには、反射用インピーダンス素子151R及び152RのインピーダンスZL1及びZL2はゼロであり、直列枝の直列共振が支配的であり、中央のストリップ導体12に磁界が集中していることが確認できる。また、図26Cに示すように、リアクタンスBが+∞であるときには、反射用インピーダンス素子151R及び152RのインピーダンスZL1及びZL2は+∞であり、並列枝の並列共振が支配的であり、短絡スタブ導体13に磁界が集中していることが確認できる。さらに、図26Bに示すように、リアクタンスBが50[Ω]のときは、右手/左手系複合伝送線路100内は波の伝搬が許されない禁止帯であることから、入力ポート(ポートP1である)に近い場所ほど磁界強度が大きく、入力ポートから離れるにつれて磁界強度が指数関数的に減少していく様子が確認できる。
図27A、図27B及び図27Cは、それぞれ、図26A、図26B及び図26Cに比較して、単位セルの数を10から30に変更したときの図11の零次共振器の磁界強度の分布(シミュレーション計算値)を示す平面図である。図27Aに示すように、リアクタンスBがゼロであるときには、反射用インピーダンス素子151R及び152RのインピーダンスZL1及びZL2はゼロであり、直列枝の直列共振が支配的であり、中央のストリップ導体12に磁界が一様に集中していることが確認できる。また、図27Cに示すように、リアクタンスBが+∞であるときには、反射用インピーダンス素子151R及び152RのインピーダンスZL1及びZL2は+∞であり、並列枝の並列共振が支配的であり、短絡スタブ導体13に磁界がほぼ一様に集中していることが確認できる。さらに、図27Bに示すように、リアクタンスBが50[Ω]のときは、右手/左手系複合伝送線路100内は波の伝搬が許されない禁止帯であることから、入力ポート(ポートP1である)に近い側での磁界強度が大きく、入力ポートから離れるにつれて磁界強度が指数関数的に減少していく様子が確認できる。図27Bでは、右手/左手系複合伝送線路100の線路長が図26Bの場合に比較して3倍であり、磁界強度は入力ポートからの距離に対して指数関数的に減少するので、ポートP2では磁界強度はほとんどゼロである。しかしながら、この場合においても、共振周波数は、図26Bと同様に、図25のリアクタンスBが50[Ω]の場合の共振周波数と一致している。
7.本発明の実施形態に係る零次共振器を用いたアンテナ装置の構成.
以上説明したように、本発明の実施形態に係る零次共振器(図7参照。)の終端条件を等価的に両端短絡から両端開放に変化させることにより、直列枝部分が支配的な共振形態から、並列枝部分が支配的な共振形態に変化させることが可能である。また逆に、両端開放から両端短絡へ変化させることにより、並列枝部分が支配的な共振形態から、直列枝部分が支配的な共振形態に変化させることが可能となる。この零次共振器をアンテナ装置として利用し、共振器の終端条件を機械的、あるいは電気的、あるいはその両方を兼ね備えた方法で変化させることにより、放射波あるいは受信電波の偏波特性を変化させる。
図28は、図7の零次共振器を用いたアンテナ装置の第1の実施例の構成を示すブロック図である。図28のアンテナ装置は、
(a)ポートP1及びP2を有する右手/左手系複合伝送線路100と、ポートP1に接続された反射用インピーダンス回路151RAと、ポートP2に接続された反射用インピーダンス回路152RAとを備えた零次共振器と、
(b)マイクロストリップ線路41a及び41bを備え、零次共振器によって受信されたマイクロ波信号を出力する給電線41(給電回路である。)と、
(c)マイクロストリップ線路41aと41bとの間に接続されたマイクロストリップ線路15aと、マイクロストリップ線路15aと電磁的に結合するように近接して配置されたマイクロストリップ線路15bとを備えて構成された方向性結合器15と、
(d)マイクロストリップ線路15aに流れる受信マイクロ波信号の電力の一部を、方向性結合器15を用いて検出する受信電力検出器200と、
(e)マイクロストリップ線路41bから出力される受信マイクロ波信号を入力する無線受信機400と、
(f)コントローラ300とを備えて構成される。
図28において、右手/左手系複合伝送線路100は可逆であっても非可逆であってもよく、平衡型であっても非平衡型であってもよい。また、右手/左手系複合伝送線路100において、並列枝部分は、直列枝部分に直交するように形成される。
また、図28において、反射用インピーダンス回路151RAは、スイッチSW1及びSW2と、マイクロストリップ線路51a,51b−1,51b−2,51b−3,51b−4とを備えて構成される。また、反射用インピーダンス回路152RAは、スイッチSW3と、マイクロストリップ線路52−2、52−3,52−4とを備えて構成される。マイクロストリップ線路51b−1の長さは、マイクロストリップ線路51aの長さとマイクロストリップ線路51b−1の長さの総和がλ/2になるように設定され、マイクロストリップ線路51b−2の長さは、マイクロストリップ線路51aの長さとマイクロストリップ線路51b−2の長さの総和が3λ/8になるように設定され、マイクロストリップ線路51b−3の長さは、マイクロストリップ線路51aの長さとマイクロストリップ線路51b−3の長さの総和がλ/4になるように設定されている。さらに、マイクロストリップ線路52−2の長さはλ/8に設定されマイクロストリップ線路52−3の長さはλ/4に設定されている。マイクロストリップ線路51b−4の長さは、マイクロストリップ線路51aの長さとマイクロストリップ線路51b−4の長さの総和が5λ/8になるように設定され、マイクロストリップ線路52−4の長さは3λ/8に設定されている。またさらに、マイクロストリップ線路51aの長さは、反射用マイクロストリップ線路である反射用インピーダンス回路151RAに形成される定在波により空間変化する電圧対電流比(インピーダンス)と給電線41の特性インピーダンスとを整合させるように設定される。スイッチSW1及びSW2ならびにスイッチSW3は、反射用インピーダンス回路151RA及び152RAのインピーダンス変化手段である。
図28において、スイッチSW1、SW2、SW3はコントローラ300によって、連動して切り換えられる。スイッチSW1、SW2、SW3がそれぞれ接点aに切り換えられると、マイクロストリップ線路51aとポートP1との間にマイクロストリップ線路51b−1が接続され、ポートP2は開放端となる。これにより、反射用インピーダンス回路151RA及び152RAのインピーダンスは+∞になり、受信される電波の偏波の方向は、右手/左手系複合伝送線路100に直交する方向になる。また、スイッチSW1、SW2、SW3がそれぞれ接点bに切り換えられると、マイクロストリップ線路51b−1とポートP1との間にマイクロストリップ線路51b−2が接続され、ポートP2にマイクロストリップ線路52−2が接続される。これにより、反射用インピーダンス回路151RAのインピーダンスは50j[Ω]になり、反射用インピーダンス回路152RAのインピーダンスは−50j[Ω]になり、受信される電波の偏波の方向は、右手/左手系複合伝送線路100に平行な方向と右手/左手系複合伝送線路100に直交する方向の間の角度(45度)になる。さらに、スイッチSW1、SW2、SW3がそれぞれ接点cに切り換えられると、マイクロストリップ線路51b−1とポートP1との間にマイクロストリップ線路51b−3が接続され、ポートP2にマイクロストリップ線路52−3が接続される。これにより、反射用インピーダンス回路151RA及び152RAのインピーダンスは0になり、受信される電波の偏波の方向は、右手/左手系複合伝送線路100に平行な方向になる。また、スイッチSW1、SW2、SW3がそれぞれ接点dに切り換えられると、マイクロストリップ線路51aとポートP1との間にマイクロストリップ線路51b−4が接続され、ポートP2にマイクロストリップ線路52−4が接続される。これにより、反射用インピーダンス回路151RAのインピーダンスは-50j[Ω]になり、反射用インピーダンス回路152RAのインピーダンスは50j[Ω]になり、受信される電波の偏波の方向は、右手/左手系複合伝送線路100に平行な方向と右手/左手系複合伝送線路100に直交する方向の間の角度(45度)で、しかもスイッチSW1、SW2、SW3がそれぞれ接点bに切り換えられた場合に対して直交する方向を取る。
コントローラ300は、受信電力検出器200によって検出された受信電力が最大になるように、スイッチSW1、SW2、SW3を切り換える。従って、図28のアンテナ装置によれば、偏波の方向を、受信電力が最大となるような最適な偏波の方向に離散的に切り換えることができる。
図29は、図7の零次共振器を用いたアンテナ装置の第2の実施例の構成を示すブロック図である。図29のアンテナ装置は、
(a)ポートP1及びP2を有する右手/左手系複合伝送線路100と、ポートP1に接続された反射用インピーダンス回路151RBと、ポートP2に接続された反射用インピーダンス回路152RBとを備えた零次共振器と、
(b)マイクロストリップ線路41a及び41bを備え、零次共振器によって受信されたマイクロ波信号を出力する給電線41(給電回路である。)と、
(c)マイクロストリップ線路41aと41bとの間に接続されたマイクロストリップ線路15aと、マイクロストリップ線路15aと電磁的に結合するように近接して配置されたマイクロストリップ線路15bとを備えて構成された方向性結合器15と、
(d)マイクロストリップ線路15aに流れる受信マイクロ波信号の電力の一部を、方向性結合器15を用いて検出する受信電力検出器200と、
(e)マイクロストリップ線路41bから出力される受信マイクロ波信号を入力する無線受信機400と、
(f)コントローラ300Aとを備えて構成される。
図29において、右手/左手系複合伝送線路100は可逆であっても非可逆であってもよく、平衡型であっても非平衡型であってもよい。また、右手/左手系複合伝送線路100において、並列枝部分は、直列枝部分に直交するように形成される。
また、図29において、反射用インピーダンス回路151RBは、ポートP1と接地電位との間に直列接続された可変容量ダイオード21と、インダクタ22及び23とを備えて構成される。ここで、給電線路を構成するストリップ導体41aの一端は、インダクタ22及び23の接続点に接続される。また、反射用インピーダンス回路152RBは、ポートP2と接地電位との間に直列接続された可変容量ダイオード31及びインダクタ24を備えて構成される。また、インダクタ22及び23の各素子値は、零次共振器のインピーダンスが給電線41の特性インピーダンスに整合するように設定される。可変容量ダイオード21及び31はそれぞれ、反射用インピーダンス回路151RB及び152RBのインピーダンス変化手段である。
コントローラ300Aは、反射用インピーダンス回路151RBのインピーダンスが実質的に実部を持たない所定の複素数、好ましくは純虚数になり、反射用インピーダンス回路152RBのインピーダンスが反射用インピーダンス回路151RBのインピーダンスと実質的に共役な複素数、好ましくは共役な純虚数になり、かつ、受信電力検出器200によって検出された受信電力が最大になるように、可変容量ダイオード21及び31に印加する各逆バイアス電圧を変化させる。従って、図29のアンテナ装置によれば、偏波の方向を、受信電力が最大となるような最適な偏波の方向に切り換えることができる。また、図28のアンテナ装置は、偏波の方向は4つの方向から選択されたが、本実施例によれば、偏波の方向を、右手/左手系複合伝送線路100の長手方向に平行な方向から右手/左手系複合伝送線路100の長手方向に直交する方向までの間の任意の方向に連続的に変化させることができる。
なお、図29において、可変容量ダイオード21,31に代えて、可変リアクタンス素子を用いてもよい。
図30は、図7の零次共振器を用いたアンテナ装置の第3の実施例の構成を示すブロック図である。図30のアンテナ装置は、
(a)ポートP1及びP2を有する右手/左手系複合伝送線路100と、ポートP1に接続された反射用インピーダンス回路151RCと、ポートP2に接続された反射用インピーダンス回路152RCとを備えた零次共振器と、
(b)マイクロストリップ線路41a及び41bを備え、零次共振器によって受信されたマイクロ波信号を出力する給電線41(給電回路である。)と、
(c)マイクロストリップ線路41aと41bとの間に接続されたマイクロストリップ線路15aと、マイクロストリップ線路15aと電磁的に結合するように近接して配置されたマイクロストリップ線路15bとを備えて構成された方向性結合器15と、
(d)マイクロストリップ線路15aに流れる受信マイクロ波信号の電力の一部を、方向性結合器15を用いて検出する受信電力検出器200と、
(e)マイクロストリップ線路41bから出力される受信マイクロ波信号を入力する無線受信機400と、
(f)コントローラ300Bとを備えて構成される。
図30において、右手/左手系複合伝送線路100は可逆であっても非可逆であってもよく、平衡型であっても非平衡型であってもよい。また、右手/左手系複合伝送線路100において、並列枝部分は、直列枝部分に直交するように形成される。
また、図30において、反射用インピーダンス回路151RCはポートP1に接続された移相器153及び反射素子151Rを備え、反射用インピーダンス回路152RCはポートP2に接続された移相器154及び反射素子152Rを備える。図30のアンテナ装置は、ポートP1から見た反射素子151Rのインピーダンス(すなわち電気長)を変化させるために、ポートP1と反射素子151Rとの間に移相器153を備え、ポートP2から見た反射素子152Rのインピーダンス(すなわち電気長)を変化させるために、ポートP2と反射素子152Rとの間に移相器154を備えたことを特徴としている。
コントローラ300Bは、反射素子151Rのインピーダンスが実質的に実部を持たない所定の複素数、好ましくは純虚数になり、反射素子152Rのインピーダンスが反射素子151Rのインピーダンスと実質的に共役な複素数、好ましくは共役な純虚数になり、かつ、受信電力検出器200によって検出される受信電力が最大になるように、移相器153,154に対する印加電圧を連動して変化させることにより、それらの移相量を変化させる。従って、図30のアンテナ装置によれば、偏波の方向を、受信電力が最大となるような最適な偏波の方向に切り換えることができる。また、図28のアンテナ装置では、偏波の方向は4つの方向から選択されたが、本実施例によれば、偏波の方向を、右手/左手系複合伝送線路100の長手方向に平行な方向から右手/左手系複合伝送線路100の長手方向に直交する方向までの間の任意の方向に連続的に変化させることができる。
また、図28、図29及び図30において、給電線路を反射用インピーダンス回路151RA、151RB及び151RC側に設けたが、本発明はこれに限らず、反射用インピーダンス回路152RA、152RB及び152RC側に設けてもよい。
また、図28乃至図30を参照して、本発明に係る図7の零次共振器を受信用のアンテナ装置に適用した例を説明した。しかしながら、本発明はこれに限らず、図7の零次共振器と、反射用インピーダンス素子151R又は152Rに接続され、マイクロ波信号を上記零次共振器に給電する給電回路とにより、送信用のアンテナ装置を提供できる。さらに、反射用インピーダンス素子151Rに対して反射用インピーダンス素子151Rのインピーダンスを変化させる第1のインピーダンス変化手段を設け、反射用インピーダンス素子152Rに対して反射用インピーダンス素子152Rのインピーダンスを変化させる第2のインピーダンス変化手段を設け、アンテナ装置から放射される電波の偏波を変化させるように、上記第1及び第2のインピーダンス変化手段をそれぞれ制御してもよい。
8.本発明の実施形態に係る零次共振器を用いた帯域阻止フィルタ装置の構成.
図25を参照して説明したように、非平衡型右手/左手系複合伝送線路100を用いた場合、リアクタンスBを0から+∞まで連続的に変えるように変化させることにより、共振周波数を連続的に変化させることができる。このことを利用して、帯域阻止周波数を変化させることができるチューナブル帯域阻止フィルタ装置を実現できる。ここで、具体的には、帯域阻止周波数とは、阻止帯域の中心周波数を中心とする所定の幅を有する帯域阻止幅を表す。
図31は、図7の零次共振器を用いた帯域阻止フィルタ装置の実施例の構成を示すブロック図である。また、図32は、図31の帯域阻止フィルタ装置の構成を示す平面図である。図31及び図32の帯域阻止フィルタ装置は、
(a)ポートP1及びP2を有する非平衡型の右手/左手系複合伝送線路100と、ポートP1に接続された反射用インピーダンス回路151RCと、ポートP2に接続された反射用インピーダンス回路152RCとを備えた零次共振器と、
(b)コントローラ300Cと、
(c)入力ポート3及び出力ポート4を有する伝送線路100Fとを備えて構成される。
ここで、図32に示すように、右手/左手系複合伝送線路100及び反射素子151R及び152Rは、図11と同様に形成される。また、伝送線路100Fは、右手/左手系複合伝送線路100と電磁的に結合するように右手/左手系複合伝送線路100に平行に近接して形成される。
また、図31において、反射用インピーダンス回路151RCはポートP1とポートP3との間に接続された移相器153及び反射素子151Rを備え、反射用インピーダンス回路152RCはポートP2とポートP4との間に接続された移相器154及び反射素子152Rを備える。図31において、コントローラ300Cは、反射素子151Rのインピーダンスが実質的に実部を持たない所定の複素数、好ましくは純虚数になり、反射素子152Rのインピーダンスが反射素子151Rのインピーダンスと実質的に共役な複素数、好ましくは共役な純虚数にるように、移相器153,154に対する印加電圧を連動して変化させることにより、それらの移相量を変化させる。従って、図31の帯域阻止フィルタ装置によれば、帯域阻止周波数を直列共振周波数から並列共振周波数までの間で任意の周波数に連続的に変化させることできる。
図33は、図31の帯域阻止フィルタ装置において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを、0、50[Ω]及び+∞に設定したときの反射係数S11及び透過係数S21(シミュレーション計算値)の周波数特性を示すグラフである。図33において、零次共振器の各構造パラメータは、図24のシミュレーションにおいて用いた構造パラメータと同一である。図33に示すように、リアクタンスBが0(両端短絡)であるとき帯域阻止周波数は2.7GHzであり、リアクタンスBが+∞(両端開放)であるとき帯域阻止周波数は2.35GHzであり、リアクタンスBが50[Ω]であるとき帯域阻止周波数は2.45GHzになった。これら帯域阻止周波数の同調範囲は、図24の分散曲線においてバンドギャップ領域に相当する。なお、図31において、給電用の伝送線路100Fを零次共振器の近傍に設置したために両者が結合し、その結果、図33では阻止帯域が図24のバンドギャップに比べて低周波数側にシフトしたと考えられる。
なお、図31において、反射用インピーダンス回路151RC及び152RCに代えて、図28の反射用インピーダンス回路151RA及び152RA又は図29の反射用インピーダンス回路151RB及び152RBを用いてもよい。また、本実施例において右手/左手系複合伝送線路100は可逆であったが、非可逆であってもよい。
9.本発明の実施形態に係る零次共振器を用いた帯域通過フィルタ装置の構成.
図25を参照して説明したように、非平衡型右手/左手系複合伝送線路100を用いた場合、リアクタンスBを0から+∞まで連続的に変えるように変化させることにより、共振周波数を連続的に変化させることができる。このことを利用して、帯域通過周波数を変化させることができるチューナブル帯域通過フィルタ装置を実現できる。ここで、具体的には、帯域通過周波数とは、通過帯域の中心周波数を中心とする所定の幅を有する帯域通過幅を表す。
図34は、図7の零次共振器を用いた帯域通過フィルタ装置の実施例の構成を示す平面図である。図34の帯域通過フィルタ装置は、
(a)ポートP1及びP2を有する非平衡型の右手/左手系複合伝送線路100と、ポートP1に接続された反射用インピーダンス回路151RCと、ポートP2に接続された反射用インピーダンス回路152RCとを備えた零次共振器と、
(b)コントローラ300Cと、
(c)入力ポート3を有する入力用の伝送線路100Faと、
(d)出力ポート4を有する出力用の伝送線路100Fbとを備えて構成される。
ここで、図34に示すように、右手/左手系複合伝送線路100及び反射素子151R及び152Rは、図11と同様に形成される。また、伝送線路100Fa及び100Fbはそれぞれ、右手/左手系複合伝送線路100と電磁的に結合するように右手/左手系複合伝送線路100に平行に近接して形成される。さらに、伝送線路100Faと伝送線路100の間の間隔は、0.1mmとなるように設定される。
また、図34において、反射用インピーダンス回路151RCはポートP1接続された移相器153及び反射素子151Rを備え、反射用インピーダンス回路152RCはポートP2接続された移相器154及び反射素子152Rを備える。図34において、コントローラ300Cは、反射用インピーダンス回路151Rのインピーダンスが実質的に実部を持たない所定の複素数、好ましくは純虚数になり、反射用インピーダンス回路152Rのインピーダンスが反射素子151Rのインピーダンスと実質的に共役な複素数、好ましくは共役な純虚数になり、移相器153,154に対する印加電圧を連動して変化させることにより、それらの移相量を変化させる。従って、図34の帯域通過フィルタ装置によれば、帯域通過周波数を直列共振周波数から並列共振周波数までの間で任意の周波数に連続的に変化させることできる。
図35は、図34の帯域通過フィルタ装置において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを、0、50[Ω]及び+∞に設定したときの反射係数S11及び透過係数S21(シミュレーション計算値)の周波数特性を示すグラフである。図35において、零次共振器の各構造パラメータは、図24のシミュレーションにおいて用いた構造パラメータと同一である。図35に示すように、リアクタンスBが0(両端短絡)であるとき帯域通過周波数は2.6GHzであり、リアクタンスBが+∞(両端開放)であるとき帯域通過周波数は2.3GHzであり、リアクタンスBが50[Ω]であるとき帯域通過周波数は2.4GHzになった。これら帯域通過周波数の同調範囲は、図24の分散曲線においてバンドギャップ領域に相当する。なお、図34において、給電用の伝送線路100Fa及び100Fbを零次共振器の近傍に設置したために両者が結合し、その結果、図35では通過帯域が図24のバンドギャップ領域に比べて低周波数側にシフトしたと考えられる。
10.非可逆右手/左手系複合伝送線路を用いた本実施形態に係る零次共振器の具体的構成例.
次に、非可逆右手/左手系複合伝送線路を用いた場合の図7の零次共振器の具体的構成例を説明する。図36は、零次共振器を構成する単位セルの数Nが10あり、かつ非可逆な右手/左手系複合伝送線路100を備えたときの、図7の零次共振器の具体的な構成を示す斜視図である。また、図37は、図36のA−A’ラインを横切る縦断面図である。なお、図36に示した例では、反射用インピーダンス素子151R及び152Rの長さはそれぞれλ/4に設定されている。
図36及び図37の零次共振器は、図11の可逆右手/左手系複合伝送線路100を用いた場合の零次共振器と比較して、右手/左手系複合伝送線路100であるマイクロストリップ線路の真下に、自発磁化又は外部磁界Hにより誘起された垂直磁化Mを有するフェライト角棒90が挿入された構造を有する。フェライト角棒90が軟磁性体である場合、外部磁界Hが0の場合は、図36及び図37の零次共振器(進行波共振器である。)は図11の可逆右手/左手系複合伝送線路100を用いた場合の零次共振器と同様に動作し、放射方向はブロードサイド方向を向く。また、反射用インピーダンス素子151R及び152Rのリアクタンスを上述した式(5)を満たすように0から+∞まで連続的に変化させると、放射方向に関係なく、直線偏波方向が回転する。さらに、零次共振器上の位相分布は、右手/左手系複合伝送線路100に沿って、当該線路の非可逆性の大きさによって決められる傾きを有している。ここでは、右手/左手系複合伝送線路100の非可逆性の大きさは、外部印加磁界Hの向き及び大きさを変えることにより、変化させることができる。
また、図38A、図38B及び図38Cは、非可逆かつ平衡型の右手/左手系複合伝送線路100を用いる場合において、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを0、50[Ω]、+∞に設定し、外部磁化Hを印加したときの図36の零次共振器のx−z面上の放射パターン(シミュレーション計算値)を示す図である。具体的には、図38Aにおいて、反射用インピーダンス素子151Rを構成する有限長開放終端線路の線路長lr1はλg/4に設定され、反射用インピーダンス素子152Rを構成する有限長開放終端線路の線路長lr2はλg/4に設定されている。また、図38Bにおいて、線路長lr1は9λg/20に設定され、線路長lr2はλg/20に設定されている。さらに、図38Cにおいて、線路長lr1はλg/2に設定され、線路長lr2は0に設定されている。
図38A、図38B及び図38Cにおいて、進行波共振器である本実施例の零次共振器からの放射ビームは、実質的に−30度方向を向いていることから、ビーム放射方向は終端条件により実質的に影響を受けないことがわかる。一方、両端短絡の場合である図38Aでは、右手/左手系複合伝送線路100の直列枝の直列共振が支配的であるので、主偏波としては、電界のθ方向成分Eθが支配的となっている。また、両端開放の場合である図38Cでは、シャント枝の並列共振が支配的であるために、主偏波としては電界のφ方向成分Eφが支配的となっている。図38Bにおいては、電界のθ方向成分Eθとφ方向成分Eφがほぼ同等となっており、主偏波方向は、図38A及び図38Cの場合の主偏波方向に対して斜め45度方向を向いている。このように、非可逆の右手/左手系複合伝送線路100を備えた進行波共振器の両端反射条件を制御することにより、放射ビームの走査とは独立に、直線偏波方向を連続的に制御することが可能となる。
11.直線偏波の主偏波方向の回転の原理及び測定結果
次に、図7の零次共振器によって送受信されるマイクロ波信号の主偏波方向の回転の原理及び測定結果を説明する。図39は、図7の零次共振器の直列枝に流れる電流Icenter及び並列枝に流れる電流Istubを示す回路図及び平面図(ただし、零次共振器を構成する単位セルの数Nは10である。)である。図39において、次式が成り立つ。
Figure 0005747418
Figure 0005747418
ここで、Vは並列枝の両端電圧であり、Zstubはスタブ導体13のインピーダンスであり、βはスタブ導体13の伝送線路の位相定数である。従って、リアクタンスBが正の値を有するとき、電流Icenterと電流−Istubとは互いに同相である。さらに、リアクタンスBが変化すると、右手/左手系複合伝送線路100上の電流分布が変化し、放射波の電界のθ方向成分Eθとφ方向成分Eφとは、同相の状態を維持したまま(すなわち、直線偏波の状態を維持したまま)、その比が変化する。このため、放射波の主偏波の方向は基板10の法線(図14のZ軸である。)の周りを回転する。
上述した主偏波方向の回転を確認するために、図11の零次共振器の放射パターンを測定した。図40は、図11の零次共振器から放射された電波をホーンアンテナ500を用いて受信するための実験装置の構成を示す斜視図である。図40に示すようにXYZ座標系を定義する。図40の実験装置において、Y軸の周りに零次共振器が回転するように零次共振器をターンテーブルに載置した。このとき、ターンテーブルの回転角は放射角θに対応する。さらに、リアクタンスBを50[Ω]に設定し、所定のテスト信号を零次共振器に出力し、零次共振器から放射した。また、図40において、XY平面上の原点Oから3mの所定の位置に、ホーンアンテナ500を設置し、零次共振器からの電波を受信した。このとき、ホーンアンテナ500の主偏波方向θ(短絡スタブつまりY軸に平行な方向からの角度である。)を45度又は−45度に設定した。
図22Bを参照して説明したように、リアクタンスBを50[Ω]に設定した場合、直列枝の直列共振と並列枝の並列共振がほぼ同程度に共存し、中央のストリップ導体12の磁界強度と短絡スタブ導体13の磁界強度がほぼ同程度であることから、放射波の電界のθ方向成分Eθ及びφ方向成分Eφがほぼ同程度となる。このため、主偏波方向は、−45度になることが期待される。
図41は、図40のホーンアンテナ500の主偏波方向θを45度に設定したときの放射パターンの実験測定値及び主偏波方向θを−45度に設定したときの放射パターンの実験測定値を示す図である。図41に示すように、ホーンアンテナ500の主偏波方向θが−45度であるときの受信電力は、主偏波方向θが45度であるときの受信電力より約5dBだけ大きい。このことは、送信側の零次共振器の主偏波方向がホーンアンテナ500の主偏波方向θ=−45度にほぼ平行であることを意味する。すなわち、右手/左手系複合伝送線路100の両端条件(具体的には、リアクタンスB)を変えるだけで主偏波方向を回転させることができることを実験により確認できた。
図42は、図11の零次共振器において反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを0と+∞との間の値に設定したときの電界Etotalを示す平面図である。図42に示すように、リアクタンスBを0と+∞との間の値に設定すると、電界Etotalの方向は、放射波の電界のθ方向成分Eθ及びφ方向成分Eφの比に応じて、直列枝に平行な方向と並列枝に平行な方向との間の方向になる。このため、例えば図28乃至図30のように本発明に係る零次共振器を受信アンテナ装置に用いる場合、零次共振器の両端条件(リアクタンスBである。)を変化させながら受信電力をモニタし、受信電力が最大になったときの両端条件を選択すればよい。受信電力が最大になったとき、アンテナ装置の主偏波方向は到来波の偏波方向に実質的に一致する。
12.まとめ
以上説明したように、本発明に係るマイクロ波共振器によれば、右手/左手系複合伝送線路100のポートP1に接続された反射用インピーダンス素子151Rと、ポートP2に接続された反射用インピーダンス素子152Rとを備え、ポートP1から反射用インピーダンス素子151Rを見た第1のインピーダンスの虚部とポートP2から反射用インピーダンス素子152Rを見た第2のインピーダンスの虚部とは互いに異符号である。さらに、第1のインピーダンスの虚部の大きさと第2のインピーダンスの虚部の大きさとは実質的に互いに等しい。好ましくは、第1のインピーダンスは純虚数(jB)であり、第2のインピーダンスが第1のインピーダンスと共役な純虚数(−jB)である。従って、本発明に係るマイクロ波共振器によれば、直列共振状態及び並列共振状態に加えて、両者が混在する二重共振の状態を実現できる新規の零次共振器を提供できる。
特に、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを連続的に変化することにより、共振周波数を変化させることなく、直列枝の直列共振のみが支配的な状態から、並列枝の並列共振のみが支配的な状態まで、直列共振エネルギーと並列共振エネルギーの割合を連続的に変えることができる。
また、直列枝の直列共振周波数と並列枝の並列共振周波数が異なる非平衡型右手/左手系複合線路100を用いた場合、この2つの異なる周波数に挟まれる帯域においては、同線路に沿って伝搬するモードが存在しない禁止帯となる。この場合、同線路上での電磁界分布は線路に沿って指数関数的な形を示すものの、引き続き、共振周波数が線路長に依存しない零次共振器を実現できる。このとき、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを連続的に変化することにより、共振周波数を、直列共振周波数と並列共振周波数の間で連続的に変えることができる。
さらに、本発明に係るマイクロ波共振器を用いたアンテナ装置によれば、反射用インピーダンス素子151RのリアクタンスBを変化することにより、上記アンテナ装置から放射されるマイクロ波信号又は受信されるマイクロ波信号の偏波方向を変化させることができる。本発明に係るアンテナ装置によれば、従来技術に比較して小型の平面型アンテナ装置を実現できる。従って、本発明に係るアンテナ装置は携帯電話機などの携帯機器に有用である。
またさらに、本発明に係るマイクロ波共振器を用いた帯域通過フィルタ装置によれば、直列枝の直列共振周波数と並列枝の並列共振周波数とが互いに異なる非平衡型右手/左手系複合線路100を用いるので、直列共振周波数と並列共振周波数との間の任意の帯域通過周波数を実現できる。
また、本発明に係るマイクロ波共振器を用いた帯域阻止フィルタ装置によれば、直列枝の直列共振周波数と並列枝の並列共振周波数とが互いに異なる非平衡型右手/左手系複合線路100を用いるので、直列共振周波数と並列共振周波数との間の任意の帯域阻止周波数を実現できる。
さらに、本発明に係る零次共振器における二重共振は、単位セルUC,UC,…,UCの数Nには依存しない。このため、より大きい利得を実現するためのより大規模なアンテナ装置であっても、リアクタンスBを調整するだけで容易に主偏波方向を変化させることができる。
以上説明したように、本発明に係るマイクロ波共振器によれば、マイクロ波伝送線路の第1のポートに接続され、所定の動作周波数において、上記第1のポートから第1の反射用インピーダンス回路を見たインピーダンスが第1のインピーダンスとなるように動作する第1の反射用インピーダンス回路と、上記マイクロ波伝送線路の第2のポートに接続され、上記動作周波数において、上記第のポートから第2の反射用インピーダンス回路を見たインピーダンスが第2のインピーダンスとなるように動作する第2の反射用インピーダンス回路とを備え、上記第1のインピーダンスの虚部と上記第2のインピーダンスの虚部とは互いに異符号であり、かつ上記第1のインピーダンスの虚部の大きさと上記第2のインピーダンスの虚部の大きさとは実質的に互いに等しい。従って、マイクロ波伝送線路を構成する単位セルの直列枝の直列共振のみが支配的な状態と、並列枝の並列共振のみが支配的な状態との間の、直列共振と並列共振とが混在した二重共振の状態にある零次共振器を実現できる。
また、本発明に係るアンテナ装置によれば、本発明に係るマイクロ波共振器と、上記第1の反射用インピーダンス回路又は上記第2の反射用インピーダンス回路に接続され、上記マイクロ波共振器によって受信されたマイクロ波信号を出力する給電回路を備えたので、受信するマイクロ波信号の偏波の向きを、マイクロ波伝送線路を構成する単位セルの直列枝に平行な方向と、並列枝に平行な方向との間の任意の方向に設定できる。
さらに、本発明に係るアンテナ装置によれば、上記第1の反射用インピーダンス回路は、上記第1のインピーダンスを変化させる第1のインピーダンス変化手段を備え、上記第2の反射用インピーダンス回路は、上記第2のインピーダンスを変化させる第2のインピーダンス変化手段を備え、上記アンテナ装置は、上記マイクロ波共振器によって受信されるマイクロ波信号の偏波方向を変化させるように、上記第1及び第2のインピーダンス変化手段をそれぞれ制御する制御手段をさらに備える。従って、例えば、受信されるマイクロ波信号の受信電力が最大になるように偏波の向きを変化させることができる。
またさらに、本発明に係る帯域通過フィルタ装置は本発明に係るマイクロ波共振器を備え、上記第1の反射用インピーダンス回路は、上記第1のインピーダンスを変化させる第1のインピーダンス変化手段を備え、上記第2の反射用インピーダンス回路は、上記第2のインピーダンスを変化させる第2のインピーダンス変化手段を備え、上記帯域通過フィルタ装置は、当該帯域通過フィルタ装置の帯域通過周波数を変化させるように、上記第1及び第2のインピーダンス変化手段をそれぞれ制御する制御手段をさらに備える。従って、直列共振周波数と並列共振周波数との間の任意の帯域通過フィルタ周波数を有する帯域通過フィルタ装置を実現できる。
また、本発明に係る帯域阻止フィルタ装置は本発明に係るマイクロ波共振器を備え、上記第1の反射用インピーダンス回路は、上記第1のインピーダンスを変化させる第1のインピーダンス変化手段を備え、上記第2の反射用インピーダンス回路は、上記第2のインピーダンスを変化させる第2のインピーダンス変化手段を備え、上記帯域阻止フィルタ装置は、当該帯域阻止フィルタ装置の帯域阻止周波数を変化させるように、上記第1及び第2のインピーダンス変化手段をそれぞれ制御する制御手段をさらに備える。従って、直列共振周波数と並列共振周波数との間の任意の帯域阻止フィルタ周波数を有する帯域阻止フィルタ装置を実現できる。
本発明は、マイクロ波領域における情報通信用送受信アンテナに限定されるものではなく、例えば、無線電力伝送用アンテナとしても用いることができる。
10…誘電体基板、
11…接地導体、
12,12P1,12P1a,12P1b,12P2…ストリップ導体、
12A…マイクロストリップ線路、
12F…給電線路導体、
12S…ビア導体、
13…短絡スタブ導体、
14…キャパシタ、
15…方向性結合器、
15a,15b…マイクロストリップ線路、
21…可変容量ダイオード、
22,23,24…インダクタ、
31…可変容量ダイオード、
41…給電線、
41a,41b,51a,51b−1,51b−3,51b−4,52−2,52−3,52−4…マイクロストリップ線路、
61…伝送線路部分、
90…フェライト角棒、
100…右手/左手系複合伝送線路(CRLHTL)、
100F,100Fa,100Fb…伝送線路、
200…受信電力検出器、
300,300A,300B,300C…コントローラ、
151,152…終端負荷、
151R,152R…反射用インピーダンス素子、
151RA,151RB,151RC,152RA,152RB,152RC…反射用インピーダンス回路、
153,154…移相器、
200…受信電力検出器、
300,300A…コントローラ、
400…無線受信機、
P1,P2,P11,P12…ポート、
SW1,SW2,SW3…スイッチ、
UC,UC,…,UC…単位セル。

Claims (13)

  1. 容量性素子を等価的に含む直列枝の回路と、誘導性素子を等価的に含む並列枝の回路と、少なくとも1つの伝送線路部分とを有する少なくとも1つの単位セルを、第1と第2のポートの間で縦続接続して構成されたマイクロ波伝送線路を備えたマイクロ波共振器であって
    上記マイクロ波伝送線路は第1のポートと第2のポートとを有し、
    上記マイクロ波共振器は、
    上記マイクロ波伝送線路の第1のポートに接続され、所定の動作周波数において、上記第1のポートから第1の反射用インピーダンス回路を見たインピーダンスが第1のインピーダンスとなるように動作する第1の反射用インピーダンス回路と、
    上記マイクロ波伝送線路の第2のポートに接続され、上記動作周波数において、上記第2のポートから第2の反射用インピーダンス回路を見たインピーダンスが第2のインピーダンスとなるように動作する第2の反射用インピーダンス回路とを備え、
    少なくとも、上記第1のインピーダンスの虚部と上記第2のインピーダンスの虚部とは互いに異符号であり、かつ上記第1のインピーダンスの虚部の大きさと上記第2のインピーダンスの虚部の大きさとは実質的に互いに等しいように構成することにより、直列共振と並列共振が混在した二重共振の状態にある零次共振器であることを特徴とするマイクロ波共振器。
  2. 上記第1のインピーダンスは所定の純虚数であり、
    上記第2のインピーダンスは、上記第1のインピーダンスと共役である純虚数であることを特徴とする請求項1記載のマイクロ波共振器。
  3. 上記マイクロ波伝送線路において、上記容量性素子は当該伝送線路を伝搬する電磁波モードの実効透磁率が負であるマイクロ波素子であり、上記誘導性素子は当該伝送線路を伝搬する電磁波モードの実効誘電率が負であるマイクロ波素子であることを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロ波共振器。
  4. 上記マイクロ波伝送線路は、
    地導体を有する誘電体基板と、
    上記誘電体基板上に形成されたマイクロストリップ線路と、
    上記マイクロストリップ線路を複数の線路部に分断し、上記分断された複数の線路部のうちの互いに隣接する各線路部を接続する複数のキャパシタと、
    上記各線路部をそれぞれ接地導体に接続する複数の誘導性スタブ導体とを備えたことを特徴とする請求項1乃至3のうちのいずれか1つに記載のマイクロ波共振器。
  5. 請求項1乃至4のうちのいずれか1つに記載のマイクロ波共振器を用いたアンテナ装置であって、
    上記第1の反射用インピーダンス回路又は上記第2の反射用インピーダンス回路に接続され、上記マイクロ波共振器によって受信されたマイクロ波信号を出力する給電回路をさらに備えたことを特徴とするアンテナ装置。
  6. 上記第1の反射用インピーダンス回路は、上記第1のインピーダンスを変化させる第1のインピーダンス変化手段を備え、
    上記第2の反射用インピーダンス回路は、上記第2のインピーダンスを変化させる第2のインピーダンス変化手段を備え、
    上記アンテナ装置は、
    上記マイクロ波共振器によって受信されるマイクロ波信号の偏波方向を変化させるように、上記第1及び第2のインピーダンス変化手段をそれぞれ制御する制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項5記載のアンテナ装置。
  7. 上記アンテナ装置は、
    上記給電回路から出力されたマイクロ波信号の受信電力を検出する受信電力検出手段をさらに備え、
    上記制御手段は、上記検出された受信電力に基づいて、上記受信電力が最大になるように上記マイクロ波共振器によって受信されるマイクロ波信号の偏波方向を変化させることを特徴とする請求項6記載のアンテナ装置。
  8. 上記第1及び第2のインピーダンスは離散的に変化することを特徴とする請求項5乃至7のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置。
  9. 上記第1及び第2のインピーダンスは連続的に変化することを特徴とする請求項5乃至7のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置。
  10. 上記第1及び第2の反射用インピーダンス回路はそれぞれ、可変容量ダイオード及びインダクタを含むことを特徴とする請求項9記載のアンテナ装置。
  11. 上記第1及び第2の反射用インピーダンス回路のそれぞれは、移相器及び伝送線路を含むことを特徴とする請求項9記載のアンテナ装置。
  12. 請求項1乃至4のうちのいずれか1つに記載のマイクロ波共振器を備えた帯域通過フィルタ装置であって、
    上記マイクロ波伝送線路は非平衡型マイクロ波伝送線路であり、
    上記第1の反射用インピーダンス回路は、上記第1のインピーダンスを変化させる第1のインピーダンス変化手段を備え、
    上記第2の反射用インピーダンス回路は、上記第2のインピーダンスを変化させる第2のインピーダンス変化手段を備え、
    上記帯域通過フィルタ装置は、
    当該帯域通過フィルタ装置の帯域通過周波数を変化させるように、上記第1及び第2のインピーダンス変化手段をそれぞれ制御する制御手段をさらに備えたことを特徴とする帯域通過フィルタ装置。
  13. 請求項1乃至4のうちのいずれか1つに記載のマイクロ波共振器を備えた帯域阻止フィルタ装置であって、
    上記マイクロ波伝送線路は非平衡型マイクロ波伝送線路であり、
    上記第1の反射用インピーダンス回路は、上記第1のインピーダンスを変化させる第1のインピーダンス変化手段を備え、
    上記第2の反射用インピーダンス回路は、上記第2のインピーダンスを変化させる第2のインピーダンス変化手段を備え、
    上記帯域阻止フィルタ装置は、
    当該帯域阻止フィルタ装置の帯域阻止周波数を変化させるように、上記第1及び第2のインピーダンス変化手段をそれぞれ制御する制御手段をさらに備えたことを特徴とする帯域阻止フィルタ装置。
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