JP7233736B2 - 非相反伝送線路装置及びアンテナ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、順方向の伝搬特性及び逆方向の伝搬特性が互いに異なる非相反伝送線路装置に関し、また、そのような非相反伝送線路装置を備えたアンテナ装置に関する。
近年、非相反伝送線路装置に関する研究が行われている。非相反伝送線路装置では、その順方向と逆方向とにおいて、電磁波は非相反的(非可逆的)に伝搬する。すなわち、順方向では、電磁波は、電力伝送の向きと位相流れの向きが互いに同じである前進波として伝搬し(右手系モード)、一方、逆方向では、電磁波は、電力伝送の向きと位相流れの向きとが互いに異なる後退波として伝搬する(左手系モード)。本願発明者らは、例えば特許文献1~3及び非特許文献1などにおいて、いくつかの非相反伝送線路装置を提案した。
例えば、特許文献1は、少なくとも1つの非可逆伝送線路部分を第1と第2のポートの間で縦続接続して構成されたマイクロ波伝送線路を備える伝送線路マイクロ波装置を開示している。非可逆伝送線路部分は、容量性素子を等価的に含む直列枝の回路と、誘導性素子を等価的に含む並列枝の回路とを備える。非可逆伝送線路部分は、マイクロ波の伝搬方向に対して異なる磁化方向に磁化されてジャイロ異方性を有し、伝搬方向と磁化方向とにより形成される面に対して非対称な構造を有する。非可逆伝送線路部分は、順方向の伝搬定数と逆方向の伝搬定数とが互いに異なる非可逆位相特性を有するように、伝搬定数と動作周波数との関係を示す分散曲線において所定の伝搬定数及び動作周波数を設定してなる。
国際公開第2008/111460号 国際公開第2011/024575号 国際公開第2012/115245号
A. Porokhnyuk, et al., "Phase-constant-nonreciprocal composite right/left-handed metamaterials based on coplanar waveguides", JOURNAL OF APPLIED PHYSICS, Vol. 115, 17E519, American Institute of Physics, 2014
非相反伝送線路装置には、その用途に応じて、高い非相反性が求められる。
特許文献1~3及び非特許文献1では、例えば、非相反伝送線路装置を漏れ波アンテナ装置として使用することを提案している。非相反伝送線路装置を備えた漏れ波アンテナ装置の放射方向は、順方向伝搬及び逆方向伝搬の各位相定数に依存し、従って、非相反性の大きさに依存する。また、非相反性の大きさは、非相反伝送線路装置の磁化の大きさに依存する。従来技術によれば、非相反伝送線路装置を備えた漏れ波アンテナ装置において、その主ビーム方向を広い角度範囲、例えば±15度程度にわたって走査するためには、非常に強い磁界、例えば±100mT以上の外部磁界を印加することが必要であった。
本発明の目的は、強い磁化を必要とすることなく、従来技術よりも大きな非相反性を実現することができる非相反伝送線路装置を提供することにある。また、本発明の目的は、そのような非相反伝送線路装置を備えたアンテナ装置を提供することにある。
本発明の第1の態様に係る非相反伝送線路装置によれば、
順方向の伝搬特性と逆方向の伝搬特性とが互いに異なる非相反伝送線路装置であって、
前記非相反伝送線路装置は、互いに対向する第1及び第2の面を有する基板に形成され、互いに縦続接続された複数の単位セルを備え、
前記各単位セルは、
前記基板の第1の面に形成された接地導体と、
前記基板の第2の面に形成された電磁波の伝送線路部分と、
前記基板の第2の面に形成され、前記伝送線路部分に接続された容量性素子を等価的に含む第1の並列枝回路とを備え、
前記各単位セルは、前記基板の第1及び第2の面に沿った方向とは異なり、かつ、前記伝送線路部分の伝搬方向とは異なる磁化方向に磁化されてジャイロ異方性を有し、
前記各第1の並列枝回路は、前記伝送線路部分を通りかつ前記伝搬方向と前記磁化方向とにより形成される面に対して一方の側に形成され、
前記各第1の並列枝回路と前記接地導体との間において前記基板は磁性体にてなる。
本発明の第2の態様に係る非相反伝送線路装置によれば、第1の態様に係る非相反伝送線路装置において、
前記各第1の並列枝回路は、開放された先端を有する少なくとも1つの第1のスタブ導体を含む。
本発明の第3の態様に係る非相反伝送線路装置によれば、第1の態様に係る非相反伝送線路装置において、
前記各第1の並列枝回路は少なくとも1つの第1のスタブ導体を含み、前記各第1のスタブ導体は前記接地導体に容量的に結合し、互いに隣接する前記各第1のスタブ導体は互いに容量的に結合する。
本発明の第4の態様に係る非相反伝送線路装置によれば、第3の態様に係る非相反伝送線路装置において、
互いに隣接する前記各第1のスタブ導体は、可変容量素子を介して互いに容量的に結合する。
本発明の第5の態様に係る非相反伝送線路装置によれば、第1~第4のうちの1つの態様に係る非相反伝送線路装置において、
前記各単位セルは、前記基板の第2の面に形成され、前記伝送線路部分に接続された誘導性素子を等価的に含む第2の並列枝回路をさらに備え、
前記各第2の並列枝回路は、前記伝送線路部分を通りかつ前記伝搬方向と前記磁化方向とにより形成される面に対して、前記各第1の並列枝回路が形成された側とは逆の側に形成され、
前記各第2の並列枝回路と前記接地導体との間において前記基板は誘電体にてなる。
本発明の第6の態様に係る非相反伝送線路装置によれば、第5の態様に係る非相反伝送線路装置において、
前記各第2の並列枝回路は、前記接地導体に短絡された先端を有する少なくとも1つの第2のスタブ導体を含む。
本発明の第7の態様に係る非相反伝送線路装置によれば、第5又は第6の態様に係る非相反伝送線路装置において、
前記磁性体の比誘電率は前記誘電体の比誘電率よりも高い。
本発明の第8の態様に係る非相反伝送線路装置によれば、第7の態様に係る非相反伝送線路装置において、
前記磁性体の比誘電率は5よりも高く、前記誘電体の比誘電率は4よりも低い。
本発明の第9の態様に係る非相反伝送線路装置によれば、第3又は第4の態様に係る非相反伝送線路装置において、
前記各単位セルは、前記基板の第2の面に形成され、前記伝送線路部分に接続された容量性素子を等価的に含む第2の並列枝回路をさらに備え、
前記各第2の並列枝回路は、前記伝送線路部分を通りかつ前記伝搬方向と前記磁化方向とにより形成される面に対して、前記各第1の並列枝回路が形成された側とは逆の側に形成され、
前記各第2の並列枝回路と前記接地導体との間において前記基板は磁性体にてなり、
前記各第2の並列枝回路は少なくとも1つの第2のスタブ導体を含み、前記各第2のスタブ導体は前記接地導体に容量的に結合し、互いに隣接する前記各第2のスタブ導体は互いに容量的に結合する。
本発明の第10の態様に係る非相反伝送線路装置によれば、第9の態様に係る非相反伝送線路装置において、
互いに隣接する前記各第2のスタブ導体は、可変容量素子を介して互いに容量的に結合する。
本発明の第11の態様に係る非相反伝送線路装置によれば、第1~第10のうちの1つの態様に係る非相反伝送線路装置において、
前記伝送線路部分と前記接地導体との間において前記基板は磁性体にてなる。
本発明の第12の態様に係るアンテナ装置によれば、
第1~第11のうちの1つの態様に係る非相反伝送線路装置を備え、
前記各単位セルは、前記基板の第2の面に形成され、前記伝送線路部分に接続された容量性素子を等価的に含む直列枝回路をさらに備え、
前記非相反伝送線路装置の漏れ波として電磁波を送受信する。
本発明の第13の態様に係るアンテナ装置によれば、第12の態様に係るアンテナ装置において、
前記アンテナ装置は、前記磁化方向に可変な強さの磁界を印加する磁力源をさらに備え、
前記磁力源によって発生される磁界の強さを変化させることにより前記アンテナ装置の放射方向を変化させる。
本発明の第14の態様に係るアンテナ装置によれば、第12又は第13の態様に係るアンテナ装置において、
前記アンテナ装置の動作周波数は、前記非相反伝送線路装置の分散曲線において前記順方向の位相定数及び前記逆方向の位相定数が互いに一致するときの周波数に等しく設定される。
本発明に係る非相反伝送線路装置によれば、強い磁化を必要とすることなく、従来技術よりも大きな非相反性を実現することができる。
第1の実施形態に係る非相反伝送線路装置10を備えたアンテナ装置の構成を示す図である。 図1の非相反伝送線路装置10の単位セル20の構成を示す上面図である。 図1の非相反伝送線路装置10の例示的な分散曲線を示すグラフである。 第1の実施形態の変形例に係る簡略化された非相反伝送線路装置10Aの構成を示す図である。 図4の非相反伝送線路装置10Aの構成を示す斜視図である。 図4の非相反伝送線路装置10Aの単位セル20Aの構成を示す上面図である。 第1の比較例に係る非相反伝送線路装置10B1の構成を示す上面図である。 第2の比較例に係る非相反伝送線路装置10B2の構成を示す上面図である。 第3の比較例に係る非相反伝送線路装置10B3の構成を示す上面図である。 第4の比較例に係る非相反伝送線路装置10B4の構成を示す上面図である。 図4の非相反伝送線路装置10Aの構成を示す上面図である。 図7~図11の非相反伝送線路装置10B1~10B4,10Aの非相反性の周波数依存性を示すグラフである。 図4の非相反伝送線路装置10Aのサイズを変化させた場合の非相反性の周波数依存性を示すグラフである。 図4の非相反伝送線路装置10Aに異なる複数の磁界を印加した場合の非相反性の周波数依存性を示すグラフである。 図1の非相反伝送線路装置10の透過係数及び反射係数を示すグラフである。 図1の非相反伝送線路装置10の分散曲線を示すグラフである。 図1の非相反伝送線路装置10のチップキャパシタ16を備えた実施例及びチップキャパシタ16をもたない比較例について、スタブ導体12の長さに対する非相反性の変化を示すグラフである。 図4のアンテナ装置に異なる複数の磁界を印加した場合の放射方向を示すグラフである。 第2の実施形態に係る非相反伝送線路装置10Cを備えたアンテナ装置の構成を示す図である。 図19の非相反伝送線路装置10Cの単位セル20Cの構成を示す上面図である。 図19の非相反伝送線路装置10Cの分散曲線を概略的に示すグラフである。 図19の非相反伝送線路装置10Cの非相反性のパラメータΔβを概略的に示すグラフである。 第2の実施形態の第1の変形例に係る非相反伝送線路装置10Dの単位セル20Dの構成を示す上面図である。 第2の実施形態の第2の変形例に係る非相反伝送線路装置10Eの単位セル20Eの構成を示す上面図である。 図24の非相反伝送線路装置10Eの分散曲線を概略的に示すグラフである。 図24の非相反伝送線路装置10Eの分散曲線を概略的に示すグラフである。 図24の非相反伝送線路装置10Eの非相反性のパラメータΔβを概略的に示すグラフである。 第2の実施形態の第3の変形例に係る非相反伝送線路装置10Fの構成を示す上面図である。 図28の非相反伝送線路装置10Fが容量0.6pFのキャパシタ17を備える場合について、反射係数及び透過係数の周波数特性を示すグラフである。 図28の非相反伝送線路装置10Fが容量0.8pFのキャパシタ17を備える場合について、反射係数及び透過係数の周波数特性を示すグラフである。 図28の非相反伝送線路装置10Fが容量1.0pFのキャパシタ17を備える場合について、反射係数及び透過係数の周波数特性を示すグラフである。 図28の非相反伝送線路装置10Fがキャパシタ17をもたない場合について、反射係数及び透過係数の周波数特性を示すグラフである。 図28の非相反伝送線路装置10Fにおける非相反性の周波数依存性を示すグラフである。 図19の非相反伝送線路装置10Cが容量0.5pFのキャパシタ17を備える場合について、反射係数及び透過係数の周波数特性の計算値を示すグラフである。 図19の非相反伝送線路装置10Cが容量0.5pFのキャパシタ17を備える場合について、反射係数及び透過係数の周波数特性の実測値を示すグラフである。 図19の非相反伝送線路装置10Cがキャパシタ17をもたない場合について、反射係数及び透過係数の周波数特性の計算値を示すグラフである。 図19の非相反伝送線路装置10Cがキャパシタ17をもたない場合について、反射係数及び透過係数の周波数特性の実測値を示すグラフである。 図19の非相反伝送線路装置10Cの分散曲線を示すグラフである。 図19の非相反伝送線路装置10Cの非相反性のパラメータΔβを示すグラフである。 第2の実施形態の第4の変形例に係る非相反伝送線路装置10Gの構成を示す上面図である。 図40の非相反伝送線路装置10Gの単位セル20Gの構成を示す上面図である。 図40の非相反伝送線路装置10Gの分散曲線を示すグラフである。 図28の非相反伝送線路装置10Gを備えた擬似進行波共振器の構成を示す図である。 図43の擬似進行波共振器における反射係数の周波数特性を示すグラフである。 図43の擬似進行波共振器の放射パターンを示すグラフである。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る非相反伝送線路装置10を備えたアンテナ装置の構成を示す図である。
図1に示すように、アンテナ装置は、非相反伝送線路装置10、コントローラ4、無線通信回路5、分配器6、及び磁力源7を備える。
無線通信回路5は、コントローラ4の制御下で無線周波信号(例えばマイクロ波信号)を発生し、無線周波信号は分配器6によって2つに分配され、分配された各無線周波信号は、テーパ導体3を介して非相反伝送線路装置10の両端にそれぞれ入力される。テーパ導体3は、ポートP1,P3の間のインピーダンス整合のために、かつ、ポートP2,P4の間のインピーダンス整合のためにテーパ形状に形成された、マイクロストリップ線路のストリップ導体である。また、テーパ導体3に代えて、等幅のストリップ導体が設けられてもよい。非相反伝送線路装置10において、ポートP3を介して入力された無線周波信号の電磁波は+Y方向(「順方向」ともいう)に右手系モードで伝搬し、ポートP4を介して入力された無線周波信号の電磁波は-Y方向(「逆方向」ともいう)に左手系モードで伝搬する。これにより、アンテナ装置は、非相反伝送線路装置10の漏れ波として電磁波を放射する。
アンテナ装置により電磁波を受信するときも同様に、非相反伝送線路装置10において、電磁波は、+Y方向に右手系モードで伝搬し、かつ、-Y方向に左手系モードで伝搬する。ポートP1,P2を介して出力された無線周波信号は無線通信回路5に送られる。
非相反伝送線路装置10において伝搬する電磁波は、例えば、UHF(Ultra High Frequency)バンドの周波数帯以上のマイクロ波、ミリ波、準ミリ波、テラヘルツ波を含む。
磁力源7は、コントローラ4の制御下で、可変な強さの直流磁界を非相反伝送線路装置10に対して+Z方向に印加する(垂直磁化)。アンテナ装置の放射方向は、磁力源7によって発生される磁界の強さを変化させることにより、YZ面内において変化する。
非相反伝送線路装置10は、互いに縦続接続された複数の単位セル20を備える。
図2は、図1の非相反伝送線路装置10の単位セル20の構成を示す上面図である。図2に示すように、非相反伝送線路装置10は、誘電体2及び磁性体15を含む基板に形成される。基板は、互いに対向する-Z側の面(「下面」又は「第1の面」ともいう)及び+Z側の面(「上面」又は「第2の面」ともいう)を有する。非相反伝送線路装置10はさらに、基板の下面に形成された接地導体1(図5を参照)と、基板の上面に形成されたストリップ導体11、複数のスタブ導体12、及び複数のスタブ導体13と、基板を貫通する複数のビア導体14とを備える。各ビア導体14は、各スタブ導体13及び接地導体1にそれぞれ電気的に接続される。
単位セル20は、ストリップ導体11を電磁波の伝送線路部分として備える。これにより、単位セル20は、+Y方向及び-Y方向に電磁波の伝搬方向を有するマイクロストリップ線路として構成される。単位セル20はさらに、ストリップ導体11に接続された少なくとも1つ(図2の例では3つ)のスタブ導体12と、ストリップ導体11に接続された少なくとも1つ(図2の例では1つ)のスタブ導体13と、スタブ導体13及び接地導体1に接続されたビア導体14とを備える。スタブ導体12は、先端において開放され、等価的に容量性素子として機能する。スタブ導体13は、先端においてビア導体14を介して接地導体1に短絡され、スタブ導体13及びビア導体14は、等価的に誘導性素子として機能する。本明細書において、スタブ導体12を「第1の並列枝回路」ともいい、スタブ導体13及びビア導体14を「第2の並列枝回路」ともいう。
各単位セル20のストリップ導体11は、チップキャパシタ16を介して互いに接続される。チップキャパシタ16は、直列枝回路として各単位セル20に挿入され、等価的に容量性素子として機能する。
各単位セル20は、磁力源7によって、基板の上面及び下面に沿った方向とは異なり、かつ、ストリップ導体11の伝搬方向(+Y方向及び-Y方向)とは異なる磁化方向、例えば図5の例と同様に+Z方向に磁化されてジャイロ異方性を有する。
図2(及び図5)に示すように、各スタブ導体12は、Y軸の方向に沿ったストリップ導体11の2つのエッジのうちの一方のエッジに電気的に接続され、各スタブ導体13は、他方のエッジに電気的に接続される。言い換えると、各スタブ導体12は、ストリップ導体11を通る面であって、伝搬方向と磁化方向とにより形成される面(図2のYZ面)に対して一方の側に形成され、各スタブ導体13及び各ビア導体14は、この面に対して他方の側に形成される。
図2(及び図5)に示すように、各スタブ導体12と接地導体1との間において基板は磁性体15(例えばフェライト)にてなり、各スタブ導体13と接地導体1との間において基板は誘電体2にてなる。図2(及び図5)の例では、ストリップ導体11と接地導体1との間においても基板は磁性体15にてなる。
磁性体15の比誘電率は、誘電体2の比誘電率よりも高く設定される。例えば、磁性体15の比誘電率は約5~約100の範囲の値に設定され、誘電体2の比誘電率は約1~約4の範囲の値に設定されてもよい。磁性体15の比誘電率が高いほど、非相反伝送線路装置10の非相反性が大きくなる。ただし、一般に、比誘電率の高い材料は損失角が大きくなり(もしくは、Q値が小さくなり)、また、導体パターンの微細化にともなって導体損失などが大きくなり、伝搬損失が顕著となる。従って、磁性体15の比誘電率の上限は、比誘電率そのもの値ではなく、誘電体損及び導体損の大きさで決まる。
非相反伝送線路装置10は、各スタブ導体12が容量性素子として機能し、各スタブ導体13及び各ビア導体14が誘導性素子として機能し、各スタブ導体12の下方に磁性体15からなる基板を備え、各スタブ導体13の下方に誘電体2からなる基板を備えたことにより、ポートP3から見たときとポートP4から見たときとで非対称な構成を有する。これにより、非相反伝送線路装置10は、順方向の伝搬特性と逆方向の伝搬特性とが互いに異なる「非相反性(非可逆性)」を有する。また、非相反伝送線路装置10は、動作波長よりも小さな構造物を備えることにより制御された誘電率及び透磁率を有するメタマテリアルである。
図3は、図1の非相反伝送線路装置10の例示的な分散曲線を示すグラフである。非相反伝送線路装置10は、非相反性を有することにより、その分散曲線において互いに異なる順方向の位相定数β及び逆方向の位相定数-βを有する。アンテナ装置の動作周波数は、例えば、順方向の位相定数β及び逆方向の位相定数-βが互いに一致するときの周波数に等しく設定される。
次に、図1の非相反伝送線路装置10及びアンテナ装置の動作原理について説明する。
一般に、接地導体とストリップ導体との間の基板に磁性体(例えばフェライト角棒)が埋め込まれたマイクロストリップ線路では、基板に対して垂直に磁界を印加することで、電磁波はエッジガイドモードで伝搬する。エッジガイドモードでは、ストリップ導体の一方のエッジに電磁界が集中し、電磁波の伝搬方向及び印加磁界の方向に応じて、電磁界が集中するエッジが交代するという性質がある。また、ストリップ導体の一方のエッジにスタブ導体を非対称に接続すると、電磁波の伝搬方向に応じてマイクロストリップ線路の構造が違って見えるので、非相反性が生じる。
ストリップ導体にスタブ導体を接続することは、マイクロストリップ線路の実効誘電率を変化させ、従って、実効屈折率を変化させる効果がある。従って、容量性素子として機能するスタブ導体を接続すると実効屈折率が増大し、マイクロストリップ線路の経路を延長したことに相当する。一方、誘導性素子として機能するスタブ導体を接続すると実効誘電率が低下し、マイクロストリップ線路の経路を短縮したことに相当する。
ある動作周波数において、マイクロストリップ線路の非相反性は、次式のパラメータΔβによって表される。
Figure 0007233736000001
非相反性のパラメータΔβは、次式によって近似される。
Figure 0007233736000002
ここで、γは磁性体の磁気回転比を示し、Mは磁性体の実効磁化の大きさを示す。また、
Figure 0007233736000003
及び
Figure 0007233736000004
はそれぞれ、マイクロストリップ線路の仮想的な側面におけるマイクロストリップ線路の表面のアドミタンスY及びYを、自由空間の波動アドミタンス
Figure 0007233736000005
でそれぞれ正規化したものを示す。ここで、εは真空の誘電率を示し、μは真空の透磁率を示す。マイクロストリップ線路の仮想的な側面は、ストリップ導体の両側のエッジにおいて基板に直交する2つの平面による基板の断面の領域である。アドミタンスの差
Figure 0007233736000006
により、マイクロストリップ線路の非対称性(すなわち、ストリップ導体へのスタブ導体の非対称な接続)が表される。
図1の非相反伝送線路装置10では、スタブ導体12が等価的に容量性素子として機能するので、そのアドミタンスは、動作周波数ωにおいて、スタブ導体12に関連付けられた容量Cを用いて、Y=jωCにより表される。また、図1の非相反伝送線路装置10では、スタブ導体13及びビア導体14が等価的に誘導性素子として機能するので、そのアドミタンスは、動作周波数ωにおいて、スタブ導体13及びビア導体14に関連付けられたインダクタンスLを用いて、Y=1/jωL=-j/ωLにより表される。従って、(Y-Y)=j(ωC+1/ωL)が成り立つ。
アンテナ装置の放射方向の角度θ(rad)は、次式に示すように、非相反性のパラメータΔβに依存する。
Figure 0007233736000007
ここで、βは自由空間の位相定数である。
数2によれば、非相反伝送線路装置10の非相反性は実効磁化Mの大きさに依存する。従って、アンテナ装置の放射方向の角度θは、磁力源7によって非相反伝送線路装置10に印加される磁界の向き及び大きさに応じて制御することができる。
従来技術に係る非相反伝送線路装置では、負の実効誘電率を実現するために、誘導性素子として機能するスタブ導体をマイクロストリップ線路の仮想的な側面の一方又は両方にサブ波長の間隔で周期的に挿入したが、基板は磁性体ではなく誘電体にてなるものであった。これは、非相反伝送線路装置に外部から印加される磁界に起因する線路のパラメータの変化を防ぐことを主な目的としていた。
一方、第1の実施形態では、容量性素子として機能するスタブ導体12を、誘電体2の上にではなく磁性体15の上に形成し、ストリップ導体11の一方のエッジに周期的に接続し、その一方、誘導性素子として機能するスタブ導体13を誘電体2の上に形成し、ストリップ導体11の他方のエッジに周期的に接続する。このように非相反伝送線路装置10の非対称な構成に起因して、従来技術よりも線路の非相反性が向上する。
また、第1の実施形態によれば、容量性素子として機能するスタブ導体12を磁性体15の上に設けることにより、スタブ導体12が接続された側におけるストリップ導体11のエッジと、スタブ導体12のエッジとに沿って、電磁波がエッジガイドモードで伝搬する。これにより、線路の経路を延長する効果が従来技術よりも向上し、線路の非相反性がさらに向上する。
また、第1の実施形態によれば、誘電体2の比誘電率よりも高い比誘電率を有する磁性体15を用いることにより、線路の経路を延長する効果がさらに向上し、線路の非相反性がさらに向上する。
また、第1の実施形態では、数2の右辺に含まれるアドミタンスの差を大きくするように、非相反伝送線路装置10の動作周波数ωと、スタブ導体12に関連付けられた容量Cと、スタブ導体13及びビア導体14に関連付けられたインダクタンスLとを設定し、これにより、強い磁化を必要とすることなく、従来技術よりも大きな非相反性を実現することができる。言い換えると、非相反伝送線路装置10に印加される磁界、すなわち実効磁化Mの強さを増大することなく、非相反性のパラメータΔβの大きさを従来技術よりも増大させることができる。また、第1の実施形態では、非相反伝送線路装置10に印加される磁界の強さを大幅に低減しながら、従来技術と同程度の非相反性を実現することもできる。
第1の実施形態に係る非相反伝送線路装置10から電磁波を漏れ波として放射することにより、フェーズドアレーアンテナのように分配器及び移相器を必要とせず、簡素な構造でありながら可変な放射方向を有するアンテナ装置を提供することができる。
従来技術に係る非相反伝送線路装置を備えたアンテナ装置では、放射方向を広い角度にわたって変化させるためには、線路の非相反性を大きくする必要があり、そのためには、強力な永久磁石又は大型の電磁石を用いて非相反伝送線路装置に大きな直流磁界を印加する必要があった。一方、第1の実施形態に係る非相反伝送線路装置10を備えたアンテナ装置は、小さな磁界を印加した場合であっても、従来技術に係るアンテナ装置において強力な永久磁石又は大型の電磁石を用いた場合と同程度の非相反性を生じることができる。従って、第1の実施形態に係るアンテナ装置によれば、従来技術に係るアンテナ装置よりも、放射方向を簡便に変化させることができる。
非相反伝送線路装置10は、図1に示すように、ポートP3,P4の両方から給電することに代えて、その一方のみから給電し、他方に反射器を接続してもよい。それに代わって、ポートP3,P4の両方に反射器を接続し、ポートP3,P4の一方のみから給電し、非相反伝送線路装置10を擬似進行波共振器として動作させてもよい。
次に、図4~図12を参照して、基板において磁性体15が占める領域を変化させたときの非相反性の変化について比較したシミュレーションの結果を示す。
図4は、第1の実施形態の変形例に係る簡略化された非相反伝送線路装置10Aの構成を示す図である。図5は、図4の非相反伝送線路装置10Aの構成を示す斜視図である。図6は、図4の非相反伝送線路装置10Aの単位セル20Aの構成を示す上面図である。スタブ導体12,13の接続による非相反性の変化を調べるために、図1の非相反伝送線路装置10よりも簡略化された構成を有する非相反伝送線路装置10Aを導入する。非相反伝送線路装置10Aの各単位セル20Aは、図1の非相反伝送線路装置10の各単位セル20から、チップキャパシタ16を除去し、さらに、容量性素子として機能するスタブ導体12を3個から1個に削減した構成を有する。
次に、第1の実施形態に係る非相反伝送線路装置10及び比較例に係る非相反伝送線路装置10B1~10B4のモデルを設定した。
シミュレーションで設定した非相反伝送線路装置10B1~10B4,10Aのパラメータは、以下の通りであった(図4を参照)。
基板全体(誘電体2及び磁性体15)の長さ:L1=100mm
基板全体(誘電体2及び磁性体15)の幅:W1=15mm
基板全体(誘電体2及び磁性体15)の厚さ:0.8mm
誘電体2の比誘電率:2.62
磁性体15の比誘電率:15
非相反伝送線路装置10B1~10B4,10Aの長さ:L2=10mm
テーパ導体3、ストリップ導体11、及びスタブ導体12,13の厚さ:18μm
テーパ導体3の長さ:L3=45mm
ポートP1,P2におけるテーパ導体3の幅:W2=2.2mm
ポートP3,P4におけるテーパ導体3の幅:W3=5.5mm
ポートP1,P2からテーパ導体3を見たときの特性インピーダンス:50Ω
ポートP3,P4からテーパ導体3を見たときの特性インピーダンス:26Ω
非相反伝送線路装置10B1~10B4,10Aはそれぞれ、5個の単位セル20Aを備えていた。シミュレーションで設定した単位セル20Aのパラメータは、以下の通りであった(図6を参照)。
ストリップ導体11の長さ:L11=1.9mm
ストリップ導体11の幅:W11=2mm
スタブ導体12の長さ:L12=2mm
スタブ導体12の幅:W12=0.8mm
スタブ導体13の長さ:L13=1mm
スタブ導体13の幅:W13=1mm
シミュレーションでは、磁性体15において、+Z方向に実効磁化μ=25mT及び内部磁界μ=10mTを設定した。
図7~図11は、非相反伝送線路装置10B1~10B4,10Aの基板における誘電体2及び磁性体15の配置を示す。図7~図11の例では、誘電体2及び磁性体15の配置以外は、非相反伝送線路装置10B1~10B4,10Aの構造は共通である。シミュレーションでは、印加された直流磁界の向き及び磁化の大きさを固定したまま、誘電体2及び磁性体15の配置の非対称性による非相反性の変化を比較した。
図7は、第1の比較例に係る非相反伝送線路装置10B1の構成を示す上面図である。図7の例では、従来技術に係る基本構造として、ストリップ導体11を磁性体15の上に形成し、容量性素子として機能するスタブ導体12と、誘導性素子として機能するスタブ導体13との両方を、比誘電率2.62を有する誘電体2の上に形成する。ただし、スタブ導体12及びスタブ導体13はそれぞれ、ストリップ導体11の互いに異なるエッジに接続されている。容量性素子として機能するスタブ導体12は実効誘電率を増加させ、誘導性素子として機能するスタブ導体13は実効誘電率を低減させるので、非相反伝送線路装置10B1の構造が非対称になり、非相反性が生じる。
図8は、第2の比較例に係る非相反伝送線路装置10B2の構成を示す上面図である。図8の例では、容量性素子として機能するスタブ導体12のアドミタンスYを図7の場合よりも増大させ、非対称性をより大きくするために、スタブ導体12を、より高い比誘電率15を有する誘電体2Aの上に形成する。なお、誘導性素子として機能するスタブ導体13は、線路の経路を短縮するために設けられるので、低誘電率を有する誘電体2の上に形成することが望ましい。従って、図7~図11の各例では、スタブ導体13は、比誘電率2.62を有する誘電体2の上に形成される。
図9は、第3の比較例に係る非相反伝送線路装置10B3の構成を示す上面図である。図9の例では、ストリップ導体11だけでなく、容量性素子として機能するスタブ導体12もまた、磁性体15の上に形成する。なお、図9の例では、ストリップ導体11及びスタブ導体12の形状に合わせて磁性体15をくし形に形成し、スタブ導体12の外側では、基板は、比誘電率2.62を有する誘電体2からなる。このとき、スタブ導体12のエッジに沿って電磁波がエッジガイドモードで伝搬するので、電磁波の経路が延長され、非相反性が増大する。
図10は、第4の比較例に係る非相反伝送線路装置10B4の構成を示す上面図である。図10の例では、磁性体15は図9の場合と同様に形成されるが、スタブ導体12の外側において、基板の材料を、比誘電率15を有する誘電体2Aで置き換えている。
図11は、図4の非相反伝送線路装置10の構成を示す上面図である。図9及び図10の例では、くし形に形成される磁性体15は、製造しにくい非常に複雑な構造を有する。そこで、図11に示すように、スタブ導体12の下方の基板だけでなく、スタブ導体12の外側の基板を磁性体15で置き換える。図11の例では、ストリップ導体11及びスタブ導体12を、ほぼ直方体に形成された磁性体15の上に形成することにより、簡素な構造を実現することができる。この場合もまた、スタブ導体12のエッジに沿って電磁波がエッジガイドモードで伝搬するので、図7及び図8の場合に比べて非相反性の増大が期待できる。
図12は、図7~図11の非相反伝送線路装置10B1~10B4,10Aの非相反性の周波数依存性を示すグラフである。数値計算により求められる図7~図11の各モデルに対する散乱パラメータの位相特性から、非相反性のパラメータΔβの周波数依存性を抽出した。図12において、横軸は、p/πで正規化された非相反性のパラメータΔβを示す。ここで、pは、単位セル20Aにおけるストリップ導体11の長さL11を示す。
図12を参照して、非相反伝送線路装置10B1及び10B2の非相反性を比較する。動作周波数6GHzの付近において、非相反伝送線路装置10B1では、Δβp/π=0.0123になり、非相反伝送線路装置10B2では、Δβp/π=0.0145になり、非相反性は約1.2倍に増大した。このように、容量性素子として機能するスタブ導体12を、高誘電率を有する誘電体2Aの上に形成することにより、非相反性が増大することがわかる。
また、図12を参照して、非相反伝送線路装置10B2及び10B3の非相反性を比較する。動作周波数6GHzの付近において、非相反伝送線路装置10B2では、Δβp/π=0.0145になり、非相反伝送線路装置10B3では、Δβp/π=0.015になり、非相反性は、約1.03倍しか増大しなかった。また、より高い動作周波8GHzの付近において、非相反伝送線路装置10B2では、Δβp/π=0.0118になり、非相反伝送線路装置10B3では、Δβp/π=0.0125になり、非相反性は1.06倍に増大した。
また、図12を参照して、非相反伝送線路装置10B3及び10B4の非相反性を比較する。動作周波数6GHzの付近において、非相反伝送線路装置10B3では、Δβp/π=0.0150になり、非相反伝送線路装置10B4では、Δβp/π=0.0174になり、非相反性は約1.15倍に増大した。また、より高い動作周波8GHzの付近において、非相反伝送線路装置10B3では、Δβp/π=0.0125になり、非相反伝送線路装置10B4では、Δβp/π=0.0162になり、非相反性は約1.3倍に増大した。
また、図12を参照して、非相反伝送線路装置10B4及び10Aの非相反性を比較する。6GHzの付近において、非相反伝送線路装置10B4では、Δβp/π=0.0174になり、非相反伝送線路装置10Aでは、Δβp/π=0.0198になり、非相反性は約1.14倍に増大した。また、より高い動作周波8GHzの付近において、非相反伝送線路装置10B4では、Δβp/π=0.0162になり、非相反伝送線路装置10Aでは、Δβp/π=0.0194になり、非相反性は約1.2倍に増大した。
図12によれば、従来技術に係る基本構造を有する非相反伝送線路装置10B1と、本発明の第1の実施形態に係る構造を有する非相反伝送線路装置10Aとを比較すると、非相反性は、動作周波数6GHzの付近において約1.6倍に増大し、動作周波数8GHzの付近において約2倍に増大した。
次に、図13~図14を参照して、図4の非相反伝送線路装置10Aに係るシミュレーション及び実測の結果について説明する。
図13は、図4の非相反伝送線路装置10Aのサイズを変化させた場合の非相反性の周波数依存性を示すグラフである。図13は、図11に示した非相反伝送線路装置10の各単位セルの幅を維持したまま、各単位セルの長さ及び厚さを1/2及び1/4に縮小した場合の非相反性の変化を示す。図13によれば、非相反伝送線路装置10Aのサイズを小さくするほど、非相反性が増大することがわかる。また、動作周波数が高くなるほど、非相反伝送線路装置10Aのサイズの縮小により非相反性が増大する効果が高くなることがわかる。
次に、非相反伝送線路装置10Aを試作してその非相反性を実測し、実測結果とシミュレーション結果とを比較した。
試作及びシミュレーションでは、非相反伝送線路装置10Aは、図11の場合と同じサイズを有するものであった。試作した非相反伝送線路装置10Aでは、接地導体1として真鍮板を使用し、誘電体2として、日本ピラー工業株式会社から供給されている厚さ0.8mmの基板NPC-F260Aを使用し、磁性体15として、飽和磁化175mTのYIG多結晶を使用した。実測では、ベクトルネットワークアナライザを用いて非相反伝送線路装置10Aの散乱パラメータの特性、すなわち透過係数を測定し、透過係数の位相特性に基づいて非相反性のパラメータΔβを計算した。
実測及びシミュレーションでは、非相反伝送線路装置10Aに印加する磁界を変化させながら、散乱パラメータの変化の様子を詳しく調べた。実測では、以下の外部磁界Bexを磁力源7により非相反伝送線路装置10Aに印加し、シミュレーションでは、これらの外部磁界Bexに対応して、以下の実効磁化μ及び内部磁界μをそれぞれ設定した。
Bex=26mT:μ=25mT、μ=10mT
Bex=80mT:μ=60mT、μ=50mT
Bex=100mT:μ=80mT、μ=60mT
Bex=150mT:μ=100mT、μ=70mT
Bex=180mT:μ=105mT、μ=95mT
図14は、図4の非相反伝送線路装置10Aに異なる複数の磁界を印加した場合の非相反性の周波数依存性を示すグラフである。図14は、非相反性のパラメータΔβの周波数依存性を示す。図14において、実線は実測の結果を示し、破線はシミュレーションの結果を示す。図14によれば、印加される磁界の増大に応じて、より大きな非相反性が生じることが確認できた。印加される磁界が小さいときは、実測された非相反性は、シミュレーションにより計算された非相反性とほぼ同程度になることが確認できた。
以上の結果より、容量性素子として機能するスタブ導体12を、高い誘電率を有する磁性体15の上に形成することで、低い誘電率又は高い誘電率を有する誘電体2の上に形成した場合よりも大きな非相反性が得られることがわかった。特に、6GHz以上の高周波帯では、電磁波がエッジガイドモードで伝搬する効果が顕著に現れ、非相反性が増大する傾向が強くなっていると考えられる。
次に、図15~図18を参照して、図1の非相反伝送線路装置10及びアンテナ装置に係るシミュレーション及び実測の結果について説明する。
シミュレーションでは、Ansys, Inc.(旧Ansoft Corporation)の電磁界シミュレーションソフトであるHFSS ver13.0を用いた。シミュレーションで設定したアンテナ装置及び非相反伝送線路装置10のパラメータは、以下の通りであった(図1を参照)。
基板全体(誘電体2及び磁性体15)の長さ:L1=100mm
基板全体(誘電体2及び磁性体15)の幅:W1=20mm、
基板全体(誘電体2及び磁性体15)の厚さ:0.8mm
誘電体2の比誘電率:2.62、
磁性体15の比誘電率:15
非相反伝送線路装置10の長さ:L2=23mm
テーパ導体3、ストリップ導体11、及びスタブ導体12,13の厚さ:18μm
テーパ導体3の長さ:L3=38mm
ポートP1,P2におけるテーパ導体3の幅:W2=2.2mm
ポートP3,P4におけるテーパ導体3の幅:W3=4.5mm
非相反伝送線路装置10はそれぞれ、6個の単位セル20を備えていた。シミュレーションで設定した単位セル20のパラメータは、以下の通りであった(図2を参照)。
単位セル20の周期:L10=3.9mm
ストリップ導体11の長さ:L11=3.4mm
ストリップ導体11の幅:W11=0.8mm
スタブ導体12の長さ:L12=1.5mm
スタブ導体12の幅:W12=0.4mm
スタブ導体13の長さ:L13=0.7mm
スタブ導体13の幅:W13=1.8mm
ビア導体14の半径:R1=0.5mm
チップキャパシタ16のサイズ:0.5mm×0.5mm
チップキャパシタ16の容量:0.5pF
シミュレーションでは、磁性体15において、+Z方向に実効磁化μ=25mT及び内部磁界μ=10mTを設定した。
図15は、図1の非相反伝送線路装置10の透過係数及び反射係数を示すグラフである。図15の透過係数S21,S12によれば、図1の非相反伝送線路装置10は、広帯域にわたって伝送線路として動作可能であることがわかる。
図16は、図1の非相反伝送線路装置10の分散曲線を示すグラフである。図16の分散曲線は、散乱パラメータの位相特性から算出された。シミュレーションでも、図3に示す例示的な分散曲線と同様の結果が得られた。
図17は、図1の非相反伝送線路装置10のチップキャパシタ16を備えた実施例及びチップキャパシタ16をもたない比較例について、スタブ導体12の長さに対する非相反性の変化を示すグラフである。図17によれば、チップキャパシタ16のあるなしにかかわらず、容量性素子として機能するスタブ導体12は、その長さに応じて同様の非相反性をもたらすことがわかる。
図15~図17によれば、図1の非相反伝送線路装置10は、特許文献1~3及び非特許文献1と同様に、右手/左手系複合伝送線路装置として動作可能である。
図18は、図4のアンテナ装置に異なる複数の磁界を印加した場合の放射方向を示すグラフである。図18は、図14の実測及びシミュレーションで得られた非相反伝送線路装置10Aの非相反性のパラメータΔβの値を、数7を用いて、放射方向の角度θに換算した結果を示す。図18でも、実線は実測の結果を示し、破線はシミュレーションの結果を示す。第1の実施形態に係るアンテナ装置では、例えば、外部磁界Bex=26mTが印加されたとき、動作周波数6GHzの付近で、非相反性のパラメータΔβ=0.035rad/mmになる。従って、非相反性のパラメータΔβを放射方向の角度θに換算すると、約15度となる。
一方、従来技術に係るアンテナ装置として、特許文献1のように、磁性体の上に形成された容量性素子として機能するスタブ導体をもたず、誘電体の上に形成された誘導性素子として機能するスタブ導体のみを備えた非相反伝送線路装置を備えるアンテナ装置を考える。この場合、アンテナ装置に2倍程度の実効磁化50mTが生じている場合、放射方向の角度は7~8度程度になった。従って、第1の実施形態に係るアンテナ装置によれば、弱い外部磁界が印加されているときであっても、非相反性及び主ビームの走査角が従来技術に比較して大幅に増大することがわかる。また、第1の実施形態に係るアンテナ装置によれば、より強い磁界を印加した場合には、非相反性がより大きくなることがわかる。
以上の説明では、アンテナ装置の動作周波数は、順方向の位相定数及び逆方向の位相定数が互いに一致するときの周波数に等しく設定される場合について説明したが、他の周波数に設定されてもよい。他の周波数においても同様に、非相反伝送線路装置10には従来技術の場合よりも大きな非相反性が生じる。
第1の実施形態に係る非相反伝送線路装置10は、アンテナ装置に限らず、共振器、フィルタ、発信器、及び分配器などにも適用可能である。
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、容量性素子として機能する複数のスタブ導体12を、磁性体15の上に形成し、ストリップ導体11の一方のエッジに周期的に接続した。これにより、電磁波の一方向の伝搬における実効誘電率が増大する(すなわち遅延効果が増大する)ので、非相反伝送線路装置の非相反性が増大する。一方、第2の実施形態では、互いに隣接するスタブ導体12を容量的に結合する。これにより、電磁波の一方向の伝搬における遅延効果をさらに増大させ、非相反伝送線路装置の非相反性をさらに増大させる。
図19は、第2の実施形態に係る非相反伝送線路装置10Cを備えたアンテナ装置の構成を示す図である。図19のアンテナ装置は、図1の非相反伝送線路装置10に代えて、非相反伝送線路装置10Cを備える。
非相反伝送線路装置10Cは、互いに縦続接続された複数の単位セル20Cを備える。
図20は、図19の非相反伝送線路装置10Cの単位セル20Cの構成を示す上面図である。非相反伝送線路装置10Cは、図2の非相反伝送線路装置10と同様に、誘電体2及び磁性体15を含む基板に形成される。非相反伝送線路装置10Cはさらに、基板の下面(-Z側の面)に形成された接地導体1(図5を参照)と、基板の上面(+Z側の面)に形成されたストリップ導体11及び複数のスタブ導体12とを備える。
図20に示すように、各スタブ導体12と接地導体1との間において基板は磁性体15にてなる。図20の例では、ストリップ導体11と接地導体1との間においても基板は磁性体15にてなる。
単位セル20Cは、ストリップ導体11を電磁波の伝送線路部分として備える。これにより、単位セル20Cは、+Y方向及び-Y方向に電磁波の伝搬方向を有するマイクロストリップ線路として構成される。単位セル20Cはさらに、ストリップ導体11に接続された少なくとも1つのスタブ導体12を備える。スタブ導体12は、接地導体1に容量的に結合し、等価的に容量性素子として機能する。互いに隣接する各スタブ導体12は、キャパシタ17を介して互いに容量的に結合する。キャパシタ17は、例えばチップキャパシタである。
各単位セル20Cは、磁力源7によって、基板の上面及び下面に沿った方向とは異なり、かつ、ストリップ導体11の伝搬方向(+Y方向及び-Y方向)とは異なる磁化方向、例えば図5の例と同様に+Z方向に磁化されてジャイロ異方性を有する。
図20に示すように、各スタブ導体12は、Y軸の方向に沿ったストリップ導体11の2つのエッジのうちの一方のエッジに電気的に接続される。言い換えると、各スタブ導体12は、ストリップ導体11を通る面であって、伝搬方向と磁化方向とにより形成される面(図20のYZ面)に対して一方の側に形成される。
図21は、図19の非相反伝送線路装置10Cの分散曲線を概略的に示すグラフである。図22は、図19の非相反伝送線路装置10Cの非相反性のパラメータΔβを概略的に示すグラフである。非相反伝送線路装置10Cにおいて電磁波が順方向に伝搬するとき(位相定数βのとき)、非相反伝送線路装置10Cはカットオフ周波数f1を有する。また、非相反伝送線路装置10Cにおいて電磁波が逆方向に伝搬するとき(位相定数-βのとき)、非相反伝送線路装置10Cはカットオフ周波数f2を有する。
互いに隣接するスタブ導体12の間にキャパシタ17が設けられていない場合、非相反伝送線路装置のカットオフ周波数は、管内波長の1/4がスタブ導体12の長さに等しくなるときの周波数である。この場合、非相反伝送線路装置の動作周波数を低周波側から次第に増加させると、実効屈折率が次第に大きくなり、遅延効果も大きくなり、カットオフ周波数において極大になる。この遅延効果が顕著に現れるカットオフ周波数の直下の周波数帯(すなわち、スタブ導体12が容量性素子として動作する周波数帯)では、非相反伝送線路装置の非相反性も大きくなる。
非相反伝送線路装置10Cでは、互いに隣接するスタブ導体12をキャパシタ17を介して容量的に結合することによって、キャパシタ17なしの場合よりもカットオフ周波数を低下させることができる。また、キャパシタ17の容量値C(17)を調整することにより、カットオフ周波数を所望の値に設定することができる。これにより、設定されたカットオフ周波数の直下の周波数帯において、電磁波の一方向の伝搬における遅延効果が大きくなり、結果として、非相反伝送線路装置の非相反性を増大させることができる。
このように、非相反伝送線路装置の非相反性を増大させることにより、外部から印加される直流磁界を大幅に低減しながら、キャパシタ17なしの場合と同程度の非相反性を達成することができる。
図23は、第2の実施形態の第1の変形例に係る非相反伝送線路装置10Dの単位セル20Dの構成を示す上面図である。単位セル20Dは、チップキャパシタである図20のキャパシタ17に代えて、基板上の導体パターンによりインターディジタル型に形成されたキャパシタ17Dを備える。図23のキャパシタ17Dを備えることにより、図20の場合よりも削減された部品点数を有する非相反伝送線路装置10Dを提供することができる。
図24は、第2の実施形態の第2の変形例に係る非相反伝送線路装置10Eの単位セル20Eの構成を示す上面図である。非相反伝送線路装置10Eは、図20の非相反伝送線路装置10Cと同様に、誘電体2及び磁性体15を含む基板に形成される。非相反伝送線路装置10Eはさらに、基板の下面(-Z側の面)に形成された接地導体1(図5を参照)と、基板の上面(+Z側の面)に形成されたストリップ導体11、複数のスタブ導体12a、及び複数のスタブ導体12bとを備える。
図24に示すように、各スタブ導体12a,12bと接地導体1との間において基板は磁性体15にてなる。図24の例では、ストリップ導体11と接地導体1との間においても基板は磁性体15にてなる。
単位セル20Eは、ストリップ導体11を電磁波の伝送線路部分として備える。これにより、単位セル20Eは、+Y方向及び-Y方向に電磁波の伝搬方向を有するマイクロストリップ線路として構成される。単位セル20Eはさらに、ストリップ導体11に接続された少なくとも1つのスタブ導体12aと、ストリップ導体11に接続された少なくとも1つのスタブ導体12bとを備える。本明細書において、スタブ導体12aを「第1の並列枝回路」ともいい、スタブ導体12bを「第2の並列枝回路」ともいう。
各単位セル20Eは、磁力源7によって、基板の上面及び下面に沿った方向とは異なり、かつ、ストリップ導体11の伝搬方向(+Y方向及び-Y方向)とは異なる磁化方向、例えば図5の例と同様に+Z方向に磁化されてジャイロ異方性を有する。
各スタブ導体12aは、Y軸の方向に沿ったストリップ導体11の2つのエッジのうちの一方のエッジに電気的に接続され、各スタブ導体12bは他方のエッジに電気的に接続される。言い換えると、各スタブ導体12aは、ストリップ導体11を通る面であって、伝搬方向と磁化方向とにより形成される面(図24のYZ面)に対して一方の側に形成され、各スタブ導体12bは、この面に対して他方の側に形成される。
各スタブ導体12a,12bは、接地導体1に容量的に結合し、等価的に容量性素子として機能する。互いに隣接する各スタブ導体12aは、電子的に制御可能な可変容量素子17Eaを介して互いに容量的に結合する。互いに隣接する各スタブ導体12bは、電子的に制御可能な可変容量素子17Ebを介して互いに容量的に結合する。可変容量素子17Ea,17Ebは、例えば、印加される電圧に応じて変化する容量を有する可変容量ダイオード又はMEMS(microelectromechanical systems)デバイスなどである。
複数の可変容量素子17Eaが互いに同一の特性を有し、かつ、複数の可変容量素子17Ebが互いに同一の特性を有する場合、複数の可変容量素子17Eaにはコントローラ4から同じ制御信号が印加され、複数の可変容量素子17Ebにはコントローラ4から同じ制御信号が印加されてもよい。これにより、複数の可変容量素子17Eaには同じ容量値が設定され、複数の可変容量素子17Ebには同じ容量値が設定される。それに代わって、複数の可変容量素子17Eaはコントローラ4によって互いに独立に制御されてもよく、複数の可変容量素子17Ebはコントローラ4によって互いに独立に制御されてもよい。
図25及び図26は、図24の非相反伝送線路装置10Eの分散曲線を概略的に示すグラフである。図27は、図24の非相反伝送線路装置10Eの非相反性のパラメータΔβを概略的に示すグラフである。図25~図27は、図24の非相反伝送線路装置10Eが、ストリップ導体11の長手方向に沿った直線に対して対称に構成された場合の特性を示す。
図25は、複数の可変容量素子17Eaに第1の容量値を設定し、複数の可変容量素子17Ebに第2の容量値を設定した場合を示す。図25の例では、非相反伝送線路装置10Eにおいて電磁波が順方向に伝搬するとき(位相定数βのとき)、非相反伝送線路装置10Eはカットオフ周波数f1を有し、また、非相反伝送線路装置10Eにおいて電磁波が逆方向に伝搬するとき(位相定数-βのとき)、非相反伝送線路装置10Eはカットオフ周波数f2を有する。一方、図26は、複数の可変容量素子17Eaに第2の容量値を設定し、複数の可変容量素子17Ebに第1の容量値を設定した場合を示す。図26の例では、非相反伝送線路装置10Eにおいて電磁波が順方向に伝搬するとき(位相定数βのとき)、非相反伝送線路装置10Eはカットオフ周波数f2を有し、また、非相反伝送線路装置10Eにおいて電磁波が逆方向に伝搬するとき(位相定数-βのとき)、非相反伝送線路装置10Eはカットオフ周波数f1を有する。
非相反伝送線路装置10Eでは、可変容量素子17Ea,17Ebの容量値を変化させることによって、非相反伝送線路装置10Eの分散曲線を変化させ、特に、カットオフ周波数を変化させることができる。従って、例えば、非相反伝送線路装置10Eの動作周波数が固定されていても、可変容量素子17Ea,17Ebの容量値を変化させることによって、図27に示すように、非相反伝送線路装置10Eの非相反性を動的に制御することができる。
図28は、第2の実施形態の第3の変形例に係る非相反伝送線路装置10Fの構成を示す上面図である。非相反伝送線路装置10Fは、互いに縦続接続された複数の単位セル20Fを備える。非相反伝送線路装置10Fは、実質的に、図5の非相反伝送線路装置10Aの各構成要素に加えて、互いに隣接するスタブ導体12を容量的に結合するキャパシタ17を備える。
次に、図29~図33を参照して、図28の非相反伝送線路装置10Fに係るシミュレーション結果について説明する。
シミュレーションで設定した単位セル20Fのパラメータは、以下の通りであった(図28を参照)。
単位セル20Fの個数:5個
単位セル20Fの周期:L10=1.9mm
ストリップ導体11の幅:W11=2mm
スタブ導体12の長さ:L12=1.4mm
スタブ導体12の幅:W12=1mm
スタブ導体13の長さ:L13=1.0mm
スタブ導体13の幅:W13=1.0mm
誘電体2及び磁性体15の厚さ:0.8mm
シミュレーションでは、磁性体15において、+Z方向に実効磁化μ=25mT及び内部磁界μ=10mTを設定した。
図29は、図28の非相反伝送線路装置10Fが容量0.6pFのキャパシタ17を備える場合について、反射係数及び透過係数の周波数特性を示すグラフである。図30は、図28の非相反伝送線路装置10Fが容量0.8pFのキャパシタ17を備える場合について、反射係数及び透過係数の周波数特性を示すグラフである。図31は、図28の非相反伝送線路装置10Fが容量1.0pFのキャパシタ17を備える場合について、反射係数及び透過係数の周波数特性を示すグラフである。図32は、図28の非相反伝送線路装置10Fがキャパシタ17をもたない場合について、反射係数及び透過係数の周波数特性を示すグラフである。図29~図32の横軸は周波数[GHz]を示し、縦軸は散乱パラメータの振幅[dB]を示す。図29~図32のシミュレーション結果によれば、キャパシタ17の容量値C(17)が大きくなるにつれて、カットオフ周波数が低周波側にシフトすることがわかる。
図33は、図28の非相反伝送線路装置10Fにおける非相反性の周波数依存性を示すグラフである。図29~図32の各場合について、透過係数S21及びS12に基づいて、非相反性の周波数依存性を導出することができる。図33において、横軸は、p/πで正規化された非相反性のパラメータΔβを示す。ここで、pは、単位セル20Fの周期L10を示す。また、図33において、縦軸は周波数[GHz]を示す。図29~図32を参照して説明したように、キャパシタ17の容量値C(17)が大きくなるにつれて、カットオフ周波数が低周波側にシフトすることがわかる。図33を参照すると、各カットオフ周波数の直下の帯域において非相反伝送線路装置10Fの非相反性が増大していることがわかる。つまり、キャパシタ17の容量値C(17)を調整することにより、カットオフ周波数を所定の値に設定することができ、さらに、カットオフ周波数の直下の帯域において非相反伝送線路装置10Fの非相反性を増大させることができる。
次に、図34~図39を参照して、図19の非相反伝送線路装置10Cに係るシミュレーション及び実測の結果について説明する。
図19の非相反伝送線路装置10Cを備えたアンテナ装置を試作してその特性を実測し、実測結果とシミュレーション結果とを比較した。同様に、キャパシタ17を除去した非相反伝送線路装置10Cを備えたアンテナ装置を試作してその特性を実測し、実測結果とシミュレーション結果とを比較した。印加された直流磁界の向き及び磁化の大きさを固定したまま、構造的な非対称性を大きくすることにより、非相反伝送線路装置の非相反性の増大を試みる。
シミュレーション及び実測において設定したアンテナ装置及び非相反伝送線路装置10Cのパラメータは、以下の通りであった(図19を参照)。
基板全体(誘電体2及び磁性体15)の長さ:L1=100mm
基板全体(誘電体2及び磁性体15)の幅:W1=15mm
基板全体(誘電体2及び磁性体15)の厚さ:0.8mm
誘電体2の比誘電率:2.62
磁性体15の比誘電率:15
非相反伝送線路装置10Cの長さ:L2=17.3mm
テーパ導体3、ストリップ導体11、及びスタブ導体12の厚さ:18μm
テーパ導体3の長さ:L3=41.35mm
ポートP1,P2におけるテーパ導体3の幅:W2=2.2mm
ポートP3,P4におけるテーパ導体3の幅:W3=6mm
ポートP1,P2からテーパ導体3を見たときの特性インピーダンス:50Ω
磁性体15の幅:W4=4.1mm
単位セル20Cの個数:8個
シミュレーション及び実測において設定した単位セル20Cのパラメータは、以下の通りであった(図20を参照)。
単位セル20Cの周期:L10=2.1mm
ストリップ導体11の幅:W11=2.0mm
スタブ導体12の長さ:L12=1.5mm
スタブ導体12の幅:W12=1.6mm
キャパシタ17の容量:0.5pF
互いに隣接するスタブ導体12の間の距離:W14=0.5mm
キャパシタ17ありの場合のシミュレーションでは、磁性体15において、+Z方向に実効磁化μ=80mT及び内部磁界μ=40mTを設定した。キャパシタ17なしの場合のシミュレーションでは、磁性体15において、+Z方向に実効磁化μ=70mT及び内部磁界μ=40mTを設定した。
試作した非相反伝送線路装置10Cでは、接地導体1として真鍮板を使用し、磁性体15として、飽和磁化175mTのYIG多結晶を使用し、キャパシタ17として、村田製作所の積層セラミックコンデンサGJM1554C1HR50 WB01Dを使用した。また、試作した非相反伝送線路装置10Cには、+Z方向に120mTの外部直流磁界を印加した。
図34は、図19の非相反伝送線路装置10Cが容量0.5pFのキャパシタ17を備える場合について、反射係数及び透過係数の周波数特性の計算値を示すグラフである。図35は、図19の非相反伝送線路装置10Cが容量0.5pFのキャパシタ17を備える場合について、反射係数及び透過係数の周波数特性の実測値を示すグラフである。図34及び図35の横軸は周波数[GHz]を示し、縦軸は散乱パラメータの振幅[dB]を示す。図34及び図35によれば、カットオフ周波数が約6GHz付近に現れていることがわかる。
図36は、図19の非相反伝送線路装置10Cがキャパシタ17をもたない場合について、反射係数及び透過係数の周波数特性の計算値を示すグラフである。図37は、図19の非相反伝送線路装置10Cがキャパシタ17をもたない場合について、反射係数及び透過係数の周波数特性の実測値を示すグラフである。図36及び図37の横軸は周波数[GHz]を示し、縦軸は散乱パラメータの振幅[dB]を示す。図36及び図37によれば、カットオフ周波数は4GHz~8GHzの周波数帯域には現れず、約15.5GHz付近に現れた。
図38は、図19の非相反伝送線路装置10Cの分散曲線を示すグラフである。キャパシタ17を備えた非相反伝送線路装置10Cと、キャパシタ17を除去した非相反伝送線路装置10Cとを試作し、それらの透過係数S12及びS21を実測し、測定結果に基づいて分散曲線を計算した。図38において、S21は、ポートP3からポートP4への順方向伝搬の透過係数に基づいて計算された分散曲線を示し、S12は、ポートP4からポートP3への逆方向伝搬の透過係数に基づいて計算された分散曲線を示す。また、図38において、実線は、キャパシタ17を備えた非相反伝送線路装置10Cの分散曲線を示し、破線は、キャパシタ17を除去した非相反伝送線路装置10Cの分散曲線を示す。図38によれば、キャパシタ17を備えた非相反伝送線路装置10Cの位相定数の絶対値は、6GHzのカットオフ周波数に近づくにつれて大きくなるが、周波数の増大に応じて、順方向伝搬の位相定数(S21)の絶対値のほうが逆方向伝搬の位相定数(S12)の絶対値よりも大きくなる。また、周波数の増大に応じて、順方向伝搬の位相定数(S21)と逆方向伝搬の位相定数(S12)との差もまた大きくなる。この現象は、電磁波がストリップ導体11及びスタブ導体12のエッジに沿ってエッジガイドモードで伝搬することと、ストリップ導体11の一方のエッジにのみスタブ導体12及びキャパシタ17を設けることにより、順方向伝搬の場合(S21)と逆方向伝搬の場合(S12)とで異なった線路構造に見えることとに起因する。カットオフ周波数の付近になると遅延効果が顕著となり、順方向伝搬の場合(S21)のほうが、逆方向伝搬の場合(S12)に比べて遅延効果が大きく、位相特性に差が生じている。
図39は、図19の非相反伝送線路装置10Cの非相反性のパラメータΔβを示すグラフである。前述のように、キャパシタ17を備えた非相反伝送線路装置10Cと、キャパシタ17を除去した非相反伝送線路装置10Cとを試作してその特性を実測し、実測結果とシミュレーション結果とを比較した。図39において、実線は実測の結果を示し、破線はシミュレーションの結果を示す。図39において、横軸は、p/πで正規化された非相反性のパラメータΔβを示す。ここで、pは、単位セル20Cの周期L10を示す。また、図39において、縦軸は周波数[GHz]を示す。図39において、既に説明したように、キャパシタ17を備えた非相反伝送線路装置10Cでは、6GHzのカットオフ周波数の直下において非相反性が顕著に大きくなっている。例えば、測定結果によれば、互いに隣接するスタブ導体12をキャパシタ17を介して容量的に結合することによって、動作周波数5.5GHzにおいて、キャパシタ17なしの場合に比べて、非相反性が約2.5倍に大きくなることがわかる。
このように、互いに隣接するスタブ導体12をキャパシタ17を介して容量的に結合することによって、カットオフ周波数を所望の周波数帯に設定することができ、それにより、低い周波数帯において非相反性を増大させられることが確認できた。
図40は、第2の実施形態の第4の変形例に係る非相反伝送線路装置10Gの構成を示す上面図である。非相反伝送線路装置10Gは、互いに縦続接続された複数の単位セル20Gを備える。
図41は、図40の非相反伝送線路装置10Gの単位セル20Gの構成を示す上面図である。各単位セル20Gは、実質的に、図2の単位セル20の各構成要素に加えて、互いに隣接するスタブ導体12を容量的に結合するキャパシタ17を備える。図41の例では、各単位セル20Gは2つのスタブ導体12を備える。
次に、図42を参照して、図40の非相反伝送線路装置10Gに係るシミュレーション結果について説明する。
キャパシタ17を備えた非相反伝送線路装置10Gの分散曲線と、キャパシタ17を除去した非相反伝送線路装置10Gの分散曲線とを計算した。シミュレーションで設定した単位セル20Gのパラメータは、以下の通りであった(図41を参照)。
単位セル20Fの周期:L10=1.9mm
ストリップ導体11の幅:W11=2mm
スタブ導体12の長さ:L12=1mm
スタブ導体12の幅:W12=0.45mm
スタブ導体13の長さ:L13=0.6mm
スタブ導体13の幅:W13=1.0mm
キャパシタ17の容量:0.875pF
誘電体2及び磁性体15の厚さ:0.8mm
シミュレーションでは、磁性体15において、+Z方向に実効磁化μ=25mT及び内部磁界μ=10mTを設定した。
キャパシタ17を備えた非相反伝送線路装置10Gでは、チップキャパシタ16の容量として1pFを設定した。一方、キャパシタ17を除去した非相反伝送線路装置10Gでは、チップキャパシタ16の容量として1.1pFを設定した。
図42は、図40の非相反伝送線路装置10Gの分散曲線を示すグラフである。図42において、S21は、ポートP3からポートP4への順方向伝搬の透過係数に基づいて計算された分散曲線を示し、S12は、ポートP4からポートP3への逆方向伝搬の透過係数に基づいて計算された分散曲線を示す。また、図42において、実線は、キャパシタ17を備えた非相反伝送線路装置10Gの分散曲線を示し、破線は、キャパシタ17を除去した非相反伝送線路装置10Gの分散曲線を示す。図42において、横軸は、p/πで正規化された伝搬定数βを示す。ここで、pは、単位セル20Gの周期L10を示す。また、図42において、縦軸は周波数[GHz]を示す。非相反伝送線路装置10Gの動作周波数は順方向伝搬の分散曲線(S21)及び逆方向伝搬の分散曲線(S12)の交点において設定される。図42によれば、非相反伝送線路装置10Gの動作周波数は5.5GHzになる。図42によれば、互いに隣接するスタブ導体12をキャパシタ17を介して容量的に結合することによって、カットオフ周波数は約6GHzになる。図42のシミュレーションでは、非相反伝送線路装置10Gの動作周波数がそのカットオフ周波数よりも小さくなるように、単位セル20Gのパラメータを設定した。また、図42によれば、5.5GHzの動作周波数において、互いに隣接するスタブ導体12をキャパシタ17を介して容量的に結合することによって、キャパシタ17なしの場合に比較して、Δβp/πは0.029から0.037まで約25%向上していることがわかる。上述の構成により、所望の動作周波数において非相反伝送線路装置の非相反性を増大させるという効果を得ることができる。
図43は、図28の非相反伝送線路装置10Gを備えた擬似進行波共振器の構成を示す図である。図43の擬似進行波共振器は、非相反伝送線路装置10Gと、反射器21,22とを備える。反射器21,22は、誘電体基板2における管内波長で考えたとき終端開放された4分の1波長のマイクロストリップ線路である。非相反伝送線路装置10Gは、その両端に反射器21,22を接続することにより、両端において短絡される。一方の反射器21は、インピーダンス整合が取れる位置において給電線23に接続される。
次に、図44及び図45を参照して、図43の擬似進行波共振器に係るシミュレーション結果について説明する。
シミュレーションでは、反射器21,22の長さを7.24mmに設定した。また、シミュレーションでは、磁性体15において、+Z方向に実効磁化μ=15mT及び内部磁界μ=7mTを設定した。
図44は、図43の擬似進行波共振器における反射係数の周波数特性を示すグラフである。図44は、給電線23から見た擬似進行波共振器の反射特性を示す。横軸は周波数[GHz]を示し、縦軸は反射係数S11の振幅[dB]を示す。図44によれば、5.5GHz付近で反射係数S11が低下し、擬似進行波共振器が共振していることがわかる。
図45は、図43の擬似進行波共振器の放射パターンを示すグラフである。図45は、磁性体15に印加する磁界を変化させたときの、動作周波数を5.5GHzにおける擬似進行波共振器からの漏れ波の放射パターンを示す。図45は、+Z方向を0度とし、YZ面内における放射パターンの主ビームの方向を示す。磁性体15において、+Z方向に実効磁化μ=15mT及び内部磁界μ=7mTを設定した場合(正磁界)、主ビームは13度の方向に形成される。磁性体15において、-Z方向に実効磁化μ=15T及び内部磁界μ=7mTを設定し(負磁界)、主ビームは-13度の方向に形成される。磁性体15において、実効磁化μ=0mT及び内部磁界μ=0mTを設定した場合(磁界なし)、主ビームは0度の方向に形成される。
図43の擬似進行波共振器では、互いに隣接するスタブ導体12をキャパシタ17を介して容量的に結合することによって、第1の実施形態に係る非相反伝送線路装置10等を備えた擬似進行波共振器よりも構造的な非対称性が大きくなる。従って、図43の擬似進行波共振器によれば、第1の実施形態に係る非相反伝送線路装置10等を備えた擬似進行波共振器の場合の数分の1程度の磁化の大きさで、第1の実施形態に係る非相反伝送線路装置10等を備えた擬似進行波共振器と同程度の非相反性を実現することができる。従って、図43の擬似進行波共振器は、印加される磁界の小さな変化によりビームを走査することができる。
[他の変形例]
図20の非相反伝送線路装置10Cにおいて、互いに隣接する各スタブ導体12を、キャパシタ17に代えて、可変容量素子を介して互いに容量的に結合してもよい。また、図20の、可変容量素子を図24の非相反伝送線路装置10Eにおいて、互いに隣接する各スタブ導体12a,12bの少なくとも一方を、可変容量素子17Ea,17Ebに代えて、固定の容量値を有するキャパシタを介して互いに容量的に結合してもよい。
本明細書に開示した各実施形態及び各変形例の他の組み合わせも可能である。
本発明に係る非相反伝送線路装置は、マイクロ波又はミリ波などの周波数帯における無線通信、エネルギー伝送、レーダ、及びセンシングなどに適用可能である。本発明に係る非相反伝送線路装置は、移動体通信用のアンテナ装置などに適用可能である。本発明に係る非相反伝送線路装置により、放射方向を走査可能なアンテナ装置を提供することができ、これにより、次世代の高速及び大容量通信を実現することができる。
1…接地導体、
2…誘電体、
3…テーパ導体、
4…コントローラ、
5…無線通信回路、
6…分配器、
7…磁力源、
10,10A,10B1~10B4,10C~10G…非相反伝送線路装置、
11…ストリップ導体、
12,12a,12b,13…スタブ導体、
14…ビア導体、
15…磁性体、
16…チップキャパシタ、
17,17D…キャパシタ、
17Ea,17Eb…可変容量素子、
20,20A,20C~20G…単位セル。

Claims (14)

  1. 順方向の伝搬特性と逆方向の伝搬特性とが互いに異なる非相反伝送線路装置であって、
    前記非相反伝送線路装置は、互いに対向する第1及び第2の面を有する基板に形成され、互いに縦続接続された複数の単位セルを備え、
    前記各単位セルは、
    前記基板の第1の面に形成された接地導体と、
    前記基板の第2の面に形成された電磁波の伝送線路部分と、
    前記基板の第2の面に形成され、前記伝送線路部分に接続された容量性素子を等価的に含む第1の並列枝回路とを備え、
    前記各単位セルは、前記基板の第1及び第2の面に沿った方向とは異なり、かつ、前記伝送線路部分の伝搬方向とは異なる磁化方向に磁化されてジャイロ異方性を有し、
    前記各第1の並列枝回路は、前記伝送線路部分を通りかつ前記伝搬方向と前記磁化方向とにより形成される面に対して一方の側に形成され、
    前記各第1の並列枝回路と前記接地導体との間において前記基板は磁性体にてなる、
    非相反伝送線路装置。
  2. 前記各第1の並列枝回路は、開放された先端を有する少なくとも1つの第1のスタブ導体を含む、
    請求項1記載の非相反伝送線路装置。
  3. 前記各第1の並列枝回路は少なくとも1つの第1のスタブ導体を含み、前記各第1のスタブ導体は前記接地導体に容量的に結合し、互いに隣接する前記各第1のスタブ導体は互いに容量的に結合する、
    請求項1記載の非相反伝送線路装置。
  4. 互いに隣接する前記各第1のスタブ導体は、可変容量素子を介して互いに容量的に結合する、
    請求項3記載の非相反伝送線路装置。
  5. 前記各単位セルは、前記基板の第2の面に形成され、前記伝送線路部分に接続された誘導性素子を等価的に含む第2の並列枝回路をさらに備え、
    前記各第2の並列枝回路は、前記伝送線路部分を通りかつ前記伝搬方向と前記磁化方向とにより形成される面に対して、前記各第1の並列枝回路が形成された側とは逆の側に形成され、
    前記各第2の並列枝回路と前記接地導体との間において前記基板は誘電体にてなる、
    請求項1~4のうちの1つに記載の非相反伝送線路装置。
  6. 前記各第2の並列枝回路は、前記接地導体に短絡された先端を有する少なくとも1つの第2のスタブ導体を含む、
    請求項5記載の非相反伝送線路装置。
  7. 前記磁性体の比誘電率は前記誘電体の比誘電率よりも高い、
    請求項5又は6記載の非相反伝送線路装置。
  8. 前記磁性体の比誘電率は5よりも高く、前記誘電体の比誘電率は4よりも低い、
    請求項7記載の非相反伝送線路装置。
  9. 前記各単位セルは、前記基板の第2の面に形成され、前記伝送線路部分に接続された容量性素子を等価的に含む第2の並列枝回路をさらに備え、
    前記各第2の並列枝回路は、前記伝送線路部分を通りかつ前記伝搬方向と前記磁化方向とにより形成される面に対して、前記各第1の並列枝回路が形成された側とは逆の側に形成され、
    前記各第2の並列枝回路と前記接地導体との間において前記基板は磁性体にてなり、
    前記各第2の並列枝回路は少なくとも1つの第2のスタブ導体を含み、前記各第2のスタブ導体は前記接地導体に容量的に結合し、互いに隣接する前記各第2のスタブ導体は互いに容量的に結合する、
    請求項3又は4記載の非相反伝送線路装置。
  10. 互いに隣接する前記各第2のスタブ導体は、可変容量素子を介して互いに容量的に結合する、
    請求項9記載の非相反伝送線路装置。
  11. 前記伝送線路部分と前記接地導体との間において前記基板は磁性体にてなる、
    請求項1~10のうちの1つに記載の非相反伝送線路装置。
  12. 請求項1~11のうちの1つに記載の非相反伝送線路装置を備え、
    前記各単位セルは、前記基板の第2の面に形成され、前記伝送線路部分に接続された容量性素子を等価的に含む直列枝回路をさらに備え、
    前記非相反伝送線路装置の漏れ波として電磁波を送受信する、
    アンテナ装置。
  13. 前記アンテナ装置は、前記磁化方向に可変な強さの磁界を印加する磁力源をさらに備え、
    前記磁力源によって発生される磁界の強さを変化させることにより前記アンテナ装置の放射方向を変化させる、
    請求項12記載のアンテナ装置。
  14. 前記アンテナ装置の動作周波数は、前記非相反伝送線路装置の分散曲線において前記順方向の位相定数及び前記逆方向の位相定数が互いに一致するときの周波数に等しく設定される、
    請求項12又は13記載のアンテナ装置。
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